JP2004314880A - 自動車用燃料タンクおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガソリンや軽油などの燃料の酸化を抑え、さらに、ガソリンや軽油などのクラスターを小さくして霧状をより微細にすることにより、着火性、燃焼性を改善して、不完全燃焼を防止し、燃料の消費量を大幅に節減することができる自動車用燃料タンクを提供すること。
【解決手段】内面を、(A)銀および/または銅を担持した微粒子、ならびに(B)無機微粒子を含む、無機系コーティング剤で加工した自動車用燃料タンク。
【選択図】 なし
【解決手段】内面を、(A)銀および/または銅を担持した微粒子、ならびに(B)無機微粒子を含む、無機系コーティング剤で加工した自動車用燃料タンク。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用の燃料タンクおよびその製造方法に関する。さらに詳しくは、ガソリンエンジンに使用するガソリンまたはディーゼルエンジンに使用する軽油のクラスターを小さくするとともに、酸化を抑え、燃料のエンジンへの噴霧状態をより微細にして、着火性、燃焼性を改善することにより、ガソリンエンジンの場合、特に高速時や減速時、アイドリング時に、また、ディーゼルエンジンの場合、エンジン負荷率が50%以上のときに、不完全燃焼により増加するハイドロカーボン(HC)を大幅に抑えて、燃料の消費量を3〜30%減少させるとともに、汚染物質の排出も減少させることのできる燃料タンクおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車エンジンの燃焼工程は、燃料の吸入→圧縮→爆発→排気の繰り返しによる。
ところで、ガソリンエンジンは、霧状にしたガソリンと空気との混合気をシリンダー内に吸入し、これを圧縮して、スパークプラグの火花によって爆発的に燃焼させ、排気ガスをシリンダー外に排出する。
また、ディーゼルエンジンは、まず空気のみをシリンダー内に吸入し、これを圧縮し高温にして、霧状の軽油を高圧で噴射し、自然着火により燃焼させ、排気ガスをシリンダー外に排出する。
従来より、これら自動車用燃料の完全燃焼を促進させる方法として、酸化防止剤、金属不活性剤、清浄分散剤などの燃料油添加剤、あるいは、燃料タンクに入れる固形状触媒などが開示されているが、いずれも、満足のいく結果が得られない、あるいは、コストがかかるなどの問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、燃料の酸化を抑え、さらに、ガソリンや軽油などのクラスターを小さくして霧状をより微細にすることにより、着火性、燃焼性を改善して、不完全燃焼を防止し、燃料の消費量を大幅に節減することができる自動車用燃料タンクおよびその製造方法を提供することを目的とする。
さらに具体的には、自動車用燃料タンクの内面に本発明のコーティング剤を塗布、乾燥、硬化させて、塗膜を形成させ、この塗膜にガソリンや軽油などの燃料が接触することにより、燃料の初期酸化を抑え、クラスターを小さくすることにより、ガソリンの場合にはより微細な霧状の空気との混合気を作り、さらに急激に進む酸化も抑えて、着火性、燃焼性を改善して、ハイドロカーボンの発生を抑止して、燃料の消費量を3〜30%減少させるとともに、汚染物質の排出を減少させることのできる、自動車用燃料タンクおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内面を、(A)銀および/または銅を担持した微粒子、ならびに(B)無機微粒子を含む、無機系コーティング剤で加工してなることを特徴とする自動車用燃料タンクに関する。
ここで、上記(A)銀および/または銅を担持した微粒子としては、アルミノケイ酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、および金属炭化物からなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
また、上記無機系コーティング剤には、さらに(C)合成樹脂、金属アルコキシド、金属ヒドロキシド、ならびにアルカリ金属塩および硬化剤の群から選ばれた少なくとも1種である結合剤を含むことが好ましい。
次に、本発明は、自動車用燃料タンクの内面に、上記無機系コーティング剤を塗布した後、乾燥・硬化することを特徴とする自動車用燃料タンクの製造方法に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
無機系コーティング剤
本発明の自動車用燃料タンクに塗布される無機系コーティング剤は、(A)銀および/または銅を担持した微粒子、ならびに(B)無機微粒子を含むことを特徴とする。
(A)銀および/または銅を担持した微粒子;
本発明において、(A)成分に用いられる、銀や銅を担持させる微粒子は、粒子状もしくは繊維状のものが好ましく、アルミノケイ酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、金属炭化物などの微粒子を挙げることができる。これらは、1種または2種以上用いてもよい。微粒子の平均粒径は0.01〜15μmのものが好ましく、さらに好ましくは0.1〜3μm程度のものである。0.01μm未満では、銀や銅が担持し難く、またその機能が発揮され難く、好ましくない。一方、15μmを超えると、密着力が低下したり、表面積が小さくなりすぎたりして好ましくない。
【0006】
上記微粒子の具体例としては、ゼオライト、リン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、シリカゲル、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸カリウム(ウィスカー)、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素などの微粒子あるいは繊維状のものが挙げられる。
【0007】
ここで、ゼオライトとしては天然、合成どちらのものも用いることができる。天然ゼオライトとしては、アナルシン、チャバサイト、クリノプチロライト、エリオナイト、フォジャサイト、モルデナイトなどがあり、一方合成ゼオライトとしては、A型ゼオライト、X−型ゼオライト、Y−型ゼオライト、T−ゼオライトなどを挙げることができる。
また、縮合ケイ酸の一部をアルミニウムで置き換えたアルミノケイ酸イオンと各種の金属イオンからなる塩である、カオリナイト、ハロサイト、白雲母、モンモリロナイト、蛭石、長石、その他の天然鉱物を用いることもできる。
さらに、一般式Al2 O3 ・xSiO2 ・yH2 O+Al(OH)3 で表されるアルミノ−シリカゲルを用いることもできる。
【0008】
本発明では、これらの無機系の微粒子に、銀および/または銅をイオン交換、吸着、固着して担持させて用いる。銀および/または銅を担持した微粒子を含む塗膜は、ガソリンや軽油などの燃料を細分子化し、さらに燃料の酸化の過程で生じる過酸化物ラジカルを消去することにより酸化反応の進行を防止することができる。
【0009】
