JP2004310067A - マスクブランクス用ガラス基板の製造方法、マスクブランクスの製造方法、転写マスクの製造方法及び半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ガラス基板表面の凹凸形状を測定する凹凸形状測定工程と、凹凸形状測定工程で得られた測定結果にもとづいて、ガラス基板表面に存在する凸部位の凸度を特定するとともに、この凸度に応じた加工条件で凸部位に局所加工を施すことにより、ガラス基板表面の平坦度を所定の基準値以下に制御する平坦度制御工程と、平坦度制御工程の後、局所加工が施されたガラス基板表面を研磨する研磨工程とを有するマスクブランクス用ガラス基板の製造方法において、平坦度制御工程の後で、かつ、研磨工程の前に、局所加工が施されたガラス基板表面に酸又はアルカリ処理を施す。
【選択図】 図1
Description
特許文献1に示される精密研磨方法は、基板表面を、酸化セリウムを主材とする研磨剤を用いて研磨した後、コロイダルシリカを用いて仕上げ研磨するものである。このような研磨方法でガラス基板を研磨する場合は、通常、複数のガラス基板をセットし、その両面を同時に研磨するバッチ式の両面研磨機が使用されている。
特許文献2、3に示される平坦化方法は、ガラス基板表面の凹凸形状を測定するとともに、凸部位の凸度に応じた加工条件(プラズマエッチング量、ガスクラスターイオンビーム量など)で凸部位に局所加工を施すことにより、ガラス基板表面を平坦化するというものである。
また、上記目的を達成するため本発明におけるマスクブランクス用ガラス基板の製造方法は、マスクブランクス用ガラス基板表面の凹凸形状を測定する凹凸形状測定工程と、前記凹凸形状測定工程で得られた測定結果にもとづいて、前記ガラス基板表面に存在する凸部位の凸度を特定するとともに、この凸度に応じた加工条件で前記凸部位に局所加工を施すことにより、前記ガラス基板表面の平坦度を所定の基準値以下に制御する平坦度制御工程と、前記平坦度制御工程の後、前記局所加工が施された前記ガラス基板表面を研磨する研磨工程と、を有するマスクブランクス用ガラス基板の製造方法において、前記平坦度制御工程の後で、かつ、前記研磨工程の前に、前記局所加工が施された前記ガラス基板表面に、アルカリ処理を施す方法としてある。
マスクブランクス用ガラス基板の製造方法をこのような方法にすれば、ガラス基板表面における凸部位の凸度に応じて、イオンビームの移動速度やプラズマ発生筐体の移動速度を制御することにより、ガラス基板表面の凸部位に適正な局所加工を施し、平坦度を所定の基準値以下に制御することができる。
また、ガラス基板表面における凸部位の凸度に応じて、イオンビーム強度やプラズマ強度を制御するようにしてもよい。
マスクブランクス用ガラス基板の製造方法をこのような方法にすれば、局所加工で発生した加工変質層や反応生成物を効果的に除去することができる。この場合、ケイフッ酸やフッ酸を単独で使用するほか、ケイフッ酸とフッ酸の混合酸を使用してもよい。
マスクブランクス用ガラス基板の製造方法をこのような方法にすれば、ガラス基板表面に残留するガラス片や有機物を、ガラス基板の表面状態を維持したまま、効果的に除去することができる。
マスクブランクス用ガラス基板の製造方法をこのような方法にすれば、アルカリ処理を行うことにより、ガラス基板表面に潜在化している傷などの欠陥を顕在化させることができる。これにより、研磨工程後の欠陥検査においてガラス基板表面に欠陥が存在していた場合、これを容易に検出することが可能になる。
マスクブランクス用ガラス基板の製造方法をこのような方法にすれば、平坦度の基準値を0.25μmとして局所加工を施すことにより、平坦度0.25μm以下を要求するF2エキシマレーザー露光用マスクブランクスガラス基板が得られる。
また、平坦度の基準値を0.05μmとして局所加工を施すことにより、平坦度0.05μm以下を要求するEUVマスクブランクス用ガラス基板が得られる。
マスクブランクスの製造方法をこのような方法にすれば、要求される平坦度を有し、表面欠陥のない高品質なF2エキシマレーザー露光用マスクブランクスやEUVマスクブランクスが得られる。
