JP2004315176A - シート搬送装置、および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】音の発生をなくし、搬送性を良好として耐久性を向上し、小型化を可能としながら、時間の経過により摩耗した場合にも分離性能の低下を防止する。
【解決手段】分離付勢部材42で付勢して分離部材43の押し当て凸部50を給送ローラ(回転搬送部材)20の周面に押し当て、その給送ローラを回転してシート材Sを搬送し、給送ローラの周面と押し当て凸部との間に入れてシート材を一枚ずつ分離して搬送する。そのようなシート搬送装置において、押し当て凸部が摩耗して分離付勢部材の付勢力が低下した分、押し当て凸部の押し当て幅を増大し、給送ローラに対する分離部材の面圧が一定となる形状に、押し当て凸部を形成する。例えば、シート搬送方向Aと直交する方向における、押し当て凸部の断面形状を台形形状に形成する。
【選択図】 図2
【解決手段】分離付勢部材42で付勢して分離部材43の押し当て凸部50を給送ローラ(回転搬送部材)20の周面に押し当て、その給送ローラを回転してシート材Sを搬送し、給送ローラの周面と押し当て凸部との間に入れてシート材を一枚ずつ分離して搬送する。そのようなシート搬送装置において、押し当て凸部が摩耗して分離付勢部材の付勢力が低下した分、押し当て凸部の押し当て幅を増大し、給送ローラに対する分離部材の面圧が一定となる形状に、押し当て凸部を形成する。例えば、シート搬送方向Aと直交する方向における、押し当て凸部の断面形状を台形形状に形成する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ、またはそれらの複合機など、用紙・OHPフィルム・はがき・封筒等のシート材に画像を記録する画像形成装置に関する。および、そのような画像形成装置などにおいて、シート材を搬送するシート搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シート搬送装置の中には、回転してシート材を搬送する回転搬送部材として給送部材を設け、その給送部材の回転で、例えばシートカセット内に積載するシート材を順次一枚ずつ分離して送り出すシート給送装置がある。この種のシート給送装置にあっては、次の▲1▼〜▲3▼の分離方式などによりシート材を一枚ずつ分離していた。
【0003】
▲1▼ コーナー爪分離方式
シートカセットのシート搬送方向前方の両コーナーにコーナー爪を設け、そのコーナー爪で、送り出すシート材の幅方向両端部を押さえ、シート材がそのこしでコーナー爪を乗り越えることにより、積載するシート材を上から順に一枚ずつ分離して送り出すもの。
【0004】
▲2▼ パッド分離方式
【特許文献1】特公平8−634号公報
例えば特許文献1に記載されるもので、図9に示すように、給送部材である給送ローラ1に、分離部材2のパッドホルダ2aで保持する分離パッド2bを押し当て、給送ローラ1を矢示方向に回転して、積載するシート材sを上から順に送り出し、ウレタン製等の分離パッド2bの摩擦で、シート材sを一枚ずつ分離して矢示方向に送り出すもの。
【0005】
▲3▼ 土手分離方式
【特許文献2】特開平10−139197号公報
例えば特許文献2に記載されるもので、図10に示すように、給送部材である給送ローラ1を矢示方向に回転して、積載するシート材sを上から順に送り出し、先端を固定の分離部材2の傾斜面2cに突き当ててシート材sを一枚ずつ分離して送り出し、一対の搬送ローラ3a・3bで矢示方向に搬送するもの。
【0006】
上述した▲1▼〜▲3▼のうち、▲1▼のコーナー爪分離方式や▲3▼の土手分離方式では、シート材の適度のこしの強さによりシート材sを分離して重送を防止するので、シート材sに例えば厚紙や薄紙などを用いた場合には、こしが強すぎたり弱すぎたりしてシート材sの重送を確実に防止できない問題があった。
【0007】
これに対し、▲2▼のパッド分離方式は、分離パッド2bの摩擦によりシート材sを一枚ずつ分離して送り出すので、例えばはがき、封筒、OHPフィルム等のサイズの異なる厚紙や薄紙などであっても、シート材sの種類に関係なく、こしの強さが異なる多種多様なシート材sに適用して共通に重送を防止することができる。加えて、使用する部品点数が少なくて低コストで済む利点もある。
【0008】
しかしながら、▲2▼のパッド分離方式は、シート材搬送スピードが線速200mm/sec以下の価格の安い低速機に用いると、シート材sが給送ローラ1と分離パッド2b間に進入したとき、スティックスリップに起因する異音を発生しやすい問題があった。よって、この異音を防止すべく、分離後すぐに、給送ローラ1に対する分離パッド2bの押し当てを解除する機構を設けると、部品点数が増えてコスト高となる問題があった。
【0009】
また、分離パッド2bに必要以上に摩擦係数の大きい材料を用いると、シート材sがカールしたり、シート材sの裁断個所に裁断バリがあると、分離パッド2bに引っ掛かって不送りを生じたりしやすい問題があった。
【0010】
さらに、給送ローラ1に対して分離パッド2bとシート材sの上面が同時に接触し、しかも積載状態から送り出されるシート材sの搬送方向に対して分離パッド2bを所定の角度範囲に保持しなければ、重送を確実に防止することができないから、給送ローラ1のローラ径に制限があり、レイアウトの自由度も制約を受け、小型化が難しい問題があった。
【0011】
またさらに、給送ローラ1と分離パッド2b間にシート材sが入り込むまで分離パッド2bを押し当てた状態で給送ローラ1を回転するので、給送ローラ1および分離パッド2bの双方が早期に摩耗し、他の方式に比較して耐久性が劣る問題があった。
【0012】
