JP2004314646A - 乗員脚部保護装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】衝撃エネルギー吸収機構の設計が容易で且つ低コストであると共に、ニーバッグの容積を大きくするまでもなく十分に衝撃エネルギー吸収量が大きい乗員脚部保護装置を提供する。
【解決手段】乗員脚部受承用のバッキングプレート16と、これらを支承するブラケット14L,14Rとの連結片16B,16Cに、該乗員脚部から退動する方向に延在した長孔20が設けられている。長孔20にボルト24を挿通し、このボルト24にナット26を締め込むことにより、各連結片16B,16Cが各ブラケット14L,14Rに固定されている。ナット26は、乗員脚部からバッキングプレート16に加えられた押圧力が所定値に達するまでは、連結片16B,16Cがブラケット14L,14Rに対し摺動することを阻止しうる締め付けトルクにてボルト24に締め込まれている。
【選択図】 図1
【解決手段】乗員脚部受承用のバッキングプレート16と、これらを支承するブラケット14L,14Rとの連結片16B,16Cに、該乗員脚部から退動する方向に延在した長孔20が設けられている。長孔20にボルト24を挿通し、このボルト24にナット26を締め込むことにより、各連結片16B,16Cが各ブラケット14L,14Rに固定されている。ナット26は、乗員脚部からバッキングプレート16に加えられた押圧力が所定値に達するまでは、連結片16B,16Cがブラケット14L,14Rに対し摺動することを阻止しうる締め付けトルクにてボルト24に締め込まれている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両衝突時に乗員の脚部を保護するための乗員脚部保護装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両衝突時に乗員の脚部を保護するための乗員脚部保護装置として、乗員脚部の前方に、該乗員脚部を受承するためのニーパネルを配置し、このニーパネルを、塑性変形可能なブラケットを介して車体のクロスメンバに支承したものが特許第3201009号公報に記載されている。
【0003】
この特許第3201009号公報の乗員脚部保護装置にあっては、車両衝突時にニーパネルが乗員脚部を受承した場合には、該乗員脚部からの押圧力によりブラケットが塑性変形する。これにより、該ニーパネルが退動し、且つこのブラケットの塑性変形により衝撃エネルギーが吸収され、乗員脚部が保護される。
【0004】
また、特開平11−139233号公報には、乗員脚部の前方にニーバッグモジュールを配置した乗員脚部保護装置が記載されている。この乗員脚部保護装置にあっては、車両衝突時に乗員脚部の前方においてニーバッグを膨張させ、該ニーバッグによって乗員脚部を受承することにより、乗員脚部を保護する。
【0005】
この特開平11−139233号公報の乗員脚部保護装置では、膨張したニーバッグは、車体のクロスメンバに対し剛に支承されたバッキングプレート(リテーナ)によってバックアップされることにより該乗員脚部からの押圧力に対抗する。
【0006】
【特許文献1】
特許第3201009号公報
【特許文献2】
特開平11−139233号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
(I) 上記特許第3201009号公報の乗員脚部保護装置のように、ニーパネルが乗員脚部を受承したときに該ニーパネルを支承するブラケット自体が塑性変形することにより衝撃エネルギーが吸収されるよう構成する場合、所期の衝撃エネルギー吸収性能を発現させうるように塑性変形可能なブラケットを設計するのは極めて難しいことであり、しかも、このようなブラケットを製作するのには非常にコストがかかる。
【0008】
本発明は、設計が容易で且つ低コストにて製作できる衝撃エネルギー吸収機構を有した乗員脚部保護装置を提供することを目的とする。
【0009】
(II) 上記特開平11−139233号公報の乗員脚部保護装置では、ニーバッグに突っ込んできた乗員脚部が、該ニーバッグをバックアップしているリテーナに当ってしまうと、それ以上の衝撃エネルギーの吸収が不可能となってしまう。このような事態を回避するために、ニーバッグの容積を大きくすることも考えられるが、ニーバッグの容積を大きくした場合には、その分だけ高出力のインフレータ(ニーバッグを膨張させるためのガス発生器)を装備しなければならず、乗員脚部保護装置の構成コストが高くなってしまう。
【0010】
本発明は、ニーバッグの容積を大きくするまでもなく十分に衝撃エネルギー吸収量が大きい乗員脚部保護装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明(請求項1)の乗員脚部保護装置は、乗員脚部前方に配置されたニーパネルと、該ニーパネルを支承するブラケットと、該ブラケットを支承する車両構造部材とを有する乗員脚部保護装置において、該ニーパネルは、乗員脚部を受承したときに該ブラケットに対し退動可能に、且つ退動時に衝撃エネルギー吸収可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0012】
かかる乗員脚部保護装置にあっては、ニーパネルがブラケットに対し、乗員脚部を受承したときに退動可能に、且つ退動時に衝撃エネルギー吸収可能に取り付けられているので、前述の特許第3201009号公報の乗員脚部保護装置の如くブラケット自体を塑性変形させる構成とした場合に比べて、衝撃エネルギー吸収機構の設計が容易である。
【0013】
この場合、ニーパネルとブラケットとの一方に該ニーパネルの退動方向を含む方向に延在した長孔が設けられ、他方に該長孔に係合した係合体が設けられており、該ニーパネルが退動するときに、該長孔の縁部又は該係合体が塑性変形することにより衝撃エネルギーが吸収される構成としてもよい(請求項2)。
【0014】
このように構成された乗員脚部保護装置(請求項2)においては、ニーパネルが乗員脚部から退動するときに、係合体が長孔内を相対移動する。この係合体の長孔内における移動に伴い、該係合部と接触する長孔の縁部、又は該係合体自体が塑性変形することにより、衝撃エネルギーが吸収される。従って、衝撃エネルギー吸収機構を設計するに際しては、実質的に該長孔の縁部又は係合体の塑性変形特性を選定するだけでよく、設計が容易である。
【0015】
本発明(請求項3)の乗員脚部保護装置は、乗員脚部前方に配置されたニーパネルと、該ニーパネルを支承するブラケットと、該ブラケットを支承する車両構造部材とを有する乗員脚部保護装置において、該ニーパネルは、乗員脚部を受承したときに変形して衝撃エネルギー吸収可能であることを特徴とするものである。
【0016】
かかる乗員脚部保護装置(請求項3)にあっては、ニーパネルが乗員脚部を受承したときに該ニーパネルが変形して衝撃エネルギーが吸収される。
【0017】
本発明の乗員脚部保護装置においては、ブラケットは、センターコンソール側ブラケットと、フェンダ側ブラケットとからなる構成であることが好ましい(請求項4)。このように構成することにより、ニーパネルの車両幅方向における両端がセンターコンソール側及びフェンダ側の各ブラケットによって支承されるので、該ニーパネルは、乗員脚部前方のセンターコンソール側からフェンダ側までの広い範囲において乗員脚部を受承することができると共に、乗員脚部受承時及び退動時の姿勢も安定する。
【0018】
本発明においては、ニーパネルは、ブラケットに対し乗員脚部を受承したときに退動可能に、且つ退動時に衝撃エネルギー吸収可能に取り付けられたバッキングプレートと、該バッキングプレートの乗員側に装着されたニーバッグモジュールとを有する構成としてもよい(請求項5)。
【0019】
この請求項5の乗員脚部保護装置にあっては、車両衝突時にはニーバックモジュールのニーバッグが膨張する。そして、まずこの膨張したニーバッグが乗員脚部を受承して衝撃エネルギーを吸収し、次いで、バッキングプレートが該ニーバッグを支持しつつ退動し、さらに衝撃エネルギーを吸収するので、ニーバッグの容積を大きくするまでもなく、前述の特開平11−139233号公報の如くニーバッグのみによって衝撃エネルギーを吸収するよう構成された乗員脚部保護装置よりも、全体として衝撃エネルギー吸収量が大きい。
【0020】
請求項6の通り、この請求項5の乗員脚部保護装置にあっては、車体組み立て工程において該バッキングプレートとブラケットと車両構造部材とが予め一体とされ、それから該バッキングプレートに対しニーバックモジュールが装着されるようにして乗員脚部保護装置が組み立てられることが好ましい。
【0021】
このように車体組み立て工程においてバッキングプレートとブラケットと車両構造部材とを予め一体とすることにより、乗員脚部保護装置の組み立て作業の効率化及び容易化を図ることができる。
【0022】
本発明においては、該ニーパネルは、該ブラケットに支承されたバッキングプレートであり、該バッキングプレートの乗員側に、該バッキングプレートに対して非支持状態にてニーバッグモジュールが配置されている構成としてもよい(請求項7)。
【0023】
この請求項7の乗員脚部保護装置においても、車両衝突時にはニーバッグモジュールが膨張し、この膨張したニーバッグがまず乗員脚部を受承する。この際、ニーバッグが乗員脚部からの押圧力により退動しても、該ニーバッグモジュールはバッキングプレートの乗員側に配置されているので、このバッキングプレートによってニーバッグモジュールが支持されるようになる。そして、このバッキングプレートがニーバッグモジュールを支持しつつ退動し、この対動時にさらに衝撃エネルギーが吸収されるので、前述の特開平11−139233号公報の如くニーバッグのみによって衝撃エネルギーを吸収するよう構成された乗員脚部保護装置よりも、全体として衝撃エネルギー吸収量が大きい。
【0024】
また、この請求項7の乗員脚部保護装置にあっては、バッキングプレートに対しニーバッグモジュールが装着されていないので、ニーバッグモジュールを接合するための部材等が不要であり、装置の簡略化及び組み立ての容易化を図ることができる。また、このニーバッグモジュールはバッキングプレートの乗員側に配置されていればよいので、ニーバッグモジュールの配置の自由度が高い。
【0025】
請求項8の通り、請求項5〜7の乗員脚部保護装置にあっては、ニーパネルが乗員脚部を受承したときにバッキングプレートが変形して衝撃エネルギーを吸収するよう構成してもよい。
【0026】
この請求項8の乗員脚部保護装置にあっては、該バッキングプレートは、乗員脚部に対面する主板部と、該主板部の左右両端から車両前方へ延出する連結片とを備えてなり、該連結片が変形して衝撃エネルギーが吸収されるよう構成されるのが好ましい(請求項9)。この連結片は、主板部から車両前方に延出しているものであるから、変形代を大きくとることができ、衝撃エネルギーの吸収量を多くすることができる。
【0027】
なお、上記の車両構造部材としてはクロスメンバが好適である(請求項10)が、これに限定されるものではない。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。なお、第1図〜第22図はニーパネルが退動することにより衝撃エネルギーを吸収する乗員脚部保護装置の実施の形態に係り、第23,24図はニーパネルが変形することにより衝撃エネルギーを吸収する乗員脚部保護装置の実施の形態を示している。
【0029】
第1図は本発明の実施の形態に係る乗員脚部保護装置の斜視図、第2図はこの乗員脚部保護装置の側面図、第3図は第2図のIII−III線断面図、第4図はこの乗員脚部保護装置の分解斜視図、第5図はニーバッグモジュールをバッキングプレートに接合するためのファスナの構成図、第6図はこの乗員脚部保護装置の配置を示す平面図、第7図及び第8図は、それぞれ、膨張したニーバッグに乗員脚部が当ったとき及びバッキングプレートが衝撃吸収作動したときの側面図である。なお、第5図(a)は該ファスナの斜視図であり、同(b)は該ファスナの平面図である。
【0030】
第6図に示すように、自動車1の運転席2の前方にインストルメントパネル3が配置され、該インストルメントパネル3の前面(該運転席2との対峙面)にステアリングホイール4が配置されている。該運転席2の左前方(第6図では左斜め下方)にはセンターコンソール5が設けられており、右前方(第6図では左斜め上方)の車体側面には、フロントフェンダ6が設けられている。
【0031】
