JP2004317753A - 光導波路およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い波長選択比を有する光導波路を、回折格子のアスペクト比を高くすることなく簡便な手法で提供する。
【解決手段】コア層の上部に回折格子形状の表面凹凸周期構造を有したリッジ型光導波路であり、前記コア層1の側面4やそれを取り囲む周囲のクラッド層2a,2bにも前記凹凸周期構造と同期した凹凸周期構造を形成することで、光結合係数を向上し高い波長選択比を有する光導波路を実現する。また回折格子となる凹凸周期構造を一様に面内に形成した後にリッジ形状を作製することで、前記同期した凹凸周期構造の形成を容易に実現し、簡便な手法で高い波長選択比を有する光導波路を提供することが可能となる。
【選択図】図1
【解決手段】コア層の上部に回折格子形状の表面凹凸周期構造を有したリッジ型光導波路であり、前記コア層1の側面4やそれを取り囲む周囲のクラッド層2a,2bにも前記凹凸周期構造と同期した凹凸周期構造を形成することで、光結合係数を向上し高い波長選択比を有する光導波路を実現する。また回折格子となる凹凸周期構造を一様に面内に形成した後にリッジ形状を作製することで、前記同期した凹凸周期構造の形成を容易に実現し、簡便な手法で高い波長選択比を有する光導波路を提供することが可能となる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、光通信システム、光計測機器などに用いられる光学デバイス、とくに光導波路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、インターネットの急速な普及により、光ファイバー通信網の容量増大が強く求められており、その手段としてWDM(波長多重)通信の開発が急速に進められている。WDM通信においては、わずかな波長差の光が個別の情報を伝達することから、波長選択性の良い波長合分波器が必要とされる。このような波長合分波器には、多層膜フィルター型、ファイバー・ブラッグ・グレーティング型、光導波路型など様々な波長合分波方式があり、特に光導波路型はデバイスの小型化が可能なことから注目されている。
【0003】
現在用いられている光導波路型の波長合分波器の一つとして、凸凹形状のレリーフ型回折格子を有したリッジ型光導波路が知られている。これは光導波路のコア層表面に凸凹周期構造を有することで、その周期に対応したある波長の光がブラッグ条件を満たし、反射することを利用したものである。このようなレリーフ型回折格子を有したリッジ型光導波路において波長選択性能を上げるために、コア層とクラッド層との屈折率差Δnを大きくする方法や、コア層の膜厚を薄くする方法、回折格子となる凹凸周期構造のアスペクト比を上げる方法などが適用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、屈折率差Δnを大きくする方法では、ある一定値を超えてしまうとコア層を伝搬する光に高次モードが発生してしまい、シングルモードでの伝搬を実現できなくなってしまうといった問題がある。また、コア層の膜厚を薄くする方法では、光ファイバーなどに外部接続する際に光導波路のコア径と光ファイバーのコア径との差が大きくなってしまい、結合ロスが生じてしまうといった問題がある。さらに、回折格子となる凹凸周期構造のアスペクト比を上げる方法では、技術的にサブミクロン周期で高アスペクト比の形状を作製することが難しいといった問題がある。
【0005】
本発明の目的は、従来技術ではなし得なかった高い波長選択比を有する光導波路を、簡便な作製プロセスで提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、コア層の上部に回折格子となる第1の凹凸周期構造を有し、かつ前記コア層の側部にも前記第1の凹凸周期構造と同期した第2の凹凸周期構造が形成されている光導波路である。
【0007】
本発明に従えば、前記凹凸周期構造の周期に対応したコア層を伝搬するある波長の光に対して、光結合係数が向上し高い波長選択比を有する光導波路を実現することができる。また、回折格子となる凹凸周期構造のアスペクト比を向上しなくても、同期した凹凸周期構造を側面に形成することでアスペクト比を倍にするのと同等の効果が得られるため、特に難しい技術を用いずに高い波長選択比を有する光導波路を作製することが可能である。
【0008】
