JP4097196B2 - 保護層形成材の塗布装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗装が終了した車両の塗装部を主にした外表面に保護層形成材を塗布する保護層形成材の塗布装置に関し、特に、乾燥後に剥離性保護層として作用する液状の保護層形成材を塗布する保護層形成材の塗布装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両は、製造後にユーザに手渡されるまでに屋外ストックヤードで保管されたり、トレーラ、船等で搬送されることが多い。この間、車両は粉塵、金属粉、塩分、油分、酸、直射日光等に曝されることから、長時間の保管および搬送の間には、車両外表面における複数の塗装層のうち表面層の品質が侵されるおそれがある。このような事態を防ぐため、車両出荷前の段階において塗装部に剥離性保護層を形成させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。剥離性保護層は液状ラップ材である保護層形成材(ストリッパブルペイントとも呼ばれる)を塗布して乾燥させることにより形成され、塗装部を保護することができる。また、除去する際には容易に剥離させることができるとともに、通常の保管時には自然に剥離してしまうことがない。
【0003】
剥離性保護層が乾燥する前の保護層形成材を塗布する工程では、ローラに保護層形成材を付着させて、複数の作業者がローラを転がして保護層形成材の塗布を行っている。
【0004】
このような作業の自動化を図り、作業者の負担を軽減させるとともに塗布品質を均一化させるために、ボディ上に保護層形成材を抽出した後、エアを吹き付けることによって保護層形成材を広げる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この方法によれば保護層形成材の塗布工程における作業の多くが自動化され、作業者の負担を軽減するとともに、タクトタイムを向上させることができて好適である。
【0005】
また、車両を生産する工場では、組み立て作業においてボディを傷つけることがないようにスクラッチカバーと呼ばれる樹脂製のカバーを仮付けすることがある。スクラッチカバーは、例えば、ボディの前方横面に仮付けされ、出荷前に外される。スクラッチカバーは車種毎に違う形状のものを用意する必要があり、さらに搬送ラインにおける日々の生産台数に応じて多数用意する必要がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−89697号公報(段落[0022]〜[0027])
【特許文献2】
特開平8−173882号公報(図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記の特許文献2で開示されている方法では、保護層形成材の広がり具合が必ずしも均一ではなく、また、保護層形成材が飛散することを防ぐために、ルーフの縁部には適用していない。
【0008】
さらに、近時の自動車のボディはより複雑な形状となりつつあり、凹凸部や複雑な曲面を有するものがある。このような凹凸部や曲面にはエアノズルによって保護層形成材を広げるということが困難である。さらにまた、塗装品質が特に重要視されている箇所には保護層形成材をより厚く塗る必要があるが、エアノズルで保護層形成材を広げる場合には塗膜の厚さを調整することは困難である。
【0009】
このようなことから、エアノズルで保護層形成材を広げた後に、数人の作業者がルーフの縁部や凹凸部等の細部にローラで保護層形成材を塗布して仕上げの処理を行う必要がある。従って、保護層形成材の塗布処理は一部を人手作業に頼っており、作業者の負担となるとともに、作業者の熟練度によって塗布品質にばらつきが発生する。
【0010】
このような作業者の作業を軽減し、かつ、作業の品質を均一にするためには産業用のロボットを適用することが検討されるが、ロボットに装着可能であって、しかも保護層形成材を塗布するための適当なローラおよびその保持装置は提案されていない。また、上記のように近時の自動車のボディは複雑な形状となっていることから、ローラをボディに密着させるとともに適切な力で押圧することが困難である。
【0011】
また、この押圧力は、適用箇所や移動方法に応じて容易に調整可能であることが望ましい。さらに、ローラを変位可能な構成とする場合には、使用状況に応じて動かなくなるようにロック可能であることが望ましい。
【0012】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、車両の外表面に保護層形成材を塗布する工程をさらに自動化させるとともに、ローラを車両の外表面に密着させ、保護層形成材を適切に塗布することを可能にする保護層形成材の塗布装置を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明の他の目的は、車両の外表面に対する前記ローラの押圧力を、適用箇所や移動方法に応じて容易に調整可能とし、さらに、使用状況に応じてロック可能な保護層形成材の塗布装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る保護層形成材の塗布装置は、車両の搬送ラインの近傍に設けられ、ティーチング動作可能なロボットと、前記ロボットに接続