JP2004317761A - 複合型波長板 - Google Patents

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Abstract

【課題】発散光が入射する複合型波長板が有する所望の位相差に更に位相のズレが発生するために、発散光を直に複合型波長板入射させた場合において、入射角度依存性による位相ズレの問題を解決することを目的とする。
【解決手段】2枚の波長板を貼り合せて構成した複合型波長板であって、第1の波長板のポアンカレ球表示における入射偏波面を基準とした光学軸方位角をθ1とし、第2の波長板のポアンカレ球表示における入射偏波面を基準とした光学軸方位角をθ2とし、第1の波長板のポアンカレ球表示における回転軸R1を中心にした位相回転をΓ1とし、第2の波長板のポアンカレ球表示における回転軸R2を中心にした位相回転をΓ2としたとき、
θ2−θ1≠π/2
であって、且つ、前記複合型波長板の位相差ΓTが、
ΓT=(2×θ1−π/2)cosΓ1+(2×θ2−π)cosΓ2
を満足するように各パラメータを設定する。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CDやDVD等のディスク状記録媒体に光スポットを投影して記録媒体に対する情報の記録再生を行う光学ヘッド等の光学装置に用いられる波長板に関し、特に波長板へ入射する発散光に対する入射角度依存性を改善した波長板、及び該波長板を用いた光学ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザー光を用いてCDやDVD等のディスク状記録媒体上に情報の記録、再生を行う光ディスク記録再生装置は、レーザー光源から出射されたレーザー光のスポットを記録媒体の記録面に投影して記録、再生を行うための光ヘッド装置を備えている。
【0003】
光ヘッド装置は、レーザー光源の発光素子としての半導体レーザー素子(レーザダイオード:以下、LDと称す)と受光素子としての光検出器(フォトダイオード:以下、PDと称す)とを備えていることは周知の通りであるが、LDを駆動する際には、LDから出射するレーザ光の出力を一定に保つために、レーザ光の一部をモニター用の光検出器で受光し、APC(Auto Power Control)回路で制御する必要がある。
【0004】
ここで、従来の光ディスクの読み取り専用の光ヘッド装置では、LDの後端面から出射する出力光をモニターする構成が一般的であったが、より厳密なレーザー光の制御を必要とする記録型の光ヘッド装置では、バックトークノイズの影響を受けないように、且つレーザー光の強度を極めて安定して出射するために、前方出射光の一部を用いてモニターして、そのモニター出力をLDの駆動回路へフィードバックしてレーザー光の強度を制御する、所謂フロントモニター方式が採用されている。
【0005】
フロントモニター方式としては、特開2000−348371号公報等にも記載されているように、図7に示す如くLD1からS偏光として出射した発散光2がコリメートレンズ(シリンドリカルレンズ)で平行光となって、複合型波長板2へ入射すると楕円偏光として該複合型波長板2から出射してビームスプリッタ(以下、PBSと称す)3に入射し、反射面4でS偏光成分が反射し対物レンズで集光されて光ディスクのピットへ到り、P偏光成分は前記反射面4で透過して集光レンズ5を介してフロントモニターの受光素子6で検出されてLD1から出射するレーザー光を制御する方法が一般的である。ここで、フロントモニターで検出するレーザー光の光量は、前記PBS3の反射面を透過する透過率を約10%に調整しているのが一般的である。
【0006】
しかし、前述した図7の如き光ヘッド装置の構成では、LD1からフロントモニターの受光素子6へ到る距離が長くなり光ヘッド装置の小型化への障害となっていた。
LDからフロントモニターへ到る距離を如何に短縮化するかという課題に直面した本願発明者は、LDと波長板との間に配置されたコリメートレンズ、及びPBSとフロントモニターとの間に配置された集光レンズを省いた構造、即ち以下に示すような光ヘッド装置のレイアウトに思い至った。
【0007】