転写マスクの製造方法をこのような方法にすれば、要求される平坦度を有し、表面欠陥のない高品質なF2エキシマレーザー露光用マスクやEUVマスクが得られる。
半導体装置の製造方法をこのような方法にすれば、超LSIデバイスを製造することが可能となる。
[マスクブランクス用ガラス基板の製造方法]
まず、本発明におけるマスクブランクス用ガラス基板の製造方法について、図1及び図2を参照して説明する。
この図に示すように、本発明におけるマスクブランクス用ガラス基板の製造工程は、表面が精密研磨されたガラス基板を準備する準備工程(P−1)と、ガラス基板表面の凹凸形状を測定する凹凸形状測定工程(P−2)と、局所加工によってガラス基板表面の平坦度を制御する平坦度制御工程(P−3)と、ガラス基板表面を酸又はアルカリ処理する酸又はアルカリ処理工程(P−4)と、ガラス基板表面を研磨する研磨工程(P−5)とを有する。
準備工程(P−1)は、例えば、後述する研磨装置を用いて、片面又は両面が精密研磨されたガラス基板を準備する工程である。
ガラス基板は、マスクブランクスとして用いられるものであれば、特に限定されない。例えば、石英ガラス、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、無アルカリガラスなどが挙げられる。
F2マスクブランクス用ガラス基板の場合は、露光光源の吸収を可及的に抑えるために、弗素をドープした石英ガラスなどが用いられる。
また、EUV用マスクブランクスは、ガラス基板上に多数の膜が形成されるため、膜応力による変形を抑制できる剛性の高いガラス材料が使用される。特に、65GPa以上の高いヤング率を有するガラス材料が好ましい。例えば、SiO2−TiO2系ガラス、石英ガラスなどのアモルファスガラスや、β−石英固溶体を析出した結晶化ガラスが用いられる。
この図に示される研磨装置は、下定盤10、上定盤20、太陽歯車30、内歯歯車40、キャリア50及び研磨剤供給手段60からなる遊星歯車方式の研磨加工部を備えている。この研磨加工部は、キャリア50にセットされたガラス基板を、研磨パッド11、21が貼り付けられた上下の定盤10、20で挟み、定盤10、20間に研磨剤を供給しながら、キャリア50を自転及び公転させることにより、ガラス基板の両面を研磨するものである。以下、研磨加工部の構成について説明する。
なお、下定盤10は、回転不能に固定されていてもよい。
また、上定盤20及び上部支持部材22は、垂直軸Aに沿って昇降自在に支持されるとともに、図示しない上定盤昇降駆動部の駆動によって昇降動作される。
なお、上定盤20は、回転不能に固定されていてもよい。
内歯歯車40は、内周側に歯列を有するリング状の歯車であり、太陽歯車30の外方に同心円状に配置されている。本実施形態の内歯歯車40は、回転不能に固定されているが、垂直軸Aを中心として回転可能とし、内歯歯車回転駆動部(図示せず)の駆動に応じて、回転動作するようにしてもよい。
なお、キャリア50は、キャリアに形成された孔に、被研磨加工物Wの保持具をゆるく挿入して使用するダブルキャリア方式のものであってもよい。
また、上定盤20及び下定盤10の外径は、内歯歯車40の内径よりも小さくなっており、太陽歯車30と内歯歯車40との間で、かつ上定盤20と下定盤10とに挟まれるドーナツ状の領域が実際の研磨領域となる。
研磨剤貯留部61は、水平面上に環状の研磨剤貯溜路を形成しており、複数の支柱部材63を介して、上部支持部材22の上方位置に設けられている。
例えば、粗研磨工程では、比較的研磨砥粒の大きい酸化セリウムを分散させた研磨剤が使用され、精密研磨工程では、比較的研磨砥粒の小さいコロイダルシリカを分散させた研磨剤が使用される。
凹凸形状測定工程(P−2)は、前工程(P−1)で準備されたガラス基板表面の凹凸形状(平坦度)を測定する工程である。
凹凸形状の測定は、測定精度の点から光学干渉式の平坦度測定装置で行うことが好ましい。この平坦度測定装置は、コヒーレントな光をガラス基板表面に当てて反射させ、ガラス基板表面の高さの差を反射光の位相のずれとして観測するものである。