され、回転自在なローラを備えるローラ機構部と、乾燥後に剥離性保護層として作用する液状の保護層形成材を前記ローラに供給する供給機構部と、を有し、前記ローラ機構部は、前記ローラを軸心と直交する方向に揺動自在に保持する揺動部材と、前記揺動部材に設けられ、前記揺動中心からみて前記ローラと逆の部分に配置された被押圧ピンと、前記ローラの軸方向からみて該揺動部材の揺動中心を基準にして左右に配置され、前記揺動部材に対してそれぞれ対向する方向に力を加える第1空気圧シリンダおよび第2空気圧シリンダと、前記第1空気圧シリンダおよび前記第2空気圧シリンダのそれぞれのロッド先端および前記揺動中心で軸支された一対のピン押圧部材と、を備え、前記第1空気圧シリンダおよび(または)前記第2空気圧シリンダは前記ピン押圧部材で前記被押圧ピンを押圧することにより前記揺動部材に対して揺動する方向に圧力を加え、前記ローラを前記車両の外表面に弾性的に押圧させるとともに、前記外表面の凹凸に応じて受動的に前記ローラを昇降させることを特徴とする。
【0015】
このように、第1空気圧シリンダおよび(または)第2空気圧シリンダによってローラに力を加えながら保護層形成材を塗布するようにすると、ローラを車両の外表面に密着させ、保護層形成材を適切に塗布することができる。すなわち、外表面に多少の凹凸がある箇所についてもローラを密着させることができる。これにより、車両の外表面に保護層形成材を塗布する工程をさらに自動化することができる。また、このようにローラを揺動自在にするとともに第1の空気圧シリンダまたは第2の空気圧シリンダから対向する向きに押圧力を加えることにより、ローラの自重を押圧力として有効に利用するとともに、該自重では不足の押圧力を第1の空気圧シリンダにより補償することができる。また、第1の空気圧シリンダと第2の空気圧シリンダとは揺動部材に対してそれぞれ対向する方向に押圧力を加えるので、揺動部材が時計方向または反時計方向のいずれの方向に傾斜している場合にも適切に動作可能である。
【0016】
この場合、前記第1空気圧シリンダおよび前記第2空気圧シリンダに供給される空気の圧力を調整する押圧力調整機能部を設けるとよい。
【0017】
第1空気圧シリンダおよび第2空気圧シリンダに供給する空気の圧力を調整することにより、ローラの押圧力を、適用箇所や移動方法に応じて容易に調整することができる。また、使用状況に応じてローラが変位しないようにロックすることができる。
【0018】
前記揺動部材は、前記揺動中心からみて前記ローラと逆の部分に被押圧ピンを備え、前記第1空気圧シリンダおよび前記第2空気圧シリンダは、それぞれのロッド先端および前記揺動中心で軸支されたピン押圧部材を備え、該ピン押圧部材で前記被押圧ピンを押圧することにより前記揺動部材に対して揺動する方向に圧力を加える構成でもよい。
【0021】
さらに、前記保護層形成材の材料としてアクリル系コポリマ剤を用いると、車両の塗装部をより確実に保護することができ、しかも除去するときには剥がしやすい。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る保護層形成材の塗布装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図1〜図16を参照しながら説明する。
【0023】
図1および図2に示すように、本実施の形態に係る保護層形成材の塗布装置10は、自動車の搬送ライン12に設けられるものであり、塗装の終了した車両14に対して保護層形成材を塗布するものである。塗布装置10は、産業用ロボットである3台のロボット16a、16b、16cと、システム全体の制御を行う制御部18と、保護層形成材が収容されたタンク20と、該タンク20から各ロボット16a、16b、16cに連通する塗布材管路22と、水供給源24からロボット16a、16b、16cへ水を供給する水管路26とを有する。ロボット16a、16b、16cはそれぞれ制御部18に接続されたロボットコントローラ28a、28b、28cによって制御される。
【0024】
ロボット16aおよび16cは、搬送ライン12における車両14の進行方向左手側に設けられ、ロボット16bは、進行方向右手側に備えられている。また、ロボット16aは進行方向前方、ロボット16bは進行方向の中程、ロボット16cは進行方向後方に備えられている。ロボット16a、16b、16cは搬送ライン12と平行なスライドレール30上を移動可能である。
【0025】
塗布材管路22の途中にはポンプ32が設けられており、タンク20から保護層形成材を吸い上げてロボット16a、16b、16cへ供給する。また、タンク20および塗布材管路22は、図示しないヒータと温度計とによって温度制御されており、保護層形成材を適温に保っている。ロボット16a、16b、16cの先端部には、それぞれ塗布材管路22によって保護層形成材が供給されるローラ機構部34が設けられている。
【0026】
保護層形成材の材料は、アクリル系コポリマ剤を主成分とするものであって、好ましくは、ガラス転移温度の異なる2種のアクリル系コポリマ部分を有するものであるとよい。具体的には、例えば、前記の特許文献1で示されている保護層形成材を用いるとよい。また、保護層形成材は、水との混合割合および温度の変化によって粘度を調整することができ、しかも、乾燥すると車両14に密着して粉塵、金属粉、塩分、油分、酸、直射日光等から車両14の塗装部を化学的および物理的に保護することができる。さらに、車両14をユーザに納品の際等で除去するときには、容易に剥離させることができる。
