JP2004313383A - シリンジポンプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プライミング動作停止直後、もしくは、流量をかなり大きな設定値から小さな設定値に変更する過程での送液動作停止直後に、送液動作停止前の送液流量や用いるシリンジに応じた所定の回転速度で、所定時間(数百ms)もしくはシリンジ内の圧力が閾値を越えるまでの期間、モータを逆回転させることで、シリンジ内部に発生する大きな減圧によるガスケットやチューブの変化によって、余分の薬液が患者の体内に吐出されることを防止できるシリンジポンプ。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はシリンジポンプのスライダ(シリンジの押子の押圧手段)を移動(駆動)させる制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリンジポンプによって、薬液を患者の体内に送液する準備段階の構成は、通常、図3に示すようになっている。シリンジポンプ1は、薬液の入ったシリンジ2の筒体(外筒)21をクランプ3等で保持し、スライダ4をシリンジの長手方向に移動させる(駆動する)ことでシリンジ2の押子22を押圧してシリンジ内の薬液をチューブ100,カテーテル110を介して、患者の体内(例えば、鎖骨静脈)に送り出す。図3の準備段階では、チューブ100内は薬液で満たされ、カテーテル110内はヘパリン(もしくは患者の血液)で満たされている。
【0003】
この状態は、カテーテル110の一端に三方活栓120を取り付け、カテーテル110の内部をヘパリンで満たして他端を体内に通し(もしくは、カテーテル110は空で体内に通して後内部を患者の血液で満たし)、三方活栓120のコックを回して、カテーテル110の前記一端を閉じる。その後、シリンジ2と三方活栓120の間をチューブ100で接続して、チューブ100とチューブ130(他端部は開放)が連通する三方活栓120の状態で、シリンジポンプ1を駆動してチューブ100の内部を薬液で満たすことで達せられる。
【0004】
通常、図3の準備段階の状態から、チューブ100とカテーテル110が連通するように三方活栓120のコックを回して、シリンジポンプ1によって、高速流量(通常、数百ml/h以上)で、カテーテル110の内部に満たされているヘパリン(もしく患者の血液)を患者の体内に注入して(プライミングの動作をして)停止させ、その後、ヘパリン(もしく患者の血液)に続いてカテーテル110の先端まで送り出されているシリンジ2内部の薬液を設定された所定流量(通常、数ml/h)で患者の体内に吐出させる。
【0005】
この高速流量(通常、数百ml/h以上)のプライミング動作(送液動作)の停止は、送液がカテーテル110の容量を考慮した設定予定量(ml)に達した時に自動的に停止するか、シリンジポンプ1の停止スイッチの操作(押下)によって停止するようになっている。このシリンジポンプ1の送液動作停止により、シリンジポンプ1のモータは停止して押子22の取り付けられたスライダ4も停止する。しかし、直前のプライミングが高速流量であるため、加圧されたチューブ100,カテーテル110やシリンジ2の筒体21の内部の薬液の圧力は、唯一の開放口であるカテーテル110の患者側の開口端を介して、大きく減圧され、送液動作停止後、シリンジ2の押子22のガスケットは吐出方向に伸び、チューブ100,カテーテル110の径は小さくなり、しばらくは送液が続く。このため、設定された所定流量(通常、数ml/h)で、薬液を患者の体内に吐出(送液)させる前に、すでに、幾分か薬液が患者の体内に吐出されてしまっていた。図4(a)(b)には、この様子が示されている。図4(a)は、従来例のシリンジポンプ1のプライミング動作開始(送液動作開始時)よりプライミング動作停止(送液動作停止時)前後までに制御されるモータの回転速度の変化の概略グラフであり、図4(b)は、対応する吐出流量の変化の概略グラフである。図4(b)の曲線Aに示されるように、プライミング動作停止(送液動作停止時)の後、しばらくは送液が続いている。(破線Cは、送液動作停止後、すぐに吐出が停止する理想曲線である。)
