JP2004317908A - 携帯式情報表示装置 - Google Patents

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敏治 柳田
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Abstract

【課題】使用者が格好良く身体に装着できるなど、ファッション性に優れた情報表示部を有する携帯式情報表示装置を提供すること。
【解決手段】携帯情報端末装置等の携帯式情報表示装置において、少なくともその情報表示部を被覆し、情報表示部から出射される光量を調節する光量調節部材を設ける。例えば、主としてバックライト1と液晶表示パネル2からなる情報表示部の上部に、光量調節部材としてポリマーネットワーク(PN)型液晶セル4を設ける。液晶表示パネル2は、例えば、平行ニコルの状態に配置された2枚の偏向板21及び25とツイストネマティック液晶層23とを有するノーマリーブラックモードの液晶セルとし、バックライト1の光を有効に利用できるように、バックライト1の光出射側の表面に偏向解消子として偏向解消フィルム11を設ける。光量調節部材として、PN型液晶セル4の代わりに、半透過型反射板(ハーフミラー)を用いてもよい。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、身体に装着する使用法等に適した携帯式情報表示装置、特に携帯情報端末装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
使用者が身体に装着して使用するウエアラブル情報端末装置として、腕時計型情報端末装置、例えば、腕時計型コンピュータ(IBM(International Business Machine)社;商品名 WatchPad、“Linux搭載の腕時計型コンピュータ「WatchPad」”、[online]、平成13年10月11日、ZDNet Japan、[平成13年10月11日検索]、インターネット<URL:http://www.zdnet.co.jp/news/0110/11/linux_watchpad_m.html>)や、腕時計型携帯通信端末装置(カシオ計算機(株);下記、特許文献1参照。)が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−125039号公報(第4頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の腕時計型情報端末装置は、図13に示すように、操作ボタン等が露出し、見た目にいかにも電子機器という感じの厳つい造りになっており、デザインに装身具としてのスマートさが欠けている。そこで本発明者は、操作ボタン等のないタッチ入力式の腕時計型携帯情報端末装置を既に提案した(特願2003−56529号;以下、この出願に関わる発明を先願発明と称する。図11及び12参照。)。この情報端末装置によれば、操作ボタン等が不要になり、入力部のデザインは大幅に改善される。しかし、従来と同様の情報表示部がいかにも情報表示部であるというように露出している外観は、ウエアラブル機器としては今一歩デザイン的に物足りないという感は否めなかった。
【0005】
本発明の目的は、上記のような事情に鑑み、使用者が格好良く身体に装着できるなど、ファッション性に優れた情報表示部を有する携帯式情報表示装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、情報表示部を有する携帯式情報表示装置であって、前記情報表示部からの出射光量を調節するための光量調節部材が、少なくとも前記情報表示部に設けられている携帯式情報表示装置に係わる。
【0007】
本発明によれば、前記情報表示部から出射される光量を調節するための前記光量調節部材が前記情報表示部を被覆して設けられているので、観察者が前記情報表示部から受ける視覚的印象を、前記出射光量の変化によって制御することができる。
【0008】
例えば、前記光量調節部材の光透過率を低下させた場合には、表示データから出射される光量も、背景部における外光の反射又は散乱も共に減少し、前記情報表示部に落ち着いた雰囲気が生み出される。しかも、表示データの輝度は低下するものの、表示データの、背景部で反射又は散乱される外光に対するコントラストは改善され、くっきりとした表示が可能になる。なぜなら、表示データから出射される光は前記光量調節部材を1度通過するだけであるのに対し、外部から入射して背景部において反射又は散乱される外光は、往復で2度前記光量調節部材を通過するので、表示データから出射される光に比べ、より大きく減衰するからである。
【0009】
また、情報表示装置として使用していないときは、前記光量調節部材の遮光作用により前記情報表示部の情報表示部としての機能が隠蔽されるので、単なる装飾材としての性格が相対的に強調され、周囲の環境と調和させるのが容易になる。このような作用は、前記光量調節部材を、例えば支持部と一体化した形状にデザインすること、或いは前記光量調節部材に周囲と調和するカラーリングを施すこと等の手段により、より効果的に発揮させることができ、前記情報表示部が情報表示部であることを感じさせない外観を生じさせることができる。
【0010】
なお、本明細書の携帯式情報表示装置とは、携帯が可能で、少なくとも、自ら情報を生成する機能または外部の情報処理装置と情報を交換する機能と、その情報を表示する機能とを有する装置のことであり、その形態は、腕時計型に限らず、ネックレス、腕輪、指輪やペンダントのように身につけるもの、ワッペンやストラップのように衣服やバッグ等の装身具によって支持されるもの、或いは懐中時計のように独立して携行するものなど様々な形態が可能で、本発明を、携帯式コンピュータ、PDA(携帯情報端末装置)、デジタルカメラ及び携帯電話など前記情報表示部を有するすべての携帯式情報表示装置に適用することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において、前記光量調節部材によって前記出射光量が減少させるのがよく、これにより、前記情報表示部に落ち着いた雰囲気を生じさせることができる。また、情報表示部として用いるときには、コントラストの高い、くっきりとした表示を実現し、情報表示部として用いないときには、情報表示部としての機能を隠蔽して、単なる装飾材として周囲の環境と調和させることができる。
