JP2004316116A - 杭圧入装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】杭圧入装置1は、サドル4と、複数の掴み部5,…と、チャック部2とを備え、複数の掴み部5,…のうちの最前部の掴み部5は、サドル4に対する前後方向における位置が固定されている。そして、掴むべき筒状杭の口径に応じて掴み部5の外径が可変とされ、かつ、小口径の筒状杭kを掴んだ際に、該小口径の筒状杭kの中心位置Zと一致する掴み部5の中心位置Xが、大口径の筒状杭Kを掴んだ際に、該大口径の筒状杭Kの中心位置Yから前方に偏心される。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、既設の杭から反力を取ることによって新たな杭を圧入する杭圧入装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、既に打ち込まれた杭から反力を取って杭を圧入したり引き抜いたりすることが可能な杭圧入装置が知られている。従来、杭圧入装置は、地盤に一列に打ち込んだ杭の上部を挟持する複数のクランプ部を有するサドルと、該サドルに前後にスライド移動可能に設けられたスライドフレームと、該スライドフレーム上に左右に旋回可能に設けられたマストと、該マストの前面部に上下にスライド移動可能に設けられ、かつ、打ち込むべき杭もしくは引き抜くべき杭を掴持可能なチャックを有するチャック部とを備えている。
そして、クランプ部により一列に打ち込まれた杭を挟持してサドルを杭上に支持した状態で、スライドフレームを前方に伸張させて、前方の杭をチャック部のチャックにより掴持し、次いで、クランプ部による杭の挟持を解除した後に、クランプ部とサドルとを上昇させ、スライドフレームを収縮させてサドルをチャック部側に引き寄せる動作を繰り返すことによって、一列に打ち込まれた杭上において杭圧入装置を自走させることが可能となっている。
【0003】
ところで、現場によっては施工の条件で種々の口径をもった杭を使用することがあり、種々の口径に応じて杭を圧入するためには、例えば、サドルとクランプ部との間にクランプ移動機構を介在させて、クランプ移動機構で各クランプ部を独立して前後方向に移動可能に構成した杭圧入装置において、クランプ部を前後方向に移動調節することで杭のサイズに対応させることが知られている(特許文献1参照)。
また、例えば図3の杭圧入装置100に示すように、クランプ部101の外周に、同心円上に補助カバー103を取り付けることによって大口径の杭Kにも対応できるようにしている。
【0004】
【特許文献1】
実公平06−021962号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図3に示す杭圧入装置100において、大口径の杭Kをクランプ部101が掴んだ際に、杭Kの中心位置と、クランプ部101の中心位置と、補助カバー103の中心位置とが一致する。また、最前部のクランプ部101は、スライド部102に対してチャック部2側に偏心するように固定され、かつ、クランプ部101の中心位置がサドル4に対して固定した位置に配置されている。
そのため、大口径の杭になる程、クランプ部101の中心位置と、チャック部2で掴んだ杭Kの中心位置との間の距離L3が長くなる。よって、この距離L3に対応するようにスライドフレーム6の長さLを長くする必要があり、これに伴ってスライドフレーム6やサドル4の剛性を持たせることから重量増大を余儀なくされていた。また、スライドフレーム6の長さLが長くなることによって、杭を圧入する際に、サドル4の前面からスライドフレーム6が飛び出るが、その飛び出た部位L1でマスト7及びチャック部2を支持することから、その飛び出た部位L1が撓みやすくなる。その結果、チャック部2に荷重が加わると、チャック部2の変位が大きくなり施工精度に問題が生じることがあった。
また、大口径の杭になる程、サドル4の前面からクランプ101が多く突出することになり、この点においても、スライドフレーム6の長さの長大化、重量増大及び施工精度の低下が問題となっていた。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、様々なサイズの杭に容易に対応して圧入することができるとともに、装置の小型化及び軽量化を図れ、しかも、施工精度にも優れた杭圧入装置を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、例えば、図1及び図2に示すように、既設の筒状杭から反力を取ることによって新たな筒状杭を圧入する杭圧入装置1であって、
