JP2004308594A - 燃料噴射弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成でフィルタの脱落が防止され、加工工数の増大を招くことがない燃料噴射弁を提供する。
【解決手段】インジェクタ10は、筒状のボディ40を有する。ボディ40は内周側に燃料通路43を形成し、ボディ40の内壁には周方向に連続する溝45が形成されている。フィルタ90は、メッシュ部91と嵌合部92とを有する。嵌合部92の外径は燃料通路43を形成するボディ40の内径よりも大きい。フィルタ90をボディ40の内周側に挿入すると、嵌合部92は溝45にはまり込み、溝45と嵌合部92とはスナップフィットにより結合する。したがって、簡単な構造でボディ40からのフィルタ90の脱落を防止することができる。また、溝45と嵌合部92とを高精度に加工する必要がなく、ボディ40とフィルタ90との加工工数を低減することができる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料噴射弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料噴射弁は、燃料に含まれる異物を除去するフィルタを備えている。フィルタは、燃料通路を形成する筒状のボディの反噴孔側の端部に設置されている。このような燃料噴射弁のフィルタとして、例えばフィルタの端部にフランジを形成しているものが公知である。フィルタのフランジをボディの端部に係止することにより、フィルタはボディに固定され、フィルタがボディから脱落するのを防止している(特許文献1参照)。
【0003】
また、特許文献2に開示されている燃料噴射弁のように、フィルタをボディの内側に形成されている燃料通路などに挿入して固定するものも公知である。このような燃料噴射弁ではフィルタの一部に金属製のカラーを装着している。そして、フィルタボディの内側に圧入することにより、カラーの弾性力によってフィルタをボディの内側に固定している。
【0004】
【特許文献1】
実開平5−21162号公報
【特許文献2】
特開平8−246993号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示されている燃料噴射弁のフィルタは、フィルタの大径部分をボディに係止しているだけである。そのため、例えば燃料噴射弁とこの燃料噴射弁に燃料を供給する燃料供給管とを着脱するときのように、燃料噴射弁を傾けると、フィルタがボディから容易に脱落するという問題がある。
【0006】
また、特許文献2に示される燃料噴射弁はカラーが金属製であるため、圧入にともなうカラーの変形量は小さい。そのため、フィルタのカラーならびにボディに内径を高精度に加工する必要がある。その結果、加工工数の増大を招くという問題がある。
本発明の目的は、簡単な構成でフィルタの脱落が防止され、加工工数の増大を招くことがない燃料噴射弁を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明によると、ボディは第1かみ合い部を有している。フィルタは、第1かみ合い部とかみ合い可能な第2かみ合い部を有し、第2かみ合い部と第1かみ合い部とがかみ合うことによりボディに固定される。そのため、フィルタは第2かみ合い部を第1かみ合い部にかみ合わせるだけでボディに容易に固定される。また、フィルタは、第1かみ合い部と第2かみ合い部とをかみ合わせているので、ボディに適度な保持力で固定される。そのため、フィルタは、燃料の圧力が加わってもボディから脱落しない。したがって、簡単な構成でフィルタの脱落を防止することができる。さらに、フィルタは、第1かみ合い部と第2かみ合い部とをかみ合わせるだけでボディに固定されているので、第1かみ合い部と第2かみ合い部とを高精度に加工する必要がない。したがって、加工工数の増大を招くことがない。
【0008】
請求項2記載の発明によると、第1かみ合い部と第2かみ合い部とはスナップフィットを構成している。そのため、第1かみ合い部と第2かみ合い部とを容易に嵌合することができる。したがって、ボディとフィルタとの着脱を容易にすることができる。
【0009】
