JP3939266B2 - 保護層形成材の塗布方法 - Google Patents

保護層形成材の塗布方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗装が終了した車両の塗装部を主とする外表面に保護層形成材を塗布する保護層形成材の塗布方法に関し、特に、乾燥後に剥離性保護層として作用する液状の保護層形成材を塗布する保護層形成材の塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両は、製造後にユーザに手渡されるまでに屋外ストックヤードで保管されたり、トレーラ、船等で搬送されることが多い。この間、車両は粉塵、金属粉、塩分、油分、酸、直射日光等に曝されることから、長時間の保管及び搬送の間には、車両の外表面における複数の塗装層のうち表面層の品質が侵されるおそれがある。このような事態を防ぐため、車両出荷前の段階において塗装部に剥離性保護層を形成させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。剥離性保護層は液状ラップ材である保護層形成材(ストリッパブルペイントとも呼ばれる)を塗布して乾燥させることにより形成され、塗装部を保護することができる。また、除去する際には容易に剥離させることができるとともに、通常の保管時には自然に剥離してしまうことがない。
【0003】
剥離性保護層が乾燥する前の保護層形成材を塗布する工程では、ローラに保護層形成材を付着させて、複数の作業者がローラを転がして保護層形成材の塗布を行っている。
【0004】
このような作業の自動化を図り、作業者の負担を軽減させるとともに塗布品質を均一化させるために、ボディ上に保護層形成材を抽出した後、エアを吹き付けることによって保護層形成材を広げる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この方法によれば保護層形成材の塗布工程における作業の多くが自動化され、作業者の負担を軽減するとともに、タクトタイムを向上させることができて好適である。
【0005】
また、車両を生産する工場では、組み立て作業においてボディを傷つけることがないようにスクラッチカバーと呼ばれる樹脂製のカバーを仮付けすることがある。スクラッチカバーは、例えば、ボディの前方横面に仮付けされ、出荷前に外される。スクラッチカバーは車種毎に違う形状のものを用意する必要があり、さらに搬送ラインにおける日々の生産台数に応じて多数用意する必要がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−89697号公報(段落[0022]〜[0027])
【特許文献2】
特開平8−173882号公報(図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記の特許文献2で開示されている方法では、保護層形成材の広がり具合が必ずしも均一ではなく、また、保護層形成材が飛散することを防ぐために、ルーフの縁部には適用していない。
【0008】
さらに、近時の自動車のボディはより複雑な形状となりつつあり、凹凸部や複雑な曲面を有するものがある。このような凹凸部や曲面にはエアノズルによって保護層形成材を広げるということが困難である。さらにまた、塗装品質が特に重要視されている箇所には保護層形成材をより厚く塗る必要があるが、エアノズルで保護層形成材を広げる場合には塗膜の厚さを調整することは困難である。
【0009】
このようなことから、エアノズルで保護層形成材を広げた後に、数人の作業者がルーフの縁部や凹凸部等の細部にローラで保護層形成材を塗布して仕上げの処理を行う必要がある。従って、保護層形成材の塗布処理は一部を人手作業に頼っており、作業者の負担となるとともに、作業者の熟練度によって塗布品質にばらつきが発生する。
【0010】
このような作業者の作業を軽減し、かつ、作業の品質を均一にするためには産業用のロボットを採用し、該ロボットに保護層形成材を車両に塗布するためのローラを設けることが検討される。
【0011】
ところで、作業者がローラを用いて保護層形成材を塗布する際には、塗布面の形状や曲率に応じて適度な力を加え、かつ、ローラを保持するホルダを適当な角度に維持してローラを転動させている。この場合、作業者は、その熟練度に応じて押圧力やホルダの角度をほぼ無意識に調整している。
【0012】
このような作業者の技能は数値化されているものではなく、ロボットの動作に適用することができない。また、仮に作業者の技能を数値化しても、その値がそのままロボットに対して適切なものであるとは限らず、ロボットの動作に適用可能な適切な塗布方法を設定する必要がある。
