JP2004312484A - 音響変換装置および音響変換方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】供給された音声信号を損なうことなく、かつ、接続されたスピーカーの全部を有効に活用することができるようにする。
【解決手段】入力音声信号のチャンネル構成と出力チャンネル構成とに応じて決まる変換情報の提供を制御部から受け、この変換情報をチャンネル変換部3を構成する各増幅器に設定するようにし、エクステンション部31とダウンミックス部32とが協働することによって、入力音声信号の各チャンネルの音声信号から、出力チャンネル構成に応じた各出力チャンネル用の音声信号を形成し、各出力チャンネルに出力する。
【選択図】 図2
【解決手段】入力音声信号のチャンネル構成と出力チャンネル構成とに応じて決まる変換情報の提供を制御部から受け、この変換情報をチャンネル変換部3を構成する各増幅器に設定するようにし、エクステンション部31とダウンミックス部32とが協働することによって、入力音声信号の各チャンネルの音声信号から、出力チャンネル構成に応じた各出力チャンネル用の音声信号を形成し、各出力チャンネルに出力する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、モノラル音声信号、2チャンネル音声信号、マルチチャンネル音声信号等の種々のチャンネル構成の音声信号を処理する音響変換装置、音響変換方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
音楽ソースの供給源として広く用いられているものとして、通常の音楽用CDであるCD−DA(Compact Disc Digital Audio)と、次世代音楽CDとしてSACD(Super Audio Compact Disc)とがある。CD−DAは、サンプリング周波数44.1kHz、量子化ビット数16ビットのPCM(Pulse Code Modulation)ステレオのデジタルオーディオ信号(CD音声信号)が記録されたものである。また、SACDは、2層構造とされ、上側の層に上述したいわゆるCD音声信号が記録され、下側の層にウルトラ・ハイファイのDSD(Direct Stream Digital)音声信号が記録されたものである。
【0003】
このように、CD−DAとSACDとは、CD音声信号とDSD音声信号と言うように、信号フォーマットが異なるものであるが、SACDが2層構造をとることにより、完全な双方向の互換性が保たれている。そして、SACDプレーヤを用いることにより、CD−DAを再生したときには、アナログ2チャンネル音声信号がアナログ2チャンネル出力端子に出力され、SACDを再生したときには、アナログマルチ音声信号をアナログマルチ出力端子に出力することができるようにされる。
【0004】
しかしながら、SACDプレーヤが接続される従来のオーディオアンプ装置においては、SACDプレーヤのアナログ2チャンネル出力端子から出力されたアナログ2チャンネル音声信号を再生するのか、SACDプレーヤのアナログマルチ出力端子から出力されたアナログマルチ音声信号を再生するのかをユーザー自身が切り換えるようにしなければならないため、特にオーディオ機器の操作に不慣れなユーザーにとっては使い勝手が悪い場合があった。
【0005】
このような問題を解決するため、特許文献1(特開2002−354574号公報)には、自機に供給される信号フォーマットの異なる複数の音声信号のうち、どのフォーマットの音声信号が供給されたかを判別し、供給された音声信号を再生するように、自動的に音声信号の選択を行うようにする技術が開示されている。
【0006】
この特許文献1に記載の技術によれば、ユーザーの手を煩わせることなく、自機に供給された音声信号を再生するように、自動的に再生すべき音声信号の選択を行うので、例えオーディオ機器の操作に不慣れなユーザーであっても、迅速かつスムースにCD−DAやSACDに記録されている音声信号の再生音声を聴取することができるようにされる。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−354574号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したSACDプレーヤのように、フォーマットの異なる音声信号を異なる出力端子から出力するのではなく、フォーマットの異なる種々の音声信号をデジタルデータとして同じ経路を通じて出力するようにする場合も多くなってきている。
【0009】
最近では、例えば、ドルビーデジタル(Dolby Digital(登録商標))、dts(Digital Theater System(登録商標))などといった種々のいわゆるマルチチャンネルフォーマットのオーディオストリームが広く用いられるようになってきている。マルチチャンネルフォーマットには上述したものの他にも種々のものがあり、また、音声信号のチャンネル構成もさまざまである。
【0010】
ここで、nを聴取者の前方側(フロント側)に配置されるスピーカーのチャンネル数、mを聴取者の後方側(リア側)に配置されるスピーカーのチャンネル数とし、全体のチャンネル構成を[n/m]で表すようにすると、[1/0]、[2/0]、[2/1]、[2/2]、[3/0]、[3/1]、[3/2]、[3/3]等、種々のチャンネル構成を取る場合がある。
【0011】
この場合、[1/0]は、チャンネル構成がセンターチャンネルのみ(いわゆるモノラル構成)であることを示しており、[2/0]は、チャンネル構成がフロント2チャンネルのみ(いわゆるステレオ構成)であることを示している。なお、[*/1]は、リアチャンネルがモノラルであることを表すが、一般にリアの出力は、0チャンネル(リアスピーカーなし)か、2チャンネル以上である場合がほとんどである。
【0012】
このように、再生すべき音声信号のチャンネル構成は種々の場合がある。そして、ユーザーが用いるマルチチャンネル再生のためのオーディオ機器のスピーカーのセッティング状態(出力チャンネル構成)も、上述した場合と同様に、[前方側(フロント側)チャンネル数n/後方側(リア側)チャンネル数m]で表すと、[2/0]、[3/0]、[2/2]、[3/2]、[3/3]、[3/4]など、多くのケースが考えられる。
【0013】
したがって、再生しようとしている音声信号のチャンネル構成と、ユーザーのオーディオ機器のスピーカーが接続されたチャンネルの構成(出力チャンネル構成)とが必ずしも一致しない。このため、スピーカーの接続状態にかかわらず、ストリームによっては全く鳴らないスピーカーが存在しうることになる。
【0014】
例えば、チャンネル構成が[2/0]の音声信号を、出力チャンネル構成が[3/2]のオーディオ機器で再生するようにした場合には、フロントの2チャンネル以外のチャンネルのスピーカーからは全く音が出ず、センタースピーカーとリアスピーカーが無駄になっている。また、音が出ないスピーカーがあることは、オーディオ機器の故障などと勘違いする場合がある。
【0015】
以上のことにかんがみ、この発明は、接続されたスピーカーの全部を有効に活用することができるようにするとともに、供給された音声信号を損なうことがないようにする音響変換装置および音響変換方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の音響変換装置は、
入力音声信号のチャンネル構成と自機の出力チャンネル構成とにより決まる変換情報の供給を受けて、前記変換情報に基づき、前記入力音声信号の各チャンネルの音声信号から前記出力チャンネル構成に応じた各出力チャンネルの音声信号を形成する形成手段を備えることを特徴とする。
【0017】
この請求項1に記載の音響変換装置によれば、入力音声信号のチャンネル構成と出力チャンネル構成とに応じて決まる変換情報の提供を受け、この変換情報に基づいて、入力音声信号の各チャンネルの音声信号から、出力チャンネル構成に応じた各出力チャンネル用の音声信号が形成される。
【0018】
これにより、供給される入力音声信号のチャンネル構成にかかわらず、また、用いるオーディオ機器のスピーカーが接続されたチャンネルの構成である出力チャンネル構成にかかわらず、その出力チャンネル構成に応じた各出力チャンネル用の音声信号が形成される。したがって、入力音声信号を有効に活用することができるとともに、スピーカーを無駄なく使用することができる。また、音の出ないスピーカーが生じることにより、オーディオ機器の故障と間違うなどの不都合を生じることもないようにされる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照しながら、この発明による装置、方法の一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態においては、この発明による装置、方法の一実施の形態をオーディオアンプ装置に適用した場合を例にして説明する。
【0020】
[オーディオアンプ装置の機能の概要]
以下に説明する実施の形態のオーディオアンプ装置は、出力チャンネルとして、前方側(フロント側)3チャンネル、後方側(リア側)4チャンネルの合わせて7チャンネル分を備えたものである。しかし、全ての出力チャンネルを必ず使用する必要はなく、ユーザーの好み等に応じて、任意の出力チャンネルにスピーカーを接続して用いることができるものである。
【0021】
すなわち、この実施の形態のオーディオアンプ装置は、実際にスピーカーが接続される出力チャンネルの構成である出力チャンネル構成としては、[前方側チャンネルn/後方側チャンネル数m]で表現すると、[2/0]、[3/0]、[2/2]、[3/2]、[3/3]、[3/4]等の任意の出力チャンネル構成をとることができるようにされたものである。
【0022】
しかし、この実施の形態のオーディオアンプ装置に供給される入力音声信号(この実施の形態においては、デジタルオーディオストリーム)は、PCM、ドルビーデジタル、dts等、種々のフォーマットのものが想定され、チャンネル構成も種々の場合があるので、入力音声信号のチャンネル構成と出力チャンネル構成とが一致しない場合が発生する。
【0023】
そこで、この実施の形態のオーディオアンプ装置においては、入力音声信号のチャンネル構成と、実際にスピーカーが接続された自機の出力チャンネルの構成である出力チャンネル構成とに基づいて、どのようなチャンネル構成の入力音声信号が供給された場合であっても、その入力音声信号から自機の出力チャンネル構成に合致した出力チャンネルのそれぞれについての出力音声信号を形成することができるようにしたものである。換言すれば、入力音声信号についてチャンネル変換を行うことにより、自機の出力チャンネル構成に合致する出力音声信号を形成することができるようにしたものである。
【0024】
[オーディオアンプ装置の構成と動作]
図1は、この発明による装置、方法の一実施の形態が適用された、この実施の形態のオーディオアンプ装置を説明するためのブロック図である。図1に示すように、この実施の形態のオーディオアンプ装置は、デジタルオーディオ信号の入力端子1、音声データデコード部2、チャンネル変換部3、マルチ音声チャンネルに対応したスピーカー部4、制御部5、キー操作部6を備えたものである。
【0025】
制御部5は、図1に示したように、CPU(Central Processing Unit)51、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53、不揮発性メモリー54が、システムバス55を通じて接続されて構成されたマイクロコンピュータであり、この実施の形態のオーディオアンプ装置の各部を制御することができるものである。
【0026】
ここで、ROM52は、この実施の形態のオーディオアンプ装置に応じて実行する種々のプログラムや処理に必要なデータ等が記憶されたものであり、RAM53は、処理の途中結果を保持するなど、主に作業領域として用いられるものである。また、不揮発性メモリーは、電源が落とされても記憶情報を保持しておくことができるものであり、例えば、設定パラメータなどが記憶保持される。
【0027】
そして、入力端子1を通じて受け付けた、例えば、CD(Compact Disc)プレーヤ、DVD(Digital Versatile Disc)プレーヤなどの各種のデジタル機器から供給されるデジタル音声信号(オーディオストリーム)は、音声データデコード部2に供給される。
【0028】
音声データデコード部2は、制御部5からの制御に応じて動作し、これに供給された入力音声信号である所定のフォーマットのデジタルオーディオストリームをそのフォーマットに応じてデコードし、入力音声信号のチャンネル構成を判別するとともに、チャンネル構成に応じた各チャンネルのデコード後の音声信号を分離するようにする。
【0029】
そして、音声データデコード部2は、判別した入力音声信号のチャンネル構成を示す情報と、当該入力音声信号のチャンネル構成に応じて各チャンネル毎に分離したデコード後の音声信号とを、チャンネル変換部3に供給する。
【0030】
なお、音声データデコード部2は、集積回路(IC)とし構成された種々のものを用いることにより実現することができる。例えば、富士通株式会社製のICである型番MB86347、MB86349、MB86D42、MB86D41などを音声データデコード部2として用いることが可能である。
【0031】
