JP2004322374A - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インク不吐出が原因となる白抜けを回避しながら、特定のノズルへの吐出デューティの増大が原因となる画品位の劣化やスループットの低下、記録ヘッドの低寿命化などを回避、抑制し、信頼性を向上させる。
【解決手段】記録ヘッドの吐出部の吐出不良情報を取得し、取得した吐出不良情報に基づき吐出不良な特定領域に対応する画素値のドット形成を制御し、該画素値をN(Nは2以上の整数)値に量子化する。そして、量子化された値に基づき複数の吐出部によってドットを形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】記録ヘッドの吐出部の吐出不良情報を取得し、取得した吐出不良情報に基づき吐出不良な特定領域に対応する画素値のドット形成を制御し、該画素値をN(Nは2以上の整数)値に量子化する。そして、量子化された値に基づき複数の吐出部によってドットを形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の吐出部を有する記録ヘッドを記録媒体上に走査させ、入力された画像の画素値に基づいてインクを吐出して各画素のドットを形成する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータ(PC)、複写機又はワードプロセッサなどのOA機器が広く普及しており、これらのOA機器の画像形成(記録)装置の一種として、インクジェット方式によりディジタル画像記録を行う装置が急速に発展及び普及している。特にOA機器の高機能化と共にカラー化が進んでおり、これらに伴って様々なカラーインクジェット記録装置が開発されてきている。
【0003】
一般に、インクジェット記録装置には、記録手段(プリントヘッド)、インクタンクを搭載するキャリッジ、記録紙を搬送する搬送手段及びこれらを制御する制御手段が具備されている。そして、複数の吐出口からインク液滴を吐出させるプリントヘッドを記録紙の搬送方向(副走査方向)と直行する方向(主走査方向)にシリアルスキャンさせ、一方で非記録時に記録幅に等しい量で間欠搬送するものである。更に、カラー対応のインクジェット記録装置の場合には、複数色のプリントヘッドから吐出されるインク液滴の重ね合わせによりカラー画像を形成している。
【0004】
インクジェット記録装置において、インクを吐出させる方法としては、吐出口近傍に発熱素子(電気/熱エネルギー変換体)を設け、この発熱素子に電気信号を印加することによりインクを局所的に加熱して圧力変化を起こさせてインクを吐出口から吐出させるサーマル方式、又はピエゾ素子等の電気/圧力変換手段を用いてインクに機械的圧力を付与してインクを吐出するピエゾ方式などが用いられている。一般に、前者のサーマル方式はノズルの高密度化が容易で、ヘッドを低コストで構成できる反面、発熱を利用しているためにインクやヘッドの劣化を招き易い。一方、後者のピエゾ方式は吐出制御性に優れ、インクの自由度が高く、ヘッド寿命が半永久的であるといった特徴がある。
【0005】
これらの記録方法は、記録信号に応じてインクを微少な液滴として吐出口から記録媒体上に吐出することにより文字や図形などの記録を行うものであり、ノンインパクトであるため騒音が少ないこと、ランニングコストが低いこと、装置が小型化し易いこと、カラー化が容易であることなどの利点を有していることから、コンピュータやワードプロセッサ等と併用され、或いは単独で使用される複写機、プリンタ、ファクシミリ等の記録装置における画像形成(記録)手段として広く用いられている。
【0006】
図26及び図27は、インクジェット記録装置のコントローラ部及びエンジン部の概略構成を示すブロック図である。
【0007】
まず、コントローラ部の機能及び概略動作について説明する。図26において、CPU2601はUSBインタフェース2604或いはIEEE1394インタフェース2605を介してホストPC2606(2607)に接続されており、制御プログラムを格納したROM2609や更新可能な制御プログラムや処理プログラムや各種定数データなどを格納したEEPROM2610、及びホストPC2606から受信したコマンド信号や画像情報を格納するためのRAM2608にアクセスし、これらのメモリに格納された情報に基づいて記録動作を制御する。操作パネル2612のキーから入力される指示情報は操作パネルインタフェース2611を介してCPU2601に伝達され、またCPU2601からの命令により同様に操作パネルインタフェース2611を介して操作パネル2612のLED点灯やLCD表示が制御される。拡張インタフェース2615はLANコントローラやHDDなどの拡張カードを接続することにより機能拡張を行うためのインタフェースである。画像情報は画像データ処理部2613で各インク色のドットデータに変換され、エンジン部へ出力される。またコントローラ部とエンジン部との間の各種コマンドやステータス情報の送受信は同様に画像データ処理部2613を介して行われる。
【0008】
次に、エンジン部の機能及び動作概要について説明する。図27において、エンジン部はバンドメモリ制御部2712を介してコントローラ部と接続されている。CPU2701は制御プログラムを格納したROM2703や更新可能な制御プログラムや処理プログラムや各種定数データなどを格納したEEPROM2704、及びコントローラ部から受信したコマンド信号や画像情報を格納するためのRAM2702にアクセスし、これらのメモリに格納された情報に基づいて記録動作を制御する。出力ポート2705及びキャリッジモータ制御回路2707を介してキャリッジモータ2709を動作させることによりキャリッジ2711を移動させ、また出力ポート2705及び紙搬送モータ制御回路2706を介して紙搬送モータ2708を動作させることにより搬送ローラなどの紙搬送機構2710を動作させる。更に、CPU2701はRAM2702に格納されている各種情報に基づきバンドメモリ制御部2712やプリントヘッド制御部2714を制御してプリントヘッド2715を駆動することにより記録媒体上に所望の画像を記録することができる。
【0009】
また、不図示の電源回路からはCPUや各種制御回路を動作させるためのロジック駆動電圧Vcc(例えば3.3V)、各種モータ駆動電圧Vm(例えば24V)、プリントヘッドを駆動させるためのヒート電圧Vh(例えば12V)等が出力される。
【0010】
従来のインクジェット記録方法において、インクのにじみのない高発色カラー画像を得るためにはインク吸収層を有する専用コート紙を使用する必要があったが、近年はインクの改良等によりプリンタや複写機等で大量に使用される普通紙への印字適性を持たせた方法も実用化されている。更には、OHPシートや布、プラスチック、シート等の様々な記録媒体への対応が望まれており、このような要求に応えるため、インクの吸収特性が異なる記録媒体(記録メディア)を必要に応じて選択した際に記録媒体の種類に係わりなく最良の記録が可能な記録装置の開発及び製品化が進められている。また、記録媒体の大きさについても、宣伝広告用のポスタや衣類等の織布では大きいサイズのものが要求されてきている。このようなインクジェット記録装置は、優れた記録手段として幅広い分野で需要が高まっており、より一層高品位な画像の提供が求められ、また更なる高速化への要求も一段と高まっていると言える。
【0011】
一般に、カラーインクジェット記録方法はシアン(Cy),マゼンタ(Mg),イエロー(Ye)の3色のカラーインクを使用し、更にはブラック(Bk)を加えた4色のインクを使用してカラー記録を実現する。このようなカラーインクジェット記録装置においては、キャラクタのみ印字するモノクロインクジェット記録装置と異なり、カラーイメージ画像を記録するに当たり、発色性や階調性、一様性など、様々な要素が必要となる。
【0012】
また、インクジェット記録装置では、更に多階調として自然画像をより高品位に形成するため、従来の(Cy),マゼンタ(Mg),イエロー(Ye),ブラック(Bk)の4色に加え、インク濃度の低いライトCy,ライトMg,ライトYeの3色を加えた7色インクを用いることにより、ハイライト部分の粒状感を軽減したものなどが多く実現されている。
【0013】
しかしながら、記録される画像の品位はプリントヘッド単体の性能に依存するところが大きい。即ち、プリントヘッドの吐出口の形状や電気/熱変換体(吐出ヒータ)のばらつきなどのプリントヘッド製作工程時に生じるノズル毎の僅かな違いがそれぞれに吐出されるインクの吐出量や吐出方向の向きに影響を及ぼし、最終的に形成される記録画像の濃度ムラとして画像品位を劣化させる原因となる。その結果として、ヘッド主走査方向に対して周期的にエリアファクタ100%を満たせない“白”の部分が存在したり、逆に必要以上にドットが重なり合ったり、或いは白筋が発生したりすることとなる。これらの現象が、通常人間の目で濃度ムラとして感知される。
【0014】
そこで、これらの濃度ムラ対策としてマルチパス記録法と呼ばれる方式が提案されている。簡単のために8ノズルからなる単一インク色ヘッドを用いた場合を例に挙げて説明する。
【0015】
まず、偶数列/奇数列パターンや千鳥/逆千鳥パターンを用いて記録データを間引くことによりパスデータを生成する固定マスク方式を採用して2パス記録を実現する場合について説明する。第1走査において千鳥パターンを記録し、記録幅の半分(4ドット幅)だけ紙送りを行った後、第2走査において逆千鳥パターンを記録することにより記録を完成する。即ち、順次4ドット単位の紙送りと、千鳥/逆千鳥パターンの記録を交互に行うことにより、4ドット単位の記録領域を1スキャン毎に完成させていく。
【0016】
次に、記録ドットと非記録ドットとが乱数的に配列されたランダムマスクパターンなどを用いて記録データを間引くことによりパスデータを生成するテーブル参照方式を採用して2パス記録を実現する場合について説明する。
【0017】
図24は、記録走査毎のマスクテーブルの一構成例を示す図である。図24に示すテーブル領域A,Bはそれぞれ第1パス,第2パスにおいて使用する相補的なマスクテーブルである。テーブルは1bit/dotで、0はマスク対象であることを示し、1は非マスク対象であることを示す。マスクテーブルA,Bはそれぞれが主走査方向12画素×副走査方向4画素に対応したサイズのテーブルであり、これを各方向に繰り返し展開してマスクデータとして使用する。プリントヘッドが備えるノズル数は8であり、2パス記録における紙搬送量に相当する画素数は8/2=4であり、これはテーブルA及びBの副走査方向サイズと一致する。
【0018】
図25は、図24で示したマスクテーブルを用いた記録走査の様子を説明するための図である。8個のノズルに対応する8ラインのデータに対して、4ライン毎にA,Bをマスクパターンとして適用する。各記録走査においては、格納されたマスクテーブルを用いて画像データのマスク処理(記録ドットを非記録ドットに置き換える)を実行し、パスデータを生成出力する。具体的には、画像データとマスクデータとの論理積をとることにより、マスクデータが1である場合には画像データをそのまま出力し、マスクデータが0である場合には画像データを0に置き換えることにより実現される。全ての画像領域は、常に2回の走査によりA,Bの順にマスク処理されて記録データが生成されることになる。ここで、A,BのマスクOFF(1)比率は等しく各々50%程度である。
【0019】
このようにして、1つのラインを異なる2つのノズルを用いて記録することにより、濃度ムラを抑えた高品位な画像を形成することができる。またマルチパス記録法は、インクを乾かしながら記録していくことによりブリーディング(にじみ)を抑えるといった効果や、走査毎の記録ドットを低減することから吐出不良の原因となるプリントヘッドの昇温を抑制する効果、なども同時に達成できる。ここでは主走査方向について説明したが、副走査方向に対して連続するドットを間引いて記録することにより更なる高画質化が可能になる。また、ノズル解像度よりも高い解像度で副走査方向の画像形成を実現したい場合には、この副走査方向の間引き記録は必須の処理となる。
【0020】
各走査のパスデータを生成する方法としては、上述のような記録ドットと非記録ドットとが乱数的に配列されたランダムマスクパターンなどを用いて記録データを間引くことによりパスデータを生成する方法(テーブル参照方式と称す)や、偶数列/奇数列パターンや千鳥/逆千鳥パターンを用いて記録データを間引くことによりパスデータを生成する方法(固定マスク方式と称す)のほかに、記録ドットに着目して間引き処理を行うことによりパスデータを生成する方法(データマスク方式と称す)、或いはこれらを併用した方式などが知られている。
【0021】
次に、図26に示したコントローラ部内の画像データ処理部2613における画像データ処理について説明する。
【0022】
図28は、画像データ処理部2613における画像データ処理の流れを示す図である。例えば、ホストPC2606より受信されたRGBの多値画像データは色変換処理2801によってインク色(例えばCy,Mg,Ye,Bk)の多値画像データに変換され、続いて、量子化処理2802によってインク色毎の2値データに変換される。このようにして、多値画像データはエンジン部(プリントヘッド)において出力可能なレベル(ここでは2値)に変換される。
【0023】
この量子化処理の方法として誤差拡散法とディザ法が広く知られている。誤差拡散法では、注目画素について周辺画素に拡散係数を割り当て、注目画素において発生する量子化誤差を拡散係数に応じて周辺画素に振り分ける。これにより、画像全体の濃度は保存されることになり、良好な疑似階調表現が可能となる。一方、ディザ法では、マトリクス状の閾値からなるディザマトリクスを用意しておき、各閾値と入力データの各画素との1対1の画素比較を行い、ON/OFFを決定する。一般に、ディザ法では、誤差拡散法を適用した画像に比べて画品位が低下する傾向にあるが、誤差拡散法は誤差が伝播するまで次画素の処理に移行できず高速処理が困難である。
【0024】
基本的な誤差拡散法の2値化処理方法を具体的に説明する。図8は矢印で示すようにラスタの左から右に処理する際の拡散係数マトリクスの一例である。この拡散係数マトリクスとは、各画素に対する誤差の伝播割合を示すものである。誤差拡散法では、閾値と画素値の比較を行い、ドットのON/OFFを判定すると同時に、その誤差を算出して周囲の画素値に伝播させる。ここで誤差は画素値と評価値の差で表される。評価値は10ビット(1024階調)画素値に対してONならば1023、OFFならば0、閾値を512固定とすると、画素値が722の場合には判定結果はドットON、誤差は301となる。この例では、同一ライン上の後続するA,Bの2画素と、下ラインのC,D,E,F,Gの5画素に誤差を拡散する。このように誤差の伝播を行うことで、画像データの濃度は保存される。
【0025】
また、最近のインクジェット記録装置のような高解像度の2値出力装置では、より滑らかな中間調画像を表現するために多階調で表現する誤差拡散法(多値誤差拡散法)が利用されている。以下に多値誤差拡散法と濃度パターン法とを組み合わせた量子化方法について具体例を挙げて説明する。
【0026】
まず、多値画像データに対して多値誤差拡散法により5値化処理を施す。多値誤差拡散法による5値化においては4つの閾値を備え、画素値との比較によって0〜4の出力値を決定する。そこで発生する誤差は2値化の際と同様にして拡散マトリクスに従って周囲の画素値へ伝播させる。更に、5値データに対して濃度パターン法を用いて2値データに展開する。具体的には、2×2の網点マトリクスに従って5値データを網点展開処理するものである。ここで、多値画像データの解像度(入力解像度)を600ppi×600ppi(ppiはpixel/inch)とし、プリントヘッドによる最終的な記録解像度(出力解像度)を1200dpi×1200dpi(dpiはdot/inch)とする。本方式により、ドットのON/OFFの2階調でしか表現できなかった各画素を拡張することによって5階調表現を可能とし、しかも高速化が困難な誤差拡散処理を出力解像度よりも低い600ppi×600ppiで実施することにより、誤差拡散の処理時間を1/4に削減することができる。
【0027】
実際のインクジェット記録装置においては、その印字モードなどに対応付けて入力解像度と出力解像度の関係を設定し、これに従った網点マトリクスサイズに応じて多値誤差拡散法による最適な出力階調数Nを選択して量子化処理を実行するものなどが提案されている。例えば、高速モードでは入力解像度300ppi×300ppiに対して多値誤差拡散法により8値化を行った後に4×4の網点マトリクスを用いて出力解像度1200dpi×1200dpiの記録ドットデータを生成し、高品位モードでは入力解像度600ppi×600ppiに対して多値誤差拡散法により4値化を行った後に2×2の網点マトリクスを用いて出力解像度1200dpi×1200dpiの記録ドットデータを生成する。これにより、目的に応じて処理の高速化と高品位化とのバランスに優れた量子化処理が可能になる。
【0028】
また、Bkのみ他インク色よりも吐出インク滴量が多くなるよう構成し、Bkのみ低い解像度で画像形成を行うことで、モノクロ画像形成を高速化するインクジェット記録装置なども実用化されている。このような装置においては、例えば全てのインク色に対して入力解像度300ppi×300ppiで、Bkのみが出力解像度600dpi×600dpi、他のインク色が出力解像度1200dpi×1200dpiであれば、Bkでは多値誤差拡散法により4値化を行った後に2×2の網点マトリクスを用いて展開し、他のインク色においては多値誤差拡散法により8値化を行った後に4×4の網点マトリクスを用いて展開する、といった処理が必要となる。
【0029】
また、インクジェット記録装置のプリントヘッドにおいては、インク吐出を行わない状態で長時間放置された場合など、特に吐出口近傍のインク液路内においてインクが増粘し、正常な吐出が行われなくなることがある。また、記録ドットの比率が高い(記録デューティが高い)記録動作が連続する場合などインク吐出に伴ってインク液路内のインク中に微細な気泡が生じ、これが成長し、この成長した気泡がその液路内に残留して吐出に影響を及ぼし、同様に正常な吐出が行われなくなることがある。この気泡は、先に述べた吐出に伴って発生するものの他に、インク供給路の接続部などのインク供給系においてインク中に混入するものもある。これらの原因によるインクの吐出不良や不吐出により、記録装置の信頼性が下がるだけでなく、正常に吐出できない状態で記録を継続すると、正常な場合に比べてプリントヘッドが遥かに高い温度まで昇温してしまい、プリントヘッド自体にダメージが生じ、耐久性が損なわれる場合がある。
【0030】
このような吐出不良に対してインクジェット記録装置では、以下のような回復処理が行われる。
(1)吐出を行わない時にプリントヘッドの吐出口面を被覆してインクの増粘を防止するキャッピング処理
(2)キャッピング状態で吐出口からインクを吸引して増粘インクを強制排出させるインク吸引処理
(3)インク吸収体などで構成される所定のインク受けにインクを吐出して増粘インクを排出する予備吐出処理
また、各ノズルのヒータの特性劣化や破損などにより吐出不良や不吐出を引き起こすこともある。このような場合、上述した回復動作で正常な状態に復帰できるものではなく、基本的にはプリントヘッドを交換するほか手立てがない。
【0031】
以上のような吐出不良や不吐出に対して記録装置の信頼性向上の目的でこれを検知する手段を設けることが好ましい。更には、プリントヘッドが有する複数の吐出部の各々に対して個別に吐出不良を検知できることが好ましい。検知手段としては、インク飛翔経路側方に配置した光センサを用いる方法や、空吐出によりプリントヘッドに生じる温度上昇及びその後の温度の降下により判断する方法、所定のテストパターンを記録して読み取ることにより検知する方法、などが多く用いられている。
【0032】
近年の画像形成(プリントヘッド)の高密度化や小液滴化により、不吐出ノズルの画品位への影響は非常に小さくなっており、その数量によっては影響が認識できない場合がある。しかしながら、少ないパス数でのマルチパス記録や1パス記録などでは画像情報の特性によって白抜けや濃度差によりスジむらとして認識されてしまうため、不吐出ノズルの補完記録を実現することが好ましい。
【0033】
検出した不吐出ノズルに対してこれを補完する方法としては、予め通常の記録では使用しないノズルを備え、この不吐出補完用ノズルが不吐出ノズルに代わって補完記録するものが提案されている。しかし、プリントヘッドが余分なノズルを備えることは、プリントヘッドの小型化の妨げになるだけでなく、プリントヘッドのコストを大きく引き上げることになる。
【0034】
更に、別の手法としては、不吐出が検知されたノズルに対してマルチパス記録において同一ラインを形成する他のノズルに不吐出ノズルが記録すべきドットを割り当てることで補完記録を実現する方式がある。また、記録処理の高速化の目的で複数組のプリントヘッドを備えたものが提案されており、このようなインクジェット記録装置においては、同一ラインを形成する他ヘッドのノズルに不吐出ノズルが記録すべきドットを割り当てて補完記録を実現することもできる(例えば、特許文献1参照。)。
【0035】
【特許文献1】
特開2001−010030号公報
【発明が解決しようとする課題】
