JP2004318899A - タッチパネル - Google Patents

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Shigekazu Tomai
重和 笘井
Akira Umigami
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Abstract

【課題】 タッチパネルについては、その入力精度の向上が望まれているが、既存の透明電極膜を利用して入力精度を向上させることは困難である。
【解決手段】 タッチパネルを構成している2枚の透明電極基板のそれぞれに形成されている透明電極膜のうちの少なくとも一方として、インジウム(In)および錫(Sn)のいずれか一方と、チタン(Ti),シリコン(Si),ニッケル(Ni),イリジウム(Ir),ロジウム(Rh),セリウム(Ce),ジルコニウム(Zr),タリウム(Tl),ハフニウム(Hf),マグネシウム(Mg),アルミニウム(Al),タンタル(Ta),コバルト(Co),鉛(Pb),ゲルマニウム(Ge),クロム(Cr)および亜鉛(Zn)からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属元素と、酸素(O)とを構成元素とし、前記金属元素の総量の原子比(全金属原子)/[(InまたはSn)+(全金属原子)]が2.2〜40at%である酸化物膜からなり、該透明電極膜の膜厚および比抵抗が、添付図面の図1に示す点A,B,C,Dを頂点とする四角形の範囲内にある透明電極膜を用いる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、タッチパネルに関する。
近年、パーソナルコンピュータ,ワードプロセッサ,電子手帳等のコンピュータ本体(主記憶装置)へのデータ入力を行うための入力装置の1つとして、入力面に指やペン等によって単に荷重を加えるだけでデータ入力を行うことができるタッチパネル(タッチスクリーンを含む。以下同じ。)が多用されるようになってきた。このタッチパネルには種々の原理のものがあるが、その1つとして、抵抗膜方式のものがある。
抵抗膜方式のタッチパネルはアナログ型とデジタル型とに大別されるが、入力位置の検出感度の向上に伴い、最近ではアナログ型が採用されつつある。
アナログ型のタッチパネルでは、透明基材とこの透明基材上に平膜状に形成された透明電極膜(抵抗膜)とを備えた透明電極基板が2枚、前記の透明電極膜同士が対向するようにしてスペーサ等によって所定間隔に保たれつつ配置されており、2枚の透明電極基板のうちの一方が入力面側に位置している。そして、入力面側に位置している透明電極基板の外部から当該透明電極基板に荷重が加えたときに透明電極膜同士が導通するように、これらの透明電極膜の各々は、当該透明電極膜の所定の位置に設けられた電極端子やリード線(取出し電極)を介して所定の駆動回路と電気的に接続されている。また、透明電極膜の各々は、比較回路,マイクロプロセッサー,アナログ/デジタル変換器等を用いた座標検出手段とも電気的に接続されている。
このアナログ型のタッチパネルにおいては、入力面側に位置している透明電極基板の外部から荷重が加えられて透明電極膜同士が導通したときに、一方の透明電極膜における所定の端部から前記の導通が生じた箇所を経て他方の透明電極膜における所定の端部へ電流が流れるように回路が組まれている。そして、この回路における電気抵抗値は、前記の導通が生じた箇所、すなわち前記の荷重が加えられた箇所の位置座標に応じて変化することから、この電気抵抗値の変化に基づいて、前記の荷重が加えられた箇所の位置座標が座標検出手段によって検出される。このため、アナログ型のタッチパネルに使用される透明電極膜については、デジタル型のタッチパネルに使用される透明電極膜よりも高電気抵抗で、かつ、表面抵抗の均一性に優れていることが要求される。
ところで、抵抗膜方式のタッチパネル、特にアナログ型のタッチパネルについては、近年、入力精度の高精度化に対する要望が高まっており、当該要望を満たすためには、表面抵抗が概ね800Ω/□以上である透明電極膜を用いることが望まれている。
透明電極膜としては従来より物理的蒸着法によって形成されたITO膜が多用されているが、当該ITO膜は比抵抗が10-3Ω・cm未満の透明導電膜となる。したがって、ITO膜を透明電極膜として用いて入力精度が向上したアナログ型のタッチパネルを得るためには、ITO膜の膜厚を10nm程度と非常に薄くする必要がある。しかしながら、このように極めて薄い薄膜は、島状構造の域を脱していない(非特許文献1参照)ため、実用に耐え得るものではない。このため、特にアナログ型のタッチパネルの透明電極膜については、ITO膜に代わる新たな高電気抵抗膜の開発が望まれている。
ITO膜よりも高電気抵抗の膜としては、Ta ,TiO あるいはZrOの少なくとも一成分を1〜20モル%含むSnOで形成された高抵抗導電性膜(特許文献1参照)や、透明導電性の金属酸化物薄膜中にSiO,TiO ,Al ,ZrO ,MgO,ZnOからなる群より選ばれた少なくとも1種類の金属酸化物を原子組成比で0.5〜2%添加した膜(特許文献2参照)が知られている。
『薄膜の基本技術』(東京大学出版会)第90〜91頁 特開昭57−109206号公報 特開平6−349338号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている高抵抗導電性膜は、その表面抵抗が10Ω/□以上と非常に高いため、タッチパネル用の電極膜としては実用的でない。また、この高抵抗導電性膜は湿式法によって成膜されるものであることから、乾燥工程において基材を400℃以上に加熱する必要があり、そのため基材の材質が著しく制限されるという難点を有している。