【0013】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、ロボットに設けられたローラを用いて車両の外表面に保護層形成材を塗布する際に、車両の表面形状に応じてローラを適切に押圧し、保護層形成材を確実、かつ、効率的に塗布することを可能にする保護層形成材の塗布方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る保護層形成材の塗布方法は、車両の搬送ラインの近傍に設けられ、ティーチング動作可能なロボットと、前記ロボットに接続され、回転自在なローラを備えるローラ機構部と、揺動軸を中心とし、前記ローラを軸心と直交する方向に揺動させる揺動機構部と、を用い、乾燥後に剥離性保護層として作用する液状の保護層形成材を前記ローラに供給し、前記保護層形成材を塗布する前記車両の塗布面の曲率の大きさに従って、前記揺動軸から前記ローラの軸心を結ぶ直線と前記塗布面とのなす角度である傾斜角度の最大角度を増大して設定することを特徴とする。
【0015】
このように、傾斜角度の最大角度を塗布面の曲率の大きさに従って増大して設定することによって、車両の表面形状応じてローラを適切に押圧することができる。
【0016】
この場合、前記保護層形成材を塗布する塗布面のうち最も曲率の小さい面に対しては、前記傾斜角度を25°〜35°に設定し、前記塗布面のうち最も曲率の大きい面に対しては、前記傾斜角度を25°〜65°に設定するとよい。
【0017】
また、前記ローラを前記塗布面に押圧する押圧手段を有すると、車両の塗布面に対するローラの押圧力を補償することができる。
【0018】
さらに、前記傾斜角度の増加に従って前記ロボットを低速で移動させるとよい。
【0019】
さらにまた、前記保護層形成材の材料としてアクリル系コポリマ剤を用いると、車両の塗装部をより確実に保護することができ、しかも除去するときには剥がしやすい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る保護層形成材の塗布方法について好適な実施の形態を挙げ、添付の図1〜図12を参照しながら説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態に係る保護層形成材の塗布装置10は、自動車の搬送ライン12に設けられるものであり、塗装の終了した車両14に対して保護層形成材を塗布するものである。ワゴン型の車両14では、一般的にボンネット部14aは形状が複雑であって曲率の大きい面を有しており、ルーフ部14bは略平坦な面を有している。また、図示しないが、一般的にセダン型の車両におけるトランク部は略平坦な面を有している。
【0022】
塗布装置10は、産業用ロボットである3台のロボット16a、16b、16cと、システム全体の制御を行う制御部18と、保護層形成材が収容されたタンク20と、該タンク20から各ロボット16a、16b、16cに連通する塗布材管路22と、水供給源24からロボット16a、16b、16cへ水を供給する水管路26とを有する。ロボット16a、16b、16cはそれぞれ制御部18に接続されたロボットコントローラ28a、28b、28cによって制御される。
【0023】
ロボット16a及び16cは、搬送ライン12における車両14の進行方向左手側に設けられ、ロボット16bは、進行方向右手側に備えられている。また、ロボット16aは進行方向前方、ロボット16bは進行方向の中程、ロボット16cは進行方向後方に備えられている。ロボット16a、16b、16cは搬送ライン12と平行なスライドレール30上を移動可能である。
【0024】
塗布材管路22の途中にはポンプ32が設けられており、タンク20から保護層形成材を吸い上げてロボット16a、16b、16cへ供給する。また、保護層形成材は、図示しないヒータと温度計とによって適温となるように制御されている。ロボット16a、16b、16cの先端部には、それぞれ塗布材管路22によって保護層形成材が供給されるローラ機構部34が設けられている。
【0025】
保護層形成材の材料は、アクリル系コポリマ剤を主成分とするものであって、好ましくは、ガラス転移温度の異なる2種のアクリル系コポリマ部分を有するものであるとよい。具体的には、例えば、前記の特許文献1で示されている保護層形成材を用いるとよい。また、保護層形成材は、水との混合割合及び温度の変化によって粘度を調整することができ、しかも、乾燥すると車両14に密着して粉塵、金属粉、塩分、油分、酸、直射日光等から車両14の塗装部を化学的及び物理的に保護することができる。さらに、車両14をユーザに納品の際等で除去するときには、容易に剥離させることができる。
【0026】