従来のように、燃料に含まれる異物の通過を防止するメッシュ、またはメッシュを支持するホルダを樹脂で形成する場合、金属製のカラーをメッシュまたはホルダにインサートし、メッシュ、ホルダおよびカラーを一体に成形している。しかしながら、カラーをメッシュまたはホルダにインサートして成形する場合、加工が煩雑となるとともに、加工工数の増大を招き、フィルタの製造コストが増加するという問題がある。そこで、請求項3記載の発明によると、第2かみ合い部を樹脂で形成している。そのため、メッシュ、またはメッシュを支持するホルダと第2かみ合い部とは一体に樹脂で形成することができる。樹脂で一体に成形することにより、金属製のカラーを用いる場合と比較して、加工工数および部品点数を低減することができる。
【0010】
請求項4記載の発明によると、第1かみ合い部はボディの内壁に形成される溝である。そのため、ボディの内壁に溝を形成するだけで、容易に第1かみ合い部を形成することができる。したがって、ボディならびにボディに形成される第1かみ合い部の構成を簡単にすることができる。
【0011】
請求項5記載の発明によると、第1かみ合い部はボディの端部から径方向外側に突出して形成される突出部である。そのため、ボディの端部から径方向外側に突出部を形成するだけで、容易に第1かみ合い部を形成することができる。したがって、ボディならびにボディに形成される第1かみ合い部の構成を簡単にすることができる。
【0012】
請求項6記載の発明によると、第1かみ合い部および第2かみ合い部はボディの周方向に連続して形成されている。第1かみ合い部と第2かみ合い部とをかみ合せると、第1かみ合い部と第2かみ合い部とは周方向に連続して当接する。そのため、フィルタとボディとの接触面積が増大し、シール性が向上する。したがって、フィルタとボディとの間からの燃料の漏れを防止することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明による複数の実施形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による燃料噴射弁(以下、燃料噴射弁を「インジェクタ」という。)10を図1に示す。
【0014】
インジェクタ10は、ハウジング20を有している。ハウジング20は、スプール30、ボディ40、可動コア50、ストッパ60を収容している。また、ハウジング20の端部には弁ホルダ80が取り付けられている。ハウジング20には、樹脂製のコネクタ21が装着されている。
【0015】
スプール30は、樹脂で形成され、ハウジング20とボディ40との間に装着されている。スプール30にはコイル31が巻回されており、コイル31はコネクタ21に埋設されているターミナル22と接続されている。ターミナル22を通じてコイル31に通電されると、磁性体であるハウジング20とボディ40と可動コア50とから磁気回路が形成される。そのため、コイル31に通電されると、ボディ40と可動コア50との間に磁気吸引力が発生し、可動コア50はボディ40側に移動する。
【0016】
ボディ40は筒状に形成され、内周側に燃料通路43を形成している。燃料通路43の一方の端部は燃料供給口41を形成している。燃料通路43の燃料供給口41側には、フィルタ90が取り付けられている。ボディ40の内壁にはアジャスティングパイプ44が圧入されている。アジャスティングパイプ44の内周側は燃料通路43aを形成している。燃料通路43にはスプリング42が収容されている。スプリング42は、一方の端部がアジャスティングパイプ44の端部に当接し、他方の端部が可動コア50の端部に当接している。スプリング42は可動コア50をアジャスティングパイプ44と反対方向へ付勢している。そのため、アジャスティングパイプ44の圧入量を調整することにより、スプリング42の付勢力は調整される。燃料供給口41側のボディ40の外周にはコネクタ47が装着されている。コネクタ47にはOリング48が取り付けられている。コネクタ47は、インジェクタ10へ燃料を供給する図示しない燃料供給管に取り付けられている。Oリング48は、インジェクタ10と燃料供給管との間をシールし、燃料の漏れを防止する。燃料供給口41から供給された燃料は、フィルタ90を通過して燃料通路43、43aに流入する。フィルタ90は、燃料に含まれる異物を除去する。