一方、特許文献2の実施例において具体的に開示されている膜は、17nmの膜厚で500〜700Ω/□という高い表面抵抗を有しており、また、耐久性にも優れていることから、アナログ型のタッチパネルの透明電極膜として好適なものである。しかしながら、前述したように、アナログ型のタッチパネルの入力精度の高精度化に対する近年の要望の高まりに伴い、当該タッチパネルの透明電極膜についてはその表面抵抗が概ね800Ω/□以上であることが望まれるに至っている。すなわち、上記特開平6−349338号公報に具体的に開示されている表面抵抗500〜700Ω/□の膜ではもはや追従できない程、アナログ型のタッチパネルの入力精度の高精度化に対する近年の要望は厳しくなってきている。
本発明の目的は、入力精度が向上したタッチパネルを提供することにある。
上記の目的を達成する本発明のタッチパネルは、所定のパターンに形成された透明電極膜を有する2枚の透明電極基板を備え、前記2枚の透明電極基板が前記透明電極膜同士を対向させて所定間隔で配置されており、前記透明電極基板のうちの一方の外部から当該透明電極基板に荷重を加えたときに前記透明電極膜同士が導通するタッチパネルであり、前記2枚の透明電極基板のそれぞれに形成されている透明電極膜のうちの少なくとも一方が、インジウム(In)および錫(Sn)のいずれか一方と、チタン(Ti),シリコン(Si),ニッケル(Ni),イリジウム(Ir),ロジウム(Rh),セリウム(Ce),ジルコニウム(Zr),タリウム(Tl),ハフニウム(Hf),マグネシウム(Mg),アルミニウム(Al),タンタル(Ta),コバルト(Co),鉛(Pb),ゲルマニウム(Ge),クロム(Cr)および亜鉛(Zn)からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属元素と、酸素(O)とを構成元素とし、前記金属元素の総量の原子比(全金属原子)/[(InまたはSn)+(全金属原子)]が2.2〜40at%である酸化物膜からなり、当該透明電極膜の膜厚および比抵抗が、添付図面の図1に示す点A,B,C,Dを頂点とする四角形の範囲内にあることを特徴とするものである(以下、このタッチパネルを「タッチパネルI」という。)。
また、上記の目的を達成する本発明の他のタッチパネルは、所定のパターンに形成された透明電極膜を有する2枚の透明電極基板を備え、前記2枚の透明電極基板が前記透明電極膜同士を対向させて所定間隔で配置されており、前記透明電極基板のうちの一方の外部から当該透明電極基板に荷重を加えたときに前記透明電極膜同士が導通するタッチパネルであり、前記2枚の透明電極基板のそれぞれに形成されている透明電極膜のうちの少なくとも一方が、インジウム(In)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)および酸素(O)を構成元素とし、前記チタン(Ti)および前記亜鉛(Zn)の総量の原子比(Ti+Zn)/(In+Ti+Zn)が2.2〜50at%である酸化物膜からなり、当該透明電極膜の膜厚および比抵抗が、添付図面の図1に示す点A,B,C,Dを頂点とする四角形の範囲内にあることを特徴とするものである(以下、このタッチパネルを「タッチパネルII」という。)。
以上説明したように、本発明によれば入力精度の高いタッチパネルを提供することが可能になる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず本発明のタッチパネルIについて説明すると、このタッチパネルIの特徴は、上述したように、当該タッチパネルIを構成している2枚の透明電極基板のそれぞれに形成されている透明電極膜のうちの少なくとも一方が特定の組成の酸化物膜からなり、この酸化物膜からなる透明電極膜の膜厚および比抵抗が、添付図面の図1に示す点A,B,C,Dを頂点とする四角形の範囲内(境界線上を含む。以下「図1に示す領域内」という。)にある点にあるので、まず、当該特定の酸化物膜からなる透明電極膜について説明する。なお、図1中の線分ABは表面抵抗が10kΩ/□である酸化物膜についての膜厚と比抵抗との関係を示しており、線分CDは表面抵抗が800Ω/□である酸化物膜についての膜厚と比抵抗との関係を示している。
上記の透明電極膜は、前述のように、インジウム(In)および錫(Sn)のいずれか一方と、チタン(Ti),シリコン(Si),ニッケル(Ni),イリジウム(Ir),ロジウム(Rh),セリウム(Ce),ジルコニウム(Zr),タリウム(Tl),ハフニウム(Hf),マグネシウム(Mg),アルミニウム(Al),タンタル(Ta),コバルト(Co),鉛(Pb),ゲルマニウム(Ge),クロム(Cr)および亜鉛(Zn)からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属元素と、酸素(O)とを構成元素とする酸化物膜からなる。当該酸化物膜は、その製造過程での不可避的な混入物を除き、前記の構成元素のみからなる。
そして、上記の酸化物膜おける前記金属元素の総量の原子比(全金属原子)/[(InまたはSn)+(全金属原子)]は、前述のように2.2〜40at%である。ここで、前記金属元素の総量の原子比を表す式中の「全金属原子」とは、上記の群より選ばれた金属元素についての原子数(相対値)の総和を意味し、「InまたはSn」とは、InおよびSnのうちで当該酸化物の構成元素となっている元素の原子数(相対値)を意味する。
