JP2005040710A - 無機質球状体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】最大粒子径を厳密に制御した無機質球状体を生産性よく、安定に得ることが可能な製造方法の提供。
【解決手段】流路中を流速0.001〜2m/sかつ層流状態で流れる有機液体中に、多孔性膜を通して無機化合物を含む水性液体を押し出してW/O型エマルジョンを形成する工程と、該W/O型エマルジョン中の無機化合物を含む水性液体を固形化する工程と、得られた固形化物を湿式法で分級する工程と、をこの順に含むことを特徴とする無機質球状体の製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、無機質球状体の製造方法に関し、特に、実質的に均一な粒子径を有する無機質球状体の製造方法に関する。
従来、粒子径の均一な無機質球状体を得る方法として種々の方法が提案されている。特許文献1には、ミクロ多孔膜体を通して水性液体を有機溶媒中に圧入してW/O型エマルジョンを作製し、該W/O型エマルジョン中の無機化合物水溶液の液滴から無機質球状体を得る方法が開示されている。この方法では、エマルジョンの粒子径を分布を狭いものにできるが、有機溶媒の流れが制御されていないことによるエマルジョン粒子径分布が生じるため、無機質球状体の粒子径の均一性という点では不充分であった。また、ガラス質のミクロ多孔膜体は耐アルカリ性が不足しているため、水性液体としてアルカリ金属のケイ酸塩を含む水溶液を用いた場合、細孔が大きくなるなど耐久性に問題があり、粒子径の均一なW/O型エマルジョンを連続して安定に得ることはできなかった。
近年、特許文献2に、歪みをもった形状の微小孔を通して、加圧された無機化合物水溶液を有機液体中に押し出して均質なエマルジョンを製造する方法が提案されている。しかし、これらの方法により、無機質球状体の最大粒子径を厳密に制御することは難しく、近年の半導体パッケージのような、電子機器の小型化、薄型化、狭ピッチ化にともなう最大粒子径を規定される用途に対してはその要求を充分には満たせない場合があった。
特許第2555475号公報(特許請求の範囲、第一図)
特開2002−119841号公報(特許請求の範囲、図1)
本発明の目的は、最大粒子径を厳密に制御した無機質球状体を生産性よく、安定に得ることが可能な製造方法を提供することである。
本発明は、流路中を流速0.001〜2m/sかつ層流状態で流れる有機液体中に、多孔性膜を通して無機化合物を含む水性液体を押し出してW/O型エマルジョンを形成する工程と、該W/O型エマルジョン中の無機化合物を含む水性液体を固形化する工程と、得られた固形化物を湿式法で分級する工程と、をこの順に含むことを特徴とする無機質球状体の製造方法を提供する。
本発明により、最大粒子径が厳密に制御された無機質球状体を生産性良く、安定して得ることが可能となる。特に、レーザー回折・散乱法により測定した体積基準の平均粒子径が0.1〜10μmであり、D90/D50<2であり、D99/D90<1.5である無機質球状体が得られやすくなり、目標とする粒子径を逸脱する大粒子の混入を防止できる。
本発明においては、無機化合物を含む水性液体を、層流で流れる有機液体中に、多孔性膜を通して押し出すことにより、有機液体が分散質(連続相)となりこの中に前記無機化合物を含有する水溶液の液滴が分散相となったエマルジョン、すなわちW/O型エマルジョンを形成した後、該W/O型エマルジョン中の無機化合物を含む水性液体の液滴を固形化した後、得られた固形化物を湿式法で分級して、最大粒子径を厳密に制御した無機質球状体を製造する。
まず、無機化合物を含む水性液体としては、固形化によって沈殿物を形成することができるものであれば、いずれも適用可能である。無機化合物の水溶液だけでなく、シリカゾル、アルミナゾルなどのコロイド溶液を採用できる。無機化合物の水溶液としては、種々の金属塩や金属錯体の水溶液が使用できる。具体的にはアルカリ金属のケイ酸塩、アルミン酸塩、アルカリ土類金属のハロゲン化物、銅の硫酸塩、塩酸塩及び硝酸塩、鉄、コバルト又はニッケルの硫酸塩、塩酸塩及び硝酸塩の水溶液が挙げられる。