台座(例えば、サドル4)と、該台座に設けられて既設の筒状杭を掴む複数の掴み部5,…と、前記台座の前面側で昇降自在に支持されて、新たな筒状杭を掴んで圧入するチャック部2とを備え、前記複数の掴み部のうちの最前部の掴み部は、前記台座に対する前後方向における位置が固定されており、
掴むべき筒状杭の口径に応じて前記掴み部の外径が可変とされ、かつ、
小口径の筒状杭kを掴んだ際に、該小口径の筒状杭の中心位置Zと一致する掴み部の中心位置Xが、大口径の筒状杭Kを掴んだ際に、該大口径の筒状杭の中心位置Yから前方に偏心されることを特徴とする。
【0008】
請求項1の発明によれば、筒状杭の口径に応じて複数の掴み部の外径が可変とされ、小口径の筒状杭を掴んだ際に、該小口径の筒状杭の中心位置と一致する掴み部の中心位置が、大口径の筒状杭を掴んだ際に、該大口径の筒状杭の中心位置から前方に偏心されるので、様々な筒状杭のサイズに対応して圧入することができるのは勿論のこと、大口径の筒状杭を掴んだ際の掴み部の中心位置と、チャック部によって圧入される筒状杭の中心位置までの距離が短くなる。
このことから、スライドフレームの長さの長大化及び重量の増大化を防ぐことができる。また、これに伴って、大口径の筒状杭を施工する場合にも台座から飛び出たスライドフレームの撓みが抑えられ、チャック部の変位が小さくなることで、所定の位置に確実に筒状杭を圧入することができ施工精度に優れる。
【0009】
請求項2の発明は、例えば、図1及び図2に示すように、請求項1に記載の杭圧入装置において、
前記掴み部の外周の少なくとも一部に、補助カバー8が設けられることによって、小口径の筒状杭を掴んだ際に、該小口径の筒状杭の中心位置と一致する掴み部の中心位置が、大口径の筒状杭を掴んだ際に、該大口径の筒状杭の中心位置から前方に偏心されることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明によれば、掴み部の外周の少なくとも一部に補助カバーが設けられることによって、小口径の筒状杭を掴んだ際の掴み部の中心位置が、大口径の筒状杭を掴んだ際の大口径の筒状杭の中心位置から前方に偏心されるので、大口径の筒状杭にも容易に対応して圧入することができるとともに、大口径の筒状杭を掴んだ際の掴み部の中心位置と、チャック部によって圧入される筒状杭の中心位置までの距離を短くすることができる。
【0011】
請求項3の発明は、例えば、図4に示すように、請求項1に記載の杭圧入装置において、
前記掴み部5Aは、既設の筒状杭を掴む掴み部本体(例えば、クランプ部51A)と、該掴み部本体に対して偏心して設けられるスライド部52Aと、前記掴み部本体の外周に設けられる補助カバー8Aとを備え、
前記スライド部は、該スライド部を中心に前記掴み部本体を回転させて、前記台座に係合可能であることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明によれば、補助カバーを掴み部本体の外周に設け、スライド部を中心に掴み部本体を回転させて、スライド部を台座に係合させることによって、筒状杭の口径に応じて、随時、掴み部の中心位置の台座に対する位置を変更することができる。よって、大口径の筒状杭にも容易に対応して圧入することができるとともに、大口径の筒状杭を掴んだ際の掴み部の中心位置と、チャック部によって圧入される筒状杭の中心位置までの距離を短くすることができる。
【0013】
請求項4の発明は、例えば、図5に示すように、請求項1に記載の杭圧入装置において、
前記掴み部5Bは、既設の筒状杭を掴む掴み部本体(例えば、クランプ部51B)と、該掴み部本体に着脱自在に設けられるスライド部52Bと、前記掴み部本体の外周に設けられる補助カバー8Bとを備え、
前記スライド部は、該スライド部の前記掴み部本体に対する位置を変えて、前記台座に係合可能であることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明によれば、補助カバーを掴み部本体の外周に設け、スライド部の掴み部本体に対する位置を変えて、スライド部を台座に係合させることによって、筒状杭の口径に応じて、随時、掴み部の中心位置の台座に対する位置を変更することができる。よって、大口径の筒状杭にも容易に対応して圧入することができるとともに、大口径の筒状杭を掴んだ際の掴み部の中心位置と、チャック部によって圧入される筒状杭の中心位置までの距離を短くすることができる。
