JP2004307875A - めっき装置およびめっき方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】めっき面のほぼ全面にわたって、均一なめっき厚でのめっきを行うことが可能なめっき装置およびめっき方法を提供する。
【解決手段】めっき槽4と、被めっき物Wを装着でき、装着された被めっき物Wを、めっき槽4内のめっき液2中に浸漬された状態に保持すると共に、陰極6bに電気的に接続する保持治具8と、めっき槽4内に配設された陽極板10と、先端のノズル部12aよりめっき面Waにめっき液2を噴射するノズル12と、透孔14a,15a,16aが形成され、ノズル部12aより噴射されためっき液2が透孔14a,15a,16aを通してめっき面Waに向かうように、ノズル部12aとめっき面Waとの間に、めっき面Waとほぼ平行に配設され、互いに所定の間隔をあけて並べられた、絶縁体からなる複数の遮蔽板14,15,16とを備え、透孔14a,15a,16aは、めっき面Waに近い遮蔽板14,15,16ほど大きく形成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】めっき槽4と、被めっき物Wを装着でき、装着された被めっき物Wを、めっき槽4内のめっき液2中に浸漬された状態に保持すると共に、陰極6bに電気的に接続する保持治具8と、めっき槽4内に配設された陽極板10と、先端のノズル部12aよりめっき面Waにめっき液2を噴射するノズル12と、透孔14a,15a,16aが形成され、ノズル部12aより噴射されためっき液2が透孔14a,15a,16aを通してめっき面Waに向かうように、ノズル部12aとめっき面Waとの間に、めっき面Waとほぼ平行に配設され、互いに所定の間隔をあけて並べられた、絶縁体からなる複数の遮蔽板14,15,16とを備え、透孔14a,15a,16aは、めっき面Waに近い遮蔽板14,15,16ほど大きく形成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、めっき装置およびめっき方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体チップを配線基板に電気的に接続するには、ワイヤボンディング法、TAB法の他にフリップチップ接続法が知られている。
このフリップチップ接続は、多ピン化および信号伝播遅延時間の短縮化等の要求を満たすことができるので次第に普及しつつある。特にはんだバンプ等によるフリップチップ接続は、一括接合が可能であるため、広く用いられるようになってきた。半導体チップにフリップチップ接続用のはんだバンプを形成する方法としては、電気めっき法等がある。
【0003】
従来、電気めっき法により半導体チップにはんだバンプ等の外部接続端子を形成するには次のような方法によっていた。
まず、多数の半導体チップの回路配線がなされたウェハ上にTi/Cu 、Cr/Cu 、Cr/Ni などのアンダーバリアメタルとよばれる金属層をスパッタリングや無電解めっき等により全面に形成する。
その上に液状フォトレジストを数回塗布して厚さ50μm程度のレジスト膜を形成する。このレジスト膜にフォトリソグラフィー工程により微細ホールを形成し、バンプを形成すべき金属層の部位を露出させる。
【0004】
そして電気めっき法により、露出した金属層上にはんだバンプを形成する。
次いでレジスト膜を除去し、バンプ形成部分を除くアンダーバリアメタルをエッチングにより除去する。
このようにウェハの段階で各チップに必要なバンプを形成し、その後にウェハを個片の半導体チップに切断する。
【0005】
図7は上記電気めっき法に一般的に使用するめっき装置Yである。
70は外槽、72はカップで上向きに設けられている。74はカップ72内の下部に水平に配設された陽極板、76は外槽70および陽極板74を貫通して先端がカップ72内の下部に開口されためっき液噴出管である。また78はウェハ80を電気的に接続して保持可能な保持治具であり、図示のごとく、ウェハ80のめっき面を下向きにしてカップ72の開口部に配置させるようになっており、また陰極を兼ねる。
めっき液は図示のように噴出管76からカップ72内に供給され、さらにウェハ80のめっき面に向けて噴出されるのである。そして両電極に通電されて上記のようにはんだバンプが形成されることになる。
めっき液は、保持治具78とカップ72の口縁との間隙からオーバーフローして外槽70内に落下し、排出管82からタンクに戻される。
【0006】
ところで、従来の上記めっき装置Yによるバンプの形成には次のような課題がある。
カップ72の口縁は外槽70に開放されているので、抵抗の少ない外槽70内へオーバーフローするめっき面周辺側のめっき液の流速は中央側より大きく、そのため中央側にめっきが厚く付く傾向にあり、めっきの付きまわり(被着しためっきの厚さ)にばらつきが生じるという課題がある。
【0007】
また、多数の微細ホールを形成したウェハを下向きにしてめっき装置Yに装着し、下方からめっき液を噴射してめっきを行うものであるため、微細ホールにエアが残りやすく、このため全くめっきが形成されないホールや、不十分なホールがあったりして歩留りが低下するという課題がある。
【0008】
本願出願人は、従前、図7のめっき装置Yの上記課題を解決すべく、特許文献1を開示している。
特許文献1に記載のめっき装置は、めっき槽と、陰極に接続されると共に、被めっき物(ウェハ)が電気的に接続されて着脱可能に装着でき、装着される被めっき物を前記めっき槽のめっき液中にめっき液に対してほぼ垂直に、もしくはめっき面が上を向くように斜めに浸漬可能な保持治具と、保持治具に装着される被めっき物の前方に、めっき面と若干の間隔を存して、かつ軸線がめっき面とほぼ垂直となるように配置される、絶縁体からなる筒体と、筒体内に、被めっき物のめっき面と対向して配置される陽極板と、陽極板を貫通して配置され、前記筒体内に位置する先端のノズル部よりめっき液をめっき面に噴射するノズルとを具備することを特徴としている。
【0009】
特許文献1に記載のめっき装置によれば、被めっき物(ウェハ)のめっき面全体がめっき液中に埋没していることから、ノズルから噴出されるめっき液は、めっき面の周辺部と筒体端面との間の隙間から外方のめっき液中に流出する。このようにめっき液が液中に流出する場合、液からの流れ抵抗が大きく、流出速度が低くなり、めっき面の中央部と周辺部とでめっき液の流速に大きな差異をなくすことができ、これによって、めっき面の中央部と周辺部とのめっきの付きまわりのばらつきを抑えることができるものとしている。
また、微細ホールが横方向、もしくは上向きの方向となり、しかもめっき液がめっき面に対して垂直な方向から噴出されることから、エアの逃げが良好となり、微細なホール内であっても良好にめっきが行えるものとしている。
【0010】
ところで、近年、半導体チップの更なる小型化、高集積化により、バンプの形状の一層の高精度化が求められている。また、ウェハをより高効率に利用するために、半導体チップが、ウェハの縁部の近く、例えば縁部から5mm程度の距離まで形成されるようになってきている。
これに伴い、近年は、ウェハの縁部付近まで、かつウェハ全面にわたって、より厳しく均一な厚さのめっきを形成することが求められている。
【0011】
電解めっきを行う場合、一般的に、被めっき物の縁部は電流密度が高くなり、縁部以外の箇所に比較して、めっきが厚く付いてしまう傾向がある。
特許文献1に記載されためっき装置は、従来は十分なめっき厚の均一化が図れるものであったが、陽極板とウェハの全面とが対向しているため、やはりウェハの縁部に電流が集中して電流密度が高くなり、ウェハの縁部に向かうほどめっき厚が若干厚くなってしまい、近年の厳しいめっき厚の均一化、特にウェハ縁部までのめっき厚の均一化の要求には応えられない。
【0012】
そこで、本願出願人は、ウェハの全面および縁部付近でのめっき厚のより一層の均一化を図るため、図8に示すめっき装置Zを開発した。図8に示すめっき装置Zは、特許文献1のめっき装置の構成に加え、ウェハWのめっき面Waの外形よりも小さな円形の透孔92aが形成され、ノズル94のノズル部94aより噴射されためっき液がその透孔92aを通してめっき面Waに向かうよう、ノズル部94aとめっき面Waとの間に配設された、絶縁体からなる遮蔽板92を備える。
【0013】
