JP2004319802A - 太陽電池の製造方法 - Google Patents

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隆行 伊坂
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Abstract

【課題】誘電体膜のマスクを形成し、化学的エッチング方法により単結晶及び多結晶ウェハの表面に効果的な凹凸を形成し、光の吸収率の高い太陽電池の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体基板1上に誘電体膜2を形成する第1の工程と、誘電体膜2にランダムな配置の複数の貫通孔3を形成する第2の工程と、誘電体膜2に形成された貫通孔3を通してエッチング液により下地の半導体基板1をエッチングする第3の工程と、貫通孔3の形成された誘電体膜2を半導体基板1から除去する第4の工程とを有する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体基板の反射率を低減し、太陽電池の短絡電流を向上させる為の半導体基板表面の凹凸形成方法、及び、太陽電池の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
太陽電池の特性向上には、基板表面での反射を抑え、光を効率良く基板内部に吸収することが重要である。その方法として、透明で光の干渉を利用した反射防止膜を基板表面に形成する方法と、多重反射と光路長増大を利用する為に基板表面に凹凸を形成する方法がある。
【0003】
基板表面に凹凸を形成する場合、単結晶シリコンでは、シリコン基板にアルカリ溶液を用いた異方性エッチングを行い、シリコン基板の表面に微細なピラミッドまたは逆ピラミッド構造を形成する方法を利用している。多結晶シリコン基板の場合、様々な面方位を持つ結晶粒が含まれる為、上記異方性エッチングでは、表面反射を低減できる微細なピラミッド構造が形成されないという欠点がある。
【0004】
この欠点を解決する方法として、例えば、下記の特許文献1には機械的にシリコン基板の表面を加工する方法、特許文献2にはレーザを用いてシリコン基板の表面を加工する方法、特許文献3にはマスク形成用ガスおよびエッチングガスを用いてドライエッチングを行う方法、特許文献4には酸水溶液を用いてウエットエッチングを行う方法等がそれぞれ開示されている。また、特許文献5には、プロテクタを用いた化学的エッチングを行う方法が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−148603号公報
【特許文献2】
特開平3−89518号公報
【特許文献3】
特開平9−102625号公報
【特許文献4】
特開平9−167850号公報
【特許文献5】
特開2002−217439号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
基板表面の凹凸形成には上記のように様々な方法がある。その中で、異方性エッチングは高価な単結晶には有効であるが、多結晶の基板では様々な面方位を持つため有効な方法ではない。
【0007】
多結晶シリコン基板の凹凸形成方法のうち、機械的な加工方法、レーザを用いた加工方法、ドライエッチング方法は、作業時間が長く、高価な装備が必要である。更に、酸水溶液を用いたウエットエッチング方法では、多重反射しにくく、光の吸収率が低下し、有効な方法ではない。更に、上記プロテクタを用いたエッチングの場合、プロテクタの形成に乾燥工程を要し、またプロテクタの除去に作業時間がかかる。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、誘電体膜のマスクを形成し、化学的エッチング方法により単結晶及び多結晶ウェハの表面に効果的な凹凸を形成し、光の吸収率の高い太陽電池の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するための本発明に係る太陽電池の製造方法は、半導体基板上に誘電体膜を形成する第1の工程と、前記誘電体膜にランダムな配置の複数の貫通孔を形成する第2の工程と、前記誘電体膜に形成された前記貫通孔を通してエッチング液により下地の前記半導体基板をエッチングする第3の工程と、前記貫通孔の形成された前記誘電体膜を前記半導体基板から除去する第4の工程とを有することを特徴とする。
【0010】
ここで、半導体基板には単結晶シリコン及び多結晶シリコン基板を用いることが好ましい。また、誘電体膜はプラズマCVD法によって形成されたシリコン窒化膜であることが好ましい。更に、誘電体膜をエッチング液でエッチングすることにより、膜厚を薄くして貫通孔を形成するのが好ましい。また、エッチング溶液はフッ酸と硝酸の混合物であることが好ましい。更に好ましくは、第3の工程は、第2の工程と同じエッチング液を用いて、第2の工程に連続して、或いは、第2の工程を継続しながら実行するのがよい。尚、第2の工程において、誘電体膜を熱処理して貫通孔を形成してもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係る太陽電池の製造方法(以下、適宜「本発明方法」という。)の一実施の形態につき、図面に基づいて説明する。図1は、本発明方法の一実施の形態について概略的に示した工程図である。これを参照して、基板表面の凹凸形成方法を詳細に説明する。
【0012】
