JP2006027978A - 無機質球状体の製造方法及び製造装置 - Google Patents

無機質球状体の製造方法及び製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】実質的に均一な粒子径を有する無機質球状体を長期間にわたって生産性よく得るための製造方法及びそのための装置の提供。
【解決手段】無機化合物を含む水性液状体を、隔壁で区画された流路中を層流状態で流れる有機液体中に、1つの隔壁を略垂直方向に貫通するように形成した複数個の微小孔を通して押し出して、有機液体が分散媒で無機化合物を含む水性液状体が分散相であるW/O型エマルジョンを形成した後、該W/O型エマルジョン中の無機化合物を含む水性液状体を固形化して無機質球状体を製造する方法において、前記複数個の微小孔が形成された隔壁として、フッ素樹脂を主体とするシート状物を使用する。
【選択図】図1

Description

本発明は、無機質球状体の製造方法に関する。特に、液体クロマトグラフフィー用充填材、化粧品用フィラー、触媒担体などに有用な実質的に均一な粒子径を持つ無機質球状体を連続的に得るための製造方法及び製造装置に関する。
従来、粒子径の均一な無機質球状体を得る方法として種々の方法が提案されている。特許文献1には、厚さ方向に貫通した孔を有する高分子膜を通して無機化合物水溶液を有機液体中に注入することでW/O型エマルジョンを作製し、該エマルジョン中の無機化合物水溶液の液滴から無機質球状体を得る方法が開示されている。この方法では、エマルジョンの粒子径分布を狭いものにできるが、粒子径が高分子膜の物性に左右されること、及び有機液体の流れが制御されていないことによるエマルジョン粒子径分布が生じるため、無機質球状体の粒子径の均一性という点では不十分であった。また、長期使用における高分子膜の耐久性にも問題があった。
近年、特許文献2に、歪みをもった形状の微小孔を通して、加圧された無機化合物水溶液を有機液体中に押し出して均質なエマルジョンを製造する方法とそのための装置が提案されている。最近ではさらに、粒子径の均一な無機質球状体を長期間にわたって効率よく、大量に、かつ安定に製造可能な方法及びそのための装置の開発が求められている。
特開平5−23565号公報(特許請求の範囲、図1) 特開2002−119841号公報(特許請求の範囲、図1)
本発明の目的は、実質的に均一な粒子径を有する無機質球状体を、長期間にわたって安定した連続プロセスにより、生産性よく得ることが可能な方法及び装置を提供することにある。
本発明は、無機化合物を含む水性液状体を、隔壁で区画された流路中を流速0.001〜2m/sかつ層流状態で流れる有機液体中に、1つの隔壁を略垂直方向に貫通するように形成した複数個の微小孔を通して押し出して、有機液体が分散媒で無機化合物を含む水性液状体が分散相であるW/O型エマルジョンを形成した後、該W/O型エマルジョン中の無機化合物を含む水性液状体を固形化して無機質球状体を製造する方法において、前記複数個の微小孔が形成された隔壁が、フッ素樹脂を主体とするシート状物であることを特徴とする無機質球状体の製造方法を提供する。
また、本発明は、無機化合物を含む水性液状体が、隔壁で区画された流路中を流速0.001〜2m/sかつ層流状態で流れる有機液体中に、1つの隔壁を略垂直方向に貫通するように形成された複数個の微小孔を通して押し出されてW/O型エマルジョンが形成され、該W/O型エマルジョン中の無機化合物を含む水性液状体が固形化されて無機質球状体が形成されるように構成される無機質球状体の製造装置であって、前記複数個の微小孔を有する隔壁が、フッ素樹脂を主体とするシート状物であることを特徴とする無機質球状体の製造装置を提供する。
本発明では、酸性あるいは塩基性の水性液状体及び有機液体に対する高い耐久性を有するフッ素樹脂を主体とする、シート状の隔壁を用いているため、長期間の運転に用いても表面の変質が生じにくく、安定した生産に好適である。
