JP2004308438A - エンジン吸気制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジンの吸気系に設けられるメインコレクタと、メインコレクタに開閉弁を介して接続され且つメインコレクタとの連通が遮断されるとエンジンの吸気系から独立するサブコレクタとを備えるエンジンの吸気制御装置であって、始動時のエンジン回転速度の吹き上がりやアイドリング時のエンストを防止しながら、コレクタ容量を制御する開閉弁のハリツキを防止するエンジンの吸気制御装置を提供する。
【解決手段】エンジンの吸気系に設けられるメインコレクタ2,3と、メインコレクタにコレクタ容量制御弁8a〜8dを介して接続され且つメインコレクタとの連通が遮断されるとエンジンの吸気系から独立するサブコレクタ6と、少なくともエンジン回転速度に応じて前記コレクタ容量制御弁を開位置と閉位置とに開閉制御する開閉制御手段31と、特定の運転状態で前記コレクタ容量制御弁を前記閉位置よりも閉側の全閉位置に制御する全閉制御手段31とを備えることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】エンジンの吸気系に設けられるメインコレクタ2,3と、メインコレクタにコレクタ容量制御弁8a〜8dを介して接続され且つメインコレクタとの連通が遮断されるとエンジンの吸気系から独立するサブコレクタ6と、少なくともエンジン回転速度に応じて前記コレクタ容量制御弁を開位置と閉位置とに開閉制御する開閉制御手段31と、特定の運転状態で前記コレクタ容量制御弁を前記閉位置よりも閉側の全閉位置に制御する全閉制御手段31とを備えることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの吸気制御装置、特に、エンジンの吸気系に設けられるメインコレクタと、メインコレクタにコレクタ容量制御弁を介して接続され且つメインコレクタとの連通が遮断されるとエンジンの吸気系から独立するサブコレクタとを備えるエンジンの吸気制御装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
低速域および高速域の双方で体積効率を高く得るために、コレクタ内に開閉弁を設けて吸気管長及び容積室容量を制御するエンジンの可変吸気装置が知られている。特許文献1にはV型エンジンに適用された可変吸気装置が示されており、エンジンが低中速域にあれば、コレクタ内の開閉弁が閉じた状態に制御され、吸気導入部から流入した吸気は、第1容積室から共鳴通路を通って第2容積室へ向かい、この第2容積室から各ブランチ部へ分配供給される。また、エンジンが高速域となると、コレクタ内の開閉弁が開いた状態に制御され、吸気導入部から流入した吸気は、吸気導入部を介することなく直接第1容積室から第2容積室へ入り、この第2容積室から各ブランチ部へ分配供給される。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−294171号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、エンジンの可変吸気装置に用いられる開閉弁は、一般に閉じた状態といいながらも、実際にはデポジット付着による開閉弁のハリツキを防止する必要があることから、開閉弁の弁体と通路壁との間に0.2〜0.5mm程度のクリアランスを設けている。特許文献1のようなタイプの可変吸気装置であれば、第1及び第2容積室には吸気導入部からの吸気が常に流入する構成であるため、こうした若干のクリアランスが存在してもそれほどエンジンの運転性に問題を生じさせない。
【0005】
しかしながら、エンジンの吸気系に設けられるメインコレクタと、メインコレクタに開閉弁を介して接続され且つメインコレクタとの連通が遮断されるとエンジンの吸気系から独立するサブコレクタとを備えるタイプの可変吸気装置の場合(特願2001−307122号参照)、メインコレクタとの連通が遮断されると、サブコレクタはエンジンの吸気系から独立した閉空間をなすように構成されるため、開閉弁の弁体と通路壁との間に僅かなクリアランスが存在するだけで、詳細は後述するが、エンジンの始動時にエンジン回転速度に吹き上がりを生じたり、アイドリング時に負荷突入(例えばエアコンON)があった場合にエンストを招く可能性が生じる。
【0006】
そこで、本発明では、エンジンの吸気系に設けられるメインコレクタと、メインコレクタに開閉弁を介して接続され且つメインコレクタとの連通が遮断されるとエンジンの吸気系から独立するサブコレクタとを備えるエンジンの吸気制御装置であって、始動時のエンジン回転速度の吹き上がりやアイドリング時のエンストを防止しながら、コレクタ容量を制御する開閉弁のハリツキを防止するエンジンの吸気制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エンジンの吸気系に設けられるメインコレクタと、メインコレクタにコレクタ容量制御弁を介して接続され且つメインコレクタとの連通が遮断されるとエンジンの吸気系から独立するサブコレクタと、少なくともエンジン回転速度に応じて前記コレクタ容量制御弁を開位置と閉位置とに開閉制御する開閉制御手段と、を備えるエンジンの吸気制御装置を前提としており、さらに、特定の運転状態で前記コレクタ容量制御弁を前記閉位置よりも閉側の全閉位置に制御する全閉制御手段を備える。また本発明では、サブコレクタはメインコレクタとの連通が遮断されるとエンジンの吸気系から独立した閉空間をなすように構成され、コレクタ容量制御弁はエンジン回転速度に応じて開位置と閉位置とに開閉してコレクタ容量を制御するが、特定の運転状態においてコレクタ容量制御弁は前記閉位置よりも閉側の全閉位置に制御される。
【0008】
【作用・効果】
本発明に係るエンジンの可変吸気装置によれば、特定の運転状態において、コレクタ容量制御弁を閉位置よりも閉側の全閉位置に制御するので、特定の運転状態において、サブコレクタとメインコレクタとの間で空気が通流することを防止でき、始動時にエンジン回転速度が吹き上がったり、アイドリング時にエンストが生じたりすることを防止できる。また、通常は、コレクタ容量制御弁は開位置と閉位置(全閉位置よりも開側)との間で開閉するので、デポジットが付着などしてコレクタ容量制御弁が開閉できなくなることを防止できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面等を参照して、本発明の実施の形態について、さらに詳しく説明する。
【0010】
図1は独立吸気コレクタを有するV型6気筒エンジンの概略平面図、図2は同エンジンの概略立面図である。ここで、両図では吸気コクレタ6の幅(図2における左右の幅と図1における上下の幅)が一致していないが、これは図1においては吸気コレクタ2、3との位置関係を明確にするためであり、同様に図1においては、吸気コクレタの内側は分岐通路4a〜4fがよくわかるように透視させて示している。
【0011】
本実施形態では、エンジンとして排気還流システム付きの直噴エンジンを例に挙げて説明する。またエンジンに連結している変速機はマニュアルトランスミッションである。このような場合に以下に説明するように本発明の効果を最もよく発揮することができる。
【0012】
エンジン本体1には図2にも示したように紙面を貫く方向に気筒列が並んでいる。このエンジン本体1に対して左右方向外側に少し離れて、気筒列に平行な箱形状に形成される2つの吸気コレクタ(この吸気コレクタを以下「メインコレクタ」という。)2、3が独立に配置され、所定の容量を有する独立の各メインコレクタ2、3からは分岐吸気通路が各気筒の吸気ポートへと延びている。すなわち、図2においてエンジン本体1の左側壁1aに一方の気筒群の吸気ポートが並んで開口し、この吸気ポートに分岐吸気通路4a、4b、4cの一端が接続され、他端はメインコレクタ2のエンジン本体1側の側壁2aに開口し、同様にして、エンジン本体1の右側壁1bに他方の気筒群の吸気ポートが並んで開口し、この吸気ポートに分岐吸気通路4d、4e、4fの一端が接続され、他端はメインコレクタ3のエンジン本体1側の側壁3aに開口する。
【0013】
この場合、一方の気筒群と他方の気筒群とはそれぞれの気筒群の各気筒の点火時期が連続せず、吸気弁の開時期がオーバーラップしない(したがって吸気干渉を生じない)関係にある。なお、図1において各気筒の分岐吸気通路4a、4b、4c、4d、4e、4fに装着されているのは燃料噴射弁21a、21b、21c、21d、21e、21fである。