これらのICは、PCM、ドルビーデジタル、dts、AAC(Advanced Audio Coding)等の信号フォーマットのデジタルオーディオストリームをデコードし、そのデジタルオーディオストリームのチャンネル構成に応じたチャンネルのデコード後の音声信号(音声データ)を出力することができるものである。
【0032】
チャンネル変換部3は、この実施の形態においては、DSP(Digital Signal Processor)として構成されたものであり、音声データデコード部2において判別された入力音声信号のチャンネル構成を示す情報と自機の出力チャンネル構成との2つの情報に応じて決まる変換情報の供給を制御部5から受けて、この変換情報に基づいて、音声データデコード部2から供給される各チャンネルの音声信号(入力音声信号)からスピーカーが接続された各出力チャンネルに送出する出力音声信号を形成する。
【0033】
具体的に説明すると、チャンネル変換部3は、上述したように、音声データデコード部2から入力音声信号のチャンネル構成を示す情報と、入力音声信号のチャンネル構成に応じた各チャンネルの音声信号との供給を受ける。そして、入力音声信号のチャンネル構成を示す情報を制御部5に供給して、制御部5に対してチャンネル変換に用いる変換情報の提供を要求する。
【0034】
制御部5は、スピーカーが接続された出力チャンネルの構成、すなわち出力チャンネル構成についての設定情報をキー操作部6を通じて受け付けて、この受け付けた出力チャンネル構成についての設定情報を不揮発性メモリー54に記憶保持するようにしている。また、例えば不揮発性メモリー54に、入力音声信号のチャンネル構成と出力チャンネル構成とに基づいて決まり、チャンネル変換部3に供給するようにする複数の変換情報を記憶保持している。
【0035】
制御部5は、チャンネル変換部3を通じて提供される入力音声信号のチャンネル構成を示す情報と、不揮発性メモリー54に保持している自己の出力チャンネル構成を示す設定情報とに基づいて、不揮発性メモリー54に保持されている複数の変換情報の中から目的とする変換情報を取得し、これをチャンネル変換部3に供給する。
【0036】
そして、チャンネル変換部3は、音声データデコード部2からの各チャンネルの入力音声信号について、制御部5からの変換情報に基づく変換処理を施すことにより、自機の出力チャンネル構成に応じた各出力チャンネル用の出力音声信号を形成し、形成した出力音声信号を対応する出力チャンネルに接続されたスピーカーに供給する。
【0037】
このように、この実施の形態のオーディオアンプ装置は、最大7チャンネルの範囲内で任意の出力チャンネル構成をとることが可能なものであり、スピーカー部4の構成としては、出力チャンネル構成に対応して、[フロント側チャンネルn/リア側チャンネル数m]で表せば、[2/0]、[3/0]、[2/2]、[3/2]、[3/3]、[3/4]等の任意の構成とすることができる。もちろんこれ以外にも、[1/0]、[2/1]、[3/1]等の通常はあまり用いられることのない構成とすることも可能である。
【0038】
そして、この実施の形態のオーディオアンプ装置は、入力音声信号のチャンネル構成と、スピーカーが接続された出力チャンネルの構成である出力チャンネル構成とが一致していなくても、自機の出力チャンネル構成に応じた各出力チャンネル用の出力音声信号を形成し、これを出力チャンネル構成に応じてスピーカーが接続された各出力チャンネルに出力することができるようにしている。
【0039】
このようにすることによって、入力音声信号のチャンネル構成と、スピーカーが接続される出力チャンネルの構成である出力チャンネル構成とが異なっていても、音声の放音を行わないスピーカーが生じたり、入力音声信号を効率よく使用していなかったりするなどの不都合を生じさることがないようにしている。
【0040】
なお、この実施の形態においては、チャンネル変換部3が、出力チャンネルの音声信号を形成する形成手段に相当し、不揮発性メモリー54が変換情報を記憶する記憶手段に相当し、音声データデコード部2が、入力音声信号のチャンネル構成を判別する判別手段に相当する。また、制御部5と不揮発性メモリー54の機能により、出力チャンネル構成を把握する把握手段を構成するようにしている。
【0041】
[チャンネル変換部の構成と動作について]
次に、この実施の形態のチャンネル変換部3の具体的な構成例について説明する。図2は、DSPとして構成されるチャンネル変換部3の機能について説明するための図である。この実施の形態のチャンネル変換部3は、大きく分けると、エクステンション部31とダウンミックス部32とからなっている。
【0042】
エクステンション部31は、音声信号が供給された各チャンネルの音声信号を分配したり、混合したりすることにより、音声が供給されたチャンネル数以上のチャンネル数分のそれぞれの音声信号を形成するエクステンション(Extension)機能を実現する部分である。
【0043】
また、ダウンミックス部32は、音声信号が供給された各チャンネルの音声信号を混合するなどして、音声が供給されたチャンネル数以下のチャンネル数分のそれぞれの音声信号を形成するダウンミックス(Downmix)機能を実現する部分である。
【0044】
エクステンション部31は、図2に示すように、左前方チャンネル(左フロントチャンネル)L、センターチャンネルC、右前方チャンネル(右フロントチャンネル)R、左後方チャンネル(左サラウンドチャンネル)SL、右後方チャンネル(右サラウンドチャンネル)SR、左後方サブチャンネル(左サラウンドバックチャンネル)SBLのそれぞれに対応する6つの入力端子を備えている。
【0045】
なお、一般に、左前方チャンネルLは、聴取者の左前方に配置されるスピーカーに供給する音声信号のチャンネルであり、右前方チャンネルRは、聴取者の右前方に配置されるスピーカーに供給する音声信号のチャンネルであり、センターチャンネルCは、聴取者の正面に配置されるスピーカーに供給する音声信号のチャンネルである。
【0046】
また、左後方チャンネルSLは、聴取者の左後方に配置されるスピーカーに供給する音声信号のチャンネルであり、右後方チャンネルSRは、聴取者の右後方に配置されるスピーカーに供給する音声信号のチャンネルである。また、本来、左後方サブチャンネルSBLは、聴取者の左後方に配置されるスピーカーに供給する音声信号のチャンネルであり、聴取者の右後方に配置されるスピーカーに供給する音声信号のチャンネルである右後方サブチャンネルSBRと対になって用いるようにされるものである。
【0047】
なお、この実施の形態において、左後方サブチャンネルSBLは、この実施の形態においては、後述もするように、後方センターチャンネルとしての位置付けで用いられるようにされる場合もある。
【0048】
また、エクステンション部31の各チャンネルには、混合器(ミキサー)11〜17の機能を設けている。すなわち、図2に示すように、エクステンション部31において、左前方チャンネルL、センターチャンネルC、右前方チャンネルR、左後方チャンネルSL、右後方チャンネルSR、左後方サブチャンネルSBLのそれぞれには、対応する1つの混合器11、混合器12、混合器13、混合器14、混合器15、混合器16を設けるようにするとともに、新たに形成される右後方サブチャンネルSBR用として混合器17を設けるようにしている。
【0049】
そして、各入力端子と各混合器との間には、必要に応じて可変増幅器(アンプ)の機能を設けている。すなわち、図2に示すように、センターチャンネルCの入力端子と混合器11、13、14、15、16、17とのそれぞれの間には、それぞれに対応する1つの増幅器KCL、KCR、KCSL、KCSR、KCBL、KCBRを設けるようにしている。
【0050】
また、左前方チャンネルLの入力端子と混合器12、14、16とのそれぞれの間には、それぞれに対応する1つの増幅器KCL、KLSL、KLBLを設けるようにしており、右前方チャンネルRの入力端子と混合器12、15、17とのそれぞれの間には、それぞれに対応する1つの増幅器KRC、KRSR、KRBRを設けるようにしている。
【0051】
また、左後方チャンネルSLの入力端子と混合器16との間には、増幅器KSLBLを設けるようにしており、右後方チャンネルSRの入力端子と混合器17との間には、増幅器KSRBRを設けるようにしており、また、左後方サブチャンネルSBRの入力端子と混合器17との間には、増幅器KBLBRを設けるようにしている。
【0052】
このように、この実施の形態のエクステンション部31は、6チャンネル分の入力端子を備え、7個の混合器の機能と、15個の増幅器の機能とからなり、左前方チャンネルL、センターチャンネルC、右前方チャンネルR、左後方チャンネルSL、右後方チャンネルSR、左後方サブチャンネルSBL、右後方サブチャンネルSBRの7チャンネル分の出力端を有する構成としたものである。
【0053】
また、この実施の形態において、ダウンミックス部32は、エクステンション部31の後段に設けられ、エクステンション部31の7つの出力チャンネルに対応して、左前方チャンネルL、センターチャンネルC、右前方チャンネルR、左後方チャンネルSL、右後方チャンネルSR、左後方サブチャンネルSBR、右後方サブチャンネルSBRの音声信号の供給を受けることができるようにされている。また、各チャンネルに対応して、7つの出力端子が設けられる。
【0054】
そして、ダウンミックス部32においては、図2に示すように、混合器21〜24の機能を設けている。すなわち、図2に示すように、左前方チャンネルLの出力端子の前段には混合器21を、右前方チャンネルRの出力端子の前段には混合器22を、左後方チャンネルSLの出力端子の前段には混合器23を、右後方チャンネルSRの出力端子の前段には混合器24をそれぞれ設けるようにしている。
【0055】
また、ダウンミックス部32においても、必要に応じて、可変増幅器の機能を設けるようにしている。すなわち、図2に示すように、混合器21、22のそれぞれの前段には、増幅器Kfを設けるようにし、センターチャンネルCの出力端子の前段には増幅器Kcを設けるようにしている。また、混合器23、24のそれぞれの前段には増幅器Ksを設けるようにし、左後方サブチャンネルSBR、右後方サブチャンネルSBRのそれぞれの出力端子の前段には増幅器Kbを設けるようにしている。
【0056】
さらに、図2に示すように、ダウンミックス部32における右後方サブチャンネルSBRの入力端と混合器22、24とのそれぞれの間には、それぞれに対応する1つの増幅器Kbrfr、Kbrsrを設けるようにしている。また、ダウンミックス部32における左後方サブチャンネルSBLの入力端と混合器21、22、23、24とのそれぞれの間には、それぞれに対応する1つの増幅器Kblfl、Kblfr、Kblsl、Kblsrを設けるようにしている。
【0057】
また、図2に示すように、ダウンミックス部32における右後方チャンネルSRの入力端と混合器22との間、および、ダウンミックス部32における左後方チャンネルSLの入力端と混合器21との間のそれぞれには、増幅器Ksfを設けるようにしており、また、ダウンミックス部32におけるセンターチャンネルCの入力端と混合器21、22との間には、1つの増幅器Kcfを設けるようにしている。
【0058】
このように、この実施の形態のダウンミックス部32は、エクステンション部31からの信号を受け付ける7チャンネル分の入力端と、4個の混合器の機能と、16個の増幅器の機能とからなり、左前方チャンネルL、センターチャンネルC、右前方チャンネルR、左後方チャンネルSL、右後方チャンネルSR、左後方サブチャンネルSBL、右後方サブチャンネルSBRの7チャンネル分の出力端子を備えるものである。
【0059】
そして、エクステンション部31、ダウンミックス部32のそれぞれの各増幅器は、制御部からの変換情報に応じて、各増幅器毎に増幅係数を設定することによりそれらに供給される音声信号の信号レベルを調整することができるようにされている。そして、各混合器において、これに供給された音声信号が混合されて出力するようにされる。
【0060】
なお、各増幅器においての処理は、具体的には以下のようになる。すなわち、増幅係数として0(ゼロ)が設定された増幅器においては、係数が0であるので、出力される音声信号の信号レベルは0(ゼロ)となり、結果として音声信号は出力しない。また、増幅係数として1が設定された増幅器においては、係数が1であるので、供給された音声信号を供給された信号レベルのまま出力する。また、増幅係数として、0(ゼロ)より大きい値が設定された増幅器においては、その値に応じた信号レベルの音声信号を出力する。
【0061】
このように構成されるエクステンション部31とダウンミックス部32との機能により、この実施の形態のチャンネル変換部3は、入力音声信号のチャンネル構成がどのような構成であっても、自機の出力チャンネル構成に応じて、用いられることになる出力チャンネルのそれぞれに対する音声信号を形成することができるようにしている。
【0062】
[チャンネル変換のパターンについて]
そして、この実施の形態のチャンネル変換部3においては、以下に説明するように、少なくとも48パターンのチャンネル変換を行うことができるようにしている。図3〜図6は、この実施の形態のチャンネル変換部3において行うことができるようにされるチャンネル変換のパターンについて説明するための図である。
【0063】
この図3〜図6においても、入力音声信号のチャンネル構成および出力チャンネル構成を[前方側チャンネルn/後方側チャンネル数m]で示すようにしている。また、図3〜図6の各欄において、L、C、R、SL、SR、BL、BRの文字が中に記載された大き目の四角は、対応する出力チャンネルに接続されたスピーカーを示している。
