JP2004322442A - Frpのプリフォーム製造方法および製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】積層した強化繊維基材を用いてプリフォームを成形する際に、成形部材のシワ・弛み等の不具合が少なく、少量生産にも対応した低コストタイプの賦形型2、3で、成形サイクルを短かくする量産タイプの賦形型にも発展でき、かつ精度の高いプリフォーム完成品5Bを製作するためのFRPのプリフォーム製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】本発明のFRPのプリフォーム製造方法および製造装置は、曲面2aを呈した賦形型の下型2に対して、下型2の上面に、トレー4により層間接着する接着材料を付与した強化繊維基材の積層シート5を配置し、下型の賦形面に合った上型3を順次積層シート5各部の小領域に型押し賦形することを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明のFRPのプリフォーム製造方法および製造装置は、曲面2aを呈した賦形型の下型2に対して、下型2の上面に、トレー4により層間接着する接着材料を付与した強化繊維基材の積層シート5を配置し、下型の賦形面に合った上型3を順次積層シート5各部の小領域に型押し賦形することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、FRP(繊維強化プラスチック)の成形に用いるプリフォームの製造方法および製造装置に関する。詳しくは強化繊維基材を積層してなる繊維強化複合材料用のプリフォームを早いサイクルで、しかも高い精度で成形するプリフォームの製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、FRPは、ハンドレイアップ成形法による人手作業や、半硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸させた中間基材(プリプレグ)を積層し、オートクレーブ内で加圧加熱成形するなどの各種成形法により、一般産業用途に広く製造されていた。
【0003】
しかし、最近のFRPの用途は、自動車用途など、輸送機器部材などの低コスト大量生産が必要な用途が増加し、成形サイクルの短縮・自動化などの、より一層の生産性向上が望まれている。
【0004】
そのため、これまでのプリプレグを使用した成形法よりも、格段に成形サイクルが短縮できるRTM法(レジン・トランスファー・モールディング)、成形型内を真空吸引して樹脂の含浸を助けるVa−RTM法、RIM法(レジン・インジェクション・モールディング)など、樹脂が未含浸の強化繊維基材を使用してプリフォームを成形した後に樹脂を一括含浸させる成形法が盛んになってきている。
【0005】
その際の課題として、最終製品たるFRP成形部材の形状とほぼ一致するサイズのプリフォームを成形するために、成形サイクルが短かく、積層された強化繊維基材が一体化できて成形すべき形態が保持され、かつ成形金型で成形した後の成形品のバリ処理加工等が殆ど不要となる精度の高いプリフォーム化技術が要求されている。
【0006】
例えば、ガラス繊維製プリフォームの賦形方法として、特許文献1には、スクリーン状またはメッシュ状の上型、下型間に、ガラス繊維マットを型の展開図状に配置し、これに対して加熱空気を上下型およびガラス繊維マットに貫通して、同時に上型、下型を合わせ、低圧プレス後、冷却空気を貫通してプリフォームを賦形する方法が提案されている。
【0007】
しかしながら、このような方法では、上型も下型のどちらも賦形面が大きなサイズに1面化されており、賦形形状が複雑になれば、当然にプリフォーム成形するガラス繊維マットが賦形面に馴染まない状態や、マットにシワ・弛み等が発生することが予想される。また、賦形型の装置としては大がかりになるため、成形数が少ない少量生産にはコスト面でも現実的ではないという問題がある。他にもマットの位置決めが難しい点や、マットの歩留まりが悪くなる欠点があるうえ、精度の高いプリフォーム化が困難であるという問題がある。
【0008】
【特許文献1】特開平5−8313号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これら従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、積層した強化繊維基材を用いてプリフォームを成形する際に、成形部材のシワ・弛み等の不具合が少なく、少量生産にも対応した低コストタイプの賦形型で、成形サイクルを短かくする量産タイプの賦形型にも適用でき、しかも精度の高いプリフォームを製作するためのFRPのプリフォーム製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するため、以下手段を採用する。すなわち、
(1)曲面状の賦形面を有する下型に対して、該下型の前記賦形面上に層間接着できる接着材料を付与した複数枚の強化繊維基材からなる積層シートを配置し、さらにその上から前記下型の賦形面に一致する賦形面を有する上型を順次、積層シート各部の小領域に型押しすることにより、前記積層シートに所定のプリフォーム形状を賦形することを特徴とするFRPのプリフォーム製造方法。
【0011】
(2)積層シートを上下の賦形型に挟み込み、この状態で積層シートを加熱することにより各繊維基材の層間接着をすることを特徴とする前記(1)に記載のFRPのプリフォーム製造方法。
【0012】
(3)積層シートを層間接着する接着材料は、熱可塑性樹脂粉末であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のFRPのプリフォーム製造方法。
【0013】
(4)強化繊維基材は、炭素繊維織物であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のFRPのプリフォーム製造方法。
【0014】
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載のプリフォーム製造方法により賦形時のシワ・弛みの発生が抑制された強化繊維基材に、マトリックス樹脂が含浸されてなる繊維強化複合部材。
【0015】
(6)賦形面としてプリフォーム成形すべき曲面を有する下型と、下型の賦形面のうちの少なくとも一部の領域の賦形面に一致する曲面を型押し面として有する上型と、前記下型と前記上型との間に位置し、強化繊維基材の積層シートを下型の賦形面上に移載する移載手段を備えたトレーとを有するとともに、前記上型または下型の一方を他方に押圧する手段を備えたことを特徴とするFRPのプリフォーム製造装置。
【0016】
(7)さらに、上型または下型に積層シートを加熱する手段を備えたことを特徴とする前記(6)に記載のFRPのプリフォーム製造装置。
【0017】
(8)上型は、賦形面が複数個に分割された分割型であり、個々の分割型の賦形面が下型に対して個々に進退する型押し手段を備えたことを特徴とする前記(6)または(7)に記載のFRPのプリフォーム製造装置。
【0018】
(9)下型は、ベース架台上に複数枚の賦形プレートをスリット状に等間隔で配列し、賦形プレートの先端面の集合面が前記賦形面を構成していることを特徴とする前記(6)〜(8)のいずれかに記載のFRPのプリフォーム製造装置。