上述したマルチパス記録において、不吐出ノズルと同一ラインを形成する他のノズルとが補完記録する方式について2パス記録を例に挙げて説明する。通常の2パス記録では、1パス目に50%のデューティで間引き記録を行い、2パス目で残りの50%の記録を行う。ここで、あるノズルに不吐出が発生すると、この不吐出ノズルが形成すべきラインについては1パス目(又は2パス目)において全くドットが形成されないため、最終的に50%のドットしか形成できない。これを補完して100%のドットを形成するためには、不吐出ノズルが形成すべきドットを他のノズル(補完ノズル)が不吐出ノズルに代わって形成する必要がある。
【0036】
しかしながら、不吐出ノズルに対する上記補完記録において主に以下の2つの大きな課題が存在する。
【0037】
まず、1つ目はプリントヘッドの駆動周波数に関わる問題である。一般的に、プリントヘッドが正常に吐出できる駆動周波数(吐出周波数)には上限がある。例えば、プリントヘッドの各ノズルでは吐出動作の間にインクの再充填が行われるが、インク充填に必要な周波数はリフィル周波数と呼ばれ、これが連続するインク吐出動作に対する制約の1つとなっている。プリントヘッドを搭載したキャリッジを記録媒体に対して移動(走査)する際に、最終的に形成するドット解像度に対して最大吐出周波数に相当する速度以下で走査すれば全てのドット座標に対してインク吐出が可能であるが、最大吐出周波数に相当する速度を越える速度で走査する場合には少なくとも1つおきのドット座標に対してのみインク吐出が可能になる。
【0038】
即ち、キャリッジを高速に走査させることは画像形成処理の高速化につながるため、例えば吐出周波数の2倍に相当する速度でキャリッジを走査させ、各走査においては最大で1列おきのドット形成のみを行い、2回の走査で画像を完成させる、「キャリッジ2倍速2パス記録」などが多く採用されている。
【0039】
ここで、この「キャリッジ2倍速2パス記録」においては各走査で各ノズルの100%の吐出能力を引き出して画像形成を実現するため、不吐出ノズルが発生した場合においても、同一ラインを形成する他方のノズルは不吐出ノズルに代わってドットを形成する余力を持たない。このため、不吐出補完記録を行うためにはキャリッジ速度を半減させるか、もしくは記録パス数を4以上に変更するほか手立てがない。即ち、何れの方式においても補完記録のためには画像形成時間を大幅に増大させてしまうといった問題点がある。
【0040】
次に、2つ目はインク吐出デューティに関わる問題である。例えば、サーマル方式のプリントヘッドでは、与えられる熱量、言い換えると、インク吐出動作の総数が増すに従い、各ノズルにおける熱変換特性の劣化やヒータ断線などの障害を引き起こし、これが吐出不良、不吐出の原因となって安定した画像形成動作の妨げとなる。
【0041】
通常のマルチパス記録においては、各走査に対するドット数の割り当て比率はほぼ均等に設定しており各ノズルの吐出回数に大きな差はない。しかしながら、不吐出ノズルが形成すべきドットをマルチパス記録により同一ラインを形成する他のノズル(補完ノズル)に割り当てると、この補完ノズルの吐出デューティは他のノズルと比較して大幅に増大してしまう。例えば、上述した2パス記録では、他のノズルが各ラインの最大50%のドットを形成するだけなのに対して補完ノズルは最大100%のドットを形成しなければならない。つまり、補完ノズルには相対的に多大な負荷が与えられ、結果として吐出特性の劣化を招く可能性が高まることになる。
【0042】
更には、他のラインと比較して、或いは他のインク色と比較して、複数の記録走査に対して極めて偏ったデューティの記録が行われることは、少なからず最終的な画品位にも影響を与える。一般に隣接するドットを短い時間間隔で形成すると、連続するドットが滲んでしまい粒状性を始めとする画品位の劣化を引き起こす場合がある。このようなドット形成の違いは、単一ラインであれば隣接ラインに埋もれて比較的認識されにくいものの、同様のラインが連続して存在すると目立ちやすくなり、特に双方向記録の場合などにおいて人間の目にムラとして認識されてしまうといった問題点がある。
【0043】
また、上述した同一ラインを形成する他のノズルによりドットを補完する手法は、当然ながらマルチパス記録にしか適用することができない。しかしながら、ノズルの不吐出による画質への影響は、記録パス数が減少するほど顕著に認識され、特に1パス記録においては1ライン全てのドットが正しく形成されずに抜けてしまうことから非常に画品位を損なうこととなる。
【0044】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的はインク不吐出が原因となる白抜けを回避しながら、特定のノズルへの吐出デューティの増大が原因となる画品位の劣化やスループットの低下、記録ヘッドの低寿命化などを回避、抑制し、信頼性を向上させることにある。
【0045】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の吐出部を有する記録ヘッドを記録媒体上に走査させ、入力された画像の各画素値に基づいて記録媒体にインクを吐出してドットを形成する画像形成装置であって、前記記録ヘッドの吐出部の吐出不良情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得した吐出不良情報に基づき吐出不良な特定領域に対応する画素値のドット形成を制御し、該画素値をN(Nは2以上の整数)値に量子化する量子化手段と、前記量子化手段で量子化された値に基づき前記複数の吐出部によってドットを形成するドット形成手段とを備えることを特徴とする。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。
【0047】
図3は、インクジェット記録装置における記録部の構成を示す図である。図3において、301はプリントヘッドであり、ブラック(Bk)、シアン(Cy)、マゼンタ(Mg)、イエロー(Ye)の4色のカラーインクがそれぞれ封入されたインクタンクと、それぞれに対応した独立した4つのヘッドからなるマルチヘッドにより構成されている。各色のノズル数は1280ノズルである。302はキャリッジであり、プリントヘッド301を支持し、記録と共にこれらを移動させる。尚、キャリッジ302は非記録状態などの待機時にはホームポジション位置HPにある。
【0048】
303は紙送りローラであり、不図示の補助ローラと共に記録紙305を押さえながら回転し、記録紙305をY方向に随時送っていく。304は給紙ローラであり、記録紙305の給紙を行うと共に紙送りローラ303及び補助ローラと同様に記録紙305を押さえる役割を果たす。ここで、プリントヘッド301はBk,Cy,Mg,Yeの各々4色について、それぞれ紙送り方向に配置された1280個のノズルをそれぞれ有している。
【0049】
ここで、上述した構成の記録部における基本的な記録動作について説明する。記録開始命令により、ホームポジション位置HPで待機中のキャリッジ302はX方向に移動しながらプリントヘッド301の複数のノズルにより記録データに従い記録紙305上にインクを吐出して記録を行う。その後、記録紙305端部まで記録データの記録が終了すると、キャリッジ302は元のホームポジション位置HPに戻る。そして、紙送りローラ303が矢印方向へ回転することによりY方向へ所定の幅だけ紙送りを行い、再びキャリッジ302はX方向に移動しながらインクを吐出して記録を開始する。このようなスキャン動作と紙送り動作との繰り返しによりデータ記録を実現する。
【0050】
尚、本実施形態のインクジェット記録装置は、ホストPCとの間で画像情報や各種制御情報のやりとりをするためのインタフェース、入力画像情報をインク色毎のドットのON/OFFデータに変換するための画像データ処理部などで構成されるコントローラ部(図26)と、記録紙の搬送やキャリッジの駆動などを行うと共にプリントヘッド301を制御して画像を形成するエンジン部(図27)とで構成されている。
【0051】
本実施形態におけるインクジェット記録装置は、同一の記録領域に対しては1回だけの記録走査で画像を完成させる1パス記録を採用している。即ち、全ての記録走査において走査領域の全ドットを形成するものであり、ライン画像は単一のノズルだけで形成されることになる。
【0052】
ここで、図を参照しながら、各記録走査における記録データ(パスデータ)を生成する動作について詳細に説明する。
【0053】
図5は、エンジン内のバンドメモリ制御部2712の概略ブロック図である。ここでは簡単化のため、単一インク色について説明する。図5において、501はメモリ部であり、図外のコントローラより入力されたドットデータを一時格納する。502は入力制御部であり、メモリ部501への記録データの書き込み処理を行う。503は出力制御部であり、プリントヘッドの記録紙面上の検出位置情報に応じて各走査で必要なドットデータの読み出し処理を行う。510は制御部であり、各部の状態を監視すると共に図内及び図外からの制御信号に応答して各種制御を行う。
【0054】
次に、バンドメモリ制御部2712全体の基本的なパスデータ生成動作について説明する。ラスタ走査された2値(1bit)の画像データ(ドットデータ)が図外のコントローラより入力され、入力制御部502を介してメモリ部501に一時格納される。ここで、ドットデータの1はドットを形成することを意味し、0はドットを形成しないことを意味する。出力制御部503は、制御部510からの記録エリア制御と走査情報とに基づき、各インク色に対応するノズル群の紙面上の位置に従って走査毎にメモリ部501に格納された2値の画像データを順次読み出して出力する。一度のデータ転送単位は使用ノズル数に相当する1280画素データである。
【0055】
上述したように、プリントヘッドは各色1280ノズルずつ備えており、図6に示すように、紙搬送に対して先行側よりノズル番号を#0,1,2,3,…,1279と付与している。頁記録開始より第1走査ではノズル#0〜#1279を用いて1280ラインを形成し、1280ライン相当の紙搬送を行った後に、第2走査でもノズル#0〜#1279を用いて続く1280ラインを形成する。続いて1280ライン相当の紙搬送を行った後に、第3走査でもノズル#0〜#1279を用いて続く1280ラインを形成する。以降、1280ライン相当の紙搬送と全てのドット形成とを順次繰り返し実行していく(図7)。
【0056】
[第1の実施形態]
次に、図26に示すコントローラ部内の画像データ処理部2613が入力画像情報をインク色毎の多値画像データに変換した後、誤差拡散法を用いて多値画像データを量子化することによりエンジン部へ出力する各インク色のドットデータを生成する第1の実施形態の処理について説明する。
【0057】
図4は、第1の実施形態における画像データ処理部の概略構成を示す図である。図4において、401は色変換部であり、入力された画像情報を4色のインク毎の多値画像データに変換する。402は誤差拡散処理部であり、誤差拡散法を用いて多値画像データを量子化することにより各インク色のドットデータを生成する。
【0058】
第1の実施形態における誤差拡散処理を説明する前に、まず基本的な誤差拡散法について説明する。ここでは簡単化のため、出力階調数を2として説明する。図8は、誤差拡散法における拡散係数マトリクスを示す図である。この例では、図中の矢印で示すように、ラスタの左から右に処理する際の拡散係数マトリクスの一例を示している。誤差拡散法では、閾値と画素値との比較を行い、ドットのON/OFFを判定すると同時に、その誤差を算出して周囲の画素値に伝播させる。ここで、誤差は画素値と評価値との差で表される。評価値は10ビット画素値に対してONならば1023、OFFならば0である。閾値は512(固定)とする。例えば、画素値が722の場合、判定結果はドットON、誤差は301となる。この例では、同一ラインの後続するA,Bの2画素と、その下方ラインのC,D,E,F,Gの5画素に誤差を拡散する。また、ライン番号Lの画素の量子化処理により発生するライン番号(L+1)への拡散誤差は、画素毎の拡散誤差として一旦誤差メモリに格納される。尚、発生誤差は符号付きの11bitデータである。
【0059】
次に、第1の実施形態における誤差拡散処理部402の構成及び誤差拡散処理(2値化)について詳細に説明する。尚、ここでは簡単化のため、単一インク色について説明する。
【0060】
図2は、第1の実施形態における誤差拡散処理部の概略構成を示すブロック図である。図2において、201は入力補正部であり、入力画素値に累積誤差値を加算して補正入力画素値を生成して出力する。202は比較部であり、補正入力画素値と閾値とを比較して階調値を出力する。203はドットON評価値選択部であり、図外からの制御情報に基づき階調値1の場合の評価値を選択出力する。204は評価値選択部であり、比較部202における比較結果に応じた階調値に対応する評価値を選択出力する。205は誤差算出部であり、補正入力画素値と評価値選択部204の出力である評価値との差分である誤差値を生成する。
【0061】
206〜212はそれぞれA拡散誤差算出部、B拡散誤差算出部、C拡散誤差算出部、D拡散誤差算出部、E拡散誤差算出部、F拡散誤差算出部、G拡散誤差算出部であり、画素A、画素B、画素C、画素D、画素E、画素F、画素Gへの拡散誤差を生成して出力する。213〜218はそれぞれA加算部、B加算部、C加算部、D加算部、E加算部、F加算部であり、前段の拡散誤差に対してそれぞれ画素Aへの拡散誤差、画素Bへの拡散誤差、画素Cへの拡散誤差、画素Dへの拡散誤差、画素Eへの拡散誤差、画素Fへの拡散誤差を加算する。219は遅延部であり、サイクル調整のための遅延処理を行う。
【0062】
次に、第1の実施形態における誤差拡散処理部402の基本的な量子化動作について説明する。
【0063】
図外から入力された画素値は入力補正部201へ供給される。この入力補正部201では、入力画素値と拡散誤差が累積された累積値とを加算して補正画素値を出力する。次の比較部202では、補正画素値と判定閾値との間の比較を行い、判定閾値より大きければドットONと判定して階調値1を、小さければドットOFFと判定して階調値0を出力する。次に、ドットON評価値選択部203では、図外からの制御信号により、2種のドットON評価値を選択して出力する。評価値選択部204では、ドットON判定ならばドットON評価値選択部203の出力であるドットON評価値を出力し、ドットOFF判定ならばドットOFF評価値を出力する。そして、誤差算出部205では、補正画素値と評価値との間の差分である誤差値を生成する。
【0064】
この誤差算出部205からの出力である誤差値は、C誤差拡散算出部208、D誤差拡散算出部209、E誤差拡散算出部210、F誤差拡散算出部211、G誤差拡散算出部212へ供給されて、それぞれ画素C、画素D、画素E、画素F、画素Gに対する拡散誤差が算出される。拡散される誤差は画素処理サイクル毎にF加算部218、E加算部217、D加算部216、C加算部215と累積加算され、下方ラインへの累積拡散誤差データとして図外の誤差メモリへ一時格納される。
【0065】
一方、誤差算出部205からの出力である誤差値は、A誤差拡散算出部206、B誤差拡散算出部207へも同様に供給されて、それぞれ画素A、画素Bに対する拡散誤差が算出される。また、B加算部214には図外の誤差メモリより上方ラインの処理時に拡散された上方ライン累積拡散誤差データが入力され、画素Bへの拡散誤差と加算される。更に、A加算部213により画素Aに対する拡散誤差を加算することで画素A〜画素Gにおいて順次加算された累積拡散誤差データが得られる。
【0066】
次に、不吐出検知に応答した量子化制御として、第1の実施形態において特徴的な不吐出ノズルが発生した場合の誤差拡散処理の制御方法について詳細に説明する。具体的には、上述した誤差拡散法による量子化処理(2値化処理)において、不吐出ノズルが形成すべきドット座標においてドットONと判定された場合の評価値を補正するものであり、不吐出ノズルが形成すべき画素座標については実際の画像形成が行われないことを考慮して、判定結果のドットON/OFFに関わらずドットOFFの場合の評価値(=0)を適用する。
【0067】
第1の実施形態では、1パス記録により画像形成を実現するもので、ライン形成は全て単一ノズルで行われる。即ち、不吐出ノズルが形成すべきラインの全てのドットは不吐出ノズルに割り当てられるべき座標である。また、1パス記録における紙搬送制御は常にノズル数に相当する1280ライン分であることから、不吐出ノズルが形成すべきラインは1280ライン毎に出現することになる。
【0068】
図1は、第1の実施形態における誤差拡散処理を示すフローチャートである。まず、着目画素の画素値を入力し(ステップS101)、その着目画素の画素座標を算出し、着目画素の座標が不吐出ノズルが形成すべきドット座標と一致するか否かを判定する(ステップS102)。ここで不吐出ノズルが形成すべき画素座標は(X,Y)=(P,(1279−M)+1280×R)で表すことができる(Mはノズル番号、PとRは整数である)。判定の結果、不吐出ノズルが形成すべきドット座標でなければ通常の評価値、即ち、ドットON時の評価値として1023を設定し、ドットOFF時の評価値として0を設定する(ステップS104)。
【0069】
一方、不吐出ノズルが形成すべきドット座標であれば、ドットON時の評価値として0を設定し、ドットOFF時の評価値として0を設定する(ステップS103)。即ち、判定閾値との比較結果がドットONであっても、ドットOFFであっても評価値は0となる。次に、元の画素値に対して周辺画素より拡散された誤差値を加算した補正画素値を算出し(ステップS105)、補正画素値と判定閾値とを比較する(ステップS106)。ここで、補正画素値が閾値と等しいか閾値より大きければドットONと判定し(ステップS107)、その補正画素値からドットON評価値を減算した値を誤差値とする(ステップS108)。また閾値より小さければドットOFFと判定し(ステップS109)、その補正画素値からドットOFF評価値を減算した値を誤差値とする(ステップS110)。そして、この誤差値を所定の拡散マトリクスに従って周辺画素A〜Gに分配する(ステップS111)。
【0070】
このように、量子化処理の制御を行うことにより、不吐出ノズルがドット形成すべき座標では、ドットON/OFF判定結果に関わらずドットOFFと同等の誤差が周囲に伝播されることとなる。
【0071】
そして、不吐出ノズルが形成すべきドット座標においてドットONとなっても実際にはドットの形成が行われない。ドットON時の評価値をドットOFF時と同様に0とすることにより、不吐出の状態を正しくデータ処理に反映させることができる。
【0072】
即ち、入力画像情報に対する誤差拡散法を用いた2値化処理において、不吐出ノズルが形成すべきドット座標に対しては常にドットOFFと同等に誤差を算出することにより、不吐出ノズルが形成すべき座標の周辺に正の誤差を拡散させてドットの発生を促す。そして、不吐出ノズルが形成すべきドット座標に代わり、周辺の座標にドットを発生させるよう制御することにより、特定の補完ノズルに負荷を集中させることなく、更にはスループットの低下を引き起こすことなく、効率良く不吐出ノズル発生による画品位の劣化を抑制することができる。
【0073】
尚、プリントヘッドの不吐出などの障害に関する情報の取得については、特に詳細には触れなかったが、その検出手段については光センサなどを用いた不吐出検知ユニットを本体に備えた構成であっても良いし、所定のテストプリントなどによってユーザが目視により不吐出ノズルを特定するものであっても良い。
【0074】
また、本体エンジン内で自動検出する構成であれば、ここで検出された情報はエンジンからコントローラへ通知される。一方、ユーザによって検出結果が操作パネルやホストPCを介して入力される場合には、コントローラからエンジンへ検出情報が通知される。つまり、検出手段に関わらず、プリント動作に伴う各種処理に先立って検出情報の取得手続きが実行され、関連ブロックがその検出した障害情報を取得するものである。
【0075】
また、不吐出と検知されたノズルであっても、通常の吐出制御によって微量の液滴を吐出させてしまう場合がある。或いは、時間経過による状態変化によって不吐出ノズルが正常な吐出動作に復帰することもある。
【0076】
従って、このような状態は正しい不吐補完動作を妨げることになるため、後段においてデータのドットONをマスクすることが好ましい。
【0077】
以上詳細に説明した第1の実施形態によれば、誤差拡散法による疑似階調表現において不吐出ノズル情報に応じて誤差算出時の評価値をドットOFFと同等に設定することにより、プリントヘッドの不吐出発生に際して、不吐出状態を量子化処理に正しく反映させることが可能になり、代わりに周辺座標におけるドットONを促進することにより、不吐出発生による画品位の劣化を効率良く抑制することができる。
【0078】
また、補完記録による特定のノズルの極端な負荷増大が原因となる低寿命化を回避し、マルチパス記録におけるドット割り当て変更を可能にするためのスループットの低下を引き起こすことなく、更には画品位の劣化を抑制して濃度ムラのない高品位な画像形成を実現することができる。
【0079】
[第2の実施形態]
次に、図面を参照しながら本発明に係る第2の実施形態を詳細に説明する。
【0080】
第1の実施形態では、1回の記録走査で全てのドットを形成して画像を完成させる1パス記録について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、同一領域について複数回の記録走査で画像を完成させるマルチパス記録に適用することも可能である。
【0081】
第2の実施形態におけるインクジェット記録装置は同一記録領域を複数回走査させて画像を形成するマルチパス記録方式を採用する。前述したように、マルチパス記録は、一つのラインを複数のノズルを用いて画像を形成することにより、ノズル毎のインクの吐出量や吐出方向の微少な違いによる濃度ムラを抑え、同時にパス毎の記録デューティを低減してインク滲みなどによる画品位の劣化を防ぐ記録方式である。
