JP2004312788A - カレントフェッド型コンバータ - Google Patents

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伸隆 上園
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【課題】高効率化をさらに図ると共に、高速応答および小型化を同時に実現できるカレントフェッド型コンバータを提供する。
【解決手段】降圧コンバータ回路4とプッシュプルコンバータ回路8からなるカレントフェッド型コンバータにおいて、n個(n≧2)の降圧コンバータ回路4a,4b,4c…を並列接続する。また、第1のスイッチ素子5a,5b,5c…および第2のスイッチ素子6a,6b,6c…が、各降圧コンバータ回路4a,4b,4c…毎に360°/nの位相差を有してそれぞれオン,オフ動作されるように構成し、各チョークコイル7a,7b,7c…のインダクタンス値を小さくする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プッシュプルコンバータ回路の入力段に降圧コンバータ回路を備えたカレントフェッド型コンバータに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、スイッチング素子のスイッチング動作に伴い、絶縁トランスの二次巻線に誘起された電圧を出力回路により整流平滑して、所望の直流出力電圧を得るDC−DCコンバータにおいては、出力回路を構成する二次側チョークコイルの銅損を低減するために、例えば特許文献1に開示されるような二次側チョークコイルの存在しない回路構成のカレントフェッド型コンバータが提案されている。他方、こうしたDC−DCコンバータでは、例えば特許文献2などに開示されるように、二次側チョークコイルと共に出力回路を構成する整流素子の導通損失を低減するために、ダイオードに代わりオン抵抗の小さなMOS型FETを使用した同期整流回路が提案されている。
【0003】
このような同期整流回路を、上記カレントフェッド型コンバータに組み込んだ一例を図3に示す。同図において、1,2は入力電圧Vinが印加される入力端子、3は入力電圧Vinを平滑する入力平滑コンデンサで、これは入力端子1,2間に接続される。また、4は平滑された入力電圧Vinを降圧する降圧コンバータ回路で、これは一方の入力端子1に一端を接続した整流用の第1のスイッチ素子5と、このスイッチ素子5の他端と他方の入力端子2との間に、一端と他端をそれぞれ接続する転流用の第2のスイッチ素子6と、スイッチ素子5,6の接続点に一端を接続したチョークコイル7とにより構成され、チョークコイル7の他端は後述するトランス11の一次巻線11a,11cの接続点である一次側センタータップ11bに接続される。
【0004】
8は、前記降圧コンバータ回路4の後段に接続するプッシュプルコンバータ回路で、これはプッシュプル構成の第3のスイッチ素子9と第4のスイッチ素子10およびトランス11の他に、好ましくはMOS型FETなどのオン抵抗の小さな整流スイッチ素子12,13と、この整流スイッチ素子12,13を通した整流出力を平滑する出力平滑コンデンサ14とにより構成される。より具体的には、トランス11の一次側は同極性に直列接続された一次巻線11a,11cで構成され、一次巻線11aのドット側端子とスイッチ素子6の他端との間にスイッチ素子9が接続され、別な一次巻線11cの非ドット側端子とスイッチ素子6の他端との間にスイッチ素子10が接続される。また、トランス11の二次側は同極性に直列接続された二次巻線11d,11fで構成され、二次巻線11dのドット側端子に整流スイッチ素子13の一端が接続される一方で、二次巻線11fの非ドット側端子に整流スイッチ素子12の他端が接続される。さらに、前記二次巻線11d,11fの接続点である二次側センタータップ11eと、整流スイッチ素子12,13の他端どうしの接続点との間に出力平滑コンデンサ14を接続し、このコンデンサ14の両端間に出力端子15,16が接続される。