【0014】
独立した2つのメインコレクタ2、3の上方には図2にも示したように別体でもう一つの吸気コレクタ(この吸気コレクタを以下「サブコレクタ」という。)6が設けられ、メインコレクタ2、3とサブコレクタ6(第3の吸気コレクタ)との間には両コレクタを連通させてコレクタ容量を拡大するための連通路7a、7b、7c、7dが設けられる。すなわち、メインコレクタ2の左端からメインコレクタ3の右端までをほぼ覆う幅を有する平板状のサブコレクタ6が、メインコレクタ2、3の上側に所定の間隔を置いて設けられ、メインコレクタ2、3の上壁2b、3bとサブコレクタ6の下壁6aとを上下方向に貫いて、2個ずつ合計4個の連通路7a〜7dが設けられいる。その4つの連通路7a〜7dには、軸9a、9b、9c、9dを中心に回動して各連通路7a〜7dを開閉するバタフライ型のコレクタ容量制御弁8a、8b、8c、8dが介装される。したがって、サブコレクタ6は、コレクタ容量制御弁8a〜8dによりメインコレクタ2、3との連通が遮断されると、エンジンの吸気系から独立するように構成される。
【0015】
このため、コレクタ容量制御弁8a〜8dがすべて閉位置にあるときには、独立吸気コレクタを有するエンジンとなり、一方のメインコレクタ2からは一方の気筒群の各吸気ポートへ空気が、他方のメインコレクタ3からは他方の気筒群の各吸気ポートへ空気が、それぞれ独立に供給される。これに対して、コレクタ容量制御弁8a〜8dがすべて全開状態になると、コレクタ容量は、2つのメインコレクタ2、3の容量にサブコレクタ6の容量をすべて合計した値へと拡大し、この大容量を有する1つのコクレタより各気筒の吸気ポートへと空気が分配供給される。
【0016】
各メインコレクタ2、3の前端部(図1で左端部)には、エンジンコントローラ31からの電気信号を受けてスロットルアクチュエータ15、16により駆動される吸気絞り弁13、14を介装したスロットルチャンバ11、12が気筒群毎に独立に接続される。
【0017】
各スロットルチャンバ11、12はそれぞれ連結部材(図示しない)を介して吸気導入管18に接続されている。気筒列(図1では左右方向)に直交する方向に長く形成された吸気導入管18にはその前壁に一本の吸気管19が接続され、この吸気管19の上流端部にエアクリーナ(図示しない)が接続され、エアクリーナの下流に吸入空気流量を計測するエアフローメータ32が介装されている。
【0018】
ここで、一方のメインコレクタ2から吸気導入管18までを結ぶ吸気通路と、他方のメインコレクタ3から吸気導入管18までを結ぶ吸気通路とは同一長さを有する。
【0019】
また、スロットルチャンバ11、12のすぐ下流で2つのメインコレクタ2、3を接続する連通路20が設けられている。これは、特に吸入吸気流量が少ないときに2つのメインコレクタ2、3間の圧力差をなくすためのものである。すなわち、吸気絞り弁13、14には開度バラツキを避けることができないので、この連通路20がないと、吸気絞り弁13、14の開度バラツキに応じた圧力差が低流量域で生じてしまうのであるが、連通路20によりこの圧力差をなくすことできる。
【0020】
クランク角センサ33のエンジン回転速度信号、アクセルセンサ34のアクセル開度(アクセルペダルの踏み込み量)信号、エアフローメータ32の吸入空気流量信号を入力したエンジンコントローラ31は、アクセル開度及びエンジン回転速度に応じた目標エンジントルクとなるように、吸気絞り弁13、14の開度と燃料噴射弁21a〜21fの燃料噴射量とを制御すると共に、コレクタ容量制御弁8a〜8dを用いて吸気制御を行う。
【0021】
図3は連通路付近の拡大図であり、図3(A)は側面図、図3(B)は底面図である。なおここでは連通路7aを例示して説明するが、他の連通路7b〜7dも同様である。
【0022】
コレクタ容量制御弁8aの弁本体は、軸9aを中心に回動して連通路7aを開閉するバタフライ型の弁であり、バネ(不図示)、メインアクチュエータ(不図示)及びサブアクチュエータ(不図示)によって、閉位置(図3の▲1▼の位置)、全閉位置(図3の▲2▼の位置)、全開位置(図3の▲3▼の位置)に、その位置(開度)が調整される。
【0023】
連通路7aの内周面であって軸9aよりも左側の半円部分には、軸9aよりもメインコレクタ側に凸部101aが形成されている。また、この凸部101aにはサブコレクタ側に樹脂ストッパ102aが設けられている。また、連通路7aの内周面であって軸9aよりも右側の半円部分には、軸9aよりもサブコレクタ側に凸部103aが形成され、その凸部103aにはメインコレクタ側に樹脂ストッパ104aが設けられている。
【0024】
コレクタ容量制御弁8aの貼り付きを防止するために、通常の閉位置(図3の▲1▼の位置)では、連通路7aとの間に0.2〜0.5mmのバルブクリアランスが確保されており、所定の条件のときに、このバルブクリアランスを無くすために全閉位置に制御する。
【0025】
なお、本明細書では、閉位置(図3の▲1▼の位置であって、微少クリアランスが存在する)との差異を明確にするために、コレクタ容量制御弁8aが樹脂ストッパ102a、104aに突き当たってクリアランスがゼロになっている状態(ゼロクリアランスの状態;図3の▲2▼の位置)を全閉位置と呼んでいる。
【0026】
コレクタ容量制御弁8aが全閉位置に調整されると、コレクタ容量制御弁8aの外周部分が樹脂ストッパ102a、104aに当接し、メインコレクタ〜サブコレクタ間の通流を遮断する。
【0027】
図4はコレクタ容量制御弁の開度(位置)と、メインアクチュエータ及びサブアクチュエータの作動との関係を示す表である。
【0028】
メインアクチュエータ及びサブアクチュエータが不作動であれば(いずれもOFFの状態)、コレクタ容量制御弁はバネの力によって閉の状態(図3の▲1▼の位置)に位置する。
【0029】
コレクタ容量制御弁を全閉位置(図3の▲2▼の位置)まで回動させるときはサブアクチュエータを作動(ON状態)させる。なおメインアクチュエータは不作動(OFF状態)である。
【0030】
コレクタ容量制御弁を全開位置(図3の▲3▼の位置)まで回動させるときはメインアクチュエータを作動(ON状態)させる。なおサブアクチュエータは不作動(OFF状態)である。
【0031】
図5はコレクタ容量制御弁の基本的な制御領域を示す図である。
【0032】
エンジンが高回転高負荷のときにはコレクタ容量制御弁を「全開」にして高出力を得る。それ以外のときは「閉」にして吸気動的効果(共鳴効果)により出力向上を図る。
【0033】
そして、エンジン始動時、アイドリング時等、特定の運転状態の場合にはコレクタ容量制御弁を「全閉」にして、吸気応答時間を短縮し、これによって、エンジン回転が上昇し過ぎて吹け上がったり、エンストを生じたりすることを防止する。
【0034】
図6はバルブクリアランスに対する吸気応答時間を示すグラフである。
【0035】
閉位置(図3の▲1▼の位置)では機能要求(バルブ貼り付き防止)の点から上述の通り0.2〜0.5mmのバルブクリアランスが設けられている。図6よりバルブクリアランスが大きくなると吸気応答時間が長くなることがわかる。バルブクリアランスが0.5mmあれば、吸気応答時間は全開状態の場合とほとんど変わらない。また、例えばバルブクリアランスが0.2mmであるのか0.3mmであるのかでも吸気応答時間の差が大きい。このようにバルブクリアランスに対する感度が大きいことがわかる。
【0036】
なお、吸気応答時間とは、吸気絞り弁を全閉位置から全開位置へとステップ変化させたときにコクレタ下流の吸入圧力(負圧)が初期値から最終値の63.2%になるまでに要する時間(時定数)である。したがって、コレクタ容量が大きければ大きいほど、コレクタ内に存在する空気量が多くなるので吸気応答時間は長くなる。したがって、コレクタ容量制御弁を閉じてメインコレクタをサブコレクタから切り離せば、容量が小さくなるので吸気応答時間が短くなり、コレクタ容量制御弁がわずかでも開いていれば、コレクタ容量がメインコレクタとサブコレクタとを合わせた容量に拡大されるので、吸気応答時間が長くなる。
【0037】
本実施形態では、特定の運転状態の場合に吸気応答時間を短縮するために、コレクタ容量制御弁を全閉位置に制御しようとするものである。
【0038】
図7は、エンジン吸気制御装置の動作を説明するフローチャートである。
【0039】
まず、吸入空気量、エンジンの回転速度、アクセル開度を検出する(ステップS1)。
【0040】
