JP2004314063A - 無機質球状体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】実質的に均一な粒子径を有する無機質球状体の製造方法の提供。
【解決手段】無機化合物を含む水性液状体を、層流で流れる有機液体中に微小孔を通して押し出してW/O型エマルジョンを形成した後、該W/O型エマルジョン中の無機化合物を含む水性液状体を固形化して無機質球状体を製造する方法において、微小孔の断面の動水半径rの4倍値を0.1〜100μmとし、前記断面の動水半径rの4倍値に対する前記無機質球状体の個数平均粒子径の比を0.1〜5.0とし、かつ、前記水性液状体の流れ方向の線速に対する前記有機液体の流れ方向の線速の比を10〜300とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、無機質球状体の製造方法に関する。特に、液体クロマトグラフフィー用充填材、化粧品用フィラー、触媒担体などに有用な実質的に均一粒子径を持つ無機質球状体の製造方法に関する。
従来、無機質球状体を得る方法として種々の方法が知られている。特許文献1には、シリカゾルをスプレードライヤーで球状化し乾燥する方法が開示されている。この方法では、平均粒子径10μm未満の粒子を作製することが困難であり、また、作製した粒子の粒度分布幅が広く、粒子表面にくぼみができるなど形状もいびつになりやすい。
特許文献2には、無機化合物水溶液と有機液体とを撹拌混合してW/O型エマルジョンを作製し、該エマルジョン中の無機化合物水溶液の液滴内に無機粒子を沈殿させることにより、無機質球状体を得る方法が開示されている。この方法で得られる無機質球状体は、上記スプレードライヤー法と比較すると粒子径分布は均一であるが、エマルジョンの粒子径分布に依存して、無機質球状体の粒子径分布もまだ広いものであった。
特許文献3には、厚さ方向に貫通した穴を有する高分子膜を通して無機化合物水溶液を有機液体中に注入することでW/O型エマルジョンを作製し、該エマルジョン中の無機化合物水溶液の液滴から無機質球状体を得る方法が開示されている。この方法では、エマルジョンの粒子径分布を狭いものにできるが、粒子径が高分子膜の物性に左右されること、及び有機液体の流れが制御されていないことによるエマルジョン粒子径分布が生じるため、無機質球状体の粒子径の均一性という点では不十分であった。
近年、特許文献4に、歪みをもった形状の微小孔を通して、加圧された無機化合物水溶液を有機液体中に押し出して均質なエマルジョンを製造する方法とそのための装置が提案されている。最近ではさらに、粒子径の均一な無機質球状体を長期間にわたって効率よく、大量に、かつ安定に製造する方法及び装置の開発が求められている。
特開昭61−171533号公報(特許請求の範囲) 特公昭57−55454号公報(特許請求の範囲) 特開平5−23565号公報(特許請求の範囲) 特開2002−119841号公報(特許請求の範囲、図1)
本発明の目的は、実質的に均一な粒子径を有する無機質球状体の製造方法を提供することにある。特に、目標とする粒子径を大きく逸脱する大粒子や小粒子の副生を防止した無機質球状体の製造方法を提供する。
本発明は、無機化合物を含む水性液状体を、隔壁で区画された流路中を流速0.001〜1m/sかつ層流状態で流れる有機液体中に、隔壁の厚さ方向に貫通した微小孔を通して押し出してW/O型エマルジョンを形成した後、該W/O型エマルジョン中の無機化合物を含む水性液状体を固形化して無機質球状体を製造する方法において、前記微小孔の断面の動水半径rの4倍値が0.1〜100μmであり、前記断面の動水半径rの4倍値に対する前記無機質球状体の個数平均粒子径の比が0.1〜5.0であり、かつ、前記水性液状体の流れ方向の線速に対する前記有機液体の流れ方向の線速の比が10〜300であることを特徴とする無機質球状体の製造方法を提供する。