【0019】
(10)上下型は、いずれも全面もしくは局部的にエアーが貫通できる手段を備えたことを特徴とする前記(6)〜(9)のいずれかに記載のFRPのプリフォーム製造装置。
【0020】
(11)上型の賦形面をメッシュ状の曲面にしたことを特徴とする前記(6)〜(10)のいずれかに記載のFRPのプリフォーム製造装置。
【0021】
(12)積層シートの加熱手段は、加熱エアーを積層シートに対して、その全面または局部的に当てる手段であることを特徴とする前記(7)〜(11)のいずれかに記載のFRPのプリフォーム製造装置。
【0022】
(13)上型または下型の加熱手段は、ヒータであることを特徴とする前記(7)〜(12)のいずれかに記載のFRPのプリフォーム製造装置。
【0023】
(14)積層シートが加熱成形されたあと、さらに冷却する手段を備えたことを特徴とする前記(7)〜(13)のいずれかに記載のFRPのプリフォーム製造装置。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態をその一実施例の図面を参照して説明する。
【0025】
まず、本発明のプリフォーム製造装置の一実施態様を説明する。図1〜図7は、いずれも本発明のプリフォーム製造装置の一実施態様に係る図面であり、図1と図3はその斜視図、図2はその断面図で図1の積層シート5を下型2と上型3とで挟み込んだ状態の縦断面図である。また、図4と図5は、本発明の製造方法に用いる上型の一例を示す拡大斜視図である。また、図6と図7は、本発明に係るプリフォーム製造装置により成形したプリフォームの斜視図である。
【0026】
図1に示すように、本発明のFRPのプリフォーム製造装置1は、基本的には、曲面を呈したスリット状の複数枚の賦形プレートが連続する賦形面2aを有する下型2と、賦形面2aと対応する賦形面である凹曲面を呈した上型3と、これら上下型の間に位置し、プリフォームとして成形すべき積層シート5を載せるトレー4とから構成されている。
【0027】
下型2は、後述するトレー4の上に載置した積層シート5を、その賦形面2a上に載置するための部材であり、図に示すように賦形部外形が山形状の賦形面2aを有する賦形プレート2eが一定間隔でベース2dに複数枚固定され、これら複数の賦形面2aの集合体(以下、賦形面という。)が成形すべきプリフォームの三次元形状に一致するようになっている。また、ベース2dの四隅にはトレー4のガイド穴4cにピッタリ合うように、ガイドピン2bが設けられ、トレー4にダンパー効果がでるようにコイルバネ2cがセットされてある。
【0028】
トレー4は、積層シート5を下から支え、前述の下型2の賦形面2a上に移動させるための部材であり、矩形状の枠材4bと、積層シートを支えるため一定間隔で複数本が枠材に固定された支持材4aとで構成されている。支持材4aの配列ピッチは、下型2の賦形プレート2eの固定ピッチと一致し、枠材4bの内法寸法は賦形プレート2eの全長よりも大きくなっている。すなわち、トレー4は、図2に示すように、積層シート5を積載した状態で枠材4b間に下型の賦形プレート2eが抜き差しできるような位置関係に形成されている。また、枠材4bの四隅には前述の下型2のガイドピン2bが嵌るガイド穴4cと、積層シート5の位置決めするストッパー4dとが設けられている。なお、ストッパー4dは、積層したシートの耳端部を揃えるようにするためのものである。
【0029】
上型3は、積層シート5をトレー4に積載した状態で下型2の賦形面上に移載した後、積層シート5をその上から押圧し、積載した積層シート5に最終的にプリフォーム形状を賦形固定するためのもので、図1に示すように平面方向に複数個に分割された分割型3aからなっており、それぞれの分割型3aの下型対向面は全ての分割型3aの下型対向面の集合面が前述の下型2の賦形面2aと一致する三次元形状となっている。なお、3dは取手である。
【0030】
また、個々の分割型3aは、下型2上の賦形面に対応して独立して個々に上下動することができ、積層シート5との接触面である下型対向面には例えばパンチングメタル、アルミ製エキスパンドメタル等が用いられ、メッシュ状をしており通気性を有するようになっている。
【0031】
分割型3aの上下動手段としては、特に限定するものではなく、例えば図3に示すように個々の分割型3aの裏面にエアシリンダー3bのピストン側を固定し、シリンダ側はその上に設けた共通ベース3cに全て固定し、個々のシリンダーを図示しないコントローラにより下型2方向に上下動させる手段が挙げられる。分割型3aの通気手段としては、上記メッシュ状部材の他、図4に示すように、個々の分割型の賦形面に通気孔3fを多数設けたものでもよい。この孔は、分割型3aの全面もしくは局部的に設けることによりエアーが貫通できるものでも良い。
【0032】
さらに、個々の分割型3aには、図5に示すようにヒーター3gが内蔵され、図示しない温度コントローラにより個々に賦形面と積層シート5とが120〜150℃の温度範囲に昇温できるようになっている。これらの加熱手段としては、上記ヒータの他、図2に示すように、上型3の上部に内部が空洞のボックス6と、これに接続される蛇腹ホースを設け、図示しない空気加熱器から加熱エアーHAをボックス内に引き込み、空気加熱器のエアー温度をコントロールすることで所望温度にコントロールしても良い。また、下型2のスリット下面よりスリット間に加熱エアーHAを供給しても良く、さらに、下型や上型そのものが積層シート5を加熱することのできるヒータであってもよい。また、賦形型に加熱エアーHAを供給しながら、上下賦形型を加熱できるヒータの構成であってもよい。
【0033】
以上が本発明の製造装置の概要であるが、個々には次に述べる手段を採用しても良い。まず、上述した下型2と上型3の三次元形状の賦形面は、成形形状や作業性を考慮し、図1〜図5で説明したものとは賦形面が上下逆になっても構わない。また、賦形したい形状が例えばドーム状であったりした場合は、上型の分割型はドーム形状の一部分を複数箇所に移動させて、プリフォーム成形しても問題ない。また、上型の賦形面2aにおいては、一例としてスリット状のものを図示したが、これに限定されず例えば円筒状、矩形筒状、三角形筒状、ハニカム形筒状、あるいは扇形筒状等の形状部材を用いて賦形面を構成することも可能である。また、その材質は、取り扱い性や強度面から金属製(一般構造用圧延材、ステンレス鋼材等)が一般的であるが、賦形型の重量が重くなることからアルミニウムを使用すると軽量化ができ好ましい。賦形型の製作コストや耐久性を考慮して、木製や木製の表面に樹脂等をコーティングした賦形型でも良いが、加熱エアー等の熱(約150〜200℃)に影響を受けない耐熱性を有することが望ましい。複雑形状に対応できる樹脂材質や複合材料でも問題ない。また、部分的に樹脂やアルミ、金属と組み合わせて使用しても良い。
【0034】
また、図5の上型3は、複数個の分割型の昇温手段をヒーター3gで構成したが、プレートヒーターやアルミ鋳込みヒーター、シリコンラバーヒーター等で構成してもよい。図2では、加熱エアーHAを賦形型に供給することで、積層シート5の積層間に介在するバインダー樹脂を溶かし、層間接着する方法を取っているが、図5のように賦形型自体がヒーター3gとなる加熱方法でも問題はない。要するに賦形面に合った形状が保たれ、かつ、必要な熱容量が積層シート5に伝えることができれば良い。
【0035】
