JP2004319849A - 電子モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】回路基板を内蔵したパッケージのベース板と蓋体とがガタツクことなく、蓋体を安定して接地電位に保持し、電子モジュールの高周波動作を安定にし、電子デバイスの発熱を効率よくベース板を介して外部に放散する。
【解決手段】電子モジュールは、金属製のベース板10、ベース板に固定する回路基板30、ベース板10に固定する金属製の蓋体40とからなる。蓋体40は弾性片45と、弾性片45に対応して設けられた爪片46を有し、弾性片45と対応する爪片46によりベース板10を挟持することによりベース板10と蓋体40を機械的に固定するとともに、電気的にも接続し蓋体40を接地電位とする。
【選択図】 図2
【解決手段】電子モジュールは、金属製のベース板10、ベース板に固定する回路基板30、ベース板10に固定する金属製の蓋体40とからなる。蓋体40は弾性片45と、弾性片45に対応して設けられた爪片46を有し、弾性片45と対応する爪片46によりベース板10を挟持することによりベース板10と蓋体40を機械的に固定するとともに、電気的にも接続し蓋体40を接地電位とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波モジュールの構造に関し、さらに詳しくは、回路基板を固定したベース板を蓋体に形成された複数の弾性片と爪片との間に挟持し、蓋体をベース板に機械的に結合するとともに、蓋体をベース板に電気的に結合して接地電位とする高周波モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
高周波用の半導体デバイスと、この半導体デバイスの周辺回路素子として複数の抵抗、コンデンサ等を同一の回路基板上に搭載しパッケージ内に収容して、高周波増幅モジュールとして利用することが行われている。
【0003】
図6は、従来の電子モジュールの一例を示し、特許文献1に開示された電力増幅モジュールを示す斜視図である。この電力増幅モジュール90は、金属製のベース板91と、金属製の蓋体93とを接合して構成されたパッケージを備えている。ベース板91上には、平板状の回路基板92が固定されており、この回路基板92は蓋体93で覆われている。
【0004】
回路基板92には、2個の繰り抜き穴94a,94bが形成されており、この繰り抜き穴94a,94bから露出したベース板91上には、それぞれヒートスプレッダ95a,95bを介して樹脂等で封止された半導体デバイス96a,96b、抵抗素子、コンデンサ素子、コイル素子等がそれぞれ半田付け等により設置されている。また、ベース板91の一側部には、回路パターンを母基板に接続するリードピン97a〜97dが突設して設けられている。
【0005】
ベース板91の裏面は、このモジュールが搭載される母基板に対して密着させるように平坦面となっている。通常は金属製のベース板91が接地電位を与える。回路基板92はベース板91と導電性の接着剤、あるいは半田付けにより接着固定される。
【0006】
金属製のパッケージ蓋である蓋体93とベース板91との係合は、ベース板91の相対する辺の一部が上方に折り曲げられた基板挟持板98a,98bが形成され、この基板挟持板98a,98bの中央部にたたき出し加工により外方に突出する突起98c,98d(突起98dは図示されていない)が設けられる。
【0007】
蓋体93には回路基板92を内部に包むように側面が備えられているが、その側面の一部に、リードピン97a〜97dを挿通させて外部に露出させるピン挿通部93aを有し、ベース板91の突起98c,98dと係合するように係合孔99a,99b(係合孔99bは図示されていない)が穿たれ、ベース板91の突起98c,98dを係合孔99a,99bに挿入することで、蓋体93とベース板91との接続が行われる。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−070220号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記したような従来の電子モジュールでは、蓋体とベース板とは機械的な係合のみで接合されているので、蓋体、ベース板の加工精度、つまりベース板に設けられた突起や、蓋体に設けられた係合孔の加工精度によって、両者の結合が十分に密着せずガタツクことがあった。
【0010】
ここで、ベース板と回路基板とは接着剤、半田付け等で強固に固定されているのでガタツクことはない。しかしながら、この種のモジュールにあって、特に、扱う信号の周波数が高くなりGHz帯にまで及んでくると、蓋体とベース板との係合のガタツキは雑音の発生要因となるばかりか、接触面積が変化することにより、蓋体の接地電位が安定せずに回路動作の不安定要因にもなり、場合によっては回路が自己発振を起こす事態が生じる。
【0011】
したがって、本発明は、電子素子を実装した回路基板を内蔵したパッケージのベース板と蓋体とが堅固に固定され、厳しい環境条件下においても蓋体がガタツクことがなく、蓋体を安定して接地電位に保持し、電子モジュールの高周波動作を安定にすることを目的とする。
【0012】
また、蓋体とベース板により回路基板を完全にシールドし、外来雑音の影響を避けることができるだけでなく、モジュール内の回路からの不要な電磁放射が外部に漏洩することがない電子モジュールを提供することを目的とする。
【0013】
さらに、回路基板に搭載した電子デバイスの発熱を効率よくベース板を介して外部に放散することができ、高出力の電子モジュールを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を克服するためになされたもので、本発明の電子モジュールは、金属製のベース板と、ベース板に固定する回路基板と、回路基板を覆うようにベース板に固定する金属製の蓋体とからなる電子モジュールであって、蓋体は複数の弾性片と、複数の弾性片のそれぞれに対応した爪片を有し、複数の弾性片とそれぞれに対応する爪片によりベース板を挟持することによりベース板と蓋体を固定することを特徴とする。
