JP2004308130A - コンクリート構造物の補強方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】柱や梁等の棒部材である外周フレームを有する壁や、スラブ等のコンクリート面に、FRP格子材を固定し、FRP格子材固定後にセメントやポリマーのモルタルを増厚する補強方法において、モルタルの付着強度を強化し、FRP格子材がコンクリート面に確実に定着されて、外周フレームやコンクリート面とその端辺にて接合される部材とのスリップ破壊を防ぎ、大きな断面増又は重量増を伴うことなく、簡便で且つ確実な、高いせん断補強効果のあるコンクリート構造物の補強方法を提供する。
【解決手段】FRP格子材100を固定するコンクリート面1aの外周において、棒部材200が配置されており、コンクリート面1a上に設置されるFRP格子材100は、その端辺が固定部材300を有して棒部材200に固定される
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、格子状の繊維強化樹脂(FRP)部材を用いたコンクリート構造物の補強方法に関するものであり、特に、例えば、壁、梁等のコンクリート面の補強のために好適なコンクリート構造物の補強方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、壁や梁、更には、柱、桁、壁、床板等の補強のための土木、建築分野のコンクリート構造物の補強材、特に、壁や梁等のような板状コンクリート部材の表面のような平なコンクリート平面における、従来のコンクリート補強方法としては、補強材に鋼板を用いた図15(a)に示す鋼板接着工法が従来から行われてきた。
【0003】
鋼板接着工法は、壁又は梁110のコンクリート面1に鋼板10を接着剤11で貼り付けて、アンカー13で固定し、その上からセメントモルタルか、又は、ポリマーモルタルを塗付して増厚する工法であるが、鋼板10の自重が大きく、施工時の安全性に注意が必要であり、又、鋼板10自体が錆びて腐食し、補強効果が低下する可能性があり、壁、梁の補強において問題がある。
【0004】
そこで、補強材として、鋼板に代わって、引張強度が高い、錆びにくい、軽量である、用途に合わせて各種の繊維を用いることができる、等の特長を生かして、繊維強化樹脂であるFRP材料が広く使われている。
【0005】
例えば、従来のFRP材料を用いるコンクリート補強方法として、図15(b)(c)の各施工断面図に示すように、補強材として強化繊維シート12を用いた連続繊維シート接着工法(図15(b))、補強材としてFRP格子材100を用い、ポリマーやセメントのモルタル4で増厚した増厚工法(図15(c))がある。
【0006】
図15(b)の連続繊維シート接着工法は、炭素繊維等の高強度強化繊維に常温硬化型エポキシ樹脂を十分に含浸させたシート状の連続繊維シート12をコンクリート面1に接着樹脂にて貼り付けて硬化させる工法である。シート状なので、薄くモルタル等で増厚しなくても、十分な強度が発揮できるので、大がかりにならず、広い空間を提供することができる。しかしながら、壁や梁110の側面であるコンクリート面1に接着しただけでは、シート12の剥離破壊により、十分な補強効果が得られないことがある。
【0007】
又、連続繊維シート12をコンクリート面に接着樹脂にて貼り付ける工法は、大量の常温接着樹脂を硬化させるため、施工も短時間で行うことが困難で、設計も高度な設計・施工技術を要し、高価な工法となり、対応可能な施工業者も限られる。
【0008】
そこで、連続繊維シート12を用いた連続繊維シート接着工法より安価で、施工が確実・容易な、繊維強化樹脂とされるFRP格子材100を補強材として用いた図15(c)のFRP格子材100増厚工法が開発された。
【0009】
FRP格子材100は、図13を参照すると理解されるように、通常、直角に交差して格子状に配置された複数の補強筋、即ち、縦補強筋101と横補強筋102で構成され、各補強筋101、102は、主にガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の強化繊維を一方向に並べて、ビニルエステル樹脂等のマトリックス樹脂を含浸させた帯状強化繊維を複数積層して形成されたものである。又、各補強筋101、102は、従来例では、筋幅(w)3〜10mm、厚さ(t)1〜5mm、であり、格子間距離(W1)3〜15cmの格子板状に成形硬化され、全体としてシート状のFRP格子材100を形成する。
【0010】
このFRP格子材100を用いた増厚工法は、図15(c)、更には、図16に示すように、FRP格子材100を、コンクリート面1に、アンカーボルト13と座金14で固定することによりコンクリート構造物に取り付けられる。
【0011】
FRP格子材100をアンカーボルト13と座金14で固定した後、図16の増厚工法施工図に示すように、FRP格子材100に、ポリマーやセメントのモルタル4を吹き付け、手塗りして、構築物と一体化させて所定の厚さ、従来ではT(=2mm〜30mm)に被覆する。
【0012】
このFRP格子材100は鉄筋と同様の補強効果があり、軽く、アンカーボルト13と座金14でとめることができ、又、FRP格子材100が薄く、広い空間を提供するコンクリート部材が実現できる。従って、このFRP格子材100を用いた増厚工法では、FRP格子材100の升目である補強筋101、102の隙間から広い面積でモルタル4が壁や梁110が有するコンクリート面1に接着してFRP格子材100を貼り付けた状態となるため、連続繊維シート12や鋼板10よりもしっかりFRP格子材100をコンクリート面1に定着でき、腐食も少なく、施工が簡便である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図16に示される柱202と柱202との間や梁201と梁201との間の壁110a、図9に示されるスラブ210に設置された梁110b、等のコンクリート面1a、1bは、端部が柱や梁200(図16)、又はスラブ210等(図9)に接合されており、FRP格子材100を用いた図15(c)の従来の増厚工法では、コンクリート面1とモルタル4の付着強度が不十分で、FRP格子材100の端部において十分に補強効果が得られない。
【0014】
つまり、FRP格子材100を、コンクリート部材としての、柱や梁である棒部材200に外周が囲まれた板状部材としてのコンクリート壁110aの表面又は裏面であるコンクリート面に使用した場合、固定位置が棒部材200との接合部であるコンクリート面1a端部となるため、壁110aと棒部材200との境界線に沿って壁部材110aと棒部材200とのスリップ破壊が生じ、せん断耐力の向上には限界があった。
【0015】
又、コンクリート部材として、スラブ等の水平面を有する板部材210を支える梁110bに、このFRP格子材100を固定する際にも、スラブ210と梁110bとの接続部において、上記の柱202又は梁201である棒部材200である外周フレームを有する壁110aと同様の問題が考えられる。
【0016】
又、壁コンクリート面1aに施工された場合、図16に示すように剥離を防止するためコンクリート面1aにアンカーボルト13と座金14でFRP格子材100を固定するが、足径10mm〜100mmの太い足を持つアンカーボルト13を打ちこんだ場合、壁板であるコンクリート部材110aの欠損やコンクリート部材110aを構成する不図示の鉄筋やPC剛線の切断などに障害が起こった。
【0017】
又、アンカーボルト13をコンクリート面1aにねじ込んだ場合、ねじ込むための穴をあける手間がかかった。更には、アンカーボルト13の頭や座金14がFRP格子材100面から大きく突出しているため、それを覆うモルタル4がアンカーボルト13の配置されている部分からひび割れしてせん断補強性が弱くなるといった問題が生じた。
【0018】
従って、本発明の目的は、柱や梁等の棒部材である外周フレームを有する壁や、スラブ等のコンクリート面に、FRP格子材を固定し、FRP格子材固定後にセメントやポリマーのモルタルを増厚する補強方法において、モルタルの付着強度を強化し、FRP格子材がコンクリート面に確実に定着されて、外周フレームやコンクリート面とその端辺にて接合される部材とのスリップ破壊を防ぎ、大きな断面増又は重量増を伴うことなく、簡便で且つ確実な、高いせん断補強効果のあるコンクリート構造物の補強方法を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係るコンクリート構造物の補強方法にて達成される。要約すれば、第1の本発明は、繊維強化樹脂とされる複数の補強筋を格子状に配置して形成されたFRP格子材をコンクリート面に固定して、固定された前記FRP格子材の側からセメントモルタルか、又は、ポリマーモルタルを塗付して増厚する、コンクリート構造物を補強する方法において、
前記FRP格子材を固定する前記コンクリート面の外周において、棒部材が配置されており、
前記コンクリート面上に設置される前記FRP格子材は、その端辺が固定部材を有して前記棒部材に固定されることを特徴とするコンクリート構造物の補強方法を提供する。
【0020】
第1の本発明の一実施態様によると、前記棒部材は、コンクリート面の上下及び/又は左右端辺に配置された柱、梁、桁である。
【0021】
第1の本発明の他の実施態様によると、前記コンクリート面には、前記FRP格子材が嵌合する溝が設けられ、該溝に前記FRP格子材は嵌合されている。
【0022】
第1の本発明の他の実施態様によると、前記コンクリート面端辺に沿って、前記棒部材に複数の取付孔を設け、該取付孔を用いて前記固定部材を、前記棒部材に固定する。
【0023】
第1の本発明の他の実施態様によると、前記固定部材は、複数の補強筋を格子状に配置し、一辺において該補強筋が突出している定着用FRP格子材であり、該定着用FRP格子材を前記FRP格子材端辺部分に重ねて設置し、そして前記定着用FRP格子材における前記補強筋の突出部分が、前記取付孔内に固定され、その時、前記取付孔の幅は、前記FRP格子材の前記補強筋の幅+(0mm〜50mm)で、奥行きは前記FRP格子材の1升の格子間距離の0.1倍〜5倍であり、前記取付孔は、前記コンクリート面と同一平面上にあるか、或いは前記コンクリート面から50mm以下の距離だけ浮かせた位置と、前記コンクリート面から250mm以下の深さ分掘り下げた位置と、の間にあることが好ましい。
【0024】
第1の本発明の他の実施態様によると、前記固定部材は、線状固定部材であり、前記FRP格子材の隙間部分に対応するコンクリート面露出部と、前記取付孔内と、の間にて延在して、前記コンクリート面に固定され、その時、前記FRP格子材を固定する前記コンクリート面は、対向配置された前記棒部材間に、前記棒部材との接合部を端部として形成された板状コンクリート部材の表及び/又は裏面であり、該表面と裏面の両面より前記棒部材は浮き上がっており、
前記板状コンクリート部材の表と裏面の両方の前記コンクリート面端部にて、前記棒部材に前記取付孔を設け、
前記コンクリート面の前記FRP格子材の隙間部分のコンクリート面露出部にて、前記板状コンクリート部材の表面から裏面へと貫通する貫通穴が設けられ、
前記貫通穴を貫通した前記線状固定部材両端部が曲げられて、該端部が前記コンクリート部材の表面及び裏面において前記棒部材の前記取付孔に固定されることがある。
【0025】
第1の本発明の他の実施態様によると、前記線状固定部材は、FRP樹脂にて形成されるか、又は、金属にて形成され、その時、前記線状固定部材は、外径1mm〜50mmであることが好ましい。
【0026】
第1の本発明の他の実施態様によると、前記取付孔の幅は、前記線状固定部材の外径+(0mm〜50mm)で、奥行きは前記FRP格子材の1升の格子間距離の0.1倍〜5倍であり、前記取付孔は、前記コンクリート面と同一平面上にあるか、或いは前記コンクリート面から50mm以下の距離だけ浮かせた位置と、前記コンクリート面から250mm以下の深さ分掘り下げた位置と、の間にあることが好ましい。
【0027】
