JPH1063429A - 透明導電積層体およびこれを用いたタッチパネル - Google Patents

透明導電積層体およびこれを用いたタッチパネル

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JPH1063429A
JPH1063429A JP22268196A JP22268196A JPH1063429A JP H1063429 A JPH1063429 A JP H1063429A JP 22268196 A JP22268196 A JP 22268196A JP 22268196 A JP22268196 A JP 22268196A JP H1063429 A JPH1063429 A JP H1063429A
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JP
Japan
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transparent conductive
touch panel
transparent
conductive film
film
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Application number
JP22268196A
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English (en)
Inventor
Shigekazu Tomai
重和 笘井
Akira Umigami
暁 海上
Tetsuji Hattori
哲治 服部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タッチパネル、特にアナログ型のタッチパネ
ルについては、入力精度の向上が望まれているが、カラ
ーディスプレイ上に設置した場合でもディスプレイの視
認性を実質的に損なわず、かつ入力精度が向上したアナ
ログ型のタッチパネルを既存の透明電極膜を利用して得
ることは困難である。 【解決手段】 タッチパネルを構成している2枚の透明
電極基板のそれぞれに形成されている透明電極膜のうち
の少なくとも一方として、インジウム(In),亜鉛
(Zn),ガリウム(Ga)および酸素(O)を構成元
素とし、インジウム(In)と亜鉛(Zn)との合量に
占めるインジウム(In)の原子比In/(In+Z
n)が20〜90at%、ガリウム(Ga)の原子比Ga
/(In+Zn+Ga)が2.2〜40at%である酸化
物膜からなり、該透明電極膜における可視光の平均透過
率が95%以上である透明電極膜を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気絶縁性の透明
基材上に透明導電膜が形成されている透明導電積層体お
よびその製造方法、ならびに前記の透明導電積層体を利
用したタッチパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、パーソナルコンピュータ,ワード
プロセッサ,電子手帳,携帯端末等においては、コンピ
ュータ本体(主記憶装置)へデータ入力を行うための入
力装置の1つとして、入力面に指やペン等によって単に
荷重を加えるだけでデータ入力を行うことができるタッ
チパネル(タッチスクリーンを含む。以下同じ。)が多
用されるようになってきた。このタッチパネルには種々
の原理のものがあるが、その1つとして、抵抗膜方式の
ものがある。そして、抵抗膜方式のタッチパネルはアナ
ログ型とデジタル型とに大別されるが、入力位置の検出
感度の向上の要求に伴い、最近ではアナログ型が採用さ
れつつある。
【0003】アナログ型のタッチパネルでは、透明基材
とこの透明基材上に平膜状に形成された透明電極膜(抵
抗膜)とを備えた透明電極基板が2枚、前記の透明電極
膜同士が対向するようにしてスペーサ等によって所定間
隔に保たれつつ配置されており、2枚の透明電極基板の
うちの一方が入力面側に位置している。そして、入力面
側に位置している透明電極基板の外部から当該透明電極
基板に荷重が加えられたときに透明電極膜同士が導通す
るように、これらの透明電極膜の各々は、当該透明電極
膜の所定の位置に設けられた電極端子やリード線(取出
し電極)を介して所定の駆動回路と電気的に接続されて
いる。また、透明電極膜の各々は、比較回路,マイクロ
プロセッサー,アナログ/デジタル変換器等を用いた座
標検出手段とも電気的に接続されている。
【0004】このアナログ型のタッチパネルにおいて
は、入力面側に位置している透明電極基板の外部から荷
重が加えられて透明電極膜同士が導通したときに、一方
の透明電極膜における所定の端部から前記の導通が生じ
た箇所を経て他方の透明電極膜における所定の端部へ電
流が流れるように回路が組まれている。そして、この回
路における電気抵抗値は、前記の導通が生じた箇所、す
なわち前記の荷重が加えられた箇所の位置座標に応じて
変化することから、この電気抵抗値の変化に基づいて、
前記の荷重が加えられた箇所の位置座標が座標検出手段
によって検出される。
【0005】このため、アナログ型のタッチパネルに使
用される透明電極膜については、デジタル型のタッチパ
ネルに使用される透明電極膜よりも高電気抵抗で、か
つ、シート抵抗の均一性に優れていることが要求され
る。そして、アナログ型のタッチパネルについては、近
年、入力精度の高精度化に対する要望が高まっており、
これに伴って最近では当該タッチパネルの透明電極膜の
シート抵抗は概ね800Ω/□以上であることが望まれ
るに至っている。
【0006】ところで、携帯端末の液晶ディスプレーの
カラー化が一般的になるに従って、カラーディスプレー
上に設置されるタッチパネルの光透過率特性に対する要
求も年々厳しくなってきている。すなわち、これまでは
人間の視感度が高い領域である緑色波長域での光透過率
が高ければよかったが、最近ではカラーディスプレイの
視認性を損なわないようにとの理由から、可視域(波長
380〜780nmの領域)全体に亘って平坦で、かつ
高い光透過率を示すことが望まれるようになってきた。
【0007】可視域全体に亘って平坦で、かつ高い光透
過率を有する透明導電材料としては、従来より結晶質I
TO膜が知られているが、当該ITO膜は、通常、比抵
抗が8×10-4Ω・cm以下の透明導電膜となる。した
がって、ITO膜を透明電極膜として用いて入力精度が
向上したアナログ型のタッチパネルを得るためには、I
TO膜の膜厚を10nm程度と非常に薄くする必要があ
る。しかしながら、このように極めて薄い薄膜は導通の
パスが十分でないので、実用に耐え得るものではない。
このため、特にカラーディスプレイ上に設置して用いら
れるアナログ型のタッチパネルについては、その透明電
極膜として、ITO膜に代わる新たな高電気抵抗膜の開
発が望まれている。
【0008】ITO膜よりも高電気抵抗の膜として、本
発明者らは[1] インジウム(In)および錫(Sn)の
いずれか一方と、チタン(Ti),シリコン(Si),
ニッケル(Ni),イリジウム(Ir),ロジウム(R
h),セリウム(Ce),ジルコニウム(Zr),タン
タル(Ta),タリウム(Tl),ハフニウム(H
f),マグネシウム(Mg),コバルト(Co),鉛
(Pb)およびクロム(Cr)からなる金属元素群より
選ばれた少なくとも1種の金属元素と、酸素(O)とを
構成元素とする透明導電膜や、[2] インジウム(In)
および錫(Sn)のいずれか一方と、チタン(Ti),
シリコン(Si),ニッケル(Ni),イリジウム(I
r),ロジウム(Rh),セリウム(Ce),ジルコニ
ウム(Zr),タンタル(Ta),タリウム(Tl),
ハフニウム(Hf),マグネシウム(Mg),コバルト
(Co),鉛(Pb)およびクロム(Cr)からなる金
属元素群より選ばれた少なくとも1種の金属元素と、亜
鉛(Zn)と、酸素(O)とを構成元素とする透明導電
膜、を開発してきた(特願平7−313386号明細書
参照)。
【0009】これらの透明導電膜は、シート抵抗が80
0Ω/□〜10kΩ/□と高いので、当該透明導電膜を
電気絶縁性の透明基材上に形成してなる透明導電積層体
は、入力精度が向上したアナログ型のタッチパネルを得
るための透明電極膜基板またはその材料として好適であ
る(同明細書第30段および第42段参照)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