本発明では、無機化合物を含む水性液体としてシリカを含む水性液体を用いると好ましい。具体的には、水溶性シリカが溶解した水溶液、有機ケイ素化合物を加水分解して得られたシリカゾル及び市販のシリカゾルなどの固体シリカが分散した水性分散液が挙げられる。特に、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液が好ましく使用される。アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムなどが挙げられ、中でも入手の容易さ、経済的理由によりナトリウムが最も好ましい。ナトリウムとケイ酸の割合は、NaO/SiO(モル比)で2.0〜3.8が好ましく、さらには2.0〜3.5が好ましい。また、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の濃度は、SiO濃度として5〜30質量%が好ましく、さらには5〜25質量%が好ましい。
次に、有機液体としては、炭素数9〜12の飽和炭化水素が好ましく、操作性、火気への安全性、固形化した粒子と有機液体との分離性、無機質球状体粒子の形状特性、水への有機液体の溶解性などを総合的に考慮して選定される。炭素数が9〜12の飽和炭化水素は、単独で使用してもよいし、このうちの二種以上を混合して使用してもよい。また、炭素数が9〜12の飽和炭化水素は、その化学的安定性が良好であれば、直鎖状炭化水素であってもよいし、側鎖を有する炭化水素であってもよい。
炭素数9〜12の飽和炭化水素の引火点としては、20〜80℃のものが好ましい。引火点が20℃未満の飽和炭化水素を有機液体とした場合、引火点が低すぎるため、防火上、作業環境上の対策が必要である。また、引火点が80℃を超えるものは、揮発性が小さいことから、得られる無機質球状体に付着する炭化水素の量が多くなるおそれがある。
本発明では、W/O型エマルジョンと有機液体とは通常液液分離され、エマルジョンを固形化した後の無機質球状体と有機液体とは通常固液分離される。分離後のW/O型エマルジョンあるいは無機質球状体に付着又は吸着している有機液体は、乾燥操作などにより気化、分離するのが好ましい。気化により分離しやすいという面では有機液体は沸点が200℃以下であることが好ましく、これらの条件を満たすものとしては、C20又はC1022が好ましい。
本発明では、W/O型エマルジョンの形成にあたり、界面活性剤を使用するのが好ましい。このときの界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤も使用可能であるが、親水性、親油性の調整が容易である点でノニオン系界面活性剤が好ましい。例えば、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどが望ましい。
界面活性剤の使用量は、界面活性剤の種類、界面活性剤の親水性あるいは疎水性の程度を表す指標であるHLB(Hydrophile−lipophile balance)、目的とする無機質球状体の粒子径などの条件により異なるが、上記有機液体中に500〜20000ppm、好ましくは1000〜10000ppm含有させるのが好ましい。500ppm未満であると、乳化される水溶液の液滴が大きくなり、エマルジョンが不安定になるおそれがある。また、20000ppmを超えると、製品である無機質球状体粒子に付着する界面活性剤の量が多くなり好ましくない。
本発明では、有機液体の流速を0.001〜2m/sとすることにより、粒子径分布の狭いエマルジョン液滴が形成され、得られる無機質球状体の粒子径分布も狭くできる。有機液体の流速が0.01〜1m/sである場合はさらに好ましい。
流路中を流れる有機液体のレイノルズ数は2100以下とする。ここで、流路の断面が円形である場合のレイノルズ数は式1で計算され、流路の内径Dは流路の断面における最小径を使用する。ここで、D(流路の内径:m)、u(平均流速:m/s)、ρ(流体密度:kg/m)、μ(流体粘度:Pa・s)である。
レイノルズ数(−)=D・u・ρ/μ ・・・式1。
また、流路の断面が円形でない場合のレイノルズ数は式2で計算される。ここで、rは流路動水半径(m)=流路の断面積(m)/流路断面の流体に接する周長(m)であり、u、ρ、μは式1と同様である。
レイノルズ数(−)=4×r・u・ρ/μ ・・・式2。