本発明により、実質的に粒子径が均一な無機質球状体を安定して製造することが可能となる。特に、走査型電子顕微鏡写真から測定した個数平均粒子径が10〜100μmであり、粒子径分布の標準偏差を個数平均粒子径で割った値が0.20以下と、高度に粒子径が均一化された無機質球状体が得られるため、目標とする粒子径を大きく逸脱する大粒子や小粒子の副生を防止できる。
本発明では、無機化合物を含む水性液状体を、層流で流れる有機液体中に、微小孔を通して押し出すことにより、有機液体が分散質(連続相)となりこの中に前記無機化合物を含有する水溶液の液滴が分散相となったエマルジョン、すなわちW/O型エマルジョンを形成した後、該W/O型エマルジョン中の無機化合物を含む水性液状体を固形化して無機質球状体を製造する。
まず、無機化合物を含む水性液状体としては、固形化によって沈殿物を形成することができるものであれば、いずれも適用可能であり、無機化合物の水溶液だけでなく、シリカゾル、アルミナゾルなどのコロイド溶液も採用できる。無機化合物の水溶液としては、具体的にはアルカリ金属のケイ酸塩、アルミン酸塩、アルカリ土類金属のハロゲン化物、銅の硫酸塩、塩酸塩及び硝酸塩の水溶液が挙げられる。
本発明では、無機化合物としてシリカを含む水性液状体を用いると好ましい。具体的には、水溶性シリカが溶解した水溶液、有機ケイ素化合物を加水分解して得られたシリカゾル及び市販のシリカゾルなどの固体シリカが分散した水性分散液や、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液が好ましく使用される。アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムなどが挙げられ、中でも入手の容易さ、経済的理由によりナトリウムが最も好ましい。ナトリウムとケイ酸の割合は、SiO/NaO(モル比)で2.0〜3.8が好ましく、さらには2.0〜3.5が好ましい。また、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の濃度は、SiO濃度として5〜30質量%が好ましく、さらには5〜25質量%が好ましい。
次に、有機液体としては、炭素数9〜12の飽和炭化水素が好ましく、操作性、火気への安全性、固形化した粒子と有機液体との分離性、無機質球状体粒子の形状特性、水への有機液体の溶解性などを総合的に考慮して選定される。炭素数が9〜12の飽和炭化水素は、単独で使用してもよいし、このうちの二種以上を混合して使用してもよい。また、炭素数が9〜12の飽和炭化水素は、その化学的安定性が良好であれば、直鎖状炭化水素であってもよいし、側鎖を有する炭化水素であってもよい。
炭素数9〜12の飽和炭化水素の引火点としては、20〜80℃のものが好ましい。引火点が20℃未満の飽和炭化水素を有機液体とした場合、引火点が低すぎるため、防火上、作業環境上の対策が必要である。また、引火点が80℃を超えるものは、揮発性が小さいことから、得られる無機質球状体に付着する炭化水素の量が多くなるおそれがある。
本発明では、エマルジョンを固形化した後の無機質球状体と有機液体とは、通常固液分離される。分離後の無機質球状体に付着又は吸着している有機液体は、乾燥操作などにより気化、分離するのが好ましい。気化により分離しやすいという面では有機液体は沸点が200℃以下であることが好ましく、これらの条件を満たすものとしては、C20、C1022及びC1124からなる群より選ばれる1種以上であると好ましい。
本発明では、W/O型エマルジョンの形成にあたり、界面活性剤を使用するのが好ましい。このときの界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤も使用可能であるが、親水性、親油性の調整が容易である点でノニオン系界面活性剤が好ましい。例えば、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどが望ましい。