【0015】
本発明の電子モジュールにおいては、蓋体がベース板と堅固に固定されるので、蓋体がガタツクことがない。そのため、蓋体の接地電位もふらつくことがなく、モジュール内に収められている高周波回路の動作も発振等の不安定動作に陥ることはない。さらに、外形形状は従前の形状をそのまま踏襲したものであるので、新たに母基板を設計することもなく、従来のモジュールをそのまま置き換えることが容易に実現される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図5に示す実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例による高周波モジュールの外観を示す斜視図、図2は、実施例の高周波モジュールを分解し、前面側より見た分解斜視図、図3は、同じく実施例の高周波モジュールを分解し、背面側から見た分解斜視図である。なお、図1では蓋体を透視して内部を示している。
【0017】
本実施例の高周波モジュールは、ベース板10、回路基板30、蓋体40により構成されている。ベース板10は、厚さ2mmの一様の銅ブロックにNi鍍金を施したもので、略矩形状に形成され、深さ約0.5mmの溝14,15により3つの領域に分けられている。すなわち、回路基板を搭載する主面部11と、主面部11を挟むように設けられた左右のモジュール固定面部12,13の3領域である。
【0018】
主面部11を構成する2つの辺のうち、後辺はモジュール固定面部12,13の後辺と連続しているが、前辺は主面部11の幅が狭くなっているので、モジュール固定面部12,13の前辺とは不連続となっている。主面部11の前辺の中央寄りには蓋取り付け片16が設けられている。この結果、モジュール固定面部12,13及び蓋取り付け片16により2つの切り欠き部18,19が形成される。
【0019】
蓋取り付け片16の先端側の裏面は切り欠かれて薄肉部17が形成されている。後述するように、蓋取り付け片16の表面に後述する蓋体40の内側に形成された弾性片45が当接するとともに、蓋取り付け片16の先端の薄肉部17に、後述する蓋体40に形成された爪片46が噛み込むことにより、蓋体40をベース板10に固定する。
【0020】
モジュール固定面部12,13の後辺と連続する主面部11の後辺に沿って、ベース板10の表面から約0.1mm程度突出する矩形状の凸部20が形成されている。凸部20の一辺の長さは約1.5mm程度である。
【0021】
図3に示されているように、ベース板10の凸部20が形成されている位置の左右の側方個所裏面にも、前記した薄肉部17と同様な薄肉部21a、21bが形成されている。この凸部20にも蓋体40の内面に形成された弾性片48を当接し、さらに凸部20の左右両側方に形成された薄肉部21a、21bに、蓋体40の爪片49a,49bが噛み込むことで、蓋取り付け片16における蓋体40とベース板10との係合に加えて、この辺においても蓋体40とベース体10が堅固に固定される。
【0022】
モジュール固定面部12,13にはそれぞれ一対の螺子用の切り込み12a,12b、13a,13bが形成されている。これらの切込みに差し込まれた螺子により、このモジュールを母基板に固定し、モジュール全体を確実に固定することができる。
【0023】
また、ベース板10の裏面は一様な平面であるので、回路基板30に搭載されたデバイスからの発熱はベース板10に伝達され、次いで母基板に効率よく放熱することができる。母基板に限らず、放熱用に特別に設けられた放熱部材であれば、さらにその効果は向上する。
【0024】
2つの溝14,15の幅はそれぞれ約1.0mm、その深さは約0.5mmである。この溝14,15に、後述する蓋体40の両側に形成された位置合わせ爪50,51が係合することで、蓋体40の長手方向の移動を規制する。
【0025】
回路基板30は、厚さ約0.6mmの樹脂製基板からなり、その表面側に配線パターンを形成するとともに、トランジスタ、抵抗、コンデンサ等の電子素子を表面実装の形態で搭載する。回路基板30には、その前辺及び後辺にそれぞれ切り欠き部31,32が形成されている。前辺に形成された切り欠き部31は、ベース板10の蓋取付け片16が形成されている位置に対応し、この切り欠き部31を設けることにより、蓋取り付け片16の表面を露出させることができ、後述するように蓋体40の内面に形成された弾性片45を蓋取り付け片16に突き当てることが可能となる。
【0026】
また、切り欠き部31が形成されている辺の切り欠き部31の両側には、エッジグリップ型のリードピン33a〜33eが複数設けられている。リードピン33a〜33eが設けられている個所は、ベース板10の2つの切り込み部18,19に対応しているため、エッジグリップ型リードピン33a〜33eがベース板10に接触することはない。
【0027】
回路基板30の後辺に設けられた切り欠き部32は、ベース板10の主面部11に設けられた凸部20に対応する。この切り欠き部32の内形状が凸部20の形状と一致するために、ベース板10と回路基板30との位置決めを行うことができる。
【0028】
回路基板30上には複数の電子素子が搭載される。図2、図3に示す例では、3個の表面実装型トランジスタ34a〜34c、及び幾つかのチップ抵抗、チップコンデンサ、及び2つのトリマコンテンサが記載されているが、これらの素子の種類及び数は、採用した回路に依存して変更される。さらに、表面実装型の形態に限らず、例えばトランジスタの場合には直接ベース板上にベアチップで実装し、回路基板上の配線にボンディングワイヤで回路接続を行う等の方法も可能である。また、回路基板30は回路の複雑さに応じて多層基板とすることも可能である。