該ステアリングホイール4はステアリングコラム7の先端に取り付けられている。このステアリングコラム7は車両前後方向に延在しており、その途中部分が、該ステアリングコラム7と交叉方向(車両幅方向)に延設されたインパネリンフォース(クロスメンバ)8に保持されている。第1図の符号9は、ステアリングコラム7をこのリンフォース8に保持するためのブラケットを示している。
【0032】
このステアリングコラム7の下側に乗員脚部保護装置10が設けられている。この乗員脚部保護装置10は、運転席2に着席した乗員の脚部(特に膝ないし足首付近)と対面するように該運転席2の前方に配置されたニーパネル12と、該ニーパネル12のセンターコンソール5側及びフェンダ6側をそれぞれ支承したセンターコンソール側ブラケット14L及びフェンダ側ブラケット14Rとを有している。該センターコンソール側ブラケット14L及びフェンダ側ブラケット14Rは、それぞれ溶接等により前記リンフォース8に固着されている。
【0033】
この実施の形態では、ニーパネル12は、該ブラケット14L,14Rによって支承されたバッキングプレート16と、該バッキングプレート16の乗員側に装着されたニーバッグモジュール18とを有している。該バッキングプレート16は、乗員脚部と対面し、且つ車両幅方向に延在された主板部16Aと、該主板部16Aの両端に設けられた、ブラケット14L,14Rとの連結片16B,16Cとからなる。ニーバッグモジュール18は、この主板部16Aの前面(乗員側の面)に配置されている。また、該連結片16B、16Cは、この実施の形態では、該主板部16Aの両端から、それぞれ該主板部16Aの裏面側に略直角に曲成されている。
【0034】
該連結片16B,16Cには、それぞれニーパネル12が乗員脚部から退動する方向を含む方向に延在した長孔20が設けられている。詳しくは、この実施の形態では、第2図に示すように、該長孔20は車両前後方向に略水平に延設されている。各連結片16B,16Cには、上下方向に位置を異ならせて2個の長孔20が設けられている。
【0035】
ブラケット14L,14Rには、それぞれ、この長孔20と重なるように略真円形のボルト挿通孔22(第4図参照)が設けられている。これらのボルト挿通孔22及び長孔20にボルト24が挿通され、該ボルト24にナット26が締め込まれることにより、該連結片16B,16Cがそれぞれブラケット14L,14Rに固定されている。第3図の符号28は、該ナット26と共にボルト24に装着されるワッシャを示している。
【0036】
連結片16B,16Cをブラケット14L,14Rに固定するに際し、第2図及び第3図に示す如く(第2図及び第3図では連結片16B及びブラケット14Lのみ図示)、ボルト24は長孔20内の前記主板部16Aから最も離隔した位置(第2図及び第3図における長孔20の左端)に配置されている。
【0037】
また、ナット26は、後述のニーバッグ32を介して乗員脚部から該主板部16Aに加えられた押圧力が所定値に達するまでは、各ブラケット14L,14Rとワッシャ28とに対する各連結片16B,16Cの摺動を阻止しうる締め付けトルクにてボルト24に締め付けられている。
【0038】
即ち、バッキングプレート16の主板部16Aの前面に対して乗員脚部から加えられた押圧力が所定値を超えた場合には、連結片16B,16Cがこれら自身とブラケット14L,14R及びワッシャ28との接触面における摩擦力(ボルト24とナット26とによる締め付け力)に抗して該ブラケット14L,14Rとワッシャ28とに対し摺動する。この際、ボルト24が長孔20内を該主板部16A側に相対移動することにより、バッキングプレート16の乗員脚部からの退動が許容される。
【0039】
ニーバッグモジュール18は、箱状のケーシング30と、折り畳まれた状態で該ケーシング30内に収容されたニーバッグ32と、該ニーバッグ32を膨張させるためのインフレータ(図示略)とを有している。該ケーシング30の前面(乗員側の面)は、ニーバッグ32が膨張するときに開裂して扉状に開き出すよう構成されている。
【0040】
ケーシング30の裏面には、このケーシング30をバッキングプレート16に接合するためのファスナ34が設けられている。このファスナ34は、第5図に示すように、ケーシング30の該裏面から突出した4個の略四半円筒形状部34aと、該略四半円筒形状部34aの各々の先端側に形成された大径部34bとを有している。この大径部34bは、先端側に向って収束した略四半円錐形状となっている。第5図(b)に明示の通り、4個の略四半円筒形状部34aは1個の円筒を4分割した如く配置されている。各略四半円筒形状部34a同士の間には間隙Sが形成されている。
【0041】
このファスナ34は、合成樹脂等の弾性材料により構成されており、各略四半円筒形状部34a(大径部34b)は、互いに接近方向及び離反方向に弾性変形可能となっている。
【0042】
この実施の形態では、ケーシング30の裏面に3個のファスナ34が設けられており、各々が三角形の頂点をなすように配置されている。
【0043】
バッキングプレート16の主板部16Aには、これらのファスナ34がそれぞれ係合可能な開口36が形成されている。各開口36の直径は、該ファスナ34の4個の略四半円筒形状部34aの側周面を結ぶ円の直径よりも大きく且つ4個の大径部34bの側周面を結ぶ円の直径よりも小さいものとなっている。
【0044】
ファスナ34をこの開口36に係合させるに際しては、該ファスナ34を開口36に当てがって強く押し込む。このようにすると、4個の大径部34bが該開口36の周縁部に対し摺動しつつ互いに接近するように弾性変形して該開口36を通過し、その後、これらは互いに離反(元の位置に復帰)するように弾性変形する。これにより、各大径部34bの後端部が該開口36の縁部に当接し、ファスナ34が該開口36から抜け出し不能となる。
【0045】
このようにして各ファスナ34が対応する開口36に係合するようにニーバッグモジュール18を主板部16Aに押し付けることにより、該ニーバッグモジュール18がバッキングプレート16に装着される。
【0046】
このように構成された乗員脚部保護装置10においては、車両衝突時には、ニーバッグモジュール18のインフレータがガス噴出作動し、このインフレータからのガスにより、第7図に示すように、ニーバッグ32が乗員脚部の前方に膨らみ出す。この膨張したニーバッグ32により乗員脚部が受承され、衝撃エネルギーが吸収される。なお、乗員脚部からこのニーバッグ32に加えられた押圧力は、バッキングプレート16によって対抗される。
【0047】
この際、該ニーバッグ32を介してバッキングプレート16に加えられた押圧力が所定値を超えた場合には、第8図に示すように、各連結片16B,16Cがこれら自身と各ブラケット14L,14R及びワッシャ28との接触面における摩擦力に抗して摺動する。この際、ボルト24が長孔20内を該バッキングプレート16の主板部16A側に相対移動することにより、バッキングプレート16の乗員脚部からの退動が許容される。
【0048】
これにより、バッキングプレート16が乗員脚部を受承しつつ該乗員脚部から退動し、この退動時にさらに衝撃エネルギーが吸収される。
【0049】
この乗員脚部保護装置10にあっては、バッキングプレート16が、各ブラケット14L,14Rに対し、乗員脚部を受承したときに退動可能に、且つ退動時に衝撃エネルギー吸収可能に取り付けられているので、前述の特許第3201009号公報の乗員脚部保護装置の如くブラケット自体を塑性変形させるよう構成した場合に比べ、衝撃エネルギー吸収機構の設計が容易であると共に、製作コストが低い。
【0050】
特に、この実施の形態では、ブラケット14L,14Rとバッキングプレート16との連結片16B,16Cに該バッキングプレート16の乗員脚部からの退動方向を含む方向に延在した長孔20を設け、この長孔20と各ブラケット14L,14Rのボルト挿通孔22とにボルト24を挿通し、これにワッシャ28を介してナット26を締めこむことにより、各ブラケット14L,14Rとバッキングプレート16とを連結した構成であるので、衝撃エネルギー吸収機構の設計に際しては、実質的に該ナット26のボルト24への締め付けトルクを選定するだけでよいので、衝撃エネルギー吸収機構の設計が極めて容易である。
【0051】
また、この実施の形態では、バッキングプレート16の前面にニーバッグモジュール18が装着されており、車両衝突時には、まずこのニーバッグモジュール18のニーバッグ32が乗員脚部を受承して衝撃エネルギーを吸収し、次いで、バッキングプレート16が退動し、この退動時にさらに衝撃エネルギーを吸収するので、ニーバッグ32の容積を増大させるまでもなく、全体の衝撃エネルギー吸収量が、前述の特開平11−139233号公報の如くニーバッグのみによって衝撃エネルギーを吸収するよう構成された乗員脚部保護装置よりも大きい。
【0052】
この乗員脚部保護装置10では、バッキングプレート16の両端がそれぞれセンターコンソール側及びフェンダ側の各ブラケット14L,14Rによって支承されている。そのため、該バッキングプレート16により、運転席2前方のセンターコンソール5側からフェンダ6側にかけての広い範囲において乗員脚部を受承することができる。また、乗員脚部受承時及び退動時におけるバッキングプレート16の姿勢が極めて安定したものとなる。
【0053】
次に、この乗員脚部保護装置10の組み立て手順について説明する。
【0054】
この乗員脚部保護装置10を組み立てるに当っては、自動車1の車体組み立て工程において、該自動車1の車体の一部を構成するインパネリンフォース8に予めブラケット14L,14Rを溶接しておくと共に、これらのブラケット14L,14R間にバッキングプレート16を配置し、連結片16B,16Cをそれぞれボルト24及びナット26等により該ブラケット14L,14Rに固定しておく。
【0055】
その後、組み上がった車体に内装部材(インストルメントパネル3等)を取り付ける際に、ニーバッグモジュール18を該バッキングプレート16に装着する。
【0056】
このように車体組み立て工程においてリンフォース8、ブラケット14L,14R及びバッキングプレート16を予め一体化しておくようにした場合には、これらの部材の車体への組み付けに際しインストルメントパネル3などの内装部材やステアリングコラム7等が邪魔になることがなく、容易に且つ効率よくこれらの部材の車体への組み付け作業を行うことができる。
【0057】
また、この実施の形態では、前述の通り、ファスナ34が開口36に係合するようにニーバッグモジュール18を主板部16Aの前面に押し付けるだけで該ニーバッグモジュール18をバッキングプレート16に装着できるので、該ニーバッグモジュール18のバッキングプレート16への装着作業も容易である。
【0058】
この実施の形態では、ニーバッグモジュール18のバッキングプレート16への接合構造として、該ニーバッグモジュール18のケーシング30の裏面に第5図(a),(b)に示す如きファスナ34を設け、このファスナ34をバッキングプレート16の主板部16Aに設けられた開口36に係合させることによりニーバッグモジュール18をバッキングプレート16に接合するよう構成しているが、ニーバッグモジュールのバッキングプレートへの接合構造はこれに限られるものではない。
【0059】
第9〜12図はそれぞれ別のニーバッグモジュール接合構造の説明図である。なお、第9図は分解断面図、第10図は分解斜視図、第11図は平面図、第12図は分解斜視図にて示されている。
【0060】
第9図では、バッキングプレート16の主板部16Aの下片から、乗員側に向って、ニーバッグモジュール18を載置するための張り出し片40が突設されている。この張り出し片40の先端からは、上方に向って爪42が突設されており、ニーバッグモジュール18のケーシング30の下面には、この爪42が係合する溝44が設けられている。この爪42を溝44に係合させるようにして該ニーバッグモジュール18を張り出し片40に載置することにより、該ニーバッグモジュール18の下部がバッキングプレート16に保持される。
【0061】
なお、ケーシング30の裏面の上部からは前記のファスナ34が突設されており、ニーバッグモジュール18の上部は、このファスナ34を主板部16Aの開口36に係合させることにより、該主板部36Aに接合される。
【0062】
第10図では、該ケーシング30の裏面の左右方向(車体幅方向)の一半側から固定式の第1フック46が突設され、他半側からは、該左右方向に可動式の第2フック48が突設されている。符号50は該第2フック48の該左右方向の移動を案内するガイド溝を示している。
【0063】
該第1フック46は、先端側が該第2フック48から離反する方向に直角に屈曲したL字形のものである。この第1フック46の基端側はケーシング30の裏面に固着されている。
【0064】