そして、エンジンの運転状態が、始動時(ステップS2)、アイドリング時(ステップS3)、急減速時(ステップS4)、燃焼切替時(ステップS5)、クラッチ解放時(ステップS6)のときは、コレクタ容量制御弁を全閉位置にする(ステップS7)。
【0041】
このようなときにコレクタ容量制御弁を全閉位置にする理由については後述する。
【0042】
エンジンの運転状態が、始動時(ステップS2)、アイドリング時(ステップS3)、急減速時(ステップS4)、燃焼切替時(ステップS5)、クラッチ解放時(ステップS6)のいずれの状態でもないときは、ステップS8以降に進む。
【0043】
エンジンが高回転速度であって(ステップS8においてY)、かつ高負荷であるときは(ステップS9においてY)、コレクタ容量制御弁を全開位置にして(ステップS10)、高出力を得る。
【0044】
エンジンが高回転速度高負荷でないときは(ステップS8又はステップS9においてN)、コレクタ容量制御弁を閉位置にして(ステップS11)、吸気動的効果(共鳴効果)による出力向上を図る。
【0045】
図8はエンジン始動時の効果を説明する図である。なお、本実施形態の制御を行う場合を実線で示し、制御を行わない場合を破線で示す。
【0046】
図7のフローチャートに示したように、本実施形態では始動判定フラグONを検出したら(ステップS2)、コレクタ容量制御弁を全閉位置にする(ステップS7)。このようにすることで以下に示す効果を得ることができる。
【0047】
はじめに本制御を行わない場合、すなわちエンジン始動時にコレクタ容量制御弁を調整することなく閉位置のままにしておく場合(図8(C)の破線)について説明する。メインコレクタの吸入負圧は、エンジン始動前は大気圧であるが、エンジンを始動すると急低下する(すなわちメインコレクタ内の気圧が低下する)。しかし、その後、コレクタ容量制御弁の隙間(0.2〜0.5mmのバルブクリアランス)から、サブコレクタの空気がメインコレクタに流れ込むので、メインコレクタの吸入負圧が上昇する(すなわち、メインコレクタ内の気圧が大気圧に向けて大きくなる;図8(D)の破線)。するとエンジンに吸い込まれる空気量が増えるので、エンジン回転速度が上昇する(図8(A)の破線)。
【0048】
しかし、本実施形態では、始動判定フラグONを検出したら(図8(B))、コレクタ容量制御弁を全閉位置にしてバルブクリアランスを無くすので(図8(C)の実線)、メインコレクタの吸入負圧が急下降した後の上昇量が少なくなり(図8(D)の実線)、エンジン回転速度が過剰に上昇することを防止することができ、吹け上がりを抑制することができる(図8(A)の実線)。
【0049】
図9はアイドリング時の効果を説明する図である。なお、本実施形態の制御を行う場合を実線で示し、制御を行わない場合を破線で示す。
【0050】
図7のフローチャートに示したように、本実施形態ではアイドル判定フラグONを検出したら(ステップS3)、コレクタ容量制御弁を全閉位置にする(ステップS7)。このようにすることで以下に示す効果を得ることができる。
【0051】
アイドリング時に(図9(A)のエンジン回転速度がアイドル回転であり、図9(C)のアイドル判定フラグがONの状態)、負荷突入(エアコンやパワステアリング(P/S)等がON)があると(図9(B))、エンジンの回転速度が低下する(図9(A))。するとアイドル回転を維持しようとして補助空気を増やそうとするのであるが、このとき本制御を行わなわず、すなわちコレクタ容量制御弁を調整することなく閉位置のままにしておくと(図9(D)の破線)、上述の通りバルブクリアランスが存在するので、そのバルブクリアランスから空気がサブコレクタに吸われてしまい、増やした補助空気を応答よくシリンダヘッドに流入させることができない。そのため必要な空気を吸入できないことからエンジン回転速度が低下し、エンストに至る可能性がある(図9(A)の破線)。
【0052】
一方、本制御を行ってコレクタ容量制御弁を全閉位置に調整すれば(図9(D)の実線)、吸気応答性がいいので、エンジンの必要とする空気量を吸入することができ、エンジン回転速度がアイドル回転に戻りエンストに至らない(図9(A)の実線)。
【0053】
図10は減速時の効果を説明する図である。なお、本実施形態の制御を行う場合を実線で示し、制御を行わない場合を破線で示す。
【0054】
排気還流システム付きエンジンの場合は、図7のフローチャートに示したように、減速判定フラグONを検出したら(ステップS4)、コレクタ容量制御弁を全閉位置にする(ステップS7)。このようにすることで以下に示す効果を得ることができる。
【0055】
エンジンの回転速度が減速し(図10(A))、減速判定フラグがONの状態では(図10(B))、吸気絞り弁が閉じ、メインコレクタの負圧が発達する。
【0056】
このとき本制御を行わなわず、すなわちコレクタ容量制御弁を調整することなく閉位置のままにしておくと(図10(C)の破線)、上述の通りバルブクリアランスが存在するので、サブコレクタの空気がメインコレクタに吸われてしまう。サブコレクタに残留しているEGRガスもメインコレクタに流れるのでEGRガス濃度の低下に時間がかかる(図10(D)の破線)。そして、EGRガス濃度が、燃焼安定性限界EGR率を下回らないうちに例えばアイドル状態になるなどして燃焼を開始すると、エンストに陥る可能性がある(図10(A)の破線)。
【0057】
一方、本制御を行ってコレクタ容量制御弁を全閉位置に調整すれば(図10()の実線)、サブコレクタの空気(EGRガス)がメインコレクタに流れることを防止することができ、EGRガス濃度の低下に要する時間を短縮できる(図10(D)の実線)。したがって、制御を行わない場合に比べて、より短時間で再燃焼可能な状態にでき、エンストを生じない状態になる(図10(A)の実線)。
【0058】
図11は燃焼切替時の効果を説明する図である。なお、本実施形態の制御を行う場合を実線で示し、制御を行わない場合を破線で示す。
【0059】
直噴エンジンの場合は、図7のフローチャートに示したように、燃焼切替判定フラグONを検出したら(ステップS5)、コレクタ容量制御弁を全閉位置にする(ステップS7)。このようにすることで以下に示す効果を得ることができる。
【0060】
はじめに、直噴エンジンに本制御を行わないとき、すなわち燃焼切替があってもコレクタ容量制御弁を調整することなく閉位置のままにしておく場合について説明する。要求負荷が上がると(図11(B))、エンジン回転速度を一定に維持したまま目標空燃比をリーン空燃比から理論空燃比へと変更する(図11(E))。
【0061】
このとき、コレクタ容量制御弁を調整することなく閉位置のままにしておくと(図11(D)の破線)、コレクタ容量制御弁の隙間(0.2〜0.5mmのバルブクリアランス)からサブコレクタの空気がメインコレクタに流れ込むので、目標空燃比を変更しても理論空燃比になるまでに時間がかかり(図11(E)の破線)、目標通りにトルクを発生することができないことから、エンストに陥る可能性がある(図11(A)の破線)。
【0062】
しかし、本実施形態では、燃焼切替判定フラグONを検出したら(図11(C))、コレクタ容量制御弁を全閉位置にしてバルブクリアランスを無くすことで(図11(D)の実線)、サブコレクタの空気がメインコレクタに流れ込むことを防止する。したがって、コレクタの容量が小さいのでコレクタ内の空気量も少なく、目標空燃比を変更するときも理論空燃比になるまでの時間が短時間ですみ(図11(E))、エンストを生じることなく燃焼切替可能である(図11(A)の実線)。
【0063】
図12はクラッチ解放時の効果を説明する図である。なお、本実施形態の制御を行う場合を実線で示し、制御を行わない場合を破線で示す。
【0064】
マニュアルトランスミッションの場合は、図7のフローチャートに示したように、クラッチ解放判定フラグONを検出したら(ステップS6)、コレクタ容量制御弁を全閉位置にする(ステップS7)。このようにすることで以下に示す効果を得ることができる。
【0065】
はじめに、マニュアルトランスミッションの場合に本制御を行わないとき、すなわち変速等でクラッチ解放があってもコレクタ容量制御弁を調整することなく閉位置のままにしておく場合について説明する。マニュアルトランスミッションの場合は変速時にクラッチを解放する。このとき負荷抜けによりエンジン回転速度が急上昇する(図12(A))。このときコレクタ容量制御弁を調整することなく閉位置のままにしておくと(図12(C)の破線)、コレクタ容量制御弁の隙間(0.2〜0.5mmのバルブクリアランス)からサブコレクタの空気がメインコレクタに流れこむので、クラッチを切った後に吸入する空気量が多いことからエンジンの回転上昇が大きくなり、また、その分エンジン回転が落ちるまでに時間がかかり(図12(A)の破線)、駆動輪側の回転速度と合いづらくなり、運転性が悪化する。