【0027】
図3に示すように、ロボット16a、16b、16cは、例えば、産業用の多関節型のロボットであり、ベース部40と、該ベース部40を基準にして順に、第1アーム42、第2アーム44および第3アーム46とを有し、該第3アーム46の先端にローラ機構部34が設けられている。ローラ機構部34は、第3アーム46に対して着脱自在であり、所謂、エンドエフェクタとして作用する。第1アーム42はベース部40に対して水平および垂直に回動可能な軸J1、J2によって回動可能である。第2アーム44は第1アーム42と軸J3で回動可能に連結されている。第2アーム44は軸J4によって捻れ回転が可能になっている。第3アーム46は第2アーム44と軸J5で回動可能に連結されている。第3アーム46は軸J6によって捻れ回転が可能になっている。
【0028】
このような6軸構成のロボット16a、16b、16cの動作によって、先端部に接続されたローラ機構部34は車両14の近傍における任意の位置に移動可能であって、かつ、任意の向きに設定可能である。換言すれば、ローラ機構部34は6自由度の移動が可能である。ロボット16a、16b、16cは、回転動作以外にも伸縮動作、平行リンク動作等の動作部を有するものであってもよい。
【0029】
図4に示すように、ローラ機構部34は、第3アーム46の先端部に取り付けられており、円筒形状で保護層形成材を吸収して蓄えることのできる材質のローラ48と、該ローラ48を指示するパイプ50と、該パイプ50を進退させる空気圧シリンダ(クッション機能部)52と、空気圧シリンダ52のロッド52aとパイプ50とを接続する接続部材54と、該接続部材54を支持して上下方向に案内するレール56とを有する。ローラ48の材質は、例えば、スポンジおよび植毛体等を挙げることができる。
【0030】
空気圧シリンダ52は、一端が第3アーム46に固定されており、ボトム側およびロッド側のそれぞれの空気圧を調整することにより、ロッド52aに力を発生させることができる。
【0031】
ロッド52aは第3アーム46の軸方向延長上に配置されている。また、ロッド52aとパイプ50の根元部50aとは接続部材54を介して突き合わされて接続されている。レール56の一端は空気圧シリンダ52の側面と第3アーム46の先端部とに固定されている。レール56の案内支持部56aの一部は接続部材54に固定されており、該接続部材54は、案内支持部56aを介してレール56に案内される。
【0032】
パイプ50は、略90°の屈曲部50bと、U字の屈曲部50cと、該屈曲部50cの先端側のローラ取付部50dとを有する。ローラ取付部50dとロッド52aとのそれぞれの軸心は直交する。また、パイプ50は中空となっており、ローラ取付部50dの先端部は塞がれている。ローラ取付部50dには小さい複数の孔が設けられている。
【0033】
接続部材54には塗布材管路22の先端が接続されており、該塗布材管路22とパイプ50は連通している。従って、塗布材管路22から保護層形成材が供給されると、該保護層形成材は、接続部材54およびパイプ50を通り、ローラ48の表面ににじみ出る。また、ローラ48はローラ取付部50dから着脱自在であり交換、洗浄およびメンテナンスを行うことができる。
【0034】
図5に示すように、ローラ48に保護層形成材を供給するための液圧および空圧の複合回路(供給機構部)150は、コンプレッサ152と、該コンプレッサ152の吐出部に接続されたエアタンク154と、空気圧の供給・遮断の切り換えを行う手動の空圧投入弁156と、制御部18から供給される電気信号によって2次側圧力を減少させるレギュレータ158と、該レギュレータ158の2次圧によってパイロット操作されて塗布材管路22の圧力を減少させるレギュレータ操作弁160とを有する。また、複合回路150は、レギュレータ操作弁160の2次側管路および水管路26が接続されたMCV(Material Control Valve、供給切換弁)162と、MCV162の2次側とローラ48との間に設けられたトリガー弁164とを有する。MCV162の内部には、塗布材管路22および水管路26の連通・遮断の切り換えを行う切換弁162a、162bが設けられており、該切換弁162a、162bの2次側は連通している。なお、図5の破線は空気圧管路を示す。
【0035】
MCV162、トリガー弁164およびレギュレータ操作弁160は、空気圧パイロット式に限らず電気ソレノイド等の駆動方式のものでもよい。
【0036】
複合回路150は、さらに、空圧投入弁156から供給される空気圧を切り換えることによって切換弁162a、162bをパイロット形式で操作するMCV切換電磁弁166と、トリガー弁164をパイロット操作するトリガー切換電磁弁168とを有する。MCV切換電磁弁166は制御部18から供給される電気信号によって、切換弁162a、162bのいずれか一方を連通させるとともに他方を遮断し、水と保護層形成材とを切り換えてトリガー弁164に供給する。トリガー切換電磁弁168は、制御部18から供給される電気信号によってトリガー弁164を連通・遮断状態に切り換えて、ローラ48に水または保護層形成材を供給する。
【0037】