【0005】
そして、図示しない制御手段により、トランス11の一次側にあるスイッチ素子9,10を交互にオン,オフさせると、前記降圧コンバータ回路4からの降圧出力が一次巻線11a,11cに交互に印加され、トランス11の二次巻線11d,11fに電圧が誘起される。ここで前記制御手段が、スイッチ素子9のオン動作に同期して整流スイッチ素子13をオンし、スイッチ素子10のオン動作に同期して整流スイッチ素子12をオンすることにより、二次巻線11d,11fに誘起された電圧が整流スイッチ素子12,13およびコンデンサ14で整流平滑され、このコンデンサ14の両端間に接続する出力端子15,16間に出力電圧Voutが得られる。
【0006】
なお、17はスイッチ素子5とチョークコイルの直列回路に逆並列接続され、スイッチ素子9,10が同時にオフした際に、トランス11に蓄えられたエネルギーを入力側へ回生するための回生ダイオードである。この回生ダイオード17は、トランス11のフライバック電圧を抑制するためのものであるが、スイッチ素子9,10が確実に同時オフしない動作タイミングを得られる場合には不要となる。
【0007】
上記構成のカレントフェッド型コンバータでは、降圧コンバータ回路4の各スイッチ素子5,6が、プッシュプルコンバータ回路8のスイッチ素子9,10に対し2倍の周期でオン,オフ動作される。また、スイッチ素子9,10は一周期に対するオン時間の比であるデューティ比が50%にそれぞれ固定される一方で、出力電圧Voutを一定に保つために、スイッチ素子5,6のオン期間(パルス導通幅)が前記制御手段により可変制御される。
【0008】
上記構成について、図4に示す各スイッチ素子5,6,9,10および整流スイッチ素子12,13の動作タイミング波形を用いて説明すると、期間T1ではスイッチ素子5,9および整流スイッチ素子12がオンし、スイッチ素子6,10および整流スイッチ素子13がオフしている。降圧コンバータ回路4は、スイッチ素子5を通してチョークコイル7にエネルギーが蓄えられ、入力平滑コンデンサ3により平滑された入力電圧Vinよりも低い電圧が出力側に発生する。それと共に、プッシュプルコンバータ回路8のスイッチ素子9と整流スイッチ素子12が同期してオンしているので、降圧コンバータ回路4からの降圧出力がトランス11の一次巻線11aに印加され、二次巻線11fに誘起された電圧が、整流スイッチ素子12を通して出力平滑ダイオード14および出力端子15,16間に供給される。
【0009】
期間T2になると、スイッチ素子6,9および整流スイッチ素子12がオンし、スイッチ素子5,10および整流スイッチ素子13がオフする。降圧コンバータ回路4は、スイッチ素子6がオンすることによりチョークコイル7に蓄えられたエネルギーが出力側に送り出され、前記入力電圧Vinよりも低い電圧が出力側に発生する。それと共に、プッシュプルコンバータ回路8は引き続きスイッチ素子9と整流スイッチ素子12が同期してオンしているので、二次巻線11fに誘起された電圧が、整流スイッチ素子12を通して出力平滑ダイオード14および出力端子15,16間に供給される。
【0010】
期間T3では、スイッチ素子5,10および整流スイッチ素子13がオンし、スイッチ素子6,9および整流スイッチ素子12がオフする。降圧コンバータ回路4は、スイッチ素子5を通してチョークコイル7にエネルギーが蓄えられ、入力平滑コンデンサ3により平滑された入力電圧Vinよりも低い電圧が出力側に発生する。それと共に、今度はプッシュプルコンバータ回路8のスイッチ素子10と整流スイッチ素子13が同期してオンしているので、降圧コンバータ回路4からの降圧出力がトランス11の一次巻線11cに印加され、二次巻線11dに誘起された電圧が、整流スイッチ素子13を通して出力平滑ダイオード14および出力端子15,16間に供給される。
【0011】