【0066】
しかし、本実施形態では、クラッチ解放判定フラグONを検出したら(図12(B))、コレクタ容量制御弁を全閉位置にしてバルブクリアランスを無くすことで(図12(C)の実線)、サブコレクタの空気がメインコレクタに流れることを防止する。したがって、クラッチ解放時にコレクタからエンジンに流入する空気量が少なくなり、クラッチを切ったときのエンジン回転の過剰な上昇を防止することができ、エンジン回転が一旦上昇しても短時間で下降し(図12(A)の実線)、駆動輪側の回転速度とあわせやすくなり、運転性の悪化を防止することができる。
【0067】
図13はコレクタ容量制御弁の貼り付き防止処理のフローチャートである。
【0068】
イグニッションスイッチがOFFになったら(ステップS21でY)、コレクタ容量制御弁を開閉することで(ステップS22)、コレクタ容量制御弁が樹脂ストッパに貼り付いてしまうことを防止する。
【0069】
図14はコレクタ容量制御弁の故障判断処理のフローチャートである。
【0070】
イグニッションスイッチがOFFになったら(ステップS31)、コレクタ容量制御弁を全閉位置にする(ステップS32)。続いてコレクタ容量制御弁の実開度を検出し(ステップS33)、コレクタ容量制御弁が実際に全閉位置にあるか否かを判定する(ステップS34)。このとき全閉位置になければ、故障であると判断し、コレクタ容量制御弁故障フラグをONにセットする(ステップS35)。
【0071】
図15は始動処理のフローチャートである。
【0072】
イグニッションスイッチがONになったら(ステップS41でY)、コレクタ容量制御弁故障フラグがONであるか否かを判定し(ステップS42)、ONであればアイドル回転をアップすることで(ステップS43)、エンストを防止する。
【0073】
従来のエンジン吸気制御装置のバルブユニットでは、バルブユニットの貼り付きを防止するためにバルブ閉状態であっても0.2〜0.5mm程度のクリアランスを設けていた。しかし、このようなクリアランスが存在すると、吸気の応答時間が長くなるので、エンジン回転速度が低いときなど、エンジンの運転状態によってはエンスト等を生じる可能性があった。
【0074】
そこで本実施形態では、エンジン始動時、アイドリング時、また排気還流システム付きエンジンであれば急減速時、直噴エンジンであれば燃焼切替時、マニュアルトランスミッションであればクラッチ解放時に、メインコレクタとサブコレクタとを仕切るコレクタ容量制御弁を全閉位置にすることで、メインコレクタとサブコレクタとの空気の通流を防止した。このようにすることで、エンジン始動時にエンジンが吸入する空気量を制限することができ、エンジン回転速度が過剰に上昇することを防止することができ、吹け上がりを抑制することができる。また、アイドリング時の吸気応答性の悪化を防止することができ、万一、外部から何らかの負荷が入っても、エンジン回転速度は一時的に下降するだけでありエンストには至らない。さらに、排気還流システム付きエンジンにおいては、急減速時にEGRガス濃度の低下に要する時間を短縮でき、より短時間で再燃焼可能な状態にでき、エンストを生じない状態にすることができる。さらにまた、直噴エンジンにおいては燃焼切替時に当量比の変更を短時間で行うことができるので、エンストを生じることなく燃焼切替可能である。また、マニュアルトランスミッションで変速等のためにクラッチを切ったときに、エンジン回転が過剰に上昇することを防止できるので、エンジン回転が一旦上昇しても短時間で下降し、駆動輪側の回転速度とあわせやすくなり、運転性の悪化を防止することができる。
【0075】
また、イグニッションスイッチをOFFしたらコレクタ容量制御弁の開閉動作を行うようにしたので、コレクタ容量制御弁の貼り付きを防止する。
【0076】
さらに、コレクタ容量制御弁を全閉位置に調整して、実際に全閉位置まで移動したか否かを確認するようにし、万一、全閉位置まで移動していないときは故障と判断し、次回からイグニッションスイッチをONするときにアイドル回転速度を上げることとしたので、エンストを一層確実に防止することができる。
【0077】
以上説明した実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明と均等であることは明白である。
【0078】
例えば、上記実施形態では、V型6気筒エンジンの場合を例示して説明したが、直列エンジンに対しても同様に適用することができる。すなわち、V型エンジンであれば、上述の通り、気筒群ごとに独立したメインコレクタ2、3と、それとは別体のサブコレクタ6とを有する構成であり、直列エンジンであれば、ひとつのメインコレクタと、それとは別体のサブコレクタを有する構成であるので、メインコレクタの数で相違するが、いずれでもメインコレクタ及びサブコレクタを連通する連通路にコレクタ容量制御弁を有する構成は共通する。したがって、直列エンジンにおいても、このコレクタ容量制御弁を上記実施形態と同様に作動させればよい。
【0079】
また、上記実施形態では、イグニッションスイッチがOFFしたらコレクタ容量制御弁を開閉し(図13)、故障判定を行うようにしたが(図14)、制御時期はこのタイミングには限られない。例えば、イグニッションスイッチONしたら、コレクタ容量制御弁の開閉、故障判定を行ってもよい。すなわち、コレクタ容量制御弁の開閉によってエンジン運転に変動を生じないタイミングで制御すればよいのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】独立吸気コレクタを有するV型6気筒エンジンの概略平面図である。
【図2】独立吸気コレクタを有するV型6気筒エンジンの概略立面図である。
【図3】連通路の拡大図である。
【図4】コレクタ容量制御弁の開度(位置)とアクチュエータの作動との関係を示す表である。
【図5】コレクタ容量制御弁の基本的な制御領域を示す図である。
【図6】バルブクリアランスに対する吸気応答時間を示すグラフである。
【図7】エンジン吸気制御装置の動作を説明するフローチャートである。
【図8】エンジン始動時の効果を説明する図である。
【図9】アイドリング時の効果を説明する図である。
【図10】減速時の効果を説明する図である。
【図11】燃焼切替時の効果を説明する図である。
【図12】クラッチ解放時の効果を説明する図である。
【図13】コレクタ容量制御弁の貼り付き防止処理のフローチャートである。
【図14】コレクタ容量制御弁の故障判断処理のフローチャートである。
【図15】始動処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン本体
2、3 メインコレクタ
6 サブコレクタ
7a、7b、7c、7d 連通路
8a、8b、8c、8d コレクタ容量制御弁
9a、9b、9c、9d 軸
31 エンジンコントローラ
32 エアフローメータ
33 クランク角センサ
34 アクセルセンサ
101a、103a 凸部
102a、104a 樹脂ストッパ
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの吸気制御装置、特に、エンジンの吸気系に設けられるメインコレクタと、メインコレクタにコレクタ容量制御弁を介して接続され且つメインコレクタとの連通が遮断されるとエンジンの吸気系から独立するサブコレクタとを備えるエンジンの吸気制御装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
