JP2004313967A - 保護層形成材の塗布方法および塗布装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】保護層形成材の塗布作業を迅速に開始させ、これによって保護層形成材の塗布工程を短縮し、このために車両に生産効率を一層向上させる。
【解決手段】車両検出部204を車両14が通過すると、すなわち、発光素子200から出射される発光光が受光素子202に到達することなく遮られると、その信号で制御部18はロボット16a、16b、16cに対してウォーミングアップ動作の開始を指示する。チューブ22aから供給される保護層形成材は、ローラ48の表面にしみ出るまでやや時間がかかるが、ウォーミングアップ動作を実行させることによって、直ちに塗布作業を開始することができる。
【選択図】図1
【解決手段】車両検出部204を車両14が通過すると、すなわち、発光素子200から出射される発光光が受光素子202に到達することなく遮られると、その信号で制御部18はロボット16a、16b、16cに対してウォーミングアップ動作の開始を指示する。チューブ22aから供給される保護層形成材は、ローラ48の表面にしみ出るまでやや時間がかかるが、ウォーミングアップ動作を実行させることによって、直ちに塗布作業を開始することができる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗装が終了した車両の塗装部を主とした外表面に保護層形成材を塗布する保護層形成材の塗布方法および塗布装置に関し、特に、乾燥後に剥離性保護層として作用する液状の保護層形成材を塗布する作業時間を可及的に短縮することにより、車両の生産効率を向上させることが可能な保護層形成材の塗布方法および塗布装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両は、製造後にユーザに手渡されるまでに屋外ストックヤードで保管されたり、トレーラ、船等で搬送されることが多い。この間、車両は粉塵、金属粉、塩分、油分、酸、直射日光等に曝されることから、長時間の保管および搬送の間には、車両の外表面における複数の塗装層のうち表面層の品質が侵されるおそれがある。このような事態を防ぐため、車両出荷前の段階において塗装部に剥離性保護層を形成させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。剥離性保護層は液状ラップ材である保護層形成材(ストリッパブルペイントとも呼ばれる)を塗布して乾燥させることにより形成され、塗装部を保護することができる。また、除去する際には容易に剥離させることができるとともに、通常の保管時には自然に剥離してしまうことがない。
【0003】
剥離性保護層が乾燥する前の保護層形成材を塗布する工程では、ローラに保護層形成材を付着させて、複数の作業者がローラを転動させて保護層形成材の塗布を行っている。
【0004】
このような作業の自動化を図り、作業者の負担を軽減させるとともに塗布品質を均一化させるために、ボディ上に保護層形成材を抽出した後、エアを吹き付けることによって保護層形成材を広げる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この方法によれば保護層形成材の塗布工程における作業の多くが自動化され、作業者の負担を軽減するとともに、タクトタイムを向上させることができて好適である。
【0005】
また、車両を生産する工場では、組み立て作業においてボディを傷つけることがないようにスクラッチカバーと呼ばれる樹脂製のカバーを仮付けすることがある。スクラッチカバーは、例えば、ボディの前方横面に仮付けされ、出荷前に外される。スクラッチカバーは車種毎に違う形状のものを用意する必要があり、さらに搬送ラインにおける日々の生産台数に応じて多数用意する必要がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−89697号公報(段落[0022]〜[0027])
【特許文献2】
特開平8−173882号公報(図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記の特許文献2で開示されている方法では、保護層形成材の広がり具合が必ずしも均一ではなく、また、保護層形成材が飛散することを防ぐために、ルーフの縁部には適用していない。
【0008】
さらに、近時の自動車のボディはより複雑な形状となりつつあり、凹凸部や複雑な曲面を有するものがある。このような凹凸部や曲面にはエアノズルによって保護層形成材を広げるということが困難である。さらにまた、塗装品質が特に重要視されている箇所には保護層形成材をより厚く塗る必要があるが、エアノズルで保護層形成材を広げる場合には塗膜の厚さを調整することは困難である。
【0009】
このようなことから、エアノズルで保護層形成材を広げた後に、数人の作業者がルーフの縁部や凹凸部等の細部にローラで保護層形成材を塗布して仕上げの処理を行う必要がある。従って、保護層形成材の塗布処理は一部を人手作業に頼っており、作業者の負担となるとともに、作業者の熟練度によって塗布品質にばらつきが発生する。
【0010】
このような作業者の負担を軽減し、かつ、作業の品質を均一にするためには、作業員が従来用いているローラを産業用のロボットに適用することが検討される。この場合、ポンプを用いて保護層形成材をローラに対して自動的に供給できるようにすると好適である。保護層形成材をローラに供給する方法としては、ローラの内面から保護層形成材を供給して表面にしみ出させる方法が考えられる。この方法によれば保護層形成材がローラに対して略均一にしみわたり、好適である。
【0011】
しかしながら、このように保護層形成材をローラの内面から供給する場合、ローラの表面全体に保護層形成材がしみわたるまでに時間がかかり、しかも必ずしも十分均一にしみわたるとは限らない。従って、実作業を開始するまでに時間がかかるとともに保護層形成材の塗りむらが発生し、または塗膜厚が不足するおそれがある。
【0012】
本出願人は前記不都合を克服するために特願2002−381880号で発明「保護層形成材の塗布システムおよび塗布方法」を既に提案している。
【0013】
本発明はこれに関連してなされたものであり、保護層形成材の塗布作業を迅速に開始させ、これによって保護層形成材の塗布工程を短縮し、このために車両の生産効率を一層向上させることが可能な保護層形成材の塗布方法および塗布装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る保護層形成材の塗布方法は、複数の車両が順次搬送される搬送ラインの近傍に設けられ、ティーチング動作可能なロボットと、前記ロボットに接続され、回転自在であって、乾燥後に剥離性保護層として作用する液状の保護層形成材を吸収して蓄えることのできる材質のローラと、前記ロボットの動作範囲内に配置され、前記ローラをしごき、かつ、前記保護層形成材を供給する保護層形成材供給部と、を用い、前記車両が前記搬送ラインに沿って移動途上であることを検知することにより、前記保護層形成材供給部において前記ローラをしごきながら前記保護層形成材を供給するステップと、前記車両が前記搬送ラインの所定位置に到達した際に前記ローラを前記車両に当接させて前記保護層形成材を塗布する塗布ステップと、を有することを特徴とする。
【0015】
このように、保護層形成材を塗布するステップを実行する前に、保護層形成材供給部でローラをしごくとともに保護層形成材を該ローラに供給することにより、ローラに保護層形成材を迅速にしみこませることができる。これによって、車両が搬送ラインの所定位置に到達して停止した時に即座に保護層形成材の塗布作業を開始することができる。
【0016】