透明導電積層体を構成している透明導電膜の透明性は比
較的低く、当該透明導電積層体を用いて透明電極基板を
形成したタッチパネルをカラーディスプレー上に設置し
た場合には、ディスプレイの視認性が低下し易い。
【0011】本発明の第1の目的は、高い比抵抗と高い
透明性とを併せ持つものを得ることが容易な透明導電膜
を備えた透明導電積層体およびその製造方法を提供する
ことにある。
【0012】また、本発明の第2の目的は、高い入力精
度と高い透明性とを併せ持つものを容易に得ることがで
きるタッチパネルを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の実
状に鑑みて鋭意研究を行った結果、インジウム(I
n),亜鉛(Zn),ガリウム(Ga)および酸素
(O)を構成元素とする特定組成の酸化物膜を特定の方
法によって製膜することにより、高い比抵抗と高い透明
性とを併せ持つ透明導電膜が得られることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0014】すなわち、上記第1の目的を達成する本発
明の透明導電積層体は、電気絶縁性の透明基材と、この
透明基材上に形成された透明導電膜とを有し、前記透明
導電膜が、インジウム(In),亜鉛(Zn),ガリウ
ム(Ga)および酸素(O)を構成元素とし、インジウ
ム(In)と亜鉛(Zn)の合量に占めるインジウム
(In)の原子比In/(In+Zn)が20〜90at
%、ガリウム(Ga)の原子比Ga/(In+Zn+G
a)が2.2〜40at%である酸化物膜からなり、該透
明導電膜における可視光の平均透過率が95%以上であ
ることを特徴とするものである。
【0015】また、上記第1の目的を達成する本発明の
透明導電積層体の製造方法は、電気絶縁性の透明基材上
に、インジウム(In),亜鉛(Zn),ガリウム(G
a)および酸素(O)を構成元素とし、インジウム(I
n)と亜鉛(Zn)の合量に占めるインジウム(In)
の原子比In/(In+Zn)が20〜90at%、ガリ
ウム(Ga)の原子比Ga/(In+Zn+Ga)が
2.2〜40at%である酸化物膜からなる透明導電膜を
低酸素分圧下に物理的気相蒸着法によって形成した後、
この透明導電膜を酸素分圧10hPa以上の雰囲気下に
おいて60℃以上の温度条件でアニーリングすることを
特徴とするものである。
【0016】そして、上記第2の目的を達成する本発明
のタッチパネルは、所定のパターンに形成された透明電
極膜を有する2枚の透明電極基板を備え、前記2枚の透
明電極基板が前記透明電極膜同士を対向させて所定間隔
で配置されており、前記透明電極基板のうちの一方の外
部から該透明電極基板に荷重を加えたときに前記透明電
極膜同士が導通するタッチパネルであり、前記2枚の透
明電極基板のそれぞれに形成されている透明電極膜のう
ちの少なくとも一方が、インジウム(In),亜鉛(Z
n),ガリウム(Ga)および酸素(O)を構成元素と
し、インジウム(In)と亜鉛(Zn)との合量に占め
るインジウム(In)の原子比In/(In+Zn)が
20〜90at%、ガリウム(Ga)の原子比Ga/(I
n+Zn+Ga)が2.2〜40at%である酸化物膜か
らなり、該透明導電膜における可視光の平均透過率が9
5%以上であることを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。まず本発明の透明導電積層体について説明
すると、この透明導電積層体は、上述したように電気絶
縁性の透明基材上に特定の酸化物膜からなる透明導電膜
が形成されているものである。ここで、上記の透明基材
は電気絶縁性を有し、かつ目的とする透明導電積層体の
用途等に応じた所望の透明性を有するものであればよ
く、当該透明基材は有機材料および無機材料のいずれか
らなっていてもよい。
【0018】本発明の透明導電積層体を後述する本発明
のタッチパネル用の透明電極基材またはその材料として
用いる場合には、タッチパネルをカラーディスプレイ上
に設置したときにディスプレイの視認性が低下するのを
抑制するうえから、当該透明導電積層体における可視光
の平均透過率を概ね80%以上にすることが望ましい。
そして、可視光の平均透過率が概ね80%以上である透
明導電積層体を得るためには、上記の透明基材として可
視光の平均透過率が概ね85%以上であるものを使用す
ることが好ましい。
【0019】このような透明基材の具体例としては、ポ
リカーボネート樹脂,ポリアリレート樹脂,ポリエチレ
ンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート等のポリ
エステル樹脂,ポリエーテルサルホン樹脂,アモルファ
スポリオレフィン樹脂,ポリスチレン樹脂,アクリル樹
脂等の透明高分子材料や、ソーダ石灰ガラス,鉛ガラ
ス,硼硅酸ガラス,無アルカリガラス等のガラスからな
るフィルム状物、シート状物または板状物が挙げられ
る。タッチパネル用の透明電極基板またはその材料とし
ての透明導電積層体を得る場合には、上記の透明基材の
中でも、可撓性およびコストの点からポリカーボネート
樹脂,ポリアリレート樹脂,ポリエチレンナフタレート
またはポリエチレンテレフタレートからなるものが好ま
しい。
【0020】なお、本発明でいう「可視光の平均透過
率」とは、380〜780nmの波長域における分光透
過率を波長1nm毎に求めたときの平均値を意味する。
透明基材上に形成されている透明導電膜についての「可
視光の平均透過率」は、例えば下式により求めることが
できる。
【数1】
【0021】上記の式中、Ai(=log(100/Pi
−log(100/Qi))は透明基材と透明導電膜とから
なる積層体の吸光度から透明基材の吸光度を引いたもの
であり、透明導電膜単独での吸光度を表す。したがっ
て、100×10-Ai は透明導電膜単独での光透過率と
なる。この値を可視域である波長380〜780nmの
範囲で1nm毎に測定したものの総和をサンプリング数
401で除して、「可視光の平均透過率T」と定義し
た。
【0022】透明基材は、その片面または両面に必要に
応じてガスバリア層、ハードコート層、反射防止層等が
設けられていてもよい。ガスバリア層の具体例として
は、エチレン−ビニルアルコール共重合体,ポリビニル
アルコール,ポリアクリロニトリル,ポリ塩化ビニリデ
ン,ポリフッ化ビニリデン等からなるものが挙げられ
る。また、ハードコート層の具体例としては、チタン系
またはシリカ系のハードコート剤や、ポリメチルメタク
リレート,ポリフォスファゼン等の高分子材料からなる
もの等が挙げられる。そして、反射防止層の具体例とし
ては、フッ素系アクリルポリマー等の低屈折率ポリマ
ー、MgF2 やCaF2 等の無機フッ化物、TiO2
SiO2 ,ZnO,Bi23 ,Al23 等の無機酸化
物、およびこれらの積層体からなるもの等が挙げられ
る。
【0023】上述した透明基材上に形成されている透明
導電膜は、前述したように、インジウム(In),亜鉛
(Zn),ガリウム(Ga)および酸素(O)を構成元
素とし、インジウム(In)と亜鉛(Zn)の合量に占
めるインジウム(In)の原子比In/(In+Zn)
が20〜90at%、ガリウム(Ga)の原子比Ga/
(In+Zn+Ga)が2.2〜40at%である酸化物
膜からなる。そして、この透明導電膜における可視光の
平均透過率は95%以上である。上記の酸化物膜からな
る透明導電膜は、その製造過程での不可避的な混入物を
除き、上記の構成元素のみからなる。この酸化物膜(透
明導電膜)の結晶構造(非晶質を含む。)は、上記の光
学的特性および後述する電気的特性を示すものであれば
特に限定されるものではない。
【0024】ただし、当該酸化物膜におけるインジウム
(In)の原子比In/(In+Zn)は上記のように
20〜90at%である。当該インジウム(In)の原子
比が20at%未満では酸化物膜における波長400nm
前後の吸収が大きくなり、「可視光の平均透過率95%
以上」を満足し得なくなる。一方、前記インジウム(I
n)の原子比が90at%を超えると酸化物膜の耐久性が
低下し、このような酸化物膜をタッチパネルの透明電極
膜として利用すると、入力安定性に優れたタッチパネル
を得ることが困難になる。透明性と入力安定性の両方の
特性に優れたタッチパネルを得るという観点からは、上
記インジウム(In)の原子比を50〜90at%とする
ことがより好ましい。