低速域および高速域の双方で体積効率を高く得るために、コレクタ内に開閉弁を設けて吸気管長及び容積室容量を制御するエンジンの可変吸気装置が知られている。特許文献1にはV型エンジンに適用された可変吸気装置が示されており、エンジンが低中速域にあれば、コレクタ内の開閉弁が閉じた状態に制御され、吸気導入部から流入した吸気は、第1容積室から共鳴通路を通って第2容積室へ向かい、この第2容積室から各ブランチ部へ分配供給される。また、エンジンが高速域となると、コレクタ内の開閉弁が開いた状態に制御され、吸気導入部から流入した吸気は、吸気導入部を介することなく直接第1容積室から第2容積室へ入り、この第2容積室から各ブランチ部へ分配供給される。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−294171号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、エンジンの可変吸気装置に用いられる開閉弁は、一般に閉じた状態といいながらも、実際にはデポジット付着による開閉弁のハリツキを防止する必要があることから、開閉弁の弁体と通路壁との間に0.2〜0.5mm程度のクリアランスを設けている。特許文献1のようなタイプの可変吸気装置であれば、第1及び第2容積室には吸気導入部からの吸気が常に流入する構成であるため、こうした若干のクリアランスが存在してもそれほどエンジンの運転性に問題を生じさせない。
【0005】
しかしながら、エンジンの吸気系に設けられるメインコレクタと、メインコレクタに開閉弁を介して接続され且つメインコレクタとの連通が遮断されるとエンジンの吸気系から独立するサブコレクタとを備えるタイプの可変吸気装置の場合(特願2001−307122号参照)、メインコレクタとの連通が遮断されると、サブコレクタはエンジンの吸気系から独立した閉空間をなすように構成されるため、開閉弁の弁体と通路壁との間に僅かなクリアランスが存在するだけで、詳細は後述するが、エンジンの始動時にエンジン回転速度に吹き上がりを生じたり、アイドリング時に負荷突入(例えばエアコンON)があった場合にエンストを招く可能性が生じる。
【0006】
そこで、本発明では、エンジンの吸気系に設けられるメインコレクタと、メインコレクタに開閉弁を介して接続され且つメインコレクタとの連通が遮断されるとエンジンの吸気系から独立するサブコレクタとを備えるエンジンの吸気制御装置であって、始動時のエンジン回転速度の吹き上がりやアイドリング時のエンストを防止しながら、コレクタ容量を制御する開閉弁のハリツキを防止するエンジンの吸気制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エンジンの吸気系に設けられるメインコレクタと、メインコレクタにコレクタ容量制御弁を介して接続され且つメインコレクタとの連通が遮断されるとエンジンの吸気系から独立するサブコレクタと、少なくともエンジン回転速度に応じて前記コレクタ容量制御弁を開位置と閉位置とに開閉制御する開閉制御手段と、を備えるエンジンの吸気制御装置を前提としており、さらに、特定の運転状態で前記コレクタ容量制御弁を前記閉位置よりも閉側の全閉位置に制御する全閉制御手段を備える。また本発明では、サブコレクタはメインコレクタとの連通が遮断されるとエンジンの吸気系から独立した閉空間をなすように構成され、コレクタ容量制御弁はエンジン回転速度に応じて開位置と閉位置とに開閉してコレクタ容量を制御するが、特定の運転状態においてコレクタ容量制御弁は前記閉位置よりも閉側の全閉位置に制御される。
【0008】
【作用・効果】
本発明に係るエンジンの可変吸気装置によれば、特定の運転状態において、コレクタ容量制御弁を閉位置よりも閉側の全閉位置に制御するので、特定の運転状態において、サブコレクタとメインコレクタとの間で空気が通流することを防止でき、始動時にエンジン回転速度が吹き上がったり、アイドリング時にエンストが生じたりすることを防止できる。また、通常は、コレクタ容量制御弁は開位置と閉位置(全閉位置よりも開側)との間で開閉するので、デポジットが付着などしてコレクタ容量制御弁が開閉できなくなることを防止できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面等を参照して、本発明の実施の形態について、さらに詳しく説明する。
【0010】
図1は独立吸気コレクタを有するV型6気筒エンジンの概略平面図、図2は同エンジンの概略立面図である。ここで、両図では吸気コクレタ6の幅(図2における左右の幅と図1における上下の幅)が一致していないが、これは図1においては吸気コレクタ2、3との位置関係を明確にするためであり、同様に図1においては、吸気コクレタの内側は分岐通路4a〜4fがよくわかるように透視させて示している。
【0011】
本実施形態では、エンジンとして排気還流システム付きの直噴エンジンを例に挙げて説明する。またエンジンに連結している変速機はマニュアルトランスミッションである。このような場合に以下に説明するように本発明の効果を最もよく発揮することができる。
【0012】
エンジン本体1には図2にも示したように紙面を貫く方向に気筒列が並んでいる。このエンジン本体1に対して左右方向外側に少し離れて、気筒列に平行な箱形状に形成される2つの吸気コレクタ(この吸気コレクタを以下「メインコレクタ」という。)2、3が独立に配置され、所定の容量を有する独立の各メインコレクタ2、3からは分岐吸気通路が各気筒の吸気ポートへと延びている。すなわち、図2においてエンジン本体1の左側壁1aに一方の気筒群の吸気ポートが並んで開口し、この吸気ポートに分岐吸気通路4a、4b、4cの一端が接続され、他端はメインコレクタ2のエンジン本体1側の側壁2aに開口し、同様にして、エンジン本体1の右側壁1bに他方の気筒群の吸気ポートが並んで開口し、この吸気ポートに分岐吸気通路4d、4e、4fの一端が接続され、他端はメインコレクタ3のエンジン本体1側の側壁3aに開口する。
【0013】
この場合、一方の気筒群と他方の気筒群とはそれぞれの気筒群の各気筒の点火時期が連続せず、吸気弁の開時期がオーバーラップしない(したがって吸気干渉を生じない)関係にある。なお、図1において各気筒の分岐吸気通路4a、4b、4c、4d、4e、4fに装着されているのは燃料噴射弁21a、21b、21c、21d、21e、21fである。
【0014】
独立した2つのメインコレクタ2、3の上方には図2にも示したように別体でもう一つの吸気コレクタ(この吸気コレクタを以下「サブコレクタ」という。)6が設けられ、メインコレクタ2、3とサブコレクタ6(第3の吸気コレクタ)との間には両コレクタを連通させてコレクタ容量を拡大するための連通路7a、7b、7c、7dが設けられる。すなわち、メインコレクタ2の左端からメインコレクタ3の右端までをほぼ覆う幅を有する平板状のサブコレクタ6が、メインコレクタ2、3の上側に所定の間隔を置いて設けられ、メインコレクタ2、3の上壁2b、3bとサブコレクタ6の下壁6aとを上下方向に貫いて、2個ずつ合計4個の連通路7a〜7dが設けられいる。その4つの連通路7a〜7dには、軸9a、9b、9c、9dを中心に回動して各連通路7a〜7dを開閉するバタフライ型のコレクタ容量制御弁8a、8b、8c、8dが介装される。したがって、サブコレクタ6は、コレクタ容量制御弁8a〜8dによりメインコレクタ2、3との連通が遮断されると、エンジンの吸気系から独立するように構成される。
【0015】
このため、コレクタ容量制御弁8a〜8dがすべて閉位置にあるときには、独立吸気コレクタを有するエンジンとなり、一方のメインコレクタ2からは一方の気筒群の各吸気ポートへ空気が、他方のメインコレクタ3からは他方の気筒群の各吸気ポートへ空気が、それぞれ独立に供給される。これに対して、コレクタ容量制御弁8a〜8dがすべて全開状態になると、コレクタ容量は、2つのメインコレクタ2、3の容量にサブコレクタ6の容量をすべて合計した値へと拡大し、この大容量を有する1つのコクレタより各気筒の吸気ポートへと空気が分配供給される。
【0016】
各メインコレクタ2、3の前端部(図1で左端部)には、エンジンコントローラ31からの電気信号を受けてスロットルアクチュエータ15、16により駆動される吸気絞り弁13、14を介装したスロットルチャンバ11、12が気筒群毎に独立に接続される。
【0017】
各スロットルチャンバ11、12はそれぞれ連結部材(図示しない)を介して吸気導入管18に接続されている。気筒列(図1では左右方向)に直交する方向に長く形成された吸気導入管18にはその前壁に一本の吸気管19が接続され、この吸気管19の上流端部にエアクリーナ(図示しない)が接続され、エアクリーナの下流に吸入空気流量を計測するエアフローメータ32が介装されている。
【0018】
ここで、一方のメインコレクタ2から吸気導入管18までを結ぶ吸気通路と、他方のメインコレクタ3から吸気導入管18までを結ぶ吸気通路とは同一長さを有する。
【0019】
また、スロットルチャンバ11、12のすぐ下流で2つのメインコレクタ2、3を接続する連通路20が設けられている。これは、特に吸入吸気流量が少ないときに2つのメインコレクタ2、3間の圧力差をなくすためのものである。すなわち、吸気絞り弁13、14には開度バラツキを避けることができないので、この連通路20がないと、吸気絞り弁13、14の開度バラツキに応じた圧力差が低流量域で生じてしまうのであるが、連通路20によりこの圧力差をなくすことできる。