これによれば、陽極板90とウェハWの縁部との間は、絶縁体からなる遮蔽板92で遮蔽され、一方陽極板90とウェハWの中央部との間は、透孔92aを通して直接対向するため、特許文献1に記載されためっき装置に比較して、ウェハWの縁部の電流密度を低く抑えることができ、ウェハWのめっき厚をより均一化することが可能である。
【0014】
図9,図10に、図8のめっき装置Zによって、直径200mmの円形のウェハの片面の全面に、ベタめっきを施した場合の、めっき厚の計測値を示したグラフおよびデータを示す。図9は、遮蔽板92の透孔92aを、直径160mmの円形に形成した場合のグラフおよびデータであり、図10は、遮蔽板92の透孔92aを、直径130mmの円形に形成した場合のグラフおよびデータである。また、図9(a),図10(a)は、保持治具90に保持されたウェハWの、めっき面Waの中心を通る直線上の、それぞれの間隔が10mmの各点毎に、めっき厚を計測したグラフである。図9(a)および図10(a)において、横軸はウェハWの縁部からの距離(単位:mm)を示しており、縦軸は、めっき厚(単位:μm)を示している。図9(b),図10(b)は、ウェハWの縁部から5mmより内側での、めっき厚の各計測値の、MAX(最大値)、MIN(最小値)、AVE(平均値)、σ(標準偏差)、R(MAX−MIN)のデータを示す表である。また、外周MAXとは、ウェハWの縁部におけるめっき厚の最大値である。
【0015】
【特許文献1】
特開平10−275811号公報(第1図、段落0011、0019)
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
図8のめっき装置Zは、特許文献1のめっき装置に比較すればより均一なめっき厚でめっきをできるものの、図9,図10に示したように、ウェハWの縁部から5mmより内側でも30μm以上のめっき厚のばらつきがあり、近年の厳しいめっき厚の均一化の要求に応えるにはまだ不十分で、特にウェハの縁部付近においてめっき厚が厚くなってしまうという課題がある。
【0017】
なお、本願発明者は、上記遮蔽板92の透孔92aの径や、遮蔽板92の配設位置等を様々に変化させてめっき厚の測定を行ったが、いずれもめっき厚の均一さを満足することができなかった。
【0018】
本発明は、上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、めっき面のほぼ全面にわたって、より均一なめっき厚でのめっきを行うことが可能なめっき装置およびめっき方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るめっき装置は、上記課題を解決するために以下の構成を備える。
即ち、めっき槽と、被めっき物を着脱可能に装着でき、装着された被めっき物を、前記めっき槽内のめっき液中に浸漬された状態に保持すると共に、陰極に電気的に接続する保持治具と、前記めっき槽内に、前記保持治具に装着される被めっき物のめっき面と対向するよう配設された陽極板と、前記めっき槽内に、先端のノズル部が前記めっき面と対向するように前記保持治具と前記陽極板との間に配設され、該ノズル部より該めっき面にめっき液を噴射するノズルと、透孔が形成され、前記ノズル部より噴射されためっき液が該透孔を通して前記めっき面に向かうように、該ノズル部と該めっき面との間に、該めっき面とほぼ平行に配設され、互いに所定の間隔をあけて並べられた、絶縁体からなる複数の遮蔽板とを備え、前記透孔の開口径は、前記めっき面に近い前記遮蔽板ほど大きく形成されていることを特徴とする。
これによれば、めっき面の縁部に向かうほど遮蔽板との距離が短くなるため、めっき面の縁部において、めっき面に沿って流れるめっき液の流速が高められると共に電流密度が低くなり、めっきが付くのが抑えられる。
【0020】
さらに、各遮蔽板の透孔は、前記めっき面の外形よりも小さく形成されていることを特徴とする。
これによれば、めっき面の縁部と遮蔽板との距離が近くなり、遮蔽板の上記作用を高めることができる。
【0021】
また、各遮蔽板の外周間の間隙は、該遮蔽板間をめっき液が通過しないよう、閉塞されていることを特徴とする。
これによれば、ノズル部から噴射されて流れるめっき液が、遮蔽板の間から逃げて、めっき面の縁部におけるめっき液の流速が落ちてしまうのを防ぐことができる。
【0022】
また、遮蔽板を3枚備えることを特徴とする。
これによれば、めっき厚が好適に均一化されることが、実験により確認されている。
【0023】
また、めっき槽と、被めっき物を着脱可能に装着でき、装着された被めっき物を、前記めっき槽内のめっき液中に浸漬された状態に保持すると共に、陰極に電気的に接続する保持治具と、前記めっき槽内に、前記保持治具に装着される被めっき物のめっき面と対向するよう配設された陽極板と、前記めっき槽内に、先端のノズル部が前記めっき面と対向するように前記保持治具と前記陽極板との間に配設され、該ノズル部より該めっき面にめっき液を噴射するノズルと、前記めっき面の外形よりも小さな透孔が形成され、前記ノズル部より噴射されためっき液が該透孔を通して前記めっき面に向かうように、該ノズル部と該めっき面との間に配設された、絶縁体からなる遮蔽板とを備え、該遮蔽板の前記めっき面側の面は、外縁に向かうほど該めっき面に近づくよう形成されていることを特徴とする。
これによれば、めっき面の縁部に向かうほど遮蔽板との距離が短くなるため、めっき面の縁部において、めっき面に沿って流れるめっき液の流速が高められると共に電流密度が低くなり、めっきが付くのが抑えられる。
【0024】
また、保持治具は、めっき槽内のめっき液中に浸漬された状態の被めっき物を、めっき面がほぼ鉛直に、または該めっき面が上を向くように傾斜させて保持することを特徴とする。
これによれば、めっき面が横方向、もしくは上向きの方向となることから、めっき面のエアが逃げて、良好にめっきが行える。特に、めっきを施す箇所が微細なホール内であっても(例えばウェハ上のホール内にバンプを形成する場合であっても)良好にめっきが行える。
【0025】
また、ノズルは、前記陽極板を貫通して配置されていることを特徴とする。
これによれば、ノズル部をめっき面の中央部に向けて配設でき、めっき面上のめっき液の流速を均一化できると同時に、陽極板の中央部とめっき面の中央部とを対向させることができ、めっき面全面の電流密度を均一に保つことができる。
【0026】
また、陽極板の背面を覆って絶縁物が取り付けられていることを特徴とする。
これによれば、陽極板背面から電気力線が漏出するのを防ぐことができ、被めっき物、特に被めっき物の縁部に、電気力線が回り込むのを防止できると共に、めっき面に対して効率的に電気力線を向けてめっき効率を向上させることができる。
【0027】
また、各遮蔽板よりもノズル部側に、該ノズル部と陽極板とが内方に位置し、軸線が前記めっき面とほぼ垂直となるよう配設された、絶縁体からなる筒体を備えることを特徴とする。
これによれば、めっき槽の周縁に向けて電気力線が漏出するのを防ぐことができ、被めっき物、特に被めっき物の縁部に、電気力線が回り込むのを防止できると共に、めっき面に対して効率的に電気力線を向けてめっき効率を向上させることができる。
【0028】
また、ノズル部が、多数の小孔が形成されたシャワーノズルに形成されていることを特徴とする。
【0029】
また、被めっき物は、半導体ウェハであることを特徴とする。
これによれば、半導体ウェハの表面全面に均一にめっきを施すことができる。
【0030】
また、本発明に係るめっき方法は、上記課題を解決するために以下の構成を備える。
即ち、請求項1〜11のうちのいずれか一項記載のめっき装置を用いて、被めっき物にめっきを施すことを特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0032】
図1は、本発明の第一の実施の形態に係るめっき装置Aを示す平断面説明図である。
