JP2004315274A - 針状酸化ニッケル粉末とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】比表面積、細孔容積等の粒子の微細構造と粒径、アスペクト比等の粒子形状が制御された針状酸化ニッケル粉末とその製造方法を提供する。
【解決手段】針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを、酸化性雰囲気下300〜1200℃で加熱処理することを特徴とする針状酸化ニッケル粉末の製造方法、及びその製造方法により得られる、比表面積が0.05〜160m2/g、細孔容積が0.005〜0.25cm3/g、長軸の長さが5〜30μm、アスペクト比が5〜35であることを特徴とする針状酸化ニッケル粉末などによって提供。
【選択図】 なし
【解決手段】針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを、酸化性雰囲気下300〜1200℃で加熱処理することを特徴とする針状酸化ニッケル粉末の製造方法、及びその製造方法により得られる、比表面積が0.05〜160m2/g、細孔容積が0.005〜0.25cm3/g、長軸の長さが5〜30μm、アスペクト比が5〜35であることを特徴とする針状酸化ニッケル粉末などによって提供。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、針状酸化ニッケル粉末とその製造方法に関し、さらに詳しくは、比表面積、細孔容積等の粒子の微細構造と粒径、アスペクト比等の粒子形状が制御された針状酸化ニッケル粉末とその製造方法に関する。特に、燃料電池の電極材料の分野で導電性や破壊靱性を向上させるために利用され、また触媒若しくはその担持材料の分野で気体や液体の反応物質との反応界面が大きくとれる酸化ニッケル粉末として好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来、酸化ニッケル粉末粉末は、一般的な粉末冶金材料の他、ソフトフェライト、コンデンサー、バリスター、2次電池用活物質など特殊用途の原料として使用されている。
【0003】
このため、種々の製造方法による酸化ニッケル粉末が提案されており、代表的なものとしては、以下のようなものが挙げられる。
(1)一般的な粉末冶金材料の他、ソフトフェライト、コンデンサー、バリスター用としては、炭酸ニッケルや硝酸ニッケルを酸化性雰囲気でカ焼して得た酸化ニッケル粉末を平均粒径0.1〜10μmに粉砕したものを使用する(例えば、特許文献1参照)。
(2)低嵩密度用として、硫酸ニッケルを1000〜1150℃で焙焼して得た平均粒径が3μm以下の酸化ニッケル粉末が使用される(例えば、特許文献2参照)。
(3)リチウム電池に用いられる正極活物質用としては、炭酸ニッケルを酸化性雰囲気でカ焼して得た、平均粒子径が50nm以下でかつ比表面積が50m2/g以上の微細で比表面積が大きな酸化ニッケル粉末が使用される(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
これらの提案は、それぞれの用途に応じた酸化ニッケル粉末として貢献しているが、以下の課題がある。すなわち、近年、燃料電池の電極材料及び触媒若しくはその担持材料などの分野で、導電性や破壊靱性の改善のために使用できる酸化ニッケル粉末が望まれている。ここで用いられる酸化ニッケル粉末の形状は、導電性や破壊靱性の向上のためにアスペクト比が高い針状が好ましい。粒子形状が針状であると、ニッケル粉末同士の接点が多くなるので高導電性が期待でき、また針状粒子であることによる亀裂伝播の回りこみや引抜硬化による高破壊靱性が期待できる。さらに、焼結体や圧粉体として利用され反応ガスや反応液との接触面積を制御することが必要である場合には、粒径、アスペクト比等の粒子形状を制御するとともに、比表面積、細孔容積等の粒子の微細構造を制御することも同時に求められる。
【0005】
これに対して、上記提案による酸化ニッケル粉末は、用いるニッケル原料と製造方法からその形状は球形又は不規則形状であるとみられ、導電性や破壊靱性の向上の目的にそぐわない。
以上の状況から、比表面積、細孔容積等の粒子の微細構造と粒径、アスペクト比等の粒子形状が用途に応じて制御された針状酸化ニッケル粉末とその製造方法が求められている。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−46213号公報(第1〜3頁)
【特許文献2】
特開2001−97720号公報(第1頁、第2頁)
【特許文献3】
特開平11−79751号公報(第1〜3頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、比表面積、細孔容積等の粒子の微細構造と粒径、アスペクト比等の粒子形状が制御された針状酸化ニッケル粉末とその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために、針状酸化ニッケル粉末とその製造方法において微細構造の制御について、鋭意研究を重ねた結果、所定の針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを特定の条件で加熱処理したところ、比表面積、細孔容積等の粒子の微細構造と粒径、アスペクト比等の粒子形状が制御された針状酸化ニッケル粉末が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを、酸化性雰囲気下300〜1200℃で加熱処理することを特徴とする針状酸化ニッケル粉末の製造方法が提供される。
