JP2004328160A - 画像形成装置及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】画像形成する際の多種多様な性能、仕様のエンジン部に対して最適に接続可能なコントローラ部を提供する。
【解決手段】多値誤差拡散処理部201で、M値(Mは2以上の整数)の入力画像情報をN値(Nは2以上の整数)の画像データに量子化して出力する。網点処理部202で、量子化されたN値の画像データを相対的に高い解像度の2値の画像データに2値化して出力する。印字モード適応出力選択部203の選択指示に基づき出力データ選択部204が、接続されたエンジン部に対してN値の画像データを出力するか、2値の画像データを出力するかを選択して出力する。
【選択図】 図2
【解決手段】多値誤差拡散処理部201で、M値(Mは2以上の整数)の入力画像情報をN値(Nは2以上の整数)の画像データに量子化して出力する。網点処理部202で、量子化されたN値の画像データを相対的に高い解像度の2値の画像データに2値化して出力する。印字モード適応出力選択部203の選択指示に基づき出力データ選択部204が、接続されたエンジン部に対してN値の画像データを出力するか、2値の画像データを出力するかを選択して出力する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力された画像情報に基づいて画像形成用データを生成し、接続される画像形成エンジンに供給する画像形成コントローラに関わるものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータ(PC)、複写機又はワードプロセッサなどのOA機器が広く普及しており、これらのOA機器の画像形成(記録)装置の一種として、インクジェット方式によりディジタル画像記録を行う装置が急速に発展及び普及している。特にOA機器の高機能化と共にカラー化が進んでおり、これらに伴って様々なカラーインクジェット記録装置が開発されてきている。
【0003】
一般に、インクジェット記録装置には、記録手段(プリントヘッド)、インクタンクを搭載するキャリッジ、記録紙を搬送する搬送手段及びこれらを制御する制御手段が具備されている。そして、複数の吐出口からインク液滴を吐出させるプリントヘッドを記録紙の搬送方向(副走査方向)と直行する方向(主走査方向)にシリアルスキャンさせ、一方で非記録時に記録幅に等しい量で間欠搬送するものである。更に、カラー対応のインクジェット記録装置の場合には、複数色のプリントヘッドから吐出されるインク液滴の重ね合わせによりカラー画像を形成している。
【0004】
インクジェット記録装置において、インクを吐出させる方法としては、吐出口近傍に発熱素子(電気/熱エネルギー変換体)を設け、この発熱素子に電気信号を印加することによりインクを局所的に加熱して圧力変化を起こさせてインクを吐出口から吐出させるサーマル方式、又はピエゾ素子等の電気/圧力変換手段を用いてインクに機械的圧力を付与してインクを吐出するピエゾ方式などが用いられている。一般に、前者のサーマル方式はノズルの高密度化が容易で、ヘッドを低コストで構成できる反面、発熱を利用しているためにインクやヘッドの劣化を招き易い。一方、後者のピエゾ方式は吐出制御性に優れ、インクの自由度が高く、ヘッド寿命が半永久的であるといった特徴がある。
【0005】
これらの記録方法は、記録信号に応じてインクを微少な液滴として吐出口から記録媒体上に吐出することにより文字や図形などの記録を行うものであり、ノンインパクトであるため騒音が少ないこと、ランニングコストが低いこと、装置が小型化し易いこと、カラー化が容易であることなどの利点を有していることから、コンピュータやワードプロセッサ等と併用され、或いは単独で使用される複写機、プリンタ、ファクシミリ等の記録装置における画像形成(記録)手段として広く用いられている。
【0006】
図16及び図17は、インクジェット記録装置のコントローラ部及びエンジン部の概略構成を示すブロック図である。
【0007】
まず、コントローラ部の機能及び概略動作について説明する。図16において、CPU1601はUSBインタフェース1604或いはIEEE1394インタフェース1605を介してホストPC1606(1607)に接続されており、制御プログラムを格納したROM1609や更新可能な制御プログラムや処理プログラムや各種定数データなどを格納したEEPROM1610、及びホストPC1606から受信したコマンド信号や画像情報を格納するためのRAM1608にアクセスし、これらのメモリに格納された情報に基づいて記録動作を制御する。操作パネル1612のキーから入力される指示情報は操作パネルインタフェース1611を介してCPU1601に伝達され、またCPU1601からの命令により同様に操作パネルインタフェース1611を介して操作パネル1612のLED点灯やLCD表示が制御される。拡張インタフェース1615はLANコントローラやHDDなどの拡張カードを接続することにより機能拡張を行うためのインタフェースである。画像情報は画像データ処理部1613で各インク色のドットデータに変換され、エンジン部へ出力される。またコントローラ部とエンジン部との間の各種コマンドやステータス情報の送受信は同様に画像データ処理部1613を介して行われる。
【0008】
次に、エンジン部の機能及び動作概要について説明する。図17において、エンジン部はバンドメモリ制御部1712を介してコントローラ部と接続されている。CPU1701は制御プログラムを格納したROM1703や更新可能な制御プログラムや処理プログラムや各種定数データなどを格納したEEPROM1704、及びコントローラ部から受信したコマンド信号や画像情報を格納するためのRAM1702にアクセスし、これらのメモリに格納された情報に基づいて記録動作を制御する。出力ポート1705及びキャリッジモータ制御回路1707を介してキャリッジモータ1709を動作させることによりキャリッジ1711を移動させ、また出力ポート1705及び紙搬送モータ制御回路1706を介して紙搬送モータ1708を動作させることにより搬送ローラなどの紙搬送機構1710を動作させる。更に、CPU1701はRAM1702に格納されている各種情報に基づきバンドメモリ制御部1712やプリントヘッド制御部1714を制御してプリントヘッド1715を駆動することにより記録媒体上に所望の画像を記録することができる。
【0009】
また、不図示の電源回路からはCPUや各種制御回路を動作させるためのロジック駆動電圧Vcc(例えば3.3V)、各種モータ駆動電圧Vm(例えば24V)、プリントヘッドを駆動させるためのヒート電圧Vh(例えば12V)等が出力される。
【0010】
従来のインクジェット記録方法において、インクのにじみのない高発色カラー画像を得るためにはインク吸収層を有する専用コート紙を使用する必要があったが、近年はインクの改良等によりプリンタや複写機等で大量に使用される普通紙への印字適性を持たせた方法も実用化されている。更には、OHPシートや布、プラスチック、シート等の様々な記録媒体への対応が望まれており、このような要求に応えるため、インクの吸収特性が異なる記録媒体(記録メディア)を必要に応じて選択した際に記録媒体の種類に係わりなく最良の記録が可能な記録装置の開発及び製品化が進められている。また、記録媒体の大きさについても、宣伝広告用のポスタや衣類等の織布では大きいサイズのものが要求されてきている。このようなインクジェット記録装置は、優れた記録手段として幅広い分野で需要が高まっており、より一層高品位な画像の提供が求められ、また更なる高速化への要求も一段と高まっていると言える。
【0011】
一般に、カラーインクジェット記録方法はシアン(Cy),マゼンタ(Mg),イエロー(Ye)の3色のカラーインクを使用し、更にはブラック(Bk)を加えた4色のインクを使用してカラー記録を実現する。このようなカラーインクジェット記録装置においては、キャラクタのみ印字するモノクロインクジェット記録装置と異なり、カラーイメージ画像を記録するに当たり、発色性や階調性、一様性など、様々な要素が必要となる。
【0012】
また、インクジェット記録装置では、更に多階調として自然画像をより高品位に形成するため、従来の(Cy),マゼンタ(Mg),イエロー(Ye),ブラック(Bk)の4色に加え、インク濃度の低いライトCy,ライトMg,ライトYeの3色を加えた7色インクを用いることにより、ハイライト部分の粒状感を軽減したものなどが多く実現されている。
【0013】
しかしながら、記録される画像の品位はプリントヘッド単体の性能に依存するところが大きい。即ち、プリントヘッドの吐出口の形状や電気/熱変換体(吐出ヒータ)のばらつきなどのプリントヘッド製作工程時に生じるノズル毎の僅かな違いがそれぞれに吐出されるインクの吐出量や吐出方向の向きに影響を及ぼし、最終的に形成される記録画像の濃度ムラとして画像品位を劣化させる原因となる。その結果として、ヘッド主走査方向に対して周期的にエリアファクタ100%を満たせない“白”の部分が存在したり、逆に必要以上にドットが重なり合ったり、或いは白筋が発生したりすることとなる。これらの現象が、通常人間の目で濃度ムラとして感知される。
【0014】
そこで、これらの濃度ムラ対策としてマルチパス記録法と呼ばれる方式が提案されている。簡単のために8ノズルからなる単一インク色ヘッドを用いた場合を例に挙げて説明する。
【0015】
まず、偶数列/奇数列パターンや千鳥/逆千鳥パターンを用いて記録データを間引くことによりパスデータを生成する固定マスク方式を採用して2パス記録を実現する場合について説明する。第1走査において千鳥パターンを記録し、記録幅の半分(4ドット幅)だけ紙送りを行った後、第2走査において逆千鳥パターンを記録することにより記録を完成する。即ち、順次4ドット単位の紙送りと、千鳥/逆千鳥パターンの記録を交互に行うことにより、4ドット単位の記録領域を1スキャン毎に完成させていく。
【0016】
次に、記録ドットと非記録ドットとが乱数的に配列されたランダムマスクパターンなどを用いて記録データを間引くことによりパスデータを生成するテーブル参照方式を採用して2パス記録を実現する場合について説明する。
【0017】
図14は、記録走査毎のマスクテーブルの一構成例を示す図である。図14に示すテーブル領域A,Bはそれぞれ第1パス,第2パスにおいて使用する相補的なマスクテーブルである。テーブルは1bit/dotで、0はマスク対象であることを示し、1は非マスク対象であることを示す。マスクテーブルA,Bはそれぞれが主走査方向12画素×副走査方向4画素に対応したサイズのテーブルであり、これを各方向に繰り返し展開してマスクデータとして使用する。プリントヘッドが備えるノズル数は8であり、2パス記録における紙搬送量に相当する画素数は8/2=4であり、これはテーブルA及びBの副走査方向サイズと一致する。
【0018】
図15は、図14で示したマスクテーブルを用いた記録走査の様子を説明するための図である。8個のノズルに対応する8ラインのデータに対して、4ライン毎にA,Bをマスクパターンとして適用する。各記録走査においては、格納されたマスクテーブルを用いて画像データのマスク処理(記録ドットを非記録ドットに置き換える)を実行し、パスデータを生成出力する。具体的には、画像データとマスクデータとの論理積をとることにより、マスクデータが1である場合には画像データをそのまま出力し、マスクデータが0である場合には画像データを0に置き換えることにより実現される。全ての画像領域は、常に2回の走査によりA,Bの順にマスク処理されて記録データが生成されることになる。ここで、A,BのマスクOFF(1)比率は等しく各々50%程度である。
【0019】
このようにして、1つのラインを異なる2つのノズルを用いて記録することにより、濃度ムラを抑えた高品位な画像を形成することができる。またマルチパス記録法は、インクを乾かしながら記録していくことによりブリーディング(にじみ)を抑えるといった効果や、走査毎の記録ドットを低減することから吐出不良の原因となるプリントヘッドの昇温を抑制する効果、なども同時に達成できる。ここでは主走査方向について説明したが、副走査方向に対して連続するドットを間引いて記録することにより更なる高画質化が可能になる。また、ノズル解像度よりも高い解像度で副走査方向の画像形成を実現したい場合には、この副走査方向の間引き記録は必須の処理となる。
【0020】
各走査のパスデータを生成する方法としては、上述のような記録ドットと非記録ドットとが乱数的に配列されたランダムマスクパターンなどを用いて記録データを間引くことによりパスデータを生成する方法(テーブル参照方式と称す)や、偶数列/奇数列パターンや千鳥/逆千鳥パターンを用いて記録データを間引くことによりパスデータを生成する方法(固定マスク方式と称す)のほかに、記録ドットに着目して間引き処理を行うことによりパスデータを生成する方法(データマスク方式と称す)、或いはこれらを併用した方式などが知られている。
【0021】
次に、図16に示したコントローラ部内の画像データ処理部1613における画像データ処理について説明する。
【0022】
図18は、画像データ処理部1613における画像データ処理の流れを示す図である。例えば、ホストPC1606より受信されたRGBの多値画像データは色変換処理1801によってインク色(例えばCy,Mg,Ye,Bk)の多値画像データに変換され、続いて、量子化処理1802によってインク色毎の2値データに変換される。このようにして、多値画像データはエンジン部(プリントヘッド)において出力可能なレベル(ここでは2値)に変換される。
【0023】
この量子化処理の方法として誤差拡散法とディザ法が広く知られている。誤差拡散法では、注目画素について周辺画素に拡散係数を割り当て、注目画素において発生する量子化誤差を拡散係数に応じて周辺画素に振り分ける。これにより、画像全体の濃度は保存されることになり、良好な疑似階調表現が可能となる。一方、ディザ法では、マトリクス状の閾値からなるディザマトリクスを用意しておき、各閾値と入力データの各画素との1対1の画素比較を行い、ON/OFFを決定する。一般に、ディザ法では、誤差拡散法を適用した画像に比べて画品位が低下する傾向にあるが、誤差拡散法は誤差が伝播するまで次画素の処理に移行できず高速処理が困難である。
【0024】
基本的な誤差拡散法の2値化処理方法を具体的に説明する。図5は矢印で示すようにラスタの左から右に処理する際の拡散係数マトリクスの一例である。この拡散係数マトリクスとは、各画素に対する誤差の伝播割合を示すものである。誤差拡散法では、閾値と画素値の比較を行い、ドットのON/OFFを判定すると同時に、その誤差を算出して周囲の画素値に伝播させる。ここで誤差は画素値と評価値の差で表される。評価値は10ビット(1024階調)画素値に対してONならば1023、OFFならば0、閾値を512固定とすると、画素値が722の場合には判定結果はドットON、誤差は301となる。この例では、同一ライン上の後続するA,Bの2画素と、下ラインのC,D,E,F,Gの5画素に誤差を拡散する。このように誤差の伝播を行うことで、画像データの濃度は保存される。
【0025】
また、最近のインクジェット記録装置のような高解像度の2値出力装置では、より滑らかな中間調画像を表現するために多階調で表現する誤差拡散法(多値誤差拡散法)が利用されている。以下に多値誤差拡散法と濃度パターン法とを組み合わせた量子化方法について具体例を挙げて説明する。
