JP2004315411A - 乳酸含有溶液を用いた乳酸エステルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】乳酸エステルの生産方法において、乳酸及び/又は乳酸塩、乳酸エステルを得るためのC1〜C6のアルコール、及び水と2層分離系を構成し前記乳酸エステルを得るためのアルコールと異なるアルコールであってC4〜C10の2級及び3級アルコールから選択される1種あるいは2種以上である非水溶媒、を含有する合成反応系を用いて前記乳酸エステルを合成する。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、乳酸エステル及びポリ乳酸の生産技術に関し、詳しくは、乳酸原料として乳酸発酵液などの希薄な乳酸含有液を利用して乳酸エステルを効率的に生産する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリ乳酸は、乳酸からの直接脱水縮合、乳酸エステルからの脱アルコール縮合、あるいはラクチドの開環重合によって製造されている。
乳酸エステルは、ポリ乳酸合成のための重要な中間体とされ、各種の製造技術が開示されている。
【0003】
乳酸等から化学合成を経て乳酸エステルを得る方法としては、例えば、乳酸発酵で得られた乳酸アンモニウム水溶液とこの乳酸アンモニウムに対してエタノールとを反応させ直接乳酸エステルを合成し、この乳酸エステルを重縮合してポリ乳酸を合成し、このポリ乳酸を解重合等することが記載されている(特許文献1)。この方法によれば、発酵法により製造したL−乳酸アンモニウム溶液(乳酸濃度68%)と3.6倍モル量のエタノールとを90〜100℃で3時間加熱し、未反応エタノールを留去し、次いで水を留去し、その後減圧蒸留して精製L−乳酸エチルを用いたことが記載されている。また、上記方法では、乳酸エステルの収率を向上させるためには、加圧すること(反応温度を上げる)の他、乳酸に対するエタノール量を増大させて反応の平行をエステル化側へ傾けることが記載されている。
【0004】
また、乳酸アンモニウムから直接アルコールとの反応により、乳酸エステルを合成する方法について開示されている(非特許文献1)。この方法では、エステル化に用いるアルコールとして炭素数4以上のアルコールしか記載されていない。また、乳酸アンモニウム原料として、70%程度に濃縮された乳酸アンモニウム溶液を用いている。さらに、用いるアルコールが水溶性の場合には、トルエンなどの他の溶媒を添加できることが記載されているが、トルエン以外の具体的溶媒は記載されていない。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−300898
【非特許文献】
Industrial and Engineering Chemistry(1952), p2189−2191, ”Lactate Esters by Reaction of nnmoniumu Lactate withalchols”
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
これらの合成による乳酸のエステル化方法によれば、いずれも、乳酸濃度が70%程度の濃厚な乳酸アンモニウム水溶液が用いられている。これは、乳酸アンモニウムとアルコールとを反応させて乳酸エステルを得るには乳酸の濃厚溶液を用いることが好ましいからである。すなわち、乳酸濃度を高めて水量を少なくすることにより、生成したエステルの加水分解により乳酸とアルコールに戻る方向へ平衡が傾いてしまうことを抑制するためである。
しかしながら、通常、乳酸発酵等で得られる乳酸アンモニウム水溶液は、数%〜10%程度の低濃度溶液である。したがって、乳酸濃度を70%程度にまで濃縮するには、多大なエネルギーを必要とすることになる。
以上のことから、結局のところ、希薄な乳酸あるいは乳酸アンモニウム溶液を利用し、かかる乳酸原料とアルコールとから乳酸エステルを合成反応によって効率的に得ることができないのが現状である。
【0007】
そこで、本発明では、希薄な乳酸原料に適した化学合成による乳酸エステルの合成反応系を構築し、もって、かかる乳酸原料に適した乳酸エステルの生産方法を提供することをその目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、乳酸あるいは乳酸アンモニウムなどの乳酸塩(以下、乳酸とその塩を合わせて乳酸等という場合がある。)と水とを含む乳酸原料とアルコールとから化学合成により乳酸エステルを得る合成反応系において、非水溶媒を用いた反応系に着目した。さらに、合成反応系における非水溶媒として、乳酸の水と当該非水溶媒間の分配率、及び生成物であるエステルの水と当該非水溶媒間の分配率に着目し、一定以上の分配率を達成する非水溶媒によれば、エステル化反応を効率的に実現しかつエステルの分離を容易に実現できることを見出した。また、本発明者らは、上記非水溶媒によれば、含水乳酸原料から乳酸を抽出等して得られる非水反応系のエステル合成反応にも利用できることを見出した。
本発明者らが見出したこれらの知見により、以下の手段が提供される。
【0009】
(1)乳酸エステルの生産方法であって、
以下の成分(a)〜(d);
(a)乳酸及び/又は乳酸塩、
(b)前記乳酸エステルを得るためのC1〜C6のアルコール、
(c)水、及び
(d)水と2層分離系を構成する非水溶媒であって、水と当該非水溶媒との間において当該非水溶媒に対して乳酸が有する第1の分配率が18%以上であり、水と当該非水溶媒との間において当該非水溶媒に対して前記乳酸エステルが有する第2の分配率が50%を超える非水溶媒、
を含有するエステル合成反応系を用いて前記乳酸エステルを合成する工程を備える、方法。
(2)前記第1の分配率が20%以上である、(1)記載の方法。
(3)前記第2の分配率が75%以上である、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)前記非水溶媒は、前記乳酸エステルを得るためのアルコールと異なるアルコールであってC1〜C10の2級及び3級アルコールから選択される1種あるいは2種以上である、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)前記非水溶媒は、前記乳酸エステルを得るためのアルコールと異なるアルコールであって、C4〜C6の2級及び3級アルコールから選択される1種あるいは2種以上である、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(6)前記非水溶媒は、2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、及び3−メチル−2−ブタノールからなる群から選択される1種あるいは2種以上である、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(7)前記乳酸エステルを得るためのアルコールは、C2〜C4のアルコールである、(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8)前記合成反応系における、乳酸及び/又は乳酸塩と水として乳酸発酵液を用いる、(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