本発明により、実質的に粒子径が均一な無機質球状体を長期間にわたって安定した連続プロセスにより、生産性よく製造することが可能となる。特に、走査型電子顕微鏡写真から測定した個数平均粒子径が0.1〜100μmであり、粒子径分布の標準偏差を個数平均粒子径で割った値が0.20以下の無機質球状体を、長期間にわたって製造できる。
本発明では、無機化合物を含む水性液状体を、層流で流れる有機液体中に、微小孔を通して押し出すことにより、有機液体が分散媒(連続相)となりこの中に前記無機化合物を含有する水溶液の液滴が分散相となったエマルジョン、すなわちW/O型エマルジョンを形成した後、該W/O型エマルジョン中の無機化合物を含む水性液状体を固形化して無機質球状体を製造する。
まず、無機化合物を含む水性液状体としては、固形化によって沈殿物を形成することができるものであればいずれも適用可能であり、無機化合物の水溶液だけでなく、シリカゾル、アルミナゾルなどのコロイド溶液も採用できる。無機化合物の水溶液としては、具体的にはアルカリ金属のケイ酸塩、アルミン酸塩、アルカリ土類金属のハロゲン化物、銅の硫酸塩、塩酸塩及び硝酸塩、鉄、コバルト又はニッケルの硫酸塩、塩酸塩及び硝酸塩の水溶液が挙げられる。
本発明では、無機化合物としてケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム及びシリカからなる群より選ばれる1種以上を含む水性液状体を用いると好ましい。具体的には、水溶性シリカが溶解した水溶液、有機ケイ素化合物を加水分解して得られたシリカゾル及び市販のシリカゾルなどの固体シリカが分散した水性分散液(コロイド状シリカ)や、ケイ酸カリウム又はケイ酸ナトリウムの水溶液が好ましく使用される。なかでも入手の容易さ、経済的理由によりケイ酸ナトリウムが最も好ましい。ナトリウムとケイ酸の割合は、SiO/NaO(モル比)で2.0〜3.8が好ましく、さらには2.0〜3.5が好ましい。また、水性液状体中のケイ酸アルカリ又はシリカの濃度は、SiO濃度として5〜30質量%が好ましく、さらには5〜25質量%が好ましい。
次に、有機液体としては、炭素数9〜12の飽和炭化水素が好ましく、操作性、火気への安全性、固形化した粒子と有機液体との分離性、無機質球状体粒子の形状特性、水への有機液体の溶解性などを総合的に考慮して選定される。炭素数が9〜12の飽和炭化水素は、単独で使用してもよいし、このうちの二種以上を混合して使用してもよい。また、炭素数が9〜12の飽和炭化水素は、その化学的安定性が良好であれば、直鎖状炭化水素であってもよいし、側鎖を有する炭化水素であってもよい。
炭素数9〜12の飽和炭化水素の引火点としては、20〜80℃のものが好ましい。引火点が20℃未満の飽和炭化水素を有機液体とした場合、引火点が低すぎるため、防火上、作業環境上の対策が必要である。また、引火点が80℃を超えるものは、揮発性が低いことから、得られる無機質球状体に付着する炭化水素の量が多くなるおそれがある。
本発明では、エマルジョンを固形化した後の無機質球状体と有機液体とは、通常固液分離される。分離後の無機質球状体に付着又は吸着している有機液体は、乾燥操作などにより気化、分離するのが好ましい。気化により分離しやすいという面では有機液体は沸点が200℃以下であることが好ましく、これらの条件を満たすものとしては、C20、C1022及びC1124からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
本発明では、W/O型エマルジョンの形成にあたり、界面活性剤を使用することが好ましい。このときの界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤も使用可能であるが、親水性、親油性の調整が容易である点でノニオン系界面活性剤が好ましい。例えば、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどが望ましい。