なお、本発明における平坦度は、例えば、ガラス基板表面の測定面から最小自乗法で算出される仮想絶対平面(焦平面)に対する測定面の最大値と最小値の差をいう。
なお、上記の演算処理は、凹凸形状測定工程(P−2)、平坦度制御工程(P−3)のいずれで行ってもよい。
平坦度制御工程(P−3)は、凹凸形状測定工程(P−2)で得られた測定結果にもとづいて、ガラス基板表面に存在する凸部位の凸度を特定するとともに、この凸度に応じた加工条件で凸部位に局所加工を施すことにより、ガラス基板表面の平坦度を所定の基準値以下に制御する工程である。
加工条件のパラメータは、加工装置によって異なるが、凸部位の凸度が大きいほど除去量が多くなるように設定する。例えば、局所加工の加工方式が、イオンビームやプラズマエッチングである場合、凸部位の凸度が大きいほど、イオンビームの移動速度やプラズマ発生筐体の移動速度が遅くなるように制御される。また、イオンビームの強度やプラズマ強度を制御してもよい。
MRFは、磁性流体中に含有させた研磨砥粒を、被加工物(ガラス基板)に高速で接触させるとともに、接触部分の滞留時間をコントロールすることにより、局所的に研磨を行う局所加工方法である。
これらの局所加工方法のなかでも、特に、イオンビーム、プラズマエッチング、CMPによる局所加工では、局所加工後、ガラス基板表面に面荒れや加工変質層が生じるため、後述の酸処理が特に有効となる。
プラズマエッチングによる局所加工方法は、除去すべき表面部位の上方にプラズマ発生筐体を位置させ、エッチングガスを流すことにより、除去部位をエッチングする局所加工方法である。すなわち、エッチングガスを流すと、プラズマ中で発生した中性ラジカル種がガラス基板表面に等方的に衝突し、この部分がエッチングされる。一方、プラズマ発生筐体が位置していない部分には、プラズマが生じていないので、エッチングガスが当たってもエッチングされることは無い。
プラズマ発生筐体は、電極対でガラス基板を挟む構造とし、高周波によって基板と電極の間にプラズマを発生させ、ここにエッチングガスを通すことでラジカル種を発生させる方式や、エッチングガスを導波管に通し、マイクロ波の発振によりプラズマを生じさせ、発生したラジカル種の流れをガラス基板表面に当てる方式などがある。
このガスクラスターイオンビームをガラス基板表面に照射すると、クラスターイオンを構成する分子又は原子や、ガラス基板表面の原子が多段階に衝突し、横方向の運動成分を持った反射分子又は原子を生じさせる。これにより、ガラス基板表面の凸部位に選択的なスパッタリングが生じ、ガラス基板表面の平坦化を行うことが可能になる。また、この平坦化現象は、ガラス基板表面に集中的に与えられるエネルギーにより、結合力の弱い表面や粒に存在する原子を優先的にスパッタリングする効果からも得られる。
ここで、気体状の物質としては、例えば、CO2、CO、N2O、NOx、CxHyOzなどの酸化物、O2、N2や、Ar、Heなどの希ガスが挙げられる。
例えば、F2エキシマレーザー露光用マスクブランクスガラス基板の場合は、平坦度制御の基準値を0.25μm以下とし、EUVマスクブランクス用ガラス基板の場合は、平坦度制御の基準値を0.05μm以下として局所加工が行われる。
酸又はアルカリ処理工程(P−4)は、平坦度制御工程(P−3)で局所加工が施されたガラス基板表面に酸又はアルカリ処理を施す工程である。
酸処理で使用する酸は、ガラス基板表面に残留したガラス基板の加工片、反応生成物及び加工変質層を、ガラス基板表面の平坦度を維持しつつ、表面粗さを悪化させないで除去することができるものであればよい。例えば、塩酸、硝酸、過塩素酸、硫酸、フッ酸、ケイフッ酸、燐酸、又は、これらの混合酸を使用することができる。
また、アルカリ処理で使用するアルカリは、例えば、水酸化ナトリウム,水酸化カリウムを使用することができる。
酸処理の方法としては、特に限定されず、浸漬法、スプレー法などが挙げられる。除去効率の点から超音波を印加した浸漬法で酸処理する方法が好ましい。