【0020】
クランク角センサ33のエンジン回転速度信号、アクセルセンサ34のアクセル開度(アクセルペダルの踏み込み量)信号、エアフローメータ32の吸入空気流量信号を入力したエンジンコントローラ31は、アクセル開度及びエンジン回転速度に応じた目標エンジントルクとなるように、吸気絞り弁13、14の開度と燃料噴射弁21a〜21fの燃料噴射量とを制御すると共に、コレクタ容量制御弁8a〜8dを用いて吸気制御を行う。
【0021】
図3は連通路付近の拡大図であり、図3(A)は側面図、図3(B)は底面図である。なおここでは連通路7aを例示して説明するが、他の連通路7b〜7dも同様である。
【0022】
コレクタ容量制御弁8aの弁本体は、軸9aを中心に回動して連通路7aを開閉するバタフライ型の弁であり、バネ(不図示)、メインアクチュエータ(不図示)及びサブアクチュエータ(不図示)によって、閉位置(図3の▲1▼の位置)、全閉位置(図3の▲2▼の位置)、全開位置(図3の▲3▼の位置)に、その位置(開度)が調整される。
【0023】
連通路7aの内周面であって軸9aよりも左側の半円部分には、軸9aよりもメインコレクタ側に凸部101aが形成されている。また、この凸部101aにはサブコレクタ側に樹脂ストッパ102aが設けられている。また、連通路7aの内周面であって軸9aよりも右側の半円部分には、軸9aよりもサブコレクタ側に凸部103aが形成され、その凸部103aにはメインコレクタ側に樹脂ストッパ104aが設けられている。
【0024】
コレクタ容量制御弁8aの貼り付きを防止するために、通常の閉位置(図3の▲1▼の位置)では、連通路7aとの間に0.2〜0.5mmのバルブクリアランスが確保されており、所定の条件のときに、このバルブクリアランスを無くすために全閉位置に制御する。
【0025】
なお、本明細書では、閉位置(図3の▲1▼の位置であって、微少クリアランスが存在する)との差異を明確にするために、コレクタ容量制御弁8aが樹脂ストッパ102a、104aに突き当たってクリアランスがゼロになっている状態(ゼロクリアランスの状態;図3の▲2▼の位置)を全閉位置と呼んでいる。
【0026】
コレクタ容量制御弁8aが全閉位置に調整されると、コレクタ容量制御弁8aの外周部分が樹脂ストッパ102a、104aに当接し、メインコレクタ〜サブコレクタ間の通流を遮断する。
【0027】
図4はコレクタ容量制御弁の開度(位置)と、メインアクチュエータ及びサブアクチュエータの作動との関係を示す表である。
【0028】
メインアクチュエータ及びサブアクチュエータが不作動であれば(いずれもOFFの状態)、コレクタ容量制御弁はバネの力によって閉の状態(図3の▲1▼の位置)に位置する。
【0029】
コレクタ容量制御弁を全閉位置(図3の▲2▼の位置)まで回動させるときはサブアクチュエータを作動(ON状態)させる。なおメインアクチュエータは不作動(OFF状態)である。
【0030】
コレクタ容量制御弁を全開位置(図3の▲3▼の位置)まで回動させるときはメインアクチュエータを作動(ON状態)させる。なおサブアクチュエータは不作動(OFF状態)である。
【0031】
図5はコレクタ容量制御弁の基本的な制御領域を示す図である。
【0032】
エンジンが高回転高負荷のときにはコレクタ容量制御弁を「全開」にして高出力を得る。それ以外のときは「閉」にして吸気動的効果(共鳴効果)により出力向上を図る。
【0033】
そして、エンジン始動時、アイドリング時等、特定の運転状態の場合にはコレクタ容量制御弁を「全閉」にして、吸気応答時間を短縮し、これによって、エンジン回転が上昇し過ぎて吹け上がったり、エンストを生じたりすることを防止する。
【0034】
図6はバルブクリアランスに対する吸気応答時間を示すグラフである。
【0035】
閉位置(図3の▲1▼の位置)では機能要求(バルブ貼り付き防止)の点から上述の通り0.2〜0.5mmのバルブクリアランスが設けられている。図6よりバルブクリアランスが大きくなると吸気応答時間が長くなることがわかる。バルブクリアランスが0.5mmあれば、吸気応答時間は全開状態の場合とほとんど変わらない。また、例えばバルブクリアランスが0.2mmであるのか0.3mmであるのかでも吸気応答時間の差が大きい。このようにバルブクリアランスに対する感度が大きいことがわかる。
【0036】
なお、吸気応答時間とは、吸気絞り弁を全閉位置から全開位置へとステップ変化させたときにコクレタ下流の吸入圧力(負圧)が初期値から最終値の63.2%になるまでに要する時間(時定数)である。したがって、コレクタ容量が大きければ大きいほど、コレクタ内に存在する空気量が多くなるので吸気応答時間は長くなる。したがって、コレクタ容量制御弁を閉じてメインコレクタをサブコレクタから切り離せば、容量が小さくなるので吸気応答時間が短くなり、コレクタ容量制御弁がわずかでも開いていれば、コレクタ容量がメインコレクタとサブコレクタとを合わせた容量に拡大されるので、吸気応答時間が長くなる。
【0037】
本実施形態では、特定の運転状態の場合に吸気応答時間を短縮するために、コレクタ容量制御弁を全閉位置に制御しようとするものである。
【0038】
図7は、エンジン吸気制御装置の動作を説明するフローチャートである。
【0039】
まず、吸入空気量、エンジンの回転速度、アクセル開度を検出する(ステップS1)。
【0040】
そして、エンジンの運転状態が、始動時(ステップS2)、アイドリング時(ステップS3)、急減速時(ステップS4)、燃焼切替時(ステップS5)、クラッチ解放時(ステップS6)のときは、コレクタ容量制御弁を全閉位置にする(ステップS7)。
【0041】
このようなときにコレクタ容量制御弁を全閉位置にする理由については後述する。
【0042】
エンジンの運転状態が、始動時(ステップS2)、アイドリング時(ステップS3)、急減速時(ステップS4)、燃焼切替時(ステップS5)、クラッチ解放時(ステップS6)のいずれの状態でもないときは、ステップS8以降に進む。
【0043】
エンジンが高回転速度であって(ステップS8においてY)、かつ高負荷であるときは(ステップS9においてY)、コレクタ容量制御弁を全開位置にして(ステップS10)、高出力を得る。
【0044】
エンジンが高回転速度高負荷でないときは(ステップS8又はステップS9においてN)、コレクタ容量制御弁を閉位置にして(ステップS11)、吸気動的効果(共鳴効果)による出力向上を図る。
【0045】
図8はエンジン始動時の効果を説明する図である。なお、本実施形態の制御を行う場合を実線で示し、制御を行わない場合を破線で示す。
【0046】
図7のフローチャートに示したように、本実施形態では始動判定フラグONを検出したら(ステップS2)、コレクタ容量制御弁を全閉位置にする(ステップS7)。このようにすることで以下に示す効果を得ることができる。
【0047】
はじめに本制御を行わない場合、すなわちエンジン始動時にコレクタ容量制御弁を調整することなく閉位置のままにしておく場合(図8(C)の破線)について説明する。メインコレクタの吸入負圧は、エンジン始動前は大気圧であるが、エンジンを始動すると急低下する(すなわちメインコレクタ内の気圧が低下する)。しかし、その後、コレクタ容量制御弁の隙間(0.2〜0.5mmのバルブクリアランス)から、サブコレクタの空気がメインコレクタに流れ込むので、メインコレクタの吸入負圧が上昇する(すなわち、メインコレクタ内の気圧が大気圧に向けて大きくなる;図8(D)の破線)。するとエンジンに吸い込まれる空気量が増えるので、エンジン回転速度が上昇する(図8(A)の破線)。
【0048】
しかし、本実施形態では、始動判定フラグONを検出したら(図8(B))、コレクタ容量制御弁を全閉位置にしてバルブクリアランスを無くすので(図8(C)の実線)、メインコレクタの吸入負圧が急下降した後の上昇量が少なくなり(図8(D)の実線)、エンジン回転速度が過剰に上昇することを防止することができ、吹け上がりを抑制することができる(図8(A)の実線)。
【0049】
図9はアイドリング時の効果を説明する図である。なお、本実施形態の制御を行う場合を実線で示し、制御を行わない場合を破線で示す。
【0050】
図7のフローチャートに示したように、本実施形態ではアイドル判定フラグONを検出したら(ステップS3)、コレクタ容量制御弁を全閉位置にする(ステップS7)。このようにすることで以下に示す効果を得ることができる。