このようなことから、従来の給送装置の中には、例えば図11に示すように、給送筐体4で給送ローラ5を回転自在に支持する一方、基部の軸部を中心として分離部材6を回動自在に支持し、その分離部材6を不図示の分離付勢部材で付勢して矢印a方向に回動し、先端を給送ローラ5に押し当てるとともに、底板7を付勢して矢印b方向に回動し、その上に積載するシート材sの最上位のシート材前端を下方から給送ローラ1に押し当てるようにするものがあった。
【0013】
分離部材6には、例えば図12に示すように、先端に押し当て凸部6aを形成し、その頂面6bを給送ローラ1の周面に押し当て、また押し当て凸部6aの先端側面に傾斜面6cを設ける。そして、図11で、給送ローラ1をc方向に回転してd方向に送り出したシート材sの先端を傾斜面6cに突き当てて、給送ローラ1周面と頂面6bとの間に導いてシート材sを一枚ずつ分離していた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような従来のシート給送装置では、使用とともに、頂面6bが摩耗して図12に示す押し当て凸部6aの高さhが低くなり、その分、分離部材6の先端が給送ローラ1に接近して、分離部材6を付勢する不図示の分離付勢部材がのびてその付勢力が小さくなり、給送ローラ1に対する頂面6bの面圧が低減して分離性能が低下する問題があった。
【0015】
そこで、この発明の第1の目的は、シート搬送装置における以上のような従来の問題を解消し、異音の発生をなくし、搬送性を良好として耐久性を向上し、小型化を可能としながら、時間の経過とともに分離部材の一部が摩耗した場合にも分離性能の低下を防止することにある。
【0016】
この発明の第2の目的は、分離部材の先端形状を変更するだけで簡易に、上記第1の目的を達成することにある。
【0017】
この発明の第3の目的は、搬送するシート材の分離性能をより一層向上して重送の発生を確実に防止するとともに、上記第1の目的を達成することにある。
【0018】
この発明の第4の目的は、特に重送の防止が必要なシート給送装置において、効果的に上記第1の目的を達成することにある。
【0019】
この発明の第5の目的は、シート材の搬送性能をより一層向上するとともに、上記第1の目的を達成することにある。
【0020】
この発明の第6の目的は、上記各目的を達成したシート搬送装置を備える画像形成装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
そのため、請求項1に記載の発明は、上述した第1の目的を達成すべく、付勢部材で付勢して分離部材の押し当て凸部を回転搬送部材の周面に押し当て、その回転搬送部材を回転してシート材を搬送し、回転搬送部材の周面と押し当て凸部との間に入れてシート材を一枚ずつ分離して搬送するシート搬送装置において、
押し当て凸部が摩耗して付勢部材の付勢力が低下した分、押し当て凸部の押し当て幅を増大し、回転搬送部材に対する分離部材の面圧が一定となる形状に、押し当て凸部を形成する、ことを特徴とする。
【0022】
請求項2に記載の発明は、上述した第2の目的を達成すべく、請求項1に記載のシート搬送装置において、シート搬送方向と直交する方向における、押し当て凸部の断面形状を台形形状に形成する、ことを特徴とする。
【0023】
請求項3に記載の発明は、上述した第3の目的を達成すべく、請求項1または2に記載のシート搬送装置において、分離部材に、回転搬送部材で搬送するシート材の先端を突き当てる傾斜面を設ける、ことを特徴とする。
【0024】
請求項4に記載の発明は、上述した第4の目的を達成すべく、請求項1ないし3のいずれか1に記載のシート搬送装置において、回転搬送部材が、積載するシート材を順次送り出す給送部材である、ことを特徴とする。
【0025】
請求項5に記載の発明は、上述した第5の目的を達成すべく、請求項4に記載のシート搬送装置において、給送部材の周面に一定間隔置きに軸方向の溝を複数設ける、ことを特徴とする。
【0026】
請求項6に記載の発明は、上述した第6の目的を達成すべく、請求項1ないし5のいずれか1に記載のシート搬送装置を備えることを特徴とする、画像形成装置である。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態につき説明する。
図1には、電子写真方式の複写機における内部機構の全体概略構成を示す。図中符号10は、内部上に画像読取装置11を備える複写機装置本体である。
【0028】
複写機装置本体10内のほぼ中央には、ドラム状の像担持体12を回転自在に設ける。像担持体12のまわりには、その上に配置する帯電装置13から像担持体12の矢印で示す回転方向に順に、現像装置14、転写装置15、クリーニング装置16などを配置する。また、像担持体12の上には、光書込み装置17を備える。
【0029】
そして、像担持体12と、それらの装置13、14、15、16、17などで、作像装置Bを構成する。
【0030】
作像装置Bの図中左には、定着装置18を設ける。定着装置18には、例えば、熱源であるヒータを内蔵する定着ローラ18Aと、その定着ローラ18Aに下方から押し当てる加圧ローラ18Bなどを備える。
【0031】
このような複写機装置本体10内には、作像装置Bや定着装置18の下に、シート搬送装置Cを設ける。シート搬送装置Cには、図中下から上に向けてのび、上で左に曲がり、像担持体12と転写装置15間の転写位置を通過してさらに左へとのびるシート搬送路Rを形成し、そのシート搬送路Rを通して、用紙・OHPフィルム等のシート材Sを搬送する。
【0032】