塗布材管路22および水管路26の途中には、それぞれ手動の止め弁170、172が設けられている。通常、止め弁170および172は連通させておく。複合回路150において空気の排出口にはそれぞれサイレンサ174が設けられており、排気音を低減させている。コンプレッサ152、ポンプ32および水供給源24には、過剰な圧力上昇を防止するリリーフ弁(図示せず)が設けられている。
【0038】
空気圧シリンダ52のボトム側には電磁パイロット式のレギュレータ(押圧力調整機能部)176を介して減圧した空気が供給される。該レギュレータ176は制御部18によって電気的に操作され、または、所定のダイヤル等により手動で操作されて保護層形成材の塗布時に2次側の圧力値を適宜変更可能である。レギュレータ176の2次側は空気圧シリンダ52のボトム側に連通している。空気圧シリンダ52のロッド側の空気はサイレンサ174を介して排出自在となっている。
【0039】
なお、複合回路150におけるコンプレッサ152、エアタンク154、水供給源24およびポンプ32は、各ロボット16a、16b、16cに共通であり、それ以外の機器は各ロボット16a、16b、16cに個別に備えられている。
【0040】
次に、このように構成される保護層形成材の塗布装置10を用いて、車両14に保護層形成材を塗布する方法について説明する。
【0041】
まず、予め、各ロボット16a、16b、16cに対して動作の教示を行う。ロボット16a、16b、16cに車両14のボンネット部14a(図1参照)、ルーフ中央部14bおよびルーフ後方部14cをそれぞれ分担させて、各担当部に保護層形成材を塗布させるように教示し、教示したティーチングデータは制御部18の所定の記録部に記録し、保持しておく。車両14がセダン型であるときには、ロボット16cはトランク部を分担する。
【0042】
図6に示すように、ロボット16aの第3アーム46と車両14の表面との距離は長さLとなるように動作の教示を行う。この長さLはロッド52aの最小ストロークに対応する長さL1より大きく、最大ストロークに対応する長さL2より小さい値に設定する。
【0043】
第3アーム46と車両14の表面の距離は基本的に長さLに保つが、例えば、深さdの浅い凹部500および高さdの凸部502は無視し、第3アーム46と車両14の表面との距離を、L+dまたはL−dとしてもよい。このように浅い凹部500や比較的低い凸部502も無視することによりロボット16aの動作教示が容易になる。
【0044】
保護層形成材を塗布する処理は、搬送ライン12において1台の車両14毎に設定されているタクトタイム内で終了するように教示を行う。
【0045】
次に、車両14に保護層形成材を塗布する際には、タンク20(図5参照)および塗布材管路22を所定のヒータによって適温に加温するとともに、コンプレッサ152、水供給源24およびポンプ32を動作させる。また、ロボット16a、16b、16cを車両14と干渉することのない位置で待機させ、空圧投入弁156を連通させる。
【0046】
次いで、塗装の終了した車両14を搬送ライン12によって搬入し、ロボット16a、16b、16cの近傍で停止させる。制御部18は、車両14が搬入されたことを搬送ライン12から供給される信号またはセンサ(図示せず)によって認識し、各ロボット16a、16b、16cを教示データに基づいて動作させる。
【0047】
このとき、制御部18はレギュレータ158(図5参照)を介してレギュレータ操作弁160を制御し、塗布材管路22を適当な圧力に制御する。また、制御部18は、MCV切換電磁弁166を介してMCV162を制御し、塗布材管路22を連通させるとともに水管路26を遮断する。さらに、制御部18はトリガー切換電磁弁168を操作することによってトリガー弁164を連通させる。このような制御部18の作用によって保護層形成材は適当な圧力および適温に保たれながらローラ機構部34のローラ48に供給され、該ローラ48の表面に適量がしみ出る。
【0048】
また、空気圧シリンダ52のボトム側に小さい圧力を加えるとともに、ロッド側の圧力を略0にする。これにより、ロッド52aは延出方向に適切な力を受ける。空気圧シリンダ52に加える圧力は、内部のピストン径、ロッド径、ローラ48の自重および適用箇所や移動方法に応じて調整する。この調整は、レギュレータ176の設定を電気的操作またはダイヤル操作により容易に行うことができ、しかも、塗装の最中にも連続的かつ任意の値に調整可能である。
【0049】
また、空気圧シリンダ52に加える圧力を比較的大きく設定することにより、ローラ48が動かないようにロックすることもできる。ローラ48をロックすることにより、例えば、ローラ48を車両14の表面から離間して比較的長距離を移動させる場合にローラ48が不用意に動くことがなく、長距離を高速で移動させることができる。
【0050】
このようにして、ローラ48は適切な押圧力で車両14の表面に押しつけられることになり、保護層形成材を塗布することができる。このとき、ローラ48は車両14の表面形状に沿って受動的に昇降可能であることから、凹部500および凸部502に対しても確実に密着させて保護層形成材を塗布することができる。つまり、ローラ48が凹部500および凸部502を通過する際には、凹部500の深さdおよび凸部502の高さdに応じてロッド52aが受動的に伸縮する。この伸縮動作はレール56の作用によって滑らかに行われる。また、ローラ48はレール56により支持されているので、ローラ48が受ける外力の方向がどのような向きであってもロッド52aに対して軸方向以外の方向の力がかかることを防止できる。
