JP2004307599A - 粘着剤の黄変防止方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】エマルション型粘着剤が経時により黄色に変化するという問題点を解決する方法を提供する。
【課題手段】反応性界面活性剤の存在下に(メタ)アクリルエステルを共重合させたものであるエマルション型アクリル樹脂と粘着付与樹脂とを含むエマルション型粘着剤にポリアクリル酸等のポリカルボン酸化合物を添加することを特徴とする粘着剤の黄変防止方法。
【選択図】 なし
【課題手段】反応性界面活性剤の存在下に(メタ)アクリルエステルを共重合させたものであるエマルション型アクリル樹脂と粘着付与樹脂とを含むエマルション型粘着剤にポリアクリル酸等のポリカルボン酸化合物を添加することを特徴とする粘着剤の黄変防止方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、エマルション型粘着剤の経時黄変防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フィルム支持体用粘着剤として溶剤型アクリル樹脂が用いられてきたが、近年、地球環境、労働環境の改善ならびに資源の有効利用などの観点から、溶剤型粘着剤の代替として、水系のエマルジョン型粘着剤へ急速に転換している。
しかしながら、エマルジョン型粘着剤は、ポリオレフィンなどの非極性ポリマーに対して粘着力が溶剤型に比較して劣ることという欠点があった。この欠点を補う方法としてアクリルポリマーに粘着付与樹脂を配合する手法が知られている。
しかしながら、粘着付与樹脂は耐候性が低いことや、エマルション型粘着剤に含まれる材料が劣化するなど、特に経時あるいは加熱により色相が変化するためフィルム用途として使用が困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、エマルション型粘着剤が経時により黄色に変化するという問題点を解決する方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エマルション型アクリル樹脂と粘着付与樹脂とを含むエマルション型粘着剤にポリカルボン酸化合物を添加することを特徴とする粘着剤の黄変防止方法に関する。
【0005】
更に本発明は、エマルション型アクリル樹脂が反応性界面活性剤の存在下に(メタ)アクリル酸エステルを共重合させたものである上記黄変防止方法に関する。
【0006】
更に本発明は、ポリカルボン酸化合物がポリアクリル酸である上記黄変防止方法に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のアクリル樹脂(A)はエチレン性不飽和単量体(a)を乳化重合したものである。エチレン性不飽和単量体(a)はアルキル基の炭素数が1〜14の(メタ)アクリル酸エステル(a1)を主成分とする。かかる(メタ)アクリル酸エステル(a1)としてはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸iso−プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸iso−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル等の直鎖または分岐脂肪族アルコールのアクリル酸エステル及び対応するメタクリル酸エステル等がある。好ましく使用される(メタ)アクリル酸エステルは、アルキル基の炭素数が4〜12のものである。これらの(メタ)アクリル酸エステル(a1)は、アクリル重合体(A)の85〜99.8重量%含有される。
【0008】
本発明のアクリル重合体(A)は架橋性単量体(a2)を含有してもよく、具体的にはカルボキシル基含有単量体(a2−1)、アルコール性水酸基含有単量体(a2−2)、カルボニル基含有単量体(a2−3)等が挙げられる。
【0009】
カルボキシル基含有単量体(a2−1)としては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸等が挙げられ、これらの単量体はアクリル樹脂(A)の0.1〜10重量%含有されることが好ましい。
【0010】
アルコール性水酸基含有単量体(a2−2)としては(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル等が挙げられ、これらの単量体はアクリル樹脂(A)中0.1〜10重量%含有されることが好ましい。
【0011】
カルボニル基含有単量体(a2−3)としてはメタクリル酸アセトアセトキシエチル、ダイアセトンアクリルアミド等が挙げられ、これらの単量体はアクリル樹脂(A)中0.01〜10重量%含有されることが好ましい。
【0012】