タッチパネルIにおいて上記金属元素の総量の原子比の下限値を2.2at%に限定する理由は、当該原子比が2.2at%未満の酸化物膜では比抵抗が9.6×10−4Ω・cm未満となるため、薄膜として実用に耐え得る最小膜厚(約12nm)での表面抵抗が800Ω/□未満となり、入力精度が向上したアナログ型のタッチパネルを得ることが困難になるからである。また、タッチパネルIにおいて上記金属元素の総量の原子比の上限値を40at%に限定する理由は、当該原子比が40at%を超える酸化物膜では比抵抗が2.0×10−1Ω・cmを超えるため、その膜厚を200nmとしても表面抵抗は10kΩ/□を超え、このような高表面抵抗の透明電極膜では抵抗値分布が大きくなる結果、入力精度が向上したアナログ型のタッチパネルを得ることが困難になるからである。
ただし、上記の構成元素からなる酸化物膜のうちで、インジウム(In)および酸素(O)以外の構成元素がチタン(Ti)および亜鉛(Zn)である酸化物膜では、TiおよびZnが共に半導体的な性質を有していることから、これらの元素の総量の原子比(Ti+Zn)/(In+Ti+Zn)の増加に伴う当該酸化物膜の電気抵抗の上昇が緩慢になる。そのため、後述するように、インジウム(In)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)および酸素(O)を構成元素とする酸化物膜においては、前述した群より選ばれる金属元素の総量の原子比、すなわち、チタン(Ti)および亜鉛(Zn)の総量の原子比(Ti+Zn)/(In+Ti+Zn)の上限値を、例外的に50at%にまですることができる。
上述した組成を有する酸化物膜は、膜厚および比抵抗が図1に示す領域内にある透明電極膜を形成することができるものであれば、
(1) 非晶質、
(2) インジウム酸化物および錫酸化物のいずれか一方と、上記金属元素の酸化物との混合物(混晶を除く結晶質。)、
(3) インジウム酸化物および錫酸化物のいずれか一方と、上記金属元素の酸化物との混晶、
(4) 上記(3) の混晶と、上記金属元素の酸化物との混合物、
のいずれからなるものでもよい。
上記(1) 〜(4) のいずれの酸化物膜も、200nm厚での可視光の透過率が概ね85%以上であるので、その膜厚を200nm以下にすることにより、タッチパネルの透明電極膜として好適に使用することが可能になる。この酸化物膜の膜厚が200nmを超えると可視域での光吸収が大きくなるので、このような酸化物膜を電極膜として利用したタッチパネルでは入力面が暗く見づらくなる。一方、上述した酸化物膜の膜厚が12nm未満では、実用に供し得る透明電極膜を形成することが困難になる。
したがってタッチパネルIでは、図1に示すように、上述した酸化物膜からなる透明電極膜の膜厚を12〜200nmとする。酸化物膜(透明電極膜)の膜厚は、アナログ型のタッチパネルの透明電極膜として使用する場合には12〜100nmであることが好ましく、15〜50nmであることが特に好ましい。
また、上述した酸化物膜(透明電極膜)の表面抵抗は、その組成および膜厚を変えることにより適宜調整することができるが、タッチパネルIにおいては、酸化物膜の膜厚と表面抵抗とを乗じることによって求めることができる当該酸化物膜(透明電極膜)の比抵抗の値を図1に示す領域内の値とする。比抵抗の値が図1に示す領域から外れると、入力精度が向上したアナログ型のタッチパネルを得ることが困難になる。なお、酸化物膜(透明電極膜)の表面抵抗は、当該酸化物膜をアナログ型のタッチパネルの透明電極膜として使用する場合には、1000〜5000Ω/□とすることが好ましい。
上述した組成、膜厚および比抵抗を有する酸化物膜の中でも、電気抵抗の経時安定性の高い透明電極膜が得易いという観点からは、インジウム(In)と、チタン(Ti),シリコン(Si),ジルコニウム(Zr),アルミニウム(Al)および亜鉛(Zn)からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属元素と、酸素(O)とを構成元素とし、前記金属元素の総量の原子比(全金属原子)/[(In)+(全金属原子)]が2.5〜30at%である酸化物膜や、インジウム(In)と、チタン(Ti)および/または亜鉛(Zn)と、酸素(O)とを構成元素とする酸化物膜が好ましい。
タッチパネルIでは、前述したように、当該タッチパネルIを構成している2枚の透明電極基板のそれぞれに形成されている透明電極膜のうちの少なくとも一方が、上述した組成、膜厚および比抵抗を有する酸化物膜からなる。この酸化物膜からなる透明電極膜を備えた透明電極基板は、所望の透明基材上に、スパッタリング法,プラズマCVD法,スプレーパイロリシス法,ゾルゲル法,イオンプレーティング法等の方法によって上記の酸化物膜を形成することにより得ることができる。
このとき使用する透明基材は、可視光の透過率が概ね70%以上の基材であればよく、その具体例としてはポリカーボネート樹脂,ポリアリレート樹脂,ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂,ポリエーテルスルホン樹脂,アモルファスポリオレフィン樹脂,ポリスチレン樹脂,アクリル樹脂等の透明高分子材料や、ソーダ石灰ガラス,鉛ガラス,硼硅酸ガラス,無アルカリガラス等のガラスからなるフィルム状物、シート状物および板状物が挙げられる。これらの中でも、可撓性およびコストの点からポリエチレンテレフタレートからなるものが好ましい。