【0012】
具体的な方法としては、前記光量調節部材として、少なくとも、光透過性の対向基板と、この対向面にそれぞれ設けられた光透過性の電極と、前記対向基板間に封入された液晶とによって構成された液晶光学素子を用いるのがよい。これによって、前記情報表示部から出射される光量をすみやか、且つ正確に調節することができるので、観察者が前記情報表示部から受ける視覚的印象をすばやく的確に制御することができる。
【0013】
より具体的には、前記液晶光学素子は、前記液晶としてポリマーネットワーク(PN)型液晶を用い、前記対向基板の間隔が4〜11μmであり、前記液晶光学素子の環境温度を検出する温度検出部と、前記温度検出部により検出された前記環境温度に応じて、前記液晶光学素子を駆動する交流パルスの実効印加電圧を制御するパルス制御部とを備えるPN型液晶素子であるのがよい。
【0014】
前記PN型液晶素子を用いると、次のような利点がある。即ち、偏光板が不要になり、偏光板の使用による透過光量の減少がない。また、配向膜の形成等の液晶分子に対する配向処理は不要であり、配向膜の作製に関わる製造上のトラブルがない。また、液晶分子は、ネットワーク状ポリマーの間で連続層を形成しているため、低い印加電圧による駆動が可能である。そして、上記のように前記対向基板の間隔を適切に選択し、動作環境温度に応じて駆動電圧を最適化することによって、一般的な携帯機器で使われている電源電圧で駆動でき、高速動作する光量調節装置が実現可能となる。
【0015】
また、前記液晶に少なくとも色素を含有させるのがよい。各種色素を適宜用いることによって、種々のカラーバリエーションを実現でき、外装筐体の色調に合わせた高度なカラーデザインを実現できる。
【0016】
また、前記対向基板を、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン及びポリエチレンテレフタラートからなる群から選ばれた少なくとも1種のプラスチック材料からなるフレキシブル基板とするのがよい。これらを用いると、通常のガラス基板で作製した場合に比べて、前記PN型液晶素子の重量をおよそ1/4〜1/5に軽量化することができ、携帯式情報表示装置を軽量化できるとともに、外形を薄型で自在な形状にデザインすることができる。
【0017】
また、前記光量調節部材を光半透過性反射板(ハーフミラー)とするのがよい。これにより、エネルギーを消費せず、簡便、低コストな装置で、本発明の効果を実現することができる。この場合、半透過性反射板を着脱自在にしておき、複数の半透過性反射板の中から状況に応じて、透過光量や色調やデザインの適合するものに付け替え得るようにするのもよい。
【0018】
また、前記情報表示部を構成する液晶表示パネルにおいて、液晶を挟持した対向基板にそれぞれ設ける偏光板のうち、少なくとも一方が反射型偏光板であるのがよい。また、前記液晶表示パネルに対向したバックライトの光出射面が偏光解消子で被覆されているのがよい。反射型偏光板と偏光解消子とを組み合わせて用いると、バックライトの光をより有効に利用することができる。また、反射型偏光板は、金属(アルミや銀等)と同様にブロードな反射特性を示すため、単独で用いても特殊な装飾的効果を期待できる材料である。
【0019】
本発明を適用する前記携帯式情報表示装置は、上述した先願発明に基づいて、前記携帯式情報表示装置の本体の正面又は側面に位置センサーのセンシング部が配置され、
前記センシング部を覆う筐体表面に接触する指の位置と、前記筐体表面における前記指の接触・離間とを前記位置センサーによって検出し、
前記指の位置と前記指の接触・離間操作とに対応する操作信号を、前記携帯情報端末装置のコントローラに供給する
入力装置を備えた携帯式情報表示装置であるのがよい。この装置は、操作ボタン等を有していないので、本発明を最も効果的に適用することができる。
【0020】
また、本発明の携帯式情報表示装置は、携帯情報端末装置として構成されるのがよい。
【0021】
次に、本発明の好ましい実施の形態に基づき携帯情報端末装置を構成した例を、図面参照下に具体的に説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に基づく携帯情報端末装置の情報表示部の構造を示す概略断面図である。情報表示部は、主として、バックライト1と液晶表示パネル2からなり、更に液晶表示パネル2の上を、光量調節部材であるポリマーネットワーク(PN)型液晶セル4が被覆している。液晶表示パネル2は、例えば、平行ニコルの状態に配置された2枚の偏向板21及び25とツイストネマティック液晶層23とを有するノーマリーブラックモードの液晶セルからなる。図1(a)の装置では、後に説明するように、バックライト1の光を有効に利用できるように、バックライト1の光出射側の表面に偏向解消子として偏向解消フィルム11が設けられている。図1(b)の装置は、偏向解消フィルム11が設けられていない点が図1(a)の装置と異なるのみで、他は同じである。
【0023】
図2(a)は、図1(a)に示した携帯情報端末装置の情報表示部の概略斜視図である。図2(b)は、光量調節部材としてポリマーネットワーク(PN)型液晶セル4の代わりに半透過性反射板(ハーフミラー)9を用いた装置の情報表示部の概略斜視図である。半透過性反射板9を用いると、状況に応じて透過光量を調節することはできない反面、エネルギーを消費せずに、簡便で低コストな装置で本発明の効果を実現できる利点がある。図3は、本実施の形態に基づく携帯情報端末装置の外観の1例を示す斜視図である。
【0024】