【0064】
すなわち、文字Lは左前方チャンネルLのスピーカーを、文字CはセンターチャンネルCのスピーカーを、文字Rは右前方チャンネルRのスピーカーを、文字SLは左後方チャンネルSLのスピーカーを、文字SRは右後方チャンネルSRのスピーカーを、また、文字BLは左後方サブチャンネルSBLのスピーカーを、文字BRは右後方サブチャンネルSBRのスピーカーをそれぞれ示している。
【0065】
また、斜線が付された四角は入力音声信号が存在するチャンネルを示している。なお、例えば、図3の右下端の欄にあるように、文字SL、SRと斜線で示され、四角で囲まれていない部分は、スピーカーが接続されたチャンネルではないが、入力音声信号が存在するチャンネルを示している。また、実線矢印は、エクステンション処理を、点線矢印はダウンミックス処理をそれぞれ示している。
【0066】
そして、図3は、チャンネル構成が[1/0]、[2/0]、[2/2]である入力音声信号を変換して、出力チャンネル構成が[3/4]、[3/3]、[3/2]、[3/0]である信号を形成する場合のパターンを示す図である。また、図4は、チャンネル構成が[1/0]、[2/0]、[2/2]である入力音声信号を変換して、出力チャンネル構成が[2/2]、[2/4]、[2/3]、[2/0]である信号を形成する場合のパターンを示す図である。
【0067】
また、図5は、チャンネル構成が[3/0]、[3/2]、[3/3]である入力音声信号を変換して、出力チャンネル構成が[3/4]、[3/3]、[3/2]、[3/0]である信号を形成する場合のパターンを示す図である。また、図6は、チャンネル構成が[3/0]、[3/2]、[3/3]である入力音声信号を変換して、出力チャンネル構成が[2/2]、[2/4]、[2/3]、[2/0]である信号を形成する場合のパターンを示す図である。
【0068】
以下、図3〜図6のそれぞれごとに概要を説明する。まず、図3に示したパターンについて説明する。図3において、入力音声信号のチャンネル構成が、[1/0]の欄に示すように、入力音声信号のチャンネル構成がセンターチャンネルCのみのモノラル音声信号である場合には、センターチャンネルC以外の各出力チャンネルの出力音声信号は、センターチャンネルCの入力音声信号からエクステンション機能により形成される。
【0069】
また、図3において、入力音声信号のチャンネル構成が[2/0]の欄に示すように、入力音声信号のチャンネル構成が左前方チャンネルLと右前方チャンネルRとの2チャンネルの構成である場合には、左後方チャンネルSL、左後方サブチャンネルSBRの出力音声信号は、左前方チャンネルLの入力音声信号からエクステンション機能により形成され、また、右後方チャンネルSR、右後方サブチャンネルSBRの出力音声信号は、右前方チャンネルRの入力音声信号からエクステンション機能により形成される。
【0070】
また、図3において、入力音声信号のチャンネル構成が[2/0]の欄に示すように、センターチャンネルCの出力音声信号は、左前方チャンネルLの入力音声信号と、右前方チャンネルRの入力音声信号とからエクステンション機能により形成される。この場合、左前方チャンネルLの入力音声信号と右前方チャンネルRの入力音声信号と足し合わせ、その信号レベルを2分の1にすることにより、出力チャンネルとしてのセンターチャンネルCの音声信号が形成される。
【0071】
すなわち、左前方チャンネルLの入力音声信号を文字Lで示し、右前方チャンネルRの入力音声信号を文字Rで示せば、(L+R)/2とする演算処理を行うようにすることにより、出力チャンネルとしてのセンターチャンネルCの音声信号が形成される。
【0072】
また、入力音声信号のチャンネル構成が[2/0]、出力チャンネル構成が[3/3]である場合にように、リアセンターチャンネルとして用いられる左後方サブチャンネルSBLが出力チャンネル構成に存在する場合には、出力チャンネルとしての左後方サブチャンネルSBLの音声信号は、出力チャンネル構成におけるセンターチャンネルCの音声信号を形成した場合と同様に、左前方チャンネルLの入力音声信号と、右前方チャンネルRの入力音声信号とからエクステンション機能により形成される。この場合もセンターチャンネルCの音声信号を形成した場合と同様の処理により形成される。
【0073】
また、図3において、入力音声信号のチャンネル構成が、[2/2]の欄に示すように、入力音声信号のチャンネル構成が左前方チャンネルL、右前方チャンネルR、左後方チャンネルSL、右後方チャンネルSRの4チャンネル構成である場合であって、出力チャンネル構成として、左後方サブチャンネルSBRと左後方サブチャンネルSBRとの両方が存在する場合には、左後方サブチャンネルSBRの出力音声信号は、左後方チャンネルSLの入力音声信号からエクステンション機能により形成され、左後方サブチャンネルSBRの出力音声信号は、右後方チャンネルSRの入力音声信号からエクステンション機能により形成される。
【0074】
また、入力音声信号のチャンネル構成が[2/2]、出力チャンネル構成が[3/3]のように、左後方サブチャンネルSBRがリアセンターチャンネルとして出力チャンネル構成中に存在する場合には、左後方サブチャンネルSBRの出力音声信号は、左後方チャンネルSLの入力音声信号と、右後方チャンネルSRの入力音声信号とからエクステンション機能により形成される。
【0075】
この場合、左後方チャンネルSLの入力音声信号と右後方チャンネルSRの入力音声信号と足し合わせ、その信号レベルを2分の1にすることにより、出力チャンネルとしての左後方サブチャンネルSBRの音声信号が形成される。すなわち、左後方チャンネルSLの入力音声信号を文字SLで示し、右後方チャンネルSRの入力音声信号を文字SRで示せば、(SL+SR)/2とする演算処理を行うようにすることにより、左後方サブチャンネルSBRの出力音声信号が形成される。
【0076】
また、入力音声信号のチャンネル構成が[2/2]、出力チャンネル構成が[3/0]である場合には、入力音声信号のチャンネル構成は左後方チャンネルSL、右後方チャンネルSRを備えているが、出力チャンネル構成においては、左後方チャンネルSL、右後方チャンネルSRは存在しない。
【0077】
この場合には、ダウンミックス機能により、左後方チャンネルSLの入力音声信号を左前方チャンネルLの出力音声信号に混合し、右後方チャンネルSRの入力音声信号を右前方チャンネルRの出力音声信号に混合して、入力音声信号を無駄なく利用できるようにしている。
【0078】
なお、入力音声信号のチャンネル構成が[2/2]の欄に示した各パターンの場合においても、出力チャンネルにおいてのセンターチャンネルCの音声信号は、入力音声信号のチャンネル構成が[2/0]の欄に示した各パターンの場合と同様にして形成される。
【0079】
次に、図4に示したパターンについて説明する。図4に示す各パターンは、出力チャンネル構成において、フロントチャンネルにセンターチャンネルCが存在せず、左前方チャンネルL、右前方チャンネルRの2チャンネルの構成になっていることを除けば、図3に示した場合とほぼ同様である。
【0080】
したがって、この図4に示す各パターンは、センターチャンネルCの出力音声信号を形成しない点を除けば、図3に示したいずれかのパターンとほぼ同様の処理を行うことにより、図4に示した各パターンのチャンネル変換が可能であることが分かる。
【0081】
次に、図5に示したパターンについて説明する。図5において、入力音声信号のチャンネル構成が、[3/0]、[3/2]の各欄に示すパターンの場合には、入力音声信号のチャンネル構成がセンターチャンネルCを有するものとなっていることを除けば、図3に示したチャンネル構成が、[2/0]、[2/2]の各欄に示したパターンと同様にして、出力チャンネル構成に合致した各出力チャンネルの出力音声信号が形成される。
【0082】
そして、図5において、入力音声信号のチャンネル構成が[3/3]、出力チャンネル構成が[3/4]である場合に、右後方サブチャンネルSBRの出力チャンネルを形成する場合には、左後方サブチャンネルSBLの入力音声信号から右後方サブチャンネルSBRの出力音声信号が形成される。
【0083】
また、図5において、入力音声信号のチャンネル構成が[3/3]、出力チャンネル構成が[3/2]である場合のように、入力音声信号のチャンネル構成には、リアセンターチャンネルとして用いられる左後方サブチャンネルSBLの入力音声信号が存在するのに、出力チャンネル構成には、リアセンターチャンネルが存在しない場合には、リアセンターチャンネルとして用いられる左後方サブチャンネルSBLの入力音声信号は、ダウンミックス機能により、左後方チャンネルSLの出力音声信号と、右後方チャンネルSRの出力音声信号とに分配され混合するようにされる。
【0084】
また、図5において、入力音声信号のチャンネル構成が[3/3]、出力チャンネル構成が[3/0]である場合のように、入力音声信号のチャンネル構成には、後方チャンネルが存在するのに、出力チャンネル構成に後方チャンネルが存在しない場合には、ダウンミックス機能により、左後方チャンネルSLの入力音声信号は、左チャンネルLの出力音声信号に混合され、右後方チャンネルSRの入力音声信号は、右チャンネルRの出力音声信号に混合される。
【0085】
この場合においても、リアセンターチャンネルとして用いられる左後方サブチャンネルSBLの入力音声信号は、ダウンミックス機能により、左チャンネルLの出力音声信号と、右チャンネルRの出力音声信号とに分配され混合するようにされる。
【0086】
次に、図6に示したパターンについて説明する。図6に示す各パターンは、フロントチャンネルがセンターチャンネルCを有する3チャンネルの構成の入力音声信号を、センターチャンネルCを用いない2チャンネルの出力チャンネル構成とするものである。
【0087】
したがって、ダウンミックス機能を用いて、センターチャンネルCの入力音声信号を、左前方チャンネルLと右前方音声チャンネルRとに混合するようにする点を除けば、図3〜図5に示したいずれかのパターンと同様にして、エクステンション機能、ダウンミックス機能が用いられて、出力チャンネル構成に合致する出力チャンネルについての出力音声信号が形成される。
【0088】
このように、この実施の形態のチャンネル変換部3は、図3〜図6に示した48パターンのチャンネル変換を行うことができるものである。そして、図3〜図6に示したように、入力音声信号のチャンネル構成と、出力チャンネル構成とが分かれば、どのようなチャンネル変換を行えばよいかが決まることになる。
【0089】
そして、この実施の形態のオーディオアンプ装置においては、上述もしたように、制御部5の不揮発性メモリー54に、入力音声信号のチャンネル構成と出力チャンネル構成とに応じて決まる多数の変換情報を記憶保持している。
【0090】
図7は、入力音声信号のチャンネル構成と出力チャンネル構成とに応じて決まる変換情報について説明するための図である。図7に示すように、この実施の形態においては、図3〜図6に示した48通りのチャンネル変換パターンの全部に対応するように、入力音声信号のチャンネル構成としては6通りを想定し、出力チャンネル構成としては8通りを想定して、変換情報を形成し、これを記憶保持するようにしている。
【0091】
この変換情報は、チャンネル変換部3の31個の増幅器のそれぞれに設定する係数がテーブル化された構成となったものである。そして、入力音声信号のチャンネル構成と出力チャンネル構成とが決まれば、チャンネル変換部3に供給する変換情報が決まることになる。
【0092】
例えば、入力音声信号のチャンネル構成が[2/0]で、出力チャンネル構成が[3/2]の場合には、図7に太線で囲って示したように、TBL_23のテーブルデータが変換情報として用いられるようにされ、入力音声信号のチャンネル構成が[3/0]で、出力チャンネル構成が[2/2]の場合には、図7に太線で囲って示したように、TBL_45のテーブルデータが変換情報として用いられることになる。
【0093】
図8は、変換情報の具体例を説明するための図である。この図8においては、上述したように、入力音声信号のチャンネル構成が[2/0]で、出力チャンネル構成が[3/2]の場合に用いられる変換情報であるTBL_23の内容と、入力音声信号のチャンネル構成が[3/0]で、出力チャンネル構成が[2/2]の場合に用いられる変換情報であるTBL_45の内容を示している。
【0094】
図8の左側に示すように、入力音声信号のチャンネル構成が[2/0]で、出力チャンネル構成が[3/2]の場合に用いられる変換情報であるTBL_23は、図2に示したように構成されるチャンネル変換部3のエクステンション部31の増幅器KCL、KRCの係数として「0.5」を、エクステンション部31の増幅器KLSL、KRSR、および、ダウンミックス部32の増幅回路Kf、Kc、Ksの係数として「1.0」を、これら以外の各増幅器の係数として「0(ゼロ)」を持つものである。
【0095】
この図8の左側に示したTBL_23を用いた場合のチャンネル変換部3における音声信号の流れを図9に示す。図9に示すように、エクステンション部31の増幅器KCL、KRCには係数として「0.5」が設定され、エクステンション部31の増幅器KLSL、KRSR、および、ダウンミックス部32の増幅回路Kf、Kc、Ksには係数として「1.0」が設定される。これ以外の各増幅器の係数は「0(ゼロ)」であるため、図9においては記載を省略している。