また、透明基材の片面または両面には、必要に応じてガスバリア層、ハードコート層、反射防止層等を設けてもよい。ガスバリア層の具体例としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体,ポリビニルアルコール,ポリアクリロニトリル,ポリ塩化ビニリデン,ポリフッ化ビニリデン等からなるものが挙げられる。また、ハードコート層の具体例としては、チタン系やシリカ系のハードコート剤,ポリメチルメタクリレート,ポリフォスファゼン等の高分子材料等からなるものが挙げられる。そして、反射防止層の具体例としては、フッ素系アクリルポリマー等の低屈折率ポリマー、MgFやCaF等の無機フッ化物、TiO,SiO,ZnO,Bi,Al等の無機酸化物、およびこれらの積層体からなるもの等が挙げられる。
上述した透明基材上に前述した酸化物膜からなる透明電極膜を形成するにあたっては、前述したように種々の方法を適用することができるが、均一性や透明基材との密着性に優れた透明電極膜を得るうえからは、スパッタリング法(反応性スパッタリング法を含む。)を適用することが好ましい。そして、スパッタリングターゲットとしては、目的とする透明電極膜の組成に応じた酸化物からなる焼結体ターゲットを用いることが好ましい。ここで、「目的とする透明電極膜の組成に応じた酸化物からなる焼結体ターゲット」とは、目的とする組成の透明電極膜を得ることができる組成の酸化物からなる焼結体ターゲットを意味する。当該焼結体ターゲットの組成は、スパッタ率および目的とする透明電極膜の組成に応じて適宜選択される。
上記の焼結体ターゲットは、例えば、目的とする透明電極膜を構成する元素のうちの酸素(O)以外の各元素について、その酸化物または焼成により酸化物となる化合物を所定量づつ混合し、この混合物を仮焼した後に粉砕し、この後、成形し、焼結することにより得ることができる。例えば、目的とする透明電極膜がインジウム(In)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)および酸素(O)を構成元素とするものである場合には、次のようにして目的とする焼結体ターゲットを得ることができる。
まず、酸化インジウムまたは焼成により酸化インジウムとなる化合物(例えば塩化インジウム、硝酸インジウム、酢酸インジウム、水酸化インジウム、インジウムアルコキシド等)と、酸化亜鉛または焼成により酸化亜鉛となる化合物(例えば塩化亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、水酸化亜鉛、亜鉛アルコキシド等)と、酸化チタンまたは焼成により酸化チタンとなる化合物(例えば塩化チタン、硝酸チタン、硫酸チタン等)とを、所定量づつ秤量して混合する。次いで、得られた混合物を500〜1200℃で仮焼し、この仮焼物をボールミル,ロールミル,パールミル,ジェットミル等で粉砕して、粒子径が0.01〜1.0μmの範囲内でかつ粒子径の揃った粉末を得る。なお、仮焼物の粉砕に先立って、当該仮焼物に100〜800℃で還元処理を施してもよい。また、必要に応じて、前記の粉末について更に仮焼、粉砕を所望回数繰り返してもよい。この後、得られた粉末を所望形状に加圧成形し、成形物を800〜1700℃で焼結する。このとき、必要に応じてポリビニルアルコール,メチルセルロース,ポリワックス,オレイン酸などを焼結助剤として用いてもよい。このようにして焼結体を得ることにより、目的とする焼結体ターゲットを得ることができる。
上述した焼結体ターゲットを用いてのスパッタリングは、RFスパッタリング,DCスパッタリング等により行うことができるが、生産性や得られる酸化物膜の膜特性の観点から、工業的には一般的にDCスパッタリングが好ましい。DCスパッタリングのスパッタリング条件の一例を挙げるとすれば、以下のようになる。
すなわち、スパッタリング雰囲気はアルゴンガス等の不活性ガス、または不活性ガスと酸素ガスとの混合ガスとし、スパッタ時の雰囲気圧(スパッタ圧)は1×10-2Pa〜5Pa程度、ターゲット印加電圧(放電電圧)は1000V未満とする。スパッタ時の雰囲気圧(スパッタ圧)が1×10-2Pa未満ではプラズマの安定性が悪く、5Paを超えると得られる酸化物膜の基材への密着性が悪くなる。また、ターゲット印加電圧(放電電圧)が1000V以上では酸化物膜がプラズマによるダメージを受け、目的とする電気的特性を有する酸化物膜が得られなかったり、ターゲットが割れる等の問題が発生し易い。ターゲット印加電圧(放電電圧)の好ましい値は800V未満、さらに好ましくは500V未満である。高品質の酸化物膜を得るためにはターゲット印加電圧(放電電圧)をできるだけ低くすることが好ましいが、極端に低い場合には生産性の問題が生じてくる。したがって、ターゲット印加電圧(放電電圧)の最適値は、要求される透明電極膜の品質と生産性とを総合的に考慮したうえで適宜選択される。また、成膜時の基板温度(透明基材の温度)は、透明基材の耐熱性に応じて、当該透明基材が熱により変形や変質を起こさない温度範囲内で適宜選択される。
上記の酸化物膜からなる透明電極膜の形状は、当該透明電極膜を用いるタッチパネルの種類に応じて適宜選択される。例えばデジタル型のタッチパネルに使用する場合には、成膜時に所定のマスクを使用することによって、あるいは成膜後に所定のパターニングを行うことによって、所望の平行ストライプパターンに形成される。また、アナログ型のタッチパネルに使用する場合には、成膜時に必要に応じて所定のマスクを使用することによって、あるいは成膜後に必要に応じて所定のパターニングを行うことによって、1枚の平膜に形成される。