図2に示すように、ロボット16a、16b、16cは、例えば、産業用の多関節型のロボットであり、ベース部40と、該ベース部40を基準にして順に、第1アーム42、第2アーム44及び第3アーム46とを有し、該第3アーム46の先端にローラ機構部34が設けられている。ローラ機構部34は、第3アーム46に対して着脱自在であり、所謂、エンドエフェクタとして作用する。第1アーム42はベース部40に対して水平及び垂直に回動可能な軸J1、J2によって回動可能である。第2アーム44は第1アーム42と軸J3で回動可能に連結されている。第2アーム44は軸J4によって捻れ回転が可能になっている。第3アーム46は第2アーム44と軸J5で回動可能に連結されている。第3アーム46は軸J6によって捻れ回転が可能になっている。
【0027】
このような6軸構成のロボット16a、16b、16cの動作によって、先端部に接続されたローラ機構部34は車両14の近傍における任意の位置に移動可能であって、かつ、任意の向きに設定可能である。換言すれば、ローラ機構部34は6自由度の移動が可能である。ロボット16a、16b、16cは、回転動作以外にも伸縮動作、平行リンク動作等の動作部を有するものであってもよい。
【0028】
図3〜図5に示すように、ローラ機構部34は、第3アーム46の先端部に取り付けられており、円筒形状で保護層形成材を吸収して蓄えることのできる材質のローラ48と、ロボット16aの第3アーム46に対する取付部であるスラスト回転機構69とを有する。該スラスト回転機構69は、第3アーム46に対する取付部材70と、該取付部材70に対してベアリング72を介して回転自在に支持されているスラスト回転部材74と、該スラスト回転部材74の下に取り付けられたベース部76とを有する。
【0029】
また、ローラ機構部34は、ベース部76の両端部に設けられた空気圧シリンダ(押圧手段)78及び80と、ベース部76の略下端の揺動軸82に揺動自在に軸支された揺動部材84と、ローラ48を保持するホルダ86と揺動部材84とを接続するホルダ接続部88とを有する。ローラ48は揺動軸82を中心として、揺動自在である。揺動部材84は、上方に延在する2つの上方延在部84aを有し、該上方延在部84aの略上端には、揺動軸82と平行なピン90が設けられている。ピン90は揺動軸82より上方に設定されている。さらに、ローラ機構部34は、前記空気圧シリンダ78及び80のロッド78a及びロッド80aから力を受けて、前記揺動軸82を中心として回転する2つのピン押圧部材92及び94を有する。ピン押圧部材92の押圧面92aは、ロッド78aが縮退するとき図5における前記ピン90の左面を押圧し、ピン押圧部材94の押圧面94aは、ロッド80aが縮退するとき図5における前記ピン90の右面を押圧する。
【0030】
2つの上方延在部84aの間には、ベース部76から下方に延在する2つの下方延在部76aが配置され、該2つの下方延在部76aの間に押圧面92a及び94aが配置されている。
【0031】
スラスト回転部材74には回転規制部材96が設けられており、該回転規制部材96の上面の凹部96aには、取付部材70から下に突出する小突起98が配置されている。小突起98の幅は凹部96aの幅よりやや小さく、この隙間の範囲においてスラスト回転部材74はスラスト方向に回転自在となっている。ここでいうスラスト方向とは、ローラ48自体の軸心Oと直交する方向であり、第3アーム46の軸心Cを中心とした回転方向である。取付部材70を第3アーム46に取り付けるためのボルト100を小突起98に兼用してもよい。
【0032】
ホルダ接続部88には上部と下部で対向する2つのクランパ102及び104が設けられている。これらのクランパ102及び104はアルミパイプ106を保持しており、該アルミパイプ106により揺動部材84とホルダ86が連結されている。アルミパイプ106の表面には環状溝106aが設けられている。
【0033】
ローラ48の両端はホルダ86により回転自在に保持されており、塗布材管路22はホルダ86の一端部を介してローラ48の内部に連通している。ローラ48はホルダ86に対して着脱自在である。
【0034】
図6に示すように、ローラ48に保護層形成材を供給するための液圧及び空圧の複合回路150は、コンプレッサ152と、該コンプレッサ152の吐出部に接続されたエアタンク154と、空気圧の供給・遮断の切り換えを行う手動の空圧投入弁156と、制御部18から供給される電気信号によって2次側圧力を減少させるレギュレータ158と、該レギュレータ158の2次圧によってパイロット操作されて塗布材管路22の圧力を減少させるレギュレータ操作弁160とを有する。また、複合回路150は、レギュレータ操作弁160の2次側管路及び水管路26が接続されたMCV(Material Control Valve、供給切換弁)162と、MCV162の2次側とローラ48との間に設けられたトリガー弁164とを有する。MCV162の内部には、塗布材管路22及び水管路26の連通・遮断の切り換えを行う切換弁162a、162bが設けられており、該切換弁162a、162bの2次側は連通している。なお、図6の破線は空気圧管路を示す。
