JP2004310827A - 磁気テープハブおよび磁気テープリール - Google Patents
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Abstract
【課題】繰り返し使用しても整巻き性が失われない磁気テープを提供する。
【解決手段】磁気テープが巻回される円筒状のハブにおいて、該ハブがテープが巻回されていくにつれて、ハブの外周面の一端の軸径が他端の軸径に比較して小さくなり、磁気テープが規定長巻回された時のハブの外周面の一端の軸径と他端の軸径との差が(ハブ幅/425〜ハブ幅/45)mmの範囲であることを特徴とする。磁気テープが巻回される円筒状のハブの上下端にフランジがそれぞれ設けられたテープリールにおいて、該ハブがテープが巻回されていくにつれて、ハブの外周面の一端の軸径が他端の軸径に比較して小さくなり、磁気テープが規定長巻回された時のハブの外周面の一端の軸径と他端の軸径との差が(ハブ幅/850〜ハブ幅/45)mmの範囲であることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】磁気テープが巻回される円筒状のハブにおいて、該ハブがテープが巻回されていくにつれて、ハブの外周面の一端の軸径が他端の軸径に比較して小さくなり、磁気テープが規定長巻回された時のハブの外周面の一端の軸径と他端の軸径との差が(ハブ幅/425〜ハブ幅/45)mmの範囲であることを特徴とする。磁気テープが巻回される円筒状のハブの上下端にフランジがそれぞれ設けられたテープリールにおいて、該ハブがテープが巻回されていくにつれて、ハブの外周面の一端の軸径が他端の軸径に比較して小さくなり、磁気テープが規定長巻回された時のハブの外周面の一端の軸径と他端の軸径との差が(ハブ幅/850〜ハブ幅/45)mmの範囲であることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気テープが巻回される円筒状のハブおよび、円筒状のハブの上下にフランジがそれぞれ設けられたテープリールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術における製品化されている磁気テープは、幅広の非磁性支持体の一方の面に強磁性材料を塗布、または蒸着やスパッタすることにより磁気記録層を設け、他方の面に必要ならばバックコート層等を塗布し、乾燥工程、カレンダ工程等を経て、所謂ジャンボロールを作製し、このロールから送り出された幅の広い磁気シートをスリッターにて裁断し、この裁断した磁気テープを巻回したパンケーキ(円筒状のハブに磁気テープを巻回したもの)から所定の長さ分の磁気テープをリールハブに巻き付けて作成される。このパンケーキから所定長さの磁気テープを磁気カートリッジ(磁気カセット)に組み込むリールハブに巻き付けるには専用の装置、即ち、磁気テープ巻き取り機(ワインダーという)を使用する。この時、テープをリールフランジの片側に寄せて巻き面が平らになるように巻く(整巻きする)ことが重要である。これは外観上の問題もさることながら、輸送時のテープのエッジ折れ防止、繰り返し走行時の低エラーレートの確保、サーボのオフトラック防止の点で非常に重要である。
【0003】
このため、従来よりリールに整巻きするためにさまざまな工夫がなされている。例えば、▲1▼磁気テープを巻き込む部分にローラを当てながら巻回する手法であるタッチロール方式、▲2▼磁気テープを巻き込む部分にベルトを当てながら巻回する手法であるタッチベルト方式、▲3▼磁気テープを巻き込むリールハブの部分にエアを噴射させながら巻回する手法であるエアジエット方式、▲4▼巻き込む磁気テープを一定方向に磁化させて巻回する手法であるマグネット方式、▲5▼テーパ状のガイドローラによって巻き込む方向を一定方向に偏りさせながら巻回する手法であるテーパーガイドローラー方式など巻取り方法が一般に用いられている。しかし、これらの方法は、いずれも巻き位置制御方法としては充分ではなく、いくつかの方式を組み合わせることで制御している。
【0004】
一方、テープにカーバチャー(長手方向の湾曲量)を付与するとテープがリールハブの片側に巻かれることが知られており、テープにカーバチャーを付与することで巻き位置を制御する方法(例えば特許文献1、特許文献2)が提案されている。
【0005】
また、テープリールの上下フランジの間隔をコントロールして巻き位置を制御する方法(例えば特許文献3)が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−138945号公報(第2頁−4頁、第2図)
【特許文献2】
特開2000−40337号公報(第2頁−3頁、第2図)
【特許文献3】
特開2002−251859号公報(第2頁−3頁、第3図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述した整巻き方法の前者は、巻取り方法を工夫することによる手法であるが、これらの方法ではその時は強制的に整巻きできても、磁気テープがユーザーの手に渡り、繰り返し使用されると巻き癖の悪いテープでは、1層の飛び出しや巻き乱れが出てくることが多かった。後者のテープにカーバチャー付与する方法では、テープのカーバチャーが安定して保持されれば整巻き性は維持できるが、先行技術文献で提案されている方法では十分ではなかった。上下フランジの間隔をコントロールして巻き位置を制御する方法では、元々整巻き性の悪い癖を有するテープを巻回しようとすると、フランジとテープエッジとが擦れてエッジダメージを生じ磁気テープのエラーレート等が悪化する傾向があった。また、エッジダメージを生じさせないまでリール間隔を広げると1層の飛び出しや巻き乱れが出てくるといった逆相関が生じていた。
【0008】
本発明は、上記従来技術の欠点を解決するためになされたものであり、繰り返し使用しても整巻き性が失われない磁気テープを提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明者らが鋭意検討した結果、磁気テープが巻回される円筒状のハブにおいて、該ハブにテープが巻回されていくにつれて、ハブの外周面の一端の軸径が他端の軸径に比較して小さくなることを特徴とする。
【0010】
前記ハブに磁気テープが規定長巻回された時の、ハブの外周面の一端の軸径と他端の軸径との差が(ハブ幅/425〜ハブ幅/45)mmの範囲であることを特徴とする。
