JP2004322427A - スクリーン印刷方法とスクリーン印刷装置 - Google Patents

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Jun Shirai
純 白井
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敏明 山内
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Abstract

【課題】高密度実装の場合であっても、確実に吸着ブロックでプリント配線基板を矯正保持でき、版離れの際のスクリーンの上下振動を低減できるスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【解決手段】プリント配線基板2を搬送部24a,24bで支持して印刷位置に搬入し、到着したワークを前記搬送部から持ち上げて前記搬送部を退避させ、プリント配線基板2の下面で前記搬送部で支持されていた部分を含んで吸着ブロック4が従来よりも幅広W2で吸着して矯正保持し、この矯正保持された状態のプリント配線基板2に半田ペーストをスクリーン印刷する。また、プリント配線基板2をスクリーンの版面部分から離間させる時(b)にはスクリーン6を吸着保持しながら離間させる。
【選択図】 図13

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半田ペーストまたは導電性ペーストまたは接着剤などの粘性体を、プリント配線基板に印刷するスクリーン印刷方法の中でも、前記プリント配線基板(ワーク)の搬送方向両側を搬送面で支持して印刷位置に搬入し、印刷するスクリーン印刷方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の小型化に伴って、それに使用される電気回路はプリント配線基板に電気部品を表面実装して構築されている。
【0003】
その実装工程は、プリント配線基板の部品実装位置に半田ペーストを印刷し、次に電気部品を実装位置に配置し、このプリント配線板の全体に熱風を吹き付けて前記半田ペーストを溶かして半田付けする熱風リフロー方法が一般的である。
【0004】
図15(a)〜(c)と図16は従来のスクリーン印刷方法を示す。
ここでのワークは片面への電子部品1の実装が終わったプリント配線基板2であって、半田ペーストをプリント配線基板2の上面へスクリーン印刷する場合には、印刷位置へのプリント配線基板の搬送方向をX方向とした場合には、図15(a)に示すように搬送方向両側を一対のベルトコンベアの搬送面3a,3bで支持して印刷位置に搬入する。
【0005】
前記印刷位置Aには図15(b)に示すように吸着機能を備えた吸着ブロック4が待機しており、この吸着ブロック4が図15(c)に示すように上昇移動されて、スクリーン枠5に周囲が支持されたスクリーン6の版面部分に、吸着ブロック4によって矯正保持された前記プリント配線基板2の上面を当接させる。吸着ブロック4の上面には片面実装されたプリント配線基板2の部品配置に応じて凹部50が形成されている。
【0006】
この状態で前記スクリーン6の上をスキージー装置7で擦って、半田ペースト8をプリント配線基板2に印刷している。
図17はプリント配線基板2を示しており、輪郭の内側に沿って形成された長孔9は、電子部品の実装完了後に内側の製品部分を輪郭部(一般に、ミミ部と呼ばれている)から破断して分離しやすいように、製品部分10とを輪郭部11とをつなぐ複数の細い連結部12を形成するために形成されている。
【0007】
この図17においてエリア13a,13bが図15に示した搬送面3a,3bで支持されている部分であって、吸着ブロック4の最大幅はW1である。
このように、印刷を受ける際のプリント配線基板2は、吸着ブロック4に吸着させて係止するとともに矯正保持してその平面性を維持している。
【0008】
なお、プリント配線基板の輪郭部を支持する点については、下記の(非特許文献1)などに記載されている。
【0009】
【非特許文献1】
「実装プロセス便覧1998年」 社団法人日本ロボット工業会発行
(第60頁〜第62頁の基板サポート機構の項を参照)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