【0010】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記針状シュウ酸ニッケルアンモニウムは、10〜50g/Lの遊離アンモニウムイオンの共存下40℃以上の温度でニッケルとニッケルに対して当量以上のシュウ酸イオンを反応させて製造されることを特徴とする針状酸化ニッケル粉末の製造方法が提供される。
【0011】
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の製造方法により得られる、比表面積が0.05〜160m2/g、細孔容積が0.005〜0.25cm3/g、長軸の長さが5〜30μm、アスペクト比が5〜35であることを特徴とする針状酸化ニッケル粉末が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の針状酸化ニッケル粉末とその製造方法を詳細に説明する。
本発明の針状酸化ニッケル粉末とその製造方法は、針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを、酸化性雰囲気下300〜1200℃で加熱処理する製造方法であり、これによって、比表面積が0.05〜160m2/g、細孔容積が0.005〜0.25cm3/g、長軸の長さが5〜30μm、アスペクト比が5〜35である比表面積、細孔容積等の粒子の微細構造と粒径、アスペクト比等の粒子形状が制御された針状酸化ニッケル粉末が得られる。
【0013】
本発明では、針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを用いて、これを酸化性雰囲気下所定の温度で加熱処理することが重要である。これによって、針状シュウ酸ニッケルアンモニウムが熱分解して酸化物を生成する際に、用いる針状シュウ酸ニッケルアンモニウムの性状と加熱処理の条件を変えることによって、比表面積、細孔容積等の粒子の微細構造と粒径、アスペクト比等の粒子形状が制御された針状酸化ニッケル粉末が達成される。
【0014】
1.針状シュウ酸ニッケルアンモニウム
本発明では、ニッケル原料として、針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを用いることに重要な意義がある。これによって、比表面積、細孔容積等の粒子の微細構造と同時に粒径、アスペクト比等の粒子形状の制御が行える。すなわち、所定の性状の針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを用いて所定条件の処理方法を行うことによって、所望の比表面積、細孔容積、粒径(例えば、平均長径と平均短径)、アスペクト比等の特性を有する導電性や破壊靱性の向上に好適な針状粒子を得ることができる。これに対して、上記の形態を持たない通常のニッケル化合物を用いた場合、良好な微細構造を有する針状粒子が実現できない。
【0015】
本発明に用いる針状シュウ酸ニッケルアンモニウムとしては、特に限定されるものではなく、所望の針状酸化ニッケル粉末の特性に応じて適切な性状の針状シュウ酸ニッケルアンモニウムが用いられる。
上記針状シュウ酸ニッケルアンモニウムの製造方法としては、特に限定されるものではなく、針状のシュウ酸ニッケルアンモニウムが合成できる種々の方法が適用できるが、この中で、特に粒径、アスペクト比等の粒子形状の制御が行える以下の製造方法が好ましい。すなわち、針状シュウ酸ニッケルアンモニウムは、10〜50g/Lの遊離アンモニウムイオンの共存下、40℃以上の温度で、ニッケルとニッケルに対して当量以上のシュウ酸イオンを水溶液中で反応させて製造される。
【0016】
上記製造方法で用いるニッケルの原料としては、特に限定されるものではなく、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩等の水溶性ニッケル塩、又は炭酸塩、炭酸水素塩、塩基性炭酸塩、水酸化物等のシュウ酸と反応してシュウ酸ニッケル塩を生成するニッケル塩が使用できる。
【0017】
上記製造方法で用いるシュウ酸イオン原料としては、特に限定されるものではなく、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸アンモニウム、シュウ酸水素アンモニウム等の水溶性シュウ酸塩、又はシュウ酸が使用されるが、この中で、特に生成物の収率が良好なシュウ酸アンモニウム又はシュウ酸を用いるのが好ましい。すなわち、シュウ酸ナトリウムやシュウ酸カリウム等のシュウ酸アルカリ金属水溶液には、シュウ酸ニッケルが溶解するからである。
上記製造方法において、シュウ酸イオン原料の添加量は、特に限定されるものではなく、シュウ酸イオンとニッケルの反応は反応当量に基づいて定量的に進行するが、収率の向上のためニッケルに対して当量以上の過剰量が好ましい。