以下、液晶表示パネル2及びポリマーネットワーク(PN)型液晶セル4について、更に詳述する。
【0025】
液晶表示パネル
図9は、TFT(Thin Film Transistor)によるアクティブマトリックス駆動で動作する液晶表示パネル2の構造を示す概略斜視図(a)と概略断面図(b)とである。
【0026】
図9の液晶セル2では、対向して保持された2枚の透明基板22及び24の間に、液晶層として例えばツイストネマティック(TN)液晶層23が形成され、TN液晶層23はシール材34と図示せぬ封孔材とによって密封されている。一方の基板であるアレイ基板22の対向面上には、画素電極26とTFT27とがマトリックス状に配置され、時系列的に各画素にアクセスするためのソース配線28とゲート配線29とが形成されている。もう一方の基板であるカラーフィルター基板24の対向面上には、ブラックマトリックス30によって仕切られたカラーフィルター31が形成され、その上に共通対向電極32が積層されている。1つの画素が選択されると、その画素の画素電極26と共通対向電極32との間の容量が、表示画像に対応した信号電圧に充電される。この充電電圧は、次にこの画素が選択されるまで保持される。
【0027】
更に、上記の電極等が形成された各透明基板22及び24の対向面上には、液晶分子の配向を所定の方向に揃えるための配向膜33A及び33Bが形成されている。液晶材料としてツイストネマティック(TN)液晶を用いる場合には、対向する配向膜33A及び33Bの配向方位を直交させ、TN液晶のツイスト角を90度に制御する。
【0028】
TN液晶のツイスト角に対応して、各透明基板の外側表面に、偏光板21及び25を貼り付ける。この時、例えば、上記の2枚の偏光板21及び25を透過する光の電場ベクトルの振動方向が平行になる配置(平行ニコルの状態)とし、前記TN液晶層23のツイスト角との組み合わせにより、ノーマリーブラックモードの液晶表示パネルとして機能させる。つまり、TN液晶層に電圧を印加しないか、又は印加する電圧が小さい場合には、バックライト1からの光のうち、偏光板21を通過した直線偏光は、TN液晶層23によって偏光面が90度回転するので偏光板25を通過できず、光は遮断される。他方、十分な大きさの電圧を印加する場合には、液晶分子は基板面に対して垂直に立ち、偏光板21を通過した直線偏光は、偏光方向を変えずに偏光板25に入射するので、光の透過率が大きくなる。また、2枚の偏光板21及び25をクロスニコルの状態に配置して、ノーマリーホワイトモードの液晶表示パネルとして機能させることも可能である。
【0029】
カラーフィルター基板24の外側表面には、例えば二色性物質を一方向に配向させた吸収型偏光板25を設けるのがよい。吸収型偏光板とは、例えば、ヨウ素錯体等の二色性物質を吸着させたポリビニルアルコール(PVA)樹脂等のフィルムを、回転するローラーの間に入れ、加熱しながら一定方向に3〜5倍の長さに延伸して製造される。このように、高分子フィルムを一方向に延伸(一軸延伸)すると、高分子骨格の分子鎖の方向が揃い、それにつられてヨウ素錯体等の二色性物質の配向方向も揃うので、光の吸収に異方性が生じ、吸収型偏光板として機能する。
【0030】
例えば、ヨウ素分子は、電場ベクトルの振動方向がヨウ素分子の長軸方向と同じ光は吸収するが、電場ベクトルの振動方向がヨウ素分子の長軸方向に直交する光は吸収せず、透過させる。従って、二色性物質として細長い形状のヨウ素分子を吸着させた後、一方向に延伸したPVAフィルムを吸収型偏光板25として用いると、電場ベクトルの振動方向が延伸方向と一致する光は吸収されるので、延伸方向に直交する方向に振動方向をもつ光のみが、PVAフィルムを透過する。
【0031】
他方、アレイ基板22の外側表面には、反射型偏光板21を設けるのがよい。反射型偏光板21としては、例えば、3M社製の反射型偏光フィルムD−BEF(商品名)等を好ましく使うことができる。これは、ポリエステル系樹脂の極薄の異方性フィルムを何層も積層した構造体で、可視領域全体で金属(アルミや銀等)と同様にブロードな反射特性を示すため、反射型偏光板21の反射軸の方向と一致する振動方向をもつ光は、ミラー調の鏡面反射が起こる。
【0032】
この場合、図1に示すように、バックライト1から出た光のうち、反射型偏光板21を透過する光をP偏光成分5とすると、電場ベクトルの振動方向がそれと直交するS偏光成分6は、反射型偏光板21で反射される。この際、図1(a)に示すように、バックライト1の上を偏光解消子である偏光解消フィルム11で覆っておくと、反射型偏光板21を透過できなかったS偏光成分6は、バックライト1の上で再反射される際に、偏光解消フィルム11の作用でその一部がP偏光成分7に変換され、これが反射型偏光板21を透過する。
【0033】
このように、反射型偏光板21と偏光解消フィルム11とを組み合わせて用いると、偏光解消フィルム11を設けない図1(b)の場合や通常の吸収型偏光板を用いる場合では利用できないS偏光成分6の一部を利用できるようになり、バックライト1の光を有効に利用できる。この結果、光量調節部材としてPN型液晶セル4や光半透過性反射板9を設けた場合でも、十分な輝度を有する情報表示を実現することができる。
【0034】
図4は、偏光解消フィルム11の1例である位相差板(位相差フィルム)の作用を示す説明図である。例えば、1/4λ位相差板は、直線偏光を楕円偏光に変える作用をもち、特に偏光の振動方向が位相差板の高速軸に45度の角度で入射したときには、直線偏光を円偏光に変える作用をもつ。また、1/2λ位相差板は、偏光の振動方向が位相差板の高速軸にθの角度で入射したときに、偏光の振動方向を2θ回転させる作用をもつ。
【0035】
また、反射型偏光板21の異なる使用法として、反射型偏光板21を液晶表示パネル2の前面に吸収型偏光板25に代えて設ければ、外部光源に対し光沢のある反射特性を示し、外光入射に対して金属光沢(メタリック)調のより強い色調を呈する様に演出することもできる。
【0036】