【0096】
このように、チャンネル変換部3の各増幅器に対して係数を設定すると、図9において、実線で示した経路が音声信号が流れる経路となる。この場合、図9に示したように、左チャンネルLの入力音声信号は、そのまま混合器11、14に供給されるとともに、係数として「0.5」が設定される増幅器KLCを通じて、信号レベルが半分にされた後に、混合器12に供給される。
【0097】
同様に、右チャンネルRの入力音声信号は、そのまま混合器13、15に供給されるとともに、係数として「0.5」が設定される増幅器KRCを通じて、信号レベルが半分にされた後に、混合器12に供給される。混合器12には、信号レベルが変分にされた左前方チャンネルLと右前方チャンネルRとが供給され、混合処理されるので、混合器12からは、センターチャンネルCの出力音声信号が出力される。また、混合器14、15からは、左後方チャンネルSL、右後方チャンネルSRの出力音声信号として、左前方チャンネルL、右前方チャンネルRの入力音声信号がそのまま出力するようにされる。このようにして、エクステンション機能が用いられて、入力音声信号のチャンネル数よりも多いチャンネル数の音声信号が形成される。
【0098】
ダウンミックス部32においいては、左前方チャンネルLと右前方チャンネルRの増幅器Kf、センターチャンネルCの増幅器Kc、左後方チャンネルSLと右後方チャンネルSRの増幅器Ksに、係数「1.0」が設定されているので、これらから出力音声信号が出力されることになる。
【0099】
したがって、この例の場合には、左前方チャンネルL、センターチャンネルC、右前方チャンネルR、左後方チャンネルSL、右後方チャンネルSRのそれぞれに対応する出力チャンネルに出力音声信号が出力される。
【0100】
また、図8の右側の欄に示したように、入力音声信号のチャンネル構成が[3/0]で、出力チャンネル構成が[2/2]の場合に用いられる変換情報であるTBL_45は、図2に示したように構成されるチャンネル変換部3のエクステンション部31の増幅器KLSL、KRSR、および、ダウンミックス部32の増幅回路Kf、Ksの係数として「1.0」を、ダウンミックス部32の増幅回路Kcfの係数として「0.7」を、これら以外の増幅器の係数として「0(ゼロ)」を持つものである。
【0101】
この図8の右側の欄に示したTBL_45を用いた場合のチャンネル変換部3における音声信号の流れを図10に示す。図10に示すように、エクステンション部31の増幅器KLSL、KRSR、ダウンミックス部32の増幅器Kfには、係数として「0.1」が設定され、ダウンミックス部32の増幅器Kcfには、係数として「0.7」が設定される。これ以外の各増幅器の係数は「0(ゼロ)」であるため、図10においては記載を省略している。
【0102】
このように、チャンネル変換部3の各増幅器に対して係数を設定すると、図10において、実線で示した経路が音声信号が流れる経路となる。この場合、図10に示したように、左チャンネルLの入力音声信号は、そのまま混合器11、14に供給され、センターチャンネルCの入力音声信号は、そのまま混合器12に供給され、また、右チャンネルRの入力音声信号は、そのまま混合器13、14に供給される。このようにして、エクステンション機能が用いられて、入力音声信号のチャンネル数よりもチャンネル数の音声信号が形成される。
【0103】
そして、ダウンミックス部32においいては、センターチャンネルCの増幅器Kcに係数として「0.7」設定されているので、エクステンション部31からのセンターチャンネルCの音声信号の信号レベルが、元の信号の70パーセントとされて、混合器21、22に供給される。また、左前方チャンネルLと右前方チャンネルRの増幅器Kf、左後方チャンネルSLと右後方チャンネルSRの増幅器Ksに、係数「1.0」が設定されている。
【0104】
したがって、混合器21からは、左前方チャンネルLの音声信号とセンターチャンネルCの音声信号とを混合して形成した出力音声信号が出力され、混合器22からは、右前方チャンネルRの音声信号とセンターチャンネルCの音声信号とを混合して形成した出力音声信号が出力される。
【0105】
また、混合器23からはエクステンション部31からの左後方チャンネルSLの音声信号が出力され、混合器24からは、エクステンション部31からの右後方チャンネルSRの音声が出力される。このように、ダウンミックス機能が用いられて、入力音声信号のチャンネル数よりも少ないチャンネル数の音声信号が形成される。
【0106】
したがって、この例の場合には、左前方チャンネルL、右前方チャンネルR、左後方チャンネルSL、右後方チャンネルSRのそれぞれに対応する出力チャンネルに出力音声信号が出力される。
【0107】
なお、出力チャンネル構成が、5.1チャンネル、7.1チャンネルの構成であり、この場合の「.1」に相当するサブウーハー成分が必要な場合には、もともとの入力音声信号に含まれる低域成分を抜き出して、これを出力するようにすればよい。
【0108】
そして、図8に示したTBL_23、TBL_45のように、図3〜図6に示した各変換パターンに応じて、図2のように構成されるチャンネル変換部3の各増幅器に設定する係数からなるテーブルが予め形成され、これが図7に示したように、入力音声信号のチャンネル構成と出力チャンネル構成とに対応付けられて制御部5の不揮発性メモリー54に記憶保持される。そして、この変換情報を用いることにより、図7に示した、入力音声信号のチャンネル構成と出力チャンネル構成との組み合わせに応じて、チャンネル変換部3において、種々のチャンネル変換を行うことが可能となる。
【0109】
なお、図2に示したチャンネル変換部3の構成例はあくまでも構成例であり、入力音声信号のチャンネル数と出力チャンネル構成とに応じて種々の構成のチャンネル変換部を構成することが可能である。この場合、エクステンション部とダウンミックス部のチャンネル数は、同じである必要はなく、また、エクステンション部の出力チャンネル数が、ダウンミックス部の入力チャンネル数よりも多い構成とすることも可能である。
【0110】
また、上述した実施の形態において、チャンネル変換部3は、エクステンション部31の後段にダウンミックス部32を設けるようにしたが、これに限るものではない。まず、ダウンミックス部32を設け、ダウンミックス部32の後段にエクステンション部31を設ける構成とすることもできる。
【0111】
しかし、エクステンション部31の後段にダウンミックス部32を設け、まず、チャンネル数を拡張するようにした後に、ダウンミックス処理を行うようにした場合には、臨場感を損なうことのないようにして、チャンネル変換を行うようにすることができる。
【0112】
また、上述した実施の形態においては、チャンネル変換部3のエクステンション部31においては、入力音声信号に存在しないチャンネルの音声信号を形成する場合には、チャンネル間において音声信号を単純にコピーするようにするものとして説明したが、これに限るものではない。
【0113】
エクステンション部31に音場処理アルゴリズムを適用するなどし、この音場処理の一部として、上述したようなエクステンション機能を持つようにエクステンション部31を構成することも可能である。また、各増幅器に供給するようにする係数を細かく調整することももちろん可能である。
【0114】
また、出力チャンネル構成に左右されず、供給を受けた入力音声信号の実際のチャンネル構成そのままに、音声信号を再生ようにさせたいユーザーも存在することが考えられる。このようなことも考慮し、チャンネル変換部3が搭載されるオーディオアンプ装置には、ユーザーが自分の好みで、チャンネル変換部3を動作させ、チャンネル変換を行うようにするか、チャンネル変換部3は動作させないようにするかを選択できるようにしてもよい。
【0115】
また、上述した実施の形態においては、チャンネル変換部3は、DSPにより実現するものとして説明したが、これに限るものではない。音声データデコード部2が、D/A(Digital/Analog)変換機能を備えたものであり、各チャンネルの音声信号をアナログ信号として出力するものである場合には、チャンネル変換部3をアナログ回路として構成することももちろん可能である。
【0116】
チャンネル変換部3をアナログ回路として構成する場合には、可変増幅器や混合器を用いることにより構成することができるし、各チャンネルにスイッチを設けることにより、そのチャンネルの音声信号を後段に供給するか否かを制御することも比較的に容易である。
【0117】
また、図2に示したチャンネル変換部3をICとして構成し、これを単独で提供するようにすることももちろん可能である。
【0118】
また、この実施の形態において、出力チャンネル構成は、ユーザーによって予め設定されるものとして説明したが、これに限るものではない。各出力チャンネルに微弱なテスト信号を送出し、各出力チャンネルのインピーダンスの違いや変化を検出して、スピーカーの接続された出力チャンネルとスピーカーの接続されていない出力チャンネルとを自動的に検出するチャンネル構成検出部を、例えば、チャンネル変換部3の後段などに設け、ここで検出された出力チャンネル構成を不揮発性メモリーなどの所定のメモリーに登録するようにして用いるようにしてもよい。
【0119】
また、別の方法として、聴取位置にマイクロホンを設置し、スピーカーからテスト音声を放音するようにし、スピーカーからのテスト音声を収音して分析する分析部を設け、この分析部によって、出力チャンネル構成とスピーカーの設置位置とを検出するようにし、この検出した出力チャンネル構成を不揮発性メモリーなどの所定のメモリーに登録して、これを用いるようにすることもできる。
【0120】
また、上述の実施の形態においては、この発明をオーディオアンプ装置に適用するものとして説明したが、この発明は、複数のスピーカーの接続が可能な種々の音響機器に適用できることは言うまでもない。
【0121】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、入力音声信号のチャンネル構成にかかわらず、入力音声信号に応じた再生音声をセッティングされた全てのスピーカーを用いて聴取することができる。
【0122】
また、あらゆるチャンネル構成の入力音声信号の供給を受けて、操作性の煩わしさを伴わずにセッティングされている全てのスピーカーを用いて効果的に入力音声信号に応じた再生音声を聴取できるようにすることができる。
【0123】
また、チャンネルの変換機能をシンプルな音場効果を得るモードとしてオーディオアンプ装置などの音響機器に搭載することによって、音響機器の付加価値を高めることができる。
【0124】
また、常に全てのスピーカーから再生音声を放音させることができるので、入力音声信号のチャンネル構成と出力チャンネル構成の違いから生じる音声の放音されないスピーカーが存在しなくなり、音響機器の故障と間違うなどの不都合を生じさせないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態が適用されるオーディオアンプ装置を説明するためのブロック図である。
【図2】図1に示したチャンネル変換部の構成例を説明するための図である。
【図3】チャンネル変換のパターンを説明するための図である。
【図4】チャンネル変換のパターンを説明するための図である。
【図5】チャンネル変換のパターンを説明するための図である。
【図6】チャンネル変換のパターンを説明するための図である。
【図7】チャンネル変換部で用いられる変換情報について説明するための図である。
【図8】変換情報の具体例を説明するための図である。
【図9】図8に示したTBL_23を用いた場合のチャンネル変換部3における音声信号の流れを説明するための図である。
【図10】図8に示したTBL_45を用いた場合のチャンネル変換部3における音声信号の流れを説明するための図である。
【符号の説明】
1…デジタルオーディオ信号の入力端子、2…音声データデコード部、3…チャンネル変換部、31エクステンション部、32…ダウンミックス部、4…マルチ音声チャンネルに対応したスピーカー部、5…制御部、51…CPU、52…ROM、53…RAM、54…不揮発性メモリー、55…システムバス、6…キー操作部
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、モノラル音声信号、2チャンネル音声信号、マルチチャンネル音声信号等の種々のチャンネル構成の音声信号を処理する音響変換装置、音響変換方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
音楽ソースの供給源として広く用いられているものとして、通常の音楽用CDであるCD−DA(Compact Disc Digital Audio)と、次世代音楽CDとしてSACD(Super Audio Compact Disc)とがある。CD−DAは、サンプリング周波数44.1kHz、量子化ビット数16ビットのPCM(Pulse Code Modulation)ステレオのデジタルオーディオ信号(CD音声信号)が記録されたものである。また、SACDは、2層構造とされ、上側の層に上述したいわゆるCD音声信号が記録され、下側の層にウルトラ・ハイファイのDSD(Direct Stream Digital)音声信号が記録されたものである。
【0003】