さらに本発明において、前記コア層を取り囲むクラッド層に前記回折格子形状の表面凹凸周期構造と同期した凹凸周期構造が形成されていることが好ましい。
【0009】
このように周囲を取り囲むクラッド層にも同期した凹凸周期構造を形成することで、クラッド層に染み出すある波長の伝搬光が凸凹周期構造の影響を受け、光結合係数が向上しさらに高い波長選択比を有する光導波路を実現することができる。
【0010】
また本発明は以上の光導波路の製造方法であって、クラッド層の一部となる第1の層、コア層となり第1の層よりも屈折率の高い第2の層を積層し、第2の層の上表面に回折格子となる第1の凹凸周期構造を形成した後に、第2の層を加工してリッジ形状を形成してこれをコア層とし、リッジ形状を形成する際に、コア層側部に第2の凹凸周期構造を形成する光導波路の製造方法である。
【0011】
このように回折格子となる第1の凹凸周期構造を先に形成することで、リッジ形状のコア層の上面の凹凸周期構造と、その側面の凹凸周期構造及びクラッド層の凹凸周期構造を、リッジ形状作製時に一度に形成することができるため、これら凹凸周期構造の周期を同期することが容易に実現できる。
【0012】
ここで回折格子となる凹凸周期構造とは、導波する光の波長選択性を高めるための回折格子であり、凹凸周期構造の周期tは一般に導波する光の波長λとt=λ/(2mNeff)の関係がある。ここでmは回折次数、Neffは導波する光に対する実効屈折率を示す。凹凸周期構造は互いに直接接触しているコアとクラッドの界面に形成されている。
【0013】
【発明の実施形態】
本発明者らは、リッジ形状のコア層表面に回折格子となる凹凸周期構造の凹凸周期構造を有したリッジ型光導波路に対して、前記コア層の側面やそれを取り囲む周囲のクラッド層にも前記凹凸周期構造と同期した凹凸周期構造を形成することで、コア層を伝搬するある波長の光に対する光結合係数が増大することを見出した。
【0014】
また回折格子となる凹凸周期構造を一様に面内に形成した後にフォトリソグラフィーで導波路形状をパターニングし、ドライエッチングによってリッジ形状を作製することで、同期した凹凸周期構造をリッジ形状の側面及びそれを取り囲むクラッド層に容易に形成できることを見出した。
【0015】
したがって本発明では、コア層の上部もしくは下部に回折格子形状の表面凹凸周期構造を有したリッジ型光導波路において、前記コア層の側面やそれを取り囲む周囲のクラッド層にも前記凹凸周期構造と同期した凹凸周期構造を形成することで、回折格子による進行波と反射波の光結合係数を向上し高い波長選択比を有する光導波路を実現する。また回折格子となる凹凸周期構造を一様に面内に形成した後にリッジ形状を作製することで、前記同期した凹凸周期構造の形成を容易に実現し、簡便な手法で高い波長選択比を有する光導波路の提供を実現する。
【0016】
以下に図1〜図5を参照して、本発明の実施の形態を具体的かつ詳細に説明する。ここではコア層とクラッド層の材料としてフッ素化ポリイミドを用いた光導波路について述べるが、その他のポリマー材料やガラス、半導体材料や金属材料などを用いることはもちろん可能である。本実施例の構造は、図1に示すように高屈折率コア層1を取り囲むように低屈折率クラッド層が形成された構造をしている。クラッド層は下部クラッド層2aと上部クラッド層2bからなる。図1に斜視図を、図2に導波方向に垂直な断面を、図3に導波方向の側断面を、図4に上からみた図を示す。前記高屈折率コア層1の上部表面3と側面4には、回折格子となる凹凸周期構造と凹凸位置及び周期が同期した凹凸周期構造が形成されている。また前記高屈折率コア層1の下部面と平行な低屈折率クラッド層表面5にも、前記回折格子となる凹凸周期構造と同期した凹凸周期構造が形成されている(図1および図3)。これら互いに同期した凹凸周期構造の周期は、制御すべき波長に合わせて0.1um〜1umの間で設計されている。
【0017】
このようにコア層の側面及びそれを取り囲むクラッド層にも同期した凹凸周期構造を形成することで、コア層を伝搬する光に影響を与える凸凹周期構造の面積が増大し、光結合係数が向上した高い波長選択比の光導波路を実現できる。
【0018】