或いは、カラーフィルター基板24に偏光板25を貼り付ける粘着材の中に、屈折率の異なるビーズを混入して拡散効果を持たせて反射特性を一層強めたり、この粘着材に色素材料を含有させることによっても、液晶情報表示のデザイン性に様々な変化を持たせること等ができる。
【0037】
前記粘着材の中に混入させるビーズや色素等の、光の反射特性や吸収特性に影響を与える部材は、前記光量調節部材と共に用いられるばかりでなく、前記光量調節部材そのものとして単独で用いてもよい。
【0038】
ポリマーネットワーク(PN)型液晶セル
上述の液晶表示パネル2の前面に、光量調節部材として液晶光学素子を配置し、液晶光学素子の液晶材料として、色素を含有するポリマーネットワーク型(PN)型液晶を用いる(図1及び図2(a)参照。)。図5は、PN型液晶セル4の調光動作の原理を示す概略斜視図(左図)と概略断面図(右図)である。
【0039】
PN型液晶セル4は、対向面にそれぞれ透明電極49(概略斜視図では、図示を省略している。)が形成された2枚の透明基板48が、所定の間隔で貼り合わせられた空セルに、液晶材料、モノマーやオリゴマーなどの高分子前駆体、重合開始剤、及び色素を均一に混合した混合物を注入した後、適当な条件(照射光の波長、照射光の強度、温度、時間など)で光照射又は加熱を行い、高分子前駆体を重合させて作製する。
【0040】
上記の均一な混合物中で、重合によって緻密なランダム3次元ネットワーク状のポリマー(網目状に架橋された高分子)43が形成されると、生成したネットワーク状ポリマー43と液晶分子42とが相分離して、液晶42の連続層中にポリマー43が3次元ネットワーク状に配置された構造を有するポリマーネットワーク型液晶層が形成される。
【0041】
駆動電圧をセルに印加していない状態では、図5(a)に示すように、液晶分子42は、ネットワーク状ポリマー43の間で連続層を形成しながら、ネットワーク状ポリマー43のランダムな壁面に対して配列する。この結果、ネットワーク状ポリマー43が光散乱性の境界面を形成し、入射光45はネットワーク状ポリマー43と液晶42との界面で散乱される。
【0042】
これに対して、駆動電圧をセルに印加した状態では、図5(b)に示すように、液晶分子が電界に対して一定の方向に配向するため、液晶分子の向きが揃い、光の進行方向における屈折率が一定になり、入射光45は散乱されることなく透過する。
【0043】
以上のように、PN型液晶セル4による調光動作は、3次元ネットワーク状ポリマー43の隙間に充填された液晶42の配向状態の変化を利用して行なわれるので、次のような特徴を有する。即ち、偏光板が不要になり、偏光板の使用による透過光量の減少がない。また、配向膜の形成等の液晶分子に対する配向処理は不要であり、配向膜の作製に関わる製造上のトラブルがない。また、液晶分子42は、ネットワーク状ポリマー43の間で連続層を形成しているため、低い印加電圧による駆動が可能である。
【0044】
PN型液晶セルによる調光動作は、上述の通りである。本実施の形態では、色素材料を添加しているので、更に、色素材料による光吸収がある。色素材料としては、例えば、二色性を有し、光吸収異方性が正のポジ型染料であるBDH社製のD5(商品名:複数種類のアゾ系色素とアントラキノン系色素との混合物)等を好ましく用いることができる。また、図6に示す様な各種色素を適宜用いることによって、種々のカラーバリエーションを実現でき、外装筐体の色調に合わせた高度なカラーデザインを実現できる。
【0045】
液晶材料としては、通常この技術分野で液晶材料として認識されるものであればよく、単一の液晶性化合物に限らず、2種以上の液晶化合物や液晶化合物以外の物質も含んだ混合物であってよい。
【0046】
液晶材料は、正の誘電率異方性を有するものが好ましい。また、ネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶が好ましく、一軸性のネマチック液晶が特に好ましい。更に、その性能を改善するための物質が適宜含まれていてもよい。
【0047】
高分子前駆体としては、例えば、ラジカル付加重合性のモノマー及び/又はオリゴマー、カチオン付加重合性のモノマー及び/又はオリゴマー、及び開環重合系のモノマー及び/又はオリゴマーなどがよい。所望の大きさの空隙を有する3次元ネットワーク状ポリマーを予め形成し、これを原料に用いて、更に重合させるのもよい。
【0048】
具体的な液晶材料や高分子材料の例については、特開2000−66173号公報等に記載されている。
【0049】
<PN型液晶セルのセルギャップの最適化>
図7は、PN型液晶セルの光透過率とセルギャップ(透明基板間の間隔)の関係を、印加電圧毎に示したものである(液晶素子の環境温度は、25℃である。)。セルギャップが大きくなるほど、最大透過率に到達するのに必要な電圧は上昇する。一方、セルギャップがあまりに小さいと、最低透過率が増加して遮光性能が悪化する。このように、PN型液晶を用いて、その特長を生かした光量調節装置を作製するためには、適切なセルギャップ長の範囲が存在する。
【0050】
具体的には、例えば80%の光透過率を達成できるセルギャップの上限値は、印加電圧が大きいほど大きくなり、印加電圧が1Vのときは約4μm、印加電圧が2Vのときは6μm強、印加電圧が3Vのときは9μm弱、印加電圧が3.3Vのときは約10μmである。逆に、セルギャップを固定すると、印加電圧が大きいほど光透過率は大きくなり、例えば、セルギャップが10μmであれば、印加電圧が2Vのときは15%弱、印加電圧が3Vのときは約75%、印加電圧が3.3Vのときは約80%に達するのに対し、セルギャップが11μmであれば、印加電圧が2Vのときは約5%、印加電圧が3Vのときは約60%、印加電圧が3.3Vのときは72〜73%、印加電圧が4Vのときでも77〜78%にすぎない。
【0051】