第2フック48は、前記ガイド溝50に挿通された基軸48aと、該基軸48aの先端側に形成された大径部48bとを有している。該大径部48bは、先端側に向って収束した略々円錐形状となっている。この第2フック48は、スプリング等の付勢手段(図示略)により、第1フック46から離反する方向に付勢されている。
【0065】
バッキングプレート16の主板部16Aには、該第1フック46が係合する第1開口52と、第2フック48が係合する第2開口54とが設けられている。該第2開口54は、前記大径部48bが通過可能な大径孔54aと該大径孔54aに連なっており、前記基軸48aのみが通過可能な小幅溝54bとから構成されている。該小幅溝54bは、第1開口52と反対側から該大径孔54aに連通すると共に、該第1開口52から離反する方向に延在している。
【0066】
ニーバッグモジュール18をバッキングプレート16に接合するに際しては、まず、第1フック46を第1開口52に係合させ、それから第2フック48を第2開口54に重ねる。この際、大径部48bの先端部が、該大径孔54aの該第1開口52と反対側の縁部と対峙する。
【0067】
この状態でニーバッグモジュール18を主板部16Aに押し付けると、大径部48bが大径孔54aの縁部に対し摺動しつつ該大径孔54aの中心側に移動して該大径孔54aを通過し、その後、前記付勢手段からの付勢力により基軸48aが第1開口52から離反する方向に移動し、小幅溝54b内に入り込む。これにより、大径部48bが該小幅溝54bの側縁部に当接し、第2フック48が第2開口54から抜け出し不能となり、ニーバッグモジュール18がこれらの第1及び第2フック52,54によって主板部16Aに固定される。
【0068】
第11図では、バッキングプレート16の主板部16Aの前面からニーバッグモジュール18固定用のスナップファスナ56が突設されており、このスナップファスナ56が、ケーシング30の裏面に設けられた係合穴58に係合することにより、ニーバッグモジュール18がバッキングプレート16に接合される。
【0069】
なお、このスナップファスナ56は、側周面にひだ状部(符号略)が形成された略円筒状の部材である。このひだ状部が係合穴58の壁面に圧着されることにより、該スナップファスナ56が係合穴から抜け出し不能となる。
【0070】
第12図では、ケーシング30’を前面側から裏面側に貫通するように、該ケーシング30’にボルト挿通孔60が設けられると共に、該ボルト挿通孔60と対応するように、主板部16Aに対しボルト螺着部62が設けられている。そして、該ボルト挿通孔60を介して該ボルト螺着部62にボルト64がねじ込まれることにより、ニーバッグモジュール18が主板部16Aに固定される。
【0071】
上記の第9〜12図の乗員脚部保護装置のその他の構成は、それぞれ前述の第1〜8図の乗員脚部保護装置10と同様となっており、各図において、第1〜8図と同一符号は同一部分を示している。
【0072】
第13図は本発明の他の実施の形態に係る乗員脚部保護装置の乗員脚部非受承時における断面図であり、第14図及び第15図は、この乗員脚部保護装置の乗員脚部受承時における断面図である。なお、第14図はバッキングプレートがニーバッグモジュールを支承したときを示し、第15図はバッキングプレートが衝撃エネルギー吸収作動したときを示している。
【0073】
この乗員脚部保護装置10Aも、リンフォース8(第13〜15図では図示略)に固着されたセンターコンソール側及びフェンダ側の各ブラケット14L,14R(第13〜15図ではブラケット14Lのみ図示)と、このブラケット14L,14Rに対し、乗員脚部から退動可能に且つ退動時に衝撃エネルギー吸収可能に取り付けられたバッキングプレート16と、該バッキングプレート16の乗員側に配置されたニーバッグモジュール18Aとを有している。
【0074】
これらのブラケット14L,14R及びバッキングプレート16は、前述の第1〜8図の乗員脚部保護装置10において採用されたものと同様の構成となっている。
【0075】
即ち、該バッキングプレート16の主板部16Aのセンターコンソール側及びフェンダ側の端部からそれぞれ曲成された、各ブラケット14L,14Rとの連結片16B,16Cを有している。各連結片16B,16Cには、車両前後方向に水平に延在した長孔20が設けられている。各連結片16B,16Cは、各ブラケット14L,14Rに設けられたボルト挿通孔22とこの長孔20とにボルト24が挿入され、このボルト24にワッシャ28を介してナット26が締め込まれることにより、該ブラケット14L,14Rに固定されている。
【0076】
各連結片16B,16Cを各ブラケット14L,14Rに固定するに際し、ボルト24は長孔20内の主板部16Aから遠い側の端部(第13図における長孔20の左端)に配置されている。また、ナット26は、主板部16Aに加えられた押圧力が所定値に達するまでは、各ブラケット14L,14Rとワッシャ28とに対する各連結片16B,16Cの摺動を阻止しうる静止摩擦力をこれらの接触面に生ぜしめる締め付けトルクにてボルト24に締め付けられている。
【0077】
この実施の形態では、バッキングプレート16の乗員側に、該バッキングプレート16に対し非支持状態にてニーバッグモジュール18Aが配置されている。
【0078】
該ニーバッグモジュール18Aは、インストルメントパネル3の乗員脚部対峙面に設けられたニーバッグモジュール設置用開口3a内に配置されている。このニーバッグモジュール18Aも、箱状のケーシング30Aと、折り畳まれた状態で該ケーシング30A内に配置されたニーバッグ32と、該ニーバッグ32を膨張させるためのインフレータ(図示略)とを備えており、該ケーシング30Aは、ニーバッグ32が膨張するときにその前面が開裂して開き出すよう構成されている。
【0079】
このケーシング30Aの前面の側辺からは、該前面と面一状に鍔部70が突設されており、この鍔部70がインストルメントパネル3の前記開口3aの縁部に当接されている。なお、この開口3aの縁部はその周辺よりも一段低い凹段部となっており、該鍔部70はこの凹段部内に係合している。
【0080】
この乗員脚部保護装置10Aにおいても、車両衝突時には、ニーバッグモジュール18Aのインフレータが作動し、このインフレータからのガスによりニーバッグ32が膨張する。乗員脚部は、まず膨張したニーバッグ32によって受承され、衝撃エネルギーが吸収される。
【0081】
この際、第14図に示すように、ニーバッグモジュール18Aが乗員脚部からニーバッグ32に加えられた押圧力により退動しても、該ニーバッグモジュール18Aの裏側にはバッキングプレート16が配置されているので、該ニーバッグモジュール18Aはこのバッキングプレート16によって支持されるようになる。
【0082】
そして、該ニーバッグ32を介してバッキングプレート16に加えられた押圧力が所定値を超えた場合には、前述の第1〜8図の乗員脚部保護装置10と同様、各連結片16B,16Cがこれら自身と各ブラケット14L,14R等との接触面における摩擦力に抗して摺動する。この実施の形態でも、ボルト24が長孔20内を主板部16A側に相対移動することにより、バッキングプレート16の乗員脚部からの退動が許容される。これにより、バッキングプレート16がニーバッグモジュール18Aを支持しつつ退動すると共に、衝撃エネルギーを吸収する。
【0083】
このように、この乗員脚部保護装置10Aにあっても、車両衝突時には、まずニーバッグモジュール18Aのニーバッグ32が乗員脚部を受承して衝撃エネルギーを吸収し、次いで、バッキングプレート16がこのニーバッグモジュール18Aを支持しつつ退動し、この退動時にさらに衝撃エネルギーを吸収するので、その全体の衝撃エネルギー吸収量が、ニーバッグ32の容積を大きくするまでもなく、前述の特開平11−139233号公報の如くニーバッグのみによって衝撃エネルギーを吸収するよう構成された乗員脚部保護装置よりも大きい。
【0084】
この乗員脚部保護装置10Aにあっては、バッキングプレート16に対しニーバッグモジュール18Aを接合するための部材等が不要であるため、装置の構成が簡略であると共に、組み立ても容易である。また、このニーバッグモジュール18Aはバッキングプレート16の乗員側に配置されていればよいので、ニーバッグモジュール18Aの配置の自由度が高い。
【0085】
上記の各実施の形態では、バッキングプレート16の連結片16B,16Cがこれら自身とブラケット14L,14R等との接触面における摩擦力に抗して摺動することにより衝撃エネルギーを吸収するよう構成しているが、バッキングプレート退動時の衝撃エネルギー吸収構造はこれに限られるものではない。
【0086】
例えば、第16図では、連結片16B,16Cに設けられた長孔20Aの長手方向の途中部分の上下の側縁部に沿って、それぞれ該側縁部から長孔20A内に張り出す張り出し片74,74が突設されている。図示の通り、この張り出し片74,74の該張り出し方向の先端同士の間隔S1は、前記ボルト24の直径よりも小さい。
【0087】
該ボルト24は、前述の各実施の形態と同様、連結片16B,16Cをブラケット14L,14R(第16図では図示略)に固定するに際し、長孔20Aの主板部16Aから遠い側の端部に配置される。
【0088】
本形態にあっては、バッキングプレート16が乗員脚部から退動することに伴ってボルト24が長孔20A内を主板部16Aに接近するように相対移動したときに、該張り出し片74,74がボルト24によって押し潰されるようにして、或いは該ボルト24が張り出し片74,74によって押し潰されるようにして、該張り出し片74,74又はボルト24が塑性変形することにより、衝撃エネルギーが吸収される。
【0089】
また、第17図では、連結片16B,16C(第17図では連結片16Bのみ図示)の主板部16A側の厚みt1が、該主板部16Aと反対側の厚みt2よりも大きくなっている。
【0090】
本形態にあっては、連結片16B,16Cをブラケット14L,14R(第17図ではブラケット14Lのみ図示)に固定するに際し長孔20の主板部16Aから遠い側の端部に配置されたボルト24が、バッキングプレート16の乗員脚部からの退動に伴って該長孔20内を主板部16Aに接近するように相対移動したときに、該連結片16B,16Cの厚みが増大するにつれて該ボルト24自身やワッシャ28、ナット26又はこれらと接触した該長孔20の縁部が塑性変形することにより、衝撃エネルギーが吸収される。
【0091】
これらの第16図及び第17図の衝撃エネルギー吸収構造を採用した場合でも、衝撃エネルギー吸収機構の設計に際しては、ボルト24やナット26、ワッシャ28、張り出し片74或いは長孔20,20Aの縁部などの塑性変形特性を検討するだけでよく、ブラケット14L,14R自体が塑性変形するよう構成する場合に比べて、衝撃エネルギー吸収機構の設計ははるかに容易である。
【0092】
なお、第16図は別の衝撃エネルギー吸収構造を示す長孔20A付近の側面図であり、第17図はさらに別の衝撃エネルギー吸収構造を示す第3図と同様部分の断面図である。
【0093】
上記の各実施の形態では、バッキングプレートと各ブラケットとを連結する連結片に、該バッキングプレートの乗員脚部からの退動方向を含む方向に延在する長孔として、車両前後方向に水平に延在する長孔を設けているが、長孔の延在方向はこれに限られるものではない。
【0094】
例えば、第18図(a)の長孔20Bは、主板部16Aから遠ざかる方向が上りとなるように、その延在方向が傾斜している。このような長孔20Bを採用した場合には、バッキングプレート16は、乗員脚部を受承したときに、車両前方且つ上方に向って退動する。
【0095】
また、第18図(b)の長孔20Cは、円弧状に湾曲しつつ略車両前後方向に延在している。なお、この長孔20Cの曲率中心には真円形の回動中心孔78が設けられている。本形態を採用した場合には、バッキングプレート16は、乗員脚部を受承したときに、該回動中心孔78を回動中心として車両前方に回動するようにして退動する。
【0096】
なお、第18図(a),(b)は、それぞれ別の長孔形状を示すバッキングプレート16の側面図であり、各図において、第1〜8図と同一符号は同一部分を示している。
【0097】
本発明では、バッキングプレートと各ブラケットとの連結片にそれぞれ長孔を設ける代りに、各ブラケットに長孔を設けてもよい。
【0098】
例えば、第19図(a)では、各ブラケット14L,14R(第19図ではブラケット14Lのみ図示)に、車両前後方向に水平に延在した、前記第1〜8図の長孔20と同様の長孔20Dが設けられている。また、第19図(b)では、乗員から遠ざかる方向が上りとなるように傾斜した、前記第18図(a)の長孔20Bと同様の長孔20Eが設けられている。第19図(c)では、円弧状に湾曲しつつ車両前後方向に延在した、前記第18図(b)の長孔20Cと同様の長孔20Fが設けられると共に、この長孔20Fの曲率中心には、真円形の回動中心孔(図示略)が設けられている。