【0051】
アイドリング時に(図9(A)のエンジン回転速度がアイドル回転であり、図9(C)のアイドル判定フラグがONの状態)、負荷突入(エアコンやパワステアリング(P/S)等がON)があると(図9(B))、エンジンの回転速度が低下する(図9(A))。するとアイドル回転を維持しようとして補助空気を増やそうとするのであるが、このとき本制御を行わなわず、すなわちコレクタ容量制御弁を調整することなく閉位置のままにしておくと(図9(D)の破線)、上述の通りバルブクリアランスが存在するので、そのバルブクリアランスから空気がサブコレクタに吸われてしまい、増やした補助空気を応答よくシリンダヘッドに流入させることができない。そのため必要な空気を吸入できないことからエンジン回転速度が低下し、エンストに至る可能性がある(図9(A)の破線)。
【0052】
一方、本制御を行ってコレクタ容量制御弁を全閉位置に調整すれば(図9(D)の実線)、吸気応答性がいいので、エンジンの必要とする空気量を吸入することができ、エンジン回転速度がアイドル回転に戻りエンストに至らない(図9(A)の実線)。
【0053】
図10は減速時の効果を説明する図である。なお、本実施形態の制御を行う場合を実線で示し、制御を行わない場合を破線で示す。
【0054】
排気還流システム付きエンジンの場合は、図7のフローチャートに示したように、減速判定フラグONを検出したら(ステップS4)、コレクタ容量制御弁を全閉位置にする(ステップS7)。このようにすることで以下に示す効果を得ることができる。
【0055】
エンジンの回転速度が減速し(図10(A))、減速判定フラグがONの状態では(図10(B))、吸気絞り弁が閉じ、メインコレクタの負圧が発達する。
【0056】
このとき本制御を行わなわず、すなわちコレクタ容量制御弁を調整することなく閉位置のままにしておくと(図10(C)の破線)、上述の通りバルブクリアランスが存在するので、サブコレクタの空気がメインコレクタに吸われてしまう。サブコレクタに残留しているEGRガスもメインコレクタに流れるのでEGRガス濃度の低下に時間がかかる(図10(D)の破線)。そして、EGRガス濃度が、燃焼安定性限界EGR率を下回らないうちに例えばアイドル状態になるなどして燃焼を開始すると、エンストに陥る可能性がある(図10(A)の破線)。
【0057】
一方、本制御を行ってコレクタ容量制御弁を全閉位置に調整すれば(図10()の実線)、サブコレクタの空気(EGRガス)がメインコレクタに流れることを防止することができ、EGRガス濃度の低下に要する時間を短縮できる(図10(D)の実線)。したがって、制御を行わない場合に比べて、より短時間で再燃焼可能な状態にでき、エンストを生じない状態になる(図10(A)の実線)。
【0058】
図11は燃焼切替時の効果を説明する図である。なお、本実施形態の制御を行う場合を実線で示し、制御を行わない場合を破線で示す。
【0059】
直噴エンジンの場合は、図7のフローチャートに示したように、燃焼切替判定フラグONを検出したら(ステップS5)、コレクタ容量制御弁を全閉位置にする(ステップS7)。このようにすることで以下に示す効果を得ることができる。
【0060】
はじめに、直噴エンジンに本制御を行わないとき、すなわち燃焼切替があってもコレクタ容量制御弁を調整することなく閉位置のままにしておく場合について説明する。要求負荷が上がると(図11(B))、エンジン回転速度を一定に維持したまま目標空燃比をリーン空燃比から理論空燃比へと変更する(図11(E))。
【0061】
このとき、コレクタ容量制御弁を調整することなく閉位置のままにしておくと(図11(D)の破線)、コレクタ容量制御弁の隙間(0.2〜0.5mmのバルブクリアランス)からサブコレクタの空気がメインコレクタに流れ込むので、目標空燃比を変更しても理論空燃比になるまでに時間がかかり(図11(E)の破線)、目標通りにトルクを発生することができないことから、エンストに陥る可能性がある(図11(A)の破線)。
【0062】
しかし、本実施形態では、燃焼切替判定フラグONを検出したら(図11(C))、コレクタ容量制御弁を全閉位置にしてバルブクリアランスを無くすことで(図11(D)の実線)、サブコレクタの空気がメインコレクタに流れ込むことを防止する。したがって、コレクタの容量が小さいのでコレクタ内の空気量も少なく、目標空燃比を変更するときも理論空燃比になるまでの時間が短時間ですみ(図11(E))、エンストを生じることなく燃焼切替可能である(図11(A)の実線)。
【0063】
図12はクラッチ解放時の効果を説明する図である。なお、本実施形態の制御を行う場合を実線で示し、制御を行わない場合を破線で示す。
【0064】
マニュアルトランスミッションの場合は、図7のフローチャートに示したように、クラッチ解放判定フラグONを検出したら(ステップS6)、コレクタ容量制御弁を全閉位置にする(ステップS7)。このようにすることで以下に示す効果を得ることができる。
【0065】
はじめに、マニュアルトランスミッションの場合に本制御を行わないとき、すなわち変速等でクラッチ解放があってもコレクタ容量制御弁を調整することなく閉位置のままにしておく場合について説明する。マニュアルトランスミッションの場合は変速時にクラッチを解放する。このとき負荷抜けによりエンジン回転速度が急上昇する(図12(A))。このときコレクタ容量制御弁を調整することなく閉位置のままにしておくと(図12(C)の破線)、コレクタ容量制御弁の隙間(0.2〜0.5mmのバルブクリアランス)からサブコレクタの空気がメインコレクタに流れこむので、クラッチを切った後に吸入する空気量が多いことからエンジンの回転上昇が大きくなり、また、その分エンジン回転が落ちるまでに時間がかかり(図12(A)の破線)、駆動輪側の回転速度と合いづらくなり、運転性が悪化する。
【0066】
しかし、本実施形態では、クラッチ解放判定フラグONを検出したら(図12(B))、コレクタ容量制御弁を全閉位置にしてバルブクリアランスを無くすことで(図12(C)の実線)、サブコレクタの空気がメインコレクタに流れることを防止する。したがって、クラッチ解放時にコレクタからエンジンに流入する空気量が少なくなり、クラッチを切ったときのエンジン回転の過剰な上昇を防止することができ、エンジン回転が一旦上昇しても短時間で下降し(図12(A)の実線)、駆動輪側の回転速度とあわせやすくなり、運転性の悪化を防止することができる。
【0067】
図13はコレクタ容量制御弁の貼り付き防止処理のフローチャートである。
【0068】
イグニッションスイッチがOFFになったら(ステップS21でY)、コレクタ容量制御弁を開閉することで(ステップS22)、コレクタ容量制御弁が樹脂ストッパに貼り付いてしまうことを防止する。
【0069】
図14はコレクタ容量制御弁の故障判断処理のフローチャートである。
【0070】
イグニッションスイッチがOFFになったら(ステップS31)、コレクタ容量制御弁を全閉位置にする(ステップS32)。続いてコレクタ容量制御弁の実開度を検出し(ステップS33)、コレクタ容量制御弁が実際に全閉位置にあるか否かを判定する(ステップS34)。このとき全閉位置になければ、故障であると判断し、コレクタ容量制御弁故障フラグをONにセットする(ステップS35)。
【0071】
図15は始動処理のフローチャートである。
【0072】
イグニッションスイッチがONになったら(ステップS41でY)、コレクタ容量制御弁故障フラグがONであるか否かを判定し(ステップS42)、ONであればアイドル回転をアップすることで(ステップS43)、エンストを防止する。
【0073】
従来のエンジン吸気制御装置のバルブユニットでは、バルブユニットの貼り付きを防止するためにバルブ閉状態であっても0.2〜0.5mm程度のクリアランスを設けていた。しかし、このようなクリアランスが存在すると、吸気の応答時間が長くなるので、エンジン回転速度が低いときなど、エンジンの運転状態によってはエンスト等を生じる可能性があった。
【0074】