【0035】
MCV162、トリガー弁164及びレギュレータ操作弁160は、空気圧パイロット式に限らず電気ソレノイド等の駆動方式のものでもよい。
【0036】
複合回路150は、さらに、空圧投入弁156から供給される空気圧を切り換えることによって切換弁162a、162bをパイロット形式で操作するMCV切換電磁弁166と、トリガー弁164をパイロット操作するトリガー切換電磁弁168とを有する。MCV切換電磁弁166は制御部18から供給される電気信号によって、切換弁162a、162bのいずれか一方を連通させるとともに他方を遮断し、水と保護層形成材とを切り換えてトリガー弁164に供給する。トリガー切換電磁弁168は、制御部18から供給される電気信号によってトリガー弁164を連通・遮断状態に切り換えて、ローラ48に水又は保護層形成材を供給する。
【0037】
塗布材管路22及び水管路26の途中には、それぞれ手動の止め弁170、172が設けられている。通常、止め弁170及び172は連通させておく。複合回路150において空気の排出口にはそれぞれサイレンサ174が設けられており、排気音を低減させている。コンプレッサ152、ポンプ32及び水供給源24には、過剰な圧力上昇を防止するリリーフ弁(図示せず)が設けられている。
【0038】
なお、複合回路150におけるコンプレッサ152、エアタンク154、水供給源24及びポンプ32は、各ロボット16a、16b、16cに共通であり、それ以外の機器は各ロボット16a、16b、16cに個別に備えられている。
【0039】
次に、このように構成される保護層形成材の塗布装置10を用いて、車両14に保護層形成材を塗布する方法について説明する。
【0040】
まず、予め、各ロボット16a、16b、16cに対して保護層形成材を塗布する動作の教示を行う。このとき、図7に示すように、ローラ48の軸心Oと揺動軸82とを結ぶ直線をLとして、該直線Lと車両14の表面とのなす傾斜角度θが適当な角度となるように教示を行う。ここで、傾斜角度θを求める基準となる車両14の表面は、ローラ48が車両14に接する点P(図8参照)において、ローラ48の軸心Oと直交する方向の接線M(図8参照)を含む面として定義される。
【0041】
また、傾斜角度θの最大角度θ2(図7参照)は車両14の表面の曲率に対応して設定し、例えば、ルーフ部14bやトランク部(図示せず)のように略平坦な面に塗布する際には最大角度θ2を小さく設定するとともに、ロボット16a、16b、16cの移動速度を高速に設定する。さらに、ボンネット部14a(図8参照)のように曲率の大きい面に塗布する際には最大角度θ2を大きく設定するとともにロボット16a、16b、16cの移動速度を低速に設定する。ロボット16a、16b、16cの動作方向は、ローラ48に対して揺動部材84が傾斜している方向である。
【0042】
このように、略平坦な塗布面においては、最大角度θ2を小さく設定することにより、ローラ48の自重を車両14に対する押圧力として有効に利用することができる。また、ロボット16a、16b、16cを高速で動作させることができることから、ルーフ部14bのように広い面積の塗布面に対して短時間で塗布作業を行うことができる。また、曲率の大きい塗布面においては、最大角度θ2を大きく設定することにより、ローラ48を確実に塗布面に密着させることができる。この場合、ロボット16a、16b、16cの動作速度を低速に設定するが、一般的な車両14では曲率の大きい塗布面は面積が小さく、所定のタクトタイム内で塗布作業を行うことができる。
【0043】
本願発明者が実験した結果によれば、略平坦な塗布面に対しては、最小角度θ1を25°、最大角度θ2を35°と設定し、この範囲内で傾斜角度θを選択的に設定するとよい。また、曲率の大きい塗布面に対しては、最小角度θ1を25°、最大角度θ2を65°と設定し、この範囲内で傾斜角度θを選択的に設定するとよい。
【0044】
換言すれば、車両14に保護層形成材を塗布する塗布面のうち最も曲率の小さい面は略平坦とみなすことができ、この塗布面に対しては、傾斜角度θを25°〜35°に設定するとよい。また、保護層形成材を塗布する塗布面のうち最も曲率の大きい面に対しては、傾斜角度θを25°〜65°に設定するとよい。
【0045】