【0029】
蓋体40は、ベース板10上に搭載される回路基板30及び回路基板30に搭載された電子素子を適切に保護し、かつ外部と電気的にシールドするために設けられるもので、厚さ約0.3mmの洋白(銅、ニッケル、亜鉛合金)が用いられる。蓋体40は、中央の保護部41と、その両側の固定部42,43から構成される。
【0030】
保護部41は、回路基板30上の回路素子を保護するために、固定部42,43よりも約3mm背高に構成されており、天板41a、左右側板41b,41c、丈の短い前側板41d、及び後側板41eとからなり、前方が開口となっている(左側板41bは図示されていない)。前側板41dの中央寄りには蓋体40をベース板10に取り付けるための係合板44が突出して設けられている。
【0031】
係合板44は、図2にA部詳細図として記載されているように、弾性片45及び爪片46を有する。弾性片45は、係合板44の一方の側辺から連続し、下部に側辺に沿った切り込みを有する突片を蓋体40の内方に折曲し、折曲した突片の下方部分を更に保護部41側に折曲し下に凸に湾曲することによって形成される。
【0032】
また、爪片46は、ベース板10の蓋取り付け片16先端に形成された薄肉部17の下面に係止するもので、係合板44の弾性片45の下方位置に打抜加工により形成されている。すなわち、爪片46の内辺のうち、下辺を残し切り込みを入れ、上辺部を蓋体の内側に押し込むことにより形成される。
【0033】
蓋体40の保護部41を形成する後側板41eの略中央には、2つのスリットによって押圧板47が形成されており、押圧板47の先端部は蓋体内側に折曲され下に凸に湾曲されて、ベース体10の主面部11に形成された凸部20に押圧される弾性片48となっている。
【0034】
押圧板47の両側方であって押圧板47先端に形成された弾性片48より下方の位置には、爪片49a,49bが形成されていて、これらの爪片49a,49bはそれぞれベース板10の裏面縁部を切り欠くことによって形成された薄肉部21a,21bに係止する。この結果、弾性片48と爪片49a,49bによりベース板10を堅固に挟持することが可能となる。
【0035】
蓋体40の固定部42,43には、それぞれ一対の螺子用切り込み42a,42b、43a,43bが形成されている(固定部42の切り込み42a,42bは図示されていない)。この切り込み42a,42b、43a,43bは、蓋体40がベース板10に固定された時に、ベース板10のモジュール固定面部12,13に形成された切り込み12a,12b、13a,13bの位置と一致し重なる。そのため、蓋体40とベース板10とを一体に、この高周波モジュールが搭載される母基板に固定することができる。
【0036】
保護部41と固定部42,43との境界部分には、約0.2mm程度下方に突出した位置合わせ爪50,51が設けられている。この位置合わせ爪50,51は、それぞれベース体10の溝14,15の主面部11の内方壁面に当接し、蓋体40の位置を規定する。
【0037】
以上説明した蓋体40の構造は、全て1枚の洋白材料からなる薄板を用い、切り込み、打ち抜き、折曲により作製することができる。
【0038】
次に、蓋体40をベース板10に固定する際の係合構造について説明する。
図4は、ベース板の蓋取り付け片と蓋体の係合板とが当接した様子を示す図で、図4(A)は当接部をモジュール内部から見た斜視図、図4(B)は当接部の断面図である。
【0039】
係合板44は、その一方の側辺から連続し下部に側辺に沿った切り込みを有する突片が蓋体40の内方に折曲され、折曲された突片の下方部分が更に保護部41側に向かって上方に折曲されることによって弾性片45が形成される。弾性片45は、弓状に弧を描くように湾曲しており、その弾性力を適切にベース板10に伝えられるようにしてある。弾性片45は、回路基板30の切り欠き部31から露出しているベース板10の蓋取り付け片16の上面に当接してベース板10を押付けている。
【0040】
また、図4(B)に示すように、係合板44の下方に設けられた爪片46は、爪片46の内辺のうち下辺を残し切り込みを入れ、上辺部を蓋体の内側に押し込むことにより形成されていて、ベース板10の蓋取り付け片16先端に形成された薄肉部17の裏面に当接している。この形状により、弾性片45と爪片46によりベース板10と蓋体40とが堅固に固定される。
【0041】
図5は、蓋体とベース板に形成された凸部に蓋体の後部弾性片が当接した様子を示す図で、図5(A)は当接部をモジュール内部から見た斜視図、図5(B)は当接部の断面図である。
【0042】
蓋体40の保護部41を形成する後側板41eの略中央に設けられた押圧板47は、下端が蓋体40の内側に折曲されて弾性片48を形成している。弾性片48は、下方に凸の弓形状に掲載されており、その凸形状の先端が回路基板30の切り欠き部32から露出しているベース板10の凸部20に当接して、ベース板10を押圧している。
【0043】
一方、後側板41eに形成された押圧板47の左右側方であって、弾性片48が形成された位置より下方に爪49a,49bが設けられており、ベース板10の薄肉部21a,21bにそれぞれ当接しているので、弾性部48と薄肉部21a,21bとでベース板10を堅固に挟持する。なお、図5(B)の断面図では、弾性片48とベース板10の薄肉部21a,21bとが同一断面にあるように記載されているが、図3の記載からも理解されるように、これら2つの構成要素は異なる断面位置にある。
【0044】