次に、上記図面を用いて本発明の製造方法を工程順に説明する。
1.積層シート5の準備工程
まず、樹脂が未含浸のガラス繊維や炭素繊維などからなる図1の強化繊維基材シート5(積層シート)を、プリフォーム成形する型サイズより大きく裁断し、基材シートの裁断周囲は、あらかじめ解れ止め処理を施す。解れ止め処理は、シートの取り扱い性を良くし、強化繊維基材シートの傷みを防止するうえ、位置決めの精度も向上する。強化繊維基材シートの片面または両面に、バインダーの役目をする熱可塑性ポリマーの粒状物を、図示を省略した装置により分散・固着し、所望のプリフォームが製造できるための強化繊維基材シートを準備する。
【0036】
なお、上記熱可塑性ポリマーの粒状物は、積層シート5を層間接着するためのバインダーであり、これを加熱することにより、複数の基材シートの層間が接着できることで一体化でき、プリフォームの形態保持ができるという効果がある。このためコスト面や成形後剥離強度等の点からも、熱可塑性ポリマーの粒状物はできる限り低密度で均一分散されて付着されているのが好ましい。このような材質のものとしては、ナイロン、共重合ナイロン、塩化ビニエリデン、塩化ビニル、ポリエステル、ポリウレタンなどが挙げられ、中でもマトリックス樹脂として一般的な熱硬化性樹脂との接着性の点で、共重合ナイロンが好適であり、具体的にナイロン6、ナイロン66、および610などが好ましい。
【0037】
強化繊維基材の積層シート5に用いられる強化繊維としては、高強度、高弾性率繊維が望ましく、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ポリアミド繊維などが使用できるが、その他の材料であっても、性能面で良好な材料であれば使用可能である。
2.積層シート5の載置およびトレー4による移載工程
次に所定サイズに裁断した強化繊維基材シートを必要枚数積層し、図1に示す積層シート5のように、トレー4の支持材4a上の定位置にセットする。トレー4のガイド穴4cを下型2のガイドピン2bへ嵌め込み、下型2のスリット状の賦形面2a上に積層シート5が若干接しながら載るように、静かにトレー4を降下させる。この際、ガイドピン2bにはコイルバネ2cがセットされてあるので、ダンパー効果とトレー4はセット高さ位置にとどまる。この昇降方法は、機械的にシリンダーやクランク機構、ボールネジ等を用いて、トレー4を昇降することも可能である。
3.上型3による賦形工程
次に上型3の分割型3aの中央部3eの取手3dを手で持ち上げ、位置が分かるようにマーキングされたトレー4上の積層シート5に接地し、中央の分割上型3eを下方向へ荷重を加えながら下型2の賦形面2aに接触する位置まで押す。押圧力としては、基材シートの単位面積当たり、0.5〜10kg/cm2の範囲内となる圧力が好ましい。上型3の中央部周囲の分割型を、前記手順で順次型押しを行う。この際に、積層シート5の表面にシワ・弛み等が発生しないように、中央部から周囲に広がるように分割型で型押しを行う。
4.積層シートの加熱・冷却工程
トレー4が下型2のスリット部に収まり、下型2と上型3のクリアランスに積層シート5が型押しされた賦形状態(図2参照)で、上型3の上面に加熱エアーHAを供給するボックス6をセットして、上型3に加熱エアーHAを貫通させて積層シート5に熱を加える。エアーの加熱温度は、150〜300℃の温度範囲内となるのが好ましい。積層シート5は加熱されることで、積層間に介在する熱可塑性ポリマーの粒状物が溶けだしバインダーの役目をするため、積層面を層間接着することで形態保持ができる。積層シート5を加熱エアーで加熱完了後に、冷却エアーに切り替え積層シート5を冷やしてプリフォーム成形品の形態保持をする。
5.脱型工程
次に、ボックス6や上型3を取り除き、トレー4を用いてプリフォーム成形品5Aを下型2より脱型する。この脱型の際、プリフォーム成形品5Aの型くずれが発生しないように、慎重にトレー4を上昇させて脱型作業を行う。取り出したプリフォーム成形品5Aの不要基材部を、次工程の樹脂成形型に合うサイズに、図示を省略した装置等によりエッジをトリミングして、一連の製造工程が完了する。トリミングをしていない状態のものが図6のプリフォーム成形品5Aである。
【0038】
最後に、プリフォーム完成品5Bが脱型後に変形しないよう、プリフォーム完成品5Bの形状に合ったトレー等を準備して、次工程に備える。この状態を示したものが図7のプリフォーム完成品5Bであり、上記成形品5Aのエッジをトリミング処理し、裏面にストックトレー5aを当てることにより賦形したプリフォーム形態を固定したものである。
【0039】
以上で本発明の製造方法の全工程が終了するが、本発明の製造方法によれば、賦形工程の上型もしくは下型を分割構成しているので、賦形したい基材シートにシワや弛みの発生が少ない優れた効果を奏することができる。
【0040】
【実施例】
[実施例1]
本実施例では、図2に示す装置を用いた。すなわち主要品はベース2d上に取り付けられた下型2と、分割された上型3と、強化繊維基材の積層シート5を層間接着するための加熱エアーHAを供給するボックス6と、積層シート5を載せるトレー4である。まず、下型2として、賦形面が三次元形状を呈し、プリフォームのサイズが長さ1000mm、幅600mmのものを製造することとし、下型2の賦形面2aにはスリット状に配列した賦形プレート2eを用いた。賦形プレート2eは、一般構造用材料を用い、板厚2.3mmで一対の賦形プレート2e間の隔たりを約20mmとし、三次元形状に加工した賦形プレート2eを配置した。ベース2dには、60mm角のアルミニウム製で外寸の長さが1200mm、幅800mmのフレームに賦形プレート2eは固定され、賦形面2aを造り下型2となる。
【0041】
また、上型3は、厚さ0.8mmのアルミニウム材で、菱形形状の網状に加工されたエキスパンドメタルを型加工し、賦形面2aに対応するように6分割した。上型3を形成する分割型は、型の縁を折り曲げ強度アップし、大面積の分割型にはリブを入れ補強した。隣接する分割型にマーキングを行い、上型3の位置ズレを防止した。上型3に使用したエキスパンドメタルの菱形サイズは、長尺14mm,短尺7mmで網目状に加工後、さらに圧延加工が施され平板状となったものを使用した。また、下型2のベース2dの上面4隅に、直径φ20のガイドピン2bを垂直に取り付け、ガイドピン2bにはトレー4と積層シート5の自重を支持し、セット位置にとどめることができるコイルバネ2cを挿入した。また、下型2とトレー4の枠材とに、上型3の降下が止まればトレー4をその降下した位置で一旦固定できるよう、図示を省略した止め金具を具備した。
【0042】
また、図2に示す加熱エアーHAは、図示を省略した熱風発生装置で加熱空気の温度が任意に変更でき、最高設定温度が350℃まで設定可能な装置で、直径φ60のフレキシブルなダクトを介してボックス6に吹き込むよう接続した。
【0043】
また、図1、図2乃至図3に示す主要品の一つであるトレー4は、下型2のスリットの形状に合わせ、一般構造用材料で板厚1.2mm,幅20mmの帯状物からなる支持材4aをピッチ約50mmで等間隔に列べたものを、枠材4bの30mm角のアルミニウム製角材に取り付けた。支持材4aの複数枚にはストッパー4dを取り付け、積層シート5の耳端部が揃うようにした。
【0044】