【0018】
上記製造方法において、水溶液中の遊離アンモニウムイオン濃度は10〜50g/Lとする。すなわち、前記濃度が10g/L未満又は50g/Lを超えると、針状の粒子形状が得られない。詳しくは、10g/L以上30g/L未満では前記濃度の上昇に伴ない長軸方向に結晶が成長しアスペクト比が大きくなるが、30g/Lを超えると短軸方向に結晶が成長しアスペクト比が小さくなる。したがって、遊離アンモニウムイオン濃度を調整することによって、針状シュウ酸ニッケルアンモニウムの粒径及びアスペクト比等の粒子形状の制御を行うことができる。ここで、遊離アンモニウムイオンの供給はアンモニア水又はアンモニアガスで行える。
【0019】
上記製造方法において、反応温度は40℃以上であり、好ましくは60〜90℃である。すなわち、反応温度が40℃未満では針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを析出できない。一方、90℃を超えると一定温度とすることが装置上難しい。
上記反応で形成された針状シュウ酸ニッケルアンモニウムのスラリーから、通常用いられる濾別、洗浄、乾燥の操作を順次行うことで、粉末状の針状シュウ酸ニッケルアンモニウムが得られる。
【0020】
2.処理方法
本発明の処理方法では、上記針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを酸化性雰囲気下所定の温度で加熱処理して針状酸化ニッケル粉末を得る。
上記加熱処理の温度は、300〜1200℃であり、好ましくは450〜1000℃である。すなわち、温度が300℃未満では、針状シュウ酸ニッケルアンモニウムが分解して酸化ニッケルを生成する反応が不十分である。一方、1200℃を超えると、針状粒子が焼結して塊状粒子が生成されるのでアスペクト比が大きい針状酸化ニッケル粉末が得られない。
【0021】
ここで、加熱処理の温度によって、生成されるは粉末の比表面積、細孔容積等の粒子の微細構造を制御できる。例えば、低温度で加熱処理すれば高比表面積で高細孔容積の粉末とすることができ、高温度で加熱処理すれば低比表面積で低細孔容積の粉末とすることができる。また、所望の比表面積、細孔容積、粒径(例えば、平均長径と平均短径)、アスペクト比等の特性を有する針状粒子を得るためには、用いる針状シュウ酸ニッケルアンモニウムの種類及び加熱装置によって、前記の温度範囲で所定の温度と処理時間が選ばれる。
【0022】
上記加熱処理の雰囲気は、酸化性雰囲気で行う。すなわち、中性あるいは還元性雰囲気では、酸素含量の低い酸化ニッケルあるいは金属ニッケルが得られるからである。
上記加熱処理で使用する加熱装置としては、特に限定されるものではなく、酸化性雰囲気に調整されたマッフル炉、ポット炉、雰囲気調整炉、管状炉、転動炉などが用いられる。
【0023】
3.針状酸化ニッケル粉末
本発明の製造方法で得られる針状酸化ニッケル粉末は、比表面積が0.05〜160m2/g、細孔容積が0.005〜0.25cm3/g、長軸の長さが5〜30μm、アスペクト比が5〜35であり、比表面積、細孔容積等の粒子の微細構造と粒径、アスペクト比等の粒子形状が同時に制御された、導電性や破壊靱性の向上に好適な針状酸化ニッケル粉末である。針状酸化ニッケル粉末の用途に応じて、所望の比表面積、細孔容積、粒径(例えば、平均長径と平均短径)、及びアスペクト比を有する針状粒子を選ぶことができる。
【0024】
【実施例】
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例よってなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例で用いた結晶相、平均粒径(短径、長径)、アスペクト比、細孔容積及び比表面積の評価方法は、以下の通りである。
(1)結晶相の同定:粉末X線回折法で行った。
(2)平均粒径とアスペクト比の測定:平均粒径の測定を電子顕微鏡観察で行った。得られた平均短径と平均長径からアスペクト比を算出した。
(3)細孔容積の測定:ガス吸着法で行った。
(4)比表面積の測定:BET法で行った。
【0025】
また、実施例及び比較例で用いた針状シュウ酸ニッケルアンモニウムの製造条件は、以下の通りである。
[シュウ酸ニッケルアンモニウムの製造条件]
[A]:500mLの水に塩化ニッケル六水和物(和光純薬製,試薬1級)50gを溶解してニッケル水溶液を得た。また500mLの水にシュウ酸二水和物(和光純薬製、試薬1級)29.3gと25重量%アンモニア水120gを添加してシュウ酸溶液を得た。前記両液を混合し攪拌しつつ、65℃まで加熱昇温し、この温度で3時間保持して反応を行った。その後、濾別された澱物をレパルプ洗浄し、ついで乾燥して、針状シュウ酸ニッケルアンモニウム30.7gを得た。
【0026】
[B]:1000mLの水にシュウ酸二水和物(和光純薬製,試薬1級)70gを溶解してシュウ酸溶液を得た。このシュウ酸溶液に塩基性炭酸ニッケル(和光純薬製、試薬1級)50gを固体のまま添加し攪拌しつつ、75℃まで加熱昇温を行い、次いで25%アンモニア水120gを添加して4時間保持して反応を行った。その後、濾別された澱物をレパルプ洗浄し、ついで乾燥して、針状シュウ酸ニッケルアンモニウム63.6gを得た。