【0017】
可動コア50は、ボディ40の反燃料供給口41側のハウジング20内に軸方向へ往復移動可能に収容されている。可動コア50は貫通孔51と凹部52とを有している。貫通孔51は可動コア50のボディ40側と凹部52とを連通している。凹部52には後述するニードル70の第1フランジ部71が圧入されている。燃料通路43aを通過した燃料は、貫通孔51および凹部52に流入し、弁ホルダ80内に流入する。ストッパ60は可動コア50の凹部52側のハウジング20に固定されている。
【0018】
ニードル70は弁ホルダ80の内部に軸方向へ往復移動可能に収容されている。ニードル70は、第1フランジ部71、第2フランジ部72、摺動部73および当接部74を有している。第1フランジ部71は可動コア50の凹部52と溶接されて固定されている。これにより、ニードル70は可動コア50とともに軸方向へ往復移動する。第2フランジ部72はストッパ60と当接可能である。第2フランジ部72がストッパ60に当接することにより、ニードル70の図1の上方への移動は制限される。これにより、ニードル70のリフト量が規定される。摺動部73は弁ホルダ80の内周面と摺動可能である。摺動部73と弁ホルダ80とが摺動することにより、ニードル70の軸方向への移動は案内される。当接部74は弁ホルダ80の弁座82に当接可能である。
【0019】
弁ホルダ80は、ハウジング20とねじ結合されるリテーニングナット81に保持されてハウジング20に取り付けられている。弁ホルダ80には弁座82および噴孔83が形成されている。弁座82は弁ホルダ80先端部内周面に形成されている。噴孔83は弁ホルダ80の先端部を貫通している。ニードル70の当接部74が弁座82に当接すると、弁ホルダ80内に流入している燃料は噴孔83から噴射されない。
【0020】
コイル31への通電が停止されているとき、ハウジング20、ボディ40および可動コア50には磁気回路が形成されない。そのため、ボディ40と可動コア50との間には磁気吸引力が発生しない。スプリング42は可動コア50を噴孔83方向へ付勢しているため、可動コア50と一体のニードル70は図1の下方へ移動する。その結果、ニードル70の当接部74は弁ホルダ80の弁座82に着座する。したがって、噴孔83からの燃料の噴射は遮断されている。
【0021】
コイル31へ通電されると、ハウジング20、ボディ40および可動コア50には磁気回路が形成される。そのため、ボディ40と可動コア50との間には磁気吸引力が発生する。ボディ40と可動コア50との間に発生する磁気吸引力がスプリング42の付勢力よりも大きくなると、可動コア50はボディ40側へ移動し、可動コア50と一体のニードル70は図1の上方へリフトする。その結果、ニードル70の当接部74は弁ホルダ80の弁座82から離座する。したがって、噴孔83からは燃料が噴射される。
【0022】
コイル31への通電が停止されると、ハウジング20、ボディ40および可動コア50に形成されている磁気回路は消滅する。そのため、ボディ40と可動コア50との間の磁気吸引力も消滅する。これにより、可動コア50およびニードル70はスプリング42の付勢力によって図1の下方へ移動する。その結果、ニードル70の当接部は再び弁ホルダ80の弁座82に着座する。したがって、噴孔83からの燃料の噴射は終了する。
【0023】
次に、フィルタ90について説明する。
図2に示すように、フィルタ90はボディ40の燃料供給口41側の端部に取り付けられている。燃料供給口41側のボディ40の内壁には周方向に連続して第1かみ合い部としての溝45が形成されている。溝45におけるボディ40の内径は、他の部分におけるボディ40の内径よりも大きくなっている。すなわち、溝45は径方向外側へ窪んで形成されている。
【0024】
フィルタ90はメッシュ部91と第2かみ合い部としての嵌合部92とを有している。メッシュ部91は金属からなり、嵌合部92は樹脂からなる。メッシュ部91をインサートして嵌合部92を成形することにより、メッシュ部91と嵌合部92とからなるフィルタ90は一体に成形されている。嵌合部92はメッシュ部91の燃料供給口41側に周方向に連続して形成されている。嵌合部92はメッシュ部91より径方向外側にふくらんで形成されている。すなわち、嵌合部92はメッシュ部91よりも外径が大きく設定されている。