レイノルズ数が2100以下の場合、有機液体の流れは層流状態であるため、有機液体の流れは安定したものとなる。その結果、多孔性膜を通して供給される無機化合物を含む水性液体が、常に一定の粒子径を有するW/O型エマルジョンとなるため、実質的に粒子径が均一な無機質球状体が製造されやすい。逆に、レイノルズ数が2100を超える場合、有機液体の流れが乱流となるため、従来と同様に粒子径が不揃いなW/O型エマルジョンとなり、その結果、無機質球状体の粒子径も不揃いになる。また、より有機液体の流れを安定させるために、有機液体の流れのレイノルズ数が500以下であることが好ましい。なお、この有機液体の流路の形状については、特に限定されない。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図中、1、3、4はアクリル樹脂製板、2は多孔性膜である。図2において、無機化合物を含む水性液体はノズルCから導入され、多孔性膜2を通して、多孔性膜2の各部分においてほぼ一定の線圧で、ノズルAから導入されてノズルBから排出されるように層流状態で流れる有機液体中に圧入される。
本発明において、多孔性膜2の孔径は0.01〜20μmであると好ましく、特に孔径が0.1〜10μmであると、粒子径の均一な無機質球状体が得られやすくなり好ましい。また、多孔性膜2の多孔度が10〜90%であると好ましい。多孔性膜2の多孔度が10%未満であると、無機化合物を含む水性液体を押し出す際の圧力が高くなりすぎるおそれがあり、一方、多孔度が90%を超える場合、強度が不足するおそれがあるためいずれも好ましくない。さらに、多孔性膜2の膜厚が1〜2000μmであると好ましい。多孔性膜2の膜厚が1μm未満では強度が不足するおそれがあり、一方、膜厚が2000μmを超えると無機化合物を含む水性液体を押し出す際の圧力が高くなりすぎるおそれがあるためいずれも好ましくない。
本発明において、多孔性膜2の材質は、無機化合物を含む水性液体及び有機液体に対する耐性を考慮して決定される。好適には樹脂材質又は金属材質のものが使用されるが、特にフッ素樹脂を主体とする膜や、金属粉末又は金属繊維の焼結体を主体とする膜であると好ましい。
フッ素樹脂の種類は特に限定されず、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー)、PVdF(ポリビニリデンフルオライド)、ECTEE(エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー)などの樹脂を主体とする膜を好ましく使用できる。金属粉末又は金属繊維の焼結体を主体とする膜としては、均一な大きさの球状金属粉末を焼結して形成した多孔性膜や銀メンブランフィルターなどが好ましい例として挙げられる。
多孔性膜2は疎水性を有することが好ましく、必要により表面処理が施される。特に金属材質の場合は、シランカップリング剤などで疎水性をもたせる処理を施すことが望ましい。これは、無機化合物を含む水性液体が多孔性膜2を通った後の多孔性膜2からの液離れを促すためであり、多孔性膜2が親水性の場合、多孔性膜2を通過後、多孔性膜2に沿って水性液体が流れてしまい、エマルジョンの粒子径が不均一になりやすいため好ましくない。
多孔性膜の形状は、シート状又は中空糸状であると好ましい。シート形状の多孔性膜を使用する場合は、例えば図2に示すように、断面が矩形のイソノナン流路Xの一辺に多孔性膜2を設置し、多孔性膜2を通して水性液体を押し出すことでW/O型エマルジョンを形成できる。中空糸状の多孔性膜を使用する場合には、有機液体が多孔性膜の内側又は外側のいずれを流れてもよいが、多孔性膜の内側に有機液体を流し、多孔性膜の外側から内側へと水性液体を通過させてW/O型エマルジョンを形成する方法を用いると好ましい。中空糸状の多孔性膜は、複数本束ねた中空糸モジュールとして用いると生産性の点から特に好ましい。
なお、多孔性膜2より圧入される水性液体は、界面張力に起因して、多孔性膜2の出口においてその孔径よりも大きく成長する。そのため、本発明で得られるW/O型エマルジョンの液滴は、多孔性膜の孔径より小さいものがほとんど生成されない。これは、ホモジナイザーなどを用いた従来の乳化法と大きく異なる点であり、目的の粒子径を逸脱する微小粒子が副生しにくい。生成したW/O型エマルジョンの液滴は、有機液体の流れにより切り離され、有機液体中でW/O型エマルジョンの液滴となる。有機液体の流れが層流状態であることにより、液滴は常に一定の条件で切り離され、ほぼ均一な液滴となる。