酸処理する際の条件は、なるべくガラス基板にダメージを与えず(表面粗さが増加せず)、加工変質層や反応性生物を選択的に除去できる条件とする。ガラス基板の種類によって異なるが、酸処理に用いる酸溶液の酸濃度は、ケイフッ酸が0.05〜10vol%、フッ酸が0.05〜10vol%であることが好ましい。また、処理温度は、20〜80℃が好ましい。
ガラス基板の種類によって異なるが、濃硫酸(98%以上)の場合、硫酸処理に用いる硫酸溶液の硫酸濃度は、0.1〜10vol%が好ましい。また、処理温度は、20〜80℃が好ましい。
アルカリ処理の方法としては、特に限定されず、浸漬法、スプレー法などが挙げられる。処理効率の点から超音波を印加した浸漬法でアルカリ処理する方法が好ましい。
研磨工程(P−5)は、局所加工によってガラス基板表面に生じた面荒れの改善や加工変質層の除去を目的として、ガラス基板表面を研磨する工程である。
したがって、局所加工で作り上げた平坦度を維持しつつ、表面粗さが改善される研磨方法で行うことが好ましい。例えば、ガラス基板表面と研磨用工具面が直接接触することなく、両者の間に介在する加工液の作用で研磨を行う非接触研磨が好ましい。非接触研磨としては、例えば、フロートポリッシング法、EEM(Elastic Emission Machining)法などが挙げられる。
つぎに、本発明にかかるマスクブランクスの製造方法の一実施形態について説明する。
このマスクブランクスの製造方法は、上述のマスクブランクス用ガラス基板の製造方法によって得られたガラス基板を準備する工程と、このガラス基板上に、被転写パターンとなる薄膜を形成する工程とを有する。
マスクブランクスは、透過型マスクブランクスと反射型マスクブランクスとに分類される。いずれのマスクブランクスでも、ガラス基板上に、被転写パターンとなる薄膜が形成される。薄膜上にはレジスト膜が形成されてもよい。
遮光膜としては、一般に、Cr膜、Crに酸素、窒素、炭素、弗素を選択的に含むCr合金膜、これらの積層膜、MoSi膜、MoSiに酸素、窒素、炭素を選択的に含むMoSi合金膜、これらの積層膜などが挙げられる。
光反射多層膜としては、Ru/Si周期多層膜、Mo/Be周期多層膜、Mo化合物/Si化合物周期多層膜、Si/Nb周期多層膜、Si/Mo/Ru周期多層膜、Si/Mo/Ru/Mo周期多層膜、Si/Ru/Mo/Ru周期多層膜などの材料が使用される。
光吸収体膜としては、TaやTa合金(例えば、TaとBを含む材料、TaとBとNを含む材料)、CrやCr合金(例えば、Crに窒素、酸素、炭素、弗素の少なくとも1つの元素が添加された材料)が使用される。
なお、上述の薄膜は、例えば、DCスパッタ、RFスパッタ、イオンビームスパッタなどのスパッタリング法で形成することができる。
次に、本発明にかかる転写マスクの製造方法の一実施形態について説明する。
この転写マスクの製造方法は、上記マスクブランクスの製造方法によって得られたレジスト膜付きマスクブランクスを準備する工程と、レジスト膜に描画・現像処理等を経て所望のレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、レジストパターンをマスクして、薄膜をエッチング除去してマスクブランクス用ガラス基板上に薄膜パターンを形成する薄膜パターン形成工程とを有する。
透過型の転写マスクであるフォトマスクにおいては、マスクブランクス用ガラス基板上に遮光膜、レジスト膜が形成されたフォトマスクブランクスの前記レジスト膜に描画・現像処理等を経て所望のレジストパターンを形成した後、このレジストパターンをマスクにして遮光膜をエッチング除去し、最後にレジスト膜を除去することで、マスクブランクス用ガラス基板上に遮光膜パターンが形成されたフォトマスクを得る。
また、透過型の転写マスクであるハーフトーン型位相シフトマスクにおいては、マスクブランクス用ガラス基板上にハーフトーン膜、遮光膜、レジスト膜が形成されたハーフトーン型位相シフトマスクブランクスの前記レジスト膜に描画・現像処理等を経て所望のレジストパターンを形成した後、このレジストパターンをマスクにして遮光膜をエッチング除去し、遮光膜パターンを形成し、この遮光膜パターンをマスクにしてハーフトーン膜をエッチング除去し、最後にレジスト膜、遮光膜を除去することで、マスクブランクス用ガラス基板上にハーフトーン膜パターンが形成されたハーフトーン型位相シフトマスクを得る。