期間T4になると、スイッチ素子6,10および整流スイッチ素子13がオンし、スイッチ素子5,9および整流スイッチ素子12がオフする。降圧コンバータ回路4は、スイッチ素子6がオンすることによりチョークコイル7に蓄えられたエネルギーが出力側に送り出され、前記入力電圧Vinよりも低い電圧が出力側に発生する。それと共に、プッシュプルコンバータ回路8のスイッチ素子10と整流スイッチ素子13が引き続きオンしているので、二次巻線11dに誘起された電圧が、整流スイッチ素子13を通して出力平滑ダイオード14および出力端子15,16間に供給される。そして、この期間T4が終了すると期間T1に戻り、上述の動作を継続することで、出力平滑コンデンサ14間に所望の出力電圧Voutが得られる。
【0012】
上記一連の動作において、整流スイッチング素子12,13はオン抵抗の小さなMOS型FETを用いているため、トランス11の二次側における整流素子の導通損失が小さく、さらにプッシュプルコンバータ回路8のスイッチ素子9,10は、降圧コンバータ回路4の各スイッチ素子5,6ほど高速で動作させる必要がないため、プッシュプルコンバータ回路8におけるスイッチング損失が少ない。また、スイッチ素子9,10のオン,オフデューティを50パーセントの固定に設定して、トランス11をあたかもDCトランスのように動作させることで、トランス11の二次側にチョークコイルを備える必要がなくなる。そのため、特にトランス11の二次側で低電圧大電流を取り出す場合に、チョークコイルが存在しない分だけ銅損を少なくすることができ、高効率化を達成できる。
【0013】
【特許文献1】
特許第3238841号公報
【特許文献2】
特開平11−308862号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
図3に示すカレントフェッド型コンバータは、特許文献1にもあるように、トランス11の一次巻線11a,11cと直列にチョークコイル7を接続すると共に、このチョークコイル7のインダクタンス値を、トランス11のインダクタンス値の数倍に設定して、コンバータを電流源として動作させている。しかし、このような大きなインダクタンス値のチョークコイル7は、コンバータの小型化を図る上で支障となる上に、チョークコイル7を流れる電流の傾斜が緩くなるため、負荷電流が急変する場合などにおいて、スイッチ素子5,6のパルス導通幅を制御する制御回路が高速に応答することができず、出力電圧Voutが大きく変動するなどの問題を有していた。
【0015】
本願発明は上記問題点に鑑み、高効率化をさらに図ると共に、高速応答および小型化を同時に実現できるカレントフェッド型コンバータを提供することをその目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明における請求項1のカレントフェッド型コンバータは、交互にオン,オフする第1および第2のスイッチ素子とチョークコイルとを有し、前記第1のスイッチ素子のオン時に前記チョークコイルにエネルギーを蓄え、前記第2のスイッチ素子のオフ時に前記チョークコイルの蓄積エネルギーを放出して降圧出力を得る降圧コンバータ回路と、交互にオン,オフする第3および第4のスイッチ素子をトランスの一次巻線に接続し、このトランスの二次巻線に誘起した電圧を整流平滑して出力電圧を得るプッシュプルコンバータ回路とを備え、前記第3および第4のスイッチ素子が固定デューティでオン,オフ動作される一方で、前記第1および第2のスイッチ素子が、前記第3および第4のスイッチ素子に対し2倍の周期で、且つ前記出力電圧を安定化させるためにオン期間を可変制御しながらオン,オフ動作されるカレントフェッド型コンバータにおいて、n個(n≧2)の前記降圧コンバータ回路を並列に接続すると共に、前記各降圧コンバータ回路における前記第1および第2のスイッチ素子が、前記各降圧コンバータ回路毎に360°/nの位相差を有してそれぞれオン,オフ動作されるように構成したものである。
【0017】