第1の本発明の他の実施態様によると、前記棒部材の周面が前記固定部材としてのシート部材に覆われ、該シート部材端部が前記コンクリート面上の前記FRP格子材端辺に重ね合わされ、その前記シート部材と前記FRP格子材の重ね合わされた部分がボルトにて前記コンクリート面に固定されるか、又は、前記FRP格子材を固定する前記コンクリート面は、対向配置された前記棒部材間に、前記棒部材との接合部を端部として形成された板状コンクリート部材の表面及び/又は裏面であり、前記棒部材の周面が前記固定部材としてのシート部材に覆われ、該シート部材端部が前記板状コンクリート部材の表面及び/又は裏面において前記コンクリート面上の前記FRP格子材端辺に重ね合わされ、その前記シート部材と前記FRP格子材の重ね合わされた部分が、前記ボルトとしての前記板状コンクリート部材を貫通する貫通ボルトによって固定され、その時、前記ボルトは、角の部分を前記棒部材と前記コンクリート面との境界に接触させて配置されるL字断面の座金と共に使用され、前記シート部材は、強化繊維を少なくとも一方向に配列した強化繊維シートにマトリクス樹脂を含浸し、硬化して形成されたものであるか、又は、強化繊維を織成したクロス或いは強化繊維から構成されるマットにマトリクス樹脂を含浸し、硬化して形成されたものであることが好ましい。
【0028】
第2の本発明は、繊維強化樹脂とされる複数の補強筋を格子状に配置して形成されたFRP格子材をコンクリート面に固定して、固定された前記FRP格子材の側からセメントモルタルか、又は、ポリマーモルタルを塗付して増厚する、コンクリート構造物を補強する方法において、
前記FRP格子材を固定する前記コンクリート面は、周方向が複数の平面にて形成され、該複数の周平面のひとつを前記コンクリート構造物が有する水平面に接合させた棒状コンクリート部材の、前記水平面との接合面以外の周平面であり、
前記FRP格子材にて前記棒状コンクリート部材の前記水平面との接触面以外の周平面を覆い、該周平面のうち前記水平面と隣り合ったコンクリート面において、前記FRP格子材の前記水平面との境界に重なる端辺が固定部材を有して前記水平面に固定されることを特徴とするコンクリート構造物の補強方法を提供する。
【0029】
第2の本発明の一実施態様によると、前記棒状コンクリート部材は、梁である。
【0030】
第2の本発明の他の実施態様によると、前記コンクリート面には、前記FRP格子材が嵌合する溝が設けられ、該溝に前記FRP格子材は嵌合されている。
【0031】
第2の本発明の他の実施態様によると、複数枚の前記FRP格子材を継ぎ合わせて、前記コンクリート面である複数の周平面を覆う。
【0032】
第2の本発明の他の実施態様によると、前記水平面に隣り合った前記コンクリート面の、前記水平面との境界に重なった端辺に沿って、前記水平面に複数の取付孔を設け、該取付孔を用いて前記固定部材を前記水平面に固定する。
【0033】
第2の本発明の他の実施態様によると、前記固定部材は、複数の補強筋を格子状に配置し、一辺において該補強筋が突出している定着用FRP格子材であり、該定着用FRP格子材を前記FRP格子材の前記水平面との境界に重なる端辺部分に重ねて設置し、そして前記定着用FRP格子材における前記補強筋の突出部分が、前記取付孔内に固定され、その時、前記取付孔の幅は、前記FRP格子材の前記補強筋の幅+(0mm〜50mm)で、奥行きは前記FRP格子材の1升の格子間距離の0.1倍〜5倍であり、前記取付孔は、前記コンクリート面と同一平面上にあるか、或いは前記コンクリート面から50mm以下の距離だけ浮かせた位置と、前記コンクリート面から250mm以下の深さ分掘り下げた位置と、の間にあることが好ましい。
【0034】
第2の本発明の他の実施態様によると、前記固定部材は線状固定部材であり、前記水平面に隣り合ったコンクリート面において前記FRP格子材の隙間部分におけるコンクリート面露出部と、前記取付孔内と、の間にて延在して、前記コンクリート面に固定され、その時、前記水平面は板状部材の表面であり、前記コンクリート面を有する前記棒状コンクリート部材の前記周平面のうち、前記水平面に接合した面の両側に隣り合った2つの前記コンクリート面の前記水平面との境界に重なった端辺に沿って、前記取付孔は前記水平面に隣り合った2つのコンクリート面に対して互いに対称の位置に、前記水平面に、前記取付孔が、それぞれ第1取付孔、第2取付孔として前記板状部材を貫通して設けられ、
前記線状固定部材は、前記水平面側から前記第1取付孔を貫通して前記板状部材の裏面へと廻り、前記第2取付孔より裏面から前記水平面へと導かれ、
前記水平面に隣り合った2つの前記コンクリート面の前記FRP格子材の隙間部分であるコンクリート面露出部と、前記第1取付孔と又は前記第2取付孔と、の間にて前記線状固定部材が延在して、前記水平面に隣り合った2つの前記コンクリート面における前記FRP格子材両端部が固定される。
【0035】
第2の本発明の他の実施態様によると、前記線状固定部材は、FRP樹脂にて形成されたか、又は、金属にて形成され、外径1mm〜50mmであることが好ましい。
【0036】
第2の本発明の他の実施態様によると、前記取付孔の幅は、前記棒状部材の外径+(0mm〜50mm)であり、前記コンクリート面と同一平面上にあるか、或いは前記コンクリート面から50mm以下の距離だけ浮かせた位置と、前記コンクリート面から250mm以下の深さ分掘り下げた位置と、の間にある。
【0037】
第1、第2本発明の他の実施態様によると、固定された前記FRP格子材の表面に塗付される前記セメントモルタルか、又は、前記ポリマーモルタルによる補強層の厚さが3mm〜500mmである。
【0038】
第1、第2の本発明の他の実施態様によると、前記FRP格子材において、前記補強筋は、互いに1〜50cm離間して格子状に配置され、前記FRP格子材において、前記補強筋は、幅が1〜50mm、厚さが1〜50mmとされ、前記繊維強化樹脂は、強化繊維にマトリクス樹脂を含浸して形成され、前記強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維を含む無機繊維;ボロン、チタン、スチール等の金属繊維;アラミド、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、PBО、高強度ポリプロピレン等の有機繊維;等から選択されるいずれかの繊維であるか、或いは、前記繊維を複数種混入したハイブリッドタイプとされ、又、前記マトリクス樹脂は、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、常温硬化型エポキシ樹脂、熱硬化型エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、又は、MMA等のラジカル反応系樹脂を少なくとも一種以上含む。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るコンクリート構造物の補強方法を図面に則して更に詳しく説明する。
【0040】
実施例1
本発明に係るコンクリート構造物補強方法の一実施例を、図1(a)、(b)を参照して説明する。
【0041】
本実施例では、図16にも説明したような、例えば柱202、梁201とされる対向配置した棒部材200にて構成された外周フレーム200の内側に設置された壁110aのコンクリート面1aにおけるコンクリート補強方法を説明する。
【0042】
斯かるコンクリート補強方法は、FRP格子材100を、上下及び左右に平行に配置された2本の棒部材200の間、四方においてフレームである棒部材200に囲まれた壁110aのコンクリート面1上に重ね置き、FRP格子材100の側から壁面1aへとセメントモルタル又はポリマーモルタル等のモルタル4を塗付し、増厚する補強方法である。図1(a)、(b)には、上下に梁201(201a、201b)、左右に柱202(202a、202b)のような、外周フレームとしての棒部材200に囲まれたコンクリート壁面1aに固定されたFRP格子材100の状態を示している。
【0043】
ここで、図1(b)に示すように、水平な壁コンクリート面1aは、コンクリート部材である壁コンクリート板110aの表面又は裏面である。そして、壁コンクリート板110aは、コンクリート面端部各辺において、左右が柱202、上下が梁201、のような対向した2本の棒部材の間に架け渡されている。そして、正面から見ると、図1(a)に示すように、コンクリート面1aは、ここでは方形であり、柱202、梁201等を外周フレーム200とした平面1aである。
【0044】
尚、壁面の一辺が柱や梁等の棒部材に接合するものなら、本発明は適用できる。
【0045】
壁コンクリート面1aの外周フレーム200となる、周囲の柱202や梁201等の棒部材200は四角柱状であり、壁面1a端辺に接触する面は壁板110aの厚み部分より幅広なので、外周フレーム200が壁110aのコンクリート壁面1aより浮き上がっている。尚、外周フレーム200のコンクリート壁110aの接合部以外は、従来例に説明した連続強化繊維シート12が接着されて、それに覆われている。
【0046】
尚、コンクリート壁110aは方形とは限らず、他の形状の場合もある。そして、コンクリート壁110aは、図1(b)に示されるように、一方向において2本の棒部材200を架け渡され、本実施例においては、その2本の棒部材200は平行配置されているが、コンクリート壁110aの形によって、必ずしも平行配置されているものではない。そして、棒部材200が必ずしも直線状ではなく、上方の梁201がアーチ型になったりする場合もある。
【0047】
本実施例では、図13及び図14に示すFRP格子材100を使用する。即ち、FRP格子材100は、通常、直角に交差して格子状に配置された複数の補強筋、即ち、縦補強筋101と横補強筋102とを備えている。各補強筋101、102は、主に炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等の強化繊維を一方向に並べて、ビニルエステル樹脂等のマトリックス樹脂を含浸させた強化繊維を複数積層し、硬化して形成される。尚、ここで使用されるFRP格子材100は、予め所定の形状に成型されたものでも、線状の強化繊維に現場で樹脂を含浸させて所定の形状に成型したものでも良い。
【0048】
FRP格子材100は筋幅(w)が1〜50mmで通常は2〜15mm、厚さ(t)が1〜50mmで通常は2〜15mm、であり、格子間距離(W1)が1〜50cmとされる。上述のように、各筋101、102は、互いに直交して配置されるが、所望に応じて互いに90度以外の所定の角度にて交差し、格子状となるように構成することも可能である。
【0049】
通常、強化繊維として炭素繊維を使用した場合には、FRP格子材100は1000N/mm以上の引張強度、100000N/mm以上の引張弾性率を有している。
【0050】
又、このような構成のFRP格子材100は、軽量で、耐食性であり、又、曲げ易く、施工性に優れている。又、図14に示すように、筋101、102の交差部分が他の筋部分と略同一平面上にあり、薄く、重ねてもかさばらない。
【0051】
本実施例のFRP格子材100に使用する強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維を含む無機繊維;ボロン、チタン、スチール等の金属繊維;アラミド、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、PBО、高強度ポリプロピレンなどの有機繊維;等から選択されるいずれかの繊維であるか、或いは、前記繊維を複数混入したハイブリッドタイプとし得る。マトリクス樹脂としては、ビニルエステル系樹脂、若しくはポリエステル系樹脂若しくはポリカーボネイト樹脂等の樹脂を使用することができる。
【0052】
こうした軽量かつ高強度の連続繊維FRP格子材100を用いているため、作業がしやすく安全で、また大きなコンクリートひび割れ等の補強効果が期待できる。
【0053】
又、FRP格子材100はFRP(繊維強化樹脂)にて形成されるので錆びて腐食する心配がなく、施工後のメンテナンスも容易である。