本発明のアクリル樹脂(A)は、上記以外の共重合可能なビニル単量体を含有することができる。これらのビニル単量体としては、ポリエチレングリコールアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、モノ−(2−ヒドロキシエチル−α−クロロアクリレート)アシッドホスフェート、ビニルブロックイソシアネート等、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチルアミノエチルアクリレート、N−トリブチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルピロリドン、ビニルエステル、ビニルピリジン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、ブタジエン、クロロプレン等があり、これらはアクリル樹脂(A)中0.01〜5重量%含有される。
【0013】
本発明のアクリル樹脂(A)の乳化重合に使用される乳化剤は、反応性(イオン性又は非イオン性)界面活性剤、非反応性(イオン性又は非イオン性)界面活性剤等が単独又は数種併用して用いられる。
【0014】
反応性界面活性剤は、エチレン性不飽和単量体(a)とラジカル反応するもので、以下の化合物を例示することができる。アニオン性のものとしては、ノニルフェノール骨格の旭電化工業社製「アデカリアソープSE−10N」、第一工業製薬社製「アクアロンHS−10、HS−20」等、長鎖アルキル骨格の第一工業製薬社製「アクアロンKH−10、KH−20」、旭電化工業社製「アデカリアソープSR−10N」等、燐酸エステル骨格の日本化薬社「KAYARAD」等が挙げられる。ノニオン性のものとしては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンフェニルエーテル類、ソルビタン高級脂肪酸エステル類、グリセリン高級脂肪酸エステル類等があり、旭電化工業社製「アデカリアソープNE−10」、第一工業製薬社製「アクアロンRN−10、RN−20、RN−50」、日本乳化剤社製「アントックスNA−16」等が挙げられる。
【0015】
乳化剤の配合量は、エチレン性不飽和単量体(a)に対して、0.1〜5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜2.0重量%である。乳化剤は乳化液に添加する以外に、一部を予め重合容器に添加しておいてもよい。
【0016】
アクリル樹脂(A)の重合反応に使用する開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩またはアゾビス系カチオン塩または水酸基付加物等の水溶性の熱分解型重合開始剤や、レドックス開始剤を用いることができる。
【0017】
レドックス開始剤としてはt−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどの有機化酸化物とロンガリット、メタ重亜硫酸ナトリウムなどの還元剤との組み合わせ、または過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムとロンガリット、チオ硫酸ナトリウムなどの組み合わせ、過酸化水素水とアスコルビン酸の組み合わせ等を用いることができる。
【0018】
開始剤の使用量としては、エチレン性不飽和単量体(a)に対して0.02〜3重量%、好ましくは0.1〜1重量%である。
【0019】
本発明において、アクリル樹脂(A)の分子量や分子量分布を制御するために連鎖移動剤として、メルカプタン系、チオグリコール系、β−メルカプトプロピオン酸系のアルキルエステルを使用することができる。使用する際、添加量はエチレン性不飽和単量体(a)に対して0.01〜0.2重量%が好ましい。
【0020】
本発明に使用される粘着付与樹脂(B)としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂等がある。
【0021】
ロジン系樹脂としては天然ロジン、ロジンエステル、水添ロジン、水添ロジンエステル、重合ロジン、重合ロジンエステル、不均化ロジン、不均化ロジンエステルなどがある。
【0022】
テルペン系樹脂としてはα−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、テルペンフェノール樹脂等がある。芳香族系石油樹脂としてはスチレンオリゴマー、α−メチルスチレン/スチレン共重合体等がある。
【0023】
粘着付与樹脂はアクリル樹脂(A)に乳化重合時に共存させてもよいし、粘着付与樹脂のエマルションをアクリル樹脂(A)に後添加してもよい。
【0024】
粘着付与樹脂(B)の使用量はアクリル樹脂(A)に対して0.5〜50重量%であり、0.5重量%より少ない場合、非極性ポリマー基材への接着性が低下する。
本発明のポリカルボン酸としては、酸価が300〜767のポリカルボン酸(塩)型高分子界面活性剤またはポリカルボン酸エマルションを使用する。
【0025】
ポリカルボン酸(塩)型高分子界面活性剤としては、花王社製「デモールEP、ポイズ520、ポイズ530」、サンノプコ社製「SNディスパーサント2010、SNディスパーサント5027、SNディスパーサント5034、SNディスパーサント5041」、日本触媒社製「アクアリックDLシリーズ、Hシリーズ」等が挙げられる。
【0026】
ポリカルボン酸化合物の添加は、アクリル樹脂(A)の重合前、重合中あるいは重合後に、エマルション型粘着剤に対し固形分比で0.01〜10重量%、好ましくは0.01〜3重量%添加する。上記数値よりポリカルボン酸化合物の添加量が多いと、粘着剤の耐水性を低下させるため好ましくない。