本発明の光導波路の作製方法についてその一実施例を、図5〜図6を用いて説明する。まず図5においてシリコン基板6上に低屈折率クラッド層7となるフッ素化ポリイミド材料の溶液(ポリアミド酸ワニス)を10〜50um程スピンコートし、乾燥によりイミド化する。さらにその上に、高屈折率コア層8となるフッ素化ポリイミド材料の溶液(ポリアミド酸ワニス)をスピンコートし、同様に乾燥によりイミド化する(図5(a))。ここで、前記コア層8の膜厚は3〜10um程度が好ましい。次に前記高屈折率コア層8表面にレジストをスピンコートした後、公知の2光束干渉法により周期0.1um〜1umの回折格子形状を全面に一様に形成する。図5(b)にはその断面を示す。レジスト9により回折格子形状が形成されている。この際、2光束干渉法の代わりにマスクアライナーによるコンタクト露光や電子線描画法などを用いることもできる。このようにレジストに回折格子形状をパターニングした後、ドライエッチングによりフッ素化ポリイミドをエッチングすることで前記高屈折率コア層表面に凹凸周期構造10を形成し、レジストを除去する。このとき形成された凹凸周期構造は、光の導波方向の断面でみると図5(c)で模式的に示したように、曲線状に波打ったような形になっていた。
【0019】
次に前記凹凸周期構造10の表面に再度レジストをスピンコートし、フォトリソグラフィーによって光導波路形状のレジストパターン11を得た(図6)。レジストパターンは図作成便宜上矩形で描いた。この際に、レジストパターンの側面はクラッド表面の凹凸周期構造を自然と引き継いで、光導波路形状のレジストパターン側面部にも凸凹周期構造が形成される(図7に上から見た状況を誇張して示した)。ここでレジストパターン側面に形成される凹凸周期構造の振幅aは0.1um〜1um程度である。このようにしてレジストパターンを形成した後、ドライエッチングをすることでレジストパターンがない部分の高屈折率コア層は下のクラッド層が露出するまでエッチングされ消失し、レジストパターンに覆われた高屈折率コア層はそのまま残るので、上部表面と側面に凹凸周期構造を有したリッジ型の光導波路形状を形成することができる。またレジストパターンがない部分の凹凸周期構造はその表面形状をほぼ保持したままドライエッチングされるため、高屈折率コア層の下部面と平行な下部クラッド層表面にも、前記リッジ部上面に形成された凹凸周期構造と同期した凹凸周期構造を形成することができる(図8)。
【0020】
最後に上部クラッド層として前記低屈折率クラッド層の屈折率と若干異なる屈折率のフッ素化ポリイミド材料の溶液(ポリアミド酸ワニス)を10〜50um程の厚さになるようスピンコートし、乾燥によりイミド化することでクラッドと、クラッドに囲まれたコアからなり、波長選択機能を有した光導波路を作製できる。このように簡便なプロセスで、リッジ形状のコア層の側面やそれを取り囲むクラッド層に同期した凹凸周期構造を形成することができる。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、本発明の光導波路を用いれば、コア層を伝搬する光に影響を与える表面凹凸周期構造の面積が増大するため、光結合係数が向上し高い波長選択比の光導波路を実現することができる。さらに本手法では、コア層にリッジ形状を形成するのと同時に同期した回折格子となる凹凸周期構造をコア層の表面及び側面、さらにはそれらを取り囲むクラッド層にも形成できるので、前記高い波長選択比の光導波路を簡便なプロセスで提供することができる。以上により、波長選択性の良好な波長合分波器を低コストに提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のの光導波路の一例を説明する図である。
【図2】図1の光導波路の断面を説明する図である。
【図3】図1の光導波路側面を説明する図である。
【図4】図1の光導波路を上部から観察した図である。
【図5】本発明のの光導波路の作製プロセスの一例を説明する図である。
【図6】本実施例の光導波路の作製プロセスの途中を説明する図である。
【図7】本実施例の光導波路の作製プロセスの途中を説明する図である
【図8】本実施例の光導波路の上部クラッドを形成する前の斜視図である。
【符号の説明】
1: 高屈折率コア層、 2a:下部クラッド層、
2b:上部クラッド層、
3: 上部表面、 4: 側面
5: クラッド層表面、 6: シリコン基板
7: 低屈折率下部クラッド層、 8: 高屈折率コア層
9: レジスト、 10: 凸凹周期構造
11: レジストパターン
【産業上の利用分野】