シート搬送路Rには、シート材Sを積載して収納するシートカセット19から、そのシートカセット19内のシート材Sを順次上から一枚ずつ送り出す給送ローラ20、送り出したシート材Sを搬送するシート搬送ローラ21、シート材Sの先端を突き当てて止めるレジストローラ22、画像転写後のシート材Sを定着装置18へと搬送するベルト搬送装置23、画像定着後のシート材Sを排出する排出ローラ24などを備えている。
【0033】
また、装置本体10の図中左側面には、排出ローラ24により排出するシート材Sを受ける排紙トレイ25を着脱自在に取り付ける。
【0034】
さらに、そのような複写機装置本体10内のシートカセット19上には、両面装置26を設ける。両面装置26へは、定着装置18出口位置でシート搬送路Rから分岐して設ける反転路R1を通して導く。また、両面装置26からは、シート搬送ローラ21上流位置でシート搬送路Rに合流する再供給路R2を形成してなる。
【0035】
また、装置本体10上に備える画像読取装置11には、光源30、複数のミラー31、結像レンズ32、CCD等のイメージセンサ33などを備えてなる。
【0036】
そのような画像読取装置11の上面には、コンタクトガラス35を設ける。そのコンタクトガラス35の上には、開閉自在にシート押え板36を設ける。
【0037】
さて、いま、図示複写機を用いてコピーをとるときは、不図示のメインスイッチをオンするとともに、シート押え板36を開いてコンタクトガラス35上に直接原稿をセットしてから、シート押え板36を閉じてそれで原稿を押える。
【0038】
そして、不図示のスタートスイッチを押すと、直ちに画像読取装置11が駆動し、光源30を点灯し、その光源30からの光を原稿面で反射し、その反射光を複数のミラー31で反射して結像レンズ32に入れ、その結像レンズ32を通してイメージセンサ33に導き、そのイメージセンサ33により光学的な信号を電気的なデジタル信号に変換して原稿の内容を読み取る。
【0039】
また、このとき同時に、作像装置Bでは、像担持体12を矢印で示す時計まわりに回転し、帯電装置13で像担持体12の表面を一様に帯電し、次いで画像読取装置11で読み取った読取内容に応じたデジタル画像信号に基づきレーザ光Lを照射して光書込み装置17で書き込みを行い、像担持体12の表面に静電潜像を形成し、そののち現像装置14でトナーを付着してその静電潜像を可視像化してトナー画像を形成する。
【0040】
また、スタートスイッチを押したとき同時に、シート搬送装置Cでは、給送ローラ20を回転し、シートカセット19内に収納するシート材Sを繰り出し、シート搬送路Rに入れてシート搬送ローラ21で搬送し、レジストローラ22に突き当てて止める。そして、像担持体12上のトナー画像にタイミングを合わせて該レジストローラ22を回転し、像担持体12の下方へと送り込む。
【0041】
それから、像担持体12の下方へと送り込んだシート材Sに、転写位置で、転写装置15により、像担持体12上のトナー画像を転写する。画像転写後の像担持体12は、クリーニング装置16で残留トナーを除去して表面を清掃し、次の同様な画像形成に備える。
【0042】
一方、画像転写後のシート材Sは、ベルト搬送装置23で搬送して定着装置18に入れ、定着ローラ18Aと加圧ローラ18Bで熱と圧力を加えて転写画像を定着する。その後、排出ローラ24により排出トレイ25上に排出する。
【0043】
シート材Sの両面に画像を形成するときは、シート搬送路Rから反転路R1に入れ、両面装置26で反転してから、再搬送ローラ27により搬送して再給紙路R2を通して再びシート搬送路Rに入れ、シート材Sの裏面にも、別途像担持体12上に形成したトナー画像を転写し、その転写画像を定着装置18で定着して排出トレイ25に排出する。
【0044】
図2には、上述した複写機におけるシート搬送装置Cの一部であるシート給送装置を拡大して示す。
図中符号40は、給送筐体である。給送筐体40で、回転搬送部材である給送ローラ20のローラ軸41を支持する。
【0045】
給送ローラ20の周面には、分離付勢部材42で付勢して分離部材43の先端を押し当てる。分離部材43は、レバー形状で、基部の軸部44を中心として、不図示の部材で回動自在に支持する。
【0046】
また、上述したシートカセット19内には、底板45があり、その底板45上にシート材Sを積載して収納する。そして、シートカセット19内において給送付勢部材46で付勢して底板45を押し上げ、積載するシート材Sの最上位のシート材Sの先端を給送ローラ20の周面に押し当てる。
【0047】
図3には、給送ローラ20に押し当てる分離部材43の先端部分を拡大して示す。図4には、給送ローラ20の外観図を示す。図5(A)ないし(C)には、給送ローラ20の周面に設ける各種の溝47の形状を示す。図6には、給送ローラ20の周面の一部を拡大して示す。
【0048】
これらの図3および図4から判るとおり、給送ローラ20は、ゴム製で、周面には、軸方向の溝47を一定間隔置きに複数形成してローレット状に設ける。この溝47は、図3に示すような断面角形状でもよいし、図5(A)に示すようなV字形状でもよいし、(B)に示すようなU字形状でもよいし、(C)に示すような台形形状でもよい。また、給送ローラ20の周面は、図6に示すように、浅い凹部48を分散して設け、シボ状に形成するとよい。
【0049】
図7には、分離部材43の先端を拡大して示す。
図7から判るとおり、分離部材43の先端には、縁部に沿って片面側に向け突出して押し当て凸部50を設ける。押し当て凸部50には、給送ローラ20の周面に押し当てる頂面51と、その両端に設ける斜め面52と、先端側面に設ける傾斜面53とを有する。そして、押し当て凸部50は、図中矢示するシート搬送方向Aと直交する方向における断面形状を、図中二点鎖線で示すように台形形状に形成する。
【0050】