【0025】
また、嵌合部92の外径は燃料通路43を形成するボディ40の内径よりも大きい。そのため、フィルタ90をボディ40に取り付ける場合、メッシュ部91をボディ40の内周側に挿入すると、ボディ40の内壁と当接する嵌合部92は径方向内側へ縮小される。径方向内側へ縮小された嵌合部92は、弾性力により径方向外側へ拡大する力を有している。これにより、嵌合部92が溝45と対向する位置まで移動すると、弾性力により嵌合部92は径方向外側へ拡大し、嵌合部92は溝45にはまり込む。
【0026】
嵌合部92が溝45にはまり込むと、嵌合部92はボディ40の内周側において軸方向の移動が制限される。そのため、フィルタ90はボディ40の内周側に保持される。すなわち、嵌合部92が溝45にはまり込むことにより、フィルタ90とボディ40とはスナップフィットにより結合される。
【0027】
図示しない燃料供給管から供給された燃料は、燃料供給口41からインジェクタ10へ流入する。燃料供給口41から供給された燃料は、フィルタ90を経由して燃料通路43へ流入する。フィルタ90を通過することにより、燃料に含まれる異物は捕集され、除去される。
【0028】
上述のように嵌合部92はボディ40の溝45にはまり込んでいる。そのため、嵌合部92はボディ40の内壁に形成されている角部45a、45bと当接する。嵌合部92および溝45は周方向へ連続して形成されているため、嵌合部92は角部45a、45bと周方向へ連続して当接する。これにより、フィルタ90のメッシュ91を通過することなく、フィルタ90の外側とボディ40の内側との間に形成される燃料の流れは、嵌合部92と角部45a、45bとの当接によってシールされる。すなわち、燃料供給口41から流入し、嵌合部92の外壁に沿って流れる燃料は、角部45aおよび角部45bによって流れが遮断される。そのため、フィルタ90のメッシュ91を通過していない燃料が燃料通路43へ流入することは防止される。これにより、燃料が異物を含んだまま弁座82の近傍へ流入することは防止される。
一方、燃料通路43からメッシュ91および嵌合部92の外壁に沿って流れる燃料も、角部45bおよび角部45aによって流れが遮断される。そのため、燃料通路43からインジェクタ10の外部への燃料の漏出は防止される。
【0029】
本発明の第1実施形態によると、ボディ40の内壁に形成している溝45とフィルタ90の嵌合部92とはスナップフィットにより嵌合している。そのため、フィルタ90はボディ40に適度な保持力で容易に固定される。したがって、簡単な構造でボディ40からのフィルタ90の脱落を防止することができる。また、ボディ40とフィルタ90とをスナップフィットにより結合することにより、例えばフィルタ90をボディ40に圧入する場合のように溝45および嵌合部92を高精度に加工する必要がない。したがって、ボディ40およびフィルタ90の加工工数を低減することができる。
【0030】
また、本発明の第1実施形態によると、フィルタ90の嵌合部92はボディ40の内壁に形成されている角部45a、45bと周方向へ連続して当接している。そのため、フィルタ90とボディ40との間は確実にシールされる。したがって、フィルタ90とボディ40との間からの燃料の漏れを防止することができる。
【0031】
なお、本発明の第1実施形態では、金属製のメッシュ91をインサートして樹脂製の嵌合部92を成形することにより、フィルタ90のメッシュ91と嵌合部92とを一体に成形する例について説明した。しかし、例えば金属製の嵌合部と金属製のメッシュ91とから一体のフィルタを成形してもよく、樹脂製のメッシュと樹脂製の嵌合部とから一体のフィルタを成形してもよい。
【0032】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態によるインジェクタ11を図3に示す。なお、第1実施形態と実質的同一箇所には同一符号を付す。