【0015】
請求項5の発明は、例えば、図6に示すように、請求項1に記載の杭圧入装置において、
大きさの異なる前記掴み部5C、5Dを少なくとも二つ以上有しており、これら掴み部のうちの筒状杭の口径に応じた一つの掴み部が前記台座に係合可能であることを特徴とする。
【0016】
請求項5の発明によれば、大きさの異なる掴み部のうちの筒状杭の口径に応じた一つの掴み部を台座に係合させることによって、筒状杭の口径に応じて、随時、掴み部の中心位置の台座に対する位置を変更することができる。よって、大口径の筒状杭にも容易に対応して圧入することができるとともに、大口径の筒状杭を掴んだ際に、掴み部の台座の前面から突出する突出部分を少なくすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、構成について説明する。
杭圧入装置は、既設の筒状杭から反力を取って、地盤に対して新たに筒状杭を圧入して埋設するとともに、埋設された筒状杭上を移動して、新たに筒状杭を地盤に圧入し、これらの動作を順次繰り返す装置である。
図1、図2は、杭圧入装置の側面図及びクランプ部の上断面図であり、図1は、小口径の筒状杭を圧入する場合で、図2は、大口径の筒状杭を圧入する場合を示している。
【0018】
図1に示すように、杭圧入装置1は、チャック部2と、このチャック部2を前面側で昇降自在に支持する機械本体部3とを有している。
【0019】
チャック部2は、チャック本体21と、このチャック本体21に設けられたチャック22とを備えている。
チャック22は、新たに圧入する筒状杭(例えば、小口径の筒状杭k)を掴むものであり、チャック用油圧シリンダ(図示しない)がチャック22を駆動することで、筒状杭kを掴む動作及び放す動作を行うことができるようになっている。また、チャック本体21は、そのセンタを通る鉛直軸回りに回転可能となっている。
チャック本体21は、後述するマスト7に設けられたレール部(図示しない)に係合することでチャック部2を昇降自在とする摺動部材23に鉛直軸回りに回転可能に係合している。
【0020】
機械本体部3は、サドル(台座)4と、サドル4から垂下して設けられ既設の杭K,…を掴む3つの掴み部5,…と、サドル4に対して前後に移動自在であるスライドフレーム6と、該スライドフレーム6上で旋回するように立設されたマスト7とを備えている。
【0021】
マスト7は、サドル4に対して前後に移動自在であるスライドフレーム6上に立設されて、鉛直方向の軸心を中心にして旋回可能となっている。
また、マスト7の前面側には、上下に延在する一対のレール部(図示しない)が左右に離間して設けられ、このレール部にチャック本体21に設けられた摺動部材23が摺動自在に係合することで、チャック部2が機械本体部3に対し昇降自在に支持されている。
さらに、チャック部2の摺動部材23には、左右一対の上下油圧シリンダ装置71が上下に向けてかつ左右に離間して取り付けられており、上下油圧シリンダ装置71のシリンダロッド(図示しない)は下方に向けられている。そして、これらシリンダロッドの下端部は、マスト7のアーム72の先端に連結されており、上下油圧シリンダ装置71の駆動によりシリンダロッドが伸縮することでチャック部2はレール部に沿って上下動する。
【0022】
サドル4の下面で、該サドル4の前面4aより内側には、左右方向に延在し、後述するスライド部52が係合するレール部41,…が形成されている。レール部41及びスライド部52は、それぞれ断面略蟻形状に形成されている。
【0023】
掴み部5は、既設の筒状杭kを掴むクランプ部(掴み部本体)51と、該クランプ部51の上面に設けられてレール部41に係合するスライド部52とを備えている。
クランプ部51は、レール部41に沿って左右にスライド移動可能となっている。そして、クランプ用油圧シリンダ(図示しない)がクランプ部51を駆動することで、クランプ部51は既設の筒状杭kを掴む動作及び既設の筒状杭kを放す動作を行うことができるようになっている。
【0024】
また、3つの掴み部5,…のうちの最前部に位置する掴み部5のスライド部52は、サドル4に対する前後方向における位置が固定されており、クランプ部51はサドル4の前面4aよりチャック部2側に突出するようにスライド部52に対して偏心して設けられている。また、図示しないが、最前部以外の掴み部5、5は、サドル4に対して前後方向が移動可能に係合されている。