【0027】
本発明の粘着剤は、必要に応じて種々の添加剤を含有することができる。具体的には、濡れ剤(ハジキ防止の界面活性剤等)、消泡剤、中和剤、可塑剤、増粘剤、架橋剤、充填剤、着色剤、防腐剤、防錆剤、溶剤等が挙げられる。
【0028】
本発明によって得られる粘着剤塗工物は剥離材上に粘着剤組成物をコンマコータ、リバースコータ、スロットダイコータ、リップコータ等で塗工し、乾燥した後に粘着剤層の上に各種フィルム基材、例えばPET、ポリプロピレン等のポリオレフィン、塩化ビニル等のフィルム支持体を積層しラミネートする転写塗工等により得ることができる。得られた粘着シートはフィルム・ラミネート用、ラベル用、テープ用、建材用および包装材料用粘着シートとして使用され、粘着力、耐候性、透明性等を必要とする汎用粘着シートとしても有用である。
【0029】
【実施例】
本発明の実施例について説明する。なお、文中の「部」は「重量部」であり、「%」は「重量%」を示す。
【0030】
【実施例1】
アクリル酸2エチルヘキシル49部、アクリル酸ブチル49部、アクリル酸2部、これら全モノマー100部に対して反応性アンモニア中和型アニオン乳化剤として第一工業製薬社製KH−10を固形分として2部、日本乳化剤社製ニューコール1860を固形分として0.3部、脱イオン水をエマルション固形分が76%になるように33.3部添加し、予め乳化して滴下ロートに入れた。攪拌機、還流冷却装置、温度計、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応装置を用い、反応缶に脱イオン水41部、アクアロンKH−10を固形分として0.1部仕込み、窒素雰囲下で攪拌して内温80℃まで昇温させて3%過硫酸カリウム固形分で0.15部入れた。5分後に上記の予め乳化しておいたエマルションを滴下ロートにて滴下を開始し、これと平行して3%過硫酸カリウム水溶液を固形分で0.45部を3時間かけて滴下した。滴下終了後30分間80℃に保ち、その後30分かけて内温を60〜65度に設定し、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.14部とロンガリット0.2部を30分おきに3回に分けて添加した。更に攪拌しながら1時間熟成したあと室温に冷却してアンモニア水で中和して重合分散体を得た。当該エマルションは不揮発分51.5%、平均粒子径180nmであった。重合法としては上記のものに限られず、一般的な乳化重合によって得ることができる。不揮発分の測定は電気オーブンで150℃−20分後の重量比を測定して行い、平均粒子径の測定は日機装社製マイクロトラックにて測定した。
【0031】
上記で得たエマルションに対して、消泡剤、濡れ剤、防腐剤を加え、アンモニア水でpH=7.5〜8程度に調整し、ロジン系の粘着付与樹脂として荒川化学社製スーパーエステルE−720を固形分で20部、ポリカルボン酸化合物として花王社製デモールEPを固形分で0.3部加えた。増粘剤で3000mPa・s(BL型粘度計、#4ロータ/60rpmにて測定)に増粘して粘着剤を得た。
【0032】
該粘着剤をコンマコータで剥離紙に乾燥膜厚20g/m2となるように塗工し、90℃の乾燥オーブンを40秒間乾燥させ50μPETフィルムをラミネートして巻き取り粘着剤塗工物を得た。塗工物は23℃−65%RH雰囲気下で24時間以上放置した。
【0033】
加熱経時後の黄色変化測定に関しては、塗工物をスライドガラスに貼着後130℃−168時間暴露後、色差計でY値を測定した。
【0034】
【実施例2】
実施例1において、ロジン系の粘着付与樹脂として荒川化学社製スーパーエステルE−720を用いた代わりに、荒川化学社製スーパーエステルE−730−55(ロジン)を用いた以外は実施例1と同様の実験を行った。
【0035】
【実施例3】
実施例1において、添加剤として花王社製デモールEPを固形分で0.3部用いた代わりに、0.6部に増量した以外は実施例1と同様の実験を行った。
【0036】
【実施例4】
実施例1において、花王社製デモールEPを使用する代わりに、花王社製ポイズ530を用いた以外は実施例1と同様の実験を行った。
【0037】
【比較例1】
実施例1において、花王社製デモールEPを添加しない以外は実施例1と同様の実験を行った。
【0038】
【比較例2】
実施例2において、花王社製デモールEPを添加しない以外は実施例2と同様の実験を行った。
【0039】
【比較例3】
実施例4において、花王社製ポイズ530を添加しない以外は実施例4と同様の実験を行った。
【0040】
【比較例4】
実施例1において、花王社製デモールEPを使用する代わりにチバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製IRGANOX1520Lを用いた以外は実施例1と同様の実験を行った。
【0041】
【比較例5】
実施例1において、花王社製デモールEPを使用する代わりにチバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製IRGANOX1141を用いた以外は実施例1と同様の実験を行った。