図3に示すように、フィルタ100は燃料供給口41側のボディ40に取り付けられている。ボディ40の燃料供給口41側の端部には径方向外側に突出する第1かみ合い部としての突出部46が形成されている。これにより、突出部46におけるボディ40の外径は、Oリング48が装着されている部位におけるボディ40の外径よりも大きくなっている。また、突出部46は、ボディ40の周方向へ連続して形成されている。
【0033】
フィルタ100はメッシュ部101と第2かみ合い部としての嵌合部102とを有している。メッシュ部101は金属からなり、嵌合部102は樹脂からなる。メッシュ部101をインサートして嵌合部102を成形することにより、メッシュ部101と嵌合部102とからなるフィルタ100は一体に成形されている。嵌合部102はメッシュ部101の燃料供給口41側に周方向に連続して形成されている。嵌合部102は突出部46を覆う形状に形成されている。
【0034】
嵌合部102の噴孔83側の先端部102aの内径は突出部46の外径よりも小さく設定されている。そのため、フィルタ100をボディ40に取り付ける場合、メッシュ部101をボディ40の内周側に挿入すると、突出部46と当接する嵌合部102の先端部102aは径方向外側へ拡大される。径方向外側へ拡大された嵌合部102の先端部102aは、弾性力により径方向内側へ縮小する力を有している。これにより、嵌合部102の先端部102aがボディ40の外壁に対向する位置まで移動すると、弾性力により嵌合部102は径方向内側へ縮小し、嵌合部102は突出部46にはまり込む。
【0035】
嵌合部102が突出部46にはまり込むと、フィルタ100は軸方向の移動が制限される。そのため、フィルタ100はボディ40の燃料供給口41側の端部に保持される。すなわち、嵌合部102が突出部46にはまり込むことにより、フィルタ100とボディ40とはスナップフィットにより結合される。
【0036】
図示しない燃料供給管から供給された燃料は、燃料供給口41からインジェクタ11へ流入する。燃料供給口41から供給された燃料は、フィルタ100を経由して燃料通路43へ流入する。フィルタ100を通過することにより、燃料に含まれる異物は捕集され、除去される。
【0037】
上述のように嵌合部102はボディ40の突出部46にはまり込んでいる。そのため、嵌合部102は突出部46と当接する。嵌合部102および突出部46は周方向へ連続して形成されているため、嵌合部102は突出部46と周方向へ連続して当接する。これにより、嵌合部102とボディ40との当接部分は迷路状に形成される。その結果、フィルタ100のメッシュ101を通過することなく、フィルタ100の外側とボディ40の内側との間に形成される燃料の流れは、嵌合部102と突出部46との当接によってシールされる。すなわち、図示しない燃料供給管から流入し、嵌合部102の外壁に沿って流れる燃料の流れは遮断される。そのため、フィルタ100のメッシュ101を通過していない燃料が燃料通路43へ流入することは防止される。これにより、燃料が異物を含んだまま弁座82の近傍へ流入することは防止される。
一方、燃料通路43からメッシュ101および嵌合部102の外壁に沿って流れる燃料の流れも遮断される。そのため、燃料通路43からインジェクタ10の外部への燃料の漏出は防止される。
【0038】
本発明の第2実施形態によると、ボディ40の内壁に形成している突出部46とフィルタ100の嵌合部102とはスナップフィットにより嵌合している。そのため、フィルタ100はボディ40に適度な保持力で容易に固定される。したがって、簡単な構造でボディ40からのフィルタ100の脱落を防止することができる。また、ボディ40とフィルタ100とをスナップフィットにより結合することにより、例えばフィルタ100をボディ40に圧入する場合のように突出部46および嵌合部102を高精度に加工する必要がない。したがって、ボディ40およびフィルタ100の加工工数を低減することができる。
【0039】
また、本発明の第2実施形態によると、フィルタ100の嵌合部102はボディ40の外壁に形成されている突出部46と周方向へ連続して当接している。そのため、フィルタ100とボディ40との間は確実にシールされる。したがって、フィルタ100とボディ40との間からの燃料の漏れを防止することができる。