【0054】
しかし、従来においては、図16に示されるように、壁110aのコンクリート壁面1a上に、それと同形同面積のFRP格子材シート100を配置し、アンカーボルト13にて固定し、その上からモルタル4等にて増厚したが、前記に説明したように、せん断強度が不十分であり、壁110aとその外周フレーム200との間でスリップ破壊を起こしがちであった。
【0055】
又、アンカーボルト13が壁板110aであるコンクリート部材を破壊したり、ボルト13の頭部分が大きく、モルタル4が厚くなりがちという問題が生じた。
【0056】
そこで、本発明においては、FRP格子材100をコンクリート面1aに固定して、固定されたFRP格子材100の側からセメントモルタルか、又は、ポリマーモルタル4を塗付して増厚するコンクリート構造物補強方法において、コンクリート面1a上に設置されたFRP格子材100が、壁1aであるコンクリート面の上下及び/又は左右端辺において、FRP格子材100端辺を棒部材200に固定することによって、アンカーボルト13を用いずとも、壁面1aに対してFRP格子材100を強固に定着できるコンクリート構造物補強を実現した。
【0057】
つまり、FRP格子材100をコンクリート面1aだけではなく、その外周に接合された柱や梁200等の外周フレームである棒部材200にも定着させることで、FRP格子材100の端部補強を強化し、せん断強度を強化して、壁1aとその外周フレーム200とのスリップ破壊を防止することができる。
【0058】
本実施例においては、こうした壁1aにおける外周フレーム200に接合したFRP格子材100の端部補強の方法として、図1(a)、(b)に示すように、コンクリート面1a端辺に沿って、外周フレームである壁202及び梁201に、長手方向においてFRP格子材100の各格子材101又は102の格子間間隔W1と略等間隔に、垂直方向に複数の取付孔3を設け、FRP格子材100端辺がその取付孔3に接着剤にて固定される方法を考えた。
【0059】
取付孔3には、FRP格子材100端部において、それを構成する縦補強筋101又は横補強筋102を突出させ、その突出部分を取付孔3に挿入し、接着剤にて固定する方法が好ましいが、壁面1a一面を1枚のFRP格子材シート100にて固定する場合、壁面1aの面積より、補強筋101、102を突出させる分、FRP格子材シート100面積が広く、外周フレーム200の内側にFRP格子材シート100を設置するのが容易にできない。つまり、取付孔3内に補強筋101又は102突出部分を挿入するのが、既に硬化されたFRP格子材100では困難であり、施工における作業性において問題が生じた。
【0060】
そこで、本実施例では、図2(a)、(b)に示すように、FRP格子材100の端辺に固定部材300を取り付け、その固定部材300を用いて外周フレーム200に固定する方法が行われる。固定部材300を用いれば、壁面1a面積からはみ出さないFRP格子材100の完成品を用いることができ、外周フレーム200内に容易にFRP格子材100を配置することができ、施工が効率的に行える。
【0061】
本実施例においては、固定部材300として、コンクリート面1aに固定されるFRP格子材100を帯状にした格子帯状の定着用FRP格子材である継ぎ手310を使用する。図2に、その施工部の正面図(図2(a))及び断面図(図2(b))を示す。
【0062】
本実施例においては、コンクリート部材である壁110aのコンクリート面1aは、一面積全体に1枚のFRP格子材シート100が固定されるものとし、FRP格子材100は壁コンクリート面1aと同面積とする。そして、FRP格子材100を構成する縦補強筋101と横補強筋102のうち、縦補強筋101をコンクリート面1aの外周フレームのひとつである棒部材200に平行に配置し、横補強筋102がそれに交差する方向に配置されるものとする。
【0063】
本実施例では、継ぎ手310は、壁面1aに固定する壁面1aと同じ面積形状のFRP格子材100の一方向、ここでは棒部材200に交差する補強筋102の方向を短くして帯状にし、長手方向の一辺において、取付孔3に挿入するために一定の間隔で突出部分を設けたものである。
【0064】
本実施例では、継ぎ手310として、FRP格子材100と同じ材質のものを使用したので、その全体形状以外の構成や性質は図13、図14に示されたFRP格子材100と同様であり、設置するコンクリート面1aにおけるFRP格子材100の補強筋101及び102と同じ幅w、厚さtの補強筋311と312を、同じ格子間間隔W1で配置して構成されたものである。短い方向の補強筋を補強筋312とし、それに交差する長手方向の補強筋を補強筋311とする。短手方向の補強筋312は棒部材200に対向する側の端において、補強筋311を配置せずに突出部分となっている。長手方向311は、設置するコンクリート面の一辺と同じ長さであり、短手方向312は、棒部材200の取付孔3に挿入する突出部分の長さ50mm〜500mmにそれ以外の長さである升目数個分の長さ100mm〜1000mmを加えた長さを有する。
【0065】
尚、継ぎ手310となる格子材は、それが継ぎ重ねられるFRP格子材100を帯状に切断した形状をしているが、それを構成する材料は、必ずしも継ぎ重ねられるFRP格子材100と同種類のものでなくともよく、FRPに限定されるものではない。
【0066】
この継ぎ手である定着用FRP格子材310を図2(a)、(b)に示すように、壁コンクリート面1aに設置されたFRP格子材100上に、長手方向補強筋311が縦補強筋101と、短手方向補強筋312の升目部分が横補強筋102とぴったり重なるように配置するのが好ましい。
【0067】
又、コンクリート面1aの形状に応じて、継ぎ手310は適宜継ぎ合わすことが可能である。本実施例においては、四方に棒部材200が配置された方形のコンクリート面1aの補強であるので、コンクリート面1aの各々四辺の長さを有する帯状の定着用FRP格子材310を4枚使用する場合、コンクリート面1aの角部分において2枚の格子材310が重なる。FRP格子材100や継ぎ手310であるFRP格子材は、薄く形成できるので、重ねてもかさばらない。
【0068】
尚、FRP格子材100を取り付ける前、コンクリート面1aをウォータージェットによって下地処理してコンクリート面1aのコンクリートの脆弱部を取り除き、表面積の大きな面を作ってモルタル4の付着強度を強力にする。下地処理をウォータージェットにすることによって、モルタル4のコンクリート面1aに対する付着力が強化され、FRP格子材100の補強筋の空いている部分から広い面積でモルタル4とコンクリート面1aが接着しているので、FRP格子材100がコンクリート面1aに強力に貼りつけられて固定されるといった効果がある。尚、ウォータージェットの代わりにショットブラスト又はサンドブラストを用いて下地処理をすることもできる。
【0069】
又、ここでは、コンクリート面1aは、凹凸のない水平面であり、一様な水平面1a上にFRP格子材100がおかれ、図12(a)に示すように、FRP格子材100が平面1aから浮き上がった状態であるが、図12(b)に示されるように、コンクリート面1aにFRP格子材100が嵌合する溝100”を形成し、溝100”にFRP格子材100を嵌合させれば、壁板110aに格子材100が一体化され、モルタル4の増量が薄くすることができ、効スペース化が望まれる。この場合、溝100”にFRP格子材100を嵌め込んだときの隙間はモルタル4を充填して、モルタル4を上から塗りつけて埋没させる。尚、溝100”は、ダイヤモンドカッター等の工具により形成することができる。しかし、FRP格子材シート100は、薄いものなので、溝100”を設けなくとも、壁110aの断面積は小断面積となる。
【0070】
コンクリート面1aにて棒部材200に沿った端部にて、継ぎ手310はFRP格子材100に、後から増厚されるモルタル4が格子材100の隙間に入り込むことで、物理的なかみ合わせによって接合されるが、他の方法で、例えば接着剤等で接着されてもよい。
【0071】
棒部材200には、前に説明したように定着用FRP310の補強筋312の突出部分が挿入される取付孔3が設けられている。ここでは、棒部材200に格子材100の格子間間隔W1と略同じ間隔W2で設けられている。
【0072】
本実施例では、前記に説明したコンクリート面1aのウォータージェットによる下地処理時に、継ぎ手310の補強筋312突出部の定着部として、コンクリート面1a端辺に沿って、棒部材200にウォータージェットで取付孔3を形成する。
【0073】
コンクリート面1aに平行な方向の取付孔3の幅w’は、継ぎ手である定着用FRP格子材310の短手方向補強筋312の幅をwとした時、「w’=w+(0mm〜50mm)」であり、通常は「w’=w+(1mm〜10mm)」であり、補強筋312がしっかりはまり込むような広さを有する。奥行きdは、FRP格子材100の格子間距離W1の0.1倍〜5倍であり、通常は0.5倍〜2倍、つまり、「d=(0.1〜5)×W1」で、通常は「d=(0.5〜2)×W1」ほどの奥行きである。又、コンクリート面1aに対して垂直方向の長さである深さ(t’)は、孔底部がコンクリート面1aと同一面にあることが好ましいが、50mm以下の距離分だけならコンクリート面1aより浮いた位置か、掘り下げた位置でもよい。
【0074】
一方、定着用FRP格子材310において、補強筋312の取付孔3に挿入される長さは、50mmから取付孔3の奥行きdの長さ分の間の長さが必要であり、その分突出していることが必要であり、通常は50mm〜500mmである。
【0075】
この取付孔3に、定着用FRP格子材310の棒部材200に交差する方向より突出している補強筋312端部を差し込んで、取付孔3と補強筋312の隙間に接着樹脂5を充填して、棒部材200に補強筋312端部を固定して、定着する。この時、接着樹脂5が取付孔3に十分に充填される。
【0076】
接着樹脂5は、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、常温硬化型エポキシ樹脂、熱硬化型エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、又は、MMA等のラジカル反応系樹脂を少なくとも一種以上含む接着樹脂である。
【0077】
又、定着用FRP格子材310のような定着部材300を用いずに、コンクリート面1aに固定されるFRP格子材100の補強筋101又は102の端部を突出させて取付孔3に挿入する場合でも、上記に説明した取付孔3の構成や、取付孔3に対する補強筋101又は102の取付方法は、同様のものである。
【0078】
以上に説明したように、本実施例において、図1のように、FRP補強筋100が、端辺にて平行配置された梁201や柱202のような棒部材200の外周フレームにて囲まれたコンクリート壁110aのコンクリート面1aに、FRP格子材100の端辺に設置された固定部材300である定着用FRP格子材310を構成する補強筋312の突出部分が取付孔3に挿入されて固定されることによって、コンクリート面1aの周辺の棒部材200に固定することができ、コンクリート面1aと棒部材200がそれらの境界に沿って左右に互いにスリップすることを防止でき、それぞれのスリップ破壊を防ぐことができ、せん断補強性が向上できる。
【0079】
本実施例では、取付孔3はウォータージェットによって棒部材200を切削して形成するものとしたが、棒部材200を切削する手段はウォータージェットに限るものではなく、ドリル等を用いる方法でもよい。
【0080】
又、ここでは、壁コンクリート面1a一面に1枚のFRP格子材100シートを固定したが、面積の狭いFRP格子材100シートを複数枚を端と端とで重ねて継ぎ合わせて固定してもよい。
【0081】
本発明によると、上述のように、FRP格子材100を固定した側から、コンクリート面1aを、ポリマーやセメント等のモルタル4を塗付して所定の厚さT=3mm〜500mmで通常は5mm〜30mmに増厚する。このことによって、FRP格子材100及びそれに貼り付けられた定着用FRP格子材310が共にモルタル4に埋められ、しっかりとコンクリート面1aに定着される。
