JP2013175240A - 静電容量式タッチパネル及び該タッチパネルを備えた液晶表示装置 - Google Patents

静電容量式タッチパネル及び該タッチパネルを備えた液晶表示装置 Download PDF

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徳行 中山
Takayuki Abe
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Abstract

【課題】耐熱性の高い透明導電膜を適用することで、より低コストの、熱負荷の高い製造工程を採用した場合でも、位置検出に問題のない、高品位の表示が可能な静電容量式タッチパネル及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】透明基板上に、少なくとも透明導電膜と、誘電体層とが積層されており、該基板額縁部に少なくとも位置検出用配線部並びに位置検出用電極からなる位置検出用部材が配置された構造を有する静電容量式タッチパネルであって、
前記透明導電膜は、酸化インジウムを主成分とし、ガリウムおよびスズを含む酸化物からなり、ガリウム含有量が、Ga/(In+Ga+Sn)原子数比で0.03〜0.10、かつスズの含有量が、Sn/(In+Ga+Sn)原子数比で0.05〜0.12であり、しかも、非晶質膜として成膜後、酸素存在雰囲気下、250〜550℃での加熱処理により結晶化し、その表面抵抗が、700〜2000Ω/□の範囲である静電容量式タッチパネルなどによって提供。
【選択図】図3

Description

本発明は、静電容量式タッチパネル及び該タッチパネルを備えた液晶表示装置に関し、より詳しくは、耐熱性の高い透明導電膜を適用することで、より低コストの、熱負荷の高い製造工程を採用した場合でも、位置検出に問題のない、高品位の表示が可能な静電容量式タッチパネルとその製造方法及び液晶表示装置に関する。
タッチパネルは、操作者が表示画面の上部に設けられた透明な面をペン、または指で接触することで、装置、システムの操作を行うものである。画面を直接触れることによる操作は、直接的かつ直感的であることから、近年、多くの分野でタッチパネルが採用されるようになってきた。
タッチパネルは接触した場所の位置を検出するが、その検出方式には抵抗膜式、静電容量式、超音波式、光学式などがある。これらの検出方式は使用環境により使い分けられているが、コストの点から抵抗膜式タッチパネルが広く使用されており、とくに携帯情報端末(PDAと記す場合がある)、携帯電話、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどの各種ハンディタイプの機器に搭載されるタッチパネルは、そのほとんどが抵抗膜式である(例えば、特許文献1参照)。
抵抗膜式タッチパネルの構成例を液晶表示装置本体上に搭載した状態で図1に示した。抵抗膜式タッチパネル10は、上部透明基板11と、この上部透明基板11の表面に形成された上部透明導電膜12と、下部透明基板14と、この下部透明基板14の表面に形成され、上部透明導電膜12に対向配置された下部透明導電膜15とを具備している。上部透明基板11と下部透明基板14の外周部には、上部透明導電膜12と下部透明導電膜15との距離を規定し、かつ上部透明基板11と下部透明基板14とを固定するための両面粘着テープ17が貼着されることで、空気層16が形成されている。また、抵抗膜式タッチパネル10は、液晶表示装置本体50上に搭載されることにより、液晶表示装置が構成されている。
この液晶表示装置では、データ入力用のペンの先端部あるいは指先で上部透明基板11を押圧することにより、液晶表示装置本体50の画面表示に応じたデータが入力可能となっている。すなわち、データ入力用のペンの先端部等が上部透明基板11を押圧することにより、上部透明基板11が部分的に変形し、上部透明導電膜12と下部透明導電膜15とが部分的に接触する。この接触に応じた上部透明導電膜12及び下部透明導電膜15の抵抗値を検出し、検出した抵抗値に基づいて接触位置を特定し、この接触位置に対応する液晶表示装置本体50の画面に表示されたデータと対応づけられて液晶表示装置が組み込まれた機器に入力される。
しかしながら、このような抵抗膜式タッチパネルの光学特性や耐久性は用途によっては必ずしも十分ではない。すなわち、抵抗膜式タッチパネルは2枚の透明導電膜の間に空気層を設ける構成であるため、透明導電膜と空気層との屈折率の違いからその界面で光の反射が発生し光学特性(透過率)が低下する問題がある。また、中間に空気層を有する積層構造に対してデータ入力用のペンの先端部等で押圧が繰り返される機構であるため、その積層構造の耐久性にも問題がある。
これに対して、静電容量式タッチパネルは、これらの問題を回避できる検出方式であるだけでなく、低コストを実現できることから注目され、最近、製品化されるようになった(例えば、非特許文献1、特許文献2参照)。
静電容量式タッチパネルは、通常の抵抗膜式と異なり、画面上を指や導電性ペンで軽くタッチすることによって、静電容量が変化し、そのコンデンサを介して微弱電流を流し、その変化分を検出することで位置を算出するように構成されている。
静電容量式タッチパネルの四隅の電極には、同相同電位の電圧(交流)が印加されている。この時、4電極は同電位にあるため、電極間(タッチセンサ部)に電流は流れない。ついで、タッチセンサ部分上の任意の点を指、導電性ペン等でタッチする。この動作においては、キルヒホッフの法則により、つぎに示す関係式が成り立つ。なお、接触位置から電極A、Dまでの抵抗をr1、電極B、Cまでの抵抗をr2、R=r1+r2とし、この時の接触物からグランドまでのインピーダンスをZ、電極A,B,C,Dに流れる電流をそれぞれia,ib,ic,idとする。