【0026】
まず、多値画像データに対して多値誤差拡散法により5値化処理を施す。多値誤差拡散法による5値化においては4つの閾値を備え、画素値との比較によって0〜4の出力値を決定する。そこで発生する誤差は2値化の際と同様にして拡散マトリクスに従って周囲の画素値へ伝播させる。更に、5値データに対して濃度パターン法を用いて2値データに展開する。具体的には、2×2の網点マトリクスに従い5値データを網点展開処理するものである。ここで、多値画像データの解像度(入力解像度)を600ppi×600ppi(ppiはpixel/inch)とし、プリントヘッドによる最終的な記録解像度(出力解像度)を1200dpi×1200dpi(dpiはdot/inch)とする。本方式により、ドットのON/OFFの2階調でしか表現できなかった各画素を拡張することによって5階調表現を可能とし、しかも高速化が困難な誤差拡散処理を出力解像度よりも低い600ppi×600ppiで実施することにより、誤差拡散の処理時間を1/4に削減することができる。
【0027】
実際のインクジェット記録装置においては、その印字モードなどに対応付けて入力解像度と出力解像度の関係を設定し、これに従う網点マトリクスサイズに応じて多値誤差拡散法による最適な出力階調数Nを選択して量子化処理を実行するものなどが提案されている。例えば、高速モードでは入力解像度300ppi×300ppiに対して多値誤差拡散法により8値化を行った後に4×4の網点マトリクスを用いて出力解像度1200dpi×1200dpiの記録ドットデータを生成し、高品位モードでは入力解像度600ppi×600ppiに対して多値誤差拡散法により4値化を行った後に2×2の網点マトリクスを用いて出力解像度1200dpi×1200dpiの記録ドットデータを生成する。これにより、目的に応じて処理の高速化と高品位化とのバランスに優れた量子化処理が可能になる(例えば、特許文献1参照)。
【0028】
また、Bkのみ他インク色よりも吐出インク滴量が多くなるよう構成し、Bkのみ低い解像度で画像形成を行うことで、モノクロ画像形成を高速化するインクジェット記録装置なども実用化されている。このような装置においては、例えば全てのインク色に対して入力解像度300ppi×300ppiで、Bkのみが出力解像度600dpi×600dpi、他のインク色が出力解像度1200dpi×1200dpiであれば、Bkでは多値誤差拡散法により4値化を行った後に2×2の網点マトリクスを用いて展開し、他のインク色においては多値誤差拡散法により8値化を行った後に4×4の網点マトリクスを用いて展開する、といった処理が必要となる。
【0029】
【特許文献1】
特開平07−38766号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述したインクジェット記録装置のエンジン部では、少なくともプリントヘッド幅×最大印字幅に相当する画像データを一時格納するためのメモリが必要である。例えば、1インチ幅でノズル解像度1200dpiの6色プリントヘッドを搭載して主走査解像度1200dpi、最大印字幅70インチに対応するためには、6色×1200dpi×1インチ×70インチ×1200dpi×1ビット=576Mビットもの大容量メモリが必要となる。
【0030】
また、通常の印字モードでは1200dpi×1200dpiの出力解像度で画像形成を行い、特定の記録メディアに対する高品位モードでは2400dpi×2400dpiの出力解像度で画像形成を実現する、といったインクジェット記録装置の場合、このような限定された一部の印字モード対応の目的だけに搭載するメモリ容量が倍増してしまう場合もある。
【0031】
従って、特に印字幅が42インチや60インチを越えるといった広大な印字幅に対応する大判インクジェット記録装置においては、搭載するメモリ容量の増大がコスト高を引き起こす1つの大きな要因となっている。
【0032】
ここで、先に述べた多値誤差拡散法と濃度パターン法とを組み合わせた量子化方法においては、そのデータ処理過程で一旦データ量が小さくなる場合がある。例えば、上述の高速モードでは多値誤差拡散処理の出力は300dpi×300dpiの8値(3bit)で、上述の高品位モードでは多値誤差拡散処理の出力は600dpi×600dpiの4値(2bit)であり、出力解像度1200dpi×1200dpiの2値(1bit)に対して、それぞれ3/16倍、1/2倍にデータ量が圧縮されている。
【0033】
即ち、コントローラ部において量子化処理のうち多値誤差拡散処理までを行い、エンジン部ではコントローラ部で処理された多値誤差拡散の出力であるN階調データを受信して内蔵するメモリに一時格納し、これを2値データに展開しながらプリントヘッドへ送出する方式が提案されている。これにより、エンジン側に搭載するメモリ容量を削減することが可能になる。
【0034】
しかしながら、エンジン部では、プリントヘッドの最適制御の目的でインク色毎の印字データのデューティ検知を始めとする各種モニタ制御やマルチパス記録などのための各種データ処理が行われている。コントローラ部よりN階調データを受信してメモリに一時格納する方式では、このような各種処理を、各印字モードに対応付けられたN階調データを展開しながら実行する必要が生じてしまい、処理が煩雑になるだけでなく、回路構成や制御シーケンスの肥大化又は複雑化を引き起こすこととなる。これを簡素化するために、エンジン部でN階調データの網点2値化展開処理を比較的単純なものに限定することが行われるが、この限定により少なからず最終的に形成する画像の品位に悪影響を及ぼすことになる。
【0035】
即ち、エンジン部への網点処理(2値化展開)の移植は、メモリ量削減によるエンジン部の低コスト化といったメリットを生み出す反面、量子化処理の最適化が妨げられることから形成される画像品位への割り切りを余儀なくされることになるため、プリンタシステムとしての性能及びコストの要求に応じて最適なエンジン形態が選択されることとなる。
【0036】
しかしながら、このような多種多様な仕様のエンジン部に対して、これに接続するためのコントローラ部をそれぞれ開発及び生産することは、開発の期間短縮や効率化を妨げるだけでなく、最終的な製品のコストを引き上げる大きな原因となっている。
【0037】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、画像形成する際の多種多様な性能、仕様のエンジン部に対して最適に接続可能なコントローラ部を提供することを目的とする。
【0038】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、M値(Mは2以上の整数)の入力画像情報に基づき画像形成データを生成し、接続される画像形成手段に供給する画像形成装置であって、前記入力画像情報をN値(Nは2以上の整数)の画像データに量子化する量子化手段と、前記量子化されたN値の画像データを相対的に高い解像度の2値の画像データに2値化する2値化手段と、接続された画像形成手段に対してN値の画像データを出力するか、2値の画像データを出力するかを選択する選択手段と、前記画像形成手段に対して、選択されたN値又は2値の画像データを出力する出力手段とを有することを特徴とする。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。
【0040】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、印字モードに応じて量子化制御と出力データ形式の選択を実行するものである。
【0041】
図3は、インクジェット記録装置における記録部の構成を示す図である。図3において、301はプリントヘッドであり、ブラック(Bk)、シアン(Cy)、マゼンタ(Mg)、イエロー(Ye)の4色のカラーインクがそれぞれ封入されたインクタンクと、それぞれに対応した独立した4つのヘッドからなるマルチヘッドにより構成されている。各色のノズル数は1280ノズルである。302はキャリッジであり、プリントヘッド301を支持し、記録と共にこれらを移動させる。尚、キャリッジ302は非記録状態などの待機時にはホームポジション位置HPにある。
【0042】
303は紙送りローラであり、不図示の補助ローラと共に記録紙305を押さえながら回転し、記録紙305をY方向に随時送っていく。304は給紙ローラであり、記録紙305の給紙を行うと共に紙送りローラ303及び補助ローラと同様に記録紙305を押さえる役割を果たす。ここで、プリントヘッド301はBk,Cy,Mg,Yeの各々4色について、それぞれ紙送り方向に配置された1280個のノズルをそれぞれ有している。
【0043】
ここで、上述した構成の記録部における基本的な記録動作について説明する。記録開始命令により、ホームポジション位置HPで待機中のキャリッジ302はX方向に移動しながらプリントヘッド301の複数のノズルにより記録データに従い記録紙305上にインクを吐出して記録を行う。その後、記録紙305端部まで記録データの記録が終了すると、キャリッジ302は元のホームポジション位置HPに戻る。そして、紙送りローラ303が矢印方向へ回転することによりY方向へ所定の幅だけ紙送りを行い、再びキャリッジ302はX方向に移動しながらインクを吐出して記録を開始する。このようなスキャン動作と紙送り動作との繰り返しによりデータ記録を実現する。
【0044】
尚、本実施形態のインクジェット記録装置は、ホストPCとの間で画像情報や各種制御情報のやりとりをするためのインタフェース、入力画像情報をインク色毎のドットのON/OFFデータに変換するための画像データ処理部などで構成されるコントローラ(図16)と、記録紙の搬送やキャリッジの駆動などを行うと共にプリントヘッド301を制御して画像を形成するエンジン(図17)とで構成されている。
【0045】
ここで、本実施形態のインクジェット記録装置は、3つの印字モードを備えている。具体的には、300ppi×300ppiの入力解像度に対して1200dpi×1200dpiの出力解像度である「高速モード」、600ppi×600ppiの入力解像度に対して1200dpi×1200dpiの出力解像度である「標準モード」、1200ppi×1200ppiの入力解像度に対して2400dpi×2400dpiの出力解像度である「高品位モード」である。
【0046】
次に、図17に示すエンジン内のバンドメモリ制御部1712がバンドメモリに一時格納したデータを展開して出力する処理について説明する。尚、ここでは簡単化のため、単一インク色について説明する。
【0047】
図4は、バンドメモリ制御部の構成を示すブロック図である。図4において、401はメモリ部であり、図外のコントローラより入力された画像形成データを一時格納する。402は入力制御部であり、メモリ部401への画像形成データの書き込み処理を行う。403は出力制御部であり、プリントヘッドの記録紙面上の検出位置情報に応じてメモリ部401から各走査で必要な画像形成データの読み出し処理を行う。404はドット展開部であり、出力制御部403によって読み出された画像形成データを2値データに展開して出力する。405は制御部であり、各部の状態を監視すると共に図内、図外からの制御信号に応答して各種制御を行う。
【0048】
尚、メモリ部401に格納可能なデータ容量は最大1200dpi×1200dpiの各色2bitデータに相当するものである。
【0049】
ここで、図4に示す構成を有するバンドメモリ制御部の基本的な動作について説明する。ラスタ走査された画像形成データが図16に示したコントローラより入力され、入力制御部402を介してメモリ部401に一時格納される。ここで、コントローラから入力される画像形成データは、画素当たり2値或いは4値のデータである(詳細は後述する)。次に、出力制御部403が制御部405からの記録エリア制御と走査情報に基づき、各インク色に対応するノズル群の紙面上の位置に従って走査毎にメモリ部401に格納された画像形成データを順次読み出して出力する。そして、ドット展開部404では画像形成データが4値データの場合、2値データに展開して出力する。
【0050】
次に、図16に示すコントローラ内の画像データ処理部1613がインク色毎に変換された多値画像データに対して多値誤差拡散法と濃度パターン法を用いてN値に量子化し、上述した3つの印字モードに応じて、量子化されたN値の画像形成データをエンジンへ出力する処理について説明する。尚、多値誤差拡散法による出力階調数Nは可変であり、これらを適応的に組み合わせてドットパターンに展開することが可能である。
【0051】
図2は、第1の実施形態における画像データ処理部の構成を示すブロック図である。図2において、201は多値誤差拡散処理部であり、インク色毎に変換された多値画像データを多値誤差拡散法によりN値に変換する。202は網点展開処理部であり、多値誤差拡散処理部201からの出力であるN階調データに対して網点マトリクスを用いて相対的に解像度の高い2値データに変換する。203は印字モード適応出力選択制御部であり、図外から入力される印字モード情報などに基づき出力形式を選択する。204はデータ出力選択部であり、印字モード適応出力選択制御部203の指示に従い、多値誤差拡散処理部201からの出力と網点展開処理部202からの出力とを選択して出力する。
【0052】
まず基本的な誤差拡散法について説明する。ここでは簡単のため出力階調数を2として説明する。図5は、誤差拡散法における拡散係数マトリクスを示す図である。この例では、図中の矢印で示すように、ラスタの左から右に処理する際の拡散係数マトリクスの一例を示している。誤差拡散法では、閾値と画素値の比較を行い、ドットのON/OFFを判定すると同時に、その誤差を算出して周囲の画素値に伝播させる。ここで、誤差は画素値と評価値の差で表される。評価値は10ビット画素値に対してONならば1023、OFFならば0である。閾値は512(固定)とする。例えば、画素値が722の場合、判定結果はドットON、誤差は301となる。この例では、同一ラインの後続するA,Bの2画素と、下ラインのC,D,E,F,Gの5画素に誤差を拡散する。また、ライン番号Lの画素の量子化処理により発生するライン番号(L+1)への拡散誤差は、画素毎の拡散誤差として一旦誤差メモリに格納される。
【0053】
次に、画像データ処理部における量子化処理について詳細に説明する。第1の実施形態における量子化処理は、多値誤差拡散法に基づくN値化処理と濃度パターン法を用いた2値化処理(網点処理)とを組み合わせることで実現している。第1の実施形態においては、2種の多値誤差拡散モードと、3種の網点展開処理モードとを選択的に組み合わせて実現できる。
【0054】
図6は、第1の実施形態における印字モードと量子化及び2値化処理の関係を示す図である。多値誤差拡散処理部201では、誤差拡散モードとして「8値化モード」と「4値化モード」が選択可能である。ここで「8値化モード」は誤差拡散法により8値化するもので、「4値化モード」では誤差拡散法により4値化が行われる。
【0055】
また網点展開処理部202では、網点処理モードとして「4×4展開モード」と「2×2展開モード」と「スルーモード」が選択可能である。ここで「4×4展開モード」では、4×4の網点マトリクスを用いて入力N値データを展開してドットデータを得る。また「2×2展開モード」では、2×2の網点マトリクスを用いて入力N値データを展開してドットデータを得る。更に「スルーモード」では、入力N値データを展開せずにそのままスルー処理して出力する。