吸着ブロック4がプリント配線基板2を吸着するポイントは、下面に実装された電気部品1を避けてその他のスペース14a,14b,14cに限られているが、最近では高密度実装が更に進んでおり、製品部分10に残された吸着が可能なポイントが著しく減少しているのが現状である。
【0011】
このため、片面に部品を実装済みのプリント配線基板の場合には、その熱履歴のために図15(a)に仮想線で示すように反りが発生している場合が多く、このような場合には、製品部分10に残された前記吸着ポイントが少ない場合には、吸着ブロック4による前記矯正保持の効果を期待できない。
【0012】
また、吸着ブロック4による前記矯正保持の効果が得られた場合であっても、印刷後に吸着ブロック4を降下させて前記スクリーン6からプリント配線基板2を離間させる際(版離れ時)に、スクリーン6とプリント配線基板1の上面との張り付き力が大きくて版離れが悪い場合には、図16に示すようにスクリーン6が下方に引っ張られながら次第にプリント配線基板2から離れていくことになって、最後の部分がプリント配線基板2から離れたタイミングには、スクリーン6が上下に振動して、印刷結果に滲みや抜け不良が発生する。
【0013】
本発明は、高密度実装の場合であっても従来よりも確実に吸着ブロックでプリント配線基板を矯正保持することができるスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【0014】
また、版離れの際のスクリーンの上下振動を著しく低減して良好な印刷結果を実現できるスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明のスクリーン印刷方法は、従来ではプリント配線基板を搬送するベルトコンベアの搬送面が位置していた前記ミミ部をも吸着ブロックの吸着ポイントとして使用できるようにする工程を実行することによって、吸着ブロックによる矯正保持の効果の性能向上を実現している。
【0016】
また、スクリーンを吸着する支持テーブルや印刷位置のプリント配線基板の前後に吸着ユニットを設けることによって、版離れ時のスクリーンの上下振動の改善を達成している。
【0017】
本発明の請求項1記載のスクリーン印刷方法は、ワークを搬送部で支持して印刷位置に搬入し、前記ワークの上面に粘性体をスクリーン印刷するに際し、前記印刷位置に到着したワークを前記搬送部から離して前記搬送部を退避させ、前記ワークの下面で前記搬送部で支持されていた部分を含んで吸着ブロックで前記ワークを吸着することで矯正保持し、前記矯正保持された状態の前記ワークに前記粘性体をスクリーン印刷することを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項2記載のスクリーン印刷方法は、請求項1において、前記吸着ブロックで矯正保持された前記ワークに粘性体をスクリーン印刷する場合に、前記スクリーンの版面部分に、吸着ブロックで矯正保持された前記ワークの上面を当接させ、さらに、前記ワークの側に前記吸着ブロックに隣接して配設した吸着装置で前記スクリーンを吸着してスクリーンの版面部分を前記ワークの上面に密着させ、スクリーン印刷の後に前記ワークをスクリーンの版面部分から離間させることを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項3記載のスクリーン印刷方法は、請求項2において、粘性体をスクリーン印刷した後に前記ワークをスクリーンの版面部分から離間させるときには、前記吸着装置で前記スクリーンを吸着した状態で前記吸着装置に対して前記ワークをスクリーンの版面部分から離間する方向に移動させることを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項4記載のスクリーン印刷方法は、請求項1において、前記吸着ブロックで矯正保持された前記ワークに粘性体をスクリーン印刷する場合に、スクリーン枠に周囲が支持されたスクリーンの版面部分に、吸着ブロックで矯正保持された前記ワークの上面を当接させ、スクリーンの版に前記粘性体を充填した後に前記ワークをスクリーンの版面部分から離間させるときには、前記ワークの側に配設した吸着装置で前記スクリーンを吸着した状態で前記吸着装置に対して前記ワークをスクリーンの版面部分から離間する方向に移動させることを特徴とする。
【0021】