本発明に係る保護層形成材の塗布装置は、複数の車両が順次搬送される搬送ラインの近傍に設けられ、ティーチング動作可能なロボットと、前記ロボットを制御する制御部と、前記ロボットに接続され、回転自在であって、乾燥後に剥離性保護層として作用する液状の保護層形成材を吸収して蓄えることのできる材質のローラと、前記ロボットの動作範囲内に配置され、前記ローラをしごき、かつ、前記保護層形成材を供給する保護層形成材供給部と、前記搬送ラインの上流側に設けられた車両検出部と、を有し、前記車両検出部の出力信号で前記制御部はロボットに対しローラのしごき開始信号を送給し、保護層形成材供給部は前記ローラに保護層形成材を供給することを特徴とする。
【0017】
このように、保護層形成材の塗布工程の前に車両検出部を設けることによって、車両が搬送ラインの移動途上でローラをしごき、かつ、保護層形成材を供給しておくために可及的速やかに保護層形成材を塗布することが可能となる。これによって保護層形成材の塗布時間が短縮され、全体として車両の生産効率が向上する。この場合、前記車両が前記ロボットの対峙する所定位置に停止した直後に該ロボットにより保護層形成材を塗布すれば、作業が安定して行われ、かつ、短時間に保護層形成材の塗布作業が完遂される。さらに、前記保護層形成材の材料としてアクリル系コポリマ剤を用いると、車両の塗装部をより確実に保護することができ、しかも除去するときには剥がしやすい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る保護層形成材の塗布方法についてそれを実施する塗布装置との関連で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態に係る保護層形成材の塗布装置10は、自動車の搬送ライン12に設けられ、塗装の終了した車両14に対して保護層形成材を塗布するものである。塗布装置10は、産業用ロボットである3台のロボット16a、16b、16cと、システム全体の制御を行う制御部18と、保護層形成材が収容されたタンク20と、該タンク20から各ロボット16a、16b、16cに連通する塗布材管路22と、水供給源24からロボット16a、16b、16cへ水を供給する水管路26とを有する。ロボット16a、16b、16cはそれぞれ制御部18に接続されたロボットコントローラ28a、28b、28cによって制御される。制御部18には、キーボードやポインティングデバイス等の入力装置18aと、モニタ画面18bが設けられている。
【0020】
ロボット16aおよび16cは、搬送ライン12における車両14の進行方向左手側に備えられ、ロボット16bは、進行方向右手側に備えられている。また、ロボット16aは進行方向前方、ロボット16bは進行方向の中程、ロボット16cは進行方向後方に備えられている。ロボット16a、16b、16cは搬送ライン12と平行なスライドレール30上を移動可能である。
【0021】
塗布材管路22の途中にはポンプ32が設けられており、タンク20から保護層形成材を吸い上げてロボット16a、16b、16cへ供給する。また、保護層形成材は、図示しないヒータと温度計とによって適温となるように制御されている。ロボット16a、16b、16cの先端部には、それぞれ塗布材管路22およびその先端部のチューブ22a(図2参照)によって保護層形成材が供給されるローラ機構部34が設けられている。
【0022】
保護層形成材の材料は、アクリル系コポリマ剤を主成分とするものであって、好ましくは、ガラス転移温度の異なる2種のアクリル系コポリマ部分を有するものであるとよい。具体的には、例えば、前記の特許文献1で示されている保護層形成材を用いるとよい。また、保護層形成材は、水との混合割合および温度の変化によって粘度を調整することができ、しかも、乾燥すると車両14に密着して粉塵、金属粉、塩分、油分、酸、直射日光等から車両14の塗装部を化学的および物理的に保護することができる。さらに、車両14をユーザに納品の際等で除去するときには、容易に剥離させることができる。
【0023】
図2に示すように、ロボット16a、16b、16cは、例えば、産業用の多関節型のロボットであり、ベース部40と、該ベース部40を基準にして順に、第1アーム42、第2アーム44および第3アーム46とを有し、該第3アーム46の先端にローラ機構部34が設けられている。ローラ機構部34は、第3アーム46に対して着脱自在であり、所謂、エンドエフェクタとして作用する。第1アーム42はベース部40に対して水平および垂直に回動可能な軸J1、J2によって回動可能である。第2アーム44は第1アーム42と軸J3で回動可能に連結されている。第2アーム44は軸J4によって捻れ回転が可能になっている。第3アーム46は第2アーム44と軸J5で回動可能に連結されている。第3アーム46は軸J6によって捻れ回転が可能になっている。
【0024】
このような6軸構成のロボット16a、16b、16cの動作によって、先端部に接続されたローラ機構部34は車両14の近傍における任意の位置に移動可能であって、かつ、任意の向きに設定可能である。換言すれば、ローラ機構部34は6自由度の移動が可能である。ロボット16a、16b、16cは、回転動作以外にも伸縮動作、平行リンク動作等の動作部を有するものであってもよい。
【0025】
各ロボット16a、16b、16cの近傍には容器台47が備えられており、該容器台47上には、平型の容器120が固定されている。前記容器台47と平型の容器120は保護層形成材供給部を構成する。容器台47は、ローラ48が到達可能な動作範囲内に備えていればよい。これらの容器120の各ロボット16a、16b、16cに対する相対位置は制御部18に記憶されている。容器120の詳細な構成については後述する。
【0026】
図3に示すように、ローラ機構部34は、第3アーム46の先端部に取り付けられており、円筒形状で保護層形成材を吸収して蓄えることのできる材質のローラ48と、ロボット16aの第3アーム46に対する取付部であるスラスト回転機構69とを有する。該スラスト回転機構69は、第3アーム46に対する取付部材70と、該取付部材70に対してベアリングを介して回転自在に支持されているスラスト回転部材74と、該スラスト回転部材74の下に取り付けられたローラ機構ベース部76とを有する。ローラ48の材質は、例えば、スポンジおよび植毛体等を挙げることができる。
【0027】
また、ローラ機構部34は、ローラ機構ベース部76の両端部に設けられた空気圧シリンダ78および80と、ローラ機構ベース部76の略下端の揺動軸82に揺動自在に軸支された揺動部材84と、ローラ48を保持するホルダ86と揺動部材84とを接続するホルダ接続部88とを有する。ローラ48は揺動軸82を中心として、径方向に揺動自在である。揺動部材84は、上方に延在する2つの上方延在部84aを有し、該上方延在部84aの略上端には、揺動軸82と平行なピン90が設けられている。ピン90は揺動軸82より上方に設定されている。
【0028】
さらに、ローラ機構部34は、前記空気圧シリンダ78および80のロッド78aおよびロッド80aから力を受けて、前記揺動軸82を中心として回転する2つのピン押圧部材92および94を有する。ピン押圧部材92の押圧面92aは、ロッド78aが縮退するとき前記ピン90の一端面を押圧し、ピン押圧部材94の押圧面94aは、ロッド80aが縮退するとき前記ピン90の他端面を押圧する。
【0029】
2つの上方延在部84aの間には、ローラ機構ベース部76から下方に延在する2つの下方延在部76aが配置され、該2つの下方延在部76aの間に押圧面92aおよび94aが配置されている。
【0030】
スラスト回転部材74には回転規制部材96が設けられており、該回転規制部材96の上面の凹部96aには、取付部材70から下に突出する小突起98が配置されている。小突起98の幅は凹部96aの幅よりやや小さく、この隙間の範囲においてスラスト回転部材74はスラスト方向に回転自在となっている。ここでいうスラスト方向とは、ローラ48自体の軸心と直交する方向であり、第3アーム46の軸心を中心とした回転方向である。