【0056】
尚、ここで、「スルーモード」とはデータ出力選択部204において網点展開処理部202からの出力ではなく、多値誤差拡散処理部201からの出力を選択出力することに相当する。
【0057】
このようにして、誤差拡散処理の出力階調数や網点マトリクスのサイズなどを適応的に選択することにより、処理負荷の重い誤差拡散の処理解像度を段階的に選択して、高速処理と高品位処理とをバランスよく実行することができる。また、誤差拡散処理の出力である低解像度の多値情報をそのまま出力することも選択可能である。
【0058】
次に、上述した印字モードに対応付けられたコントローラにおける量子化制御とエンジンへ出力するデータ転送形式の選択制御について詳細に説明する。
【0059】
先に述べた通り、第1の実施形態におけるインクジェット記録装置では3つの印字モードを備え、コントローラ内の画像データ処理部が印字モードに対応して適応的な量子化制御を実現するものである。
【0060】
図1は、第1の実施形態における画像データ処理部の処理を示すフローチャートである。まず印字モードに関する情報を取得する(ステップS101)。ここで入力解像度は「高速モード」では300ppi×300ppi、「標準モード」では600ppi×600ppi、「高品位モード」では1200ppi×1200ppiである。次に、誤差拡散モードを選択する際に、取得した印字モードが「高速モード」であれば(ステップS102のYES)、「8値化モード」を適用して誤差拡散法により8値化処理を行う(ステップS103)。次に、網点出力モード選択では、「高速モード」に対する「4×4展開モード」を適用して4×4の網点マトリクスによって誤差拡散出力8値データを展開して2値データを出力する(ステップS106)。
【0061】
また、「高速モード」でなければ(ステップS102のNO)、「標準モード」及び「高品位モード」に対する「4値化モード」を適用して誤差拡散法により4値化処理を行う(ステップS104)。次に、印字モードが「標準モード」であれば(ステップS105のYES)、「2×2展開モード」を適用して2×2の網点マトリクスによって誤差拡散出力4値データを展開して2値データを出力し(ステップS107)、また「標準モード」でなければ(ステップS105のNO)、「高品位モード」として「スルーモード」を適用して誤差拡散出力4値データを展開せずにスルー出力する(ステップS108)。
【0062】
また、エンジン内のバンドメモリ制御部におけるメモリ部401に格納可能なデータ量は最大で1200dpi×1200dpiの各色2bitデータに相当する。「高速モード」及び「標準モード」では1200dpi×1200dpiの各色1bitデータを受信する。一方、「高品位モード」においては1200dpi×1200dpiの各色2bitデータを受信する。この場合、プリントヘッドへのデータ供給の際にドット展開部404において2×2のマトリクスを用いて2値のドットデータに展開する。つまり、ドット展開部404では、この一種類の解像度及び網点マトリクスに対応するだけで良く、簡素化された回路と制御シーケンスで実現することができる。
【0063】
このようにして、コントローラ側における印字モードに対応付けた量子化制御により、高速処理と高品位処理のバランスの良い量子化処理を実現すると共に、エンジンへの転送データをエンジン側の搭載メモリと整合のとれた容量に抑えることが可能となる。
【0064】
以上詳細に説明したように、画像形成のコントローラにおける量子化処理で、印字モードに対応付けて誤差拡散処理のN値化出力の網点展開をオン又はオフに制御し、N値誤差拡散出力と2値網点展開処理とを選択的に出力することにより、出力解像度に応じて最終的な2値データではなく、データ量が圧縮された誤差拡散出力データをエンジン側へ転送出力することでエンジン側の搭載メモリ容量を削減することができる。これにより、ユーザの要求に従った高速処理と高品位出力とを高い次元で両立させながらシステムの低コスト化並びに高性能化を実現することが可能となる。
【0065】
[第2の実施形態]
次に、図面を参照しながら本発明に係る第2の実施形態を詳細に説明する。
【0066】
第1の実施形態では、印字モードに応じて量子化制御と出力データ形式の選択を実行する場合について詳細に説明した。具体的には出力解像度が高い「高品位モード」でのみ出力解像度の2値化結果ではなく、低解像度のN値化結果をエンジン側へ転送するものについて説明したが、本発明はこれだけに限定されるものではなく、色要素に対応付けて異なる制御を実行することも可能である。
【0067】
第2の実施形態では、Bkを他のインク色(Cy、Mg、Ye)と異なる出力解像度で画像形成を行う場合の量子化制御について詳細に説明する。具体的には、Bkを他のインク色よりも吐出インク滴量が多くなるように構成し、Bkのみ低い解像度で画像形成を行うことにより、モノクロ画像を高速に形成することが可能となる。
【0068】
第2の実施形態におけるインクジェット記録装置の記録部は、第1の実施形態(図3)と同様であり、内部を構成するエンジン及びコントローラについても、その基本構成は第1の実施形態と同様である。
【0069】
第2の実施形態のインクジェット記録装置は2つの印字モードを備えている。具体的には、600ppi×600ppiの入力解像度に対して全てのインク色で1200dpi×1200dpiの出力解像度である「標準モード」、600ppi×600ppiの入力解像度に対してBkのみ1200dpi×1200dpiで、他のインク色は2400dpi×2400dpiの出力解像度である「高品位モード」である。
【0070】
第2の実施形態におけるエンジン内のバンドメモリ制御部は、第1の実施形態(図4)と同様であり、メモリ部401に格納可能なデータ容量は最大1200dpi×1200dpiの各色1bitデータに相当するものである。
【0071】
次に、図16に示すコントローラ内の画像データ処理部1613がインク色毎に変換された多値画像データに対して多値誤差拡散法と濃度パターン法を用いてN値に量子化し、上述したインク色要素に応じて、量子化されたN値の画像形成データをエンジンへ出力する処理について説明する。尚、多値誤差拡散法による出力階調数Nは可変であり、これらを適応的に組み合わせてドットパターンに展開することが可能である。
【0072】
図8は、第2の実施形態における画像データ処理部の構成を示すブロック図である。図8において、801は多値誤差拡散処理部であり、インク色毎に変換された多値画像データを多値誤差拡散法によりN値に変換する。802は網点展開処理部であり、多値誤差拡散処理部801からの出力であるN階調データに対して網点マトリクスを用いて相対的に解像度の高い2値データに変換する。803は色要素適応出力選択部であり、図外から入力される色要素情報などに基づいて出力形式を選択する。804はデータ出力選択部であり、色要素適応出力選択部803の指示に従い、多値誤差拡散処理部801からの出力と網点展開処理部802からの出力とを選択して出力する。
【0073】
次に、コントローラ内の画像データ処理部における量子化処理について詳細に説明する。第2の実施形態における量子化処理は、多値誤差拡散法に基づくN値化処理と濃度パターン法を用いた2値化処理(網点処理)とを組み合わせることにより実現する。また、2種の多値誤差拡散モードと2種の網点展開処理モードとを選択的に組み合わせて実行できるものである。
【0074】
図9は、第2の実施形態における印字モードと量子化及び2値化処理の関係を示す図である。多値誤差拡散処理部801では、誤差拡散モードとして「8値化モード」と「4値化モード」が選択可能である。ここで「8値化モード」は誤差拡散法により8値化するもので、「4値化モード」では誤差拡散法により4値化が行われる。
【0075】
また網点展開処理部802では、網点処理モードとして「4×4展開モード」と「2×2展開モード」と「スルーモード」が選択可能である。ここで「4×4展開モード」では、4×4の網点マトリクスを用いて入力N値データを展開してドットデータを得る。また「2×2展開モード」では、2×2の網点マトリクスを用いて入力N値データを展開してドットデータを得る。更に「スルーモード」では、入力N値データを展開せずにそのままスルー処理して出力する。
【0076】
尚、ここで、「スルーモード」とはデータ出力選択部804において網点展開処理部802からの出力ではなく、多値誤差拡散処理部801からの出力を選択出力することに相当する。
【0077】
このようにして、誤差拡散処理の出力階調数や網点マトリクスのサイズなどを適応的に選択することにより、処理負荷の重い誤差拡散の処理解像度を段階的に選択して、高速処理と高品位処理とをバランス良く実行することができる。また、誤差拡散処理の出力である低解像度の多値情報をそのまま出力することも選択可能である。
【0078】
次に、上述したインク色に対応付けられたコントローラにおける量子化制御とエンジンへ出力するデータ転送形式の選択制御について詳細に説明する。
【0079】
先に述べた通り、第2の実施形態におけるインクジェット記録装置では2つの印字モードを備え、コントローラ内の画像データ処理部が印字モードと色要素に対応して適応的な量子化制御を実現するものである。
【0080】
図7は、第2の実施形態における画像データ処理部の処理を示すフローチャートである。まず印字モードと色要素に関する情報を取得する(ステップS701)。ここで入力解像度は「標準モード」、「高品位モード」共に、600ppi×600ppiである。次に、誤差拡散モードを選択する際に、その印字モードが「標準モード」であれば(ステップS702のYES)、全てのインク色に対して「4値化モード」を適用して誤差拡散法により4値化処理を行う(ステップS703)。次に、網点出力モード選択では、「標準モード」に対する「2×2展開モード」を適用して2×2の網点マトリクスによって誤差拡散出力4値データを展開して2値データを出力する(ステップS707)。
【0081】
また、「標準モード」でなければ(ステップS702のNO)、即ち、「高品位モード」では、Bkに対しては「4値化モード」を適用して誤差拡散法により4値化処理を行い(ステップS705)、Cy、Mg、Yeに対しては「8値化モード」を適用して誤差拡散法により8値化処理を行う(ステップS706)。次に、網点出力モード選択では、「高品位モード」のBkに対して「2×2展開モード」を適用して2×2の網点マトリクスによって誤差拡散出力4値データを展開して2値データを出力し(ステップS708)、Cy、Mg、Yeに対しては「スルーモード」を適用して誤差拡散出力8値データを展開せずにスルー出力する(ステップS709)。
【0082】
また、エンジン内のバンドメモリ制御部におけるメモリ部401に格納可能なデータ量は最大で1200dpi×1200dpiの各色1bitデータに相当する。「標準モード」では1200dpi×1200dpiの各色1bitデータを受信する。また「高品位モード」のBkについても1200dpi×1200dpiの各色1bitデータを受信する。一方、「高品位モード」のBk以外のインク色Cy、Mg、Yeについては600dpi×600dpiの各色3bitデータを受信する。この場合、プリントヘッドへのデータ供給の際にドット展開部404において4×4のマトリクスを用いて3値のドットデータに展開する。つまり、ドット展開部404では、この一種類の解像度及び網点マトリクスに対応するだけで良く、簡素化された回路と制御シーケンスで実現することができる。
【0083】
このようにして、コントローラ側における印字モードと色要素に対応付けた量子化制御により、高速処理と高品位処理のバランスの良い量子化処理を実現すると共に、エンジンへの転送データをエンジン側の搭載メモリと整合のとれた容量に抑えることが可能となる。
【0084】
以上詳細に説明したように、画像形成のコントローラにおける量子化処理で、印字モードと色要素に対応付けて誤差拡散処理のN値化出力の網点展開をオン又はオフに制御し、N値誤差拡散出力と2値網点展開処理とを選択的に出力することにより、出力解像度に応じて最終的な2値データではなく、データ量が圧縮された誤差拡散出力データをエンジン側へ転送出力することでエンジン側の搭載メモリ容量を削減することができる。これにより、ユーザ要求に従った高速処理と高品位出力とを高い次元で両立させながらシステムの低コスト化並びに高性能化を実現することが可能となる。
【0085】
[第3の実施形態]
次に、図面を参照しながら本発明に係る第3の実施形態を詳細に説明する。
【0086】
第1及び第2の実施形態では、単一のインクジェット記録装置の印字モードや色要素に応じて量子化制御と出力データ形式の選択を実行する場合について詳細に説明した。しかし、本発明はこれだけに限定されるものではなく、単一のコントローラを用いて複数の種類のエンジンを選択して接続することにより、異なる製品仕様のインクジェット記録装置を実現することも可能である。
【0087】
第3の実施形態では、2つの異なる性能及び仕様を備えたエンジンとの接続を可能にし、異なるインクジェット記録装置を実現する場合について説明する。
【0088】
図13は、第3の実施形態におけるインクジェット記録装置の構成を示す図である。図13に示すインクジェット記録装置Aは共通コントローラとエンジンAとを接続した形態である。また、インクジェット記録装置Bは共通コントローラとエンジンBとを接続した形態である。2つのエンジンは、図12に示すようにエンジンAは、300ppi×300ppiの入力解像度で各色3bitデータを格納可能なメモリを搭載し、1200dpi×1200dpiの出力解像度の印字モードのみに対応するものであり、エンジンBは1200ppi×1200ppiの入力解像度で各色1bitデータを格納可能なメモリを搭載し、2400dpi×2400dpiの出力解像度の画像形成を実現可能である。
【0089】
尚、上述の共通コントローラにエンジンAとエンジンBのどちらのエンジンが接続されたかは、所定のセンサーによって判別しても良いし、操作部からの設定によって判別しても良い。
【0090】
次に、第3の実施形態における共通コントローラ内の画像データ処理部の構成について説明する。画像データ処理部では、入力された画像情報をインク色毎の多値画像データに変換した後に、多値誤差拡散法と濃度パターン法を用いて多値画像データを量子化するものである。尚、多値誤差拡散法による出力階調数Nは可変であり、これらを適応的に組み合わせてドットパターンに展開することが可能である。
【0091】
図11は、第3の実施形態における画像データ処理部の構成を示すブロック図である。図11において、1101は多値誤差拡散処理部であり、多値誤差拡散法に基づきインク色に変換された多値データをN値に変換する。1102は網点展開処理部であり、多値誤差拡散処理部1101からの出力であるN階調データに対して網点マトリクスを用いて相対的に解像度の高い2値データに変換する。1103は接続エンジン適応出力選択部であり、図外から入力される接続エンジン情報などに基づいて出力形式を選択する。1104はデータ出力選択部であり、接続エンジン適応出力選択部1103の指示に従い、多値誤差拡散処理部1101からの出力と網点展開処理部1102からの出力とを選択して出力する。