【0027】
[C]:硫酸ニッケル六水和物(和光純薬製、試薬1級)136gを水に溶解して300mLのニッケル水溶液を得た。またシュウ酸アンモニウム一水和物(和光純薬製、試薬1級)73gを水に溶解して1500mLのシュウ酸溶液を得た。前記両液を混合し、攪拌しつつ、80℃まで加熱昇温し、この温度で4時間保持して反応を行った。その後、濾別された澱物をレパルプ洗浄し、ついで乾燥して、針状シュウ酸ニッケルアンモニウム68.3gを得た。
【0028】
実施例1
ニッケル原料として、製造条件[A]により得られた針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを用いて、これをセラミックス製容器に入れて、マッフル炉にて以下の条件で加熱処理を行って酸化ニッケル粉末を得て、結晶相、平均粒径(短径、長径)、アスペクト比、細孔容積及び比表面積を測定した。なお、得られた酸化ニッケル粉末の形状は針状であった。結果を表1に示す。
[加熱処理条件]
(1)加熱温度:320℃、(2)加熱時間:8時間、及び(3)加熱雰囲気:乾燥空気6L/分。
【0029】
実施例2
ニッケル原料として、製造条件[A]により得られた針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを用いて、これをセラミックス製容器に入れて、マッフル炉にて以下の条件で加熱処理を行って酸化ニッケル粉末を得て、結晶相、平均粒径(短径、長径)、アスペクト比、細孔容積及び比表面積を測定した。なお、得られた酸化ニッケル粉末の形状は針状であった。結果を表1に示す。
[加熱処理条件]
(1)加熱温度:1000℃、(2)加熱時間:5時間、及び(3)加熱雰囲気:4容量%酸素−窒素混合ガス6L/分。
【0030】
実施例3
ニッケル原料として、製造条件[B]により得られた針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを用いて、これをセラミックス製容器に入れて、マッフル炉にて以下の条件で加熱処理を行って酸化ニッケル粉末を得て、結晶相、平均粒径(短径、長径)、アスペクト比、細孔容積及び比表面積を測定した。なお、得られた酸化ニッケル粉末の形状は針状であった。結果を表1に示す。
[加熱処理条件]
(1)加熱温度:500℃、(2)加熱時間:1時間、及び(3)加熱雰囲気:大気中。
【0031】
実施例4
ニッケル原料として、製造条件[C]により得られた針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを用いて、これをセラミックス製容器に入れて、マッフル炉にて以下の条件で加熱処理を行って酸化ニッケル粉末を得て、結晶相、平均粒径(短径、長径)、アスペクト比、細孔容積及び比表面積を測定した。なお、得られた酸化ニッケル粉末の形状は針状であった。結果を表1に示す。
[加熱処理条件]
(1)加熱温度:700℃、(2)加熱時間:2時間、及び(3)加熱雰囲気:大気中。
【0032】
比較例1
ニッケル原料として、製造条件[B]により得られた針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを用いて、これをセラミックス製容器に入れて、マッフル炉にて以下の条件で加熱処理を行って酸化ニッケル粉末を得て、結晶相、平均粒径(短径、長径)、アスペクト比、細孔容積及び比表面積を測定した。結果を表1に示す。
[加熱処理条件]
(1)加熱温度:280℃、(2)加熱時間:10時間、及び(3)加熱雰囲気:4容量%酸素−窒素混合ガス6L/分。
【0033】
【表1】
【0034】
表1より、実施例1〜4では、針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを用い、かつ酸化性雰囲気下で加熱温度が300〜1200℃の加熱処理で本発明の方法に従って行われたので、比表面積が0.05〜160m2/g、細孔容積が0.005〜0.25cm3/g、長軸の長さが5〜30μm、アスペクト比が5〜35である針状酸化ニッケルが得られることが分かる。これに対して、比較例1では、加熱温度がこれらの条件に合わないので、結晶相によって満足すべき結果が得られないことが分かる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の針状酸化ニッケル粉末とその製造方法は、比表面積、細孔容積等の粒子の微細構造と粒径、アスペクト比等の粒子形状が制御された針状酸化ニッケル粉末とその製造方法であり、その工業的価値は極めて大きい。
【発明の属する技術分野】
本発明は、針状酸化ニッケル粉末とその製造方法に関し、さらに詳しくは、比表面積、細孔容積等の粒子の微細構造と粒径、アスペクト比等の粒子形状が制御された針状酸化ニッケル粉末とその製造方法に関する。特に、燃料電池の電極材料の分野で導電性や破壊靱性を向上させるために利用され、また触媒若しくはその担持材料の分野で気体や液体の反応物質との反応界面が大きくとれる酸化ニッケル粉末として好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来、酸化ニッケル粉末粉末は、一般的な粉末冶金材料の他、ソフトフェライト、コンデンサー、バリスター、2次電池用活物質など特殊用途の原料として使用されている。