使用した強化繊維基材は、炭素繊維(東レ株式会社製“トレカ”T700−12K)にサイジング剤が付着した幅6mmの扁平糸を用いた織物で、目付300g/m2 のものである。この基材の片面にバインダーの役目をさせるため、熱可塑性ポリマーの粒状物(東レ株式会社製,品番842−48)を図示を省略した装置により、0.8〜1.5g/m2 の目付で分散・固着した。積層シート5は、縦糸または横糸の軸方向が0および90°方向、または±45°方向の少なくとも一方の積層方向のものが含まれるように基材シートをカットしたものを積層した。 トレー4に、積み重ねた積層シート5を人手作業で運搬し、トレー4のガイド穴4cを下型2のガイドピン2bにセットする。
【0045】
次に、上型3の分割型3eを手で移動し、トレー4上にセットされた積層シート5の上に当接しながら、トレー4を押し下げていき下型2の賦形面2aに、積層シート5が接触するまで力を付与した。
【0046】
同様に、上型3の分割型3aを個々に可動させて下型2の賦形面2aに積層シート5を挟み込むように押さえた。この際、中央部から周囲に向けて分割型で押さえ込むようにすると、積層シート5が徐々に賦形面2aへ馴染むため、基材に発生するシワや弛みが抑制できた。トレー4は、積層シート5を上型3の分割型3aで型押しするたびに、トレー4の高さ位置を調節し、支持材4aは下型2の賦形プレート2eのスリット間に収納される。すべての分割押さえ型である上型3が、積層シート5を下型2の賦形面2aに挟み込んだ状態を保持する。
【0047】
次に、加熱エアーHAを供給するボックス6を上型3の上面に取り付け、図示を省略した熱風発生装置より送られてきた約300℃の加熱エアーHAを、ボックス6に約60秒間供給し、積層シート5を加熱した。積層シート5の積層間に介在する層間接着用の熱可塑性ポリマーの粒状物が熱融着した状態で、加熱エアーHAを冷却エアーに切り替え数十秒間積層シート5を冷やすと、積層シート5の層間が接着する。上型3を個々にすべて取り外し、トレー4をゆっくりと上昇させ、下型2より脱型したプリフォーム成形品5Aを取り出した。成形品は、成形型の曲げ曲面が大きい箇所にもシワや弛み等が発生することなく、全体がしっかりと形態保持され、成形型への貼り付や毛羽・変形も無く品位の高いプリフォームが得られた。
【0048】
[実施例2]
図3で上型3の全体を昇降させる低圧プレス装置(図示省略)と、分割の上型3aを個々に上下可動させるエアーシリンダー3b設置したプリフォーム製造装置を用い、その他の条件は実施例1と同様にしてプリフォーム成形を実施した。
【0049】
その結果、プリフォーム成形品の品位は実施例1と同程度の優れたもので、成形する所要時間を短縮することができた。
【0050】
[実施例3]
図5で示すヒーター3gで構成された上型3を用いて、加熱エアーHA使用しない方法とし、これ以外は実施例1と同様にしてプリフォーム成形を実施した。
【0051】
その結果、プリフォーム成形品の品位は実施例1と同程度の優れたもので、成形する所要時間も変わりなかった。
【0052】
[比較例1]
実施条件として、上型3を分割しないで一体形状として賦形した以外は、全て実施例1と同一条件とした。
【0053】
得られたプリフォーム成形品は、賦形型の曲面の曲率が大きい箇所に、積層シート5の表面の一部にシワや弛みが生じ、賦形型に馴染まないプリフォームであった。
【0054】
また、上型3を一体形状で積層シート5を押さえ込んだため、積層シート5の表層と下型2で一部基材が擦れ、毛羽や目ズレが発生した。同様に積層シート5の表層と上型3の接触箇所にも発生した。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、強化繊維基材を積層した繊維強化複合材料用プリフォームを成形する際に、曲面を呈した賦形型の下型に対応した上型を、下型の上面に配置した強化繊維基材の積層シート各部の小領域を順次上型で押しながら、強化繊維基材の積層間に層間接着するバインダー樹脂を介在させた積層シートを加熱し、積層シートを層間接着することで、強化繊維基材をプリフォーム成形するものである。
【0056】
したがって、プリフォーム成形する際には、賦形する型の形状やサイズおよび曲面にあわせて、下型と上型の構成方法を考慮し、型押しする際に発生する積層シートのシワや弛みが抑制されるように、上型もしくは下型を分割構成とすることができるので、積層シート上にシワや弛みが発生しないという優れた効果を奏することができる。
【0057】
また、積層した強化繊維基材をトレーに載せた状態で、下型と上型間に移動できるようにしたので、積層した強化繊維基材の撓みが防止でき、かつ耳端部が揃え易くなる。よって、精度の高いプリフォームが人手作業で容易に製造できるため、小ロット生産の場合には賦形型の製造コストが抑えられ、製品コストも下げることができる。さらに、大量生産の場合は、上型などの型押し機構を自動化することで、短い成形サイクルで量産できるため、低コスト化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプリフォーム製造装置の一実施態様例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るプリフォーム製造装置の一実施態様例を示す縦断面図である。
【図3】本発明に係るプリフォーム製造装置の一実施態様例を示す斜視図である。
【図4】本発明に用いる上型の一実施態様例を示す拡大斜視図である。
【図5】本発明に用いる上型の一実施態様例を示す拡大斜視図である。
【図6】本発明に係るプリフォーム製造装置により成形したプリフォームの一実施態様例を示す斜視図である。
【図7】本発明に係るプリフォーム製造装置により成形を完了したプリフォームの一実施態様例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1:プリフォーム製造装置
2:下型
2a:下型の賦形面
2b:ガイドピン
2c:コイルバネ
2d:ベース
2e:賦形プレート
3:上型
3a:分割型
3b:エアーシリンダー
3c:共通ベース
3d:上型の取手
3e:上型の分割型の中央部
3f:通気孔
3g:ヒーター
4:トレー
4a:トレーの支持材
4b:トレーの枠材
4c:トレーのガイド穴
4d:トレーのストッパー
5:積層シート
5A:プリフォーム成形品
5B:プリフォーム完成品
5a:ストックトレー
6:ボックス
HA:加熱エアー
【発明の属する技術分野】
本発明は、FRP(繊維強化プラスチック)の成形に用いるプリフォームの製造方法および製造装置に関する。詳しくは強化繊維基材を積層してなる繊維強化複合材料用のプリフォームを早いサイクルで、しかも高い精度で成形するプリフォームの製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、FRPは、ハンドレイアップ成形法による人手作業や、半硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸させた中間基材(プリプレグ)を積層し、オートクレーブ内で加圧加熱成形するなどの各種成形法により、一般産業用途に広く製造されていた。
【0003】
しかし、最近のFRPの用途は、自動車用途など、輸送機器部材などの低コスト大量生産が必要な用途が増加し、成形サイクルの短縮・自動化などの、より一層の生産性向上が望まれている。
【0004】