【0092】
次に、共通コントローラ内の量子化処理について詳細に説明する。第3の実施形態における量子化処理は、多値誤差拡散法に基づくN値化処理と濃度パターン法を用いた2値化処理(網点処理)とを組み合わせることにより実現する。また、2種の多値誤差拡散モードと3種の網点展開処理モードとを選択的に組み合わせて実行できるものである。
【0093】
第3の実施形態における多値誤差拡散処理部1101では、誤差拡散モードとして「8値化モード」と「4値化モード」が選択可能である。「8値化モード」は誤差拡散法により8値化するもので、「4値化モード」では誤差拡散法により4値化が行われる。
【0094】
また網点展開処理部1102では、網点処理モードとして「4×4展開モード」と「2×2展開モード」と「スルーモード」が選択可能である。「4×4展開モード」では4×4の網点マトリクスを用いて入力N値データを展開してドットデータを得る。また「2×2展開モード」では2×2の網点マトリクスを用いて入力N値データを展開してドットデータを得る。更に「スルーモード」では入力N値データを展開せずにそのままスルー処理して出力する。
【0095】
尚、ここで、「スルーモード」とはデータ出力選択部1104において網点展開処理部1102からの出力ではなく、多値誤差拡散処理部1101からの出力を選択出力することに相当する。
【0096】
このようにして、誤差拡散処理の出力階調数や網点マトリクスのサイズなどを適応的に選択することにより、処理負荷の重い誤差拡散の処理解像度を段階的に選択して、高速処理と高品位処理をバランス良く実行することができる。また、誤差拡散処理の出力である低解像度の多値情報をそのまま出力することも選択可能である。
【0097】
次に、上述した接続エンジンに対応付けられたコントローラにおける量子化制御とエンジンへのデータ転送形式の選択制御について詳細に説明する。
【0098】
先に述べた通り、第3の実施形態の共通コントローラは2つの異なるエンジン、即ち、エンジンAとエンジンBに選択的に接続して用いられる。コントローラ内の画像データ処理部が接続エンジンに対応して適応的な量子化制御を実現するものである。
【0099】
図10は、第3の実施形態における画像データ処理部の処理を示すフローチャートである。まず接続されたエンジンに関する情報を取得する(ステップS1001)。ここで入力解像度はエンジンAに対しては300ppi×300ppi、エンジンBに対しては1200ppi×1200ppiである。次に、誤差拡散モードを選択する際に、エンジンAが接続されていれば(ステップS1002のYES)、「8値化モード」を適用して誤差拡散法により8値化処理を行う(ステップS1003)。そして、網点出力モード選択では、エンジンAに対する「スルーモード」を適用して誤差拡散出力8値データを展開せずにスルー出力する(ステップS1005)。
【0100】
また、エンジンAでなく、エンジンBが接続されていれば(ステップS1002のNO)、「4値化モード」を適用して誤差拡散法により4値化処理を行う(ステップS1004)。そして、網点出力モード選択では、エンジンBに対する「2×2展開モード」を適用して2×2の網点マトリクスによって誤差拡散出力4値データを展開して2値データを出力する(ステップS1006)。
【0101】
尚、エンジンAでは、バンドメモリ制御部のメモリ格納可能なデータ量は最大で300dpi×300dpiの各色3bitデータに相当し、受信した3bitデータをエンジン内で出力解像度1200dpi×1200dpiの2値データに展開してプリントヘッドへ供給する。一方、エンジンBでは、バンドメモリ制御部のメモリ格納可能なデータ量は最大で2400dpi×2400dpiの各色1bitデータに相当し、受信した1bitデータをプリントヘッドへ供給する。
【0102】
このようにして、接続されたエンジン性能に対応付けられたコントローラにおける量子化制御により、高速処理と高品位処理のバランスの良い量子化処理を実現すると共に、エンジンへの転送データをエンジン側の搭載メモリと整合のとれた容量に抑えることが可能となる。
【0103】
尚、ここではコントローラとエンジンが一体になったインクジェット記録装置について説明したが、コントローラが別体に構成されたものでも良い。
【0104】
以上詳細に説明したように、画像形成のコントローラにおける量子化処理で、接続されるエンジンの情報に対応付けて誤差拡散処理のN値化出力の網点展開をオン又はオフに制御し、N値誤差拡散出力と2値網点展開処理とを選択的に出力することにより、エンジン性能に応じて最終的な2値データではなく、データ量が圧縮された誤差拡散出力データをエンジン側へ転送出力することでエンジン側の搭載メモリ容量を削減することができる。これにより、ユーザ要求に従った高速処理と高品位出力とを高い次元で両立させながらシステムの低コスト化並びに高性能化を実現することが可能になる。
【0105】
[変形例]
第1乃至第3の実施形態では、多値誤差拡散法に基づくN値化処理と、N値化出力の網点マトリクス展開による2値化処理とを組み合わせた量子化方法について詳細に説明した。しかしながら、本発明はこれだけに限るものではなく、多値誤差拡散法の代わりに、例えば多値ディザ法などのN値化手法を適用することも可能である。
【0106】
誤差拡散法では、注目画素について周辺画素に拡散係数を割り当て、注目画素において発生する量子化誤差を拡散係数に応じて周辺画素に振り分けているため、画像全体の濃度は保存されることになり、良好な疑似階調表現が可能となる。しかし、その一方で、誤差が伝播するまで次画素の処理に移行できず高速処理が困難である。
【0107】
一方、ディザ法では、マトリクス状の閾値からなるディザマトリクスを用意し、その各閾値と入力データの各画素との一対一の画素比較を行い、オン又はオフを決定する。一般に、ディザ法では誤差拡散法を適用した画像に比べて画品位が低下する傾向にあるが、高速処理に非常に適した量子化方法である。
【0108】
そこで、N値化までの第一段階の量子化手法として多値ディザ法を用いることにより、より高速な量子化処理を実現することが可能となる。
【0109】
変形例としては、例えば「高速モード」において「多値ディザモード」を適用し、「高品位モード」において「多値誤差拡散モード」を適用することも可能である。
【0110】
第1乃至第3の実施形態では、多値誤差拡散処理の出力階調数として、2×2の網点マトリクスを用いる場合には4値、4×4の網点マトリクスを用いる場合には8値、である場合を例に挙げて説明した。しかし、マトリクスサイズに対する出力階調数は印字モードや記録メディア、プリントヘッド特性、などに応じて最適に設定されるべきものである。また、出力階調数は4や16に限定するものではなく、2以上の全ての出力階調数に適用できる。
【0111】
また、第1乃至第3の実施形態では、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色インクを用いたインクジェット方式の画像形成システムについて説明したが、色数や色種はこれに限定するものではない。ブラックを除く3色のインクを用いたものであっても良いし、他の特別色を追加したものや、ライトシアン又はライトマゼンタなど低濃度の淡色インクを併用したものであっても良い。更に、搭載するプリントヘッドは1組(各色1つ)に限定するものではなく、複数組(各色2つ以上)のプリントヘッドを備えて高速処理を実現する画像形成システムなどにも適用できる。
【0112】
また、第1乃至第3の実施形態では、色変換処理及び量子化処理をインクジェット記録装置の内部で行う構成について説明したが、これらの一部或いは全部を接続されるホストPC側のドライバやその他の外部装置で実現する構成であっても良いことは明らかである。
【0113】
また、第1乃至第3の実施形態では、プリントヘッドの動作原理や構成により制限されるものではない。即ち、プリントヘッドは吐出口近傍に発熱素子(電気/熱エネルギー変換素子)を設け、この発熱素子に電気信号を印加することによりインクを局所的に加熱して圧力変化を起こさせ、インクを吐出口から吐出させるサーマル方式であっても良いし、ピエゾ素子等の電気/圧力変換手段を用いてインクに機械的圧力を付与してインクを吐出させるピエゾ方式であっても良い。
【0114】
また、第1乃至第3の実施形態では、インクジェット方式の画像形成システムを例に挙げて説明したが、適用可能な画像形成システムはインクジェット方式に限定されるものではなく、溶融型熱転写方式やレーザー方式などに適用することも可能である。
【0115】
また、本発明に係る画像形成システムの形態は、コンピュータやワードプロセッサをはじめとする情報処理装置の画像出力装置として一体又は別体に設けられるものに限らず、読取装置と組み合わせた複写装置や通信機能を有するファクシミリ装置などであっても良い。
【0116】
以上詳細に説明したように、実施形態によれば、M値(Mは2以上の整数)の入力画像情報に基づき画像形成データを生成し、接続されるエンジンに供給するコントローラであって、前記入力画像情報をN値(Nは2以上の整数)に変換する第1量子化手段と、前記第1量子化手段出力である前記N値データを相対的に高い解像度の2値データに変換する第2量子化手段と、接続される前記エンジンに対して出力するデータ形式を選択する出力選択手段と、前記出力選択手段による選択指示に基づき前記エンジンに対して前記第1量子化手段の出力であるN値データと前記第2量子化手段の出力である2値データとを選択的に出力する出力データ選択手段とを備えることにより、印字モードや処理対象となる色要素、或いは接続されるエンジン性能などに関わる情報に基づいて第1量子化手段の出力であるN値データと第2量子化手段の出力である2値データとを選択的にエンジンへ出力することにより、エンジン側の搭載メモリ容量を削減しながら最適な量子化(画像形成データ生成)処理を実現することができる。
【0117】
また、多種多様な仕様のエンジンを選択的に接続することが可能になり、汎用性及び拡張性の高いフレキシブルなコントローラを実現することができる。即ち、印字モードや色要素、或いはエンジン性能や仕様に応じて、メモリを削減した廉価版エンジンや搭載メモリ容量を越えた高解像度出力モードに対しては最終的な2値データではなく、データ量が圧縮された誤差拡散出力データをエンジン側へ転送出力することでエンジン側の搭載メモリ容量を削減することができ、また、大容量メモリを搭載したエンジンに対してはドット毎のオン/オフに対応した高品位な2値データを出力することが可能になり、ユーザ要求及びステム要求に従った高速処理と高品位出力とを高い次元で両立させながらシステムの低コスト化並びに高性能化を実現することができる。
【0118】
[他の実施形態]
尚、本発明は複数の機器(例えば、ホストコンピュータ,インターフェース機器,リーダ,プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置(例えば、複写機,ファクシミリ装置など)に適用しても良い。
【0119】
また、本発明の目的は前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(CPU若しくはMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0120】
この場合、記録媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0121】
このプログラムコードを供給するための記録媒体としては、例えばフロッピー(登録商標)ディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROMなどを用いることができる。
【0122】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0123】
更に、記録媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0124】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、画像形成する際の多種多様な性能、仕様のエンジン部に対して最適に接続可能なコントローラ部を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態における画像データ処理部の処理を示すフローチャートである。
【図2】第1の実施形態における画像データ処理部の構成を示すブロック図である。
【図3】インクジェット記録装置における記録部の構成を示す図である。
【図4】バンドメモリ制御部の構成を示すブロック図である。
【図5】誤差拡散法における拡散係数マトリクスを示す図である。
【図6】第1の実施形態における印字モードと量子化及び2値化処理の関係を示す図である。
【図7】第2の実施形態における画像データ処理部の処理を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施形態における画像データ処理部の構成を示すブロック図である。
【図9】第2の実施形態における印字モードと量子化及び2値化処理の関係を示す図である。
【図10】第3の実施形態における画像データ処理部の処理を示すフローチャートである。
【図11】第3の実施形態における画像データ処理部の構成を示すブロック図である。
【図12】共通コントローラに接続可能な2つのエンジンの性能を示す図である。
【図13】第3の実施形態におけるインクジェット記録装置の構成を示す図である。
【図14】記録走査毎のマスクテーブルの一構成例を示す図である。
【図15】図14で示したマスクテーブルを用いた記録走査の様子を説明するための図である。
【図16】インクジェット記録装置のコントローラ部の概略構成を示すブロック図である。
【図17】インクジェット記録装置のエンジン部の概略構成を示すブロック図である。
【図18】画像データ処理部1613における画像データ処理の流れを示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力された画像情報に基づいて画像形成用データを生成し、接続される画像形成エンジンに供給する画像形成コントローラに関わるものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータ(PC)、複写機又はワードプロセッサなどのOA機器が広く普及しており、これらのOA機器の画像形成(記録)装置の一種として、インクジェット方式によりディジタル画像記録を行う装置が急速に発展及び普及している。特にOA機器の高機能化と共にカラー化が進んでおり、これらに伴って様々なカラーインクジェット記録装置が開発されてきている。
【0003】
一般に、インクジェット記録装置には、記録手段(プリントヘッド)、インクタンクを搭載するキャリッジ、記録紙を搬送する搬送手段及びこれらを制御する制御手段が具備されている。そして、複数の吐出口からインク液滴を吐出させるプリントヘッドを記録紙の搬送方向(副走査方向)と直行する方向(主走査方向)にシリアルスキャンさせ、一方で非記録時に記録幅に等しい量で間欠搬送するものである。更に、カラー対応のインクジェット記録装置の場合には、複数色のプリントヘッドから吐出されるインク液滴の重ね合わせによりカラー画像を形成している。
【0004】