このとき、有機液体の流路内で圧力損失が生じることにより、多孔性膜2のうち有機液体の流れの上流に位置する部分から生成する液滴と、下流に位置する部分から生成する液滴とで液滴径が異なるおそれがある。そのため、得られる無機質球状体の粒子径が不揃いなものになりやすい。例えば、図2において、水性液体の圧入時の圧力は、多孔性膜2上の各部分においてほぼ一定である。したがって、多孔性膜2のうち有機液体の流れの上流に位置する部分における水性液体と有機液体との圧力差をP1、下流に位置する部分における圧力差をP2とすると、P1とP2とは式3で表される関係にある。ここで、△Pは有機液体の流路内での圧力損失に相当する。
P2=P1+△P ・・・式3。
つまり、下流に位置する部分では圧力差が相対的に大きいため、水性液体の圧入量が増大して上流に位置する部分より大きなエマルジョン粒子が生成しやすくなる。そのため、結果的に粒子径分布の広い無機質球状体が得られやすくなる。
本発明では、図2において、多孔性膜2のうち有機液体の流路の最上流に位置する部分と、最下流に位置する部分との間の有機液体の圧力損失を10〜5000Paとすれば、多孔性膜2の各部分からの水性液体の圧入量が安定化し、粒子径の均一な無機質球状体が得られやすいため好ましい。粒子径の均一化の観点から、圧力損失は2000Pa以下であることが好ましく、より好ましくは1000Pa以下である。なお、圧力損失が10Pa未満であると、有機液体の流速が遅いため、有機液体の流れによりエマルジョン液滴が切り離される効果が得られにくくなり、目的とする大きさを逸脱する大粒子が生成しやすくなるので好ましくない。
ここで、有機液体流路における有機液体の圧力損失(Pa)は、例えば化工便覧改訂5版に記載される、層流における圧力損失式を用いて算出できる。断面の形状が円形の場合、式4で計算される。ここで、Lは流路長さ(m)であり、D、u、μは式1と同様である。
圧力損失=32μLu/D ・・・式4。
また、流路が矩形の場合には、式5で計算される。ここで、X=16/3−1024/π×(b/a)×{tanh(πa/2b)+1/243×tanh(3πa/2b)}、a(流路断面の長辺長さ:m)、b(短辺長さ:m)であり、L、u、μは式4と同様である。
圧力損失=32μLu/(bX/2) ・・・式5。
本発明では、図2に示すとおり、多孔性膜2のうち有機液体の流路の最上流に位置する部分と、最下流に位置する部分との距離をLとする。Lは10〜2000mmとすると好ましい。10mm未満であると充分な生産性が得られないおそれがあり、一方、2000mmを超える場合、圧力損失を10〜5000Paに保つためには有機液体の流速を遅くする必要があるため、有機液体の流れによりエマルジョン液滴が切り離される効果が得られにくくなり、目的とする大きさを逸脱するエマルジョン粒子が生成しやすくなるため好ましくない。
本発明の無機質球状体の製造装置は、図2のように、多孔性膜2が水平面に対して平行になるように設置してもよい。しかし、有機溶媒の密度が水性液体の密度より小さい場合には、多孔性膜2が水平面に対して30°以上の角度を有するように設置し、かつ、有機液体を多孔性膜2に沿って下方から上方に流すと、粒子径が均一な無機質球状体が得られやすくなり好ましい。特に、有機液体の流路が水平面に対して垂直になるように設置すると好ましい。一方、有機溶媒の密度が水性液体の密度より大きい場合には、これらの装置を用い、有機液体を上方から下方に流せば、上記のような粒子径の均一化効果が得られやすくなり好ましい。
多孔性膜2が水平面に対して30°以上の角度を有するように設置した場合、高さ方向の所定水平面においては、水性液体側及び有機液体側それぞれにおいて液深に起因する圧力が印加される。特定水平面において、水性液体、有機液体の液深がほぼ同等と仮定すると、水性液体と有機液体との密度差に起因し、(水性液体密度−有機液体密度)×液深に相当する圧力差が生じる。そのため、有機液体の密度が水性液体の密度より小さい場合は有機液体を下方から上方へ、反対の場合は上方から下方へ流せば、多孔性膜2を水平面に対して平行に形成した図2のような場合と比較して、全流路における水性液体側と有機液体側の圧力差の変化を相対的に狭くできる。その結果、多孔性膜2の各部分からの水性液体の供給量を安定化してエマルジョン液滴径を均一化できるため、得られる無機質球状体の粒子径の均一化に効果を発揮する。