【0082】
そして、被覆モルタル4が、既存コンクリート1aと一体化することにより、FRP格子材100が、既設補強鉄筋と同様に機能するため、部材の耐力が向上する。
【0083】
そして、FRP格子材100が継ぎ手310によって端部が外周フレーム200にしっかり固定されるので、壁面1aに固定するのに壁面1aに定着のための強固なアンカーボルトを打ち込む必要もなく、部材を大きく損傷させることもない。
【0084】
つまり、FRP格子材100と同材質の定着用FRP格子材310を固定部材300として用いて、FRP格子材100端部を外周フレーム200に固定することにより、格子材100を確実にコンクリート面1aに固定することができ、高いせん断補強効果が得られる。
【0085】
又、外周の梁、柱に格子材を定着することで、壁の負担力を外周フレームに伝達できるため、フレーム全体の耐力が向上する。
【0086】
軽重量で、小断面積のFRP格子材を用いるため、大がかりにならず、作業が容易である。又、コンクリートの大きな補強効果が期待でき、FRP格子材はFRPであるので錆びて腐食する心配がないので、モルタルによるかぶり(増厚)を大きくする必要もないため、壁が厚くなりすぎず、広い空間が提供できる。
【0087】
実施例2
本実施例のコンクリート構造物の補強方法は、実施例1と同様のコンクリート部材であるコンクリート壁1aに対して実行され、同様にコンクリート壁面1aと同面積の格子状に成形したFRP格子材100シートを使用し、その端部をコンクリート壁面1aの外周フレーム200である対向配置された棒部材200に固定し、モルタル4で所望の厚さTに増厚する方法であるが、FRP格子材100端部を棒部材200に固定するための固定部材300として、本実施例では、線状固定部材320を用いることが特徴である。
【0088】
図3に、本実施例によって補強されたコンクリート壁面1aの正面図を示す。本実施例においても、実施例1と同様のFRP格子材100が使用され、補強されるコンクリート面1aの一面において同じ面積のFRP格子材100シート1枚を使用する。
【0089】
尚、本実施例においても、コンクリート壁面1aの形状や、使用されるFRP格子材100シートの枚数は、これに限定されるものではない。
【0090】
本実施例において、棒部材200に棒状部材320が挿入されるための取付孔3aが設置される。取付孔3aは、棒部材200に垂直方向に、棒部材200の長手にわたって一定の間隔W3で設けられる。本実施例では、その間隔W3はFRP格子材100の格子間間隔W1と略同じ間隔とするが、それに限定されるものではない。
【0091】
そして、棒部材200長手にわたって、それぞれの取付孔3aに棒状部材320端部が挿入され接着剤等で固定され、取付孔3aから延長された線状固定部材320が、コンクリート面1aにおけるFRP格子材100における最も近い升目から1升目以上の升目における露出部1eに連結されて、露出部1eと、取付孔3aと、の間にて緊張し、FRP格子材100の棒部材200に平行で最も近い補強筋101aを締め付けて固定する。尚、線状固定部材320が連絡されるコンクリート壁面1aにおけるFRP格子材100の升目である露出部1eの位置は、棒部材200にできるだけ近い升目が好適だが、格子材100やコンクリート面1aの大きさによって適宜調整する。
【0092】
つまり、本実施例では、線状固定部材320は、FRP格子材100の升目であるコンクリート面1aと棒部材200とを連絡させることで、FRP格子材100を固定しているので、棒部材200に設けられる取付孔3は、コンクリート面1aに設置されるFRP格子材100の升目に対向して設けられることが好適である。
【0093】
本実施例における露出部1eと線状固定部材320を連絡させる方法を、図4(a)、(b)を用いて説明する。
【0094】
本実施例では、図4(b)に示すように、露出部1eにおいて、コンクリート壁板110aを裏面1a’まで貫通させる貫通穴3bを設置し、線状固定部材320を貫通させる。そして裏面1a’において、同様に棒部材200に設けられた取付孔3a’において、表面1a側の取付孔3aに取り付けられたのと反対側の線状固定部材320端部が、同様に接着剤5にて固定され、裏面1a’においても同様に設置されたFRP格子材100’の格子筋101a’を押さえる。線状固定部材320の長さは適宜調整する。
【0095】
露出部1eと棒状部材320を連絡させる方法としては、比較的短い線状固定部材320を用いて、線状固定部材320の取付孔3aに挿入されていない側の端部を、コンクリート壁部材110aを貫通させずにコンクリート面露出部1eに設けられたコンクリート面取付孔に接着する方法でもよい。
【0096】
尚、本実施例においても、図12(a)に示されるように、凹凸のない一様な面1a上にFRP格子材100を置くように設置しているが、図12(b)に示されるように、前記に説明した方法でFRP格子材100を嵌合する溝100”を設けて、溝100”内に格子材100を嵌め込んで設置することにより、格子材100がコンクリート面1aから浮き上がらないため、表面が滑らかになり、モルタル4の付着力が向上し、コンクリート面1aと格子材100が一体化され、強固な定着をなすことができる。
【0097】
つまり、本実施例においては、固定部材として線状固定部材320を用いて、コンクリート壁板110aに設けた貫通穴3bとFRP格子材100の升目である隙間を利用して、コンクリート壁110aとFRP格子材100と棒部材200とを連絡させて、FRP格子材100をコンクリート壁110a及び棒部材200に固定する。
【0098】
このようにしてFRP格子材100の端部が棒部材200に固定された後に、モルタル4である被覆部材により格子材100を埋没させ、既設のコンクリート躯体と一体化させる。
【0099】
本実施例においても、上述のように、FRP格子材100を固定した側から、コンクリート面1aを、ポリマーやセメント等のモルタル4を塗付して所定の厚さT=3mm〜500mmで通常は5mm〜30mmに増厚する。
【0100】
ここで、線状固定部材320としては、前に説明したFRP格子材100を構成するFRP(繊維強化樹脂)と同じ材質のFRP補強筋を用いることができる。定着に使用するFRP補強筋は、予め樹脂を含浸させ、硬化又は反硬化状態としたもの、或いは現場で未硬化の樹脂を含浸させたものを用いる。FRP補強筋は、壁を貫通し、壁を貫通する部分及び、両端部は柱/梁に接着剤によって定着される。
【0101】
又、他には、線状固定部材320として、SR235、SD295、SD345等の鋼筋が使用されることもある。
【0102】
そして、線状固定部材320の外径w2は、1mm〜50mmである。
【0103】
本実施例において、棒状部材320が挿入されるための棒部材200に取付孔3aが設置される。取付孔3aの棒部材200に対する取付間隔W3は、FRP格子材100の格子間間隔W1と略同じ間隔とするが、それに限定されるものではない。
【0104】
本実施例でも、前記に説明したコンクリート面1aのウォータージェットによる下地処理時に、コンクリート面1a端辺に沿って、ウォータージェットで取付孔3aを形成する。
【0105】
コンクリート面1aに平行な方向の取付孔3aの幅w’は、線状固定部材320の外径をw2とした時、「w’=w2+(0mm〜50mm)」であり、通常は「w’=w2+(1mm〜10mm)」であり、線状固定部材320がしっかりはまり込むような広さを有する。奥行きdは、FRP格子材100の格子間距離W1の0.1倍〜5倍であり、通常は0.5倍〜1倍、つまり、「d=(0.1〜5)×W1」で、通常は「d=(0.1〜2)×W1」ほどの奥行きである。又、コンクリート面1aに対して垂直方向の長さである深さ(t’)は、孔底部がコンクリート面1aと同一面にあることが好ましいが、50mm以下の距離分だけならコンクリート面1aより浮いた位置か、250mm以下の距離分だけなら掘り下げた位置でもよい。又、取付孔3aは、壁面と平行に空ける必要はなく、壁面に対してt1=45°の角度までなら掘り下げて空けることが出来る。
【0106】
一方、線状固定部材320の取付孔3に挿入される長さは、50mmから取付孔3aの奥行きdの長さ分の間の長さが必要であり、線状固定部材320はそれを考慮して形成される。
【0107】
ここでも、被覆モルタル4が、既存コンクリートと一体化することにより、FRP格子材100が、既設補強鉄筋と同様に機能するため、部材の耐力が向上する。
【0108】
そして、FRP格子材100が線状固定部材320によって端部が外周フレーム200にしっかり固定されるので、壁面1aに固定するのに壁面1aにアンカーボルトを打ち込む必要もなく、部材を損傷させることもない。
【0109】
つまり、線状固定部材320を固定部材300として用いて、FRP格子材100端部を外周フレーム200に固定することにより、格子材100を確実にコンクリート面1aに固定することができ、高いせん断補強効果が得られる。
【0110】
又、外周の梁、柱に格子材を定着することで、壁の負担力を外周フレームに伝達できるため、フレーム全体の耐力が向上する。
【0111】
実施例3
本実施例のコンクリート構造物の補強方法は、実施例1、2と同様のコンクリート部材であるコンクリート壁110aに対して実行され、同様にコンクリート壁面1aと同面積の格子状に成形したFRP格子材100を使用し、その端部をコンクリート壁面1aの外周フレーム200である対向配置された棒部材200に固定し、モルタル4で所望の厚さTに増厚する方法であるが、FRP格子材100端部を棒部材200に固定するための固定部材300として、本実施例では、シート状固定部材330を用いることが特徴である。
【0112】
本実施例においても、実施例1、2と同様のFRP格子材100が使用され、図5に示されるような、補強されるコンクリート面1aの一面において同じ面積のFRP格子材100を1枚を使用する。
【0113】
尚、本実施例においても、コンクリート壁110aの形状や、使用されるFRP格子材100の枚数は、これに限定されるものではない。
【0114】
本実施例では、梁201や柱202のような棒部材200には、固定部材300として、連続シートにて構成される定着シート部材330が使用される。
【0115】
定着シート部材330を使用したコンクリート壁110aの端部取付部分を図5(a)及び図5(b)に示す。ここでは、棒部材200の片側のみに壁板110aを配置した例を示す。
【0116】
本実施例では、先ずFRP格子材100をフレーム200の内側である壁面1a上に嵌め込み、モルタル4でT=3mm〜500mm、通常はT=5mm〜30mmに増厚してから、棒部材200に定着シート部材330を接着する。ここでは、図5(b)に示すように、1枚の定着シート部材330を使用して棒部材200周側面に巻き付けるようにして覆う。そして、壁110aが設けられた側にて定着シート部材330の両端辺部分331、331’が向けられ、これによって、壁面1aとその裏面である壁面1a’の棒部材200の境界に隣り合った端部50mm〜300mmが、シート部材の両端部331(1a側)、331’(1a’側)に重ねられた状態となる。
【0117】
そして、コンクリート壁面1aの端部において、シート部材330はモルタル4に接着され、その上から座金9を用いてボルト8にて固定される。座金9は断面が直角部分を有したL字状であり、角の部分がコンクリート壁面1aと棒部材200との境界部分に重なり、コンクリート面1aと棒部材200の端部に隙間なく接触し、両者の境界部分が補強される。
【0118】
そして、ボルト8が設置される位置が、コンクリート壁1aに設置されてモルタル4中に埋められたFRP格子材100の升目1e部分とされるように、座金9に形成されるボルト8の孔の位置を調整する。
【0119】
ボルト8はモルタル4を増厚された上からコンクリート面1a端部においてのみにて設けられるので、コンクリート壁110aを損傷しなくてすむ。ボルト8の足が100mm〜200mm程、モルタル4を増厚する前のコンクリート壁面1a部分に打ち込まれていれば、シート部材320がコンクリート面1aにしっかり定着する。