インクジェット記録装置において、インクを吐出させる方法としては、吐出口近傍に発熱素子(電気/熱エネルギー変換体)を設け、この発熱素子に電気信号を印加することによりインクを局所的に加熱して圧力変化を起こさせてインクを吐出口から吐出させるサーマル方式、又はピエゾ素子等の電気/圧力変換手段を用いてインクに機械的圧力を付与してインクを吐出するピエゾ方式などが用いられている。一般に、前者のサーマル方式はノズルの高密度化が容易で、ヘッドを低コストで構成できる反面、発熱を利用しているためにインクやヘッドの劣化を招き易い。一方、後者のピエゾ方式は吐出制御性に優れ、インクの自由度が高く、ヘッド寿命が半永久的であるといった特徴がある。
【0005】
これらの記録方法は、記録信号に応じてインクを微少な液滴として吐出口から記録媒体上に吐出することにより文字や図形などの記録を行うものであり、ノンインパクトであるため騒音が少ないこと、ランニングコストが低いこと、装置が小型化し易いこと、カラー化が容易であることなどの利点を有していることから、コンピュータやワードプロセッサ等と併用され、或いは単独で使用される複写機、プリンタ、ファクシミリ等の記録装置における画像形成(記録)手段として広く用いられている。
【0006】
図16及び図17は、インクジェット記録装置のコントローラ部及びエンジン部の概略構成を示すブロック図である。
【0007】
まず、コントローラ部の機能及び概略動作について説明する。図16において、CPU1601はUSBインタフェース1604或いはIEEE1394インタフェース1605を介してホストPC1606(1607)に接続されており、制御プログラムを格納したROM1609や更新可能な制御プログラムや処理プログラムや各種定数データなどを格納したEEPROM1610、及びホストPC1606から受信したコマンド信号や画像情報を格納するためのRAM1608にアクセスし、これらのメモリに格納された情報に基づいて記録動作を制御する。操作パネル1612のキーから入力される指示情報は操作パネルインタフェース1611を介してCPU1601に伝達され、またCPU1601からの命令により同様に操作パネルインタフェース1611を介して操作パネル1612のLED点灯やLCD表示が制御される。拡張インタフェース1615はLANコントローラやHDDなどの拡張カードを接続することにより機能拡張を行うためのインタフェースである。画像情報は画像データ処理部1613で各インク色のドットデータに変換され、エンジン部へ出力される。またコントローラ部とエンジン部との間の各種コマンドやステータス情報の送受信は同様に画像データ処理部1613を介して行われる。
【0008】
次に、エンジン部の機能及び動作概要について説明する。図17において、エンジン部はバンドメモリ制御部1712を介してコントローラ部と接続されている。CPU1701は制御プログラムを格納したROM1703や更新可能な制御プログラムや処理プログラムや各種定数データなどを格納したEEPROM1704、及びコントローラ部から受信したコマンド信号や画像情報を格納するためのRAM1702にアクセスし、これらのメモリに格納された情報に基づいて記録動作を制御する。出力ポート1705及びキャリッジモータ制御回路1707を介してキャリッジモータ1709を動作させることによりキャリッジ1711を移動させ、また出力ポート1705及び紙搬送モータ制御回路1706を介して紙搬送モータ1708を動作させることにより搬送ローラなどの紙搬送機構1710を動作させる。更に、CPU1701はRAM1702に格納されている各種情報に基づきバンドメモリ制御部1712やプリントヘッド制御部1714を制御してプリントヘッド1715を駆動することにより記録媒体上に所望の画像を記録することができる。
【0009】
また、不図示の電源回路からはCPUや各種制御回路を動作させるためのロジック駆動電圧Vcc(例えば3.3V)、各種モータ駆動電圧Vm(例えば24V)、プリントヘッドを駆動させるためのヒート電圧Vh(例えば12V)等が出力される。
【0010】
従来のインクジェット記録方法において、インクのにじみのない高発色カラー画像を得るためにはインク吸収層を有する専用コート紙を使用する必要があったが、近年はインクの改良等によりプリンタや複写機等で大量に使用される普通紙への印字適性を持たせた方法も実用化されている。更には、OHPシートや布、プラスチック、シート等の様々な記録媒体への対応が望まれており、このような要求に応えるため、インクの吸収特性が異なる記録媒体(記録メディア)を必要に応じて選択した際に記録媒体の種類に係わりなく最良の記録が可能な記録装置の開発及び製品化が進められている。また、記録媒体の大きさについても、宣伝広告用のポスタや衣類等の織布では大きいサイズのものが要求されてきている。このようなインクジェット記録装置は、優れた記録手段として幅広い分野で需要が高まっており、より一層高品位な画像の提供が求められ、また更なる高速化への要求も一段と高まっていると言える。
【0011】
一般に、カラーインクジェット記録方法はシアン(Cy),マゼンタ(Mg),イエロー(Ye)の3色のカラーインクを使用し、更にはブラック(Bk)を加えた4色のインクを使用してカラー記録を実現する。このようなカラーインクジェット記録装置においては、キャラクタのみ印字するモノクロインクジェット記録装置と異なり、カラーイメージ画像を記録するに当たり、発色性や階調性、一様性など、様々な要素が必要となる。
【0012】
また、インクジェット記録装置では、更に多階調として自然画像をより高品位に形成するため、従来の(Cy),マゼンタ(Mg),イエロー(Ye),ブラック(Bk)の4色に加え、インク濃度の低いライトCy,ライトMg,ライトYeの3色を加えた7色インクを用いることにより、ハイライト部分の粒状感を軽減したものなどが多く実現されている。
【0013】
しかしながら、記録される画像の品位はプリントヘッド単体の性能に依存するところが大きい。即ち、プリントヘッドの吐出口の形状や電気/熱変換体(吐出ヒータ)のばらつきなどのプリントヘッド製作工程時に生じるノズル毎の僅かな違いがそれぞれに吐出されるインクの吐出量や吐出方向の向きに影響を及ぼし、最終的に形成される記録画像の濃度ムラとして画像品位を劣化させる原因となる。その結果として、ヘッド主走査方向に対して周期的にエリアファクタ100%を満たせない“白”の部分が存在したり、逆に必要以上にドットが重なり合ったり、或いは白筋が発生したりすることとなる。これらの現象が、通常人間の目で濃度ムラとして感知される。
【0014】
そこで、これらの濃度ムラ対策としてマルチパス記録法と呼ばれる方式が提案されている。簡単のために8ノズルからなる単一インク色ヘッドを用いた場合を例に挙げて説明する。
【0015】
まず、偶数列/奇数列パターンや千鳥/逆千鳥パターンを用いて記録データを間引くことによりパスデータを生成する固定マスク方式を採用して2パス記録を実現する場合について説明する。第1走査において千鳥パターンを記録し、記録幅の半分(4ドット幅)だけ紙送りを行った後、第2走査において逆千鳥パターンを記録することにより記録を完成する。即ち、順次4ドット単位の紙送りと、千鳥/逆千鳥パターンの記録を交互に行うことにより、4ドット単位の記録領域を1スキャン毎に完成させていく。
【0016】
次に、記録ドットと非記録ドットとが乱数的に配列されたランダムマスクパターンなどを用いて記録データを間引くことによりパスデータを生成するテーブル参照方式を採用して2パス記録を実現する場合について説明する。
【0017】
図14は、記録走査毎のマスクテーブルの一構成例を示す図である。図14に示すテーブル領域A,Bはそれぞれ第1パス,第2パスにおいて使用する相補的なマスクテーブルである。テーブルは1bit/dotで、0はマスク対象であることを示し、1は非マスク対象であることを示す。マスクテーブルA,Bはそれぞれが主走査方向12画素×副走査方向4画素に対応したサイズのテーブルであり、これを各方向に繰り返し展開してマスクデータとして使用する。プリントヘッドが備えるノズル数は8であり、2パス記録における紙搬送量に相当する画素数は8/2=4であり、これはテーブルA及びBの副走査方向サイズと一致する。
【0018】
図15は、図14で示したマスクテーブルを用いた記録走査の様子を説明するための図である。8個のノズルに対応する8ラインのデータに対して、4ライン毎にA,Bをマスクパターンとして適用する。各記録走査においては、格納されたマスクテーブルを用いて画像データのマスク処理(記録ドットを非記録ドットに置き換える)を実行し、パスデータを生成出力する。具体的には、画像データとマスクデータとの論理積をとることにより、マスクデータが1である場合には画像データをそのまま出力し、マスクデータが0である場合には画像データを0に置き換えることにより実現される。全ての画像領域は、常に2回の走査によりA,Bの順にマスク処理されて記録データが生成されることになる。ここで、A,BのマスクOFF(1)比率は等しく各々50%程度である。
【0019】
このようにして、1つのラインを異なる2つのノズルを用いて記録することにより、濃度ムラを抑えた高品位な画像を形成することができる。またマルチパス記録法は、インクを乾かしながら記録していくことによりブリーディング(にじみ)を抑えるといった効果や、走査毎の記録ドットを低減することから吐出不良の原因となるプリントヘッドの昇温を抑制する効果、なども同時に達成できる。ここでは主走査方向について説明したが、副走査方向に対して連続するドットを間引いて記録することにより更なる高画質化が可能になる。また、ノズル解像度よりも高い解像度で副走査方向の画像形成を実現したい場合には、この副走査方向の間引き記録は必須の処理となる。
【0020】
各走査のパスデータを生成する方法としては、上述のような記録ドットと非記録ドットとが乱数的に配列されたランダムマスクパターンなどを用いて記録データを間引くことによりパスデータを生成する方法(テーブル参照方式と称す)や、偶数列/奇数列パターンや千鳥/逆千鳥パターンを用いて記録データを間引くことによりパスデータを生成する方法(固定マスク方式と称す)のほかに、記録ドットに着目して間引き処理を行うことによりパスデータを生成する方法(データマスク方式と称す)、或いはこれらを併用した方式などが知られている。
【0021】
次に、図16に示したコントローラ部内の画像データ処理部1613における画像データ処理について説明する。
【0022】
図18は、画像データ処理部1613における画像データ処理の流れを示す図である。例えば、ホストPC1606より受信されたRGBの多値画像データは色変換処理1801によってインク色(例えばCy,Mg,Ye,Bk)の多値画像データに変換され、続いて、量子化処理1802によってインク色毎の2値データに変換される。このようにして、多値画像データはエンジン部(プリントヘッド)において出力可能なレベル(ここでは2値)に変換される。
【0023】
この量子化処理の方法として誤差拡散法とディザ法が広く知られている。誤差拡散法では、注目画素について周辺画素に拡散係数を割り当て、注目画素において発生する量子化誤差を拡散係数に応じて周辺画素に振り分ける。これにより、画像全体の濃度は保存されることになり、良好な疑似階調表現が可能となる。一方、ディザ法では、マトリクス状の閾値からなるディザマトリクスを用意しておき、各閾値と入力データの各画素との1対1の画素比較を行い、ON/OFFを決定する。一般に、ディザ法では、誤差拡散法を適用した画像に比べて画品位が低下する傾向にあるが、誤差拡散法は誤差が伝播するまで次画素の処理に移行できず高速処理が困難である。
【0024】
基本的な誤差拡散法の2値化処理方法を具体的に説明する。図5は矢印で示すようにラスタの左から右に処理する際の拡散係数マトリクスの一例である。この拡散係数マトリクスとは、各画素に対する誤差の伝播割合を示すものである。誤差拡散法では、閾値と画素値の比較を行い、ドットのON/OFFを判定すると同時に、その誤差を算出して周囲の画素値に伝播させる。ここで誤差は画素値と評価値の差で表される。評価値は10ビット(1024階調)画素値に対してONならば1023、OFFならば0、閾値を512固定とすると、画素値が722の場合には判定結果はドットON、誤差は301となる。この例では、同一ライン上の後続するA,Bの2画素と、下ラインのC,D,E,F,Gの5画素に誤差を拡散する。このように誤差の伝播を行うことで、画像データの濃度は保存される。
【0025】
また、最近のインクジェット記録装置のような高解像度の2値出力装置では、より滑らかな中間調画像を表現するために多階調で表現する誤差拡散法(多値誤差拡散法)が利用されている。以下に多値誤差拡散法と濃度パターン法とを組み合わせた量子化方法について具体例を挙げて説明する。
【0026】
まず、多値画像データに対して多値誤差拡散法により5値化処理を施す。多値誤差拡散法による5値化においては4つの閾値を備え、画素値との比較によって0〜4の出力値を決定する。そこで発生する誤差は2値化の際と同様にして拡散マトリクスに従って周囲の画素値へ伝播させる。更に、5値データに対して濃度パターン法を用いて2値データに展開する。具体的には、2×2の網点マトリクスに従い5値データを網点展開処理するものである。ここで、多値画像データの解像度(入力解像度)を600ppi×600ppi(ppiはpixel/inch)とし、プリントヘッドによる最終的な記録解像度(出力解像度)を1200dpi×1200dpi(dpiはdot/inch)とする。本方式により、ドットのON/OFFの2階調でしか表現できなかった各画素を拡張することによって5階調表現を可能とし、しかも高速化が困難な誤差拡散処理を出力解像度よりも低い600ppi×600ppiで実施することにより、誤差拡散の処理時間を1/4に削減することができる。
【0027】
実際のインクジェット記録装置においては、その印字モードなどに対応付けて入力解像度と出力解像度の関係を設定し、これに従う網点マトリクスサイズに応じて多値誤差拡散法による最適な出力階調数Nを選択して量子化処理を実行するものなどが提案されている。例えば、高速モードでは入力解像度300ppi×300ppiに対して多値誤差拡散法により8値化を行った後に4×4の網点マトリクスを用いて出力解像度1200dpi×1200dpiの記録ドットデータを生成し、高品位モードでは入力解像度600ppi×600ppiに対して多値誤差拡散法により4値化を行った後に2×2の網点マトリクスを用いて出力解像度1200dpi×1200dpiの記録ドットデータを生成する。これにより、目的に応じて処理の高速化と高品位化とのバランスに優れた量子化処理が可能になる(例えば、特許文献1参照)。
【0028】
また、Bkのみ他インク色よりも吐出インク滴量が多くなるよう構成し、Bkのみ低い解像度で画像形成を行うことで、モノクロ画像形成を高速化するインクジェット記録装置なども実用化されている。このような装置においては、例えば全てのインク色に対して入力解像度300ppi×300ppiで、Bkのみが出力解像度600dpi×600dpi、他のインク色が出力解像度1200dpi×1200dpiであれば、Bkでは多値誤差拡散法により4値化を行った後に2×2の網点マトリクスを用いて展開し、他のインク色においては多値誤差拡散法により8値化を行った後に4×4の網点マトリクスを用いて展開する、といった処理が必要となる。
【0029】