以上のように、本実施例のモジュールでは、蓋体40とベース板10とが、正面側と背面側双方で堅固に固定され、かつ、その左右の位置関係も蓋体40に設けられた位置合わせ爪50,51とで規定されるので、蓋体40とベース板10とがガタツクことがない。さらに、蓋体40とベース板10とは、このモジュールを母基板に搭載する際に、一体に螺子止めされるため、蓋体40について接地電位がふらつくことがなくなり、高周波モジュールに搭載されている回路動作も安定する。
【0045】
次に、本実施例の高周波モジュールの製造方法について説明する。
まず、トランジスタ、抵抗、コンデンサ等の電子素子を搭載し、エッジクリップ形状のリードピン33a〜33eを実装した回路基板30をベース板10の主面部11上に接着する。回路基板30の裏面は全面に亘って接地パターンにしてあり、回路基板30の全裏面とベース板10の主面部11が全面で接着される。接着には半田付けを用いることが一般的である。電子素子の回路基板への接着は、ディップ半田を用いるのが製造コスト面で有利である。
【0046】
ベース板10を加熱し、その主面部11上に半田粒を載置した後、この半田粒が溶融するのに合わせ、ベース板10の主面部11上に均一に延ばす。次いで、主面部11上に、回路基板30をその切り欠き部32とべース板10の凸部20を位置合わせするように載置する。回路基板30の裏面が全面接地パターンになっているので、両者は先に塗布した半田により機械的、電気的に確実に接着される。
【0047】
次いで、ベース板10と回路基板30の組立体に対し、蓋体40を係合する。係合は、蓋体40をベース板10の所定位置に上方から被せる。ここで、左右位置は位置合わせ爪50,51とベース板10に形成された溝14,15とで規定され、また前後位置は係合板44とベース板10の蓋取り付け片16、及び蓋体40の押圧板47とベース板10の後側板41eとで規定される。
【0048】
さらに、蓋体40の固定部42,43のそれぞれの前端に設けられている襞52,53が、ベース板10のモジュール固定面部12,13の前辺にそれぞれ当接することで、蓋体40の位置を規定する。
【0049】
蓋体40を上方から押し込んでゆくと、蓋体40の3個所に設けられた爪片46,49a,49bはそれぞれ弾性材であるので外方に押し広げられる。ベース板10に形成された薄肉部17,21a,21bをそれぞれ爪片46,49a,49bの上方まで位置させた上で押下力を解放すると、蓋体40の弾性片45,48の弾性力によりベース板10は下方に押下げられる。しかしその時には、蓋体の爪片46,49a,49bが、既にモジュール内側に突出しているので、ベース板10はこの爪片46,49a,49bに当接し、爪片に支えられることとなり、蓋体とベース板とが堅固に固定される状態となる。
【0050】
ベース板10から蓋体40を取り外すには、爪片46,49a,49bが形成されている個所をモジュール外方に押し広げることで、爪片46,49a,49bとベース板10との係合が外れる。そのまま、蓋体40を上方に持ち上げることにより、蓋体をベース板10から容易に取り外すことが可能である。
【0051】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の電子モジュールにおいては、蓋体とベース板とが堅固に固定されるので、蓋体のガタツキによる接地電位のふらつきがなく接地電位が安定し、モジュールの高周波動作が安定する。
【0052】
また、ベース板はその全体が金属製であるので、蓋体とベース板とにより回路基板が完全にシールドされるため、外来雑音の影響を避けることかできるだけでなく、モジュール内の回路からの不要な電磁放射が外部に漏洩することがない。
【0053】
さらに、金属製ベース板を採用しているので、回路基板に搭載された電子デバイスの発熱が、効率よくベース板を介して外部に放散することができ、高出力の電子モジュールを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による高周波モジュールの外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例の高周波モジュールを分解し、前面側より見た分解斜視図である。
【図3】本発明の実施例の高周波モジュールを分解し、背面側から見た分解斜視図である。
【図4】ベース板の蓋取り付け片と蓋体の係合板とが当接した様子を示す図で、図4(A)は当接部をモジュール内部から見た斜視図、図4(B)は当接部の断面図である。
【図5】蓋体とベース板に形成された凸部に蓋体の後部弾性片が当接した様子を示す図で、図5(A)は当接部をモジュール内部から見た斜視図、図5(B)は当接部の断面図である。
【図6】従来の電力増幅モジュールを示す斜視図である。
【符号の説明】
10…ベース板、11…主面部、12,13…モジュール固定面部、12a,12b、13a,13b…螺子用切り込み、14,15…溝、16…蓋取り付け片、17…薄肉部、18,19…切り欠き部、20…凸部、21a,21b…薄肉部、30…回路基板、31,32…切り欠き部、33a〜33e…リードピン、34a〜34c…トランジスタ、40…蓋体、41…保護部、41a…天板、41b、41c…側板、41d…前側板、41e…後側板、42,43…固定部、42a,42b、43a,43b…螺子用切り込み、44…係合板、45…弾性片、46…爪片、47…押圧板、48…弾性片、49a,49b…爪片、50,51…位置合わせ爪、52,53…襞。
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波モジュールの構造に関し、さらに詳しくは、回路基板を固定したベース板を蓋体に形成された複数の弾性片と爪片との間に挟持し、蓋体をベース板に機械的に結合するとともに、蓋体をベース板に電気的に結合して接地電位とする高周波モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