従来、このようなプライミング動作停止(送液動作停止時)直後の送液のため、必要以上の量の薬液が患者の体内に投与されてしまうという不都合があった。特に、患者への薬液の注入量が1日の上限量に近い場合や、患者の容態が配合禁忌等で悪化している場合など、薬液の注入量に正確さが要求される場合には、患者の容態を悪化させるおそれもあった。
【0006】
また、プライミング動作停止直後ではなくても、流量を数百ml/hから急激に数ml/hに再設定するに際して、停止スイッチを操作(押下)して送液動作を停止する場合の送液動作停止直後は、プライミング動作停止直後と同様、しばらくは、再設定以上の薬液が患者の体内に流れ込み、患者の様態を悪化させる等の不都合があった。
【0007】
このような設定以上の流量で薬液が患者の体内に流れ込む不都合に対して、従来は、薬液を希釈し濃度をやや低めに設定しておくなどの対処(希釈の過程で感染の可能性があった。)はとられてはいたが、シリンジポンプのスライダ(シリンジの押子の押圧手段)の移動(駆動)の制御、すなわちモータ駆動の制御については考えられてはいなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、薬液を送液するためにプライミング動作停止直後の薬液の吐出や、流量を高速設定値(数百ml/h)から低速設定値(数ml/h)に変更するための停止スイッチの操作直後での過渡的な薬液の吐出をなくするようにスライダ(シリンジの押子の押圧手段)の移動(モータ駆動)を制御するシリンジポンプを提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明のシリンジポンプは、下記(1)〜(6)の通りである。
【0010】
(1) シリンジを着脱自在に保持し、スライダに前記シリンジの押子を取り付け、前記スライダをシリンジの長手方向に移動させることで押子を押圧してシリンジの薬液を送り出すシリンジポンプにおいて、送液動作停止時より所定時間は、前記スライダを薬液の吐出方向とは逆方向に所定速度で移動させるように制御することを特徴とするシリンジポンプ。
【0011】
(2) シリンジを着脱自在に保持するシリンジ保持手段と、前記シリンジの押子を装着しシリンジの長手方向に押圧移動させてシリンジ内の薬液を送り出す押圧手段を有するシリンジポンプにおいて、送液動作停止時より所定時間は、前記押圧手段が前記押子を薬液の吐出方向とは逆方向に所定速度で移動させるように制御する制御手段を備えることを特徴とするシリンジポンプ。
【0012】
(3) 前記所定速度が、前記送液動作停止前の送液流量と用いるシリンジの容量とメーカー名に基づいて決定されることを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載のシリンジポンプ。
【0013】
(4) シリンジを着脱自在に保持し、スライダに前記シリンジの押子を取り付け、前記スライダをシリンジの長手方向に移動させることで押子を押圧してシリンジの薬液を送り出すシリンジポンプにおいて、送液動作停止後、押子からスライダに及ぼす圧力が所定値になるまでは、前記スライダを薬液の吐出方向とは逆方向に所定速度で移動させるように制御することを特徴とするシリンジポンプ。
【0014】
(5) シリンジを着脱自在に保持するシリンジ保持手段と、前記シリンジの押子を装着しシリンジの長手方向に押圧移動させてシリンジ内の薬液を送り出す押圧手段を有するシリンジポンプにおいて、押子から押圧手段に及ぼす圧力を検出する圧力検出手段を備え、送液動作停止後、前記圧力検出手段が検出する圧力が所定値となるまで、前記押圧手段が前記押子を薬液の吐出方向とは逆方向に所定速度で移動させるように制御する制御手段を備えることを特徴とするシリンジポンプ。
【0015】
(6) 前記所定値および前記所定速度が、前記送液動作停止前の送液流量と用いるシリンジの容量とメーカー名に基づいて決定されることを特徴とする上記(4)または上記(5)に記載のシリンジポンプ。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のシリンジポンプを添付図面に示す好適実施例に基づいて、詳細に説明する。
【0017】
図1は、本実施例のシリンジポンプのスライダの駆動(移動)機構の概略を示した図である。
【0018】