めっき装置Aは、めっき液2が入れられるめっき槽4と、直流のめっき用電源(図示せず)と、被めっき物としての円形の半導体ウェハW(以下単にウェハ)を着脱可能に装着でき、装着されたウェハWを、めっき槽4内のめっき液2中に浸漬された状態に保持すると共に、前記電源の陰極に電気的に接続する保持治具8と、前記電源の陽極に電気的に接続され、めっき槽4内に、保持治具8に装着されるウェハWの片面のめっき面Waと対向するよう配設された陽極板10と、めっき槽4内に、先端のノズル部12aが前記めっき面Waと対向するように保持治具8と陽極板10との間に配設され、ノズル部12aよりめっき面Waにめっき液2を噴射するノズル12と、それぞれ透孔14a,15a,16aが形成され、ノズル部12aより噴射されためっき液2がそれぞれの透孔14a,15a,16aを通してめっき面Waに向かうよう、ノズル部12aとめっき面Waとの間に、めっき面Waとほぼ平行に配設され、互いに所定の間隔をあけて並べられた、絶縁体からなる3枚の遮蔽板14,15,16とを備え、各透孔14a,15a,16aは、めっき面Waに近い遮蔽板ほどその開口径が大きく形成されている。また、めっき装置Aは、各遮蔽板14,15,16よりもノズル部12a側(即ち、最もノズル部12a側の遮蔽板14よりもノズル部12a側)に、ノズル部12aと陽極板10とが内方に位置し、軸線がめっき面Waとほぼ垂直となるよう配設された、絶縁体からなる円筒状の筒体20を備える。
【0033】
保持治具8は、ウェハWを保持爪8aで縁部を挾持することにより電気的に接続して着脱可能に保持しうるようになっている。また保持治具8は、ウェハWをめっき液2の水面に対して垂直、即ち鉛直に保持し、ウェハWのめっき面Waの全体をめっき液2中に浸漬するようになっている。もちろん、保持治具8は図示しない適当な支持部材(陰極棒であってもよい)に支持されるようになっている。
【0034】
陽極板10は、円板状に形成され、筒体20内に、めっき面Waの正面に対向して配置される。即ち、陽極板10は、陽極板10の中心と、円形のめっき面Waの中心とを結ぶ直線が、陽極板10とめっき面Waとの両者の垂線となるように配置される。
陽極板10は、めっき液2中にウェハWのめっき面Waと対向して適宜部材に支持されて配設されている。
また、陽極板10の背面側には、樹脂等からなる絶縁体18が固定配置されている。
【0035】
ノズル12は、めっき槽4、絶縁体18、および陽極板10の中心を貫通して先端のノズル部12aが筒体20内に位置し、なおかつめっき面Waと対向して位置するように、配置されている。
ノズル12の後端側は適当なホースを介してめっき液タンク(図示せず)に接続されており、噴射ポンプ(図示せず)によりめっき液タンク内のめっき液2がノズル部12aからめっき面Waに向けて噴射されるようになっている。
ノズル部12aは、多数の小孔が設けられたシャワーノズルに形成されている。
【0036】
めっき槽4には、めっき槽4内からめっき液タンクにめっき液2を戻す排出管22が設けられる。すなわち、めっき液2は循環使用され、めっき槽4内のめっき液2の水位は常に一定に保たれる。
【0037】
筒体20は、樹脂等の絶縁体からなり、ウェハWのめっき面Waの前方側のめっき液2中に位置し、かつ軸線がめっき面Waとほぼ垂直となり、かつ軸線上に陽極板10の中心およびノズル部12aが位置するよう、図示しない支持部材に支持されて配設される。筒体20の内壁面と陽極板10の外周面との間には、間隙が形成されるよう設けられる。
また、筒体20は、最もノズル部12a側の遮蔽板14と若干の間隔をおいて配置される。なお、筒体20は、遮蔽板14と接触または接合させて配設してもよい。
また、筒体20は、軸線に垂直な断面が、ノズル12に最も近い遮蔽板14の透孔14aよりも大きくなるよう形成される(なお、同形または小さく形成してもよい)。
また、筒体20はめっき面Waに対してその距離を調節可能に軸線方向に移動可能に設けると好適である。
なお、筒体20は被めっき物の種類によっては必ずしも配置しなくともよい。
【0038】
遮蔽板14,15,16は、樹脂等の絶縁体からなる。
遮蔽板14,15,16には、それぞれ、円形のめっき面Waをもつ円形のウェハWと相似形の、円形の透孔14a,15a,16aが形成されている。本実施の形態においては、ウェハWは直径200mmの円形であり、最もノズル部12a側の遮蔽板14の透孔14aの直径は140mm、中間の遮蔽板15の透孔15aの直径は180mm、最もウェハW側の遮蔽板16の透孔16aの直径は190mmに形成されている。
遮蔽板14,15,16は、透孔14a,15a,16aおよびウェハWの各中心が、一直線上に並ぶように配置される。また、ウェハWと遮蔽板16間の距離は約2mm、遮蔽板16と遮蔽板15間の距離は約20mm、遮蔽板15と遮蔽板14間の距離は約3mmとなるよう配置される。
遮蔽板14,15,16は、図示しない支持部材により支持される。遮蔽板14,15は例えばめっき槽4に、遮蔽板16は例えば保持治具8に、それぞれ固定されて支持されるよう設けることができる。
また、各遮蔽板14,15,16間には、各遮蔽板14,15,16間からその外周部へめっき液2が通過しないように、各遮蔽板14,15,16の外周縁部間を閉塞する円筒状の閉塞部材24a,24bが設けられる。なお、閉塞部材24a,24bは必ずしも設けなくともよい。
【0039】
本第一の実施の形態に係るめっき装置Aによって、直径200mmの円形のウェハの片面の全面に、ベタめっきを施した場合の、めっき厚の計測値を示したグラフおよびデータを、図2に示す。なお、この計測は、図8のめっき装置Zの遮蔽板92を、図1の遮蔽板14,15,16および閉塞部材24a,24bに替えたのみで、それ以外の条件は、めっき装置Zによる図9,図10の計測時と同様の条件を採用した。また、図2(a)のグラフおよび図2(b)の表の見方は、前記図9,図10のグラフおよび表と同様である。
この様に、めっき装置Aを用いてめっきを行えば、図8のめっき装置Zのめっきに比較して、より均一な平坦度で、被めっき物(ウェハW)にめっきを施すことができた。また、特に、ウェハWの縁部付近においても、ウェハWの縁部から5mm以上内側の領域では、優れた平坦度が得られていることが分かる。
【0040】
以下、参考のため、透孔14a,15a,16aの径を様々に変化させた際の、めっき厚の測定値を、図3〜図5に示す。
図3は、透孔14a,15a,16aを、それぞれ140mm、180mm、180mmに形成した際の測定値を示す。図4は、透孔14a,15a,16aを、それぞれ140mm、180mm、195mmに形成した際の測定値を示す。図5は、透孔14a,15a,16aを、それぞれ140mm、180mm、200mmに形成した際の測定値を示す。
【0041】
本願発明者は、これら以外にも実験条件を様々に変えて実験を行ったが、本願発明者による実験条件では、図2に示した、透孔14a,15a,16aを、それぞれ140mm、180mm、190mmに形成したときに、めっき厚が最も均一に形成できた。
なお、この結果は、設定された実験条件によって異なることが予想されるため、透孔14a,15a,16aのそれぞれの大きさは、実施者によって適宜変更してよい。
もちろん、めっき面Wa(ウェハW)の径(面積)に応じても、透孔14a,15a,16aの径(面積)や、筒体20の径(断面積)は、適宜調整すべきものである。
【0042】
第一の実施の形態に係るめっき装置Aによれば、めっき面Waの縁部に向かうほど遮蔽板14,15,16との距離が短くなるため、めっき面Waの縁部付近において、めっき面Waに沿って流れるめっき液2の流速が高められると共に電流密度が低くなり、めっきが付くのが抑えられるものと考えられる。
詳細には、ノズル部12aから噴出されためっき液2は、筒体20、遮蔽板14,15,16の透孔14a,15a,16aおよび閉塞部材24a,24bによって、めっき面Waへ向かって案内される。めっき面Waに当たっためっき液2は、めっき面Waの中央部から縁部に向かって流れる。ここで、めっき液2は、めっき面Waの縁部へ向かうにしたがって、その流路が遮蔽板14,15,16によって徐々に狭められるため、流速が落ちないものと考えられる。特に、閉塞部材24a,24bがあることで、各遮蔽板14,15,16の外周縁部からめっき液2が流出することがなく、めっき面Waの縁部でもめっき液2の流速を維持することができる。
また、絶縁体からなる遮蔽板14,15,16が、めっき面Waの縁部へ向かうにしたがってめっき面Waに接近するように設けられているため、ウェハWの縁部付近に電気力線が達しにくくなって電流密度が低く抑えられるものと考えられる。
【0043】
これら作用により、めっき装置Aによるめっき方法では、図8のめっき装置Zに比較して、ウェハWの縁部付近でのめっき厚が抑えられ、めっき面Wa全面のめっき厚の均一化が実現できたものと考えられる。