高周波用の半導体デバイスと、この半導体デバイスの周辺回路素子として複数の抵抗、コンデンサ等を同一の回路基板上に搭載しパッケージ内に収容して、高周波増幅モジュールとして利用することが行われている。
【0003】
図6は、従来の電子モジュールの一例を示し、特許文献1に開示された電力増幅モジュールを示す斜視図である。この電力増幅モジュール90は、金属製のベース板91と、金属製の蓋体93とを接合して構成されたパッケージを備えている。ベース板91上には、平板状の回路基板92が固定されており、この回路基板92は蓋体93で覆われている。
【0004】
回路基板92には、2個の繰り抜き穴94a,94bが形成されており、この繰り抜き穴94a,94bから露出したベース板91上には、それぞれヒートスプレッダ95a,95bを介して樹脂等で封止された半導体デバイス96a,96b、抵抗素子、コンデンサ素子、コイル素子等がそれぞれ半田付け等により設置されている。また、ベース板91の一側部には、回路パターンを母基板に接続するリードピン97a〜97dが突設して設けられている。
【0005】
ベース板91の裏面は、このモジュールが搭載される母基板に対して密着させるように平坦面となっている。通常は金属製のベース板91が接地電位を与える。回路基板92はベース板91と導電性の接着剤、あるいは半田付けにより接着固定される。
【0006】
金属製のパッケージ蓋である蓋体93とベース板91との係合は、ベース板91の相対する辺の一部が上方に折り曲げられた基板挟持板98a,98bが形成され、この基板挟持板98a,98bの中央部にたたき出し加工により外方に突出する突起98c,98d(突起98dは図示されていない)が設けられる。
【0007】
蓋体93には回路基板92を内部に包むように側面が備えられているが、その側面の一部に、リードピン97a〜97dを挿通させて外部に露出させるピン挿通部93aを有し、ベース板91の突起98c,98dと係合するように係合孔99a,99b(係合孔99bは図示されていない)が穿たれ、ベース板91の突起98c,98dを係合孔99a,99bに挿入することで、蓋体93とベース板91との接続が行われる。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−070220号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記したような従来の電子モジュールでは、蓋体とベース板とは機械的な係合のみで接合されているので、蓋体、ベース板の加工精度、つまりベース板に設けられた突起や、蓋体に設けられた係合孔の加工精度によって、両者の結合が十分に密着せずガタツクことがあった。
【0010】
ここで、ベース板と回路基板とは接着剤、半田付け等で強固に固定されているのでガタツクことはない。しかしながら、この種のモジュールにあって、特に、扱う信号の周波数が高くなりGHz帯にまで及んでくると、蓋体とベース板との係合のガタツキは雑音の発生要因となるばかりか、接触面積が変化することにより、蓋体の接地電位が安定せずに回路動作の不安定要因にもなり、場合によっては回路が自己発振を起こす事態が生じる。
【0011】
したがって、本発明は、電子素子を実装した回路基板を内蔵したパッケージのベース板と蓋体とが堅固に固定され、厳しい環境条件下においても蓋体がガタツクことがなく、蓋体を安定して接地電位に保持し、電子モジュールの高周波動作を安定にすることを目的とする。
【0012】
また、蓋体とベース板により回路基板を完全にシールドし、外来雑音の影響を避けることができるだけでなく、モジュール内の回路からの不要な電磁放射が外部に漏洩することがない電子モジュールを提供することを目的とする。
【0013】
さらに、回路基板に搭載した電子デバイスの発熱を効率よくベース板を介して外部に放散することができ、高出力の電子モジュールを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を克服するためになされたもので、本発明の電子モジュールは、金属製のベース板と、ベース板に固定する回路基板と、回路基板を覆うようにベース板に固定する金属製の蓋体とからなる電子モジュールであって、蓋体は複数の弾性片と、複数の弾性片のそれぞれに対応した爪片を有し、複数の弾性片とそれぞれに対応する爪片によりベース板を挟持することによりベース板と蓋体を固定することを特徴とする。
【0015】
本発明の電子モジュールにおいては、蓋体がベース板と堅固に固定されるので、蓋体がガタツクことがない。そのため、蓋体の接地電位もふらつくことがなく、モジュール内に収められている高周波回路の動作も発振等の不安定動作に陥ることはない。さらに、外形形状は従前の形状をそのまま踏襲したものであるので、新たに母基板を設計することもなく、従来のモジュールをそのまま置き換えることが容易に実現される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図5に示す実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例による高周波モジュールの外観を示す斜視図、図2は、実施例の高周波モジュールを分解し、前面側より見た分解斜視図、図3は、同じく実施例の高周波モジュールを分解し、背面側から見た分解斜視図である。なお、図1では蓋体を透視して内部を示している。
【0017】
本実施例の高周波モジュールは、ベース板10、回路基板30、蓋体40により構成されている。ベース板10は、厚さ2mmの一様の銅ブロックにNi鍍金を施したもので、略矩形状に形成され、深さ約0.5mmの溝14,15により3つの領域に分けられている。すなわち、回路基板を搭載する主面部11と、主面部11を挟むように設けられた左右のモジュール固定面部12,13の3領域である。