本発明の請求項5記載のスクリーン印刷装置は、ワークを搬送部で支持して印刷位置に搬入する搬送部と、前記印刷位置に到着したワークを前記搬送部から離して前記搬送部を退避させる搬送装置退避手段と、前記ワークの下面を吸着する吸着部の大きさが前記搬送部で支持されていた部分を含んで吸着する吸着ブロックと、前記吸着ブロックで吸着して矯正保持された状態の前記ワークの上方に位置しスクリーンの周囲を支持されたスクリーン装置と、前記スクリーンの版に前記粘性体を充填するスキージー装置とを設けたことを特徴とする。
【0022】
本発明の請求項6記載のスクリーン印刷装置は、請求項5において、前記ワークが前記スクリーンの版面部分に当接する位置には、前記ワークの両側に近接して支持テーブルを設けたことを特徴とする。
【0023】
本発明の請求項7記載のスクリーン印刷装置は、請求項5において、前記ワークが前記スクリーンの版面部分に当接する位置には、前記ワークの両側に近接して支持テーブルを設け、かつ前記支持テーブルが前記スクリーンを、前記スキージー装置のスキージーがスクリーンの版に前記粘性体を充填する印刷期間と前記ワークをスクリーンの版面部分から離間させる離間期間の少なくとも一方の区間に吸着保持するように構成したことを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項8記載のスクリーン印刷装置は、請求項5〜請求項7の何れかにおいて、前記印刷位置における前記ワークの搬送方向の前後には、前記スクリーンを吸着保持する吸着ユニットを設け、前記粘性体を充填する印刷期間と前記ワークをスクリーンの版面部分から離間させる離間期間の少なくとも一方の区間に吸着保持するように構成したことを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のスクリーン印刷方法を具体的な実施の形態に基づいて説明する。
【0026】
図1と図2に示すように、印刷位置Aに配設されたスクリーン装置20は、スクリーン枠5によって周囲が支持されたスクリーン6の中央に目的の印刷パターンに応じて版が形成されている。ワークであるプリント配線基板2の搬入に際しては、Zテーブル22がスクリーン装置20の下方位置に待機している。
【0027】
プリント配線基板2の搬入搬出方向をX軸方向とした場合に、前記Zテーブル22は、スクリーン装置20の下方位置と前記X軸方向とは直行するY軸方向に移動した姿勢制御位置Bとに亘って往復移動できるように構成されている。姿勢制御位置Bには反り矯正板23が配設されている。
【0028】
Zテーブル22は、上下方向(Z軸方向)に移動できるZ軸テーブルの上に、X軸方向に移動できるX軸テーブル,Y軸方向に移動できるY軸テーブル,同一面内で回転する方向(θ方向)に移動できるθ軸テーブルとが順に積み重ねて取り付けて構成されており、最上段には図3に示すように左右一対のベルトコンベア24a,24bなどが配置されている。
【0029】
このベルトコンベア24a,24bは、搬入されたプリント配線基板2を印刷位置まで搬送し、印刷済みのプリント配線基板2を搬出し、次のプリント配線基板2を印刷位置に搬送する。
【0030】
ベルトコンベア24aは、前記Zテーブル22に固定された第1の支持テーブル25aに対して図4に示す突出位置と図10に示す後退位置とに移動可能に組み込まれており、図4に示す突出位置に付勢されている。
【0031】
ベルトコンベア24bは、取り扱うワークの幅に応じて前記第1の支持テーブル25aとの間隔を設定変更できるように、Zテーブル22に対してパルスモータ(図示せず)によってY軸方向に駆動できる第2の支持テーブル25bに組み込まれている。また、この第2の支持テーブル25bには、シリンダ装置26によって第1の支持テーブル25aの方向に出退できる規制レール27が組み付けられている。
【0032】
第1,第2の支持テーブル25a,25bには、前記ベルトコンベア24a,24bによって印刷位置に到達したプリント配線基板2を、搬送面から持ち上げるとともにベルトコンベア24aを付勢に抗して後退位置へ付勢するための搬送装置後退手段28(図3を参照)が設けられている。
【0033】
