JP2004320944A - 内燃機関用発電機 - Google Patents

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【課題】冷却用オイルがステータコイルに効率よくかかるようにする。
【解決手段】クランクケース2に隣接する発電機室3のカバー5にオイル冷却通路27を設け、その出口にオイル噴射用ジェット26を形成する。ジェット26は、噴射されるオイルがロータ6の椀状本体9の底面に指向するように設定される。ステータ7のコア16には、ジェット26から噴射されたオイルが通過できるように孔22を設ける。ロータ6の底面には、リベット14の頭が出ていて、ジェット26から噴射されたオイルはリベット14の頭で跳ね返されて攪拌・飛散する。したがって、オイルはステータコア16に効率よく降りかかり高い冷却能が得られる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関用発電機に関し、特に、ステータを効率的に冷却するための構造を有する内燃機関用発電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関のクランク軸の軸端部に固定されたロータと、このロータに設けられている凹部に配置されたステータとを備えた内燃機関用発電機が知られる。また、この発電機を冷却するため冷却用オイルをステータに向けて噴射させる構造を備えた発電機が提案されている(特開2001−286100号公報)。この公報に記載された発電機は、ステータの外周とロータの内周との間に存在する隙間を通して冷却用オイルを噴出させるオイルジェットを備える。オイルジェットから噴出されたオイルはロータの凹部内面に衝突して飛散し、ステータの各部に接触して冷却効果を発する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術の発電機冷却構造では、オイルがロータ外周寄りの平坦な面に噴射されて外側に広がっていくので、特に高温になりやすいコイルにオイルがかかりにくく、発電機が効率的に冷却されにくい。そこで、より効果的に発電機をオイル冷却できる構造が望まれていた。
【0004】
本発明の目的は、上記要望に鑑み、噴出したオイルが発電機の高温部へ効率よく降りかかる冷却構造を有する内燃機関用発電機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明は、内燃機関のクランク軸に固定された有底円筒状のロータと、該ロータの円筒部内周に配置された永久磁石にコアを対向させて配置されたステータと、前記ステータを保持する発電機室カバーとを有する内燃機関用発電機において、前記ロータの底面に向けて冷却用オイルを噴射させるジェットを具備し、前記ロータの底面に凹凸状を有する部分を形成すると共に、前記ジェットが前記ロータの凹凸状を有する部分に指向させてある点に第1の特徴がある。
【0006】
また、本発明は、前記ジェットが前記発電機室カバー内に設けられるオイル供給通路の出口部であって、前記ステータのコアを介して前記ロータの底面に正対し、前記ステータのコアには、前記ジェットから噴射されるオイルの通過を許容する貫通孔が形成されている点に第2の特徴がある。
【0007】
また、本発明は、前記ロータが、ロータ本体と該ロータ本体の底部と結合されるフランジを有するボスとからなり、前記ロータの凹凸形状が、前記ロータ本体および前記フランジを接合するリベットの頭と前記ロータ本体の底面とで形成されている点に第3の特徴がある。
【0008】
さらに本発明は、前記ロータの底面を凹凸形状にするため、前記ロータの底部にダミーとしてリベットが打たれている点に第4の特徴がある。
【0009】
上記特徴によれば、ジェットから噴射されたオイルがロータ底面に衝突し、凹凸形状によって多方向に飛散し、発電機を効率よく冷却することができる。特に、第2の特徴によれば、ジェットから噴射されたオイルはステータを貫通してロータ底面に衝突し、ロータ底面の凹凸形状で跳ね返されるので、高温になりやすいステータにもむらなくオイルが降りかかり良好に冷却することができる。
【0010】
第3の特徴によれば、ロータ本体とボスとを接合するために、すでに使用されているリベットの頭を利用してロータの底面に凹凸形状を形成できるので、追加の加工を施すことなく、ロータの円筒部と底部とで囲まれた空間内にオイルを飛散させることができる。
【0011】