上記構成によれば、各降圧コンバータ回路における第1および第2のスイッチ素子は、第3および第4のスイッチ素子に対し2倍の周期で、且つ出力電圧を安定化させるためにオン期間を可変制御しながら、各降圧コンバータ回路毎に位相をずらしながら交互にオン,オフ動作される。そのため、各降圧コンバータ回路に備わるチョークコイル1つ当たりのインダクタンス値を小さくでき、コンバータ内部の小型化を実現できる。しかも、個々のチョークコイルを流れる電流の傾斜は、インダクタンス値が小さい分だけ急になるため、負荷電流が急変する場合などにおいて、チョークコイルを流れる電流がすぐに追従して、高速応答を実現することができる。
【0018】
さらに、カレントフェッド型コンバータの特長として、トランスの二次側に出力チョークコイルを設ける必要がなく、銅損を少なくできると共に、プッシュプルコンバータ回路を構成する第3および第4のスイッチ素子は低い周波数で動作するため、これらの第3および第4のスイッチ素子におけるスイッチング損失が少ない。その上、トランスを増やさずに、降圧コンバータ回路の多相化を実現しているので、極めて効率のよいコンバータを得ることができる。
【0019】
また、各降圧コンバータ回路は並列に接続され、それぞれのチョークコイルを流れる電流は、降圧出力側で加算されてリプル分が相殺されるので、個々のチョークコイルのインダクタンス値は小さいものの、プッシュプルコンバータ回路への印加電流のリプルを著しく低減することができる。
【0020】
【発明の実施形態】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面である図1および図2を参照して詳細に説明する。尚、従来例の図3と構成が重複するものについては同一の符号を付し、その説明を極力省略する。
【0021】
回路の全体構成を示す図1において、本実施例では、プッシュプルコンバータ回路8の入力段にある降圧コンバータ回路4a,4b,4c…を、少なくともn個(n≧2)並列に接続するとともに、各降圧コンバータ回路4a,4b,4c…のスイッチ素子5a,5b,5c…が、それぞれ360°/nの位相差を有してオン,オフ動作されるように、図示しない制御手段から駆動信号が与えられ、かつ別のスイッチ素子6a,6b,6c…も、それぞれ360°/nの位相差を有してオン,オフ動作されるように、図示しない制御手段から駆動信号が与えられるように構成している。なお、本実施例では図1の実線に示すように、2個の降圧コンバータ回路4a,4bを並列接続した例を説明するが、図1の波線に示すように、3個以上の降圧コンバータ回路4a,4b,4c…を並列接続してもよい。並列接続する降圧コンバータ回路4a,4b,4c…の個数を増やすほど、トランス11の一次巻線11a,11cに直列的に接続する個々のチョークコイル7a,7b,7c…のインダクタンス値は小さくなる。それ以外の構成は、図3に示す従来例と共通している。
【0022】
なお、図1に示す回路図において、プッシュプルコンバータ回路8を構成するスイッチ素子9,10は交互にオン,オフ動作されるが、各スイッチ素子9,10が確実に同時オフしないように駆動信号が与えられるならば、回生ダイオード17を不要にできる。また、転流用のスイッチ素子6a,6b,6c…は、例えばMOS型FETのような制御端子(ゲート)付き素子ではなく、制御端子を持たないダイオードを用いてもよい。
【0023】
次に上記構成の作用について、図2の各スイッチ素子5a,5b,6a,6b,9,10および整流スイッチ素子12,13の動作タイミング波形を参照しながら説明する。2個の降圧コンバータ回路4a,4bを並列接続した場合、スイッチ素子5aとスイッチ素子6a、およびスイッチ素子5bとスイッチ素子6bは、スイッチ素子5a,5b,6a,6bの一周期において、それぞれ180°の位相差を有してオン,オフ動作される。なお、この位相差は、3個の降圧コンバータ回路4a,4b,4cの場合に120°となり、4個の降圧コンバータ回路4a,4b,4c,4dの場合に90°となるのはいうまでもない。
【0024】