界面活性剤の使用量は、界面活性剤の種類、界面活性剤の親水性あるいは疎水性の程度を表す指標であるHLB(Hydrophile−lipophile balance)、目的とする無機質球状体の粒径などの条件により異なるが、上記有機液体中に500〜50000ppm、好ましくは1000〜20000ppm含有させるのが好ましい。500ppm未満であると、乳化される水溶液の液滴が大きくなり、エマルジョンが不安定になるおそれがある。また、50000ppmを超えると、製品である無機質球状体粒子に付着する界面活性剤の量が多くなり好ましくない。
本発明では、有機液体の流速を0.001〜2m/sとすることにより、粒子径分布の狭いエマルジョン液滴が形成され、得られる無機質球状体の粒子径分布も狭くできる。有機液体の流速が0.01〜1m/sである場合はさらに好ましい。
流路中を流れる有機液体のレイノルズ数は2100以下であることが好ましい。ここで、流路の断面が円形である場合のレイノルズ数は式1で計算され、流路の内径Dは流路の断面における最小径を使用する。ここで、D(流路の内径:m)、u(平均流速:m/s)、ρ(流体密度:kg/m)、μ(流体粘度:Pa・s)である。
レイノルズ数(−)=D・u・ρ/μ ・・・式1。
また、流路の断面が円形でない場合のレイノルズ数は式2で計算される。ここで、rは流路動水半径(m)=流路の断面積(m)/流路断面の流体に接する周長(m)であり、u、ρ、μは式1と同様である。
レイノルズ数(−)=4×r・u・ρ/μ・・・式2。
レイノルズ数が2100以下の場合、有機液体の流れは層流状態であるため、有機液体の流れは安定したものとなる。その結果、微小孔を通して供給される無機化合物を含む水性液状体が、常に一定の粒子径を有するW/O型エマルジョンとなるため、実質的に粒子径が均一な無機質球状体が製造されやすい。逆に、レイノルズ数が2100を超える場合、有機液体の流れが乱流となる、従来と同様に粒子径が不揃いなW/O型エマルジョンとなり、その結果、無機質球状体の粒子径も不揃いになる。より有機液体の流れを安定させるために、有機液体の流れのレイノルズ数が500以下であることが好ましい。なお、この有機液体の流路の形状については、特に限定されない。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図中、1、5はアクリル樹脂製板、2はフッ素樹脂シート、3はステンレス鋼板、4はアクリル樹脂製板部品である。図1において、無機化合物を含む水性液状体はノズル8から導入され、ステンレス鋼板3を貫通する各微小孔を通してほぼ一定圧力で、ノズル6から導入されてノズル7から排出されるように層流状態で流れる有機液体中に圧入される。その際、各微小孔における水性液状体の線速の最大値と最小値との差を、最小値に対して40%以内とすると好ましい。なお、微小孔より圧入される水性液状体は、界面張力に起因して、微小孔の出口においてその孔径よりも大きく成長する。その後、液滴は、有機液体の流れにより切り離され、有機液体中でW/O型エマルジョンの液滴となる。
本発明において、無機化合物を含む水性液状体を供給する微小孔の断面を円形、矩形、三角形及び楕円形からなる群より選ばれる1つ以上の形状とすると、加工が比較的容易であり、また、粒子径の均一な無機質球状体を安定して製造できることから好ましい。ただし、いずれの孔においても有機液体の流路の幅より小さい孔であることが必須である。微小孔の形成方法としては、エキシマレーザーなどレーザーを用いる加工方法やプレス加工などの方法が挙げられるが、特に限定されるものではない。
ここで、微小孔の断面が矩形、三角形及び楕円形からなる群より選ばれる1つ以上の形状である場合、孔の出口で液滴となった時点で液滴は曲率分布をもち、比較的早期に自発的に切り離され有機液体中で液滴になるものと推定している。そのため、円形状の孔を使用した場合と比べ、比較的エマルジョン粒子径が小さいものが得られやすく好ましい。また、このとき断面の形状に内接する円の直径に対する断面形状に外接する円の直径の比が20以下であることが好ましい。さらに好ましくは10以下である。20を超える場合、長径方向で液滴が分割される傾向がみられ、その結果エマルジョン粒子が不均一なものとなりやすく好ましくない。特に、断面形状に内接する円の直径を1μm以上、断面形状に外接する円の直径を80μm以下とすると好ましい。