【0025】また、ガリウム(Ga)は酸化物膜の透明
性を向上させるうえで有効な成分であると共に、酸化物
膜の比抵抗を高めるうえでも有用な成分である。このガ
リウム(Ga)の原子比Ga/(In+Zn+Ga)が
2.2at%未満の酸化物膜では比抵抗が9.6×10-4
Ω・cm未満となることから、酸化物膜の膜厚を実用に
耐え得る最小膜厚(約12nm)とした場合にはシート
抵抗が800Ω/□未満となり、この膜厚下では、入力
精度が向上したアナログ型のタッチパネルを得るための
透明電極膜に要求される電気的特性を満足しなくなる。
一方、ガリウム(Ga)の前記原子比が40at%を超え
る酸化物膜では、比抵抗が概ね2.0×10-1Ω・cm
を超えるようになる。上記ガリウム(Ga)の原子比は
3〜25at%であることが好ましく、5〜15at%であ
ることがより好ましい。
【0026】一方、上述した組成を有する酸化物膜にお
ける可視光の平均透過率は、当該酸化物膜の組成および
膜厚により異なってくるが、本発明の透明導電積層体に
おいては、95%以上とする。前述したように、本発明
の透明導電積層体を後述する本発明のタッチパネル用の
透明電極基材またはその材料として用いる場合には、タ
ッチパネルをカラーディスプレイ上に設置したときにデ
ィスプレイの視認性が低下するのを抑制するうえから、
当該透明導電積層体における可視光の平均透過率を概ね
80%以上にすることが望ましいわけであるが、上記組
成の酸化物膜における可視光の平均透過率が95%以上
であれば、可視光の平均透過率が概ね80%以上である
透明導電積層体を得ることが容易になる。
【0027】酸化物膜の膜厚は、前記の式によって求め
られる可視光の平均透過率が95%以上となる膜厚であ
ればよく、当該膜厚は酸化物膜の組成や目的とする透明
導電積層体の層構成(例えば、透明基材が反射防止層を
有しているか否か等)に応じて適宜選択可能である。透
明基材上に形成した状態下における可視光の平均透過率
が95%以上である酸化物膜は、その膜厚を概ね50n
m以下とすることにより得ることが可能になり、その膜
厚を概ね30nm以下とすることにより容易に得ること
が可能になる。
【0028】したがって、カラーディスプレイ上に設置
したときでもディスプレイの視認性が低下するのを抑制
することができるタッチパネルを本発明の透明導電積層
体を利用して得ようとする場合には、当該透明導電積層
体における上記酸化物膜の膜厚を50nm以下とするこ
とが好ましく、30nm以下とすることがより好まし
い。一方、上記酸化物膜の膜厚が12nm未満では実用
に耐え得る透明導電膜を形成することが困難になるの
で、当該酸化物膜の膜厚は12nm以上とすることが好
ましい。カラーディスプレイ上に設置したときでもディ
スプレイの視認性が低下するのを抑制することができる
タッチパネルを本発明の透明導電積層体を利用して得よ
うとする場合には、上記の酸化物膜からなる透明導電膜
の膜厚を12〜20nmとすることが特に好ましい。
【0029】上述した酸化物膜からなる透明導電膜の形
状は、目的とする透明導電積層体の用途等に応じて適宜
選択可能である。例えば、透明導電膜をデジタル型のタ
ッチパネルの透明電極膜として使用する場合、当該透明
導電膜は、製膜時に所定のマスクを使用することによっ
て、あるいは製膜後に所定のパターニングを行うことに
よって、所望の平行ストライプパターンに形成される。
また、アナログ型のタッチパネルの透明電極膜として使
用する場合、当該透明導電膜は、製膜時に必要に応じて
所定のマスクを使用することによって、あるいは製膜後
に必要に応じて所定のパターニングを行うことによっ
て、1枚の平膜に形成される。
【0030】前述した透明基材上に上述した酸化物膜か
らなる透明導電膜が形成されている本発明の透明導電積
層体を用いて入力精度が向上したアナログ型のタッチパ
ネルを作製しようとする場合には、酸化物膜(透明導電
膜)のシート抵抗が概ね800〜10000Ω/□、好
ましくは1000〜7500Ω/□、より好ましくは1
000〜3000Ω/□、さらに好ましくは2000〜
3000Ω/□、比抵抗が9.6×10-4〜5×10-2
Ω・cm、より好ましくは3×10-3〜9×10-3Ω・
cm、さらに好ましくは6×10-3〜9×10-3Ω・c
mとなるように当該酸化物膜(透明導電膜)の組成およ
び膜厚を調整することが好ましい。
【0031】本発明の透明導電積層体は、当該透明導電
積層体を構成している透明導電膜(酸化物膜)のシート
抵抗を容易に800Ω/□〜10kΩ/□と高くするこ
とができるので、当該透明導電膜をタッチパネルの透明
電極膜またはその材料、特にアナログ型のタッチパネル
の透明電極膜またはその材料として利用することによ
り、入力精度が向上したタッチパネルを容易に得ること
が可能である。また、本発明の透明導電積層体を構成し
ている透明導電膜(酸化物膜)における可視光の平均透
過率は95%以上と高く、当該透明導電膜の透明性は高
いので、透明導電積層体における可視光の平均透過率を
容易に80%以上にすることができる。そして、可視光
の平均透過率が概ね80%以上である透明導電積層体を
利用してタッチパネル用の透明電極基板を作製すれば、
カラーディスプレー上に設置した場合でもディスプレイ
の視認性を実質的に損なわないタッチパネルを得ること
ができる。これらの理由から、本発明の透明導電積層体
はタッチパネル、特にカラーディスプレー上に設置され
るタイプのアナログ型のタッチパネルの構成部材または
その材料として好適である。
【0032】上述した特性を有している本発明の透明導
電積層体は、前述した透明基材上にスパッタリング法
(反応性スパッタリング法を含む。以下同じ。),イオ
ンプレーティング法,活性化蒸着法等の物理的気相蒸着
法、プラズマCVD法等の化学的気相蒸着法、スプレー
パイロリシス法、ゾルゲル法等の方法によって上記の酸
化物膜からなる透明導電膜を形成することにより得るこ
とができる。これらの方法の中でも、均一性や透明基材
との密着性に優れた透明導電膜を得るうえからは、以下
に詳述する本発明の方法によって形成することが好まし
い。
【0033】本発明の方法は、前述したように、電気絶
縁性の透明基材上に、インジウム(In),亜鉛(Z
n),ガリウム(Ga)および酸素(O)を構成元素と
し、インジウム(In)と亜鉛(Zn)の合量に占める
インジウム(In)の原子比In/(In+Zn)が2
0〜90at%、ガリウム(Ga)の原子比Ga/(In
+Zn+Ga)が2.2〜40at%である酸化物膜から
なる透明導電膜を低酸素分圧下に物理的気相蒸着法によ
って形成した後、この透明導電膜を酸素分圧10hPa
以上の雰囲気下において60℃以上の温度条件でアニー
リングすることを特徴とするものである。
【0034】ここで、上記の透明基材は、本発明の透明
導電積層体についての説明の中で既に述べたように電気
絶縁性を有し、かつ目的とする透明導電積層体の用途等
に応じた所望の透明性を有するものであればよく、当該
透明基材は有機材料および無機材料のいずれからなって
いてもよい。その具体例は、本発明の透明導電積層体に
ついての説明の中で述べた通りである。また、透明基材
上に形成する透明導電膜は上記の組成を有する酸化物膜
からなるものであり、当該酸化物膜についての好ましい
組成は、本発明の透明導電積層体についての説明の中で
述べた通りである。
【0035】本発明の方法では、上記の酸化物膜からな
る透明導電膜を低酸素分圧下に物理的気相蒸着法によっ
て形成するわけであるが、ここでいう「低酸素分圧下に
物理的気相蒸着法によって形成する」とは、製膜後の酸
化物膜を酸素分圧10hPa以上の雰囲気下において6
0℃以上の温度条件でアニーリングしたときに、当該酸
化物膜における可視光の平均透過率が95%以上になる
酸素分圧条件(酸素分圧が0Paの場合を含む。)の物
理的気相蒸着法によって形成することを意味する。
【0036】上記組成の酸化物膜を物理的気相蒸着法に
よって形成するにあたって製膜時の雰囲気における酸素
分圧が高すぎると、上記条件のアニーリングを行っても
可視光の平均透過率が95%以上の酸化物膜を得ること
が困難になる。製膜時の雰囲気における酸素分圧は、目
的とする光学特性の酸化物膜が得られるように、物理的
気相蒸着法の種類,蒸着材料の組成,目的とする酸化物
膜の組成等に応じて適宜選択される。例えば、酸化物焼
結体をスパッタリングターゲットとして用いたスパッタ
リング法の場合には、製膜時の酸素分圧を概ね0〜1.