【0011】
磁気テープが巻回される円筒状のハブの上下端にフランジがそれぞれ設けられたテープリールにおいて、該ハブにテープが巻回されていくにつれて、ハブの外周面の一端の軸径が他端の軸径に比較して小さくなることを特徴とする。
【0012】
前記テープリールに磁気テープが規定長巻回された時の、ハブの外周面の一端の軸径と他端の軸径との差が(ハブ幅/850〜ハブ幅/45)mmの範囲であることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、磁気テープに安定したカーバチャーを付与することができ、したがって繰り返し使用しても整巻き性が失われない磁気テープを提供することができる。磁気テープにカーバチャーを付与するために、磁気テープが巻回される円筒状のハブにおいて、該ハブがテープが巻回されていくにつれてハブの上下の片側の外径が残りの側の外径に比較して小さくなることが好ましい。
【0014】
前記ハブに磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が(ハブ幅/425〜ハブ幅/45)mmの範囲であることが好ましく、(ハブ幅/213〜ハブ幅/85)mmの範囲がより好ましい。磁気テープはこの傾斜になじんで癖がつきカーバチャーを付与される。
【0015】
この範囲が好ましいのは、ハブ幅/425mm未満では、付与されるカーバチャー量が小さいために整巻き効果が十分得られず、ハブ幅/45mmを越えると走行させた時のエッジダメージが大きくなったり、却って整巻き性が悪くなるためである。
【0016】
また、磁気テープが巻回される円筒状のハブの上下にフランジがそれぞれ設けられたテープリールにおいて、該ハブがテープが巻回されていくにつれてハブの上下の片側の外径が残りの側の外径に比較して小さくなることが好ましい。
【0017】
前記テープリールに磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が(ハブ幅/850〜ハブ幅/45)mmの範囲であることが好ましく、(ハブ幅/425〜ハブ幅/85)mmの範囲がより好ましい。
【0018】
この範囲が好ましいのは、ハブ幅/850mm未満では、付与されるカーバチャー量が小さいために整巻き効果が十分得られず、ハブ幅/45mmを越えると走行させた時のエッジダメージが大きくなったり、却って整巻き性が悪くなるためである。
【0019】
磁気テープを規定長巻回されたハブ、テープリールのハブ部の外周円筒形状は、上述した範囲の上下の外径差のある傾斜状になる。磁気テープは所定の巻きテンションで巻回されているため、この状態で、一定時間放置されるとテープの上下で長さが異なる(すなわちカーバチャー)状態で癖が付与される。一定時間の放置は、常温でもよいが、30〜70℃の環境下であることが好ましい。前述したテープリールがカートリッジ(カセット)に組み込まれるものであれば、かならずしも一定時間の放置は必要ではない。
【0020】
テープの巻き位置を制御する方法として、例えば特許文献1〜特許文献3などの先行技術文献がある。
【0021】
特許文献2では、磁気テープを巻き取る直前で該磁気テープの幅方向に温度差を付与し、温度の低い方に偏らせて整巻きを行う方法が提案されている。これはテープの幅方向に温度差を付与することにより、熱膨張の差によりカーバチャーを付与するやり方であり、本発明の方法とはまったく異なるものである。
【0022】
特許文献1では、一端側から他端側へ軸径が異なるテーパー状の巻取面を形成し、当該巻取軸に上記磁気テープを巻き取り、上記巻取軸に巻き取られた状態で磁気テープを所定期間放置し巻き癖を付ける方法が提案されている。これは、上下の外径差のあるいわゆる傾斜状ハブに磁気テープを巻回し巻き癖を付ける方法であり、本発明の巻回当初は傾斜のないハブと異なる。
【0023】
本発明者らの検討によると、この方法では巻き始めは、傾斜状ハブに沿ってある程度うまく巻回していくことができるが、巻き終わりの方になると、徐々に上下の外形差が小さくなってくるとともに、巻き乱れのないように巻くのが困難になってくる傾向があり、所定期間放置しても、内周部は狙い通りのカーバチャーが付与されるものの、外周部では十分カーバチャーが付与されず、巻き乱れがあるためにテープエッジの変形も起こり易いことが分かった。
【0024】
特許文献3では、磁気テープが巻装されていくにつれてそのハブの外周面より外周側における前記上下フランジ間の寸法が漸減するように構成されたことを特徴とするテープリールが提案されている。
【0025】
フランジ間の寸法が漸減するメカニズムについては明瞭には示されておらず、詳細は不明であるが、外周部の巻き位置の制御は、上下フランジ間の寸法を漸減させることによっており、磁気テープにカーバチャーを付与して巻き位置制御を行う本発明とは異なる。
【0026】
磁気テープが巻回される円筒状のハブにおいて、該ハブがテープが巻回されていくにつれてハブの上下の片側の外径が残りの側の外径に比較して小さくなるようなハブ形状の設計はいろいろ考えられるが、例えば、図1に示したような片持ち構造のハブや図2に示したような、ハブ外周部と内周部をつなぐリブがハブ幅のセンターから片側に偏った構造のハブなどが考えられる。このようなハブを用いると、規定長のテープが巻回されるとハブの外周部が変形し、図3に示したようにハブの外周部の上下の外径に差が生じてテープにカーバチャーを付与できる。ハブの材質は、従来公知のフェノール樹脂、アルミニウム、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂等が用いられる。
【0027】
ハブの材質や外周部および側面部の肉厚を調整してハブの片側の外径の変化量を制御することができる。
【0028】
テープリールの場合も同様の考えで形状を設計することができる。テープリールの材質は、従来公知の例えばABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂等が用いられる。ハブの外径の片側が変化することにより上下のリールフランジ間の寸法が変化することが考えられるが、テープエッジ保護の観点からリールフランジ間の寸法は変化しない設計とすることが好ましく、例えば図4に示したような形状が考えられる。
【0029】