そのため、これまでのプリプレグを使用した成形法よりも、格段に成形サイクルが短縮できるRTM法(レジン・トランスファー・モールディング)、成形型内を真空吸引して樹脂の含浸を助けるVa−RTM法、RIM法(レジン・インジェクション・モールディング)など、樹脂が未含浸の強化繊維基材を使用してプリフォームを成形した後に樹脂を一括含浸させる成形法が盛んになってきている。
【0005】
その際の課題として、最終製品たるFRP成形部材の形状とほぼ一致するサイズのプリフォームを成形するために、成形サイクルが短かく、積層された強化繊維基材が一体化できて成形すべき形態が保持され、かつ成形金型で成形した後の成形品のバリ処理加工等が殆ど不要となる精度の高いプリフォーム化技術が要求されている。
【0006】
例えば、ガラス繊維製プリフォームの賦形方法として、特許文献1には、スクリーン状またはメッシュ状の上型、下型間に、ガラス繊維マットを型の展開図状に配置し、これに対して加熱空気を上下型およびガラス繊維マットに貫通して、同時に上型、下型を合わせ、低圧プレス後、冷却空気を貫通してプリフォームを賦形する方法が提案されている。
【0007】
しかしながら、このような方法では、上型も下型のどちらも賦形面が大きなサイズに1面化されており、賦形形状が複雑になれば、当然にプリフォーム成形するガラス繊維マットが賦形面に馴染まない状態や、マットにシワ・弛み等が発生することが予想される。また、賦形型の装置としては大がかりになるため、成形数が少ない少量生産にはコスト面でも現実的ではないという問題がある。他にもマットの位置決めが難しい点や、マットの歩留まりが悪くなる欠点があるうえ、精度の高いプリフォーム化が困難であるという問題がある。
【0008】
【特許文献1】特開平5−8313号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これら従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、積層した強化繊維基材を用いてプリフォームを成形する際に、成形部材のシワ・弛み等の不具合が少なく、少量生産にも対応した低コストタイプの賦形型で、成形サイクルを短かくする量産タイプの賦形型にも適用でき、しかも精度の高いプリフォームを製作するためのFRPのプリフォーム製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するため、以下手段を採用する。すなわち、
(1)曲面状の賦形面を有する下型に対して、該下型の前記賦形面上に層間接着できる接着材料を付与した複数枚の強化繊維基材からなる積層シートを配置し、さらにその上から前記下型の賦形面に一致する賦形面を有する上型を順次、積層シート各部の小領域に型押しすることにより、前記積層シートに所定のプリフォーム形状を賦形することを特徴とするFRPのプリフォーム製造方法。
【0011】
(2)積層シートを上下の賦形型に挟み込み、この状態で積層シートを加熱することにより各繊維基材の層間接着をすることを特徴とする前記(1)に記載のFRPのプリフォーム製造方法。
【0012】
(3)積層シートを層間接着する接着材料は、熱可塑性樹脂粉末であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のFRPのプリフォーム製造方法。
【0013】
(4)強化繊維基材は、炭素繊維織物であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のFRPのプリフォーム製造方法。
【0014】
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載のプリフォーム製造方法により賦形時のシワ・弛みの発生が抑制された強化繊維基材に、マトリックス樹脂が含浸されてなる繊維強化複合部材。
【0015】
(6)賦形面としてプリフォーム成形すべき曲面を有する下型と、下型の賦形面のうちの少なくとも一部の領域の賦形面に一致する曲面を型押し面として有する上型と、前記下型と前記上型との間に位置し、強化繊維基材の積層シートを下型の賦形面上に移載する移載手段を備えたトレーとを有するとともに、前記上型または下型の一方を他方に押圧する手段を備えたことを特徴とするFRPのプリフォーム製造装置。
【0016】
(7)さらに、上型または下型に積層シートを加熱する手段を備えたことを特徴とする前記(6)に記載のFRPのプリフォーム製造装置。
【0017】
(8)上型は、賦形面が複数個に分割された分割型であり、個々の分割型の賦形面が下型に対して個々に進退する型押し手段を備えたことを特徴とする前記(6)または(7)に記載のFRPのプリフォーム製造装置。
【0018】
(9)下型は、ベース架台上に複数枚の賦形プレートをスリット状に等間隔で配列し、賦形プレートの先端面の集合面が前記賦形面を構成していることを特徴とする前記(6)〜(8)のいずれかに記載のFRPのプリフォーム製造装置。
【0019】
(10)上下型は、いずれも全面もしくは局部的にエアーが貫通できる手段を備えたことを特徴とする前記(6)〜(9)のいずれかに記載のFRPのプリフォーム製造装置。
【0020】
(11)上型の賦形面をメッシュ状の曲面にしたことを特徴とする前記(6)〜(10)のいずれかに記載のFRPのプリフォーム製造装置。
【0021】
(12)積層シートの加熱手段は、加熱エアーを積層シートに対して、その全面または局部的に当てる手段であることを特徴とする前記(7)〜(11)のいずれかに記載のFRPのプリフォーム製造装置。
【0022】
(13)上型または下型の加熱手段は、ヒータであることを特徴とする前記(7)〜(12)のいずれかに記載のFRPのプリフォーム製造装置。
【0023】
(14)積層シートが加熱成形されたあと、さらに冷却する手段を備えたことを特徴とする前記(7)〜(13)のいずれかに記載のFRPのプリフォーム製造装置。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態をその一実施例の図面を参照して説明する。
【0025】
まず、本発明のプリフォーム製造装置の一実施態様を説明する。図1〜図7は、いずれも本発明のプリフォーム製造装置の一実施態様に係る図面であり、図1と図3はその斜視図、図2はその断面図で図1の積層シート5を下型2と上型3とで挟み込んだ状態の縦断面図である。また、図4と図5は、本発明の製造方法に用いる上型の一例を示す拡大斜視図である。また、図6と図7は、本発明に係るプリフォーム製造装置により成形したプリフォームの斜視図である。
【0026】
図1に示すように、本発明のFRPのプリフォーム製造装置1は、基本的には、曲面を呈したスリット状の複数枚の賦形プレートが連続する賦形面2aを有する下型2と、賦形面2aと対応する賦形面である凹曲面を呈した上型3と、これら上下型の間に位置し、プリフォームとして成形すべき積層シート5を載せるトレー4とから構成されている。
【0027】
下型2は、後述するトレー4の上に載置した積層シート5を、その賦形面2a上に載置するための部材であり、図に示すように賦形部外形が山形状の賦形面2aを有する賦形プレート2eが一定間隔でベース2dに複数枚固定され、これら複数の賦形面2aの集合体(以下、賦形面という。)が成形すべきプリフォームの三次元形状に一致するようになっている。また、ベース2dの四隅にはトレー4のガイド穴4cにピッタリ合うように、ガイドピン2bが設けられ、トレー4にダンパー効果がでるようにコイルバネ2cがセットされてある。