(A)成分における銀および/または銅の担持量は、通常、無機系の微粒子100重量部に対し、好ましくは1〜12重量部、さらに好ましくは2〜8重量部である。1重量部未満では、本発明の目的である酸化防止力、細分子化能が小さすぎ好ましくなく、一方、12重量部を超えると、銀や銅が溶出したりして好ましくない。
これらの(A)銀および/または銅が担持された微粒子のコーティング剤中の含有量は、コーティング剤100重量部に対して、好ましくは2〜20重量部、さらに好ましくは3〜15重量部である。2重量部未満では、酸化防止や細分子化効果がほとんどなく、一方、20重量部を超えると、コーティング剤が増粘しすぎたり、溶出することが起こったりして好ましくない。
【0010】
かかる銀を担持させるには、銀塩あるいはコロイダル銀を用いる。銀塩としては、具体的には硝酸銀、硫酸銀、塩化銀、ジアンミン銀イオンなどを挙げることができる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。これらは、1種または2種以上を水に溶解させ混合水溶液として使用される。これらの銀塩水溶液は、上記(A)成分の微粒子の担体にイオン交換または吸着、固着させることができる。コロイダル銀としては、平均粒径が3〜100mμ、好ましくは5〜20mμ、さらに好ましくは5mμ前後のものであり、これは上記微粒子に吸着、固着することができる。
また、銅を担持させるには、銅塩を用いる。銅塩としては、硝酸銅、硫酸銅、テトラアンミン銅(II)イオンなどを挙げることができる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。これらは、1種または2種以上を水に溶解させ混合水溶液として使用される。これらの銅塩水溶液は、上記(A)成分の微粒子の担体にイオン交換または吸着、固着させることができる。
【0011】
(B)無機微粒子
コーティング剤を構成する(B)成分の無機微粒子としては、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウムカルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、雲母、タルク、カオリン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、水酸化亜鉛、酸化チタンウィスカー、酸化鉄、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、窒化ケイ素、塩基性モリブデン酸亜鉛、塩基性モリブデン酸カルシウム、チタン酸カリウム(ウィスカー)、酸化スズ、ケイ酸塩ガラス、合成酸化物、ケイ酸塩化合物、炭酸塩化合物、カーボン、ストロンチウムクロメート、酸化クロム、酸化ニッケル、炭酸マグネシウム、炭化ケイ素、天然鉱物粉などの微粒子あるいは繊維状のものが挙げられる。これらの無機微粒子としては、コロイド状でもよく、平均粒径0.01〜15μm程度、好ましくは0.1〜10μm程度のものが適当である。
【0012】
(B)成分は、得られる塗膜の表面積の拡大、膜厚の確保などにより、燃料の細分化、酸化防止を促進させるため、さらには耐衝撃性を向上させて密着性をよりよくするために使用されるものである
本発明に用いられるコーティング剤において、上記(B)成分は、コーティング剤100重量部に、固形分換算で、5〜50重量部が好ましく、さらに好ましくは10〜40重量部である。5重量部未満では、上記の効果が充分でなく、一方、50重量部を超えると、密着性が低下したり、他成分の割合が少なすぎたりして好ましくない。
【0013】
(C)結合剤
本発明のコーティング剤には、通常、(C)結合剤が含まれる。
結合剤としては、合成樹脂、金属アルコキシド、金属ヒドロキシド、ならびにアルカリ金属塩および硬化剤からなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましく、2種以上混合して用いてもよい。
【0014】
合成樹脂;
(C)結合剤として用いられる合成樹脂としては、アクリル樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリイソシアネート、ポリエステル樹脂、アクリル変性ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン・アクリル樹脂などの、溶剤型、エマルジョン型、水溶性型、湿気硬化型、イソシアネート硬化型、粉体型、紫外線硬化型などの少なくとも1種が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの合成樹脂は、硬化すると、ガソリンや軽油に不溶性の透明または半透明の膜を形成し、本発明においては、(A)〜(B)成分を接着させるために使用されるものである。
以上の合成樹脂は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0015】
金属アルコキシド、金属ヒドロキシド:
金属アルコキシドや金属ヒドロキシドとしては、下記の式(1)〜(3)が例示される。
(1)R1 iM1(OR2)j(式中、R1 は炭素数1〜3のアルキル基またはビニル基、R2 は水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、またはt−ブチル基、M1 はカルシウムまたはバリウム、iは0または1、jは1また2の整数を示す)で表される化合物。
(2)R3 kM2(OR4)l(式中、R3 は炭素数1〜3のアルキル基またはビニル基、R4 は水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、またはt−ブチル基、M2 はアルミニウム、イットリウムまたはランタン、kは0または1、lは1,2または3の整数を示す)で表される化合物。
(3)R5 mM3(OR6)n(式中、R5 は炭素数1〜3のアルキル基またはビニル基、R6 は水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、またはt−ブチル基、M3 はチタン、ジルコニウム、マンガン、スズ、ケイ素またはストロンチウム、mは0または1、nは3または4の整数を示す)で表される化合物。
これらの化合物は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもでき、また、2種以上が縮合しているものを用いてもよい。
【0016】