【実施例】
以下に実施例によって本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例、比較例の部は重量部を示す。
実施例1:
≪下塗塗料成分≫
(1)
・針状酸化鉄(粒径:100nm) 68部
・粒状アルミナ粉末(粒径:80nm) 8部
・カーボンブラック(平均粒径:25nm) 24部
・ステアリン酸 2.0部
・塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体共重合体 8.8部
(含有−SO3 Na基:0.7×10−4当量/g)
・ポリエステルポリウレタン樹脂 4.4部
(Tg:40℃、含有−SO3 Na基:1×10−4当量/g)
・シクロヘキサノン 25部
・メチルエチルケトン 40部
・トルエン 10部
(2)
・ステアリン酸ブチル 1部
・シクロヘキサノン 70部
・メチルエチルケトン 50部
・トルエン 20部
(3)
・ポリイソシアネート 2.5部
・シクロヘキサノン 10部
・メチルエチルケトン 15部
・トルエン 10部
【0030】
≪磁性塗料成分≫
(1)混練工程
・強磁性鉄系金属磁性粉 100部
(Co/Fe:20at%、
Al/(Fe+Co):4.7wt%、
Y/(Fe+Co):2.3at%、
σs:138Am2/kg (138emu/g)、
Hc:150kA/m (1885Oe)、
平均粒子径:100nm)
・塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 14部
(含有−SO3 Na基:0.7×10−4当量/g)
・ポリエステルポリウレタン樹脂(PU) 5部
(含有−SO3 Na基:0.7×10−4当量/g)
・板状アルミナ(平均粒径:50nm) 10部
・板状ITO(平均粒径:40nm) 5部
・メチルアシッドホスフェート(MAP) 2部
・テトラヒドロフラン(THF) 20部
・メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(MEK/A) 9部
(2)希釈工程
・パルミチン酸アミド(PA) 1.5部
・ステアリン酸n−ブチル(SB) 1部
・メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(MEK/A) 350部
(3)配合工程
・ポリイソシアネート 1.5部
・メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(MEK/A) 29部
【0031】
上記の下塗塗料成分において(1)を回分式ニーダで混練したのち、(2)を加えて攪拌の後サンドミルで滞留時間を60分として分散処理を行い、これに(3)を加え攪拌・濾過した後、下塗層用塗料とした。
【0032】
これとは別に、上記の磁性塗料の成分において(1)混連工程成分を予め高速混合しておき、その混合粉末を連続式2軸混練機で混練し、さらに(2)希釈工程成分を加え連続式2軸混練機で少なくとも2段階以上に分けて希釈を行い、サンドミルで滞留時間を45分として分散し、これに(3)配合工程成分を加え攪拌・濾過後、磁性塗料とした。
【0033】
上記の下塗塗料を、ポリエチレンテレフタレートフイルム(厚さ6.0μm、MD=7.2GPa、MD/TD=0.62、商品名:ルミラー、東レ製)からなる非磁性支持体(ベースフィルム)上に、乾燥、カレンダ後の厚さが2.0μmとなるように塗布し、この下塗層上に、さらに上記の磁性塗料を磁場配向処理、乾燥、カレンダー処理後の磁性層の厚さが0.25μmとなるようにウエット・オン・ウエットで塗布し、磁場配向処理後、ドライヤおよび遠赤外線を用いて乾燥し、磁気シートを得た。なお、磁場配向処理は、ドライヤ前にN−N対抗磁石(5kG)を設置し、ドライヤ内で塗膜の指蝕乾燥位置の手前側75cmからN−N対抗磁石(5kG)を2基50cm間隔で設置して行った。塗布速度は100m/分とした。
【0034】
≪バックコート層用塗料成分≫
・カーボンブラック(粒径:25nm) 80部
・カーボンブラック(粒径:0.35μm) 10部
・粒状酸化鉄(粒径:50nm) 10部
・ニトロセルロース 45部
・ポリウレタン樹脂(SO3 Na基含有) 30部
・シクロヘキサノン 260部
・トルエン 260部
・メチルエチルケトン 525部
【0035】
上記バックコート層用塗料成分をサンドミルで滞留時間45分として分散した後、ポリイソシアネート15部を加えてバックコート層用塗料を調整し濾過後、上記で作製した磁気シートの磁性層の反対面に、乾燥、カレンダ後の厚みが0.5μmとなるように塗布し、乾燥した。
【0036】
このようにして得られた磁気シートを金属ロールからなる7段カレンダで、温度100℃、線圧196KN/mの条件で鏡面化処理した。1/2インチ幅に裁断し、これを200m/分で走行させながら磁性層表面をラッピングテープ研磨、ブレード研磨そして表面拭き取りの後処理を行い、磁気テープを作製した。この時、ラッピングテープにはK10000、ブレードには超硬刃、表面拭き取りには東レ製トレシー(商品名)を用い、走行張力0.294Nで処理を行った。
【0037】
これらの処理を行った磁気テープを図1の構造のハブ(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が32μm(=ハブ幅/400))に巻き取った。磁気テープを巻回したハブ(パンケーキ)を40℃、24h保存した後、バックコート層にサーボ信号を書き込み、テープリール(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が0μm)に規定長巻き取って、カートリッジに組み込みコンピュータ用テープを作製した。
【0038】
実施例2:
巻き取りハブを、ハブ(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が32μm(=ハブ幅/400))からハブ(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が254μm(=ハブ幅/50))に変更した以外は、実施例1と同様にしてコンピュータ用テープを作製した。
【0039】
実施例3:
巻き取りハブを、ハブ(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が32μm(=ハブ幅/400))から通常のハブ(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が0μm)(図5)に変更し、テープリールをテープリール(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が0μm)からテープリール(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が16μm(=ハブ幅/800))に変更し、磁気テープを巻回したハブ(パンケーキ)の40℃、24h保存をせずに、テープを規定長テープリールに巻き取って、カートリッジに組み込んだ以外は、実施例1と同様にしてコンピュータ用テープを作製した。
【0040】
実施例4:
テープリールをテープリール磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が16μm(=ハブ幅/800))からテープリール(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が254μm(=ハブ幅/50))に変更した以外は、実施例3と同様にしてコンピュータ用テープを作製した。
【0041】
比較例1:
巻き取りハブを、ハブ(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が32μm(=ハブ幅/400))からハブ(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が28μm(=ハブ幅/450))に変更した以外は、実施例1と同様にしてコンピュータ用テープを作製した。
【0042】
比較例2:
巻き取りハブを、ハブ(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が32μm(=ハブ幅/400))からハブ(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が318μm(=ハブ幅/40))に変更した以外は、実施例1と同様にしてコンピュータ用テープを作製した。
【0043】
比較例3:
巻き取りハブを、ハブ(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が32μm(=ハブ幅/400))から通常のハブ(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が0μm)(図5)に変更し、テープリールをテープリール(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が0μm)からテープリール(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が14μm(=ハブ幅/900))に変更し、磁気テープを巻回したハブ(パンケーキ)の40℃、24h保存をせずに、テープを規定長テープリールに巻き取って、カートリッジに組み込んだ以外は、実施例1と同様にしてコンピュータ用テープを作製した。
【0044】
比較例4:
テープリールをテープリール(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が14μm(=ハブ幅/900))からテープリール(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が318μm(=ハブ幅/40))に変更した以外は、比較例3と同様にしてコンピュータ用テープを作製した。
【0045】
比較例5:
テープリールをテープリール(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が14μm(=ハブ幅/900))からテープリール(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が0μm)に変更した以外は、比較例3と同様にしてコンピュータ用テープを作製した。
【0046】
コンピュータテープの評価は以下のように行った。
<整巻き性>
リールハブに巻き取られたテープの状態を目視で観察し、テープ巻き面がほとんど平面で一層飛び出しもない状態を○、巻き面が一部巻き乱れ(平面でない)ているか、または一層飛び出しがある状態を△、巻き面が全体的に巻き乱れている状態を×で表した。初回と300時間連続走行後に測定した。
【0047】
<エッジ変形>
300時間連続走行後のエッジ面を光学顕微鏡で観察し擦れによる変形がほとんど見られない場合を○、大きな変形が見られる場合を△、大きな変形が見られ、かつ目視でエッジがめくれるように変形している場合を×で表した。
【0048】
<エラーレート>
カンタム社製DLT7000ドライブを使用して、室温環境下で全長かつ全トラックを300時間連続で走行させ、ドライブが出力するエラー情報をRS−232Cインターフェース経由で読みとり評価した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
表1から明らかなように、本発明の実施例1〜4に係るコンピュータテープは、整巻き性が良好で、また、安定したカーバチャーを持たせているので走行後の整巻き性が変化せず、走行後のエッジ変形もないのでエラーレートが増加しない。一方、表2から明らかなように、本発明の範囲外の比較例1〜5に係るコンピュータテープは整巻き性が不十分であったり、エッジ変形が大きいために、走行後のエラーレートが増加する。
【0052】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、初期の整巻き性とともに、走行後の整巻き性も優れた信頼性の高い磁気テープが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、テープを巻回するとハブ外周の上下の外径に差が生じるハブの一例を示す概略図である。
【図2】図2は、テープを巻回するとハブ外周の上下の外径に差が生じるハブの別の一例を示す概略図である。
【図3】図3は、ハブにテープを規定長巻回した時のハブおよびテープの変形の一例を示す概略図である。
【図4】図4は、テープを巻回するとハブ外周の上下の外径に差が生じるハブを有するテープリールの一例を示す概略図である。