【特許文献1】
特開平07−38766号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述したインクジェット記録装置のエンジン部では、少なくともプリントヘッド幅×最大印字幅に相当する画像データを一時格納するためのメモリが必要である。例えば、1インチ幅でノズル解像度1200dpiの6色プリントヘッドを搭載して主走査解像度1200dpi、最大印字幅70インチに対応するためには、6色×1200dpi×1インチ×70インチ×1200dpi×1ビット=576Mビットもの大容量メモリが必要となる。
【0030】
また、通常の印字モードでは1200dpi×1200dpiの出力解像度で画像形成を行い、特定の記録メディアに対する高品位モードでは2400dpi×2400dpiの出力解像度で画像形成を実現する、といったインクジェット記録装置の場合、このような限定された一部の印字モード対応の目的だけに搭載するメモリ容量が倍増してしまう場合もある。
【0031】
従って、特に印字幅が42インチや60インチを越えるといった広大な印字幅に対応する大判インクジェット記録装置においては、搭載するメモリ容量の増大がコスト高を引き起こす1つの大きな要因となっている。
【0032】
ここで、先に述べた多値誤差拡散法と濃度パターン法とを組み合わせた量子化方法においては、そのデータ処理過程で一旦データ量が小さくなる場合がある。例えば、上述の高速モードでは多値誤差拡散処理の出力は300dpi×300dpiの8値(3bit)で、上述の高品位モードでは多値誤差拡散処理の出力は600dpi×600dpiの4値(2bit)であり、出力解像度1200dpi×1200dpiの2値(1bit)に対して、それぞれ3/16倍、1/2倍にデータ量が圧縮されている。
【0033】
即ち、コントローラ部において量子化処理のうち多値誤差拡散処理までを行い、エンジン部ではコントローラ部で処理された多値誤差拡散の出力であるN階調データを受信して内蔵するメモリに一時格納し、これを2値データに展開しながらプリントヘッドへ送出する方式が提案されている。これにより、エンジン側に搭載するメモリ容量を削減することが可能になる。
【0034】
しかしながら、エンジン部では、プリントヘッドの最適制御の目的でインク色毎の印字データのデューティ検知を始めとする各種モニタ制御やマルチパス記録などのための各種データ処理が行われている。コントローラ部よりN階調データを受信してメモリに一時格納する方式では、このような各種処理を、各印字モードに対応付けられたN階調データを展開しながら実行する必要が生じてしまい、処理が煩雑になるだけでなく、回路構成や制御シーケンスの肥大化又は複雑化を引き起こすこととなる。これを簡素化するために、エンジン部でN階調データの網点2値化展開処理を比較的単純なものに限定することが行われるが、この限定により少なからず最終的に形成する画像の品位に悪影響を及ぼすことになる。
【0035】
即ち、エンジン部への網点処理(2値化展開)の移植は、メモリ量削減によるエンジン部の低コスト化といったメリットを生み出す反面、量子化処理の最適化が妨げられることから形成される画像品位への割り切りを余儀なくされることになるため、プリンタシステムとしての性能及びコストの要求に応じて最適なエンジン形態が選択されることとなる。
【0036】
しかしながら、このような多種多様な仕様のエンジン部に対して、これに接続するためのコントローラ部をそれぞれ開発及び生産することは、開発の期間短縮や効率化を妨げるだけでなく、最終的な製品のコストを引き上げる大きな原因となっている。
【0037】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、画像形成する際の多種多様な性能、仕様のエンジン部に対して最適に接続可能なコントローラ部を提供することを目的とする。
【0038】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、M値(Mは2以上の整数)の入力画像情報に基づき画像形成データを生成し、接続される画像形成手段に供給する画像形成装置であって、前記入力画像情報をN値(Nは2以上の整数)の画像データに量子化する量子化手段と、前記量子化されたN値の画像データを相対的に高い解像度の2値の画像データに2値化する2値化手段と、接続された画像形成手段に対してN値の画像データを出力するか、2値の画像データを出力するかを選択する選択手段と、前記画像形成手段に対して、選択されたN値又は2値の画像データを出力する出力手段とを有することを特徴とする。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。
【0040】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、印字モードに応じて量子化制御と出力データ形式の選択を実行するものである。
【0041】
図3は、インクジェット記録装置における記録部の構成を示す図である。図3において、301はプリントヘッドであり、ブラック(Bk)、シアン(Cy)、マゼンタ(Mg)、イエロー(Ye)の4色のカラーインクがそれぞれ封入されたインクタンクと、それぞれに対応した独立した4つのヘッドからなるマルチヘッドにより構成されている。各色のノズル数は1280ノズルである。302はキャリッジであり、プリントヘッド301を支持し、記録と共にこれらを移動させる。尚、キャリッジ302は非記録状態などの待機時にはホームポジション位置HPにある。
【0042】
303は紙送りローラであり、不図示の補助ローラと共に記録紙305を押さえながら回転し、記録紙305をY方向に随時送っていく。304は給紙ローラであり、記録紙305の給紙を行うと共に紙送りローラ303及び補助ローラと同様に記録紙305を押さえる役割を果たす。ここで、プリントヘッド301はBk,Cy,Mg,Yeの各々4色について、それぞれ紙送り方向に配置された1280個のノズルをそれぞれ有している。
【0043】
ここで、上述した構成の記録部における基本的な記録動作について説明する。記録開始命令により、ホームポジション位置HPで待機中のキャリッジ302はX方向に移動しながらプリントヘッド301の複数のノズルにより記録データに従い記録紙305上にインクを吐出して記録を行う。その後、記録紙305端部まで記録データの記録が終了すると、キャリッジ302は元のホームポジション位置HPに戻る。そして、紙送りローラ303が矢印方向へ回転することによりY方向へ所定の幅だけ紙送りを行い、再びキャリッジ302はX方向に移動しながらインクを吐出して記録を開始する。このようなスキャン動作と紙送り動作との繰り返しによりデータ記録を実現する。
【0044】
尚、本実施形態のインクジェット記録装置は、ホストPCとの間で画像情報や各種制御情報のやりとりをするためのインタフェース、入力画像情報をインク色毎のドットのON/OFFデータに変換するための画像データ処理部などで構成されるコントローラ(図16)と、記録紙の搬送やキャリッジの駆動などを行うと共にプリントヘッド301を制御して画像を形成するエンジン(図17)とで構成されている。
【0045】
ここで、本実施形態のインクジェット記録装置は、3つの印字モードを備えている。具体的には、300ppi×300ppiの入力解像度に対して1200dpi×1200dpiの出力解像度である「高速モード」、600ppi×600ppiの入力解像度に対して1200dpi×1200dpiの出力解像度である「標準モード」、1200ppi×1200ppiの入力解像度に対して2400dpi×2400dpiの出力解像度である「高品位モード」である。
【0046】
次に、図17に示すエンジン内のバンドメモリ制御部1712がバンドメモリに一時格納したデータを展開して出力する処理について説明する。尚、ここでは簡単化のため、単一インク色について説明する。
【0047】
図4は、バンドメモリ制御部の構成を示すブロック図である。図4において、401はメモリ部であり、図外のコントローラより入力された画像形成データを一時格納する。402は入力制御部であり、メモリ部401への画像形成データの書き込み処理を行う。403は出力制御部であり、プリントヘッドの記録紙面上の検出位置情報に応じてメモリ部401から各走査で必要な画像形成データの読み出し処理を行う。404はドット展開部であり、出力制御部403によって読み出された画像形成データを2値データに展開して出力する。405は制御部であり、各部の状態を監視すると共に図内、図外からの制御信号に応答して各種制御を行う。
【0048】
尚、メモリ部401に格納可能なデータ容量は最大1200dpi×1200dpiの各色2bitデータに相当するものである。
【0049】
ここで、図4に示す構成を有するバンドメモリ制御部の基本的な動作について説明する。ラスタ走査された画像形成データが図16に示したコントローラより入力され、入力制御部402を介してメモリ部401に一時格納される。ここで、コントローラから入力される画像形成データは、画素当たり2値或いは4値のデータである(詳細は後述する)。次に、出力制御部403が制御部405からの記録エリア制御と走査情報に基づき、各インク色に対応するノズル群の紙面上の位置に従って走査毎にメモリ部401に格納された画像形成データを順次読み出して出力する。そして、ドット展開部404では画像形成データが4値データの場合、2値データに展開して出力する。
【0050】
次に、図16に示すコントローラ内の画像データ処理部1613がインク色毎に変換された多値画像データに対して多値誤差拡散法と濃度パターン法を用いてN値に量子化し、上述した3つの印字モードに応じて、量子化されたN値の画像形成データをエンジンへ出力する処理について説明する。尚、多値誤差拡散法による出力階調数Nは可変であり、これらを適応的に組み合わせてドットパターンに展開することが可能である。
【0051】
図2は、第1の実施形態における画像データ処理部の構成を示すブロック図である。図2において、201は多値誤差拡散処理部であり、インク色毎に変換された多値画像データを多値誤差拡散法によりN値に変換する。202は網点展開処理部であり、多値誤差拡散処理部201からの出力であるN階調データに対して網点マトリクスを用いて相対的に解像度の高い2値データに変換する。203は印字モード適応出力選択制御部であり、図外から入力される印字モード情報などに基づき出力形式を選択する。204はデータ出力選択部であり、印字モード適応出力選択制御部203の指示に従い、多値誤差拡散処理部201からの出力と網点展開処理部202からの出力とを選択して出力する。
【0052】
まず基本的な誤差拡散法について説明する。ここでは簡単のため出力階調数を2として説明する。図5は、誤差拡散法における拡散係数マトリクスを示す図である。この例では、図中の矢印で示すように、ラスタの左から右に処理する際の拡散係数マトリクスの一例を示している。誤差拡散法では、閾値と画素値の比較を行い、ドットのON/OFFを判定すると同時に、その誤差を算出して周囲の画素値に伝播させる。ここで、誤差は画素値と評価値の差で表される。評価値は10ビット画素値に対してONならば1023、OFFならば0である。閾値は512(固定)とする。例えば、画素値が722の場合、判定結果はドットON、誤差は301となる。この例では、同一ラインの後続するA,Bの2画素と、下ラインのC,D,E,F,Gの5画素に誤差を拡散する。また、ライン番号Lの画素の量子化処理により発生するライン番号(L+1)への拡散誤差は、画素毎の拡散誤差として一旦誤差メモリに格納される。
【0053】
次に、画像データ処理部における量子化処理について詳細に説明する。第1の実施形態における量子化処理は、多値誤差拡散法に基づくN値化処理と濃度パターン法を用いた2値化処理(網点処理)とを組み合わせることで実現している。第1の実施形態においては、2種の多値誤差拡散モードと、3種の網点展開処理モードとを選択的に組み合わせて実現できる。
【0054】
図6は、第1の実施形態における印字モードと量子化及び2値化処理の関係を示す図である。多値誤差拡散処理部201では、誤差拡散モードとして「8値化モード」と「4値化モード」が選択可能である。ここで「8値化モード」は誤差拡散法により8値化するもので、「4値化モード」では誤差拡散法により4値化が行われる。
【0055】
また網点展開処理部202では、網点処理モードとして「4×4展開モード」と「2×2展開モード」と「スルーモード」が選択可能である。ここで「4×4展開モード」では、4×4の網点マトリクスを用いて入力N値データを展開してドットデータを得る。また「2×2展開モード」では、2×2の網点マトリクスを用いて入力N値データを展開してドットデータを得る。更に「スルーモード」では、入力N値データを展開せずにそのままスルー処理して出力する。
【0056】
尚、ここで、「スルーモード」とはデータ出力選択部204において網点展開処理部202からの出力ではなく、多値誤差拡散処理部201からの出力を選択出力することに相当する。
【0057】
このようにして、誤差拡散処理の出力階調数や網点マトリクスのサイズなどを適応的に選択することにより、処理負荷の重い誤差拡散の処理解像度を段階的に選択して、高速処理と高品位処理とをバランスよく実行することができる。また、誤差拡散処理の出力である低解像度の多値情報をそのまま出力することも選択可能である。
【0058】
次に、上述した印字モードに対応付けられたコントローラにおける量子化制御とエンジンへ出力するデータ転送形式の選択制御について詳細に説明する。
【0059】
先に述べた通り、第1の実施形態におけるインクジェット記録装置では3つの印字モードを備え、コントローラ内の画像データ処理部が印字モードに対応して適応的な量子化制御を実現するものである。
【0060】
図1は、第1の実施形態における画像データ処理部の処理を示すフローチャートである。まず印字モードに関する情報を取得する(ステップS101)。ここで入力解像度は「高速モード」では300ppi×300ppi、「標準モード」では600ppi×600ppi、「高品位モード」では1200ppi×1200ppiである。次に、誤差拡散モードを選択する際に、取得した印字モードが「高速モード」であれば(ステップS102のYES)、「8値化モード」を適用して誤差拡散法により8値化処理を行う(ステップS103)。次に、網点出力モード選択では、「高速モード」に対する「4×4展開モード」を適用して4×4の網点マトリクスによって誤差拡散出力8値データを展開して2値データを出力する(ステップS106)。
【0061】
また、「高速モード」でなければ(ステップS102のNO)、「標準モード」及び「高品位モード」に対する「4値化モード」を適用して誤差拡散法により4値化処理を行う(ステップS104)。次に、印字モードが「標準モード」であれば(ステップS105のYES)、「2×2展開モード」を適用して2×2の網点マトリクスによって誤差拡散出力4値データを展開して2値データを出力し(ステップS107)、また「標準モード」でなければ(ステップS105のNO)、「高品位モード」として「スルーモード」を適用して誤差拡散出力4値データを展開せずにスルー出力する(ステップS108)。
【0062】