また、反射型の転写マスクである反射型マスクにおいては、マスクブランクス用ガラス基板上に光反射多層膜、光吸収体膜、レジスト膜が形成された反射型マスクブランクスの前記レジスト膜に描画・現像処理等を経て所望のレジストパターンを形成した後、このレジストパターンをマスクにして光吸収体膜をエッチング除去し、最後にレジスト膜を除去することで、光反射多層膜上に光吸収体膜パターンが形成された反射型マスクを得る。
次に、本発明にかかる半導体装置の製造方法の一実施形態について説明する。
この半導体製造装置の製造方法は、上記転写マスクの製造方法によって得られた転写マスクを使用し、リソグラフィー法により転写マスクに形成されている薄膜パターンを半導体基板上にパターン転写する。半導体基板上には回路パターンとなる導電膜とレジスト膜とを有しており、転写マスクを1/4や1/5倍程度に縮小露光することで、所望の回路パターンをレジスト膜に転写し、レジスト膜をマスクにして導電膜をパターニングすることで、半導体基板上に所望の回路パターンが形成された半導体装置を得る。
以下、EUVマスクブランクス用ガラス基板(以下、ガラス基板と称す。)の製造方法、及びEUV反射型マスクブランクスの製造方法を例として本発明の実施例を説明するが、本発明が以下の実施例に限定されないことは言うまでもない。
上述の研磨装置を用い、酸化セリウム砥粒やコロイダルシリカ砥粒により段階的に研磨されたガラス基板(大きさが152.4mm×152.4mm、厚さが6.35mm)を準備した。
ガラス基板表面の形状測定結果をコンピュータに保存するとともに、EUVマスクブランクス用ガラス基板に必要な平坦度の基準値0.05μm(凸形状)と比較し、その差分(必要除去量)をコンピュータで計算した。
局所プラズマエッチングのエッチングガスは、四弗化メタン、プラズマ発生筐体は、円筒型電極を有する高周波式のものとした。
また、ガラス基板表面をSEM(全反射蛍光X線表面分析)により表面観察したところ、プラズマエッチング処理によって発生したと思われる加工片や、プラズマエッチングで使用したガスの残留物が付着していることが確認できた。
硫酸処理の条件:濃硫酸(98%)、濃度0.5vol%、温度40℃、処理時間5〜20min
硫酸処理の方法:硫酸溶液中にガラス基板を浸漬して、超音波を印加
つぎに、ガラス基板表面の表面粗さの低減と、加工変質層の除去を目的として、フロートポリシング法による非接触研磨を行った。フロートポリシングにおける研磨条件は以下の通りとした。
微細粉末粒子:シリカ(SiO2)、平均粒径:約70nm
回転台回転数:5〜200rpm
ワークホルダ回転数:10〜300rpm
研磨時間:5〜30min
得られたガラス基板の平坦度、表面粗さを測定したところ、平坦度は0.05μmと変化は無く良好で、表面粗さはRqで0.09nmであり、ガラス基板表面の荒れの状態を改善することができた。
また、TEM観察により、ガラス基板表面の加工変質層を確認したところ、無くなっていることが確認できた。
以上により、EUVマスクブランクス用ガラス基板の要求を満足するガラス基板が得られた。
硫酸処理の代わりにケイフッ酸処理を施し、フロートポリッシングによる非接触研磨の代わりに片面研磨を行った以外は、実施例1と同様の条件でガラス基板を作製した。ケイフッ酸処理は以下の条件で行った。
酸処理の条件:ケイフッ酸(40%)、濃度0.3vol%、温度50℃、処理時間1〜5min
酸処理の方法:ケイフッ酸溶液中にガラス基板を浸漬して、超音波を印加
加工液:アルカリ水溶液(NaOH)+微細粉末粒子(濃度:2wt%)、pH:11
微細粉末粒子:コロイダルシリカ、平均粒径約70nm
研磨定盤回転数:1〜50rpm
ポリッシングプレート回転数:1〜50rpm
加工圧力:0.1〜10kPa
研磨時間:1〜10min