なお、生成するW/O型エマルジョンの液滴径は、上記で定めた多孔性膜の物性及び設置条件に影響されるとともに、水性液体の流れ方向の線速(単位:mm/(sec・mm))に対する有機液体の流れ方向の線速(単位:mm/sec)の比によっても影響を受ける。なお、図2において、水性液体の流れ方向の線速は多孔性膜2の有機液体が接触する側の表面で測定すればよい。この線速の比は1000〜500000であることが好ましく、さらに好ましくは100000以下とする。線速の比が500000を超える場合は、有機液体を過剰に消費しすぎるおそれがあるため経済的観点から好ましくない。また、1000未満では、有機液体により液滴が切り離される効果が得られにくくなり、エマルジョン粒子が不均一になるおそれがあるため好ましくない。
W/O型エマルジョン中の無機化合物を含む水性液体を固形化する工程には、沈殿剤を加えて無機化合物を沈殿させる方法を用いることができる。沈殿剤としては、アルカリ金属のハロゲン化物あるいは炭酸塩、無機酸、有機酸、無機酸のアンモニウム塩、有機酸のアンモニウム塩及びアルカリ土類金属のハロゲン化物からなる群より選ばれた少なくとも1種の水溶液が挙げられる。具体的には炭酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化カリウム、炭酸水素カリウム等の水溶液が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
無機化合物を含む水性液体中の無機化合物がシリカの場合は、W/O型エマルジョンをゲル化することにより、球状である水溶液の分散液滴は、この球状を保持したままゲル化され、球状のシリカヒドロゲルが得られる。ゲル化には、エマルジョン中にゲル化剤を導入するのが好ましい。ゲル化剤としては、無機酸や有機酸などの酸が用いられ、特に無機酸である硫酸、塩酸、硝酸、炭酸などが好ましい。操作の容易性などの点で、最も簡便で好ましいのは、炭酸ガスを用いる方法である。炭酸ガスは、100%濃度の純炭酸ガスを導入してもよいし、空気や不活性ガスで希釈した炭酸ガスを導入してもよい。ゲル化に要する時間は、通常4〜30minが好ましく、ゲル化時の温度は5〜30℃が好ましい。
ゲル化終了後は、反応系を静置して、有機液体の相とシリカヒドロゲルを含む水性相に2相分離させてシリカゲルを分離するのが好ましい。有機液体として飽和炭化水素を用いた場合は、上層に有機液体の相が、下部にシリカヒドロゲルを含む水性液体相が分離するので、両者を公知の手段により分離する。
シリカヒドロゲルの水スラリーは、所望により硫酸などの酸を添加してpHを1〜5程度に調整してゲル化を完結させ、次に60〜150℃、好ましくは80〜120℃の温度で水蒸気蒸留して当該水スラリー中に残留している僅かの有機液体を留出して除去し、さらにはpH7〜9程度の適当なpHで加温してシリカヒドロゲルの熟成を行う。
上記の熟成処理を行った後、水スラリーをろ過してシリカヒドロゲルを得、これを100〜150℃程度の温度で、1〜30hr程度乾燥することにより、シリカ多孔質球状体粒子が得られる。
なお、シリカを含む水性液体としてケイ酸アルカリ水溶液を用い、ゲル化剤として酸を用いた場合、アルカリ金属塩(例えばゲル化剤が炭酸であれば炭酸ナトリウムなど)を副生するので、この塩がシリカ多孔質球状体へ混入することを防止するため、ろ過した際のシリカヒドロゲル(ウエットケーキ)は十分水洗することが好ましい。場合によっては、水洗後のウエットケーキに再度水を添加してスラリーとして、再度ろ過、水洗を繰り返してもよい。なおこの際、所望により当該スラリーのpHを1〜5程度に調整して再度熟成する操作を行ってもよい。
上記で得られた固形化物を図示しない湿式分級装置に導入して固形化物を分級すれば、特に目的とする粒子径を逸脱する粗大粒子の除去に効果的である。湿式分級装置に導入する際には、上記水スラリーをそのまま導入してもよいし、上記で得られた球状体に再度水を添加してスラリーとして導入してもよい。
湿式分級装置に導入するスラリーの溶媒としては、イオン交換水を使用すると取扱いの簡便さ及びコストの点で優れるため好ましいが、乾燥後の粉末の分散性を向上させ、乾燥時の凝集を抑える目的で表面張力の小さいメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−プタノール、アセトン等の有機溶媒を使用してもよい。