次に、本発明では、微小孔の断面の動水半径rの4倍値を0.1〜100μmとする。さらに好ましくは1〜80μmである。ここで、rは式2と同様に、断面の動水半径r(m)=微小孔の断面積(m)/微小孔断面の流体に接する周長(m)である。したがって、微小孔の断面が円形の形状の場合、動水半径r=円の内径D/4となるから、動水半径rの4倍値は円の内径Dに相当する。微小孔の断面の動水半径rの4倍値が0.1μm未満では、無機化合物を含む水性液状体の供給量が小さく、生産性の点で好ましくない。また、100μmより大きい場合は、目的とする粒子径を逸脱するエマルジョン粒子が生成しやすくなるので好ましくない。
さらに、目標とする粒子径の無機質球状体を効率的に得る観点から、本発明では、微小孔の断面の動水半径rの4倍値に対する無機質球状体の平均粒子径の比を、0.1〜5.0とする。より好ましくは0.3〜3.0である。この比が0.1未満では生産性が低下し、得られる無機質球状体の平均粒子径が目標値より大きくなる可能性が高くなるので好ましくない。また、逆に5.0を超えると粒子径を制御しにくくなり、目的とする粒子径を大きく逸脱する微粒状の粒子の副生を引き起こす可能性が高くなるので好ましくない。
生成するW/O型エマルジョンの液滴径は、上記で定めた微小孔の設置条件のみならず、水性液状体の流れ方向の線速に対する有機液体の流れ方向の線速の比によっても影響を受ける。図1において、水性液状体は各微小孔を通してほぼ一定圧力で有機液体中に圧入されるので、水性液状体の流れ方向の線速は微小孔部分で測定すればよい。本発明では、この線速の比を10〜300とする。さらに好ましくは50〜200とする。線速の比が300を超える場合は、有機液体を過剰に消費しすぎるおそれがあるため経済的観点から好ましくない。また、10未満では、有機液体の流れにより液滴が切り離される効果が得られにくくなり、エマルジョン粒子が不均一になるおそれがあるため好ましくない。
なお、微小孔は、有機液体の流路上のステンレス鋼板3の厚さ方向に貫通するように100個以上、より好ましくは1000個以上設けると、エマルジョンの生産性を向上できるため好ましい。また、微小孔は、ステンレス鋼板3上に、微小孔の断面形状に外接する円の直径の1/2以上の間隔を設けて設置するのが好ましい。さらに好ましくは微小孔の断面形状に外接する円の直径以上の間隔を設ける。外接する円の直径の1/2より短い間隔しか設けずに微小孔を設置すると、エマルジョンの液滴が合一し、その結果粒子径が不均一になる可能性があるため好ましくない。ただし、合一しない範囲でなるべく密接して設置したほうが、生産性を向上できるので好ましい。
本発明の無機質球状体の製造装置において、隔壁を構成する材料としては、無機化合物を含む水性液状体及び有機液体に対する耐性を有するものを使用する。金属を主体とするものであると加工性及び強度に優れるため好ましいが、その他、樹脂を主体とするものも好適に用いられる。樹脂としては、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリエステル及びフッ素樹脂からなる1種以上を用いると加工性、寸法安定性に優れるため好ましい。
厚さ方向に貫通した微小孔を形成する隔壁を構成する材料は、親有機液体性、もしくは撥水性を有することが好ましい。これは、無機化合物を含む水性液状体が微小孔を通過した後の隔壁からの液離れを促すためであり、隔壁が親水性の場合、微小孔を通過後、隔壁に沿って水性液状体が流れてしまい、エマルジョンの粒子径が不均一になりやすいことが、高速度カメラでの観察により明らかになっている。隔壁が金属材質の場合は、油を焼き付けるなどの方法で親有機液体性をもたせるか、疎水性樹脂又はシランカップリング剤を溶剤に溶解した撥水処理剤を用いて表面をコーティングすることが好ましい。このとき、疎水性樹脂としては熱可塑性樹脂を用いると好ましい。これはコーティングの際に微小孔が閉塞した場合であっても、加熱処理により孔を貫通させられるためである。また、疎水性樹脂として溶剤可溶型のフッ素樹脂を用いると、耐久性の観点で好ましい。