上記の実験結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】
本発明により、水性粘着剤粘着剤の経時による粘着剤の黄色変化を解決することができた。
【産業上の利用分野】
本発明は、エマルション型粘着剤の経時黄変防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フィルム支持体用粘着剤として溶剤型アクリル樹脂が用いられてきたが、近年、地球環境、労働環境の改善ならびに資源の有効利用などの観点から、溶剤型粘着剤の代替として、水系のエマルジョン型粘着剤へ急速に転換している。
しかしながら、エマルジョン型粘着剤は、ポリオレフィンなどの非極性ポリマーに対して粘着力が溶剤型に比較して劣ることという欠点があった。この欠点を補う方法としてアクリルポリマーに粘着付与樹脂を配合する手法が知られている。
しかしながら、粘着付与樹脂は耐候性が低いことや、エマルション型粘着剤に含まれる材料が劣化するなど、特に経時あるいは加熱により色相が変化するためフィルム用途として使用が困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、エマルション型粘着剤が経時により黄色に変化するという問題点を解決する方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エマルション型アクリル樹脂と粘着付与樹脂とを含むエマルション型粘着剤にポリカルボン酸化合物を添加することを特徴とする粘着剤の黄変防止方法に関する。
【0005】
更に本発明は、エマルション型アクリル樹脂が反応性界面活性剤の存在下に(メタ)アクリル酸エステルを共重合させたものである上記黄変防止方法に関する。
【0006】
更に本発明は、ポリカルボン酸化合物がポリアクリル酸である上記黄変防止方法に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のアクリル樹脂(A)はエチレン性不飽和単量体(a)を乳化重合したものである。エチレン性不飽和単量体(a)はアルキル基の炭素数が1〜14の(メタ)アクリル酸エステル(a1)を主成分とする。かかる(メタ)アクリル酸エステル(a1)としてはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸iso−プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸iso−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル等の直鎖または分岐脂肪族アルコールのアクリル酸エステル及び対応するメタクリル酸エステル等がある。好ましく使用される(メタ)アクリル酸エステルは、アルキル基の炭素数が4〜12のものである。これらの(メタ)アクリル酸エステル(a1)は、アクリル重合体(A)の85〜99.8重量%含有される。
【0008】
本発明のアクリル重合体(A)は架橋性単量体(a2)を含有してもよく、具体的にはカルボキシル基含有単量体(a2−1)、アルコール性水酸基含有単量体(a2−2)、カルボニル基含有単量体(a2−3)等が挙げられる。
【0009】
カルボキシル基含有単量体(a2−1)としては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸等が挙げられ、これらの単量体はアクリル樹脂(A)の0.1〜10重量%含有されることが好ましい。
【0010】
アルコール性水酸基含有単量体(a2−2)としては(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル等が挙げられ、これらの単量体はアクリル樹脂(A)中0.1〜10重量%含有されることが好ましい。
【0011】
カルボニル基含有単量体(a2−3)としてはメタクリル酸アセトアセトキシエチル、ダイアセトンアクリルアミド等が挙げられ、これらの単量体はアクリル樹脂(A)中0.01〜10重量%含有されることが好ましい。
【0012】
本発明のアクリル樹脂(A)は、上記以外の共重合可能なビニル単量体を含有することができる。これらのビニル単量体としては、ポリエチレングリコールアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、モノ−(2−ヒドロキシエチル−α−クロロアクリレート)アシッドホスフェート、ビニルブロックイソシアネート等、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチルアミノエチルアクリレート、N−トリブチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルピロリドン、ビニルエステル、ビニルピリジン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、ブタジエン、クロロプレン等があり、これらはアクリル樹脂(A)中0.01〜5重量%含有される。
【0013】