略平坦な面における最小角度θ1(=25°)と曲率の大きい面における最小角度θ1(=25°)は同値であるが、これは曲率の大きい塗布面が複雑な表面形状となっていることがあり、個別の車種および塗布面に適応して傾斜角度θを小さく設定する場合もあるためである。
【0046】
ロボット16a、16b、16cの移動速度は、例えば、傾斜角度θの増加に従って比例的に低速になるように設定してもよい。このようにすると、塗布面の曲率と、傾斜角度θと、ロボット16a、16b、16cの移動速度とが関連付けられ、各パラメータを容易に設定することができる。
【0047】
また、ロボット16a、16b、16cの動作教示の際、揺動軸82の位置が決定されていれば、第3アーム46の姿勢は任意に設定可能である。つまり、図7に示すように、第3アーム46をやや起立した姿勢に設定してもよいし、図9に示すように、第3アーム46を揺動部材84の軸線上に設定してもよい。
【0048】
ロボット16a、16b、16cに車両14のボンネット部14a(図1参照)、ルーフ部14bをそれぞれ分担させて、各担当部に保護層形成材を塗布させるように教示し、教示したティーチングデータは制御部18の所定の記録部に記録し、保持しておく。車両14がセダン型であるときには、ロボット16cはトランク部を分担する。
【0049】
保護層形成材を塗布する処理は、搬送ライン12において1台の車両14毎に設定されているタクトタイム内で終了するように教示を行う。
【0050】
次に、車両14に保護層形成材を塗布する際には、保護層形成材を所定のヒータによって適温に加温するとともに、コンプレッサ152、水供給源24およびポンプ32を動作させる。また、ロボット16a、16b、16cを車両14と干渉することのない位置で待機させ、空圧投入弁156を連通させる。
【0051】
次いで、塗装の終了した車両14を搬送ライン12によって搬入し、ロボット16a、16b、16cの近傍で停止させる。制御部18は、車両14が搬入されたことを搬送ライン12から供給される信号又はセンサ(図示せず)によって認識し、各ロボット16a、16b、16cを教示データに基づいて動作させる。
【0052】
このとき、制御部18はレギュレータ158(図6参照)を介してレギュレータ操作弁160を制御し、塗布材管路22を適当な圧力に制御する。また、制御部18は、MCV切換電磁弁166を介してMCV162を制御し、塗布材管路22を連通させるとともに水管路26を遮断する。さらに、制御部18はトリガー切換電磁弁168を操作することによってトリガー弁164を連通させる。このような制御部18の作用によって保護層形成材は適当な圧力及び適温に保たれながらローラ機構部34のローラ48に供給され、該ローラ48の表面に適量がしみ出る。
【0053】
また、レギュレータ158による圧力制御、ロボット16a、16b、16cの動作速度及びロッド78a及び80aに加える力の制御とによって車両14に塗布する保護層形成材の厚みを調整することができる。
【0054】
ロボット16aを図7における右方向へ移動させながら車両14に保護層形成材を塗布する際には、ロッド80aが縮退する方向に比較的弱い力Faが発生するように右側の空気圧シリンダ80に空気を供給する。また、ロッド78aが延出するように左側の空気圧シリンダ78に空気を供給する。このようにすることにより、右側のピン押圧部材94の押圧面94aはピン90の右側面を比較的弱い力で押圧し、左側のピン押圧部材92の押圧面92aはピン90から離間する。従って、揺動部材84及びローラ48は揺動軸82を中心として反時計方向の力を受けることになり、ローラ48が適当な押圧力で車両14の表面に押圧される。ローラ48の適用箇所や移動方法に応じて力Faを適宜調整するとよい。
【0055】
ロボット16aを図10における左方向に移動させながら車両14に保護層形成材を塗布する際には、ロッド78aが縮退する方向に比較的弱い力Faを発生するように左側の空気圧シリンダ78に空気を供給する。また、ロッド80aが延出するように右側の空気圧シリンダ80に空気を供給する。このようにすることにより、左側のピン押圧部材92の押圧面92aはピン90の左側面を比較的弱い力で押圧し、右側のピン押圧部材94の押圧面94aはピン90から離間する。従って、揺動部材84及びローラ48は揺動軸82を中心として時計方向の力を受けることになり、ローラ48が適当な押圧力で車両14の表面に押圧される。
【0056】
このように、ロボット16aの進行方向に応じて空気圧シリンダ78及び80に供給する空気の流れの方向と圧力とを制御することにより、ローラ48を車両14の表面に対して適度に押圧することができる。つまり、ローラ48の自重を押圧力として有効に利用するとともに、該自重では不足の押圧力を空気圧シリンダ78又は空気圧シリンダ80により補償することができる。特に、車両14の表面が水平でない箇所においてもローラ48を塗布面に密着させることができる。