図8に示す如くLDからP偏光として出射した発散光は、入射光に対して37°位相をずらして出射させる複合型波長板2へ入射すると楕円偏光となって該波長板を出射してPBSへ到り、該PBSの反射面で楕円偏光のS偏光成分は反射してコリメートレンズと対物レンズを通過してディスクのピットへ到り、P偏光成分は前記反射面4で透過して集光レンズ5を介してフロントモニターの受光素子6で検出される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図9(a)に示す如く前記複合型波長板2は、図9(b)に示すように発散光の入射する方向から順に第1の波長板、第2の波長板として夫々の光学軸が直交するよう積層されているので、図10に示す如くLD1から出射する直線偏光の発散光が前記複合型波長板2へ入射すると、図11に示すように第1波長板の光学軸方向と入射角度との関係による光学作用によってP偏光の透過率が大きく変動するが判明した。
図12は、この複合型波長板の光学作用についてポアンカレ球を用いて説明する。周知の通り、ポアンカレ球とは球状の点によって光線の偏光状態を表すものである。
赤道上のS1軸から直線偏光が入射すると第1波長板の回転軸R1をΓ1回転し、更に第2波長板の回転軸R2を逆方向にΓ2回転して楕円偏光となって出射する。
したがって、複合型波長板が有する所望の位相差に更に位相のズレが発生するために、発散光を直に複合型波長板入射させた場合において、入射角度依存性による位相ズレの問題がクローズアップされた。
【0009】
そこで、本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであって、入射角度依存性を大幅に改善した複合型波長板を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、2枚の波長板を貼り合せて構成した複合型波長板であって、第1の波長板のポアンカレ球表示における入射偏波面を基準とした光学軸方位角をθ1とし、第2の波長板のポアンカレ球表示における入射偏波面を基準とした光学軸方位角をθ2とし、第1の波長板のポアンカレ球表示における回転軸R1を中心にした位相回転をΓ1とし、第2の波長板のポアンカレ球表示における回転軸R2を中心にした位相回転をΓ2としたとき、
θ2−θ1≠π/2
であって、且つ、前記複合型波長板の位相差ΓTが、
ΓT=(2×θ1−π/2)cosΓ1+(2×θ2−π)cosΓ2
を満足していることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示した実施の形態に基づいて詳細に説明する。
本願発明者は、様々なシミュレーションと実験から得られたデータに基づいて推考を重ねた結果、積層する波長板の光学軸を直交しないように積層し且つ夫々の波長板の光学軸と発散光の入射角度との関係から生じる位相差を相殺するように、前記各々の波長板の位相回転角(位相差)と入射偏波面を基準とした光学軸方位角(以下、方位角と称す)とを設定すれば、複合型波長板に発散光が入射しても所望の位相差から更に位相がずれるという問題が生じない複合型波長板を実現できるとに思い到った。
【0012】
図1は本発明に係る第1の実施形態の複合型波長板の構成を示す図であって、図1(a)は複合型波長板を入射方向から見た平面図、図1(b)は積層する第1、第2の波長の各々の方位角と位相差を示す表である。図2は、前記複合型波長板の入射角度依存性を示すグラフであって、発散光の入射角度に対するP偏光の透過率のバラツキが従来に比べて大幅に改善されたことが確認できる。
【0013】
図3は本発明に係る第2の実施形態の複合型波長板の構成を示す図であって、図3(a)は複合型波長板を入射方向から見た平面図、図3(b)は積層する第1、第2の波長の各々の方位角と位相差を示す表である。図4は、前記複合型波長板の入射角度依存性を示すグラフであって、発散光の入射角度に対するP偏光の透過率のバラツキが従来に比べて大幅に改善されたことが確認できる。
【0014】
前述した本発明に係る第1、第2の実施例で示した複合型波長板は以下の条件式に基づく数値計算により算出されることに本願発明者は想到したのである。
【0015】
次に、本発明に係る複合型波長板の光学作用についてポアンカレ球を用いて説明する。