【0028】
トレー4は、積層シート5を下から支え、前述の下型2の賦形面2a上に移動させるための部材であり、矩形状の枠材4bと、積層シートを支えるため一定間隔で複数本が枠材に固定された支持材4aとで構成されている。支持材4aの配列ピッチは、下型2の賦形プレート2eの固定ピッチと一致し、枠材4bの内法寸法は賦形プレート2eの全長よりも大きくなっている。すなわち、トレー4は、図2に示すように、積層シート5を積載した状態で枠材4b間に下型の賦形プレート2eが抜き差しできるような位置関係に形成されている。また、枠材4bの四隅には前述の下型2のガイドピン2bが嵌るガイド穴4cと、積層シート5の位置決めするストッパー4dとが設けられている。なお、ストッパー4dは、積層したシートの耳端部を揃えるようにするためのものである。
【0029】
上型3は、積層シート5をトレー4に積載した状態で下型2の賦形面上に移載した後、積層シート5をその上から押圧し、積載した積層シート5に最終的にプリフォーム形状を賦形固定するためのもので、図1に示すように平面方向に複数個に分割された分割型3aからなっており、それぞれの分割型3aの下型対向面は全ての分割型3aの下型対向面の集合面が前述の下型2の賦形面2aと一致する三次元形状となっている。なお、3dは取手である。
【0030】
また、個々の分割型3aは、下型2上の賦形面に対応して独立して個々に上下動することができ、積層シート5との接触面である下型対向面には例えばパンチングメタル、アルミ製エキスパンドメタル等が用いられ、メッシュ状をしており通気性を有するようになっている。
【0031】
分割型3aの上下動手段としては、特に限定するものではなく、例えば図3に示すように個々の分割型3aの裏面にエアシリンダー3bのピストン側を固定し、シリンダ側はその上に設けた共通ベース3cに全て固定し、個々のシリンダーを図示しないコントローラにより下型2方向に上下動させる手段が挙げられる。分割型3aの通気手段としては、上記メッシュ状部材の他、図4に示すように、個々の分割型の賦形面に通気孔3fを多数設けたものでもよい。この孔は、分割型3aの全面もしくは局部的に設けることによりエアーが貫通できるものでも良い。
【0032】
さらに、個々の分割型3aには、図5に示すようにヒーター3gが内蔵され、図示しない温度コントローラにより個々に賦形面と積層シート5とが120〜150℃の温度範囲に昇温できるようになっている。これらの加熱手段としては、上記ヒータの他、図2に示すように、上型3の上部に内部が空洞のボックス6と、これに接続される蛇腹ホースを設け、図示しない空気加熱器から加熱エアーHAをボックス内に引き込み、空気加熱器のエアー温度をコントロールすることで所望温度にコントロールしても良い。また、下型2のスリット下面よりスリット間に加熱エアーHAを供給しても良く、さらに、下型や上型そのものが積層シート5を加熱することのできるヒータであってもよい。また、賦形型に加熱エアーHAを供給しながら、上下賦形型を加熱できるヒータの構成であってもよい。
【0033】
以上が本発明の製造装置の概要であるが、個々には次に述べる手段を採用しても良い。まず、上述した下型2と上型3の三次元形状の賦形面は、成形形状や作業性を考慮し、図1〜図5で説明したものとは賦形面が上下逆になっても構わない。また、賦形したい形状が例えばドーム状であったりした場合は、上型の分割型はドーム形状の一部分を複数箇所に移動させて、プリフォーム成形しても問題ない。また、上型の賦形面2aにおいては、一例としてスリット状のものを図示したが、これに限定されず例えば円筒状、矩形筒状、三角形筒状、ハニカム形筒状、あるいは扇形筒状等の形状部材を用いて賦形面を構成することも可能である。また、その材質は、取り扱い性や強度面から金属製(一般構造用圧延材、ステンレス鋼材等)が一般的であるが、賦形型の重量が重くなることからアルミニウムを使用すると軽量化ができ好ましい。賦形型の製作コストや耐久性を考慮して、木製や木製の表面に樹脂等をコーティングした賦形型でも良いが、加熱エアー等の熱(約150〜200℃)に影響を受けない耐熱性を有することが望ましい。複雑形状に対応できる樹脂材質や複合材料でも問題ない。また、部分的に樹脂やアルミ、金属と組み合わせて使用しても良い。
【0034】
また、図5の上型3は、複数個の分割型の昇温手段をヒーター3gで構成したが、プレートヒーターやアルミ鋳込みヒーター、シリコンラバーヒーター等で構成してもよい。図2では、加熱エアーHAを賦形型に供給することで、積層シート5の積層間に介在するバインダー樹脂を溶かし、層間接着する方法を取っているが、図5のように賦形型自体がヒーター3gとなる加熱方法でも問題はない。要するに賦形面に合った形状が保たれ、かつ、必要な熱容量が積層シート5に伝えることができれば良い。
【0035】
次に、上記図面を用いて本発明の製造方法を工程順に説明する。
1.積層シート5の準備工程
まず、樹脂が未含浸のガラス繊維や炭素繊維などからなる図1の強化繊維基材シート5(積層シート)を、プリフォーム成形する型サイズより大きく裁断し、基材シートの裁断周囲は、あらかじめ解れ止め処理を施す。解れ止め処理は、シートの取り扱い性を良くし、強化繊維基材シートの傷みを防止するうえ、位置決めの精度も向上する。強化繊維基材シートの片面または両面に、バインダーの役目をする熱可塑性ポリマーの粒状物を、図示を省略した装置により分散・固着し、所望のプリフォームが製造できるための強化繊維基材シートを準備する。
【0036】
なお、上記熱可塑性ポリマーの粒状物は、積層シート5を層間接着するためのバインダーであり、これを加熱することにより、複数の基材シートの層間が接着できることで一体化でき、プリフォームの形態保持ができるという効果がある。このためコスト面や成形後剥離強度等の点からも、熱可塑性ポリマーの粒状物はできる限り低密度で均一分散されて付着されているのが好ましい。このような材質のものとしては、ナイロン、共重合ナイロン、塩化ビニエリデン、塩化ビニル、ポリエステル、ポリウレタンなどが挙げられ、中でもマトリックス樹脂として一般的な熱硬化性樹脂との接着性の点で、共重合ナイロンが好適であり、具体的にナイロン6、ナイロン66、および610などが好ましい。
【0037】
強化繊維基材の積層シート5に用いられる強化繊維としては、高強度、高弾性率繊維が望ましく、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ポリアミド繊維などが使用できるが、その他の材料であっても、性能面で良好な材料であれば使用可能である。
2.積層シート5の載置およびトレー4による移載工程
次に所定サイズに裁断した強化繊維基材シートを必要枚数積層し、図1に示す積層シート5のように、トレー4の支持材4a上の定位置にセットする。トレー4のガイド穴4cを下型2のガイドピン2bへ嵌め込み、下型2のスリット状の賦形面2a上に積層シート5が若干接しながら載るように、静かにトレー4を降下させる。この際、ガイドピン2bにはコイルバネ2cがセットされてあるので、ダンパー効果とトレー4はセット高さ位置にとどまる。この昇降方法は、機械的にシリンダーやクランク機構、ボールネジ等を用いて、トレー4を昇降することも可能である。
3.上型3による賦形工程