このように、CD−DAとSACDとは、CD音声信号とDSD音声信号と言うように、信号フォーマットが異なるものであるが、SACDが2層構造をとることにより、完全な双方向の互換性が保たれている。そして、SACDプレーヤを用いることにより、CD−DAを再生したときには、アナログ2チャンネル音声信号がアナログ2チャンネル出力端子に出力され、SACDを再生したときには、アナログマルチ音声信号をアナログマルチ出力端子に出力することができるようにされる。
【0004】
しかしながら、SACDプレーヤが接続される従来のオーディオアンプ装置においては、SACDプレーヤのアナログ2チャンネル出力端子から出力されたアナログ2チャンネル音声信号を再生するのか、SACDプレーヤのアナログマルチ出力端子から出力されたアナログマルチ音声信号を再生するのかをユーザー自身が切り換えるようにしなければならないため、特にオーディオ機器の操作に不慣れなユーザーにとっては使い勝手が悪い場合があった。
【0005】
このような問題を解決するため、特許文献1(特開2002−354574号公報)には、自機に供給される信号フォーマットの異なる複数の音声信号のうち、どのフォーマットの音声信号が供給されたかを判別し、供給された音声信号を再生するように、自動的に音声信号の選択を行うようにする技術が開示されている。
【0006】
この特許文献1に記載の技術によれば、ユーザーの手を煩わせることなく、自機に供給された音声信号を再生するように、自動的に再生すべき音声信号の選択を行うので、例えオーディオ機器の操作に不慣れなユーザーであっても、迅速かつスムースにCD−DAやSACDに記録されている音声信号の再生音声を聴取することができるようにされる。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−354574号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したSACDプレーヤのように、フォーマットの異なる音声信号を異なる出力端子から出力するのではなく、フォーマットの異なる種々の音声信号をデジタルデータとして同じ経路を通じて出力するようにする場合も多くなってきている。
【0009】
最近では、例えば、ドルビーデジタル(Dolby Digital(登録商標))、dts(Digital Theater System(登録商標))などといった種々のいわゆるマルチチャンネルフォーマットのオーディオストリームが広く用いられるようになってきている。マルチチャンネルフォーマットには上述したものの他にも種々のものがあり、また、音声信号のチャンネル構成もさまざまである。
【0010】
ここで、nを聴取者の前方側(フロント側)に配置されるスピーカーのチャンネル数、mを聴取者の後方側(リア側)に配置されるスピーカーのチャンネル数とし、全体のチャンネル構成を[n/m]で表すようにすると、[1/0]、[2/0]、[2/1]、[2/2]、[3/0]、[3/1]、[3/2]、[3/3]等、種々のチャンネル構成を取る場合がある。
【0011】
この場合、[1/0]は、チャンネル構成がセンターチャンネルのみ(いわゆるモノラル構成)であることを示しており、[2/0]は、チャンネル構成がフロント2チャンネルのみ(いわゆるステレオ構成)であることを示している。なお、[*/1]は、リアチャンネルがモノラルであることを表すが、一般にリアの出力は、0チャンネル(リアスピーカーなし)か、2チャンネル以上である場合がほとんどである。
【0012】
このように、再生すべき音声信号のチャンネル構成は種々の場合がある。そして、ユーザーが用いるマルチチャンネル再生のためのオーディオ機器のスピーカーのセッティング状態(出力チャンネル構成)も、上述した場合と同様に、[前方側(フロント側)チャンネル数n/後方側(リア側)チャンネル数m]で表すと、[2/0]、[3/0]、[2/2]、[3/2]、[3/3]、[3/4]など、多くのケースが考えられる。
【0013】
したがって、再生しようとしている音声信号のチャンネル構成と、ユーザーのオーディオ機器のスピーカーが接続されたチャンネルの構成(出力チャンネル構成)とが必ずしも一致しない。このため、スピーカーの接続状態にかかわらず、ストリームによっては全く鳴らないスピーカーが存在しうることになる。
【0014】
例えば、チャンネル構成が[2/0]の音声信号を、出力チャンネル構成が[3/2]のオーディオ機器で再生するようにした場合には、フロントの2チャンネル以外のチャンネルのスピーカーからは全く音が出ず、センタースピーカーとリアスピーカーが無駄になっている。また、音が出ないスピーカーがあることは、オーディオ機器の故障などと勘違いする場合がある。
【0015】
以上のことにかんがみ、この発明は、接続されたスピーカーの全部を有効に活用することができるようにするとともに、供給された音声信号を損なうことがないようにする音響変換装置および音響変換方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の音響変換装置は、
入力音声信号のチャンネル構成と自機の出力チャンネル構成とにより決まる変換情報の供給を受けて、前記変換情報に基づき、前記入力音声信号の各チャンネルの音声信号から前記出力チャンネル構成に応じた各出力チャンネルの音声信号を形成する形成手段を備えることを特徴とする。
【0017】
この請求項1に記載の音響変換装置によれば、入力音声信号のチャンネル構成と出力チャンネル構成とに応じて決まる変換情報の提供を受け、この変換情報に基づいて、入力音声信号の各チャンネルの音声信号から、出力チャンネル構成に応じた各出力チャンネル用の音声信号が形成される。
【0018】
これにより、供給される入力音声信号のチャンネル構成にかかわらず、また、用いるオーディオ機器のスピーカーが接続されたチャンネルの構成である出力チャンネル構成にかかわらず、その出力チャンネル構成に応じた各出力チャンネル用の音声信号が形成される。したがって、入力音声信号を有効に活用することができるとともに、スピーカーを無駄なく使用することができる。また、音の出ないスピーカーが生じることにより、オーディオ機器の故障と間違うなどの不都合を生じることもないようにされる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照しながら、この発明による装置、方法の一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態においては、この発明による装置、方法の一実施の形態をオーディオアンプ装置に適用した場合を例にして説明する。
【0020】
[オーディオアンプ装置の機能の概要]
以下に説明する実施の形態のオーディオアンプ装置は、出力チャンネルとして、前方側(フロント側)3チャンネル、後方側(リア側)4チャンネルの合わせて7チャンネル分を備えたものである。しかし、全ての出力チャンネルを必ず使用する必要はなく、ユーザーの好み等に応じて、任意の出力チャンネルにスピーカーを接続して用いることができるものである。
【0021】
すなわち、この実施の形態のオーディオアンプ装置は、実際にスピーカーが接続される出力チャンネルの構成である出力チャンネル構成としては、[前方側チャンネルn/後方側チャンネル数m]で表現すると、[2/0]、[3/0]、[2/2]、[3/2]、[3/3]、[3/4]等の任意の出力チャンネル構成をとることができるようにされたものである。
【0022】
しかし、この実施の形態のオーディオアンプ装置に供給される入力音声信号(この実施の形態においては、デジタルオーディオストリーム)は、PCM、ドルビーデジタル、dts等、種々のフォーマットのものが想定され、チャンネル構成も種々の場合があるので、入力音声信号のチャンネル構成と出力チャンネル構成とが一致しない場合が発生する。
【0023】
そこで、この実施の形態のオーディオアンプ装置においては、入力音声信号のチャンネル構成と、実際にスピーカーが接続された自機の出力チャンネルの構成である出力チャンネル構成とに基づいて、どのようなチャンネル構成の入力音声信号が供給された場合であっても、その入力音声信号から自機の出力チャンネル構成に合致した出力チャンネルのそれぞれについての出力音声信号を形成することができるようにしたものである。換言すれば、入力音声信号についてチャンネル変換を行うことにより、自機の出力チャンネル構成に合致する出力音声信号を形成することができるようにしたものである。
【0024】
[オーディオアンプ装置の構成と動作]
図1は、この発明による装置、方法の一実施の形態が適用された、この実施の形態のオーディオアンプ装置を説明するためのブロック図である。図1に示すように、この実施の形態のオーディオアンプ装置は、デジタルオーディオ信号の入力端子1、音声データデコード部2、チャンネル変換部3、マルチ音声チャンネルに対応したスピーカー部4、制御部5、キー操作部6を備えたものである。
【0025】
制御部5は、図1に示したように、CPU(Central Processing Unit)51、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53、不揮発性メモリー54が、システムバス55を通じて接続されて構成されたマイクロコンピュータであり、この実施の形態のオーディオアンプ装置の各部を制御することができるものである。
【0026】
ここで、ROM52は、この実施の形態のオーディオアンプ装置に応じて実行する種々のプログラムや処理に必要なデータ等が記憶されたものであり、RAM53は、処理の途中結果を保持するなど、主に作業領域として用いられるものである。また、不揮発性メモリーは、電源が落とされても記憶情報を保持しておくことができるものであり、例えば、設定パラメータなどが記憶保持される。
【0027】
そして、入力端子1を通じて受け付けた、例えば、CD(Compact Disc)プレーヤ、DVD(Digital Versatile Disc)プレーヤなどの各種のデジタル機器から供給されるデジタル音声信号(オーディオストリーム)は、音声データデコード部2に供給される。
【0028】
音声データデコード部2は、制御部5からの制御に応じて動作し、これに供給された入力音声信号である所定のフォーマットのデジタルオーディオストリームをそのフォーマットに応じてデコードし、入力音声信号のチャンネル構成を判別するとともに、チャンネル構成に応じた各チャンネルのデコード後の音声信号を分離するようにする。
【0029】
そして、音声データデコード部2は、判別した入力音声信号のチャンネル構成を示す情報と、当該入力音声信号のチャンネル構成に応じて各チャンネル毎に分離したデコード後の音声信号とを、チャンネル変換部3に供給する。
【0030】
なお、音声データデコード部2は、集積回路(IC)とし構成された種々のものを用いることにより実現することができる。例えば、富士通株式会社製のICである型番MB86347、MB86349、MB86D42、MB86D41などを音声データデコード部2として用いることが可能である。
【0031】
これらのICは、PCM、ドルビーデジタル、dts、AAC(Advanced Audio Coding)等の信号フォーマットのデジタルオーディオストリームをデコードし、そのデジタルオーディオストリームのチャンネル構成に応じたチャンネルのデコード後の音声信号(音声データ)を出力することができるものである。
【0032】
チャンネル変換部3は、この実施の形態においては、DSP(Digital Signal Processor)として構成されたものであり、音声データデコード部2において判別された入力音声信号のチャンネル構成を示す情報と自機の出力チャンネル構成との2つの情報に応じて決まる変換情報の供給を制御部5から受けて、この変換情報に基づいて、音声データデコード部2から供給される各チャンネルの音声信号(入力音声信号)からスピーカーが接続された各出力チャンネルに送出する出力音声信号を形成する。
【0033】
具体的に説明すると、チャンネル変換部3は、上述したように、音声データデコード部2から入力音声信号のチャンネル構成を示す情報と、入力音声信号のチャンネル構成に応じた各チャンネルの音声信号との供給を受ける。そして、入力音声信号のチャンネル構成を示す情報を制御部5に供給して、制御部5に対してチャンネル変換に用いる変換情報の提供を要求する。
【0034】
制御部5は、スピーカーが接続された出力チャンネルの構成、すなわち出力チャンネル構成についての設定情報をキー操作部6を通じて受け付けて、この受け付けた出力チャンネル構成についての設定情報を不揮発性メモリー54に記憶保持するようにしている。また、例えば不揮発性メモリー54に、入力音声信号のチャンネル構成と出力チャンネル構成とに基づいて決まり、チャンネル変換部3に供給するようにする複数の変換情報を記憶保持している。
【0035】
制御部5は、チャンネル変換部3を通じて提供される入力音声信号のチャンネル構成を示す情報と、不揮発性メモリー54に保持している自己の出力チャンネル構成を示す設定情報とに基づいて、不揮発性メモリー54に保持されている複数の変換情報の中から目的とする変換情報を取得し、これをチャンネル変換部3に供給する。
【0036】
そして、チャンネル変換部3は、音声データデコード部2からの各チャンネルの入力音声信号について、制御部5からの変換情報に基づく変換処理を施すことにより、自機の出力チャンネル構成に応じた各出力チャンネル用の出力音声信号を形成し、形成した出力音声信号を対応する出力チャンネルに接続されたスピーカーに供給する。
【0037】