シリンジ2は、シリンジポンプ1の基部となる斜線で示したベース5上で、薬液を収納した筒体21のフランジ23をシリンジポンプ1のスリット6に嵌め込み、押子22をスライダ4に取り付けた後、クランプ3をシリンジ2の外筒(筒体)21を押圧する状態にすることで、シリンジポンプ1に保持されている。
【0019】
クランプ3の押圧位置(上下方向)は検出され、これにより用いたシリンジ2の外筒(筒体)21の径がシリンジ径検出部(図示せず)で検出される。
【0020】
ベース5には左右壁面部7a、7bを一体形成したフレーム7が固定されており、この左右壁面部7a、7bにおいてインナーシャフト8と軸体9とを固定し、送りネジ10を回転自在に軸支している。
【0021】
インナーシャフト8の廻りには、一端にスライダ4を固定し、他端においてハーフナット12aを設けたハーフナットホルダ12とブロック13とが固定され、ハーフナットホルダ12がスライダ4に設けられたレバー4aの押圧操作により回動されることで、送りネジ10の歯部に歯合する状態から解除するようにしたパイプシャフト11が設けられており、このパイプシャフト11を摺動軸受14で摺動自在に軸支して、送りネジ10の駆動にともないスライダ4を移動(駆動)させることで押子22を押圧して薬液を、患者の体内に通じるチューブ100に送り出す。
【0022】
送りネジ10の左端は不図示のラジアル軸受で軸支されている。また、送りネジ10の右端近傍にはモータ15の出力軸のギアに歯合するギア18が固定されるとともに、右壁面部7bに穿設された孔部を通過し、さらに圧力検出手段である歪ゲージ17(引圧力検出部)を固定したバネ板16に固定された軸受により軸支されている。モータ15は、パルスモータであり、与えられるパルスインターバルで回転速度が決定される。
【0023】
モータ15の駆動によりスライダ4が移動し押子22をシリンジ2の長手方向に押圧することでシリンジ2内部(筒体21内部)の薬液を送り出すが、プライミング動作停止直後や流量を高速設定値(数百ml/h)から低速設定値(数ml/h)に変更する時の送液の停止スイッチ操作(押下)直後では、直前の高速流量の影響を受けて加圧されたチューブ100内やシリンジ2の筒体21内の薬液の圧力が、唯一の開放口であるチューブ100の患者側先端(従って、図3のカテーテル110の患者側の開口端)を介して、大きく減圧される。
【0024】
シリンジ2の筒体21内の薬液の圧力Pは、図1の圧力伝播を示す破線の矢印Aで示されるように、ガスケット22aを通して押子22に作用し、スライダ4に伝えられ、パイプシャフト11を介してハーフナットホルダ12に伝えられる。そして、ハーフナットホルダ12のハーフナット12aは送りネジ10の歯部に歯合していることから伝播される圧力は送りネジ10を軸支している軸受を通してバネ板部材16を撓ませる。そして、この撓み(弾性変形)に比例する信号が、歪ゲージ17から出力されることで、筒体21内の薬液の圧力Pが検出される。
【0025】
図2は、本実施例のシリンジポンプでのスライダを移動させるモータの駆動制御の構成を示すブロック図である。
【0026】
図に示すように、シリンジポンプのモータの駆動制御の構成は、制御部30、表示部31、設定部32、操作部33、シリンジ径検出部34、圧力検出部35(歪ゲージ17)、モータ駆動部36、モータ15からなっている。制御部30は演算・処理用のCPU30a、処理プログラムを格納するROM30b、補助記憶用のRAM30cからなっている。特に、ROM30bには、後述のように、CPU30aによりモータ制御のために読み込まれる、用いるシリンジ(容量とメーカー)と直前の流量に応じた逆回転パルスインターバル(逆回転速度)や筒体21内の薬液の圧力の閾値のテーブルが格納されている。また、RAM30cには、流量などの設定値が、設定により格納される。
【0027】
表示部31には、送液の流量(ml/h),積算量(ml)や各種アラーム(残量アラーム,バッテリアラーム等)が表示される。設定部32では、流量(ml/h)やプライミングの予定量(ml)や用いるシリンジのメーカー名が設定される。(プライミングの予定量は設定されない場合もある。)操作部33は、電源スイッチ、開始スイッチ、停止スイッチからなっている。シリンジ径検出部34では、用いられているシリンジ2の筒体21の外径が検出される。この外径より、CPU30aで用いられているシリンジ2の容量(10ml,20ml,…)が決定される。モータ15はモータ駆動部36を通して、制御部30によって適切に制御される。