界面活性剤の使用量は、界面活性剤の種類、界面活性剤の親水性あるいは疎水性の程度を表す指標であるHLB(Hydrophile−lipophile balance)、目的とする無機質球状体の粒子径などの条件により異なるが、上記有機液体中に500〜50000ppm、好ましくは1000〜20000ppm含有させるのが好ましい。500ppm未満であると、乳化される水溶液の液滴が大きくなり、エマルジョンが不安定になるおそれがある。また、50000ppmを超えると、製品である無機質球状体粒子に付着する界面活性剤の量が多くなり好ましくない。
本発明では、有機液体の流速を0.001〜2m/sとすることにより、粒子径分布の狭いエマルジョン液滴が形成され、得られる無機質球状体の粒子径分布も狭くできる。有機液体の流速が0.01〜1m/sである場合はさらに好ましい。
流路中を流れる有機液体のレイノルズ数は2100以下とする。ここで、流路の断面が円形である場合のレイノルズ数は式1で計算され、流路の内径Dは流路の断面における最小径を使用する。ここで、D(流路の内径:m)、u(平均流速:m/s)、ρ(流体密度:kg/m)、μ(流体粘度:Pa・s)である。
レイノルズ数(−)=D・u・ρ/μ ・・・式1。
また、流路の断面が円形でない場合のレイノルズ数は式2で計算される。ここで、rは流路動水半径(m)=流路の断面積(m)/流路断面の流体に接する周長(m)であり、u、ρ、μは式1と同様である。
レイノルズ数(−)=4×r・u・ρ/μ ・・・式2。
レイノルズ数が2100以下の場合、有機液体の流れは層流状態であるため、有機液体の流れは安定したものとなる。その結果、微小孔を通して供給される無機化合物を含む水性液状体が、常に一定の粒子径を有するW/O型エマルジョンとなるため、実質的に粒子径が均一な無機質球状体が製造されやすい。逆に、レイノルズ数が2100を超える場合、有機液体の流れが乱流となるため、従来と同様に粒子径が不揃いなW/O型エマルジョンとなり、その結果、無機質球状体の粒子径も不揃いになる。また、より有機液体の流れを安定させるために、有機液体の流れのレイノルズ数が500以下であることが好ましい。なお、この有機液体の流路の形状については、特に限定されない。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図中、1、5はアクリル樹脂製板、2はフッ素樹脂シート、3はフッ素樹脂隔壁、4はアクリル樹脂製板部品である。図1において、無機化合物を含む水性液状体はノズル8から導入され、フッ素樹脂隔壁3を略垂直方向に貫通するように形成された微小孔9を通して、ノズル6から導入されてノズル7から排出されるように層流状態で流れる有機液体中に圧入される。なお、微小孔9より圧入される水性液状体は、界面張力に起因して、微小孔9の出口においてその孔径よりも大きく成長する。その後、液滴は、有機液体の流れにより切り離され、有機液体中でW/O型エマルジョンの液滴となる。
本発明において、隔壁を構成する材料としては、フッ素樹脂を主体とするシート状物を用いる。フッ素樹脂の種類は特に限定されず、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)などが好適に用いられる。
該シート状物の厚さは1〜500μmであると好ましい。10μm未満の場合、湾曲しやすく、シートの水平性が損なわれるおそれがあるほか、各微小孔から圧入された水性液状体の液滴同士の合一などが発生して均一な液滴の形成に支障をきたすおそれがあるため好ましくない。また、500μmを超える場合、加工の工程が複雑になりすぎたり、加工に時間がかかりすぎるおそれがあり、コストの上昇や加工精度の悪化につながりやすいため好ましくない。より好ましくは、シートの厚さを3〜200μmとする。
微小孔の形成方法については特に限定されるものではないが、加工精度が優れている点から電子ビーム加工、X線ドライエッチング(TIEGA)加工を用いると好ましい。