(ia+id)r1+(ia+ib+ic+id)Z+V1=0 …(1)
(ib+ic)r2+(ia+ib+ic+id)Z+V2=0 …(2)
ここで、式(1),(2)の差をとると、
(ia+id)r1+V1=(ib+ic)r2+V2 となり、
ついで、この式にR−r1=r2を代入して、式を整えると、次の式(3)となる。
r1/R=(ib+ic)/(ia+ib+ic+id)+(V2−V1)/(ia+ib+ic+id)R …(3)
この回路では、通常、電極A,B,C,Dから電流は流れない。したがって、電流を流さない設定とするため、V1=V2とすると、式(3)は次式となる。
r1/R=(ib+ic)/(ia+ib+ic+id) …(4)
X軸およびY軸方向について、それぞれの電極に流れる電流が測定によって求められれば、上記の式(4)より接触位置を求めることが可能である。具体的には、電極A,B,C,Dに電流検出器を取り付け、それぞれの電流検出器からの電流信号により接触部の位置座標を算出する信号処理回路を備えればよい。また、式(4)は、接触物とグランド間のインピーダンスZに依存しない。よって、インピーダンスがゼロ、無限大でない限り、接触物の変化や状態を無視することができ、上記の式が成立する。
静電容量式タッチパネルの構成例を図2に示す。静電容量式タッチパネル20は、透明基板21上に形成された透明導電膜22と、誘電体層23とが順次積層された構造である。ここで透明導電膜22には、一般にITO結晶膜が使用されることが多い。ここで、透明導電膜22の表面抵抗は、700Ω/□以上2000Ω/□以下程度であるので、位置検出用の信号が確実に発生して、その位置検出用の信号を、位置検出用回路に確実に伝えることができる。また、該透明導電膜22の額縁部には、位置検出用配線、並びに、各角部に電気的に接続された位置検出用電極A、B、C及びDが設けられている。これらの位置検出用配線並びに位置検出用電極24(以下、位置検出用部材と称することがある。)を用い、上記した、電流信号により接触部の位置座標を算出する方法により、位置を検出することができるのである。
また、静電容量式タッチパネル20は、液晶表示装置本体上に搭載されることにより、液晶表示装置を構成する。
このような構成においては、透明導電膜22において位置検出用の信号が確実に発生して、その位置検出用の信号を、例えば、位置検出回路に確実に伝えることが必要である。そのためには、透明導電膜22の表面抵抗が特定の範囲の値をとることが必須である。一般に、透明導電膜としてはITO結晶膜が用いられているが、その表面抵抗は上記の通り700〜2000Ω/□(オーム・パー・スクエアと読む)、好ましくは1000〜1500Ω/□である。
ところで、近年、静電容量式タッチパネルをより低コストで製造するために、使用する材料に、厳しい負荷のかかる製造工程を選択せざるを得なくなってきている。例えば、タッチパネル表示装置の製造工程における、AgあるいはAg合金等からなる位置検出用配線部並びに位置検出用電極等の形成工程では、大気中で500℃程度の高温熱処理を行うことが必要とする場合がある。
しかし、このような大気中で高い熱負荷のかかる処理を行った場合には、透明導電膜が酸化されてしまい、前記の700〜2000Ω/□の範囲の表面抵抗を維持できず高抵抗化してしまう問題が新たに現れてきている。透明導電膜の表面抵抗が高抵抗化してしまうと、位置検出用の信号を確実に位置検出回路に伝達することができなくなるため問題視されていた。
特開2003−307723号公報 特開2008−32756号公報
宮本三郎ら、「静電容量結合方式による高透過タッチパネルの開発」、シャープ技報、第92号、2005年8月、pp.59−63
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点に鑑み、耐熱性の高い透明導電膜を適用することで、より低コストの、熱負荷の高い製造工程を採用した場合でも、位置検出に問題のない、高品位の表示が可能な静電容量式タッチパネル及び液晶表示装置を提供することにある。
本発明者らは、より低コストで静電容量式タッチパネルを製造するために鋭意研究を重ね、透明基板上に、少なくとも透明導電膜と、誘電体層とが積層されており、該基板額縁部に少なくとも位置検出用配線部並びに位置検出用電極からなる位置検出用部材が配置された構造を有する静電容量式タッチパネルの透明導電膜として、酸化インジウムを主成分とし、ガリウムおよびスズを含む酸化物からなる透明導電膜を用いることによって、使用する材料により厳しい負荷のかかる製造工程を用いても、酸化されにくく、前記の700〜2000Ω/□の範囲の表面抵抗を維持して高抵抗化することがなくなり、これにより上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、透明基板上に、少なくとも透明導電膜と、誘電体層とが積層されており、該基板額縁部に少なくとも位置検出用配線部並びに位置検出用電極からなる位置検出用部材が配置された構造を有する静電容量式タッチパネルであって、
