JP2004315634A - ポリアルキレンテレフタレート製容器を搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物 - Google Patents
ポリアルキレンテレフタレート製容器を搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】搬送すべきポリアルキレンテレフタレート製容器に亀裂、クレージング、クラック、腐食等が発生することを防止ないしは抑制し、潤滑性及び耐硬水性等にも優れた、ポリアルキレンテレフタレート製容器を搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)ベタイン型両性界面活性剤及び/又は(b)アミンオキシドを含有し、さらに殺菌成分として(c)第4級アンモニウム塩を含有する潤滑剤組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】(a)ベタイン型両性界面活性剤及び/又は(b)アミンオキシドを含有し、さらに殺菌成分として(c)第4級アンモニウム塩を含有する潤滑剤組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアルキレンテレフタレート製容器を搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ビール、清涼飲料等の飲料類の工場におけるビンや缶、プラスチック容器等への充填工程では、ビンや缶、プラスチック容器等の容器類の搬送にコンベアが使用されている。これらコンベアには、容器類の搬送を効率良く行うために、通常コンベア表面にコンベア用潤滑剤が塗布されている。これらコンベアは自動制御により連続運転されており、容器類の流れが停止したときでもコンベアのみがそのまま連続運転されるからである。例えばビール工場、アルコール飲料工場、乳業工場、清涼飲料工場等の工場では、容器類を搬送するコンベアにおいて、コンベア用潤滑剤は、コンベアと容器類の底部との摩擦を低減させ、容器類を安定に搬送する目的で使用されている。
【0003】
従来のコンベア用潤滑剤としては、潤滑成分として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルサルコシン等を潤滑成分として含有するものが挙げられる(特許文献1参照)。
【0004】
一方、近年、飲料類の容器類は、ポリアルキレンテレフタレートの一種であるポリエチレンテレフタレート(PET)等を素材とするポリアルキレンテレフタレート製容器(以下PETボトルともいう)が好んで使用されており、工場等において、PETボトルの搬送工程、飲料類の充填工程においても、上記のようなコンベア用潤滑剤が使用されている。しかしコンベア用潤滑剤がPETボトルに付着し、PETボトルの表面に細い線状のヒビ(クレージング)が入ったり、さらに進んで割れ、クラックが発生する問題があった。特に炭酸飲料等をPETボトルに充填した場合に、保存時等にストレスクラックが発生し、PETボトルの破裂等を発生する問題があった。
【0005】
ストレスクラックを抑制する方法として、水溶性脂肪酸アルカリ塩と特定のジスルホン酸塩の使用(特許文献2参照)、水溶性脂肪酸アルカリ金属塩とロジン化合物の使用(特許文献3、4参照)等が提案されているが、満足出来る効果は得られていない。またコンベア用潤滑剤は、殺菌性を要求される場合もあり、また使用時の希釈水による硬度の影響を抑制する必要もあるが、これらの要望を満足するには、更に優れたコンベア用潤滑剤が望まれている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−64666号公報
【特許文献2】
特開平6−172773号公報
【特許文献3】
特開平7−310085号公報
【特許文献4】
特開平8−67894号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、潤滑性、耐硬水性等に優れ、ポリアルキレンテレフタレート製容器に亀裂、クレージング、クラック、腐食等を発生させることを防止ないしは抑制する、ポリアルキレンテレフタレート製容器を搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、潤滑成分として、ベタイン型両性界面活性剤とアミンオキシドに着目して、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、(a)ベタイン型両性界面活性剤及び/又は(b)アミンオキシドを含有する、ポリアルキレンテレフタレート製容器を搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物を提供するものである。
また本発明は、(a)ベタイン型両性界面活性剤が一般式(1)で示される、前記ポリアルキレンテレフタレート製容器を搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物を提供するものである。
【0009】
【化3】
【0010】
(式中R1は炭素数3〜29のアルキル基を示す)
また本発明は、(b)アミンオキシドが一般式(2)で示される、前記ポリアルキレンテレフタレート製容器を搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物を提供するものである。
【0011】
【化4】
【0012】
(式中R2は炭素数3〜29のアルキル基を示す)