このように、セルギャップが大きくなるほど、最大透過率を達成するために必要な印加電圧は上昇する。例えば、調光動作に必要な透過率が70数%であるとすると、セルギャップが11μmより大きい場合には、調光動作に必要な印加電圧は3.3Vをこえ、一般的な民生機器で用いられている電源電圧を上回るので、この駆動パルスを供給するには昇圧回路が必要になる。従って、3.3Vの電源電圧を昇圧せずにそのまま用いて、70数%の透過率を達成できるように、セルギャップは11μm以下であるのが好ましい。
【0052】
一方、セルギャップが小さすぎると、駆動電圧オフの遮光時に、セル内で散乱されずに透過してしまう光の割合が増加して、遮光性能が低下する。図7で印加電圧0Vのグラフがこれに相当する。遮光時の光透過率は、セルギャップが6μmをこえると無視できるほど小さくなるが、4μmを下回ると3〜4%をこえる。従って、十分な遮光性を達成できるように、セルギャップは4μm以上であるのが好ましい。
【0053】
以上のように、セルギャップが11μmをこえると、必要な透過率を達成するための電圧が3.3V以上となり、一般的な携帯機器で使われている電源電圧を昇圧させて使わなければなければならなくなり、他方、セルギャップが4μm未満だと、遮光時の光透過率が上昇してしまい、液晶表示パネルを隠蔽する性能が不充分となる。PN型液晶素子を用いて、その特長を生かした実用的な調光装置を実現するためには、PN型液晶セルの液晶材料を封入する透明基板間の間隔(セルギャップ)を4〜11μm、更には6〜10μmに制御するのが好ましい。
【0054】
<ポリマーネットワーク(PN)型液晶セルの印加電圧の温度依存性>
図8は、携帯情報端末装置の光量調節部材として用いられるPN型液晶セルの光透過率と印加電圧との関係(所謂、V−T特性)を、液晶素子の動作環境温度を変えて比較した1例を示すグラフである(なお、この場合のセルギャップは、10.7±0.1μmである。)。環境温度が40℃から25℃、及び−5℃に低下すると、それにつれてV−T特性が右にシフトし、より高い印加電圧が必要になることがわかる。
【0055】
PN型液晶セルは、液晶配向膜を必要としないため、GHセルとは異なり、過渡応答速度がセルギャップに大きく左右されることはない。しかし、図8に示すように、V−T特性は、環境温度の影響を非常に強く受ける。これは、温度が高いと液晶分子の熱運動が活発であるため、電界に対する応答性もよく、小さな印加電圧で十分であるが、温度が低くなると液晶分子の運動が鈍くなり、電界に対する応答性が低下するので、同じ光透過率を達成するのにより高い印加電圧が必要になるためと考えられる。
【0056】
従って、このような温度特性を考慮して、常にPN型液晶素子の環境温度をモニターして、検出した環境温度に応じて、液晶セルを駆動する実効的印加電圧を最適に制御することによって、環境温度が変化しても安定した調光性能を発揮する調光装置を実現できる。
【0057】
上述のように、液晶表示パネル2の前面に、光量調節部材としてPN型液晶セル4を用い、セルギャップを4〜11μmとし、且つPN型液晶セルの動作環境温度に応じて、セルに印加する実効駆動電圧を最適化することによって、一般的な携帯機器で使われている電源電圧で駆動でき、高速動作する光量調節装置が実現可能となる。
【0058】
このPN型液晶セル4で被覆された液晶表示パネル2は、例えば、外装筐体と同色に近づけた、金属光沢を有するミラー調の薄型のデザインとすることができ、不使用時の液晶表示パネル2を遮蔽した状態では、情報表示部と外装筐体とが境界無く一体化され、携帯情報端末装置であることを感じさせないほど、身体に装着する装身具としてのファッション性を高めることができる。
【0059】
また、PN型液晶セル4の透明基板として、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルスルホン(PES)又はポリエチレンテレフタラート(PET)等のプラスチックフィルムからなるフレキシブル基板を用いることができる。これらを用いると、通常のガラス基板で作製した場合に比べて、セル4の重量をおよそ1/4〜1/5に軽量化することができ、携帯情報端末装置を軽量化できるとともに、外形を薄型で自在な形状にデザインすることができる。
【0060】
また、少し変わった応用例として、PN型液晶セルを複数のブロックに分割し、明暗、濃淡及び色調等に変化を持たせるのもよく、例えば全体を6つ程度の帯状のブロックに分割し、左から右へ順次色相が変わっていくようにして、装飾材的な側面を強調することもできる。
【0061】
半透過性反射板(ハーフミラー)
既に図2(b)を用いて説明したように、光量調節部材としてPN型液晶セル4の代わりに、約半分の光を反射し、残り半分を透過する半透過性反射板(ハーフミラー)9を用いることができ、エネルギーを消費せず、簡便、低コストな装置で、本発明の効果を実現することができる。この場合、黒色系の外装筐体を用いれば、一体感のある外装筐体から、液晶表示を浮かび上がらせる様な印象での表示も可能となる
【0062】
この場合、半透過板の反射率と透過率の割合は、反射膜として使われる銀等の膜厚を制御することで、変更可能である。また、半透過板として、金属反射膜を使う代わりに、反射型偏光板、またはコレステリック液晶フィルムと1/4λ板との複合膜、または薄膜を積層した多層構造の選択反射膜等も使うことができる。
【0063】
しかしながら、半透過性反射板(ハーフミラー)方式には、状況に応じて透過光量や色調やデザインを調節することはできないという難点がある。例えば、ハーフミラーは、常に透過光が半減するため、全体的に暗めの情報表示となる点は避けられない。この対策として、半透過性反射板(ハーフミラー)を着脱自在にして取り替え可能とすることが考えられる。例えば、光透過率が80%、50%、及び20%のものを用意しておき、状況に応じて付け替えればよい。
【0064】