前記透明導電膜は、酸化インジウムを主成分とし、ガリウムおよびスズを含む酸化物からなり、ガリウム含有量が、Ga/(In+Ga+Sn)原子数比で0.03〜0.10、かつスズの含有量が、Sn/(In+Ga+Sn)原子数比で0.05〜0.12であり、しかも、非晶質膜として成膜後、酸素存在雰囲気下、250〜550℃での加熱処理により結晶化し、その表面抵抗が、700〜2000Ω/□の範囲であることを特徴とする静電容量式タッチパネルが提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記透明導電膜のガリウム含有量が、Ga/(In+Ga+Sn)原子数比で0.05〜0.08であり、かつスズの含有量が、Sn/(In+Ga+Sn)原子数比で0.07〜0.10であることを特徴とする静電容量式タッチパネルが提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、前記非晶質の透明導電膜が、150℃以下の透明基板上に形成されることを特徴とする静電容量式タッチパネルが提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、前記透明基板が、アルカリ成分を含むガラス基板であることを特徴とする静電容量式タッチパネルが提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、前記ガラス基板と透明導電膜の間に、バリア層が挿入されることを特徴とする静電容量式タッチパネルが提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、前記透明基板の厚さが、0.1〜10mmであることを特徴とする静電容量式タッチパネルが提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1の発明において、前記位置検出用配線部並びに位置検出用電極が、AgあるいはAg合金からなることを特徴とする静電容量式タッチパネルが提供される。
一方、本発明の第8の発明によれば、第1〜7の発明のいずれかの発明に係り、静電容量式タッチパネルが、液晶表示装置本体の画面上に前記誘電体層が外面となるように搭載されてなる液晶表示装置が提供される。
本発明の静電容量式タッチパネルは、透明基板上に、少なくとも透明導電膜と、誘電体層とが積層されており、該基板額縁部に少なくとも位置検出用配線部並びに位置検出用電極からなる位置検出用部材が配置された構造を有する静電容量式タッチパネルであり、前記透明導電膜として、酸化インジウムを主成分とし、ガリウムおよびスズを含む酸化物を採用したので、当該透明導電膜は耐熱性が高く、より低コストの熱負荷の高い製造工程を採用した場合でも、位置検出に問題のない、高品位の表示が可能な静電容量式タッチパネル及び液晶表示装置を得ることができる。
また、静電容量式タッチパネルは、酸化インジウムを主成分とし、ガリウムおよびスズを含む酸化物からなる非晶質の透明導電膜を透明基板上に形成した後に、酸素が存在する雰囲気で、該透明導電膜を特定の温度範囲で熱処理するので、透明導電膜が高抵抗化せず、静電容量式タッチパネルの位置検出および液晶表示装置本体の表示には何ら問題が生じない。
これにより、低コストの製造工程を採用でき、しかも高品位の表示が可能な性能の良い静電容量式タッチパネル及び液晶表示装置を提供することができる。
従来の抵抗膜式タッチパネルを搭載した液晶表示装置の断面を示す説明図である。 従来の静電容量式タッチパネルの断面を示す説明図である。 本発明に係る静電容量式タッチパネルの断面を示す説明図である。 本発明に係る液晶表示装置の断面を示す説明図である。
以下に、本発明に係る静電容量式タッチパネルとその製造方法について詳細に説明する。
1.静電容量式タッチパネル
本発明の静電容量式タッチパネルは、透明基板上に、少なくとも透明導電膜と、誘電体層とが積層されており、該基板額縁部に少なくとも位置検出用配線部並びに位置検出用電極からなる位置検出用部材が配置された構造を有する静電容量式タッチパネルであって、前記透明導電膜が酸化インジウムを主成分とし、ガリウムおよびスズを含む酸化物からなることを特徴としている。
本発明の静電容量式タッチパネルは、断面が図3で表されるような構造である。図3に示すように、静電容量式タッチパネル30は、透明基板31上に形成された透明導電膜32と、誘電体層33とが順次積層された構造を有している。ここで、誘電体層33は、上記一般的なタッチパネル表示装置における酸化ケイ素からなる膜などの他、装置構成によっては、ブラックマトリクスおよびカラーフィルター層である場合も含んでいる。
また、本発明の静電容量式タッチパネルにおいては、透明導電膜32と、誘電体層33とが順次積層された構造に加えて、基板額縁部には、AgあるいはAg合金からなる位置検出用配線部並びに位置検出用電極が設けられている。さらに、ブラックマトリクス、カラーフィルター層、表示用の信号が供給されるITO膜等からなる透明導電膜形成して、タッチパネルとして構成される場合を含んでいる。
ここで、透明基板31は、電気的絶縁性を有し、可視光領域の光透過率が高く、タッチパネル表示装置の製造工程における、AgあるいはAg合金等からなる位置検出用配線部並びに位置検出用電極等の形成工程の加熱処理(以下、加熱処理工程と称することがある)における熱処理温度、例えば500℃に耐えられるガラス基板などであればよい。
基材の厚さは、特に限定されるわけではないが、ガラス板や石英板であれば、0.1〜10mm、好ましくは0.5〜5mmとされる。この範囲よりも薄いと強度が弱く取り扱いも難しい。一方、この範囲よりも厚いと透明性が悪いだけでなく重量が大きくなり好ましくない。なお、ソーダライムガラスなどアルカリ成分を含むガラス基板は、基板上に形成された透明導電膜にアルカリ成分が拡散してその特性を損なう可能性があるため、ガラス基板と透明導電膜の間にバリア層として酸化ケイ素薄膜などを挿入した構造とすることが好ましい。