【0120】
又、コンクリート面1aが、図5(b)に示すような、棒部材200間に設けられた板状部材である壁110aの表及び/又は裏面であり、壁の厚さが、薄い場合には、シート部材330とFRP格子材100の重ね合わされた部分を、貫通ボルトによって壁110aを介して相互に補強されても良い。
【0121】
棒部材200の両側に壁110aが設置されている場合は、図6(a)、(b)のように、表面1aと裏面1a’にてそれぞれ棒部材部分200にシート部材330、330’を使用する。コンクリート壁110aにおいてコンクリート面1a側をその表面として、表面1a側においては、側棒部材200の表面に1a側に隣り合った側にシート部材330を貼り付け、シート部材330の端辺331をコンクリート面1aの棒部材200に隣り合った端部にて上記のようにボルト8及び座金9にて固定する。シート部材330のその反対側の端辺332を、棒部材200のコンクリート壁110aの反対側に設置されたコンクリート壁1a端部にて重ねて同様にボルト8及び座金9にて固定する。裏面1a’側においても同様にシート部材330’にて、コンクリート補強がなされる。
【0122】
つまり、実施例1、2がコンクリート面1aにモルタル4が増厚される前においてFRP格子材100の棒部材200への端部補強が行われるのに対し、本実施例では、FRP格子材100がコンクリート面1aに設置されてモルタル4が増厚された後において、シート部材330を用いて、コンクリート面1aにおけるFRP格子材100の隙間に端部をボルト8にて固定することによって、FRP格子材100をモルタル4と共に端部を補強するものである。
【0123】
シート部材330、330’としては、上記に説明した、FRP格子材100を構成する強化繊維を少なくとも一方向に配列した帯状強化繊維シートにマトリクス樹脂を含浸し、硬化して形成されるか、強化繊維を織成したクロス或いは強化繊維で形成されるマットにマトリクス樹脂を含浸し、硬化して形成されたものが用いられる。
【0124】
尚、本実施例においても、図12(a)に示されるように、凹凸のない一様な面1a上にFRP格子材100を置くように設置しているが、図12(b)に示されるように、前記に説明した方法でFRP格子材100を嵌合する溝100”を設けて、溝100”内に格子材100を嵌め込んで設置するとより、格子材100がコンクリート面1aから浮き上がらないため、表面が滑らかになり、モルタル4の付着力が向上し、コンクリート面1aと格子材100が一体化され、強固な定着をなすことができる。
【0125】
FRP格子材100をコンクリート面1aの棒部材200との境界である端部においてシート部材330と一緒にボルト8にて固定することで、FRP格子材100端部が外周フレーム200に固定され、格子材100を確実にコンクリート面1aに固定することができ、高いせん断補強効果が得られる。
【0126】
又、本実施例においては、モルタル4を増厚した後において実施するため、既設コンクリート面の補強も簡易に実施可能である。
【0127】
そして、ここでも、被覆モルタル4が、既存コンクリートと一体化することにより、FRP格子材100が、既設補強鉄筋と同様に機能するため、外周の梁、柱に格子材を定着することで、壁の負担力を外周フレームに伝達できるため、フレーム全体の耐力が向上する。
【0128】
ここで、この耐力の向上について、実験例1にて、本実施例によるFRPシート330とFRP格子材100との組み合わせによる、壁1aとその外周フレーム200とで構成されるコンクリート部材の補強について、壁1a部分を補強せずに外周の棒部材200のみを補強したもの、及び無補強のものと比較した。
【0129】
実験例1
図7に示す、実施例3に係るFRP格子材100による補強を施したコンクリート壁、ここでは柱202をシート部材330で、壁面1aをFRP格子材100で補強したコンクリート壁401(図7(a))、及びそれ以外の方法で柱202を補強したコンクリート壁402、無補強のコンクリート壁403(図7(b)、(c))において、以下に説明する耐震実験を行った。尚、それぞれの補強効果を比較する試験用として、補強前のコンクリート壁には、中央に同寸法の開口1fが設けられている。
【0130】
コンクリート壁401:図7(a)に示すように、図5(a)、(b)に示す上記本実施例の構成と同様の補強を施したもの。つまり、壁面1aの両側にFRP格子材100を配置し、ポリマーセメントモルタル4を厚さ15mm吹きつけ補強した後、格子材100端部をボルト8及び座金9を用いて、柱202に巻き付けたシート部材330と共に固定した。FRP格子材100としては、格子筋断面積26.4mm、格子間ピッチ50mm×50mmのものを使用した。
【0131】
コンクリート壁402:図7(b)に示すように、柱202に繊維目付200g/mの炭素繊維シートであるシート部材330を、50mmピッチで3層巻き付け、シート部材330端部は、ボルト8及び座金9を用いて壁面1aに固定した。
【0132】
コンクリート壁403:図7(c)に示すように、柱202、コンクリート壁1aにおいて、シート部材やFRP格子材等の補強材を用いた補強を施さないもの。
【0133】
実験方法としては、上記のコンクリート壁401、402、403である試験体下部を固定し、試験体上部から中軸力比(σ0/σB;σ0=付加する軸応力、σB=柱コンクリートの圧縮強度)が1/6となる軸力を加力した状態で、壁上部に水平力を交番載荷し、水平荷重(縦軸)と変形量(横軸)の関係を調べた。
【0134】
実験結果を図8に示す。コンクリート壁403である無補強試験体は、最大水平荷重390kN、層間変形各5×10−3radで、耐力低下を起こした。
【0135】
コンクリート壁402である柱のみを炭素繊維シート330で補強した試験体は、最大水平荷重486kN、層間変形角9.2×10−3radとなり、柱補強により最大耐力と変形性能の向上がみられた。
【0136】
そして、本発明に係るコンクリート壁401である、柱202を炭素繊維シート330で、壁をFRP格子材100である炭素繊維格子筋にて補強した試験体は、更に耐力、変形性能が増大し、最大水平加重578kN、層間変形角14.1×10−3radとなり、又、水平加重が最大値から低下した後も、コンクリート壁402やコンクリート壁403に比べて高い値を保持していた。即ち、大きな変形性能(じん性)が発揮されることが確認された。
【0137】
実験例1に示されるように、FRP格子材100を用いて、壁1aを補強することで、柱のみFRPシート330で補強するものと比べて、柱の耐力が向上することがわかる。そして、本発明に係るコンクリート壁110aの補強によって、コンクリート部材の耐力が増大し、更に大きい変形性能が発揮されることが明らかとなった。
【0138】
実施例4
本発明は、例えば、図9に示すような、天井等の水平な板状部材(スラブ)210を支える棒状コンクリート部材である梁110bの周面1bであるコンクリート面における補強にも適用できる。梁110bは、周面が複数の平面にて構成されており、そのうちのひとつの平面を水平面であるスラブ210に接合させている。そして、それ以外の平面1bに、FRP格子材100を設置し、その上からモルタル4で増厚する。
【0139】
梁110bは、それに限定されるものではないが、本実施例においては長手方向の一面をスラブ210に接合した断面が長方形の柱状の棒状コンクリート部材である。そして、長手方向におけるそれ以外の周面がFRP格子材100によって補強される補強面1bとなる。
【0140】
図10(a)に補強面1bの補強された梁110bの断面図を示し、図10(b)は、正面図である。
【0141】
本実施例においては、梁110bの補強面となる周面1bは、水平面であるスラブ210との接触面以外の周面であり、上記に説明した図13に示した構成のFRP格子材100をこれらの周面1bに設置する。本実施例のような四角柱状の梁110bにおいては、スラブ210と隣り合った面1c及び1c’、及びそれ以外の面1dが、補強面となるコンクリート面1bである。
【0142】
補強面となる面1c、1c’及び1dを、1枚のFRP格子材100を梁110bの形状に合わせて曲げて覆っても良いが、本実施例においては、2枚のFRP格子材100、100’を使用し、面1d上にて継ぎ合わせて使用している。FRP格子材100シートは、前記に説明したように薄いため、複数継ぎ合わせて使用してもかさばらないので、2枚以上を継ぎ合わせて、あらゆる形状の梁110bの周面を覆うことができる。そして、FRP格子材100が薄く、小断面積であるため、モルタル4を薄くすることができ、大がかりなコンクリート部材とならずにすむ。
【0143】
こうした梁110bの周面においても、従来においては、図15(c)のように、梁周面1bを覆ったFRP格子材100をアンカーボルト13にて固定し、その上からモルタル4等にて増厚したが、前記に説明したように、せん断強度が不十分であり、梁110bとそれを設置した水平面であるスラブ210との間でスリップ破壊を起こしがちであった。
【0144】
又、アンカーボルト13が梁110bであるコンクリート部材を破壊したり、ボルト13の頭部分が大きく、モルタル4が厚くなりがちという問題が生じた。
【0145】
そこで、本実施例においては、実施例1〜3において説明した周囲を棒部材200に囲まれた壁110aの補強と同様に、FRP格子材100をコンクリート面1bに固定して、固定されたFRP格子材100の側からセメントモルタルか、又は、ポリマーモルタル4を塗付して増厚するコンクリート構造物補強方法において、コンクリート面1bに設置されるFRP格子材100の、スラブ210に隣り合った面1c、又は1c’において、スラブ210との境界部分に沿った端辺をスラブ210に固定することによって、アンカーボルト13を用いずとも、梁面1bに対してFRP格子材100を強固に定着できるコンクリート構造物補強を実現した。
【0146】
つまり、FRP格子材100をコンクリート面1bだけではなく、その端辺にて隣り合ったスラブ210等の水平面にも定着させることで、FRP格子材100の端部補強を強化し、せん断強度を強化して、梁1bとそれを設置したスラブ210とのスリップ破壊を防止することができる。
【0147】
本実施例においては、こうした梁面1bにおける、梁110bを設置したスラブ210に隣り合ったFRP格子材100のスラブ210との境界における端部補強の方法として、図10(a)、(b)に示すように、コンクリート面1c端辺に沿って、水平面であるスラブ210のコンクリート面1cとの対向部分210a、又は/及び、コンクリート面1c’に沿って、水平面であるスラブ210のコンクリート面1c’との対向部分210a’に、長手方向においてFRP格子材100の各補強筋101又は102の格子間間隔W1と等間隔に、垂直方向に複数の取付孔3を設け、FRP格子材100端辺がその取付孔3に接着剤にて固定される。
【0148】
ここでは、コンクリート面1c側におけるFRP格子材100の端部補強について説明する。コンクリート面1c’側においてもFRP格子材100’を用いて、同様の方法にて補強される。
【0149】
取付孔3には、FRP格子材100端部において、スラブ210との境界線に平行な、格子材100を構成する補強筋102を突出させ、その突出部分を取付孔3に挿入し、接着剤5にて固定する方法もあるが、取付孔3内に補強筋102突出部分を挿入するのが、既に硬化されたFRP格子材100では困難であり、施工における作業性において問題が生じるので、FRP格子材100の端辺に固定部材300を取り付け、その固定部材300を用いてスラブ210に固定する方法が行われる。固定部材300を用いれば、梁110bの周面1bを覆う寸法に曲げて形成されたFRP格子材100の完成品を用いることができ、施工が効率的に行える。
【0150】
本実施例においては、図10(a)、(b)に示すように、固定部材300として、実施例1と同様に、FRP格子材100を帯状にした格子帯状の定着用FRP格子材である継ぎ手310を使用する。