【0044】
また、めっき装置Aによれば、めっき面Waは、めっき液2中に鉛直に保持されているため、図7のようにウェハ80のめっき面を下向きに保持するめっき装置Yに比較して、めっき面Waに付いた気泡等のエアが逃げやすい。さらに、めっき面Waに、ノズル部12aからめっき液2がめっき面Waに対して垂直に噴出されることから、めっき面Waに付いた気泡等のエアがめっき液2の水流によってめっき面Waから逃げ、めっき面Waにエアの残留がないことから、良好にめっきを行うことができる。特に、めっきを施す箇所が微細なホール内である場合(例えばウェハW上のホール内にバンプを形成する場合)、微細ホールが横方向を向き、しかもめっき液2がめっき面Waに対して垂直な方向から噴出されることから、ホール内のエアが逃げて、良好にめっきが行える。
例えば、ウェハWにアンダーバリアメタルたる金属層を形成し、その上層にレジスト層を形成し、バンプを形成すべき箇所のレジスト層を取り除いてホールを形成し、ホールから露出した前記金属層にめっきを施して、ホール内にバンプを形成するような場合に、めっき装置Aによってめっきを行えば、ウェハWは鉛直方向を向く。したがって、ホールは横方向を向いており、しかもノズル12から横方向にめっき液2がめっき面Waに噴出されることから、ホール内のエアが良好に排出され、エアの残留がないことから、各ホール内に確実にめっきが可能である。
【0045】
なお、陽極板10の外周面と筒体20の内壁面との間の隙間は必ずしも必要ないが、ここに隙間を設けることにより、ノズル12から噴出されるめっき液2に伴われて陽極板10後方側からもめっき液2が筒体20内に流入することになり、これにより筒体20内においてスムーズなめっき液2の流れが得られる。
【0046】
また、筒体20を絶縁物で形成したこと、また陽極板10の背面に絶縁体18を固定したことにより、被めっき物、特に被めっき物の縁部に、電気力線が回り込むのを防止できると共に、めっき面に対して効率的に電気力線を向けてめっき効率を向上させることができる。
【0047】
また、めっき装置Aでは、保持治具8により、めっき面Waを鉛直に保持するようにしたが、めっき面Wa側が上を向くように斜めに浸漬するようにしてもよい(図示せず)。これに応じて筒体20やノズル12や遮蔽板14,15,16も斜めに配置することになる。
この場合、めっき面Wa(あるいは前記ホール)は上向きになるのでエアの逃げはさらに良好となる。
【0048】
なお、本発明は、めっき面Waが鉛直にまたは上を向くように斜めに、浸漬するように構成されるものに限定されず、図7に示しためっき装置Yのように、めっき面が下向きとなるよう構成されためっき装置に、必要に応じて遮蔽板を設けて、応用することができる。
【0049】
次に、本発明の第二の実施の形態に係るめっき装置Bを、図6に示す。なお、図6のめっき装置Bにおいて、第一の実施の形態に係るめっき装置Aと同一の部材には同一の符合を付して説明を省略する。
【0050】
図6のめっき装置Bは、めっき装置Aの遮蔽板14,15,16に替えて、遮蔽板26を備える。遮蔽板26は、樹脂等の絶縁体からなり、めっき面Waの外形よりも小さな透孔26aが形成され、ノズル部12aより噴射されためっき液2が透孔26aを通してめっき面Waに向かうよう、ノズル部12aとめっき面Waとの間に配設される。遮蔽板26のめっき面Wa側の面は、外縁に向かうほどめっき面Waに近づくよう、テーパ状(コーン状)に斜めに形成されている。透孔26aは、ウェハWと相似形の円形に形成されている。遮蔽板26は、めっき面Waの正面に対向して配置される。即ち、遮蔽板26は、透孔26aの中心と、円形のめっき面Waの中心とを結ぶ直線が、透孔26aの面とめっき面Waとの両者の垂線となるように配置される。
遮蔽板26は、図示しない支持部材により支持される。遮蔽板26は例えばめっき槽4に固定されて支持されるよう設けることができる。
【0051】
本第二の実施の形態に係るめっき装置Bによっても、めっき装置Aと同様、めっき面Waの縁部ほど遮蔽板26との距離が短くなるため、めっき面Waの縁部付近において、めっき面Waに沿って流れるめっき液の流速が高められると共に電流密度が低くなり、めっきが付くのが抑えられる。
詳細には、ノズル部12aから噴出されためっき液2は、筒体20、および遮蔽板26の透孔26aによって、めっき面Waへ向かって案内され、めっき面Waの中央部から縁部に向かって流れる。ここで、めっき液2は、めっき面Waの縁部へ向かうにしたがって、その流路が遮蔽板26によって徐々に狭められるため、流速が落ちない。
また、絶縁体からなる遮蔽板26のめっき面Wa側の面が、めっき面Waの縁部へ向かうにしたがってめっき面Waに接近するように設けられているため、ウェハWの縁部付近に電気力線が達しにくくなって電流密度が低く抑えられる。
【0052】
従って、本第二の実施の形態に係るめっき装置Bを用いためっき方法によっても、図8のめっき装置Zに比較して、ウェハWの縁部付近でのめっき厚が抑えられ、めっき面Wa全面のめっき厚の均一化が実現できる。
【0053】
なお、第二の実施の形態に係るめっき装置Bに対しても、めっき装置Aに対して述べた種々の改変等を行うことができることはもちろんである。
【0054】
【発明の効果】
本発明に係るめっき装置およびめっき方法によれば、めっき面のほぼ全面にわたって、より均一なめっき厚でのめっきを行うことが可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係るめっき装置を示した平断面説明図である。
【図2】第一の実施の形態に係るめっき装置でウェハにめっきを施した際のめっき厚の測定値を示す図であり、(a)は、保持治具に保持されたウェハの、めっき面の中心を通る水平な直線上のめっき厚を計測したグラフであり、(b)は、ウェハの縁部から5mmより内側での、めっき厚の各計測値の諸データを示す表である。
【図3】第一の実施の形態に係るめっき装置の遮蔽板の透孔の径(大きさ)を変更して、ウェハにめっきを施した際のめっき厚の測定値を示す図である。
【図4】第一の実施の形態に係るめっき装置の遮蔽板の透孔の径(大きさ)を変更して、ウェハにめっきを施した際のめっき厚の測定値を示す図である。
【図5】第一の実施の形態に係るめっき装置の遮蔽板の透孔の径(大きさ)を変更して、ウェハにめっきを施した際のめっき厚の測定値を示す図である。
【図6】本発明の第二の実施の形態に係るめっき装置を示した平断面説明図である。
【図7】従来のめっき装置を示した側断面説明図である。
【図8】従来のめっき装置を示した平断面説明図である。
【図9】図8の従来のめっき装置でウェハにめっきを施した際のめっき厚の測定値を示す図であり、(a)は、保持治具に保持されたウェハの、めっき面の中心を通る水平な直線上のめっき厚を計測したグラフであり、(b)は、ウェハの縁部から5mmより内側での、めっき厚の各計測値の諸データを示す表である。
【図10】図8の従来のめっき装置で、遮蔽板の透孔の径(大きさ)を変更して、ウェハにめっきを施した際のめっき厚の測定値を示す図である。
【符号の説明】
A,B めっき装置
W 半導体ウェハ(被めっき物)
Wa めっき面
2 めっき液
4 めっき槽
8 保持治具
8a 保持爪
10 陽極板
12 ノズル
12a ノズル部
14,15,16 遮蔽板
14a,15a,16a 透孔
18 絶縁体
20 筒体
22 排出管
24a,24b 閉塞部材
26 遮蔽板
26a 透孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、めっき装置およびめっき方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体チップを配線基板に電気的に接続するには、ワイヤボンディング法、TAB法の他にフリップチップ接続法が知られている。
このフリップチップ接続は、多ピン化および信号伝播遅延時間の短縮化等の要求を満たすことができるので次第に普及しつつある。特にはんだバンプ等によるフリップチップ接続は、一括接合が可能であるため、広く用いられるようになってきた。半導体チップにフリップチップ接続用のはんだバンプを形成する方法としては、電気めっき法等がある。
【0003】
従来、電気めっき法により半導体チップにはんだバンプ等の外部接続端子を形成するには次のような方法によっていた。