本発明の静電容量式タッチパネルに用いる、前記透明導電膜は、酸化インジウムを主成分とし、ガリウム含有量が、Ga/(In+Ga+Sn)原子数比で0.03〜0.10であり、スズの含有量が、Sn/(In+Ga+Sn)原子数比で0.05〜0.12である酸化物からなることが好ましい。さらには、前記透明導電膜のガリウム含有量が、Ga/(In+Ga+Sn)原子数比で0.05〜0.08であり、スズの含有量が、Sn/(In+Ga+Sn)原子数比で0.07〜0.10であることがより好ましい。上記範囲の組成の透明導電膜は、耐熱性が高いだけでなく、結晶化温度が約190℃であるITOより高く、250℃以上を示す。
これに対して、ガリウム含有量が、Ga/(In+Ga+Sn)原子数比で0.03未満であると、結晶化温度が250℃未満となるため好ましくない。一方、0.10を超えると、透明導電膜の比抵抗が高くなってしまうため、静電容量式タッチパネルにおいて必要とされる表面抵抗を得るのに必要な膜厚が厚くなってしまい、本来抵抗膜式タッチパネルに比べて優位性がある高い視認性が損なわれる問題が生じるため好ましくない。また、スズの含有量が、Sn/(In+Ga+Sn)原子数比で0.05未満であると、加熱処理工程における透明導電膜の結晶化過程で後述するスズのドーピング効果が十分得られなくなるため好ましくなく、0.12を超えると、むしろ過剰のスズによってドーピング効果が阻害されるため好ましくない。
誘電体層33は、誘電体からなる光学薄膜であり、静電容量式タッチパネル30において形成される回路の感知レベルに合わせてその種類と厚みを決定すればよい。例えば、厚み50〜100nmの酸化ケイ素薄膜をスパッタリング法などにより透明導電膜32上に形成することが好ましい。
なお、誘電体層33上に反射防止膜(AR膜と記す場合がある)を形成してもよい。反射防止膜は、異なる屈折率を有する屈折率層を2層以上積層したものを用いることができ、例えば、第1の屈折率層、第2の屈折率層、第3の屈折率層、第4の屈折率層からなる4層構造のもの、あるいは第1〜第3の屈折率層からなる3層構造のものとすればよい。ここで、多層構造とする場合には、従来から知られているように、隣接する屈折率層間の屈折率差を大きくする、あるいは、屈折率層の光学厚みを光の波長λ(特に、最も視認性の高い波長である550nmの波長)の1/4付近に調整するなどすれば、光干渉効果を利用した可視光全域での反射防止性能が得られる。
反射防止膜を構成する屈折率層のうち、比較的屈折率の高い屈折率層の材料としては、1.85以上の屈折率を持つ光透過性材料であれば特に制限は無いが、窒化シリコン、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、ITO及びこれらを主成分としてその特性に影響を与えない範囲でシリコン、スズ、ジルコニウム、アルミニウム等の金属を添加した合金酸化物が一般的に用いられる。一方、比較的屈折率の低い屈折率層としては、フッ化マグネシウム、酸化シリコン等、またはこれに微量の添加物を混入した材料が用いられるが、スパッタリング法を用いる場合はSiOが最も望ましい。
また帯電防止性能が要求される場合には、前記の酸化インジウムを主成分とし、ガリウムおよびスズを含む酸化物からなる透明導電膜を用いればよく、一般的なITOなどの導電性膜を用いてもよい。
その他、誘電体層33に保護膜層、防汚層、あるいはグレア防止膜層などを必要に応じて形成してもよい。また、第2の透明基板を最表面に設け、その表面の粗面化を施せば、保護膜層やグレア防止膜層は不要となる。
ところで、これまで一般的な静電容量式タッチパネルを用いた表示装置は、次のような工程を経て作製されている。
(1)まず、ガラス基板上に、結晶質あるいは非晶質のITO膜又はIZO(Indium Zinc Oxide)膜からなる透明導電膜(厚さ5〜15nm程度)を、表面抵抗が所望の抵抗値になるように、マスクを用いたスパッタリング法により成膜して、透明電極(以下、第1透明電極ともいう)を形成する。この透明電極において位置検出用の信号が確実に発生して、その位置検出用の信号を、位置検出用回路に確実に伝えることができる。
(2)次いで、上記透明電極の周端に沿って、ITO膜等からなる透明導電膜(厚さ300nm程度)を、表面抵抗が3〜5Ωになるように、マスクを用いたスパッタリング法により成膜して、額縁部を形成する。
(3)次いで、透明電極及び額縁部が形成された基板上に、例えば、AlあるいはAl合金薄膜(厚さ300nm程度)を表面抵抗が0.2〜0.3Ω程度になるように、マスクを用いたスパッタリング法により成膜して、位置検出用配線部並びに位置検出用電極A、B、C及びDを形成する。この工程は、通常は300℃以下の低温で行われることが多く、特に室温で行われることが多い。以下、これら(1)〜(3)の工程を位置検出用部材形成工程ということがある。
(4)次いで、位置検出用配線部並びに位置検出用電極A、B、C及びDが形成された基板全体に、印刷法を用いて黒色顔料を含んだ感光性レジスト材料等を厚さ1〜2μm程度で塗布し、その後、パターン形成してブラックマトリクスを形成する。
(5)次いで、ブラックマトリクスが形成された基板全体に、赤、緑及び青の顔料のうち、いずれかが分散された感光性レジスト材料等を厚さ1〜3μm程度で塗布し、その後、パターン形成して、カラーフィルター層を形成する。