0×10-2Paとすることにより、目的とする光学特性
の酸化物膜を最終的に得ることができる。
【0037】物理的気相蒸着法としてスパッタリング法
を適用する場合、スパッタリングは1元であってもよい
し、多元であってもよい。また、スパッタリングの方式
としてはRFスパッタリング,DCスパッタリング等、
各種の方式を適用することができるが、生産性や得られ
る酸化物膜の膜特性の観点から、工業的には一般的にD
Cスパッタリングが好ましい。DCスパッタリングのス
パッタリング条件の一例を挙げるとすれば、以下のよう
になる。
【0038】すなわち、スパッタリング時に真空槽内に
導入するガス(導入ガス)はヘリウム(He)ガス,ネ
オン(Ne)ガス,アルゴン(Ar)ガス,クリプトン
(Kr)ガス,キセノン(Xe)ガス,ラドン(Rn)
ガス,窒素(N)ガス等からなる不活性ガス、または不
活性ガスと酸素ガスとの混合ガスとし、スパッタ時の雰
囲気圧(スパッタ圧)は1×10-2Pa〜5Pa程度、
ターゲット印加電圧(放電電圧)は1000V未満とす
る。また、製膜時の基板温度(透明基材の温度)は、透
明基材の耐熱性に応じて、当該透明基材が熱により変形
や変質を起こさない温度範囲内で適宜選択される。
【0039】最終的に得られる透明導電膜の電気抵抗値
についての経時安定性を重視する場合には、導入ガス中
に酸素ガスを含ませないことが好ましい。スパッタリン
グ時の雰囲気圧(スパッタ圧)が1×10-2Pa未満で
はプラズマの安定性が悪く、5Paを超えると得られる
透明導電膜(酸化物膜)の基材への密着性が悪くなる。
また、ターゲット印加電圧(放電電圧)が1000V以
上では透明導電膜(酸化物膜)がプラズマによるダメー
ジを受け、目的とする電気的特性を有する透明導電膜が
得られなかったり、ターゲットが割れる等の問題が発生
し易い。ターゲット印加電圧(放電電圧)の好ましい値
は800V未満、さらに好ましくは500V未満であ
る。高品質の透明導電膜を得るためにはターゲット印加
電圧(放電電圧)をできるだけ低くすることが好ましい
が、極端に低い場合には生産性の問題が生じてくる。し
たがって、ターゲット印加電圧(放電電圧)の最適値
は、要求される透明導電膜の品質と生産性とを総合的に
考慮したうえで適宜選択される。
【0040】また、スパッタリングターゲットは、目的
とする組成の透明導電膜(酸化物膜)を製膜することが
できさえすればメタルターゲットであってもよいし酸化
物焼結体ターゲットであってもよいが、目的とする透明
導電膜(酸化物膜)の組成に応じた酸化物焼結体ターゲ
ットを用いることが好ましい。ここで、「目的とする透
明導電膜(酸化物膜)の組成に応じた酸化物焼結体ター
ゲット」とは、目的とする組成の透明導電膜(酸化物
膜)を得ることができる組成の酸化物焼結体ターゲット
を意味する。当該酸化物焼結体ターゲットの組成は、ス
パッタ率および目的とする透明導電膜(酸化物膜)の組
成に応じて適宜選択される。ただし、酸化物焼結体ター
ゲットの相対密度は80%以上であることが好ましく、
より好ましくは90%以上であり、更に好ましくは95
%以上である。酸化物焼結体ターゲットの相対密度が8
0%未満である場合には、製膜速度が遅くなり、また、
ターゲット自体およびそれから得られる膜が黒化しやす
くなる。相体密度の高い酸化物焼結体ターゲットを得る
ためには、CIP(冷間静水圧)等で成型後にHIP
(熱間静水圧)等により焼結することや、焼結助剤を用
いることが好ましい。ここに相対密度とは、酸化物の組
成から計算した理論密度に対する焼結体の実際の密度を
面分率で示したものである。
【0041】上述した酸化物焼結体ターゲットは、例え
ば次のようにして得ることができる。まず、酸化インジ
ウムまたは焼成により酸化インジウムとなる化合物(例
えば塩化インジウム、硝酸インジウム、酢酸インジウ
ム、水酸化インジウム、インジウムアルコキシド等)
と、酸化亜鉛または焼成により酸化亜鉛となる化合物
(例えば塩化亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、水酸化亜鉛、
亜鉛アルコキシド等)と、酸化ガリウムまたは焼成によ
り酸化ガリウムとなる化合物(例えば塩化ガリウム、硝
酸ガリウム、硫酸ガリウム等)とを所定量づつ秤量して
混合する。次いで、得られた混合物を500〜1200
℃で仮焼して仮焼物を得、この仮焼物をボールミル,ロ
ールミル,パールミル,ジェットミル等で粉砕して、粒
子径が0.01〜1.0μmの範囲内でかつ粒子径の揃
った粉末を得る。なお、仮焼物の粉砕に先立って、当該
仮焼物に100〜800℃で還元処理を施してもよい。
また、必要に応じて、前記の粉末について更に仮焼、粉
砕を所望回数繰り返してもよい。この後、得られた粉末
を所望形状に加圧成形し、成形物を800〜1700℃
で焼結する。このとき、必要に応じてポリビニルアルコ
ール,メチルセルロース,ポリワックス,オレイン酸な
どを成形助剤として用いてもよい。このようにして焼結
体を得ることにより、目的とする焼結体ターゲットを得
ることができる。
【0042】上述した物理的気相蒸着法によって透明基
材上に形成される酸化物膜(透明導電膜)の形状は、本
発明の透明導電積層体についての説明の中で既に述べた
ように、目的とする透明導電積層体の用途等に応じて適
宜選択可能である。
【0043】本発明の方法では、上述のようにして透明
基材上に酸化物膜(透明導電膜)を形成した後、この透
明導電膜を酸素分圧10hPa以上の雰囲気下において
60℃以上の温度条件でアニーリングする。このアニー
リングは、透明導電膜(酸化物膜)に酸素を導入するこ
とによって当該透明導電膜における可視光の平均透過率
を向上させて、当該平均透過率を95%以上にするため
の処理である。
【0044】上記のアニーリング時の雰囲気における酸
素分圧が10hPa未満では、可視光の平均透過率が9
5%以上の透明導電膜を得ることが困難になる。このと
きの酸素分圧の上限は、目的とする光学特性の透明導電
積層体が得られさえすれば特に限定されるものではな
く、所有している設備の能力や許容される製造コスト等
に応じて適宜選択可能であり、例えば10気圧あるいは
10気圧を超える高圧とすることもできる。
【0045】アニーリング時の雰囲気は酸素ガス雰囲気
でもよいし、酸素以外の成分としてN2 ,He,Ar等
の不活性ガスを含んでいるものであってもよい。また、
アニーリング時の雰囲気の全圧は、目的とする光学特性
の透明導電積層体が得られさえすれば10hPa以上の
範囲内で適宜選択可能である。したがって、当該アニー
リングは大気中(酸素分圧は約204hPa)において
も行うことができ、大気中で行うことが最も簡便であ
る。なお、アニーリング時の雰囲気の全圧の上限は、上
述した酸素分圧の上限と同様に、所有している設備の能
力や許容される製造コスト等に応じて適宜選択可能であ
り、例えば10気圧あるいは10気圧を超える高圧とす
ることもできる。
【0046】アニーリングの温度が60℃以上であれ
ば、透明性向上(可視光の平均透過率向上)の効果が現
れ、当該透明性向上の効果は高温でアニーリングするほ
ど早く現れる。したがって、アニーリングの温度の上限
は透明基材の変形の有無,透明導電膜の組成変化の有
無,透明導電膜の物性(電気的特性や光学的特性)変化
の程度,許容される製造コスト等を勘案して、透明基材
の種類や透明導電膜の組成等に応じて適宜選択可能であ
る。透明基材が有機高分子材料からなるものである場合
には、当該透明基材の材質および透明導電膜の組成等に
より異なるが、透明基材の軟化点未満の温度(概ね80
〜200℃)で15分〜5時間程度アニーリングするこ
とが好ましい。また、透明基材がガラスからなるもので
ある場合には、概ね80〜400℃で5分〜5時間程度
アニーリングすることが好ましい。
【0047】従来より、透明導電膜(ITO膜)の透明
性を向上させるための手法として、製膜後の透明導電膜
を酸化性または還元性雰囲気中でアニーリングする方法
が提案されている(特開平1−100260号公報,特
開平1−206514号公報および特開平2−2213
65号公報参照)。しかしながら、これらの方法では非
晶質の透明導電膜(ITO膜)を製膜し、当該透明導電
膜をアニーリング工程時に結晶化させることによってそ
の透明性を向上させているため、透明性の向上と同時に
透明導電膜自体の比抵抗が大きく低下する。その結果と
して、最終的に得られる透明導電膜の比抵抗はいずれの
方法によっても8×10-4Ω・cm程度以下となる。そ