微小孔は、断面の形状が円形のものが好ましいが、円形以外の形状のものでも構わない。内側に凸でない、長方形、楕円及び三角形からなる群より選ばれる1つ以上の形状とすると、加工が比較的容易であり、また、粒子径の均一な無機質球状体を安定して製造できることから好ましい。ただし、いずれの孔においても有機液体の流路幅より小さい孔であることが必須である。
また、微小孔の断面の動水半径rの4倍値は0.1〜100μmとすることが好ましい。さらに好ましくは1〜80μmとする。ここで、rは式2と同様に、断面の動水半径r(m)=微小孔の断面積(m)/微小孔断面の流体に接する周長(m)である。したがって、微小孔の断面が円形の形状の場合、動水半径r=円の内径D/4となるから、動水半径rの4倍値は円の内径Dに相当する。微小孔の断面の動水半径rの4倍値が0.1μm未満では、無機化合物を含む水性液状体の供給量が小さく、生産性の点で好ましくない。また、100μmより大きい場合は、目的とする粒子径を逸脱するエマルジョン粒子が生成しやすくなるので好ましくない。
本発明において、無機化合物を含む水性液状体を供給する微小孔9は、生産性の観点から、有機液体流路上に配置されたフッ素樹脂隔壁3を略垂直方向に貫通するように、複数個形成する。好ましくは100個以上、特に1000個以上設けると充分な生産性が得られやすい。
また、その際の微小孔9の配列については特に限定されるものではないが、生産性及び加工性の観点から、フッ素樹脂隔壁3の幅方向(有機液体流路の幅方向)及び長さ方向(有機液体流路の流れ方向)のそれぞれに一定のピッチで複数個の微小孔を設置してなる並列配列、又は並列配列した微小孔のうち、幅方向に隣接した2つの微小孔と、長さ方向に隣接する2つの微小孔とを選び、これらの孔の中心を結んで形成される長方形の対角線の中心にもう1個の微小孔を設置してなる千鳥配列とすると好ましい。なかでも千鳥配列とすると、微小孔を密に配列でき、開孔率を高くできるため、生産性向上の観点から特に好ましい。
このとき、フッ素樹脂隔壁3の開孔率が1〜35%であることが好ましい。開孔率が1%以下の場合は、生産性が低く、設備費用が割高となるので好ましくない。一方、開孔率が35%以上では、各微小孔から水性液状体を圧入して形成されたエマルジョンの液滴が合一し、その結果粒子径が不均一になる可能性が高くなるため好ましくない。より好ましい開孔率は2〜25%である。
ここで、一定面積の複数個の微小孔を一定の配列により設置する場合の開孔率は式3により算出する。このとき、S(微小孔の断面積:m)であり、P(幅方向のピッチ:m)、P(長さ方向のピッチ:m)である。
開孔率(%)=100×S/(P×P)・・・式3。
式3において、円形の微小孔を並列配列で設置した場合の開孔率は、式4で算出できる。ここで、D(微小孔径:m)であり、P、Pは式3と同様である。
開孔率(%)=78.5×D/(P×P)・・・式4。
また、式3において、円形の微小孔を千鳥配列で設置した場合、上記で定めた2本の対角線がなす角度が90゜の場合(角千鳥配列)の開孔率は式5で、60°の場合(60°千鳥配列)の開孔率は式6でそれぞれ算出できる。ここで、Dは式4と同様であり、Pはピッチ(m)である。なお、式6におけるPは幅方向、長さ方向のピッチのうち短い方(m)を指す。
開孔率(%)=157×D/P・・・式5。
開孔率(%)=91×D/P ・・・式6。
また、微小孔9は、微小孔の断面形状に外接する円の直径の1/2以上の間隔を設けてフッ素樹脂隔壁3上に設置するのが好ましい。さらに好ましくは微小孔の断面形状に外接する円の直径以上の間隔を設ける。外接する円の直径の1/2より短い間隔しか設けずに微小孔を設置すると、エマルジョンの液滴が合一しやすくなり、その結果粒子径が不均一になる可能性があるため好ましくない。ただし、合一しない範囲でなるべく密接して設置したほうが、生産性を向上できるので好ましい。
さらに、目標とする粒子径の無機質球状体を効率的に得る観点から、本発明では、微小孔の断面の動水半径rの4倍値に対する無機質球状体の平均粒子径の比を、0.1〜5.0とすると好ましい。より好ましくは0.3〜3.0である。この比が0.1未満では生産性が低下し、得られる無機質球状体の平均粒子径が目標値より大きくなる可能性が高くなるので好ましくない。また、逆に5.0を超えると粒子径を制御しにくくなり、目的とする粒子径を大きく逸脱する微粒状の粒子の副生を引き起こす可能性が高くなるので好ましくない。