【0040】
なお、本発明の第2実施形態では、金属製のメッシュ101をインサートして樹脂製の嵌合部102を成形することにより、フィルタ100のメッシュ101と嵌合部102とを一体に成形する例について説明した。しかし、例えば金属製の嵌合部と金属製のメッシュ101とから一体のフィルタを成形してもよく、樹脂製のメッシュと樹脂製の嵌合部とから一体のフィルタを成形してもよい。
【0041】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態によるインジェクタ12を図4に示す。なお、第1実施形態と実質的同一箇所には同一符号を付す。
図4に示すように、フィルタ120はボディ40の燃料供給口41側の端部に取り付けられている。燃料供給口41側のボディ40の内壁には周方向に連続して第1かみ合い部としての溝45が形成されている。溝45におけるボディ40の内径は、他の部分におけるボディ40の内径よりも大きくなっている。すなわち、溝45は径方向外側へ窪んで形成されている。
【0042】
フィルタ120はメッシュ部121とホルダ122と第2かみ合い部としての嵌合部123とを有している。メッシュ部121とホルダ122と嵌合部123とからなるフィルタ120は樹脂により一体に成形されている。嵌合部123はホルダ122の燃料供給口41側の外周に周方向に連続して形成されている。嵌合部123はホルダ122より径方向外側に突出して形成されている。すなわち、嵌合部123はホルダ122よりも外径が大きく設定されている。
【0043】
また、嵌合部123の外径は燃料通路43を形成するボディ40の内径よりも大きい。そのため、フィルタ100をボディ40に取り付ける場合、メッシュ部121をボディ40の内周側に挿入すると、ボディ40の内壁と当接する嵌合部123は径方向内側へ縮小される。径方向内側へ縮小された嵌合部123は、弾性力により径方向外側へ拡大する力を有している。これにより、嵌合部123と溝45とが対向する位置まで移動すると、弾性力により嵌合部123は径方向外側へ拡大し、嵌合部123は溝45にはまり込む。
【0044】
嵌合部123が溝45にはまり込むと、嵌合部123はボディ40の内周側において軸方向の移動が制限される。そのため、フィルタ120はボディ40の内周側に保持される。すなわち、嵌合部123が溝45にはまり込むことにより、フィルタ120とボディ40とはスナップフィットにより結合される。
【0045】
嵌合部123と溝45とは周方向へ連続して当接しているため、燃料の流れは嵌合部123の外壁と溝45が形成されているボディ40の内壁との間でシールされる。したがって、燃料供給口41からインジェクタ12へ流入した燃料、ならびに燃料通路43からインジェクタ12の外部へ流出する燃料は、嵌合部123および溝45によりシールされる。
【0046】
本発明の第3実施形態によると、ボディ40の内壁に形成している溝45とフィルタ120の嵌合部123とはスナップフィットにより嵌合している。そのため、フィルタ120はボディ40に適度な保持力で容易に固定される。したがって、簡単な構造でボディ40からのフィルタ120の脱落を防止することができる。また、ボディ40とフィルタ120とをスナップフィットにより結合することにより、例えばフィルタ120をボディ40に圧入する場合のように溝45および嵌合部123を高精度に加工する必要がない。したがって、ボディ40およびフィルタ120の加工工数を低減することができる。
【0047】
また、本発明の第3実施形態によると、フィルタ120の嵌合部123はボディ40の内壁に形成されている溝45と周方向へ連続して当接している。そのため、フィルタ120とボディ40との間は確実にシールされる。したがって、フィルタ120とボディ40との間からの燃料の漏れを防止することができる。
【0048】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態によるインジェクタ13を図5に示す。なお、第3実施形態と実質的同一箇所には同一符号を付す。