そして、給送ローラ20を矢印D方向に回転して、積載するシート材Sを順次上から送り出し、給送ローラ20で搬送するシート材Sの先端を傾斜面53に突き当てて、給送ローラ20の周面と分離部材43の頂面51との間のニップへと導き、そのニップでシート材Sを一枚ずつ分離して搬送する。
【0051】
分離部材43に、傾斜面53を形成することにより、異音の発生を防止することができるとともに、シート材Sのカールやバリなどに起因する不送りの発生を防止することができる。
【0052】
また、給送ローラ20の周面に軸方向の溝47を形成したり、凹部48をシボ状に設けることで、給送ローラ20の周面に付着した紙粉等の異物を給送ローラ20の回転とともにそれらの溝47や凹部48に入れ、すべりなどをなくしてシート材Sの搬送性を向上することができる。
【0053】
ところで、ニップ間にシート材Sがないとき、給送ローラ20は、分離部材43の頂面51に直接接触した状態で回転する。このため、分離部材43の頂面51は、摩耗する。いま、図8に示すように、その摩耗厚さをtとし、押し当て幅LがL0からL1に増大したとする。すると、摩耗厚さt分、分離付勢部材42がのびてその付勢力Fは、F0からF1に小さくなる。
【0054】
当初の面圧をP0とし、厚さt摩耗したときの面圧をP1とすると、
P0=F0×L0×M
P1=F1×L1×M
となる。ここで、Mは、頂面51の幅である。
【0055】
このとき、分離付勢部材42の付勢力FがF0からF1へと低下した分、押し当て凸部50の押し当て幅LをL0からL1へと増大してP0=P1となるように、シート搬送方向Aと直交する方向における、押し当て凸部50の断面形状を台形形状に形成すると、給送ローラ20に対する分離部材43の面圧Pを一定として分離性能を向上することができる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したとおり、請求項1に記載の発明によれば、付勢部材で付勢して分離部材の押し当て凸部を回転搬送部材の周面に押し当て、その回転搬送部材を回転してシート材を搬送し、回転搬送部材の周面と押し当て凸部との間に入れてシート材を一枚ずつ分離して搬送するシート搬送装置であるので、スティックスリップに起因するような異音の発生をなくし、カールしたり裁断バリがあったりしてもシート材の搬送性を良好とするとともに、比較的摩耗を少なくして耐久性を向上し、構成簡単として小型化を可能とすることができる。
【0057】
また、押し当て凸部が摩耗して付勢部材の付勢力が低下した分、押し当て凸部の押し当て幅を増大し、回転搬送部材に対する分離部材の面圧が一定となる形状に、押し当て凸部を形成するので、仮に時間の経過とともに摩耗することにより分離付勢部材による付勢力が低下した場合にも、回転搬送部材に対する分離部材の面力を一定として分離性能の低下を防止することができる。
【0058】
請求項2に記載の発明によれば、シート搬送方向と直交する方向における、押し当て凸部の断面形状を台形形状に形成するので、分離部材の先端形状を変更するだけで簡易に、上述した請求項1に記載の発明による効果を達成することができる。
【0059】
請求項3に記載の発明によれば、分離部材に、回転搬送部材で搬送するシート材の先端を突き当てる傾斜面を設けるので、搬送するシート材の分離性能をより一層向上して重送の発生を確実に防止し、また異音の発生を防止し、シート材のカールやバリなどに起因する不送りの発生を防止するとともに、上述した請求項1に記載の発明による効果を達成することができる。
【0060】
請求項4に記載の発明によれば、回転搬送部材が、積載するシート材を順次送り出す給送部材であるので、特に重送の防止が必要なシート給送装置において、効果的に上述した請求項1に記載の発明による効果を達成することができる。
【0061】
請求項5に記載の発明によれば、給送部材の周面に一定間隔置きに軸方向の溝を複数設けるので、シート材の搬送性能をより一層向上するとともに、上述した請求項1に記載の発明による効果を達成することができる。
【0062】
請求項6に記載の発明によれば、画像形成装置に、請求項1ないし5のいずれか1に記載のシート搬送装置を備えるので、上述した各効果を達成し得る画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子写真方式の複写機における内部機構の全体概略構成図である。
【図2】その複写機におけるシート搬送装置の一部であるシート給送装置を拡大して示す構成図である。
【図3】その給送ローラに押し当てる分離部材の先端部分の拡大構成図である。
【図4】その給送ローラの外観図である。
【図5】(A)ないし(C)は、周面に設ける各種の溝形状を示す給送ローラの部分拡大図である。
【図6】給送ローラの周面の一部拡大図である。
【図7】分離部材の先端部の拡大斜視図である。
【図8】給送ローラと分離部材と分離付勢部材との関係を示す説明図である。
【図9】従来におけるパッド分離方式のシート給送装置の構成図である。
【図10】従来における土手分離方式のシート給送装置の構成図である。
【図11】従来のシート給送装置の構成図である。
【図12】その分離部材の先端部の拡大斜視図である。
【符号の説明】
20 給送ローラ(給送部材、回転搬送部材)
42 分離付勢部材
43 分離部材
47 溝
50 押し当て凸部
51 頂面
53 傾斜面
C シート搬送装置
L 押し当て幅
P 面圧
S シート材
A シート搬送方向