【0099】
なお、第19図(a)〜(c)は、それぞれ別の長孔形成形態を示す第2図と同様部分の斜視図であり、各図において、第2図と同一符号は同一部分を示している。
【0100】
上記の各実施の形態では、バッキングプレート16の主板部は略長方形平板状であり、且つニーバッグモジュールの裏面とほぼ同一形状となっているが、該主板部及びニーバッグモジュールの形状は図示以外のものとされてもよい。
【0101】
例えば、第20図のバッキングプレート80にあっては、主板部82の上縁から突出部82a,82aがステアリングコラム7(図示略)の両側において、該ステアリングコラム7と同一高さか又はそれよりも上方にまで延在している。該突出部82a,82a同士の間には、該ステアリングコラム7と該主板部82との接触を回避するための切欠き状の凹所86が形成されている。
【0102】
第21図では、上下方向の高さが小さく、且つ車両幅方向に細長いニーバッグモジュール18Bが採用されている。バッキングプレート90の主板部92には、その下辺に沿って凹段部94が形成されており、該ニーバッグモジュール18Bは、この凹段部94に嵌合されている。該主板部92は、このニーバッグモジュール18Bの前面と略面一状に延在している。本形態にあっては、ニーバッグモジュール18Bのニーバッグ(図示略)が膨張したときには、この主板部92が膨張したニーバッグをバックアップする。
【0103】
第22図では、ニーバッグモジュール18Cの裏面からインフレータ収容部98が張り出しており、バッキングプレート100の主板部102には、このインフレータ収容部98が嵌合可能な凹部104が形成されている。ニーバッグモジュール18Cが該主板部102に接合される(又は当接する)際には、該インフレータ収容部98がこの凹部104に入り込む。これにより、該ニーバッグモジュール18Cの裏面が万遍なく該主板部102に接触する。
【0104】
なお、第20〜22図は、それぞれ別のバッキングプレート形状を示す斜視図であり、各図において、第1〜8図と同一符号は同一部分を示している。
【0105】
第23,24図を参照して、ニーパネルが変形することにより衝撃エネルギーを吸収するタイプの乗員脚部保護装置の実施の形態について説明する。第23図は、この乗員脚部保護装置を示す分解斜視図、第24図(a)はこの乗員脚部保護装置を示す第23図のXXIV−XXIV線に沿う断面図、第24図(b)は乗員脚部を受承した状態における同部分の断面図である。
【0106】
この実施の形態においても、インパネリンフォース(クロスメンバ)108にセンターコンソール側ブラケット114L及びフェンダ側ブラケット114Rの上端がそれぞれ溶接等により固着されている。これらのブラケット114L、114Rの下端部にボルト挿通孔114aが穿設され、ボルト116によってブラケット114L、114Rの下端部が車体に固定される。
【0107】
このブラケット114L、114R間に跨ってバッキングプレート120が設置され、該バッキングプレート120の主板部122の前面側(乗員側)にニーバッグモジュール130が設置されている。
【0108】
このバッキングプレート120は、該主板部122と、該主板部122の左右両端から車両前方へ延設された連結片124とを備えている。この実施の形態では、連結片124は、主板部122に対し斜交する方向に延在する斜片124aと、該斜片124aの先端側(車両前端側)から車両前方に延出する先端片124bとからなる。左右の連結片124,124の斜片124a,124aは、車両前方側ほど相互の間隔が広がるように配置されている。この先端片124bに孔124cが設けられている。なお、この実施の形態では、主板部122の左右両サイドの上下両端側からそれぞれ連結片124が延出しており、上下左右で合計4片の連結片124が設けられている。ただし、連結片124の数はこれに限定されるものではない。
【0109】
前記ブラケット114L、114Rには、このバッキングプレート120を固定するためのボルト挿通孔114bが設けられている。ブラケット114L、114R同士の間にバッキングプレート120を配置し、ボルト挿通孔114b及び孔124cにボルト128を通して該ボルト128とナットとを螺合することにより、該バッキングプレート120がブラケット114L、114Rに固定される。なお、このナットは予め連結片124の先端片124bに溶接等により固着されていることが好ましい。
【0110】
このバッキングプレート120の主板部122の乗員側に取り付けられたニーバックモジュール130は、前記ニーバックモジュール18と同様の構造のものである。なお、ニーバックモジュール130及びその主板部122への取付構造は、特に限定されるものではなく、上記のいずれの実施の形態のものであってもよく、また他の構造であってもよい。
【0111】
このように構成された乗員脚部保護装置110においては、車両衝突時には、ニーバッグモジュール130のインフレータがガス噴出作動し、このインフレータからのガスにより、第24図(b)に示すように、ニーバッグ132が乗員脚部の前方に膨らみ出す。この膨張したニーバッグ132により乗員脚部が受承され、衝撃エネルギーが吸収される。なお、乗員脚部からこのニーバッグ132に加えられた押圧力は、バッキングプレート120によって対抗される。
【0112】
この際、該ニーバッグ132を介してバッキングプレート120に加えられた押圧力が所定値を超えた場合には、第24図(b)の通り、連結片124の斜片124aが塑性変形する。
【0113】
これにより、バッキングプレート120の主板部122が乗員脚部を受承しつつ退動し、さらに衝撃エネルギーが吸収される。
【0114】
この実施の形態でも、バッキングプレート120の主板部122の前面にニーバッグモジュール130が装着されており、車両衝突時には、まずこのニーバッグモジュール130のニーバッグ132が乗員脚部を受承して衝撃エネルギーを吸収し、次いで、バッキングプレート120の連結片124が変形してさらに衝撃エネルギーを吸収するので、ニーバッグ132の容積を増大させるまでもなく、全体の衝撃エネルギー吸収量が大きなものとなる。
【0115】
この乗員脚部保護装置110でも、バッキングプレート120の左右両端がそれぞれセンターコンソール側及びフェンダ側の各ブラケット114L,114Rによって支承されている。そのため、該バッキングプレート120により、センターコンソール側からフェンダ側にかけての広い範囲において乗員脚部を受承することができる。また、乗員脚部受承時及び連結片変形時におけるバッキングプレート120の姿勢が極めて安定したものとなる。
【0116】
特に、この実施の形態にあっては、連結片124に斜片124aを設けており、乗員脚部を受承したときに該斜片124aに応力が集中する構造となっている。そのため、乗員脚部受承時には斜片124aが選択的に変形し、衝撃エネルギーが確実に吸収される。また、この斜片124aの長さ、幅、肉厚あるいは主板部122との交叉角度を選択することにより、吸収する衝撃エネルギー量を調節することができる。
【0117】
なお、この実施の形態では連結片124の斜片124aが塑性変形して衝撃エネルギーを吸収する構成としているが、他の部分が塑性変形して衝撃エネルギーを吸収する構成としてもよい。
【0118】
第23,24図の実施の形態にあっては、乗員脚部保護装置110はバッキングプレート120にニーバッグモジュール130を取り付けた構成としているが、前記第13図のようにニーバックモジュール130をバッキングプレート120に対して非支持状に配置してもよい。
【0119】
また、本発明では、第1〜22図のようにバッキングプレートが退動する構造と、第23,24図のようにバッキングプレートが塑性変形する構造との双方を具備してもよい。
【0120】
上記の各実施の形態はいずれも本発明の一例を示すものであり、本発明は上記の各実施の形態に限定されない。例えば、本発明の乗員脚部保護装置は、自動車の運転席用乗員脚部保護装置としてだけでなく、他の種々の用途の乗員脚部保護装置としても適用可能である。
【0121】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によると、衝撃エネルギー吸収機構の設計が容易で且つ低コストであると共に、ニーバッグの容積を大きくするまでもなく十分に衝撃エネルギー吸収量が大きい乗員脚部保護装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る乗員脚部保護装置の斜視図である。
【図2】図1の乗員脚部保護装置の側面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】図1の乗員脚部保護装置の分解斜視図である。
【図5】ニーバッグモジュールとバッキングプレートとの接合構造の説明図である。
【図6】図1の乗員脚部保護装置を備えた自動車の平面図である。
【図7】図1の乗員脚部保護装置の作動態様を示す図である。
【図8】図1の乗員脚部保護装置の作動態様を示す図である。
【図9】ニーバッグモジュールとバッキングプレートとの別の接合構造の説明図である。
【図10】ニーバッグモジュールとバッキングプレートとの別の接合構造の説明図である。
【図11】ニーバッグモジュールとバッキングプレートとの別の接合構造の説明図である。
【図12】ニーバッグモジュールとバッキングプレートとの別の接合構造の説明図である。
【図13】別の実施の形態に係る乗員脚部保護装置の側面図である。
【図14】図13の乗員脚部保護装置のニーバッグ膨張時の側面図である。
【図15】図13の乗員脚部保護装置のバッキングプレート退動時の側面図である。
【図16】別の衝撃エネルギー吸収構造の説明図である。
【図17】別の衝撃エネルギー吸収構造の説明図である。
【図18】別の長孔形状の説明図である。
【図19】別の長孔形成形態の説明図である。
【図20】別のバッキングプレート形状の説明図である。
【図21】別のバッキングプレート形状の説明図である。
【図22】別のバッキングプレート形状の説明図である。
【図23】異なる実施の形態に係る乗員脚部保護装置の分解斜視図である。
【図24】図23の乗員脚部保護装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1 自動車
2 運転席
3 インストルメントパネル
5 センターコンソール
6 フロントフェンダ
7 ステアリングコラム
8 インパネリンフォース
10,10A,110 乗員脚部保護装置
12 ニーパネル
14L,114L センターコンソール側ブラケット
14R,114R フェンダ側ブラケット
16,80,90,100,120 バッキングプレート
16A,82,92,102,122 主板部
16B,16C,124 連結片
18,18A,18B,130 ニーバッグモジュール
20,20A,20B,20C,20D,20E,20F 長孔
24 ボルト
26 ナット
28 ワッシャ
30,30’,30A ケーシング
32,132 ニーバッグ
34 ファスナ
36 (ファスナ係合用)開口
74 張り出し片
78 回動中心孔
94 凹段部
104 凹部
124a 斜片
124b 先端片
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両衝突時に乗員の脚部を保護するための乗員脚部保護装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両衝突時に乗員の脚部を保護するための乗員脚部保護装置として、乗員脚部の前方に、該乗員脚部を受承するためのニーパネルを配置し、このニーパネルを、塑性変形可能なブラケットを介して車体のクロスメンバに支承したものが特許第3201009号公報に記載されている。
【0003】
この特許第3201009号公報の乗員脚部保護装置にあっては、車両衝突時にニーパネルが乗員脚部を受承した場合には、該乗員脚部からの押圧力によりブラケットが塑性変形する。これにより、該ニーパネルが退動し、且つこのブラケットの塑性変形により衝撃エネルギーが吸収され、乗員脚部が保護される。
【0004】
また、特開平11−139233号公報には、乗員脚部の前方にニーバッグモジュールを配置した乗員脚部保護装置が記載されている。この乗員脚部保護装置にあっては、車両衝突時に乗員脚部の前方においてニーバッグを膨張させ、該ニーバッグによって乗員脚部を受承することにより、乗員脚部を保護する。