【0003】
このため、種々の製造方法による酸化ニッケル粉末が提案されており、代表的なものとしては、以下のようなものが挙げられる。
(1)一般的な粉末冶金材料の他、ソフトフェライト、コンデンサー、バリスター用としては、炭酸ニッケルや硝酸ニッケルを酸化性雰囲気でカ焼して得た酸化ニッケル粉末を平均粒径0.1〜10μmに粉砕したものを使用する(例えば、特許文献1参照)。
(2)低嵩密度用として、硫酸ニッケルを1000〜1150℃で焙焼して得た平均粒径が3μm以下の酸化ニッケル粉末が使用される(例えば、特許文献2参照)。
(3)リチウム電池に用いられる正極活物質用としては、炭酸ニッケルを酸化性雰囲気でカ焼して得た、平均粒子径が50nm以下でかつ比表面積が50m2/g以上の微細で比表面積が大きな酸化ニッケル粉末が使用される(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
これらの提案は、それぞれの用途に応じた酸化ニッケル粉末として貢献しているが、以下の課題がある。すなわち、近年、燃料電池の電極材料及び触媒若しくはその担持材料などの分野で、導電性や破壊靱性の改善のために使用できる酸化ニッケル粉末が望まれている。ここで用いられる酸化ニッケル粉末の形状は、導電性や破壊靱性の向上のためにアスペクト比が高い針状が好ましい。粒子形状が針状であると、ニッケル粉末同士の接点が多くなるので高導電性が期待でき、また針状粒子であることによる亀裂伝播の回りこみや引抜硬化による高破壊靱性が期待できる。さらに、焼結体や圧粉体として利用され反応ガスや反応液との接触面積を制御することが必要である場合には、粒径、アスペクト比等の粒子形状を制御するとともに、比表面積、細孔容積等の粒子の微細構造を制御することも同時に求められる。
【0005】
これに対して、上記提案による酸化ニッケル粉末は、用いるニッケル原料と製造方法からその形状は球形又は不規則形状であるとみられ、導電性や破壊靱性の向上の目的にそぐわない。
以上の状況から、比表面積、細孔容積等の粒子の微細構造と粒径、アスペクト比等の粒子形状が用途に応じて制御された針状酸化ニッケル粉末とその製造方法が求められている。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−46213号公報(第1〜3頁)
【特許文献2】
特開2001−97720号公報(第1頁、第2頁)
【特許文献3】
特開平11−79751号公報(第1〜3頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、比表面積、細孔容積等の粒子の微細構造と粒径、アスペクト比等の粒子形状が制御された針状酸化ニッケル粉末とその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために、針状酸化ニッケル粉末とその製造方法において微細構造の制御について、鋭意研究を重ねた結果、所定の針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを特定の条件で加熱処理したところ、比表面積、細孔容積等の粒子の微細構造と粒径、アスペクト比等の粒子形状が制御された針状酸化ニッケル粉末が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを、酸化性雰囲気下300〜1200℃で加熱処理することを特徴とする針状酸化ニッケル粉末の製造方法が提供される。
【0010】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記針状シュウ酸ニッケルアンモニウムは、10〜50g/Lの遊離アンモニウムイオンの共存下40℃以上の温度でニッケルとニッケルに対して当量以上のシュウ酸イオンを反応させて製造されることを特徴とする針状酸化ニッケル粉末の製造方法が提供される。
【0011】
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の製造方法により得られる、比表面積が0.05〜160m2/g、細孔容積が0.005〜0.25cm3/g、長軸の長さが5〜30μm、アスペクト比が5〜35であることを特徴とする針状酸化ニッケル粉末が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の針状酸化ニッケル粉末とその製造方法を詳細に説明する。
本発明の針状酸化ニッケル粉末とその製造方法は、針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを、酸化性雰囲気下300〜1200℃で加熱処理する製造方法であり、これによって、比表面積が0.05〜160m2/g、細孔容積が0.005〜0.25cm3/g、長軸の長さが5〜30μm、アスペクト比が5〜35である比表面積、細孔容積等の粒子の微細構造と粒径、アスペクト比等の粒子形状が制御された針状酸化ニッケル粉末が得られる。