【0057】
これにより、ローラ48が空回りしたり、凹部や凸部を通過するときに飛び跳ねることがない。また、ローラ48から保護層形成材がしみ出しやすい。このとき、ローラ48は揺動軸82を中心として揺動可能であることから、凹部及び凸部に対しても確実に密着させて保護層形成材を塗布することができる。
【0058】
空気圧シリンダ78のロッド78aに連結されたピン押圧部材92と空気圧シリンダ80のロッド80aに連結されたピン押圧部材94は、ピン90を介して揺動部材84に対してそれぞれ対向する方向に押圧力を加えるので、揺動部材84が時計方向又は反時計方向のいずれの方向に傾斜している場合にも適切に動作可能である。これにより、右方向及び左方向のいずれの方向へも保護層形成材を塗布することができる。
【0059】
また、略平坦である塗布面では傾斜角度θの最大角度θ2を小さく設定していることから、ロボット16a、16b、16cの移動速度を高速にすることができ、保護層形成材を効率的に塗布することができる。略平坦な塗布面では、塗布作業が比較的容易であることから、ロボット16a、16b、16cの移動速度が高速であっても保護層形成材を確実に塗布することができる。
【0060】
さらに、曲率の大きい塗布面では傾斜角度θの最大角度θ2を大きく設定していることから保護層形成材を確実に塗布することができる。
【0061】
保護層形成材を塗布する際、車両14は塗装が終了していればよく、部品等が取り付けられていない未完成車であってもよいことはもちろんである。
【0062】
ロボット16a、16b、16cによって保護層形成材が塗布された車両14は、搬送ライン12によって次工程へ搬送される。ロボット16a、16b、16cは、車両14と干渉することのない待機姿勢に待避して、つぎの車両14が搬入されるまで待機する。このとき、トリガー弁164を遮断させ保護層形成材の供給を停止させる。
【0063】
塗布された保護層形成材は、自然乾燥又は送風しながら乾燥させて可剥離性保護層を形成し、車両14の塗装部を保護する。
【0064】
上記の実施の形態では、空気圧シリンダ78および80によって、揺動部材84に押圧力を与え、ローラ48を車両14の表面に確実に密着させるものとして説明したが、このような押圧手段は、空気圧シリンダ78、80に限ることはない。例えば、図11に示すように、スプリング200を用いて、該スプリング200の弾性力によってローラ48を車両14の表面に押圧させるようにしてもよい。また、例えば、図12に示すように、押圧手段を省略して揺動機構のみを用いてもよい。
【0065】
これらの構成においても、揺動軸202と軸心Oとを結ぶ直線Lに基づいて揺動部材204の傾斜角度θを規定することができる。ロボット16a、16b、16cの動作教示としては、略平坦な塗布面に保護層形成材を塗布する際には傾斜角度θを小さく設定するとともに、ロボット16a、16b、16cの移動速度を高速に設定するとよい。また、曲率の大きい塗布面に保護層形成材を塗布する際には傾斜角度θを大きく設定するとともに、ロボット16a、16b、16cの移動速度を低速に設定するとよい。
【0066】
さらに、上記の車両14では、ボンネット部14aは曲率が大きく、ルーフ部14bは略平坦であるものとして説明したが、これ以外にも各種の車両に適用可能であることはもちろんである。つまり、傾斜角度θの最大角度θ2は、あくまでも表面の曲率に基づいて設定すればよく、車両14におけるボンネット部14aやルーフ部14b等の各部位によって制限されることはない。
【0067】
上記したように、本実施の形態に係る保護層形成材の塗布方法によれば、ローラ48を備えるローラ機構部34をロボット16a、16b、16cで操作するとともにローラ48に保護層形成材を供給することにより、保護層形成材を塗布する工程を自動化し、塗布品質を均一化することができる。
【0068】
また、傾斜角度θの最大角度θ2を塗布面の曲率の大きさに従って大きく設定することによって、車両14の表面形状に応じてローラ48を適切に押圧することができる。
【0069】
さらに、保護層形成材により形成される剥離性保護層は、車両14の出荷後において塗装部を保護することができる一方、工場内においても塗装部を保護することができスクラッチカバーの代用となる。従って、車種毎に違う形状の多数のスクラッチカバーを省略することができる。
【0070】
車両14のバンパには着色されていて塗装が不要のものがあるが、保護層形成材はこのようなバンパ等の塗装部以外の箇所に塗布してもよい。