【0005】
この特開平11−139233号公報の乗員脚部保護装置では、膨張したニーバッグは、車体のクロスメンバに対し剛に支承されたバッキングプレート(リテーナ)によってバックアップされることにより該乗員脚部からの押圧力に対抗する。
【0006】
【特許文献1】
特許第3201009号公報
【特許文献2】
特開平11−139233号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
(I) 上記特許第3201009号公報の乗員脚部保護装置のように、ニーパネルが乗員脚部を受承したときに該ニーパネルを支承するブラケット自体が塑性変形することにより衝撃エネルギーが吸収されるよう構成する場合、所期の衝撃エネルギー吸収性能を発現させうるように塑性変形可能なブラケットを設計するのは極めて難しいことであり、しかも、このようなブラケットを製作するのには非常にコストがかかる。
【0008】
本発明は、設計が容易で且つ低コストにて製作できる衝撃エネルギー吸収機構を有した乗員脚部保護装置を提供することを目的とする。
【0009】
(II) 上記特開平11−139233号公報の乗員脚部保護装置では、ニーバッグに突っ込んできた乗員脚部が、該ニーバッグをバックアップしているリテーナに当ってしまうと、それ以上の衝撃エネルギーの吸収が不可能となってしまう。このような事態を回避するために、ニーバッグの容積を大きくすることも考えられるが、ニーバッグの容積を大きくした場合には、その分だけ高出力のインフレータ(ニーバッグを膨張させるためのガス発生器)を装備しなければならず、乗員脚部保護装置の構成コストが高くなってしまう。
【0010】
本発明は、ニーバッグの容積を大きくするまでもなく十分に衝撃エネルギー吸収量が大きい乗員脚部保護装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明(請求項1)の乗員脚部保護装置は、乗員脚部前方に配置されたニーパネルと、該ニーパネルを支承するブラケットと、該ブラケットを支承する車両構造部材とを有する乗員脚部保護装置において、該ニーパネルは、乗員脚部を受承したときに該ブラケットに対し退動可能に、且つ退動時に衝撃エネルギー吸収可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0012】
かかる乗員脚部保護装置にあっては、ニーパネルがブラケットに対し、乗員脚部を受承したときに退動可能に、且つ退動時に衝撃エネルギー吸収可能に取り付けられているので、前述の特許第3201009号公報の乗員脚部保護装置の如くブラケット自体を塑性変形させる構成とした場合に比べて、衝撃エネルギー吸収機構の設計が容易である。
【0013】
この場合、ニーパネルとブラケットとの一方に該ニーパネルの退動方向を含む方向に延在した長孔が設けられ、他方に該長孔に係合した係合体が設けられており、該ニーパネルが退動するときに、該長孔の縁部又は該係合体が塑性変形することにより衝撃エネルギーが吸収される構成としてもよい(請求項2)。
【0014】
このように構成された乗員脚部保護装置(請求項2)においては、ニーパネルが乗員脚部から退動するときに、係合体が長孔内を相対移動する。この係合体の長孔内における移動に伴い、該係合部と接触する長孔の縁部、又は該係合体自体が塑性変形することにより、衝撃エネルギーが吸収される。従って、衝撃エネルギー吸収機構を設計するに際しては、実質的に該長孔の縁部又は係合体の塑性変形特性を選定するだけでよく、設計が容易である。
【0015】
本発明(請求項3)の乗員脚部保護装置は、乗員脚部前方に配置されたニーパネルと、該ニーパネルを支承するブラケットと、該ブラケットを支承する車両構造部材とを有する乗員脚部保護装置において、該ニーパネルは、乗員脚部を受承したときに変形して衝撃エネルギー吸収可能であることを特徴とするものである。
【0016】
かかる乗員脚部保護装置(請求項3)にあっては、ニーパネルが乗員脚部を受承したときに該ニーパネルが変形して衝撃エネルギーが吸収される。
【0017】
本発明の乗員脚部保護装置においては、ブラケットは、センターコンソール側ブラケットと、フェンダ側ブラケットとからなる構成であることが好ましい(請求項4)。このように構成することにより、ニーパネルの車両幅方向における両端がセンターコンソール側及びフェンダ側の各ブラケットによって支承されるので、該ニーパネルは、乗員脚部前方のセンターコンソール側からフェンダ側までの広い範囲において乗員脚部を受承することができると共に、乗員脚部受承時及び退動時の姿勢も安定する。
【0018】
本発明においては、ニーパネルは、ブラケットに対し乗員脚部を受承したときに退動可能に、且つ退動時に衝撃エネルギー吸収可能に取り付けられたバッキングプレートと、該バッキングプレートの乗員側に装着されたニーバッグモジュールとを有する構成としてもよい(請求項5)。
【0019】
この請求項5の乗員脚部保護装置にあっては、車両衝突時にはニーバックモジュールのニーバッグが膨張する。そして、まずこの膨張したニーバッグが乗員脚部を受承して衝撃エネルギーを吸収し、次いで、バッキングプレートが該ニーバッグを支持しつつ退動し、さらに衝撃エネルギーを吸収するので、ニーバッグの容積を大きくするまでもなく、前述の特開平11−139233号公報の如くニーバッグのみによって衝撃エネルギーを吸収するよう構成された乗員脚部保護装置よりも、全体として衝撃エネルギー吸収量が大きい。
【0020】
請求項6の通り、この請求項5の乗員脚部保護装置にあっては、車体組み立て工程において該バッキングプレートとブラケットと車両構造部材とが予め一体とされ、それから該バッキングプレートに対しニーバックモジュールが装着されるようにして乗員脚部保護装置が組み立てられることが好ましい。
【0021】
このように車体組み立て工程においてバッキングプレートとブラケットと車両構造部材とを予め一体とすることにより、乗員脚部保護装置の組み立て作業の効率化及び容易化を図ることができる。
【0022】
本発明においては、該ニーパネルは、該ブラケットに支承されたバッキングプレートであり、該バッキングプレートの乗員側に、該バッキングプレートに対して非支持状態にてニーバッグモジュールが配置されている構成としてもよい(請求項7)。
【0023】
この請求項7の乗員脚部保護装置においても、車両衝突時にはニーバッグモジュールが膨張し、この膨張したニーバッグがまず乗員脚部を受承する。この際、ニーバッグが乗員脚部からの押圧力により退動しても、該ニーバッグモジュールはバッキングプレートの乗員側に配置されているので、このバッキングプレートによってニーバッグモジュールが支持されるようになる。そして、このバッキングプレートがニーバッグモジュールを支持しつつ退動し、この対動時にさらに衝撃エネルギーが吸収されるので、前述の特開平11−139233号公報の如くニーバッグのみによって衝撃エネルギーを吸収するよう構成された乗員脚部保護装置よりも、全体として衝撃エネルギー吸収量が大きい。
【0024】
また、この請求項7の乗員脚部保護装置にあっては、バッキングプレートに対しニーバッグモジュールが装着されていないので、ニーバッグモジュールを接合するための部材等が不要であり、装置の簡略化及び組み立ての容易化を図ることができる。また、このニーバッグモジュールはバッキングプレートの乗員側に配置されていればよいので、ニーバッグモジュールの配置の自由度が高い。
【0025】
請求項8の通り、請求項5〜7の乗員脚部保護装置にあっては、ニーパネルが乗員脚部を受承したときにバッキングプレートが変形して衝撃エネルギーを吸収するよう構成してもよい。
【0026】
この請求項8の乗員脚部保護装置にあっては、該バッキングプレートは、乗員脚部に対面する主板部と、該主板部の左右両端から車両前方へ延出する連結片とを備えてなり、該連結片が変形して衝撃エネルギーが吸収されるよう構成されるのが好ましい(請求項9)。この連結片は、主板部から車両前方に延出しているものであるから、変形代を大きくとることができ、衝撃エネルギーの吸収量を多くすることができる。
【0027】
なお、上記の車両構造部材としてはクロスメンバが好適である(請求項10)が、これに限定されるものではない。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。なお、第1図〜第22図はニーパネルが退動することにより衝撃エネルギーを吸収する乗員脚部保護装置の実施の形態に係り、第23,24図はニーパネルが変形することにより衝撃エネルギーを吸収する乗員脚部保護装置の実施の形態を示している。
【0029】
第1図は本発明の実施の形態に係る乗員脚部保護装置の斜視図、第2図はこの乗員脚部保護装置の側面図、第3図は第2図のIII−III線断面図、第4図はこの乗員脚部保護装置の分解斜視図、第5図はニーバッグモジュールをバッキングプレートに接合するためのファスナの構成図、第6図はこの乗員脚部保護装置の配置を示す平面図、第7図及び第8図は、それぞれ、膨張したニーバッグに乗員脚部が当ったとき及びバッキングプレートが衝撃吸収作動したときの側面図である。なお、第5図(a)は該ファスナの斜視図であり、同(b)は該ファスナの平面図である。
【0030】
第6図に示すように、自動車1の運転席2の前方にインストルメントパネル3が配置され、該インストルメントパネル3の前面(該運転席2との対峙面)にステアリングホイール4が配置されている。該運転席2の左前方(第6図では左斜め下方)にはセンターコンソール5が設けられており、右前方(第6図では左斜め上方)の車体側面には、フロントフェンダ6が設けられている。
【0031】
該ステアリングホイール4はステアリングコラム7の先端に取り付けられている。このステアリングコラム7は車両前後方向に延在しており、その途中部分が、該ステアリングコラム7と交叉方向(車両幅方向)に延設されたインパネリンフォース(クロスメンバ)8に保持されている。第1図の符号9は、ステアリングコラム7をこのリンフォース8に保持するためのブラケットを示している。
【0032】
このステアリングコラム7の下側に乗員脚部保護装置10が設けられている。この乗員脚部保護装置10は、運転席2に着席した乗員の脚部(特に膝ないし足首付近)と対面するように該運転席2の前方に配置されたニーパネル12と、該ニーパネル12のセンターコンソール5側及びフェンダ6側をそれぞれ支承したセンターコンソール側ブラケット14L及びフェンダ側ブラケット14Rとを有している。該センターコンソール側ブラケット14L及びフェンダ側ブラケット14Rは、それぞれ溶接等により前記リンフォース8に固着されている。
【0033】
この実施の形態では、ニーパネル12は、該ブラケット14L,14Rによって支承されたバッキングプレート16と、該バッキングプレート16の乗員側に装着されたニーバッグモジュール18とを有している。該バッキングプレート16は、乗員脚部と対面し、且つ車両幅方向に延在された主板部16Aと、該主板部16Aの両端に設けられた、ブラケット14L,14Rとの連結片16B,16Cとからなる。ニーバッグモジュール18は、この主板部16Aの前面(乗員側の面)に配置されている。また、該連結片16B、16Cは、この実施の形態では、該主板部16Aの両端から、それぞれ該主板部16Aの裏面側に略直角に曲成されている。
【0034】
該連結片16B,16Cには、それぞれニーパネル12が乗員脚部から退動する方向を含む方向に延在した長孔20が設けられている。詳しくは、この実施の形態では、第2図に示すように、該長孔20は車両前後方向に略水平に延設されている。各連結片16B,16Cには、上下方向に位置を異ならせて2個の長孔20が設けられている。
【0035】
ブラケット14L,14Rには、それぞれ、この長孔20と重なるように略真円形のボルト挿通孔22(第4図参照)が設けられている。これらのボルト挿通孔22及び長孔20にボルト24が挿通され、該ボルト24にナット26が締め込まれることにより、該連結片16B,16Cがそれぞれブラケット14L,14Rに固定されている。第3図の符号28は、該ナット26と共にボルト24に装着されるワッシャを示している。
【0036】
連結片16B,16Cをブラケット14L,14Rに固定するに際し、第2図及び第3図に示す如く(第2図及び第3図では連結片16B及びブラケット14Lのみ図示)、ボルト24は長孔20内の前記主板部16Aから最も離隔した位置(第2図及び第3図における長孔20の左端)に配置されている。
【0037】
また、ナット26は、後述のニーバッグ32を介して乗員脚部から該主板部16Aに加えられた押圧力が所定値に達するまでは、各ブラケット14L,14Rとワッシャ28とに対する各連結片16B,16Cの摺動を阻止しうる締め付けトルクにてボルト24に締め付けられている。