本発明は、光通信システム、光計測機器などに用いられる光学デバイス、とくに光導波路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、インターネットの急速な普及により、光ファイバー通信網の容量増大が強く求められており、その手段としてWDM(波長多重)通信の開発が急速に進められている。WDM通信においては、わずかな波長差の光が個別の情報を伝達することから、波長選択性の良い波長合分波器が必要とされる。このような波長合分波器には、多層膜フィルター型、ファイバー・ブラッグ・グレーティング型、光導波路型など様々な波長合分波方式があり、特に光導波路型はデバイスの小型化が可能なことから注目されている。
【0003】
現在用いられている光導波路型の波長合分波器の一つとして、凸凹形状のレリーフ型回折格子を有したリッジ型光導波路が知られている。これは光導波路のコア層表面に凸凹周期構造を有することで、その周期に対応したある波長の光がブラッグ条件を満たし、反射することを利用したものである。このようなレリーフ型回折格子を有したリッジ型光導波路において波長選択性能を上げるために、コア層とクラッド層との屈折率差Δnを大きくする方法や、コア層の膜厚を薄くする方法、回折格子となる凹凸周期構造のアスペクト比を上げる方法などが適用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、屈折率差Δnを大きくする方法では、ある一定値を超えてしまうとコア層を伝搬する光に高次モードが発生してしまい、シングルモードでの伝搬を実現できなくなってしまうといった問題がある。また、コア層の膜厚を薄くする方法では、光ファイバーなどに外部接続する際に光導波路のコア径と光ファイバーのコア径との差が大きくなってしまい、結合ロスが生じてしまうといった問題がある。さらに、回折格子となる凹凸周期構造のアスペクト比を上げる方法では、技術的にサブミクロン周期で高アスペクト比の形状を作製することが難しいといった問題がある。
【0005】
本発明の目的は、従来技術ではなし得なかった高い波長選択比を有する光導波路を、簡便な作製プロセスで提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、コア層の上部に回折格子となる第1の凹凸周期構造を有し、かつ前記コア層の側部にも前記第1の凹凸周期構造と同期した第2の凹凸周期構造が形成されている光導波路である。
【0007】
本発明に従えば、前記凹凸周期構造の周期に対応したコア層を伝搬するある波長の光に対して、光結合係数が向上し高い波長選択比を有する光導波路を実現することができる。また、回折格子となる凹凸周期構造のアスペクト比を向上しなくても、同期した凹凸周期構造を側面に形成することでアスペクト比を倍にするのと同等の効果が得られるため、特に難しい技術を用いずに高い波長選択比を有する光導波路を作製することが可能である。
【0008】
さらに本発明において、前記コア層を取り囲むクラッド層に前記回折格子形状の表面凹凸周期構造と同期した凹凸周期構造が形成されていることが好ましい。
【0009】
このように周囲を取り囲むクラッド層にも同期した凹凸周期構造を形成することで、クラッド層に染み出すある波長の伝搬光が凸凹周期構造の影響を受け、光結合係数が向上しさらに高い波長選択比を有する光導波路を実現することができる。
【0010】
また本発明は以上の光導波路の製造方法であって、クラッド層の一部となる第1の層、コア層となり第1の層よりも屈折率の高い第2の層を積層し、第2の層の上表面に回折格子となる第1の凹凸周期構造を形成した後に、第2の層を加工してリッジ形状を形成してこれをコア層とし、リッジ形状を形成する際に、コア層側部に第2の凹凸周期構造を形成する光導波路の製造方法である。
【0011】
このように回折格子となる第1の凹凸周期構造を先に形成することで、リッジ形状のコア層の上面の凹凸周期構造と、その側面の凹凸周期構造及びクラッド層の凹凸周期構造を、リッジ形状作製時に一度に形成することができるため、これら凹凸周期構造の周期を同期することが容易に実現できる。
【0012】
ここで回折格子となる凹凸周期構造とは、導波する光の波長選択性を高めるための回折格子であり、凹凸周期構造の周期tは一般に導波する光の波長λとt=λ/(2mNeff)の関係がある。ここでmは回折次数、Neffは導波する光に対する実効屈折率を示す。凹凸周期構造は互いに直接接触しているコアとクラッドの界面に形成されている。
【0013】
【発明の実施形態】