(9)前記反応系は、前記乳酸塩として乳酸アンモニウムを含む、(1)〜(8)のいずれかに記載の方法。
(10)前記合成工程には、前記合成反応系から乳酸エステルを含む非水溶媒を採取する工程と、採取した非水溶媒から乳酸エステルを分離する工程と、乳酸エステル分離後の非水溶媒を回収し、前記合成反応系に供給する工程、とを含む、(1)〜(9)のいずれかに記載の方法。
(11)乳酸エステルの生産方法であって、
以下の成分(a)〜(d);
(a)乳酸及び/又は乳酸塩、
(b)前記乳酸エステルを得るためのC1〜C6のアルコール、
(c)水、及び
(d)水と2層分離系を構成し、前記乳酸エステルを得るためのアルコールと異なるアルコールであってC4〜C10の2級及び3級アルコールから選択される1種あるいは2種以上である非水溶媒、
を含有するエステル合成反応系を用いて前記乳酸エステルを合成する工程を備える、方法。
(12)前記非水溶媒は、C4〜C6の2級及び3級アルコールから選択される1種あるいは2種以上である、(11)に記載の方法。
(13)前記非水溶媒は、2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、及び3−メチル−2−ブタノールからなる群から選択される1種あるいは2種以上である、(12)に記載の方法。
(14)前記乳酸エステルを得るためのアルコールは、C2〜C4のアルコールである、(11)〜(13)のいずれかに記載の方法。
(15)前記反応系は、前記乳酸塩として乳酸アンモニウムを含む、(11)〜(15)のいずれかに記載の方法。
(16)乳酸エステルの生産方法であって、
含水乳酸原料に対して、水と2層分離系を構成し、水と当該非水溶媒との間において当該非水溶媒に対して乳酸が有する第1の分配率が18%を超え、水と当該非水溶媒との間において当該非水溶媒に対して前記乳酸エステルが有する分配率が50%を超える非水溶媒を用いて、当該非水溶媒中に乳酸を抽出する工程と、
抽出された乳酸を含む前記非水溶媒と、前記乳酸エステルを得るためのC1〜C6のアルコール、とを含有する合成反応系を用いて前記乳酸エステルを合成する工程、
とを備える、方法。
(17)前記抽出工程には、乳酸を含む非水溶媒を採取する工程と、採取した非水溶媒から乳酸を分離する工程と、乳酸分離後の非水溶媒を回収し、前記含水乳酸原料に供給する工程、とを含む、請求項16に記載の方法。
(18)前記非水溶媒は、前記乳酸エステルを得るためのアルコールと異なるアルコールであってC4〜C10の2級及び3級アルコールからなる群から選択される1種あるいは2種以上である、(16)又は(17)に記載の方法。
(19)前記非水溶媒は、前記乳酸エステルを得るためのアルコールと異なるアルコールであって、C4〜C6の2級及び3級アルコールから選択される1種あるいは2種以上である、(16)又は(17)に記載の方法。
(20)前記非水溶媒は、2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、及び3−メチル−2−ブタノールからなる群から選択される1種あるいは2種以上である、(16)又は(17)に記載の方法。
(21)前記乳酸エステルを得るためのアルコールは、C2〜C4のアルコールである、(16)又は(17)に記載の方法。
(22)乳酸エステルの生産方法であって、
以下の成分(a)〜(c);
(a)乳酸及び/又は乳酸塩、
(b)前記乳酸エステルを得るためのC1〜C6のアルコール、
(c)水と2層分離系を構成し、前記乳酸エステルを得るためのアルコールと異なるアルコールであってC4〜C10の2級及び3級アルコールから選択される1種あるいは2種以上である非水溶媒、
を含有するエステル合成反応系を用いて前記乳酸エステルを合成する工程を備える、方法。
(23)前記非水溶媒は、C4〜C6の2級及び3級アルコールからなる群から選択される1種あるいは2種以上である、(22)に記載の方法。
(24)前記非水溶媒は、2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノールからなる群から選択される1種あるいは2種以上である、(23)記載の方法。
(25)乳酸エステルの製造装置であって、
少なくとも、乳酸及び/又は乳酸塩を含有する乳酸原料と、非水溶媒と、エステル化のためのアルコールとを収容し乳酸のエステル化反応を実施する反応槽と、
前記反応槽中の非水溶媒を採取する手段と、
採取された非水溶媒から乳酸エステルを分離する手段と、
乳酸エステル分離後の非水溶媒を前記反応槽に供給する手段、
とを備える、装置。
(26)前記分離手段は蒸留装置である、(25)に記載の装置。
(27)前記非水溶媒採取手段、前記乳酸エステル分離手段及び前記非水溶媒供給手段は前記反応槽に付随して備えられる非水溶媒循環ループを構成する、(25)又は(26)に記載の装置。
【0010】
これらの発明においては、いずれも、その合成反応系において、いずれも一定の非水溶媒を使用する。
すなわち、水と2層分離系を構成し、水と当該非水溶媒との間において当該非水溶媒に対して乳酸が有する第1の分配率が18%を超え、水と当該非水溶媒との間において当該非水溶媒に対して前記乳酸エステルが有する分配率が50%を超える非水溶媒、あるいは、
水と2層分離系を構成し、エステル化のためのアルコールと異なるアルコールであって炭素数4〜10(C4〜C10)の2級及び3級アルコールからなる群から選択される1種あるいは2種以上である非水溶媒、
を用いることを特徴としている。
いずれかの非水溶媒を用いることにより、反応系に水を含んでいても、水に起因する悪影響をできるだけ抑制して、効率的に、乳酸のエステル化反応を実施しかつエステルを分離できる。すなわち、これらの溶媒系においては、少なくとも部分的には合成の一方の原料である乳酸が本非水溶媒側に分配されており、水層側あるいは本非水溶媒側のいずれで合成反応が進行したとしても、反応により生成したエステルは高い分配率を有する本非水溶媒側に保持される。水層で合成反応が進行しても、エステルは非水溶媒側に移行しやすく、非水溶媒層で反応が進行すれば、水層側に脱水縮合反応により生成した水は速やかに移行する。このような2層間における原料と生成物の分配により、エステル化反応の促進と分離とを両立させることができるようになる。この結果、合成反応と同時に非水溶媒側へ乳酸エステルを濃縮することができる。
特に、希薄な乳酸濃度の乳酸発酵液を含む含水乳酸原料の合成反応においては、かかる乳酸原料自体が、水との間で一定以上の分配率を有する非水溶媒を用いることにより、一層効果的に、乳酸濃度や水の影響を抑制して合成反応と分離とを実現できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明は、化学合成による乳酸のエステル化に際し、合成反応系(非酵素反応系を意味している)の反応媒体として、