また本発明は、さらに殺菌成分として(c)第4級アンモニウム塩を含有する、前記ポリアルキレンテレフタレート製容器を搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリアルキレンテレフタレート製容器を搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物(以下PETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物ともいう)は潤滑剤成分として、(a)ベタイン型両性界面活性剤及び/又は(b)アミンオキシドを含有する。
(a)潤滑剤成分のベタイン型両性界面活性剤は、例えば、アルキルアミノ酢酸ベタインが挙げられるが、特に下記一般式(1)のものが好ましい。
【0014】
【化5】
【0015】
一般式(1)中R1は、炭素数3〜29のアルキル、アルケニル、アルキニル基を示し、直鎖でも分岐でもよい。
潤滑剤成分(a)は1種類でもよく2種類以上を併用してもよい。
潤滑剤成分(a)の特に好ましい例としては、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、R1がヤシ油由来のヤシ油脂肪酸ジメチルベタイン等が挙げられ、ラウリルジメチルベタインが最も好ましい。
潤滑剤成分(b)のアミンオキシドとしては、例えば一般式(2)のものが好ましい。
【0016】
【化6】
【0017】
一般式(2)中R2は、炭素数3〜29のアルキル、アルケニル、アルキニル基を示し、直鎖でも分岐でもよい。
潤滑剤成分(b)は1種類でもよく2種類以上を併用してもよい。
潤滑剤成分(b)の特に好ましい例としては、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、Rがヤシ油由来のヤシ油脂肪酸ジメチルアミンオキシド等が挙げられ、ミリスチルジメチルアミンオキシドが最も好ましい。
本発明では、潤滑剤成分(a)と潤滑剤成分(b)の両方を含有しても、どちらか1種類以上を含有してもよく、両成分を併用したほうが好ましい。
【0018】
本発明のPETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物は、潤滑剤成分(b)を配合しない場合、潤滑剤成分(a)の含有量は1〜40重量%が好ましく、5〜10重量%がより好ましい。
本発明のPETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物は、潤滑剤成分(a)を配合しない場合、潤滑剤成分(b)の含有量は1〜50重量%が好ましく、5〜10重量%がより好ましい。
本発明のPETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物は、潤滑剤成分(a)と潤滑剤成分(b)を併用する場合、潤滑剤成分(a)の含有量は0.5〜20重量%が好ましく、5〜10重量%がより好ましい。潤滑剤成分(b)の含有量は0.5〜25重量%が好ましく、1〜5重量%がより好ましい。
【0019】
本発明のPETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物には、さらに殺菌成分として(c)第4級アンモニウム塩を使用することもできる。(c)第4級アンモニウム塩は、殺菌力を有する公知のものを含めいずれでもよいが、例えば、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルピリジニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。これら化合物のアルキル基は任意の炭素数のものでよいが、特に炭素数8〜18の長鎖アルキル基が好ましい。
【0020】
本発明のPETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物は、特にキレート剤を配合せずとも耐硬水性を有するが、任意成分としてキレート剤を配合してもよい。キレート剤は、キレート機能を有する公知のものでもよく、アミノカルボン酸またはその塩等が挙げられ、特に、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩、ポリアスパラギン酸、ポリアスパラギン酸ナトリウム塩、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三酢酸ナトリウム塩が好ましい。
キレート剤を配合する場合の配合量は、充分なキレート機能を発揮できればよく、PETボトル用潤滑剤組成物中0.5〜20重量%が好ましく、5〜10重量%がより好ましい。
【0021】
本発明のPETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物には、前記必須成分及び任意成分のほかに、更なる任意成分として、本発明の目的を損なわない範囲で、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、エタノール、イソプロパノール等の可溶化剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、殺菌剤、pH調整剤、消泡剤、アルカノールアミン類、水溶性高分子化合物、粘調剤、香料等も配合することができる。
【0022】