本発明者らは、リッジ形状のコア層表面に回折格子となる凹凸周期構造の凹凸周期構造を有したリッジ型光導波路に対して、前記コア層の側面やそれを取り囲む周囲のクラッド層にも前記凹凸周期構造と同期した凹凸周期構造を形成することで、コア層を伝搬するある波長の光に対する光結合係数が増大することを見出した。
【0014】
また回折格子となる凹凸周期構造を一様に面内に形成した後にフォトリソグラフィーで導波路形状をパターニングし、ドライエッチングによってリッジ形状を作製することで、同期した凹凸周期構造をリッジ形状の側面及びそれを取り囲むクラッド層に容易に形成できることを見出した。
【0015】
したがって本発明では、コア層の上部もしくは下部に回折格子形状の表面凹凸周期構造を有したリッジ型光導波路において、前記コア層の側面やそれを取り囲む周囲のクラッド層にも前記凹凸周期構造と同期した凹凸周期構造を形成することで、回折格子による進行波と反射波の光結合係数を向上し高い波長選択比を有する光導波路を実現する。また回折格子となる凹凸周期構造を一様に面内に形成した後にリッジ形状を作製することで、前記同期した凹凸周期構造の形成を容易に実現し、簡便な手法で高い波長選択比を有する光導波路の提供を実現する。
【0016】
以下に図1〜図5を参照して、本発明の実施の形態を具体的かつ詳細に説明する。ここではコア層とクラッド層の材料としてフッ素化ポリイミドを用いた光導波路について述べるが、その他のポリマー材料やガラス、半導体材料や金属材料などを用いることはもちろん可能である。本実施例の構造は、図1に示すように高屈折率コア層1を取り囲むように低屈折率クラッド層が形成された構造をしている。クラッド層は下部クラッド層2aと上部クラッド層2bからなる。図1に斜視図を、図2に導波方向に垂直な断面を、図3に導波方向の側断面を、図4に上からみた図を示す。前記高屈折率コア層1の上部表面3と側面4には、回折格子となる凹凸周期構造と凹凸位置及び周期が同期した凹凸周期構造が形成されている。また前記高屈折率コア層1の下部面と平行な低屈折率クラッド層表面5にも、前記回折格子となる凹凸周期構造と同期した凹凸周期構造が形成されている(図1および図3)。これら互いに同期した凹凸周期構造の周期は、制御すべき波長に合わせて0.1um〜1umの間で設計されている。
【0017】
このようにコア層の側面及びそれを取り囲むクラッド層にも同期した凹凸周期構造を形成することで、コア層を伝搬する光に影響を与える凸凹周期構造の面積が増大し、光結合係数が向上した高い波長選択比の光導波路を実現できる。
【0018】
本発明の光導波路の作製方法についてその一実施例を、図5〜図6を用いて説明する。まず図5においてシリコン基板6上に低屈折率クラッド層7となるフッ素化ポリイミド材料の溶液(ポリアミド酸ワニス)を10〜50um程スピンコートし、乾燥によりイミド化する。さらにその上に、高屈折率コア層8となるフッ素化ポリイミド材料の溶液(ポリアミド酸ワニス)をスピンコートし、同様に乾燥によりイミド化する(図5(a))。ここで、前記コア層8の膜厚は3〜10um程度が好ましい。次に前記高屈折率コア層8表面にレジストをスピンコートした後、公知の2光束干渉法により周期0.1um〜1umの回折格子形状を全面に一様に形成する。図5(b)にはその断面を示す。レジスト9により回折格子形状が形成されている。この際、2光束干渉法の代わりにマスクアライナーによるコンタクト露光や電子線描画法などを用いることもできる。このようにレジストに回折格子形状をパターニングした後、ドライエッチングによりフッ素化ポリイミドをエッチングすることで前記高屈折率コア層表面に凹凸周期構造10を形成し、レジストを除去する。このとき形成された凹凸周期構造は、光の導波方向の断面でみると図5(c)で模式的に示したように、曲線状に波打ったような形になっていた。
【0019】
次に前記凹凸周期構造10の表面に再度レジストをスピンコートし、フォトリソグラフィーによって光導波路形状のレジストパターン11を得た(図6)。レジストパターンは図作成便宜上矩形で描いた。この際に、レジストパターンの側面はクラッド表面の凹凸周期構造を自然と引き継いで、光導波路形状のレジストパターン側面部にも凸凹周期構造が形成される(図7に上から見た状況を誇張して示した)。ここでレジストパターン側面に形成される凹凸周期構造の振幅aは0.1um〜1um程度である。このようにしてレジストパターンを形成した後、ドライエッチングをすることでレジストパターンがない部分の高屈折率コア層は下のクラッド層が露出するまでエッチングされ消失し、レジストパターンに覆われた高屈折率コア層はそのまま残るので、上部表面と側面に凹凸周期構造を有したリッジ型の光導波路形状を形成することができる。またレジストパターンがない部分の凹凸周期構造はその表面形状をほぼ保持したままドライエッチングされるため、高屈折率コア層の下部面と平行な下部クラッド層表面にも、前記リッジ部上面に形成された凹凸周期構造と同期した凹凸周期構造を形成することができる(図8)。