次に上型3の分割型3aの中央部3eの取手3dを手で持ち上げ、位置が分かるようにマーキングされたトレー4上の積層シート5に接地し、中央の分割上型3eを下方向へ荷重を加えながら下型2の賦形面2aに接触する位置まで押す。押圧力としては、基材シートの単位面積当たり、0.5〜10kg/cm2の範囲内となる圧力が好ましい。上型3の中央部周囲の分割型を、前記手順で順次型押しを行う。この際に、積層シート5の表面にシワ・弛み等が発生しないように、中央部から周囲に広がるように分割型で型押しを行う。
4.積層シートの加熱・冷却工程
トレー4が下型2のスリット部に収まり、下型2と上型3のクリアランスに積層シート5が型押しされた賦形状態(図2参照)で、上型3の上面に加熱エアーHAを供給するボックス6をセットして、上型3に加熱エアーHAを貫通させて積層シート5に熱を加える。エアーの加熱温度は、150〜300℃の温度範囲内となるのが好ましい。積層シート5は加熱されることで、積層間に介在する熱可塑性ポリマーの粒状物が溶けだしバインダーの役目をするため、積層面を層間接着することで形態保持ができる。積層シート5を加熱エアーで加熱完了後に、冷却エアーに切り替え積層シート5を冷やしてプリフォーム成形品の形態保持をする。
5.脱型工程
次に、ボックス6や上型3を取り除き、トレー4を用いてプリフォーム成形品5Aを下型2より脱型する。この脱型の際、プリフォーム成形品5Aの型くずれが発生しないように、慎重にトレー4を上昇させて脱型作業を行う。取り出したプリフォーム成形品5Aの不要基材部を、次工程の樹脂成形型に合うサイズに、図示を省略した装置等によりエッジをトリミングして、一連の製造工程が完了する。トリミングをしていない状態のものが図6のプリフォーム成形品5Aである。
【0038】
最後に、プリフォーム完成品5Bが脱型後に変形しないよう、プリフォーム完成品5Bの形状に合ったトレー等を準備して、次工程に備える。この状態を示したものが図7のプリフォーム完成品5Bであり、上記成形品5Aのエッジをトリミング処理し、裏面にストックトレー5aを当てることにより賦形したプリフォーム形態を固定したものである。
【0039】
以上で本発明の製造方法の全工程が終了するが、本発明の製造方法によれば、賦形工程の上型もしくは下型を分割構成しているので、賦形したい基材シートにシワや弛みの発生が少ない優れた効果を奏することができる。
【0040】
【実施例】
[実施例1]
本実施例では、図2に示す装置を用いた。すなわち主要品はベース2d上に取り付けられた下型2と、分割された上型3と、強化繊維基材の積層シート5を層間接着するための加熱エアーHAを供給するボックス6と、積層シート5を載せるトレー4である。まず、下型2として、賦形面が三次元形状を呈し、プリフォームのサイズが長さ1000mm、幅600mmのものを製造することとし、下型2の賦形面2aにはスリット状に配列した賦形プレート2eを用いた。賦形プレート2eは、一般構造用材料を用い、板厚2.3mmで一対の賦形プレート2e間の隔たりを約20mmとし、三次元形状に加工した賦形プレート2eを配置した。ベース2dには、60mm角のアルミニウム製で外寸の長さが1200mm、幅800mmのフレームに賦形プレート2eは固定され、賦形面2aを造り下型2となる。
【0041】
また、上型3は、厚さ0.8mmのアルミニウム材で、菱形形状の網状に加工されたエキスパンドメタルを型加工し、賦形面2aに対応するように6分割した。上型3を形成する分割型は、型の縁を折り曲げ強度アップし、大面積の分割型にはリブを入れ補強した。隣接する分割型にマーキングを行い、上型3の位置ズレを防止した。上型3に使用したエキスパンドメタルの菱形サイズは、長尺14mm,短尺7mmで網目状に加工後、さらに圧延加工が施され平板状となったものを使用した。また、下型2のベース2dの上面4隅に、直径φ20のガイドピン2bを垂直に取り付け、ガイドピン2bにはトレー4と積層シート5の自重を支持し、セット位置にとどめることができるコイルバネ2cを挿入した。また、下型2とトレー4の枠材とに、上型3の降下が止まればトレー4をその降下した位置で一旦固定できるよう、図示を省略した止め金具を具備した。
【0042】
また、図2に示す加熱エアーHAは、図示を省略した熱風発生装置で加熱空気の温度が任意に変更でき、最高設定温度が350℃まで設定可能な装置で、直径φ60のフレキシブルなダクトを介してボックス6に吹き込むよう接続した。
【0043】
また、図1、図2乃至図3に示す主要品の一つであるトレー4は、下型2のスリットの形状に合わせ、一般構造用材料で板厚1.2mm,幅20mmの帯状物からなる支持材4aをピッチ約50mmで等間隔に列べたものを、枠材4bの30mm角のアルミニウム製角材に取り付けた。支持材4aの複数枚にはストッパー4dを取り付け、積層シート5の耳端部が揃うようにした。
【0044】
使用した強化繊維基材は、炭素繊維(東レ株式会社製“トレカ”T700−12K)にサイジング剤が付着した幅6mmの扁平糸を用いた織物で、目付300g/m2 のものである。この基材の片面にバインダーの役目をさせるため、熱可塑性ポリマーの粒状物(東レ株式会社製,品番842−48)を図示を省略した装置により、0.8〜1.5g/m2 の目付で分散・固着した。積層シート5は、縦糸または横糸の軸方向が0および90°方向、または±45°方向の少なくとも一方の積層方向のものが含まれるように基材シートをカットしたものを積層した。 トレー4に、積み重ねた積層シート5を人手作業で運搬し、トレー4のガイド穴4cを下型2のガイドピン2bにセットする。
【0045】
次に、上型3の分割型3eを手で移動し、トレー4上にセットされた積層シート5の上に当接しながら、トレー4を押し下げていき下型2の賦形面2aに、積層シート5が接触するまで力を付与した。
【0046】
同様に、上型3の分割型3aを個々に可動させて下型2の賦形面2aに積層シート5を挟み込むように押さえた。この際、中央部から周囲に向けて分割型で押さえ込むようにすると、積層シート5が徐々に賦形面2aへ馴染むため、基材に発生するシワや弛みが抑制できた。トレー4は、積層シート5を上型3の分割型3aで型押しするたびに、トレー4の高さ位置を調節し、支持材4aは下型2の賦形プレート2eのスリット間に収納される。すべての分割押さえ型である上型3が、積層シート5を下型2の賦形面2aに挟み込んだ状態を保持する。
【0047】
次に、加熱エアーHAを供給するボックス6を上型3の上面に取り付け、図示を省略した熱風発生装置より送られてきた約300℃の加熱エアーHAを、ボックス6に約60秒間供給し、積層シート5を加熱した。積層シート5の積層間に介在する層間接着用の熱可塑性ポリマーの粒状物が熱融着した状態で、加熱エアーHAを冷却エアーに切り替え数十秒間積層シート5を冷やすと、積層シート5の層間が接着する。上型3を個々にすべて取り外し、トレー4をゆっくりと上昇させ、下型2より脱型したプリフォーム成形品5Aを取り出した。成形品は、成形型の曲げ曲面が大きい箇所にもシワや弛み等が発生することなく、全体がしっかりと形態保持され、成形型への貼り付や毛羽・変形も無く品位の高いプリフォームが得られた。
【0048】
[実施例2]
図3で上型3の全体を昇降させる低圧プレス装置(図示省略)と、分割の上型3aを個々に上下可動させるエアーシリンダー3b設置したプリフォーム製造装置を用い、その他の条件は実施例1と同様にしてプリフォーム成形を実施した。
【0049】