第4実施形態は、第3実施形態の変形である。第4実施形態では、図5に示すようにボディ40の溝45に嵌合するフィルタ120の嵌合部123は、複数の凹凸を有している。第4実施形態の場合、嵌合部123に形成されている複数の凹凸は、径方向外側へ凸となる山部123aおよび山部123bを有している。また、山部123aと山部123bとの間に谷部が形成されている。第4実施形態では、山部123aおよび山部123b、ならびに山部123a、123bの間に形成される谷部は、鋭角状に形成されている。さらに、山部123aおよび山部123bは、フィルタ120の周方向へ連続して形成されている。
【0049】
嵌合部123に山部123aおよび山部123bを形成することにより、嵌合部123と溝45を形成するボディ40の内壁とは周方向へ線状に接触する。そのため、嵌合部123の外壁とボディ40の内壁とが面接触する上述の第3実施例と比較して、第4実施形態ではボディ40に対するフィルタ120の装着が容易である。
【0050】
また、嵌合部120の山部123aおよび山部123bは鋭角状に形成されている。そのため、山部123aおよび山部123bをボディ40の内径よりも大きく形成しても、ボディ40の内周側への嵌合部120を挿入する際に山部123aおよび山部123bは容易に変形する。その結果、嵌合部120をボディ40の内周側へ容易に挿入可能である。このとき、外径の大きな山部123aおよび山部123bは、ボディ40の内周側において変形することにより、ボディ40の内壁と緊密に接触する。したがって、嵌合部120とボディ40とが面接触する場合と比較して、ボディ40とフィルタ120との間における燃料のシール性は向上する。
なお、第4実施例では、山部123aおよび山部123bをフィルタ12の周方向へ連続すなわち円環状に形成した。しかし、山部123aおよび山部123bをフィルタ120の軸方向へ螺旋状に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態によるフィルタを適用した燃料噴射弁の断面図である。
【図2】図1のII部分の拡大図である。
【図3】本発明の第2実施形態によるフィルタを適用した燃料噴射弁の断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態によるフィルタを適用した燃料噴射弁の一部の断面図である。
【図5】本発明の第4実施形態によるフィルタを適用した燃料噴射弁の一部の断面図である。
【符号の説明】
10、11、12、13 インジェクタ(燃料噴射弁)
40 弁ボディ(ボディ)
43、43a 燃料通路
45 溝(第1かみ合い部)
46 突出部(第1かみ合い部)
90、100、120、130 フィルタ
92、102、123、133 嵌合部(第2かみ合い部)

Claims (6)

  1. 第1かみ合い部を有し、内側に燃料通路を形成する筒状のボディと、
    前記第1かみ合い部とかみ合い可能な第2かみ合い部を有し、前記第2かみ合い部が前記第1かみ合い部とかみ合うことにより前記ボディに固定され、前記燃料通路へ流入する燃料に含まれる異物を除去するフィルタと、
    を備えることを特徴とする燃料噴射弁。
  2. 前記第1かみ合い部と前記第2かみ合い部とはスナップフィットを構成することを特徴とする請求項1記載の燃料噴射弁。
  3. 前記第2かみ合い部は樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の燃料噴射弁。
  4. 前記第1かみ合い部は前記ボディの内壁に形成される溝であり、前記第2かみ合い部は前記溝に嵌合することを特徴とする請求項1、2または3記載の燃料噴射弁。
  5. 前記第1かみ合い部は前記ボディの端部から径方向外側に突出して形成される突出部であり、前記第2かみ合い部は前記突出部の外側に嵌合することを特徴とする請求項1、2または3記載の燃料噴射弁。
  6. 前記第1かみ合い部と前記第2かみ合い部とは前記ボディの周方向に連続して形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の燃料噴射弁。
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