【0051】
ローラ48は、適当な押圧力で車両14の表面に押しつけられていることから空回りしたり、凹部500および凸部502を通過するときに飛び跳ねることがない。また、ローラ48から保護層形成材がしみ出しやすい。
【0052】
また、不測の事態により、ロボット16aの動作が所定の教示経路をやや外れて第3アーム46が車両14の表面に近づいた場合においても、ローラ48は車両14の表面に対して昇降可能であるとともに、表面に対する押圧力は空気圧シリンダ52に供給される空気圧により制御されているので、車両14に過度な力が加わることがない。特に、空気圧シリンダ52は、駆動流体として圧縮性に富む空気を用いていることから柔軟な動作が可能であり、外力の変動を吸収しやすい。
【0053】
レギュレータ158による圧力制御、ロボット16a、16b、16cの動作速度およびロッド52aに加える力の制御とによって車両14に塗布する保護層形成材の厚みを調整することができる。
【0054】
このときの車両14は塗装が終了していればよく、部品等が取り付けられていない未完成車であってもよいことはもちろんである。
【0055】
ロボット16a、16b、16cによって保護層形成材が塗布された車両14は、搬送ライン12によって次工程へ搬送される。ロボット16a、16b、16cは、車両14と干渉することのない待機姿勢に待避して、つぎの車両14が搬入されるまで待機する。このとき、トリガー弁164を遮断させ保護層形成材の供給を停止させる。
【0056】
塗布された保護層形成材は、自然乾燥または送風しながら乾燥させて可剥離性保護層を形成し、車両14の塗装部を保護する。
【0057】
次に、ローラ機構部34の第1〜第3の変形例について図7〜図16を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、ローラ機構部34と同じ箇所については同じ参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0058】
図7に示すように、第1の変形例であるローラ機構部34aは、前記のローラ機構部34における空気圧シリンダ52と第3アーム46との間に2つの直交するシフトベース60および62が設けられている。空気圧シリンダ52はシフトベース60に取り付けられており、矢印X方向にスライド可能である。該シフトベース60はシフトベース62に取り付けられており、矢印Y方向にスライド可能である。シフトベース62は第3アーム46に取り付けられている。ロッド52aの進退する方向を矢印Zとしたとき、矢印X、YおよびZはそれぞれ直交する。矢印Yはローラ48の軸方向と平行である。
【0059】
このようにシフトベース60および62を介在させることにより、ローラ48は矢印X方向および矢印Y方向にスライド可能であり、結局、矢印Zに直交する面において任意の方向に移動可能となる。保護層形成材を車両14に塗布する際、ローラ48が車両14の表面から受ける力の方向は必ずしも矢印Z方向に一致しているとは限らず、矢印X方向および矢印Y方向の成分も含まれていることがある。この場合、シフトベース60および62により車両14の表面から受ける力の上下方向、つまり矢印Z方向の成分はロッド52aにより吸収することができ、それ以外の矢印XおよびY方向の成分はシフトベース60および62により吸収される。従って、パイプ50およびロッド52a等に過大な外力が加わることがない。また、車両14の表面に反作用としての過大な力が加わることがない。ロッド52aはレール56により支持されているが、シフトベース60および62によってより確実に支持および保護することができる。
【0060】
図8〜図10に示すように、第2の変形例であるローラ機構部34bは、ロボット16aの第3アーム46の先端部に取り付けられており、円筒形状で保護層形成材を吸収して蓄えることのできる材質のローラ48と、ロボット16aの第3アーム46に対する取付部であるスラスト回転機構69とを有する。該スラスト回転機構69は、第3アーム46に対する取付部材70と、該取付部材70に対しベアリング72を介して回転自在に支持されているスラスト回転部材74と、該スラスト回転部材74の下に取り付けられたベース部76とを有する。
【0061】
また、ローラ機構部34bは、ベース部76の両端部に設けられた空気圧シリンダ78および80と、ベース部76の略下端の揺動軸82に揺動自在に軸支された揺動部材84と、ローラ48を保持するホルダ86と揺動部材84とを接続するホルダ接続部88とを有する。ローラ48は揺動軸82を中心として、径方向に揺動自在である。揺動部材84は、上方に延在する2つの上方延在部84aを有し、該上方延在部84aの略上端には、揺動軸82と平行なピン90が設けられている。ピン90は揺動軸82より上方に設定されている。さらに、ローラ機構部34bは、前記空気圧シリンダ78および80のロッド78aおよびロッド80aから力を受けて、前記揺動軸82を中心として回転する2つのピン押圧部材92および94を有する。ピン押圧部材92の押圧面92aは、ロッド78aが縮退するとき図10における前記ピン90の左面を押圧し、ピン押圧部材94の押圧面94aは、ロッド80aが縮退するとき図10における前記ピン90の右面を押圧する。