まず、多数の半導体チップの回路配線がなされたウェハ上にTi/Cu 、Cr/Cu 、Cr/Ni などのアンダーバリアメタルとよばれる金属層をスパッタリングや無電解めっき等により全面に形成する。
その上に液状フォトレジストを数回塗布して厚さ50μm程度のレジスト膜を形成する。このレジスト膜にフォトリソグラフィー工程により微細ホールを形成し、バンプを形成すべき金属層の部位を露出させる。
【0004】
そして電気めっき法により、露出した金属層上にはんだバンプを形成する。
次いでレジスト膜を除去し、バンプ形成部分を除くアンダーバリアメタルをエッチングにより除去する。
このようにウェハの段階で各チップに必要なバンプを形成し、その後にウェハを個片の半導体チップに切断する。
【0005】
図7は上記電気めっき法に一般的に使用するめっき装置Yである。
70は外槽、72はカップで上向きに設けられている。74はカップ72内の下部に水平に配設された陽極板、76は外槽70および陽極板74を貫通して先端がカップ72内の下部に開口されためっき液噴出管である。また78はウェハ80を電気的に接続して保持可能な保持治具であり、図示のごとく、ウェハ80のめっき面を下向きにしてカップ72の開口部に配置させるようになっており、また陰極を兼ねる。
めっき液は図示のように噴出管76からカップ72内に供給され、さらにウェハ80のめっき面に向けて噴出されるのである。そして両電極に通電されて上記のようにはんだバンプが形成されることになる。
めっき液は、保持治具78とカップ72の口縁との間隙からオーバーフローして外槽70内に落下し、排出管82からタンクに戻される。
【0006】
ところで、従来の上記めっき装置Yによるバンプの形成には次のような課題がある。
カップ72の口縁は外槽70に開放されているので、抵抗の少ない外槽70内へオーバーフローするめっき面周辺側のめっき液の流速は中央側より大きく、そのため中央側にめっきが厚く付く傾向にあり、めっきの付きまわり(被着しためっきの厚さ)にばらつきが生じるという課題がある。
【0007】
また、多数の微細ホールを形成したウェハを下向きにしてめっき装置Yに装着し、下方からめっき液を噴射してめっきを行うものであるため、微細ホールにエアが残りやすく、このため全くめっきが形成されないホールや、不十分なホールがあったりして歩留りが低下するという課題がある。
【0008】
本願出願人は、従前、図7のめっき装置Yの上記課題を解決すべく、特許文献1を開示している。
特許文献1に記載のめっき装置は、めっき槽と、陰極に接続されると共に、被めっき物(ウェハ)が電気的に接続されて着脱可能に装着でき、装着される被めっき物を前記めっき槽のめっき液中にめっき液に対してほぼ垂直に、もしくはめっき面が上を向くように斜めに浸漬可能な保持治具と、保持治具に装着される被めっき物の前方に、めっき面と若干の間隔を存して、かつ軸線がめっき面とほぼ垂直となるように配置される、絶縁体からなる筒体と、筒体内に、被めっき物のめっき面と対向して配置される陽極板と、陽極板を貫通して配置され、前記筒体内に位置する先端のノズル部よりめっき液をめっき面に噴射するノズルとを具備することを特徴としている。
【0009】
特許文献1に記載のめっき装置によれば、被めっき物(ウェハ)のめっき面全体がめっき液中に埋没していることから、ノズルから噴出されるめっき液は、めっき面の周辺部と筒体端面との間の隙間から外方のめっき液中に流出する。このようにめっき液が液中に流出する場合、液からの流れ抵抗が大きく、流出速度が低くなり、めっき面の中央部と周辺部とでめっき液の流速に大きな差異をなくすことができ、これによって、めっき面の中央部と周辺部とのめっきの付きまわりのばらつきを抑えることができるものとしている。
また、微細ホールが横方向、もしくは上向きの方向となり、しかもめっき液がめっき面に対して垂直な方向から噴出されることから、エアの逃げが良好となり、微細なホール内であっても良好にめっきが行えるものとしている。
【0010】
ところで、近年、半導体チップの更なる小型化、高集積化により、バンプの形状の一層の高精度化が求められている。また、ウェハをより高効率に利用するために、半導体チップが、ウェハの縁部の近く、例えば縁部から5mm程度の距離まで形成されるようになってきている。
これに伴い、近年は、ウェハの縁部付近まで、かつウェハ全面にわたって、より厳しく均一な厚さのめっきを形成することが求められている。
【0011】
電解めっきを行う場合、一般的に、被めっき物の縁部は電流密度が高くなり、縁部以外の箇所に比較して、めっきが厚く付いてしまう傾向がある。
特許文献1に記載されためっき装置は、従来は十分なめっき厚の均一化が図れるものであったが、陽極板とウェハの全面とが対向しているため、やはりウェハの縁部に電流が集中して電流密度が高くなり、ウェハの縁部に向かうほどめっき厚が若干厚くなってしまい、近年の厳しいめっき厚の均一化、特にウェハ縁部までのめっき厚の均一化の要求には応えられない。
【0012】
そこで、本願出願人は、ウェハの全面および縁部付近でのめっき厚のより一層の均一化を図るため、図8に示すめっき装置Zを開発した。図8に示すめっき装置Zは、特許文献1のめっき装置の構成に加え、ウェハWのめっき面Waの外形よりも小さな円形の透孔92aが形成され、ノズル94のノズル部94aより噴射されためっき液がその透孔92aを通してめっき面Waに向かうよう、ノズル部94aとめっき面Waとの間に配設された、絶縁体からなる遮蔽板92を備える。
【0013】
これによれば、陽極板90とウェハWの縁部との間は、絶縁体からなる遮蔽板92で遮蔽され、一方陽極板90とウェハWの中央部との間は、透孔92aを通して直接対向するため、特許文献1に記載されためっき装置に比較して、ウェハWの縁部の電流密度を低く抑えることができ、ウェハWのめっき厚をより均一化することが可能である。
【0014】
図9,図10に、図8のめっき装置Zによって、直径200mmの円形のウェハの片面の全面に、ベタめっきを施した場合の、めっき厚の計測値を示したグラフおよびデータを示す。図9は、遮蔽板92の透孔92aを、直径160mmの円形に形成した場合のグラフおよびデータであり、図10は、遮蔽板92の透孔92aを、直径130mmの円形に形成した場合のグラフおよびデータである。また、図9(a),図10(a)は、保持治具90に保持されたウェハWの、めっき面Waの中心を通る直線上の、それぞれの間隔が10mmの各点毎に、めっき厚を計測したグラフである。図9(a)および図10(a)において、横軸はウェハWの縁部からの距離(単位:mm)を示しており、縦軸は、めっき厚(単位:μm)を示している。図9(b),図10(b)は、ウェハWの縁部から5mmより内側での、めっき厚の各計測値の、MAX(最大値)、MIN(最小値)、AVE(平均値)、σ(標準偏差)、R(MAX−MIN)のデータを示す表である。また、外周MAXとは、ウェハWの縁部におけるめっき厚の最大値である。
【0015】
【特許文献1】
特開平10−275811号公報(第1図、段落0011、0019)
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
図8のめっき装置Zは、特許文献1のめっき装置に比較すればより均一なめっき厚でめっきをできるものの、図9,図10に示したように、ウェハWの縁部から5mmより内側でも30μm以上のめっき厚のばらつきがあり、近年の厳しいめっき厚の均一化の要求に応えるにはまだ不十分で、特にウェハの縁部付近においてめっき厚が厚くなってしまうという課題がある。
【0017】
なお、本願発明者は、上記遮蔽板92の透孔92aの径や、遮蔽板92の配設位置等を様々に変化させてめっき厚の測定を行ったが、いずれもめっき厚の均一さを満足することができなかった。
【0018】
本発明は、上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、めっき面のほぼ全面にわたって、より均一なめっき厚でのめっきを行うことが可能なめっき装置およびめっき方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るめっき装置は、上記課題を解決するために以下の構成を備える。