なお、本発明の無機質球状体の製造装置は、図1のように、フッ素樹脂隔壁3が水平面に対して平行になるように設置してもよい。しかし、有機液体の密度が水性液状体の密度より小さい場合には、有機液体の流路が水平面に対して30°以上の角度を有するように設置し、かつ、有機液体を下方から上方に流すと、粒子径が均一な無機質球状体が得られやすくなり好ましい。特に、フッ素樹脂隔壁3が水平面に対して略垂直になるように設置すると好ましい。一方、有機液体の密度が水性液状体の密度より大きい場合には、これらの装置を用い、有機液体を上方から下方に流せば、上記のような粒子径の均一化効果が得られやすくなり好ましい。
フッ素樹脂隔壁3が水平面に対して30°以上の角度を有するように設置した場合、高さ方向の所定水平面においては、水性液状体側及び有機液体側それぞれにおいて液深に起因する圧力が印加される。特定水平面において、水性液状体、有機液体の液深がほぼ同等と仮定すると、水性液状体と有機液体との密度差に起因し、(水性液状体密度−有機液体密度)×液深に相当する圧力が加わる。そのため、有機液体の密度が水性液状体の密度より小さい場合は有機液体を下方から上方へ、反対の場合は上方から下方へ流せば、有機液体の流路を水平面に対して平行に形成した場合と比較して、全流路における水性液状体側と有機液体側の圧力差の変化を相対的に狭くできる。その結果、フッ素樹脂隔壁3上の各微小孔からの水性液状体の供給量を安定化してエマルジョン液滴径を均一化できるため、得られる無機質球状体の粒子径の均一化に効果を発揮する。
本発明において、生成するW/O型エマルジョンの液滴径は、上記で定めた微小孔の設置条件のみならず、水性液状体の流れ方向の線速に対する有機液体の流れ方向の線速の比によっても影響を受ける。ここで、図1において、水性液状体の流れ方向の線速は微小孔9部分で測定すればよい。この線速の比は1〜500とすると好ましく、さらに好ましくは10〜300である。線速の比が500を超える場合は、有機液体を過剰に消費しすぎるおそれがあるため経済的観点から好ましくない。また、1未満では、有機液体の流れにより液滴が切り離される効果が得られにくくなり、エマルジョン粒子が不均一になるおそれがあるため好ましくない。
W/O型エマルジョン中の無機化合物を含む水性液状体を固形化して無機質球状体とする方法としては、沈殿剤を加えて無機化合物を沈殿させる方法を用いることができる。沈殿剤としては、アルカリ金属のハロゲン化物あるいは炭酸塩、無機酸、有機酸、無機酸のアンモニウム塩、有機酸のアンモニウム塩及びアルカリ土類金属のハロゲン化物からなる群より選ばれた少なくとも1種の水溶液が挙げられる。具体的には炭酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化カリウム、炭酸水素カリウム等の水溶液が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
無機化合物を含む水性液状体中の無機化合物がケイ酸アルカリ又はシリカの場合は、W/O型エマルジョンをゲル化することにより、球状である水溶液の分散液滴はこの形状を保持したままゲル化され、球状のシリカヒドロゲルが得られる。ゲル化には、エマルジョン中にゲル化剤を導入するのが好ましい。ゲル化剤としては、無機酸や有機酸などの酸が用いられ、特に無機酸である硫酸、塩酸、硝酸、炭酸などが好ましい。操作の容易性などの点で、最も簡便で好ましいのは、炭酸ガスを用いる方法である。炭酸ガスは、100%濃度の純炭酸ガスを導入してもよいし、空気や不活性ガスで希釈した炭酸ガスを導入してもよい。ゲル化に要する時間は、通常4〜30minが好ましく、ゲル化時の温度は5〜30℃が好ましい。