上記金属アルコキシドや金属ヒドロキシドの具体例としては、Ca(OCH3)2、Ca(OC2H5)2、Ca(OC3H7)2、Ca(OC4H9)2、Ba(OCH3)2、Ba(OC2H5)2、Ba(OC3H7)2、Ba(OC4H9)2、Al(OCH3)3、Al(OC2H5)3、Al(OC3H7)3、Al(OC4H9)3、CH3Al(OCH3)2、CH3Al(OC2H5)2、CH3Al(OC3H7)2、CH3Al(OC4H9)2、Ti(OCH3)4、Ti(OC2H5)4、Ti(OC3H7)4、Ti(OC4H9)4、CH3Ti(OCH3)3、CH3Ti(OC2H5)3、CH3Ti(OC3H7)3、CH3Ti(OC4H9)3、C2H5Ti(OCH3)3、C2H5Ti(OC2H5)3、C2H5Ti(OC3H7)3、C2H5Ti(OC4H9)3、Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4、Si(OC3H7)4、Si(OC4H9)4、CH3Si(OCH3)3、CH3Si(OC2H5)3、CH3Si(OC3H7)3、CH3Si(OC4H9)3、C2H5Si(OCH3)3、C2H5Si(OC2H5)3、C2H5Si(OC3H7)3、C2H5Si(OC4H9)3、Zr(OCH3)4、Zr(OC2H5)4、Zr(OC3H7)4、Zr(OC4H9)4、CH3Zr(OCH3)3、CH3Zr(OC2H5)3、CH3Zr(OC3H7)3、CH3Zr(OC4H9)3、C2H5Zr(OCH3)3、C2H5Zr(OC2H5)3、C2H5Zr(OC3H7)3、C2H5Zr(OC4H9)3、Y(OCH3)4、Y(OC2H5)4、Y(OC3H7)4、Y(OC4H9)4、La(OCH3)4、La(OC2H5)4、La(OC3H7)4、La(OC4H9)4、Mn(OCH3)4、Mn(OC2H5)4、Mn(OC3H7)4、Mn(OC4H9)4、Sn(OCH3)4、Sn(OC2H5)4、Sn(OC3H7)4、Sn(OC4H9)4、Sr(OCH3)4、Sr(OC2H5)4、Sr(OC3H7)4、Sr(OC4H9)4、Ca(OH)2、Ba(OH)2、Al(OH)3、CH3Al(OH)2、Ti(OH)4、CH3Ti(OH)3、C2H5Ti(OH)3、Si(OH)4、CH3Si(OH)3、C2H5Si(OH)3、Zr(OH)4、CH3Zr(OH)3、C2H5Zr(OH)3、Y(OH)4、La(OH)4、Mn(OH)4、Sn(OH)4、Sr(OH)4などを挙げることができる。
【0017】
また、これらの化合物を組み合わせた縮合物としては、上記の化合物の任意の組み合わせにより自由に縮合でき、分子量も適宜選択できる。例えば、ZrOSi(OC2H5)6、AlOSi(OC2H5)6、TiOSi(OC2H5)6、(C3H7O)3ZrOSi(OC2H5)3、(C4H9O)3ZrOSi(OC2H5)3、(C3H7O)3TiOSi(OC2H5)3、(C4H9O)3TiOSi(OC2H5)3、(C3H7O)2AlOSi(OC2H5)3、(C4H9O)2AlOSi(OC2H5)3などを挙げることができる。
【0018】
アルカリ金属塩および硬化剤:
本発明において、結合剤の一つであるアルカリ金属塩および硬化剤のうち、アルカリ金属塩とは、一般式M2O・pSiO2・qH2O〔ただし、MはNa、Li、K、Cs、NR3、NR4(Rは炭素数1以上のアルキル基である。)であり、pはモル比(M2O1モルに対するモル数)、qは1以上の整数である。〕で示されるケイ酸塩であり、Zn、ZnO、MgO、CaO、Zn(OH)2、Mg(OH)2、Ca(OH)2、AlPO4、Al2(PO3)3、H3PO4、H3BO3、MgCO3、Al2O3、SiO2などの硬化剤と組み合わせて用いられる。硬化剤はこれらに限定されるものではない。 これらは、1種単独で使用することも、または2種以上を併用することもできる
【0019】
具体的には、リチウムシリケートと酸化マグネシウム、ケイ酸ソーダと縮合リン酸塩、ケイ酸カリウムと亜鉛とケイ酸アルミニウム、第4アンモニウム塩と炭酸マグネシウムなどの組み合わせが挙げられる。
ケイ酸塩と硬化剤の割合は、ケイ酸塩100重量部に対して硬化剤5〜100重量部が好ましく、さらに好ましくはケイ酸塩100重量部に対して硬化剤10〜50重量部である。5重量部未満では、耐溶剤性や硬度、密着力などが不足したり、一方、100重量部を超えるとゲル化して好ましくない。
【0020】
(C)結合剤の使用量は、コーティング剤100重量部中に、固形分換算で、好ましくは7〜40重量部、さらに好ましくは10〜30重量部である。7重量部未満では、密着力や硬度が不充分になり、一方、40重量部を超えると、被覆力が強くなり、性能の発現が不充分になったり、耐衝撃性が悪くなり、好ましくない。
【0021】
コーティング剤には、上記の成分の他に、アルコールやその他の溶剤、水のような(D)分散媒を用いることができる。
このアルコールとしては、1価アルコールまたは2価アルコールであるエチレングリコールもしくはこの誘導体が使用でき、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜5の低級脂肪族アルコールが好ましく、具体的にはメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどを挙げることができ、またエチレングリコールもしくはこの誘導体としてはエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができる。
これらのアルコール類は、好ましくはi−プロピルアルコール、n−ブチルアルコールである。これらのアルコール類は、1種でもまた2種以上を併用することもできる。
また、その他の溶剤としては、キシレン、トルエン、ミネラルターペン、ベンゼン、シクロヘキサン、メチルエチルケトンなどの炭化水素類、ケトン類、エステル類、エーテル類などを挙げることができる。
【0022】
さらに、水としては、一般水道水、蒸留水、あるいはイオン交換水を用いることができる。特に、コーティング剤を高純度にする場合には、蒸留水またはイオン交換水が好ましい。
ここで、上記水や有機溶剤には、上記コロイド状無機物などに含まれる水や有機溶剤や、上記金属アルコキシドや金属ヒドロキシドの加水分解による縮合によって生成する水や有機溶剤なども包含される。
【0023】
本発明の燃料タンクに使用するコーティング剤中における(D)分散媒の割合は、コーティング剤100重量部に、好ましくは25〜75重量部、さらに好ましくは30〜60重量部である。(D)分散媒の使用量が、25重量部未満では、コーティング剤がゲル化を生起したり、コーティング剤の粘度が高くなるため作業性が悪くなり、一方、75重量部を超えると性能の発現が困難になったり、コーティング剤の安定性が悪化するようになり好ましくない。
【0024】
さらに、必要により、(E)添加剤も添加することができる。(E)添加剤としては、キレート剤、界面活性剤、カップリング剤、無機酸または有機酸、分散剤、増粘剤、硬化調整剤、無機顔料などの従来公知の添加剤を必要に応じて用いることができる。
上記添加剤は、本発明の目的を損なわない範囲で任意の量を添加することができる。
【0025】
コーテイング剤の固形分濃度は、通常、25〜75重量%、好ましくは30〜60重量%であり、25重量%未満では得られる塗膜の厚さが薄すぎて酸化防止効果や細分子化効果が減少したり、塗膜強度が低すぎたりし、一方、75重量%を超えるとゲル化し易くなったり、粘度が上昇しすぎたり、密着性が悪化したり、レべリング性が悪くなったりして好ましくない。
【0026】