本発明のPETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物の使用方法は、公知のコンベア用潤滑剤組成物と同様に行えばよい。具体的には、水で100〜200倍に希釈し、コンベアベルトに供給するのが好ましい。本発明のPETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物の性能は、希釈水の硬度に影響されることがないので、キレート剤や軟水器の使用は必須ではない。
【0023】
本発明のPETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物は、ポリエチレンテレフタレート製容器などのポリアルキレンテレフタレート容器(いわゆるPET容器)の搬送に使用できる。特に、ビール、発泡酒、炭酸清涼飲料等の炭酸飲料用の容器類の搬送に好適である。また、PET容器以外にも、熱可塑性樹脂容器等の樹脂容器の搬送にも使用できる。もちろん、硝子製や金属製のビン、缶等の容器類の搬送に使用してもよい。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例1〜15により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
3種類の(a)アルキルアミノ酢酸ベタインと2種類の(b)アミンオキシドを、表1に示す組成(重量%)で配合し、本発明のPETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物を得た。
これらPETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物について、下記に示した潤滑性試験、クラック試験、殺菌力試験、耐硬水性試験を行なった。結果を表1に示す。
更に、界面活性剤3種類を、表2の組成(重量%)で配合し、比較例として、実施例と同様の試験を行ない、結果を表2に示した。
各試験項目についての試験条件、及び試験方法は、以下のとおりである。
【0025】
<潤滑性試験>
(1)試験条件
コンベア速度:60m/分
試験容器類 :容量1.5Lの、ワンピース炭酸PETボトルに、炭酸水を充填して1625gとして用いた。
(2)試験方法
ポリアセタール樹脂製のコンベア上にPETボトルを置き、表1及び2の各PETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物を水で200倍に希釈して、60ml/分の割合でコンベア上にノズルから噴射して、30分後の摩擦係数μを測定し、以下のように評価した。
A(非常に滑る) :0.105未満
B(問題なく滑る):0.105以上〜0.130未満
C(潤滑不足) :0.130以上〜0.145未満
D(滑らない) :0.145以上
摩擦係数は以下の式を用いて算出した。
摩擦係数(μ)=引っ張り荷重値(g)/ボトル重量(g)
【0026】
<クラック試験>
(1)評価方法
前記のPETボトルに炭酸水を充填して圧力を0.5MPaに調整し、試験用PETボトルとした。次いで、表1及び2の各PETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物を水で100倍に希釈し、それぞれの中に試験用PETボトルを4本ずつ、底部(深さ0.50cm)だけを30分間浸漬し、その後取り出して、40℃、80%湿度の条件下に4週間放置した後、PETボトルの底部を目視観察して評価を行った。評価基準は次のとおりである。
A:クレージングなし、または殆どなし
B:クレージングの発生を確認
C:大きなクレージングが多数発生
D:クラックに至る
(2)落下試験
さらに、取り出した試験用PETボトルを、1.2mの高さからコンクリートの床面に鉛直に落下させ、割れるかどうかを確認する。割れなかった場合は、10回繰返し落下させる。結果を、試験用PETボトル4本中の割れた本数で示した。
【0027】
<殺菌力試験>
消毒薬検査指針に準拠した10分間死滅濃度法により行った。表1及び2の各PETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物を水で200倍に希釈し、緑膿菌及び黄色ブドウ球菌に対する殺菌力を、これら2種類の菌の繁殖の有無により評価した。
○:殺菌力あり(菌の繁殖なし)
×:殺菌力なし(菌の繁殖あり)
【0028】
<耐硬水性試験>
表1及び2の各PETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物を用いた耐硬水性試験を行った。
各PETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物を、硬度100ppmの水で200及び400倍に希釈し、25℃で一晩静置し、希釈溶液の状態を目視で観察し、次のように耐硬水性を評価した。
○:耐硬水性あり(濁り、沈殿、分離のいずれも認められない)
×:耐硬水性なし(濁り、沈殿、又は分離の少なくとも1つが認められる)
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【発明の効果】