タッチパネルIは、当該タッチパネルIを構成している2枚の透明電極基板のそれぞれに形成されている透明電極膜のうちの少なくとも一方が上述した酸化物膜からなっていればよい。上述した酸化物膜からなる透明電極膜が形成されている透明電極基板を1枚のみ用い、上述した酸化物膜以外の膜からなる透明電極膜が形成されている透明電極基板を他の1枚として用いてタッチパネルIを構成する場合、前記の「上述した酸化物膜以外の膜からなる透明電極膜」としては、ITO膜や酸化錫膜等、透明性および電気抵抗の経時安定性に優れているものを用いることが好ましい。入力精度が高いアナログ型のタッチパネルを得る場合には、2枚の透明電極基板のそれぞれとして、上述した酸化物膜からなる透明電極膜が形成されている透明電極基板を用いることが好ましい。
タッチパネルIは、当該タッチパネルIを構成する2枚の透明電極基板のうちの少なくとも一方として、上述した酸化物膜によって透明電極膜が形成されている透明電極基板を用いることの他は、従来のタッチパネルと同様にして構成される。このとき、2枚の透明電極基板は、透明電極膜同士が対向するようにしてスペーサ等によって所定間隔に保たれつつ配置され、これらの透明電極基板のうちの一方が入力面側に位置する。そして、入力面側に位置している透明電極基板の外部から当該透明電極基板に荷重が加えたときに透明電極膜同士が導通するように、これらの透明電極膜の各々は、当該透明電極膜の所定の位置に設けられた電極端子やリード線(取出し電極)を介して所定の駆動回路と電気的に接続される。また、透明電極膜の各々は、比較回路,マイクロプロセッサー,アナログ/デジタル変換器等を用いた座標検出手段とも電気的に接続される。
上述のようにして構成されるタッチパネルIは、抵抗膜方式のタッチパネルとすることが好ましく、特にアナログ型のタッチパネルとすることが好ましい。
本発明のタッチパネルIにおけるデータ入力位置の検出原理は従来と同じであるが、当該タッチパネルIを構成している2枚の透明電極基板うちの少なくとも一方は、表面抵抗が800Ω/□〜10kΩ/□と高い前述した酸化物膜によって透明電極膜が形成されたものである。このため、本発明のタッチパネルIでは座標検出の際のデータ誤認が起こりにくく、確実なデータ入力を安定して行うことが可能である。
次に、本発明のタッチパネルIIについて説明する。
本発明のタッチパネルIIも、前述したように、当該タッチパネルIIを構成している2枚の透明電極基板のそれぞれに形成されている透明電極膜のうちの少なくとも一方が特定の組成の酸化物膜からなり、この酸化物膜からなる透明電極膜の膜厚および比抵抗が図1に示す領域内にある点に特徴があるので、まず、当該特定の酸化物膜からなる透明電極膜について説明する。
この透明電極膜は、前述のように、インジウム(In)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)および酸素(O)を構成元素とする酸化物膜からなる。当該酸化物膜は、その製造過程での不可避的な混入物を除き、前記の構成元素のみからなる。そして、上記の酸化物膜おける前記チタン(Ti)および前記亜鉛(Zn)の総量の原子比(Ti+Zn)/(In+Ti+Zn)は、前述のように2.2〜50at%である。
タッチパネルIIにおいて上記チタン(Ti)および亜鉛(Zn)の総量の原子比を2.2〜50at%に限定する理由は、当該原子比が前記の範囲を外れると、膜厚と比抵抗の関係が図1に示す領域内に収まる酸化物膜を得ることが困難になるからである。
上記の組成を有する酸化物膜の中でも、チタン(Ti)および亜鉛(Zn)の総量の原子比が10〜50at%である酸化物膜、特に、インジウムの原子比In/(In+Ti+Zn)が50〜90at%、チタンの原子比Ti/(In+Ti+Zn)が1〜20at%、亜鉛の原子比Zn/(In+Ti+Zn)が10〜30at%である酸化物膜は、チタン(Ti)および亜鉛(Zn)の各含有量(原子比)を調整することにより、所望の表面抵抗値を有する透明電極膜を精度よく形成し易いという利点を有している。
上記の酸化物膜は、膜厚および比抵抗が図1に示す領域内にある透明電極膜を形成することができるものであれば、
(1) 非晶質、
(2) インジウム酸化物と、チタン酸化物と、亜鉛酸化物との混合物(混晶を除く結晶質。)、
(3) インジウム酸化物と、チタン酸化物と、亜鉛酸化物との混晶、
(4) 上記(3) の混晶と、チタン酸化物および/または亜鉛酸化物との混合物、
のいずれからなるものでもよい。
上記(1) 〜(4) のいずれの酸化物膜も、200nm厚での可視光の透過率が概ね85%以上である。したがってタッチパネルIIにおいても、前述した本発明のタッチパネルIにおける理由と同様の理由から、図1に示すように、上述した酸化物膜からなる透明電極膜の膜厚を12〜200nmとする。当該酸化物膜(透明電極膜)の膜厚は、アナログ型のタッチパネルの透明電極膜として使用する場合には12〜100nmであることが好ましく、15〜50nmであることが特に好ましい。