第1の支持テーブル25aに設けられた搬送装置後退手段28は、印刷位置に到達したプリント配線基板2の下手側に位置する第1の位置決めユニット29aと、上手側に位置する第2の位置決めユニット29bとからなっており、第1の位置決めユニット29aには、ベルトコンベア24aの搬送面よりも上方へ突出できるストッパー30aと、プリント配線基板2に穿設された位置決め孔31aに先端を挿入して昇降自在の基準ピン32aと、ベルトコンベア24aを付勢に抗して後退位置へ付勢するシリンダ33aとが組み付けられている。第2の位置決めユニット29bには、ベルトコンベア24a,24bの搬送面よりも上方へ突出できるストッパー30bと、プリント配線基板2に穿設された位置決め孔31bに先端を挿入して昇降自在の昇降自在の基準ピン32bと、ベルトコンベア24aを付勢に抗して後退位置へ付勢するシリンダ33bとが組み付けられている。
【0034】
第2の支持テーブル25bに設けられた搬送装置後退手段28は、図4と図5,図6に示すように、前記搬送方向(X軸方向)に所定間隔で配置された複数のレバー34a,34b,34c,34dなどで構成されている。複数のレバー34a〜34dは、図4に示す水平姿勢と図6に示すように先端が前記搬送面から上方に位置する起立姿勢とに回動自在に枢支されおり、それぞれの回動軸は互いにリンク機構を介して連結されており、リンク35を矢印36方向に移動させることによって複数のレバー34a〜34dが起立状態に回動する。なお、このリンク35の移動は前記基準ピン32a,32bの昇降に同期して駆動される。
【0035】
更に、前記Zテーブル22には、第1,第2の支持テーブル25a,25bの間で昇降自在に吸着テーブル4が設けられている。この吸着テーブル4の幅W2は、従来の吸着テーブル4の幅W1よりも幅広である。
【0036】
図3と図8に示すように、吸着ブロック4の搬送方向の前後には、第1,第2の支持テーブル25a,25bと同じ高さに前記スクリーン6を吸着保持する吸着ユニット37a,37bが設けられている。ここで、吸着ブロック4と吸着ユニット37a,37bとは、Zテーブル22に設けられて一緒に昇降する。
【0037】
このように構成された各部は、マイクロコンピュータを要部とする制御装置によって、次のように運転されるよう構成されている。
図1と図2に示すようにスクリーン装置20の下方位置でプリント配線基板2の搬入を待ち受ているスクリーン印刷装置のZテーブル22は、到着センサ38がプリント配線基板2の到着を検出すると、第1の位置決めユニット29aのストッパー30aが図4に示すように前記搬送面よりも上方に突出する。ベルトコンベア24a,24bに載置されて印刷位置に到着したプリント配線基板2は第1の位置決めユニット29aのストッパー30aに当接して停止し、これを検出した制御装置は、第2の位置決めユニット29bのストッパー30bを前記搬送面よりも上方に突出させてプリント配線基板2を印刷位置で停止させる。
【0038】
続いて、制御装置はZテーブル22を図9に示すように姿勢制御位置Bに移動させ、ここでは、先ず、図6に示すように第1,第2の位置決めユニット29a,29bの位置決めピン32a,32bを上昇させて先端をプリント配線基板2の位置決め孔31a,31b(図17参照)に挿入する。同時に、ベルトコンベア24bの側の複数のレバー34a〜34dを起立状態に回動させるようにリンク35を駆動し、プリント配線基板2は図6に示すように上昇した位置決めピン32a,32bと起立状態の前記レバー34b,34cによってベルトコンベア24a,24bの搬送面から持ち上げられる。
【0039】
前記吸着ブロック4には、図5に示すように第1,第2の位置決めユニット29a,29bを逃げるための凹部39a,39bの他に、前記複数のレバー34a〜34dに対応して起立状態のこの複数のレバー34a〜34dを逃げるための凹部40a〜40dが形成されている。
【0040】
次に制御装置は、第1,第2の位置決めユニット29a,29bに組み込まれたシリンダ33a,33bを駆動して図10に示すようにベルトコンベア24aを後退位置へ付勢するとともに、吸着ブロック4の凹部40a〜40dの位置に前記レバー34a〜34dが一致するように第2の支持テーブル25bの全体をZテーブル22に対してY軸方向に移動させる。
【0041】
更に制御装置は、図11に示すように吸着ブロック4を上昇させて、吸着ブロック4の吸着面をプリント配線基板2に当接させてプリント配線基板2を基準ピン32a,32bならびにレバー34c,34dから持ち上げる。
【0042】