このように、この実施の形態のオーディオアンプ装置は、最大7チャンネルの範囲内で任意の出力チャンネル構成をとることが可能なものであり、スピーカー部4の構成としては、出力チャンネル構成に対応して、[フロント側チャンネルn/リア側チャンネル数m]で表せば、[2/0]、[3/0]、[2/2]、[3/2]、[3/3]、[3/4]等の任意の構成とすることができる。もちろんこれ以外にも、[1/0]、[2/1]、[3/1]等の通常はあまり用いられることのない構成とすることも可能である。
【0038】
そして、この実施の形態のオーディオアンプ装置は、入力音声信号のチャンネル構成と、スピーカーが接続された出力チャンネルの構成である出力チャンネル構成とが一致していなくても、自機の出力チャンネル構成に応じた各出力チャンネル用の出力音声信号を形成し、これを出力チャンネル構成に応じてスピーカーが接続された各出力チャンネルに出力することができるようにしている。
【0039】
このようにすることによって、入力音声信号のチャンネル構成と、スピーカーが接続される出力チャンネルの構成である出力チャンネル構成とが異なっていても、音声の放音を行わないスピーカーが生じたり、入力音声信号を効率よく使用していなかったりするなどの不都合を生じさることがないようにしている。
【0040】
なお、この実施の形態においては、チャンネル変換部3が、出力チャンネルの音声信号を形成する形成手段に相当し、不揮発性メモリー54が変換情報を記憶する記憶手段に相当し、音声データデコード部2が、入力音声信号のチャンネル構成を判別する判別手段に相当する。また、制御部5と不揮発性メモリー54の機能により、出力チャンネル構成を把握する把握手段を構成するようにしている。
【0041】
[チャンネル変換部の構成と動作について]
次に、この実施の形態のチャンネル変換部3の具体的な構成例について説明する。図2は、DSPとして構成されるチャンネル変換部3の機能について説明するための図である。この実施の形態のチャンネル変換部3は、大きく分けると、エクステンション部31とダウンミックス部32とからなっている。
【0042】
エクステンション部31は、音声信号が供給された各チャンネルの音声信号を分配したり、混合したりすることにより、音声が供給されたチャンネル数以上のチャンネル数分のそれぞれの音声信号を形成するエクステンション(Extension)機能を実現する部分である。
【0043】
また、ダウンミックス部32は、音声信号が供給された各チャンネルの音声信号を混合するなどして、音声が供給されたチャンネル数以下のチャンネル数分のそれぞれの音声信号を形成するダウンミックス(Downmix)機能を実現する部分である。
【0044】
エクステンション部31は、図2に示すように、左前方チャンネル(左フロントチャンネル)L、センターチャンネルC、右前方チャンネル(右フロントチャンネル)R、左後方チャンネル(左サラウンドチャンネル)SL、右後方チャンネル(右サラウンドチャンネル)SR、左後方サブチャンネル(左サラウンドバックチャンネル)SBLのそれぞれに対応する6つの入力端子を備えている。
【0045】
なお、一般に、左前方チャンネルLは、聴取者の左前方に配置されるスピーカーに供給する音声信号のチャンネルであり、右前方チャンネルRは、聴取者の右前方に配置されるスピーカーに供給する音声信号のチャンネルであり、センターチャンネルCは、聴取者の正面に配置されるスピーカーに供給する音声信号のチャンネルである。
【0046】
また、左後方チャンネルSLは、聴取者の左後方に配置されるスピーカーに供給する音声信号のチャンネルであり、右後方チャンネルSRは、聴取者の右後方に配置されるスピーカーに供給する音声信号のチャンネルである。また、本来、左後方サブチャンネルSBLは、聴取者の左後方に配置されるスピーカーに供給する音声信号のチャンネルであり、聴取者の右後方に配置されるスピーカーに供給する音声信号のチャンネルである右後方サブチャンネルSBRと対になって用いるようにされるものである。
【0047】
なお、この実施の形態において、左後方サブチャンネルSBLは、この実施の形態においては、後述もするように、後方センターチャンネルとしての位置付けで用いられるようにされる場合もある。
【0048】
また、エクステンション部31の各チャンネルには、混合器(ミキサー)11〜17の機能を設けている。すなわち、図2に示すように、エクステンション部31において、左前方チャンネルL、センターチャンネルC、右前方チャンネルR、左後方チャンネルSL、右後方チャンネルSR、左後方サブチャンネルSBLのそれぞれには、対応する1つの混合器11、混合器12、混合器13、混合器14、混合器15、混合器16を設けるようにするとともに、新たに形成される右後方サブチャンネルSBR用として混合器17を設けるようにしている。
【0049】
そして、各入力端子と各混合器との間には、必要に応じて可変増幅器(アンプ)の機能を設けている。すなわち、図2に示すように、センターチャンネルCの入力端子と混合器11、13、14、15、16、17とのそれぞれの間には、それぞれに対応する1つの増幅器KCL、KCR、KCSL、KCSR、KCBL、KCBRを設けるようにしている。
【0050】
また、左前方チャンネルLの入力端子と混合器12、14、16とのそれぞれの間には、それぞれに対応する1つの増幅器KCL、KLSL、KLBLを設けるようにしており、右前方チャンネルRの入力端子と混合器12、15、17とのそれぞれの間には、それぞれに対応する1つの増幅器KRC、KRSR、KRBRを設けるようにしている。
【0051】
また、左後方チャンネルSLの入力端子と混合器16との間には、増幅器KSLBLを設けるようにしており、右後方チャンネルSRの入力端子と混合器17との間には、増幅器KSRBRを設けるようにしており、また、左後方サブチャンネルSBRの入力端子と混合器17との間には、増幅器KBLBRを設けるようにしている。
【0052】
このように、この実施の形態のエクステンション部31は、6チャンネル分の入力端子を備え、7個の混合器の機能と、15個の増幅器の機能とからなり、左前方チャンネルL、センターチャンネルC、右前方チャンネルR、左後方チャンネルSL、右後方チャンネルSR、左後方サブチャンネルSBL、右後方サブチャンネルSBRの7チャンネル分の出力端を有する構成としたものである。
【0053】
また、この実施の形態において、ダウンミックス部32は、エクステンション部31の後段に設けられ、エクステンション部31の7つの出力チャンネルに対応して、左前方チャンネルL、センターチャンネルC、右前方チャンネルR、左後方チャンネルSL、右後方チャンネルSR、左後方サブチャンネルSBR、右後方サブチャンネルSBRの音声信号の供給を受けることができるようにされている。また、各チャンネルに対応して、7つの出力端子が設けられる。
【0054】
そして、ダウンミックス部32においては、図2に示すように、混合器21〜24の機能を設けている。すなわち、図2に示すように、左前方チャンネルLの出力端子の前段には混合器21を、右前方チャンネルRの出力端子の前段には混合器22を、左後方チャンネルSLの出力端子の前段には混合器23を、右後方チャンネルSRの出力端子の前段には混合器24をそれぞれ設けるようにしている。
【0055】
また、ダウンミックス部32においても、必要に応じて、可変増幅器の機能を設けるようにしている。すなわち、図2に示すように、混合器21、22のそれぞれの前段には、増幅器Kfを設けるようにし、センターチャンネルCの出力端子の前段には増幅器Kcを設けるようにしている。また、混合器23、24のそれぞれの前段には増幅器Ksを設けるようにし、左後方サブチャンネルSBR、右後方サブチャンネルSBRのそれぞれの出力端子の前段には増幅器Kbを設けるようにしている。
【0056】
さらに、図2に示すように、ダウンミックス部32における右後方サブチャンネルSBRの入力端と混合器22、24とのそれぞれの間には、それぞれに対応する1つの増幅器Kbrfr、Kbrsrを設けるようにしている。また、ダウンミックス部32における左後方サブチャンネルSBLの入力端と混合器21、22、23、24とのそれぞれの間には、それぞれに対応する1つの増幅器Kblfl、Kblfr、Kblsl、Kblsrを設けるようにしている。
【0057】
また、図2に示すように、ダウンミックス部32における右後方チャンネルSRの入力端と混合器22との間、および、ダウンミックス部32における左後方チャンネルSLの入力端と混合器21との間のそれぞれには、増幅器Ksfを設けるようにしており、また、ダウンミックス部32におけるセンターチャンネルCの入力端と混合器21、22との間には、1つの増幅器Kcfを設けるようにしている。
【0058】
このように、この実施の形態のダウンミックス部32は、エクステンション部31からの信号を受け付ける7チャンネル分の入力端と、4個の混合器の機能と、16個の増幅器の機能とからなり、左前方チャンネルL、センターチャンネルC、右前方チャンネルR、左後方チャンネルSL、右後方チャンネルSR、左後方サブチャンネルSBL、右後方サブチャンネルSBRの7チャンネル分の出力端子を備えるものである。
【0059】
そして、エクステンション部31、ダウンミックス部32のそれぞれの各増幅器は、制御部からの変換情報に応じて、各増幅器毎に増幅係数を設定することによりそれらに供給される音声信号の信号レベルを調整することができるようにされている。そして、各混合器において、これに供給された音声信号が混合されて出力するようにされる。
【0060】
なお、各増幅器においての処理は、具体的には以下のようになる。すなわち、増幅係数として0(ゼロ)が設定された増幅器においては、係数が0であるので、出力される音声信号の信号レベルは0(ゼロ)となり、結果として音声信号は出力しない。また、増幅係数として1が設定された増幅器においては、係数が1であるので、供給された音声信号を供給された信号レベルのまま出力する。また、増幅係数として、0(ゼロ)より大きい値が設定された増幅器においては、その値に応じた信号レベルの音声信号を出力する。
【0061】
このように構成されるエクステンション部31とダウンミックス部32との機能により、この実施の形態のチャンネル変換部3は、入力音声信号のチャンネル構成がどのような構成であっても、自機の出力チャンネル構成に応じて、用いられることになる出力チャンネルのそれぞれに対する音声信号を形成することができるようにしている。
【0062】
[チャンネル変換のパターンについて]
そして、この実施の形態のチャンネル変換部3においては、以下に説明するように、少なくとも48パターンのチャンネル変換を行うことができるようにしている。図3〜図6は、この実施の形態のチャンネル変換部3において行うことができるようにされるチャンネル変換のパターンについて説明するための図である。
【0063】
この図3〜図6においても、入力音声信号のチャンネル構成および出力チャンネル構成を[前方側チャンネルn/後方側チャンネル数m]で示すようにしている。また、図3〜図6の各欄において、L、C、R、SL、SR、BL、BRの文字が中に記載された大き目の四角は、対応する出力チャンネルに接続されたスピーカーを示している。
【0064】
すなわち、文字Lは左前方チャンネルLのスピーカーを、文字CはセンターチャンネルCのスピーカーを、文字Rは右前方チャンネルRのスピーカーを、文字SLは左後方チャンネルSLのスピーカーを、文字SRは右後方チャンネルSRのスピーカーを、また、文字BLは左後方サブチャンネルSBLのスピーカーを、文字BRは右後方サブチャンネルSBRのスピーカーをそれぞれ示している。
【0065】
また、斜線が付された四角は入力音声信号が存在するチャンネルを示している。なお、例えば、図3の右下端の欄にあるように、文字SL、SRと斜線で示され、四角で囲まれていない部分は、スピーカーが接続されたチャンネルではないが、入力音声信号が存在するチャンネルを示している。また、実線矢印は、エクステンション処理を、点線矢印はダウンミックス処理をそれぞれ示している。
【0066】
そして、図3は、チャンネル構成が[1/0]、[2/0]、[2/2]である入力音声信号を変換して、出力チャンネル構成が[3/4]、[3/3]、[3/2]、[3/0]である信号を形成する場合のパターンを示す図である。また、図4は、チャンネル構成が[1/0]、[2/0]、[2/2]である入力音声信号を変換して、出力チャンネル構成が[2/2]、[2/4]、[2/3]、[2/0]である信号を形成する場合のパターンを示す図である。
【0067】
また、図5は、チャンネル構成が[3/0]、[3/2]、[3/3]である入力音声信号を変換して、出力チャンネル構成が[3/4]、[3/3]、[3/2]、[3/0]である信号を形成する場合のパターンを示す図である。また、図6は、チャンネル構成が[3/0]、[3/2]、[3/3]である入力音声信号を変換して、出力チャンネル構成が[2/2]、[2/4]、[2/3]、[2/0]である信号を形成する場合のパターンを示す図である。
【0068】
以下、図3〜図6のそれぞれごとに概要を説明する。まず、図3に示したパターンについて説明する。図3において、入力音声信号のチャンネル構成が、[1/0]の欄に示すように、入力音声信号のチャンネル構成がセンターチャンネルCのみのモノラル音声信号である場合には、センターチャンネルC以外の各出力チャンネルの出力音声信号は、センターチャンネルCの入力音声信号からエクステンション機能により形成される。
【0069】