(6)次いで、カラーフィルター層が形成された基板全体に、ITO膜等からなる透明導電膜(厚さ10nm程度)を、表面抵抗が30〜100Ωになるように、マスクを用いたスパッタリング法により成膜して、第2透明電極を形成する。
表示用の信号が供給される第2透明電極が、多結晶性のITO膜により形成される一般的な場合には、タッチ位置を検出する第1透明電極には、非晶質のITO膜又はIZO膜が用いられるため、多結晶性のITO膜よりも電気的に高抵抗であるので、第2透明電極よりも電気的に高抵抗になる。
(7)次いで、画素電極が形成された基板全体に、ポリイミド樹脂等を塗布し、配向処理を施して配向膜を形成する。
(8)上記のようにして得られたタッチパネル、アクティブマトリクス基板の一方にスクリーン印刷により、熱硬化性エポキシ樹脂等からなるシール材料を液晶注入口の部分を欠いた枠状パターンに塗布して、他方の基板に液晶層の厚さに相当する直径を持ち、樹脂又はシリカからなる球状のスペーサーを散布する。次いで、アクティブマトリクス基板とタッチパネルとを貼り合わせ、シール材料を硬化させ、空セルを形成する。
(9)次いで、空セルのアクティブマトリクス基板及びタッチパネルの間に、減圧法により液晶材料を注入し液晶層を形成する。その後、液晶注入口にUV硬化樹脂を塗布して、UV照射によりUV硬化樹脂を硬化して、注入口を封止して、静電容量式タッチパネルが作製される。
一般に、静電容量式タッチパネルは、抵抗膜式タッチパネルと比較してコスト高であると言われている。コスト高となる要因の一つは、上記の位置検出用部材形成工程における、真空中でのマスクを用いた成膜プロセスである。その解決のためは、真空中での成膜プロセスでなく、酸素存在雰囲気、特に大気中でのプロセスを採用することが有効である。具体的には、上記の位置検出用部材形成工程(1)〜(3)のうち、(3)の例えば、AlあるいはAl合金薄膜(厚さ300nm程度)を表面抵抗が0.2〜0.3Ω程度になるように、マスクを用いたスパッタリング法により成膜する真空中プロセスを、AgあるいはAg合金からなるペースト剤を使用する大気中プロセスで代替することが可能である。AgあるいはAg合金からなるペースト剤は所望の形状に形成された後、大気中で焼成されることによって、位置検出用配線部並びに位置検出用電極に形成される。
2.静電容量式タッチパネルの製造方法
本発明の静電容量式タッチパネルは、透明基板上に、少なくとも透明導電膜と、誘電体層とが積層されており、該基板額縁部に少なくとも位置検出用配線部並びに位置検出用電極からなる位置検出用部材が配置された構造を有する静電容量式タッチパネルの製造方法であって、酸化インジウムを主成分とし、ガリウムおよびスズを含む酸化物からなる非晶質の透明導電膜を前記透明基板上に形成した後に、酸素が存在する雰囲気下、あるいは、大気中で、該透明導電膜が、結晶化温度を下限とし、結晶化温度より100℃高い温度を上限とする温度範囲で熱処理されること(以下、第1の製造方法ともいう)、あるいは、前記非晶質あるいは結晶質の透明導電膜が、位置検出用部材形成工程において、酸素が存在する雰囲気下、あるいは、大気中で、該透明導電膜が、結晶化温度を下限とし、550℃を上限とする温度範囲で熱処理されること(以下、第2の製造方法ともいう)により製造される。
本発明は、上記一般的なタッチパネル表示装置の作製工程において、透明基板上に形成される第1透明電極として、酸化インジウムを主成分とし、ガリウムおよびスズを含む酸化物からなる透明導電膜を適用することで、改良したものである。
透明導電膜32は、スパッタリング法などにより透明基板31上に成膜する。スパッタリングターゲットとして、透明導電膜の組成と同じものを用いることができる。すなわち、ガリウム含有量が、Ga/(In+Ga+Sn)原子数比で0.03〜0.10であり、かつスズの含有量が、Sn/(In+Ga+Sn)原子数比で0.05〜0.12であるものが好ましい。このようなターゲットには、本出願人によるPCT/JP2008/61957に記載のものが挙げられる。
スパッタリング法で基板上に形成する場合、特に、直流(DC)スパッタリング法であれば、成膜時の熱影響が少なく、高速成膜が可能であるため工業的に有利である。直流スパッタリング法で形成するには、スパッタリングガスとして不活性ガスと酸素、特にアルゴンと酸素からなる混合ガスを用いることが好ましい。また、スパッタリング装置のチャンバー内を0.1〜1Pa、特に0.2〜0.8Paの圧力として、スパッタリングすることが好ましい。
本発明においては、例えば、2×10−4Pa以下まで真空排気後、アルゴンと酸素からなる混合ガスを導入し、ガス圧を0.2〜0.5Paとし、ターゲットの面積に対する直流電力、すなわち直流電力密度が1〜3W/cm程度の範囲となるよう直流電力を印加して直流プラズマを発生させ、プリスパッタリングを実施することができる。このプリスパッタリングを5〜30分間行った後、必要により基板位置を修正したうえでスパッタリングすることが好ましい。
成膜速度を高めるために高出力によって高い熱負荷がかかった場合でも、膜に微結晶が生成せず、完全な非晶質膜として形成することが望ましい。透明導電膜32は、スパッタリング法で形成されることが好ましいが、イオンプレーティング法あるいは蒸着法などで形成されてもよい。なお、本出願人による上記特許出願(PCT/JP2008/61957)に記載されている酸化物焼結体から作製したスパッタリングターゲットを用いれば、光学特性、導電性に優れた透明導電膜を、直流スパッタリング法によって、比較的高い成膜速度で、基板上に製造することができる。