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ、またはそれらの複合機など、用紙・OHPフィルム・はがき・封筒等のシート材に画像を記録する画像形成装置に関する。および、そのような画像形成装置などにおいて、シート材を搬送するシート搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シート搬送装置の中には、回転してシート材を搬送する回転搬送部材として給送部材を設け、その給送部材の回転で、例えばシートカセット内に積載するシート材を順次一枚ずつ分離して送り出すシート給送装置がある。この種のシート給送装置にあっては、次の▲1▼〜▲3▼の分離方式などによりシート材を一枚ずつ分離していた。
【0003】
▲1▼ コーナー爪分離方式
シートカセットのシート搬送方向前方の両コーナーにコーナー爪を設け、そのコーナー爪で、送り出すシート材の幅方向両端部を押さえ、シート材がそのこしでコーナー爪を乗り越えることにより、積載するシート材を上から順に一枚ずつ分離して送り出すもの。
【0004】
▲2▼ パッド分離方式
【特許文献1】特公平8−634号公報
例えば特許文献1に記載されるもので、図9に示すように、給送部材である給送ローラ1に、分離部材2のパッドホルダ2aで保持する分離パッド2bを押し当て、給送ローラ1を矢示方向に回転して、積載するシート材sを上から順に送り出し、ウレタン製等の分離パッド2bの摩擦で、シート材sを一枚ずつ分離して矢示方向に送り出すもの。
【0005】
▲3▼ 土手分離方式
【特許文献2】特開平10−139197号公報
例えば特許文献2に記載されるもので、図10に示すように、給送部材である給送ローラ1を矢示方向に回転して、積載するシート材sを上から順に送り出し、先端を固定の分離部材2の傾斜面2cに突き当ててシート材sを一枚ずつ分離して送り出し、一対の搬送ローラ3a・3bで矢示方向に搬送するもの。
【0006】
上述した▲1▼〜▲3▼のうち、▲1▼のコーナー爪分離方式や▲3▼の土手分離方式では、シート材の適度のこしの強さによりシート材sを分離して重送を防止するので、シート材sに例えば厚紙や薄紙などを用いた場合には、こしが強すぎたり弱すぎたりしてシート材sの重送を確実に防止できない問題があった。
【0007】
これに対し、▲2▼のパッド分離方式は、分離パッド2bの摩擦によりシート材sを一枚ずつ分離して送り出すので、例えばはがき、封筒、OHPフィルム等のサイズの異なる厚紙や薄紙などであっても、シート材sの種類に関係なく、こしの強さが異なる多種多様なシート材sに適用して共通に重送を防止することができる。加えて、使用する部品点数が少なくて低コストで済む利点もある。
【0008】
しかしながら、▲2▼のパッド分離方式は、シート材搬送スピードが線速200mm/sec以下の価格の安い低速機に用いると、シート材sが給送ローラ1と分離パッド2b間に進入したとき、スティックスリップに起因する異音を発生しやすい問題があった。よって、この異音を防止すべく、分離後すぐに、給送ローラ1に対する分離パッド2bの押し当てを解除する機構を設けると、部品点数が増えてコスト高となる問題があった。
【0009】
また、分離パッド2bに必要以上に摩擦係数の大きい材料を用いると、シート材sがカールしたり、シート材sの裁断個所に裁断バリがあると、分離パッド2bに引っ掛かって不送りを生じたりしやすい問題があった。
【0010】
さらに、給送ローラ1に対して分離パッド2bとシート材sの上面が同時に接触し、しかも積載状態から送り出されるシート材sの搬送方向に対して分離パッド2bを所定の角度範囲に保持しなければ、重送を確実に防止することができないから、給送ローラ1のローラ径に制限があり、レイアウトの自由度も制約を受け、小型化が難しい問題があった。
【0011】
またさらに、給送ローラ1と分離パッド2b間にシート材sが入り込むまで分離パッド2bを押し当てた状態で給送ローラ1を回転するので、給送ローラ1および分離パッド2bの双方が早期に摩耗し、他の方式に比較して耐久性が劣る問題があった。
【0012】
このようなことから、従来の給送装置の中には、例えば図11に示すように、給送筐体4で給送ローラ5を回転自在に支持する一方、基部の軸部を中心として分離部材6を回動自在に支持し、その分離部材6を不図示の分離付勢部材で付勢して矢印a方向に回動し、先端を給送ローラ5に押し当てるとともに、底板7を付勢して矢印b方向に回動し、その上に積載するシート材sの最上位のシート材前端を下方から給送ローラ1に押し当てるようにするものがあった。
【0013】
分離部材6には、例えば図12に示すように、先端に押し当て凸部6aを形成し、その頂面6bを給送ローラ1の周面に押し当て、また押し当て凸部6aの先端側面に傾斜面6cを設ける。そして、図11で、給送ローラ1をc方向に回転してd方向に送り出したシート材sの先端を傾斜面6cに突き当てて、給送ローラ1周面と頂面6bとの間に導いてシート材sを一枚ずつ分離していた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような従来のシート給送装置では、使用とともに、頂面6bが摩耗して図12に示す押し当て凸部6aの高さhが低くなり、その分、分離部材6の先端が給送ローラ1に接近して、分離部材6を付勢する不図示の分離付勢部材がのびてその付勢力が小さくなり、給送ローラ1に対する頂面6bの面圧が低減して分離性能が低下する問題があった。
【0015】
そこで、この発明の第1の目的は、シート搬送装置における以上のような従来の問題を解消し、異音の発生をなくし、搬送性を良好として耐久性を向上し、小型化を可能としながら、時間の経過とともに分離部材の一部が摩耗した場合にも分離性能の低下を防止することにある。
【0016】
この発明の第2の目的は、分離部材の先端形状を変更するだけで簡易に、上記第1の目的を達成することにある。
【0017】
この発明の第3の目的は、搬送するシート材の分離性能をより一層向上して重送の発生を確実に防止するとともに、上記第1の目的を達成することにある。
【0018】