また、図3において、入力音声信号のチャンネル構成が[2/0]の欄に示すように、入力音声信号のチャンネル構成が左前方チャンネルLと右前方チャンネルRとの2チャンネルの構成である場合には、左後方チャンネルSL、左後方サブチャンネルSBRの出力音声信号は、左前方チャンネルLの入力音声信号からエクステンション機能により形成され、また、右後方チャンネルSR、右後方サブチャンネルSBRの出力音声信号は、右前方チャンネルRの入力音声信号からエクステンション機能により形成される。
【0070】
また、図3において、入力音声信号のチャンネル構成が[2/0]の欄に示すように、センターチャンネルCの出力音声信号は、左前方チャンネルLの入力音声信号と、右前方チャンネルRの入力音声信号とからエクステンション機能により形成される。この場合、左前方チャンネルLの入力音声信号と右前方チャンネルRの入力音声信号と足し合わせ、その信号レベルを2分の1にすることにより、出力チャンネルとしてのセンターチャンネルCの音声信号が形成される。
【0071】
すなわち、左前方チャンネルLの入力音声信号を文字Lで示し、右前方チャンネルRの入力音声信号を文字Rで示せば、(L+R)/2とする演算処理を行うようにすることにより、出力チャンネルとしてのセンターチャンネルCの音声信号が形成される。
【0072】
また、入力音声信号のチャンネル構成が[2/0]、出力チャンネル構成が[3/3]である場合にように、リアセンターチャンネルとして用いられる左後方サブチャンネルSBLが出力チャンネル構成に存在する場合には、出力チャンネルとしての左後方サブチャンネルSBLの音声信号は、出力チャンネル構成におけるセンターチャンネルCの音声信号を形成した場合と同様に、左前方チャンネルLの入力音声信号と、右前方チャンネルRの入力音声信号とからエクステンション機能により形成される。この場合もセンターチャンネルCの音声信号を形成した場合と同様の処理により形成される。
【0073】
また、図3において、入力音声信号のチャンネル構成が、[2/2]の欄に示すように、入力音声信号のチャンネル構成が左前方チャンネルL、右前方チャンネルR、左後方チャンネルSL、右後方チャンネルSRの4チャンネル構成である場合であって、出力チャンネル構成として、左後方サブチャンネルSBRと左後方サブチャンネルSBRとの両方が存在する場合には、左後方サブチャンネルSBRの出力音声信号は、左後方チャンネルSLの入力音声信号からエクステンション機能により形成され、左後方サブチャンネルSBRの出力音声信号は、右後方チャンネルSRの入力音声信号からエクステンション機能により形成される。
【0074】
また、入力音声信号のチャンネル構成が[2/2]、出力チャンネル構成が[3/3]のように、左後方サブチャンネルSBRがリアセンターチャンネルとして出力チャンネル構成中に存在する場合には、左後方サブチャンネルSBRの出力音声信号は、左後方チャンネルSLの入力音声信号と、右後方チャンネルSRの入力音声信号とからエクステンション機能により形成される。
【0075】
この場合、左後方チャンネルSLの入力音声信号と右後方チャンネルSRの入力音声信号と足し合わせ、その信号レベルを2分の1にすることにより、出力チャンネルとしての左後方サブチャンネルSBRの音声信号が形成される。すなわち、左後方チャンネルSLの入力音声信号を文字SLで示し、右後方チャンネルSRの入力音声信号を文字SRで示せば、(SL+SR)/2とする演算処理を行うようにすることにより、左後方サブチャンネルSBRの出力音声信号が形成される。
【0076】
また、入力音声信号のチャンネル構成が[2/2]、出力チャンネル構成が[3/0]である場合には、入力音声信号のチャンネル構成は左後方チャンネルSL、右後方チャンネルSRを備えているが、出力チャンネル構成においては、左後方チャンネルSL、右後方チャンネルSRは存在しない。
【0077】
この場合には、ダウンミックス機能により、左後方チャンネルSLの入力音声信号を左前方チャンネルLの出力音声信号に混合し、右後方チャンネルSRの入力音声信号を右前方チャンネルRの出力音声信号に混合して、入力音声信号を無駄なく利用できるようにしている。
【0078】
なお、入力音声信号のチャンネル構成が[2/2]の欄に示した各パターンの場合においても、出力チャンネルにおいてのセンターチャンネルCの音声信号は、入力音声信号のチャンネル構成が[2/0]の欄に示した各パターンの場合と同様にして形成される。
【0079】
次に、図4に示したパターンについて説明する。図4に示す各パターンは、出力チャンネル構成において、フロントチャンネルにセンターチャンネルCが存在せず、左前方チャンネルL、右前方チャンネルRの2チャンネルの構成になっていることを除けば、図3に示した場合とほぼ同様である。
【0080】
したがって、この図4に示す各パターンは、センターチャンネルCの出力音声信号を形成しない点を除けば、図3に示したいずれかのパターンとほぼ同様の処理を行うことにより、図4に示した各パターンのチャンネル変換が可能であることが分かる。
【0081】
次に、図5に示したパターンについて説明する。図5において、入力音声信号のチャンネル構成が、[3/0]、[3/2]の各欄に示すパターンの場合には、入力音声信号のチャンネル構成がセンターチャンネルCを有するものとなっていることを除けば、図3に示したチャンネル構成が、[2/0]、[2/2]の各欄に示したパターンと同様にして、出力チャンネル構成に合致した各出力チャンネルの出力音声信号が形成される。
【0082】
そして、図5において、入力音声信号のチャンネル構成が[3/3]、出力チャンネル構成が[3/4]である場合に、右後方サブチャンネルSBRの出力チャンネルを形成する場合には、左後方サブチャンネルSBLの入力音声信号から右後方サブチャンネルSBRの出力音声信号が形成される。
【0083】
また、図5において、入力音声信号のチャンネル構成が[3/3]、出力チャンネル構成が[3/2]である場合のように、入力音声信号のチャンネル構成には、リアセンターチャンネルとして用いられる左後方サブチャンネルSBLの入力音声信号が存在するのに、出力チャンネル構成には、リアセンターチャンネルが存在しない場合には、リアセンターチャンネルとして用いられる左後方サブチャンネルSBLの入力音声信号は、ダウンミックス機能により、左後方チャンネルSLの出力音声信号と、右後方チャンネルSRの出力音声信号とに分配され混合するようにされる。
【0084】
また、図5において、入力音声信号のチャンネル構成が[3/3]、出力チャンネル構成が[3/0]である場合のように、入力音声信号のチャンネル構成には、後方チャンネルが存在するのに、出力チャンネル構成に後方チャンネルが存在しない場合には、ダウンミックス機能により、左後方チャンネルSLの入力音声信号は、左チャンネルLの出力音声信号に混合され、右後方チャンネルSRの入力音声信号は、右チャンネルRの出力音声信号に混合される。
【0085】
この場合においても、リアセンターチャンネルとして用いられる左後方サブチャンネルSBLの入力音声信号は、ダウンミックス機能により、左チャンネルLの出力音声信号と、右チャンネルRの出力音声信号とに分配され混合するようにされる。
【0086】
次に、図6に示したパターンについて説明する。図6に示す各パターンは、フロントチャンネルがセンターチャンネルCを有する3チャンネルの構成の入力音声信号を、センターチャンネルCを用いない2チャンネルの出力チャンネル構成とするものである。
【0087】
したがって、ダウンミックス機能を用いて、センターチャンネルCの入力音声信号を、左前方チャンネルLと右前方音声チャンネルRとに混合するようにする点を除けば、図3〜図5に示したいずれかのパターンと同様にして、エクステンション機能、ダウンミックス機能が用いられて、出力チャンネル構成に合致する出力チャンネルについての出力音声信号が形成される。
【0088】
このように、この実施の形態のチャンネル変換部3は、図3〜図6に示した48パターンのチャンネル変換を行うことができるものである。そして、図3〜図6に示したように、入力音声信号のチャンネル構成と、出力チャンネル構成とが分かれば、どのようなチャンネル変換を行えばよいかが決まることになる。
【0089】
そして、この実施の形態のオーディオアンプ装置においては、上述もしたように、制御部5の不揮発性メモリー54に、入力音声信号のチャンネル構成と出力チャンネル構成とに応じて決まる多数の変換情報を記憶保持している。
【0090】
図7は、入力音声信号のチャンネル構成と出力チャンネル構成とに応じて決まる変換情報について説明するための図である。図7に示すように、この実施の形態においては、図3〜図6に示した48通りのチャンネル変換パターンの全部に対応するように、入力音声信号のチャンネル構成としては6通りを想定し、出力チャンネル構成としては8通りを想定して、変換情報を形成し、これを記憶保持するようにしている。
【0091】
この変換情報は、チャンネル変換部3の31個の増幅器のそれぞれに設定する係数がテーブル化された構成となったものである。そして、入力音声信号のチャンネル構成と出力チャンネル構成とが決まれば、チャンネル変換部3に供給する変換情報が決まることになる。
【0092】
例えば、入力音声信号のチャンネル構成が[2/0]で、出力チャンネル構成が[3/2]の場合には、図7に太線で囲って示したように、TBL_23のテーブルデータが変換情報として用いられるようにされ、入力音声信号のチャンネル構成が[3/0]で、出力チャンネル構成が[2/2]の場合には、図7に太線で囲って示したように、TBL_45のテーブルデータが変換情報として用いられることになる。
【0093】
図8は、変換情報の具体例を説明するための図である。この図8においては、上述したように、入力音声信号のチャンネル構成が[2/0]で、出力チャンネル構成が[3/2]の場合に用いられる変換情報であるTBL_23の内容と、入力音声信号のチャンネル構成が[3/0]で、出力チャンネル構成が[2/2]の場合に用いられる変換情報であるTBL_45の内容を示している。
【0094】
図8の左側に示すように、入力音声信号のチャンネル構成が[2/0]で、出力チャンネル構成が[3/2]の場合に用いられる変換情報であるTBL_23は、図2に示したように構成されるチャンネル変換部3のエクステンション部31の増幅器KCL、KRCの係数として「0.5」を、エクステンション部31の増幅器KLSL、KRSR、および、ダウンミックス部32の増幅回路Kf、Kc、Ksの係数として「1.0」を、これら以外の各増幅器の係数として「0(ゼロ)」を持つものである。
【0095】
この図8の左側に示したTBL_23を用いた場合のチャンネル変換部3における音声信号の流れを図9に示す。図9に示すように、エクステンション部31の増幅器KCL、KRCには係数として「0.5」が設定され、エクステンション部31の増幅器KLSL、KRSR、および、ダウンミックス部32の増幅回路Kf、Kc、Ksには係数として「1.0」が設定される。これ以外の各増幅器の係数は「0(ゼロ)」であるため、図9においては記載を省略している。
【0096】
このように、チャンネル変換部3の各増幅器に対して係数を設定すると、図9において、実線で示した経路が音声信号が流れる経路となる。この場合、図9に示したように、左チャンネルLの入力音声信号は、そのまま混合器11、14に供給されるとともに、係数として「0.5」が設定される増幅器KLCを通じて、信号レベルが半分にされた後に、混合器12に供給される。
【0097】
同様に、右チャンネルRの入力音声信号は、そのまま混合器13、15に供給されるとともに、係数として「0.5」が設定される増幅器KRCを通じて、信号レベルが半分にされた後に、混合器12に供給される。混合器12には、信号レベルが変分にされた左前方チャンネルLと右前方チャンネルRとが供給され、混合処理されるので、混合器12からは、センターチャンネルCの出力音声信号が出力される。また、混合器14、15からは、左後方チャンネルSL、右後方チャンネルSRの出力音声信号として、左前方チャンネルL、右前方チャンネルRの入力音声信号がそのまま出力するようにされる。このようにして、エクステンション機能が用いられて、入力音声信号のチャンネル数よりも多いチャンネル数の音声信号が形成される。
【0098】
ダウンミックス部32においいては、左前方チャンネルLと右前方チャンネルRの増幅器Kf、センターチャンネルCの増幅器Kc、左後方チャンネルSLと右後方チャンネルSRの増幅器Ksに、係数「1.0」が設定されているので、これらから出力音声信号が出力されることになる。
【0099】
したがって、この例の場合には、左前方チャンネルL、センターチャンネルC、右前方チャンネルR、左後方チャンネルSL、右後方チャンネルSRのそれぞれに対応する出力チャンネルに出力音声信号が出力される。
【0100】
また、図8の右側の欄に示したように、入力音声信号のチャンネル構成が[3/0]で、出力チャンネル構成が[2/2]の場合に用いられる変換情報であるTBL_45は、図2に示したように構成されるチャンネル変換部3のエクステンション部31の増幅器KLSL、KRSR、および、ダウンミックス部32の増幅回路Kf、Ksの係数として「1.0」を、ダウンミックス部32の増幅回路Kcfの係数として「0.7」を、これら以外の増幅器の係数として「0(ゼロ)」を持つものである。
【0101】