湿式分級装置としては重力式分級装置、水力式分級装置、遠心式分級装置などいずれの方式の分級装置を使用してもよいが、分級効率及び分級精度に優れ、かつ、装置の小型化が可能である点で遠心式の湿式分級装置が最も好ましい。
無機化合物を含む水性液体中の無機化合物がシリカの場合、多孔質の球状粒子が得られるため見かけ比重が小さい。そのため、遠心式の湿式分級装置を用いて分級を行う際、無孔質の粒子を得る場合と比較して大きな遠心力を付与することが好ましい。なかでも、500G以上の遠心力を付与すれば、分級効率を高められるうえ、5μm程度の粒子径を有する粒子の除去が可能となる。さらに、1000G以上の遠心力を付与すれば1μm程度の粒子径を有する粒子をも除去できる。
本発明により得られる無機質球状体の平均粒子径D50が0.1〜10μmであり、D90/D50<2であり、D99/D90<1.5であると好ましい。また、D100/D90<1.5であると、粗大粒子の混入をより厳密に防止でき好ましい。
ここで、D50、D90、D99及びD100は無機質球状体の粒子径分布をレーザー回折・散乱法により測定した際の体積基準の累積粒度分布曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して50%、90%、99%及び100%である粒子径を表す。
[例1]
(1)(溶液の調製)
SiO濃度24.4質量%、NaO濃度8.14質量%(SiO/NaOモル比=3.09、密度1320kg/m)のケイ酸ナトリウム水溶液を調製した。有機溶剤はイソノナン(C20、密度730kg/m)を使用し、あらかじめ界面活性剤としてソルビタンモノオレイン酸エステルを20000ppm溶解したものを1L準備した。
(2)(乳化装置)
乳化装置として、中空糸膜モジュール(旭化成社製、商品名:マイクローザMF ULP−143)を使用した。
(3)(乳化)
中空糸膜モジュールを水平面と垂直に置いて使用し、中空糸モジュール下部より、(1)で調製した界面活性剤を溶解したイソノナンを供給して中空糸内部を下方から上方へと流し、また中空糸外側より(1)で調製したケイ酸ナトリウム水溶液を供給することで、ケイ酸ナトリウム水溶液が界面活性剤を溶解したイソノナン中に分散するW/O型エマルジョンを連続的に製造し、中空糸モジュール上部より該エマルジョンを取り出した。このとき、界面活性剤を溶解したイソノナンの供給量は1600mL/minであった。実験は常温で行い、運転時間は1時間であった。
このとき、イソノナンの流れのレイノルズ数は、流路の内径:1.1mm、線速:298mm/s、粘度:8.0×10−4Pa・sから計算したところ約282であり、層流状態であった。中空糸モジュールにおいて、イソノナンの流れの最上流に位置する部分と最下流に位置する部分との距離=流路長さL=300mmであり、イソノナン流路は円形であるから、Lにおける圧力損失を式4から計算したところ1780Paであり、さらにイソノナンの液深に起因する2150Paの圧力差が加わり、合計3930Paの圧力差が生じていたと計算される。一方、ケイ酸ナトリウム水溶液側では、流れに起因する圧力損失は流れが遅いために無視してよく、液深に起因する3880Paの圧力差のみが生じていたと計算される。したがって、Lにおいては、ケイ酸ナトリウム水溶液をイソノナン側に圧入する際の圧力差の変化は50Paであったと計算される。
また、ケイ酸ナトリウム水溶液の供給量は300mL/hであり、中空糸膜の内表面における流れ方向の線速は、中空糸膜の単位面積換算で0.00080mm/(sec・mm)であった。したがって、ケイ酸ナトリウム水溶液の中空糸膜内表面での流れ方向の線速に対するイソノナンの流れ方向の線速の比は349100であった。
(4)(ゲル化)
(1)で調製した界面活性剤を溶解したイソノナン20Lを容積50Lの容器に入れ、この溶液中に炭酸ガスを10L/minの供給速度で吹き込んだ。(3)で作製したW/O型エマルジョン30Lを連続的に該メスシリンダーに供給することで予備ゲル化を行った。生成したシリカヒドロゲルをイソノナンから比重差で2相分離し、シリカヒドロゲルの水スラリーを得た。次いで、得られたシリカヒドロゲルの水スラリーに0.1規定の硫酸水溶液を加え、25℃でpH9に調整した後、80℃において1時間熟成させた。その後、室温まで放冷し、さらに20質量%の硫酸水溶液を添加してpH2に調整し、3時間静置した。次いでろ過、水洗を行うことで水スラリーを作製した。