【0031】
ホルダ接続部88には、上部と下部で対向する2つのクランパ102および104が設けられている。これらのクランパ102および104はアルミパイプ106を保持しており、該アルミパイプ106により揺動部材84とホルダ86が連結されている。アルミパイプ106の表面には環状溝106aが設けられている。
【0032】
ローラ48の両端はホルダ86により回転自在に保持されており、塗布材管路22の先端部のチューブ22aはホルダ86の一端部を介してローラ48の内部に連通している。ローラ48はホルダ86に対して着脱自在である。
【0033】
図4に示すように、容器120は平型であり、ローラ48および該ローラ48を保持するホルダ86の幅よりやや広い幅に設定されている。容器120は、緩やかに傾斜した傾斜面(平面部)120aと、該傾斜面120aの下部に対して滑らかに接続された貯溜部120bとを有する。貯溜部120bはローラ48の直径程度の深さを有する。傾斜面120aには、全面にわたり小さな網目状の凸部120cが設けられている。傾斜面120aはローラ48の外周径より長く設定されており、該傾斜面120a上でローラ48を転がしたとき少なくとも360°回転させることができる。
【0034】
貯溜部120bには、上部の供給口122から保護層形成材が供給されて溜められる。供給口122は電磁弁124に接続されており、該電磁弁124を制御部18で操作することによって保護層形成材を貯溜部120bに供給することができる。貯溜部120bには液面計126が設けられており、保護層形成材の液面が低下したことを検出し、電磁弁124に作用して保護層形成材を自動的に補給することができる。
【0035】
図5に示すように、ローラ48、容器120に保護層形成材および水を供給するための液圧および空圧の複合回路150は、コンプレッサ152と、該コンプレッサ152の吐出部に接続されたエアタンク154と、空気圧の供給・遮断の切り換えを行う手動の空圧投入弁156と、制御部18から供給される電気信号によって2次側圧力を減少させるレギュレータ158と、該レギュレータ158の2次圧によってパイロット操作されて塗布材管路22の圧力を減少させるレギュレータ操作弁160とを有する。また、複合回路150は、レギュレータ操作弁160の2次側管路および水管路26が接続されたMCV162を有する。MCV162の2次側とローラ48との間には、トリガー弁164が設けられている。MCV162の内部には、塗布材管路22および水管路26の連通・遮断の切り換えを行う切換弁162a、162bが設けられており、該切換弁162a、162bの2次側は連通している。なお、図6の破線は空気圧管路を示す。
【0036】
MCV162およびレギュレータ操作弁160は、空気圧パイロット式に限らず電気ソレノイド等の駆動方式のものでもよい。
【0037】
複合回路150は、さらに、空圧投入弁156から供給される空気圧を切り換えることによって切換弁162a、162bをパイロット形式で操作するMCV切換電磁弁166と、トリガー弁164を空気圧によりパイロット操作するトリガー切換電磁弁168とを有する。
【0038】
MCV切換電磁弁166は、制御部18から供給される電気信号によって、切換弁162a、162bのいずれか一方を連通させるとともに他方を遮断し、水と保護層形成材とを切り換えてトリガー弁164に供給する。トリガー切換電磁弁168は、制御部18から供給される電気信号によってトリガー弁164を連通・遮断に切り換えて、ローラ48に水または保護層形成材を供給する。
【0039】
塗布材管路22および水管路26の途中には、それぞれ手動の止め弁170、172が設けられている。通常、止め弁170および172は連通させておく。複合回路150において空気の排出口にはそれぞれサイレンサ174が設けられており、排気音を低減させている。コンプレッサ152、ポンプ32および水供給源24には、過剰な圧力上昇を防止するリリーフ弁(図示せず)が設けられている。塗布材管路22には前記の電磁弁124が接続されており、該電磁弁124を介して容器120に保護層形成材を供給することができる。
【0040】
なお、複合回路150におけるコンプレッサ152、エアタンク154、水供給源24およびポンプ32は、各ロボット16a、16b、16cに共通であり、それ以外の機器は各ロボット16a、16b、16cに個別に備えられている。
【0041】
この場合、本実施の形態では搬送ライン12の上流側に発光素子200と受光素子202からなる車両検出部204を設けておく。
【0042】
次に、このように構成される保護層形成材の塗布装置10を用いて、車両14に保護層形成材を塗布する方法について説明する。
【0043】
まず、予め、各ロボット16a、16b、16cに対して保護層形成材を塗布する動作の教示を行う。ロボット16a、16b、16cに車両14のボンネット部14a(図1参照)、ルーフ中央部14bおよびルーフ後方部14cをそれぞれ分担させて、各担当部に保護層形成材を塗布させるように教示し、教示したティーチングデータは制御部18の所定の記録部に記録し、保持しておく。車両14がセダン型であるときには、ロボット16cはトランク部を分担する。
【0044】
保護層形成材を塗布する処理は、搬送ライン12において1台の車両14毎に設定されているタクトタイム内で終了するように教示を行う。
【0045】
この場合、本実施の形態では、特に各ロボット16a、16b、16cに対して、以下に示す動作を教示させておく。すなわち、この動作はローラ48を容器120(図4参照)の貯溜部120bに溜めた保護層形成材に浸し、その後、傾斜面120a上でローラ48を複数回(例えば、10回)往復して転がす動作である。このとき、傾斜面120aの下部は、貯溜部120bに対して滑らかに接続されていることから、この動作は簡略かつ滑らかな動作となり、教示が容易である。前記動作はローラ48を塗布に適した状態となるように準備するための動作(しごき動作)であり、ウォーミングアップ動作とも呼ばれる。
【0046】
次に、ロボット16a、16b、16cに対する動作の教示が終了後、車両14に保護層形成材を塗布する方法について説明する。
【0047】
車両検出部204を車両14が通過すると、すなわち、発光素子200から出射される発光光が受光素子202に到達することなく遮られると、その信号で制御部18はロボット16a、16b、16cに対してウォーミングアップ動作の開始を指示する。すなわち、ローラ48を貯溜部120bの保護層形成材に浸し(浸漬ステップ)、その後、傾斜面120a上でローラ48を複数回転がす(転動ステップ)。このとき、チューブ22aからもローラ48の内面に保護層形成材を供給する。
【0048】
チューブ22aから供給される保護層形成材は、ローラ48の表面にしみ出るまでやや時間がかかるが、ウォーミングアップ動作を実行させることによって、直ちに塗布作業を開始することができる。なぜなら、貯溜部120bに溜めた保護層形成材をローラ48に迅速かつ十分にしみこませることができ、また、ローラ48にむらなく保護層形成材をしみこませることができるからである。さらに、保護層形成材をローラ48にしみこませることによって、ローラ48を構成する材質(例えば、植毛体)は柔らかくなり、塗布作業に適した状態となるからである。
【0049】
さらにまた、傾斜面120aの下部は、貯溜部120bに対して滑らかに接続されていることから、ローラ48は貯溜部120bから傾斜面120aに向かって滑らかに移動することができ、保護層形成材が外部に漏出または飛散しにくい。また、ローラ48を転がしたときににじみ出た余分な保護層形成材は、傾斜面120aを流れ落ちて貯溜部120bに溜められるので再利用することも可能である。
【0050】