第4の特徴によれば、ロータの底面に飾りつまりダミーとしてリベットを打つだけの簡単な追加工で冷却能力を向上させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る発電機を含む内燃機関(以下、「エンジン」という)の要部断面図であり、図2は、発電機の正面図である。図において、例えば自動二輪車に搭載されるエンジンのクランクケース2に発電機室3が隣接して配置される。発電機室3は、クランクケース2と一体に形成されるフレーム4とフレーム4にボルト(図示せず)で結合されるカバー5とからなるハウジングを備える。発電機室3には、ロータ6およびステータ7からなる発電機1が収容される。発電機室内にはエンジンのクランク軸8のテーパ状軸端部8aが突出する。ロータ6は、前記カバー5と対向する側が開放された椀状つまり円筒部および底部からなる有底円筒状のロータ本体9とボス10とからなり、このボス10のテーパ状ボス孔10aがクランク軸8の軸端部8aと嵌合し、ロータ6がクランク軸8と結合される。ボス10はクランク軸8の軸端に螺合されるボルト11によって固定される。なお、ボルト11は、図示しないスタータに係合される部材12をクランク軸8に結合する機能も同時に果たす。部材12のボス部12aとカバー5との間にはシール部材13が設けられる。
【0013】
ロータ本体9とボス10とは、ロータ本体9の底部9aとボス10のフランジ部10bとで当接し、複数のリベット14で互いに結合される。ロータ本体9の内周面には、複数の永久磁石15が固定される。
【0014】
ステータ7は、表面が絶縁された多数の鉄板を積層したコア16とコア16の両側面に重ね合わせた絶縁板17と、絶縁板17を介してコア16に巻回されたコイル18とからなる。コア16と絶縁板17とは5本のリベット19(図2)で一体に結合される。コイル18はハーネス20により引き出され、図示しない制御部に接続される。
【0015】
ステータ7は、コア16の外周が間隙を有して前記永久磁石15と対向するように配置されて前記カバー5に形成されるステータ支持部5aに着座し、コア16を貫通する3本のボルト21でステータ支持部5aに固定される。ステータには、コア16および絶縁板17を貫通する複数の孔22が設けられ、その孔22のうちの一つは、カバー5に形成されるオイル通路およびジェット(後述)を通って噴射されるオイル通過孔として利用される。ジェットから噴射されるオイルは一例として矢印Jに示すような軌跡で孔22を貫通してロータ9に降りかけられる。
【0016】
図3は発電機室のカバーの背面図、図4は、カバーの要部断面図である。カバー5には、その周囲にクランクケース2との結合のために使用される孔23が形成される。また、カバー5には、前記シール部材13を保持するとともに部材12のボス部12aが貫通することができる孔24aを有するボス24が設けられ、このボス24には、前記ボルト21が螺合される三つのボルト孔25が形成される。さらに、ボス24の周囲において、前記ボルト孔25のほぼ中間にオイル噴出口つまりジェット26が設けられる。ジェット26は前記ステータ7を貫通する孔22の一つの延長線上に設けられ、噴出されるオイルがこの孔22に指向するように構成される。
【0017】
ジェット26は、図4から明らかなように、ボス24の軸方向に沿ってボス24内を延び、通路27に連通する。通路27はカバー5に形成されたリッジつまり畝28内を外周方向に延び、オイル入口29に連通する。オイル入口29は、開放されていて、クランクケース2にカバー5が結合されたときに、クランクケース2側の図示しないメイン通路に結合される。このメイン通路には、図示しないオイルポンプからオイルが供給される。カバー5には、前記ボス24から放射状に延びる複数のリブ30と各リブ30をつなぐ環状のリブ31とが設けられる。
【0018】
動作時、エンジンの運転によりクランク軸8が回転し、発電機1のロータ6がそれに伴って回転すると、ロータ6に固定された永久磁石15と、カバー5に固定されたステータ7のコイル18とが相対回転して発電が行われる。この発電によってコイル18は発熱する。
【0019】
一方、エンジンの回転により、オイルポンプが駆動されてメイン通路にオイルが供給される。このオイルはカバー5に設けられたオイル入口29から通路27に給送され、ジェット26から発電機室3内に噴射される。ジェット26はステータ7に形成された孔22に指向されているので、ジェット26から噴射されたオイルはこの孔22を通過してロータ本体9の底部9aに衝突する。
【0020】