【0082】
ここでは、前述した「キャリッジ2倍速2パス記録」を例に挙げて説明する。尚、各走査では列方向に1画素おきに記録して2回の記録走査で画像を完成させるものである。具体的には、偶数回目の走査では偶数列のドットのみを形成し、奇数回目の走査ではこれと相補的な奇数列のドットのみを形成するものである。走査間で行われる紙搬送量は常に640画素相当(一定)であり、これはノズル数1280をパス数2で除算した値と一致する。そして、キャリッジをプリントヘッドの最大吐出周波数の2倍に相当する高い速度で駆動することにより、高速な画像形成処理を可能にしているものである。
【0083】
即ち、全ての記録走査において走査領域のおよそ半分のドットを形成するものであり、ライン画像は2つのノズルに分担されて形成されることになる。
【0084】
また第2の実施形態におけるインクジェット記録装置の記録部は図3に示した第1の実施形態の構成と同様である。また、内部を構成するエンジン部及びコントローラ部についても、その基本構成は図26及び図27に示した構成と同様である。
【0085】
以下、図面を参照しながら、各記録走査における記録データ(パスデータ)を生成する動作について詳細に説明する。
【0086】
図10は、エンジン内のバンドメモリ制御部2712のマルチパス記録を実現する記録走査毎の記録データであるパスデータの生成に着目した概略ブロック図である。ここでは簡単化のため、単一インク色について説明する。
【0087】
図10において、1001はメモリ部であり、図外のコントローラより入力されたドットデータを一時格納する。1002は入力制御部であり、メモリ部1001への記録データの書き込み処理を行う。1003は間引き出力制御部であり、プリントヘッドの記録紙面上の検出位置情報に応じて各走査で必要なドットデータの読み出し処理を行う。1010は制御部であり、各部の状態を監視すると共に図内、図外からの制御信号に応答して各種制御を行う。
【0088】
次に、バンドメモリ制御部の全体の基本的なパスデータ生成動作について説明する。ラスタ走査された2値(1bit)の画像データ(ドットデータ)が図外のコントローラより入力され、入力制御部1002を介してメモリ部1001に一時格納される。ここで、ドットデータの1はドットを形成、0はドットを形成しないことをそれぞれ意味する。間引き出力制御部1003は、制御部1010からの記録エリア制御と走査情報に基づき、各インク色に対応するノズル群の紙面上の位置に従って走査毎にメモリ部1001に格納された2値の画像データを順次読み出して出力する。但し、走査#(2K)では列座標X=2nで表わされる画素列(偶数列)だけ、また走査#(2K+1)では列座標X=2n+1で表わされる画素列(奇数列)だけを読み出して出力する。一度のデータ転送単位は使用ノズル数に相当する1280画素データである。図11は、この記録走査の様子を説明する図である。
【0089】
前述したように、プリントヘッドは各色1280ノズルずつ備えており、紙搬送に対して先行側よりノズル番号を#0,1,2,3,…,1279と付与している(図6)。頁記録開始より第1走査ではノズル#0〜#639のみを用いて640ライン(偶数列のみ)を形成し、640ライン相当の紙搬送を行った後、第2走査ではノズル#0〜#1279を用いて1280ライン(奇数列のみ)を形成する。続いて、640ライン相当の紙搬送を行った後、第3走査ではノズル#0〜#1279を用いて1280ライン(偶数列のみ)を形成する。これ以降、640ライン相当の紙搬送、偶数列のドット形成、640ライン相当の紙搬送、奇数列のドット形成、と順次繰り返して実行していく(図12)。
【0090】
また、図26に示すコントローラ部内の画像データ処理部2613の構成は、第1の実施形態と同様である。図4に示した画像データ処理部が入力画像情報をインク色毎の多値画像データに変換した後、誤差拡散法を用いて多値画像データを量子化することによりエンジン部へ出力する各インク色のドットデータを生成する。
【0091】
第2の実施形態における誤差拡散処理を説明する前に、まず基本的な誤差拡散法について説明する。ここでは簡単化のため、出力階調数を2として説明する。図8は、誤差拡散法における拡散係数マトリクスを示す図である。この例では、図中の矢印で示すように、ラスタの左から右に処理する際の拡散係数マトリクスの一例を示している。誤差拡散法では、閾値と画素値との比較を行い、ドットのON/OFFを判定すると同時に、その誤差を算出して周囲の画素値に伝播させる。ここで、誤差は画素値と評価値との差で表される。評価値は10ビット画素値に対してONならば1023、OFFならば0である。閾値は512(固定)とする。例えば、画素値が722の場合、判定結果はドットON、誤差は301となる。この例では、同一ラインの後続するA,Bの2画素と、その下方ラインのC,D,E,F,Gの5画素に誤差を拡散する。また、ライン番号Lの画素の量子化処理により発生するライン番号(L+1)への拡散誤差は、画素毎の拡散誤差として一旦誤差メモリに格納される。尚、発生誤差は符号付きの11bitデータである。
【0092】
次に、第2の実施形態での特徴的な不吐出検知に応答した量子化制御について詳細に説明する。第2の実施形態も第1の実施形態と同様、誤差拡散法を用いた量子化処理(2値化処理)を例に挙げて説明する。
【0093】
ここで、不吐出ノズルが発生した場合の誤差拡散処理の制御方法について説明する。第2の実施形態においては、誤差拡散法による量子化処理において不吐出ノズルが形成すべきドット座標においてドットONと判定された場合の評価値を補正するものである。具体的には、不吐出ノズルが形成すべき画素座標については実際の画像形成が行われないことを考慮して、判定結果のドットON/OFFに関わらずドットOFFの場合の評価値(=0)を適用する。
【0094】
第2の実施形態では、2パス記録により画像形成を実現するもので、ライン形成は全て1ドットおきに2つのノズルで行われる。即ち、不吐出ノズルが形成すべきラインは、偶数列だけを不吐出ノズルに割り当てられたラインと奇数列だけを不吐出ノズルに割り当てられたラインとが交互に存在する。また、2パス記録における紙搬送制御は常にノズル数の半分に相当する640ライン分であることから、不吐出ノズルが形成すべきラインは640ライン毎に出現することになる。
【0095】
図9は、第2の実施形態における誤差拡散処理を示すフローチャートである。まず、着目画素の画素値を入力し(ステップS901)、その着目画素の画素座標を算出し、着目画素の座標が不吐出ノズルが形成すべきドット座標と一致するか否かを判定する(ステップS902)。ここで不吐出ノズルが形成すべき画素座標は(X,Y)=(P,(639−M)+640×R)で表すことができる(Mはノズル番号、Rは整数、PはM=640以上かつP=偶数、或いはM=639以下かつP=奇数のとき偶数であり、M=640以上かつP=奇数、或いはM=639以下かつP=偶数のとき奇数である)。判定の結果、不吐出ノズルが形成すべきドット座標でなければ通常の評価値、即ち、ドットON時の評価値として1023を設定し、ドットOFF時の評価値として0を設定する(ステップS904)。
【0096】
一方、不吐出ノズルが形成すべきドット座標であれば、ドットON時の評価値として0を設定し、ドットOFF時の評価値として0を設定する(ステップS903)。即ち、判定閾値との比較結果がドットONであっても、ドットOFFであっても評価値は0となる。次に、元の画素値に対して周辺画素より拡散された誤差値を加算した補正画素値を算出し(ステップS905)、補正画素値と判定閾値とを比較する(ステップS906)。ここで、補正画素値が閾値と等しいか閾値より大きければドットONと判定し(ステップS907)、その補正画素値からドットON評価値を減算した値を誤差値とする(ステップS908)。また閾値より小さければドットOFFと判定し(ステップS909)、その補正画素値からドットOFF評価値を減算した値を誤差値とする(ステップS910)。そして、この誤差値を所定の拡散マトリクスに従って周辺画素A〜Gに分配する(ステップS911)。
【0097】
このように、量子化処理の制御を行うことにより、不吐出ノズルがドット形成すべき座標では、ドットON/OFF判定結果に関わらずドットOFFと同等の誤差が周囲に伝播されることとなる。
【0098】
そして、不吐出ノズルが形成すべきドット座標においてドットONとなっても実際にはドットの形成が行われない。ドットON時の評価値をドットOFF時と同様に0とすることにより、不吐出の状態を正しくデータ処理に反映させることができる。
【0099】
即ち、入力画像情報に対する誤差拡散法を用いた2値化処理において、不吐出ノズルが形成すべきドット座標に対しては常にドットOFFと同等に誤差を算出することにより、不吐出ノズルが形成すべき座標の周辺に正の誤差を拡散させてドットの発生を促す。そして、不吐出ノズルが形成すべきドット座標に代わり、周辺の座標にドットを発生させるよう制御することにより、特定の補完ノズルに負荷を集中させることなく、更にはスループットの低下を引き起こすことなく、効率良く不吐出ノズル発生による画品位の劣化を抑制することができる。
【0100】
以上詳細に説明した第2の実施形態によれば、誤差拡散法による疑似階調表現において不吐出ノズル情報に応じて誤差算出時の評価値をドットOFFと同等に設定することにより、プリントヘッドの不吐出発生に際して、不吐出状態を量子化処理に正しく反映させることが可能になり、代わりに周辺座標におけるドットONを促進することにより、不吐出発生による画品位の劣化を効率よく抑制することができる。
【0101】
また、補完記録による特定のノズルの極端な負荷増大が原因となる低寿命化を回避し、マルチパス記録におけるドット割り当て変更を可能にするためのスループットの低下を引き起こすことなく、更には画品位の劣化を抑制して濃度ムラのない高品位な画像形成を実現することができる。
【0102】
[第3の実施形態]
次に、図面を参照しながら本発明に係る第3の実施形態を詳細に説明する。
【0103】
第2の実施形態では、偶数列の画像形成と奇数列の画像形成とを繰り返し実行して画像を完成させる2パス記録に対して、実際に不吐出ノズルが形成する主走査方向の座標に対応付けて量子化制御を行う場合について説明した。
【0104】
第3の実施形態においては、主走査方向のドット座標に関わらず不吐出ノズルが一部形成するラインに対して均一の量子化制御を実行する方式について詳細に説明する。
【0105】
第3の実施形態においても、第2の実施形態と同様に、「2パス記録」を行うものとする。各走査では列方向に1画素おきに記録して2回の記録走査で画像を完成させるものであり、具体的には、偶数回目の走査では偶数列のドットのみを形成し、奇数回目の走査ではこれと相補的な奇数列のドットのみを形成するものである。走査間で行われる紙搬送量は常に640画素相当(一定)であり、これはノズル数1280をパス数2で除算した値と一致する。尚、全ての記録走査において走査領域のおよそ半分のドットを形成するものであり、ライン画像は2つのノズルに分担されて形成される。
【0106】
まず、不吐出ノズル発生による影響について説明する。前述した通り、ライン画素は偶数列に割り当てられたノズルと奇数列に割り当てられたノズルの2つのノズルによってドット形成が行われる。このライン画素を形成する一方のノズルに不吐出が発生すると、不吐出の影響により1/2のドットが実際に形成できないことになる。更にライン画素を形成する両方のノズルに不吐出が発生した場合には、全てのドットが形成できなくなってしまう。これは、記録走査毎に偶数列/奇数列のドット形成を交互に行う場合に限らず、ランダムに2つの記録走査に対して数量均等にドット座標を割り当てる場合についても同様である。
【0107】
ここで、不吐出ノズルが発生した場合の誤差拡散処理の制御方法について説明する。第3の実施形態においては、誤差拡散法による量子化処理において不吐出ノズルが形成すべきラインにおいてドットONと判定された場合の評価値を補正するものである。具体的には、不吐出ノズルが形成すべきラインについては実際の画像形成の一部(一方のノズルが不吐出の場合)、或いは全部(両方のノズルが不吐出の場合)が行われないことを考慮し、判定結果のドットON時の評価値を通常のドットON時の1/2(一方のノズルが不吐出の場合)、或いはドットOFF時と同様に0(両方のノズルが不吐出の場合)とする。
【0108】
第3の実施形態では、2パス記録により画像形成を実現するもので、ライン形成は全て1ドットおきに2つのノズルで行われる。即ち、不吐出ノズルが形成すべきラインは、偶数列だけを不吐出ノズルに割り当てられたラインと奇数列だけを不吐出ノズルに割り当てられたラインとが交互に存在する。また、2パス記録における紙搬送制御は常にノズル数の半分に相当する640ライン分であることから、不吐出ノズルが形成すべきラインは640ライン毎に出現することになる。
【0109】
図13は、第3の実施形態における誤差拡散処理を示すフローチャートである。まず、着目画素の画素値を入力し(ステップS1301)、着目画素のライン番号(Y座標)を算出し、着目画素の座標が不吐出ノズルが形成すべきライン番号と一致するか否かを判定する(ステップS1302)。ここで不吐出ノズルが形成すべきライン番号はY=(639−M)+640×Rで表すことができる(Mはノズル番号、Rは整数である)。判定の結果、不吐出ノズルが形成すべきドット座標でなければ通常の評価値、即ち、ドットON時の評価値として1023を設定し、ドットOFF時の評価値として0を設定する(ステップS1303)。
【0110】
一方、不吐出ノズルが形成すべきドット座標であれば、該当する不吐出ノズルの個数に応じて異なる評価値を用いる(ステップS1304)。ここで、両方のノズルが不吐出であればドットON時の評価値として0を設定し、ドットOFF時の評価値として0を設定する(ステップS1305)。即ち、判定閾値との比較結果がドットONであっても,ドットOFFであっても評価値は0となる。また一方のノズルのみが不吐出であればドットON時の評価値として511を設定し、ドットOFF時の評価値として0を設定する(ステップS1306)。即ち、判定閾値との比較結果がドットONであっても評価値は511となる。
【0111】
次に、元の画素値に対して周辺画素より拡散された誤差値を加算した補正画素値を算出し(ステップS1307)、補正画素値と判定閾値とを比較する(ステップS1308)。ここで、補正画素値が閾値と等しいか閾値より大きければドットONと判定し(ステップS1309)、その補正画素値からドットON評価値を減算した値を誤差値とする(ステップS1310)。また閾値より小さければドットOFFと判定し(ステップS1311)、その補正画素値からドットOFF評価値を減算した値を誤差値とする(ステップS1312)。そして、この誤差値を所定の拡散マトリクスに従って周辺画素A〜Gに分配する(ステップS1313)。
【0112】
このように、量子化処理の制御を行うことにより、不吐出ノズルがドット形成すべきラインでは、不吐出ノズルが形成すべきドットの割合に応じた誤差が周囲に伝播されることとなる。
【0113】
そして、不吐出ノズルが形成すべきドット座標においてドットONとなっても実際にはドットの形成が行われない。ドットON時の評価値を不吐出発生状況に応じて制御することにより、不吐出の状態を正しくデータ処理に反映させることができる。
【0114】
即ち、入力画像情報に対する誤差拡散法を用いた2値化処理において、不吐出ノズルが形成すべきラインに対しては不吐出ノズルが形成すべきドットの割合に応じてドットON評価値を小さ目に設定して誤差を算出することにより、不吐出ノズルが形成すべき座標の周辺に正の誤差を拡散させてドットの発生を促す。そして、不吐出ノズルが形成すべきドット座標に代わり、周辺の座標にドットを発生させるよう制御することにより、特定の補完ノズルに負荷を集中させることなく、更にはスループットの低下を引き起こすことなく、効率良く不吐出ノズル発生による画品位の劣化を抑制することができる。
【0115】
以上詳細に説明した第3の実施形態によれば、誤差拡散法による疑似階調表現において不吐出ノズル情報に応じて誤差算出時のドットON評価値を制御することにより、プリントヘッドの不吐出発生に際して、不吐出状態を量子化処理に正しく反映させることが可能になり、代わりに周辺座標におけるドットONを促進することにより、不吐出発生による画品位の劣化を効率良く抑制することができる。
【0116】
また、補完記録による特定のノズルの極端な負荷増大が原因となる低寿命化を回避し、マルチパス記録におけるドット割り当て変更を可能にするためのスループットの低下を引き起こすことなく、更には画品位の劣化を抑制して濃度ムラのない高品位な画像形成を実現することができる。
【0117】
[第4の実施形態]
次に、図面を参照しながら本発明に係る第4の実施形態を詳細に説明する。
【0118】
第1乃至第3の実施形態では、プリントヘッドの不吐出ノズルに関わる情報に基づき誤差拡散法を用いた2値化処理制御を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば多値誤差拡散法を用いたN値化処理と他の2値化手法とを組み合わせたものに対して適用することも可能である。
【0119】
第4の実施形態として、多値誤差拡散法及び濃度パターン法(網点マトリクス展開)を用いた2値化処理を例に挙げて詳細に説明する。
【0120】
第4の実施形態におけるインクジェット記録装置の記録部は図3に示した第1の実施形態と同様である。また、内部を構成するエンジン部及びコントローラ部についても、その基本構成は図26及び図27に示した構成と同様である。プリントヘッドの搭載ノズル数は各色1280である。
【0121】
第4の実施形態では、図22に示す「高速モード」と「高品位モード」の2つの印字モードを備えており、これらを選択して画像形成を行う。「高速モード」では2パス双方向で画像を形成するものであり、「高品位モード」では4パス片方向で画像を形成するものである。ここで、2パス記録では、走査間で行われる紙搬送量は常に640画素相当(一定)であり、これはノズル数1280をパス数2で除算した値と一致する。何れのモードにおいても記録解像度は1200dpi×1200dpiである。
【0122】
以下、図面を参照しながら、各記録走査における記録データ(パスデータ)を生成する動作について詳細に説明する。
【0123】
図16は、エンジン内のバンドメモリ制御部2712のマルチパス記録を実現する記録走査毎の記録データであるパスデータの生成に着目した概略ブロック図である。ここでは簡単化のため、単一インク色について説明する。
【0124】
第4の実施形態では、マルチパス記録における各走査でのパスデータ生成手法として「テーブル参照方式」を採用している。これは、記録ドットと非記録ドットとが乱数的に配列されたランダムマスクパターンを用いて記録ドットを間引くことによりパスデータを生成するものである。ここでは2パス記録を例に挙げて説明する。
【0125】
図16において、1601はメモリ部であり、図外のコントローラより入力されたドットデータを一時格納する。1602は入力制御部であり、メモリ部1601への記録データの書き込み処理を行う。1603は出力制御部であり、プリントヘッドの記録紙面上の検出位置情報に応じて各走査で必要な領域のドットデータの読み出し処理を行う。1604はマスクテーブルであり、パスデータ生成処理において参照するマスクデータを格納している。1605はマスク処理部であり、出力制御部1603の出力データをマスク処理することにより、各走査で使用するパスデータを生成する。1610は制御部であり、各部の状態を監視すると共に図内、図外からの制御信号に応答して各種制御を行う。
【0126】
次に、バンドメモリ制御部の全体の基本的なパスデータ生成動作について説明する。ラスタ走査された2値(1bit)の画像データ(ドットデータ)が図外より入力され、入力制御部1602を介してメモリ部1601に一時格納される。ここで、ドットデータの1はドットを形成、0はドットを形成しないことをそれぞれ意味する。出力制御部1603は、制御部1610からの記録エリア制御と走査情報に基づき、各インク色に対応するノズル群の紙面上の位置に従って走査毎にメモリ部1601に格納された2値の画像データを順次読み出す。マスクテーブル1604には、マスク処理のための主走査方向512×副走査方向1280サイズの1bitマスクデータが格納されている。このマスクデータの1は非マスク、0はマスクを示している。
【0127】
図18は、マスクテーブルの一例を示す図である。図18において、Aは第1パス用、Bは第2パス用であり、両者は相補的なマスクテーブルとなっている。マスク処理部1605では、マスクテーブル1604に格納されたマスク情報を用いて出力制御部1603によってメモリ部1601から読み出された2値画像データのマスク処理を行う。具体的には、マスクデータが1であればドットデータをそのまま出力し、マスクデータが0であればドットデータを0に置き換えて出力する。一度のデータ転送単位は使用ノズル数に相当する1280画素データである。
【0128】