【0025】
クランプ部51は、具体的には、円形断面の筒状杭kの内周に沿って略均等な間隔で並ぶ2つの可動爪511、511と、1つの固定爪512と、該固定爪512に設けられて2つの可動爪511、511を筒状杭kの内周に沿って押圧可能な2つのシリンダ513、513とを備えている。また、可動爪511は、シリンダ513、513に対して着脱自在に取り付けられている。
そして、シリンダ513、513を所定の位置まで延出させることによって、2つの可動爪511、511が外側に伸びて筒状杭kの内周を押圧して、筒状杭kが掴まれる。一方、シリンダ513、513を収縮させることによって筒状杭kの内周を押圧する2つの可動爪511、511が縮められて元の位置に戻り、筒状杭kを保持していたクランプ部51が筒状杭kから抜き出されるようになっている。
【0026】
また、図2に示すように、掴み部5の外径は、掴み部5の外周の一部、すなわち固定爪512の外周に沿って補助カバー8が取り付けられるとともに、可動爪511、511がシリンダ513、513から取り外されて、外径の大きな新たな可動爪511a、511aがシリンダ513、513に取り付けられることによって可変とされる。
また、補助カバー8及び新たな可動爪511a、511aを設けることによって、小口径の筒状杭kを掴んだ際に(図1参照)、該小口径の筒状杭kの中心位置Zと一致する掴み部5の中心位置Xが、大口径の筒状杭Kを掴んだ際に(図2参照)、該大口径の筒状杭Kの中心位置Yから偏心される。
つまり、図1に示すように小口径の筒状杭kを掴んだ際の、掴み部5の中心位置Xは、小口径の筒状杭kの中心位置Zと一致しているが、図2に示すように大口径の筒状杭Kを掴んだ際には、小口径の筒状杭kを掴んだ際の掴み部5の中心位置Xが、大口径の筒状杭Kの中心位置Yから前方に偏心される。
【0027】
なお、小口径の筒状杭kを掴む際の掴み部5は、クランプ部52がスライド部51に対して前方に偏心しているが、大口径の筒所杭Kを掴む際の掴み部5は、補助カバー8及び新たな可動爪511a、511aを設けることによって、クランプ部52の略中心位置にスライド部51が配置されている。
【0028】
ここで、図3に示すように従来の杭圧入装置100の場合に、大口径の筒状杭Kを掴んだ際の掴み部101の中心位置と、チャック部2により圧入される筒状杭Kの中心位置との間の距離をL3とし、同様に、図2に示す本発明の杭圧入装置1の場合の掴み部5の中心位置Xと、チャック部2により圧入される筒状杭Kの中心位置との間の距離をLN3とすると、本発明の場合には、長さL5だけ、掴み部5の中心位置Xが前方に偏心していることから、(LN3=L3−L5)となる。すなわち、本発明の掴み部5の中心位置Xとチャック部2により圧入される筒状杭Kの中心位置との間の距離LN3は、従来の距離L3に比して短くなる。
また、この結果より、スライドフレーム6にかかる最大モーメントは、(P×L3)>(P×LN3)となり、本発明のスライドフレーム6にかかるモーメントの方が小さくなるので、サドル4から突出したスライドフレーム6が従来の場合よりも撓みにくくなる。
【0029】
さらに、従来の杭圧入装置100及び本発明の杭圧入装置1において、スライドフレーム6の前端部からチャック部2により圧入される筒状杭Kの中心位置との距離L4は一定であるので、(L3−L4)>(LN3−L4)となり、すなわち、(L1>LN1)となり、サドル4から突出するスライドフレーム6は、本発明の方が少なくなる。
また、スライドフレーム6にかかる力Fは強度により一定とすると、(P×L3)=(F×L2)、(P×LN3)=(F×LN2)となり、モーメントを受ける長さL2、LN2は、(L2>LN2)となる。
したがって、スライドフレーム6の長さ(L1+L2)>(LN1+LN2)、すなわち、L>LNとなることから、スライドフレーム6の長さは、本発明の方が従来よりも短くなる。
【0030】
以上、本発明の第1の実施の形態によれば、大口径の筒状杭Kを圧入する際に、クランプ部51の固定爪512の外周に補助カバー8を設け、可動爪511、511を取り外して、シリンダ513、513に新たな可動爪511a、511aを設けることによって、小口径の筒状杭kを掴んだ際のクランプ部51の中心位置Xが大口径の筒状杭Kの中心位置Yよりも前方に偏心される。
したがって、従来のようにクランプ部101の外周に同心円上に補助カバー103が設けられる場合に比して、クランプ部51の中心位置Xと、チャック部2によって圧入される筒状杭Kの中心との間の距離LN3が短くなる。このことから、スライドフレーム6の長さの長大化及び重量の増大化を防ぐことができる。また、施工精度にも優れる。