先ず、図1(a)に示すように、半導体基板1上に誘電体膜2を形成する。この誘電体膜2は、シリコン窒化膜をプラズマCVD法により形成する(第1の工程)。半導体基板1には単結晶シリコンまたは多結晶シリコン基板を用いる。尚、プラズマCVD法を用いた場合、分解ガス中の水素原子によってシリコン基板の表面、界面が不活性化され、特に多結晶シリコン太陽電池の特性が向上する。
【0013】
次に、シリコン窒化膜2をマスクとして基板1のエッチングを行うが、プラズマCVD法で製膜したままのシリコン窒化膜2では基板1のエッチング用のマスクとして利用することができない。そこで、シリコン窒化膜2をフッ酸またはフッ酸と硝酸の混合液でエッチングすると、図1(b)に示すように、シリコン窒化膜2の膜厚が薄くなり、応力によりシリコン窒化膜にランダムな配置で貫通孔3が開く(第2の工程)。この貫通孔3の形成されたシリコン窒化膜2をエッチング用のマスクとして利用する。つまり、この貫通孔3を通して下地の基板1をエッチングする。
【0014】
シリコン窒化膜2をマスクとしてエッチングを行う際のエッチング溶液は、フッ酸と硝酸の混合液を用いる。これにより、図1(c)に示すように、シリコン窒化膜2の貫通孔3を通して下地の基板1のエッチングが進行し、基板1の表面に凹凸を形成することができる(第3の工程)。この場合、フッ酸と硝酸との混合液により基板1の裏面もエッチングされ、裏面の凹凸がなくなり太陽電池を作製した際、裏面の表面積が減り、裏面での再結合が抑制され太陽電池の特性が向上するという利点がある。また、フッ酸と硝酸との混合液は、シリコン窒化膜2もエッチングするので、シリコン窒化膜2にランダムな配置で貫通孔3を開けることができるので、前記第2の工程のシリコン窒化膜2のエッチングと、第3の工程の基板1のエッチングを同時に行うことができる。
【0015】
シリコン窒化膜2はフッ酸で簡単に除去できるため、図1(d)に示すように、第3の工程でマスクとして使用したシリコン窒化膜2を除去すれば、表面に凹凸の形成された半導体基板1が得られる。
【0016】
【実施例】
〈実施例1〉
厚さ300μm、大きさ125mm×125mmの多結晶シリコン基板を水酸化ナトリウム水溶液でダメージ層を除去した。その後、プラズマCVD法によりシリコン窒化膜を形成し、その基板をフッ酸と硝酸を1:10の比率で混合した溶液に8分間浸漬しエッチングを行う。その後、5%のフッ酸溶液に15分浸漬し残ったシリコン窒化膜を取り除くことで、表面に凹凸を形成した多結晶基板が得られた。波長628nmの光の反射率は25.4%であった。
【0017】
〈比較例1〉
厚さ300μm、大きさ125mm×125mmの多結晶シリコン基板を水酸化ナトリウム水溶液でダメージ層を除去した。この基板の波長628nmの光の反射率は31.5%であった。
【0018】
〈実施例2〉
実施例1で作製した多結晶シリコン基板に、熱拡散法を用い、リンをドーピングし、PN接合を形成する。次に、シランとアンモニアとの混合ガスを原料としてプラズマCVD法で、窒化シリコン膜よりなる反射防止膜を形成する。次に、基板裏面に裏面電極としてアルミペースト及び銀ペーストをスクリーン印刷により形成、基板表面の反射防止膜上に表面電極を銀ペーストでスクリーン印刷し、焼成して電極を形成する。さらに、全面にフラックスを塗布した後、融解した半田が満たされている半田槽に太陽電池を浸漬し、表面電極及び裏面の銀電極に半田を付け引き上げる。これにより、太陽電池が完成する。この太陽電池にAM−1.5の光を照射した場合の光電流密度は、32.5mA/cmであった。
【0019】
〈比較例2〉
比較例1の基板を用い、実施例2と同様の工程により、太陽電池を作製した。この太陽電池にAM−1.5の光を照射した場合の光電流密度は、31.9mA/cmであった。
【0020】
〈実施例3〉
厚さ300μm、大きさ125mm×125mmの多結晶シリコン基板を水酸化ナトリウム水溶液でダメージ層を除去した。その後、プラズマCVD法によりシリコン窒化膜を形成し、ベルト炉で700℃の熱処理を加えた。熱処理により、シリコン窒化膜に貫通孔が観察され、その基板をフッ酸と硝酸を1:10の比率で混合した溶液に8分間浸漬しエッチングを行ったところ、貫通孔から基板へのエッチングが進行することが観察された。また熱処理を加えたことで、シリコン窒化膜のエッチング耐性が強くなり、表面の凹凸の制御ができることが分かった。
【0021】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明方法によれば、簡単な方法で基板エッチング用のマスクを形成し、化学的エッチングを行うことで、表面に凹凸のある基板を得ることができ、その基板を用いて作製した太陽電池の短絡電流を向上することができる。
【0022】
また、本発明方法を行うことで、プラズマCVD法での製膜時に分解ガス中の水素原子によってシリコン基板の表面、界面が不活性化され、特に多結晶シリコン太陽電池の特性が向上する。更に、基板の裏面のエッチングにより基板の裏面の凹凸がなくなり太陽電池を作製した際、裏面の表面積が減り、裏面での再結合が抑制され太陽電池の特性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る太陽電池の製造方法の一実施の形態における基板表面の凹凸形成工程を概略的に示した工程図
【符号の説明】
1: 半導体基板(多結晶または単結晶のシリコン基板)
2: 誘電体膜(シリコン窒化膜)
3: 貫通孔