本発明により、潤滑性、耐硬水性等に優れ、ポリアルキレンテレフタレート製容器に亀裂、クレージング、クラック、腐食等を発生させることを防止ないしは抑制する、ポリアルキレンテレフタレート製容器を搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアルキレンテレフタレート製容器を搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ビール、清涼飲料等の飲料類の工場におけるビンや缶、プラスチック容器等への充填工程では、ビンや缶、プラスチック容器等の容器類の搬送にコンベアが使用されている。これらコンベアには、容器類の搬送を効率良く行うために、通常コンベア表面にコンベア用潤滑剤が塗布されている。これらコンベアは自動制御により連続運転されており、容器類の流れが停止したときでもコンベアのみがそのまま連続運転されるからである。例えばビール工場、アルコール飲料工場、乳業工場、清涼飲料工場等の工場では、容器類を搬送するコンベアにおいて、コンベア用潤滑剤は、コンベアと容器類の底部との摩擦を低減させ、容器類を安定に搬送する目的で使用されている。
【0003】
従来のコンベア用潤滑剤としては、潤滑成分として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルサルコシン等を潤滑成分として含有するものが挙げられる(特許文献1参照)。
【0004】
一方、近年、飲料類の容器類は、ポリアルキレンテレフタレートの一種であるポリエチレンテレフタレート(PET)等を素材とするポリアルキレンテレフタレート製容器(以下PETボトルともいう)が好んで使用されており、工場等において、PETボトルの搬送工程、飲料類の充填工程においても、上記のようなコンベア用潤滑剤が使用されている。しかしコンベア用潤滑剤がPETボトルに付着し、PETボトルの表面に細い線状のヒビ(クレージング)が入ったり、さらに進んで割れ、クラックが発生する問題があった。特に炭酸飲料等をPETボトルに充填した場合に、保存時等にストレスクラックが発生し、PETボトルの破裂等を発生する問題があった。
【0005】
ストレスクラックを抑制する方法として、水溶性脂肪酸アルカリ塩と特定のジスルホン酸塩の使用(特許文献2参照)、水溶性脂肪酸アルカリ金属塩とロジン化合物の使用(特許文献3、4参照)等が提案されているが、満足出来る効果は得られていない。またコンベア用潤滑剤は、殺菌性を要求される場合もあり、また使用時の希釈水による硬度の影響を抑制する必要もあるが、これらの要望を満足するには、更に優れたコンベア用潤滑剤が望まれている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−64666号公報
【特許文献2】
特開平6−172773号公報
【特許文献3】
特開平7−310085号公報
【特許文献4】
特開平8−67894号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、潤滑性、耐硬水性等に優れ、ポリアルキレンテレフタレート製容器に亀裂、クレージング、クラック、腐食等を発生させることを防止ないしは抑制する、ポリアルキレンテレフタレート製容器を搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、潤滑成分として、ベタイン型両性界面活性剤とアミンオキシドに着目して、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、(a)ベタイン型両性界面活性剤及び/又は(b)アミンオキシドを含有する、ポリアルキレンテレフタレート製容器を搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物を提供するものである。
また本発明は、(a)ベタイン型両性界面活性剤が一般式(1)で示される、前記ポリアルキレンテレフタレート製容器を搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物を提供するものである。
【0009】
【化3】
【0010】
(式中R1は炭素数3〜29のアルキル基を示す)
また本発明は、(b)アミンオキシドが一般式(2)で示される、前記ポリアルキレンテレフタレート製容器を搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物を提供するものである。
【0011】
【化4】
【0012】
(式中R2は炭素数3〜29のアルキル基を示す)
また本発明は、さらに殺菌成分として(c)第4級アンモニウム塩を含有する、前記ポリアルキレンテレフタレート製容器を搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリアルキレンテレフタレート製容器を搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物(以下PETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物ともいう)は潤滑剤成分として、(a)ベタイン型両性界面活性剤及び/又は(b)アミンオキシドを含有する。
(a)潤滑剤成分のベタイン型両性界面活性剤は、例えば、アルキルアミノ酢酸ベタインが挙げられるが、特に下記一般式(1)のものが好ましい。
【0014】
【化5】
【0015】
一般式(1)中R1は、炭素数3〜29のアルキル、アルケニル、アルキニル基を示し、直鎖でも分岐でもよい。
潤滑剤成分(a)は1種類でもよく2種類以上を併用してもよい。
潤滑剤成分(a)の特に好ましい例としては、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、R1がヤシ油由来のヤシ油脂肪酸ジメチルベタイン等が挙げられ、ラウリルジメチルベタインが最も好ましい。
潤滑剤成分(b)のアミンオキシドとしては、例えば一般式(2)のものが好ましい。
【0016】
【化6】
【0017】