また、光半透過性反射板の代わりに偏光板を用いることもできる。この際、この偏光板を偏光板25とクロスニコルの状態で設置すれば、この偏光板が透過させる光の振動方向と、液晶表示パネル2から偏光板25を透過して出射される光の振動方向とは直交するので、液晶表示パネル2から出射される光は、この偏光板をほとんど透過できない。他方、この偏光板を偏光板25と平行ニコルの状態で設置すれば、この偏光板が透過させる光の振動方向と、偏光板25を透過して出射される光の振動方向とが一致するので、最大の光透過率が得られる。このように、光量調節部材として設ける偏光板の方向を制御することによって、液晶表示パネル2から出射される光量を制御することができる。
【0065】
携帯情報端末装置及びその入力部
次に、本実施の形態の携帯情報端末装置の入力部及びその操作方法について説明する。
【0066】
図10は、本実施の形態の携帯情報端末装置の正面図である。この携帯情報端末装置は、本体51と、この本体51の上端部及び下端部に留められたリストバンド52とを備える。電源としての電池は、本体51内またはリストバンド52内に収納される。
【0067】
本体51の略中央には、情報表示部、例えば液晶ディスプレイ等の情報表示部53が配置されている。情報表示部53は、有機EL(Electro−Luminescence)素子を用いるものであってもよい。そして、本体51の右上部には、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子とレンズとからなるカメラ部54が設けられている。本体51の筐体は、セラミック又はプラスチック等の非導電性材料からなる。
【0068】
本体51の情報表示部53の周囲の正面、又は本体51の上、下、左又は右側面の筐体表面がユーザの情報入力面である。本実施の形態においては、本体51の向かって右側の側面を入力装置の情報入力面55とする。後述するように、情報入力面55である右側面筐体の内側には指位置センサー60、例えば、静電容量の変化を検知する静電センサー(以下、適宜センサー60と略称する。)が設けられている。
【0069】
図10(b)に示すように、ユーザの指、例えば人差し指の指先56を情報入力面55に接触させながら図の上下方向に移動させることで、スクロール入力が行われる。後述するように、指先56の位置が内側の静電センサー60によって検知され、それに応じて情報表示部53に示されるメニュー等の切り換えが行われたり、画面上のカーソルの選択位置が上下されたりする。
【0070】
また、図10(c)に示すように、情報入力面55を同図の上下方向で3分割したタップ領域、U領域56、C領域57及びL領域58が規定される。これらのタップ領域を上タップ領域U、中タップ領域C、下タップ領域Lと呼ぶことにする。各タップ領域を1回軽く打つことによって、指先56の離間・接触がセンサー60によって検知され、タップ動作が認識される。タップ動作は、選択されている位置のメニューの決定、或いはシャッター動作等の実行の意味を有し、タップ位置の相違がセンサー60によって検出可能である。また、短時間で2回のタップを行うことをタップ動作と定義してもよい。
【0071】
図11(a)は、本体51の裏側の筐体を取り外した状態の概略平面図である。本体51の箱型の収納部には、情報表示部53、カメラ部54、図示しない信号処理用のICが実装された回路基板等が収納されると共に、情報入力面55の側面に沿ってセンサー60のセンシング部64が配置されている。裏側の筐体と回路基板(図示しない)との間の隙間にセンサー60が取り付けられる。センサー60は、軽量且つ薄型のフィルム状であるので、例えば両面接着テープにより取り付けることができる。
【0072】
図11(b)を参照しながらセンサー60の1例について説明する。センサー60は、図11(b)に示すように、基部61と、基部61から延長する帯状部62とがポリイミド等からなるフレキシブル配線基板によって一体として構成されている。図11(b)は、操作面から見た図であって、反対側の面が部品面とされている。
【0073】
基部61の部品面に信号処理用IC、水晶発振器、抵抗、コンデンサ等のチップ部品が実装されている。帯状部62の部品面に電極パターンが形成される。例えばICがASIC(Application Specific Integrated Circuit)とされ、ベアチップを使用したフリップチップ実装を行うことによって、センサー60の小型化と薄型化が実現されている。
【0074】
帯状部62の略中央位置に本体51の上下方向の湾曲に沿った線上に多数の小穴63が形成されている。小穴63によって、図11(c)に示すように、小穴63の形成されている線に沿って帯状部62を部品両面にほぼ直角に折り曲げることが容易とされている。小穴に代えてスリット、溝等を設けて折り曲げを容易としてもよい。さらに、フレキシブルな特性を利用して本体51内に丸めて収納するようにしてもよい。
【0075】
帯状部62の基部61から離れた側の折り曲げ部がセンシング部64である。センシング部64の部品面には、図11(d)に拡大して示すように、櫛歯状に電極が形成されている。すなわち、共通電極65がセンシング部64の延長方向に一定の間隔で形成され、2つの共通電極の間の中央に位置するように、検出電極66a、66b、・・・・が形成されている。センシング部64は、帯状部62の延長方向の位置を検知する1次元位置センサーとして構成されている。
【0076】
図11(a)に示すように、センサー60は本体51内に収納され、センシング部64が本体51の側面の情報入力面55と対向される。情報入力面55とセンシング部64の間に筐体が介在するが、筐体の厚みが1mm程度であるので、情報入力面55上の指先56の位置、並びに指先56のタップ動作をセンサー60が検知することができる。
【0077】
センサー60のセンシング部64は、検出電極66a、66b、・・・・と共通電極65との間に静電容量が形成され、この静電容量が指先56の接近によって変化することを検出して、指先56の1次元方向の座標位置を検出するように構成されている。すなわち、指先56が導電性を有しているので、電極間で発生する電気力線が指先56で吸収され、その結果、静電容量が変化する。したがって、金属物等を手に持って操作した場合のように、指以外の物で操作面上に部分的に容量変化を起こした場合でも、同様に位置検出が可能であるが、導電性のない物(爪、ペン等)では、位置検出が行われない。このようなセンサー60は、ノート型パーソナルコンピュータで使用されている2次元のポインティングデバイス(タッチパッドまたはトラックパッドと称される)と同様の動作原理のものである。