本発明では、基板を加熱せずに室温で成膜できるが、基板を50〜300℃に加熱することもできる。ただし、成膜時の基板温度を透明導電膜の結晶化温度以下とすることが好ましく、150℃以下とすることがより好ましい。基板温度を結晶化温度より高くして成膜すると、タッチパネル表示装置の製造工程において、透明導電膜形成後に酸素存在雰囲気下で施す熱処理前、あるいはAgあるいはAg合金からなるペースト剤を酸素存在雰囲気下で焼成する位置検出用部材形成工程の加熱処理工程前に透明導電膜が結晶化していることになるため、前記熱処理または加熱処理工程での酸素存在雰囲気下における熱負荷によって、透明導電膜の酸化のみが進み高抵抗化が起こり好ましくない。
透明導電膜が非晶質膜であれば、加熱処理工程での酸素存在雰囲気下における熱負荷によって結晶化が起こる際に、スズのドーピング効果によってキャリア電子が生成して低抵抗化が起こる。この低抵抗化と、前記の酸化による高抵抗化が相殺され、見かけ上、抵抗変化を小さくすることができる。
形成された非晶質の透明導電膜は、加熱処理工程での酸素存在雰囲気下における熱負荷によって結晶化することが好ましいが、加熱処理工程の前に、形成された非晶質の透明導電膜を酸素が存在する雰囲気下で熱処理することにより結晶化させてもよい。これにより、タッチパネル表示装置の製造工程内の加熱処理によって熱負荷を加える前に、前記のスズによる低抵抗化と酸化による高抵抗化をある程度進行させておくことができる。
該熱処理の温度範囲については、下限を非晶質の透明導電膜の結晶化温度とすれば良いが、本発明では、第1の製造方法によって、上限を結晶化温度より100℃高い温度とすればより好ましい。
熱処理温度を、非晶質の透明導電膜の結晶化温度より低くすると、スズのドーピング効果によってキャリア電子が生成して低抵抗化する効果が得られなくなり好ましくない。また、熱処理温度を、非晶質透明導電膜の結晶化温度より100℃高い温度を超えるような高温とすると、加熱処理工程を含めて繰り返し高温で激しく酸化されることになり好ましくない。なお、上限を結晶化温度より100℃高い温度とした理由は、この温度範囲内で、スズのドーピング効果によってキャリア電子が生成して低抵抗化する効果が十分得られるからである。
該熱処理の雰囲気は、酸素が存在する雰囲気が好ましく、大気中が簡便でよい。前記のスズによる低抵抗化と酸化による高抵抗化が相殺され、見かけ上、抵抗変化を小さくすることができるためである。
昇温速度は、特に制限されないが、1℃/分以上とすることが好ましい。結晶化温度より低い温度で酸素が存在する雰囲気に長時間暴露すると、酸化による高抵抗化が進行しすぎてしまうからである。
形成された非晶質の透明導電膜及び該非晶質の透明導電膜を熱処理して結晶化した後の透明導電膜の厚みは特に制限されるわけではなく、5〜20nmであればよい。好ましい厚さは、8〜15nmである。5nm未満の場合、透明導電膜として十分低い表面抵抗が得られず、20nmを超える場合には、透明導電膜としての高い光透過率が維持できなくなる。
本発明において透明導電膜の表面抵抗は、700〜2000Ω/□の範囲であればよく、1000〜1500Ω/□であることが好ましい。この範囲の表面抵抗より高い値、あるいは低い値となった場合には、前記の通り、位置検出用の信号を確実に回路に伝達することができなくなる。
透明導電膜32は、耐熱性の高いことが必要であり、そのために、酸化インジウムを主成分とし、ガリウムおよびスズを含む酸化物でなければならない。その組成は、酸化インジウムを主成分とし、ガリウム含有量が、Ga/(In+Ga+Sn)原子数比で0.03〜0.10であり、スズの含有量が、Sn/(In+Ga+Sn)原子数比で0.05〜0.12であることが好ましく、酸化インジウムを主成分とし、ガリウム含有量が、Ga/(In+Ga+Sn)原子数比で0.05〜0.08であり、スズの含有量が、Sn/(In+Ga+Sn)原子数比で0.07〜0.10であればなお好ましい。上記範囲の組成の透明導電膜は、耐熱性が高いだけでなく、結晶化温度が約190℃であるITOより高く、250℃以上を示す。
透明導電膜32の上に、誘電体層33が形成される。誘電体層は、誘電体からなる光学薄膜であり、静電容量式タッチパネル30において形成される回路の感知レベルに合わせてその種類と厚みを決定すればよい。例えば、厚み50〜100nmの酸化ケイ素薄膜をスパッタリング法などにより透明導電膜32上に形成することが好ましい。
本発明における第2の製造方法は、上記静電容量式タッチパネルの製造方法において、前記非晶質、あるいは形成後に酸素存在雰囲気下で熱処理された結晶質の透明導電膜を、位置検出用部材形成工程において、酸素が存在する雰囲気下、あるいは、大気中で、結晶化温度を下限とし、550℃を上限とする温度範囲で熱処理する。
該熱処理の温度範囲については、熱処理温度を、透明導電膜の結晶化温度より低くすると、スズのドーピング効果によってキャリア電子が生成して低抵抗化する効果が得られなくなり好ましくない。また、熱処理温度を、550℃を超えるような高温とすると、透明導電膜が極めて激しく酸化される結果、上記のスズのドーピング効果による低抵抗化以上に高抵抗化することになり好ましくない。なお、この温度範囲は、透明導電膜が非晶質の場合でも、形成後に酸素存在雰囲気下で熱処理されて結晶質となっている場合でも同様である。
3.液晶表示装置
本発明の液晶表示装置は、上記静電容量式タッチパネルが、液晶表示装置本体の画面上に前記誘電体層が外面となるように搭載されたものである。