水と2層分離系を構成し、水と当該非水溶媒との間において当該非水溶媒に対して乳酸が有する第1の分配率が18%を超え、水と当該非水溶媒との間において当該非水溶媒に対して前記乳酸エステルが有する分配率が50%を超える非水溶媒、あるいは、水と2層分離系を構成し、エステル化のためのアルコールと異なるアルコールであって炭素数4〜10の2級又は3級アルコールから選択される1種あるいは2種以上である非水溶媒(以下、これらの非水溶媒を本非水溶媒ともいう。)を用いることを特徴としている。
なお、これらの溶媒を乳酸含有液から乳酸を抽出する抽出媒体として使用することもできる。
以下、本発明の各種実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、適宜図面を参照するが、これらの図面に示される形態は本発明の一実施形態を例示したものであり、本発明を当該図示内容に限定する趣旨ではない。
【0012】
(乳酸エステルの生産方法)
本発明の生産方法は、本非水溶媒を含む合成反応系を用いて乳酸エステルを生産する方法である。
図1及び図2には、本発明の合成反応系の異なる形態を例示している。また、図3〜図5には、本生産方法を含むの各種形態のフローを示し、図7には本発明の乳酸の製造装置を例示する。
【0013】
(乳酸)
本合成反応系を構成する乳酸及び/又は乳酸塩は、特に、限定しないでL体又はD体の光学活性体及びラセミ体(DL体)の乳酸及び/又はその塩を用いることができる。
本発明において使用する乳酸は、必要に応じて、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸を選択すればよい。最終的にポリ乳酸を得る場合には、L体,D体、及びDL体のいずれであってもよく、これらを適宜組み合わせて用いることもできる。
【0014】
乳酸は、化学合成によっても、また、発酵生産等によっても得ることができる。化学合成による場合には一般に光学不活性なラセミ体として得られる。合成により得られたラセミ体はその後、光学分割により、光学活性体とすることができる。
発酵により生産される乳酸は、使用する微生物を選択することにより、L−乳酸、D−乳酸及びラセミ体を、必要に応じて調製することができる。光学活性なL−乳酸及びD−乳酸を得る場合には、乳酸発酵液を用いることが好ましい。なお、乳酸発酵液は、そのまま、あるいは必要に応じて適宜、遠心分離、活性炭処理、溶媒抽出、電気透析、膜ろ過などにより微生物やその他の夾雑物を除去して用いることができる。なお、乳酸発酵液は、従来公知の乳酸発酵菌から必要に応じた菌を選択して用いて得ることができる。例えば、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、ロイコノストック属などから必要に応じて選択する。
【0015】
乳酸は乳酸塩であってもよい。乳酸発酵液を用いる場合、アンモニアなどにより中和されアンモニウム塩を含む乳酸発酵液を用いることができる。塩の種類は特に限定しないが、アンモニアなどの有機塩基であることが好ましい。特に、本発明においては、乳酸アンモニウムなどの乳酸塩を含む含水乳酸原料に適用しても、高効率で乳酸エステルを得ることができる。合成反応系においては乳酸アンモニウムからのエステル化を効率よく行うことができる。
また、本発明によれば、合成反応と同時に乳酸エステルが分離濃縮される。したがって、10%(重量%、以下同じ。)程度の濃度の乳酸あるいは乳酸塩を含有する含水乳酸原料でも、高い収率(50%)で乳酸エステルを得ることができる。乳酸または乳酸塩の濃度は、10%以上であることが好ましく、20%以上の濃度の含水乳酸原料であればより好ましく、さらに好ましくは、30%以上の濃度の含水乳酸原料である。また、上限は、特に限定しないが、90%以下であることが好ましい。
したがって、本発明においては、通常、乳酸等濃度が5%以上10%程度である乳酸発酵液をそのまま含水乳酸原料として用いることができる。なお、濃縮した含水乳酸原料を用いることを排除するものではない。
【0016】
なお、本発明において乳酸原料という場合、乳酸及び/又はその塩を少なくとも含有する。他に水や有機溶媒などの溶媒を含有することができる。また、特に含水乳酸原料という場合には、乳酸及び/又はその塩と水とを含有している。製造あるいは入手容易な乳酸原料は、通常、水分を含み乳酸及び/又はその塩の溶液となった含水乳酸原料である。含水乳酸原料は、典型的には、乳酸発酵液である。
【0017】
(乳酸エステルを得るための炭素数1〜6のアルコール)
本合成反応系の他方の基質は炭素数1〜6のアルコールである。好ましくは、アルキルアルコールである。アルキル基は直鎖の他分枝鎖アルキル基であってもよいが、エステル化反応性を向上させる観点からは直鎖アルキル基であることが好ましい。
かかるアルキル基は、好ましくは炭素数が4以下の直鎖アルキル基である。かかるアルキル基を有するアルコールを用いて乳酸エステルを用いる場合、水溶性乳酸エステルが合成されるため、非水溶媒を含む本合成反応系が有利である。具体的には、かかる直鎖アルキル基は、炭素数が2以上4以下のアルキル基とすることができ、典型的には、エチル基あるいはn−ブチル基である。また、炭素数が3以下のアルキル基とすることもできる。
以上のようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基を挙げることができる。
アルコールの添加量は、乳酸(塩)の等量以上が好ましく、より好ましくは2倍量以上であることが好ましい(ただし、多すぎると非水溶媒の水との分離を妨げる可能性がある)。
【0018】
当該アルコールは、1価のアルコールであることが好ましいがポリオールも用いることができる。また、第1級アルコールであることが好ましい。第2級あるいは第3級アルコールの場合、立体障害によりエステル化されにくくなるからである。
以上のことから、好ましいアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、n−ヘキシルアルコールを好ましいアルコールとすることができ、より好ましくは、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、であり、さらに好ましくは、エチルアルコール、n−ブチルアルコールである。最も好ましくは、エチルアルコールである。
【0019】
(非水溶媒)
本発明の合成反応系において用いることのできる本非水溶媒は、第1に、水と2層分離系を構成する非水溶媒である。また、第2に、水と当該非水溶媒との間において当該非水溶媒に対して乳酸が有する第1の分配率が18%を超え、水と当該非水溶媒との間において当該非水溶媒に対して前記乳酸エステルが有する分配率が50%を超える非水溶媒である。