Claims (8)

  1. 半導体基板上に誘電体膜を形成する第1の工程と、前記誘電体膜にランダムな配置の複数の貫通孔を形成する第2の工程と、前記誘電体膜に形成された前記貫通孔を通してエッチング液により下地の前記半導体基板をエッチングする第3の工程と、前記貫通孔の形成された前記誘電体膜を前記半導体基板から除去する第4の工程と、を有する太陽電池の製造方法。
  2. 前記誘電体膜がシリコン窒化膜であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
  3. 前記誘電体膜が、プラズマCVDにより製膜されることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池の製造方法。
  4. 前記第2の工程において、前記誘電体膜をエッチング液でエッチングすることにより、前記貫通孔を形成することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  5. 前記第2の工程において、前記誘電体膜を熱処理することにより、前記貫通孔を形成することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  6. 前記第3の工程は、前記第2の工程と同じエッチング液を用いて、前記第2の工程に連続して、或いは、前記第2の工程を継続しながら実行することを特徴とする請求項4に記載の太陽電池の製造方法。
  7. 前記第2の工程において使用するエッチング液は、硝酸とフッ酸の混合液であることを特徴とする請求項5または6に記載の太陽電池の製造方法。
  8. 前記第4の工程において、前記誘電体膜をHFにより除去することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に太陽電池の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012227216A (ja) * 2011-04-15 2012-11-15 Shin Etsu Handotai Co Ltd ウェーハの電気特性測定方法

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