得られたガラス基板の平坦度、表面粗さを測定したところ、平坦度は0.05μmと変化は無く良好で、表面粗さはRqで0.15nmであり、ガラス基板の表面荒れを改善することができた。
以上により、EUVマスクブランクス用ガラス基板の要求を満足するガラス基板が得られた。
実施例1において硫酸処理後(非接触研磨前)に、実施例2においてケイフッ酸処理後(片面研磨前)に、アルカリ処理を行った以外は、実施例1、2と同様の条件でガラス基板を作製した。アルカリ処理は、以下の条件で行った。
アルカリ処理の条件:アルカリ水溶液(NaOH)、濃度2vol%、温度50℃、処理時間10〜30min
アルカリ処理の方法:アルカリ水溶液中にガラス基板を浸漬して、超音波を印加
また、アルカリ処理することにより、ガラス基板表層や内部に潜在的に存在している欠陥は拡大されるが、ガラス基板表面の表面欠陥を、特開平11−242001号公報の欠陥検査装置により検査したところ、0.05μmを超える大きさの傷は発見されなかった。
以上により、EUVマスクブランクス用ガラス基板の要求を満足するガラス基板が得られた。
硫酸処理の代わりにアルカリ処理を施した以外は、実施例1と同様の条件でガラス基板を作製した。アルカリ処理は以下の条件で行った。
アルカリ処理の条件:水酸化ナトリウム、濃度5vol%、処理温度50℃、
処理時間10〜30min
得られたガラス基板の平坦度、平面粗さを測定したところ、平坦度は0.05μmと変化は無く良好で、表面粗さはRqで0.15nmであり、ガラス基板の表面荒れを改善することができた。
また、アルカリ処理することにより、ガラス基板表層や内部に潜在的に存在している欠陥は拡大されるが、ガラス基板表面の表面欠陥を、特開平11−242001号公報の欠陥検査装置により検査したところ、0.05μmを超える大きさの傷は発見されなかった。
以上により、EUVマスクブランクス用ガラス基板の要求を満足するガラス基板が得られた。
実施例2におけるケイフッ酸処理を行わなかったこと以外は、実施例2と同様の条件でガラス基板を作製した。
ただし、加工変質層を除去し、かつ、表面粗さを低減するために、片面研磨の条件は以下の条件とした。
微細粉末粒子:コロイダルシリカ、平均粒径:約70nm
研磨定盤回転数:1〜50rpm
ポリッシングプレート回転数:1〜50rpm
加工圧力:0.2〜20kPa
研磨時間:2〜20min
また、ガラス基板表面の表面欠陥を、上述の欠陥検査装置により検査したところ、0.05μmを超える大きさの傷が多数発見された。これは、局所プラズマエッチングなどにより発生した加工片などの異物が、片面研磨加工中にガラス基板表面に傷を与えたものと考えられる。
以上により、比較例では、EUVマスクブランクス用ガラス基板の要求を満足するガラス基板が得られなかった。
図3は、EUV反射型マスクブランクス及びEUV反射型マスクを示す断面図である。
上述の実施例1〜4及び比較例によって得られたガラス基板101上に、DCマグネトロンスパッタリング法により、Si膜(膜厚:4.2nm)とMo膜(膜厚:2.8nm)を一周期として、40周期積層した後、Si膜(膜厚:11nm)形成して多層反射膜102を形成した。つぎに、同様のDCマグネトロンスパッタリング法により、多層反射膜102上にバッファ層103として窒化クロム(CrN)膜(膜厚:30nm)、吸収体層104としてTaBN膜(膜厚:60nm)を形成してEUV反射型マスクブランクス100を得た。
まず、EUV反射型マスクブランクス100上に電子線照射用レジストを塗布し、電子線により描画して現像を行い、レジストパターンを形成した。
さらに、吸収体層パターン104a上に残ったレジストパターンを熱硫酸で除去した。その後、バッファ層103を塩素と酸素の混合ガスにより、吸収体層パターン104aに従ってドライエッチングし、パターン状のバッファ層103aとしてEUV反射型マスク100aを得た。
図4は、反射型マスクによるパターン転写方法を示す説明図である。