そこで本実施形態では、エンジン始動時、アイドリング時、また排気還流システム付きエンジンであれば急減速時、直噴エンジンであれば燃焼切替時、マニュアルトランスミッションであればクラッチ解放時に、メインコレクタとサブコレクタとを仕切るコレクタ容量制御弁を全閉位置にすることで、メインコレクタとサブコレクタとの空気の通流を防止した。このようにすることで、エンジン始動時にエンジンが吸入する空気量を制限することができ、エンジン回転速度が過剰に上昇することを防止することができ、吹け上がりを抑制することができる。また、アイドリング時の吸気応答性の悪化を防止することができ、万一、外部から何らかの負荷が入っても、エンジン回転速度は一時的に下降するだけでありエンストには至らない。さらに、排気還流システム付きエンジンにおいては、急減速時にEGRガス濃度の低下に要する時間を短縮でき、より短時間で再燃焼可能な状態にでき、エンストを生じない状態にすることができる。さらにまた、直噴エンジンにおいては燃焼切替時に当量比の変更を短時間で行うことができるので、エンストを生じることなく燃焼切替可能である。また、マニュアルトランスミッションで変速等のためにクラッチを切ったときに、エンジン回転が過剰に上昇することを防止できるので、エンジン回転が一旦上昇しても短時間で下降し、駆動輪側の回転速度とあわせやすくなり、運転性の悪化を防止することができる。
【0075】
また、イグニッションスイッチをOFFしたらコレクタ容量制御弁の開閉動作を行うようにしたので、コレクタ容量制御弁の貼り付きを防止する。
【0076】
さらに、コレクタ容量制御弁を全閉位置に調整して、実際に全閉位置まで移動したか否かを確認するようにし、万一、全閉位置まで移動していないときは故障と判断し、次回からイグニッションスイッチをONするときにアイドル回転速度を上げることとしたので、エンストを一層確実に防止することができる。
【0077】
以上説明した実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明と均等であることは明白である。
【0078】
例えば、上記実施形態では、V型6気筒エンジンの場合を例示して説明したが、直列エンジンに対しても同様に適用することができる。すなわち、V型エンジンであれば、上述の通り、気筒群ごとに独立したメインコレクタ2、3と、それとは別体のサブコレクタ6とを有する構成であり、直列エンジンであれば、ひとつのメインコレクタと、それとは別体のサブコレクタを有する構成であるので、メインコレクタの数で相違するが、いずれでもメインコレクタ及びサブコレクタを連通する連通路にコレクタ容量制御弁を有する構成は共通する。したがって、直列エンジンにおいても、このコレクタ容量制御弁を上記実施形態と同様に作動させればよい。
【0079】
また、上記実施形態では、イグニッションスイッチがOFFしたらコレクタ容量制御弁を開閉し(図13)、故障判定を行うようにしたが(図14)、制御時期はこのタイミングには限られない。例えば、イグニッションスイッチONしたら、コレクタ容量制御弁の開閉、故障判定を行ってもよい。すなわち、コレクタ容量制御弁の開閉によってエンジン運転に変動を生じないタイミングで制御すればよいのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】独立吸気コレクタを有するV型6気筒エンジンの概略平面図である。
【図2】独立吸気コレクタを有するV型6気筒エンジンの概略立面図である。
【図3】連通路の拡大図である。
【図4】コレクタ容量制御弁の開度(位置)とアクチュエータの作動との関係を示す表である。
【図5】コレクタ容量制御弁の基本的な制御領域を示す図である。
【図6】バルブクリアランスに対する吸気応答時間を示すグラフである。
【図7】エンジン吸気制御装置の動作を説明するフローチャートである。
【図8】エンジン始動時の効果を説明する図である。
【図9】アイドリング時の効果を説明する図である。
【図10】減速時の効果を説明する図である。
【図11】燃焼切替時の効果を説明する図である。
【図12】クラッチ解放時の効果を説明する図である。
【図13】コレクタ容量制御弁の貼り付き防止処理のフローチャートである。
【図14】コレクタ容量制御弁の故障判断処理のフローチャートである。
【図15】始動処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン本体
2、3 メインコレクタ
6 サブコレクタ
7a、7b、7c、7d 連通路
8a、8b、8c、8d コレクタ容量制御弁
9a、9b、9c、9d 軸
31 エンジンコントローラ
32 エアフローメータ
33 クランク角センサ
34 アクセルセンサ
101a、103a 凸部
102a、104a 樹脂ストッパ
Claims (8)
- エンジンの吸気系に設けられるメインコレクタと、
前記メインコレクタにコレクタ容量制御弁を介して接続され且つそのメインコレクタとの連通が遮断されるとエンジンの吸気系から独立するサブコレクタと、
少なくともエンジン回転速度に応じて前記コレクタ容量制御弁を開位置と閉位置とに開閉制御する開閉制御手段と、
特定の運転状態で前記コレクタ容量制御弁を前記閉位置よりも閉側の全閉位置に制御する全閉制御手段と、
を備えることを特徴とするエンジンの吸気制御装置。 - 第1気筒群と第2気筒群とを備え、第1及び第2気筒群それぞれの吸気系に設けられる第1及び第2メインコレクタと、
第1及び第2メインコレクタにそれぞれ第1及び第2コレクタ容量制御弁を介して接続され且つメインコレクタとの連通が遮断されるとエンジンの吸気系から独立するサブコレクタと、
少なくともエンジン回転速度に応じて前記第1及び第2コレクタ容量制御弁を開位置と閉位置とに開閉制御する開閉制御手段と、
特定の運転状態で前記第1及び第2コレクタ容量制御弁を前記閉位置よりも閉側の全閉位置に制御する全閉制御手段と、
を備えることを特徴とするエンジンの制御装置。 - 前記特定の運転状態はエンジンの始動時である、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエンジンの吸気制御装置。 - 前記特定の運転状態はエンジンのアイドリング時である、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエンジンの吸気制御装置。 - エンジンの排気を吸気系に還流する排気還流装置をさらに備え、
前記特定の運転状態はエンジンの減速時である、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエンジンの吸気制御装置。 - 前記特定の運転状態はエンジンの燃焼室へ供給される混合気の空燃比切り換え時である、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエンジンの吸気制御装置。 - エンジンはクラッチを介してマニュアルトランスミッションに接続され、
前記特定の運転状態は前記クラッチの開放時である、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエンジンの吸気制御装置。 - エンジン始動前又は停止後に前記コレクタ容量制御弁を前記全閉位置に制御し、このときにコレクタ容量制御弁が全閉位置に動作したことを検出できないときは故障であることを判断する、
ことを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のエンジン吸気制御装置。
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JP2003099187A JP2004308438A (ja) | 2003-04-02 | 2003-04-02 | エンジン吸気制御装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008050945A (ja) * | 2006-08-22 | 2008-03-06 | Denso Corp | 内燃機関の可変吸気システムの異常診断装置 |
-
2003
- 2003-04-02 JP JP2003099187A patent/JP2004308438A/ja active Pending
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JP2008050945A (ja) * | 2006-08-22 | 2008-03-06 | Denso Corp | 内燃機関の可変吸気システムの異常診断装置 |
JP4656607B2 (ja) * | 2006-08-22 | 2011-03-23 | 株式会社デンソー | 内燃機関の可変吸気システムの異常診断装置 |
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