W/O型エマルジョン中の無機化合物を含む水性液状体を固形化して無機質球状体とする方法としては、沈殿剤を加えて無機化合物を沈殿させる方法を用いることができる。沈殿剤としては、アルカリ金属のハロゲン化物あるいは炭酸塩、無機酸、有機酸、無機酸のアンモニウム塩、有機酸のアンモニウム塩及びアルカリ土類金属のハロゲン化物からなる群より選ばれた少なくとも1種の水溶液が挙げられる。具体的には炭酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化カリウム、炭酸水素カリウム等の水溶液が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
無機化合物を含む水性液状体中の無機化合物がシリカの場合は、W/O型エマルジョンをゲル化することにより、球状である水溶液の分散液滴は、形状を保持したままゲル化され、球状のシリカヒドロゲルが得られる。ゲル化には、エマルジョン中にゲル化剤を導入するのが好ましい。ゲル化剤としては、無機酸や有機酸などの酸が用いられ、特に無機酸である硫酸、塩酸、硝酸、炭酸などが好ましい。操作の容易性などの点で、最も簡便で好ましいのは、炭酸ガスを用いる方法である。炭酸ガスは、100%濃度の純炭酸ガスを導入してもよいし、空気や不活性ガスで希釈した炭酸ガスを導入してもよい。ゲル化に要する時間は、通常4〜30minが好ましく、ゲル化時の温度は5〜30℃が好ましい。
ゲル化終了後は、反応系を静置して、有機液体の相とシリカヒドロゲルを含む水性相に2相分離させてシリカゲルを分離するのが好ましい。有機液体として飽和炭化水素を用いた場合は、上層に有機液体の相が、下部にシリカヒドロゲルを含む水性相が分離するので、両者を公知の手段により分離する。
シリカヒドロゲルの水スラリーは、所望により硫酸などの酸を添加してpHを1〜5程度に調整してゲル化を完結させ、次に60〜150℃、好ましくは80〜120℃の温度で水蒸気蒸留して当該水スラリー中に残留している僅かの飽和炭化水素を留出して除去し、さらにはpH7〜9程度の適当なpHで加温してシリカヒドロゲルの熟成を行う。
必要に応じて、上記の熟成処理を行った後、水スラリーをろ過してシリカヒドロゲルを得、これを100〜150℃程度の温度で、1〜30h程度乾燥することにより、シリカ多孔質球状体粒子が得られる。
なお、シリカを含む水性液状体としてケイ酸アルカリ水溶液を用い、ゲル化剤として酸を用いた場合、アルカリ金属塩(例えばゲル化剤が炭酸であれば炭酸ナトリウムなど)を副生するので、この塩がシリカ多孔質球状体へ混入することを防止するため、ろ過した際のシリカヒドロゲル(ウエットケーキ)は十分水洗することが好ましい。場合によっては、水洗後のウエットケーキに再度水を添加してスラリーとして、再度ろ過、水洗を繰り返してもよい。なおこの際、所望により当該スラリーのpHを1〜5程度に調整して再度熟成する操作を行ってもよい。
[例1]
(1)(溶液の調製)
SiO濃度24.2質量%、NaO濃度8.10質量%(SiO/NaOモル比=3.09、密度1320kg/m)のケイ酸ナトリウム水溶液を調整した。有機溶剤はイソノナン(C20、密度730kg/m)を使用し、あらかじめ界面活性剤としてソルビタンモノオレイン酸エステルを5000ppm溶解したものを調製した。
(2)(乳化装置作製)