期間T1において、ここではスイッチ素子5a,6b,9および整流スイッチ素子12がオンし、スイッチ素子5b,6a,10および整流スイッチ素子13がオフしている。降圧コンバータ回路4aは、スイッチ素子5aを通してチョークコイル7aにエネルギーが蓄えられるため、チョークコイル7aを流れる電流が傾斜増加する一方で、別の降圧コンバータ回路4bは、チョークコイル7bの蓄積エネルギーが出力側に送り出されるため、チョークコイル7bを流れる電流が傾斜減少する。これにより、入力平滑コンデンサ3により平滑された入力電圧Vinよりも低い電圧が出力側に発生すると共に、それぞれのチョークコイル7a,7bを流れる電流を加算したプッシュプルコンバータ回路8への印加電流は、リプル分が殆どない直流になる。
【0025】
また、後段のプッシュプルコンバータ回路8では、スイッチ素子9と整流スイッチ素子12が同期してオンしているので、降圧コンバータ回路4a,4bからの降圧出力がトランス11の一次巻線11aに印加され、二次巻線11fに誘起された電圧が、整流スイッチ素子12を通して出力平滑ダイオード14および出力端子15,16間に供給される。
【0026】
期間T2になると、スイッチ素子5b,6a,9および整流スイッチ素子12がオンし、スイッチ素子5a,6b,10および整流スイッチ素子13がオフする。降圧コンバータ回路4aは、チョークコイル7aの蓄積エネルギーが出力側に送り出されるため、チョークコイル7aを流れる電流が傾斜減少するが、別の降圧コンバータ回路4bは、スイッチ素子5bを通してチョークコイル7bにエネルギーが蓄えられるため、チョークコイル7bを流れる電流が傾斜増加する。これにより、期間T1に引き続いて、入力電圧Vinよりも低い電圧が出力側に発生すると共に、プッシュプルコンバータ回路8への印加電流は、リプル分が殆どない直流になる。
【0027】
また、プッシュプルコンバータ回路8は引き続きスイッチ素子9と整流スイッチ素子12が同期してオンしているので、二次巻線11fに誘起された電圧が、整流スイッチ素子12を通して出力平滑ダイオード14および出力端子15,16間に供給される。
【0028】
期間T3では、スイッチ素子5a,6b,10および整流スイッチ素子13がオンし、スイッチ素子5b,6a,9および整流スイッチ素子12がオフしている。降圧コンバータ回路4aは、スイッチ素子5aを通してチョークコイル7aにエネルギーが蓄えられるため、チョークコイル7aを流れる電流が傾斜増加する一方で、別の降圧コンバータ回路4bは、チョークコイル7bの蓄積エネルギーが出力側に送り出されるため、チョークコイル7bを流れる電流が傾斜減少する。これにより、入力電圧Vinよりも低い電圧が出力側に発生すると共に、プッシュプルコンバータ回路8への印加電流は、リプル分が殆どない直流になる。
【0029】
また、ここからはプッシュプルコンバータ回路8のスイッチ素子10と整流スイッチ素子13が同期してオンしているので、降圧コンバータ回路4からの降圧出力がトランス11の一次巻線11cに印加され、二次巻線11dに誘起された電圧が、整流スイッチ素子13を通して出力平滑ダイオード14および出力端子15,16間に供給される。
【0030】
期間T4になると、スイッチ素子5b,6a,10および整流スイッチ素子13がオンし、スイッチ素子5a,6b,9および整流スイッチ素子12がオフする。降圧コンバータ回路4aは、チョークコイル7aの蓄積エネルギーが出力側に送り出されるため、チョークコイル7aを流れる電流が傾斜減少するが、別の降圧コンバータ回路4bは、スイッチ素子5bを通してチョークコイル7bにエネルギーが蓄えられるため、チョークコイル7bを流れる電流が傾斜増加する。これにより、期間T3に引き続いて、入力電圧Vinよりも低い電圧が出力側に発生すると共に、プッシュプルコンバータ回路8への印加電流は、リプル分が殆どない直流になる。
【0031】
また、引き続きプッシュプルコンバータ回路8のスイッチ素子10と整流スイッチ素子13が同期してオンしているので、降圧コンバータ回路4からの降圧出力がトランス11の一次巻線11cに印加され、二次巻線11dに誘起された電圧が、整流スイッチ素子13を通して出力平滑ダイオード14および出力端子15,16間に供給される。そして、この期間T4が終了すると期間T1に戻り、上述の動作を継続することで、出力平滑コンデンサ14間に所望の出力電圧Voutが得られる。