【0013】
本発明では、針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを用いて、これを酸化性雰囲気下所定の温度で加熱処理することが重要である。これによって、針状シュウ酸ニッケルアンモニウムが熱分解して酸化物を生成する際に、用いる針状シュウ酸ニッケルアンモニウムの性状と加熱処理の条件を変えることによって、比表面積、細孔容積等の粒子の微細構造と粒径、アスペクト比等の粒子形状が制御された針状酸化ニッケル粉末が達成される。
【0014】
1.針状シュウ酸ニッケルアンモニウム
本発明では、ニッケル原料として、針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを用いることに重要な意義がある。これによって、比表面積、細孔容積等の粒子の微細構造と同時に粒径、アスペクト比等の粒子形状の制御が行える。すなわち、所定の性状の針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを用いて所定条件の処理方法を行うことによって、所望の比表面積、細孔容積、粒径(例えば、平均長径と平均短径)、アスペクト比等の特性を有する導電性や破壊靱性の向上に好適な針状粒子を得ることができる。これに対して、上記の形態を持たない通常のニッケル化合物を用いた場合、良好な微細構造を有する針状粒子が実現できない。
【0015】
本発明に用いる針状シュウ酸ニッケルアンモニウムとしては、特に限定されるものではなく、所望の針状酸化ニッケル粉末の特性に応じて適切な性状の針状シュウ酸ニッケルアンモニウムが用いられる。
上記針状シュウ酸ニッケルアンモニウムの製造方法としては、特に限定されるものではなく、針状のシュウ酸ニッケルアンモニウムが合成できる種々の方法が適用できるが、この中で、特に粒径、アスペクト比等の粒子形状の制御が行える以下の製造方法が好ましい。すなわち、針状シュウ酸ニッケルアンモニウムは、10〜50g/Lの遊離アンモニウムイオンの共存下、40℃以上の温度で、ニッケルとニッケルに対して当量以上のシュウ酸イオンを水溶液中で反応させて製造される。
【0016】
上記製造方法で用いるニッケルの原料としては、特に限定されるものではなく、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩等の水溶性ニッケル塩、又は炭酸塩、炭酸水素塩、塩基性炭酸塩、水酸化物等のシュウ酸と反応してシュウ酸ニッケル塩を生成するニッケル塩が使用できる。
【0017】
上記製造方法で用いるシュウ酸イオン原料としては、特に限定されるものではなく、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸アンモニウム、シュウ酸水素アンモニウム等の水溶性シュウ酸塩、又はシュウ酸が使用されるが、この中で、特に生成物の収率が良好なシュウ酸アンモニウム又はシュウ酸を用いるのが好ましい。すなわち、シュウ酸ナトリウムやシュウ酸カリウム等のシュウ酸アルカリ金属水溶液には、シュウ酸ニッケルが溶解するからである。
上記製造方法において、シュウ酸イオン原料の添加量は、特に限定されるものではなく、シュウ酸イオンとニッケルの反応は反応当量に基づいて定量的に進行するが、収率の向上のためニッケルに対して当量以上の過剰量が好ましい。
【0018】
上記製造方法において、水溶液中の遊離アンモニウムイオン濃度は10〜50g/Lとする。すなわち、前記濃度が10g/L未満又は50g/Lを超えると、針状の粒子形状が得られない。詳しくは、10g/L以上30g/L未満では前記濃度の上昇に伴ない長軸方向に結晶が成長しアスペクト比が大きくなるが、30g/Lを超えると短軸方向に結晶が成長しアスペクト比が小さくなる。したがって、遊離アンモニウムイオン濃度を調整することによって、針状シュウ酸ニッケルアンモニウムの粒径及びアスペクト比等の粒子形状の制御を行うことができる。ここで、遊離アンモニウムイオンの供給はアンモニア水又はアンモニアガスで行える。
【0019】
上記製造方法において、反応温度は40℃以上であり、好ましくは60〜90℃である。すなわち、反応温度が40℃未満では針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを析出できない。一方、90℃を超えると一定温度とすることが装置上難しい。
上記反応で形成された針状シュウ酸ニッケルアンモニウムのスラリーから、通常用いられる濾別、洗浄、乾燥の操作を順次行うことで、粉末状の針状シュウ酸ニッケルアンモニウムが得られる。
【0020】
2.処理方法
本発明の処理方法では、上記針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを酸化性雰囲気下所定の温度で加熱処理して針状酸化ニッケル粉末を得る。
上記加熱処理の温度は、300〜1200℃であり、好ましくは450〜1000℃である。すなわち、温度が300℃未満では、針状シュウ酸ニッケルアンモニウムが分解して酸化ニッケルを生成する反応が不十分である。一方、1200℃を超えると、針状粒子が焼結して塊状粒子が生成されるのでアスペクト比が大きい針状酸化ニッケル粉末が得られない。