【0151】
本実施例においては、コンクリート面1cの補強部分において、FRP格子材100を構成する縦補強筋101と横補強筋102のうち、縦補強筋101をスラブ210に平行に配置し、横補強筋102がそれに交差する方向に配置されるものとする。
【0152】
本実施例では、継ぎ手310は、このFRP格子材100の一方向、ここではスラブ210に交差する補強筋102の方向を短くして帯状にし、長手方向の一辺において、取付孔3に挿入するために一定の間隔で突出部分を設けたものでり、梁110bの長手方向にわたって、梁面1cとスラブ210との境界に設置される。
【0153】
継ぎ手310として、FRP格子材100と同じ材質のものを使用し、その全体形状以外の構成や性質は図13、図14に示されたFRP格子材100と同様であり、設置するコンクリート面1bにおけるFRP格子材100の補強筋101及び102と同じ幅w、厚さtの補強筋311と312を、同じ格子間間隔W1で配置して構成されたものである。短い方向の補強筋を補強筋312とし、それに交差する長手方向の補強筋を補強筋311とする。短手方向の補強筋312はスラブ210に対向する側の端において、補強筋311を配置せずに突出部分となっている。長手方向311は、梁110bの長手方向に沿って設置され、短手方向312は、スラブ210の取付孔3に挿入する突出部分の長さ50mm〜500mmに格子材100の升目数個分の長さ100mm〜1000mmの長さを加えた長さを有する。
【0154】
尚、継ぎ手310となる格子材は、それが継ぎ重ねられるFRP格子材100を帯状に切断した形状をしているが、それを構成する材料は、必ずしも継ぎ重ねられるFRP格子材と同種類のものでなくともよく、FRPに限定されるものではない。
【0155】
この継ぎ手である定着用FRP格子材310を、図10(a)、(b)に示すように、壁コンクリート面1cに設置されたFRP格子材100上に、長手方向補強筋311が縦補強筋101と、短手方向補強筋312の升目部分が横補強筋102とぴったり重なるように配置するのが好ましい。
【0156】
又、梁110bの長さによって、継ぎ手310は適宜継ぎ合わすことが可能である。
【0157】
尚、ここでも、FRP格子材100を取り付ける前、コンクリート面1bをウォータージェットによって下地処理してコンクリート面1bのコンクリートの脆弱部を取り除き、表面積の大きな面を作ってモルタル4の付着強度を強力にする。
【0158】
又、ここでも、コンクリート面1bは、凹凸のない水平面であり、一様な水平面1b上にFRP格子材100がおかれ、図12(a)に示すように、FRP格子材100が平面1bから浮き上がった状態であるが、図12(b)に示されるように、コンクリート面1bにFRP格子材100が嵌合する溝100”を形成し、溝100”にFRP格子材100を嵌合させれば、梁110bに格子材100が一体化され、モルタル4の増量が薄くすることができ、効スペース化が望まれる。この場合、溝100”にFRP格子材100を嵌め込んだときの隙間はモルタルを充填して、モルタル4を上から塗りつけて埋没させる。尚、溝100”は、ダイヤモンドカッター等を用いて設けられる。
【0159】
コンクリート面1cにて棒部材200に沿った端部にて、継ぎ手310はFRP格子材100に、後から増厚されるモルタル4を介して物理的なかみ合わせによって結合されるが、他の方法で、例えば接着剤等で接着されてもよい。
【0160】
スラブ210には、前記に説明したように定着用FRP格子材310の補強筋312の突出部分が挿入される取付孔3が設けられている。
【0161】
本実施例では、前記に説明したコンクリート面1aの場合と同様に、コンクリート面1cのウォータージェットによる下地処理時に、継ぎ手310の補強筋312突出部の定着部として、コンクリート面1c端辺に沿って、棒部材200にウォータージェットで取付孔3を形成する。
【0162】
コンクリート面1cに平行な方向の取付孔3の幅w’は、継ぎ手である定着用FRP格子材310の短手方向補強筋312の幅をwとした時、「w’=w+(0mm〜50mm)」であり、通常は「w’=w+(1mm〜10mm)」であり、補強筋312がしっかりはまり込むような広さを有する。奥行きdは、FRP格子材100の格子間距離W1の0.1倍〜5倍であり、通常は0.5倍〜2倍、つまり、「d=(0.1〜5)×W1」で、通常は「d=(0.5〜2)×W1」ほどの奥行きである。又、コンクリート面1bに対して垂直方向の長さである深さ(t’)は、孔底部がコンクリート面1cと同一面にあることが好ましいが、50mm以下の距離分だけならコンクリート面1cより浮いた位置か、250mm以下の距離分だけなら掘り下げた位置でもよい。
【0163】
一方、定着用FRP格子材310において、補強筋312の取付孔3に挿入される長さは、50mmから取付孔3の奥行きdの長さ分の間の長さが必要であり、その分突出していることが必要であり、その突出部分の長さは、50mm〜500mmである。
【0164】
この取付孔3に、定着用FRP格子材310の棒部材200に交差する方向より突出している補強筋312端部を差し込んで、取付孔3と補強筋312の隙間に接着樹脂5を充填して、棒部材200に補強筋312端部を固定して、定着する。この時、接着樹脂5が取付孔3に十分に充填される。
【0165】
接着樹脂5は、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、常温硬化型エポキシ樹脂、熱硬化型エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、又は、MMAなどのラジカル反応系樹脂を少なくとも一種以上含む接着樹脂である。
【0166】
又、定着用FRP格子材310のような固定部材300を用いずに、コンクリート面1bに固定されるFRP格子材100の補強筋101又は102の端部を突出させて取付孔3に挿入する場合でも、上記に説明した取付孔3の構成や、取付孔3に対する補強筋101又は102の取付方法は、同様のものである。
【0167】
以上に説明したように、本実施例において、FRP格子材100が、端辺にてスラブ210のような水平面にて接合されている梁110bの周面であるコンクリート面1bに、FRP格子材100のスラブ210との境界である端辺に設置された固定部材300である定着用FRP格子材310を構成する補強筋312の突出部分が梁110bとの境界に沿ってスラブ210上に形成された取付孔3に挿入されて固定されることによって、梁110bに接合したスラブ210に固定することができ、コンクリート面1bとスラブ210がそれらの境界に沿って左右に互いにスリップすることを防止でき、それぞれのスリップ破壊を防ぐことができ、せん断補強性が向上できる。
【0168】
本実施例では、取付孔3はウォータージェットによってスラブ210を切削して形成するものとしたが、スラブ210を切削する手段はウォータージェットに限るものではなく、ドリル等を用いる方法でもよい。
【0169】
本発明によると、上述のように、梁110bの周面1bである1c、1c’1dのFRP格子材100を固定した側から、ポリマーやセメント等のモルタル4を塗付して所定の厚さT=3mm〜500mmで通常は5mm〜30mmに増厚する。このことによって、FRP格子材100及びそれに貼り付けられた定着用FRP格子材310が共にモルタル4に埋められ、しっかりとコンクリート面1bに定着される。
【0170】
そして、被覆モルタル4が、既存コンクリート1bと一体化することにより、FRP格子材100が、既設補強鉄筋と同様に機能するため、部材の耐力が向上する。
【0171】
そして、FRP格子材100が継ぎ手310によって端部がスラブ210にしっかり固定されるので、梁110b周面1bに固定するのに周面1bにアンカーボルトを打ち込む必要もなく、部材を損傷させることもない。
【0172】
つまり、FRP格子材100と同材質の定着用FRP格子材310を固定部材300として用いて、FRP格子材100端部をスラブ210に固定することにより、格子材100を確実にコンクリート面1aに固定することができ、高いせん断補強効果が得られる。
【0173】
そして、被覆モルタルが、既存コンクリートと一体化することにより、連続繊維格子筋が、既設補強鉄筋と同様に機能するため、部材の耐力が向上する。
【0174】
軽重量で、小断面積のFRP格子材を用いるため、壁が厚くなりすぎずに、大がかりにならず、作業が容易になり、広い空間が提供できる。又、コンクリートの大きな補強効果が期待でき、FRP格子材はFRPを原料とするので錆びて腐食する心配がないので、施工後のメンテナンスも容易である。
【0175】
実施例5
本実施例のコンクリート構造物の補強方法は、実施例4と同様のコンクリート部材であるコンクリート梁110bに対して実行され、同様に梁110bの周面であるコンクリート面1bに密着して覆うように成形したFRP格子材100シートを使用し、その端部を梁110bを設置した水平面であるスラブ210に固定し、モルタル4で所望の厚さTに増厚する方法であるが、FRP格子材100端部をスラブ210に固定するための固定部材300として、本実施例では、実施例2にて壁1aの補強に用いたものと同様の線状固定部材320を用いることが特徴である。
【0176】
図11(a)に補強された梁110bの断面図、及び図11(b)に補強面1bの正面図を示す。
【0177】
図11(b)に、本実施例によって補強されたコンクリート壁面1aの正面図を示す。本実施例においても、実施例1と同様のFRP格子材100が使用され、2枚のFRP格子材100シートの端と端を継いで、梁110bのスラブ210との接合面以外の周面1bを補強する。
【0178】
尚、本実施例においても、コンクリートスラブ110bの形状や、使用されるFRP格子材100シートの枚数は、これに限定されるものではない。
【0179】
本実施例において、梁110bとの境界に沿って、スラブ210に、実施例2と同様に固定部材300としての線状固定部材320が挿入されるための取付孔3cが設置される。取付孔3cは、スラブ210に垂直方向に、梁110bの長手にわたって一定の間隔で設けられる。本実施例では、その間隔W4はFRP格子材100の格子間間隔W1の約2倍とするが、それに限定されるものではない。
【0180】
そして、梁110b長手にわたって、実施例2で説明したと同様にしてそれぞれの取付孔3cに棒状部材320端部が挿入され接着剤等で固定され、取付孔3cから延長された線状固定部材320が、コンクリート面1bのうちスラブ210に隣り合ったコンクリート面1cにて、FRP格子材100におけるスラブ210に最も近い升目から1升目以上の升目における露出部1eに連結されて、露出部1eと、取付孔3cと、の間にて緊張し、FRP格子材100のスラブ210に平行で最も近い補強筋101aを締め付けて固定する。尚、線状固定部材320が連絡されるコンクリート壁面1cにおけるFRP格子材100の升目である露出部1eの位置は、スラブ210にできるだけ近い升目が好適だが、格子材100や梁110bの大きさによって適宜調整する。
【0181】
つまり、本実施例では、線状固定部材320は、FRP格子材100の升目であるコンクリート面1bとスラブ210とを連絡させることで、FRP格子材100を固定しているので、スラブ210に設けられる取付孔3cは、コンクリート面1cに設置されるFRP格子材100の升目に対向して設けられることが好適である。
【0182】
本実施例における露出部1eと線状固定部材320を連絡させる方法を、図11(a)、(b)を用いて説明する。
【0183】
本実施例では、図11(a)に示すように、スラブ210は板状部材210aの表面であり、梁110bのスラブ210に隣り合った2つのコンクリート面1c、1c’のスラブ210との境界に重なった端辺に沿って、取付孔3cはコンクリート面1cと1c’とで、互いに対称の位置に、それに対向したスラブ210において、それぞれ第1取付孔3c、第2取付孔3c’として設けられ、更に取付孔3c、3c’は、板状部材210aを貫通して設けられている。