コーテイング剤を調製するには、まず第1に以上のような(A)〜(D)成分、あるいは(A)〜(E)成分を混合するが、この場合の混合方法は、(A)〜(D)成分、あるいは(A)〜(E)成分を同時に混合する方法などを挙げることができる。なお、(A)成分は、予め銀および/または銅を微粒子に担持させておかず、銀塩および/または銅塩の水溶液と微粒子を(B)、(C)、(D)成分、あるいはさらに(E)成分と混合してもよい。
本発明に用いられるコーティング剤は、高速撹拌機、ボールミル、ロールミル、その他の分散機により分散させ、ろ過することにより、均一な安定性の良い分散液とすることができる。
【0027】
燃料タンクの製造
本発明の燃料タンクを製造するには、上記コーティング剤を、アルミニウム、鉄、合金、FRPなどの基材からなる燃料タンクの内面に塗布し、乾燥、硬化させ、塗膜を形成させる。なお、基材面はブラスト処理などをして、表面積を大きくした方がよい。
【0028】
上記コーティング剤の塗布は、特に限定はなく、例えば、スプレー、デイッピング、刷毛などの塗装手段を採用することができる。
塗布後、コーティング膜を乾燥、硬化する。硬化は、常温下でも進行するが、低温加熱することによって、ゲル化時間が短縮され、また重合密度が上がって、塗膜がより緻密化する。加熱は80〜200℃が好ましく、さらに好ましくは100〜180℃程度で、時間は好ましくは10〜100分、さらに好ましくは30〜60分程度である。80℃未満の場合、硬化時間がほとんど短縮されず、一方、200℃を超えると、基材に影響がでて好ましくない。また、コーティング剤の塗布は、乾燥後、さらに1層または複層行ってもよい。
【0029】
以上のコーティング剤の基材への塗布量は、乾燥目付で、80〜300g/m2が好ましく、さらに好ましくは120〜240g/m2である。80g/m2未満では、塗膜が薄すぎて目的とする性能が発現せず、一方、300g/m2を超えると、塗膜が割れたり、剥離したりして好ましくない。
【0030】
以上のようにして得られた本発明の燃料タンクは、その塗膜中に、銀および/または銅を担持した微粒子を含み、接触する燃料の分子のクラスターを小さくして、霧化したときの霧をより微細にし、さらに、混合気や高熱下の過程で急激な酸化によるクラスターの拡大を抑えて、着火性、燃焼性を改善することができる。
ガソリンや軽油などの燃料は、空気や熱により、以下に示すようなラジカル連鎖反応により酸化が進んで、クラスターが大きくなる。
RH→R・+・H
R・+O2→ROO・
ROO・+RH→ROOH+R・
R・+O2→ROO・
ここで、上記のラジカル連鎖反応において、塗膜中の銀や銅イオンが、ROO・ラジカルと結びついて、例えばROOAgとなり、当該連鎖反応を停止させるものと考えられる。
なお、上記反応において、RHは炭化水素分子、ROO・は過酸化物ラジカル、ROOHはハイドロパーオキサイドを示す。
【0031】
このように、銀および/または銅を含有する本発明に用いられるコーティング剤にガソリンや軽油などの燃料を構成する炭化水素類が接触して励起され、水素結合が切れて分子のクラスターが小さくなり、さらに酸化の連鎖反応で生ずるR・、ROO・ラジカルを消去して酸化進行を阻止して、クラスターの拡大を抑えるものである。すなわち、本発明の燃料タンクは、各種燃料を構成する炭化水素類のクラスターを小さくするとともに、その酸化を防止するものである。そして、これは、特にガソリンや軽油のように、霧化後の熱酸化が急激に進行する条件下での効果が大きいものである。ガソリンや軽油などの炭化水素類は、本発明の燃料タンクに触れると、霧状にしたときにより微細な霧となるため、燃焼性が向上し、燃料消費効率が向上するものである。
【0032】
【実施例】
以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、特許請求の範囲を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中、部および%は、特に断らないかぎり重量基準である。
【0033】
参考例1〜2
コーティング剤(1)〜(2)の調製
表1に示す(1)〜(2)の2種類のコーティング剤を作製した。これらのコーティング剤は、攪拌タンクに、(A)〜(D)成分、さらに必要に応じて、レベリング剤や酢酸を入れ、軽く混合攪拌したのち、高速撹拌機を使用して15,000rpmで5分間攪拌し、100メッシュでろ過して調製した。
【0034】
【表1】
【0035】
A−1:銀担持ゼオライト、平均粒径3μm、銀含有率7%
A−2:銀担持酸化チタン、平均粒径0.5μm、銀含有率6%
B−1:酸化アルミニウム、平均粒径1.5μm
B−2:チタン酸カリウムウィスカー、平均粒径0.2〜0.5μm、長さ10〜20μm
B−3:酸化チタン、平均粒径0.5μm
B−4:酸化アルミニウム、平均粒径0.02μm
C−1:エポキシエステル樹脂、大日本インキ化学工業(株)製、EFD−5501、不揮発分40±1%
C−2:メチルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製、KBM13
C−3:アクリルシリコン樹脂、日本NSC(株)製、KD−20、不揮発分29%
レベリング剤:楠本化成(株)製、ディスパロン009
【0036】
実施例1〜3、比較例1〜3
本発明の燃料タンクの実車テストをするために、表2に示す3台の自動車A,B,Cおよびそれぞれの燃料タンクを用意した。
【0037】
【表2】
【0038】
次に、タンクA,B,Cの内面の底部を主に、下辺面に表1のコーティング剤を使用して、表3に示す内容で、エアースプレー法により、コーティングした。
なお、表3中、塗布量は、固形分換算である。
【0039】
【表3】
【0040】
実車テスト:
アイドリング時のハイドロカーボン(HC)を測定したのち、燃料消費量を調べるために、約1ヶ月間の走行距離テストを行なった。
なお、アイドリング時のハイドロカーボン測定は、堀場製作所社製、MEXA−9400型試験機に拠った。
まず最初に、対照として、自動車A,B,Cのテストを行なった(比較例1〜3)。
次に、自動車A,B,Cの燃料タンクを、Aタンク、Bタンク、Cタンクにそれぞれ交換して、同様のテストを行なった(実施例1〜3)。
これらの結果を表4に示す。
【0041】
【表4】
【0042】
表4から明らかなように、本発明の燃料タンクを使用すると(実施例1〜3)、対照車(比較例1〜3)に較べて、ガソリン車(A,B)の場合、アイドリング時のハイドロカーボン発生量が10%以下になり、燃料消費量は18〜25%の減少になった。