【0020】
最後に上部クラッド層として前記低屈折率クラッド層の屈折率と若干異なる屈折率のフッ素化ポリイミド材料の溶液(ポリアミド酸ワニス)を10〜50um程の厚さになるようスピンコートし、乾燥によりイミド化することでクラッドと、クラッドに囲まれたコアからなり、波長選択機能を有した光導波路を作製できる。このように簡便なプロセスで、リッジ形状のコア層の側面やそれを取り囲むクラッド層に同期した凹凸周期構造を形成することができる。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、本発明の光導波路を用いれば、コア層を伝搬する光に影響を与える表面凹凸周期構造の面積が増大するため、光結合係数が向上し高い波長選択比の光導波路を実現することができる。さらに本手法では、コア層にリッジ形状を形成するのと同時に同期した回折格子となる凹凸周期構造をコア層の表面及び側面、さらにはそれらを取り囲むクラッド層にも形成できるので、前記高い波長選択比の光導波路を簡便なプロセスで提供することができる。以上により、波長選択性の良好な波長合分波器を低コストに提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のの光導波路の一例を説明する図である。
【図2】図1の光導波路の断面を説明する図である。
【図3】図1の光導波路側面を説明する図である。
【図4】図1の光導波路を上部から観察した図である。
【図5】本発明のの光導波路の作製プロセスの一例を説明する図である。
【図6】本実施例の光導波路の作製プロセスの途中を説明する図である。
【図7】本実施例の光導波路の作製プロセスの途中を説明する図である
【図8】本実施例の光導波路の上部クラッドを形成する前の斜視図である。
【符号の説明】
1: 高屈折率コア層、 2a:下部クラッド層、
2b:上部クラッド層、
3: 上部表面、 4: 側面
5: クラッド層表面、 6: シリコン基板
7: 低屈折率下部クラッド層、 8: 高屈折率コア層
9: レジスト、 10: 凸凹周期構造
11: レジストパターン
Claims (3)
- コア層の上部に回折格子となる第1の凹凸周期構造を有し、かつ前記コア層の側部にも前記第1の凹凸周期構造と同期した第2の凹凸周期構造が形成されていることを特徴とする光導波路。
- 前記コア層を取り囲むクラッド層内に前記第1の凹凸周期構造と同期した回折格子が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光導波路。
- 請求項1または請求項2に記載の光導波路の製造法であって、クラッド層の一部となる第1の層、コア層となり第1の層よりも屈折率の高い第2の層を積層し、第2の層の表面に回折格子となる第1の凹凸周期構造を形成した後に、第2の層を加工してリッジ形状を形成してこれをコア層とし、リッジ形状を形成する際に、コア層側部に第2の凹凸周期構造を形成することを特徴とする光導波路の製造方法。
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Cited By (1)
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WO2016031712A1 (ja) * | 2014-08-26 | 2016-03-03 | 日本碍子株式会社 | グレーティング素子 |
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2003
- 2003-04-15 JP JP2003110872A patent/JP2004317753A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2016031712A1 (ja) * | 2014-08-26 | 2016-03-03 | 日本碍子株式会社 | グレーティング素子 |
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