【0062】
2つの上方延在部84aの間には、ベース部76から下方に延在する2つの下方延在部76aが配置され、該2つの下方延在部76aの間に押圧面92aおよび94aが配置されている。
【0063】
スラスト回転部材74には回転規制部材96が設けられており、該回転規制部材96の上面の凹部96aには、取付部材70から下に突出する小突起98が配置されている。小突起98の幅は凹部96aの幅よりやや小さく、この隙間の範囲においてスラスト回転部材74はスラスト方向に回転自在となっている。ここでいうスラスト方向とは、ローラ48自体の軸心と直交する方向であり、第3アーム46の軸心Cを中心とした回転方向である。取付部材70を第3アーム46に取り付けるためのボルト100を小突起98に兼用してもよい。
【0064】
ホルダ接続部88には上部と下部で対向する2つのクランパ102および104が設けられている。これらのクランパ102および104はアルミパイプ106を保持しており、該アルミパイプ106により揺動部材84とホルダ86が連結されている。アルミパイプ106の表面には環状溝106aが設けられている。
【0065】
ローラ48の両端はホルダ86により回転自在に保持されており、塗布材管路22はホルダ86の一端部を介してローラ48の内部に連通している。ローラ48はホルダ86に対して着脱自在である。
【0066】
次に、このように構成されるローラ機構部34bを用いて保護層形成材を塗布する方法について説明する。
【0067】
図11に示すように、ロボット16aの第3アーム46と車両14の表面との距離を適当に保ち、揺動部材84の傾斜角度を所定の角度θとなるように教示する。揺動部材84の傾斜角度は基本的に角度θに保つが、例えば、凹部500および凸部502は無視し、揺動部材84の傾斜角度を多少変化させるようにしてもよい。このように浅い凹部500や比較的低い凸部502を無視することによりロボット16aの動作教示が容易になる。
【0068】
次に、図11に示すようにロボット16aを右方向へ移動させながら車両14に保護層形成材を塗布する際には、ロッド80aが縮退する方向に比較的弱い力Faを発生するように右側の空気圧シリンダ80に空気を供給する。また、ロッド78aが延出するように左側の空気圧シリンダ78に空気を供給する。このようにすることにより、右側のピン押圧部材94の押圧面94aはピン90の右側面を比較的弱い力で押圧し、左側のピン押圧部材92の押圧面92aはピン90から離間する。従って、揺動部材84およびローラ48は揺動軸82を中心として反時計方向の力を受けることになり、ローラ48が適当な押圧力で車両14の表面に押圧される。
【0069】
ローラ48の適用箇所や移動方法に応じて力Faを適宜調整するとよい。この調整は、前記レギュレータ176に相当する押圧力調整機能部を制御部18により操作し、または、所定のダイアル等を操作することにより容易に調整可能である。
【0070】
図12に示すように、ロボット16aを左方向に移動させながら車両14に保護層形成材を塗布する際には、ロッド78aが縮退する方向に比較的弱い力Faを発生するように左側の空気圧シリンダ78に空気を供給する。また、ロッド80aが延出するように右側の空気圧シリンダ80に空気を供給する。このようにすることにより、左側のピン押圧部材92の押圧面92aはピン90の左側面を比較的弱い力で押圧し、右側のピン押圧部材94の押圧面94aはピン90から離間する。従って、揺動部材84およびローラ48は揺動軸82を中心として時計方向の力を受けることになり、ローラ48が適当な押圧力で車両14の表面に押圧される。
【0071】
このように、ロボット16aの進行方向に応じて空気圧シリンダ78および80に供給する空気の流れの方向と圧力とを制御することにより、ローラ48を車両14の表面に対して適度に押圧することができる。つまり、ローラ48の自重を押圧力として有効に利用するとともに、該自重では不足の押圧力を空気圧シリンダ78または空気圧シリンダ80により補償することができる。
【0072】
これにより、ローラ48が空回りしたり、凹部500および凸部502を通過するときに飛び跳ねることがない。また、ローラ48から保護層形成材がしみ出しやすい。このとき、ローラ48は揺動軸82を中心として揺動可能であることから、凹部500および凸部502に対しても確実に密着させて保護層形成材を塗布することができる。つまり、ローラ48が凹部500および凸部502を通過する際には、凹部500の深さdおよび凸部502の高さに応じてロッド78aまたは80aが伸縮する。空気圧シリンダ78および80は、駆動流体として圧縮性に富む空気を用いていることから柔軟な動作が可能であり、外力の変動を吸収しやすい。
【0073】
空気圧シリンダ78のロッド78aに連結されたピン押圧部材92と空気圧シリンダ80のロッド80aに連結されたピン押圧部材94は、揺動部材84に対してそれぞれ対向する方向に押圧力を加えるので、揺動部材84が時計方向または反時計方向のいずれの方向に傾斜している場合にも適切に動作可能である。これにより、右方向および左方向のいずれの方向へも保護層形成材を塗布することができる。
【0074】