また、ディーゼル車Cの場合は、ハイドロカーボン量が20%弱の減少、燃料消費量が約10%減少したが(実施例3)、対照車の場合(比較例3)、貨物積載時の坂道で黒煙が必ず出たが、本発明の燃料タンク車(実施例3)はまったく黒煙が出なかった。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、ガソリンや軽油などの燃料の酸化を抑え、さらに、ガソリンや軽油などのクラスターを小さくして霧状をより微細にすることにより、着火性、燃焼性を改善して、不完全燃焼を防止し、燃料の消費量を大幅に節減することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用の燃料タンクおよびその製造方法に関する。さらに詳しくは、ガソリンエンジンに使用するガソリンまたはディーゼルエンジンに使用する軽油のクラスターを小さくするとともに、酸化を抑え、燃料のエンジンへの噴霧状態をより微細にして、着火性、燃焼性を改善することにより、ガソリンエンジンの場合、特に高速時や減速時、アイドリング時に、また、ディーゼルエンジンの場合、エンジン負荷率が50%以上のときに、不完全燃焼により増加するハイドロカーボン(HC)を大幅に抑えて、燃料の消費量を3〜30%減少させるとともに、汚染物質の排出も減少させることのできる燃料タンクおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車エンジンの燃焼工程は、燃料の吸入→圧縮→爆発→排気の繰り返しによる。
ところで、ガソリンエンジンは、霧状にしたガソリンと空気との混合気をシリンダー内に吸入し、これを圧縮して、スパークプラグの火花によって爆発的に燃焼させ、排気ガスをシリンダー外に排出する。
また、ディーゼルエンジンは、まず空気のみをシリンダー内に吸入し、これを圧縮し高温にして、霧状の軽油を高圧で噴射し、自然着火により燃焼させ、排気ガスをシリンダー外に排出する。
従来より、これら自動車用燃料の完全燃焼を促進させる方法として、酸化防止剤、金属不活性剤、清浄分散剤などの燃料油添加剤、あるいは、燃料タンクに入れる固形状触媒などが開示されているが、いずれも、満足のいく結果が得られない、あるいは、コストがかかるなどの問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、燃料の酸化を抑え、さらに、ガソリンや軽油などのクラスターを小さくして霧状をより微細にすることにより、着火性、燃焼性を改善して、不完全燃焼を防止し、燃料の消費量を大幅に節減することができる自動車用燃料タンクおよびその製造方法を提供することを目的とする。
さらに具体的には、自動車用燃料タンクの内面に本発明のコーティング剤を塗布、乾燥、硬化させて、塗膜を形成させ、この塗膜にガソリンや軽油などの燃料が接触することにより、燃料の初期酸化を抑え、クラスターを小さくすることにより、ガソリンの場合にはより微細な霧状の空気との混合気を作り、さらに急激に進む酸化も抑えて、着火性、燃焼性を改善して、ハイドロカーボンの発生を抑止して、燃料の消費量を3〜30%減少させるとともに、汚染物質の排出を減少させることのできる、自動車用燃料タンクおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内面を、(A)銀および/または銅を担持した微粒子、ならびに(B)無機微粒子を含む、無機系コーティング剤で加工してなることを特徴とする自動車用燃料タンクに関する。
ここで、上記(A)銀および/または銅を担持した微粒子としては、アルミノケイ酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、および金属炭化物からなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
また、上記無機系コーティング剤には、さらに(C)合成樹脂、金属アルコキシド、金属ヒドロキシド、ならびにアルカリ金属塩および硬化剤の群から選ばれた少なくとも1種である結合剤を含むことが好ましい。
次に、本発明は、自動車用燃料タンクの内面に、上記無機系コーティング剤を塗布した後、乾燥・硬化することを特徴とする自動車用燃料タンクの製造方法に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
無機系コーティング剤
本発明の自動車用燃料タンクに塗布される無機系コーティング剤は、(A)銀および/または銅を担持した微粒子、ならびに(B)無機微粒子を含むことを特徴とする。
(A)銀および/または銅を担持した微粒子;
本発明において、(A)成分に用いられる、銀や銅を担持させる微粒子は、粒子状もしくは繊維状のものが好ましく、アルミノケイ酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、金属炭化物などの微粒子を挙げることができる。これらは、1種または2種以上用いてもよい。微粒子の平均粒径は0.01〜15μmのものが好ましく、さらに好ましくは0.1〜3μm程度のものである。0.01μm未満では、銀や銅が担持し難く、またその機能が発揮され難く、好ましくない。一方、15μmを超えると、密着力が低下したり、表面積が小さくなりすぎたりして好ましくない。
【0006】
上記微粒子の具体例としては、ゼオライト、リン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、シリカゲル、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸カリウム(ウィスカー)、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素などの微粒子あるいは繊維状のものが挙げられる。
【0007】
ここで、ゼオライトとしては天然、合成どちらのものも用いることができる。天然ゼオライトとしては、アナルシン、チャバサイト、クリノプチロライト、エリオナイト、フォジャサイト、モルデナイトなどがあり、一方合成ゼオライトとしては、A型ゼオライト、X−型ゼオライト、Y−型ゼオライト、T−ゼオライトなどを挙げることができる。
また、縮合ケイ酸の一部をアルミニウムで置き換えたアルミノケイ酸イオンと各種の金属イオンからなる塩である、カオリナイト、ハロサイト、白雲母、モンモリロナイト、蛭石、長石、その他の天然鉱物を用いることもできる。
さらに、一般式Al2 O3 ・xSiO2 ・yH2 O+Al(OH)3 で表されるアルミノ−シリカゲルを用いることもできる。
【0008】
本発明では、これらの無機系の微粒子に、銀および/または銅をイオン交換、吸着、固着して担持させて用いる。銀および/または銅を担持した微粒子を含む塗膜は、ガソリンや軽油などの燃料を細分子化し、さらに燃料の酸化の過程で生じる過酸化物ラジカルを消去することにより酸化反応の進行を防止することができる。
【0009】
(A)成分における銀および/または銅の担持量は、通常、無機系の微粒子100重量部に対し、好ましくは1〜12重量部、さらに好ましくは2〜8重量部である。1重量部未満では、本発明の目的である酸化防止力、細分子化能が小さすぎ好ましくなく、一方、12重量部を超えると、銀や銅が溶出したりして好ましくない。
これらの(A)銀および/または銅が担持された微粒子のコーティング剤中の含有量は、コーティング剤100重量部に対して、好ましくは2〜20重量部、さらに好ましくは3〜15重量部である。2重量部未満では、酸化防止や細分子化効果がほとんどなく、一方、20重量部を超えると、コーティング剤が増粘しすぎたり、溶出することが起こったりして好ましくない。
【0010】