【0071】
本発明に係る保護層形成材の塗布方法は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の工程を採り得ることはもちろんである。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る保護層形成材の塗布方法によれば、ロボットに設けられたローラを用いて車両の外表面に保護層形成材を塗布する際に、車両の表面形状に応じてローラを適切に押圧し、保護層形成材を確実、かつ、効率的に塗布することができる。
【0073】
さらにまた、保護層形成材の材料としてアクリル系コポリマ剤を用いることによって、車両をより確実に保護することができ、しかも除去するときには剥がしやすい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態で用いる保護層形成材の塗布装置の斜視図である。
【図2】ロボット及び該ロボットに設けられたローラ機構部の斜視図である。
【図3】ローラ機構部の拡大斜視図である。
【図4】ローラ機構部の一部断面拡大正面図である。
【図5】ローラ機構部の一部断面拡大側面図である。
【図6】液圧及び空圧の複合回路を示す回路図である。
【図7】車両のルーフ部において、ローラ機構部を有するロボットを右方向へ動作させる過程において、ロボットと車両の表面との位置関係を示す模式図である。
【図8】車両のボンネット部において、ローラ機構部を有するロボットを右方向へ動作させる過程において、ロボットと車両の表面との位置関係を示す模式図である。
【図9】車両のルーフ部において、ローラ機構部を有するロボットを右方向へ動作させる過程において、揺動軸の軸線上にロボットの第3アームを設定した状態のロボットと車両の表面との位置関係を示す模式図である。
【図10】車両のルーフ部において、ローラ機構部を有するロボットを左方向へ動作させる過程において、ロボットと車両の表面との位置関係を示す模式図である。
【図11】押圧手段としてスプリングを用いたローラ機構部の斜視図である。
【図12】押圧手段を省略したローラ機構部の斜視図である。
【符号の説明】
10…塗布装置 12…搬送ライン
14…車両 16a、16b、16c…ロボット
18…制御部 20…タンク
22…塗布材管路 26…水管路
30…スライドレール 32…ポンプ
34…ローラ機構部 48…ローラ
69…スラスト回転機構 70…取付部材
72…ベアリング 74…スラスト回転部材
78、80…空気圧シリンダ 78a、80a…ロッド
82、202…揺動軸 84、204…揺動部材
86…ホルダ 90…ピン
92、94…ピン押圧部材 92a、94a…押圧面
150…複合回路 200…スプリング
C、O…軸心 L…直線
M…接線 θ…傾斜角度
θ1…最小角度 θ2…最大角度

Claims (5)

  1. 車両の搬送ラインの近傍に設けられ、ティーチング動作可能なロボットと、
    前記ロボットに接続され、回転自在なローラを備えるローラ機構部と、
    揺動軸を中心とし、前記ローラを軸心と直交する方向に揺動させる揺動機構部と、
    を用い、
    乾燥後に剥離性保護層として作用する液状の保護層形成材を前記ローラに供給し、
    前記保護層形成材を塗布する前記車両の塗布面の曲率の大きさに従って、前記揺動軸から前記ローラの軸心を結ぶ直線と前記塗布面とのなす角度である傾斜角度の最大角度を増大して設定することを特徴とする保護層形成材の塗布方法。
  2. 請求項1記載の保護層形成材の塗布方法において、
    前記塗布面のうち最も曲率の小さい面に対しては、前記傾斜角度を25°〜35°に設定し、
    前記塗布面のうち最も曲率の大きい面に対しては、前記傾斜角度を25°〜65°に設定することを特徴とする保護層形成材の塗布方法。
  3. 請求項1又は2記載の保護層形成材の塗布方法において、
    前記ローラを前記塗布面に押圧する押圧手段を有することを特徴とする保護層形成材の塗布方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の保護層形成材の塗布方法において、
    前記傾斜角度の増加に従って前記ロボットを低速で移動させることを特徴とする保護層形成材の塗布方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の保護層形成材の塗布方法において、
    前記保護層形成材の材料は、アクリル系コポリマ剤であることを特徴とする保護層形成材の塗布方法。
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