【0031】
なお、本発明の実施の形態では、2つの可動爪511、511を取り外して外径の大きな新たな可動爪511a、511aを取り付ける構成としたが、例えば図示しないが、可動爪511、511を取り外さずにそのままの状態で、可動爪511、511の外周に、その外径が大きくなるように補助カバー8と同様にカバーを取り付けるようにしても良い。
【0032】
また、上記クランプ部51は、2つの可動爪511、511と1つの固定爪512とを備えていたが、これに限らず1つの可動爪と1つの固定爪とを備えた構成としても良い。
【0033】
[第2の実施の形態]
図4(a)、(b)に示すように、本実施の形態の杭圧入装置(図示しない)は、第1の実施の形態の杭圧入装置1と異なり、大口径の筒状杭Kを掴んだ際に、該大口径の筒状杭Kの中心位置と一致する掴み部5Aの中心位置のサドル4に対する位置が、小口径の筒状杭kを掴んだ際に、該小口径の筒状杭kの中心位置と一致する掴み部5Aの中心位置のサドル4に対する位置よりも後方に配置される構成となっている。すなわち、第1の実施の形態と比べて掴み部5の構成が異なっており、その他の点は第1の実施の形態と同様の構成であるので、その説明を省略する。
本実施の形態において、掴み部5Aは、クランプ部51Aと、該クランプ部51Aに対して偏心して設けられるスライド部52Aと、クランプ部51Aの外周に同心円上に設けられる補助カバー8Aとを備えている。
そして、大口径の筒状杭Kを圧入する際に、図4(b)に示すように、クランプ部51Aの外周に補助カバー8Aを取り付けて、スライド部52Aを中心にクランプ部51Aを180°回転させて、スライド部52Aをサドル4に係合させる。このようにすることで、大口径の筒状杭Kを掴んだ際のクランプ部51Aの中心位置のサドル4に対する位置が、小口径の筒状杭kを掴んだ際のクランプ部51の中心位置のサドル4に対する位置よりも後方に配置される。よって、大口径の筒状杭Kを掴んだ際のクランプ部51Aの中心位置と、チャック部2によって圧入される筒状杭Kの中心位置までの距離を短くすることができる。
【0034】
[第3の実施の形態]
図5(a)、(b)に示すように、本実施の形態の杭圧入装置は、上記第2の実施の形態の杭圧入装置において掴み部5Bの構成が異なっている。
すなわち、掴み部5Bは、クランプ部51Bと、該クランプ部51Bにボルト53Bによって着脱自在に設けられるスライド部52Bと、クランプ部51Bの外周に同心円上に設けられる補助カバー8Bとを備えている。
そして、大口径の筒状杭Kを圧入する際に、図5(b)に示すように、クランプ部51Bの外周に補助カバー8Bを取り付けて、スライド部52Bのクランプ部51Bに対する位置を変えて、スライド部52Bをサドル4に係合させる。
このようにすることで、第2の実施の形態と同様に、大口径の筒状杭Kを掴んだ際のクランプ部51Bの中心位置と、チャック部2によって圧入される筒状杭Kの中心位置までの距離を短くすることができる。
【0035】
[第4の実施の形態]
図6(a)、(b)に示すように、本実施の形態の杭圧入装置は、上記第1〜第3の実施の形態のように補助カバー8、8A、8Bを設けるのではなく、掴むべき筒状杭Kの口径に応じた大きさの異なる専用の掴み部5C、5Dを、随時サドル4に取り付けできる構成となっている。
これら掴み部5C、5Dは、クランプ部51C、51Dと、該クランプ部51C、51Dに設けられ、サドル4に係合するスライド部52C、52Dとを備えている。
そして、大口径の筒状杭Kを圧入する際に、図5(b)に示すように大きさの異なるクランプ部51C、51Dを備えた掴み部5C、5Dのうちの、筒状杭Kの口径に応じたクランプ部51Dを備えた一つの掴み部5Dのスライド部52Dを、サドル4に係合させる。このようにすることで、第2の実施の形態と同様に、大口径の筒状杭Kを掴んだ際のクランプ部51Dの中心位置と、チャック部2によって圧入される筒状杭Kの中心位置までの距離を短くすることができる。
【0036】
以上、本発明の第2〜第4の実施の形態によれば、筒状杭k、Kの口径に応じて掴み部5A〜5Dの外径が変更可能であり、大口径の筒状杭Kを掴んだ際の掴み部5A、5B、5Dの中心位置のサドル4に対する位置が、小口径の筒状杭kを掴んだ際の掴み部5A〜5Cの中心位置のサドル4に対する位置よりも後方に配置されるので、大口径の筒状杭Kを掴んだ際の掴み部5A、5B、5Dの中心位置と、チャック部2によって圧入される筒状杭Kの中心位置までの距離を短くすることができる。よって、スライドフレーム6の長さの長大化及び重量の増大化を防ぐことができる。また、施工精度にも優れる。