【0078】
図12は、この発明の一実施形態による情報端末装置のシステム構成の一例を示す。図12に示すように、この情報端末装置は、装置全体を制御するCPU(Central Processing Unit)71を有する。CPU71は、プログラムに基づき、各部を制御する。
【0079】
CPU71に対して、入力部(指位置センサーなど)60、情報表示部53、光量調節部77、及びカメラ部75が接続されている。情報表示部53には、情報端末装置を制御するためのメニューが表示され、また、カメラ部75によって撮影された画像が表示可能とされている。光量調節部77は、PN型液晶セル4やその駆動装置からなり、PN型液晶セル4の温度センサー78の温度情報がCPU71に入力され、それに応じた駆動信号等がCPU71から光量調節部77に出力される。更に、CPU71に対してプログラム格納用および作業用のメモリ72、外部ストレージ73および無線通信部74が接続される。外部ストレージ73は、例えばリムーバブルなメモリカードである。
【0080】
無線通信部74は、Bluetooth方式、IrDA(Infrared Data Association)方式等の近距離通信、無線LAN(Local Area Network)の通信、PHS(Personal Handyphone System)等の公衆無線を行うための装置である。情報端末装置に対して例えばIPアドレスが割り当てられている。無線通信部74によって、他のパーソナルコンピュータと通信したり、屋外のアクセスポイントとの通信が可能とされ、コマンド、データ等を無線通信で送受信できる。なお、参照符号76は、バッテリー、安定化回路等からなる電源部である。
【0081】
図10(b)及び(c)を用いて、情報端末装置の操作方法を説明する。この情報端末装置の操作は、スクロール及びタップの動作によって行われる。スクロールは、図10(b)に示すように、情報端末装置の本体51の側面の情報入力面55を上方向あるいは下方向に指先でなぞる操作である。なお、以下では、情報入力面55を下方向になぞる操作を下スクロールと称し、情報入力面55を上方向になぞる操作を上スクロールと称する。タップは、情報入力面55を軽く叩く操作であり、操作位置に応じて異なるタップとして認識される。ここでは、図10(c)に示すように、タップする領域の違い、図の上から下に向かってU領域56、C領域57、及びL領域58に対応して、上タップU、中タップC、及び下タップLが規定されている。
【0082】
実際の操作は次のようになる。本実施の形態の情報端末装置では、例えば、カメラモード、スケジューラモード、電子メールモード等の複数の動作モードが可能とされている。情報入力面55を指先で上下になぞるスクロール入力を行うと、カメラモード表示、スケジューラモード表示、電子メールモード表示等のモード表示画面が次々に切り換えられる。ユーザ所望のモード表示の状態で中タップをタップする。それによってモード選択が実行され、画面には選択されたモードのメニューが表示される。例えばカメラモードでは、撮影メニュー、再生メニュー、消去メニュー、及び戻りのメニューがある。これらのメニューを再びスクロールで選択し、タップで実行する。
【0083】
本実施の形態によれば、このようにスクロール操作による選択とタップ操作による決定又は実行の繰り返しで、小さな操作ボタン等を押すことなく、情報端末装置を操作することができる。その結果、操作ボタン等が不要になり、入力部のデザインは大幅に改善される。しかも、情報表示部が光量調節部材によって被覆されているので、従来のような厳つい機械的な雰囲気の外観を呈すること無く、装身具としてのデザイン性やファッション性にも優れた携帯情報端末装置を提供することが可能となる。
【0084】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではなく、サンプル構造や使用材料、携帯式情報表示装置の形態等、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜選択可能であることは言うまでもない。
【0085】
例えば、前記実施例では、液晶表示パネルの前面に吸収型偏光板を設け、背面に反射型偏光板を設けた例を示したが、逆に、前面に反射型偏光板を設け、背面に吸収型偏光板を設けたり、前面と背面との両方に反射型偏光板を用いることも可能である。
【0086】
【発明の作用効果】
本発明によれば、情報表示部から出射される光量を調節するための光量調節部材が情報表示部を被覆して設けられているので、観察者が情報表示部から受ける視覚的印象を、出射光量の変化によって制御することができる。
【0087】
例えば、光量調節部材の光透過率を低下させた場合には、表示データから出射される光量も、背景部における外光の反射又は散乱も共に減少し、情報表示部に落ち着いた雰囲気が生み出される。しかも、表示データの輝度は低下するものの、表示データの、背景部で反射又は散乱される外光に対するコントラストは改善され、くっきりとした表示が可能になる。なぜなら、表示データから出射される光は光量調節部材を1度通過するだけであるのに対し、外部から入射して背景部において反射又は散乱される外光は、往復で2度光量調節部材を通過するので、表示データから出射される光に比べ、より大きく減衰するからである。
【0088】
また、情報表示装置として使用していないときは、光量調節部材の遮光作用により情報表示部の情報表示部としての機能が隠蔽されるので、単なる装飾材としての性格が相対的に強調される。このような作用は、光量調節部材を、例えば支持部と一体化した形状にデザインすること、或いは光量調節部材に周囲と調和するカラーリングを施すこと等の手段により、より効果的に発揮させることができ、情報表示部が情報表示部であることを忘れさせる外観を生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施の形態に基づく携帯情報端末装置の情報表示部の構造を示す概略断面図である。