【0032】
上記一連の動作において、プッシュプルコンバータ回路8のスイッチ素子9,10は、降圧コンバータ回路4a,4bの各スイッチ素子5a,5b,6a,6b,ほど高速で動作させる必要がないため、プッシュプルコンバータ回路8におけるスイッチング損失が少ない。また、スイッチ素子9,10のオン,オフデューティを50パーセントの固定に設定して、トランス11をあたかもDCトランスのように動作させることで、トランス11の二次側にチョークコイルを備える必要がなくなるため、特にトランス11の二次側で低電圧大電流を取り出す場合に、チョークコイルが存在しない分だけ銅損を少なくすることができる。こうした特徴は、カレントフェッド型コンバータのものである。
【0033】
また本実施例では、複数の降圧コンバータ回路4a,4bを並列に接続し、これらの降圧コンバータ回路4a,4bにおけるスイッチ素子5a,5b(およびスイッチ素子6a,6b)の位相をずらしつつオン,オフ動作させることで、それぞれのチョークコイル7a,7bを流れる電流のリプル分を相殺して、各チョークコイル7a,7bのインダクタンス値を小さくすることができる。そのため、トランス11と直列に接続されるチョークコイル7a,7bは、従来のものに比べて著しく小型のものを使用できる。しかも、インダクタンス値の小さなチョークコイル7a,7bを使用すると、負荷電流が急変したときにチョークコイル7a,7bを流れる電流がすぐに追従して、高速応答を実現することができる。
【0034】
以上のように本実施例では、交互にオン,オフする第1のスイッチ素子5,第2のスイッチ素子6,およびチョークコイル7を有し、第1のスイッチ素子5のオン時にチョークコイル7にエネルギーを蓄え、第2のスイッチ素子6のオフ時にチョークコイル7の蓄積エネルギーを放出して降圧出力を得る降圧コンバータ回路4と、交互にオン,オフする第3のスイッチ素子9および第4のスイッチ素子10をトランス11の一次巻線11a,11cに接続し、このトランス11の二次巻線11d,11fに誘起した電圧を整流平滑して出力電圧を得るプッシュプルコンバータ回路8とを備え、図示しない制御手段により第3のスイッチ素子9および第4のスイッチ素子10が、好ましくは50%の固定デューティでオン,オフ動作される一方で、第1のスイッチ素子5および第2のスイッチ素子6が、第3のスイッチ素子9および第4のスイッチ素子10に対し2倍の周期で、且つ出力電圧Voutを安定化させるためにオン期間を可変制御しながらオン,オフ動作されるカレントフェッド型コンバータにおいて、単独の降圧コンバータ回路4ではなく、n個(n≧2)の降圧コンバータ回路4a,4b,4c…を並列に接続すると共に、各降圧コンバータ回路4a,4b,4c…における第1のスイッチ素子5a,5b,5c…および第2のスイッチ素子6a,6b,6c…が、各降圧コンバータ回路4a,4b,4c…毎に360°/nの位相差を有してそれぞれオン,オフ動作されるように構成している。
【0035】
この場合、各降圧コンバータ回路4a,4b,4c…における第1のスイッチ素子5a,5b,5c…および第2のスイッチ素子6a,6b,6c…は、第3のスイッチ素子9および第4のスイッチ素子10に対し2倍の周期で、且つ出力電圧Voutを安定化させるためにオン期間を可変制御しながら、各降圧コンバータ回路4a,4b,4c…毎に位相をずらしながら交互にオン,オフ動作される。そのため、各降圧コンバータ回路4a,4b,4c…に備わるチョークコイル1つ当たりのインダクタンス値を小さくでき、コンバータ内部の小型化を実現できる。しかも、個々のチョークコイル7a,7b,7c…を流れる電流の傾斜は、インダクタンス値が小さい分だけ急になるため、負荷電流が急変する場合などにおいて、チョークコイル7a,7b,7c…を流れる電流がすぐに追従して、高速応答を実現することができる。
【0036】