【0037】
また、第1の実施の形態のように、固定爪511の外周に設けられる補助カバー8や、新たな可動爪511a、511aを必要とせずに、第2の実施の形態では、スライド部52Aを中心にクランプ部51Aを回転させ、第3の実施の形態では、スライド部52Bのクランプ部51Bに対する位置を変えることによって、大口径の筒状杭Kに容易に対応することができることから、コスト面で有利となる。
【0038】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、様々なサイズの筒状杭に容易に対応して圧入することができるとともに、装置の小型化及び軽量化を図れ、しかも、所定の位置に確実に筒状杭を圧入することができ施工精度に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の杭圧入装置の側面図及びクランプ部の上断面図であり、小口径の筒状杭を圧入する場合を示している。
【図2】本発明の第1の実施の形態の杭圧入装置の側面図及びクランプ部の上断面図であり、大口径の筒状杭を圧入する場合を示している。
【図3】従来の杭圧入装置の側面図及びクランプ部の上断面図であり、大口径の筒状杭を圧入する場合を示している。
【図4】本発明の第2の実施の形態の杭圧入装置に備えられる掴み部の側断面図であり、(a)は、小口径の筒状杭を圧入する場合、(b)は、大口径の筒状杭を圧入する場合を示している。
【図5】本発明の第3の実施の形態の杭圧入装置に備えられる掴み部の側断面図であり、(a)は、小口径の筒状杭を圧入する場合、(b)は、大口径の筒状杭を圧入する場合を示している。
【図6】本発明の第4の実施の形態の杭圧入装置に備えられる掴み部の側断面図であり、(a)は、小口径の筒状杭を圧入する場合、(b)は、大口径の筒状杭を圧入する場合を示している。
【符号の説明】
1 杭圧入装置
2 チャック部
4 サドル(台座)
5、5A〜5C 掴み部
8、8A、8B 補助カバー
51A、51B クランプ部(掴み部本体)
52、52A、52B スライド部
k 小口径の筒状杭
K 大口径の筒状杭
X 掴み部の中心位置
Y 大口径の筒状杭の中心位置
Z 小口径の筒状杭の中心位置
Claims (5)
- 既設の筒状杭から反力を取ることによって新たな筒状杭を圧入する杭圧入装置であって、
台座と、該台座に設けられて既設の筒状杭を掴む複数の掴み部と、前記台座の前面側で昇降自在に支持されて、新たな筒状杭を掴んで圧入するチャック部とを備え、前記複数の掴み部のうちの最前部の掴み部は、前記台座に対する前後方向における位置が固定されており、
掴むべき筒状杭の口径に応じて前記掴み部の外径が可変とされ、かつ、
小口径の筒状杭を掴んだ際に、該小口径の筒状杭の中心位置と一致する掴み部の中心位置が、大口径の筒状杭を掴んだ際に、該大口径の筒状杭の中心位置から前方に偏心されることを特徴とする杭圧入装置。 - 前記掴み部の外周の少なくとも一部に、補助カバーが設けられることによって、小口径の筒状杭を掴んだ際に、該小口径の筒状杭の中心位置と一致する掴み部の中心位置が、大口径の筒状杭を掴んだ際に、該大口径の筒状杭の中心位置から前方に偏心されることを特徴とする請求項1に記載の杭圧入装置。
- 前記掴み部は、既設の筒状杭を掴む掴み部本体と、該掴み部本体に対して偏心して設けられるスライド部と、前記掴み部本体の外周に設けられる補助カバーとを備え、
前記スライド部は、該スライド部を中心に前記掴み部本体を回転させて、前記台座に係合可能であることを特徴とする請求項1に記載の杭圧入装置。 - 前記掴み部は、既設の筒状杭を掴む掴み部本体と、該掴み部本体に着脱自在に設けられるスライド部と、前記掴み部本体の外周に設けられる補助カバーとを備え、
前記スライド部は、該スライド部の前記掴み部本体に対する位置を変えて、前記台座に係合可能であることを特徴とする請求項1に記載の杭圧入装置。 - 大きさの異なる前記掴み部を少なくとも二つ以上有しており、これら掴み部のうちの筒状杭の口径に応じた一つの掴み部が前記台座に係合可能であることを特徴とする請求項1に記載の杭圧入装置。
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