傾斜面120aは、ローラ48の外周径より長いので、ローラ48を360°以上回転させることができ、保護層形成材をローラ48の全周面に均一にしみこませることができる。ローラ48は傾斜面120aに設けられた網目状の凸部120cによって抵抗を受けるので、空回りすることがない。また、前記凸部120cによりローラ48の表面は小さい圧縮・伸張を繰り返すことになり、保護層形成材がしみ込みやすい。
【0051】
ウォーミング動作を実行させて保護層形成材をローラ48にしみこませた後、ロボット16a、16b、16cを待機姿勢に戻す。この場合、待機姿勢とは、ロボット16a、16b、16cのローラ48が所定位置にあって車両14の上方にあることを意味する。
【0052】
次に、塗装の終了した車両14が搬送ライン12によって搬入され、ロボット16a、16b、16cの近傍で停止する。制御部18は、車両14が搬入されたことを確認して次のステップに移る。車両14の搬入が確認されない場合は、そのまま待機する。
【0053】
前記のように車両14の搬入が確認されると制御部18は、各ロボット16a、16b、16cを教示データに基づいて動作させ、車両14の表面に保護層形成材を塗布する。このとき、制御部18はレギュレータ158(図5参照)を介してレギュレータ操作弁160を制御し、塗布材管路22を適当な圧力に制御する。また、MCV切換電磁弁166を介してMCV162を制御し、塗布材管路22を連通させるとともに水管路26を遮断する。さらに、制御部18はトリガー切換電磁弁168を操作することによってトリガー弁164を連通させる。このような制御部18の作用によって保護層形成材は、適当な圧力および適温に保たれながらローラ機構部34のローラ48の内面に供給される。ローラ48の内面に供給された保護層形成材は、ローラ48の表面ににじみ出るまでにやや時間がかかるが、ウォーミングアップによるしごき動作を実行することにより容器120の貯溜部120bに溜めた保護層形成材をローラ48に十分しみこませているので、塗布工程の当初から保護層形成材を十分かつ均一に車両14に対して塗布することができる。
【0054】
レギュレータ158による圧力制御と、ロボット16a、16b、16cの動作速度およびロッド78aおよび80aに加える力の制御とによって、車両14に塗布する保護層形成材の厚みを調整することができる。
【0055】
このときの車両14は塗装が終了していればよく、部品等が取り付けられていない未完成車であってもよいことはもちろんである。
【0056】
ロボット16a、16b、16cによって保護層形成材が塗布された車両14は、搬送ライン12によって次工程へ搬送される。塗布された保護層形成材は、自然乾燥または送風しながら乾燥させて可剥離性保護層を形成し、車両14の塗装部を保護する。
【0057】
上記したように、本実施の形態に係る保護層形成材の塗布方法および塗布装置10によれば、容器120の貯溜部120bに保護層形成材を溜めておき、ウォーミングアップ動作とともに搬入される各車両が保護層形成材塗布工程に供せられる直前にローラ48に対するしごき動作と保護層形成材の供給調整を実行させることから、ローラ48に保護層形成材を迅速かつ十分にしみこませることができ、その後、各車両に対する保護層形成材の塗布作業を直ちに開始することができる。また、車両14に対する保護層形成材の塗りむらの発生を防止するとともに、塗膜厚が不足することを防止することができる。
【0058】
なお、搬入される各車両毎にウォーミングアップ動作を行うようにしたので、ローラ48が未使用や洗浄後のものであっても保護層形成材を迅速にしみこませることができ、ローラ48の表面を形成する材料を柔らかく馴染ませることができる。
【0059】
さらに、ローラ48を備えるローラ機構部34をロボット16a、16b、16cで操作するとともにローラ48に保護層形成材を供給することにより、保護層形成材を塗布する工程を自動化し、塗布品質を均一化することができる。
【0060】
さらにまた、車両14の表面に保護層形成材を塗布する工程を、従来技術よりもさらに自動化させることができる。
【0061】
またさらに、自動化によって作業者が保護層形成材を塗布する工程がなくなることから、工程数を減少させて生産効率を向上させることができる。また、作業者用の空調設備を省略することができる。従って、空調に要する電力の低減により省エネルギ化を図ることができ、耐環境性を向上させることができるとともに工場の操業コストが低減される。
【0062】
保護層形成材により形成される剥離性保護層は、車両14の出荷後において塗装部を保護することができる一方、工場内においても塗装部を保護することができ、スクラッチカバーの代用となる。従って、車種毎に違う形状の多数のスクラッチカバーを省略することができる。
【0063】
車両14のバンパには着色されていて塗装が不要のものがあるが、保護層形成材はこのようなバンパ等の塗装部以外の箇所に塗布してもよい。
【0064】
本発明に係る保護層形成材の塗布方法および塗布装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成乃至ステップを採り得ることはもちろんである。特に、本実施の形態では、車両14の搬入が保護層形成材の塗布工程が営まれる前に検出され、車両14の搬送ライン12による所定位置まで到達する間にローラ48のしごき作用と前記保護層形成材の供給が行われる。従って、車両14に対して速やかに保護層形成材が塗布される。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る保護層形成材の塗布方法および塗布装置によれば、保護層形成材の塗布作業を迅速に開始させるとともに、保護層形成材の塗りむらの発生と塗膜厚が不足することを防止することができる。
【0066】
また、保護層形成材の材料としてアクリル系コポリマ剤を用いることによって、車両をより確実に保護することができ、しかも除去するときには剥がしやすい。
【0067】
さらにまた、本発明によれば、車両に対する保護層形成材の塗布前であっても車両の搬入に対応して前記塗布の準備が完了している。従って、保護層形成材の塗布時間が短縮され、その結果、車両の生産効率が一層向上する効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る保護層形成材の塗布装置の斜視図である。
【図2】ロボット、該ロボットに設けられたローラ機構部および容器の斜視図である。
【図3】ローラ機構部の拡大斜視図である。
【図4】容器の斜視図である。
【図5】液圧および空圧の複合回路を示す回路図である。
【符号の説明】
10…塗布装置 12…搬送ライン
14…車両 16a、16b、16c…ロボット
18…制御部 20…タンク
22…塗布材管路 22a…チューブ
26…水管路 30…スライドレール
32…ポンプ 34…ローラ機構部
47…容器台 48…ローラ
120…容器 120a…傾斜面
120b…貯溜部 120c…凸部
122…供給口 124…電磁弁
150…複合回路 162…MCV
162a、162b…切換弁 164…トリガー弁
200…発光素子 202…受光素子
204…車両検出部
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗装が終了した車両の塗装部を主とした外表面に保護層形成材を塗布する保護層形成材の塗布方法および塗布装置に関し、特に、乾燥後に剥離性保護層として作用する液状の保護層形成材を塗布する作業時間を可及的に短縮することにより、車両の生産効率を向上させることが可能な保護層形成材の塗布方法および塗布装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両は、製造後にユーザに手渡されるまでに屋外ストックヤードで保管されたり、トレーラ、船等で搬送されることが多い。この間、車両は粉塵、金属粉、塩分、油分、酸、直射日光等に曝されることから、長時間の保管および搬送の間には、車両の外表面における複数の塗装層のうち表面層の品質が侵されるおそれがある。このような事態を防ぐため、車両出荷前の段階において塗装部に剥離性保護層を形成させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。剥離性保護層は液状ラップ材である保護層形成材(ストリッパブルペイントとも呼ばれる)を塗布して乾燥させることにより形成され、塗装部を保護することができる。また、除去する際には容易に剥離させることができるとともに、通常の保管時には自然に剥離してしまうことがない。
