JP2004312791A - 回転子 - Google Patents

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Abstract

【課題】材料取りを良くすると共に電磁音を低減して静音性を向上させることができる回転子を提供する。
【解決手段】回転子14の外周側に位置する節部28で連結された複数のコア分割部26よりなるストレートコア24をリング状に折曲してロータコア22を形成し、コア分割部26,26の間に形成されたスロット38にマグネット40を軸方向に収納する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スロットにマグネットを収納する回転子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ブラシレスDCモータ等の直流モータの回転子は、鋼板を積層したロータコアの各スロットにマグネットを収納した構造となっている(特許文献1)。
【0003】
上記ようなロータコア100について、図5に基づいて説明する。
【0004】
従来のロータコア100は、図5(b)に示すように、リング状の連結部102から所定間隔毎に略三角形状のティース部104が外方に向かって突出し、各ティース部104の間にスロット106が形成されている。そして、このロータコア100の側面は、図5(a)に示すように、鋼板を積層した構造となっている。
【0005】
【特許文献1】
実開昭62−195359号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成のロータコア100を用いてブラシレスDCモータ(以下、単にモータという)108を回転させる場合の磁気ループの状態について図6に基づいて説明する。
【0007】
図6に示すように、固定子鉄心114は、リング状のステータコア110の内周からティース104が突出したものであり、各ティース104にコイル116を巻回して固定子118を形成している。
【0008】
この固定子118内部に、前記ロータコア100の各スロット106にマグネット122を収納した回転子120が回転自在に収納されている。
【0009】
上記構成のモータ108において、回転子120が回転する場合に、図4における矢印で示すように磁気ループが形成される。この場合に、スロット高調波に起因する電磁音が高くなるという問題点がある。
【0010】
また、ロータコア100は、略円筒形であるため、鋼板からこのロータコア100を打ち抜くと、これ以外の部分の鋼板を廃棄する必要があり、その廃棄個所が多くなり、材料取りが良くないという問題点がある。
【0011】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、材料取りを良くすると共に電磁音を低減して静音性を向上させることができる回転子を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、回転子の外周側に位置する節部で連結された複数のコア分割部よりなるストレートコアを、リング状に折曲してロータコアを形成し、前記二つのコア分割部の間に形成されたスロットにマグネットを軸方向に収納することを特徴とする回転子である。
【0013】
請求項2の発明は、前記各スロットにマグネットを収納したロータコアの内周側に円筒状のシャフト固定部材を配して、前記ロータコア、マグネット、シャフト固定部材とをモールド樹脂によって一体に成形し、前記シャフト固定部材の軸孔にシャフトを挿通することを特徴とする請求項1記載の回転子である。
【0014】
請求項3の発明は、前記ストレートコアは、前記コア分割部の形状に合わせて打ち抜かれた複数の鋼板を積層し、前記積層した複数の鋼板の中で所定の枚数の鋼板のみが前記節部で連結されていることを特徴とする請求項1または2記載の回転子である。
【0015】
【作 用】
本発明の回転子であると、ロータコアはストレートコアを折曲する構造であるため、このストレートコアを鋼板から打ち抜く場合に、従来のロータコアをそのまま打ち抜くよりも材料取りが良くなる。
【0016】
また、回転子における外周側においてコア分割部が連結された構造になっているため、スロット高調波に起因する電磁音を低減することができる。
【0017】
さらに、漏れ磁束が増加する傾向にあるが、請求項3に示すように、積層した複数の鋼板の中で所定の枚数の鋼板のみの節部で連結する構造であるため、漏れ磁束の低減を図ることができる。また、この構造であるとストレートコアを折曲する場合に曲げ易くなるという効果もある。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1から図4に基づいて説明する。
【0019】
本実施形態のモータ10はブラシレスDCモータである。このモータ10は、図4に示すように、固定子12内部に回転子14を回転自在に配した構造である。図1(b)に示すように、回転子14は、二組のストレートコア24を円弧状に折曲して連結したロータコア22から形成されている。
【0020】
(1)固定子12の構造
固定子12の構造について説明する。
【0021】
図4に示すように固定子12は、リング状のステータコア16の内周から24個のT字状のティース18が突出している。これら突出したティース18にはそれぞれコイル20が巻回されている。
【0022】
(2)ストレートコア24の構造
ストレートコア24の構造について説明する。
【0023】
図2に示すように、一組のストレートコア24は、10個のコア分割部26を節部28で連結したものと、10個に別々に切り離されたコア分割部26とを所定の枚数毎にそれぞれ積層したものである。
【0024】
コア分割部26は、円弧状の外周部30の内周から三角形状のティース32が突出し、このティース32の先端は、T字状に形成されている。
【0025】