【0028】
次に、本発明のシリンジポンプのプライミングの終了状態までの動作の第1実施例を、図5のフロー図を用いて説明する。
【0029】
使用者は、シリンジポンプ1の電源スイッチをONにして(ST100)後、シリンジ2をシリンジポンプ1のベース5上に載せ、シリンジ2の薬液を収納した筒体21のフランジ23をスリット6に嵌め込み、押子22をスライダ4に取り付けて、クランプ3をシリンジ2の筒体(外筒)21を押圧する状態にして、シリンジ2をシリンジポンプ1に保持する。
【0030】
次に、シリンジポンプ1の設定部32で、用いるシリンジ2のメーカー名とプライミングのための流量(数百ml/h)を設定する。(プライミング流量が予め設定されている場合には、この設定は不要である。)また、カテーテル110の容量を考慮してプライミング予定量(ml)を設定する。(プライミング予定量の設定が必要ない場合には、この設定は不要である。)これにより、制御部30のCPU30aは設定されたメーカー名と流量を読み込む(ST101、ST102)。また、クランプ3の押圧位置(上下方向)を検出することで、シリンジ2の外筒21の径(筒体の径)がシリンジ径検出部(図示せず)により検出され(ST103)、制御部のCPU30aにより、シリンジ2の容量が決定される。
【0031】
プライミング動作をするために、図3の準備段階(チューブ100の内部が薬液で満たされ、カテーテル110の内部がヘパリン(もしくは患者の血液)で満たされている状態)にして、三方活栓120のコックを回してチューブ100とカテーテル110を連通させてプライミング動作の開始準備状態にする(ST104)。
【0032】
この後、使用者が操作部33の開始スイッチを操作(押下)してヘパリン(患者の血液)注入の開始を指示すると(ST105)、制御部30のCPU30aはこれを受けて、既に読み込まれているシリンジ2のメーカー名、及び、検出されたシリンジ径より決定されたシリンジ2の容量(10ml,20ml,…)より、プライミング流量(数百ml/h)を正確に実現できるようにスライダ4を移動させるモータ15の回転速度を決定し(パルスインターバルを決定し)(ST106)、モータ駆動部36の制御によりモータ15を駆動させる(ST107)。
【0033】
プライミング動作の自動停止の仕様では、CPU30aは、送液の積算量と予め設定されいてる予定量とを、送液中比較して、積算量が予定量に達したことを条件に(ST108−1)、CPU30aは、モータ駆動部36の制御によりモータ15を停止させ(ST109)、プライミング動作を停止状態とする(ST110)。プライミング動作を停止スイッチの操作(押下)で停止させる仕様では、使用者は、表示部31の積算量の表示を目視で確認して、積算量がカテーテル110の内部の容量に達した時に、破線のフローで示すように、停止スイッチを操作(押下)して(ST108−2)、薬液注入の停止を指示することで、CPU30aは、モータ駆動部36の制御によりモータ15を停止させ(ST109)、プライミング動作を停止状態とする(ST110)。
【0034】
制御部30のCPU30aでは、プライミング動作が停止状態となった直後、読み込まれているシリンジ2のメーカー名、プライミングの流量[送液動作停止前の送液流量](数百ml/h)、及び検出されたシリンジ径より決定されたシリンジ2の容量(10ml,20ml,…)から、プライミング動作停止状態となった直後の薬液の吐出をなくするために適切にモータを駆動する逆回転速度(逆回転パルスインターバル)をROM30bのテーブルから選択する(ST111)。そして、CPU30aは、モータ駆動部36の制御により、選択した逆回転速度で、所定時間(数百ms)、モータ15を逆回転させて(ST112)、停止させる(ST113)。すなわち、プライミング動作停止(送液動作停止時)より所定時間は、モータ15を所定回転速度で逆回転させることで、スライダ4(押圧手段)を薬液の吐出方向とは逆方向に所定速度で移動させるように制御される。ここで、スライダ4の所定速度は、プライミング流量[送液動作停止前の送液流量]と用いるシリンジの容量とメーカー名に基づいて決定されている。尚、プライミング時間(送液動作停止前の高速流量の送液時間)が短い場合には、更に、スライダ4の所定速度を、プライミング時間(送液動作停止前の高速流量の送液時間)によって、異なるようにする(異なるように、ROM30bのテーブルをつくる)こともできる。