その結果、プリフォーム成形品の品位は実施例1と同程度の優れたもので、成形する所要時間を短縮することができた。
【0050】
[実施例3]
図5で示すヒーター3gで構成された上型3を用いて、加熱エアーHA使用しない方法とし、これ以外は実施例1と同様にしてプリフォーム成形を実施した。
【0051】
その結果、プリフォーム成形品の品位は実施例1と同程度の優れたもので、成形する所要時間も変わりなかった。
【0052】
[比較例1]
実施条件として、上型3を分割しないで一体形状として賦形した以外は、全て実施例1と同一条件とした。
【0053】
得られたプリフォーム成形品は、賦形型の曲面の曲率が大きい箇所に、積層シート5の表面の一部にシワや弛みが生じ、賦形型に馴染まないプリフォームであった。
【0054】
また、上型3を一体形状で積層シート5を押さえ込んだため、積層シート5の表層と下型2で一部基材が擦れ、毛羽や目ズレが発生した。同様に積層シート5の表層と上型3の接触箇所にも発生した。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、強化繊維基材を積層した繊維強化複合材料用プリフォームを成形する際に、曲面を呈した賦形型の下型に対応した上型を、下型の上面に配置した強化繊維基材の積層シート各部の小領域を順次上型で押しながら、強化繊維基材の積層間に層間接着するバインダー樹脂を介在させた積層シートを加熱し、積層シートを層間接着することで、強化繊維基材をプリフォーム成形するものである。
【0056】
したがって、プリフォーム成形する際には、賦形する型の形状やサイズおよび曲面にあわせて、下型と上型の構成方法を考慮し、型押しする際に発生する積層シートのシワや弛みが抑制されるように、上型もしくは下型を分割構成とすることができるので、積層シート上にシワや弛みが発生しないという優れた効果を奏することができる。
【0057】
また、積層した強化繊維基材をトレーに載せた状態で、下型と上型間に移動できるようにしたので、積層した強化繊維基材の撓みが防止でき、かつ耳端部が揃え易くなる。よって、精度の高いプリフォームが人手作業で容易に製造できるため、小ロット生産の場合には賦形型の製造コストが抑えられ、製品コストも下げることができる。さらに、大量生産の場合は、上型などの型押し機構を自動化することで、短い成形サイクルで量産できるため、低コスト化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプリフォーム製造装置の一実施態様例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るプリフォーム製造装置の一実施態様例を示す縦断面図である。
【図3】本発明に係るプリフォーム製造装置の一実施態様例を示す斜視図である。
【図4】本発明に用いる上型の一実施態様例を示す拡大斜視図である。
【図5】本発明に用いる上型の一実施態様例を示す拡大斜視図である。
【図6】本発明に係るプリフォーム製造装置により成形したプリフォームの一実施態様例を示す斜視図である。
【図7】本発明に係るプリフォーム製造装置により成形を完了したプリフォームの一実施態様例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1:プリフォーム製造装置
2:下型
2a:下型の賦形面
2b:ガイドピン
2c:コイルバネ
2d:ベース
2e:賦形プレート
3:上型
3a:分割型
3b:エアーシリンダー
3c:共通ベース
3d:上型の取手
3e:上型の分割型の中央部
3f:通気孔
3g:ヒーター
4:トレー
4a:トレーの支持材
4b:トレーの枠材
4c:トレーのガイド穴
4d:トレーのストッパー
5:積層シート
5A:プリフォーム成形品
5B:プリフォーム完成品
5a:ストックトレー
6:ボックス
HA:加熱エアー
Claims (14)
- 曲面状の賦形面を有する下型に対して、該下型の前記賦形面上に層間接着できる接着材料を付与した複数枚の強化繊維基材からなる積層シートを配置し、さらにその上から前記下型の賦形面に一致する賦形面を有する上型を順次、積層シート各部の小領域に型押しすることにより、前記積層シートに所定のプリフォーム形状を賦形することを特徴とするFRPのプリフォーム製造方法。
- 積層シートを上下の賦形型に挟み込み、この状態で積層シートを加熱することにより、各繊維基材間の層間接着をすることを特徴とする請求項1に記載のFRPのプリフォーム製造方法。
- 積層シートを層間接着する接着材料は、熱可塑性樹脂粉末であることを特徴とする請求項1または2に記載のFRPのプリフォーム製造方法。
- 強化繊維基材は、炭素繊維織物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のFRPのプリフォーム製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のプリフォーム製造方法により賦形時のシワ・弛みの発生が抑制された強化繊維基材に、マトリックス樹脂が含浸されてなる繊維強化複合部材。
- 賦形面としてプリフォーム成形すべき曲面を有する下型と、下型の賦形面のうちの少なくとも一部の領域の賦形面に一致する曲面を型押し面として有する上型と、前記下型と前記上型との間に位置し、強化繊維基材の積層シートを下型の賦形面上に移載する移載手段を備えたトレーとを有するとともに、前記上型または下型の一方を他方に押圧する手段を備えたことを特徴とするFRPのプリフォーム製造装置。
- さらに、上型または下型に積層シートを加熱する手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載のFRPのプリフォーム製造装置。
- 上型は、賦形面が複数個に分割された分割型であり、個々の分割型の賦形面が下型に対して個々に進退する型押し手段を備えたことを特徴とする請求項6または7に記載のFRPのプリフォーム製造装置。
- 下型は、ベース架台上に複数枚の賦形プレートをスリット状に等間隔で配列し、賦形プレートの先端面の集合面が前記賦形面を構成していることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のFRPのプリフォーム製造装置。
- 上下型は、いずれも全面もしくは局部的にエアーが貫通できる手段を備えたことを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載のFRPのプリフォーム製造装置。
- 上型の賦形面をメッシュ状の曲面にしたことを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載のFRPのプリフォーム製造装置。
- 積層シートの加熱手段は、加熱エアーを積層シートに対して、その全面または局部的に当てる手段であることを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載のFRPのプリフォーム製造装置。
- 上型または下型の加熱手段は、ヒータであることを特徴とする請求項7〜12のいずれかに記載のFRPのプリフォーム製造装置。
- 積層シートが加熱成形されたあと、さらに冷却する手段を備えたことを特徴とする請求項7〜13のいずれかに記載のFRPのプリフォーム製造装置。
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