【図5】図5は、テープを巻回してもハブ外周の上下の外径に差が生じない、従来公知のハブの一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 磁気テープ
2 テープリール
3 上フランジ
4 下フランジ
5 ハブ部
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気テープが巻回される円筒状のハブおよび、円筒状のハブの上下にフランジがそれぞれ設けられたテープリールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術における製品化されている磁気テープは、幅広の非磁性支持体の一方の面に強磁性材料を塗布、または蒸着やスパッタすることにより磁気記録層を設け、他方の面に必要ならばバックコート層等を塗布し、乾燥工程、カレンダ工程等を経て、所謂ジャンボロールを作製し、このロールから送り出された幅の広い磁気シートをスリッターにて裁断し、この裁断した磁気テープを巻回したパンケーキ(円筒状のハブに磁気テープを巻回したもの)から所定の長さ分の磁気テープをリールハブに巻き付けて作成される。このパンケーキから所定長さの磁気テープを磁気カートリッジ(磁気カセット)に組み込むリールハブに巻き付けるには専用の装置、即ち、磁気テープ巻き取り機(ワインダーという)を使用する。この時、テープをリールフランジの片側に寄せて巻き面が平らになるように巻く(整巻きする)ことが重要である。これは外観上の問題もさることながら、輸送時のテープのエッジ折れ防止、繰り返し走行時の低エラーレートの確保、サーボのオフトラック防止の点で非常に重要である。
【0003】
このため、従来よりリールに整巻きするためにさまざまな工夫がなされている。例えば、▲1▼磁気テープを巻き込む部分にローラを当てながら巻回する手法であるタッチロール方式、▲2▼磁気テープを巻き込む部分にベルトを当てながら巻回する手法であるタッチベルト方式、▲3▼磁気テープを巻き込むリールハブの部分にエアを噴射させながら巻回する手法であるエアジエット方式、▲4▼巻き込む磁気テープを一定方向に磁化させて巻回する手法であるマグネット方式、▲5▼テーパ状のガイドローラによって巻き込む方向を一定方向に偏りさせながら巻回する手法であるテーパーガイドローラー方式など巻取り方法が一般に用いられている。しかし、これらの方法は、いずれも巻き位置制御方法としては充分ではなく、いくつかの方式を組み合わせることで制御している。
【0004】
一方、テープにカーバチャー(長手方向の湾曲量)を付与するとテープがリールハブの片側に巻かれることが知られており、テープにカーバチャーを付与することで巻き位置を制御する方法(例えば特許文献1、特許文献2)が提案されている。
【0005】
また、テープリールの上下フランジの間隔をコントロールして巻き位置を制御する方法(例えば特許文献3)が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−138945号公報(第2頁−4頁、第2図)
【特許文献2】
特開2000−40337号公報(第2頁−3頁、第2図)
【特許文献3】
特開2002−251859号公報(第2頁−3頁、第3図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述した整巻き方法の前者は、巻取り方法を工夫することによる手法であるが、これらの方法ではその時は強制的に整巻きできても、磁気テープがユーザーの手に渡り、繰り返し使用されると巻き癖の悪いテープでは、1層の飛び出しや巻き乱れが出てくることが多かった。後者のテープにカーバチャー付与する方法では、テープのカーバチャーが安定して保持されれば整巻き性は維持できるが、先行技術文献で提案されている方法では十分ではなかった。上下フランジの間隔をコントロールして巻き位置を制御する方法では、元々整巻き性の悪い癖を有するテープを巻回しようとすると、フランジとテープエッジとが擦れてエッジダメージを生じ磁気テープのエラーレート等が悪化する傾向があった。また、エッジダメージを生じさせないまでリール間隔を広げると1層の飛び出しや巻き乱れが出てくるといった逆相関が生じていた。
【0008】
本発明は、上記従来技術の欠点を解決するためになされたものであり、繰り返し使用しても整巻き性が失われない磁気テープを提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明者らが鋭意検討した結果、磁気テープが巻回される円筒状のハブにおいて、該ハブにテープが巻回されていくにつれて、ハブの外周面の一端の軸径が他端の軸径に比較して小さくなることを特徴とする。
【0010】
前記ハブに磁気テープが規定長巻回された時の、ハブの外周面の一端の軸径と他端の軸径との差が(ハブ幅/425〜ハブ幅/45)mmの範囲であることを特徴とする。
【0011】
磁気テープが巻回される円筒状のハブの上下端にフランジがそれぞれ設けられたテープリールにおいて、該ハブにテープが巻回されていくにつれて、ハブの外周面の一端の軸径が他端の軸径に比較して小さくなることを特徴とする。
【0012】
前記テープリールに磁気テープが規定長巻回された時の、ハブの外周面の一端の軸径と他端の軸径との差が(ハブ幅/850〜ハブ幅/45)mmの範囲であることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、磁気テープに安定したカーバチャーを付与することができ、したがって繰り返し使用しても整巻き性が失われない磁気テープを提供することができる。磁気テープにカーバチャーを付与するために、磁気テープが巻回される円筒状のハブにおいて、該ハブがテープが巻回されていくにつれてハブの上下の片側の外径が残りの側の外径に比較して小さくなることが好ましい。
【0014】
前記ハブに磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が(ハブ幅/425〜ハブ幅/45)mmの範囲であることが好ましく、(ハブ幅/213〜ハブ幅/85)mmの範囲がより好ましい。磁気テープはこの傾斜になじんで癖がつきカーバチャーを付与される。
【0015】