ここで、水と2層分離系を構成するとは、水と当該非水溶媒とを混和しても、その後2層に分離することを意味している。本発明において非水溶媒に乳酸エステルを蓄積させ、当該非水溶媒を採取することで乳酸エステルを合成反応系から分離回収することを1つの目的とする。したがって、かかる目的が達成できる範囲で2層分離系を構成できればよく、互いに部分的に相溶していることを妨げるものではない。特に水との関係で水層に対して上層側に位置されるかあるいは下層側に位置されるかは特に問わない。
【0020】
この非水溶媒は、水と2層分離系を構成すること以外は、水と当該非水溶媒との間において当該非水溶媒に対して乳酸及び乳酸エステルが有する分配率によって規定することができる。ここで、分配率とは、体積で同量の水と非水溶媒とを十分に混合した上で、試料(乳酸あるいは乳酸エステル)を添加し、十分に攪拌混合した後、16時間静置して放置し、水層と非水溶媒層とのそれぞれに含まれる試料の全量を測定し、測定により得られた全体の試料量に対するそれぞれの層に分配された試料の割合(重量%)を分配率というものとする。したがって、第1の分配率は前記試料が乳酸であり、第2の分配率は前記試料が乳酸エステルである。
【0021】
水や非水溶媒の量、試料量、攪拌方法や時間、温度などの攪拌条件、静置時間や静置温度等の各種測定条件は、各種設定することができる。両試料間においてこれらの測定条件を同一とすることにより得られた第1の分配率と第2の分配率であれば本非水溶媒を選択する指標として用いることができる。好ましくは、合成反応条件を考慮して測定条件を設定し、当該条件を用いて本非水溶媒を選択する。
【0022】
例えば、乳酸とそのC1〜C2のアルキルエステルについて適用できる測定条件として以下の条件範囲を挙げることができる。水及び非水溶媒量としてそれぞれ同量で50〜500ml、試料量としてそれぞれ同量で100mg〜10g、攪拌条件として1分間に120回以上の振とう攪拌程度の激しい攪拌レベルで10〜60分、温度20〜70℃、静置条件として、約25℃、1〜24時間の範囲で測定しようとする乳酸と乳酸エステルの種類及び非水溶媒の種類に応じて選択することができる。
さらに、例えば、乳酸と乳酸エチルあるいは乳酸ブチルとについての、水と、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、トルエン、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール等の非水溶媒間における第1の分配率と第2の分配率とを得る場合には、次の条件を採用することができる。すなわち、水及び非水溶媒をそれぞれ50ml、乳酸若しくは乳酸エステルを1g、攪拌条件として37℃で1分間に120回の振とうを1時間行い、24時間室温で静置するという条件を採用することができる。
【0023】
本非水溶媒は、第1の分配率が18%を超えることが好ましい。18%未満であると、合成反応が実質的に水層側で行われることになり、水の存在によってエステル合成の逆反応であるエステルの加水分解反応性が高くなってしまい、有効に合成反応を実現できなくなるからである。より好ましくは、20%以上であり、さらに好ましくは、23%以上である。第1の分配率が高ければ、非水溶媒側において効率的に合成反応を進めることができる。第1の分配率の上限は特に限定しないが、第2の分配率よりも低くすることができる。
【0024】
また、第2の分配率は、50%を超えることが好ましい。50%以下であると、2層分離系における合成反応が加水分解側へ進行しやすくなり、また、非水溶媒層への乳酸エステルの分離蓄積が有効に行われなくなる傾向がある。より好ましくは、75%以上であり、さらに好ましくは、85%以上である。75%以上であると2層分離系における非水溶媒側への乳酸エステルの分離蓄積を効果的に実現できる。なお、第2の分配率は、第1の分配率を超えていることが好ましい。
【0025】
水と2層分離系を構成し、特定の第1の分配率と第2の分配率とを有する非水溶媒は、アルコール、エステル、芳香族系溶剤、脂肪族環系溶剤、エーテル、ケトン等の各種溶媒であって水と2層分離系を構成する溶媒を選択し、次いで、乳酸と得ようとする乳酸エステルについての第1の分配率と第2の分配率とを測定することによって選択することができる。
本非水溶媒としてのアルコールは、得ようとする乳酸エステルのためのアルコールに替わり乳酸をエステル化したり目的物として生成した乳酸エステルとエステル交換反応したりしないような(あるいはこれらの反応が抑制されている)アルコールであることが好ましい。なお、アルコールは、得ようとする乳酸エステルの沸点から一定以上高い沸点を有するものを容易に選択できる点において好ましい。
したがって、アルコールとしては、2級あるいは3級のアルコールであることが好ましく、1価あるいは2価以上の多価アルコールでもよいが、好ましくは、1価のアルコールである。また、沸点等の観点から、C4〜C10のアルコールであることが好ましい。なかでも、C4〜C6アルコールであることが好ましい。
【0026】
エステルは、酢酸エチル、ピルビン酸エチルとすることができ、エーテルはジエチルエーテル、ジイロプロピルエーテルとすることができる。
したがって、かかる非水溶媒としては、アルコールとして採用する場合、2級又は3級アルコールとすることが好ましい。これらのアルコールは、エステル化用アルコールに比較して立体障害性等からエステル化あるいはエステル交換反応を生じにくいからである。また、C4〜C10のアルコールとすることが好ましい。なお、当該アルコールは、1価のアルコールであることが好ましい。
【0027】
非水溶媒は、例えば、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール等をはじめとするC4〜C10の2級又は3級アルコールから選択する1種あるいは2種以上とすることができる。なかでも、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノールを好ましいものとして挙げることができる。これらはいずれも、少なくとも乳酸とそのエチルエステル、及び乳酸とそのブチルエステルにおいて上記特性を充足しているということができる。一方、かかる特性を充足しない非水溶媒を参考までに例示すると、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン及びトルエンを挙げることができる。
【0028】