次のタイミングには制御装置がZテーブル22を図9と図12に示すように上昇させ、反り矯正板23と吸着ブロック4とでプリント配線基板2を挟持して反りが無くなるように矯正し、制御装置は基準ピン32a,32bを降下させた後に、第2の支持テーブル25bに取り付けられたシリンダ26を駆動して規制レール27を第1の支持テーブル25aに近づく方向に規定量だけ移動させて第1の支持テーブル25aと規制レール27とでプリント配線基板2のY軸方向の位置ずれを規制する。
【0043】
このように、反り矯正板23と吸着ブロック4とでプリント配線基板2を挟持して反りを矯正した状態では、吸着ブロック4は、プリント配線基板2の搬送中のベルトコンベア24a,24bの搬送面との当接個所である前記エリア13a,13b(図17参照)にも当接している。
【0044】
制御装置は、吸着ブロック4と真空源との接続バルブを開けて吸着ブロック4にプリント配線基板2を吸着させる。この状態では、吸着ブロック4は従来の幅W1よりも幅広のW2で当接しており、従来では吸着保持されていなかった輪郭部(一般に、ミミ部と呼ばれている)も含めて吸着ブロック4が吸着する。
【0045】
このように吸着ブロック4による吸着が完了すると、制御装置はZテーブル22を降下させて、反り矯正板23からプリント配線基板2を離間させる。
制御装置には、姿勢制御位置Bとスクリーン装置20の版の位置との位置関係が予め登録されており、次に制御装置は、上記のようにZテーブル22に保持されたプリント配線基板2を、反り矯正板23の下方位置で前後左右に移動させて、プリント配線基板2に形成されている位置決めマーク(図示せず)を、図7に示す一台または複数台のテレビカメラ41によって前記反り矯正板23に形成されている窓23a(図1参照)を介して観察し、後の工程においてスクリーン装置20の版面部分の位置に一致するように、必要に応じて前記Xテーブル,Yテーブル,θテーブルを運転する。
【0046】
このようにプリント配線基板2の保持姿勢が修正されたZテーブル22は、姿勢制御位置Bから図2の実線位置に復帰した後、図7に示すようにZ方向に上昇して、第1,第2の支持テーブル25a,25bと吸着ユニット37a,37bをスクリーン6に近づける。
【0047】
次に制御装置は、第1,第2の支持テーブル25a,25bと真空源との接続バルブ、ならびに吸着ユニット37a,37bと真空源との接続バルブを開けて、図8に示すように版の四隅のスクリーン6を第1,第2の支持テーブル25a,25bと吸着ユニット37a,37bとで吸着して版面部分をプリント配線基板2に密着させる。H1,H2は第1,第2の支持テーブル25a,25bの吸着孔、H3は吸着ユニット37a,37bの吸着孔である。
【0048】
なお、このようにスクリーン6を吸着した状態では、スクリーン6の表面をレーザー変位計(図示せず)によって、スクリーン6に伸びや弛みが発生していないかをチェックし、スクリーン6に伸びや弛みが発生していた場合にはスクリーン6の交換を報知する。このレーザー変位計による、スクリーン6に伸びや弛みのチェック工程は、印刷のたびまたは規定回数の印刷が終了後に実行するようにプログラムされている。
【0049】
制御装置は次に、スキージー装置7を図7の実線位置から仮想線位置に運転して前記スクリーン6の版に半田ペースト8を充填する。
半田ペースト8の充填が終わった状態でも、スクリーン6を第1,第2の支持テーブル25a,25bで吸着する状態は継続しており、吸着ユニット37a,37bによる吸着はオフし、制御装置は図13(a)(b)に示すように、第1,第2の支持テーブル25a,25bでスクリーン6を吸着したままの状態でZテーブル22に降下を指示して、吸着ブロック4と吸着ユニット37a,37bが降下してスクリーン6からプリント配線基板6を離間させる。
【0050】
その後は、図12,図11,図10,図6の逆の手順で吸着ブロック4、第1,第2の支持テーブル25a,25b、吸着ユニット37a,37bと真空源との間のバルブを閉じて真空吸着をオフし、吸着ブロック4がベルトコンベア24a,24bの搬送面から更に下に降下した後に、第1,第2の位置決めユニット29a,29bのシリンダ33a,33bの駆動をオフしてベルトコンベア24aを初期位置に復帰させるとともに、第2の支持テーブル25bを第1の支持テーブル25aの側に近づけて初期位置に復帰させ、基準ピン32a,32bならびにレバー34a〜34dを初期位置に復帰させて、半田ペーストの印刷済みのプリント配線基板2をベルトコンベア24a,24bに再載置する。