前述したように、プリントヘッドは各色1280ノズルずつ備えており、紙搬送に対して先行側よりノズル番号を#0,1,2,3,…,1279と付与している(図6)。この実施形態では、テーブル参照方式によるパスデータ生成処理を採用している。ここでは、各ノズルに対応した1280ライン相当(×512画素)のマスクデータからなるマスクテーブルを備えている。上下640ラインずつの第1パス用(図18に示すA)と第2パス用(図18に示すB)から構成されており、マスクデータ1は非マスク、0はマスクを指示するもので、第2パス用は第1パス用に対して相補的に設定されている。頁記録開始より第1走査ではノズル#0〜#639のみを用いて640ラインを形成し、640ライン相当の紙搬送を行った後、第2走査ではノズル#0〜#1279を用いて1280ラインを形成する。以降、640ライン相当の紙搬送と1280ノズルによるドット形成とを順次繰り返し実行していく。図19は、この記録走査の様子を説明する図である。
【0129】
次に、図26に示すコントローラ部内の画像データ処理部2613が入力画像情報をインク色毎の多値画像データに変換した後、多値誤差拡散法と濃度パターン法(網点処理)を用いて多値画像データを量子化することにより、エンジン部へ出力する各インク色のドットデータを生成する第4の実施形態の処理について説明する。
【0130】
図17は、第4の実施形態における画像データ処理部の概略構成を示す図である。図17において、1701は色変換部であり、入力された画像情報を4色のインク毎の多値画像データに変換する。1702は多値誤差拡散処理部であり、多値画像データを多値誤差拡散法により出力階調数NにN値化する。1703は網点処理部であり、濃度パターン法により2値化処理(網点処理)を行う。
【0131】
上記構成において、第4の実施形態における画像データ処理部の量子化処理は、多値誤差拡散処理部1702による多値誤差拡散法に基づくN値化処理と、網点処理部1703による濃度パターン法を用いた2値化処理(網点処理)とを組み合わせることにより実現される。尚、多値誤差拡散法による出力階調数Nは可変であり、これらを適応的に組み合わせてドットパターンに展開するものである。
【0132】
次に、第4の実施形態における多値誤差拡散処理部1702の構成及び多値誤差拡散処理(N値化)について詳細に説明する。尚、ここでは簡単化のため、単一インク色について説明する。
【0133】
図15は、第4の実施形態における多値誤差拡散処理部の概略構成を示すブロック図である。図15において、1501は入力補正部であり、入力画素値に累積誤差値を加算して補正入力画素値を生成して出力する。1502は比較部であり、補正入力画素値と複数の閾値とを比較して階調値を出力する。1503は階調値1−(N−1)評価値選択部であり、図外からの制御情報に基づき階調値1〜階調値(N−1)の場合の評価値を選択出力する。1504は評価値選択部であり、比較部1502における比較結果に応じた階調値に対応する評価値を選択出力する。1505は誤差算出部であり、補正入力画素値と評価値選択部1504の出力である評価値との差分である誤差値を生成する。
【0134】
1506〜1512はそれぞれA拡散誤差算出部、B拡散誤差算出部、C拡散誤差算出部、D拡散誤差算出部、E拡散誤差算出部、F拡散誤差算出部、G拡散誤差算出部であり、画素A、画素B、画素C、画素D、画素E、画素F、画素Gへの拡散誤差を生成して出力する。1513〜1517はそれぞれA加算部、B加算部、C加算部、D加算部、E加算部、F加算部であり、前段の拡散誤差に対してそれぞれ画素Aへの拡散誤差、画素Bへの拡散誤差、画素Cへの拡散誤差、画素Dへの拡散誤差、画素Eへの拡散誤差、画素Fへの拡散誤差を加算する。1519は遅延部であり、サイクル調整のための遅延処理を行う。
【0135】
図外から入力された画素値は入力補正部1501へ供給される。この入力補正部1501では、入力画素値と拡散画素の累積値との加算処理を行って補正画素値を出力する。次の比較部1502では補正画素値と(N−1)個の判定閾値との間の比較を行い、比較結果に応じて階調値0〜階調値(N−1)を選択する。次に、階調値1−(N−1)評価値選択部1503では、図外からの制御信号により複数の評価値を選択して出力する。続く評価値選択部1504では、階調値に応じた評価値を出力する。そして、誤差算出部1505では補正画素値と評価値との間の差分である誤差値を生成する。
【0136】
この誤差算出部1505からの出力である誤差値は、C誤差拡散算出部1508、D誤差拡散算出部1509、E誤差拡散算出部1510、F誤差拡散算出部1511、G誤差拡散算出部711へ供給されて、それぞれ画素C、画素D、画素E、画素F、画素Gに対する拡散誤差が算出される。拡散される誤差は画素処理サイクル毎にF加算部1518、E加算部1517、D加算部1516、C加算部1515と累積加算され、下方ラインへの累積拡散誤差データとして図外の誤差メモリへ一時格納される。
【0137】
一方、誤差算出部1505からの出力である誤差値は、A誤差拡散算出部1506、B誤差拡散算出部1507へも同様に供給されて、それぞれ画素A、画素Bに対する拡散誤差が算出される。また、B加算部1514には図外の誤差メモリより上方ラインの処理時に拡散された上方ライン累積拡散誤差データが入力され、画素Bへの拡散誤差と加算される。更に、A加算部1513により画素Aに対する拡散誤差を加算することで画素A〜画素Gにおいて順次加算された累積拡散誤差データが得られる。
【0138】
ここで、多値誤差拡散法による出力階調数Nは可変であり、また濃度パターン法における網点マトリクスのサイズも可変である。これらを適応的に組み合わせてドットパターンに展開するものである。印字モード毎のデータ処理方法の違いを以下に例を挙げて説明する。
【0139】
第4の実施形態は、図23に示す2つの印字モードに応じて適応的な量子化処理を選択して実行するものである。図23に示す「高速モード」では入力解像度300ppi×300ppiに対して誤差拡散法により8値化した後に4×4の網点マトリクスを用いて展開し、出力解像度である1200dpi×1200dpiのドットデータを得る。「高品位モード」では入力解像度600ppi×600ppiに対して誤差拡散法により4値化した後に2×2の網点マトリクスを用いて展開し、出力解像度である1200dpi×1200dpiのドットデータを得る。
【0140】
このようにして処理負荷の重い誤差拡散の処理解像度を印字モード毎に段階的に選択することで、高速処理と高品位処理をバランスよく実行できる。
【0141】
図20及び図21は、「高速モード」及び「高品位モード」で選択使用される網点マトリクスを示す図である。図20に示すように、「高速モード」では階調値毎に8種の網点マトリクスを備えている。この「高速モード」では、誤差拡散出力の階調数は8、網点マトリクスは4×4であることから、階調値1〜階調値7に対応して各々8種の4×4マトリクスを備えており、階調値に応じて8種を選択的に用いて2値化展開を実行する。階調値0に対しては常に全てのドットをOFFとして処理する。
【0142】
一方、図21に示すように、「高品位モード」では階調値毎に4種の網点マトリクスを備えている。この「高品位モード」では、誤差拡散出力の階調数は4、網点マトリクスは2×2であることから、階調値1〜階調値3に対応して各々4種の2×2マトリクスを備えており、階調値に応じて4種を選択的に用いて2値化展開を実行する。また同様に、階調値0に対しては常に全てのドットをOFFとして処理する。ここで同一階調値に対応する網点マトリクスの選択制御はランダムに実行されるものであり、各々の選択確率は等価である。
【0143】
次に、第4の実施形態において特徴的な不吐出検知に応答した量子化制御について詳細に説明する。第4の実施形態では、上述のように、誤差拡散法を用いた量子化処理(N値化処理)を例に挙げて説明する。
【0144】
まず、印字モード毎の不吐出ノズル発生による影響について「高速モード」を例に挙げて説明する。「高速モード」においては、コントローラ内のデータ処理では誤差拡散処理によって8値化された画像形成情報を4×4のサイズの網点マトリクスを用いて展開し、エンジン側では展開されたドットデータに基づいて「テーブル参照方式」によりパスデータを生成して2パス記録が行われる。そして、不吐出ノズルは所定ラインの50%のドット形成を割り当てられることから、マクロ的に見ると1つおきのドットを形成しているとみなすことができる。即ち、4×4マトリクス内のドット座標に割り当てられるノズル数は8とみなす。1つのノズルに不吐出が発生すると、不吐出ノズルがドット形成に関与する画素では4×4のうち2つの座標で正しくドット形成が行われないことになる。このようにして、2つのノズルならば4つの座標、3つのノズルならば6つの座標、4つのノズルならば8つの座標、…、で実際の画像形成が行われない。
【0145】
N値誤差拡散処理では、N個の出力階調値に対応したN個の評価値が必要である。即ち、「高速モード」では、階調値0〜階調値7に対応した評価値が必要である。更に、不吐出ノズルの数に応じて不吐出ノズル0〜8個について各々独立の評価値が必要となるため、それぞれの階調値に対して不吐出ノズルが0個、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個の場合の評価値が用意される。ここで階調0評価値は常に0である。従って、予め不吐出S階調T評価値という形式(Sは0〜8の整数、Tは1〜7の整数)で表される評価値を備えており、不吐出ノズルの発生状況に応じてその影響を適切に反映させるべくこれらの評価値を選択して設定する。
【0146】
図14は、第4の実施形態における誤差拡散処理を示すフローチャートである。まず、着目画素の画素値を入力し(ステップS1401)、着目画素のライン番号(Y座標)を算出して着目画素のライン形成に関与する不吐出ノズル数Sを取得する(ステップS1402)。不吐出ノズルが形成すべきライン番号はY=(639−M)+640×Rで表すことができる(Mはノズル番号、Rは整数である)。次に、不吐出ノズル数Sに対応した階調値毎の評価値、即ち、不吐出S階調1評価値、不吐出S階調2評価値、…、不吐出S階調(N−1)評価値、を取得する(ステップS1403)。階調値0に対する評価値は常に0である。
【0147】
次に、元の画素値に対して周辺画素より拡散された誤差値を加算した補正画素値を算出し(ステップS1404)、補正誤差値と(N−1)個の判定閾値とを比較することにより出力階調値を得る(ステップS1405)。そして、階調値に対応した評価値と補正誤差値との間の差分である誤差値を算出し(ステップS1406)、この誤差値を所定の拡散マトリクスに従って周辺画素A〜Gに分配する(ステップS1407)。
【0148】
このように、量子化処理の制御を行うことにより、不吐出ノズルがドット形成すべきラインでは、不吐出ノズルが形成すべきドットの割合に応じた誤差が周囲に伝播されることとなる。
【0149】
また、不吐出ノズルが形成すべきドット座標においてドットがONとなっても実際にはドットの形成が行われない。不吐出発生状況に応じて評価値を制御することにより不吐出の状態を正しくデータ処理に反映させることができる。
【0150】
即ち、入力画像情報に対する誤差拡散法を用いた2値化処理において、不吐出ノズルが形成すべきラインに対しては不吐出ノズルが形成すべきドットの割合に応じて出力階調値毎の評価値を小さ目に設定して誤差を算出することにより、不吐出ノズルが形成すべき座標の周辺に正の誤差を拡散させてドットの発生を促すことができる。
【0151】
また、不吐出ノズルが形成すべきドット座標に代わり、周辺の座標にドットを発生させるよう制御することにより、特定の補完ノズルに負荷を集中させることなく、更にはスループットの低下を引き起こすことなく、効率良く不吐出ノズル発生による画品位の劣化を抑制することができる。
【0152】
以上詳細に説明した第4の実施形態によれば、誤差拡散法による疑似階調表現において不吐出ノズル情報に応じて誤差算出時の出力階調値ごとの評価値を制御することにより、プリントヘッドの不吐出発生に際し、不吐出状態を量子化処理に正しく反映させることが可能になり、代わりに周辺座標におけるドットONを促進することにより、不吐出発生による画品位の劣化を効率良く抑制する。
【0153】
また、補完記録による特定のノズルの極端な負荷増大が原因となる低寿命化を回避し、マルチパス記録におけるドット割り当て変更を可能にするためのスループットの低下を引き起こすことなく、更には画品位の劣化を抑制して濃度ムラのない高品位な画像形成を実現することができる。
【0154】
[第1乃至第4の実施形態の変形例]
第1乃至第4の実施形態では、ブラック(Bk)、シアン(Cy)、マゼンタ(Mg)、イエロー(Ye)の4色のインクを用いたインクジェット方式の画像形成システムについて説明したが、色数や色種はこれに限定するものではない。Bkを除く3色インクを用いたものであっても良く、他の特別色を追加したものや、ライトCyやライトMgなど低濃度の淡色インクを併用したものであっても良い。また搭載するプリントヘッドは1組(各色1つ)に限定するものではなく、複数組(各色2つ以上)のプリントヘッドを備えて高速処理を実現する画像形成システムなどにも適用できる。
【0155】
また、第1乃至第4の実施形態では、処理すべき画素と同一ラインの画素の他に下方の1ラインに誤差を拡散する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、下方の2ライン以上の画素に対して誤差を拡散する方式に適用することも可能である。また、誤差の拡散対象となる画素数についても制限されるものではない。
【0156】
また、第1乃至第4の実施形態では、ライン毎に常に決められた方向に画素を処理していく方式について説明したが、ライン毎に処理方向を交互に切り替えるものであっても良いし、ランダムに処理方向を選択するものであっても良い。
【0157】
また、第1乃至第4の実施形態では、最終的に2値画像データにより単一サイズのドットを用いて画像を形成するもの(2値記録)について説明したが、3値以上の多値画像データに基づき、異なる複数サイズのドットを選択的に形成して画像を完成させるもの(多値記録)や同一インクの重ね打ちを行うものであっても良い。
【0158】
また、第1乃至第4の実施形態では、多値誤差拡散処理の出力階調数として、2×2の網点マトリクスを用いる場合には4値、4×4の網点マトリクスを用いる場合には8値を例に挙げて説明したが、マトリクスサイズに対する出力階調数は印字モード、記録メディア、プリントヘッド特性、などに応じて最適に設定されるべきものである。また、出力階調数は4や16に限定されるものではなく、2以上の全ての出力階調数に適用できることは言うまでもない。
【0159】
また、第1乃至第4の実施形態では、量子化処理やパスデータ生成処理をインクジェット記録装置内部で行う構成について説明したが、これらの一部或いは全部を接続されるホストPC側のドライバやその他の外部装置で実現する構成であっても良いことは明らかである。
【0160】
また、第1乃至第4の実施形態では、プリントヘッドの動作原理や構成により制限されるものではない。即ち、プリントヘッドは吐出口近傍に発熱素子(電気/熱エネルギー変換素子)を設け、この発熱素子に電気信号を印加することによりインクを局所的に加熱して圧力変化を起こさせ、インクを吐出口から吐出させるサーマル方式であっても良いし、ピエゾ素子等の電気/圧力変換手段を用いてインクに機械的圧力を付与してインクを吐出させるピエゾ方式であっても良い。
また、本発明に係る画像形成システムの形態は、コンピュータやワードプロセッサをはじめとする情報処理装置の画像出力装置として一体又は別体に設けられるものに限らず、読取装置と組み合わせた複写装置や通信機能を有するファクシミリ装置などであっても良い。
【0161】
[他の実施形態]
尚、本発明は複数の機器(例えば、ホストコンピュータ,インターフェース機器,リーダ,プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置(例えば、複写機,ファクシミリ装置など)に適用しても良い。
【0162】
また、本発明の目的は前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(CPU若しくはMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0163】
この場合、記録媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0164】
このプログラムコードを供給するための記録媒体としては、例えばフロッピー(登録商標)ディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROMなどを用いることができる。
【0165】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0166】
更に、記録媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0167】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、インク不吐出が原因となる白抜けを回避しながら、特定のノズルへの吐出デューティの増大が原因となる画品位の劣化やスループットの低下、記録ヘッドの低寿命化などを回避、抑制し、信頼性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態における誤差拡散処理を示すフローチャートである。
【図2】第1の実施形態における誤差拡散処理部の概略構成を示すブロック図である。
【図3】インクジェット記録装置における記録部の構成を示す図である。
【図4】第1の実施形態における画像データ処理部の概略構成を示す図である。
【図5】エンジン内のバンドメモリ制御部2712の概略ブロック図である。
【図6】プリントヘッドにおけるノズル配列を説明する概念図である。
【図7】第1の実施形態における1パス記録動作の様子を説明する図である。
【図8】第1の実施形態における誤差拡散マトリクスを説明する図である。
【図9】第2の実施形態における誤差拡散処理を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施形態におけるエンジン内のバンドメモリ制御部の概略ブロック図である。
【図11】第2の実施形態における走査毎のドット形成の様子を説明する図である。
【図12】第2の実施形態における2パス記録動作の様子を説明する図である。
【図13】第3の実施形態における誤差拡散処理を示すフローチャートである。
【図14】第4の実施形態における誤差拡散処理を示すフローチャートである。
【図15】第4の実施形態における多値誤差拡散処理部の概略構成を示すブロック図である。
【図16】エンジン内のバンドメモリ制御部2712のマルチパス記録を実現する記録走査毎の記録データであるパスデータの生成に着目した概略ブロック図である。
【図17】第4の実施形態における画像データ処理部の概略ブロック図である。
【図18】第4の実施形態におけるマスクテーブルの一例を示す図である。
【図19】第4の実施形態における2パス記録動作の様子を説明する図である。
【図20】第4の実施形態の「高速モード」で選択使用される網点マトリクスを示す図である。
【図21】第4の実施形態の「高品位モード」で選択使用される網点マトリクスを示す図である。
【図22】第4の実施形態における印字モード毎の画像形成動作を説明する図である。
【図23】第4の実施形態における印字モード毎のデータ処理を説明する図である。
【図24】記録走査毎のマスクテーブルの一構成例を示す図である。
【図25】図24で示したマスクテーブルを用いた記録走査の様子を説明するための図である。
【図26】インクジェット記録装置のコントローラ部の概略構成を示すブロック図である。
【図27】インクジェット記録装置のエンジン部の概略構成を示すブロック図である。
【図28】画像データ処理部2613における画像データ処理の流れを示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の吐出部を有する記録ヘッドを記録媒体上に走査させ、入力された画像の画素値に基づいてインクを吐出して各画素のドットを形成する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータ(PC)、複写機又はワードプロセッサなどのOA機器が広く普及しており、これらのOA機器の画像形成(記録)装置の一種として、インクジェット方式によりディジタル画像記録を行う装置が急速に発展及び普及している。特にOA機器の高機能化と共にカラー化が進んでおり、これらに伴って様々なカラーインクジェット記録装置が開発されてきている。
【0003】
一般に、インクジェット記録装置には、記録手段(プリントヘッド)、インクタンクを搭載するキャリッジ、記録紙を搬送する搬送手段及びこれらを制御する制御手段が具備されている。そして、複数の吐出口からインク液滴を吐出させるプリントヘッドを記録紙の搬送方向(副走査方向)と直行する方向(主走査方向)にシリアルスキャンさせ、一方で非記録時に記録幅に等しい量で間欠搬送するものである。更に、カラー対応のインクジェット記録装置の場合には、複数色のプリントヘッドから吐出されるインク液滴の重ね合わせによりカラー画像を形成している。
【0004】
インクジェット記録装置において、インクを吐出させる方法としては、吐出口近傍に発熱素子(電気/熱エネルギー変換体)を設け、この発熱素子に電気信号を印加することによりインクを局所的に加熱して圧力変化を起こさせてインクを吐出口から吐出させるサーマル方式、又はピエゾ素子等の電気/圧力変換手段を用いてインクに機械的圧力を付与してインクを吐出するピエゾ方式などが用いられている。一般に、前者のサーマル方式はノズルの高密度化が容易で、ヘッドを低コストで構成できる反面、発熱を利用しているためにインクやヘッドの劣化を招き易い。一方、後者のピエゾ方式は吐出制御性に優れ、インクの自由度が高く、ヘッド寿命が半永久的であるといった特徴がある。