【0038】
即ち、バッキングプレート16の主板部16Aの前面に対して乗員脚部から加えられた押圧力が所定値を超えた場合には、連結片16B,16Cがこれら自身とブラケット14L,14R及びワッシャ28との接触面における摩擦力(ボルト24とナット26とによる締め付け力)に抗して該ブラケット14L,14Rとワッシャ28とに対し摺動する。この際、ボルト24が長孔20内を該主板部16A側に相対移動することにより、バッキングプレート16の乗員脚部からの退動が許容される。
【0039】
ニーバッグモジュール18は、箱状のケーシング30と、折り畳まれた状態で該ケーシング30内に収容されたニーバッグ32と、該ニーバッグ32を膨張させるためのインフレータ(図示略)とを有している。該ケーシング30の前面(乗員側の面)は、ニーバッグ32が膨張するときに開裂して扉状に開き出すよう構成されている。
【0040】
ケーシング30の裏面には、このケーシング30をバッキングプレート16に接合するためのファスナ34が設けられている。このファスナ34は、第5図に示すように、ケーシング30の該裏面から突出した4個の略四半円筒形状部34aと、該略四半円筒形状部34aの各々の先端側に形成された大径部34bとを有している。この大径部34bは、先端側に向って収束した略四半円錐形状となっている。第5図(b)に明示の通り、4個の略四半円筒形状部34aは1個の円筒を4分割した如く配置されている。各略四半円筒形状部34a同士の間には間隙Sが形成されている。
【0041】
このファスナ34は、合成樹脂等の弾性材料により構成されており、各略四半円筒形状部34a(大径部34b)は、互いに接近方向及び離反方向に弾性変形可能となっている。
【0042】
この実施の形態では、ケーシング30の裏面に3個のファスナ34が設けられており、各々が三角形の頂点をなすように配置されている。
【0043】
バッキングプレート16の主板部16Aには、これらのファスナ34がそれぞれ係合可能な開口36が形成されている。各開口36の直径は、該ファスナ34の4個の略四半円筒形状部34aの側周面を結ぶ円の直径よりも大きく且つ4個の大径部34bの側周面を結ぶ円の直径よりも小さいものとなっている。
【0044】
ファスナ34をこの開口36に係合させるに際しては、該ファスナ34を開口36に当てがって強く押し込む。このようにすると、4個の大径部34bが該開口36の周縁部に対し摺動しつつ互いに接近するように弾性変形して該開口36を通過し、その後、これらは互いに離反(元の位置に復帰)するように弾性変形する。これにより、各大径部34bの後端部が該開口36の縁部に当接し、ファスナ34が該開口36から抜け出し不能となる。
【0045】
このようにして各ファスナ34が対応する開口36に係合するようにニーバッグモジュール18を主板部16Aに押し付けることにより、該ニーバッグモジュール18がバッキングプレート16に装着される。
【0046】
このように構成された乗員脚部保護装置10においては、車両衝突時には、ニーバッグモジュール18のインフレータがガス噴出作動し、このインフレータからのガスにより、第7図に示すように、ニーバッグ32が乗員脚部の前方に膨らみ出す。この膨張したニーバッグ32により乗員脚部が受承され、衝撃エネルギーが吸収される。なお、乗員脚部からこのニーバッグ32に加えられた押圧力は、バッキングプレート16によって対抗される。
【0047】
この際、該ニーバッグ32を介してバッキングプレート16に加えられた押圧力が所定値を超えた場合には、第8図に示すように、各連結片16B,16Cがこれら自身と各ブラケット14L,14R及びワッシャ28との接触面における摩擦力に抗して摺動する。この際、ボルト24が長孔20内を該バッキングプレート16の主板部16A側に相対移動することにより、バッキングプレート16の乗員脚部からの退動が許容される。
【0048】
これにより、バッキングプレート16が乗員脚部を受承しつつ該乗員脚部から退動し、この退動時にさらに衝撃エネルギーが吸収される。
【0049】
この乗員脚部保護装置10にあっては、バッキングプレート16が、各ブラケット14L,14Rに対し、乗員脚部を受承したときに退動可能に、且つ退動時に衝撃エネルギー吸収可能に取り付けられているので、前述の特許第3201009号公報の乗員脚部保護装置の如くブラケット自体を塑性変形させるよう構成した場合に比べ、衝撃エネルギー吸収機構の設計が容易であると共に、製作コストが低い。
【0050】
特に、この実施の形態では、ブラケット14L,14Rとバッキングプレート16との連結片16B,16Cに該バッキングプレート16の乗員脚部からの退動方向を含む方向に延在した長孔20を設け、この長孔20と各ブラケット14L,14Rのボルト挿通孔22とにボルト24を挿通し、これにワッシャ28を介してナット26を締めこむことにより、各ブラケット14L,14Rとバッキングプレート16とを連結した構成であるので、衝撃エネルギー吸収機構の設計に際しては、実質的に該ナット26のボルト24への締め付けトルクを選定するだけでよいので、衝撃エネルギー吸収機構の設計が極めて容易である。
【0051】
また、この実施の形態では、バッキングプレート16の前面にニーバッグモジュール18が装着されており、車両衝突時には、まずこのニーバッグモジュール18のニーバッグ32が乗員脚部を受承して衝撃エネルギーを吸収し、次いで、バッキングプレート16が退動し、この退動時にさらに衝撃エネルギーを吸収するので、ニーバッグ32の容積を増大させるまでもなく、全体の衝撃エネルギー吸収量が、前述の特開平11−139233号公報の如くニーバッグのみによって衝撃エネルギーを吸収するよう構成された乗員脚部保護装置よりも大きい。
【0052】
この乗員脚部保護装置10では、バッキングプレート16の両端がそれぞれセンターコンソール側及びフェンダ側の各ブラケット14L,14Rによって支承されている。そのため、該バッキングプレート16により、運転席2前方のセンターコンソール5側からフェンダ6側にかけての広い範囲において乗員脚部を受承することができる。また、乗員脚部受承時及び退動時におけるバッキングプレート16の姿勢が極めて安定したものとなる。
【0053】
次に、この乗員脚部保護装置10の組み立て手順について説明する。
【0054】
この乗員脚部保護装置10を組み立てるに当っては、自動車1の車体組み立て工程において、該自動車1の車体の一部を構成するインパネリンフォース8に予めブラケット14L,14Rを溶接しておくと共に、これらのブラケット14L,14R間にバッキングプレート16を配置し、連結片16B,16Cをそれぞれボルト24及びナット26等により該ブラケット14L,14Rに固定しておく。
【0055】
その後、組み上がった車体に内装部材(インストルメントパネル3等)を取り付ける際に、ニーバッグモジュール18を該バッキングプレート16に装着する。
【0056】
このように車体組み立て工程においてリンフォース8、ブラケット14L,14R及びバッキングプレート16を予め一体化しておくようにした場合には、これらの部材の車体への組み付けに際しインストルメントパネル3などの内装部材やステアリングコラム7等が邪魔になることがなく、容易に且つ効率よくこれらの部材の車体への組み付け作業を行うことができる。
【0057】
また、この実施の形態では、前述の通り、ファスナ34が開口36に係合するようにニーバッグモジュール18を主板部16Aの前面に押し付けるだけで該ニーバッグモジュール18をバッキングプレート16に装着できるので、該ニーバッグモジュール18のバッキングプレート16への装着作業も容易である。
【0058】
この実施の形態では、ニーバッグモジュール18のバッキングプレート16への接合構造として、該ニーバッグモジュール18のケーシング30の裏面に第5図(a),(b)に示す如きファスナ34を設け、このファスナ34をバッキングプレート16の主板部16Aに設けられた開口36に係合させることによりニーバッグモジュール18をバッキングプレート16に接合するよう構成しているが、ニーバッグモジュールのバッキングプレートへの接合構造はこれに限られるものではない。
【0059】
第9〜12図はそれぞれ別のニーバッグモジュール接合構造の説明図である。なお、第9図は分解断面図、第10図は分解斜視図、第11図は平面図、第12図は分解斜視図にて示されている。
【0060】
第9図では、バッキングプレート16の主板部16Aの下片から、乗員側に向って、ニーバッグモジュール18を載置するための張り出し片40が突設されている。この張り出し片40の先端からは、上方に向って爪42が突設されており、ニーバッグモジュール18のケーシング30の下面には、この爪42が係合する溝44が設けられている。この爪42を溝44に係合させるようにして該ニーバッグモジュール18を張り出し片40に載置することにより、該ニーバッグモジュール18の下部がバッキングプレート16に保持される。
【0061】
なお、ケーシング30の裏面の上部からは前記のファスナ34が突設されており、ニーバッグモジュール18の上部は、このファスナ34を主板部16Aの開口36に係合させることにより、該主板部36Aに接合される。
【0062】
第10図では、該ケーシング30の裏面の左右方向(車体幅方向)の一半側から固定式の第1フック46が突設され、他半側からは、該左右方向に可動式の第2フック48が突設されている。符号50は該第2フック48の該左右方向の移動を案内するガイド溝を示している。
【0063】
該第1フック46は、先端側が該第2フック48から離反する方向に直角に屈曲したL字形のものである。この第1フック46の基端側はケーシング30の裏面に固着されている。
【0064】
第2フック48は、前記ガイド溝50に挿通された基軸48aと、該基軸48aの先端側に形成された大径部48bとを有している。該大径部48bは、先端側に向って収束した略々円錐形状となっている。この第2フック48は、スプリング等の付勢手段(図示略)により、第1フック46から離反する方向に付勢されている。
【0065】
バッキングプレート16の主板部16Aには、該第1フック46が係合する第1開口52と、第2フック48が係合する第2開口54とが設けられている。該第2開口54は、前記大径部48bが通過可能な大径孔54aと該大径孔54aに連なっており、前記基軸48aのみが通過可能な小幅溝54bとから構成されている。該小幅溝54bは、第1開口52と反対側から該大径孔54aに連通すると共に、該第1開口52から離反する方向に延在している。
【0066】
ニーバッグモジュール18をバッキングプレート16に接合するに際しては、まず、第1フック46を第1開口52に係合させ、それから第2フック48を第2開口54に重ねる。この際、大径部48bの先端部が、該大径孔54aの該第1開口52と反対側の縁部と対峙する。
【0067】
この状態でニーバッグモジュール18を主板部16Aに押し付けると、大径部48bが大径孔54aの縁部に対し摺動しつつ該大径孔54aの中心側に移動して該大径孔54aを通過し、その後、前記付勢手段からの付勢力により基軸48aが第1開口52から離反する方向に移動し、小幅溝54b内に入り込む。これにより、大径部48bが該小幅溝54bの側縁部に当接し、第2フック48が第2開口54から抜け出し不能となり、ニーバッグモジュール18がこれらの第1及び第2フック52,54によって主板部16Aに固定される。
【0068】
第11図では、バッキングプレート16の主板部16Aの前面からニーバッグモジュール18固定用のスナップファスナ56が突設されており、このスナップファスナ56が、ケーシング30の裏面に設けられた係合穴58に係合することにより、ニーバッグモジュール18がバッキングプレート16に接合される。
【0069】
なお、このスナップファスナ56は、側周面にひだ状部(符号略)が形成された略円筒状の部材である。このひだ状部が係合穴58の壁面に圧着されることにより、該スナップファスナ56が係合穴から抜け出し不能となる。
【0070】
第12図では、ケーシング30’を前面側から裏面側に貫通するように、該ケーシング30’にボルト挿通孔60が設けられると共に、該ボルト挿通孔60と対応するように、主板部16Aに対しボルト螺着部62が設けられている。そして、該ボルト挿通孔60を介して該ボルト螺着部62にボルト64がねじ込まれることにより、ニーバッグモジュール18が主板部16Aに固定される。
【0071】
上記の第9〜12図の乗員脚部保護装置のその他の構成は、それぞれ前述の第1〜8図の乗員脚部保護装置10と同様となっており、各図において、第1〜8図と同一符号は同一部分を示している。