【0003】
剥離性保護層が乾燥する前の保護層形成材を塗布する工程では、ローラに保護層形成材を付着させて、複数の作業者がローラを転動させて保護層形成材の塗布を行っている。
【0004】
このような作業の自動化を図り、作業者の負担を軽減させるとともに塗布品質を均一化させるために、ボディ上に保護層形成材を抽出した後、エアを吹き付けることによって保護層形成材を広げる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この方法によれば保護層形成材の塗布工程における作業の多くが自動化され、作業者の負担を軽減するとともに、タクトタイムを向上させることができて好適である。
【0005】
また、車両を生産する工場では、組み立て作業においてボディを傷つけることがないようにスクラッチカバーと呼ばれる樹脂製のカバーを仮付けすることがある。スクラッチカバーは、例えば、ボディの前方横面に仮付けされ、出荷前に外される。スクラッチカバーは車種毎に違う形状のものを用意する必要があり、さらに搬送ラインにおける日々の生産台数に応じて多数用意する必要がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−89697号公報(段落[0022]〜[0027])
【特許文献2】
特開平8−173882号公報(図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記の特許文献2で開示されている方法では、保護層形成材の広がり具合が必ずしも均一ではなく、また、保護層形成材が飛散することを防ぐために、ルーフの縁部には適用していない。
【0008】
さらに、近時の自動車のボディはより複雑な形状となりつつあり、凹凸部や複雑な曲面を有するものがある。このような凹凸部や曲面にはエアノズルによって保護層形成材を広げるということが困難である。さらにまた、塗装品質が特に重要視されている箇所には保護層形成材をより厚く塗る必要があるが、エアノズルで保護層形成材を広げる場合には塗膜の厚さを調整することは困難である。
【0009】
このようなことから、エアノズルで保護層形成材を広げた後に、数人の作業者がルーフの縁部や凹凸部等の細部にローラで保護層形成材を塗布して仕上げの処理を行う必要がある。従って、保護層形成材の塗布処理は一部を人手作業に頼っており、作業者の負担となるとともに、作業者の熟練度によって塗布品質にばらつきが発生する。
【0010】
このような作業者の負担を軽減し、かつ、作業の品質を均一にするためには、作業員が従来用いているローラを産業用のロボットに適用することが検討される。この場合、ポンプを用いて保護層形成材をローラに対して自動的に供給できるようにすると好適である。保護層形成材をローラに供給する方法としては、ローラの内面から保護層形成材を供給して表面にしみ出させる方法が考えられる。この方法によれば保護層形成材がローラに対して略均一にしみわたり、好適である。
【0011】
しかしながら、このように保護層形成材をローラの内面から供給する場合、ローラの表面全体に保護層形成材がしみわたるまでに時間がかかり、しかも必ずしも十分均一にしみわたるとは限らない。従って、実作業を開始するまでに時間がかかるとともに保護層形成材の塗りむらが発生し、または塗膜厚が不足するおそれがある。
【0012】
本出願人は前記不都合を克服するために特願2002−381880号で発明「保護層形成材の塗布システムおよび塗布方法」を既に提案している。
【0013】
本発明はこれに関連してなされたものであり、保護層形成材の塗布作業を迅速に開始させ、これによって保護層形成材の塗布工程を短縮し、このために車両の生産効率を一層向上させることが可能な保護層形成材の塗布方法および塗布装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る保護層形成材の塗布方法は、複数の車両が順次搬送される搬送ラインの近傍に設けられ、ティーチング動作可能なロボットと、前記ロボットに接続され、回転自在であって、乾燥後に剥離性保護層として作用する液状の保護層形成材を吸収して蓄えることのできる材質のローラと、前記ロボットの動作範囲内に配置され、前記ローラをしごき、かつ、前記保護層形成材を供給する保護層形成材供給部と、を用い、前記車両が前記搬送ラインに沿って移動途上であることを検知することにより、前記保護層形成材供給部において前記ローラをしごきながら前記保護層形成材を供給するステップと、前記車両が前記搬送ラインの所定位置に到達した際に前記ローラを前記車両に当接させて前記保護層形成材を塗布する塗布ステップと、を有することを特徴とする。
【0015】
このように、保護層形成材を塗布するステップを実行する前に、保護層形成材供給部でローラをしごくとともに保護層形成材を該ローラに供給することにより、ローラに保護層形成材を迅速にしみこませることができる。これによって、車両が搬送ラインの所定位置に到達して停止した時に即座に保護層形成材の塗布作業を開始することができる。
【0016】
本発明に係る保護層形成材の塗布装置は、複数の車両が順次搬送される搬送ラインの近傍に設けられ、ティーチング動作可能なロボットと、前記ロボットを制御する制御部と、前記ロボットに接続され、回転自在であって、乾燥後に剥離性保護層として作用する液状の保護層形成材を吸収して蓄えることのできる材質のローラと、前記ロボットの動作範囲内に配置され、前記ローラをしごき、かつ、前記保護層形成材を供給する保護層形成材供給部と、前記搬送ラインの上流側に設けられた車両検出部と、を有し、前記車両検出部の出力信号で前記制御部はロボットに対しローラのしごき開始信号を送給し、保護層形成材供給部は前記ローラに保護層形成材を供給することを特徴とする。
【0017】
このように、保護層形成材の塗布工程の前に車両検出部を設けることによって、車両が搬送ラインの移動途上でローラをしごき、かつ、保護層形成材を供給しておくために可及的速やかに保護層形成材を塗布することが可能となる。これによって保護層形成材の塗布時間が短縮され、全体として車両の生産効率が向上する。この場合、前記車両が前記ロボットの対峙する所定位置に停止した直後に該ロボットにより保護層形成材を塗布すれば、作業が安定して行われ、かつ、短時間に保護層形成材の塗布作業が完遂される。さらに、前記保護層形成材の材料としてアクリル系コポリマ剤を用いると、車両の塗装部をより確実に保護することができ、しかも除去するときには剥がしやすい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る保護層形成材の塗布方法についてそれを実施する塗布装置との関連で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態に係る保護層形成材の塗布装置10は、自動車の搬送ライン12に設けられ、塗装の終了した車両14に対して保護層形成材を塗布するものである。塗布装置10は、産業用ロボットである3台のロボット16a、16b、16cと、システム全体の制御を行う制御部18と、保護層形成材が収容されたタンク20と、該タンク20から各ロボット16a、16b、16cに連通する塗布材管路22と、水供給源24からロボット16a、16b、16cへ水を供給する水管路26とを有する。ロボット16a、16b、16cはそれぞれ制御部18に接続されたロボットコントローラ28a、28b、28cによって制御される。制御部18には、キーボードやポインティングデバイス等の入力装置18aと、モニタ画面18bが設けられている。