【0005】
これらの記録方法は、記録信号に応じてインクを微少な液滴として吐出口から記録媒体上に吐出することにより文字や図形などの記録を行うものであり、ノンインパクトであるため騒音が少ないこと、ランニングコストが低いこと、装置が小型化し易いこと、カラー化が容易であることなどの利点を有していることから、コンピュータやワードプロセッサ等と併用され、或いは単独で使用される複写機、プリンタ、ファクシミリ等の記録装置における画像形成(記録)手段として広く用いられている。
【0006】
図26及び図27は、インクジェット記録装置のコントローラ部及びエンジン部の概略構成を示すブロック図である。
【0007】
まず、コントローラ部の機能及び概略動作について説明する。図26において、CPU2601はUSBインタフェース2604或いはIEEE1394インタフェース2605を介してホストPC2606(2607)に接続されており、制御プログラムを格納したROM2609や更新可能な制御プログラムや処理プログラムや各種定数データなどを格納したEEPROM2610、及びホストPC2606から受信したコマンド信号や画像情報を格納するためのRAM2608にアクセスし、これらのメモリに格納された情報に基づいて記録動作を制御する。操作パネル2612のキーから入力される指示情報は操作パネルインタフェース2611を介してCPU2601に伝達され、またCPU2601からの命令により同様に操作パネルインタフェース2611を介して操作パネル2612のLED点灯やLCD表示が制御される。拡張インタフェース2615はLANコントローラやHDDなどの拡張カードを接続することにより機能拡張を行うためのインタフェースである。画像情報は画像データ処理部2613で各インク色のドットデータに変換され、エンジン部へ出力される。またコントローラ部とエンジン部との間の各種コマンドやステータス情報の送受信は同様に画像データ処理部2613を介して行われる。
【0008】
次に、エンジン部の機能及び動作概要について説明する。図27において、エンジン部はバンドメモリ制御部2712を介してコントローラ部と接続されている。CPU2701は制御プログラムを格納したROM2703や更新可能な制御プログラムや処理プログラムや各種定数データなどを格納したEEPROM2704、及びコントローラ部から受信したコマンド信号や画像情報を格納するためのRAM2702にアクセスし、これらのメモリに格納された情報に基づいて記録動作を制御する。出力ポート2705及びキャリッジモータ制御回路2707を介してキャリッジモータ2709を動作させることによりキャリッジ2711を移動させ、また出力ポート2705及び紙搬送モータ制御回路2706を介して紙搬送モータ2708を動作させることにより搬送ローラなどの紙搬送機構2710を動作させる。更に、CPU2701はRAM2702に格納されている各種情報に基づきバンドメモリ制御部2712やプリントヘッド制御部2714を制御してプリントヘッド2715を駆動することにより記録媒体上に所望の画像を記録することができる。
【0009】
また、不図示の電源回路からはCPUや各種制御回路を動作させるためのロジック駆動電圧Vcc(例えば3.3V)、各種モータ駆動電圧Vm(例えば24V)、プリントヘッドを駆動させるためのヒート電圧Vh(例えば12V)等が出力される。
【0010】
従来のインクジェット記録方法において、インクのにじみのない高発色カラー画像を得るためにはインク吸収層を有する専用コート紙を使用する必要があったが、近年はインクの改良等によりプリンタや複写機等で大量に使用される普通紙への印字適性を持たせた方法も実用化されている。更には、OHPシートや布、プラスチック、シート等の様々な記録媒体への対応が望まれており、このような要求に応えるため、インクの吸収特性が異なる記録媒体(記録メディア)を必要に応じて選択した際に記録媒体の種類に係わりなく最良の記録が可能な記録装置の開発及び製品化が進められている。また、記録媒体の大きさについても、宣伝広告用のポスタや衣類等の織布では大きいサイズのものが要求されてきている。このようなインクジェット記録装置は、優れた記録手段として幅広い分野で需要が高まっており、より一層高品位な画像の提供が求められ、また更なる高速化への要求も一段と高まっていると言える。
【0011】
一般に、カラーインクジェット記録方法はシアン(Cy),マゼンタ(Mg),イエロー(Ye)の3色のカラーインクを使用し、更にはブラック(Bk)を加えた4色のインクを使用してカラー記録を実現する。このようなカラーインクジェット記録装置においては、キャラクタのみ印字するモノクロインクジェット記録装置と異なり、カラーイメージ画像を記録するに当たり、発色性や階調性、一様性など、様々な要素が必要となる。
【0012】
また、インクジェット記録装置では、更に多階調として自然画像をより高品位に形成するため、従来の(Cy),マゼンタ(Mg),イエロー(Ye),ブラック(Bk)の4色に加え、インク濃度の低いライトCy,ライトMg,ライトYeの3色を加えた7色インクを用いることにより、ハイライト部分の粒状感を軽減したものなどが多く実現されている。
【0013】
しかしながら、記録される画像の品位はプリントヘッド単体の性能に依存するところが大きい。即ち、プリントヘッドの吐出口の形状や電気/熱変換体(吐出ヒータ)のばらつきなどのプリントヘッド製作工程時に生じるノズル毎の僅かな違いがそれぞれに吐出されるインクの吐出量や吐出方向の向きに影響を及ぼし、最終的に形成される記録画像の濃度ムラとして画像品位を劣化させる原因となる。その結果として、ヘッド主走査方向に対して周期的にエリアファクタ100%を満たせない“白”の部分が存在したり、逆に必要以上にドットが重なり合ったり、或いは白筋が発生したりすることとなる。これらの現象が、通常人間の目で濃度ムラとして感知される。
【0014】
そこで、これらの濃度ムラ対策としてマルチパス記録法と呼ばれる方式が提案されている。簡単のために8ノズルからなる単一インク色ヘッドを用いた場合を例に挙げて説明する。
【0015】
まず、偶数列/奇数列パターンや千鳥/逆千鳥パターンを用いて記録データを間引くことによりパスデータを生成する固定マスク方式を採用して2パス記録を実現する場合について説明する。第1走査において千鳥パターンを記録し、記録幅の半分(4ドット幅)だけ紙送りを行った後、第2走査において逆千鳥パターンを記録することにより記録を完成する。即ち、順次4ドット単位の紙送りと、千鳥/逆千鳥パターンの記録を交互に行うことにより、4ドット単位の記録領域を1スキャン毎に完成させていく。
【0016】
次に、記録ドットと非記録ドットとが乱数的に配列されたランダムマスクパターンなどを用いて記録データを間引くことによりパスデータを生成するテーブル参照方式を採用して2パス記録を実現する場合について説明する。
【0017】
図24は、記録走査毎のマスクテーブルの一構成例を示す図である。図24に示すテーブル領域A,Bはそれぞれ第1パス,第2パスにおいて使用する相補的なマスクテーブルである。テーブルは1bit/dotで、0はマスク対象であることを示し、1は非マスク対象であることを示す。マスクテーブルA,Bはそれぞれが主走査方向12画素×副走査方向4画素に対応したサイズのテーブルであり、これを各方向に繰り返し展開してマスクデータとして使用する。プリントヘッドが備えるノズル数は8であり、2パス記録における紙搬送量に相当する画素数は8/2=4であり、これはテーブルA及びBの副走査方向サイズと一致する。
【0018】
図25は、図24で示したマスクテーブルを用いた記録走査の様子を説明するための図である。8個のノズルに対応する8ラインのデータに対して、4ライン毎にA,Bをマスクパターンとして適用する。各記録走査においては、格納されたマスクテーブルを用いて画像データのマスク処理(記録ドットを非記録ドットに置き換える)を実行し、パスデータを生成出力する。具体的には、画像データとマスクデータとの論理積をとることにより、マスクデータが1である場合には画像データをそのまま出力し、マスクデータが0である場合には画像データを0に置き換えることにより実現される。全ての画像領域は、常に2回の走査によりA,Bの順にマスク処理されて記録データが生成されることになる。ここで、A,BのマスクOFF(1)比率は等しく各々50%程度である。
【0019】
このようにして、1つのラインを異なる2つのノズルを用いて記録することにより、濃度ムラを抑えた高品位な画像を形成することができる。またマルチパス記録法は、インクを乾かしながら記録していくことによりブリーディング(にじみ)を抑えるといった効果や、走査毎の記録ドットを低減することから吐出不良の原因となるプリントヘッドの昇温を抑制する効果、なども同時に達成できる。ここでは主走査方向について説明したが、副走査方向に対して連続するドットを間引いて記録することにより更なる高画質化が可能になる。また、ノズル解像度よりも高い解像度で副走査方向の画像形成を実現したい場合には、この副走査方向の間引き記録は必須の処理となる。
【0020】
各走査のパスデータを生成する方法としては、上述のような記録ドットと非記録ドットとが乱数的に配列されたランダムマスクパターンなどを用いて記録データを間引くことによりパスデータを生成する方法(テーブル参照方式と称す)や、偶数列/奇数列パターンや千鳥/逆千鳥パターンを用いて記録データを間引くことによりパスデータを生成する方法(固定マスク方式と称す)のほかに、記録ドットに着目して間引き処理を行うことによりパスデータを生成する方法(データマスク方式と称す)、或いはこれらを併用した方式などが知られている。
【0021】
次に、図26に示したコントローラ部内の画像データ処理部2613における画像データ処理について説明する。
【0022】
図28は、画像データ処理部2613における画像データ処理の流れを示す図である。例えば、ホストPC2606より受信されたRGBの多値画像データは色変換処理2801によってインク色(例えばCy,Mg,Ye,Bk)の多値画像データに変換され、続いて、量子化処理2802によってインク色毎の2値データに変換される。このようにして、多値画像データはエンジン部(プリントヘッド)において出力可能なレベル(ここでは2値)に変換される。
【0023】
この量子化処理の方法として誤差拡散法とディザ法が広く知られている。誤差拡散法では、注目画素について周辺画素に拡散係数を割り当て、注目画素において発生する量子化誤差を拡散係数に応じて周辺画素に振り分ける。これにより、画像全体の濃度は保存されることになり、良好な疑似階調表現が可能となる。一方、ディザ法では、マトリクス状の閾値からなるディザマトリクスを用意しておき、各閾値と入力データの各画素との1対1の画素比較を行い、ON/OFFを決定する。一般に、ディザ法では、誤差拡散法を適用した画像に比べて画品位が低下する傾向にあるが、誤差拡散法は誤差が伝播するまで次画素の処理に移行できず高速処理が困難である。
【0024】
基本的な誤差拡散法の2値化処理方法を具体的に説明する。図8は矢印で示すようにラスタの左から右に処理する際の拡散係数マトリクスの一例である。この拡散係数マトリクスとは、各画素に対する誤差の伝播割合を示すものである。誤差拡散法では、閾値と画素値の比較を行い、ドットのON/OFFを判定すると同時に、その誤差を算出して周囲の画素値に伝播させる。ここで誤差は画素値と評価値の差で表される。評価値は10ビット(1024階調)画素値に対してONならば1023、OFFならば0、閾値を512固定とすると、画素値が722の場合には判定結果はドットON、誤差は301となる。この例では、同一ライン上の後続するA,Bの2画素と、下ラインのC,D,E,F,Gの5画素に誤差を拡散する。このように誤差の伝播を行うことで、画像データの濃度は保存される。
【0025】
また、最近のインクジェット記録装置のような高解像度の2値出力装置では、より滑らかな中間調画像を表現するために多階調で表現する誤差拡散法(多値誤差拡散法)が利用されている。以下に多値誤差拡散法と濃度パターン法とを組み合わせた量子化方法について具体例を挙げて説明する。
【0026】
まず、多値画像データに対して多値誤差拡散法により5値化処理を施す。多値誤差拡散法による5値化においては4つの閾値を備え、画素値との比較によって0〜4の出力値を決定する。そこで発生する誤差は2値化の際と同様にして拡散マトリクスに従って周囲の画素値へ伝播させる。更に、5値データに対して濃度パターン法を用いて2値データに展開する。具体的には、2×2の網点マトリクスに従って5値データを網点展開処理するものである。ここで、多値画像データの解像度(入力解像度)を600ppi×600ppi(ppiはpixel/inch)とし、プリントヘッドによる最終的な記録解像度(出力解像度)を1200dpi×1200dpi(dpiはdot/inch)とする。本方式により、ドットのON/OFFの2階調でしか表現できなかった各画素を拡張することによって5階調表現を可能とし、しかも高速化が困難な誤差拡散処理を出力解像度よりも低い600ppi×600ppiで実施することにより、誤差拡散の処理時間を1/4に削減することができる。
【0027】
実際のインクジェット記録装置においては、その印字モードなどに対応付けて入力解像度と出力解像度の関係を設定し、これに従った網点マトリクスサイズに応じて多値誤差拡散法による最適な出力階調数Nを選択して量子化処理を実行するものなどが提案されている。例えば、高速モードでは入力解像度300ppi×300ppiに対して多値誤差拡散法により8値化を行った後に4×4の網点マトリクスを用いて出力解像度1200dpi×1200dpiの記録ドットデータを生成し、高品位モードでは入力解像度600ppi×600ppiに対して多値誤差拡散法により4値化を行った後に2×2の網点マトリクスを用いて出力解像度1200dpi×1200dpiの記録ドットデータを生成する。これにより、目的に応じて処理の高速化と高品位化とのバランスに優れた量子化処理が可能になる。
【0028】
また、Bkのみ他インク色よりも吐出インク滴量が多くなるよう構成し、Bkのみ低い解像度で画像形成を行うことで、モノクロ画像形成を高速化するインクジェット記録装置なども実用化されている。このような装置においては、例えば全てのインク色に対して入力解像度300ppi×300ppiで、Bkのみが出力解像度600dpi×600dpi、他のインク色が出力解像度1200dpi×1200dpiであれば、Bkでは多値誤差拡散法により4値化を行った後に2×2の網点マトリクスを用いて展開し、他のインク色においては多値誤差拡散法により8値化を行った後に4×4の網点マトリクスを用いて展開する、といった処理が必要となる。
【0029】
また、インクジェット記録装置のプリントヘッドにおいては、インク吐出を行わない状態で長時間放置された場合など、特に吐出口近傍のインク液路内においてインクが増粘し、正常な吐出が行われなくなることがある。また、記録ドットの比率が高い(記録デューティが高い)記録動作が連続する場合などインク吐出に伴ってインク液路内のインク中に微細な気泡が生じ、これが成長し、この成長した気泡がその液路内に残留して吐出に影響を及ぼし、同様に正常な吐出が行われなくなることがある。この気泡は、先に述べた吐出に伴って発生するものの他に、インク供給路の接続部などのインク供給系においてインク中に混入するものもある。これらの原因によるインクの吐出不良や不吐出により、記録装置の信頼性が下がるだけでなく、正常に吐出できない状態で記録を継続すると、正常な場合に比べてプリントヘッドが遥かに高い温度まで昇温してしまい、プリントヘッド自体にダメージが生じ、耐久性が損なわれる場合がある。
【0030】
このような吐出不良に対してインクジェット記録装置では、以下のような回復処理が行われる。
(1)吐出を行わない時にプリントヘッドの吐出口面を被覆してインクの増粘を防止するキャッピング処理
(2)キャッピング状態で吐出口からインクを吸引して増粘インクを強制排出させるインク吸引処理
(3)インク吸収体などで構成される所定のインク受けにインクを吐出して増粘インクを排出する予備吐出処理
また、各ノズルのヒータの特性劣化や破損などにより吐出不良や不吐出を引き起こすこともある。このような場合、上述した回復動作で正常な状態に復帰できるものではなく、基本的にはプリントヘッドを交換するほか手立てがない。
【0031】
以上のような吐出不良や不吐出に対して記録装置の信頼性向上の目的でこれを検知する手段を設けることが好ましい。更には、プリントヘッドが有する複数の吐出部の各々に対して個別に吐出不良を検知できることが好ましい。検知手段としては、インク飛翔経路側方に配置した光センサを用いる方法や、空吐出によりプリントヘッドに生じる温度上昇及びその後の温度の降下により判断する方法、所定のテストパターンを記録して読み取ることにより検知する方法、などが多く用いられている。
【0032】
近年の画像形成(プリントヘッド)の高密度化や小液滴化により、不吐出ノズルの画品位への影響は非常に小さくなっており、その数量によっては影響が認識できない場合がある。しかしながら、少ないパス数でのマルチパス記録や1パス記録などでは画像情報の特性によって白抜けや濃度差によりスジむらとして認識されてしまうため、不吐出ノズルの補完記録を実現することが好ましい。
【0033】
検出した不吐出ノズルに対してこれを補完する方法としては、予め通常の記録では使用しないノズルを備え、この不吐出補完用ノズルが不吐出ノズルに代わって補完記録するものが提案されている。しかし、プリントヘッドが余分なノズルを備えることは、プリントヘッドの小型化の妨げになるだけでなく、プリントヘッドのコストを大きく引き上げることになる。
【0034】
更に、別の手法としては、不吐出が検知されたノズルに対してマルチパス記録において同一ラインを形成する他のノズルに不吐出ノズルが記録すべきドットを割り当てることで補完記録を実現する方式がある。また、記録処理の高速化の目的で複数組のプリントヘッドを備えたものが提案されており、このようなインクジェット記録装置においては、同一ラインを形成する他ヘッドのノズルに不吐出ノズルが記録すべきドットを割り当てて補完記録を実現することもできる(例えば、特許文献1参照。)。
【0035】
【特許文献1】
特開2001−010030号公報
【発明が解決しようとする課題】
上述したマルチパス記録において、不吐出ノズルと同一ラインを形成する他のノズルとが補完記録する方式について2パス記録を例に挙げて説明する。通常の2パス記録では、1パス目に50%のデューティで間引き記録を行い、2パス目で残りの50%の記録を行う。ここで、あるノズルに不吐出が発生すると、この不吐出ノズルが形成すべきラインについては1パス目(又は2パス目)において全くドットが形成されないため、最終的に50%のドットしか形成できない。これを補完して100%のドットを形成するためには、不吐出ノズルが形成すべきドットを他のノズル(補完ノズル)が不吐出ノズルに代わって形成する必要がある。
【0036】
しかしながら、不吐出ノズルに対する上記補完記録において主に以下の2つの大きな課題が存在する。
【0037】
まず、1つ目はプリントヘッドの駆動周波数に関わる問題である。一般的に、プリントヘッドが正常に吐出できる駆動周波数(吐出周波数)には上限がある。例えば、プリントヘッドの各ノズルでは吐出動作の間にインクの再充填が行われるが、インク充填に必要な周波数はリフィル周波数と呼ばれ、これが連続するインク吐出動作に対する制約の1つとなっている。プリントヘッドを搭載したキャリッジを記録媒体に対して移動(走査)する際に、最終的に形成するドット解像度に対して最大吐出周波数に相当する速度以下で走査すれば全てのドット座標に対してインク吐出が可能であるが、最大吐出周波数に相当する速度を越える速度で走査する場合には少なくとも1つおきのドット座標に対してのみインク吐出が可能になる。
【0038】
即ち、キャリッジを高速に走査させることは画像形成処理の高速化につながるため、例えば吐出周波数の2倍に相当する速度でキャリッジを走査させ、各走査においては最大で1列おきのドット形成のみを行い、2回の走査で画像を完成させる、「キャリッジ2倍速2パス記録」などが多く採用されている。
【0039】
ここで、この「キャリッジ2倍速2パス記録」においては各走査で各ノズルの100%の吐出能力を引き出して画像形成を実現するため、不吐出ノズルが発生した場合においても、同一ラインを形成する他方のノズルは不吐出ノズルに代わってドットを形成する余力を持たない。このため、不吐出補完記録を行うためにはキャリッジ速度を半減させるか、もしくは記録パス数を4以上に変更するほか手立てがない。即ち、何れの方式においても補完記録のためには画像形成時間を大幅に増大させてしまうといった問題点がある。
【0040】
次に、2つ目はインク吐出デューティに関わる問題である。例えば、サーマル方式のプリントヘッドでは、与えられる熱量、言い換えると、インク吐出動作の総数が増すに従い、各ノズルにおける熱変換特性の劣化やヒータ断線などの障害を引き起こし、これが吐出不良、不吐出の原因となって安定した画像形成動作の妨げとなる。
【0041】
通常のマルチパス記録においては、各走査に対するドット数の割り当て比率はほぼ均等に設定しており各ノズルの吐出回数に大きな差はない。しかしながら、不吐出ノズルが形成すべきドットをマルチパス記録により同一ラインを形成する他のノズル(補完ノズル)に割り当てると、この補完ノズルの吐出デューティは他のノズルと比較して大幅に増大してしまう。例えば、上述した2パス記録では、他のノズルが各ラインの最大50%のドットを形成するだけなのに対して補完ノズルは最大100%のドットを形成しなければならない。つまり、補完ノズルには相対的に多大な負荷が与えられ、結果として吐出特性の劣化を招く可能性が高まることになる。