即ち、めっき槽と、被めっき物を着脱可能に装着でき、装着された被めっき物を、前記めっき槽内のめっき液中に浸漬された状態に保持すると共に、陰極に電気的に接続する保持治具と、前記めっき槽内に、前記保持治具に装着される被めっき物のめっき面と対向するよう配設された陽極板と、前記めっき槽内に、先端のノズル部が前記めっき面と対向するように前記保持治具と前記陽極板との間に配設され、該ノズル部より該めっき面にめっき液を噴射するノズルと、透孔が形成され、前記ノズル部より噴射されためっき液が該透孔を通して前記めっき面に向かうように、該ノズル部と該めっき面との間に、該めっき面とほぼ平行に配設され、互いに所定の間隔をあけて並べられた、絶縁体からなる複数の遮蔽板とを備え、前記透孔の開口径は、前記めっき面に近い前記遮蔽板ほど大きく形成されていることを特徴とする。
これによれば、めっき面の縁部に向かうほど遮蔽板との距離が短くなるため、めっき面の縁部において、めっき面に沿って流れるめっき液の流速が高められると共に電流密度が低くなり、めっきが付くのが抑えられる。
【0020】
さらに、各遮蔽板の透孔は、前記めっき面の外形よりも小さく形成されていることを特徴とする。
これによれば、めっき面の縁部と遮蔽板との距離が近くなり、遮蔽板の上記作用を高めることができる。
【0021】
また、各遮蔽板の外周間の間隙は、該遮蔽板間をめっき液が通過しないよう、閉塞されていることを特徴とする。
これによれば、ノズル部から噴射されて流れるめっき液が、遮蔽板の間から逃げて、めっき面の縁部におけるめっき液の流速が落ちてしまうのを防ぐことができる。
【0022】
また、遮蔽板を3枚備えることを特徴とする。
これによれば、めっき厚が好適に均一化されることが、実験により確認されている。
【0023】
また、めっき槽と、被めっき物を着脱可能に装着でき、装着された被めっき物を、前記めっき槽内のめっき液中に浸漬された状態に保持すると共に、陰極に電気的に接続する保持治具と、前記めっき槽内に、前記保持治具に装着される被めっき物のめっき面と対向するよう配設された陽極板と、前記めっき槽内に、先端のノズル部が前記めっき面と対向するように前記保持治具と前記陽極板との間に配設され、該ノズル部より該めっき面にめっき液を噴射するノズルと、前記めっき面の外形よりも小さな透孔が形成され、前記ノズル部より噴射されためっき液が該透孔を通して前記めっき面に向かうように、該ノズル部と該めっき面との間に配設された、絶縁体からなる遮蔽板とを備え、該遮蔽板の前記めっき面側の面は、外縁に向かうほど該めっき面に近づくよう形成されていることを特徴とする。
これによれば、めっき面の縁部に向かうほど遮蔽板との距離が短くなるため、めっき面の縁部において、めっき面に沿って流れるめっき液の流速が高められると共に電流密度が低くなり、めっきが付くのが抑えられる。
【0024】
また、保持治具は、めっき槽内のめっき液中に浸漬された状態の被めっき物を、めっき面がほぼ鉛直に、または該めっき面が上を向くように傾斜させて保持することを特徴とする。
これによれば、めっき面が横方向、もしくは上向きの方向となることから、めっき面のエアが逃げて、良好にめっきが行える。特に、めっきを施す箇所が微細なホール内であっても(例えばウェハ上のホール内にバンプを形成する場合であっても)良好にめっきが行える。
【0025】
また、ノズルは、前記陽極板を貫通して配置されていることを特徴とする。
これによれば、ノズル部をめっき面の中央部に向けて配設でき、めっき面上のめっき液の流速を均一化できると同時に、陽極板の中央部とめっき面の中央部とを対向させることができ、めっき面全面の電流密度を均一に保つことができる。
【0026】
また、陽極板の背面を覆って絶縁物が取り付けられていることを特徴とする。
これによれば、陽極板背面から電気力線が漏出するのを防ぐことができ、被めっき物、特に被めっき物の縁部に、電気力線が回り込むのを防止できると共に、めっき面に対して効率的に電気力線を向けてめっき効率を向上させることができる。
【0027】
また、各遮蔽板よりもノズル部側に、該ノズル部と陽極板とが内方に位置し、軸線が前記めっき面とほぼ垂直となるよう配設された、絶縁体からなる筒体を備えることを特徴とする。
これによれば、めっき槽の周縁に向けて電気力線が漏出するのを防ぐことができ、被めっき物、特に被めっき物の縁部に、電気力線が回り込むのを防止できると共に、めっき面に対して効率的に電気力線を向けてめっき効率を向上させることができる。
【0028】
また、ノズル部が、多数の小孔が形成されたシャワーノズルに形成されていることを特徴とする。
【0029】
また、被めっき物は、半導体ウェハであることを特徴とする。
これによれば、半導体ウェハの表面全面に均一にめっきを施すことができる。
【0030】
また、本発明に係るめっき方法は、上記課題を解決するために以下の構成を備える。
即ち、請求項1〜11のうちのいずれか一項記載のめっき装置を用いて、被めっき物にめっきを施すことを特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0032】
図1は、本発明の第一の実施の形態に係るめっき装置Aを示す平断面説明図である。
めっき装置Aは、めっき液2が入れられるめっき槽4と、直流のめっき用電源(図示せず)と、被めっき物としての円形の半導体ウェハW(以下単にウェハ)を着脱可能に装着でき、装着されたウェハWを、めっき槽4内のめっき液2中に浸漬された状態に保持すると共に、前記電源の陰極に電気的に接続する保持治具8と、前記電源の陽極に電気的に接続され、めっき槽4内に、保持治具8に装着されるウェハWの片面のめっき面Waと対向するよう配設された陽極板10と、めっき槽4内に、先端のノズル部12aが前記めっき面Waと対向するように保持治具8と陽極板10との間に配設され、ノズル部12aよりめっき面Waにめっき液2を噴射するノズル12と、それぞれ透孔14a,15a,16aが形成され、ノズル部12aより噴射されためっき液2がそれぞれの透孔14a,15a,16aを通してめっき面Waに向かうよう、ノズル部12aとめっき面Waとの間に、めっき面Waとほぼ平行に配設され、互いに所定の間隔をあけて並べられた、絶縁体からなる3枚の遮蔽板14,15,16とを備え、各透孔14a,15a,16aは、めっき面Waに近い遮蔽板ほどその開口径が大きく形成されている。また、めっき装置Aは、各遮蔽板14,15,16よりもノズル部12a側(即ち、最もノズル部12a側の遮蔽板14よりもノズル部12a側)に、ノズル部12aと陽極板10とが内方に位置し、軸線がめっき面Waとほぼ垂直となるよう配設された、絶縁体からなる円筒状の筒体20を備える。
【0033】
保持治具8は、ウェハWを保持爪8aで縁部を挾持することにより電気的に接続して着脱可能に保持しうるようになっている。また保持治具8は、ウェハWをめっき液2の水面に対して垂直、即ち鉛直に保持し、ウェハWのめっき面Waの全体をめっき液2中に浸漬するようになっている。もちろん、保持治具8は図示しない適当な支持部材(陰極棒であってもよい)に支持されるようになっている。
【0034】
陽極板10は、円板状に形成され、筒体20内に、めっき面Waの正面に対向して配置される。即ち、陽極板10は、陽極板10の中心と、円形のめっき面Waの中心とを結ぶ直線が、陽極板10とめっき面Waとの両者の垂線となるように配置される。
陽極板10は、めっき液2中にウェハWのめっき面Waと対向して適宜部材に支持されて配設されている。
また、陽極板10の背面側には、樹脂等からなる絶縁体18が固定配置されている。
【0035】
ノズル12は、めっき槽4、絶縁体18、および陽極板10の中心を貫通して先端のノズル部12aが筒体20内に位置し、なおかつめっき面Waと対向して位置するように、配置されている。
ノズル12の後端側は適当なホースを介してめっき液タンク(図示せず)に接続されており、噴射ポンプ(図示せず)によりめっき液タンク内のめっき液2がノズル部12aからめっき面Waに向けて噴射されるようになっている。
ノズル部12aは、多数の小孔が設けられたシャワーノズルに形成されている。
【0036】
めっき槽4には、めっき槽4内からめっき液タンクにめっき液2を戻す排出管22が設けられる。すなわち、めっき液2は循環使用され、めっき槽4内のめっき液2の水位は常に一定に保たれる。
【0037】