ゲル化終了後は、反応系を静置して、有機液体の相とシリカヒドロゲルを含む水性相に2相分離させてシリカゲルを分離するのが好ましい。有機液体として飽和炭化水素を用いた場合は、上層に有機液体の相が、下部にシリカヒドロゲルを含む水性液状体相が分離するので、両者を公知の手段により分離する。その際には分離装置を用いて分離すると好ましい。
シリカヒドロゲルの水スラリーは、所望により硫酸などの酸を添加してpHを1〜5程度に調整してゲル化を完結させ、次に60〜150℃、好ましくは80〜120℃の温度で水蒸気蒸留して当該水スラリー中に残留している僅かの飽和炭化水素を留出して除去し、さらにはpH7〜9程度の適当なpHで加温してシリカヒドロゲルの熟成を行う。
必要に応じて、上記の熟成処理を行った後、水スラリーをろ過してシリカヒドロゲルを得、これを100〜150℃程度の温度で、1〜30h程度乾燥することにより、シリカ多孔質球状体粒子が得られる。
なお、水性液状体としてケイ酸アルカリ水溶液を用い、ゲル化剤として酸を用いた場合、アルカリ金属塩(例えばゲル化剤が炭酸であれば炭酸ナトリウムなど)を副生するので、この塩がシリカ多孔質球状体へ混入することを防止するため、ろ過した際のシリカヒドロゲル(ウエットケーキ)は十分水洗することが好ましい。場合によっては、水洗後のウエットケーキに再度水を添加してスラリーとして、再度ろ過、水洗を繰り返してもよい。なおこの際、所望により当該スラリーのpHを1〜5程度に調整して再度熟成する操作を行ってもよい。
[例1]
(1)(溶液の調製)
SiO濃度24.4質量%、NaO濃度8.14質量%(SiO/NaOモル比=3.09、密度1320kg/m)のケイ酸ナトリウム水溶液を調製した。有機液体はイソノナン(C20、密度730kg/m)を使用し、あらかじめ界面活性剤としてソルビタンモノオレイン酸エステルを20000ppm溶解したものを準備した。
(2)(乳化装置作製)
乳化装置は図1に断面図を示す。まず、厚さ20mm、50×120mmの長方形のアクリル樹脂製板1に、内径3.2mmの貫通孔を2個形成し、外径3.2mmのゴムチューブ配管(ノートン社製、商品名:タイゴンチューブR−3603)をそれぞれ接続してノズル5、6とし、ノズル5より液の供給が、また、ノズル6より液の排出ができるようにした。もう1枚の厚さ20mm、50×120mmの長方形のアクリル樹脂製板4の中央に、幅0.5mm、深さ0.5mmの直線状の溝を形成し、両端に内径3mmの貫通孔を形成し、ジョイント部品を介して内径1mmのポリテトラフルオロエチレンチューブ配管を接続してノズル7、8とし、ノズル7より液の供給が、また、ノズル8より液の排出ができるようにした。ついで、厚さ100μm、50×120mmの長方形のフッ素樹脂シートに幅0.5mm、長さ70mmのスリットを形成してフッ素樹脂シート2を作製した。さらに、厚さ10μm、50×120mmの長方形のポリテトラフルオロエチレン製シートの中央部に、X線ドライエッチング加工にて内径1μmの、断面の形状が円形の貫通穴(微小孔9に相当)を、幅方向に10μmピッチで31個、長さ方向に10μmピッチで2501個の並列配列として合計77531個を作製してフッ素樹脂隔壁3とする。フッ素樹脂隔壁3の開孔率を式4に基づいて計算すると0.8%となる。
アクリル樹脂製板1、フッ素樹脂シート2、フッ素樹脂隔壁3及びアクリル樹脂製板4を順に積層し、クランプにて上下2辺を均等な力で締め付けて固定する。このとき、フッ素樹脂隔壁3に穿孔する貫通孔の幅方向及び長さ方向を、それぞれフッ素樹脂シート2に作製したスリットの幅方向及び長さ方向に合わせ、貫通孔がスリットの中心部に位置するように、また、アクリル樹脂製板1のノズル5の孔とノズル6の孔とがフッ素樹脂シート2のスリット上に位置するように設置する。さらに、作製する装置はあらかじめ水を供給することで液が漏洩しないことを確認する。
(3)(乳化)
(2)で作製した乳化装置を垂直に置いて使用し、ノズル5より(1)で調製した界面活性剤を溶解したイソノナンを、ノズル7より(1)で調製したケイ酸ナトリウム水溶液を供給することで、ケイ酸ナトリウム水溶液が界面活性剤を溶解したイソノナン中に分散するW/O型エマルジョンを連続的に製造する。このとき界面活性剤を溶解したイソノナンの供給量は120mL/hとする。実験は常温で行い、運転時間は5時間とする。