【0021】
ここで、加熱処理の温度によって、生成されるは粉末の比表面積、細孔容積等の粒子の微細構造を制御できる。例えば、低温度で加熱処理すれば高比表面積で高細孔容積の粉末とすることができ、高温度で加熱処理すれば低比表面積で低細孔容積の粉末とすることができる。また、所望の比表面積、細孔容積、粒径(例えば、平均長径と平均短径)、アスペクト比等の特性を有する針状粒子を得るためには、用いる針状シュウ酸ニッケルアンモニウムの種類及び加熱装置によって、前記の温度範囲で所定の温度と処理時間が選ばれる。
【0022】
上記加熱処理の雰囲気は、酸化性雰囲気で行う。すなわち、中性あるいは還元性雰囲気では、酸素含量の低い酸化ニッケルあるいは金属ニッケルが得られるからである。
上記加熱処理で使用する加熱装置としては、特に限定されるものではなく、酸化性雰囲気に調整されたマッフル炉、ポット炉、雰囲気調整炉、管状炉、転動炉などが用いられる。
【0023】
3.針状酸化ニッケル粉末
本発明の製造方法で得られる針状酸化ニッケル粉末は、比表面積が0.05〜160m2/g、細孔容積が0.005〜0.25cm3/g、長軸の長さが5〜30μm、アスペクト比が5〜35であり、比表面積、細孔容積等の粒子の微細構造と粒径、アスペクト比等の粒子形状が同時に制御された、導電性や破壊靱性の向上に好適な針状酸化ニッケル粉末である。針状酸化ニッケル粉末の用途に応じて、所望の比表面積、細孔容積、粒径(例えば、平均長径と平均短径)、及びアスペクト比を有する針状粒子を選ぶことができる。
【0024】
【実施例】
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例よってなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例で用いた結晶相、平均粒径(短径、長径)、アスペクト比、細孔容積及び比表面積の評価方法は、以下の通りである。
(1)結晶相の同定:粉末X線回折法で行った。
(2)平均粒径とアスペクト比の測定:平均粒径の測定を電子顕微鏡観察で行った。得られた平均短径と平均長径からアスペクト比を算出した。
(3)細孔容積の測定:ガス吸着法で行った。
(4)比表面積の測定:BET法で行った。
【0025】
また、実施例及び比較例で用いた針状シュウ酸ニッケルアンモニウムの製造条件は、以下の通りである。
[シュウ酸ニッケルアンモニウムの製造条件]
[A]:500mLの水に塩化ニッケル六水和物(和光純薬製,試薬1級)50gを溶解してニッケル水溶液を得た。また500mLの水にシュウ酸二水和物(和光純薬製、試薬1級)29.3gと25重量%アンモニア水120gを添加してシュウ酸溶液を得た。前記両液を混合し攪拌しつつ、65℃まで加熱昇温し、この温度で3時間保持して反応を行った。その後、濾別された澱物をレパルプ洗浄し、ついで乾燥して、針状シュウ酸ニッケルアンモニウム30.7gを得た。
【0026】
[B]:1000mLの水にシュウ酸二水和物(和光純薬製,試薬1級)70gを溶解してシュウ酸溶液を得た。このシュウ酸溶液に塩基性炭酸ニッケル(和光純薬製、試薬1級)50gを固体のまま添加し攪拌しつつ、75℃まで加熱昇温を行い、次いで25%アンモニア水120gを添加して4時間保持して反応を行った。その後、濾別された澱物をレパルプ洗浄し、ついで乾燥して、針状シュウ酸ニッケルアンモニウム63.6gを得た。
【0027】
[C]:硫酸ニッケル六水和物(和光純薬製、試薬1級)136gを水に溶解して300mLのニッケル水溶液を得た。またシュウ酸アンモニウム一水和物(和光純薬製、試薬1級)73gを水に溶解して1500mLのシュウ酸溶液を得た。前記両液を混合し、攪拌しつつ、80℃まで加熱昇温し、この温度で4時間保持して反応を行った。その後、濾別された澱物をレパルプ洗浄し、ついで乾燥して、針状シュウ酸ニッケルアンモニウム68.3gを得た。
【0028】
実施例1
ニッケル原料として、製造条件[A]により得られた針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを用いて、これをセラミックス製容器に入れて、マッフル炉にて以下の条件で加熱処理を行って酸化ニッケル粉末を得て、結晶相、平均粒径(短径、長径)、アスペクト比、細孔容積及び比表面積を測定した。なお、得られた酸化ニッケル粉末の形状は針状であった。結果を表1に示す。
[加熱処理条件]
(1)加熱温度:320℃、(2)加熱時間:8時間、及び(3)加熱雰囲気:乾燥空気6L/分。
【0029】
実施例2
ニッケル原料として、製造条件[A]により得られた針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを用いて、これをセラミックス製容器に入れて、マッフル炉にて以下の条件で加熱処理を行って酸化ニッケル粉末を得て、結晶相、平均粒径(短径、長径)、アスペクト比、細孔容積及び比表面積を測定した。なお、得られた酸化ニッケル粉末の形状は針状であった。結果を表1に示す。
[加熱処理条件]