2枚の波長板を貼り合せて構成する複合型波長板において、図5に示す如く第1の波長板のポアンカレ球表示における入射偏波面を基準とした光学軸方位角をθ1とし、第2の波長板のポアンカレ球表示における入射偏波面を基準とした光学軸方位角をθ2とし、図6に示す如く第1の波長板のポアンカレ球表示における回転軸R1を中心にした位相回転をΓ1とし、第2の波長板のポアンカレ球表示における回転軸R2を中心にした位相回転をΓ2としたとき、
θ2−θ1≠π/2
であって、且つ、前記複合型波長板の位相差ΓTが、
ΓT=(2×θ1−π/2)cosΓ1+(2×θ2−π)cosΓ2
を満足するよう各パラメータを設定すれば入射角度依存性を大幅に改善することが可能となるのである。尚、図6はポアンカレ球を北極S3から投影した図である。
【0016】
赤道上のS1軸の点Hから直線偏光が入射すると第1波長板の回転軸R1をΓ1回転してポアンカレ球表面上の点Iに移動し、第2波長板の回転軸R2をΓ2回転してポアンカレ球表面上の点Jに到達し、楕円偏光となって出射する。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば以下のような優れた効果が得られる。
請求項1の発明は、2枚の波長板を貼り合せて構成する複合型波長板において、第1の波長板のポアンカレ球表示における入射偏波面を基準とした光学軸方位角をθ1とし、第2の波長板のポアンカレ球表示における入射偏波面を基準とした光学軸方位角をθ2とし、第1の波長板のポアンカレ球表示における回転軸R1を中心にした位相回転をΓ1とし、第2の波長板のポアンカレ球表示における回転軸R2を中心にした位相回転をΓ2としたとき、
θ2−θ1≠π/2
であって、且つ、前記複合型波長板の位相差ΓTが、
ΓT=(2×θ1−π/2)cosΓ1+(2×θ2−π)cosΓ2
を満足するよう各パラメータを設定したので、入射角度依存性を大幅に改善できるという優れた効果を奏する。
更に、本発明に係る複合型波長板を光ヘッド装置に採用すれば、部品点数を減らすことができるので光ヘッド装置を小型化できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施例を示す複合型波長板であって、(a)は平面図、(b)はそのパラメータを示す表である。
【図2】本発明に係る第1の実施例を示す複合型波長板の入射角度依存性を示す図である。
【図3】本発明に係る第2の実施例を示す複合型波長板であって、(a)は平面図、(b)はそのパラメータを示す表である。
【図4】本発明に係る第2の実施例を示す複合型波長板の入射角度依存性を示す図である。
【図5】本発明に係る複合型波長板の平面図である。
【図6】本発明に係る複合型波長板の光学作用を示すポアンカレ球である。
【図7】従来の光ヘッド装置を示す構成図である。
【図8】光ヘッド装置を示す構成図である。
【図9】従来の複合型波長板であって、(a)は平面図、(b)は積層する波長板の斜視図である。
【図10】従来の複合型波長板へ入射する発散光の入射角度と光軸との関係を示す平面図である。
【図11】従来の複合型波長板の入射角度依存性を示す図である。
【図12】従来の複合型波長板の光学作用を示すポアンカレ球である。
【符合の説明】
1 発光素子
2 波長板
3 PBS
4 反射面
5 集光レンズ
6 受光素子

Claims (1)

  1. 2枚の波長板を貼り合せて構成した複合型波長板であって、
    第1の波長板のポアンカレ球表示における入射偏波面を基準とした光学軸方位角をθ1とし、
    第2の波長板のポアンカレ球表示における入射偏波面を基準とした光学軸方位角をθ2とし、
    第1の波長板のポアンカレ球表示における回転軸R1を中心にした位相回転をΓ1とし、
    第2の波長板のポアンカレ球表示における回転軸R2を中心にした位相回転をΓ2としたとき、
    θ2−θ1≠π/2
    であって、
    且つ、前記複合型波長板の位相差ΓTが、
    ΓT=(2×θ1−π/2)cosΓ1+(2×θ2−π)cosΓ2
    を満足していることを特徴とする複合型波長板。
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