一方、本発明においては、非水溶媒を、水と2層分離系を構成するアルコールとし、上記したエステル化やエステル交換を回避又は抑制する観点から、C4〜C10の2級又は3級アルコールから選択される1種あるいは2種以上とすることができる。得られる本発明の乳酸エステルの範囲からすると、水とこれらのアルコールとの間においては、これらアルコール側への乳酸エステルの分配率が高いであろうことが理解される。これらのアルコールとしては、2−ブタノール、t−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、2−ヘキサノール、3−へキサノール、1,1−ジメチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ペンタノール等などを選択することができる。蒸留による当該非水溶媒の分離等を考慮すると、好ましくは、C4〜C6の2級あるいは3級アルコールであり、より好ましくは、C4〜C5の2級あるいは3級アルコールである。かかるアルコールとして、2−ブタノール、t−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノールから選択される1種あるいは2種以上とすることができる。より好ましくは、2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノールである。
【0029】
(水)
本発明の合成反応系には、必ずしも水を含んでいる必要はないが、水を含んでいても本非水溶媒を用いることにより、効率的にエステル化を行い、乳酸エステルを非水溶媒側に分離・蓄積させ、結果として本非水溶媒側に濃縮することができる。したがって、図1及び図2に示すように、水を含む合成反応系(図1)と水を含まない合成反応系(図2)とをそれぞれ構成することができる。図1に示される、合成反応に先だって水を飽和量を超えて含む合成反応系は、その乳酸(あるいは乳酸と水)資源として、乳酸発酵液などの含水乳酸原料を用いる場合に適している。また、水は非水溶媒に対して体積で100%以上含まれていてもよい。好ましくは60%以下であり、より好ましくは50%以下である。
図2に示す、合成反応に先だっては水を含まない(但し、飽和水量以下の水を含む場合もある。また、合成反応の進行に伴い、水が生成する)合成反応系は、例えば、予め乳酸発酵液などの含水乳酸原料に対して、本非水溶媒を利用して乳酸を抽出した場合の抽出液(非水溶媒)を用いる場合に適している。
【0030】
(乳酸エステルの合成工程)
次に、本非水溶媒を含む合成反応系を用いて乳酸エステルを合成する工程について図1〜図5を参照しながら説明する。
飽和量を超える水を含む合成反応系(以下、含水合成反応系ともいう。)を用いて乳酸エステルを生産するには、適当な反応条件を付与することができる。エステル化の反応条件は、例えば、80℃〜150℃、好ましくは、120℃〜150℃とすることができる。また、加圧することにより反応温度を上げて反応速度を上げることもできる。なお、加圧下で反応させる場合には、適当な耐圧性容器を用いることが好ましい。また、必要に応じて還流しながら反応させることもできる。
【0031】
当該含水合成反応系において乳酸発酵液を用いる場合には、乳酸はアンモニウム塩等の乳酸塩の形態が含まれることが多い。この場合、乳酸塩は非水溶媒に溶解しにくく、また、合成反応性が相対的に低いことがある。このような場合、反応温度を120℃以上に上げることにより乳酸塩のエステル化反応を促進することができる。また、アンモニウム塩の場合にはエステル化の進行によりアンモニアが発生する。反応系内にN2などを導入し、アンモニアをガスとして系外へ排出することで、乳酸塩への逆戻りを防ぎ、エステル化を促進することができる。また、反応系のpHを硫酸などをの酸を加えて酸性(例えば、pH2.5〜4.0程度)とし、乳酸と乳酸塩との平衡状態を形成し、乳酸がエステル化により非水溶媒側へ移行することにより、平衡が塩から乳酸側へと傾かせ、乳酸のエステル化反応を促進することができる。また、反応系に、別途金属イオンなどのプラスイオンとの無機塩(例えば、硫酸塩など)を添加することで平衡を乳酸側へずらすことも可能である。なお、無機塩は、合成反応を阻害しない範囲内の種類と添加量にて使用することができる。
【0032】
合成反応にあたっては、原料同士の接触を促進させるため、合成反応系を混合又は攪拌することが好ましい。このための手段は特に限定しないが、ガスの供給、振とう、回転翼等による機械的攪拌、反応系液体の噴流循環などの各種手段を採用することができる。
【0033】
含水合成反応系において合成反応を進行させることにより、乳酸エステルが系内において生成され、非水溶媒側へ分離され、蓄積される。一旦生成した乳酸エステルは、水と分離されるため、加水分解されにくく有効に分離蓄積される。
【0034】
また、乳酸エステル合成工程に対して、乳酸エステルの分離を伴う非水溶媒の循環工程を付随させることもできる。すなわち、図3に示すように、合成反応系の非水溶媒の少なくとも一部を採取し、蒸留等の分離手段により乳酸エステルと非水溶媒とを分離し、分離した非水溶媒を合成反応系に供給(返流)する一連の工程を実施することができる。かかる一連の工程は、合成反応に対して連続的にあるいは間欠的に行うことができる。合成反応系における非水溶媒側の乳酸エステル濃度増大を抑制することで、合成反応を促進すると同時に加水分解を抑制し、非水溶媒側への分離蓄積を促進できる。分離工程において乳酸エステルは分離あるいは濃縮され、例えば、ポリ乳酸の製造工程などの有用な原料等となる。分離工程を実施することで、合成反応系において非水溶媒の体積が減少する場合には、新たな非水溶媒を供給することが好ましい。
【0035】
また、採取した非水溶媒の分離工程を実施後、非水溶媒をそのまま合成反応系に返流せず、貯留槽などの貯留手段に回収し、別途利用することもできる。この場合に、合成反応系に非水溶媒を補給するべく、新たな非水溶媒、あるいは貯留手段に貯留しておいた非水溶媒を生産工程に供給することが好ましい。
【0036】
次に、図2に示す非水合成反応系を用いる乳酸エステルの生産工程について図2、図4及び図5を参照しながら説明する。
非水合成反応系を構築する場合、乳酸発酵液などの乳酸含有溶液に対して本非水溶媒で抽出工程を実施し、この抽出工程によって得られた乳酸を含む非水溶媒を用いることが好ましい(図4参照)。本非水溶媒による乳酸抽出液を用いると非水合成反応系を容易に構築できる。
この抽出工程においても、本非水溶媒は水と2層分離系を構成するため、水層の乳酸発酵液においては、乳酸は乳酸塩の形態で含まれていることが多いため、この抽出工程に際しては、既に述べたようなpH調整あるいは無機塩の添加により乳酸と乳酸塩との平衡を乳酸側にずらした状態を形成することが好ましい。
【0037】
非水合成反応系に付与する合成反応条件は、含水合成反応系に付与するものと同等とすることができる。合成反応系においては、乳酸塩の形態でも実効ある合成反応性を得ることができるが、乳酸塩の存在を前提とするpH調整あるいは無機塩の添加も有効である場合もある。合成反応の進行に伴って水が生成し、水層が影響する場合には、水層のpH等が考慮される場合もありうる。
なお、合成反応に伴って生成する水を系外に除去することにより合成反応を促進し収率を高めることができる。このためには、例えば、合成反応を阻害しない範囲で脱水材を添加することができる。脱水材としては、モレキュラーシーブ(商品名)などの合成フッ石の他各種セラミックスなどの水吸着能のある多孔質材料や粘土鉱物などを使用することができる。また、浸透気化膜などを用いて脱水を行うことも可能である。