【0042】
更には、他のラインと比較して、或いは他のインク色と比較して、複数の記録走査に対して極めて偏ったデューティの記録が行われることは、少なからず最終的な画品位にも影響を与える。一般に隣接するドットを短い時間間隔で形成すると、連続するドットが滲んでしまい粒状性を始めとする画品位の劣化を引き起こす場合がある。このようなドット形成の違いは、単一ラインであれば隣接ラインに埋もれて比較的認識されにくいものの、同様のラインが連続して存在すると目立ちやすくなり、特に双方向記録の場合などにおいて人間の目にムラとして認識されてしまうといった問題点がある。
【0043】
また、上述した同一ラインを形成する他のノズルによりドットを補完する手法は、当然ながらマルチパス記録にしか適用することができない。しかしながら、ノズルの不吐出による画質への影響は、記録パス数が減少するほど顕著に認識され、特に1パス記録においては1ライン全てのドットが正しく形成されずに抜けてしまうことから非常に画品位を損なうこととなる。
【0044】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的はインク不吐出が原因となる白抜けを回避しながら、特定のノズルへの吐出デューティの増大が原因となる画品位の劣化やスループットの低下、記録ヘッドの低寿命化などを回避、抑制し、信頼性を向上させることにある。
【0045】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の吐出部を有する記録ヘッドを記録媒体上に走査させ、入力された画像の各画素値に基づいて記録媒体にインクを吐出してドットを形成する画像形成装置であって、前記記録ヘッドの吐出部の吐出不良情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得した吐出不良情報に基づき吐出不良な特定領域に対応する画素値のドット形成を制御し、該画素値をN(Nは2以上の整数)値に量子化する量子化手段と、前記量子化手段で量子化された値に基づき前記複数の吐出部によってドットを形成するドット形成手段とを備えることを特徴とする。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。
【0047】
図3は、インクジェット記録装置における記録部の構成を示す図である。図3において、301はプリントヘッドであり、ブラック(Bk)、シアン(Cy)、マゼンタ(Mg)、イエロー(Ye)の4色のカラーインクがそれぞれ封入されたインクタンクと、それぞれに対応した独立した4つのヘッドからなるマルチヘッドにより構成されている。各色のノズル数は1280ノズルである。302はキャリッジであり、プリントヘッド301を支持し、記録と共にこれらを移動させる。尚、キャリッジ302は非記録状態などの待機時にはホームポジション位置HPにある。
【0048】
303は紙送りローラであり、不図示の補助ローラと共に記録紙305を押さえながら回転し、記録紙305をY方向に随時送っていく。304は給紙ローラであり、記録紙305の給紙を行うと共に紙送りローラ303及び補助ローラと同様に記録紙305を押さえる役割を果たす。ここで、プリントヘッド301はBk,Cy,Mg,Yeの各々4色について、それぞれ紙送り方向に配置された1280個のノズルをそれぞれ有している。
【0049】
ここで、上述した構成の記録部における基本的な記録動作について説明する。記録開始命令により、ホームポジション位置HPで待機中のキャリッジ302はX方向に移動しながらプリントヘッド301の複数のノズルにより記録データに従い記録紙305上にインクを吐出して記録を行う。その後、記録紙305端部まで記録データの記録が終了すると、キャリッジ302は元のホームポジション位置HPに戻る。そして、紙送りローラ303が矢印方向へ回転することによりY方向へ所定の幅だけ紙送りを行い、再びキャリッジ302はX方向に移動しながらインクを吐出して記録を開始する。このようなスキャン動作と紙送り動作との繰り返しによりデータ記録を実現する。
【0050】
尚、本実施形態のインクジェット記録装置は、ホストPCとの間で画像情報や各種制御情報のやりとりをするためのインタフェース、入力画像情報をインク色毎のドットのON/OFFデータに変換するための画像データ処理部などで構成されるコントローラ部(図26)と、記録紙の搬送やキャリッジの駆動などを行うと共にプリントヘッド301を制御して画像を形成するエンジン部(図27)とで構成されている。
【0051】
本実施形態におけるインクジェット記録装置は、同一の記録領域に対しては1回だけの記録走査で画像を完成させる1パス記録を採用している。即ち、全ての記録走査において走査領域の全ドットを形成するものであり、ライン画像は単一のノズルだけで形成されることになる。
【0052】
ここで、図を参照しながら、各記録走査における記録データ(パスデータ)を生成する動作について詳細に説明する。
【0053】
図5は、エンジン内のバンドメモリ制御部2712の概略ブロック図である。ここでは簡単化のため、単一インク色について説明する。図5において、501はメモリ部であり、図外のコントローラより入力されたドットデータを一時格納する。502は入力制御部であり、メモリ部501への記録データの書き込み処理を行う。503は出力制御部であり、プリントヘッドの記録紙面上の検出位置情報に応じて各走査で必要なドットデータの読み出し処理を行う。510は制御部であり、各部の状態を監視すると共に図内及び図外からの制御信号に応答して各種制御を行う。
【0054】
次に、バンドメモリ制御部2712全体の基本的なパスデータ生成動作について説明する。ラスタ走査された2値(1bit)の画像データ(ドットデータ)が図外のコントローラより入力され、入力制御部502を介してメモリ部501に一時格納される。ここで、ドットデータの1はドットを形成することを意味し、0はドットを形成しないことを意味する。出力制御部503は、制御部510からの記録エリア制御と走査情報とに基づき、各インク色に対応するノズル群の紙面上の位置に従って走査毎にメモリ部501に格納された2値の画像データを順次読み出して出力する。一度のデータ転送単位は使用ノズル数に相当する1280画素データである。
【0055】
上述したように、プリントヘッドは各色1280ノズルずつ備えており、図6に示すように、紙搬送に対して先行側よりノズル番号を#0,1,2,3,…,1279と付与している。頁記録開始より第1走査ではノズル#0〜#1279を用いて1280ラインを形成し、1280ライン相当の紙搬送を行った後に、第2走査でもノズル#0〜#1279を用いて続く1280ラインを形成する。続いて1280ライン相当の紙搬送を行った後に、第3走査でもノズル#0〜#1279を用いて続く1280ラインを形成する。以降、1280ライン相当の紙搬送と全てのドット形成とを順次繰り返し実行していく(図7)。
【0056】
[第1の実施形態]
次に、図26に示すコントローラ部内の画像データ処理部2613が入力画像情報をインク色毎の多値画像データに変換した後、誤差拡散法を用いて多値画像データを量子化することによりエンジン部へ出力する各インク色のドットデータを生成する第1の実施形態の処理について説明する。
【0057】
図4は、第1の実施形態における画像データ処理部の概略構成を示す図である。図4において、401は色変換部であり、入力された画像情報を4色のインク毎の多値画像データに変換する。402は誤差拡散処理部であり、誤差拡散法を用いて多値画像データを量子化することにより各インク色のドットデータを生成する。
【0058】
第1の実施形態における誤差拡散処理を説明する前に、まず基本的な誤差拡散法について説明する。ここでは簡単化のため、出力階調数を2として説明する。図8は、誤差拡散法における拡散係数マトリクスを示す図である。この例では、図中の矢印で示すように、ラスタの左から右に処理する際の拡散係数マトリクスの一例を示している。誤差拡散法では、閾値と画素値との比較を行い、ドットのON/OFFを判定すると同時に、その誤差を算出して周囲の画素値に伝播させる。ここで、誤差は画素値と評価値との差で表される。評価値は10ビット画素値に対してONならば1023、OFFならば0である。閾値は512(固定)とする。例えば、画素値が722の場合、判定結果はドットON、誤差は301となる。この例では、同一ラインの後続するA,Bの2画素と、その下方ラインのC,D,E,F,Gの5画素に誤差を拡散する。また、ライン番号Lの画素の量子化処理により発生するライン番号(L+1)への拡散誤差は、画素毎の拡散誤差として一旦誤差メモリに格納される。尚、発生誤差は符号付きの11bitデータである。
【0059】
次に、第1の実施形態における誤差拡散処理部402の構成及び誤差拡散処理(2値化)について詳細に説明する。尚、ここでは簡単化のため、単一インク色について説明する。
【0060】
図2は、第1の実施形態における誤差拡散処理部の概略構成を示すブロック図である。図2において、201は入力補正部であり、入力画素値に累積誤差値を加算して補正入力画素値を生成して出力する。202は比較部であり、補正入力画素値と閾値とを比較して階調値を出力する。203はドットON評価値選択部であり、図外からの制御情報に基づき階調値1の場合の評価値を選択出力する。204は評価値選択部であり、比較部202における比較結果に応じた階調値に対応する評価値を選択出力する。205は誤差算出部であり、補正入力画素値と評価値選択部204の出力である評価値との差分である誤差値を生成する。
【0061】
206〜212はそれぞれA拡散誤差算出部、B拡散誤差算出部、C拡散誤差算出部、D拡散誤差算出部、E拡散誤差算出部、F拡散誤差算出部、G拡散誤差算出部であり、画素A、画素B、画素C、画素D、画素E、画素F、画素Gへの拡散誤差を生成して出力する。213〜218はそれぞれA加算部、B加算部、C加算部、D加算部、E加算部、F加算部であり、前段の拡散誤差に対してそれぞれ画素Aへの拡散誤差、画素Bへの拡散誤差、画素Cへの拡散誤差、画素Dへの拡散誤差、画素Eへの拡散誤差、画素Fへの拡散誤差を加算する。219は遅延部であり、サイクル調整のための遅延処理を行う。
【0062】
次に、第1の実施形態における誤差拡散処理部402の基本的な量子化動作について説明する。
【0063】
図外から入力された画素値は入力補正部201へ供給される。この入力補正部201では、入力画素値と拡散誤差が累積された累積値とを加算して補正画素値を出力する。次の比較部202では、補正画素値と判定閾値との間の比較を行い、判定閾値より大きければドットONと判定して階調値1を、小さければドットOFFと判定して階調値0を出力する。次に、ドットON評価値選択部203では、図外からの制御信号により、2種のドットON評価値を選択して出力する。評価値選択部204では、ドットON判定ならばドットON評価値選択部203の出力であるドットON評価値を出力し、ドットOFF判定ならばドットOFF評価値を出力する。そして、誤差算出部205では、補正画素値と評価値との間の差分である誤差値を生成する。
【0064】
この誤差算出部205からの出力である誤差値は、C誤差拡散算出部208、D誤差拡散算出部209、E誤差拡散算出部210、F誤差拡散算出部211、G誤差拡散算出部212へ供給されて、それぞれ画素C、画素D、画素E、画素F、画素Gに対する拡散誤差が算出される。拡散される誤差は画素処理サイクル毎にF加算部218、E加算部217、D加算部216、C加算部215と累積加算され、下方ラインへの累積拡散誤差データとして図外の誤差メモリへ一時格納される。
【0065】
一方、誤差算出部205からの出力である誤差値は、A誤差拡散算出部206、B誤差拡散算出部207へも同様に供給されて、それぞれ画素A、画素Bに対する拡散誤差が算出される。また、B加算部214には図外の誤差メモリより上方ラインの処理時に拡散された上方ライン累積拡散誤差データが入力され、画素Bへの拡散誤差と加算される。更に、A加算部213により画素Aに対する拡散誤差を加算することで画素A〜画素Gにおいて順次加算された累積拡散誤差データが得られる。
【0066】
次に、不吐出検知に応答した量子化制御として、第1の実施形態において特徴的な不吐出ノズルが発生した場合の誤差拡散処理の制御方法について詳細に説明する。具体的には、上述した誤差拡散法による量子化処理(2値化処理)において、不吐出ノズルが形成すべきドット座標においてドットONと判定された場合の評価値を補正するものであり、不吐出ノズルが形成すべき画素座標については実際の画像形成が行われないことを考慮して、判定結果のドットON/OFFに関わらずドットOFFの場合の評価値(=0)を適用する。
【0067】
第1の実施形態では、1パス記録により画像形成を実現するもので、ライン形成は全て単一ノズルで行われる。即ち、不吐出ノズルが形成すべきラインの全てのドットは不吐出ノズルに割り当てられるべき座標である。また、1パス記録における紙搬送制御は常にノズル数に相当する1280ライン分であることから、不吐出ノズルが形成すべきラインは1280ライン毎に出現することになる。
【0068】
図1は、第1の実施形態における誤差拡散処理を示すフローチャートである。まず、着目画素の画素値を入力し(ステップS101)、その着目画素の画素座標を算出し、着目画素の座標が不吐出ノズルが形成すべきドット座標と一致するか否かを判定する(ステップS102)。ここで不吐出ノズルが形成すべき画素座標は(X,Y)=(P,(1279−M)+1280×R)で表すことができる(Mはノズル番号、PとRは整数である)。判定の結果、不吐出ノズルが形成すべきドット座標でなければ通常の評価値、即ち、ドットON時の評価値として1023を設定し、ドットOFF時の評価値として0を設定する(ステップS104)。
【0069】
一方、不吐出ノズルが形成すべきドット座標であれば、ドットON時の評価値として0を設定し、ドットOFF時の評価値として0を設定する(ステップS103)。即ち、判定閾値との比較結果がドットONであっても、ドットOFFであっても評価値は0となる。次に、元の画素値に対して周辺画素より拡散された誤差値を加算した補正画素値を算出し(ステップS105)、補正画素値と判定閾値とを比較する(ステップS106)。ここで、補正画素値が閾値と等しいか閾値より大きければドットONと判定し(ステップS107)、その補正画素値からドットON評価値を減算した値を誤差値とする(ステップS108)。また閾値より小さければドットOFFと判定し(ステップS109)、その補正画素値からドットOFF評価値を減算した値を誤差値とする(ステップS110)。そして、この誤差値を所定の拡散マトリクスに従って周辺画素A〜Gに分配する(ステップS111)。
【0070】
このように、量子化処理の制御を行うことにより、不吐出ノズルがドット形成すべき座標では、ドットON/OFF判定結果に関わらずドットOFFと同等の誤差が周囲に伝播されることとなる。
【0071】
そして、不吐出ノズルが形成すべきドット座標においてドットONとなっても実際にはドットの形成が行われない。ドットON時の評価値をドットOFF時と同様に0とすることにより、不吐出の状態を正しくデータ処理に反映させることができる。
【0072】
即ち、入力画像情報に対する誤差拡散法を用いた2値化処理において、不吐出ノズルが形成すべきドット座標に対しては常にドットOFFと同等に誤差を算出することにより、不吐出ノズルが形成すべき座標の周辺に正の誤差を拡散させてドットの発生を促す。そして、不吐出ノズルが形成すべきドット座標に代わり、周辺の座標にドットを発生させるよう制御することにより、特定の補完ノズルに負荷を集中させることなく、更にはスループットの低下を引き起こすことなく、効率良く不吐出ノズル発生による画品位の劣化を抑制することができる。
【0073】
尚、プリントヘッドの不吐出などの障害に関する情報の取得については、特に詳細には触れなかったが、その検出手段については光センサなどを用いた不吐出検知ユニットを本体に備えた構成であっても良いし、所定のテストプリントなどによってユーザが目視により不吐出ノズルを特定するものであっても良い。
【0074】
また、本体エンジン内で自動検出する構成であれば、ここで検出された情報はエンジンからコントローラへ通知される。一方、ユーザによって検出結果が操作パネルやホストPCを介して入力される場合には、コントローラからエンジンへ検出情報が通知される。つまり、検出手段に関わらず、プリント動作に伴う各種処理に先立って検出情報の取得手続きが実行され、関連ブロックがその検出した障害情報を取得するものである。
【0075】
また、不吐出と検知されたノズルであっても、通常の吐出制御によって微量の液滴を吐出させてしまう場合がある。或いは、時間経過による状態変化によって不吐出ノズルが正常な吐出動作に復帰することもある。
【0076】
従って、このような状態は正しい不吐補完動作を妨げることになるため、後段においてデータのドットONをマスクすることが好ましい。
【0077】
以上詳細に説明した第1の実施形態によれば、誤差拡散法による疑似階調表現において不吐出ノズル情報に応じて誤差算出時の評価値をドットOFFと同等に設定することにより、プリントヘッドの不吐出発生に際して、不吐出状態を量子化処理に正しく反映させることが可能になり、代わりに周辺座標におけるドットONを促進することにより、不吐出発生による画品位の劣化を効率良く抑制することができる。
【0078】
また、補完記録による特定のノズルの極端な負荷増大が原因となる低寿命化を回避し、マルチパス記録におけるドット割り当て変更を可能にするためのスループットの低下を引き起こすことなく、更には画品位の劣化を抑制して濃度ムラのない高品位な画像形成を実現することができる。
【0079】
[第2の実施形態]
次に、図面を参照しながら本発明に係る第2の実施形態を詳細に説明する。
【0080】
第1の実施形態では、1回の記録走査で全てのドットを形成して画像を完成させる1パス記録について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、同一領域について複数回の記録走査で画像を完成させるマルチパス記録に適用することも可能である。
【0081】
第2の実施形態におけるインクジェット記録装置は同一記録領域を複数回走査させて画像を形成するマルチパス記録方式を採用する。前述したように、マルチパス記録は、一つのラインを複数のノズルを用いて画像を形成することにより、ノズル毎のインクの吐出量や吐出方向の微少な違いによる濃度ムラを抑え、同時にパス毎の記録デューティを低減してインク滲みなどによる画品位の劣化を防ぐ記録方式である。
【0082】
ここでは、前述した「キャリッジ2倍速2パス記録」を例に挙げて説明する。尚、各走査では列方向に1画素おきに記録して2回の記録走査で画像を完成させるものである。具体的には、偶数回目の走査では偶数列のドットのみを形成し、奇数回目の走査ではこれと相補的な奇数列のドットのみを形成するものである。走査間で行われる紙搬送量は常に640画素相当(一定)であり、これはノズル数1280をパス数2で除算した値と一致する。そして、キャリッジをプリントヘッドの最大吐出周波数の2倍に相当する高い速度で駆動することにより、高速な画像形成処理を可能にしているものである。
【0083】
即ち、全ての記録走査において走査領域のおよそ半分のドットを形成するものであり、ライン画像は2つのノズルに分担されて形成されることになる。
【0084】
また第2の実施形態におけるインクジェット記録装置の記録部は図3に示した第1の実施形態の構成と同様である。また、内部を構成するエンジン部及びコントローラ部についても、その基本構成は図26及び図27に示した構成と同様である。
【0085】
以下、図面を参照しながら、各記録走査における記録データ(パスデータ)を生成する動作について詳細に説明する。
【0086】
図10は、エンジン内のバンドメモリ制御部2712のマルチパス記録を実現する記録走査毎の記録データであるパスデータの生成に着目した概略ブロック図である。ここでは簡単化のため、単一インク色について説明する。
【0087】
図10において、1001はメモリ部であり、図外のコントローラより入力されたドットデータを一時格納する。1002は入力制御部であり、メモリ部1001への記録データの書き込み処理を行う。1003は間引き出力制御部であり、プリントヘッドの記録紙面上の検出位置情報に応じて各走査で必要なドットデータの読み出し処理を行う。1010は制御部であり、各部の状態を監視すると共に図内、図外からの制御信号に応答して各種制御を行う。
【0088】
次に、バンドメモリ制御部の全体の基本的なパスデータ生成動作について説明する。ラスタ走査された2値(1bit)の画像データ(ドットデータ)が図外のコントローラより入力され、入力制御部1002を介してメモリ部1001に一時格納される。ここで、ドットデータの1はドットを形成、0はドットを形成しないことをそれぞれ意味する。間引き出力制御部1003は、制御部1010からの記録エリア制御と走査情報に基づき、各インク色に対応するノズル群の紙面上の位置に従って走査毎にメモリ部1001に格納された2値の画像データを順次読み出して出力する。但し、走査#(2K)では列座標X=2nで表わされる画素列(偶数列)だけ、また走査#(2K+1)では列座標X=2n+1で表わされる画素列(奇数列)だけを読み出して出力する。一度のデータ転送単位は使用ノズル数に相当する1280画素データである。図11は、この記録走査の様子を説明する図である。