この範囲が好ましいのは、ハブ幅/425mm未満では、付与されるカーバチャー量が小さいために整巻き効果が十分得られず、ハブ幅/45mmを越えると走行させた時のエッジダメージが大きくなったり、却って整巻き性が悪くなるためである。
【0016】
また、磁気テープが巻回される円筒状のハブの上下にフランジがそれぞれ設けられたテープリールにおいて、該ハブがテープが巻回されていくにつれてハブの上下の片側の外径が残りの側の外径に比較して小さくなることが好ましい。
【0017】
前記テープリールに磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が(ハブ幅/850〜ハブ幅/45)mmの範囲であることが好ましく、(ハブ幅/425〜ハブ幅/85)mmの範囲がより好ましい。
【0018】
この範囲が好ましいのは、ハブ幅/850mm未満では、付与されるカーバチャー量が小さいために整巻き効果が十分得られず、ハブ幅/45mmを越えると走行させた時のエッジダメージが大きくなったり、却って整巻き性が悪くなるためである。
【0019】
磁気テープを規定長巻回されたハブ、テープリールのハブ部の外周円筒形状は、上述した範囲の上下の外径差のある傾斜状になる。磁気テープは所定の巻きテンションで巻回されているため、この状態で、一定時間放置されるとテープの上下で長さが異なる(すなわちカーバチャー)状態で癖が付与される。一定時間の放置は、常温でもよいが、30〜70℃の環境下であることが好ましい。前述したテープリールがカートリッジ(カセット)に組み込まれるものであれば、かならずしも一定時間の放置は必要ではない。
【0020】
テープの巻き位置を制御する方法として、例えば特許文献1〜特許文献3などの先行技術文献がある。
【0021】
特許文献2では、磁気テープを巻き取る直前で該磁気テープの幅方向に温度差を付与し、温度の低い方に偏らせて整巻きを行う方法が提案されている。これはテープの幅方向に温度差を付与することにより、熱膨張の差によりカーバチャーを付与するやり方であり、本発明の方法とはまったく異なるものである。
【0022】
特許文献1では、一端側から他端側へ軸径が異なるテーパー状の巻取面を形成し、当該巻取軸に上記磁気テープを巻き取り、上記巻取軸に巻き取られた状態で磁気テープを所定期間放置し巻き癖を付ける方法が提案されている。これは、上下の外径差のあるいわゆる傾斜状ハブに磁気テープを巻回し巻き癖を付ける方法であり、本発明の巻回当初は傾斜のないハブと異なる。
【0023】
本発明者らの検討によると、この方法では巻き始めは、傾斜状ハブに沿ってある程度うまく巻回していくことができるが、巻き終わりの方になると、徐々に上下の外形差が小さくなってくるとともに、巻き乱れのないように巻くのが困難になってくる傾向があり、所定期間放置しても、内周部は狙い通りのカーバチャーが付与されるものの、外周部では十分カーバチャーが付与されず、巻き乱れがあるためにテープエッジの変形も起こり易いことが分かった。
【0024】
特許文献3では、磁気テープが巻装されていくにつれてそのハブの外周面より外周側における前記上下フランジ間の寸法が漸減するように構成されたことを特徴とするテープリールが提案されている。
【0025】
フランジ間の寸法が漸減するメカニズムについては明瞭には示されておらず、詳細は不明であるが、外周部の巻き位置の制御は、上下フランジ間の寸法を漸減させることによっており、磁気テープにカーバチャーを付与して巻き位置制御を行う本発明とは異なる。
【0026】
磁気テープが巻回される円筒状のハブにおいて、該ハブがテープが巻回されていくにつれてハブの上下の片側の外径が残りの側の外径に比較して小さくなるようなハブ形状の設計はいろいろ考えられるが、例えば、図1に示したような片持ち構造のハブや図2に示したような、ハブ外周部と内周部をつなぐリブがハブ幅のセンターから片側に偏った構造のハブなどが考えられる。このようなハブを用いると、規定長のテープが巻回されるとハブの外周部が変形し、図3に示したようにハブの外周部の上下の外径に差が生じてテープにカーバチャーを付与できる。ハブの材質は、従来公知のフェノール樹脂、アルミニウム、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂等が用いられる。
【0027】
ハブの材質や外周部および側面部の肉厚を調整してハブの片側の外径の変化量を制御することができる。
【0028】
テープリールの場合も同様の考えで形状を設計することができる。テープリールの材質は、従来公知の例えばABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂等が用いられる。ハブの外径の片側が変化することにより上下のリールフランジ間の寸法が変化することが考えられるが、テープエッジ保護の観点からリールフランジ間の寸法は変化しない設計とすることが好ましく、例えば図4に示したような形状が考えられる。
【0029】
【実施例】
以下に実施例によって本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例、比較例の部は重量部を示す。
実施例1:
≪下塗塗料成分≫
(1)
・針状酸化鉄(粒径:100nm) 68部
・粒状アルミナ粉末(粒径:80nm) 8部
・カーボンブラック(平均粒径:25nm) 24部
・ステアリン酸 2.0部
・塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体共重合体 8.8部
(含有−SO3 Na基:0.7×10−4当量/g)
・ポリエステルポリウレタン樹脂 4.4部
(Tg:40℃、含有−SO3 Na基:1×10−4当量/g)
・シクロヘキサノン 25部
・メチルエチルケトン 40部
・トルエン 10部
(2)
・ステアリン酸ブチル 1部
・シクロヘキサノン 70部
・メチルエチルケトン 50部
・トルエン 20部
(3)
・ポリイソシアネート 2.5部
・シクロヘキサノン 10部
・メチルエチルケトン 15部
・トルエン 10部
【0030】
≪磁性塗料成分≫
(1)混練工程
・強磁性鉄系金属磁性粉 100部
(Co/Fe:20at%、
Al/(Fe+Co):4.7wt%、
Y/(Fe+Co):2.3at%、
σs:138Am2/kg (138emu/g)、
Hc:150kA/m (1885Oe)、
平均粒子径:100nm)
・塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 14部