【図2】同、携帯情報端末装置の情報表示部の構造を示す概略斜視図である。
【図3】同、携帯情報端末装置の外観の1例を示す斜視図である。
【図4】同、偏光解消子の1例である位相差板の作用を示す説明図である。
【図5】同、携帯情報端末装置の光量調節部材として用いられるPN型液晶セルの調光動作の原理を説明する概略斜視図と概略断面図である。
【図6】同、携帯情報端末装置の光量調節部材として用いられるPN型液晶セルの光透過率とセルギャップとの関係を、駆動印加電圧を変えて比較した1例を示すグラフである。
【図7】同、携帯情報端末装置の光量調節部材として用いられるPN型液晶セルの光透過率とセル印加電圧との関係(V−T特性)を、液晶素子の動作環境温度を変えて比較した1例を示すグラフである。
【図8】同、携帯情報端末装置の光量調節部材として用いられるPN型液晶セルに含有させるのに適した色素材料の1例を示す図である。
【図9】同、携帯情報端末装置の液晶表示パネルの構造を示す概略斜視図(a)と概略断面図(b)である。
【図10】同、携帯情報端末装置の操作方法を説明する正面図である。
【図11】同、携帯情報端末装置の裏蓋を外した状態の背面図(a)と、指位置センサーの1例を示す展開図(b)、斜視図(c)及び部分拡大図(d)とである。
【図12】同、携帯情報端末装置のブロック図の一例である。
【図13】同、従来の腕時計型情報端末装置の例を示す外観図である。
【符号の説明】
1…バックライト、2…液晶表示パネル、
4…ポリマーネットワーク(PN)型液晶セル、
5…バックライトから出射されたP偏光成分、
6…バックライトから出射されたS偏光成分、
7…偏光解消フィルム11での反射で生じたP偏光成分、
8…S偏光成分のまま反射された光、9…半透過性反射板(ハーフミラー)、
11…偏向解消フィルム、21…反射型偏向板、22…アレイ基板、
23…ツイストネマティック液晶層、24…カラーフィルター基板、
25…吸収型偏向板、26…画素電極、27…TFT、28…ソース配線、
29…ゲート配線、30…ブラックマトリックス、31…カラーフィルター、
32…共通対向電極、33A、33B…配向膜、34…シール材、
41…PN型液晶セル、42…液晶分子、
43…3次元ネットワーク状ポリマー、44…ポリマーネットワーク型液晶、
45…入射光、46…散乱光、47…透過光、48…透明基板、
49…透明電極、51…携帯情報端末装置本体、52…リストバンド、
53…情報表示部、54…カメラ部、55…情報入力面、56…指先、
57…U領域、58…C領域、59…L領域、60…指位置センサー、
61…基部、62…帯状部、63…小穴、64…センシング部、
65…共通電極、66a、66b…検出電極、71…CPU、72…メモリ、
73…外部ストレージ、74…無線通信部、75…カメラ部、76…電源部、
77…光量調節部、78…温度センサー

Claims (14)

  1. 情報表示部を有する携帯式情報表示装置であって、前記情報表示部からの出射光量を調節するための光量調節部材が、少なくとも前記情報表示部に設けられている、携帯式情報表示装置。
  2. 前記光量調節部材によって前記出射光量が減少する、請求項1に記載した携帯式情報表示装置。
  3. 前記光量調節部材が、少なくとも、光透過性の対向基板と、この対向面にそれぞれ設けられた光透過性の電極と、前記対向基板間に封入された液晶とによって構成された液晶光学素子からなる、請求項1に記載した携帯式情報表示装置。
  4. 前記液晶がポリマーネットワーク型液晶である、請求項3に記載した携帯式情報表示装置。
  5. 前記液晶に少なくとも色素が含有されている、請求項3又は4に記載した携帯式情報表示装置。
  6. 前記対向基板の間隔が4〜11μmである、請求項4に記載した携帯式情報表示装置。
  7. 前記対向基板が、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン及びポリエチレンテレフタラートからなる群から選ばれた少なくとも1種のプラスチック材料からなるフレキシブル基板である、請求項4に記載した携帯式情報表示装置。
  8. 前記液晶光学素子の環境温度を検出する温度検出部と、前記温度検出部により検出された前記環境温度に応じて、前記液晶光学素子を駆動する交流パルスの実効印加電圧を制御するパルス制御部とを備える、請求項4に記載した携帯式情報表示装置。
  9. 前記光量調節部材が光半透過性反射板である、請求項1に記載した携帯式情報表示装置。
  10. 前記情報表示部を構成する液晶表示パネルにおいて、液晶を挟持した対向基板にそれぞれ設ける偏光板のうち、少なくとも一方が反射型偏光板である、請求項1に記載した携帯式情報表示装置。
  11. 前記液晶表示パネルに対向したバックライトの光出射面が偏光解消子で被覆されている、請求項10に記載した携帯式情報表示装置。
  12. 前記液晶表示パネルにおいて、少なくともバックライト側の光入射面に前記反射型偏光板が設けられている、請求項10又は11に記載した携帯式情報表示装置。
  13. 前記携帯式情報表示装置の本体の正面又は側面に位置センサーのセンシング部が配置され、
    前記センシング部における指の位置と、前記センシング部に対する前記指の距離とを前記位置センサーによって検出し、
    前記センシング部での指の位置と距離とに対応する操作信号を、前記携帯情報端末装置のコントローラに供給する
    入力装置を備えた、請求項1に記載した携帯式情報表示装置。
  14. 携帯情報端末装置として構成された、請求項1に記載した携帯式情報表示装置。
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