【0035】
以上の過程により、プライミング動作は終了状態となり(ST114)、薬液の注入の待機状態となる。
【0036】
図6(a)は、本実施例での、シリンジポンプ1のプライミング動作開始(送液動作開始時)よりプライミング動作停止(送液動作停止時)前後までに制御されるモータの回転速度の変化の概略グラフであり、図6(b)は対応する吐出流量(ml/h)の変化の概略グラフである。図6(b)の曲線Bに示されるように、本実施例では、プライミング動作停止(送液動作停止時)後、速やかに送液の停止が実現できるものであり、従来例(図4(b)の曲線A)に比べて、理想の曲線C(送液動作停止直後で、液体の流量が0ml/hとなる)にきわめて近い。
【0037】
モータ15が停止して(ST109)、スライダ4(押圧手段)が停止しても、直前に高速流量(数百ml/h)の吐出であったために、以後数百ms間は、加圧されたチューブ100,カテーテル110やシリンジ2の筒体21の内部の薬液の圧力が、唯一の開放口であるカテーテル110の患者側の開口端を介して、大きく減圧され、シリンジ2の押子22のガスケット22aは吐出方向に伸び、チューブ100,カテーテル110の径は小さくなり、シリンジ2内の薬液は押し出される傾向をもつが、本実施例では、この数百ms間、押子22の取り付けられたスライダ4(押圧手段)を吐出方向とは反対の方向に移動するように、モータを逆回転に駆動することで、この薬の吐出(送液)をなくするものである。
【0038】
CPU30aによって読み込まれるROM30b中のモータ15の逆回転制御のテーブル(逆回転速度のテーブル)では、用いるシリンジ2の容量(外径)と設定流量だけでなく、メーカー名も考慮されている。これは、同じ容量(10ml,20ml,30ml,…)のシリンジでも、メーカーによって、ガスケットの特性等が異なり、モータの逆回転制御ではこの点を考慮する必要があるからである。
【0039】
次に、本発明のシリンジポンプのプライミングの終了状態までの動作の第2実施例を、図7のフロー図を用いて説明する。
【0040】
ST201の電源スイッチONからST209までのモータ停止までは、第1実施例のST100〜ST109までと同じである。
【0041】
プライミング動作が停止状態(ST210)となった直後(停止スイッチの操作直後)、制御部30のCPU30aでは、読み込まれているシリンジのメーカー名、プライミング流量[送液動作停止前の送液流量](数百ml/h)、及び検出されたシリンジ径より決定されたシリンジ2の容量(10ml,20ml,…)から、プライミング動作停止状態となった直後の薬液の吐出をなくするためにモータ駆動の適切な逆回転速度(逆回転パルスインターバル)と後述の圧力(圧力信号値)の閾値(所定値)をROM30bのテーブルから選択する(ST211)。そして、CPU30aは、モータ駆動部36の制御により、選択した逆回転速度でモータ15を逆回転させる(ST212)。モータ15を逆回転制御する間、歪ゲージ17(圧力検出手段、圧力検出部35)で検出される圧力の信号値は閾値(用いるシリンジにより選択される所定値)と比較され(ST213)、圧力(圧力信号値)が閾値以下になると、モータ駆動部35の制御により、モータ15を停止させる(ST214)。すなわち、送液動作停止後、押子22からスライダ4(押圧手段)に及ぼす圧力が所定値になるまでは、スライダ4(押圧手段)を薬液の吐出方向とは逆方向に所定速度で移動させるように制御される。ここでの圧力の閾値である所定値とスライダ4の所定速度は、プライミング流量[送液動作停止前の送液流量]と用いるシリンジの容量とメーカー名に基づいて決定されている。尚、プライミング時間(送液動作停止前の高速流量の送液時間)が短い場合には、更に、圧力の閾値である所定値やスライダ4の所定速度を、プライミング時間(送液動作停止前の高速流量の送液時間)によって、異なるようにする(異なるように、ROM30bのテーブルをつくる)こともできる。
【0042】
以上の過程により、プライミング動作は終了状態となり(ST215)、薬液の注入の待機状態となる。
【0043】