この発明の第4の目的は、特に重送の防止が必要なシート給送装置において、効果的に上記第1の目的を達成することにある。
【0019】
この発明の第5の目的は、シート材の搬送性能をより一層向上するとともに、上記第1の目的を達成することにある。
【0020】
この発明の第6の目的は、上記各目的を達成したシート搬送装置を備える画像形成装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
そのため、請求項1に記載の発明は、上述した第1の目的を達成すべく、付勢部材で付勢して分離部材の押し当て凸部を回転搬送部材の周面に押し当て、その回転搬送部材を回転してシート材を搬送し、回転搬送部材の周面と押し当て凸部との間に入れてシート材を一枚ずつ分離して搬送するシート搬送装置において、
押し当て凸部が摩耗して付勢部材の付勢力が低下した分、押し当て凸部の押し当て幅を増大し、回転搬送部材に対する分離部材の面圧が一定となる形状に、押し当て凸部を形成する、ことを特徴とする。
【0022】
請求項2に記載の発明は、上述した第2の目的を達成すべく、請求項1に記載のシート搬送装置において、シート搬送方向と直交する方向における、押し当て凸部の断面形状を台形形状に形成する、ことを特徴とする。
【0023】
請求項3に記載の発明は、上述した第3の目的を達成すべく、請求項1または2に記載のシート搬送装置において、分離部材に、回転搬送部材で搬送するシート材の先端を突き当てる傾斜面を設ける、ことを特徴とする。
【0024】
請求項4に記載の発明は、上述した第4の目的を達成すべく、請求項1ないし3のいずれか1に記載のシート搬送装置において、回転搬送部材が、積載するシート材を順次送り出す給送部材である、ことを特徴とする。
【0025】
請求項5に記載の発明は、上述した第5の目的を達成すべく、請求項4に記載のシート搬送装置において、給送部材の周面に一定間隔置きに軸方向の溝を複数設ける、ことを特徴とする。
【0026】
請求項6に記載の発明は、上述した第6の目的を達成すべく、請求項1ないし5のいずれか1に記載のシート搬送装置を備えることを特徴とする、画像形成装置である。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態につき説明する。
図1には、電子写真方式の複写機における内部機構の全体概略構成を示す。図中符号10は、内部上に画像読取装置11を備える複写機装置本体である。
【0028】
複写機装置本体10内のほぼ中央には、ドラム状の像担持体12を回転自在に設ける。像担持体12のまわりには、その上に配置する帯電装置13から像担持体12の矢印で示す回転方向に順に、現像装置14、転写装置15、クリーニング装置16などを配置する。また、像担持体12の上には、光書込み装置17を備える。
【0029】
そして、像担持体12と、それらの装置13、14、15、16、17などで、作像装置Bを構成する。
【0030】
作像装置Bの図中左には、定着装置18を設ける。定着装置18には、例えば、熱源であるヒータを内蔵する定着ローラ18Aと、その定着ローラ18Aに下方から押し当てる加圧ローラ18Bなどを備える。
【0031】
このような複写機装置本体10内には、作像装置Bや定着装置18の下に、シート搬送装置Cを設ける。シート搬送装置Cには、図中下から上に向けてのび、上で左に曲がり、像担持体12と転写装置15間の転写位置を通過してさらに左へとのびるシート搬送路Rを形成し、そのシート搬送路Rを通して、用紙・OHPフィルム等のシート材Sを搬送する。
【0032】
シート搬送路Rには、シート材Sを積載して収納するシートカセット19から、そのシートカセット19内のシート材Sを順次上から一枚ずつ送り出す給送ローラ20、送り出したシート材Sを搬送するシート搬送ローラ21、シート材Sの先端を突き当てて止めるレジストローラ22、画像転写後のシート材Sを定着装置18へと搬送するベルト搬送装置23、画像定着後のシート材Sを排出する排出ローラ24などを備えている。
【0033】
また、装置本体10の図中左側面には、排出ローラ24により排出するシート材Sを受ける排紙トレイ25を着脱自在に取り付ける。
【0034】
さらに、そのような複写機装置本体10内のシートカセット19上には、両面装置26を設ける。両面装置26へは、定着装置18出口位置でシート搬送路Rから分岐して設ける反転路R1を通して導く。また、両面装置26からは、シート搬送ローラ21上流位置でシート搬送路Rに合流する再供給路R2を形成してなる。
【0035】
また、装置本体10上に備える画像読取装置11には、光源30、複数のミラー31、結像レンズ32、CCD等のイメージセンサ33などを備えてなる。
【0036】
そのような画像読取装置11の上面には、コンタクトガラス35を設ける。そのコンタクトガラス35の上には、開閉自在にシート押え板36を設ける。
【0037】
さて、いま、図示複写機を用いてコピーをとるときは、不図示のメインスイッチをオンするとともに、シート押え板36を開いてコンタクトガラス35上に直接原稿をセットしてから、シート押え板36を閉じてそれで原稿を押える。
【0038】
そして、不図示のスタートスイッチを押すと、直ちに画像読取装置11が駆動し、光源30を点灯し、その光源30からの光を原稿面で反射し、その反射光を複数のミラー31で反射して結像レンズ32に入れ、その結像レンズ32を通してイメージセンサ33に導き、そのイメージセンサ33により光学的な信号を電気的なデジタル信号に変換して原稿の内容を読み取る。
【0039】