このとき、イソノナンの流れのレイノルズ数は、流路の動水半径:41.7μm、線速:0.67m/s、粘度:7.5×10−4Pa・sとして計算すると約108であり、層流状態である。また、ケイ酸ナトリウム水溶液の供給量は3mL/hとし、微小孔9における流れ方向の線速は14×10−3m/sである。
また、微小孔9から供給されるケイ酸ナトリウム水溶液の微小孔9部分での流れ方向の線速に対する、イソノナンの流れ方向の線速の比は49となる。
(4)(ゲル化)
(3)で作製したW/O型エマルジョンを採取した後、撹拌しながら100%濃度の炭酸ガスを200mL/minの供給速度で20分間吹き込んでゲル化を行う。生成するシリカヒドロゲルに対し、水100mLを加えて10分間静置させた後、比重差により2相分離してシリカヒドロゲルの水スラリー(水相)を得る。次いで、得られたシリカヒドロゲルの水スラリーに0.1規定の硫酸水溶液を加え、25℃でpH2に調整して30分間静置する。次いでろ過、水洗を行い、120℃で20時間乾燥することでシリカ多孔質球状体を得る。得られるシリカ多孔質球状体の収量は4.5gとなる。
(5)(形状確認)
得られるシリカ多孔質球状体は走査型電子顕微鏡写真よりほぼ真球状であることが確認される。また、粒子の合計数が1000個以上となるように、複数枚の写真を使用し、写真内に確認できる全数を測定した結果を使用して粒子径分布を実測すると、個数平均粒子径は9μm、標準偏差は1.1μmとなる。このときの、粒子径分布の標準偏差を個数平均粒子径で割った値は0.12となる。
本発明により、実質的に均一な粒子径を有する無機質球状体を、安定した連続プロセスにより高生産性で製造することが可能となる。
例1で用いる乳化装置の断面図を示す図
符号の説明
1、4:アクリル樹脂製板
2:フッ素樹脂シート
3:フッ素樹脂隔壁3
5、6:アクリル樹脂製板1に形成されたノズル
7、8:アクリル樹脂製板4に形成されたノズル
9:フッ素樹脂隔壁3を略垂直方向に貫通する微小孔

Claims (6)

  1. 無機化合物を含む水性液状体を、隔壁で区画された流路中を流速0.001〜2m/sかつ層流状態で流れる有機液体中に、1つの隔壁を略垂直方向に貫通するように形成した複数個の微小孔を通して押し出してW/O型エマルジョンを形成した後、該W/O型エマルジョン中の無機化合物を含む水性液状体を固形化して無機質球状体を製造する方法において、
    前記複数個の微小孔が形成された隔壁が、フッ素樹脂を主体とするシート状物であることを特徴とする無機質球状体の製造方法。
  2. 前記シート状物の厚さが1〜500μmである請求項1に記載の無機質球状体の製造方法。
  3. 前記シート状物の開孔率が1〜35%である請求項1又は2に記載の無機質球状体の製造方法。
  4. 前記フッ素樹脂がポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体からなる群より選ばれる1種である請求項1〜3のいずれかに記載の無機質球状体の製造方法。
  5. 前記微小孔の断面の動水半径rの4倍値が0.1〜100μmである請求項1〜4のいずれかに記載の無機質球状体の製造方法。
  6. 無機化合物を含む水性液状体が、隔壁で区画された流路中を流速0.001〜2m/sかつ層流状態で流れる有機液体中に、1つの隔壁を略垂直方向に貫通するように形成された複数個の微小孔を通して押し出されてW/O型エマルジョンが形成され、該W/O型エマルジョン中の無機化合物を含む水性液状体が固形化されて無機質球状体が形成されるように構成される無機質球状体の製造装置であって、
    前記複数個の微小孔を有する隔壁が、フッ素樹脂を主体とするシート状物であることを特徴とする無機質球状体の製造装置。
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