乳化装置は図1に断面図を示す。まず、厚さ2mm、1辺50mmの正方形のアクリル樹脂製板1に、内径3.2mmの孔を2個形成し、外径3.2mmのゴムチューブ配管(ノートン社製、商品名:タイゴンチューブR−3603)をそれぞれ接続してノズル6、7とし、ノズル6より液の供給が、また、ノズル7より液の排出ができるようにした。もう1枚の厚さ2mm、1辺50mmの正方形のアクリル樹脂製板5の中央に、内径3mmの孔を形成し、ジョイント部品を介して内径1mmのポリテトラフルオロエチレンチューブ配管を接続してノズル8とし、ノズル8より液を供給できるようにした。さらにもう1枚の厚さ2mm、1辺50mmの正方形のアクリル樹脂製板に対し、外縁部より10mmを残し内側30mm角をくり抜いたアクリル樹脂製板部品4を作製した。次いで、厚さ400μm、1辺50mmの正方形のフッ素樹脂シートに幅3mm、長さ35mmのスリットを形成してフッ素樹脂シート2を作製した。さらに、厚さ50μm、1辺50mmの正方形のステンレス鋼板3の中央部に、エキシマレーザーにて内径=4r=30μmの円形の貫通孔を、幅方向に140μmピッチで10個、長さ方向に140μmピッチで100個、合計1000個作製した。
アクリル樹脂製板1、フッ素樹脂シート2、ステンレス鋼板3、アクリル樹脂製板部品4及びアクリル樹脂製板5を順に積層し、クランプにて4辺を均等な力で締め付けて固定した。このとき、ステンレス鋼板3に作製した貫通孔の幅方向及び長さ方向を、それぞれフッ素樹脂シート2に形成したスリットの幅方向及び長さ方向に合わせ、貫通孔がスリットの中心部に位置するように、また、アクリル樹脂製板1のノズル6の孔とノズル7の孔とがフッ素樹脂シート2のスリット上に位置するように設置した。さらに、作製した装置はあらかじめ水を供給することで液が漏洩しないことを確認した。
(3)(乳化)
(2)で作製した乳化装置を水平に置いて使用し、ノズル6より(1)で調製した界面活性剤を溶解したイソノナンを、ノズル8より(1)で調製したケイ酸ナトリウム水溶液を供給することで、ケイ酸ナトリウム水溶液が界面活性剤を溶解したイソノナン中に分散するW/O型エマルジョンを連続的に製造した。このとき界面活性剤を溶解したイソノナンの供給量は1350mL/hであった。製造は常温で行った。
このとき、イソノナンの流れのレイノルズ数は、流路の動水半径:176.5μm、線速:0.31m/s、粘度:7.5×10−4Pa・sから計算したところ約213であり、層流状態であった。また、ケイ酸ナトリウム水溶液の供給量は5.0mL/hであり、貫通孔における流れ方向の線速は2.0×10−3m/sであった。
また、貫通孔から供給されるケイ酸ナトリウム水溶液の貫通孔部分での流れ方向の線速に対する、イソノナンの流れ方向の線速の比は159であった。高速度カメラにて乳化の様子を確認したところ、ケイ酸ナトリウム水溶液は、貫通孔出口で液滴化されており、またエマルジョン粒子は約60μmの実質的に均一な粒子径を有していた。
(4)(ゲル化)
(3)で作製した界面活性剤を溶解したイソノナンを容積約5Lの容器(直径100mm、高さ650mm)に入れ、この溶液中に炭酸ガスを100mL/minの供給速度で吹き込んだ。(3)で作製したW/O型エマルジョンを連続的に該容器に供給することで予備ゲル化を行った。生成したシリカヒドロゲルをイソノナンから比重差により2相分離し、シリカヒドロゲルの水スラリーを得た。次いで、得られたシリカヒドロゲルの水スラリーに0.1規定の硫酸水溶液を加え、25℃でpH9に調整した後、80℃において1時間熟成した。その後、室温まで放冷し、さらに20質量%の硫酸水溶液を添加してpH2に調整し、3時間静置した。次いで、ろ過、水洗を行い、120℃で20時間乾燥することでシリカ多孔質球状体を得た。
(5)(形状確認)
得られたシリカ多孔質球状体は走査型電子顕微鏡写真よりほぼ真球状であることが確認された。また、粒子の合計数が1000個以上となるように、複数枚の写真を使用し、写真内に確認できる全数を測定した結果を使用して粒子系分布を実測したところ、個数平均粒子径は49μmであり、標準偏差は5.3μmであった。このときの、粒子径分布の標準偏差を個数平均粒子径で割った値は0.108であり、実質的に均一な粒子径のシリカ多孔質球状体であった。なお、個数平均粒子径/4r=1.63であった。
[例2]