【0038】
また、この乳酸抽出工程に対して、乳酸の分離を伴う非水溶媒の循環工程を付随させることもできる。すなわち、図5に示すように、合成反応系の非水溶媒の少なくとも一部を採取し、蒸留等の分離手段により乳酸と非水溶媒とを分離し、分離した非水溶媒を抽出工程に供給(返流)する一連の工程を実施することができる。かかる一連の工程は、抽出工程に対して連続的にあるいは間欠的に行うことができる。抽出工程における非水溶媒側の乳酸濃度増大を抑制することで、乳酸の非水溶媒側への抽出を促進できる。分離工程において分離あるいは濃縮された乳酸は、乳酸エステルの製造工程の合成反応系に供給することができる。なお、乳酸分離工程を実施することで、合成反応系において非水溶媒の体積が減少する場合には、新たな非水溶媒を供給することが好ましい。
【0039】
このように乳酸の抽出工程と乳酸エステルの生産工程を通じて、本水溶媒は抽出溶媒であると同時に反応媒体としても機能している。本非水溶媒によれば、乳酸発酵液などの希薄な含水乳酸原料に対する有用な抽出溶媒として有用である。また、同時に合成反応により乳酸エステルの生成分離を有効に行いうる媒体として有用である。
【0040】
したがって、図6に示すように、本非水溶媒は、乳酸発酵液などの含水乳酸原料から乳酸を抽出する方法それ自体にも有用である。この抽出方法は、既に説明した乳酸エステルの生産方法に有用な乳酸を提供するのみならず、乳酸水溶液から乳酸を得る方法としても有用である。なお、非水溶媒中に得られた乳酸を用いて、直接、オリゴマー製造工程及びラクチド合成工程を経てポリ乳酸を製造することも可能である。
【0041】
いずれの合成反応系においても、本非水溶媒中に乳酸エステルを得ることができ、この非水溶媒から乳酸エステルを分離回収することができる。分離回収手段は特に限定しないが、乳酸エステルと本非水溶媒との分離は、通常の蒸留技術により回分式あるいは連続式で容易に実施することができる。例えば、そのまま減圧下に蒸留することもできる。また、付随して膜ろ過等を実施することもできる。
【0042】
このようにして得られた乳酸エステルは、各種用途に用いられる。たとえば、乳酸エチルは、半導体の洗浄等に利用することができる。
得られた乳酸エステルを用いてポリ乳酸を製造しようとする場合、そのままあるいはエステル交換反応などを経てオリゴマー製造工程に供給することができる。あるいは、この乳酸エステルを加水分解してフリーの乳酸とし、その後、オリゴマー製造工程に供給することもできる。オリゴマー製造工程後は、ラクチド製造工程を経てポリ乳酸を得ることができる。
したがって、本発明には、上記した各種態様の乳酸エステル生産工程を含むポリ乳酸生産方法も包含される。
【0043】
(装置)
次に、本発明の乳酸エステルの生産方法に使用するのに適した装置について図7を参照しながら説明する。
本装置2は、図3に示す乳酸エステルの生産工程を実施するのに適した装置である。本装置2は、反応槽4と、当該反応槽4から非水溶媒を採取する手段12と、採取した非水溶媒から乳酸エステルを分離する手段16と、乳酸エステル分離後の非水溶媒を反応槽4へ供給する手段22とを備えている。
反応槽4は、乳酸原料と非水溶媒とエステル化のためのアルコールとを収容することができる。乳酸原料が水を含有する場合には、反応槽4内において、水と非水溶媒とが2層分離系を構成する。図7に示す装置2の反応槽4は、含水乳酸原料をエステル化する際の反応槽4となっている。
反応槽4としては、特に限定しないで各種態様の槽形態を採用することができる。すなわち、一般的な容器形態に限らず、管状、塔状等も採用することができる。
反応槽4は、好ましくは、槽内の反応を促進させるための混合あるいは攪拌手段を備えている。このための手段は特に限定しないが、ガスの供給、振とう、回転翼等による機械的攪拌、反応媒体の噴流循環などの各種手段を採用することができる。また、後述するように非水溶媒の循環を利用して反応槽4内に循環流を創出することも可能である。また、加圧下で温度が上げられるように耐圧性反応槽とすることも可能である。
【0044】
本装置2は、反応槽4内の非水溶媒の少なくとも一部を採取する採取手段12を備えている。この採取手段12は、反応工程後、反応工程において合成反応系の混合又は攪拌を一時停止させた時点で非水溶媒を採取する構成とすることもできるが、反応工程を実施中においても非水溶媒を採取できるようになっていることが好ましい。反応当初からあるいは反応進行に伴い、反応槽4内で2層分離系を構成する際、多くの場合上層側が非水溶媒層であるため、非水溶媒を吸引したり、オーバーフローさせたり、くみ出し等するように反応槽4に対して構成された部材あるいは部分となっている。
【0045】
採取手段12により採取された非水溶媒は、適当な搬送手段により、分離手段16へと搬送されることが好ましい。非水溶媒の搬送手段は、例えば、必要に応じてバルブやポンプ等を備える管路によって構成することができる。
【0046】
分離手段16は、非水溶媒中の乳酸エステルを分離又は濃縮する手段である。分離手段16は、特に限定しないが、通常の回分式あるいは連続式の蒸留装置とすることができる。乳酸エステルの沸点は高く非水溶媒を蒸留し、乳酸エステルを残留させることにより両者を相互に分離し、乳酸エステルを濃縮し、非水溶媒を回収することができる。効率的に分離するには、減圧蒸留装置であることが好ましい。
【0047】
装置2には、分離手段16の底部などに残留する乳酸エステルを回収し、貯留する手段を備えることもできる。貯留手段の形態は特に問わないが、得られた乳酸エステルを用いてポリ乳酸製造工程を実施する場合に、回収あるいは貯留した乳酸エステルを、エステル交換工程やオリゴマー製造工程へと供給するための搬送用管路やポンプなどを備える搬送手段を備えることもできる。
また、本装置2には、回収した乳酸エステルを精製するための蒸留装置などの乳酸エステルの精製手段を備えることもできる。
【0048】
装置2には、蒸留され液化された非水溶媒を、反応槽4へ供給する手段22を備えている。分離手段16から供給手段22へと蒸留した非水溶媒を搬送する搬送手段を備えることもできる。搬送手段は、必要に応じてバルブやポンプを備えた管路とすることができる。
なお、回収された非水溶媒を貯留しておく貯留手段を備えることもできる。この貯留手段に付随して非水溶媒供給手段22への搬送手段を備えることもできる。
以上のことから、本装置2においては、非水溶媒の採取手段12と、非水溶媒搬送手段と、分離手段16と非水溶媒供給手段22とを備え、非水溶媒を反応槽4に対して循環供給する循環ループを構成することができる。
【0049】
さらに、本装置2には、反応槽4内の合成反応系(水層)のpHを検出するためのpH検出手段とpH調整のための酸あるいはアルカリを添加するためのpH調整剤の供給手段を備えることが好ましい。さらに、pH検出手段により検知されたpH値とあらかじめ設定したpH値とから、合成反応系に添加すべきpH調整剤の量を算出し、自動的に反応槽4に供給する制御システムも備えることができる。