この図に示すパターン転写装置120は、レーザープラズマX線源121、EUV反射型マスク100a、縮小光学系122などから構成される。縮小光学系122は、X線反射ミラーを用いて構成され、EUV反射型マスク100aで反射されたパターンは1/4程度に縮小される。なお、露光波長として13〜14nmの波長帯を使用するので、光路が真空中になるように予め設定した。
つまり、EUV反射型マスク100aに入射した光は、吸収体層パターン104aのある部分では、吸収体層104に吸収されて反射されず、一方、吸収体層104のパターンのない部分に入射した光は、多層反射膜102により反射される。このようにして、EUV反射型マスク100aからの反射光で形成されるパターンが、縮小光学系122を介して、半導体基板110上のレジスト層に転写される。
100a EUV反射型マスク
101 ガラス基板
102 多層反射膜
103 バッファ層
104 吸収体層
Claims (10)
- マスクブランクス用ガラス基板表面の凹凸形状を測定する凹凸形状測定工程と、
前記凹凸形状測定工程で得られた測定結果にもとづいて、前記ガラス基板表面に存在する凸部位の凸度を特定するとともに、この凸度に応じた加工条件で前記凸部位に局所加工を施すことにより、前記ガラス基板表面の平坦度を所定の基準値以下に制御する平坦度制御工程と、
前記平坦度制御工程の後、前記局所加工が施された前記ガラス基板表面を研磨する研磨工程と、
を有するマスクブランクス用ガラス基板の製造方法において、
前記平坦度制御工程の後で、かつ、前記研磨工程の前に、前記局所加工が施された前記ガラス基板表面に、酸処理を施すことを特徴とするマスクブランクス用ガラス基板の製造方法。 - マスクブランクス用ガラス基板表面の凹凸形状を測定する凹凸形状測定工程と、
前記凹凸形状測定工程で得られた測定結果にもとづいて、前記ガラス基板表面に存在する凸部位の凸度を特定するとともに、この凸度に応じた加工条件で前記凸部位に局所加工を施すことにより、前記ガラス基板表面の平坦度を所定の基準値以下に制御する平坦度制御工程と、
前記平坦度制御工程の後、前記局所加工が施された前記ガラス基板表面を研磨する研磨工程と、
を有するマスクブランクス用ガラス基板の製造方法において、
前記平坦度制御工程の後で、かつ、前記研磨工程の前に、前記局所加工が施された前記ガラス基板表面に、アルカリ処理を施すことを特徴とするマスクブランクス用ガラス基板の製造方法。 - 前記局所加工が、プラズマエッチング又はガスクラスターイオンビームによって行われることを特徴とする請求項1又は2記載のマスクブランクス用ガラス基板の製造方法。
- 前記酸処理で使用する酸が、ケイフッ酸及び/又はフッ酸であることを特徴とする請求項1又は3記載のマスクブランクス用ガラス基板の製造方法。
- 前記酸処理で使用する酸が、硫酸であることを特徴とする請求項1又は3記載のマスクブランクス用ガラス基板の製造方法。
- 前記酸処理の後、酸処理が施された前記ガラス基板表面にアルカリ処理を施すことを特徴とする請求項1、3、4又は5のいずれかに記載のマスクブランクス用ガラス基板の製造方法。
- 前記基準値が、0.25μm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のマスクブランクス用ガラス基板の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載されるマスクブランクス用ガラス基板の製造方法によって得られたマスクブランクス用ガラス基板上に、被転写パターンとなる薄膜を形成することを特徴とするマスクブランクスの製造方法。
- 請求項8記載されるマスクブランクスの製造方法によって得られたマスクブランクスの薄膜をパターニングし、前記ガラス基板上に薄膜パターンを形成することを特徴とする転写マスクの製造方法。
- 請求項9に記載される転写マスクの製造方法によって得られた転写マスクを使用し、リソグラフィー法により転写マスクの前記薄膜パターンを半導体基板上にパターン転写することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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