(1)加熱温度:1000℃、(2)加熱時間:5時間、及び(3)加熱雰囲気:4容量%酸素−窒素混合ガス6L/分。
【0030】
実施例3
ニッケル原料として、製造条件[B]により得られた針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを用いて、これをセラミックス製容器に入れて、マッフル炉にて以下の条件で加熱処理を行って酸化ニッケル粉末を得て、結晶相、平均粒径(短径、長径)、アスペクト比、細孔容積及び比表面積を測定した。なお、得られた酸化ニッケル粉末の形状は針状であった。結果を表1に示す。
[加熱処理条件]
(1)加熱温度:500℃、(2)加熱時間:1時間、及び(3)加熱雰囲気:大気中。
【0031】
実施例4
ニッケル原料として、製造条件[C]により得られた針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを用いて、これをセラミックス製容器に入れて、マッフル炉にて以下の条件で加熱処理を行って酸化ニッケル粉末を得て、結晶相、平均粒径(短径、長径)、アスペクト比、細孔容積及び比表面積を測定した。なお、得られた酸化ニッケル粉末の形状は針状であった。結果を表1に示す。
[加熱処理条件]
(1)加熱温度:700℃、(2)加熱時間:2時間、及び(3)加熱雰囲気:大気中。
【0032】
比較例1
ニッケル原料として、製造条件[B]により得られた針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを用いて、これをセラミックス製容器に入れて、マッフル炉にて以下の条件で加熱処理を行って酸化ニッケル粉末を得て、結晶相、平均粒径(短径、長径)、アスペクト比、細孔容積及び比表面積を測定した。結果を表1に示す。
[加熱処理条件]
(1)加熱温度:280℃、(2)加熱時間:10時間、及び(3)加熱雰囲気:4容量%酸素−窒素混合ガス6L/分。
【0033】
【表1】
【0034】
表1より、実施例1〜4では、針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを用い、かつ酸化性雰囲気下で加熱温度が300〜1200℃の加熱処理で本発明の方法に従って行われたので、比表面積が0.05〜160m2/g、細孔容積が0.005〜0.25cm3/g、長軸の長さが5〜30μm、アスペクト比が5〜35である針状酸化ニッケルが得られることが分かる。これに対して、比較例1では、加熱温度がこれらの条件に合わないので、結晶相によって満足すべき結果が得られないことが分かる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の針状酸化ニッケル粉末とその製造方法は、比表面積、細孔容積等の粒子の微細構造と粒径、アスペクト比等の粒子形状が制御された針状酸化ニッケル粉末とその製造方法であり、その工業的価値は極めて大きい。
Claims (3)
- 針状シュウ酸ニッケルアンモニウムを、酸化性雰囲気下300〜1200℃で加熱処理することを特徴とする針状酸化ニッケル粉末の製造方法。
- 前記針状シュウ酸ニッケルアンモニウムは、10〜50g/Lの遊離アンモニウムイオンの共存下40℃以上の温度でニッケルとニッケルに対して当量以上のシュウ酸イオンを反応させて製造されることを特徴とする請求項1に記載の針状酸化ニッケル粉末の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の製造方法により得られる、比表面積が0.05〜160m2/g、細孔容積が0.005〜0.25cm3/g、長軸の長さが5〜30μm、アスペクト比が5〜35であることを特徴とする針状酸化ニッケル粉末。
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JP2003110417A JP2004315274A (ja) | 2003-04-15 | 2003-04-15 | 針状酸化ニッケル粉末とその製造方法 |
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CN1331761C (zh) * | 2005-05-13 | 2007-08-15 | 中南大学 | 固相界面诱导沉淀制备氧化镍、氧化钴粉末的方法 |
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CN102616866A (zh) * | 2012-03-29 | 2012-08-01 | 金川集团有限公司 | 一种多孔状球形氧化镍粉的制备方法 |
JP2012155869A (ja) * | 2011-01-24 | 2012-08-16 | Nissan Motor Co Ltd | 固体酸化物形燃料電池の製造方法 |
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2003
- 2003-04-15 JP JP2003110417A patent/JP2004315274A/ja active Pending
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