図1において、厚さ50μm、1辺50mmの正方形のステンレス鋼板3の中央部に、エキシマレーザーにて長軸径60μm、短軸径30μmの楕円形の貫通孔(4r=38.9μm)を、縦方向に140μmピッチで10個、横方向に200μmピッチで100個、合計1000個を作製した以外は例1と同様にして、W/O型エマルジョンを連続的に作製した。このとき、ケイ酸ナトリウム水溶液の供給量は10mL/hであり、該水溶液の貫通孔における流れ方向の線速は2.0×10−3m/sであった。
また、貫通孔から供給されるケイ酸ナトリウム水溶液の貫通孔部分での流れ方向の線速に対する、イソノナンの流れ方向の線速の比は159であった。高速度カメラにて乳化の様子を確認したところ、ケイ酸ナトリウム水溶液は、貫通孔出口で液滴化されており、またエマルジョン粒子は約75μmの実質的に均一な粒子径を有していた。
得られたW/O型エマルジョンを例1と同様にゲル化し、シリカ多孔質球状体を得た。該シリカ多孔質球状体は走査型電子顕微鏡写真よりほぼ真球状であることが確認され、個数平均粒子径は60μmであり、標準偏差は7.2μmであった。このときの、粒子径分布の標準偏差を個数平均粒子径で割った値は0.114であり、実質的に均一な粒子径のシリカ多孔質球状体であった。なお、個数平均粒子径/4r=1.54であった。
[例3(比較例)]
図1において、厚さ100μm、1辺50mmの正方形のステンレス鋼板3の中央部に、エキシマレーザーにて内径=4r=15μmの円形の貫通孔を、縦方向に100μmピッチで25個、横方向に100μmピッチで200個、合計5000個を作製した以外は例1と同様にして、W/O型エマルジョンを連続的に作製した。このとき、ケイ酸ナトリウム水溶液の供給量は110mL/hであり、貫通孔における流れ方向の線速は3.5×10−2m/sであった。
また、貫通孔から供給されるケイ酸ナトリウム水溶液の貫通孔部分での流れ方向の線速に対する、イソノナンの流れ方向の線速の比は9.0であった。高速度カメラにて乳化の様子を確認したところ、ケイ酸ナトリウム水溶液は、貫通孔出口で液滴化されており、約90μmのほぼ均一な粒子径を有していたが、約5μmの微粒エマルジョンが5%程度副生していた。
得られたW/O型エマルジョンを例1と同様にゲル化し、シリカ多孔質球状体を得た。該シリカ多孔質球状体は走査型電子顕微鏡写真よりほぼ真球状であることが確認され、個数平均粒子径は76μmであり、標準偏差は22.6μmであった。このときの、粒子径分布の標準偏差を個数平均粒子径で割った値は0.297であり、広い粒子径分布を有していた。なお、個数平均粒子径/4r=5.07であった。
実質的に粒子径が均一な無機質球状体が得られるので、液体クロマトグラフィー用重点材、化粧品用フィラー、触媒担体などに使用できる。
例1で用いた乳化装置の断面図を示す図
符号の説明
1、5:アクリル樹脂製板
2:フッ素樹脂シート
3:ステンレス鋼板
4:アクリル樹脂製板部品
6、7:アクリル樹脂製板1に形成されたノズル
8:アクリル樹脂製板5に形成されたノズル

Claims (3)

  1. 無機化合物を含む水性液状体を、隔壁で区画された流路中を流速0.001〜2m/sかつ層流状態で流れる有機液体中に、隔壁の厚さ方向に貫通した微小孔を通して押し出してW/O型エマルジョンを形成した後、該W/O型エマルジョン中の無機化合物を含む水性液状体を固形化して無機質球状体を製造する方法において、
    前記微小孔の断面の動水半径rの4倍値が0.1〜100μmであり、前記断面の動水半径rの4倍値に対する前記無機質球状体の個数平均粒子径の比が0.1〜5.0であり、かつ、前記水性液状体の流れ方向の線速に対する前記有機液体の流れ方向の線速の比が10〜300であることを特徴とする無機質球状体の製造方法。
  2. 前記微小孔を1つの隔壁上に100個以上形成する請求項1に記載の無機質球状体の製造方法。
  3. 前記個数平均粒子径が10〜100μmであり、粒子径分布の標準偏差を前記個数平均粒子径で割った値が0.2以下である請求項1又は2に記載の無機質球状体の製造方法。
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