また、上述した酸化物膜(透明電極膜)の表面抵抗は、その組成および膜厚を変えることにより適宜調整することができるが、タッチパネルIIにおいても、酸化物膜の膜厚と表面抵抗とを乗じることによって求めることができる当該酸化物膜(透明電極膜)の比抵抗の値を、前述した本発明のタッチパネルIにおける理由と同様の理由から、図1に示す領域内の値とする。なお、酸化物膜(透明電極膜)の表面抵抗は、当該酸化物膜をアナログ型のタッチパネルの透明電極膜として使用する場合には、前述した本発明のタッチパネルIにおける酸化物膜と同様に、1000〜5000Ω/□とすることが好ましい。
タッチパネルIIは、当該タッチパネルIIを構成している2枚の透明電極基板のそれぞれに形成されている透明電極膜のうちの少なくとも一方が、上述した組成、膜厚および比抵抗を有する酸化物膜からなるものであり、当該酸化物膜は前述した本発明のタッチパネルIにおける酸化物膜と同様にして製造することができるので、ここではその製造方法についての説明を省略する。また、タッチパネルIIにおける前記の酸化物膜以外の構成部材は、前述した本発明のタッチパネルIと同じであるので、ここではその説明を省略する。
以上説明した本発明のタッチパネルIIも、前述した本発明のタッチパネルIと同様に抵抗膜方式のタッチパネルとすることが好ましく、特にアナログ型のタッチパネルとすることが好ましい。
本発明のタッチパネルIIにおけるデータ入力位置の検出原理は従来と同じであるが、当該タッチパネルIIを構成している2枚の透明電極基板うちの少なくとも一方は、前述した本発明のタッチパネルIと同様に表面抵抗が800Ω/□〜10kΩ/□と高い酸化物膜によって透明電極膜が形成されたものである。このため、本発明のタッチパネルIIにおいても座標検出の際のデータ誤認が起こりにくく、確実なデータ入力を安定して行うことが可能である。また、前記の酸化物膜の中でもチタン(Ti)および亜鉛(Zn)の総量の原子比が10〜50at%である酸化物膜は、目標とする表面抵抗値を有する透明電極膜を精度よく形成し易いものであるので、本発明のタッチパネルIIのうちで当該酸化物膜からなる透明電極膜を備えたものは、目的とする入力精度のものを得易い。
以下、本発明の実施例について説明する。
実施例1〜実施例72
(1)透明電極基板の作製
透明基材として2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの長尺物(サイズ:300mm×10m、厚さ125μm。以下PETロールという。)を用い、スパッタリングターゲットとして後掲の表1または表2に示す原子組成比(酸素を除く。)の酸化物からなる焼結体ターゲット(サイズ:5インチ×15インチ×5mm厚)を用いて、後掲の表1または表2に示す原子組成比(酸素を除く。)の酸化物膜を以下の要領で成膜した。なお、酸化物膜の原子組成比は誘導プラズマ発光分光分析(ICP)によって求めた。
まず、PETロールを連続走行式DCマグネトロンスパッタリング装置に装着し、真空槽内を5×10-3Pa以下まで減圧した。次に、アルゴンガス(純度99.99%)を真空槽内圧力が2×10-1Paになるように導入し、スパッタリング出力を1.6W/cm(ターゲット印加電圧は400V)に、基板温度を20℃にそれぞれ設定して、プレスパッタを行った。プレスパッタ後、スパッタリング出力および基板温度を前記の値に保持したまま、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガス(アルゴンガスと酸素ガスの体積比=97:3)を真空槽内圧力が2×10-1Paになるように導入し、100cm/分の走行速度でPETロールの片面に酸化物膜(透明電極膜)を成膜した。
上述のようにして得た酸化物膜(透明電極膜)付きPETロールから、平面視上の大きさが16×16cmの酸化物膜付きPETフィルムを切り出すことにより、透明電極基板を得た。
得られた透明電極基板のそれぞれについて、当該透明電極基板を構成している酸化物膜(透明電極膜)の膜厚、表面抵抗、表面抵抗の標準偏差および比抵抗を求めた。また、各透明電極基板について、波長550nmの光の透過率を求めた。これらの結果を後掲の表3または表4に示す。
なお、膜厚は、測定専用のスライドガラスを用いて上記の条件で別途成膜を行ったものについて、スローン社製のDEKTAK3030を用いた触針法により測定した。表面抵抗は、三菱油化社製のロレスタFPを用いた四端子法により測定し、表面抵抗の標準偏差は実施例ごとに上記の条件での成膜を5回行い、これらの膜の表面抵抗から求めた。比抵抗は、酸化物膜の平面視上の中央部において測定した表面抵抗に、前記のスライドガラス上に成膜した酸化物膜の膜厚を乗じることにより算出した(『薄膜材料の測定・評価』(技術情報協会)第114〜115頁参照)。そして、透明電極基板についての光の透過率は、(株)島津製作所製のUV−3100を用いて測定した。
さらに、各実施例で得られた透明電極基板を空気中120℃の条件で300時間放置した後、当該透明電極基板を構成している酸化物膜(透明電極膜)の表面抵抗Rを上記と同様にして測定し、成膜直後の表面抵抗R0 (後掲の表3または表4の表面抵抗の欄に示したもの)に対する比R/R0 を求めた。これらの結果を後掲の表3または表4に併記する。
後掲の表3または表4に示されているように、実施例1〜実施例72で成膜した各酸化物膜は、表面抵抗が840〜8990Ω/□と高抵抗であるとともに、表面抵抗の標準偏差の値から判るように再現性よく得ることができるものである。また、R/Rの値から判るように耐熱性にも優れており、特に、実施例1,2,7,11,36,37,39,43,49,50,58および65で成膜した各酸化物膜の耐熱性は高い。これらのことから、各実施例で得られた透明電極基板は、タッチパネル、特にアナログ型のタッチパネルの透明電極基板として好適な優れた特性を有していることが判る。