【0072】
第13図は本発明の他の実施の形態に係る乗員脚部保護装置の乗員脚部非受承時における断面図であり、第14図及び第15図は、この乗員脚部保護装置の乗員脚部受承時における断面図である。なお、第14図はバッキングプレートがニーバッグモジュールを支承したときを示し、第15図はバッキングプレートが衝撃エネルギー吸収作動したときを示している。
【0073】
この乗員脚部保護装置10Aも、リンフォース8(第13〜15図では図示略)に固着されたセンターコンソール側及びフェンダ側の各ブラケット14L,14R(第13〜15図ではブラケット14Lのみ図示)と、このブラケット14L,14Rに対し、乗員脚部から退動可能に且つ退動時に衝撃エネルギー吸収可能に取り付けられたバッキングプレート16と、該バッキングプレート16の乗員側に配置されたニーバッグモジュール18Aとを有している。
【0074】
これらのブラケット14L,14R及びバッキングプレート16は、前述の第1〜8図の乗員脚部保護装置10において採用されたものと同様の構成となっている。
【0075】
即ち、該バッキングプレート16の主板部16Aのセンターコンソール側及びフェンダ側の端部からそれぞれ曲成された、各ブラケット14L,14Rとの連結片16B,16Cを有している。各連結片16B,16Cには、車両前後方向に水平に延在した長孔20が設けられている。各連結片16B,16Cは、各ブラケット14L,14Rに設けられたボルト挿通孔22とこの長孔20とにボルト24が挿入され、このボルト24にワッシャ28を介してナット26が締め込まれることにより、該ブラケット14L,14Rに固定されている。
【0076】
各連結片16B,16Cを各ブラケット14L,14Rに固定するに際し、ボルト24は長孔20内の主板部16Aから遠い側の端部(第13図における長孔20の左端)に配置されている。また、ナット26は、主板部16Aに加えられた押圧力が所定値に達するまでは、各ブラケット14L,14Rとワッシャ28とに対する各連結片16B,16Cの摺動を阻止しうる静止摩擦力をこれらの接触面に生ぜしめる締め付けトルクにてボルト24に締め付けられている。
【0077】
この実施の形態では、バッキングプレート16の乗員側に、該バッキングプレート16に対し非支持状態にてニーバッグモジュール18Aが配置されている。
【0078】
該ニーバッグモジュール18Aは、インストルメントパネル3の乗員脚部対峙面に設けられたニーバッグモジュール設置用開口3a内に配置されている。このニーバッグモジュール18Aも、箱状のケーシング30Aと、折り畳まれた状態で該ケーシング30A内に配置されたニーバッグ32と、該ニーバッグ32を膨張させるためのインフレータ(図示略)とを備えており、該ケーシング30Aは、ニーバッグ32が膨張するときにその前面が開裂して開き出すよう構成されている。
【0079】
このケーシング30Aの前面の側辺からは、該前面と面一状に鍔部70が突設されており、この鍔部70がインストルメントパネル3の前記開口3aの縁部に当接されている。なお、この開口3aの縁部はその周辺よりも一段低い凹段部となっており、該鍔部70はこの凹段部内に係合している。
【0080】
この乗員脚部保護装置10Aにおいても、車両衝突時には、ニーバッグモジュール18Aのインフレータが作動し、このインフレータからのガスによりニーバッグ32が膨張する。乗員脚部は、まず膨張したニーバッグ32によって受承され、衝撃エネルギーが吸収される。
【0081】
この際、第14図に示すように、ニーバッグモジュール18Aが乗員脚部からニーバッグ32に加えられた押圧力により退動しても、該ニーバッグモジュール18Aの裏側にはバッキングプレート16が配置されているので、該ニーバッグモジュール18Aはこのバッキングプレート16によって支持されるようになる。
【0082】
そして、該ニーバッグ32を介してバッキングプレート16に加えられた押圧力が所定値を超えた場合には、前述の第1〜8図の乗員脚部保護装置10と同様、各連結片16B,16Cがこれら自身と各ブラケット14L,14R等との接触面における摩擦力に抗して摺動する。この実施の形態でも、ボルト24が長孔20内を主板部16A側に相対移動することにより、バッキングプレート16の乗員脚部からの退動が許容される。これにより、バッキングプレート16がニーバッグモジュール18Aを支持しつつ退動すると共に、衝撃エネルギーを吸収する。
【0083】
このように、この乗員脚部保護装置10Aにあっても、車両衝突時には、まずニーバッグモジュール18Aのニーバッグ32が乗員脚部を受承して衝撃エネルギーを吸収し、次いで、バッキングプレート16がこのニーバッグモジュール18Aを支持しつつ退動し、この退動時にさらに衝撃エネルギーを吸収するので、その全体の衝撃エネルギー吸収量が、ニーバッグ32の容積を大きくするまでもなく、前述の特開平11−139233号公報の如くニーバッグのみによって衝撃エネルギーを吸収するよう構成された乗員脚部保護装置よりも大きい。
【0084】
この乗員脚部保護装置10Aにあっては、バッキングプレート16に対しニーバッグモジュール18Aを接合するための部材等が不要であるため、装置の構成が簡略であると共に、組み立ても容易である。また、このニーバッグモジュール18Aはバッキングプレート16の乗員側に配置されていればよいので、ニーバッグモジュール18Aの配置の自由度が高い。
【0085】
上記の各実施の形態では、バッキングプレート16の連結片16B,16Cがこれら自身とブラケット14L,14R等との接触面における摩擦力に抗して摺動することにより衝撃エネルギーを吸収するよう構成しているが、バッキングプレート退動時の衝撃エネルギー吸収構造はこれに限られるものではない。
【0086】
例えば、第16図では、連結片16B,16Cに設けられた長孔20Aの長手方向の途中部分の上下の側縁部に沿って、それぞれ該側縁部から長孔20A内に張り出す張り出し片74,74が突設されている。図示の通り、この張り出し片74,74の該張り出し方向の先端同士の間隔S1は、前記ボルト24の直径よりも小さい。
【0087】
該ボルト24は、前述の各実施の形態と同様、連結片16B,16Cをブラケット14L,14R(第16図では図示略)に固定するに際し、長孔20Aの主板部16Aから遠い側の端部に配置される。
【0088】
本形態にあっては、バッキングプレート16が乗員脚部から退動することに伴ってボルト24が長孔20A内を主板部16Aに接近するように相対移動したときに、該張り出し片74,74がボルト24によって押し潰されるようにして、或いは該ボルト24が張り出し片74,74によって押し潰されるようにして、該張り出し片74,74又はボルト24が塑性変形することにより、衝撃エネルギーが吸収される。
【0089】
また、第17図では、連結片16B,16C(第17図では連結片16Bのみ図示)の主板部16A側の厚みt1が、該主板部16Aと反対側の厚みt2よりも大きくなっている。
【0090】
本形態にあっては、連結片16B,16Cをブラケット14L,14R(第17図ではブラケット14Lのみ図示)に固定するに際し長孔20の主板部16Aから遠い側の端部に配置されたボルト24が、バッキングプレート16の乗員脚部からの退動に伴って該長孔20内を主板部16Aに接近するように相対移動したときに、該連結片16B,16Cの厚みが増大するにつれて該ボルト24自身やワッシャ28、ナット26又はこれらと接触した該長孔20の縁部が塑性変形することにより、衝撃エネルギーが吸収される。
【0091】
これらの第16図及び第17図の衝撃エネルギー吸収構造を採用した場合でも、衝撃エネルギー吸収機構の設計に際しては、ボルト24やナット26、ワッシャ28、張り出し片74或いは長孔20,20Aの縁部などの塑性変形特性を検討するだけでよく、ブラケット14L,14R自体が塑性変形するよう構成する場合に比べて、衝撃エネルギー吸収機構の設計ははるかに容易である。
【0092】
なお、第16図は別の衝撃エネルギー吸収構造を示す長孔20A付近の側面図であり、第17図はさらに別の衝撃エネルギー吸収構造を示す第3図と同様部分の断面図である。
【0093】
上記の各実施の形態では、バッキングプレートと各ブラケットとを連結する連結片に、該バッキングプレートの乗員脚部からの退動方向を含む方向に延在する長孔として、車両前後方向に水平に延在する長孔を設けているが、長孔の延在方向はこれに限られるものではない。
【0094】
例えば、第18図(a)の長孔20Bは、主板部16Aから遠ざかる方向が上りとなるように、その延在方向が傾斜している。このような長孔20Bを採用した場合には、バッキングプレート16は、乗員脚部を受承したときに、車両前方且つ上方に向って退動する。
【0095】
また、第18図(b)の長孔20Cは、円弧状に湾曲しつつ略車両前後方向に延在している。なお、この長孔20Cの曲率中心には真円形の回動中心孔78が設けられている。本形態を採用した場合には、バッキングプレート16は、乗員脚部を受承したときに、該回動中心孔78を回動中心として車両前方に回動するようにして退動する。
【0096】
なお、第18図(a),(b)は、それぞれ別の長孔形状を示すバッキングプレート16の側面図であり、各図において、第1〜8図と同一符号は同一部分を示している。
【0097】
本発明では、バッキングプレートと各ブラケットとの連結片にそれぞれ長孔を設ける代りに、各ブラケットに長孔を設けてもよい。
【0098】
例えば、第19図(a)では、各ブラケット14L,14R(第19図ではブラケット14Lのみ図示)に、車両前後方向に水平に延在した、前記第1〜8図の長孔20と同様の長孔20Dが設けられている。また、第19図(b)では、乗員から遠ざかる方向が上りとなるように傾斜した、前記第18図(a)の長孔20Bと同様の長孔20Eが設けられている。第19図(c)では、円弧状に湾曲しつつ車両前後方向に延在した、前記第18図(b)の長孔20Cと同様の長孔20Fが設けられると共に、この長孔20Fの曲率中心には、真円形の回動中心孔(図示略)が設けられている。
【0099】
なお、第19図(a)〜(c)は、それぞれ別の長孔形成形態を示す第2図と同様部分の斜視図であり、各図において、第2図と同一符号は同一部分を示している。
【0100】
上記の各実施の形態では、バッキングプレート16の主板部は略長方形平板状であり、且つニーバッグモジュールの裏面とほぼ同一形状となっているが、該主板部及びニーバッグモジュールの形状は図示以外のものとされてもよい。
【0101】
例えば、第20図のバッキングプレート80にあっては、主板部82の上縁から突出部82a,82aがステアリングコラム7(図示略)の両側において、該ステアリングコラム7と同一高さか又はそれよりも上方にまで延在している。該突出部82a,82a同士の間には、該ステアリングコラム7と該主板部82との接触を回避するための切欠き状の凹所86が形成されている。
【0102】
第21図では、上下方向の高さが小さく、且つ車両幅方向に細長いニーバッグモジュール18Bが採用されている。バッキングプレート90の主板部92には、その下辺に沿って凹段部94が形成されており、該ニーバッグモジュール18Bは、この凹段部94に嵌合されている。該主板部92は、このニーバッグモジュール18Bの前面と略面一状に延在している。本形態にあっては、ニーバッグモジュール18Bのニーバッグ(図示略)が膨張したときには、この主板部92が膨張したニーバッグをバックアップする。
【0103】
第22図では、ニーバッグモジュール18Cの裏面からインフレータ収容部98が張り出しており、バッキングプレート100の主板部102には、このインフレータ収容部98が嵌合可能な凹部104が形成されている。ニーバッグモジュール18Cが該主板部102に接合される(又は当接する)際には、該インフレータ収容部98がこの凹部104に入り込む。これにより、該ニーバッグモジュール18Cの裏面が万遍なく該主板部102に接触する。
【0104】
なお、第20〜22図は、それぞれ別のバッキングプレート形状を示す斜視図であり、各図において、第1〜8図と同一符号は同一部分を示している。
【0105】
第23,24図を参照して、ニーパネルが変形することにより衝撃エネルギーを吸収するタイプの乗員脚部保護装置の実施の形態について説明する。第23図は、この乗員脚部保護装置を示す分解斜視図、第24図(a)はこの乗員脚部保護装置を示す第23図のXXIV−XXIV線に沿う断面図、第24図(b)は乗員脚部を受承した状態における同部分の断面図である。
【0106】