【0051】
この状態で、第1,第2の位置決めユニット29a,29bに組み込まれたストッパー30a,30bを搬送面よりも降下させ、ベルトコンベア24a,24bを運転してプリント配線基板2を印刷位置からX方向に搬出する。
【0052】
このように、高密度実装が進んで真空吸着が可能なポイントは減少したプリント配線基板2であっても、図6から図10に示したようにベルトコンベア24aの後退、ならびに第2の支持テーブル25bの第1の支持テーブル25aからの離間によって、搬送面に載置されていたプリント配線基板2のエリア13a,13bを含めて、吸着ブロック4の吸着可能なポイントを拡大することができ、高密度実装されたプリント配線基板2であっても矯正保持に十分な真空吸着作用を得ることができる。
【0053】
また、版離れの際には、第1,第2の支持テーブル25a,25bと吸着ユニット37a,37bとでスクリーン6を吸着したままの状態でZテーブル22を降下させるので、版離れが悪い場合であってもスクリーン6の上下振動が大幅に低減されて滲みや抜け不良が発生しにくく、良好な印刷結果が得られる。
【0054】
また、スクリーン6の上を移動したスキージー装置7が、図14の(a)に示すようにプリント配線基板2の区間を通過した直後には、第1の支持テーブル25aの上に乗り移るので、版の浮き上がりも発生しない。具体的には、図14の(b)に示すようにプリント配線基板2の区間に隣接して第1の支持テーブル25aが設けられていない従来装置の場合には、スキージー装置7がプリント配線基板2の区間を通過した直後に、このスキージー装置7がプリント配線基板2を押し下げてプリント配線基板2の浮き上がりが発生して印刷結果に滲みが発生していたが、第1の支持テーブル25aを設けたことによってプリント配線基板2の浮き上がりが無くなり、良好な印刷結果が得られる。
【0055】
上記の実施の形態では、吸着ブロック4による吸着ポイントを、エリア13a,13bの全部を含むように拡大するとして説明したが、従来の構成に比べてエリア13a,13bの一部を含んで吸着するように構成した場合であっても効果を期待できる。
【0056】
上記の実施の形態では、スクリーン6を第1,第2の支持テーブル25a,25bと吸着ユニット37a,37bとで吸着した状態で半田ペーストを充填し、版離れの際にも第1,第2の支持テーブル25a,25bがスクリーン6の吸着状態に維持されていたが、版離れが良好な場合には版離れの区間では第1,第2の支持テーブル25a,25bと吸着ユニット37a,37bによるスクリーンの吸着を解除するように構成することもできる。また、スクリーン枠5などの歪みが無くてスクリーン吸着を実施しなくてもスクリーン6のプリント配線基板2への密着性が良好な場合には、版離れの区間にだけ第1,第2の支持テーブル25a,25bでスクリーン6を吸着するように構成することもできる。
【0057】
なお、版離れの際にスクリーン6を吸着する状態は、両側を第1,第2の支持テーブル25a,25bによって吸着したが、片側だけを吸着しながら版離れさせるだけでも従来に比べて良好な結果が得られる。具体的には、スキージー装置7による印刷に際しては図7に示す実線位置と仮想線位置の間をスキージーヘッドが往復移動して印刷動作を実施するが、図7に示す実線位置から仮想線位置に向かう往路移動の場合にだけ印刷を実施するように構成した場合には、印刷方向の下手側に位置している第1の支持テーブル25aの側だけでスクリーン6を吸着するよう構成しても良好な版離れを実現できることを確認した。
【0058】
上記の実施の形態では、取り扱うプリント配線基板2の大きさに応じて第2の支持テーブル25bを第1の支持テーブル25aに対して接近離間方向に駆動できるように構成したため、印刷位置に到着したプリント配線基板2を前記搬送面から持ち上げて前記一対のベルトコンベアをワークの搬送方向両側よりも外側に移動させて最大幅W2の吸着ブロック4の昇降できる空間を確保する搬送装置退避手段は、第1の支持テーブル25aの側にだけシリンダ33a,33bを設けてベルトコンベア24aを付勢に抗して後退位置に移動させ、ベルトコンベア24bの方は第2の支持テーブル25bの全体を第1の支持テーブル25aから離間方向に移動させることによって実現でき、構成を簡略化できる。