(含有−SO3 Na基:0.7×10−4当量/g)
・ポリエステルポリウレタン樹脂(PU) 5部
(含有−SO3 Na基:0.7×10−4当量/g)
・板状アルミナ(平均粒径:50nm) 10部
・板状ITO(平均粒径:40nm) 5部
・メチルアシッドホスフェート(MAP) 2部
・テトラヒドロフラン(THF) 20部
・メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(MEK/A) 9部
(2)希釈工程
・パルミチン酸アミド(PA) 1.5部
・ステアリン酸n−ブチル(SB) 1部
・メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(MEK/A) 350部
(3)配合工程
・ポリイソシアネート 1.5部
・メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(MEK/A) 29部
【0031】
上記の下塗塗料成分において(1)を回分式ニーダで混練したのち、(2)を加えて攪拌の後サンドミルで滞留時間を60分として分散処理を行い、これに(3)を加え攪拌・濾過した後、下塗層用塗料とした。
【0032】
これとは別に、上記の磁性塗料の成分において(1)混連工程成分を予め高速混合しておき、その混合粉末を連続式2軸混練機で混練し、さらに(2)希釈工程成分を加え連続式2軸混練機で少なくとも2段階以上に分けて希釈を行い、サンドミルで滞留時間を45分として分散し、これに(3)配合工程成分を加え攪拌・濾過後、磁性塗料とした。
【0033】
上記の下塗塗料を、ポリエチレンテレフタレートフイルム(厚さ6.0μm、MD=7.2GPa、MD/TD=0.62、商品名:ルミラー、東レ製)からなる非磁性支持体(ベースフィルム)上に、乾燥、カレンダ後の厚さが2.0μmとなるように塗布し、この下塗層上に、さらに上記の磁性塗料を磁場配向処理、乾燥、カレンダー処理後の磁性層の厚さが0.25μmとなるようにウエット・オン・ウエットで塗布し、磁場配向処理後、ドライヤおよび遠赤外線を用いて乾燥し、磁気シートを得た。なお、磁場配向処理は、ドライヤ前にN−N対抗磁石(5kG)を設置し、ドライヤ内で塗膜の指蝕乾燥位置の手前側75cmからN−N対抗磁石(5kG)を2基50cm間隔で設置して行った。塗布速度は100m/分とした。
【0034】
≪バックコート層用塗料成分≫
・カーボンブラック(粒径:25nm) 80部
・カーボンブラック(粒径:0.35μm) 10部
・粒状酸化鉄(粒径:50nm) 10部
・ニトロセルロース 45部
・ポリウレタン樹脂(SO3 Na基含有) 30部
・シクロヘキサノン 260部
・トルエン 260部
・メチルエチルケトン 525部
【0035】
上記バックコート層用塗料成分をサンドミルで滞留時間45分として分散した後、ポリイソシアネート15部を加えてバックコート層用塗料を調整し濾過後、上記で作製した磁気シートの磁性層の反対面に、乾燥、カレンダ後の厚みが0.5μmとなるように塗布し、乾燥した。
【0036】
このようにして得られた磁気シートを金属ロールからなる7段カレンダで、温度100℃、線圧196KN/mの条件で鏡面化処理した。1/2インチ幅に裁断し、これを200m/分で走行させながら磁性層表面をラッピングテープ研磨、ブレード研磨そして表面拭き取りの後処理を行い、磁気テープを作製した。この時、ラッピングテープにはK10000、ブレードには超硬刃、表面拭き取りには東レ製トレシー(商品名)を用い、走行張力0.294Nで処理を行った。
【0037】
これらの処理を行った磁気テープを図1の構造のハブ(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が32μm(=ハブ幅/400))に巻き取った。磁気テープを巻回したハブ(パンケーキ)を40℃、24h保存した後、バックコート層にサーボ信号を書き込み、テープリール(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が0μm)に規定長巻き取って、カートリッジに組み込みコンピュータ用テープを作製した。
【0038】
実施例2:
巻き取りハブを、ハブ(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が32μm(=ハブ幅/400))からハブ(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が254μm(=ハブ幅/50))に変更した以外は、実施例1と同様にしてコンピュータ用テープを作製した。
【0039】
実施例3:
巻き取りハブを、ハブ(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が32μm(=ハブ幅/400))から通常のハブ(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が0μm)(図5)に変更し、テープリールをテープリール(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が0μm)からテープリール(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が16μm(=ハブ幅/800))に変更し、磁気テープを巻回したハブ(パンケーキ)の40℃、24h保存をせずに、テープを規定長テープリールに巻き取って、カートリッジに組み込んだ以外は、実施例1と同様にしてコンピュータ用テープを作製した。
【0040】
実施例4:
テープリールをテープリール磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が16μm(=ハブ幅/800))からテープリール(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が254μm(=ハブ幅/50))に変更した以外は、実施例3と同様にしてコンピュータ用テープを作製した。
【0041】
比較例1:
巻き取りハブを、ハブ(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が32μm(=ハブ幅/400))からハブ(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が28μm(=ハブ幅/450))に変更した以外は、実施例1と同様にしてコンピュータ用テープを作製した。
【0042】
比較例2:
巻き取りハブを、ハブ(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が32μm(=ハブ幅/400))からハブ(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が318μm(=ハブ幅/40))に変更した以外は、実施例1と同様にしてコンピュータ用テープを作製した。
【0043】
比較例3:
巻き取りハブを、ハブ(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が32μm(=ハブ幅/400))から通常のハブ(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が0μm)(図5)に変更し、テープリールをテープリール(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が0μm)からテープリール(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が14μm(=ハブ幅/900))に変更し、磁気テープを巻回したハブ(パンケーキ)の40℃、24h保存をせずに、テープを規定長テープリールに巻き取って、カートリッジに組み込んだ以外は、実施例1と同様にしてコンピュータ用テープを作製した。
【0044】
比較例4:
テープリールをテープリール(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が14μm(=ハブ幅/900))からテープリール(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が318μm(=ハブ幅/40))に変更した以外は、比較例3と同様にしてコンピュータ用テープを作製した。
【0045】
比較例5:
テープリールをテープリール(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が14μm(=ハブ幅/900))からテープリール(磁気テープが規定長巻回された時のハブの上下の外径差が0μm)に変更した以外は、比較例3と同様にしてコンピュータ用テープを作製した。
【0046】
コンピュータテープの評価は以下のように行った。
<整巻き性>
リールハブに巻き取られたテープの状態を目視で観察し、テープ巻き面がほとんど平面で一層飛び出しもない状態を○、巻き面が一部巻き乱れ(平面でない)ているか、または一層飛び出しがある状態を△、巻き面が全体的に巻き乱れている状態を×で表した。初回と300時間連続走行後に測定した。
【0047】
<エッジ変形>
300時間連続走行後のエッジ面を光学顕微鏡で観察し擦れによる変形がほとんど見られない場合を○、大きな変形が見られる場合を△、大きな変形が見られ、かつ目視でエッジがめくれるように変形している場合を×で表した。
【0048】
<エラーレート>
カンタム社製DLT7000ドライブを使用して、室温環境下で全長かつ全トラックを300時間連続で走行させ、ドライブが出力するエラー情報をRS−232Cインターフェース経由で読みとり評価した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
表1から明らかなように、本発明の実施例1〜4に係るコンピュータテープは、整巻き性が良好で、また、安定したカーバチャーを持たせているので走行後の整巻き性が変化せず、走行後のエッジ変形もないのでエラーレートが増加しない。一方、表2から明らかなように、本発明の範囲外の比較例1〜5に係るコンピュータテープは整巻き性が不十分であったり、エッジ変形が大きいために、走行後のエラーレートが増加する。
【0052】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、初期の整巻き性とともに、走行後の整巻き性も優れた信頼性の高い磁気テープが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、テープを巻回するとハブ外周の上下の外径に差が生じるハブの一例を示す概略図である。
【図2】図2は、テープを巻回するとハブ外周の上下の外径に差が生じるハブの別の一例を示す概略図である。
【図3】図3は、ハブにテープを規定長巻回した時のハブおよびテープの変形の一例を示す概略図である。
【図4】図4は、テープを巻回するとハブ外周の上下の外径に差が生じるハブを有するテープリールの一例を示す概略図である。
【図5】図5は、テープを巻回してもハブ外周の上下の外径に差が生じない、従来公知のハブの一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 磁気テープ
2 テープリール
3 上フランジ
4 下フランジ
5 ハブ部
Claims (4)
- 磁気テープが巻回される円筒状のハブにおいて、該ハブにテープが巻回されていくにつれて、ハブの外周面の一端の軸径が他端の軸径に比較して小さくなることを特徴とする磁気テープハブ。
- 前記ハブに磁気テープが規定長巻回された時の、ハブの外周面の一端の軸径と他端の軸径との差が(ハブ幅/425〜ハブ幅/45)mmの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の磁気テープハブ。
- 磁気テープが巻回される円筒状のハブの上下端にフランジがそれぞれ設けられたテープリールにおいて、該ハブにテープが巻回されていくにつれて、ハブの外周面の一端の軸径が他端の軸径に比較して小さくなることを特徴とする磁気テープリール。
- 前記テープリールに磁気テープが規定長巻回された時の、ハブの外周面の一端の軸径と他端の軸径との差が(ハブ幅/850〜ハブ幅/45)mmの範囲であることを特徴とする、請求項3に記載の磁気テープリール。
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-
2003
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