この図8の右側の欄に示したTBL_45を用いた場合のチャンネル変換部3における音声信号の流れを図10に示す。図10に示すように、エクステンション部31の増幅器KLSL、KRSR、ダウンミックス部32の増幅器Kfには、係数として「0.1」が設定され、ダウンミックス部32の増幅器Kcfには、係数として「0.7」が設定される。これ以外の各増幅器の係数は「0(ゼロ)」であるため、図10においては記載を省略している。
【0102】
このように、チャンネル変換部3の各増幅器に対して係数を設定すると、図10において、実線で示した経路が音声信号が流れる経路となる。この場合、図10に示したように、左チャンネルLの入力音声信号は、そのまま混合器11、14に供給され、センターチャンネルCの入力音声信号は、そのまま混合器12に供給され、また、右チャンネルRの入力音声信号は、そのまま混合器13、14に供給される。このようにして、エクステンション機能が用いられて、入力音声信号のチャンネル数よりもチャンネル数の音声信号が形成される。
【0103】
そして、ダウンミックス部32においいては、センターチャンネルCの増幅器Kcに係数として「0.7」設定されているので、エクステンション部31からのセンターチャンネルCの音声信号の信号レベルが、元の信号の70パーセントとされて、混合器21、22に供給される。また、左前方チャンネルLと右前方チャンネルRの増幅器Kf、左後方チャンネルSLと右後方チャンネルSRの増幅器Ksに、係数「1.0」が設定されている。
【0104】
したがって、混合器21からは、左前方チャンネルLの音声信号とセンターチャンネルCの音声信号とを混合して形成した出力音声信号が出力され、混合器22からは、右前方チャンネルRの音声信号とセンターチャンネルCの音声信号とを混合して形成した出力音声信号が出力される。
【0105】
また、混合器23からはエクステンション部31からの左後方チャンネルSLの音声信号が出力され、混合器24からは、エクステンション部31からの右後方チャンネルSRの音声が出力される。このように、ダウンミックス機能が用いられて、入力音声信号のチャンネル数よりも少ないチャンネル数の音声信号が形成される。
【0106】
したがって、この例の場合には、左前方チャンネルL、右前方チャンネルR、左後方チャンネルSL、右後方チャンネルSRのそれぞれに対応する出力チャンネルに出力音声信号が出力される。
【0107】
なお、出力チャンネル構成が、5.1チャンネル、7.1チャンネルの構成であり、この場合の「.1」に相当するサブウーハー成分が必要な場合には、もともとの入力音声信号に含まれる低域成分を抜き出して、これを出力するようにすればよい。
【0108】
そして、図8に示したTBL_23、TBL_45のように、図3〜図6に示した各変換パターンに応じて、図2のように構成されるチャンネル変換部3の各増幅器に設定する係数からなるテーブルが予め形成され、これが図7に示したように、入力音声信号のチャンネル構成と出力チャンネル構成とに対応付けられて制御部5の不揮発性メモリー54に記憶保持される。そして、この変換情報を用いることにより、図7に示した、入力音声信号のチャンネル構成と出力チャンネル構成との組み合わせに応じて、チャンネル変換部3において、種々のチャンネル変換を行うことが可能となる。
【0109】
なお、図2に示したチャンネル変換部3の構成例はあくまでも構成例であり、入力音声信号のチャンネル数と出力チャンネル構成とに応じて種々の構成のチャンネル変換部を構成することが可能である。この場合、エクステンション部とダウンミックス部のチャンネル数は、同じである必要はなく、また、エクステンション部の出力チャンネル数が、ダウンミックス部の入力チャンネル数よりも多い構成とすることも可能である。
【0110】
また、上述した実施の形態において、チャンネル変換部3は、エクステンション部31の後段にダウンミックス部32を設けるようにしたが、これに限るものではない。まず、ダウンミックス部32を設け、ダウンミックス部32の後段にエクステンション部31を設ける構成とすることもできる。
【0111】
しかし、エクステンション部31の後段にダウンミックス部32を設け、まず、チャンネル数を拡張するようにした後に、ダウンミックス処理を行うようにした場合には、臨場感を損なうことのないようにして、チャンネル変換を行うようにすることができる。
【0112】
また、上述した実施の形態においては、チャンネル変換部3のエクステンション部31においては、入力音声信号に存在しないチャンネルの音声信号を形成する場合には、チャンネル間において音声信号を単純にコピーするようにするものとして説明したが、これに限るものではない。
【0113】
エクステンション部31に音場処理アルゴリズムを適用するなどし、この音場処理の一部として、上述したようなエクステンション機能を持つようにエクステンション部31を構成することも可能である。また、各増幅器に供給するようにする係数を細かく調整することももちろん可能である。
【0114】
また、出力チャンネル構成に左右されず、供給を受けた入力音声信号の実際のチャンネル構成そのままに、音声信号を再生ようにさせたいユーザーも存在することが考えられる。このようなことも考慮し、チャンネル変換部3が搭載されるオーディオアンプ装置には、ユーザーが自分の好みで、チャンネル変換部3を動作させ、チャンネル変換を行うようにするか、チャンネル変換部3は動作させないようにするかを選択できるようにしてもよい。
【0115】
また、上述した実施の形態においては、チャンネル変換部3は、DSPにより実現するものとして説明したが、これに限るものではない。音声データデコード部2が、D/A(Digital/Analog)変換機能を備えたものであり、各チャンネルの音声信号をアナログ信号として出力するものである場合には、チャンネル変換部3をアナログ回路として構成することももちろん可能である。
【0116】
チャンネル変換部3をアナログ回路として構成する場合には、可変増幅器や混合器を用いることにより構成することができるし、各チャンネルにスイッチを設けることにより、そのチャンネルの音声信号を後段に供給するか否かを制御することも比較的に容易である。
【0117】
また、図2に示したチャンネル変換部3をICとして構成し、これを単独で提供するようにすることももちろん可能である。
【0118】
また、この実施の形態において、出力チャンネル構成は、ユーザーによって予め設定されるものとして説明したが、これに限るものではない。各出力チャンネルに微弱なテスト信号を送出し、各出力チャンネルのインピーダンスの違いや変化を検出して、スピーカーの接続された出力チャンネルとスピーカーの接続されていない出力チャンネルとを自動的に検出するチャンネル構成検出部を、例えば、チャンネル変換部3の後段などに設け、ここで検出された出力チャンネル構成を不揮発性メモリーなどの所定のメモリーに登録するようにして用いるようにしてもよい。
【0119】
また、別の方法として、聴取位置にマイクロホンを設置し、スピーカーからテスト音声を放音するようにし、スピーカーからのテスト音声を収音して分析する分析部を設け、この分析部によって、出力チャンネル構成とスピーカーの設置位置とを検出するようにし、この検出した出力チャンネル構成を不揮発性メモリーなどの所定のメモリーに登録して、これを用いるようにすることもできる。
【0120】
また、上述の実施の形態においては、この発明をオーディオアンプ装置に適用するものとして説明したが、この発明は、複数のスピーカーの接続が可能な種々の音響機器に適用できることは言うまでもない。
【0121】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、入力音声信号のチャンネル構成にかかわらず、入力音声信号に応じた再生音声をセッティングされた全てのスピーカーを用いて聴取することができる。
【0122】
また、あらゆるチャンネル構成の入力音声信号の供給を受けて、操作性の煩わしさを伴わずにセッティングされている全てのスピーカーを用いて効果的に入力音声信号に応じた再生音声を聴取できるようにすることができる。
【0123】
また、チャンネルの変換機能をシンプルな音場効果を得るモードとしてオーディオアンプ装置などの音響機器に搭載することによって、音響機器の付加価値を高めることができる。
【0124】
また、常に全てのスピーカーから再生音声を放音させることができるので、入力音声信号のチャンネル構成と出力チャンネル構成の違いから生じる音声の放音されないスピーカーが存在しなくなり、音響機器の故障と間違うなどの不都合を生じさせないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態が適用されるオーディオアンプ装置を説明するためのブロック図である。
【図2】図1に示したチャンネル変換部の構成例を説明するための図である。
【図3】チャンネル変換のパターンを説明するための図である。
【図4】チャンネル変換のパターンを説明するための図である。
【図5】チャンネル変換のパターンを説明するための図である。
【図6】チャンネル変換のパターンを説明するための図である。
【図7】チャンネル変換部で用いられる変換情報について説明するための図である。
【図8】変換情報の具体例を説明するための図である。
【図9】図8に示したTBL_23を用いた場合のチャンネル変換部3における音声信号の流れを説明するための図である。
【図10】図8に示したTBL_45を用いた場合のチャンネル変換部3における音声信号の流れを説明するための図である。
【符号の説明】
1…デジタルオーディオ信号の入力端子、2…音声データデコード部、3…チャンネル変換部、31エクステンション部、32…ダウンミックス部、4…マルチ音声チャンネルに対応したスピーカー部、5…制御部、51…CPU、52…ROM、53…RAM、54…不揮発性メモリー、55…システムバス、6…キー操作部
Claims (10)
- 入力音声信号のチャンネル構成とスピーカーが接続された出力チャンネルの構成である出力チャンネル構成とにより決まる変換情報の供給を受けて、前記変換情報に基づき、前記入力音声信号の各チャンネルの音声信号から前記出力チャンネル構成に応じた各出力チャンネルの音声信号を形成する形成手段を備えることを特徴とする音響変換装置。
- 請求項1に記載の音響変換装置であって、
前記形成手段は、供給される音声信号のチャンネル数以上のチャンネル数分の音声信号を形成する部分と、供給される音声信号のチャンネル数以下のチャンネル数分の音声信号を形成する部分とからなることを特徴とする音響変換装置。 - 請求項1または請求項2に記載の音響変換装置であって、
前記入力音声信号の前記チャンネル構成と前記出力チャンネル構成とに応じて異なる複数の前記変換情報を記憶する記憶手段と、
入力音声信号のチャンネル構成を判別する判別手段と、
自機の出力チャンネル構成を把握する把握手段と
を備え、
前記形成手段は、前記判別手段により判別された前記チャンネル構成と前記把握手段により把握された前記出力チャンネル構成とにより決まる前記記憶手段の前記変換情報を用いて、前記各出力チャンネルの音声信号を形成することを特徴とする音響変換装置。 - 請求項3に記載の音響変換装置であって、
前記把握手段は、使用者からの設定入力を受け付けて、自機の出力チャンネル構成を把握することを特徴とする音響変換装置。 - 請求項3に記載の音響変換装置であって、
前記把握手段は、スピーカーの接続状態を検出することにより、自機の出力チャンネル構成を把握することを特徴とする音響変換装置。 - 入力音声信号のチャンネル構成とスピーカーが接続された出力チャンネルの構成である出力チャンネル構成とにより決まる変換情報の供給を受け付けるステップと、
受け付けた前記変換情報に基づいて、前記入力音声信号の各チャンネルの音声信号から前記出力チャンネル構成に応じた各出力チャンネルの音声信号を形成する形成ステップと
を有することを特徴とする音響変換方法。 - 請求項6に記載の音響変換方法であって、
前記形成ステップにおいては、
供給される音声信号のチャンネル数以上のチャンネル数の音声信号を形成する工程と、形成した音声信号のチャンネル数以下のチャンネル数の音声信号を形成する工程とを通じて、あるいは、供給される音声信号のチャンネル数以下のチャンネル数の音声信号を形成する工程と、形成した音声信号のチャンネル数以上のチャンネル数の音声信号を形成する工程とを通じて、目的とする出力チャンネル構成に応じたチャンネル数の音声信号を形成することを特徴とする音響変換方法。 - 請求項6または請求項7に記載の音響変換方法であって、
入力音声信号のチャンネル構成を判別する判別ステップと、
自機の出力チャンネル構成を把握する把握ステップと、
前記判別ステップにおいて判別した前記チャンネル構成と、前記把握ステップにおいて把握した前記出力チャンネル構成とに基づいて、用いる前記変換情報を記録媒体から取得する取得ステップと
を有し、
前記形成ステップにおいては、前記取得ステップにおいて取得した前記変換情報を用いて、前記各出力チャンネルの音声信号を形成することを特徴とする音響変換方法。 - 請求項8に記載の音響変換方法であって、
前記把握ステップにおいては、使用者からの設定入力を受け付けて、自機の出力チャンネル構成を把握することを特徴とする音響変換方法。 - 請求項8に記載の音響変換方法であって、
前記把握ステップにおいては、スピーカーの接続状態を検出することにより、自機の出力チャンネル構成を把握することを特徴とする音響変換方法。
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