底部9aには、ボス10とロータ本体9とを結合するためのリベット14の頭が突出しており、孔22を通過してロータ本体9の底部9aに衝突するオイルは、ロータ6が回転することにより各リベット14の頭にも降りかけられる。すなわち、オイルは、底部9aの平坦な面とリベット14の頭つまり凸部とに交互に降りかかる。リベット14の頭に衝突したオイルは、平坦な底部9aの面に衝突した場合と異なり、リベット14の頭で多方向に跳ね返されるので、広範囲に飛散する。特に、噴射されたオイルはコイル18よりも内周側に衝突するので、ロータ6の回転による遠心力で外周方向に飛散しつつコイル18の方向に多量に跳ね返される。
【0021】
こうして、ジェット26から発電機室3内に噴射されたオイルは、椀状のロータ6内でリベット14の頭で攪拌され、ロータ6やステータ7等、発電機1の構成要素に効率よく行き渡り、これらを冷却する。発電機1の冷却を終えて発電機室3の底部に溜まったオイルは、図示しない戻し通路を通ってクランクケース2に戻される。
【0022】
なお、本実施形態では、ロータ本体9とボス10とをリベット14で結合してロータ6を構成したので、リベット14の頭をオイル攪拌および飛散用に利用することができた。しかし、ロータ本体9とボス10とを溶接など別の方法で接合したり、一体成型したりして、リベットを使用しないこともある。そのような場合には、リベット14に代えて、ロータ本体9の底部9aに相当する部分に、ジェット26から噴射されたオイルを攪拌し、かつ広範囲に飛散させるための凸部を形成すればよい。また、リベット14に代わる他の凸部品を取り付けてもよい。例えば、接合のためではなく凹凸を作るためだけの目的でダミーとしてボルトをねじ込んだりリベットを打ったりしてもよい。要は、ロータ本体9の底部9aに相当する部位を平坦でない面を形成して、ジェット26から噴射されたオイルが多方面に跳ね返されればよい。
【0023】
【発明の効果】
上述のように、本発明によれば、ジェットから噴射されたオイルをロータの底面に形成された凹凸形状部分に衝突させて攪拌および飛散させることができるので、発電機を効率よく冷却することができる。
【0024】
特に請求項2の発明によれば、跳ね返されたオイルが高温になりやすいコイルを有するステータに降りかかるので、一層高い冷却能を得ることができる。
【0025】
また、請求項3によれば、発電機に追加工を施すことなく、オイルを攪拌および飛散させることができる。また、請求項4の発明によれば、リベットを打つ簡単な追加工によってオイルを攪拌および飛散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る発電機を含むエンジンの要部断面図である。
【図2】発電機の正面図である。
【図3】発電機室カバーの背面図である。
【図4】発電機室カバーの断面図である。
【符号の説明】
1…発電機、 2…クランクケース、 3…発電機室、 5…発電機室カバー、6…ロータ、 7…ステータ、 8…クランク軸、 9…ロータ本体、 9a…ロータ底部、 10…ボス、 14…リベット、 16…コア、 18…コイル、 21…ボルト、 22…貫通孔、 26…ジェット、 29…オイル入口

Claims (4)

  1. 内燃機関のクランク軸に固定された有底円筒状のロータと、該ロータの円筒部内周に配置された永久磁石にコアを対向させて配置されたステータと、前記ステータを保持する発電機室カバーとを有する内燃機関用発電機において、
    前記ロータの底面に向けて冷却用オイルを噴射させるジェットを具備し、
    前記ロータの底面に凹凸状を有する部分を形成すると共に、
    前記ジェットが前記ロータの凹凸状を有する部分に指向させてあることを特徴とする内燃機関用発電機。
  2. 前記ジェットが前記発電機室カバー内に設けられるオイル供給通路の出口部であって、前記ステータのコアを介して前記ロータの底面に正対し、
    前記ステータのコアには、前記ジェットから噴射されるオイルの通過を許容する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1記載の内燃機関用発電機。
  3. 前記ロータが、ロータ本体と該ロータ本体の底部と結合されるフランジを有するボスとからなり、
    前記ロータの凹凸形状が、前記ロータ本体および前記フランジを接合するリベットの頭と前記ロータ本体の底面とで形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関用発電機。
  4. 前記ロータの底面を凹凸形状にするため、前記ロータの底部にダミーとしてリベットが打たれていることを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関用発電機。
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