また、図13に示すように、空気圧シリンダ78のロッド78aおよび空気圧シリンダ80のロッド80aの双方を縮退するように作用させてもよい。例えば、ロボット16aを図13の右方向へ移動させる場合、ロッド80aが縮退する方向に比較的弱い力Faを発生させるとともに、ロッド78aが縮退する方向に非常に弱い力Fbを発生させる。力Faは力Fbより大きく設定し、これらの力FaおよびFbを適切に設定することにより、ローラ48を車両14の表面に対して適切な力で押圧させることができる。
【0075】
さらに、図14に示すように、空気圧シリンダ78のロッド78aおよび空気圧シリンダ80のロッド80aの双方を延出するように作用させてもよい。このようにすると、ピン押圧部材92の押圧面92aとピン押圧部材94の押圧面94aの双方がピン90から離間し、揺動部材84に加わる力はなくなる。従って、ローラ48は自重だけで車両14の表面を押圧することとなる。特に、ローラ48が比較的重く車両14の表面に対する十分な押圧力を有する場合には、ロッド78aおよび80aの双方を延出させて揺動部材84を揺動自在とするとよい。
【0076】
さらにまた、図15に示すように、狭い幅で比較的深い溝504に保護層形成材を塗布する際には、ロッド78aおよびロッド80aの双方を強い力Fcで縮退させるとよい。この場合、揺動部材84は力学的なバランスにより軸心C(図10参照)と一致する方向に設定されるとともに、左右いずれの方向にも揺動し難くなり、所謂、ロックされた状態になる。このように揺動部材84をロックした状態でローラ48を溝504に比較的強く押し込むことによりローラ48から保護層形成材がしみ出し、該溝504に対して保護層形成材を塗布することができる。
【0077】
また、ローラ48を車両14の表面に接触させずに比較的長距離を移動させる場合には揺動部材84をロックしておくとよい。ロックすることにより、揺動部材84が不用意に揺動することがなく、長距離を高速で移動させることができる。
【0078】
次に、図16に示すように、第3の変形例であるローラ機構部34cは、ローラ機構部34b(図10参照)におけるピン押圧部材92および94(図10参照)をピン押圧部材306および308で置き換えたものである。ピン押圧部材306および308はそれぞれロッド78a、80aから力を受けて揺動軸82を中心として回転する。ピン押圧部材306の押圧面306aは、ロッド78aが延出するとき図16における前記ピン90の右面を押圧し、ピン押圧部材308の押圧面308aは、ロッド80aが延出するとき図16における前記ピン90の左面を押圧する。このような構成とすることにより、ロッド78aおよび80aの延出する力を制御してローラ48の押圧力を調整することができる。この場合、ロッド78aおよび80aに加わる力の向きが前記のローラ機構部34bと逆の向きとなる。
【0079】
なお、ローラ機構部34およびその変形例であるローラ機構部34a、34bおよび34cはそれぞれ機能の一部を組み合わせて用いてもよい。例えば、ローラ機構部34aのシフトベース60および62(図7参照)をローラ機構部34bに設けてもよい。また、ローラ48を保持する機構はパイプ50(図4参照)またはホルダ86(図8参照)のいずれを用いてもよい。
【0080】
さらに、各ローラ機構部34、34a、34bおよび34cにおけるローラ48に対するクッション機能を作用させる部分(空気圧シリンダ52、78および80)には、振動を抑制する適当な減衰機能を持たせてもよい。
【0081】
上記したように、本実施の形態に係る保護層形成材の塗布装置10によれば、ローラ48を備えるローラ機構部34、34a、34bまたは34cをロボット16a、16b、16cで操作するとともにローラ48に保護層形成材を供給することにより、保護層形成材を塗布する工程を自動化し、塗布品質を均一化することができる。
【0082】
また、車両14の表面に対するローラ48の押圧力を、適用箇所や移動方法に応じて容易に調整することができ、さらに、使用状況に応じてローラ48が変位しないようにロックすることができる。
【0083】
さらに、車両14の表面に対するローラ48の押圧力は、空気圧シリンダ52、78および80に供給される空気圧力によって設定されることから、これらの空気圧力を一定に保つことにより経時変化を防ぐことができる。従って、保護層形成材の塗布品質のばらつきを防ぐことができる。
【0084】
さらにまた、ローラ機構部34、34a、34bおよび34cは、ローラ48を車両14の表面に押圧させるとともに、凹凸に応じてローラ48を受動的に昇降させる機能を有するので、ローラ48を車両14の外表面に密着させ、保護層形成材を適切に塗布することができる。
【0085】
そしてまた、自動化によって作業者が保護層形成材を塗布する工程がなくなることから、工程数を減少させて生産効率を向上させることができる。さらに、作業者用の空調設備を省略することができる。従って、空調に要する電力の低減により省エネルギ化を図ることができ、耐環境性を向上させることができるとともに工場の操業コストが低減化される。
【0086】
保護層形成材により形成される剥離性保護層は、車両14の出荷後において塗装部を保護することができる一方、工場内においても塗装部を保護することができスクラッチカバーの代用となる。従って、車種毎に違う形状の多数のスクラッチカバーを省略することができる。
【0087】