【0018】
主面部11を構成する2つの辺のうち、後辺はモジュール固定面部12,13の後辺と連続しているが、前辺は主面部11の幅が狭くなっているので、モジュール固定面部12,13の前辺とは不連続となっている。主面部11の前辺の中央寄りには蓋取り付け片16が設けられている。この結果、モジュール固定面部12,13及び蓋取り付け片16により2つの切り欠き部18,19が形成される。
【0019】
蓋取り付け片16の先端側の裏面は切り欠かれて薄肉部17が形成されている。後述するように、蓋取り付け片16の表面に後述する蓋体40の内側に形成された弾性片45が当接するとともに、蓋取り付け片16の先端の薄肉部17に、後述する蓋体40に形成された爪片46が噛み込むことにより、蓋体40をベース板10に固定する。
【0020】
モジュール固定面部12,13の後辺と連続する主面部11の後辺に沿って、ベース板10の表面から約0.1mm程度突出する矩形状の凸部20が形成されている。凸部20の一辺の長さは約1.5mm程度である。
【0021】
図3に示されているように、ベース板10の凸部20が形成されている位置の左右の側方個所裏面にも、前記した薄肉部17と同様な薄肉部21a、21bが形成されている。この凸部20にも蓋体40の内面に形成された弾性片48を当接し、さらに凸部20の左右両側方に形成された薄肉部21a、21bに、蓋体40の爪片49a,49bが噛み込むことで、蓋取り付け片16における蓋体40とベース板10との係合に加えて、この辺においても蓋体40とベース体10が堅固に固定される。
【0022】
モジュール固定面部12,13にはそれぞれ一対の螺子用の切り込み12a,12b、13a,13bが形成されている。これらの切込みに差し込まれた螺子により、このモジュールを母基板に固定し、モジュール全体を確実に固定することができる。
【0023】
また、ベース板10の裏面は一様な平面であるので、回路基板30に搭載されたデバイスからの発熱はベース板10に伝達され、次いで母基板に効率よく放熱することができる。母基板に限らず、放熱用に特別に設けられた放熱部材であれば、さらにその効果は向上する。
【0024】
2つの溝14,15の幅はそれぞれ約1.0mm、その深さは約0.5mmである。この溝14,15に、後述する蓋体40の両側に形成された位置合わせ爪50,51が係合することで、蓋体40の長手方向の移動を規制する。
【0025】
回路基板30は、厚さ約0.6mmの樹脂製基板からなり、その表面側に配線パターンを形成するとともに、トランジスタ、抵抗、コンデンサ等の電子素子を表面実装の形態で搭載する。回路基板30には、その前辺及び後辺にそれぞれ切り欠き部31,32が形成されている。前辺に形成された切り欠き部31は、ベース板10の蓋取付け片16が形成されている位置に対応し、この切り欠き部31を設けることにより、蓋取り付け片16の表面を露出させることができ、後述するように蓋体40の内面に形成された弾性片45を蓋取り付け片16に突き当てることが可能となる。
【0026】
また、切り欠き部31が形成されている辺の切り欠き部31の両側には、エッジグリップ型のリードピン33a〜33eが複数設けられている。リードピン33a〜33eが設けられている個所は、ベース板10の2つの切り込み部18,19に対応しているため、エッジグリップ型リードピン33a〜33eがベース板10に接触することはない。
【0027】
回路基板30の後辺に設けられた切り欠き部32は、ベース板10の主面部11に設けられた凸部20に対応する。この切り欠き部32の内形状が凸部20の形状と一致するために、ベース板10と回路基板30との位置決めを行うことができる。
【0028】
回路基板30上には複数の電子素子が搭載される。図2、図3に示す例では、3個の表面実装型トランジスタ34a〜34c、及び幾つかのチップ抵抗、チップコンデンサ、及び2つのトリマコンテンサが記載されているが、これらの素子の種類及び数は、採用した回路に依存して変更される。さらに、表面実装型の形態に限らず、例えばトランジスタの場合には直接ベース板上にベアチップで実装し、回路基板上の配線にボンディングワイヤで回路接続を行う等の方法も可能である。また、回路基板30は回路の複雑さに応じて多層基板とすることも可能である。
【0029】
蓋体40は、ベース板10上に搭載される回路基板30及び回路基板30に搭載された電子素子を適切に保護し、かつ外部と電気的にシールドするために設けられるもので、厚さ約0.3mmの洋白(銅、ニッケル、亜鉛合金)が用いられる。蓋体40は、中央の保護部41と、その両側の固定部42,43から構成される。
【0030】
保護部41は、回路基板30上の回路素子を保護するために、固定部42,43よりも約3mm背高に構成されており、天板41a、左右側板41b,41c、丈の短い前側板41d、及び後側板41eとからなり、前方が開口となっている(左側板41bは図示されていない)。前側板41dの中央寄りには蓋体40をベース板10に取り付けるための係合板44が突出して設けられている。
【0031】
係合板44は、図2にA部詳細図として記載されているように、弾性片45及び爪片46を有する。弾性片45は、係合板44の一方の側辺から連続し、下部に側辺に沿った切り込みを有する突片を蓋体40の内方に折曲し、折曲した突片の下方部分を更に保護部41側に折曲し下に凸に湾曲することによって形成される。
【0032】
また、爪片46は、ベース板10の蓋取り付け片16先端に形成された薄肉部17の下面に係止するもので、係合板44の弾性片45の下方位置に打抜加工により形成されている。すなわち、爪片46の内辺のうち、下辺を残し切り込みを入れ、上辺部を蓋体の内側に押し込むことにより形成される。
【0033】