また、このとき同時に、作像装置Bでは、像担持体12を矢印で示す時計まわりに回転し、帯電装置13で像担持体12の表面を一様に帯電し、次いで画像読取装置11で読み取った読取内容に応じたデジタル画像信号に基づきレーザ光Lを照射して光書込み装置17で書き込みを行い、像担持体12の表面に静電潜像を形成し、そののち現像装置14でトナーを付着してその静電潜像を可視像化してトナー画像を形成する。
【0040】
また、スタートスイッチを押したとき同時に、シート搬送装置Cでは、給送ローラ20を回転し、シートカセット19内に収納するシート材Sを繰り出し、シート搬送路Rに入れてシート搬送ローラ21で搬送し、レジストローラ22に突き当てて止める。そして、像担持体12上のトナー画像にタイミングを合わせて該レジストローラ22を回転し、像担持体12の下方へと送り込む。
【0041】
それから、像担持体12の下方へと送り込んだシート材Sに、転写位置で、転写装置15により、像担持体12上のトナー画像を転写する。画像転写後の像担持体12は、クリーニング装置16で残留トナーを除去して表面を清掃し、次の同様な画像形成に備える。
【0042】
一方、画像転写後のシート材Sは、ベルト搬送装置23で搬送して定着装置18に入れ、定着ローラ18Aと加圧ローラ18Bで熱と圧力を加えて転写画像を定着する。その後、排出ローラ24により排出トレイ25上に排出する。
【0043】
シート材Sの両面に画像を形成するときは、シート搬送路Rから反転路R1に入れ、両面装置26で反転してから、再搬送ローラ27により搬送して再給紙路R2を通して再びシート搬送路Rに入れ、シート材Sの裏面にも、別途像担持体12上に形成したトナー画像を転写し、その転写画像を定着装置18で定着して排出トレイ25に排出する。
【0044】
図2には、上述した複写機におけるシート搬送装置Cの一部であるシート給送装置を拡大して示す。
図中符号40は、給送筐体である。給送筐体40で、回転搬送部材である給送ローラ20のローラ軸41を支持する。
【0045】
給送ローラ20の周面には、分離付勢部材42で付勢して分離部材43の先端を押し当てる。分離部材43は、レバー形状で、基部の軸部44を中心として、不図示の部材で回動自在に支持する。
【0046】
また、上述したシートカセット19内には、底板45があり、その底板45上にシート材Sを積載して収納する。そして、シートカセット19内において給送付勢部材46で付勢して底板45を押し上げ、積載するシート材Sの最上位のシート材Sの先端を給送ローラ20の周面に押し当てる。
【0047】
図3には、給送ローラ20に押し当てる分離部材43の先端部分を拡大して示す。図4には、給送ローラ20の外観図を示す。図5(A)ないし(C)には、給送ローラ20の周面に設ける各種の溝47の形状を示す。図6には、給送ローラ20の周面の一部を拡大して示す。
【0048】
これらの図3および図4から判るとおり、給送ローラ20は、ゴム製で、周面には、軸方向の溝47を一定間隔置きに複数形成してローレット状に設ける。この溝47は、図3に示すような断面角形状でもよいし、図5(A)に示すようなV字形状でもよいし、(B)に示すようなU字形状でもよいし、(C)に示すような台形形状でもよい。また、給送ローラ20の周面は、図6に示すように、浅い凹部48を分散して設け、シボ状に形成するとよい。
【0049】
図7には、分離部材43の先端を拡大して示す。
図7から判るとおり、分離部材43の先端には、縁部に沿って片面側に向け突出して押し当て凸部50を設ける。押し当て凸部50には、給送ローラ20の周面に押し当てる頂面51と、その両端に設ける斜め面52と、先端側面に設ける傾斜面53とを有する。そして、押し当て凸部50は、図中矢示するシート搬送方向Aと直交する方向における断面形状を、図中二点鎖線で示すように台形形状に形成する。
【0050】
そして、給送ローラ20を矢印D方向に回転して、積載するシート材Sを順次上から送り出し、給送ローラ20で搬送するシート材Sの先端を傾斜面53に突き当てて、給送ローラ20の周面と分離部材43の頂面51との間のニップへと導き、そのニップでシート材Sを一枚ずつ分離して搬送する。
【0051】
分離部材43に、傾斜面53を形成することにより、異音の発生を防止することができるとともに、シート材Sのカールやバリなどに起因する不送りの発生を防止することができる。
【0052】
また、給送ローラ20の周面に軸方向の溝47を形成したり、凹部48をシボ状に設けることで、給送ローラ20の周面に付着した紙粉等の異物を給送ローラ20の回転とともにそれらの溝47や凹部48に入れ、すべりなどをなくしてシート材Sの搬送性を向上することができる。
【0053】
ところで、ニップ間にシート材Sがないとき、給送ローラ20は、分離部材43の頂面51に直接接触した状態で回転する。このため、分離部材43の頂面51は、摩耗する。いま、図8に示すように、その摩耗厚さをtとし、押し当て幅LがL0からL1に増大したとする。すると、摩耗厚さt分、分離付勢部材42がのびてその付勢力Fは、F0からF1に小さくなる。
【0054】
当初の面圧をP0とし、厚さt摩耗したときの面圧をP1とすると、
P0=F0×L0×M
P1=F1×L1×M
となる。ここで、Mは、頂面51の幅である。
【0055】
このとき、分離付勢部材42の付勢力FがF0からF1へと低下した分、押し当て凸部50の押し当て幅LをL0からL1へと増大してP0=P1となるように、シート搬送方向Aと直交する方向における、押し当て凸部50の断面形状を台形形状に形成すると、給送ローラ20に対する分離部材43の面圧Pを一定として分離性能を向上することができる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したとおり、請求項1に記載の発明によれば、付勢部材で付勢して分離部材の押し当て凸部を回転搬送部材の周面に押し当て、その回転搬送部材を回転してシート材を搬送し、回転搬送部材の周面と押し当て凸部との間に入れてシート材を一枚ずつ分離して搬送するシート搬送装置であるので、スティックスリップに起因するような異音の発生をなくし、カールしたり裁断バリがあったりしてもシート材の搬送性を良好とするとともに、比較的摩耗を少なくして耐久性を向上し、構成簡単として小型化を可能とすることができる。