【0050】
反応槽4と、非水溶媒の採取手段12と、分離手段16と、乳酸エステル分離後の非水溶媒を反応槽4へ供給する手段22を備える本装置2によれば、特に、乳酸原料(典型的には乳酸発酵液)と本非水溶媒とを含む合成反応系を構成し、化学合成反応による乳酸エステル生産を継続しつつ、非水溶媒の一部を採取し、乳酸エステルを分離し、回収した非水溶媒を合成反応系に返流する、連続反応を実施するのに適している。かかる連続反応によれば、乳酸エステルを生産するエネルギーコストを低減しつつ一挙に濃縮された乳酸エステルを得ることができる。特に乳酸発酵液などの希薄な含水乳酸原料から乳酸エステルを合成分離するのに用いる装置として適している。
【0051】
なお、当該装置は、乳酸発酵液などの乳酸含有液からの乳酸の抽出にも適している。反応槽4を、乳酸含有液と本非水溶媒と収容するものとし、分離手段16を、乳酸を残留させ本非水溶媒を蒸留する装置等とすることにより、乳酸抽出装置としても利用することができる。
【0052】
本発明の乳酸エステルの生産方法及び製造装置は各種の乳酸エステルを製造するのに適しているが、好ましくは、L体、D体、DL体のそれぞれの乳酸のエチルエステル、プロピルエステル、n−ブチルエステルの製造に適しており、乳酸のエチル、プロピル、及びn−ブチルエステルの生産に特に適している。より好ましくは、乳酸エチル及び乳酸n−ブチルの生産に適している。
【0053】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、以下の実施例は本発明を説明するものであって本発明を限定する趣旨ではない。
(実施例1)
L−乳酸エステルの非水溶媒と水との2層分離系における分配率
以下の表に示す100mlの非水溶媒と同量の蒸留水とにL−乳酸エチル及びL−乳酸n−ブチル各100mgを添加し、分液ロートを用いて60分間攪拌した後、25℃〜35℃に24時間放置した。水層と分離した非水溶媒層に含まれる各L−乳酸エステル量をガスクロマトグラフィー(GC)により分析し、非水溶媒層に含まれるエステル量を算出した。分配率は、添加したエステル重量に対する非水溶媒層中のエステル重量の割合(%)とした。表1に用いた非水溶媒と、非水溶媒層に対するL−乳酸エチルとL−乳酸n−ブチルの分配率を示す。併せて、非水溶媒の沸点も示す。
【表1】
【0054】
表1に示すように、L−乳酸n−ブチルは、トルエン、2級アルコール及び3級アルコールに対して高い分配率を示した。直鎖炭化水素に対しては、鎖長が長くなるにつれて分配率が低下した。これに対して、L−乳酸エチルは、異なる傾向を示した。すなわち、トルエンと直鎖炭化水素に対して有効な分配率を呈しない一方、アルコールに対して全般的に高い分配率(約80〜100%)を示した。
一方、エステル化のための溶媒であることを考慮すると、1級アルコールを用いることは困難であり、2級あるいは3級アルコールを使用することが好ましいと考えられる。
したがって、L−乳酸n−ブチルについては、トルエン、2−ブタノール、3−メチル−ブタノール、2−メチル−2−ブタノールが反応溶媒として使用できる可能性が見出された。
一方、L−乳酸エチルについては、2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノールを反応溶媒として使用できる可能性が見出された。
【0055】
(実施例2)
L−乳酸の非水溶媒と水との2層分離系における分配率
以下の表に示す100mlの非水溶媒と同量の蒸留水とにL−乳酸各100mgを添加し、分液ロートを用いて60分間攪拌した後、25℃〜35℃に24時間放置した。水層と分離した非水溶媒層に含まれるL−乳酸量を乳酸センサー(王子計測機器株式会社製BF−4)により分析し、非水溶媒層に含まれる乳酸量を算出した。分配率は、添加した乳酸重量に対する非水溶媒層中の乳酸重量の割合(%)とした。表2に、用いた非水溶媒と、非水溶媒層に対するL−乳酸の分配率を示す。
【表2】
【0056】
表2に示すように、L−乳酸は、直鎖炭化水素及び芳香族炭化水素に対してはn−ヘキサンの17%である以外、非水溶媒側への分配を検出することができなかった。これに対して、1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノールには、約25%〜33%の分配率を示した。
また、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルについては約20〜30%の分配率であった。
【0057】
(実施例3)
L−乳酸エステルの化学合成
10%のL−乳酸アンモニウム水溶液16gとエタノール9.2g(14倍モル量)、2−メチル−2−ブタノール32gを耐圧容器に入れて、120℃で10時間反応させた。反応終了後、反応溶液を冷却後、2層に分離した溶液の上層を分取し、2−メチル−2−ブタノールを留去することにより、乳酸L−エチル0.93gを得た。収率は、約53%であった。
【0058】
(実施例4)
L−乳酸エステルの化学合成
10%のL−乳酸アンモニウム水溶液16gとエタノール9.2g(14倍モル量)、3−メチル−2−ブタノール32gを耐圧容器に入れて、120℃で10時間反応させた。反応終了後、反応溶液を冷却後、2層に分離した溶液の上層を分取し、2−メチル−2−ブタノールを留去することにより、乳酸L−エチル0.88gを得た。収率は、約50%であった。
【0059】
実施例3及び4の結果を通じて、当該非水合成反応系によれば、乳酸塩が10%程度の含水乳酸原料から、50%以上の収率で乳酸エステルを得ることができることがわかった。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、乳酸原料を用いて合成反応系により乳酸エステルを生産するのに適した技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】含水合成反応系と当該合成反応系による乳酸エステルの生産工程を示す図である。
【図2】非水合成反応系と当該合成反応系による乳酸エステルの生産工程を示す図である。
【図3】化学合成による乳酸エステル生産工程に付随させることのできる非水溶媒循環工程を示す図である。
【図4】乳酸発酵液に対して非水溶媒による乳酸抽出工程を実施し、次いで、化学合成による乳酸エステルの生産工程を実施することを示す図である。
【図5】非水溶媒による乳酸抽出工程に付随させることのできる非水溶媒循環工程を示す図である。
【図6】乳酸発酵液に対して非水溶媒抽出工程を実施することを示す図である。
【図7】含水合成反応系に適用可能な連続反応装置の概略を示す図である。
【符号の説明】
2 装置
4 反応槽
12 非水溶媒採取手段
16 分離手段
22 非水溶媒供給手段
Claims (27)
- 乳酸エステルの生産方法であって、
以下の成分(a)〜(d);
(a)乳酸及び/又は乳酸塩、
(b)前記乳酸エステルを得るためのC1〜C6のアルコール、