【0089】
前述したように、プリントヘッドは各色1280ノズルずつ備えており、紙搬送に対して先行側よりノズル番号を#0,1,2,3,…,1279と付与している(図6)。頁記録開始より第1走査ではノズル#0〜#639のみを用いて640ライン(偶数列のみ)を形成し、640ライン相当の紙搬送を行った後、第2走査ではノズル#0〜#1279を用いて1280ライン(奇数列のみ)を形成する。続いて、640ライン相当の紙搬送を行った後、第3走査ではノズル#0〜#1279を用いて1280ライン(偶数列のみ)を形成する。これ以降、640ライン相当の紙搬送、偶数列のドット形成、640ライン相当の紙搬送、奇数列のドット形成、と順次繰り返して実行していく(図12)。
【0090】
また、図26に示すコントローラ部内の画像データ処理部2613の構成は、第1の実施形態と同様である。図4に示した画像データ処理部が入力画像情報をインク色毎の多値画像データに変換した後、誤差拡散法を用いて多値画像データを量子化することによりエンジン部へ出力する各インク色のドットデータを生成する。
【0091】
第2の実施形態における誤差拡散処理を説明する前に、まず基本的な誤差拡散法について説明する。ここでは簡単化のため、出力階調数を2として説明する。図8は、誤差拡散法における拡散係数マトリクスを示す図である。この例では、図中の矢印で示すように、ラスタの左から右に処理する際の拡散係数マトリクスの一例を示している。誤差拡散法では、閾値と画素値との比較を行い、ドットのON/OFFを判定すると同時に、その誤差を算出して周囲の画素値に伝播させる。ここで、誤差は画素値と評価値との差で表される。評価値は10ビット画素値に対してONならば1023、OFFならば0である。閾値は512(固定)とする。例えば、画素値が722の場合、判定結果はドットON、誤差は301となる。この例では、同一ラインの後続するA,Bの2画素と、その下方ラインのC,D,E,F,Gの5画素に誤差を拡散する。また、ライン番号Lの画素の量子化処理により発生するライン番号(L+1)への拡散誤差は、画素毎の拡散誤差として一旦誤差メモリに格納される。尚、発生誤差は符号付きの11bitデータである。
【0092】
次に、第2の実施形態での特徴的な不吐出検知に応答した量子化制御について詳細に説明する。第2の実施形態も第1の実施形態と同様、誤差拡散法を用いた量子化処理(2値化処理)を例に挙げて説明する。
【0093】
ここで、不吐出ノズルが発生した場合の誤差拡散処理の制御方法について説明する。第2の実施形態においては、誤差拡散法による量子化処理において不吐出ノズルが形成すべきドット座標においてドットONと判定された場合の評価値を補正するものである。具体的には、不吐出ノズルが形成すべき画素座標については実際の画像形成が行われないことを考慮して、判定結果のドットON/OFFに関わらずドットOFFの場合の評価値(=0)を適用する。
【0094】
第2の実施形態では、2パス記録により画像形成を実現するもので、ライン形成は全て1ドットおきに2つのノズルで行われる。即ち、不吐出ノズルが形成すべきラインは、偶数列だけを不吐出ノズルに割り当てられたラインと奇数列だけを不吐出ノズルに割り当てられたラインとが交互に存在する。また、2パス記録における紙搬送制御は常にノズル数の半分に相当する640ライン分であることから、不吐出ノズルが形成すべきラインは640ライン毎に出現することになる。
【0095】
図9は、第2の実施形態における誤差拡散処理を示すフローチャートである。まず、着目画素の画素値を入力し(ステップS901)、その着目画素の画素座標を算出し、着目画素の座標が不吐出ノズルが形成すべきドット座標と一致するか否かを判定する(ステップS902)。ここで不吐出ノズルが形成すべき画素座標は(X,Y)=(P,(639−M)+640×R)で表すことができる(Mはノズル番号、Rは整数、PはM=640以上かつP=偶数、或いはM=639以下かつP=奇数のとき偶数であり、M=640以上かつP=奇数、或いはM=639以下かつP=偶数のとき奇数である)。判定の結果、不吐出ノズルが形成すべきドット座標でなければ通常の評価値、即ち、ドットON時の評価値として1023を設定し、ドットOFF時の評価値として0を設定する(ステップS904)。
【0096】
一方、不吐出ノズルが形成すべきドット座標であれば、ドットON時の評価値として0を設定し、ドットOFF時の評価値として0を設定する(ステップS903)。即ち、判定閾値との比較結果がドットONであっても、ドットOFFであっても評価値は0となる。次に、元の画素値に対して周辺画素より拡散された誤差値を加算した補正画素値を算出し(ステップS905)、補正画素値と判定閾値とを比較する(ステップS906)。ここで、補正画素値が閾値と等しいか閾値より大きければドットONと判定し(ステップS907)、その補正画素値からドットON評価値を減算した値を誤差値とする(ステップS908)。また閾値より小さければドットOFFと判定し(ステップS909)、その補正画素値からドットOFF評価値を減算した値を誤差値とする(ステップS910)。そして、この誤差値を所定の拡散マトリクスに従って周辺画素A〜Gに分配する(ステップS911)。
【0097】
このように、量子化処理の制御を行うことにより、不吐出ノズルがドット形成すべき座標では、ドットON/OFF判定結果に関わらずドットOFFと同等の誤差が周囲に伝播されることとなる。
【0098】
そして、不吐出ノズルが形成すべきドット座標においてドットONとなっても実際にはドットの形成が行われない。ドットON時の評価値をドットOFF時と同様に0とすることにより、不吐出の状態を正しくデータ処理に反映させることができる。
【0099】
即ち、入力画像情報に対する誤差拡散法を用いた2値化処理において、不吐出ノズルが形成すべきドット座標に対しては常にドットOFFと同等に誤差を算出することにより、不吐出ノズルが形成すべき座標の周辺に正の誤差を拡散させてドットの発生を促す。そして、不吐出ノズルが形成すべきドット座標に代わり、周辺の座標にドットを発生させるよう制御することにより、特定の補完ノズルに負荷を集中させることなく、更にはスループットの低下を引き起こすことなく、効率良く不吐出ノズル発生による画品位の劣化を抑制することができる。
【0100】
以上詳細に説明した第2の実施形態によれば、誤差拡散法による疑似階調表現において不吐出ノズル情報に応じて誤差算出時の評価値をドットOFFと同等に設定することにより、プリントヘッドの不吐出発生に際して、不吐出状態を量子化処理に正しく反映させることが可能になり、代わりに周辺座標におけるドットONを促進することにより、不吐出発生による画品位の劣化を効率よく抑制することができる。
【0101】
また、補完記録による特定のノズルの極端な負荷増大が原因となる低寿命化を回避し、マルチパス記録におけるドット割り当て変更を可能にするためのスループットの低下を引き起こすことなく、更には画品位の劣化を抑制して濃度ムラのない高品位な画像形成を実現することができる。
【0102】
[第3の実施形態]
次に、図面を参照しながら本発明に係る第3の実施形態を詳細に説明する。
【0103】
第2の実施形態では、偶数列の画像形成と奇数列の画像形成とを繰り返し実行して画像を完成させる2パス記録に対して、実際に不吐出ノズルが形成する主走査方向の座標に対応付けて量子化制御を行う場合について説明した。
【0104】
第3の実施形態においては、主走査方向のドット座標に関わらず不吐出ノズルが一部形成するラインに対して均一の量子化制御を実行する方式について詳細に説明する。
【0105】
第3の実施形態においても、第2の実施形態と同様に、「2パス記録」を行うものとする。各走査では列方向に1画素おきに記録して2回の記録走査で画像を完成させるものであり、具体的には、偶数回目の走査では偶数列のドットのみを形成し、奇数回目の走査ではこれと相補的な奇数列のドットのみを形成するものである。走査間で行われる紙搬送量は常に640画素相当(一定)であり、これはノズル数1280をパス数2で除算した値と一致する。尚、全ての記録走査において走査領域のおよそ半分のドットを形成するものであり、ライン画像は2つのノズルに分担されて形成される。
【0106】
まず、不吐出ノズル発生による影響について説明する。前述した通り、ライン画素は偶数列に割り当てられたノズルと奇数列に割り当てられたノズルの2つのノズルによってドット形成が行われる。このライン画素を形成する一方のノズルに不吐出が発生すると、不吐出の影響により1/2のドットが実際に形成できないことになる。更にライン画素を形成する両方のノズルに不吐出が発生した場合には、全てのドットが形成できなくなってしまう。これは、記録走査毎に偶数列/奇数列のドット形成を交互に行う場合に限らず、ランダムに2つの記録走査に対して数量均等にドット座標を割り当てる場合についても同様である。
【0107】
ここで、不吐出ノズルが発生した場合の誤差拡散処理の制御方法について説明する。第3の実施形態においては、誤差拡散法による量子化処理において不吐出ノズルが形成すべきラインにおいてドットONと判定された場合の評価値を補正するものである。具体的には、不吐出ノズルが形成すべきラインについては実際の画像形成の一部(一方のノズルが不吐出の場合)、或いは全部(両方のノズルが不吐出の場合)が行われないことを考慮し、判定結果のドットON時の評価値を通常のドットON時の1/2(一方のノズルが不吐出の場合)、或いはドットOFF時と同様に0(両方のノズルが不吐出の場合)とする。
【0108】
第3の実施形態では、2パス記録により画像形成を実現するもので、ライン形成は全て1ドットおきに2つのノズルで行われる。即ち、不吐出ノズルが形成すべきラインは、偶数列だけを不吐出ノズルに割り当てられたラインと奇数列だけを不吐出ノズルに割り当てられたラインとが交互に存在する。また、2パス記録における紙搬送制御は常にノズル数の半分に相当する640ライン分であることから、不吐出ノズルが形成すべきラインは640ライン毎に出現することになる。
【0109】
図13は、第3の実施形態における誤差拡散処理を示すフローチャートである。まず、着目画素の画素値を入力し(ステップS1301)、着目画素のライン番号(Y座標)を算出し、着目画素の座標が不吐出ノズルが形成すべきライン番号と一致するか否かを判定する(ステップS1302)。ここで不吐出ノズルが形成すべきライン番号はY=(639−M)+640×Rで表すことができる(Mはノズル番号、Rは整数である)。判定の結果、不吐出ノズルが形成すべきドット座標でなければ通常の評価値、即ち、ドットON時の評価値として1023を設定し、ドットOFF時の評価値として0を設定する(ステップS1303)。
【0110】
一方、不吐出ノズルが形成すべきドット座標であれば、該当する不吐出ノズルの個数に応じて異なる評価値を用いる(ステップS1304)。ここで、両方のノズルが不吐出であればドットON時の評価値として0を設定し、ドットOFF時の評価値として0を設定する(ステップS1305)。即ち、判定閾値との比較結果がドットONであっても,ドットOFFであっても評価値は0となる。また一方のノズルのみが不吐出であればドットON時の評価値として511を設定し、ドットOFF時の評価値として0を設定する(ステップS1306)。即ち、判定閾値との比較結果がドットONであっても評価値は511となる。
【0111】
次に、元の画素値に対して周辺画素より拡散された誤差値を加算した補正画素値を算出し(ステップS1307)、補正画素値と判定閾値とを比較する(ステップS1308)。ここで、補正画素値が閾値と等しいか閾値より大きければドットONと判定し(ステップS1309)、その補正画素値からドットON評価値を減算した値を誤差値とする(ステップS1310)。また閾値より小さければドットOFFと判定し(ステップS1311)、その補正画素値からドットOFF評価値を減算した値を誤差値とする(ステップS1312)。そして、この誤差値を所定の拡散マトリクスに従って周辺画素A〜Gに分配する(ステップS1313)。
【0112】
このように、量子化処理の制御を行うことにより、不吐出ノズルがドット形成すべきラインでは、不吐出ノズルが形成すべきドットの割合に応じた誤差が周囲に伝播されることとなる。
【0113】
そして、不吐出ノズルが形成すべきドット座標においてドットONとなっても実際にはドットの形成が行われない。ドットON時の評価値を不吐出発生状況に応じて制御することにより、不吐出の状態を正しくデータ処理に反映させることができる。
【0114】
即ち、入力画像情報に対する誤差拡散法を用いた2値化処理において、不吐出ノズルが形成すべきラインに対しては不吐出ノズルが形成すべきドットの割合に応じてドットON評価値を小さ目に設定して誤差を算出することにより、不吐出ノズルが形成すべき座標の周辺に正の誤差を拡散させてドットの発生を促す。そして、不吐出ノズルが形成すべきドット座標に代わり、周辺の座標にドットを発生させるよう制御することにより、特定の補完ノズルに負荷を集中させることなく、更にはスループットの低下を引き起こすことなく、効率良く不吐出ノズル発生による画品位の劣化を抑制することができる。
【0115】
以上詳細に説明した第3の実施形態によれば、誤差拡散法による疑似階調表現において不吐出ノズル情報に応じて誤差算出時のドットON評価値を制御することにより、プリントヘッドの不吐出発生に際して、不吐出状態を量子化処理に正しく反映させることが可能になり、代わりに周辺座標におけるドットONを促進することにより、不吐出発生による画品位の劣化を効率良く抑制することができる。
【0116】
また、補完記録による特定のノズルの極端な負荷増大が原因となる低寿命化を回避し、マルチパス記録におけるドット割り当て変更を可能にするためのスループットの低下を引き起こすことなく、更には画品位の劣化を抑制して濃度ムラのない高品位な画像形成を実現することができる。
【0117】
[第4の実施形態]
次に、図面を参照しながら本発明に係る第4の実施形態を詳細に説明する。
【0118】
第1乃至第3の実施形態では、プリントヘッドの不吐出ノズルに関わる情報に基づき誤差拡散法を用いた2値化処理制御を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば多値誤差拡散法を用いたN値化処理と他の2値化手法とを組み合わせたものに対して適用することも可能である。
【0119】
第4の実施形態として、多値誤差拡散法及び濃度パターン法(網点マトリクス展開)を用いた2値化処理を例に挙げて詳細に説明する。
【0120】
第4の実施形態におけるインクジェット記録装置の記録部は図3に示した第1の実施形態と同様である。また、内部を構成するエンジン部及びコントローラ部についても、その基本構成は図26及び図27に示した構成と同様である。プリントヘッドの搭載ノズル数は各色1280である。
【0121】
第4の実施形態では、図22に示す「高速モード」と「高品位モード」の2つの印字モードを備えており、これらを選択して画像形成を行う。「高速モード」では2パス双方向で画像を形成するものであり、「高品位モード」では4パス片方向で画像を形成するものである。ここで、2パス記録では、走査間で行われる紙搬送量は常に640画素相当(一定)であり、これはノズル数1280をパス数2で除算した値と一致する。何れのモードにおいても記録解像度は1200dpi×1200dpiである。
【0122】
以下、図面を参照しながら、各記録走査における記録データ(パスデータ)を生成する動作について詳細に説明する。
【0123】
図16は、エンジン内のバンドメモリ制御部2712のマルチパス記録を実現する記録走査毎の記録データであるパスデータの生成に着目した概略ブロック図である。ここでは簡単化のため、単一インク色について説明する。
【0124】
第4の実施形態では、マルチパス記録における各走査でのパスデータ生成手法として「テーブル参照方式」を採用している。これは、記録ドットと非記録ドットとが乱数的に配列されたランダムマスクパターンを用いて記録ドットを間引くことによりパスデータを生成するものである。ここでは2パス記録を例に挙げて説明する。
【0125】
図16において、1601はメモリ部であり、図外のコントローラより入力されたドットデータを一時格納する。1602は入力制御部であり、メモリ部1601への記録データの書き込み処理を行う。1603は出力制御部であり、プリントヘッドの記録紙面上の検出位置情報に応じて各走査で必要な領域のドットデータの読み出し処理を行う。1604はマスクテーブルであり、パスデータ生成処理において参照するマスクデータを格納している。1605はマスク処理部であり、出力制御部1603の出力データをマスク処理することにより、各走査で使用するパスデータを生成する。1610は制御部であり、各部の状態を監視すると共に図内、図外からの制御信号に応答して各種制御を行う。
【0126】
次に、バンドメモリ制御部の全体の基本的なパスデータ生成動作について説明する。ラスタ走査された2値(1bit)の画像データ(ドットデータ)が図外より入力され、入力制御部1602を介してメモリ部1601に一時格納される。ここで、ドットデータの1はドットを形成、0はドットを形成しないことをそれぞれ意味する。出力制御部1603は、制御部1610からの記録エリア制御と走査情報に基づき、各インク色に対応するノズル群の紙面上の位置に従って走査毎にメモリ部1601に格納された2値の画像データを順次読み出す。マスクテーブル1604には、マスク処理のための主走査方向512×副走査方向1280サイズの1bitマスクデータが格納されている。このマスクデータの1は非マスク、0はマスクを示している。
【0127】
図18は、マスクテーブルの一例を示す図である。図18において、Aは第1パス用、Bは第2パス用であり、両者は相補的なマスクテーブルとなっている。マスク処理部1605では、マスクテーブル1604に格納されたマスク情報を用いて出力制御部1603によってメモリ部1601から読み出された2値画像データのマスク処理を行う。具体的には、マスクデータが1であればドットデータをそのまま出力し、マスクデータが0であればドットデータを0に置き換えて出力する。一度のデータ転送単位は使用ノズル数に相当する1280画素データである。
【0128】
前述したように、プリントヘッドは各色1280ノズルずつ備えており、紙搬送に対して先行側よりノズル番号を#0,1,2,3,…,1279と付与している(図6)。この実施形態では、テーブル参照方式によるパスデータ生成処理を採用している。ここでは、各ノズルに対応した1280ライン相当(×512画素)のマスクデータからなるマスクテーブルを備えている。上下640ラインずつの第1パス用(図18に示すA)と第2パス用(図18に示すB)から構成されており、マスクデータ1は非マスク、0はマスクを指示するもので、第2パス用は第1パス用に対して相補的に設定されている。頁記録開始より第1走査ではノズル#0〜#639のみを用いて640ラインを形成し、640ライン相当の紙搬送を行った後、第2走査ではノズル#0〜#1279を用いて1280ラインを形成する。以降、640ライン相当の紙搬送と1280ノズルによるドット形成とを順次繰り返し実行していく。図19は、この記録走査の様子を説明する図である。
【0129】
次に、図26に示すコントローラ部内の画像データ処理部2613が入力画像情報をインク色毎の多値画像データに変換した後、多値誤差拡散法と濃度パターン法(網点処理)を用いて多値画像データを量子化することにより、エンジン部へ出力する各インク色のドットデータを生成する第4の実施形態の処理について説明する。
【0130】
図17は、第4の実施形態における画像データ処理部の概略構成を示す図である。図17において、1701は色変換部であり、入力された画像情報を4色のインク毎の多値画像データに変換する。1702は多値誤差拡散処理部であり、多値画像データを多値誤差拡散法により出力階調数NにN値化する。1703は網点処理部であり、濃度パターン法により2値化処理(網点処理)を行う。
【0131】
上記構成において、第4の実施形態における画像データ処理部の量子化処理は、多値誤差拡散処理部1702による多値誤差拡散法に基づくN値化処理と、網点処理部1703による濃度パターン法を用いた2値化処理(網点処理)とを組み合わせることにより実現される。尚、多値誤差拡散法による出力階調数Nは可変であり、これらを適応的に組み合わせてドットパターンに展開するものである。
【0132】
次に、第4の実施形態における多値誤差拡散処理部1702の構成及び多値誤差拡散処理(N値化)について詳細に説明する。尚、ここでは簡単化のため、単一インク色について説明する。
【0133】
図15は、第4の実施形態における多値誤差拡散処理部の概略構成を示すブロック図である。図15において、1501は入力補正部であり、入力画素値に累積誤差値を加算して補正入力画素値を生成して出力する。1502は比較部であり、補正入力画素値と複数の閾値とを比較して階調値を出力する。1503は階調値1−(N−1)評価値選択部であり、図外からの制御情報に基づき階調値1〜階調値(N−1)の場合の評価値を選択出力する。1504は評価値選択部であり、比較部1502における比較結果に応じた階調値に対応する評価値を選択出力する。1505は誤差算出部であり、補正入力画素値と評価値選択部1504の出力である評価値との差分である誤差値を生成する。
【0134】