かかる銀を担持させるには、銀塩あるいはコロイダル銀を用いる。銀塩としては、具体的には硝酸銀、硫酸銀、塩化銀、ジアンミン銀イオンなどを挙げることができる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。これらは、1種または2種以上を水に溶解させ混合水溶液として使用される。これらの銀塩水溶液は、上記(A)成分の微粒子の担体にイオン交換または吸着、固着させることができる。コロイダル銀としては、平均粒径が3〜100mμ、好ましくは5〜20mμ、さらに好ましくは5mμ前後のものであり、これは上記微粒子に吸着、固着することができる。
また、銅を担持させるには、銅塩を用いる。銅塩としては、硝酸銅、硫酸銅、テトラアンミン銅(II)イオンなどを挙げることができる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。これらは、1種または2種以上を水に溶解させ混合水溶液として使用される。これらの銅塩水溶液は、上記(A)成分の微粒子の担体にイオン交換または吸着、固着させることができる。
【0011】
(B)無機微粒子
コーティング剤を構成する(B)成分の無機微粒子としては、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウムカルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、雲母、タルク、カオリン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、水酸化亜鉛、酸化チタンウィスカー、酸化鉄、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、窒化ケイ素、塩基性モリブデン酸亜鉛、塩基性モリブデン酸カルシウム、チタン酸カリウム(ウィスカー)、酸化スズ、ケイ酸塩ガラス、合成酸化物、ケイ酸塩化合物、炭酸塩化合物、カーボン、ストロンチウムクロメート、酸化クロム、酸化ニッケル、炭酸マグネシウム、炭化ケイ素、天然鉱物粉などの微粒子あるいは繊維状のものが挙げられる。これらの無機微粒子としては、コロイド状でもよく、平均粒径0.01〜15μm程度、好ましくは0.1〜10μm程度のものが適当である。
【0012】
(B)成分は、得られる塗膜の表面積の拡大、膜厚の確保などにより、燃料の細分化、酸化防止を促進させるため、さらには耐衝撃性を向上させて密着性をよりよくするために使用されるものである
本発明に用いられるコーティング剤において、上記(B)成分は、コーティング剤100重量部に、固形分換算で、5〜50重量部が好ましく、さらに好ましくは10〜40重量部である。5重量部未満では、上記の効果が充分でなく、一方、50重量部を超えると、密着性が低下したり、他成分の割合が少なすぎたりして好ましくない。
【0013】
(C)結合剤
本発明のコーティング剤には、通常、(C)結合剤が含まれる。
結合剤としては、合成樹脂、金属アルコキシド、金属ヒドロキシド、ならびにアルカリ金属塩および硬化剤からなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましく、2種以上混合して用いてもよい。
【0014】
合成樹脂;
(C)結合剤として用いられる合成樹脂としては、アクリル樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリイソシアネート、ポリエステル樹脂、アクリル変性ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン・アクリル樹脂などの、溶剤型、エマルジョン型、水溶性型、湿気硬化型、イソシアネート硬化型、粉体型、紫外線硬化型などの少なくとも1種が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの合成樹脂は、硬化すると、ガソリンや軽油に不溶性の透明または半透明の膜を形成し、本発明においては、(A)〜(B)成分を接着させるために使用されるものである。
以上の合成樹脂は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0015】
金属アルコキシド、金属ヒドロキシド:
金属アルコキシドや金属ヒドロキシドとしては、下記の式(1)〜(3)が例示される。
(1)R1 iM1(OR2)j(式中、R1 は炭素数1〜3のアルキル基またはビニル基、R2 は水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、またはt−ブチル基、M1 はカルシウムまたはバリウム、iは0または1、jは1また2の整数を示す)で表される化合物。
(2)R3 kM2(OR4)l(式中、R3 は炭素数1〜3のアルキル基またはビニル基、R4 は水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、またはt−ブチル基、M2 はアルミニウム、イットリウムまたはランタン、kは0または1、lは1,2または3の整数を示す)で表される化合物。
(3)R5 mM3(OR6)n(式中、R5 は炭素数1〜3のアルキル基またはビニル基、R6 は水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、またはt−ブチル基、M3 はチタン、ジルコニウム、マンガン、スズ、ケイ素またはストロンチウム、mは0または1、nは3または4の整数を示す)で表される化合物。
これらの化合物は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもでき、また、2種以上が縮合しているものを用いてもよい。
【0016】
上記金属アルコキシドや金属ヒドロキシドの具体例としては、Ca(OCH3)2、Ca(OC2H5)2、Ca(OC3H7)2、Ca(OC4H9)2、Ba(OCH3)2、Ba(OC2H5)2、Ba(OC3H7)2、Ba(OC4H9)2、Al(OCH3)3、Al(OC2H5)3、Al(OC3H7)3、Al(OC4H9)3、CH3Al(OCH3)2、CH3Al(OC2H5)2、CH3Al(OC3H7)2、CH3Al(OC4H9)2、Ti(OCH3)4、Ti(OC2H5)4、Ti(OC3H7)4、Ti(OC4H9)4、CH3Ti(OCH3)3、CH3Ti(OC2H5)3、CH3Ti(OC3H7)3、CH3Ti(OC4H9)3、C2H5Ti(OCH3)3、C2H5Ti(OC2H5)3、C2H5Ti(OC3H7)3、C2H5Ti(OC4H9)3、Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4、Si(OC3H7)4、Si(OC4H9)4、CH3Si(OCH3)3、CH3Si(OC2H5)3、CH3Si(OC3H7)3、CH3Si(OC4H9)3、C2H5Si(OCH3)3、C2H5Si(OC2H5)3、C2H5Si(OC3H7)3、C2H5Si(OC4H9)3、Zr(OCH3)4、Zr(OC2H5)4、Zr(OC3H7)4、Zr(OC4H9)4、CH3Zr(OCH3)3、CH3Zr(OC2H5)3、CH3Zr(OC3H7)3、CH3Zr(OC4H9)3、C2H5Zr(OCH3)3、C2H5Zr(OC2H5)3、C2H5Zr(OC3H7)3、C2H5Zr(OC4H9)3、Y(OCH3)4、Y(OC2H5)4、Y(OC3H7)4、Y(OC4H9)4、La(OCH3)4、La(OC2H5)4、La(OC3H7)4、La(OC4H9)4、Mn(OCH3)4、Mn(OC2H5)4、Mn(OC3H7)4、Mn(OC4H9)4、Sn(OCH3)4、Sn(OC2H5)4、Sn(OC3H7)4、Sn(OC4H9)4、Sr(OCH3)4、Sr(OC2H5)4、Sr(OC3H7)4、Sr(OC4H9)4、Ca(OH)2、Ba(OH)2、Al(OH)3、CH3Al(OH)2、Ti(OH)4、CH3Ti(OH)3、C2H5Ti(OH)3、Si(OH)4、CH3Si(OH)3、C2H5Si(OH)3、Zr(OH)4、CH3Zr(OH)3、C2H5Zr(OH)3、Y(OH)4、La(OH)4、Mn(OH)4、Sn(OH)4、Sr(OH)4などを挙げることができる。