蓋体40の保護部41を形成する後側板41eの略中央には、2つのスリットによって押圧板47が形成されており、押圧板47の先端部は蓋体内側に折曲され下に凸に湾曲されて、ベース体10の主面部11に形成された凸部20に押圧される弾性片48となっている。
【0034】
押圧板47の両側方であって押圧板47先端に形成された弾性片48より下方の位置には、爪片49a,49bが形成されていて、これらの爪片49a,49bはそれぞれベース板10の裏面縁部を切り欠くことによって形成された薄肉部21a,21bに係止する。この結果、弾性片48と爪片49a,49bによりベース板10を堅固に挟持することが可能となる。
【0035】
蓋体40の固定部42,43には、それぞれ一対の螺子用切り込み42a,42b、43a,43bが形成されている(固定部42の切り込み42a,42bは図示されていない)。この切り込み42a,42b、43a,43bは、蓋体40がベース板10に固定された時に、ベース板10のモジュール固定面部12,13に形成された切り込み12a,12b、13a,13bの位置と一致し重なる。そのため、蓋体40とベース板10とを一体に、この高周波モジュールが搭載される母基板に固定することができる。
【0036】
保護部41と固定部42,43との境界部分には、約0.2mm程度下方に突出した位置合わせ爪50,51が設けられている。この位置合わせ爪50,51は、それぞれベース体10の溝14,15の主面部11の内方壁面に当接し、蓋体40の位置を規定する。
【0037】
以上説明した蓋体40の構造は、全て1枚の洋白材料からなる薄板を用い、切り込み、打ち抜き、折曲により作製することができる。
【0038】
次に、蓋体40をベース板10に固定する際の係合構造について説明する。
図4は、ベース板の蓋取り付け片と蓋体の係合板とが当接した様子を示す図で、図4(A)は当接部をモジュール内部から見た斜視図、図4(B)は当接部の断面図である。
【0039】
係合板44は、その一方の側辺から連続し下部に側辺に沿った切り込みを有する突片が蓋体40の内方に折曲され、折曲された突片の下方部分が更に保護部41側に向かって上方に折曲されることによって弾性片45が形成される。弾性片45は、弓状に弧を描くように湾曲しており、その弾性力を適切にベース板10に伝えられるようにしてある。弾性片45は、回路基板30の切り欠き部31から露出しているベース板10の蓋取り付け片16の上面に当接してベース板10を押付けている。
【0040】
また、図4(B)に示すように、係合板44の下方に設けられた爪片46は、爪片46の内辺のうち下辺を残し切り込みを入れ、上辺部を蓋体の内側に押し込むことにより形成されていて、ベース板10の蓋取り付け片16先端に形成された薄肉部17の裏面に当接している。この形状により、弾性片45と爪片46によりベース板10と蓋体40とが堅固に固定される。
【0041】
図5は、蓋体とベース板に形成された凸部に蓋体の後部弾性片が当接した様子を示す図で、図5(A)は当接部をモジュール内部から見た斜視図、図5(B)は当接部の断面図である。
【0042】
蓋体40の保護部41を形成する後側板41eの略中央に設けられた押圧板47は、下端が蓋体40の内側に折曲されて弾性片48を形成している。弾性片48は、下方に凸の弓形状に掲載されており、その凸形状の先端が回路基板30の切り欠き部32から露出しているベース板10の凸部20に当接して、ベース板10を押圧している。
【0043】
一方、後側板41eに形成された押圧板47の左右側方であって、弾性片48が形成された位置より下方に爪49a,49bが設けられており、ベース板10の薄肉部21a,21bにそれぞれ当接しているので、弾性部48と薄肉部21a,21bとでベース板10を堅固に挟持する。なお、図5(B)の断面図では、弾性片48とベース板10の薄肉部21a,21bとが同一断面にあるように記載されているが、図3の記載からも理解されるように、これら2つの構成要素は異なる断面位置にある。
【0044】
以上のように、本実施例のモジュールでは、蓋体40とベース板10とが、正面側と背面側双方で堅固に固定され、かつ、その左右の位置関係も蓋体40に設けられた位置合わせ爪50,51とで規定されるので、蓋体40とベース板10とがガタツクことがない。さらに、蓋体40とベース板10とは、このモジュールを母基板に搭載する際に、一体に螺子止めされるため、蓋体40について接地電位がふらつくことがなくなり、高周波モジュールに搭載されている回路動作も安定する。
【0045】
次に、本実施例の高周波モジュールの製造方法について説明する。
まず、トランジスタ、抵抗、コンデンサ等の電子素子を搭載し、エッジクリップ形状のリードピン33a〜33eを実装した回路基板30をベース板10の主面部11上に接着する。回路基板30の裏面は全面に亘って接地パターンにしてあり、回路基板30の全裏面とベース板10の主面部11が全面で接着される。接着には半田付けを用いることが一般的である。電子素子の回路基板への接着は、ディップ半田を用いるのが製造コスト面で有利である。
【0046】
ベース板10を加熱し、その主面部11上に半田粒を載置した後、この半田粒が溶融するのに合わせ、ベース板10の主面部11上に均一に延ばす。次いで、主面部11上に、回路基板30をその切り欠き部32とべース板10の凸部20を位置合わせするように載置する。回路基板30の裏面が全面接地パターンになっているので、両者は先に塗布した半田により機械的、電気的に確実に接着される。
【0047】
次いで、ベース板10と回路基板30の組立体に対し、蓋体40を係合する。係合は、蓋体40をベース板10の所定位置に上方から被せる。ここで、左右位置は位置合わせ爪50,51とベース板10に形成された溝14,15とで規定され、また前後位置は係合板44とベース板10の蓋取り付け片16、及び蓋体40の押圧板47とベース板10の後側板41eとで規定される。