【0057】
また、押し当て凸部が摩耗して付勢部材の付勢力が低下した分、押し当て凸部の押し当て幅を増大し、回転搬送部材に対する分離部材の面圧が一定となる形状に、押し当て凸部を形成するので、仮に時間の経過とともに摩耗することにより分離付勢部材による付勢力が低下した場合にも、回転搬送部材に対する分離部材の面力を一定として分離性能の低下を防止することができる。
【0058】
請求項2に記載の発明によれば、シート搬送方向と直交する方向における、押し当て凸部の断面形状を台形形状に形成するので、分離部材の先端形状を変更するだけで簡易に、上述した請求項1に記載の発明による効果を達成することができる。
【0059】
請求項3に記載の発明によれば、分離部材に、回転搬送部材で搬送するシート材の先端を突き当てる傾斜面を設けるので、搬送するシート材の分離性能をより一層向上して重送の発生を確実に防止し、また異音の発生を防止し、シート材のカールやバリなどに起因する不送りの発生を防止するとともに、上述した請求項1に記載の発明による効果を達成することができる。
【0060】
請求項4に記載の発明によれば、回転搬送部材が、積載するシート材を順次送り出す給送部材であるので、特に重送の防止が必要なシート給送装置において、効果的に上述した請求項1に記載の発明による効果を達成することができる。
【0061】
請求項5に記載の発明によれば、給送部材の周面に一定間隔置きに軸方向の溝を複数設けるので、シート材の搬送性能をより一層向上するとともに、上述した請求項1に記載の発明による効果を達成することができる。
【0062】
請求項6に記載の発明によれば、画像形成装置に、請求項1ないし5のいずれか1に記載のシート搬送装置を備えるので、上述した各効果を達成し得る画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子写真方式の複写機における内部機構の全体概略構成図である。
【図2】その複写機におけるシート搬送装置の一部であるシート給送装置を拡大して示す構成図である。
【図3】その給送ローラに押し当てる分離部材の先端部分の拡大構成図である。
【図4】その給送ローラの外観図である。
【図5】(A)ないし(C)は、周面に設ける各種の溝形状を示す給送ローラの部分拡大図である。
【図6】給送ローラの周面の一部拡大図である。
【図7】分離部材の先端部の拡大斜視図である。
【図8】給送ローラと分離部材と分離付勢部材との関係を示す説明図である。
【図9】従来におけるパッド分離方式のシート給送装置の構成図である。
【図10】従来における土手分離方式のシート給送装置の構成図である。
【図11】従来のシート給送装置の構成図である。
【図12】その分離部材の先端部の拡大斜視図である。
【符号の説明】
20 給送ローラ(給送部材、回転搬送部材)
42 分離付勢部材
43 分離部材
47 溝
50 押し当て凸部
51 頂面
53 傾斜面
C シート搬送装置
L 押し当て幅
P 面圧
S シート材
A シート搬送方向
Claims (6)
- 付勢部材で付勢して分離部材の押し当て凸部を回転搬送部材の周面に押し当て、その回転搬送部材を回転してシート材を搬送し、前記回転搬送部材の周面と前記押し当て凸部との間に入れてシート材を一枚ずつ分離して搬送するシート搬送装置において、
前記押し当て凸部が摩耗して前記付勢部材の付勢力が低下した分、前記押し当て凸部の押し当て幅を増大し、前記回転搬送部材に対する前記分離部材の面圧が一定となる形状に、前記押し当て凸部を形成することを特徴とする、シート搬送装置。 - シート搬送方向と直交する方向における、前記押し当て凸部の断面形状を台形形状に形成することを特徴とする、請求項1に記載のシート搬送装置。
- 前記分離部材に、前記回転搬送部材で搬送するシート材の先端を突き当てる傾斜面を設けることを特徴とする、請求項1または2に記載のシート搬送装置。
- 前記回転搬送部材が、積載するシート材を順次送り出す給送部材であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1に記載のシート搬送装置。
- 前記給送部材の周面に一定間隔置きに軸方向の溝を複数設けることを特徴とする、請求項4に記載のシート搬送装置。
- 請求項1ないし5のいずれか1に記載のシート搬送装置を備えることを特徴とする、画像形成装置。
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JP2003112707A JP2004315176A (ja) | 2003-04-17 | 2003-04-17 | シート搬送装置、および画像形成装置 |
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Cited By (1)
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JP2011005728A (ja) * | 2009-06-25 | 2011-01-13 | Ricoh Co Ltd | 画像形成装置 |
-
2003
- 2003-04-17 JP JP2003112707A patent/JP2004315176A/ja active Pending
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