(c)水、及び
(d)水と2層分離系を構成する非水溶媒であって、水と当該非水溶媒との間において当該非水溶媒に対して乳酸が有する第1の分配率が18%以上であり、水と当該非水溶媒との間において当該非水溶媒に対して前記乳酸エステルが有する第2の分配率が50%を超える非水溶媒、
を含有するエステル合成反応系を用いて前記乳酸エステルを合成する工程を備える、方法。 - 前記第1の分配率が20%以上である、請求項1記載の方法。
- 前記第2の分配率が75%以上である、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記非水溶媒は、前記乳酸エステルを得るためのアルコールと異なるアルコールであってC1〜C10の2級及び3級アルコールから選択される1種あるいは2種以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 前記非水溶媒は、前記乳酸エステルを得るためのアルコールと異なるアルコールであって、C4〜C6の2級及び3級アルコールから選択される1種あるいは2種以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 前記非水溶媒は、2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、及び3−メチル−2−ブタノールからなる群から選択される1種あるいは2種以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 前記乳酸エステルを得るためのアルコールは、C2〜C4のアルコールである、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
- 前記合成反応系における、乳酸及び/又は乳酸塩と水として乳酸発酵液を用いる、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
- 前記反応系は、前記乳酸塩として乳酸アンモニウムを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
- 前記合成工程には、前記合成反応系から乳酸エステルを含む非水溶媒を採取する工程と、採取した非水溶媒から乳酸エステルを分離する工程と、乳酸エステル分離後の非水溶媒を回収し、前記合成反応系に供給する工程、とを含む、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
- 乳酸エステルの生産方法であって、
以下の成分(a)〜(d);
(a)乳酸及び/又は乳酸塩、
(b)前記乳酸エステルを得るためのC1〜C6のアルコール、
(c)水、及び
(d)水と2層分離系を構成し、前記乳酸エステルを得るためのアルコールと異なるアルコールであってC4〜C10の2級及び3級アルコールから選択される1種あるいは2種以上である非水溶媒、
を含有するエステル合成反応系を用いて前記乳酸エステルを合成する工程を備える、方法。 - 前記非水溶媒は、C4〜C6の2級及び3級アルコールから選択される1種あるいは2種以上である、請求項11に記載の方法。
- 前記非水溶媒は、2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、及び3−メチル−2−ブタノールからなる群から選択される1種あるいは2種以上である、請求項12に記載の方法。
- 前記乳酸エステルを得るためのアルコールは、C2〜C4のアルコールである、請求項11〜13のいずれかに記載の方法。
- 前記反応系は、前記乳酸塩として乳酸アンモニウムを含む、請求項11〜14のいずれかに記載の方法。
- 乳酸エステルの生産方法であって、
含水乳酸原料に対して、水と2層分離系を構成し、水と当該非水溶媒との間において当該非水溶媒に対して乳酸が有する第1の分配率が18%を超え、水と当該非水溶媒との間において当該非水溶媒に対して前記乳酸エステルが有する分配率が50%を超える非水溶媒を用いて、当該非水溶媒中に乳酸を抽出する工程と、
抽出された乳酸を含む前記非水溶媒と、前記乳酸エステルを得るためのC1〜C6のアルコール、とを含有する合成反応系を用いて前記乳酸エステルを合成する工程、
とを備える、方法。 - 前記抽出工程には、乳酸を含む非水溶媒を採取する工程と、採取した非水溶媒から乳酸を分離する工程と、乳酸分離後の非水溶媒を回収し、前記含水乳酸原料に供給する工程、とを含む、請求項16に記載の方法。
- 前記非水溶媒は、前記乳酸エステルを得るためのアルコールと異なるアルコールであってC4〜C10の2級及び3級アルコールからなる群から選択される1種あるいは2種以上である、請求項16又は17に記載の方法。
- 前記非水溶媒は、前記乳酸エステルを得るためのアルコールと異なるアルコールであって、C4〜C6の2級及び3級アルコールから選択される1種あるいは2種以上である、請求項16又は17に記載の方法。
- 前記非水溶媒は、2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、及び3−メチル−2−ブタノールからなる群から選択される1種あるいは2種以上である、請求項16又は17に記載の方法。
- 前記乳酸エステルを得るためのアルコールは、C2〜C4のアルコールである、請求項16又は17いずれかに記載の方法。
- 乳酸エステルの生産方法であって、
以下の成分(a)〜(c);
(a)乳酸及び/又は乳酸塩、
(b)前記乳酸エステルを得るためのC1〜C6のアルコール、
(c)水と2層分離系を構成し、前記乳酸エステルを得るためのアルコールと異なるアルコールであってC4〜C10の2級及び3級アルコールから選択される1種あるいは2種以上である非水溶媒、
を含有するエステル合成反応系を用いて前記乳酸エステルを合成する工程を備える、方法。 - 前記非水溶媒は、C4〜C6の2級及び3級アルコールからなる群から選択される1種あるいは2種以上である、請求項22に記載の方法。
- 前記非水溶媒は、2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノールからなる群から選択される1種あるいは2種以上である、請求項23記載の方法。
- 乳酸エステルの製造装置であって、
少なくとも、乳酸及び/又は乳酸塩を含む乳酸原料と、非水溶媒と、エステル化のためのアルコール、とを収容し乳酸のエステル化反応を実施する反応槽と、
前記反応槽中の非水溶媒を採取する手段と、
採取された非水溶媒から乳酸エステルを分離する手段と、
乳酸エステル分離後の非水溶媒を前記反応槽に供給する手段、
とを備える、装置。 - 前記分離手段は蒸留装置である請求項25に記載の装置。
- 前記非水溶媒採取手段、前記乳酸エステル分離手段及び前記非水溶媒供給手段は前記反応槽に付随して備えられる非水溶媒循環ループを構成する、請求項25又は26に記載の装置。
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