して、入力精度が向上したアナログ型のタッチパネルを
得るための透明電極膜に要求される800Ω/□以上の
シート抵抗を得るためには、その膜厚を10nm以下と
極めて薄くしなければならないことから、耐久性の点で
実用化に至っていない。
【0048】これに対し、本発明の方法でアニーリング
される透明導電膜(酸化物膜)はインジウム(In),
亜鉛(Zn),ガリウム(Ga)および酸素(O)を構
成元素とする所定組成の酸化物膜であり、この透明導電
膜(酸化物膜)について前述の条件のアニーリングを施
した場合には、透明性向上の効果が得られると同時に、
比抵抗9.6×10-4Ω・cm以上という電気的特性を
得ることが可能である。そして、比抵抗が9.6×10
-4Ω・cm以上であれば、その膜厚を実用に耐え得る最
小膜厚(約12nm)とした場合でもシート抵抗は80
0Ω/□以上となることから、当該透明導電膜を透明電
極膜として利用することにより、入力精度が向上したア
ナログ型のタッチパネルを得ることが可能になる。
【0049】上述したアニーリングまで行うことによ
り、目的とする透明導電積層体を得ることができる。本
発明の方法によれば、シート抵抗が800Ω/□〜10
kΩ/□で可視光の平均透過率が95%以上である透明
導電膜を備えた透明導電積層体を容易に得ることができ
るので、当該透明導電積層体をタッチパネルの透明電極
基板またはその材料として用いることにより、入力精度
が向上したアナログ型のタッチパネルを容易に得ること
が可能になるのみならず、カラーディスプレイ上に配置
した場合でも当該カラーディスプレイの表示が見やすい
アナログ型のタッチパネルを容易に得ることが可能にな
る。
【0050】また、本発明の方法によれば、目的とする
電気的特性および光学的特性を有する透明導電積層体を
再現性よく得ることが可能である。更に、物理的蒸着法
によって透明基材上に透明導電膜(酸化物膜)形成する
にあたって導入ガス中に酸素ガスを含ませないようにし
た場合には、電気抵抗値についての経時安定性の高い透
明導電膜を備えた透明導電積層体を得ることができる。
【0051】次に、本発明のタッチパネルについて説明
する。本発明のタッチパネルは、前述したように、所定
のパターンに形成された透明電極膜を有する2枚の透明
電極基板を備え、前記2枚の透明電極基板が前記透明電
極膜同士を対向させて所定間隔で配置されており、前記
透明電極基板のうちの一方の外部から該透明電極基板に
荷重を加えたときに前記透明電極膜同士が導通するタッ
チパネルであり、前記2枚の透明電極基板のそれぞれに
形成されている透明電極膜のうちの少なくとも一方は、
インジウム(In),亜鉛(Zn),ガリウム(Ga)
および酸素(O)を構成元素とし、インジウム(In)
と亜鉛(Zn)との合量に占めるインジウム(In)の
原子比In/(In+Zn)が20〜90at%、ガリウ
ム(Ga)の原子比Ga/(In+Zn+Ga)が2.
2〜40at%である酸化物膜からなり、該透明電極膜に
おける可視光の平均透過率が95%以上であることを特
徴とするものである。
【0052】すなわち、本発明のタッチパネルは、これ
を構成している上記2枚の透明電極基板のうちの少なく
とも一方が、前述した本発明の透明導電積層体(所定形
状の透明導電膜が形成されているもの。以下同じ。)に
よって形成されていることを特徴とするものである。
【0053】2枚の透明電極基板のうちの一方を本発明
の透明導電積層体以外の透明導電積層体によって形成す
る場合、当該「本発明の透明導電積層体以外の透明導電
積層体」を構成している透明導電膜(透明電極膜)とし
ては、ITO膜や酸化錫膜等、透明性および電気抵抗の
経時安定性に優れているものを用いることが好ましい。
そして、入力精度が高く、かつ透明性の高いアナログ型
のタッチパネルを得る場合には、2枚の透明電極基板の
それぞれを本発明の透明導電積層体によって形成するこ
とが好ましい。
【0054】本発明の透明導電積層体によって形成され
ている透明電極基板における透明導電膜(透明電極膜)
の膜厚は、本発明のタッチパネルをアナログ型のタッチ
パネルとする場合には、前述のように12〜30nmと
することが好ましく、12〜20nmとすることが特に
好ましい。また、本発明の透明導電積層体によって形成
されている透明電極基板における透明導電膜(透明電極
膜)のシート抵抗は、その組成および膜厚を変えること
により適宜調整することができるが、本発明のタッチパ
ネルをアナログ型のタッチパネルとする場合には、前述
のように800Ω/□〜10kΩ/□とすることが好ま
しく、1000〜7500Ω/□とすることがより好ま
しく、1000〜3000Ω/□とすることが更に好ま
しく、2000〜3000Ω/□とすることが特に好ま
しい。
【0055】本発明のタッチパネルは、当該タッチパネ
ルを構成する2枚の透明電極基板のうちの少なくとも一
方を前述した本発明の透明導電積層体によって形成する
ことの他は、従来のタッチパネルと同様にして構成され
る。このとき、2枚の透明電極基板は、透明電極膜同士
が対向するようにしてスペーサ等によって所定間隔に保
たれつつ配置され、これらの透明電極基板のうちの一方
が入力面側に位置する。そして、入力面側に位置してい
る透明電極基板の外部から当該透明電極基板に荷重が加
えたときに透明電極膜同士が導通するように、これらの
透明電極膜の各々は、当該透明電極膜の所定の位置に設
けられた電極端子やリード線(取出し電極)を介して所
定の駆動回路と電気的に接続される。また、透明電極膜
の各々は、比較回路,マイクロプロセッサー,アナログ
/デジタル変換器等を用いた座標検出手段とも電気的に
接続される。上述のようにして構成されるタッチパネル
は、抵抗膜方式のタッチパネルとすることが好ましく、
特にアナログ型のタッチパネルとすることが好ましい。
【0056】本発明のタッチパネルにおけるデータ入力
位置の検出原理は従来と同じであるが、当該タッチパネ
ルを構成している2枚の透明電極基板のうちの少なくと
も一方は、前述した本発明の透明導電積層体によって形
成されたもの、すなわち、シート抵抗が800Ω/□〜
10kΩ/□と高いものを容易に得ることができる酸化
物膜によって透明電極膜が形成されたものである。この
ため、本発明のタッチパネルは、座標検出の際のデータ
誤認が起こりにくく、確実なデータ入力を安定して行う
ことができるものを得ることが容易なタッチパネルであ
る。
【0057】さらに、本発明の透明導電積層体を構成し
ている透明導電膜における可視光の平均透過率は95%
以上と高く、当該透明導電膜の透明性は高いので、この
透明導電積層体によって形成された透明電極基板を少な
くとも1つ備えている本発明のタッチパネルは、カラー
ディスプレイ上に設置した場合でもディスプレイの視認
性を実質的に低下させないものを得ることが容易なタッ
チパネルである。
【0058】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 実施例1〜実施例6および比較例1〜比較例4 電気絶縁性の透明基材として厚さ180μmのポリエチ
レンテレフタレートフィルム(以下「PETフィルム」
と略記する。)を用い、スパッタリングターゲットとし
て表1に示す原子組成(酸素を除く。)の酸化物焼結体
を用いて、下記条件の直流マグネトロンスパッタリング
により上記のPETフィルムに透明導電膜(酸化物膜)
を製膜した後、下記条件のアニーリングを行って、表2
に示す原子組成(酸素を除く。)の透明導電積層体をそ
れぞれ得た。なお、透明導電膜の原子組成(酸素を除
く。)は誘導結合高周波プラズマ(ICP)発光分光分
析により求めた。
【0059】スパッタリング装置 :HSM−552
((株)島津製作所製) ターゲットサイズ :直径4インチ,厚さ5mm 放電形式 :直流マグネトロン 放電電流 :0.2A 放電電圧 :400V バックグラウンド圧力 :5.0×10-4Pa 導入ガス(雰囲気ガス):100%Arガス プレスパッタ圧力 :1.4×10-4Pa プレスパッタ時間 :5分 スパッタ圧力 :1.4×10-1Pa スパッタ時間 :9秒 基板温度 :室温 アニーリング :空気中、150℃、1時間
【0060】上述のようにして得られた各透明導電積層
体について、透明導電膜の膜厚、可視光の平均透過率、
シート抵抗および比抵抗をそれぞれ求めた。これらの結
果を表3に示す。なお、透明導電膜の膜厚は、測定専用
のガラス基板(コーニング社製の#7059;厚さ1.