【0017】
また、これらの化合物を組み合わせた縮合物としては、上記の化合物の任意の組み合わせにより自由に縮合でき、分子量も適宜選択できる。例えば、ZrOSi(OC2H5)6、AlOSi(OC2H5)6、TiOSi(OC2H5)6、(C3H7O)3ZrOSi(OC2H5)3、(C4H9O)3ZrOSi(OC2H5)3、(C3H7O)3TiOSi(OC2H5)3、(C4H9O)3TiOSi(OC2H5)3、(C3H7O)2AlOSi(OC2H5)3、(C4H9O)2AlOSi(OC2H5)3などを挙げることができる。
【0018】
アルカリ金属塩および硬化剤:
本発明において、結合剤の一つであるアルカリ金属塩および硬化剤のうち、アルカリ金属塩とは、一般式M2O・pSiO2・qH2O〔ただし、MはNa、Li、K、Cs、NR3、NR4(Rは炭素数1以上のアルキル基である。)であり、pはモル比(M2O1モルに対するモル数)、qは1以上の整数である。〕で示されるケイ酸塩であり、Zn、ZnO、MgO、CaO、Zn(OH)2、Mg(OH)2、Ca(OH)2、AlPO4、Al2(PO3)3、H3PO4、H3BO3、MgCO3、Al2O3、SiO2などの硬化剤と組み合わせて用いられる。硬化剤はこれらに限定されるものではない。 これらは、1種単独で使用することも、または2種以上を併用することもできる
【0019】
具体的には、リチウムシリケートと酸化マグネシウム、ケイ酸ソーダと縮合リン酸塩、ケイ酸カリウムと亜鉛とケイ酸アルミニウム、第4アンモニウム塩と炭酸マグネシウムなどの組み合わせが挙げられる。
ケイ酸塩と硬化剤の割合は、ケイ酸塩100重量部に対して硬化剤5〜100重量部が好ましく、さらに好ましくはケイ酸塩100重量部に対して硬化剤10〜50重量部である。5重量部未満では、耐溶剤性や硬度、密着力などが不足したり、一方、100重量部を超えるとゲル化して好ましくない。
【0020】
(C)結合剤の使用量は、コーティング剤100重量部中に、固形分換算で、好ましくは7〜40重量部、さらに好ましくは10〜30重量部である。7重量部未満では、密着力や硬度が不充分になり、一方、40重量部を超えると、被覆力が強くなり、性能の発現が不充分になったり、耐衝撃性が悪くなり、好ましくない。
【0021】
コーティング剤には、上記の成分の他に、アルコールやその他の溶剤、水のような(D)分散媒を用いることができる。
このアルコールとしては、1価アルコールまたは2価アルコールであるエチレングリコールもしくはこの誘導体が使用でき、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜5の低級脂肪族アルコールが好ましく、具体的にはメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどを挙げることができ、またエチレングリコールもしくはこの誘導体としてはエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができる。
これらのアルコール類は、好ましくはi−プロピルアルコール、n−ブチルアルコールである。これらのアルコール類は、1種でもまた2種以上を併用することもできる。
また、その他の溶剤としては、キシレン、トルエン、ミネラルターペン、ベンゼン、シクロヘキサン、メチルエチルケトンなどの炭化水素類、ケトン類、エステル類、エーテル類などを挙げることができる。
【0022】
さらに、水としては、一般水道水、蒸留水、あるいはイオン交換水を用いることができる。特に、コーティング剤を高純度にする場合には、蒸留水またはイオン交換水が好ましい。
ここで、上記水や有機溶剤には、上記コロイド状無機物などに含まれる水や有機溶剤や、上記金属アルコキシドや金属ヒドロキシドの加水分解による縮合によって生成する水や有機溶剤なども包含される。
【0023】
本発明の燃料タンクに使用するコーティング剤中における(D)分散媒の割合は、コーティング剤100重量部に、好ましくは25〜75重量部、さらに好ましくは30〜60重量部である。(D)分散媒の使用量が、25重量部未満では、コーティング剤がゲル化を生起したり、コーティング剤の粘度が高くなるため作業性が悪くなり、一方、75重量部を超えると性能の発現が困難になったり、コーティング剤の安定性が悪化するようになり好ましくない。
【0024】
さらに、必要により、(E)添加剤も添加することができる。(E)添加剤としては、キレート剤、界面活性剤、カップリング剤、無機酸または有機酸、分散剤、増粘剤、硬化調整剤、無機顔料などの従来公知の添加剤を必要に応じて用いることができる。
上記添加剤は、本発明の目的を損なわない範囲で任意の量を添加することができる。
【0025】
コーテイング剤の固形分濃度は、通常、25〜75重量%、好ましくは30〜60重量%であり、25重量%未満では得られる塗膜の厚さが薄すぎて酸化防止効果や細分子化効果が減少したり、塗膜強度が低すぎたりし、一方、75重量%を超えるとゲル化し易くなったり、粘度が上昇しすぎたり、密着性が悪化したり、レべリング性が悪くなったりして好ましくない。
【0026】
コーテイング剤を調製するには、まず第1に以上のような(A)〜(D)成分、あるいは(A)〜(E)成分を混合するが、この場合の混合方法は、(A)〜(D)成分、あるいは(A)〜(E)成分を同時に混合する方法などを挙げることができる。なお、(A)成分は、予め銀および/または銅を微粒子に担持させておかず、銀塩および/または銅塩の水溶液と微粒子を(B)、(C)、(D)成分、あるいはさらに(E)成分と混合してもよい。
本発明に用いられるコーティング剤は、高速撹拌機、ボールミル、ロールミル、その他の分散機により分散させ、ろ過することにより、均一な安定性の良い分散液とすることができる。
【0027】
燃料タンクの製造
本発明の燃料タンクを製造するには、上記コーティング剤を、アルミニウム、鉄、合金、FRPなどの基材からなる燃料タンクの内面に塗布し、乾燥、硬化させ、塗膜を形成させる。なお、基材面はブラスト処理などをして、表面積を大きくした方がよい。
【0028】
上記コーティング剤の塗布は、特に限定はなく、例えば、スプレー、デイッピング、刷毛などの塗装手段を採用することができる。