次に、静電容量式タッチパネル30を液晶表示装置本体50と組み合わせた例を図4に示す。静電容量式タッチパネル30が、配向膜及び液晶駆動用スイッチング素子からなる液晶51と偏光板52,53を備えた液晶表示装置本体50の画面上に誘電体層33が外面となるように搭載されてなる構成である。
液晶表示装置本体50は、電源が投入されると駆動回路(図示せず)により液晶駆動用スイッチング素子を駆動させ、液晶の配列状態を変化させて文字や画像を表示する。
この際、薄型静電容量式タッチパネル30の四隅の電極にも電圧が印加されており、例えば液晶表示装置本体50の画面に表示された文字や画像から選択すべき項目が位置する誘電体層33上の対応部分を指等でタッチすると、接触部分が容量結合して静電容量が変化するので前記説明した通り、前出の式(4)により位置座標が算出される。ついで、その位置座標を示す信号が制御回路に出力され、制御回路はその座標信号に基づいて液晶表示装置本体50の画面上に表示された文字や画像に対するタッチ箇所を特定することができる。したがって、制御回路はそのタッチ箇所に応じた内容に基づき、文字や画像を液晶表示装置本体50の画面上に表示させたり、あるいはほかの装置に対応する処理を行わせたりすることが可能となる。
なお、液晶表示装置本体50としては、液晶駆動用のスイッチング素子がTFTであるTFT液晶が軽量、低消費電力の点で好適であるが、STN液晶など他方式の液晶であっても本発明に使用することができる。
また、本発明は、前記の通り、透明基板上に、少なくとも透明導電膜と、誘電体層とが積層された構造を有する静電容量式タッチパネルであり、前記透明導電膜が酸化インジウムを主成分とし、ガリウムおよびスズを含む酸化物からなるものであるが、このような透明導電膜は、静電容量式タッチパネルだけでなく、抵抗膜式タッチパネルにも有効に適用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
図3の構成を有する本発明の静電容量式タッチパネルを作製した。透明基板には、酸化ケイ素薄膜を形成した厚さ0.5mmのソーダライムガラス基板(以下、SLG基板)を用意し、アーキング抑制機能のない直流電源を装備した直流マグネトロンスパッタリング装置(アネルバ製)に、酸化インジウムを主成分とし、ガリウム含有量が、Ga/(In+Ga+Sn)原子数比で0.05、スズの含有量が、Sn/(In+Ga+Sn)原子数比で0.09含む酸化物からなるターゲットを設置した。
その後、スパッタリングターゲットの直上、すなわち静止対向位置に基板を配置し、加熱せずに室温で、スパッタリング装置を真空にして、直流電力200Wを印加して直流プラズマを発生させ、スパッタリングを実施し、SLG基板上に、透明導電膜を堆積させた。透明導電膜は、ターゲットと同じく酸化インジウムを主成分とし、ガリウム含有量が、Ga/(In+Ga+Sn)原子数比で0.05、スズの含有量が、Sn/(In+Ga+Sn)原子数比で0.09含む酸化物からなっていた。膜の生成相は、X線回折測定によって調べた結果、非晶質であることが確認された。この透明導電膜の膜厚は12nmであり、表面抵抗は約1000Ω/□であった。続いて、酸化ケイ素薄膜と酸化ニオブ薄膜からなる反射防止膜を形成した。
静電容量式タッチパネルの位置検出用部材形成工程において、大気中で500℃の熱負荷をかけたところ、前記透明導電膜の表面抵抗は1000Ω/□から1300Ω/□に増加したものの、1500Ω/□を超えることはなかった。表面抵抗の増加が大きくなかったため、静電容量式タッチパネルの位置検出用の信号は位置検出回路に確実に伝わり、図4のごとく液晶表示装置本体と組み合わせたところ、その表示には何ら問題がなかった。なお、組み立てた静電容量式タッチパネルを分解して前記の透明導電膜を調べると、熱負荷を掛けたことにより、結晶化していた。
[実施例2]
ターゲットの組成を、酸化インジウムを主成分とし、ガリウム含有量が、Ga/(In+Ga+Sn)原子数比で0.10に変更した以外には、実施例1と同様の工程で図3の構成の静電容量式タッチパネルを作製した。透明導電膜は、ターゲットと同じ組成であり、膜の生成相は、X線回折測定によって調べた結果、非晶質であることが確認された。この透明導電膜の膜厚は15nmであり、表面抵抗は1000Ω/□であった。
静電容量式タッチパネルの位置検出用部材形成工程において、大気中で約500℃の熱負荷を掛けたところ、前記透明導電膜の表面抵抗は、1000Ω/□から1500Ω/□に増加したが、1500Ω/□を超えることはなく、静電容量式タッチパネルの位置検出および液晶表示装置本体の表示には何ら問題がなかった。
[実施例3]
実施例1と同様に、酸化ケイ素薄膜を形成したソーダライムガラス基板(SLG基板)に室温で透明導電膜を形成した。透明導電膜は、酸化インジウムを主成分とし、ガリウム含有量が、Ga/(In+Ga+Sn)原子数比で0.05、スズの含有量が、Sn/(In+Ga+Sn)原子数比で0.09含む酸化物からなる非晶質の透明導電膜であった。この透明導電膜の膜厚は12nmであり、表面抵抗は1000Ω/□であった。
次に、この透明導電膜の結晶化温度330℃より高い温度350℃で大気中の熱処理を実施した。その結果、透明導電膜は結晶化したが、表面抵抗は1200Ω/□に増加した。