(5)(分級操作)
(4)により作製した水スラリーを遠心式の湿式分級装置(ユーロテック社製、商品名:マイクロカット)に導入して分級操作を行う。このとき、遠心力を1200G、スラリー供給速度を1L/minとする。分級後に得られる、粗大粒子が除去されたスラリーをろ過した後、150℃で20時間乾燥させてシリカ多孔質球状体を得ることができる。
(6)(形状確認)
得られたシリカ多孔質球状体は走査型電子顕微鏡写真よりほぼ真球状であることが確認される。また、レーザー回折・散乱法を用いた粒度測定装置(日機装社製、商品名:マイクロトラックHRA)にて粒子径分布を測定すると、D50=7.6μm、D90=13.2μm、D99=18.8μmである。したがって、D90/D50=1.7、D99/D90=1.4であり、最大粒子径が厳密に制御された粒子が得られる。
[例2(比較例)]
遠心式の湿式分級操作を行わなかった以外は例1と同様にしてシリカ多孔質球状体を得た。得られたシリカ多孔質球状体は走査型電子顕微鏡写真よりほぼ真球状であることが確認された。例1と同様にして粒子径分布を測定したところ、D50=8.3μm、D90=24.4μm、D99=38.2μmであった。したがって、D90/D50=2.9、D99/D90=1.6であり、例1と比較してやや広い粒子径分布を有していた。
最大粒子径が厳密に制御された無機質球状体が得られるので、半導体パッケージなどに使用できる。
例1、例2で用いた乳化装置の各部材を示す図 例2で用いた乳化装置の断面図を示す図
符号の説明
A、B:アクリル樹脂製板1に形成されたノズル
C:アクリル樹脂製板4に形成されたノズル
X:n−デカン流路
Z:水性液体流路

Claims (7)

  1. 流路中を流速0.001〜2m/sかつ層流状態で流れる有機液体中に、多孔性膜を通して無機化合物を含む水性液体を押し出してW/O型エマルジョンを形成する工程と、該W/O型エマルジョン中の無機化合物を含む水性液体を固形化する工程と、得られた固形化物を湿式法で分級する工程と、をこの順に含むことを特徴とする無機質球状体の製造方法。
  2. 前記無機質球状体の平均粒子径D50が0.1〜10μmであり、D90/D50<2であり、D99/D90<1.5である請求項1に記載の無機質球状体の製造方法。
    ここで、D50、D90及びD99は無機質球状体の粒子径分布をレーザー回折・散乱法により測定した際の体積基準の累積粒度分布曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して50%、90%及び99%である粒子径を表す。
  3. 前記多孔性膜の孔径が0.01〜20μmであり、多孔度が10〜90%であり、膜厚が1〜2000μmである請求項1又は2に記載の無機質球状体の製造方法。
  4. 前記多孔性膜がフッ素樹脂を主体とする膜である請求項1〜3のいずれかに記載の無機質球状体の製造方法。
  5. 前記多孔性膜が金属粉末又は金属繊維の焼結体を主体とする膜である請求項1〜3のいずれかに記載の無機質球状体の製造方法。
  6. 前記多孔性膜の形状がシート状又は中空糸状である請求項1〜5のいずれかに記載の無機質球状体の製造方法。
  7. 前記分級する工程を、遠心式分級装置を用い、500G以上の遠心力を付与して行う請求項1〜6のいずれかに記載の無機質球状体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011026196A (ja) * 2003-06-11 2011-02-10 Asahi Glass Co Ltd 無機質球状体の製造方法及び製造装置
JP2014128763A (ja) * 2012-12-28 2014-07-10 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd W/o型エマルションの形成方法、球状粒子の製造方法、及び球状粒子
JPWO2014185500A1 (ja) * 2013-05-16 2017-02-23 旭硝子株式会社 多孔質有機無機ハイブリッド粒子の製造方法及び乳化装置

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