この実施の形態においても、インパネリンフォース(クロスメンバ)108にセンターコンソール側ブラケット114L及びフェンダ側ブラケット114Rの上端がそれぞれ溶接等により固着されている。これらのブラケット114L、114Rの下端部にボルト挿通孔114aが穿設され、ボルト116によってブラケット114L、114Rの下端部が車体に固定される。
【0107】
このブラケット114L、114R間に跨ってバッキングプレート120が設置され、該バッキングプレート120の主板部122の前面側(乗員側)にニーバッグモジュール130が設置されている。
【0108】
このバッキングプレート120は、該主板部122と、該主板部122の左右両端から車両前方へ延設された連結片124とを備えている。この実施の形態では、連結片124は、主板部122に対し斜交する方向に延在する斜片124aと、該斜片124aの先端側(車両前端側)から車両前方に延出する先端片124bとからなる。左右の連結片124,124の斜片124a,124aは、車両前方側ほど相互の間隔が広がるように配置されている。この先端片124bに孔124cが設けられている。なお、この実施の形態では、主板部122の左右両サイドの上下両端側からそれぞれ連結片124が延出しており、上下左右で合計4片の連結片124が設けられている。ただし、連結片124の数はこれに限定されるものではない。
【0109】
前記ブラケット114L、114Rには、このバッキングプレート120を固定するためのボルト挿通孔114bが設けられている。ブラケット114L、114R同士の間にバッキングプレート120を配置し、ボルト挿通孔114b及び孔124cにボルト128を通して該ボルト128とナットとを螺合することにより、該バッキングプレート120がブラケット114L、114Rに固定される。なお、このナットは予め連結片124の先端片124bに溶接等により固着されていることが好ましい。
【0110】
このバッキングプレート120の主板部122の乗員側に取り付けられたニーバックモジュール130は、前記ニーバックモジュール18と同様の構造のものである。なお、ニーバックモジュール130及びその主板部122への取付構造は、特に限定されるものではなく、上記のいずれの実施の形態のものであってもよく、また他の構造であってもよい。
【0111】
このように構成された乗員脚部保護装置110においては、車両衝突時には、ニーバッグモジュール130のインフレータがガス噴出作動し、このインフレータからのガスにより、第24図(b)に示すように、ニーバッグ132が乗員脚部の前方に膨らみ出す。この膨張したニーバッグ132により乗員脚部が受承され、衝撃エネルギーが吸収される。なお、乗員脚部からこのニーバッグ132に加えられた押圧力は、バッキングプレート120によって対抗される。
【0112】
この際、該ニーバッグ132を介してバッキングプレート120に加えられた押圧力が所定値を超えた場合には、第24図(b)の通り、連結片124の斜片124aが塑性変形する。
【0113】
これにより、バッキングプレート120の主板部122が乗員脚部を受承しつつ退動し、さらに衝撃エネルギーが吸収される。
【0114】
この実施の形態でも、バッキングプレート120の主板部122の前面にニーバッグモジュール130が装着されており、車両衝突時には、まずこのニーバッグモジュール130のニーバッグ132が乗員脚部を受承して衝撃エネルギーを吸収し、次いで、バッキングプレート120の連結片124が変形してさらに衝撃エネルギーを吸収するので、ニーバッグ132の容積を増大させるまでもなく、全体の衝撃エネルギー吸収量が大きなものとなる。
【0115】
この乗員脚部保護装置110でも、バッキングプレート120の左右両端がそれぞれセンターコンソール側及びフェンダ側の各ブラケット114L,114Rによって支承されている。そのため、該バッキングプレート120により、センターコンソール側からフェンダ側にかけての広い範囲において乗員脚部を受承することができる。また、乗員脚部受承時及び連結片変形時におけるバッキングプレート120の姿勢が極めて安定したものとなる。
【0116】
特に、この実施の形態にあっては、連結片124に斜片124aを設けており、乗員脚部を受承したときに該斜片124aに応力が集中する構造となっている。そのため、乗員脚部受承時には斜片124aが選択的に変形し、衝撃エネルギーが確実に吸収される。また、この斜片124aの長さ、幅、肉厚あるいは主板部122との交叉角度を選択することにより、吸収する衝撃エネルギー量を調節することができる。
【0117】
なお、この実施の形態では連結片124の斜片124aが塑性変形して衝撃エネルギーを吸収する構成としているが、他の部分が塑性変形して衝撃エネルギーを吸収する構成としてもよい。
【0118】
第23,24図の実施の形態にあっては、乗員脚部保護装置110はバッキングプレート120にニーバッグモジュール130を取り付けた構成としているが、前記第13図のようにニーバックモジュール130をバッキングプレート120に対して非支持状に配置してもよい。
【0119】
また、本発明では、第1〜22図のようにバッキングプレートが退動する構造と、第23,24図のようにバッキングプレートが塑性変形する構造との双方を具備してもよい。
【0120】
上記の各実施の形態はいずれも本発明の一例を示すものであり、本発明は上記の各実施の形態に限定されない。例えば、本発明の乗員脚部保護装置は、自動車の運転席用乗員脚部保護装置としてだけでなく、他の種々の用途の乗員脚部保護装置としても適用可能である。
【0121】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によると、衝撃エネルギー吸収機構の設計が容易で且つ低コストであると共に、ニーバッグの容積を大きくするまでもなく十分に衝撃エネルギー吸収量が大きい乗員脚部保護装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る乗員脚部保護装置の斜視図である。
【図2】図1の乗員脚部保護装置の側面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】図1の乗員脚部保護装置の分解斜視図である。
【図5】ニーバッグモジュールとバッキングプレートとの接合構造の説明図である。
【図6】図1の乗員脚部保護装置を備えた自動車の平面図である。
【図7】図1の乗員脚部保護装置の作動態様を示す図である。
【図8】図1の乗員脚部保護装置の作動態様を示す図である。
【図9】ニーバッグモジュールとバッキングプレートとの別の接合構造の説明図である。
【図10】ニーバッグモジュールとバッキングプレートとの別の接合構造の説明図である。
【図11】ニーバッグモジュールとバッキングプレートとの別の接合構造の説明図である。
【図12】ニーバッグモジュールとバッキングプレートとの別の接合構造の説明図である。
【図13】別の実施の形態に係る乗員脚部保護装置の側面図である。
【図14】図13の乗員脚部保護装置のニーバッグ膨張時の側面図である。
【図15】図13の乗員脚部保護装置のバッキングプレート退動時の側面図である。
【図16】別の衝撃エネルギー吸収構造の説明図である。
【図17】別の衝撃エネルギー吸収構造の説明図である。
【図18】別の長孔形状の説明図である。
【図19】別の長孔形成形態の説明図である。
【図20】別のバッキングプレート形状の説明図である。
【図21】別のバッキングプレート形状の説明図である。
【図22】別のバッキングプレート形状の説明図である。
【図23】異なる実施の形態に係る乗員脚部保護装置の分解斜視図である。
【図24】図23の乗員脚部保護装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1 自動車
2 運転席
3 インストルメントパネル
5 センターコンソール
6 フロントフェンダ
7 ステアリングコラム
8 インパネリンフォース
10,10A,110 乗員脚部保護装置
12 ニーパネル
14L,114L センターコンソール側ブラケット
14R,114R フェンダ側ブラケット
16,80,90,100,120 バッキングプレート
16A,82,92,102,122 主板部
16B,16C,124 連結片
18,18A,18B,130 ニーバッグモジュール
20,20A,20B,20C,20D,20E,20F 長孔
24 ボルト
26 ナット
28 ワッシャ
30,30’,30A ケーシング
32,132 ニーバッグ
34 ファスナ
36 (ファスナ係合用)開口
74 張り出し片
78 回動中心孔
94 凹段部
104 凹部
124a 斜片
124b 先端片
Claims (10)
- 乗員脚部前方に配置されたニーパネルと、
該ニーパネルを支承するブラケットと、
該ブラケットを支承する車両構造部材と
を有する乗員脚部保護装置において、
該ニーパネルは、乗員脚部を受承したときに該ブラケットに対し退動可能に、且つ退動時に衝撃エネルギー吸収可能に取り付けられていることを特徴とする乗員脚部保護装置。 - 請求項1において、該ニーパネルと該ブラケットとの一方に該退動方向を含む方向に延在した長孔が設けられ、他方に該長孔に係合した係合体が設けられており、
該ニーパネルが退動するときに、該長孔の縁部又は該係合体が塑性変形することにより衝撃エネルギーが吸収されることを特徴とする乗員脚部保護装置。 - 乗員脚部前方に配置されたニーパネルと、
該ニーパネルを支承するブラケットと、
該ブラケットを支承する車両構造部材と
を有する乗員脚部保護装置において、
該ニーパネルは、乗員脚部を受承したときに変形して衝撃エネルギー吸収可能であることを特徴とする乗員脚部保護装置。 - 請求項1ないし3のいずれか1項において、該ブラケットは、センターコンソール側ブラケットと、フェンダ側ブラケットとからなることを特徴とする乗員脚部保護装置。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、該ニーパネルは、該ブラケットに支承されたバッキングプレートと、該バッキングプレートの乗員側に装着されたニーバッグモジュールとを有することを特徴とする乗員脚部保護装置。
- 請求項5において、該バッキングプレートと、前記ブラケットと、前記車両構造部材とが予め一体とされており、該バッキングプレートに対して前記ニーバッグモジュールが装着されていることを特徴とする乗員脚部保護装置。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、該ニーパネルは、該ブラケットに支承されたバッキングプレートであり、該バッキングプレートの乗員側に、該バッキングプレートに対して非支持状態にてニーバッグモジュールが配置されていることを特徴とする乗員脚部保護装置。
- 請求項5ないし7のいずれか1項において、該乗員脚部保護装置は請求項3に記載の乗員脚部保護装置であり、乗員脚部を受承したときに該バッキングプレートが変形して衝撃エネルギーが吸収されることを特徴とする乗員脚部保護装置。
- 請求項8において、該バッキングプレートは、乗員脚部に対面する主板部と、該主板部の左右両端から車両前方へ延出する連結片とを備えてなり、
該連結片が変形して衝撃エネルギーが吸収されることを特徴とする乗員脚部保護装置。 - 請求項1ないし9のいずれか1項において、該車両構造部材はクロスメンバであることを特徴とする乗員脚部保護装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR100803297B1 (ko) | 2006-08-09 | 2008-02-14 | 현대자동차주식회사 | 크래쉬 패드 장착용 그리핑 브래킷 |
CN102050061A (zh) * | 2009-11-02 | 2011-05-11 | 天津松下汽车电子开发有限公司 | 面板倾斜角度可调节的电子装置 |
JP2013018424A (ja) * | 2011-07-13 | 2013-01-31 | Honda Motor Co Ltd | 車両用乗員膝部保護装置 |
KR101970340B1 (ko) * | 2017-10-13 | 2019-04-18 | 아우토리브 디벨롭먼트 아베 | 자동차의 무릎 에어백 장치 |
JP2022544629A (ja) * | 2019-09-25 | 2022-10-19 | エスエルエム ソルーションズ グループ アーゲー | 粉末床積層造形でのセンサデータを分析する技術 |
-
2003
- 2003-03-20 JP JP2003078173A patent/JP2004314646A/ja active Pending
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