【0020】
ロボット16aおよび16cは、搬送ライン12における車両14の進行方向左手側に備えられ、ロボット16bは、進行方向右手側に備えられている。また、ロボット16aは進行方向前方、ロボット16bは進行方向の中程、ロボット16cは進行方向後方に備えられている。ロボット16a、16b、16cは搬送ライン12と平行なスライドレール30上を移動可能である。
【0021】
塗布材管路22の途中にはポンプ32が設けられており、タンク20から保護層形成材を吸い上げてロボット16a、16b、16cへ供給する。また、保護層形成材は、図示しないヒータと温度計とによって適温となるように制御されている。ロボット16a、16b、16cの先端部には、それぞれ塗布材管路22およびその先端部のチューブ22a(図2参照)によって保護層形成材が供給されるローラ機構部34が設けられている。
【0022】
保護層形成材の材料は、アクリル系コポリマ剤を主成分とするものであって、好ましくは、ガラス転移温度の異なる2種のアクリル系コポリマ部分を有するものであるとよい。具体的には、例えば、前記の特許文献1で示されている保護層形成材を用いるとよい。また、保護層形成材は、水との混合割合および温度の変化によって粘度を調整することができ、しかも、乾燥すると車両14に密着して粉塵、金属粉、塩分、油分、酸、直射日光等から車両14の塗装部を化学的および物理的に保護することができる。さらに、車両14をユーザに納品の際等で除去するときには、容易に剥離させることができる。
【0023】
図2に示すように、ロボット16a、16b、16cは、例えば、産業用の多関節型のロボットであり、ベース部40と、該ベース部40を基準にして順に、第1アーム42、第2アーム44および第3アーム46とを有し、該第3アーム46の先端にローラ機構部34が設けられている。ローラ機構部34は、第3アーム46に対して着脱自在であり、所謂、エンドエフェクタとして作用する。第1アーム42はベース部40に対して水平および垂直に回動可能な軸J1、J2によって回動可能である。第2アーム44は第1アーム42と軸J3で回動可能に連結されている。第2アーム44は軸J4によって捻れ回転が可能になっている。第3アーム46は第2アーム44と軸J5で回動可能に連結されている。第3アーム46は軸J6によって捻れ回転が可能になっている。
【0024】
このような6軸構成のロボット16a、16b、16cの動作によって、先端部に接続されたローラ機構部34は車両14の近傍における任意の位置に移動可能であって、かつ、任意の向きに設定可能である。換言すれば、ローラ機構部34は6自由度の移動が可能である。ロボット16a、16b、16cは、回転動作以外にも伸縮動作、平行リンク動作等の動作部を有するものであってもよい。
【0025】
各ロボット16a、16b、16cの近傍には容器台47が備えられており、該容器台47上には、平型の容器120が固定されている。前記容器台47と平型の容器120は保護層形成材供給部を構成する。容器台47は、ローラ48が到達可能な動作範囲内に備えていればよい。これらの容器120の各ロボット16a、16b、16cに対する相対位置は制御部18に記憶されている。容器120の詳細な構成については後述する。
【0026】
図3に示すように、ローラ機構部34は、第3アーム46の先端部に取り付けられており、円筒形状で保護層形成材を吸収して蓄えることのできる材質のローラ48と、ロボット16aの第3アーム46に対する取付部であるスラスト回転機構69とを有する。該スラスト回転機構69は、第3アーム46に対する取付部材70と、該取付部材70に対してベアリングを介して回転自在に支持されているスラスト回転部材74と、該スラスト回転部材74の下に取り付けられたローラ機構ベース部76とを有する。ローラ48の材質は、例えば、スポンジおよび植毛体等を挙げることができる。
【0027】
また、ローラ機構部34は、ローラ機構ベース部76の両端部に設けられた空気圧シリンダ78および80と、ローラ機構ベース部76の略下端の揺動軸82に揺動自在に軸支された揺動部材84と、ローラ48を保持するホルダ86と揺動部材84とを接続するホルダ接続部88とを有する。ローラ48は揺動軸82を中心として、径方向に揺動自在である。揺動部材84は、上方に延在する2つの上方延在部84aを有し、該上方延在部84aの略上端には、揺動軸82と平行なピン90が設けられている。ピン90は揺動軸82より上方に設定されている。
【0028】
さらに、ローラ機構部34は、前記空気圧シリンダ78および80のロッド78aおよびロッド80aから力を受けて、前記揺動軸82を中心として回転する2つのピン押圧部材92および94を有する。ピン押圧部材92の押圧面92aは、ロッド78aが縮退するとき前記ピン90の一端面を押圧し、ピン押圧部材94の押圧面94aは、ロッド80aが縮退するとき前記ピン90の他端面を押圧する。
【0029】
2つの上方延在部84aの間には、ローラ機構ベース部76から下方に延在する2つの下方延在部76aが配置され、該2つの下方延在部76aの間に押圧面92aおよび94aが配置されている。
【0030】
スラスト回転部材74には回転規制部材96が設けられており、該回転規制部材96の上面の凹部96aには、取付部材70から下に突出する小突起98が配置されている。小突起98の幅は凹部96aの幅よりやや小さく、この隙間の範囲においてスラスト回転部材74はスラスト方向に回転自在となっている。ここでいうスラスト方向とは、ローラ48自体の軸心と直交する方向であり、第3アーム46の軸心を中心とした回転方向である。
【0031】
ホルダ接続部88には、上部と下部で対向する2つのクランパ102および104が設けられている。これらのクランパ102および104はアルミパイプ106を保持しており、該アルミパイプ106により揺動部材84とホルダ86が連結されている。アルミパイプ106の表面には環状溝106aが設けられている。
【0032】
ローラ48の両端はホルダ86により回転自在に保持されており、塗布材管路22の先端部のチューブ22aはホルダ86の一端部を介してローラ48の内部に連通している。ローラ48はホルダ86に対して着脱自在である。
【0033】
図4に示すように、容器120は平型であり、ローラ48および該ローラ48を保持するホルダ86の幅よりやや広い幅に設定されている。容器120は、緩やかに傾斜した傾斜面(平面部)120aと、該傾斜面120aの下部に対して滑らかに接続された貯溜部120bとを有する。貯溜部120bはローラ48の直径程度の深さを有する。傾斜面120aには、全面にわたり小さな網目状の凸部120cが設けられている。傾斜面120aはローラ48の外周径より長く設定されており、該傾斜面120a上でローラ48を転がしたとき少なくとも360°回転させることができる。
【0034】
貯溜部120bには、上部の供給口122から保護層形成材が供給されて溜められる。供給口122は電磁弁124に接続されており、該電磁弁124を制御部18で操作することによって保護層形成材を貯溜部120bに供給することができる。貯溜部120bには液面計126が設けられており、保護層形成材の液面が低下したことを検出し、電磁弁124に作用して保護層形成材を自動的に補給することができる。
【0035】