【0184】
そして、線状固定部材320は、スラブ面210において、梁110bが設置された側から取付孔3cを貫通して、板状部材210aの裏面210’へと廻り、取付孔3c’より裏面210’から表面210側へと導かれる。そして、梁110bのスラブ210と隣り合った2つの面1cと1c’両側において、FRP格子材100、100’の升目である隙間部分に対向したコンクリート面露出部1e、1e’と、取付孔3c、3c’と、の間にて線状固定部材320が延在して、コンクリート面1c、1c’部分に設置されたFRP格子材100、100’のスラブ210との境界に重なる端部が固定される。
【0185】
簡単に説明すると、図11においては、線状固定部材320が、スラブ210を構成する板状部材210aの裏面210’を廻って、スラブ210に対する梁110bの境界部分から、梁110bのスラブ210に隣り合った面1cと1c’に設置されたFRP格子材100と100’両方の端部を固定し、梁110bの周面であるコンクリート面1bのFRP格子材100による補強を実行したものである。
【0186】
ここでも、図12(a)に示されるように、凹凸のない一様な面1c上にFRP格子材100を置くように設置しているが、図12(b)に示されるように、前記に説明した方法でFRP格子材100を嵌合する溝100”を設けて、溝100”内に格子材100を嵌め込んで設置するとより、格子材100がコンクリート面1cから浮き上がらないため、表面が滑らかになり、モルタル4の付着力が向上し、コンクリート面1bと格子材100が一体化され、強固な定着をなすことができる。
【0187】
そして、こうしてFRP格子材100の端部がスラブ210に固定された後に、モルタル4である被覆部材により格子材100を埋没させ、既設のコンクリート躯体と一体化させる。
【0188】
本実施例においても、上述のように、FRP格子材100を固定した側から、コンクリート面1b、ポリマーやセメント等のモルタル4を塗付して所定の厚さT=3mm〜500mmで通常は5mm〜30mmに増厚する。
【0189】
ここで、線状固定部材320としては、前記に説明したFRP格子材100を構成するFRP(繊維強化樹脂)と同じ材質のFRP補強筋を用いることができる。定着に使用するFRP補強筋は、予め樹脂を含浸させ、硬化又は反硬化状態としたもの、或いは現場で未硬化の樹脂を含浸させたものを用いる。FRP補強筋は、壁を貫通し、壁を貫通する部分及び、両端部は柱/梁に接着剤によって定着される。
【0190】
又、他には、線状固定部材320として、SR235、SD295、SD345等の鋼筋が使用されることもある。
【0191】
そして、線状固定部材320の径w2は、1mm〜50mmである。
【0192】
本実施例において、棒状部材320が挿入されるためのスラブ210に取付孔3cが設置される。取付孔3cの棒部材200に対する取付間隔W4は、はFRP格子材100の格子間間隔W1の約2倍とするが、それに限定されるものではない。
【0193】
本実施例でも、前記に説明したコンクリート面1bのウォータージェットによる下地処理時に、コンクリート面1c端辺に沿って、スラブ210に、ウォータージェットで取付孔3cを形成する。
【0194】
コンクリート面1cに平行な方向の取付孔3の幅w’は、線状固定部材320の外径をw2とした時、「w’=w2+(0mm〜50mm)」であり、通常は「w’=w2+(1mm〜10mm)」であり、線状固定部材310がしっかりはまり込むような広さを有する。又、コンクリート面1cに対して垂直方向の長さである深さ(t’)は、孔底部がコンクリート面1cと同一面にあることが好ましいが、50mm以下の距離分だけならコンクリート面1cより浮いた位置か、250mm以下だけなら掘り下げた位置でもよく、又、梁側面1cに対してt1=45°までの角度であれば、斜めに設けても良い。
【0195】
本実施例では、取付孔3はウォータージェットによってスラブ210を切削して形成するものとしたが、スラブ210を切削する手段はウォータージェットに限るものではなく、カッター等を用いる方法でもよい。
【0196】
本発明によると、上述のように、梁110bの周面1bである1c、1c’1dのFRP格子材100を固定した側から、ポリマーやセメント等のモルタル4を塗付して所定の厚さT=3mm〜500mmで通常は5mm〜30mmに増厚する。このことによって、FRP格子材100及び線状固定部材320が共にモルタル4に埋められ、しっかりとコンクリート面1bに定着される。
【0197】
そして、被覆モルタル4が、既存コンクリート1bと一体化することにより、FRP格子材100が、既設補強鉄筋と同様に機能するため、部材の耐力が向上する。
【0198】
そして、FRP格子材100が線状固定部材320によって端部がスラブ210にしっかり固定されるので、梁110b周面1bに固定するのに周面1bにアンカーボルトを打ち込む必要もなく、部材を損傷させることもない。
【0199】
つまり、線状固定部材320を固定部材300として用いて、FRP格子材100端部をスラブ210に固定することにより、格子材100を確実にコンクリート面1bに固定することができ、高いせん断補強効果が得られる。
【0200】
そして、被覆モルタルが、既存コンクリートと一体化することにより、FRP格子筋が、既設補強鉄筋と同様に機能するため、部材の耐力が向上する。
【0201】
軽重量で、小断面積のFRP格子材を用いるため、壁が厚くなりすぎずに、大がかりにならず、作業が容易になり、広い空間が提供できる。又、コンクリートの大きな補強効果が期待でき、FRP格子材はFRPを原料とするので錆びて腐食する心配がないので、施工後のメンテナンスも容易である。
【0202】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るコンクリート構造物補強方法は、繊維強化樹脂とされる複数の補強筋を格子状に配置して形成されたFRP格子材をコンクリート面に固定して、固定されたFRP格子材の側からセメントモルタルか、又は、ポリマーモルタルを塗付して増厚する、コンクリート構造物を補強する方法において、
(A)FRP格子材を固定するコンクリート面は上下方向に配置された平面であり、その外周において、棒部材が平面より浮き上がって配置されており、コンクリート面上に設置されたFRP格子材が、コンクリート面の端辺において、FRP格子材端辺が棒部材に固定されるか、又は、
(B)FRP格子材を固定するコンクリート面は、周方向が複数の平面にて形成され、複数の周平面のひとつをコンクリート構造物が有する水平面に接合させた棒状コンクリート部材の、水平面との接合面以外の周平面であり、FRP格子材にて棒状コンクリート部材の水平面との接触面以外の周平面を覆い、周平面のうち水平面と隣り合ったコンクリート面において、FRP格子材の水平面との境界に重なる端辺が水平面に固定されるので、
(1)端辺が柱や梁のような棒部材に囲まれたコンクリート部材である壁板の壁面であるコンクリート面をFRP格子材を用いて補強する際、FRP格子材端部を壁の外周である柱や梁に固定することにより、格子材を確実にコンクリート面に固定することができ、高いせん断補強効果が得られる。そして、壁の負担力を外周の柱や梁に伝達できるため、コンクリート構造物全体の耐力が向上する。
(2)スラブのような水平面に設置された棒状コンクリート部材である梁等において、FRP格子材端部をスラブに固定することにより、格子材を確実に梁の周面であるコンクリート面に固定することができ、高いせん断補強効果が得られる。そして、被覆モルタルが、既存コンクリートと一体化することにより、FRP格子材が、既設補強鉄筋と同様に機能するため、部材の耐力が向上する。
(3)軽量かつ高強度の連続繊維FRP格子材を用いているため、作業がしやすく安全で、またコンクリートの大きな補強効果が期待でき、FRP格子材はFRPを原料とするので錆びて腐食する心配がないので、施工後のメンテナンスも容易である。又、薄く、小断面積であるので、コンクリート構造物が大がかりにならずにすむ。
(4)従来の拡張アンカーとボルトナットを用いる場合に比べ、桁を構成する既設コンクリートや鉄筋、PC鋼材に損傷を与えることなしに、FRP格子材の固定が簡易にしっかりと行え、ボルトの突出長さを小さくしてモルタルのひび割れを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るFRP格子材にて補強されたコンクリート壁の一例を示す正面図(図1(a))と断面図(図1(b))である。
【図2】本発明に係るFRP格子材にて補強されたコンクリート壁の一例を示す部分正面図(図2(a))と部分断面図(図2(b))である。
【図3】本発明に係るFRP格子材にて補強されたコンクリート壁の他の例を示す正面図である。
【図4】本発明に係るFRP格子材にて補強されたコンクリート壁の他の例を示す部分正面図(図4(a))と部分断面図(図4(b))である。
【図5】本発明に係るFRP格子材にて補強されたコンクリート壁の他の例を示す部分正面図(図5(a))と部分断面図(図5(b))である。
【図6】本発明に係るFRP格子材にて補強されたコンクリート壁の他の例を示す部分正面図(図6(a))と部分断面図(図6(b))である。
【図7】実験例1における試験体を示す正面図である。
【図8】実験例1の結果を示すグラフである。
【図9】本発明に係るFRP格子材にて補強されたコンクリート梁の一例を示す斜視図である。
【図10】本発明に係るFRP格子材にて補強されたコンクリート梁の一例を示す断面図(図10(a))と正面図(図10(b))である。
【図11】本発明に係るFRP格子材にて補強されたコンクリート梁の他の例を示す断面図(図11(a))と正面図(図11(b))である。
【図12】本発明に係るFRP格子材にて補強されたコンクリート面の一例(図12(a))、及び他の例(図12(b))を示す断面図である。
【図13】本発明に係るFRP格子材の一例を示す斜視図である。
【図14】本発明に係るFRP格子材の一例を示す拡大斜視図である。
【図15】従来のFRP格子材にて補強されたコンクリート面の3つの例を示す断面図である。
【図16】従来のFRP格子材にて補強されたコンクリート壁の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1a 壁面(コンクリート面)
1b 梁周面(コンクリート面)
3、3a、3c 取付孔
4 モルタル
5 接着剤
8 ボルト
9 座金
100 FRP格子材
110a 壁板(コンクリート部材)
110b 梁(棒状コンクリート部材)
200 外周フレーム(棒部材)
201 梁(棒部材)
202 柱(棒部材)
210 スラブ(水平面)
300 固定部材
310 継ぎ手(定着用FRP格子材)
320 線状固定部材
330 シート部材

Claims (37)

  1. 繊維強化樹脂とされる複数の補強筋を格子状に配置して形成されたFRP格子材をコンクリート面に固定して、固定された前記FRP格子材の側からセメントモルタルか、又は、ポリマーモルタルを塗付して増厚する、コンクリート構造物を補強する方法において、
    前記FRP格子材を固定する前記コンクリート面の外周において、棒部材が配置されており、
    前記コンクリート面上に設置される前記FRP格子材は、その端辺が固定部材を有して前記棒部材に固定されることを特徴とするコンクリート構造物の補強方法。
  2. 前記棒部材は、コンクリート面の上下及び/又は左右端辺に配置された柱、梁、桁であることを特徴とする請求項1のコンクリート構造物の補強方法。
  3. 前記コンクリート面には、前記FRP格子材が嵌合する溝が設けられ、該溝に前記FRP格子材は嵌合されていることを特徴とする請求項1又は2のコンクリート構造物の補強方法。
  4. 前記コンクリート面端辺に沿って、前記棒部材に複数の取付孔を設け、該取付孔を用いて前記固定部材を、前記棒部材に固定することを特徴とする請求項1、2又は3のコンクリート構造物の補強方法。