第1実施例と異なる点は、モータ15の逆回転は、所定時間の間ではなく、圧力検出手段である歪ゲージ17(圧力検出部35)から出力されるシリンジ2内の薬液の圧力(押子からスライダに及ぼす圧力)が閾値以下となる時点まで継続する点である。
【0044】
第2実施例では、このように、モータ15の逆回転速度だけでなく、モータ15を逆回転させる期間を、シリンジ2(筒体21)内の薬液の圧力に応じて変化させるように、モータ制御部25により制御することで、より確実に、送液動作停止直後の薬液の吐出をなくすることができる。
【0045】
第2実施例の場合も、第1実施例の場合と同様、シリンジポンプ1のプライミング動作開始(送液動作開始時)よりプライミング動作停止(送液動作停止時)前後までに制御されるモータの回転速度の変化の概略グラフと対応する吐出流量(ml/h)の変化の概略グラフは、それぞれ、図6(a)(b)であり、図6(b)の曲線Bに示されるように、送液動作停止後、速やかに送液の停止が実現できるものであり、従来例(図4(b)の曲線A)に比べて、理想の曲線C(送液動作停止直後で、液体の流量が0ml/hとなる)にきわめて近い。
【0046】
第1実施例と第2実施例でのプライミング操作は、開始時に開始スイッチを操作(押下)し、停止時には自動停止か停止スイッチを操作(押下)するものであるが、本発明は、このようなプライミング操作の行われるシリンジポンプに限定されるものではなく、1つのプライミングスイッチの押下(手で押す)でプライミングが開始され押下状態でプライミングを継続し、押下状態の解除(手を離す)でプライミングが停止するようなプライミング操作の行われるシリンジポンプであってもよい。この場合、第1実施例(図5)のST105〜ST108−2〜ST113と第2実施例(図7)のST205〜ST208−2〜ST214で、
ST105とST205を「プライミングスイッチ押下」と読みかえ、ST208−2とST208−2を「プライミングスイッチ押下解除」と読みかえられる。
【0047】
また、第1実施例と第2実施例は、共にプライミングの終了状態までの動作だが、本発明のシリンジポンプで、流量を高速設定値(数百ml/h)から低速設定値(数ml/h)に変更する場合に、一旦、高速設定値(数百ml/h)での薬液の吐出を停止して、低速設定値(数ml/h)での薬液の吐出を開始する場合にも、プライミング動作と同様に考えることができる。
【0048】
すなわち、高速設定値(数百ml/h)での薬液の吐出をプライミング動作でのヘパリンの吐出に対応させ、第1実施例(図5)のST105〜ST108−2〜ST113(ST110を「高速設定値(数百ml/h)での薬液の吐出動作の停止状態」と読みかえる)と第2実施例(図7)のST205〜ST208−2〜ST214(ST210を「高速設定値での薬液の吐出動作の停止状態」と読みかえる)が、そのまま、高速設定値での薬液の吐出の開始から終了までのフローを示す。こうして、プライミング動作の場合と同様に、高速設定値から低速設定値に変更するために送液動作停止直後での過渡的な薬液の吐出をなくすることができる。
【0049】
【発明の効果】
本発明のシリンジポンプは、送液動作停止時より所定時間は、前記スライダ(押圧手段)を薬液の吐出方向とは逆方向に所定速度で移動させるように制御することから、プライミング動作停止直後の薬液の吐出や、流量をかなりの高速設定値から低速設定値に変更する過程の送液動作停止直後での過渡的な薬液の吐出をなくすることができる。
【0050】
また、前記スライダの所定速度を、送液動作停止前の送液流量と用いるシリンジの容量とメーカー名に基づいて決定することで、より確実に、プライミング動作停止直後の薬液の吐出や、流量をかなりの高速設定値から低速設定値に変更する過程の送液動作停止直後での過渡的な薬液の吐出をなくすることができる。
【0051】
更に、本発明のシリンジポンプは、送液動作停止後、押子からスライダ(押圧手段)に及ぼす圧力が所定値に下がるまでは、前記スライダを薬液の吐出方向とは逆方向に所定速度で移動させるように制御することから、用いるシリンジのバラツキをなくして、プライミング動作停止直後の薬液の吐出や、流量をかなりの高速設定値から低速設定値に変更する過程の送液動作停止直後での過渡的な薬液の吐出をなくすることができる。
【0052】