1mm)を用いて上記の条件で別途製膜を行ったものに
ついて、スローン社製のDEKTAK3030を用いた
触針法により測定した。可視光の平均透過率は(株)島
津製作所製のUV−3100を用いて測定した。シート
抵抗は、三菱油化社製のロレスタFPを用いた四探針法
により測定した。そして、比抵抗は、透明導電膜の平面
視上の中央部において測定したシート抵抗に、前記のガ
ラス基板上に製膜した透明導電膜の膜厚を乗じることに
より算出した。
【0061】さらに、実施例毎および比較例毎に上記の
条件でそれぞれ計5回、透明導電積層体の作製を行い、
各透明導電積層体について実施例毎および比較例毎に透
明導電膜のシート抵抗を測定してその標準偏差を求め
た。これらの結果を表3に併記する。
【0062】比較例3 表1に示すように実施例3で用いたと同じ組成のスパッ
タリングターゲットを用い、スパッタリング時の導入ガ
スとして90体積%のアルゴンガスと10体積%の酸素
ガスとの混合ガス(酸素ガスの分圧は1.4×10-2
a)を用いた以外は実施例3と同様にして、透明導電積
層体を作製した。上記の透明導電積層体を構成している
透明導電膜の原子組成(酸素を除く。)を表2に示す。
また、実施例1〜実施例6で求めたと同じ項目を実施例
1〜実施例6と同様にして求めた。これらの結果を表3
に示す。
【0063】比較例4 表1に示すように実施例3で用いたと同じ組成のスパッ
タリングターゲットを用い、透明導電膜の製膜後にアニ
ーリングを実施しなかった以外は実施例3と同様にし
て、透明導電積層体を作製した。上記の透明導電積層体
を構成している透明導電膜の原子組成(酸素を除く。)
を表2に示す。また、実施例1〜実施例6で求めたと同
じ項目を実施例1〜実施例6と同様にして求めた。これ
らの結果を表3に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】表3に示したように、実施例1〜実施例6
で作製した各透明導電積層体においては、当該透明導電
積層体を構成している透明導電膜(酸化物膜)の可視光
の平均透過率が96.4〜96.7%と高い一方で、そ
の比抵抗も1.5×10-3〜11.25×10-3Ω・c
mと高い。したがって、これらの透明導電積層体を用い
れば、カラーディスプレイ上に設置したときでもディス
プレイの視認性を実質的に損なわず、かつ、入力精度が
向上したアナログ型のタッチパネルを得ることが可能に
なる。さらに、シート抵抗の標準偏差の値から明らかな
ように、実施例1〜実施例6で作製した各透明導電積層
体は、所望の電気的特性を有するものを再現性よく得る
ことができるものである。
【0068】これに対し、比較例1で作製した透明導電
積層体においては、これを構成している透明導電膜の比
抵抗が4.50×10-3Ω・cmと高いものの、当該透
明導電膜の可視光の平均透過率は94.8%であり、透
明性という点では各実施例のものに劣っている。
【0069】また、比較例2で作製した透明導電積層体
においては、これを構成している透明導電膜の可視光の
平均透過率が98.8%と高いものの、当該透明導電膜
の比抵抗は0.8×10-3Ω・cmと低く、その膜厚を
8nmと極めて薄くしたときに初めて、そのシート抵抗
が1000Ω/□となる。しかしながら、8nmという
極めて薄い透明導電膜は実用に耐えるものではない。し
たがって、比較例2で作製した透明導電積層体を用いて
入力精度が向上したアナログ型のタッチパネルを得るこ
とは困難である。さらに、シート抵抗の標準偏差の値か
ら明らかなように、比較例2で作製した透明導電積層体
は、所望の電気的特性を有するものを再現性よく得るこ
とが困難なものである。
【0070】比較例3で作製した透明導電積層体におい
ては、これを構成している透明導電膜の比抵抗が3.2
5×10-3Ω・cmと高いものの、当該透明導電膜の可
視光の平均透過率は94.5%であり、透明性という点
では各実施例のものに劣っている。当該透明導電膜の可
視光の平均透過率が実施例3で作製した透明導電積層体
における透明導電膜の可視光の平均透過率より劣ってい
るのは、スパッタリング時の導入ガスの酸素分圧が高か
ったことに起因しているものと推察される。
【0071】そして、比較例4で作製した透明導電積層
体においては、これを構成している透明導電膜の比抵抗
が11.25×10-3Ω・cmと高いものの、当該透明
導電膜の可視光の平均透過率は89.5%であり、透明
性という点では各実施例のものに劣っている。当該透明
導電膜の可視光の平均透過率が実施例3で作製した透明
導電積層体における透明導電膜の可視光の平均透過率よ
り劣っているのは、製膜後に所定条件のアニーリングを
行わなかったことに起因しているものと推察される。
【0072】実施例7 透明基材としてポリアリレートフィルム(鐘ケ淵化学社
製のエルメック)を用いた以外は実施例2と同様にし
て、透明導電積層体を得た。この透明導電積層体を構成
している透明導電膜の原子組成は、実施例2で形成した
透明導電膜の原子組成と同様であった。上記の透明導電
膜について、実施例1〜実施例6で求めたと同じ項目を
実施例1〜実施例6と同様にして求めた。これらの結果
を表4に示す。
【0073】実施例8 透明基材としてポリエーテルサルホンフィルム(住友ベ
ークライト社製のスミライトFS−5300)を用いた
以外は実施例2と同様にして、透明導電積層体を得た。
この透明導電積層体を構成している透明導電膜の原子組
成は、実施例2で形成した透明導電膜の原子組成と同様
であった。上記の透明導電膜について、実施例1〜実施
例6で求めたと同じ項目を実施例1〜実施例6と同様に
して求めた。これらの結果を表4に示す。
【0074】実施例9 透明基材としてポリカーボネートフィルム(帝人社製の
アモレックス)を用いた以外は実施例2と同様にして、
透明導電積層体を得た。この透明導電積層体を構成して
いる透明導電膜の原子組成は、実施例2で形成した透明
導電膜の原子組成と同様であった。上記の透明導電膜に
ついて、実施例1〜実施例6で求めたと同じ項目を実施
例1〜実施例6と同様にして求めた。これらの結果を表
4に示す。
【0075】実施例10 透明基材として無アルカリガラス板(コーニング社製の
#7059:厚さ1.1mm)を用いた以外は実施例2
と同様にして、透明導電積層体を得た。この透明導電積
層体を構成している透明導電膜の原子組成は、実施例2
で形成した透明導電膜の原子組成と同様であった。上記
の透明導電膜について、実施例1〜実施例6で求めたと
同じ項目を実施例1〜実施例6と同様にして求めた。こ
れらの結果を表4に示す。
【0076】実施例11 アニーリング時の雰囲気を酸素ガスと窒素ガスの混合ガ
ス雰囲気(酸素ガスの分圧=10hPa,窒素ガスの分
圧=1100hPa)とした以外は実施例2と同様にし
て、透明導電積層体を得た。この透明導電積層体を構成
している透明導電膜の原子組成は、実施例2で形成した
透明導電膜の原子組成と同様であった。上記の透明導電
膜について、実施例1〜実施例6で求めたと同じ項目を
実施例1〜実施例6と同様にして求めた。これらの結果
を表4に示す。
【0077】
【表4】
【0078】表4に示したように、実施例7〜実施例1
1で作製した各透明導電積層体においては、実施例1〜
実施例6で作製した各透明導電積層体におけると同様
に、当該透明導電積層体を構成している透明導電膜(酸
化物膜)の可視光の平均透過率が95.6〜96.8%
と高い一方で、その比抵抗も2.70×10-3〜2.7
8×10-3Ω・cmと高い。したがって、これらの透明
導電積層体を用いれば、カラーディスプレイ上に設置し
たときでもディスプレイの視認性を実質的に損なわず、
かつ、入力精度が向上したアナログ型のタッチパネルを
得ることが可能になる。さらに、シート抵抗の標準偏差
の値から明らかなように、実施例7〜実施例11で作製
した各透明導電積層体は、所望の電気的特性を有するも
のを再現性よく得ることができるものである。
【0079】実施例12(タッチパネルの製造) (1)透明電極基板の作製 透明基材として2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフ
ィルムの長尺物(サイズ:300mm×10m、厚さ1
25μm。以下「PETロール」という。)を用い、ス
パッタリングターゲットとして実施例1で用いたと同一
組成の酸化物焼結体ターゲット(サイズ:5インチ×1
5インチ×5mm厚)を用いて、以下の要領で透明導電
膜を製膜した。
【0080】まず、PETロールを連続走行式DCマグ
ネトロンスパッタリング装置に装着し、真空槽内を5×
10-3Pa以下まで減圧した。次に、アルゴンガス(純
度99.99%)を真空槽内圧力が2×10-1Paにな
るように導入し、スパッタリング出力を1.6W/cm
2 (ターゲット印加電圧は400V)に、基板温度を2
0℃にそれぞれ設定して、プレスパッタを行った。プレ
スパッタ後、シャッターを開にして、100cm/分の
走行速度でPETロールの片面に酸化物膜(透明導電
膜)を製膜した。
【0081】上述のようにして得た酸化物膜(透明電極
膜)付きPETロールから、平面視上の大きさが16×
16cmの酸化物膜付きPETフィルムを2枚切り出す
ことにより、透明導電積層体を2枚得た。そして、これ
らの透明導電積層体について、空気中,150℃,40
分の条件でアニーリングを行って、目的とする透明導電
積層体を2枚得た。
【0082】上記の各透明導電積層体は膜厚15nmの
透明導電膜を有しており、これらの透明導電膜の組成は
実施例1で得た透明導電積層体における透明導電膜の組
成と同様であった。また、各透明導電膜について、平面
視上の中央部および四隅の計5点でのシート抵抗を実施
例1と同様にして求めたところ、1000±15Ω/□
と高電気抵抗でありながら均一性に優れていた。そし
て、各透明導電膜について可視光の平均透過率を実施例
1と同様にして求めたところ、いずれの透明導電膜にお
いても95%以上であった。
【0083】(2)タッチパネルの作製 上記(1)で得た2枚の透明導電積層体をそれぞれ透明
電極基板として用いて、図1によってその概略が示され
るアナログ型のタッチパネルを以下のようにして作製し
た。まず、一方の透明電極基板1を構成している透明電
極膜(透明導電膜)2において互いに対向している1組
の辺縁部上に、幅3mmの帯状を呈する電極端子3a,
3bを銀ペースト(藤倉化成社製のD−550)によっ
てそれぞれ設けた。また、他方の透明電極基板5を構成
している透明電極膜(透明導電膜)6において互いに対
向している1組の辺縁部上にも、同様にして幅3mmの
帯状を呈する電極端子7a,7bをそれぞれ設けた。
【0084】次に、透明電極基板1と透明電極基板5と
を、透明電極膜(透明導電膜)2,6が互いに対向し、
かつ、電極端子3a,3bを結ぶ方向と電極端子7a,
7bを結ぶ方向とが平面視上直交するようにして貼り合
わせた。このとき、SiO2からなる粒径15μmの球
状のスペーサー(図示せず。)を用いて、透明電極膜
(透明導電膜)2,6間の距離が15μmとなるように
した。
【0085】この後、透明電極膜(透明導電膜)2に設
けた電極端子3a,3bと15Vの直流電源V1 とを、
リード線10a,10bを介して接続した。このとき、
リード線10aの途中にはスイッチS1 を介在させ、リ
ード線10bの途中にはスイッチS2 を介在させた。ま
た、透明電極膜(透明導電膜)6に設けた電極端子7
a,7bと15Vの直流電源V2 とを、リード線11
a,11bを介して接続した。このとき、リード線11
aの途中にはスイッチS3 を介在させ、リード線11b
の途中にはスイッチS4 を介在させた。
【0086】このようにして電極端子3a,3bと直流
電源V1 、および電極端子7a,7bと直流電源V2
を電気的に接続することにより、アナログ型のタッチパ
ネル15が得られた。
【0087】(3)タッチパネルの性能評価 上記(2)で作製したタッチパネル15のリード線10
bの途中からアースをとり、リード線10bとリード線
11aとの電位差を測定するための電圧計12(第2図
参照)を設置した後、スイッチS1 ,S2 およびS3
閉にし、スイッチS4 を開にした。この状態下で、図1
中に矢印Aで示すように、電極端子3aの長手方向の中
心と電極端子3bの長手方向の中心とを結ぶ線に沿っ
て、透明電極基板1の外側表面を電極端子3b側から電
極端子3a側に向けて1.5mmおきに計100点、入
力端の曲率半径が1mmの入力ペン13(図1参照)に
よって順次押圧し、このときの検出誤差を次式によって
求めた。
【数2】
【0088】上記の式中、|Vn−Vn0|は測定電圧の
理論電圧からのズレを示し、この値が小さいほど押圧位
置の誤認が少ないタッチパネルが得られる。また、上記
の式中の|Vn+1−Vn|は隣合う2つの押圧点での測定
電圧の差を示し、この値が大きいほど押圧位置の差を電
位差として精度よく検出し易くなる。
【0089】前記のタッチパネルについてその検出誤差
を上記の式によって求めたところ、0.03であった。
このことから、当該タッチパネルは入力精度の高いもの
であることが確認された。また、このタッチパネルの透
明性は、透明電極膜(透明導電膜)における可視光の平
均透過率が95%以上であることから、高い。したがっ
て、カラーディスプレイ上に設置した場合でもディスプ
レイの視認性を実質的に損なわないものと推察される。
【0090】比較例5 まず、スパッタリングターゲットとして比較例1で用い
たと同一組成の酸化物焼結体ターゲット(サイズ:5イ
ンチ×15インチ×5mm厚)を用いた以外は実施例1
2(1)と同様にして、PETロールの片面に酸化物膜
(透明導電膜)を製膜した。次に、実施例12(1)と
同様に前記のPETロール(酸化物膜(透明導電膜)を
製膜した後のもの)から2枚の透明導電積層体を切り出
し、これらの透明導電積層体について実施例12(1)
と同条件でアニーリングを行った。アニーリング後の各
透明導電積層体について、実施例12(1)と同様にし
て透明導電膜のシート抵抗を測定したところ、3000
±14Ω/□と均一性に優れていた。また、透明導電膜
における可視光の平均透過率は、比較例1と同様に95
%未満であった。
【0091】この後、上記の透明導電積層体を用いて実
施例12(2)と同様にしてアナログ型のタッチパネル
作製し、その性能を実施例12(3)と同様にして評価
した。その結果、検出誤差の値は0.03であり、入力
精度の高いタッチパネルであることが確認された。しか
しながら、タッチパネルの透明性については、透明電極
膜(透明導電膜)における可視光の平均透過率が95%
未満であることから、実施例12のものより劣ってい
た。
【0092】比較例6 まず、スパッタリングターゲットとして比較例2で用い
たと同一組成の酸化物焼結体ターゲット(サイズ:5イ
ンチ×15インチ×5mm厚)を用い、かつ、PETロ
ールの走行速度を200cm/分とした以外は実施例1
2(1)と同様にして、PETロールの片面に酸化物膜
(透明導電膜)を製膜した。次に、実施例12(1)と
同様に前記のPETロール(酸化物膜(透明導電膜)を
製膜した後のもの)から2枚の透明導電積層体を切り出
し、これらの透明導電積層体について実施例12(1)
と同条件でアニーリングを行った。アニーリング後の各
透明導電積層体について、実施例12(1)と同様にし
て透明導電膜のシート抵抗を測定したところ、1000
±250Ω/□と均一性に劣ってた。
【0093】この後、上記の透明導電積層体を用いて実
施例12(2)と同様にしてアナログ型のタッチパネル
作製し、その性能を実施例12(3)と同様にして評価
した。その結果、検出誤差の値は0.88であった。こ
の値は、押圧位置の違いによる電位差と測定電圧の理論
値からのズレ(シート抵抗のバラツキ)とがほぼ同じで
あることを意味している。したがって、上記のタッチパ
ネルでは押圧位置の違いを電気的に検出することが非常
に困難であり、当該タッチパネルは入力精度の低いもの
であった。
【0094】比較例7 まず、スパッタリングターゲットとして実施例3で用い
たと同一組成の酸化物焼結体ターゲット(サイズ:5イ
ンチ×15インチ×5mm厚)を用い、かつ、スパッタ
リング時の導入ガスとして90体積%のアルゴンガスと
10体積%の酸素ガスとの混合ガス(酸素ガスの分圧は