【0048】
さらに、蓋体40の固定部42,43のそれぞれの前端に設けられている襞52,53が、ベース板10のモジュール固定面部12,13の前辺にそれぞれ当接することで、蓋体40の位置を規定する。
【0049】
蓋体40を上方から押し込んでゆくと、蓋体40の3個所に設けられた爪片46,49a,49bはそれぞれ弾性材であるので外方に押し広げられる。ベース板10に形成された薄肉部17,21a,21bをそれぞれ爪片46,49a,49bの上方まで位置させた上で押下力を解放すると、蓋体40の弾性片45,48の弾性力によりベース板10は下方に押下げられる。しかしその時には、蓋体の爪片46,49a,49bが、既にモジュール内側に突出しているので、ベース板10はこの爪片46,49a,49bに当接し、爪片に支えられることとなり、蓋体とベース板とが堅固に固定される状態となる。
【0050】
ベース板10から蓋体40を取り外すには、爪片46,49a,49bが形成されている個所をモジュール外方に押し広げることで、爪片46,49a,49bとベース板10との係合が外れる。そのまま、蓋体40を上方に持ち上げることにより、蓋体をベース板10から容易に取り外すことが可能である。
【0051】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の電子モジュールにおいては、蓋体とベース板とが堅固に固定されるので、蓋体のガタツキによる接地電位のふらつきがなく接地電位が安定し、モジュールの高周波動作が安定する。
【0052】
また、ベース板はその全体が金属製であるので、蓋体とベース板とにより回路基板が完全にシールドされるため、外来雑音の影響を避けることかできるだけでなく、モジュール内の回路からの不要な電磁放射が外部に漏洩することがない。
【0053】
さらに、金属製ベース板を採用しているので、回路基板に搭載された電子デバイスの発熱が、効率よくベース板を介して外部に放散することができ、高出力の電子モジュールを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による高周波モジュールの外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例の高周波モジュールを分解し、前面側より見た分解斜視図である。
【図3】本発明の実施例の高周波モジュールを分解し、背面側から見た分解斜視図である。
【図4】ベース板の蓋取り付け片と蓋体の係合板とが当接した様子を示す図で、図4(A)は当接部をモジュール内部から見た斜視図、図4(B)は当接部の断面図である。
【図5】蓋体とベース板に形成された凸部に蓋体の後部弾性片が当接した様子を示す図で、図5(A)は当接部をモジュール内部から見た斜視図、図5(B)は当接部の断面図である。
【図6】従来の電力増幅モジュールを示す斜視図である。
【符号の説明】
10…ベース板、11…主面部、12,13…モジュール固定面部、12a,12b、13a,13b…螺子用切り込み、14,15…溝、16…蓋取り付け片、17…薄肉部、18,19…切り欠き部、20…凸部、21a,21b…薄肉部、30…回路基板、31,32…切り欠き部、33a〜33e…リードピン、34a〜34c…トランジスタ、40…蓋体、41…保護部、41a…天板、41b、41c…側板、41d…前側板、41e…後側板、42,43…固定部、42a,42b、43a,43b…螺子用切り込み、44…係合板、45…弾性片、46…爪片、47…押圧板、48…弾性片、49a,49b…爪片、50,51…位置合わせ爪、52,53…襞。
Claims (7)
- 金属製のベース板と、該ベース板に固定する回路基板と、前記回路基板を覆うように前記ベース板に固定する金属製の蓋体とからなる電子モジュールであって、前記蓋体は複数の弾性片と、前記複数の弾性片のそれぞれに対応した爪片を有し、前記複数の弾性片とそれぞれに対応する前記爪片により前記ベース板を挟持することにより前記ベース板と前記蓋体を固定することを特徴とする電子モジュール。
- 前記ベース板の前記爪片に対応する個所は、薄肉に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子モジュール。
- 前記ベース板は、前記回路基板を固定する主面部と該主面部の両側に設けられた固定面部とからなり、前記主面部と前記固定面部との境界にはそれぞれ溝を有し、前記蓋体は、前記回路基板を覆う保護部と前記保護部の両側に設けられた固定部とからなり、前記保護部と前記固定部との境界には位置合わせ爪を有し、前記位置合わせ爪と前記溝の内面が当接して前記ベース板と前記蓋体との位置合わせを行うことを特徴とする請求項1または2に記載の電子モジュール。
- 前記ベース板の主面部は凸部を有し、前記回路基板は位置合わせ凹部を有し、前記凸部と前記位置合わせ凹部とにより、前記ベース板と前記回路基板との位置合わせを行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子モジュール。
- 前記蓋体の固定部は切り込みを有し、前記ベース板の固定面部は螺子用切り込みを有し、前記蓋体の切り込みは前記ベース板の螺子用切り込みに対応していることを特徴とする請求項3または4に記載の電子モジュール。
- 前記蓋体の固定部は襞を有し、該襞は前記ベース板の固定面部の側面に当接していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子モジュール。
- 前記蓋体は一枚の板状部材から形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子モジュール。
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