図5に示すように、ローラ48、容器120に保護層形成材および水を供給するための液圧および空圧の複合回路150は、コンプレッサ152と、該コンプレッサ152の吐出部に接続されたエアタンク154と、空気圧の供給・遮断の切り換えを行う手動の空圧投入弁156と、制御部18から供給される電気信号によって2次側圧力を減少させるレギュレータ158と、該レギュレータ158の2次圧によってパイロット操作されて塗布材管路22の圧力を減少させるレギュレータ操作弁160とを有する。また、複合回路150は、レギュレータ操作弁160の2次側管路および水管路26が接続されたMCV162を有する。MCV162の2次側とローラ48との間には、トリガー弁164が設けられている。MCV162の内部には、塗布材管路22および水管路26の連通・遮断の切り換えを行う切換弁162a、162bが設けられており、該切換弁162a、162bの2次側は連通している。なお、図6の破線は空気圧管路を示す。
【0036】
MCV162およびレギュレータ操作弁160は、空気圧パイロット式に限らず電気ソレノイド等の駆動方式のものでもよい。
【0037】
複合回路150は、さらに、空圧投入弁156から供給される空気圧を切り換えることによって切換弁162a、162bをパイロット形式で操作するMCV切換電磁弁166と、トリガー弁164を空気圧によりパイロット操作するトリガー切換電磁弁168とを有する。
【0038】
MCV切換電磁弁166は、制御部18から供給される電気信号によって、切換弁162a、162bのいずれか一方を連通させるとともに他方を遮断し、水と保護層形成材とを切り換えてトリガー弁164に供給する。トリガー切換電磁弁168は、制御部18から供給される電気信号によってトリガー弁164を連通・遮断に切り換えて、ローラ48に水または保護層形成材を供給する。
【0039】
塗布材管路22および水管路26の途中には、それぞれ手動の止め弁170、172が設けられている。通常、止め弁170および172は連通させておく。複合回路150において空気の排出口にはそれぞれサイレンサ174が設けられており、排気音を低減させている。コンプレッサ152、ポンプ32および水供給源24には、過剰な圧力上昇を防止するリリーフ弁(図示せず)が設けられている。塗布材管路22には前記の電磁弁124が接続されており、該電磁弁124を介して容器120に保護層形成材を供給することができる。
【0040】
なお、複合回路150におけるコンプレッサ152、エアタンク154、水供給源24およびポンプ32は、各ロボット16a、16b、16cに共通であり、それ以外の機器は各ロボット16a、16b、16cに個別に備えられている。
【0041】
この場合、本実施の形態では搬送ライン12の上流側に発光素子200と受光素子202からなる車両検出部204を設けておく。
【0042】
次に、このように構成される保護層形成材の塗布装置10を用いて、車両14に保護層形成材を塗布する方法について説明する。
【0043】
まず、予め、各ロボット16a、16b、16cに対して保護層形成材を塗布する動作の教示を行う。ロボット16a、16b、16cに車両14のボンネット部14a(図1参照)、ルーフ中央部14bおよびルーフ後方部14cをそれぞれ分担させて、各担当部に保護層形成材を塗布させるように教示し、教示したティーチングデータは制御部18の所定の記録部に記録し、保持しておく。車両14がセダン型であるときには、ロボット16cはトランク部を分担する。
【0044】
保護層形成材を塗布する処理は、搬送ライン12において1台の車両14毎に設定されているタクトタイム内で終了するように教示を行う。
【0045】
この場合、本実施の形態では、特に各ロボット16a、16b、16cに対して、以下に示す動作を教示させておく。すなわち、この動作はローラ48を容器120(図4参照)の貯溜部120bに溜めた保護層形成材に浸し、その後、傾斜面120a上でローラ48を複数回(例えば、10回)往復して転がす動作である。このとき、傾斜面120aの下部は、貯溜部120bに対して滑らかに接続されていることから、この動作は簡略かつ滑らかな動作となり、教示が容易である。前記動作はローラ48を塗布に適した状態となるように準備するための動作(しごき動作)であり、ウォーミングアップ動作とも呼ばれる。
【0046】
次に、ロボット16a、16b、16cに対する動作の教示が終了後、車両14に保護層形成材を塗布する方法について説明する。
【0047】
車両検出部204を車両14が通過すると、すなわち、発光素子200から出射される発光光が受光素子202に到達することなく遮られると、その信号で制御部18はロボット16a、16b、16cに対してウォーミングアップ動作の開始を指示する。すなわち、ローラ48を貯溜部120bの保護層形成材に浸し(浸漬ステップ)、その後、傾斜面120a上でローラ48を複数回転がす(転動ステップ)。このとき、チューブ22aからもローラ48の内面に保護層形成材を供給する。
【0048】
チューブ22aから供給される保護層形成材は、ローラ48の表面にしみ出るまでやや時間がかかるが、ウォーミングアップ動作を実行させることによって、直ちに塗布作業を開始することができる。なぜなら、貯溜部120bに溜めた保護層形成材をローラ48に迅速かつ十分にしみこませることができ、また、ローラ48にむらなく保護層形成材をしみこませることができるからである。さらに、保護層形成材をローラ48にしみこませることによって、ローラ48を構成する材質(例えば、植毛体)は柔らかくなり、塗布作業に適した状態となるからである。
【0049】
さらにまた、傾斜面120aの下部は、貯溜部120bに対して滑らかに接続されていることから、ローラ48は貯溜部120bから傾斜面120aに向かって滑らかに移動することができ、保護層形成材が外部に漏出または飛散しにくい。また、ローラ48を転がしたときににじみ出た余分な保護層形成材は、傾斜面120aを流れ落ちて貯溜部120bに溜められるので再利用することも可能である。
【0050】
傾斜面120aは、ローラ48の外周径より長いので、ローラ48を360°以上回転させることができ、保護層形成材をローラ48の全周面に均一にしみこませることができる。ローラ48は傾斜面120aに設けられた網目状の凸部120cによって抵抗を受けるので、空回りすることがない。また、前記凸部120cによりローラ48の表面は小さい圧縮・伸張を繰り返すことになり、保護層形成材がしみ込みやすい。
【0051】
ウォーミング動作を実行させて保護層形成材をローラ48にしみこませた後、ロボット16a、16b、16cを待機姿勢に戻す。この場合、待機姿勢とは、ロボット16a、16b、16cのローラ48が所定位置にあって車両14の上方にあることを意味する。
【0052】
次に、塗装の終了した車両14が搬送ライン12によって搬入され、ロボット16a、16b、16cの近傍で停止する。制御部18は、車両14が搬入されたことを確認して次のステップに移る。車両14の搬入が確認されない場合は、そのまま待機する。
【0053】
前記のように車両14の搬入が確認されると制御部18は、各ロボット16a、16b、16cを教示データに基づいて動作させ、車両14の表面に保護層形成材を塗布する。このとき、制御部18はレギュレータ158(図5参照)を介してレギュレータ操作弁160を制御し、塗布材管路22を適当な圧力に制御する。また、MCV切換電磁弁166を介してMCV162を制御し、塗布材管路22を連通させるとともに水管路26を遮断する。さらに、制御部18はトリガー切換電磁弁168を操作することによってトリガー弁164を連通させる。このような制御部18の作用によって保護層形成材は、適当な圧力および適温に保たれながらローラ機構部34のローラ48の内面に供給される。ローラ48の内面に供給された保護層形成材は、ローラ48の表面ににじみ出るまでにやや時間がかかるが、ウォーミングアップによるしごき動作を実行することにより容器120の貯溜部120bに溜めた保護層形成材をローラ48に十分しみこませているので、塗布工程の当初から保護層形成材を十分かつ均一に車両14に対して塗布することができる。