【0059】
なお、吸着ブロック4の上面には片面実装されたプリント配線基板2の部品配置に応じて凹部50が従来と同じように形成されており、機種切り換えの際には、吸着ブロック4が機種切り換え後のプリント配線基板の部品配置に応じた位置に前記凹部50が形成されたものに交換する手作業が実施される。そこで、吸着ブロック4がプリント基板2を吸着した工程の何れかで、プリント配線基板2の平面度を、機種切換の直後にレーザー変位計でチェックすることによって、吸着ブロック4の交換ミスを検出できる。交換ミスの事例としては、
・ 部品の位置と凹部50の位置とが一致していないために凹部50の外側にプリント配線基板の側の部品が乗り上げて上方へプリント配線基板が反った状態で吸着ブロック4に吸着されている場合。
【0060】
・ 部品の位置と凹部50の位置とは一致しているが凹部50の深さが部品よりも浅くてプリント配線基板が反った状態で吸着ブロック4に吸着されている場合。
【0061】
・ 部品の位置と凹部50の位置ならびに凹部50の深さが適切であるが、プリント配線基板2の板厚が違う場合。
さらに、レーザー変位計で吸着ブロック4の交換ミスを検出する工程は、前記テレビカメラ41の横にレーザー変位計を配設して、反り矯正板23の窓23aを介して観察する。この時期としては、スクリーン装置20の版面部分の位置に一致するようにXテーブル,Yテーブル,θテーブルを運転するのに先だって実行する場合を、一例として挙げることができる。
【0062】
なお、上記の実施の形態では粘性体としての半田ペーストをプリント配線基板に印刷する場合を例に挙げて説明したが、半田ペーストに代わって導電性ペーストまたは接着剤などの粘性体を、プリント配線基板に印刷する場合にも同様に実施できる。
【0063】
【発明の効果】
以上のように本発明のスクリーン印刷方法によると、ワークを搬送部で支持して印刷位置に搬入し、前記ワークの上面に粘性体をスクリーン印刷するに際し、前記印刷位置に到着したワークを前記搬送部から離して前記搬送部を退避させ、前記ワークの下面で前記搬送部で支持されていた部分を含んで吸着ブロックで前記ワークを吸着することで矯正保持し、前記矯正保持された状態の前記ワークに前記粘性体をスクリーン印刷するので、高密度実装基板であっても従来よりも大きな真空吸着力で矯正保持することができ、良好な印刷結果を期待できる。
【0064】
また、前記吸着ブロックで矯正保持された前記ワークに粘性体をスクリーン印刷する場合に、前記スクリーンの版面部分に、吸着ブロックで矯正保持された前記ワークの上面を当接させ、さらに、前記ワークの側に前記吸着ブロックに隣接して配設した吸着装置で前記スクリーンを吸着してスクリーンの版面部分を前記ワークの上面に密着させ、スクリーン印刷の後に前記ワークをスクリーンの版面部分から離間させることによって、スクリーンとワークとの密着性がさらに向上し、良好な印刷結果を期待できる。
【0065】
また、粘性体をスクリーン印刷した後に前記ワークをスクリーンの版面部分から離間させるときには、前記吸着装置で前記スクリーンを吸着した状態で前記吸着装置に対して前記ワークをスクリーンの版面部分から離間する方向に移動させることによって、版離れ時にスクリーンが上下振動することを極力小さくすることができ、良好な印刷結果を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスクリーン印刷方法を実現する装置の要部の平面図
【図2】図1の正面図
【図3】同実施の形態のスクリーン印刷装置の要部の平面図
【図4】同実施の形態の第1,第2の支持テーブル周辺の工程図
【図5】同実施の形態の吸着ブロックとその周辺の斜視図
【図6】同実施の形態の工程図
【図7】同実施の形態の工程図
【図8】同実施の形態の要部の斜視図
【図9】同実施の形態の工程図
【図10】同実施の形態の工程図
【図11】同実施の形態の工程図
【図12】同実施の形態の工程図
【図13】同実施の形態の版離れ時の説明図
【図14】同実施の形態のプリント配線基板区間の通過直後の断面図と説明図
【図15】従来のスクリーン印刷装置の説明図
【図16】従来のスクリーン印刷装置における版離れ時の説明図
【図17】ワークとしてのプリント配線基板の平面図
【符号の説明】
1 電子部品
2 プリント配線基板(ワーク)
3a,3b ベルトコンベアの搬送面
4 吸着ブロック
5 スクリーン枠