  5. 前記固定部材は、複数の補強筋を格子状に配置し、一辺において該補強筋が突出している定着用FRP格子材であり、該定着用FRP格子材を前記FRP格子材端辺部分に重ねて設置し、そして前記定着用FRP格子材における前記補強筋の突出部分が、前記取付孔内に固定されることを特徴とする請求項4のコンクリート構造物の補強方法。
  6. 前記取付孔の幅は、前記FRP格子材の前記補強筋の幅+(0mm〜50mm)で、奥行きは前記FRP格子材の1升の格子間距離の0.1倍〜5倍であることを特徴とする請求項4又は5のコンクリート構造物の補強方法。
  7. 前記取付孔は、前記コンクリート面と同一平面上にあるか、或いは前記コンクリート面から50mm以下の距離だけ浮かせた位置と、前記コンクリート面から250mm以下の深さ分掘り下げた位置と、の間にあることを特徴とする請求項4、5又は6のコンクリート構造物の補強方法。
  8. 前記固定部材は、線状固定部材であり、前記FRP格子材の隙間部分に対応するコンクリート面露出部と、前記取付孔内と、の間にて延在して、前記コンクリート面に固定されることを特徴とする請求項4のコンクリート構造物の補強方法。
  9. 前記FRP格子材を固定する前記コンクリート面は、対向配置された前記棒部材間に、前記棒部材との接合部を端部として形成された板状コンクリート部材の表及び/又は裏面であり、該表面と裏面の両面より前記棒部材は浮き上がっており、
    前記板状コンクリート部材の表と裏面の両方の前記コンクリート面端部にて、前記棒部材に前記取付孔を設け、
    前記コンクリート面の前記FRP格子材の隙間部分のコンクリート面露出部にて、前記板状コンクリート部材の表面から裏面へと貫通する貫通穴が設けられ、
    前記貫通穴を貫通した前記線状固定部材両端部が曲げられて、該端部が前記コンクリート部材の表面及び裏面において前記棒部材の前記取付孔に固定されることを特徴とする請求項8のコンクリート構造物の補強方法。
  10. 前記線状固定部材は、FRP樹脂にて形成されたことを特徴とする請求項8又は9のコンクリート構造物の補強方法。
  11. 前記線状固定部材は、金属にて形成されたことを特徴とする請求項8又は9のコンクリート構造物の補強方法。
  12. 前記線状固定部材は、外径1mm〜50mmであることを特徴とする請求項8〜11のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の補強方法。
  13. 前記取付孔の幅は、前記線状固定部材の外径+(0mm〜50mm)で、奥行きは前記FRP格子材の1升の格子間距離の0.1倍〜5倍であることを特徴とする請求項8〜12のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の補強方法。
  14. 前記取付孔は、前記コンクリート面と同一平面上にあるか、或いは前記コンクリート面から50mm以下の距離だけ浮かせた位置と、前記コンクリート面から250mm以下の深さ分掘り下げた位置と、の間にあることを特徴とする請求項8〜13のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の補強方法。
  15. 前記棒部材の周面が前記固定部材としてのシート部材に覆われ、該シート部材端部が前記コンクリート面上の前記FRP格子材端辺に重ね合わされ、その前記シート部材と前記FRP格子材の重ね合わされた部分がボルトにて前記コンクリート面に固定されることを特徴とする請求項1、2又は3のコンクリート構造物の補強方法。
  16. 前記FRP格子材を固定する前記コンクリート面は、対向配置された前記棒部材間に、前記棒部材との接合部を端部として形成された板状コンクリート部材の表面及び/又は裏面であり、前記棒部材の周面が前記固定部材としてのシート部材に覆われ、該シート部材端部が前記板状コンクリート部材の表面及び/又は裏面において前記コンクリート面上の前記FRP格子材端辺に重ね合わされ、その前記シート部材と前記FRP格子材の重ね合わされた部分が、前記ボルトとしての前記板状コンクリート部材を貫通する貫通ボルトによって、固定されることを特徴とする請求項15のコンクリート構造物の補強方法。
  17. 前記ボルトは、角の部分を前記棒部材と前記コンクリート面との境界に接触させて配置されるL字断面の座金と共に使用されることを特徴とする請求項15又は16のコンクリート構造物の補強方法。
  18. 前記シート部材は、強化繊維を少なくとも一方向に配列した強化繊維シートにマトリクス樹脂を含浸し、硬化して形成されたものであるか、又は、強化繊維を織成したクロス或いは強化繊維から構成されるマットにマトリクス樹脂を含浸し、硬化して形成されたものであることを特徴とする請求項15、16又は17のコンクリート構造物の補強方法。
  19. 繊維強化樹脂とされる複数の補強筋を格子状に配置して形成されたFRP格子材をコンクリート面に固定して、固定された前記FRP格子材の側からセメントモルタルか、又は、ポリマーモルタルを塗付して増厚する、コンクリート構造物を補強する方法において、
    前記FRP格子材を固定する前記コンクリート面は、周方向が複数の平面にて形成され、該複数の周平面のひとつを前記コンクリート構造物が有する水平面に接合させた棒状コンクリート部材の、前記水平面との接合面以外の周平面であり、
    前記FRP格子材にて前記棒状コンクリート部材の前記水平面との接触面以外の周平面を覆い、該周平面のうち前記水平面と隣り合ったコンクリート面において、前記FRP格子材の前記水平面との境界に重なる端辺が固定部材を有して前記水平面に固定されることを特徴とするコンクリート構造物の補強方法。
  20. 前記棒状コンクリート部材は、梁であることを特徴とする請求項19のコンクリート構造物の補強方法。
  21. 前記コンクリート面には、前記FRP格子材が嵌合する溝が設けられ、該溝に前記FRP格子材は嵌合されていることを特徴とする請求項19又は20のコンクリート構造物の補強方法。
  22. 複数枚の前記FRP格子材を継ぎ合わせて、前記コンクリート面である複数の周平面を覆うことを特徴とする請求項19、20又は21のコンクリート構造物の補強方法。
  23. 前記水平面に隣り合った前記コンクリート面の、前記水平面との境界に重なった端辺に沿って、前記水平面に複数の取付孔を設け、該取付孔を用いて前記固定部材を前記水平面に固定することを特徴とする請求項19〜22のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の補強方法。
  24. 前記固定部材は、複数の補強筋を格子状に配置し、一辺において該補強筋が突出している定着用FRP格子材であり、該定着用FRP格子材を前記FRP格子材の前記水平面との境界に重なる端辺部分に重ねて設置し、そして前記定着用FRP格子材における前記補強筋の突出部分が、前記取付孔内に固定されることを特徴とする請求項23のコンクリート構造物の補強方法。
  25. 前記取付孔の幅は、前記FRP格子材の前記補強筋の幅+(0mm〜50mm)で、奥行きは前記FRP格子材の1升の格子間距離の0.1倍〜5倍であることを特徴とする請求項23又は24のコンクリート構造物の補強方法。
  26. 前記取付孔は、前記コンクリート面と同一平面上にあるか、或いは前記コンクリート面から50mm以下の距離だけ浮かせた位置と、前記コンクリート面から250mm以下の深さ分掘り下げた位置と、の間にあることを特徴とする請求項23、24又は25のコンクリート構造物の補強方法。
  27. 前記固定部材は線状固定部材であり、前記水平面に隣り合ったコンクリート面において前記FRP格子材の隙間部分におけるコンクリート面露出部と、前記取付孔内と、の間にて延在して、前記コンクリート面に固定されることを特徴とする請求項23のコンクリート構造物の補強方法。
  28. 前記水平面は板状部材の表面であり、前記コンクリート面を有する前記棒状コンクリート部材の前記周平面のうち、前記水平面に接合した面の両側に隣り合った2つの前記コンクリート面の前記水平面との境界に重なった端辺に沿って、前記取付孔は前記水平面に隣り合った2つのコンクリート面に対して互いに対称の位置に、前記水平面に、前記取付孔が、それぞれ第1取付孔、第2取付孔として前記板状部材を貫通して設けられ、
    前記線状固定部材は、前記水平面側から前記第1取付孔を貫通して前記板状部材の裏面へと廻り、前記第2取付孔より裏面から前記水平面へと導かれ、
    前記水平面に隣り合った2つの前記コンクリート面の前記FRP格子材の隙間部分であるコンクリート面露出部と、前記第1取付孔と又は前記第2取付孔と、の間にて前記線状固定部材が延在して、前記水平面に隣り合った2つの前記コンクリート面における前記FRP格子材両端部が固定されることを特徴とする請求項27のコンクリート構造物の補強方法。
  29. 前記線状固定部材は、FRP樹脂にて形成されたことを特徴とする請求項27又は28のコンクリート構造物の補強方法。
  30. 前記線状固定部材は、金属にて形成されたことを特徴とする請求項27又は28のコンクリート構造物の補強方法。
  31. 前記線状固定部材は、外径1mm〜50mmであることを特徴とする請求項27〜30のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の補強方法。
  32. 前記取付孔の幅は、前記線状固定部材の外径+(0mm〜50mm)であることを特徴とする請求項27〜31のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の補強方法。
  33. 前記取付孔は、前記コンクリート面と同一平面上にあるか、或いは前記コンクリート面から50mm以下の距離だけ浮かせた位置と、前記コンクリート面から250mm以下の深さ分掘り下げた位置と、の間にあることを特徴とする請求項27〜32のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の補強方法。
  34. 固定された前記FRP格子材の表面に塗付される前記セメントモルタルか、又は、前記ポリマーモルタルによる補強層の厚さが3mm〜500mmであることを特徴とする請求項1〜33のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の補強方法。
  35. 前記FRP格子材において、前記補強筋は、互いに1〜50cm離間して格子状に配置されることを特徴とする請求項1〜34のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の補強方法。
  36. 前記FRP格子材において、前記補強筋は、幅が1〜50mm、厚さが1〜50mmとされることを特徴とする請求項1〜35のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の補強方法。
  37. 前記繊維強化樹脂は強化繊維にマトリクス樹脂を含浸して形成され、前記強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維を含む無機繊維;ボロン、チタン、スチール等の金属繊維;アラミド、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、PBО、高強度ポリプロピレン等の有機繊維;等から選択されるいずれかの繊維であるか、或いは、前記繊維を複数種混入したハイブリッドタイプとされ、又、前記マトリクス樹脂は、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、常温硬化型エポキシ樹脂、熱硬化型エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、又は、MMA等のラジカル反応系樹脂を少なくとも一種以上含むことを特徴とする請求項1〜36のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の補強方法。
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