筒体20は、樹脂等の絶縁体からなり、ウェハWのめっき面Waの前方側のめっき液2中に位置し、かつ軸線がめっき面Waとほぼ垂直となり、かつ軸線上に陽極板10の中心およびノズル部12aが位置するよう、図示しない支持部材に支持されて配設される。筒体20の内壁面と陽極板10の外周面との間には、間隙が形成されるよう設けられる。
また、筒体20は、最もノズル部12a側の遮蔽板14と若干の間隔をおいて配置される。なお、筒体20は、遮蔽板14と接触または接合させて配設してもよい。
また、筒体20は、軸線に垂直な断面が、ノズル12に最も近い遮蔽板14の透孔14aよりも大きくなるよう形成される(なお、同形または小さく形成してもよい)。
また、筒体20はめっき面Waに対してその距離を調節可能に軸線方向に移動可能に設けると好適である。
なお、筒体20は被めっき物の種類によっては必ずしも配置しなくともよい。
【0038】
遮蔽板14,15,16は、樹脂等の絶縁体からなる。
遮蔽板14,15,16には、それぞれ、円形のめっき面Waをもつ円形のウェハWと相似形の、円形の透孔14a,15a,16aが形成されている。本実施の形態においては、ウェハWは直径200mmの円形であり、最もノズル部12a側の遮蔽板14の透孔14aの直径は140mm、中間の遮蔽板15の透孔15aの直径は180mm、最もウェハW側の遮蔽板16の透孔16aの直径は190mmに形成されている。
遮蔽板14,15,16は、透孔14a,15a,16aおよびウェハWの各中心が、一直線上に並ぶように配置される。また、ウェハWと遮蔽板16間の距離は約2mm、遮蔽板16と遮蔽板15間の距離は約20mm、遮蔽板15と遮蔽板14間の距離は約3mmとなるよう配置される。
遮蔽板14,15,16は、図示しない支持部材により支持される。遮蔽板14,15は例えばめっき槽4に、遮蔽板16は例えば保持治具8に、それぞれ固定されて支持されるよう設けることができる。
また、各遮蔽板14,15,16間には、各遮蔽板14,15,16間からその外周部へめっき液2が通過しないように、各遮蔽板14,15,16の外周縁部間を閉塞する円筒状の閉塞部材24a,24bが設けられる。なお、閉塞部材24a,24bは必ずしも設けなくともよい。
【0039】
本第一の実施の形態に係るめっき装置Aによって、直径200mmの円形のウェハの片面の全面に、ベタめっきを施した場合の、めっき厚の計測値を示したグラフおよびデータを、図2に示す。なお、この計測は、図8のめっき装置Zの遮蔽板92を、図1の遮蔽板14,15,16および閉塞部材24a,24bに替えたのみで、それ以外の条件は、めっき装置Zによる図9,図10の計測時と同様の条件を採用した。また、図2(a)のグラフおよび図2(b)の表の見方は、前記図9,図10のグラフおよび表と同様である。
この様に、めっき装置Aを用いてめっきを行えば、図8のめっき装置Zのめっきに比較して、より均一な平坦度で、被めっき物(ウェハW)にめっきを施すことができた。また、特に、ウェハWの縁部付近においても、ウェハWの縁部から5mm以上内側の領域では、優れた平坦度が得られていることが分かる。
【0040】
以下、参考のため、透孔14a,15a,16aの径を様々に変化させた際の、めっき厚の測定値を、図3〜図5に示す。
図3は、透孔14a,15a,16aを、それぞれ140mm、180mm、180mmに形成した際の測定値を示す。図4は、透孔14a,15a,16aを、それぞれ140mm、180mm、195mmに形成した際の測定値を示す。図5は、透孔14a,15a,16aを、それぞれ140mm、180mm、200mmに形成した際の測定値を示す。
【0041】
本願発明者は、これら以外にも実験条件を様々に変えて実験を行ったが、本願発明者による実験条件では、図2に示した、透孔14a,15a,16aを、それぞれ140mm、180mm、190mmに形成したときに、めっき厚が最も均一に形成できた。
なお、この結果は、設定された実験条件によって異なることが予想されるため、透孔14a,15a,16aのそれぞれの大きさは、実施者によって適宜変更してよい。
もちろん、めっき面Wa(ウェハW)の径(面積)に応じても、透孔14a,15a,16aの径(面積)や、筒体20の径(断面積)は、適宜調整すべきものである。
【0042】
第一の実施の形態に係るめっき装置Aによれば、めっき面Waの縁部に向かうほど遮蔽板14,15,16との距離が短くなるため、めっき面Waの縁部付近において、めっき面Waに沿って流れるめっき液2の流速が高められると共に電流密度が低くなり、めっきが付くのが抑えられるものと考えられる。
詳細には、ノズル部12aから噴出されためっき液2は、筒体20、遮蔽板14,15,16の透孔14a,15a,16aおよび閉塞部材24a,24bによって、めっき面Waへ向かって案内される。めっき面Waに当たっためっき液2は、めっき面Waの中央部から縁部に向かって流れる。ここで、めっき液2は、めっき面Waの縁部へ向かうにしたがって、その流路が遮蔽板14,15,16によって徐々に狭められるため、流速が落ちないものと考えられる。特に、閉塞部材24a,24bがあることで、各遮蔽板14,15,16の外周縁部からめっき液2が流出することがなく、めっき面Waの縁部でもめっき液2の流速を維持することができる。
また、絶縁体からなる遮蔽板14,15,16が、めっき面Waの縁部へ向かうにしたがってめっき面Waに接近するように設けられているため、ウェハWの縁部付近に電気力線が達しにくくなって電流密度が低く抑えられるものと考えられる。
【0043】
これら作用により、めっき装置Aによるめっき方法では、図8のめっき装置Zに比較して、ウェハWの縁部付近でのめっき厚が抑えられ、めっき面Wa全面のめっき厚の均一化が実現できたものと考えられる。
【0044】
また、めっき装置Aによれば、めっき面Waは、めっき液2中に鉛直に保持されているため、図7のようにウェハ80のめっき面を下向きに保持するめっき装置Yに比較して、めっき面Waに付いた気泡等のエアが逃げやすい。さらに、めっき面Waに、ノズル部12aからめっき液2がめっき面Waに対して垂直に噴出されることから、めっき面Waに付いた気泡等のエアがめっき液2の水流によってめっき面Waから逃げ、めっき面Waにエアの残留がないことから、良好にめっきを行うことができる。特に、めっきを施す箇所が微細なホール内である場合(例えばウェハW上のホール内にバンプを形成する場合)、微細ホールが横方向を向き、しかもめっき液2がめっき面Waに対して垂直な方向から噴出されることから、ホール内のエアが逃げて、良好にめっきが行える。
例えば、ウェハWにアンダーバリアメタルたる金属層を形成し、その上層にレジスト層を形成し、バンプを形成すべき箇所のレジスト層を取り除いてホールを形成し、ホールから露出した前記金属層にめっきを施して、ホール内にバンプを形成するような場合に、めっき装置Aによってめっきを行えば、ウェハWは鉛直方向を向く。したがって、ホールは横方向を向いており、しかもノズル12から横方向にめっき液2がめっき面Waに噴出されることから、ホール内のエアが良好に排出され、エアの残留がないことから、各ホール内に確実にめっきが可能である。
【0045】
なお、陽極板10の外周面と筒体20の内壁面との間の隙間は必ずしも必要ないが、ここに隙間を設けることにより、ノズル12から噴出されるめっき液2に伴われて陽極板10後方側からもめっき液2が筒体20内に流入することになり、これにより筒体20内においてスムーズなめっき液2の流れが得られる。
【0046】
また、筒体20を絶縁物で形成したこと、また陽極板10の背面に絶縁体18を固定したことにより、被めっき物、特に被めっき物の縁部に、電気力線が回り込むのを防止できると共に、めっき面に対して効率的に電気力線を向けてめっき効率を向上させることができる。
【0047】
また、めっき装置Aでは、保持治具8により、めっき面Waを鉛直に保持するようにしたが、めっき面Wa側が上を向くように斜めに浸漬するようにしてもよい(図示せず)。これに応じて筒体20やノズル12や遮蔽板14,15,16も斜めに配置することになる。
この場合、めっき面Wa(あるいは前記ホール)は上向きになるのでエアの逃げはさらに良好となる。
【0048】
なお、本発明は、めっき面Waが鉛直にまたは上を向くように斜めに、浸漬するように構成されるものに限定されず、図7に示しためっき装置Yのように、めっき面が下向きとなるよう構成されためっき装置に、必要に応じて遮蔽板を設けて、応用することができる。
【0049】