その後、静電容量式タッチパネルの位置検出用部材形成工程において、大気中で約500℃の熱負荷をかけたところ、前記の結晶化した透明導電膜の表面抵抗は1200Ω/□から1300Ω/□に増加した。すなわち、表面抵抗は1500Ω/□を超えることはなかった。続いて、酸化ケイ素薄膜と酸化ニオブ薄膜からなる反射防止膜を形成するなどの工程を経て静電容量式タッチパネルを作製したが、位置検出および液晶表示装置本体の表示には何ら問題がなかった。
[実施例4]
ターゲットの組成を、酸化インジウムを主成分とし、ガリウム含有量が、Ga/(In+Ga+Sn)原子数比で0.03、スズの含有量が、Sn/(In+Ga+Sn)原子数比で0.12に変更した以外には、実施例1と同様の工程で図3の構成の静電容量式タッチパネルを作製した。透明導電膜は、ターゲットと同じ組成であり、膜の生成相は、X線回折測定によって調べた結果、非晶質であることが確認された。この透明導電膜の膜厚は13nmであり、表面抵抗は1000Ω/□であった。
静電容量式タッチパネルの位置検出用部材形成工程において、大気中で約550℃の熱負荷を掛けたところ、前記透明導電膜の表面抵抗は、1000Ω/□から1450Ω/□に増加したが、1500Ω/□を超えることはなく、静電容量式タッチパネルの位置検出および液晶表示装置本体の表示には何ら問題がなかった。
[比較例1]
ターゲットをITOに変えて、透明導電膜を基板温度300℃でITO結晶膜を形成した以外には、実施例1と同様の工程で図3の構成の静電容量式タッチパネルを作製した。ITO結晶膜の膜厚は6nmであり、表面抵抗は1000Ω/□であった。
静電容量式タッチパネルの位置検出用部材形成工程において、大気中で約500℃の熱負荷をかけたところ、前記透明導電膜の表面抵抗は、1000Ω/□から3000Ω/□に増加した。すなわち、表面抵抗は1500Ω/□を超えており、ITO結晶膜からなる透明導電膜が高抵抗化したため、静電容量式タッチパネルの位置検出用の信号がうまく伝わらず、液晶表示装置本体の表示に問題が生じることが判明した。
[比較例2]
実施例1と同様のターゲット、すなわち酸化インジウムを主成分とし、ガリウム含有量が、Ga/(In+Ga+Sn)原子数比で0.05、スズの含有量が、Sn/(In+Ga+Sn)原子数比で0.09の組成のものを用い、実施例1と同様の工程で図3の構成の静電容量式タッチパネルを作製した。透明導電膜は、ターゲットと同じ組成であり、膜の生成相は、X線回折測定によって調べた結果、非晶質であることが確認された。この透明導電膜の膜厚は15nmであり、表面抵抗は1000Ω/□であった。
静電容量式タッチパネルの位置検出用部材形成工程において、実施例1とは異なり、大気中で約700℃の熱負荷をかけたところ、前記透明導電膜の表面抵抗は、1000Ω/□から5500Ω/□に増加した。すなわち、表面抵抗は1500Ω/□を超えており、酸化インジウムを主成分とし、ガリウムおよびスズを含有する透明導電膜が高抵抗化したため、静電容量式タッチパネルの位置検出用の信号がうまく伝わらず、液晶表示装置本体の表示に問題が生じることが判明した。
10 抵抗膜式タッチパネル
11、14、21、31 透明基板
12、15 透明導電膜
16 空気層
17 両面粘着テープ
20 静電容量式タッチパネル(従来)
22 透明導電膜(ITO結晶膜)
23、33 誘電体層
24、34 位置検出用配線部並びに位置検出用電極(位置検出用部材)
30 静電容量式タッチパネル(本発明)
32 透明導電膜(酸化インジウムを主成分とし、ガリウムおよびスズを含む酸化物)
50 液晶表示装置本体
51 液晶
52、53 偏光板

Claims (8)

  1. 透明基板上に、少なくとも透明導電膜と、誘電体層とが積層されており、該基板額縁部に少なくとも位置検出用配線部並びに位置検出用電極からなる位置検出用部材が配置された構造を有する静電容量式タッチパネルであって、
    前記透明導電膜は、酸化インジウムを主成分とし、ガリウムおよびスズを含む酸化物からなり、ガリウム含有量が、Ga/(In+Ga+Sn)原子数比で0.03〜0.10、かつスズの含有量が、Sn/(In+Ga+Sn)原子数比で0.05〜0.12であり、しかも、非晶質膜として成膜後、酸素存在雰囲気下、250〜550℃での加熱処理により結晶化し、その表面抵抗が、700〜2000Ω/□の範囲であることを特徴とする静電容量式タッチパネル。
  2. 前記透明導電膜のガリウム含有量が、Ga/(In+Ga+Sn)原子数比で0.05〜0.08であり、かつスズの含有量が、Sn/(In+Ga+Sn)原子数比で0.07〜0.10であることを特徴とする請求項1に記載の静電容量式タッチパネル。
  3. 前記非晶質の透明導電膜が、150℃以下の透明基板上に形成されることを特徴とする請求項1に記載の静電容量式タッチパネル。
  4. 前記透明基板が、アルカリ成分を含むガラス基板であることを特徴とする請求項1に記載の静電容量式タッチパネル。
  5. 前記ガラス基板と透明導電膜の間に、バリア層が挿入されることを特徴とする請求項1に記載の静電容量式タッチパネル。
  6. 前記透明基板の厚さが、0.1〜10mmであることを特徴とする請求項1に記載の静電容量式タッチパネル。
  7. 前記位置検出用配線部並びに位置検出用電極が、AgあるいはAg合金からなることを特徴とする請求項1に記載の静電容量式タッチパネル。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の静電容量式タッチパネルが、液晶表示装置本体の画面上に前記誘電体層が外面となるように搭載されてなる液晶表示装置。
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