1506〜1512はそれぞれA拡散誤差算出部、B拡散誤差算出部、C拡散誤差算出部、D拡散誤差算出部、E拡散誤差算出部、F拡散誤差算出部、G拡散誤差算出部であり、画素A、画素B、画素C、画素D、画素E、画素F、画素Gへの拡散誤差を生成して出力する。1513〜1517はそれぞれA加算部、B加算部、C加算部、D加算部、E加算部、F加算部であり、前段の拡散誤差に対してそれぞれ画素Aへの拡散誤差、画素Bへの拡散誤差、画素Cへの拡散誤差、画素Dへの拡散誤差、画素Eへの拡散誤差、画素Fへの拡散誤差を加算する。1519は遅延部であり、サイクル調整のための遅延処理を行う。
【0135】
図外から入力された画素値は入力補正部1501へ供給される。この入力補正部1501では、入力画素値と拡散画素の累積値との加算処理を行って補正画素値を出力する。次の比較部1502では補正画素値と(N−1)個の判定閾値との間の比較を行い、比較結果に応じて階調値0〜階調値(N−1)を選択する。次に、階調値1−(N−1)評価値選択部1503では、図外からの制御信号により複数の評価値を選択して出力する。続く評価値選択部1504では、階調値に応じた評価値を出力する。そして、誤差算出部1505では補正画素値と評価値との間の差分である誤差値を生成する。
【0136】
この誤差算出部1505からの出力である誤差値は、C誤差拡散算出部1508、D誤差拡散算出部1509、E誤差拡散算出部1510、F誤差拡散算出部1511、G誤差拡散算出部711へ供給されて、それぞれ画素C、画素D、画素E、画素F、画素Gに対する拡散誤差が算出される。拡散される誤差は画素処理サイクル毎にF加算部1518、E加算部1517、D加算部1516、C加算部1515と累積加算され、下方ラインへの累積拡散誤差データとして図外の誤差メモリへ一時格納される。
【0137】
一方、誤差算出部1505からの出力である誤差値は、A誤差拡散算出部1506、B誤差拡散算出部1507へも同様に供給されて、それぞれ画素A、画素Bに対する拡散誤差が算出される。また、B加算部1514には図外の誤差メモリより上方ラインの処理時に拡散された上方ライン累積拡散誤差データが入力され、画素Bへの拡散誤差と加算される。更に、A加算部1513により画素Aに対する拡散誤差を加算することで画素A〜画素Gにおいて順次加算された累積拡散誤差データが得られる。
【0138】
ここで、多値誤差拡散法による出力階調数Nは可変であり、また濃度パターン法における網点マトリクスのサイズも可変である。これらを適応的に組み合わせてドットパターンに展開するものである。印字モード毎のデータ処理方法の違いを以下に例を挙げて説明する。
【0139】
第4の実施形態は、図23に示す2つの印字モードに応じて適応的な量子化処理を選択して実行するものである。図23に示す「高速モード」では入力解像度300ppi×300ppiに対して誤差拡散法により8値化した後に4×4の網点マトリクスを用いて展開し、出力解像度である1200dpi×1200dpiのドットデータを得る。「高品位モード」では入力解像度600ppi×600ppiに対して誤差拡散法により4値化した後に2×2の網点マトリクスを用いて展開し、出力解像度である1200dpi×1200dpiのドットデータを得る。
【0140】
このようにして処理負荷の重い誤差拡散の処理解像度を印字モード毎に段階的に選択することで、高速処理と高品位処理をバランスよく実行できる。
【0141】
図20及び図21は、「高速モード」及び「高品位モード」で選択使用される網点マトリクスを示す図である。図20に示すように、「高速モード」では階調値毎に8種の網点マトリクスを備えている。この「高速モード」では、誤差拡散出力の階調数は8、網点マトリクスは4×4であることから、階調値1〜階調値7に対応して各々8種の4×4マトリクスを備えており、階調値に応じて8種を選択的に用いて2値化展開を実行する。階調値0に対しては常に全てのドットをOFFとして処理する。
【0142】
一方、図21に示すように、「高品位モード」では階調値毎に4種の網点マトリクスを備えている。この「高品位モード」では、誤差拡散出力の階調数は4、網点マトリクスは2×2であることから、階調値1〜階調値3に対応して各々4種の2×2マトリクスを備えており、階調値に応じて4種を選択的に用いて2値化展開を実行する。また同様に、階調値0に対しては常に全てのドットをOFFとして処理する。ここで同一階調値に対応する網点マトリクスの選択制御はランダムに実行されるものであり、各々の選択確率は等価である。
【0143】
次に、第4の実施形態において特徴的な不吐出検知に応答した量子化制御について詳細に説明する。第4の実施形態では、上述のように、誤差拡散法を用いた量子化処理(N値化処理)を例に挙げて説明する。
【0144】
まず、印字モード毎の不吐出ノズル発生による影響について「高速モード」を例に挙げて説明する。「高速モード」においては、コントローラ内のデータ処理では誤差拡散処理によって8値化された画像形成情報を4×4のサイズの網点マトリクスを用いて展開し、エンジン側では展開されたドットデータに基づいて「テーブル参照方式」によりパスデータを生成して2パス記録が行われる。そして、不吐出ノズルは所定ラインの50%のドット形成を割り当てられることから、マクロ的に見ると1つおきのドットを形成しているとみなすことができる。即ち、4×4マトリクス内のドット座標に割り当てられるノズル数は8とみなす。1つのノズルに不吐出が発生すると、不吐出ノズルがドット形成に関与する画素では4×4のうち2つの座標で正しくドット形成が行われないことになる。このようにして、2つのノズルならば4つの座標、3つのノズルならば6つの座標、4つのノズルならば8つの座標、…、で実際の画像形成が行われない。
【0145】
N値誤差拡散処理では、N個の出力階調値に対応したN個の評価値が必要である。即ち、「高速モード」では、階調値0〜階調値7に対応した評価値が必要である。更に、不吐出ノズルの数に応じて不吐出ノズル0〜8個について各々独立の評価値が必要となるため、それぞれの階調値に対して不吐出ノズルが0個、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個の場合の評価値が用意される。ここで階調0評価値は常に0である。従って、予め不吐出S階調T評価値という形式(Sは0〜8の整数、Tは1〜7の整数)で表される評価値を備えており、不吐出ノズルの発生状況に応じてその影響を適切に反映させるべくこれらの評価値を選択して設定する。
【0146】
図14は、第4の実施形態における誤差拡散処理を示すフローチャートである。まず、着目画素の画素値を入力し(ステップS1401)、着目画素のライン番号(Y座標)を算出して着目画素のライン形成に関与する不吐出ノズル数Sを取得する(ステップS1402)。不吐出ノズルが形成すべきライン番号はY=(639−M)+640×Rで表すことができる(Mはノズル番号、Rは整数である)。次に、不吐出ノズル数Sに対応した階調値毎の評価値、即ち、不吐出S階調1評価値、不吐出S階調2評価値、…、不吐出S階調(N−1)評価値、を取得する(ステップS1403)。階調値0に対する評価値は常に0である。
【0147】
次に、元の画素値に対して周辺画素より拡散された誤差値を加算した補正画素値を算出し(ステップS1404)、補正誤差値と(N−1)個の判定閾値とを比較することにより出力階調値を得る(ステップS1405)。そして、階調値に対応した評価値と補正誤差値との間の差分である誤差値を算出し(ステップS1406)、この誤差値を所定の拡散マトリクスに従って周辺画素A〜Gに分配する(ステップS1407)。
【0148】
このように、量子化処理の制御を行うことにより、不吐出ノズルがドット形成すべきラインでは、不吐出ノズルが形成すべきドットの割合に応じた誤差が周囲に伝播されることとなる。
【0149】
また、不吐出ノズルが形成すべきドット座標においてドットがONとなっても実際にはドットの形成が行われない。不吐出発生状況に応じて評価値を制御することにより不吐出の状態を正しくデータ処理に反映させることができる。
【0150】
即ち、入力画像情報に対する誤差拡散法を用いた2値化処理において、不吐出ノズルが形成すべきラインに対しては不吐出ノズルが形成すべきドットの割合に応じて出力階調値毎の評価値を小さ目に設定して誤差を算出することにより、不吐出ノズルが形成すべき座標の周辺に正の誤差を拡散させてドットの発生を促すことができる。
【0151】
また、不吐出ノズルが形成すべきドット座標に代わり、周辺の座標にドットを発生させるよう制御することにより、特定の補完ノズルに負荷を集中させることなく、更にはスループットの低下を引き起こすことなく、効率良く不吐出ノズル発生による画品位の劣化を抑制することができる。
【0152】
以上詳細に説明した第4の実施形態によれば、誤差拡散法による疑似階調表現において不吐出ノズル情報に応じて誤差算出時の出力階調値ごとの評価値を制御することにより、プリントヘッドの不吐出発生に際し、不吐出状態を量子化処理に正しく反映させることが可能になり、代わりに周辺座標におけるドットONを促進することにより、不吐出発生による画品位の劣化を効率良く抑制する。
【0153】
また、補完記録による特定のノズルの極端な負荷増大が原因となる低寿命化を回避し、マルチパス記録におけるドット割り当て変更を可能にするためのスループットの低下を引き起こすことなく、更には画品位の劣化を抑制して濃度ムラのない高品位な画像形成を実現することができる。
【0154】
[第1乃至第4の実施形態の変形例]
第1乃至第4の実施形態では、ブラック(Bk)、シアン(Cy)、マゼンタ(Mg)、イエロー(Ye)の4色のインクを用いたインクジェット方式の画像形成システムについて説明したが、色数や色種はこれに限定するものではない。Bkを除く3色インクを用いたものであっても良く、他の特別色を追加したものや、ライトCyやライトMgなど低濃度の淡色インクを併用したものであっても良い。また搭載するプリントヘッドは1組(各色1つ)に限定するものではなく、複数組(各色2つ以上)のプリントヘッドを備えて高速処理を実現する画像形成システムなどにも適用できる。
【0155】
また、第1乃至第4の実施形態では、処理すべき画素と同一ラインの画素の他に下方の1ラインに誤差を拡散する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、下方の2ライン以上の画素に対して誤差を拡散する方式に適用することも可能である。また、誤差の拡散対象となる画素数についても制限されるものではない。
【0156】
また、第1乃至第4の実施形態では、ライン毎に常に決められた方向に画素を処理していく方式について説明したが、ライン毎に処理方向を交互に切り替えるものであっても良いし、ランダムに処理方向を選択するものであっても良い。
【0157】
また、第1乃至第4の実施形態では、最終的に2値画像データにより単一サイズのドットを用いて画像を形成するもの(2値記録)について説明したが、3値以上の多値画像データに基づき、異なる複数サイズのドットを選択的に形成して画像を完成させるもの(多値記録)や同一インクの重ね打ちを行うものであっても良い。
【0158】
また、第1乃至第4の実施形態では、多値誤差拡散処理の出力階調数として、2×2の網点マトリクスを用いる場合には4値、4×4の網点マトリクスを用いる場合には8値を例に挙げて説明したが、マトリクスサイズに対する出力階調数は印字モード、記録メディア、プリントヘッド特性、などに応じて最適に設定されるべきものである。また、出力階調数は4や16に限定されるものではなく、2以上の全ての出力階調数に適用できることは言うまでもない。
【0159】
また、第1乃至第4の実施形態では、量子化処理やパスデータ生成処理をインクジェット記録装置内部で行う構成について説明したが、これらの一部或いは全部を接続されるホストPC側のドライバやその他の外部装置で実現する構成であっても良いことは明らかである。
【0160】
また、第1乃至第4の実施形態では、プリントヘッドの動作原理や構成により制限されるものではない。即ち、プリントヘッドは吐出口近傍に発熱素子(電気/熱エネルギー変換素子)を設け、この発熱素子に電気信号を印加することによりインクを局所的に加熱して圧力変化を起こさせ、インクを吐出口から吐出させるサーマル方式であっても良いし、ピエゾ素子等の電気/圧力変換手段を用いてインクに機械的圧力を付与してインクを吐出させるピエゾ方式であっても良い。
また、本発明に係る画像形成システムの形態は、コンピュータやワードプロセッサをはじめとする情報処理装置の画像出力装置として一体又は別体に設けられるものに限らず、読取装置と組み合わせた複写装置や通信機能を有するファクシミリ装置などであっても良い。
【0161】
[他の実施形態]
尚、本発明は複数の機器(例えば、ホストコンピュータ,インターフェース機器,リーダ,プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置(例えば、複写機,ファクシミリ装置など)に適用しても良い。
【0162】
また、本発明の目的は前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(CPU若しくはMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0163】
この場合、記録媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0164】
このプログラムコードを供給するための記録媒体としては、例えばフロッピー(登録商標)ディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROMなどを用いることができる。
【0165】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0166】
更に、記録媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0167】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、インク不吐出が原因となる白抜けを回避しながら、特定のノズルへの吐出デューティの増大が原因となる画品位の劣化やスループットの低下、記録ヘッドの低寿命化などを回避、抑制し、信頼性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態における誤差拡散処理を示すフローチャートである。
【図2】第1の実施形態における誤差拡散処理部の概略構成を示すブロック図である。
【図3】インクジェット記録装置における記録部の構成を示す図である。
【図4】第1の実施形態における画像データ処理部の概略構成を示す図である。
【図5】エンジン内のバンドメモリ制御部2712の概略ブロック図である。
【図6】プリントヘッドにおけるノズル配列を説明する概念図である。
【図7】第1の実施形態における1パス記録動作の様子を説明する図である。
【図8】第1の実施形態における誤差拡散マトリクスを説明する図である。
【図9】第2の実施形態における誤差拡散処理を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施形態におけるエンジン内のバンドメモリ制御部の概略ブロック図である。
【図11】第2の実施形態における走査毎のドット形成の様子を説明する図である。
【図12】第2の実施形態における2パス記録動作の様子を説明する図である。
【図13】第3の実施形態における誤差拡散処理を示すフローチャートである。
【図14】第4の実施形態における誤差拡散処理を示すフローチャートである。
【図15】第4の実施形態における多値誤差拡散処理部の概略構成を示すブロック図である。
【図16】エンジン内のバンドメモリ制御部2712のマルチパス記録を実現する記録走査毎の記録データであるパスデータの生成に着目した概略ブロック図である。
【図17】第4の実施形態における画像データ処理部の概略ブロック図である。
【図18】第4の実施形態におけるマスクテーブルの一例を示す図である。
【図19】第4の実施形態における2パス記録動作の様子を説明する図である。
【図20】第4の実施形態の「高速モード」で選択使用される網点マトリクスを示す図である。
【図21】第4の実施形態の「高品位モード」で選択使用される網点マトリクスを示す図である。
【図22】第4の実施形態における印字モード毎の画像形成動作を説明する図である。
【図23】第4の実施形態における印字モード毎のデータ処理を説明する図である。
【図24】記録走査毎のマスクテーブルの一構成例を示す図である。
【図25】図24で示したマスクテーブルを用いた記録走査の様子を説明するための図である。
【図26】インクジェット記録装置のコントローラ部の概略構成を示すブロック図である。
【図27】インクジェット記録装置のエンジン部の概略構成を示すブロック図である。
【図28】画像データ処理部2613における画像データ処理の流れを示す図である。
Claims (16)
- 複数の吐出部を有する記録ヘッドを記録媒体上に走査させ、入力された画像の各画素値に基づいて記録媒体にインクを吐出してドットを形成する画像形成装置であって、
前記記録ヘッドの吐出部の吐出不良情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した吐出不良情報に基づき吐出不良な特定領域に対応する画素値のドット形成を制御し、該画素値をN(Nは2以上の整数)値に量子化する量子化手段と、
前記量子化手段で量子化された値に基づき前記複数の吐出部によってドットを形成するドット形成手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。 - 前記量子化手段は誤差拡散法によってN値化処理を行い、
入力画素値を補正値により補正して補正入力画素値を生成する手段と、
前記補正入力画素値と(N−1)個の判定閾値とを比較する手段と、
前記判定閾値との比較結果に基づき階調値を決定して出力する手段と、
前記判定閾値との比較結果に基づき評価値を選択する手段と、
前記選択された前記評価値と前記補正入力画素値との差分である誤差値を生成する手段と、
前記生成された前記誤差値を周辺画素に振り分ける誤差拡散手段と、
前記誤差拡散手段で拡散された拡散誤差を順次累積して前記補正値を得る手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。 - 前記量子化手段は、前記吐出部の吐出不良な特定座標領域に対して吐出不良の影響を反映させるよう前記評価値を制御することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
- 前記量子化手段は、前記特定座標領域に対して評価値をゼロとすることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
- 前記量子化手段は、前記特定座標領域に対して評価値を吐出不良による濃度低下に応じて相対的に小さな値に制御することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
- 前記量子化手段は、前記N値を2値化する2値化手段を含むことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記2値化手段は、網点マトリクスを用いて相対的に解像度の高い2値に2値化することを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
- 前記特定領域とは、前記吐出不良の吐出部が形成すべき画素座標であることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
- 前記特定領域とは、前記吐出不良の吐出部が形成すべきライン座標であることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
- 前記ドット形成手段は、前記吐出不良の吐出部が形成すべき座標に対してマスク処理を施した画像情報に基づき前記複数の吐出部によってドットを形成することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記記録ヘッドを記録媒体上の同一領域に対して複数回走査させて画像を完成させるマルチパス記録を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記記録ヘッドは、熱エネルギーを用いて前記インクに状態変化を生起させることによりインク滴を吐出することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記記録ヘッドは、圧力発生素子を作動させることによりインク滴を吐出することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 複数の吐出部を有する記録ヘッドを記録媒体上に走査させ、入力された画像の各画素値に基づいて記録媒体にインクを吐出してドットを形成する画像形成方法であって、
前記記録ヘッドの吐出部の吐出不良情報を取得する取得工程と、
前記取得工程で取得した吐出不良情報に基づき吐出不良な特定領域に対応する画素値のドット形成を制御し、該画素値をN(Nは2以上の整数)値に量子化する量子化工程と、
前記量子化工程で量子化された値に基づき前記複数の吐出部によってドットを形成するドット形成工程とを有することを特徴とする画像形成方法。 - コンピュータに請求項14に記載の方法を実行させるためのプログラム。
- 請求項15に記載のプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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