次に、本発明の第二の実施の形態に係るめっき装置Bを、図6に示す。なお、図6のめっき装置Bにおいて、第一の実施の形態に係るめっき装置Aと同一の部材には同一の符合を付して説明を省略する。
【0050】
図6のめっき装置Bは、めっき装置Aの遮蔽板14,15,16に替えて、遮蔽板26を備える。遮蔽板26は、樹脂等の絶縁体からなり、めっき面Waの外形よりも小さな透孔26aが形成され、ノズル部12aより噴射されためっき液2が透孔26aを通してめっき面Waに向かうよう、ノズル部12aとめっき面Waとの間に配設される。遮蔽板26のめっき面Wa側の面は、外縁に向かうほどめっき面Waに近づくよう、テーパ状(コーン状)に斜めに形成されている。透孔26aは、ウェハWと相似形の円形に形成されている。遮蔽板26は、めっき面Waの正面に対向して配置される。即ち、遮蔽板26は、透孔26aの中心と、円形のめっき面Waの中心とを結ぶ直線が、透孔26aの面とめっき面Waとの両者の垂線となるように配置される。
遮蔽板26は、図示しない支持部材により支持される。遮蔽板26は例えばめっき槽4に固定されて支持されるよう設けることができる。
【0051】
本第二の実施の形態に係るめっき装置Bによっても、めっき装置Aと同様、めっき面Waの縁部ほど遮蔽板26との距離が短くなるため、めっき面Waの縁部付近において、めっき面Waに沿って流れるめっき液の流速が高められると共に電流密度が低くなり、めっきが付くのが抑えられる。
詳細には、ノズル部12aから噴出されためっき液2は、筒体20、および遮蔽板26の透孔26aによって、めっき面Waへ向かって案内され、めっき面Waの中央部から縁部に向かって流れる。ここで、めっき液2は、めっき面Waの縁部へ向かうにしたがって、その流路が遮蔽板26によって徐々に狭められるため、流速が落ちない。
また、絶縁体からなる遮蔽板26のめっき面Wa側の面が、めっき面Waの縁部へ向かうにしたがってめっき面Waに接近するように設けられているため、ウェハWの縁部付近に電気力線が達しにくくなって電流密度が低く抑えられる。
【0052】
従って、本第二の実施の形態に係るめっき装置Bを用いためっき方法によっても、図8のめっき装置Zに比較して、ウェハWの縁部付近でのめっき厚が抑えられ、めっき面Wa全面のめっき厚の均一化が実現できる。
【0053】
なお、第二の実施の形態に係るめっき装置Bに対しても、めっき装置Aに対して述べた種々の改変等を行うことができることはもちろんである。
【0054】
【発明の効果】
本発明に係るめっき装置およびめっき方法によれば、めっき面のほぼ全面にわたって、より均一なめっき厚でのめっきを行うことが可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係るめっき装置を示した平断面説明図である。
【図2】第一の実施の形態に係るめっき装置でウェハにめっきを施した際のめっき厚の測定値を示す図であり、(a)は、保持治具に保持されたウェハの、めっき面の中心を通る水平な直線上のめっき厚を計測したグラフであり、(b)は、ウェハの縁部から5mmより内側での、めっき厚の各計測値の諸データを示す表である。
【図3】第一の実施の形態に係るめっき装置の遮蔽板の透孔の径(大きさ)を変更して、ウェハにめっきを施した際のめっき厚の測定値を示す図である。
【図4】第一の実施の形態に係るめっき装置の遮蔽板の透孔の径(大きさ)を変更して、ウェハにめっきを施した際のめっき厚の測定値を示す図である。
【図5】第一の実施の形態に係るめっき装置の遮蔽板の透孔の径(大きさ)を変更して、ウェハにめっきを施した際のめっき厚の測定値を示す図である。
【図6】本発明の第二の実施の形態に係るめっき装置を示した平断面説明図である。
【図7】従来のめっき装置を示した側断面説明図である。
【図8】従来のめっき装置を示した平断面説明図である。
【図9】図8の従来のめっき装置でウェハにめっきを施した際のめっき厚の測定値を示す図であり、(a)は、保持治具に保持されたウェハの、めっき面の中心を通る水平な直線上のめっき厚を計測したグラフであり、(b)は、ウェハの縁部から5mmより内側での、めっき厚の各計測値の諸データを示す表である。
【図10】図8の従来のめっき装置で、遮蔽板の透孔の径(大きさ)を変更して、ウェハにめっきを施した際のめっき厚の測定値を示す図である。
【符号の説明】
A,B めっき装置
W 半導体ウェハ(被めっき物)
Wa めっき面
2 めっき液
4 めっき槽
8 保持治具
8a 保持爪
10 陽極板
12 ノズル
12a ノズル部
14,15,16 遮蔽板
14a,15a,16a 透孔
18 絶縁体
20 筒体
22 排出管
24a,24b 閉塞部材
26 遮蔽板
26a 透孔
Claims (12)
- めっき槽と、
被めっき物を着脱可能に装着でき、装着された被めっき物を、前記めっき槽内のめっき液中に浸漬された状態に保持すると共に、陰極に電気的に接続する保持治具と、
前記めっき槽内に、前記保持治具に装着される被めっき物のめっき面と対向するよう配設された陽極板と、
前記めっき槽内に、先端のノズル部が前記めっき面と対向するように前記保持治具と前記陽極板との間に配設され、該ノズル部より該めっき面にめっき液を噴射するノズルと、
透孔が形成され、前記ノズル部より噴射されためっき液が該透孔を通して前記めっき面に向かうように、該ノズル部と該めっき面との間に、該めっき面とほぼ平行に配設され、互いに所定の間隔をあけて並べられた、絶縁体からなる複数の遮蔽板とを備え、
前記透孔の開口径は、前記めっき面に近い前記遮蔽板ほど大きく形成されていることを特徴とするめっき装置。 - 各遮蔽板の透孔は、前記めっき面の外形よりも小さく形成されていることを特徴とする請求項1記載のめっき装置。
- 各遮蔽板の外周間の間隙は、該遮蔽板間をめっき液が通過しないよう、閉塞されていることを特徴とする請求項1または2記載のめっき装置。
- 遮蔽板を3枚備えることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項記載のめっき装置。
- めっき槽と、
被めっき物を着脱可能に装着でき、装着された被めっき物を、前記めっき槽内のめっき液中に浸漬された状態に保持すると共に、陰極に電気的に接続する保持治具と、
前記めっき槽内に、前記保持治具に装着される被めっき物のめっき面と対向するよう配設された陽極板と、
前記めっき槽内に、先端のノズル部が前記めっき面と対向するように前記保持治具と前記陽極板との間に配設され、該ノズル部より該めっき面にめっき液を噴射するノズルと、
前記めっき面の外形よりも小さな透孔が形成され、前記ノズル部より噴射されためっき液が該透孔を通して前記めっき面に向かうように、該ノズル部と該めっき面との間に配設された、絶縁体からなる遮蔽板とを備え、
該遮蔽板の前記めっき面側の面は、外縁に向かうほど該めっき面に近づくよう形成されていることを特徴とするめっき装置。 - 保持治具は、めっき槽内のめっき液中に浸漬された状態の被めっき物を、めっき面がほぼ鉛直に、または該めっき面が上を向くように傾斜させて保持することを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項記載のめっき装置。
- ノズルは、前記陽極板を貫通して配置されていることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一項記載のめっき装置。
- 陽極板の背面を覆って絶縁物が取り付けられていることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか一項記載のめっき装置。
- 各遮蔽板よりもノズル部側に、該ノズル部と陽極板とが内方に位置し、軸線が前記めっき面とほぼ垂直となるよう配設された、絶縁体からなる筒体を備えることを特徴とする請求項1〜8のうちのいずれか一項記載のめっき装置。
- ノズル部が、多数の小孔が形成されたシャワーノズルに形成されていることを特徴とする請求項1〜9のうちのいずれか一項記載のめっき装置。
- 被めっき物は、半導体ウェハであることを特徴とする請求項1〜10のうちのいずれか一項記載のめっき装置。
- 請求項1〜11のうちのいずれか一項記載のめっき装置を用いて、被めっき物にめっきを施すことを特徴とするめっき方法。
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