また、エンジン内のバンドメモリ制御部におけるメモリ部401に格納可能なデータ量は最大で1200dpi×1200dpiの各色2bitデータに相当する。「高速モード」及び「標準モード」では1200dpi×1200dpiの各色1bitデータを受信する。一方、「高品位モード」においては1200dpi×1200dpiの各色2bitデータを受信する。この場合、プリントヘッドへのデータ供給の際にドット展開部404において2×2のマトリクスを用いて2値のドットデータに展開する。つまり、ドット展開部404では、この一種類の解像度及び網点マトリクスに対応するだけで良く、簡素化された回路と制御シーケンスで実現することができる。
【0063】
このようにして、コントローラ側における印字モードに対応付けた量子化制御により、高速処理と高品位処理のバランスの良い量子化処理を実現すると共に、エンジンへの転送データをエンジン側の搭載メモリと整合のとれた容量に抑えることが可能となる。
【0064】
以上詳細に説明したように、画像形成のコントローラにおける量子化処理で、印字モードに対応付けて誤差拡散処理のN値化出力の網点展開をオン又はオフに制御し、N値誤差拡散出力と2値網点展開処理とを選択的に出力することにより、出力解像度に応じて最終的な2値データではなく、データ量が圧縮された誤差拡散出力データをエンジン側へ転送出力することでエンジン側の搭載メモリ容量を削減することができる。これにより、ユーザの要求に従った高速処理と高品位出力とを高い次元で両立させながらシステムの低コスト化並びに高性能化を実現することが可能となる。
【0065】
[第2の実施形態]
次に、図面を参照しながら本発明に係る第2の実施形態を詳細に説明する。
【0066】
第1の実施形態では、印字モードに応じて量子化制御と出力データ形式の選択を実行する場合について詳細に説明した。具体的には出力解像度が高い「高品位モード」でのみ出力解像度の2値化結果ではなく、低解像度のN値化結果をエンジン側へ転送するものについて説明したが、本発明はこれだけに限定されるものではなく、色要素に対応付けて異なる制御を実行することも可能である。
【0067】
第2の実施形態では、Bkを他のインク色(Cy、Mg、Ye)と異なる出力解像度で画像形成を行う場合の量子化制御について詳細に説明する。具体的には、Bkを他のインク色よりも吐出インク滴量が多くなるように構成し、Bkのみ低い解像度で画像形成を行うことにより、モノクロ画像を高速に形成することが可能となる。
【0068】
第2の実施形態におけるインクジェット記録装置の記録部は、第1の実施形態(図3)と同様であり、内部を構成するエンジン及びコントローラについても、その基本構成は第1の実施形態と同様である。
【0069】
第2の実施形態のインクジェット記録装置は2つの印字モードを備えている。具体的には、600ppi×600ppiの入力解像度に対して全てのインク色で1200dpi×1200dpiの出力解像度である「標準モード」、600ppi×600ppiの入力解像度に対してBkのみ1200dpi×1200dpiで、他のインク色は2400dpi×2400dpiの出力解像度である「高品位モード」である。
【0070】
第2の実施形態におけるエンジン内のバンドメモリ制御部は、第1の実施形態(図4)と同様であり、メモリ部401に格納可能なデータ容量は最大1200dpi×1200dpiの各色1bitデータに相当するものである。
【0071】
次に、図16に示すコントローラ内の画像データ処理部1613がインク色毎に変換された多値画像データに対して多値誤差拡散法と濃度パターン法を用いてN値に量子化し、上述したインク色要素に応じて、量子化されたN値の画像形成データをエンジンへ出力する処理について説明する。尚、多値誤差拡散法による出力階調数Nは可変であり、これらを適応的に組み合わせてドットパターンに展開することが可能である。
【0072】
図8は、第2の実施形態における画像データ処理部の構成を示すブロック図である。図8において、801は多値誤差拡散処理部であり、インク色毎に変換された多値画像データを多値誤差拡散法によりN値に変換する。802は網点展開処理部であり、多値誤差拡散処理部801からの出力であるN階調データに対して網点マトリクスを用いて相対的に解像度の高い2値データに変換する。803は色要素適応出力選択部であり、図外から入力される色要素情報などに基づいて出力形式を選択する。804はデータ出力選択部であり、色要素適応出力選択部803の指示に従い、多値誤差拡散処理部801からの出力と網点展開処理部802からの出力とを選択して出力する。
【0073】
次に、コントローラ内の画像データ処理部における量子化処理について詳細に説明する。第2の実施形態における量子化処理は、多値誤差拡散法に基づくN値化処理と濃度パターン法を用いた2値化処理(網点処理)とを組み合わせることにより実現する。また、2種の多値誤差拡散モードと2種の網点展開処理モードとを選択的に組み合わせて実行できるものである。
【0074】
図9は、第2の実施形態における印字モードと量子化及び2値化処理の関係を示す図である。多値誤差拡散処理部801では、誤差拡散モードとして「8値化モード」と「4値化モード」が選択可能である。ここで「8値化モード」は誤差拡散法により8値化するもので、「4値化モード」では誤差拡散法により4値化が行われる。
【0075】
また網点展開処理部802では、網点処理モードとして「4×4展開モード」と「2×2展開モード」と「スルーモード」が選択可能である。ここで「4×4展開モード」では、4×4の網点マトリクスを用いて入力N値データを展開してドットデータを得る。また「2×2展開モード」では、2×2の網点マトリクスを用いて入力N値データを展開してドットデータを得る。更に「スルーモード」では、入力N値データを展開せずにそのままスルー処理して出力する。
【0076】
尚、ここで、「スルーモード」とはデータ出力選択部804において網点展開処理部802からの出力ではなく、多値誤差拡散処理部801からの出力を選択出力することに相当する。
【0077】
このようにして、誤差拡散処理の出力階調数や網点マトリクスのサイズなどを適応的に選択することにより、処理負荷の重い誤差拡散の処理解像度を段階的に選択して、高速処理と高品位処理とをバランス良く実行することができる。また、誤差拡散処理の出力である低解像度の多値情報をそのまま出力することも選択可能である。
【0078】
次に、上述したインク色に対応付けられたコントローラにおける量子化制御とエンジンへ出力するデータ転送形式の選択制御について詳細に説明する。
【0079】
先に述べた通り、第2の実施形態におけるインクジェット記録装置では2つの印字モードを備え、コントローラ内の画像データ処理部が印字モードと色要素に対応して適応的な量子化制御を実現するものである。
【0080】
図7は、第2の実施形態における画像データ処理部の処理を示すフローチャートである。まず印字モードと色要素に関する情報を取得する(ステップS701)。ここで入力解像度は「標準モード」、「高品位モード」共に、600ppi×600ppiである。次に、誤差拡散モードを選択する際に、その印字モードが「標準モード」であれば(ステップS702のYES)、全てのインク色に対して「4値化モード」を適用して誤差拡散法により4値化処理を行う(ステップS703)。次に、網点出力モード選択では、「標準モード」に対する「2×2展開モード」を適用して2×2の網点マトリクスによって誤差拡散出力4値データを展開して2値データを出力する(ステップS707)。
【0081】
また、「標準モード」でなければ(ステップS702のNO)、即ち、「高品位モード」では、Bkに対しては「4値化モード」を適用して誤差拡散法により4値化処理を行い(ステップS705)、Cy、Mg、Yeに対しては「8値化モード」を適用して誤差拡散法により8値化処理を行う(ステップS706)。次に、網点出力モード選択では、「高品位モード」のBkに対して「2×2展開モード」を適用して2×2の網点マトリクスによって誤差拡散出力4値データを展開して2値データを出力し(ステップS708)、Cy、Mg、Yeに対しては「スルーモード」を適用して誤差拡散出力8値データを展開せずにスルー出力する(ステップS709)。
【0082】
また、エンジン内のバンドメモリ制御部におけるメモリ部401に格納可能なデータ量は最大で1200dpi×1200dpiの各色1bitデータに相当する。「標準モード」では1200dpi×1200dpiの各色1bitデータを受信する。また「高品位モード」のBkについても1200dpi×1200dpiの各色1bitデータを受信する。一方、「高品位モード」のBk以外のインク色Cy、Mg、Yeについては600dpi×600dpiの各色3bitデータを受信する。この場合、プリントヘッドへのデータ供給の際にドット展開部404において4×4のマトリクスを用いて3値のドットデータに展開する。つまり、ドット展開部404では、この一種類の解像度及び網点マトリクスに対応するだけで良く、簡素化された回路と制御シーケンスで実現することができる。
【0083】
このようにして、コントローラ側における印字モードと色要素に対応付けた量子化制御により、高速処理と高品位処理のバランスの良い量子化処理を実現すると共に、エンジンへの転送データをエンジン側の搭載メモリと整合のとれた容量に抑えることが可能となる。
【0084】
以上詳細に説明したように、画像形成のコントローラにおける量子化処理で、印字モードと色要素に対応付けて誤差拡散処理のN値化出力の網点展開をオン又はオフに制御し、N値誤差拡散出力と2値網点展開処理とを選択的に出力することにより、出力解像度に応じて最終的な2値データではなく、データ量が圧縮された誤差拡散出力データをエンジン側へ転送出力することでエンジン側の搭載メモリ容量を削減することができる。これにより、ユーザ要求に従った高速処理と高品位出力とを高い次元で両立させながらシステムの低コスト化並びに高性能化を実現することが可能となる。
【0085】
[第3の実施形態]
次に、図面を参照しながら本発明に係る第3の実施形態を詳細に説明する。
【0086】
第1及び第2の実施形態では、単一のインクジェット記録装置の印字モードや色要素に応じて量子化制御と出力データ形式の選択を実行する場合について詳細に説明した。しかし、本発明はこれだけに限定されるものではなく、単一のコントローラを用いて複数の種類のエンジンを選択して接続することにより、異なる製品仕様のインクジェット記録装置を実現することも可能である。
【0087】
第3の実施形態では、2つの異なる性能及び仕様を備えたエンジンとの接続を可能にし、異なるインクジェット記録装置を実現する場合について説明する。
【0088】
図13は、第3の実施形態におけるインクジェット記録装置の構成を示す図である。図13に示すインクジェット記録装置Aは共通コントローラとエンジンAとを接続した形態である。また、インクジェット記録装置Bは共通コントローラとエンジンBとを接続した形態である。2つのエンジンは、図12に示すようにエンジンAは、300ppi×300ppiの入力解像度で各色3bitデータを格納可能なメモリを搭載し、1200dpi×1200dpiの出力解像度の印字モードのみに対応するものであり、エンジンBは1200ppi×1200ppiの入力解像度で各色1bitデータを格納可能なメモリを搭載し、2400dpi×2400dpiの出力解像度の画像形成を実現可能である。
【0089】
尚、上述の共通コントローラにエンジンAとエンジンBのどちらのエンジンが接続されたかは、所定のセンサーによって判別しても良いし、操作部からの設定によって判別しても良い。
【0090】
次に、第3の実施形態における共通コントローラ内の画像データ処理部の構成について説明する。画像データ処理部では、入力された画像情報をインク色毎の多値画像データに変換した後に、多値誤差拡散法と濃度パターン法を用いて多値画像データを量子化するものである。尚、多値誤差拡散法による出力階調数Nは可変であり、これらを適応的に組み合わせてドットパターンに展開することが可能である。
【0091】
図11は、第3の実施形態における画像データ処理部の構成を示すブロック図である。図11において、1101は多値誤差拡散処理部であり、多値誤差拡散法に基づきインク色に変換された多値データをN値に変換する。1102は網点展開処理部であり、多値誤差拡散処理部1101からの出力であるN階調データに対して網点マトリクスを用いて相対的に解像度の高い2値データに変換する。1103は接続エンジン適応出力選択部であり、図外から入力される接続エンジン情報などに基づいて出力形式を選択する。1104はデータ出力選択部であり、接続エンジン適応出力選択部1103の指示に従い、多値誤差拡散処理部1101からの出力と網点展開処理部1102からの出力とを選択して出力する。
【0092】
次に、共通コントローラ内の量子化処理について詳細に説明する。第3の実施形態における量子化処理は、多値誤差拡散法に基づくN値化処理と濃度パターン法を用いた2値化処理(網点処理)とを組み合わせることにより実現する。また、2種の多値誤差拡散モードと3種の網点展開処理モードとを選択的に組み合わせて実行できるものである。
【0093】
第3の実施形態における多値誤差拡散処理部1101では、誤差拡散モードとして「8値化モード」と「4値化モード」が選択可能である。「8値化モード」は誤差拡散法により8値化するもので、「4値化モード」では誤差拡散法により4値化が行われる。
【0094】
また網点展開処理部1102では、網点処理モードとして「4×4展開モード」と「2×2展開モード」と「スルーモード」が選択可能である。「4×4展開モード」では4×4の網点マトリクスを用いて入力N値データを展開してドットデータを得る。また「2×2展開モード」では2×2の網点マトリクスを用いて入力N値データを展開してドットデータを得る。更に「スルーモード」では入力N値データを展開せずにそのままスルー処理して出力する。
【0095】
尚、ここで、「スルーモード」とはデータ出力選択部1104において網点展開処理部1102からの出力ではなく、多値誤差拡散処理部1101からの出力を選択出力することに相当する。
【0096】
このようにして、誤差拡散処理の出力階調数や網点マトリクスのサイズなどを適応的に選択することにより、処理負荷の重い誤差拡散の処理解像度を段階的に選択して、高速処理と高品位処理をバランス良く実行することができる。また、誤差拡散処理の出力である低解像度の多値情報をそのまま出力することも選択可能である。
【0097】
次に、上述した接続エンジンに対応付けられたコントローラにおける量子化制御とエンジンへのデータ転送形式の選択制御について詳細に説明する。
【0098】
先に述べた通り、第3の実施形態の共通コントローラは2つの異なるエンジン、即ち、エンジンAとエンジンBに選択的に接続して用いられる。コントローラ内の画像データ処理部が接続エンジンに対応して適応的な量子化制御を実現するものである。
【0099】
図10は、第3の実施形態における画像データ処理部の処理を示すフローチャートである。まず接続されたエンジンに関する情報を取得する(ステップS1001)。ここで入力解像度はエンジンAに対しては300ppi×300ppi、エンジンBに対しては1200ppi×1200ppiである。次に、誤差拡散モードを選択する際に、エンジンAが接続されていれば(ステップS1002のYES)、「8値化モード」を適用して誤差拡散法により8値化処理を行う(ステップS1003)。そして、網点出力モード選択では、エンジンAに対する「スルーモード」を適用して誤差拡散出力8値データを展開せずにスルー出力する(ステップS1005)。