(2)タッチパネルの作製
上記(1)で得た酸化物膜(透明電極膜)付きPETロールの各々から、平面視上の大きさが16×16cmの酸化物膜付きPETフィルムを各2枚づつ切り出し、これら2枚の透明電極基板を用いて、図2によってその概略が示されるアナログ型のタッチパネルを以下のようにして実施例ごとに作製した。
まず、一方の透明電極基板1を構成している酸化物膜(透明電極膜)2において互いに対向している1組の辺縁部上に、幅3mmの帯状を呈する電極端子3a,3bを銀ペースト(藤倉化成社製のD−550)によってそれぞれ設けた。また、他方の透明電極基板5を構成している酸化物膜(透明電極膜)6において互いに対向している1組の辺縁部上にも、同様にして幅3mmの帯状を呈する電極端子7a,7bをそれぞれ設けた。
次に、透明電極基板1と透明電極基板5とを、酸化物膜(透明電極膜)2,6が互いに対向し、かつ、電極端子3a,3bを結ぶ方向と電極端子7a,7bを結ぶ方向とが平面視上直交するようにして貼り合わせた。このとき、SiOからなる粒径15μmの球状のスペーサー(図示せず。)を用いて、酸化物膜(透明電極膜)2,6間の距離が15μmとなるようにした。
この後、酸化物膜(透明電極膜)2に設けた電極端子3a,3bと15Vの直流電源Vとを、リード線10a,10bを介して接続した。このとき、リード線10aの途中にはスイッチSを介在させ、リード線10bの途中にはスイッチSを介在させた。また、酸化物膜(透明電極膜)6に設けた電極端子7a,7bと15Vの直流電源V2 とを、リード線11a,11bを介して接続した。このとき、リード線11aの途中にはスイッチSを介在させ、リード線11bの途中にはスイッチSを介在させた。
このようにして電極端子3a,3bと直流電源V、および電極端子7a,7bと直流電源Vとを電気的に接続することにより、タッチパネル15が得られた。
(3)タッチパネルの性能評価
上記(2)で作製したタッチパネル15のリード線10bの途中からアースをとり、リード線10bとリード線11aとの電位差を測定するための電圧計12(図2参照)を設置した後、スイッチS,SおよびSを閉にし、スイッチS4 を開にした。この状態下で、図2中に矢印Aで示すように、電極端子3aの長手方向の中心と電極端子3bの長手方向の中心とを結ぶ線に沿って、透明電極基板1の外側表面を電極端子3b側から電極端子3a側に向けて1.5mmおきに計100点、入力端の曲率半径が1mmの入力ペン13(図2参照)によって順次押圧し、このときの検出誤差を次式によって求めた。
Figure 2004318899
上記の式中、|Vn−Vn0|は測定電圧の理論電圧からのズレを示し、この値 が小さいほど押圧位置の誤認が少ないタッチパネルが得られる。また、上記の式中の|Vn+1−Vn|は隣合う2つの押圧点での測定電圧の差を示し、この値が大きいほど押圧位置の差を電位差として精度よく検出し易くなる。
各実施例で得られたタッチパネルについて、上記の式によってその検出誤差を求めたところ、後掲の表3または表4に示すように、いずれのタッチパネルにおいてもその値は0.1未満であった。このことから、各タッチパネルは入力精度の高いものであることが確認された。
実施例73
(1)透明電極基板の作製
透明基材としてガラス板(コーニング社製の#7059;サイズ16cm×16cm、厚さ1.1mm。)を用いた以外は実施例65と同様にして、透明電極基板を得た。このとき使用した焼結ターゲットにおける原子組成比および成膜した酸化物膜における原子組成比を表2に併記する。
上記の透明電極基板を構成している酸化物膜(透明電極膜)について、実施例1〜実施例72(1)で求めたと同じ項目をこれらの実施例と同様にして求めた。また、上記の透明電極基板における光透過率を実施例1〜実施例72(1)と同様にして求めた。これらの結果を後掲の表4に併記する。
後掲の表4に示されているように、上記の酸化物膜は、表面抵抗が1240Ω/□と高抵抗であるとともに、表面抵抗の標準偏差の値から判るように再現性よく得ることができるものである。また、R/Rの値から判るように耐熱性にも優れている。これらのことから、上記の透明電極基板は、タッチパネル、特にアナログ型のタッチパネルの透明電極基板として好適な優れた特性を有していることが判る。
(2)タッチパネルの作製および性能評価
上記の透明電極基板を計2枚作製し、これらを用いて実施例1〜実施例72(2)と同様にしてアナログ型のタッチパネルを作製して、その性能を実施例1〜実施例72(3)と同様にして評価した。
その結果、後掲の表4に示すように、上記のタッチパネルの検出誤差の値は0.03であり、入力精度の高いものであった。
比較例1〜比較例4
(1)透明電極基板の作製
酸化物膜を成膜するにあたり、スパッタリングターゲットとして後掲の表2に示す原子組成比(酸素を除く。)の酸化物からなる焼結体ターゲットを用いた以外は実施例1〜実施例72(1)と同様にして、後掲の表2に示すように本発明の限定範囲外の原子組成比(酸素を除く。)を有する酸化物膜(透明電極膜)をPETフィル上に形成して、比較例ごとに透明電極基板を得た。
各透明電極基板を構成している酸化物膜(透明電極膜)の各々について、実施例1〜実施例72(1)で求めたと同じ項目をこれらの実施例と同様にして求めた。また、各透明電極基板における光透過率を実施例1〜実施例72(1)と同様にして求めた。これらの結果を後掲の表4に示す。