6 スクリーン
7 スキージー装置
8 半田ペースト(粘性体)
9 長孔
10 製品部分
11 輪郭部
12 連結部
13a,13b エリア
14a,14b,14c スペース
20 スクリーン装置
22 Zテーブル
A 印刷位置
B 姿勢制御位置
23 反り矯正板
24a,24b ベルトコンベア
25a,25b 第1,第2の支持テーブル
26 シリンダ装置
28 搬送装置後退手段
29a,29b 第1,第2の位置決めユニット
30a,30b ストッパー
31a,31b 位置決め孔
32a,32b 基準ピン
33a,33b シリンダ
34a,34b,34c,34d レバー
35 リンク
37a,37b 吸着ユニット
38 到着センサ
39a,39b,40a〜40d 凹部
41 テレビカメラ

Claims (8)

  1. ワークを搬送部で支持して印刷位置に搬入し、前記ワークの上面に粘性体をスクリーン印刷するに際し、
    前記印刷位置に到着したワークを前記搬送部から離して前記搬送部を退避させ、
    前記ワークの下面で前記搬送部で支持されていた部分を含んで吸着ブロックで前記ワークを吸着することで矯正保持し、
    前記矯正保持された状態の前記ワークに前記粘性体をスクリーン印刷する
    スクリーン印刷方法。
  2. 前記吸着ブロックで矯正保持された前記ワークに粘性体をスクリーン印刷する場合に、
    前記スクリーンの版面部分に、吸着ブロックで矯正保持された前記ワークの上面を当接させ、
    さらに、前記ワークの側に前記吸着ブロックに隣接して配設した吸着装置で前記スクリーンを吸着してスクリーンの版面部分を前記ワークの上面に密着させ、
    スクリーン印刷の後に前記ワークをスクリーンの版面部分から離間させる
    請求項1記載のスクリーン印刷方法。
  3. 粘性体をスクリーン印刷した後に前記ワークをスクリーンの版面部分から離間させるときには、前記吸着装置で前記スクリーンを吸着した状態で前記吸着装置に対して前記ワークをスクリーンの版面部分から離間する方向に移動させる
    請求項2記載のスクリーン印刷方法。
  4. 前記吸着ブロックで矯正保持された前記ワークに粘性体をスクリーン印刷する場合に、
    スクリーン枠に周囲が支持されたスクリーンの版面部分に、吸着ブロックで矯正保持された前記ワークの上面を当接させ、
    スクリーンの版に前記粘性体を充填した後に前記ワークをスクリーンの版面部分から離間させるときには、前記ワークの側に配設した吸着装置で前記スクリーンを吸着した状態で前記吸着装置に対して前記ワークをスクリーンの版面部分から離間する方向に移動させる
    請求項1記載のスクリーン印刷方法。
  5. ワークを搬送部で支持して印刷位置に搬入する搬送部と、
    前記印刷位置に到着したワークを前記搬送部から離して前記搬送部を退避させる搬送装置退避手段と、
    前記ワークの下面を吸着する吸着部の大きさが前記搬送部で支持されていた部分を含んで吸着する吸着ブロックと、
    前記吸着ブロックで吸着して矯正保持された状態の前記ワークの上方に位置しスクリーンの周囲を支持されたスクリーン装置と、
    前記スクリーンの版に前記粘性体を充填するスキージー装置と
    を設けたスクリーン印刷装置。
  6. 前記ワークが前記スクリーンの版面部分に当接する位置には、前記ワークの両側に近接して支持テーブルを設けた
    請求項5記載のスクリーン印刷装置。
  7. 前記ワークが前記スクリーンの版面部分に当接する位置には、前記ワークの両側に近接して支持テーブルを設け、
    かつ前記支持テーブルが前記スクリーンを、
    前記スキージー装置のスキージーがスクリーンの版に前記粘性体を充填する印刷期間と前記ワークをスクリーンの版面部分から離間させる離間期間の少なくとも一方の区間に吸着保持するように構成した
    請求項5記載のスクリーン印刷装置。
  8. 前記印刷位置における前記ワークの搬送方向の前後には、前記スクリーンを吸着保持する吸着ユニットを設け、前記粘性体を充填する印刷期間と前記ワークをスクリーンの版面部分から離間させる離間期間の少なくとも一方の区間に吸着保持するように構成した
    請求項5〜請求項7の何れかに記載のスクリーン印刷装置。
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