この外周部30とティース32とよりなるコア分割部26が節部28によって10個連結されている鋼板と、分割されたコア分割部26の鋼板が所定枚数毎にかしめ部34を介して複数枚積層されている。すなわち、図2(a)に示すように、切り離されて連結されていないコア分割部26同士の間はカット部36となっている。
【0026】
上記のようにストレート状の鋼板を積層する構造であるため、鋼板を打ち抜く場合に材料取りが良くなるという効果がある。
【0027】
(3)回転子14の製造方法
回転子14の製造方法について説明する。
【0028】
まず、二組のストレートコア24をそれぞれ半リング状に折曲して接続し、図1(b)のようにリング状になし、ロータコア22を形成する。この場合に、図1(a)に示すように、折曲は節部28における部分で行うため折曲し易く、その上、積層されている部分にはカット部36が存在しているため、より折曲を行い易い。
【0029】
次に、ロータコア22のティース32、32の間で形成されているスロット38に棒状のマグネット40を収納する。
【0030】
次に、ロータコア22の中心部分に金属製である円筒形のシャフト固定部材42を配して、モールド樹脂によってモールドする。すなわち、図3に示すように、ロータコア22の中心部付近からマグネット40の半分が隠れるくらいまでの位置をモールド樹脂44によって覆う。これによって、マグネット40がスロット38から抜け出ることがない。また、シャフト固定部材42もロータコア22と一体成型される。この場合に、シャフト固定部材42が一体成型され易いように、シャフト固定部材42の表面にローレット加工もしくはセレーション加工を行う。
【0031】
次に、この円筒形のシャフト固定部材42の軸孔43に回転軸となるシャフト46を挿通する。これにより、回転子14が組み立てられる。
【0032】
(3)モータ10の動作状態
上記構成のモータ10の回転状態について図4に基づいて説明する。
【0033】
図4における矢印が磁気ループを示すものである。固定子12のコイル20にそれぞれ電流を流して磁界を発生させると回転子14が回転する。この場合に、スロット38の外周部分は外周部30によって覆われているため、スロット高調波に起因する電磁音を低減して静音性を向上させることができる。すなわち、スロット高調波の基本式は、(1)式で表される。
【0034】
fs={K×N1×(1−s)/P+B}×f ・・・(1)
但し、fsはスロット高調波(Hz)、Kは次数=1,2,3等の整数、N1はスロット数(すなわち、回転子14のスロット38の数)、sはすべり数(直流モータであるためs=0)、fは電源周波数(Hz)=励磁周波数、Bは−2,0,2である。なお、直流モータであるため、f=N×P/60であり、ここで、Nは回転数(rpm)、Pは極対数である。
【0035】
(1)式に示すようにスロット数が小さければスロット高調波が小さくなるため、コア分割部26を外周部30によって接続してスロット38がステータコア16から見て隠れるようにすることにより、N1の数が減りスロット高調波が減るためである。
【0036】
ところが、図4に示すように外周部30を設けることにより漏れ磁束が増加してモータ特性の低下が発生する可能性があるため、外周部30の一部分を切欠きカット部36を形成することにより、他極間の磁路を減少させて漏れ磁束の低減を図っている。
【0037】
(4)本実施形態の効果
以上に示すように、本実施形態の回転子14であると、ストレートコア24を折曲する場合に節部28で折曲するときに、カット部36が存在しているため曲げ易くなる。
【0038】
また、外周部30が存在することによりスロット高調波に起因する電磁音を低減させることができる。
【0039】
さらに、カット部36を設けることにより漏れ磁束の低減を図ることができる。
【0040】
【発明の効果】
以上により本発明の回転子であると、スロット高調波による電磁音を低減させることができ、また、漏れ磁束も低減させることができる。
【0041】
また、ストレートコアをロータコアに曲げ易いという効果もある。
【0042】
さらに、ストレートコアを打ち抜くため、鋼板の材料取りが良くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本実施形態のロータコアの側面図である。
(b)は、ロータコアの平面図である。
【図2】(a)は、ストレートコアの側面図である。
(b)は、ストレートコアの平面図である。
【図3】(a)は、回転子の側面図である。
(b)は、回転子の平面図である。
【図4】本実施形態のモータの平面図である。
【図5】(a)は、従来のロータコアの側面図である。
(b)は、従来のロータコアの平面図である。
【図6】従来のモータの平面図である。
【符号の説明】
10 モータ
12 固定子
14 回転子
22 ロータコア
24 ストレートコア
26 コア分割部
28 節部
30 外周部
32 ティース
34 かしめ部
36 カット部
38 スロット
40 マグネット
42 シャフト固定部材
44 モールド樹脂
46 シャフト

Claims (3)

  1. 回転子の外周側に位置する節部で連結された複数のコア分割部よりなるストレートコアを、リング状に折曲してロータコアを形成し、
    前記二つのコア分割部の間に形成されたスロットにマグネットを軸方向に収納する
    ことを特徴とする回転子。
  2. 前記各スロットにマグネットを収納したロータコアの内周側に円筒状のシャフト固定部材を配して、前記ロータコア、マグネット、シャフト固定部材とをモールド樹脂によって一体に成形し、
    前記シャフト固定部材の軸孔にシャフトを挿通する
    ことを特徴とする請求項1記載の回転子。
  3. 前記ストレートコアは、
    前記コア分割部の形状に合わせて打ち抜かれた複数の鋼板を積層し、
    前記積層した複数の鋼板の中で所定の枚数の鋼板のみが前記節部で連結されている
    ことを特徴とする請求項1または2記載の回転子。
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