【0100】
また、エンジンAでなく、エンジンBが接続されていれば(ステップS1002のNO)、「4値化モード」を適用して誤差拡散法により4値化処理を行う(ステップS1004)。そして、網点出力モード選択では、エンジンBに対する「2×2展開モード」を適用して2×2の網点マトリクスによって誤差拡散出力4値データを展開して2値データを出力する(ステップS1006)。
【0101】
尚、エンジンAでは、バンドメモリ制御部のメモリ格納可能なデータ量は最大で300dpi×300dpiの各色3bitデータに相当し、受信した3bitデータをエンジン内で出力解像度1200dpi×1200dpiの2値データに展開してプリントヘッドへ供給する。一方、エンジンBでは、バンドメモリ制御部のメモリ格納可能なデータ量は最大で2400dpi×2400dpiの各色1bitデータに相当し、受信した1bitデータをプリントヘッドへ供給する。
【0102】
このようにして、接続されたエンジン性能に対応付けられたコントローラにおける量子化制御により、高速処理と高品位処理のバランスの良い量子化処理を実現すると共に、エンジンへの転送データをエンジン側の搭載メモリと整合のとれた容量に抑えることが可能となる。
【0103】
尚、ここではコントローラとエンジンが一体になったインクジェット記録装置について説明したが、コントローラが別体に構成されたものでも良い。
【0104】
以上詳細に説明したように、画像形成のコントローラにおける量子化処理で、接続されるエンジンの情報に対応付けて誤差拡散処理のN値化出力の網点展開をオン又はオフに制御し、N値誤差拡散出力と2値網点展開処理とを選択的に出力することにより、エンジン性能に応じて最終的な2値データではなく、データ量が圧縮された誤差拡散出力データをエンジン側へ転送出力することでエンジン側の搭載メモリ容量を削減することができる。これにより、ユーザ要求に従った高速処理と高品位出力とを高い次元で両立させながらシステムの低コスト化並びに高性能化を実現することが可能になる。
【0105】
[変形例]
第1乃至第3の実施形態では、多値誤差拡散法に基づくN値化処理と、N値化出力の網点マトリクス展開による2値化処理とを組み合わせた量子化方法について詳細に説明した。しかしながら、本発明はこれだけに限るものではなく、多値誤差拡散法の代わりに、例えば多値ディザ法などのN値化手法を適用することも可能である。
【0106】
誤差拡散法では、注目画素について周辺画素に拡散係数を割り当て、注目画素において発生する量子化誤差を拡散係数に応じて周辺画素に振り分けているため、画像全体の濃度は保存されることになり、良好な疑似階調表現が可能となる。しかし、その一方で、誤差が伝播するまで次画素の処理に移行できず高速処理が困難である。
【0107】
一方、ディザ法では、マトリクス状の閾値からなるディザマトリクスを用意し、その各閾値と入力データの各画素との一対一の画素比較を行い、オン又はオフを決定する。一般に、ディザ法では誤差拡散法を適用した画像に比べて画品位が低下する傾向にあるが、高速処理に非常に適した量子化方法である。
【0108】
そこで、N値化までの第一段階の量子化手法として多値ディザ法を用いることにより、より高速な量子化処理を実現することが可能となる。
【0109】
変形例としては、例えば「高速モード」において「多値ディザモード」を適用し、「高品位モード」において「多値誤差拡散モード」を適用することも可能である。
【0110】
第1乃至第3の実施形態では、多値誤差拡散処理の出力階調数として、2×2の網点マトリクスを用いる場合には4値、4×4の網点マトリクスを用いる場合には8値、である場合を例に挙げて説明した。しかし、マトリクスサイズに対する出力階調数は印字モードや記録メディア、プリントヘッド特性、などに応じて最適に設定されるべきものである。また、出力階調数は4や16に限定するものではなく、2以上の全ての出力階調数に適用できる。
【0111】
また、第1乃至第3の実施形態では、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色インクを用いたインクジェット方式の画像形成システムについて説明したが、色数や色種はこれに限定するものではない。ブラックを除く3色のインクを用いたものであっても良いし、他の特別色を追加したものや、ライトシアン又はライトマゼンタなど低濃度の淡色インクを併用したものであっても良い。更に、搭載するプリントヘッドは1組(各色1つ)に限定するものではなく、複数組(各色2つ以上)のプリントヘッドを備えて高速処理を実現する画像形成システムなどにも適用できる。
【0112】
また、第1乃至第3の実施形態では、色変換処理及び量子化処理をインクジェット記録装置の内部で行う構成について説明したが、これらの一部或いは全部を接続されるホストPC側のドライバやその他の外部装置で実現する構成であっても良いことは明らかである。
【0113】
また、第1乃至第3の実施形態では、プリントヘッドの動作原理や構成により制限されるものではない。即ち、プリントヘッドは吐出口近傍に発熱素子(電気/熱エネルギー変換素子)を設け、この発熱素子に電気信号を印加することによりインクを局所的に加熱して圧力変化を起こさせ、インクを吐出口から吐出させるサーマル方式であっても良いし、ピエゾ素子等の電気/圧力変換手段を用いてインクに機械的圧力を付与してインクを吐出させるピエゾ方式であっても良い。
【0114】
また、第1乃至第3の実施形態では、インクジェット方式の画像形成システムを例に挙げて説明したが、適用可能な画像形成システムはインクジェット方式に限定されるものではなく、溶融型熱転写方式やレーザー方式などに適用することも可能である。
【0115】
また、本発明に係る画像形成システムの形態は、コンピュータやワードプロセッサをはじめとする情報処理装置の画像出力装置として一体又は別体に設けられるものに限らず、読取装置と組み合わせた複写装置や通信機能を有するファクシミリ装置などであっても良い。
【0116】
以上詳細に説明したように、実施形態によれば、M値(Mは2以上の整数)の入力画像情報に基づき画像形成データを生成し、接続されるエンジンに供給するコントローラであって、前記入力画像情報をN値(Nは2以上の整数)に変換する第1量子化手段と、前記第1量子化手段出力である前記N値データを相対的に高い解像度の2値データに変換する第2量子化手段と、接続される前記エンジンに対して出力するデータ形式を選択する出力選択手段と、前記出力選択手段による選択指示に基づき前記エンジンに対して前記第1量子化手段の出力であるN値データと前記第2量子化手段の出力である2値データとを選択的に出力する出力データ選択手段とを備えることにより、印字モードや処理対象となる色要素、或いは接続されるエンジン性能などに関わる情報に基づいて第1量子化手段の出力であるN値データと第2量子化手段の出力である2値データとを選択的にエンジンへ出力することにより、エンジン側の搭載メモリ容量を削減しながら最適な量子化(画像形成データ生成)処理を実現することができる。
【0117】
また、多種多様な仕様のエンジンを選択的に接続することが可能になり、汎用性及び拡張性の高いフレキシブルなコントローラを実現することができる。即ち、印字モードや色要素、或いはエンジン性能や仕様に応じて、メモリを削減した廉価版エンジンや搭載メモリ容量を越えた高解像度出力モードに対しては最終的な2値データではなく、データ量が圧縮された誤差拡散出力データをエンジン側へ転送出力することでエンジン側の搭載メモリ容量を削減することができ、また、大容量メモリを搭載したエンジンに対してはドット毎のオン/オフに対応した高品位な2値データを出力することが可能になり、ユーザ要求及びステム要求に従った高速処理と高品位出力とを高い次元で両立させながらシステムの低コスト化並びに高性能化を実現することができる。
【0118】
[他の実施形態]
尚、本発明は複数の機器(例えば、ホストコンピュータ,インターフェース機器,リーダ,プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置(例えば、複写機,ファクシミリ装置など)に適用しても良い。
【0119】
また、本発明の目的は前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(CPU若しくはMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0120】
この場合、記録媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0121】
このプログラムコードを供給するための記録媒体としては、例えばフロッピー(登録商標)ディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROMなどを用いることができる。
【0122】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0123】
更に、記録媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0124】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、画像形成する際の多種多様な性能、仕様のエンジン部に対して最適に接続可能なコントローラ部を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態における画像データ処理部の処理を示すフローチャートである。
【図2】第1の実施形態における画像データ処理部の構成を示すブロック図である。
【図3】インクジェット記録装置における記録部の構成を示す図である。
【図4】バンドメモリ制御部の構成を示すブロック図である。
【図5】誤差拡散法における拡散係数マトリクスを示す図である。
【図6】第1の実施形態における印字モードと量子化及び2値化処理の関係を示す図である。
【図7】第2の実施形態における画像データ処理部の処理を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施形態における画像データ処理部の構成を示すブロック図である。
【図9】第2の実施形態における印字モードと量子化及び2値化処理の関係を示す図である。
【図10】第3の実施形態における画像データ処理部の処理を示すフローチャートである。
【図11】第3の実施形態における画像データ処理部の構成を示すブロック図である。
【図12】共通コントローラに接続可能な2つのエンジンの性能を示す図である。
【図13】第3の実施形態におけるインクジェット記録装置の構成を示す図である。
【図14】記録走査毎のマスクテーブルの一構成例を示す図である。
【図15】図14で示したマスクテーブルを用いた記録走査の様子を説明するための図である。
【図16】インクジェット記録装置のコントローラ部の概略構成を示すブロック図である。
【図17】インクジェット記録装置のエンジン部の概略構成を示すブロック図である。
【図18】画像データ処理部1613における画像データ処理の流れを示す図である。
Claims (14)
- M値(Mは2以上の整数)の入力画像情報に基づき画像形成データを生成し、接続される画像形成手段に供給する画像形成装置であって、
前記入力画像情報をN値(Nは2以上の整数)の画像データに量子化する量子化手段と、
前記量子化されたN値の画像データを相対的に高い解像度の2値の画像データに2値化する2値化手段と、
接続された画像形成手段に対してN値の画像データを出力するか、2値の画像データを出力するかを選択する選択手段と、
前記画像形成手段に対して、選択されたN値又は2値の画像データを出力する出力手段とを有することを特徴とする画像形成装置。 - 前記量子化手段は、多値誤差拡散法に基づいて前記入力画像情報をN値の画像データに量子化することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記量子化手段は、多値ディザ法に基づいて前記入力画像情報をN値の画像データに量子化することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記量子化手段による出力階調値Nは可変であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記2値化手段は、網点マトリクスを用いて前記量子化手段による出力である前記N値の画像データを2値化することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記量子化手段の出力解像度と前記2値化手段の出力解像度との比は可変であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記選択手段は、印字モード情報に対応付けて前記画像形成手段に対してN値の画像データを出力するか、2値の画像データを出力するかを選択することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記選択手段は、色要素情報に対応付けて前記画像形成手段に対してN値の画像データを出力するか、2値の画像データを出力するかを選択することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記選択手段は、接続される前記画像形成手段に対応付けてN値の画像データを出力するか、2値の画像データを出力するかを選択することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記画像形成手段は、熱エネルギーを用いてインクに状態変化を生起させることによりインク滴を吐出して各画素にドットを形成する画像形成手段であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記画像形成手段は、圧力発生素子を作動させることによりインク滴を吐出して各画素にドットを形成する画像形成手段であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- M値(Mは2以上の整数)の入力画像情報に基づき画像形成データを生成し、接続される画像形成手段に供給する画像形成装置の制御方法であって、
前記入力画像情報をN値(Nは2以上の整数)の画像データに量子化する量子化工程と、
前記量子化されたN値の画像データを相対的に高い解像度の2値の画像データに2値化する2値化工程と、
接続された画像形成手段に対してN値の画像データを出力するか、2値の画像データを出力するかを選択する選択工程と、
前記画像形成手段に対して、選択されたN値又は2値の画像データを出力する出力工程とを有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。 - コンピュータを請求項1に記載の画像形成装置の各手段として機能させるためのプログラム。
- 請求項13に記載のプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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