塗布後、コーティング膜を乾燥、硬化する。硬化は、常温下でも進行するが、低温加熱することによって、ゲル化時間が短縮され、また重合密度が上がって、塗膜がより緻密化する。加熱は80〜200℃が好ましく、さらに好ましくは100〜180℃程度で、時間は好ましくは10〜100分、さらに好ましくは30〜60分程度である。80℃未満の場合、硬化時間がほとんど短縮されず、一方、200℃を超えると、基材に影響がでて好ましくない。また、コーティング剤の塗布は、乾燥後、さらに1層または複層行ってもよい。
【0029】
以上のコーティング剤の基材への塗布量は、乾燥目付で、80〜300g/m2が好ましく、さらに好ましくは120〜240g/m2である。80g/m2未満では、塗膜が薄すぎて目的とする性能が発現せず、一方、300g/m2を超えると、塗膜が割れたり、剥離したりして好ましくない。
【0030】
以上のようにして得られた本発明の燃料タンクは、その塗膜中に、銀および/または銅を担持した微粒子を含み、接触する燃料の分子のクラスターを小さくして、霧化したときの霧をより微細にし、さらに、混合気や高熱下の過程で急激な酸化によるクラスターの拡大を抑えて、着火性、燃焼性を改善することができる。
ガソリンや軽油などの燃料は、空気や熱により、以下に示すようなラジカル連鎖反応により酸化が進んで、クラスターが大きくなる。
RH→R・+・H
R・+O2→ROO・
ROO・+RH→ROOH+R・
R・+O2→ROO・
ここで、上記のラジカル連鎖反応において、塗膜中の銀や銅イオンが、ROO・ラジカルと結びついて、例えばROOAgとなり、当該連鎖反応を停止させるものと考えられる。
なお、上記反応において、RHは炭化水素分子、ROO・は過酸化物ラジカル、ROOHはハイドロパーオキサイドを示す。
【0031】
このように、銀および/または銅を含有する本発明に用いられるコーティング剤にガソリンや軽油などの燃料を構成する炭化水素類が接触して励起され、水素結合が切れて分子のクラスターが小さくなり、さらに酸化の連鎖反応で生ずるR・、ROO・ラジカルを消去して酸化進行を阻止して、クラスターの拡大を抑えるものである。すなわち、本発明の燃料タンクは、各種燃料を構成する炭化水素類のクラスターを小さくするとともに、その酸化を防止するものである。そして、これは、特にガソリンや軽油のように、霧化後の熱酸化が急激に進行する条件下での効果が大きいものである。ガソリンや軽油などの炭化水素類は、本発明の燃料タンクに触れると、霧状にしたときにより微細な霧となるため、燃焼性が向上し、燃料消費効率が向上するものである。
【0032】
【実施例】
以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、特許請求の範囲を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中、部および%は、特に断らないかぎり重量基準である。
【0033】
参考例1〜2
コーティング剤(1)〜(2)の調製
表1に示す(1)〜(2)の2種類のコーティング剤を作製した。これらのコーティング剤は、攪拌タンクに、(A)〜(D)成分、さらに必要に応じて、レベリング剤や酢酸を入れ、軽く混合攪拌したのち、高速撹拌機を使用して15,000rpmで5分間攪拌し、100メッシュでろ過して調製した。
【0034】
【表1】
【0035】
A−1:銀担持ゼオライト、平均粒径3μm、銀含有率7%
A−2:銀担持酸化チタン、平均粒径0.5μm、銀含有率6%
B−1:酸化アルミニウム、平均粒径1.5μm
B−2:チタン酸カリウムウィスカー、平均粒径0.2〜0.5μm、長さ10〜20μm
B−3:酸化チタン、平均粒径0.5μm
B−4:酸化アルミニウム、平均粒径0.02μm
C−1:エポキシエステル樹脂、大日本インキ化学工業(株)製、EFD−5501、不揮発分40±1%
C−2:メチルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製、KBM13
C−3:アクリルシリコン樹脂、日本NSC(株)製、KD−20、不揮発分29%
レベリング剤:楠本化成(株)製、ディスパロン009
【0036】
実施例1〜3、比較例1〜3
本発明の燃料タンクの実車テストをするために、表2に示す3台の自動車A,B,Cおよびそれぞれの燃料タンクを用意した。
【0037】
【表2】
【0038】
次に、タンクA,B,Cの内面の底部を主に、下辺面に表1のコーティング剤を使用して、表3に示す内容で、エアースプレー法により、コーティングした。
なお、表3中、塗布量は、固形分換算である。
【0039】
【表3】
【0040】
実車テスト:
アイドリング時のハイドロカーボン(HC)を測定したのち、燃料消費量を調べるために、約1ヶ月間の走行距離テストを行なった。
なお、アイドリング時のハイドロカーボン測定は、堀場製作所社製、MEXA−9400型試験機に拠った。
まず最初に、対照として、自動車A,B,Cのテストを行なった(比較例1〜3)。
次に、自動車A,B,Cの燃料タンクを、Aタンク、Bタンク、Cタンクにそれぞれ交換して、同様のテストを行なった(実施例1〜3)。
これらの結果を表4に示す。
【0041】
【表4】
【0042】
表4から明らかなように、本発明の燃料タンクを使用すると(実施例1〜3)、対照車(比較例1〜3)に較べて、ガソリン車(A,B)の場合、アイドリング時のハイドロカーボン発生量が10%以下になり、燃料消費量は18〜25%の減少になった。
また、ディーゼル車Cの場合は、ハイドロカーボン量が20%弱の減少、燃料消費量が約10%減少したが(実施例3)、対照車の場合(比較例3)、貨物積載時の坂道で黒煙が必ず出たが、本発明の燃料タンク車(実施例3)はまったく黒煙が出なかった。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、ガソリンや軽油などの燃料の酸化を抑え、さらに、ガソリンや軽油などのクラスターを小さくして霧状をより微細にすることにより、着火性、燃焼性を改善して、不完全燃焼を防止し、燃料の消費量を大幅に節減することができる。
Claims (4)
- 内面を、(A)銀および/または銅を担持した微粒子、ならびに(B)無機微粒子を含む、無機系コーティング剤で加工してなることを特徴とする自動車用燃料タンク。
- (A)銀および/または銅を担持した微粒子が、アルミノケイ酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、および金属炭化物からなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の自動車用燃料タンク。
- 無機系コーティング剤が、さらに(C)合成樹脂、金属アルコキシド、金属ヒドロキシド、ならびにアルカリ金属塩および硬化剤の群から選ばれた少なくとも1種である結合剤を含む請求項1〜2いずれか1項記載の自動車用燃料タンク。
- 自動車用燃料タンクの内面に請求項1〜3いずれか1項に記載の無機系コーティング剤を塗布した後、乾燥・硬化することを特徴とする自動車用燃料タンクの製造方法。
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