一般式(2)中R2は、炭素数3〜29のアルキル、アルケニル、アルキニル基を示し、直鎖でも分岐でもよい。
潤滑剤成分(b)は1種類でもよく2種類以上を併用してもよい。
潤滑剤成分(b)の特に好ましい例としては、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、Rがヤシ油由来のヤシ油脂肪酸ジメチルアミンオキシド等が挙げられ、ミリスチルジメチルアミンオキシドが最も好ましい。
本発明では、潤滑剤成分(a)と潤滑剤成分(b)の両方を含有しても、どちらか1種類以上を含有してもよく、両成分を併用したほうが好ましい。
【0018】
本発明のPETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物は、潤滑剤成分(b)を配合しない場合、潤滑剤成分(a)の含有量は1〜40重量%が好ましく、5〜10重量%がより好ましい。
本発明のPETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物は、潤滑剤成分(a)を配合しない場合、潤滑剤成分(b)の含有量は1〜50重量%が好ましく、5〜10重量%がより好ましい。
本発明のPETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物は、潤滑剤成分(a)と潤滑剤成分(b)を併用する場合、潤滑剤成分(a)の含有量は0.5〜20重量%が好ましく、5〜10重量%がより好ましい。潤滑剤成分(b)の含有量は0.5〜25重量%が好ましく、1〜5重量%がより好ましい。
【0019】
本発明のPETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物には、さらに殺菌成分として(c)第4級アンモニウム塩を使用することもできる。(c)第4級アンモニウム塩は、殺菌力を有する公知のものを含めいずれでもよいが、例えば、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルピリジニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。これら化合物のアルキル基は任意の炭素数のものでよいが、特に炭素数8〜18の長鎖アルキル基が好ましい。
【0020】
本発明のPETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物は、特にキレート剤を配合せずとも耐硬水性を有するが、任意成分としてキレート剤を配合してもよい。キレート剤は、キレート機能を有する公知のものでもよく、アミノカルボン酸またはその塩等が挙げられ、特に、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩、ポリアスパラギン酸、ポリアスパラギン酸ナトリウム塩、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三酢酸ナトリウム塩が好ましい。
キレート剤を配合する場合の配合量は、充分なキレート機能を発揮できればよく、PETボトル用潤滑剤組成物中0.5〜20重量%が好ましく、5〜10重量%がより好ましい。
【0021】
本発明のPETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物には、前記必須成分及び任意成分のほかに、更なる任意成分として、本発明の目的を損なわない範囲で、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、エタノール、イソプロパノール等の可溶化剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、殺菌剤、pH調整剤、消泡剤、アルカノールアミン類、水溶性高分子化合物、粘調剤、香料等も配合することができる。
【0022】
本発明のPETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物の使用方法は、公知のコンベア用潤滑剤組成物と同様に行えばよい。具体的には、水で100〜200倍に希釈し、コンベアベルトに供給するのが好ましい。本発明のPETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物の性能は、希釈水の硬度に影響されることがないので、キレート剤や軟水器の使用は必須ではない。
【0023】
本発明のPETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物は、ポリエチレンテレフタレート製容器などのポリアルキレンテレフタレート容器(いわゆるPET容器)の搬送に使用できる。特に、ビール、発泡酒、炭酸清涼飲料等の炭酸飲料用の容器類の搬送に好適である。また、PET容器以外にも、熱可塑性樹脂容器等の樹脂容器の搬送にも使用できる。もちろん、硝子製や金属製のビン、缶等の容器類の搬送に使用してもよい。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例1〜15により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
3種類の(a)アルキルアミノ酢酸ベタインと2種類の(b)アミンオキシドを、表1に示す組成(重量%)で配合し、本発明のPETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物を得た。
これらPETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物について、下記に示した潤滑性試験、クラック試験、殺菌力試験、耐硬水性試験を行なった。結果を表1に示す。
更に、界面活性剤3種類を、表2の組成(重量%)で配合し、比較例として、実施例と同様の試験を行ない、結果を表2に示した。
各試験項目についての試験条件、及び試験方法は、以下のとおりである。
【0025】
<潤滑性試験>
(1)試験条件
コンベア速度:60m/分
試験容器類 :容量1.5Lの、ワンピース炭酸PETボトルに、炭酸水を充填して1625gとして用いた。
(2)試験方法
ポリアセタール樹脂製のコンベア上にPETボトルを置き、表1及び2の各PETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物を水で200倍に希釈して、60ml/分の割合でコンベア上にノズルから噴射して、30分後の摩擦係数μを測定し、以下のように評価した。
A(非常に滑る) :0.105未満
B(問題なく滑る):0.105以上〜0.130未満
C(潤滑不足) :0.130以上〜0.145未満
D(滑らない) :0.145以上
摩擦係数は以下の式を用いて算出した。
摩擦係数(μ)=引っ張り荷重値(g)/ボトル重量(g)
【0026】
<クラック試験>
(1)評価方法
前記のPETボトルに炭酸水を充填して圧力を0.5MPaに調整し、試験用PETボトルとした。次いで、表1及び2の各PETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物を水で100倍に希釈し、それぞれの中に試験用PETボトルを4本ずつ、底部(深さ0.50cm)だけを30分間浸漬し、その後取り出して、40℃、80%湿度の条件下に4週間放置した後、PETボトルの底部を目視観察して評価を行った。評価基準は次のとおりである。
A:クレージングなし、または殆どなし
B:クレージングの発生を確認
C:大きなクレージングが多数発生
D:クラックに至る
(2)落下試験
さらに、取り出した試験用PETボトルを、1.2mの高さからコンクリートの床面に鉛直に落下させ、割れるかどうかを確認する。割れなかった場合は、10回繰返し落下させる。結果を、試験用PETボトル4本中の割れた本数で示した。
【0027】
<殺菌力試験>
消毒薬検査指針に準拠した10分間死滅濃度法により行った。表1及び2の各PETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物を水で200倍に希釈し、緑膿菌及び黄色ブドウ球菌に対する殺菌力を、これら2種類の菌の繁殖の有無により評価した。
○:殺菌力あり(菌の繁殖なし)
×:殺菌力なし(菌の繁殖あり)
【0028】
<耐硬水性試験>
表1及び2の各PETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物を用いた耐硬水性試験を行った。
各PETボトルを搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物を、硬度100ppmの水で200及び400倍に希釈し、25℃で一晩静置し、希釈溶液の状態を目視で観察し、次のように耐硬水性を評価した。
○:耐硬水性あり(濁り、沈殿、分離のいずれも認められない)
×:耐硬水性なし(濁り、沈殿、又は分離の少なくとも1つが認められる)
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【発明の効果】
本発明により、潤滑性、耐硬水性等に優れ、ポリアルキレンテレフタレート製容器に亀裂、クレージング、クラック、腐食等を発生させることを防止ないしは抑制する、ポリアルキレンテレフタレート製容器を搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物を提供することができる。
Claims (4)
- (a)ベタイン型両性界面活性剤及び/又は(b)アミンオキシドを含有する、ポリアルキレンテレフタレート製容器を搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物。
- さらに殺菌成分として(c)第4級アンモニウム塩を含有する、請求項1〜3のいずれか1項記載のポリアルキレンテレフタレート製容器を搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物。
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JP2003110587A JP2004315634A (ja) | 2003-04-15 | 2003-04-15 | ポリアルキレンテレフタレート製容器を搬送するためのコンベア用潤滑剤組成物 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007119557A (ja) * | 2005-10-26 | 2007-05-17 | Daisan Kogyo Kk | 樹脂製コンベア用潤滑剤組成物およびその使用方法 |
JP2013001856A (ja) * | 2011-06-20 | 2013-01-07 | Kohjin Co Ltd | ミスト抑制剤 |
-
2003
- 2003-04-15 JP JP2003110587A patent/JP2004315634A/ja active Pending
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