2×10-2Pa)を用いた以外は実施例12(1)と同
様にして、PETロールの片面に酸化物膜(透明導電
膜)を製膜した。次に、実施例12(1)と同様に前記
のPETロール(酸化物膜(透明導電膜)を製膜した後
のもの)から2枚の透明導電積層体を切り出し、これら
の透明導電積層体について実施例12(1)と同条件で
アニーリングを行った。アニーリング後の各透明導電積
層体について、実施例12(1)と同様にして透明導電
膜のシート抵抗を測定したところ、2200±22Ω/
□と均一性に優れていた。また、透明導電膜における可
視光の平均透過率は、比較例3と同様に95%未満であ
った。
【0095】この後、上記の透明導電積層体を用いて実
施例12(2)と同様にしてアナログ型のタッチパネル
作製し、その性能を実施例12(3)と同様にして評価
した。その結果、検出誤差の値は0.18であり、入力
精度の高いタッチパネルであることが確認された。しか
しながら、タッチパネルの透明性については、透明電極
膜(透明導電膜)における可視光の平均透過率が95%
未満であることから、実施例12のものより劣ってい
た。
【0096】比較例8 まず、スパッタリングターゲットとして実施例3で用い
たと同一組成の酸化物焼結体ターゲット(サイズ:5イ
ンチ×15インチ×5mm厚)を用いた以外は実施例1
2(1)と同様にして、PETロールの片面に酸化物膜
(透明導電膜)を製膜した。次に、実施例12(1)と
同様に前記のPETロール(酸化物膜(透明導電膜)を
製膜した後のもの)から2枚の透明導電積層体を切り出
し、これらの透明導電積層体についてアニーリングを行
うことなく、当該透明導電積層体を構成している透明導
電膜のシート抵抗を実施例12(1)と同様にして測定
したところ、4500±26Ω/□と均一性に優れてい
た。また、透明導電膜における可視光の平均透過率は、
比較例4と同様に95%未満であった。
【0097】この後、上記の透明導電積層体を用いて実
施例12(2)と同様にしてアナログ型のタッチパネル
作製し、その性能を実施例12(3)と同様にして評価
した。その結果、検出誤差の値は0.19であり、入力
精度の高いタッチパネルであることが確認された。しか
しながら、タッチパネルの透明性については、透明電極
膜(透明導電膜)における可視光の平均透過率が95%
未満であることから、実施例12のものより劣ってい
た。
【0098】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の透明導電
積層体は高い比抵抗と高い透明性とを併せ持つものを得
ることが容易な透明導電膜を備えており、当該透明導電
積層体から形成された透明電極基板を備えている本発明
のタッチパネルは、高い入力精度と高い透明性とを併せ
持つものを得ることが容易なタッチパネルである。した
がって、本発明によればカラーディスプレイ上に設置し
た場合でもディスプレイの視認性を実質的に損なわず、
かつ、入力精度が向上したアナログ型のタッチパネルを
容易に提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例12で作製したアナログ型のタッチパネ
ルの概略を示す斜視図である。
【符号の説明】
1,5…透明電極基板(透明導電積層体)、 2,6…
透明電極膜(透明導電膜)、 3a,3b…電極端子、
7a,7b…電極端子、 13…入力ペン、15…ア
ナログ型のタッチパネル。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気絶縁性の透明基材と、この透明基材
    上に形成された透明導電膜とを有し、前記透明導電膜
    が、インジウム(In),亜鉛(Zn),ガリウム(G
    a)および酸素(O)を構成元素とし、インジウム(I
    n)と亜鉛(Zn)の合量に占めるインジウム(In)
    の原子比In/(In+Zn)が20〜90at%、ガリ
    ウム(Ga)の原子比Ga/(In+Zn+Ga)が
    2.2〜40at%である酸化物膜からなり、該透明導電
    膜における可視光の平均透過率が95%以上であること
    を特徴とする透明導電積層体。
  2. 【請求項2】 透明導電膜におけるインジウム(In)
    の原子比In/(In+Zn)が50〜90at%であ
    る、請求項1に記載の透明導電積層体。
  3. 【請求項3】 透明導電膜におけるガリウム(Ga)の
    原子比Ga/(In+Zn+Ga)が5〜15at%であ
    る、請求項1または請求項2に記載の透明導電積層体。
  4. 【請求項4】 電気絶縁性の透明基材上に、インジウム
    (In),亜鉛(Zn),ガリウム(Ga)および酸素
    (O)を構成元素とし、インジウム(In)と亜鉛(Z
    n)の合量に占めるインジウム(In)の原子比In/
    (In+Zn)が20〜90at%、ガリウム(Ga)の
    原子比Ga/(In+Zn+Ga)が2.2〜40at%
    である酸化物膜からなる透明導電膜を低酸素分圧下に物
    理的気相蒸着法によって形成した後、この透明導電膜を
    酸素分圧10hPa以上の雰囲気下において60℃以上
    の温度条件でアニーリングすることを特徴とする透明導
    電積層体の製造方法。
  5. 【請求項5】 インジウム(In)の原子比In/(I
    n+Zn)が50〜90at%である透明導電膜を形成す
    る、請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 ガリウム(Ga)の原子比Ga/(In
    +Zn+Ga)が5〜15at%である透明導電膜を形成
    する、請求項4または請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 物理的気相蒸着法がスパッタリング法で
    ある、請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の方
    法。
  8. 【請求項8】 所定のパターンに形成された透明電極膜
    を有する2枚の透明電極基板を備え、前記2枚の透明電
    極基板が前記透明電極膜同士を対向させて所定間隔で配
    置されており、前記透明電極基板のうちの一方の外部か
    ら該透明電極基板に荷重を加えたときに前記透明電極膜
    同士が導通するタッチパネルにおいて、 前記2枚の透明電極基板のそれぞれに形成されている透
    明電極膜のうちの少なくとも一方が、インジウム(I
    n),亜鉛(Zn),ガリウム(Ga)および酸素
    (O)を構成元素とし、インジウム(In)と亜鉛(Z
    n)との合量に占めるインジウム(In)の原子比In
    /(In+Zn)が20〜90at%、ガリウム(Ga)
    の原子比Ga/(In+Zn+Ga)が2.2〜40at
    %である酸化物膜からなり、該透明導電膜における可視
    光の平均透過率が95%以上であることを特徴とするタ
    ッチパネル。
  9. 【請求項9】 インジウム(In),亜鉛(Zn),ガ
    リウム(Ga)および酸素(O)を構成元素としている
    透明導電膜におけるインジウム(In)の原子比In/
    (In+Zn)が50〜90at%である、請求項8に記
    載のタッチパネル。
  10. 【請求項10】 インジウム(In),亜鉛(Zn),
    ガリウム(Ga)および酸素(O)を構成元素としてい
    る透明導電膜におけるガリウム(Ga)の原子比Ga/
    (In+Zn+Ga)が5〜15at%である、請求項8
    または請求項9に記載のタッチパネル。
  11. 【請求項11】 抵抗膜方式のタッチパネルである、請
    求項8〜請求項10のいずれか1項に記載のタッチパネ
    ル。
  12. 【請求項12】 アナログ型のタッチパネルである、請
    求項8〜請求項11のいずれか1項に記載のタッチパネ
    ル。
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