さらに、カレントフェッド型コンバータの特長として、トランス11の二次側に出力チョークコイルを設ける必要がなく、銅損を少なくできると共に、プッシュプルコンバータ回路8を構成する第3および第4のスイッチ素子9,10は低い周波数で動作するため、これらの第3および第4のスイッチ素子9,10におけるスイッチング損失が少ない。その上、本実施例ではトランス11を増やさずに、降圧コンバータ回路4a,4b,4c…の多相化を実現しているので、極めて効率のよいコンバータを得ることができる。
【0037】
また、各降圧コンバータ回路4a,4b,4c…は並列に接続され、それぞれのチョークコイル7a,7b,7c…を流れる電流は、降圧出力側で加算されてリプル分が相殺されるので、個々のチョークコイル7a,7b,7c…のインダクタンス値は小さいものの、プッシュプルコンバータ回路8への印加電流のリプルを著しく低減することができる。
【0038】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば各スイッチ素子5,6,9,10および整流スイッチ素子12,13は、MOS型FETに限定されるものではない。具体的には、制御手段の構成を簡単にするために、整流スイッチ素子12,13としてダイオードを用いてもよい。
【0039】
【発明の効果】
本発明のカレントフェッド型コンバータによれば、高効率化をさらに図ると共に、高速応答および小型化を同時に実現できる。さらに、プッシュプルコンバータ回路への印加電流のリプルを著しく低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例におけるカレントフェッド型コンバータの好ましい一例を示す回路図である。
【図2】同上、各スイッチ素子および整流スイッチ素子の動作を示す波形図である。
【図3】従来のシングルフェイズカレントフェッドプッシュプル回路の一例を示す回路図である。
【図4】同上、各スイッチ素子の駆動波形の一例を示すタイミング図である。
【符号の説明】
4,4a,4b,4c 降圧コンバータ回路
5,5a,5b,5c 第1のスイッチ素子
6,6a,6b,6c 第2のスイッチ素子
7,7a,7b,7c チョークコイル
8 プッシュプルコンバータ回路
11 トランス

Claims (1)

  1. 交互にオン,オフする第1および第2のスイッチ素子とチョークコイルとを有し、前記第1のスイッチ素子のオン時に前記チョークコイルにエネルギーを蓄え、前記第2のスイッチ素子のオフ時に前記チョークコイルの蓄積エネルギーを放出して降圧出力を得る降圧コンバータ回路と、
    交互にオン,オフする第3および第4のスイッチ素子をトランスの一次巻線に接続し、このトランスの二次巻線に誘起した電圧を整流平滑して出力電圧を得るプッシュプルコンバータ回路とを備え、
    前記第3および第4のスイッチ素子が固定デューティでオン,オフ動作される一方で、前記第1および第2のスイッチ素子が、前記第3および第4のスイッチ素子に対し2倍の周期で、且つ前記出力電圧を安定化させるためにオン期間を可変制御しながらオン,オフ動作されるカレントフェッド型コンバータにおいて、
    n個(n≧2)の前記降圧コンバータ回路を並列に接続すると共に、
    前記各降圧コンバータ回路における前記第1および第2のスイッチ素子が、前記各降圧コンバータ回路毎に360°/nの位相差を有してそれぞれオン,オフ動作されるように構成したことを特徴とするカレントフェッド型コンバータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014081837A (ja) * 2012-10-17 2014-05-08 Sanyo Denki Co Ltd 系統連系電源システム
CN115589237A (zh) * 2022-12-13 2023-01-10 青岛鼎信通讯股份有限公司 一种适用于电力领域的高频电流信号分支归属判决方法

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