また、前記圧力と比較される所定値および前記スライダ(押圧手段)の所定速度が、送液動作停止前の送液流量と用いるシリンジの容量とメーカー名によって決定されることで、より確実に、プライミング動作停止直後の薬液の吐出や、流量をかなりの高速設定値から低速設定値に変更する過程の送液動作停止直後での過渡的な薬液の吐出をなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のシリンジポンプのスライダの駆動機構の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例のシリンジポンプでのモータの制御の構成を示すブロック図である。
【図3】薬液を患者の体内に送液する準備段階のシリンジポンプ周辺の構成を示す図である。
【図4】(a)(b)はそれぞれ、従来のシリンジポンプでのプライミング動作開始(送液動作開始時)よりプライミング動作停止(送液動作停止時)前後までに制御されるモータの回転速度の変化の概略グラフとそれに対応する吐出流量(ml/h)の変化の概略グラフである。
【図5】本発明の第1実施例のシリンジポンプの動作のフロー図である。
【図6】(a)(b)はそれぞれ、本発明の実施例のシリンジポンプでのプライミング動作開始(送液動作開始時)よりプライミング動作停止(送液動作停止時)前後までに制御されるモータの回転速度の変化の概略グラフとそれに対応する吐出流量(ml/h)の変化の概略グラフである。
【図7】本発明の第2実施例のシリンジポンプの動作のフロー図である。
【符号の説明】
1 シリンジポンプ
10 送りネジ
2 シリンジ
21 シリンジの筒体(外筒)
22 シリンジの押子
22a 押子のガスケット
3 クランプ
30 制御部
30a CPU
30b ROM
30c RAM
32 設定部
33 操作部
34 シリンジ径検出部
35 圧力検出部
36 モータ駆動部
4 スライダ
5 ベース
6 スリット
15 モータ
17 歪ゲージ
100 チューブ
110 カテーテル
120 三方活栓
Claims (6)
- シリンジを着脱自在に保持し、スライダに前記シリンジの押子を取り付け、前記スライダをシリンジの長手方向に移動させることで押子を押圧してシリンジの薬液を送り出すシリンジポンプにおいて、
送液動作停止時より所定時間は、前記スライダを薬液の吐出方向とは逆方向に所定速度で移動させるように制御することを特徴とするシリンジポンプ。 - シリンジを着脱自在に保持するシリンジ保持手段と、前記シリンジの押子を装着しシリンジの長手方向に押圧移動させてシリンジ内の薬液を送り出す押圧手段を有するシリンジポンプにおいて、
送液動作停止時より所定時間は、前記押圧手段が前記押子を薬液の吐出方向とは逆方向に所定速度で移動させるように制御する制御手段を備えることを特徴とするシリンジポンプ。 - 前記所定速度が、前記送液動作停止前の送液流量と用いるシリンジの容量とメーカー名に基づいて決定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリンジポンプ。
- シリンジを着脱自在に保持し、スライダに前記シリンジの押子を取り付け、前記スライダをシリンジの長手方向に移動させることで押子を押圧してシリンジの薬液を送り出すシリンジポンプにおいて、
送液動作停止後、押子からスライダに及ぼす圧力が所定値になるまでは、前記スライダを薬液の吐出方向とは逆方向に所定速度で移動させるように制御することを特徴とするシリンジポンプ。 - シリンジを着脱自在に保持するシリンジ保持手段と、前記シリンジの押子を装着しシリンジの長手方向に押圧移動させてシリンジ内の薬液を送り出す押圧手段を有するシリンジポンプにおいて、
押子から押圧手段に及ぼす圧力を検出する圧力検出手段を備え、
送液動作停止後、前記圧力検出手段が検出する圧力が所定値となるまで、前記押圧手段が前記押子を薬液の吐出方向とは逆方向に所定速度で移動させるように制御する制御手段を備えることを特徴とするシリンジポンプ。 - 前記所定値および前記所定速度が、前記送液動作停止前の送液流量と用いるシリンジの容量とメーカー名に基づいて決定されることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のシリンジポンプ。
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