後掲の表4に示されているように、比較例1〜比較例2で成膜した各酸化物膜は表面抵抗が350Ω/□または450Ω/□しかなく、入力精度の高いタッチパネルを得るための透明電極膜に要求される特性を満足するものではない。一方、比較例3〜比較例4で成膜した各酸化物膜は、表面抵抗が58230Ω/□または29880Ω/□と極めて高いものであった。
(2)タッチパネルの作製および性能評価
実施例1〜実施例72(2)と同様にしてアナログ型のタッチパネルを比較例ごとに作製し、その性能を実施例1〜実施例72(3)と同様にして評価した。 その結果、後掲の表4に示すように、比較例1〜比較例2の各タッチパネルの検出誤差の値は0.78または0.85であり、実施例1〜実施例72(2)で得た各タッチパネルよりも入力精度の悪いものであった。また、比較例3〜比較例4の各タッチパネルは、酸化物膜(透明電極膜)の表面抵抗が高すぎるため、15Vの直流電源VおよびV(図2参照)によって作動させることはできず、実用的ではなかった。
Figure 2004318899
Figure 2004318899
Figure 2004318899
Figure 2004318899
本発明のタッチパネルを用いることにより、パーソナルコンピュータ,ワードプロセッサ,電子手帳等のコンピュータ本体(主記憶装置)へのデータ入力を高精度化に行うことが可能になる。
本発明のタッチパネルを構成している特定組成の酸化物膜(透明電極膜)の膜厚と比抵抗との関係を示すグラフである。 実施例1〜実施例73で作製したアナログ型のタッチパネルの概略を示す斜視図である。
符号の説明
1,5 透明電極基板
2,6 酸化物膜(透明電極膜)
3a,3b 電極端子
7a,7b 電極端子
13 入力ペン
15 アナログ型のタッチパネル

Claims (8)

  1. 所定のパターンに形成された透明電極膜を有する2枚の透明電極基板を備え、前記2枚の透明電極基板が前記透明電極膜同士を対向させて所定間隔で配置されており、前記透明電極基板のうちの一方の外部から該透明電極基板に荷重を加えたときに前記透明電極膜同士が導通するタッチパネルにおいて、 前記2枚の透明電極基板のそれぞれに形成されている透明電極膜のうちの少なくとも一方が、インジウム(In)および錫(Sn)のいずれか一方と、チタン(Ti),シリコン(Si),ニッケル(Ni),イリジウム(Ir),ロジウム(Rh),セリウム(Ce),ジルコニウム(Zr),タリウム(Tl),ハフニウム(Hf),マグネシウム(Mg),アルミニウム(Al),タンタル(Ta),コバルト(Co),鉛(Pb),ゲルマニウム(Ge),クロム(Cr)および亜鉛(Zn)からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属元素と、酸素(O)とを構成元素とし、前記金属元素の総量の原子比(全金属原子)/[(InまたはSn)+(全金属原子)]が2.2〜40at%である酸化物膜からなり、該透明電極膜の膜厚および比抵抗が、添付図面の図1に示す点A,B,C,Dを頂点とする四角形の範囲内にあることを特徴とするタッチパネル。
  2. 酸化物膜が、インジウム(In)と、チタン(Ti),シリコン(Si),ジルコニウム(Zr),アルミニウム(Al)および亜鉛(Zn)からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属元素と、酸素(O)とを構成元素とし、前記金属元素の総量の原子比(全金属原子)/[(In)+(全金属原子)]が2.5〜30at%である、請求項1に記載のタッチパネル。
  3. 抵抗膜方式のタッチパネルである、請求項1または請求項2に記載のタッチパネル。
  4. アナログ型のタッチパネルである、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のタッチパネル。
  5. 所定のパターンに形成された透明電極膜を有する2枚の透明電極基板を備え、前記2枚の透明電極基板が前記透明電極膜同士を対向させて所定間隔で配置されており、前記透明電極基板のうちの一方の外部から該透明電極基板に荷重を加えたときに前記透明電極膜同士が導通するタッチパネルにおいて、 前記2枚の透明電極基板のそれぞれに形成されている透明電極膜のうちの少なくとも一方が、インジウム(In)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)および酸素(O)を構成元素とし、前記チタン(Ti)および前記亜鉛(Zn)の総量の原子比(Ti+Zn)/(In+Ti+Zn)が2.2〜50at%である酸化物膜からなり、該透明電極膜の膜厚および比抵抗が、添付図面の図1に示す点A,B,C,Dを頂点とする四角形の範囲内にあることを特徴とするタッチパネル。
  6. 酸化物膜におけるインジウム(In)の原子比In/(In+Ti+Zn)が50〜90at%、チタン(Ti)の原子比Ti/(In+Ti+Zn)が1〜20at%、亜鉛(Zn)の原子比Zn/(In+Ti+Zn)が10〜30at%である、請求項5に記載のタッチパネル。
  7. 抵抗膜方式のタッチパネルである、請求項5または請求項6に記載のタッチパネル。
  8. アナログ型のタッチパネルである、請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載のタッチパネル。
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