【0054】
レギュレータ158による圧力制御と、ロボット16a、16b、16cの動作速度およびロッド78aおよび80aに加える力の制御とによって、車両14に塗布する保護層形成材の厚みを調整することができる。
【0055】
このときの車両14は塗装が終了していればよく、部品等が取り付けられていない未完成車であってもよいことはもちろんである。
【0056】
ロボット16a、16b、16cによって保護層形成材が塗布された車両14は、搬送ライン12によって次工程へ搬送される。塗布された保護層形成材は、自然乾燥または送風しながら乾燥させて可剥離性保護層を形成し、車両14の塗装部を保護する。
【0057】
上記したように、本実施の形態に係る保護層形成材の塗布方法および塗布装置10によれば、容器120の貯溜部120bに保護層形成材を溜めておき、ウォーミングアップ動作とともに搬入される各車両が保護層形成材塗布工程に供せられる直前にローラ48に対するしごき動作と保護層形成材の供給調整を実行させることから、ローラ48に保護層形成材を迅速かつ十分にしみこませることができ、その後、各車両に対する保護層形成材の塗布作業を直ちに開始することができる。また、車両14に対する保護層形成材の塗りむらの発生を防止するとともに、塗膜厚が不足することを防止することができる。
【0058】
なお、搬入される各車両毎にウォーミングアップ動作を行うようにしたので、ローラ48が未使用や洗浄後のものであっても保護層形成材を迅速にしみこませることができ、ローラ48の表面を形成する材料を柔らかく馴染ませることができる。
【0059】
さらに、ローラ48を備えるローラ機構部34をロボット16a、16b、16cで操作するとともにローラ48に保護層形成材を供給することにより、保護層形成材を塗布する工程を自動化し、塗布品質を均一化することができる。
【0060】
さらにまた、車両14の表面に保護層形成材を塗布する工程を、従来技術よりもさらに自動化させることができる。
【0061】
またさらに、自動化によって作業者が保護層形成材を塗布する工程がなくなることから、工程数を減少させて生産効率を向上させることができる。また、作業者用の空調設備を省略することができる。従って、空調に要する電力の低減により省エネルギ化を図ることができ、耐環境性を向上させることができるとともに工場の操業コストが低減される。
【0062】
保護層形成材により形成される剥離性保護層は、車両14の出荷後において塗装部を保護することができる一方、工場内においても塗装部を保護することができ、スクラッチカバーの代用となる。従って、車種毎に違う形状の多数のスクラッチカバーを省略することができる。
【0063】
車両14のバンパには着色されていて塗装が不要のものがあるが、保護層形成材はこのようなバンパ等の塗装部以外の箇所に塗布してもよい。
【0064】
本発明に係る保護層形成材の塗布方法および塗布装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成乃至ステップを採り得ることはもちろんである。特に、本実施の形態では、車両14の搬入が保護層形成材の塗布工程が営まれる前に検出され、車両14の搬送ライン12による所定位置まで到達する間にローラ48のしごき作用と前記保護層形成材の供給が行われる。従って、車両14に対して速やかに保護層形成材が塗布される。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る保護層形成材の塗布方法および塗布装置によれば、保護層形成材の塗布作業を迅速に開始させるとともに、保護層形成材の塗りむらの発生と塗膜厚が不足することを防止することができる。
【0066】
また、保護層形成材の材料としてアクリル系コポリマ剤を用いることによって、車両をより確実に保護することができ、しかも除去するときには剥がしやすい。
【0067】
さらにまた、本発明によれば、車両に対する保護層形成材の塗布前であっても車両の搬入に対応して前記塗布の準備が完了している。従って、保護層形成材の塗布時間が短縮され、その結果、車両の生産効率が一層向上する効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る保護層形成材の塗布装置の斜視図である。
【図2】ロボット、該ロボットに設けられたローラ機構部および容器の斜視図である。
【図3】ローラ機構部の拡大斜視図である。
【図4】容器の斜視図である。
【図5】液圧および空圧の複合回路を示す回路図である。
【符号の説明】
10…塗布装置 12…搬送ライン
14…車両 16a、16b、16c…ロボット
18…制御部 20…タンク
22…塗布材管路 22a…チューブ
26…水管路 30…スライドレール
32…ポンプ 34…ローラ機構部
47…容器台 48…ローラ
120…容器 120a…傾斜面
120b…貯溜部 120c…凸部
122…供給口 124…電磁弁
150…複合回路 162…MCV
162a、162b…切換弁 164…トリガー弁
200…発光素子 202…受光素子
204…車両検出部
Claims (5)
- 複数の車両が順次搬送される搬送ラインの近傍に設けられ、ティーチング動作可能なロボットと、
前記ロボットに接続され、回転自在であって、乾燥後に剥離性保護層として作用する液状の保護層形成材を吸収して蓄えることのできる材質のローラと、
前記ロボットの動作範囲内に配置され、前記ローラをしごき、かつ、前記保護層形成材を供給する保護層形成材供給部と、
を用い、
前記車両が前記搬送ラインに沿って移動途上であることを検知することにより、前記保護層形成材供給部において前記ローラをしごきながら前記保護層形成材を供給するステップと、
前記車両が前記搬送ラインの所定位置に到達した際に前記ローラを前記車両に当接させて前記保護層形成材を塗布する塗布ステップと、
を有することを特徴とする保護層形成材の塗布方法。 - 請求項1記載の保護層形成材の塗布方法において、
前記ローラは前記車両が前記搬送ライン上の所定位置に到達して停止した直後に保護層形成材の塗布作業を開始することを特徴とする保護層形成材の塗布方法。 - 請求項1または2に記載の保護層形成材の塗布方法において、
前記保護層形成材の材料は、アクリル系コポリマ剤を主成分とすることを特徴とする保護層形成材の塗布方法。 - 複数の車両が順次搬送される搬送ラインの近傍に設けられ、ティーチング動作可能なロボットと、
前記ロボットを制御する制御部と、
前記ロボットに接続され、回転自在であって、乾燥後に剥離性保護層として作用する液状の保護層形成材を吸収して蓄えることのできる材質のローラと、
前記ロボットの動作範囲内に配置され、前記ローラをしごき、かつ、前記保護層形成材を供給する保護層形成材供給部と、
前記搬送ラインの上流側に設けられた車両検出部と、
を有し、
前記車両検出部の出力信号で前記制御部はロボットに対しローラのしごき開始信号を送給し、保護層形成材供給部は前記ローラに保護層形成材を供給することを特徴とする保護層形成材の塗布装置。 - 請求項4記載の保護層形成材の塗布装置において、前記保護層形成材の材料は、アクリル系コポリマ剤を主成分とすることを特徴とする保護層形成材の塗布装置。
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JP2003112703A JP2004313967A (ja) | 2003-04-17 | 2003-04-17 | 保護層形成材の塗布方法および塗布装置 |
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- 2003-04-17 JP JP2003112703A patent/JP2004313967A/ja active Pending
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