車両14のバンパには着色されていて塗装が不要のものがあるが、保護層形成材はこのようなバンパ等の塗装部以外の箇所に塗布してもよい。
【0088】
本発明に係る保護層形成材の塗布装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0089】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る保護層形成材の塗布装置によれば、車両の外表面に保護層形成材を塗布する工程をさらに自動化させるとともに、ローラを車両の外表面に密着させ、保護層形成材を適切に塗布するという効果を達成することができる。
【0090】
また、車両の外表面に対するローラの押圧力を、適用箇所や移動方法に応じて容易に調整することができ、さらに、使用状況に応じてローラが変位しないようにロックすることができる。
【0091】
さらに、保護層形成材の材料としてアクリル系コポリマ剤を用いることによって、車両をより確実に保護することができ、しかも除去するときには剥がしやすい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る保護層形成材の塗布装置の斜視図である。
【図2】本実施の形態に係る保護層形成材の塗布装置の正面図である。
【図3】ロボットおよび該ロボットに設けられたローラ機構部の斜視図である。
【図4】ローラ機構部の拡大斜視図である。
【図5】液圧および空圧の複合回路を示す回路図である。
【図6】ロボットの動作を教示する過程におけるローラ機構部と車両の表面との位置関係を示す模式図である。
【図7】第1の変形例に係るローラ機構部の拡大斜視図である。
【図8】第2の変形例に係るローラ機構部の拡大斜視図である。
【図9】第2の変形例に係るローラ機構部の一部断面拡大正面図である。
【図10】第2の変形例に係るローラ機構部の一部断面拡大側面図である。
【図11】第2の変形例に係るローラ機構部を有するロボットを右方向へ動作させる過程において、ロボットと車両の表面との位置関係を示す模式図である。
【図12】第2の変形例に係るローラ機構部を有するロボットを左方向へ動作させる際の、ロボットと車両の表面との位置関係を示す模式図である。
【図13】第2の変形例に係るローラ機構部における左右の空気圧シリンダのロッドをそれぞれ縮退させながら保護層形成材を塗布する際の、ロボットと車両の表面との位置関係を示す模式図である。
【図14】第2の変形例に係るローラ機構部における左右の空気圧シリンダのロッドをそれぞれ延出させながら保護層形成材を塗布する際の、ロボットと車両の表面との位置関係を示す模式図である。
【図15】第2の変形例に係るローラ機構部における左右の空気圧シリンダのロッドをそれぞれ強い力で縮退させながら保護層形成材を塗布する際の、ロボットと車両の表面との位置関係を示す模式図である。
【図16】第3の変形例に係るローラ機構部の一部断面拡大正面図である。
【符号の説明】
10…塗布装置 12…搬送ライン
14…車両 16a、16b、16c…ロボット
18…制御部 20…タンク
22…塗布材管路 26…水管路
30…スライドレール 32…ポンプ
34、34a、34b、34c…ローラ機構部
48…ローラ 50…パイプ
52、78、80…空気圧シリンダ 52a、78a、80a…ロッド
54…接続部材 56…レール
60、62…シフトベース 82…揺動軸
84…揺動部材 86…ホルダ
90…ピン
92、94、306、308…ピン押圧部材
92a、94a、306a、308a…押圧面

Claims (3)

  1. 車両の搬送ラインの近傍に設けられ、ティーチング動作可能なロボットと、
    前記ロボットに接続され、回転自在なローラを備えるローラ機構部と、
    乾燥後に剥離性保護層として作用する液状の保護層形成材を前記ローラに供給する供給機構部と、
    を有し、
    前記ローラ機構部は、
    前記ローラを軸心と直交する方向に揺動自在に保持する揺動部材と、
    前記揺動部材に設けられ、前記揺動中心からみて前記ローラと逆の部分に配置された被押圧ピンと、
    前記ローラの軸方向からみて該揺動部材の揺動中心を基準にして左右に配置され、前記揺動部材に対してそれぞれ対向する方向に力を加える第1空気圧シリンダおよび第2空気圧シリンダと、
    前記第1空気圧シリンダおよび前記第2空気圧シリンダのそれぞれのロッド先端および前記揺動中心で軸支された一対のピン押圧部材と、
    を備え、
    前記第1空気圧シリンダおよび(または)前記第2空気圧シリンダは前記ピン押圧部材で前記被押圧ピンを押圧することにより前記揺動部材に対して揺動する方向に圧力を加え、前記ローラを前記車両の外表面に弾性的に押圧させるとともに、前記外表面の凹凸に応じて受動的に前記ローラを昇降させることを特徴とする保護層形成材の塗布装置。
  2. 請求項1記載の保護層形成材の塗布装置において、
    前記第1空気圧シリンダおよび前記第2空気圧シリンダに供給される空気の圧力を調整する押圧力調整機能部を有することを特徴とする保護層形成材の塗布装置。
  3. 請求項1または2記載の保護層形成材の塗布装置において、
    前記保護層形成材の材料は、アクリル系コポリマ剤であることを特徴とする保護層形成材の塗布装置。
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