本発明のアクリル樹脂(A)の乳化重合に使用される乳化剤は、反応性(イオン性又は非イオン性)界面活性剤、非反応性(イオン性又は非イオン性)界面活性剤等が単独又は数種併用して用いられる。
【0014】
反応性界面活性剤は、エチレン性不飽和単量体(a)とラジカル反応するもので、以下の化合物を例示することができる。アニオン性のものとしては、ノニルフェノール骨格の旭電化工業社製「アデカリアソープSE−10N」、第一工業製薬社製「アクアロンHS−10、HS−20」等、長鎖アルキル骨格の第一工業製薬社製「アクアロンKH−10、KH−20」、旭電化工業社製「アデカリアソープSR−10N」等、燐酸エステル骨格の日本化薬社「KAYARAD」等が挙げられる。ノニオン性のものとしては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンフェニルエーテル類、ソルビタン高級脂肪酸エステル類、グリセリン高級脂肪酸エステル類等があり、旭電化工業社製「アデカリアソープNE−10」、第一工業製薬社製「アクアロンRN−10、RN−20、RN−50」、日本乳化剤社製「アントックスNA−16」等が挙げられる。
【0015】
乳化剤の配合量は、エチレン性不飽和単量体(a)に対して、0.1〜5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜2.0重量%である。乳化剤は乳化液に添加する以外に、一部を予め重合容器に添加しておいてもよい。
【0016】
アクリル樹脂(A)の重合反応に使用する開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩またはアゾビス系カチオン塩または水酸基付加物等の水溶性の熱分解型重合開始剤や、レドックス開始剤を用いることができる。
【0017】
レドックス開始剤としてはt−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどの有機化酸化物とロンガリット、メタ重亜硫酸ナトリウムなどの還元剤との組み合わせ、または過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムとロンガリット、チオ硫酸ナトリウムなどの組み合わせ、過酸化水素水とアスコルビン酸の組み合わせ等を用いることができる。
【0018】
開始剤の使用量としては、エチレン性不飽和単量体(a)に対して0.02〜3重量%、好ましくは0.1〜1重量%である。
【0019】
本発明において、アクリル樹脂(A)の分子量や分子量分布を制御するために連鎖移動剤として、メルカプタン系、チオグリコール系、β−メルカプトプロピオン酸系のアルキルエステルを使用することができる。使用する際、添加量はエチレン性不飽和単量体(a)に対して0.01〜0.2重量%が好ましい。
【0020】
本発明に使用される粘着付与樹脂(B)としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂等がある。
【0021】
ロジン系樹脂としては天然ロジン、ロジンエステル、水添ロジン、水添ロジンエステル、重合ロジン、重合ロジンエステル、不均化ロジン、不均化ロジンエステルなどがある。
【0022】
テルペン系樹脂としてはα−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、テルペンフェノール樹脂等がある。芳香族系石油樹脂としてはスチレンオリゴマー、α−メチルスチレン/スチレン共重合体等がある。
【0023】
粘着付与樹脂はアクリル樹脂(A)に乳化重合時に共存させてもよいし、粘着付与樹脂のエマルションをアクリル樹脂(A)に後添加してもよい。
【0024】
粘着付与樹脂(B)の使用量はアクリル樹脂(A)に対して0.5〜50重量%であり、0.5重量%より少ない場合、非極性ポリマー基材への接着性が低下する。
本発明のポリカルボン酸としては、酸価が300〜767のポリカルボン酸(塩)型高分子界面活性剤またはポリカルボン酸エマルションを使用する。
【0025】
ポリカルボン酸(塩)型高分子界面活性剤としては、花王社製「デモールEP、ポイズ520、ポイズ530」、サンノプコ社製「SNディスパーサント2010、SNディスパーサント5027、SNディスパーサント5034、SNディスパーサント5041」、日本触媒社製「アクアリックDLシリーズ、Hシリーズ」等が挙げられる。
【0026】
ポリカルボン酸化合物の添加は、アクリル樹脂(A)の重合前、重合中あるいは重合後に、エマルション型粘着剤に対し固形分比で0.01〜10重量%、好ましくは0.01〜3重量%添加する。上記数値よりポリカルボン酸化合物の添加量が多いと、粘着剤の耐水性を低下させるため好ましくない。
【0027】
本発明の粘着剤は、必要に応じて種々の添加剤を含有することができる。具体的には、濡れ剤(ハジキ防止の界面活性剤等)、消泡剤、中和剤、可塑剤、増粘剤、架橋剤、充填剤、着色剤、防腐剤、防錆剤、溶剤等が挙げられる。
【0028】
本発明によって得られる粘着剤塗工物は剥離材上に粘着剤組成物をコンマコータ、リバースコータ、スロットダイコータ、リップコータ等で塗工し、乾燥した後に粘着剤層の上に各種フィルム基材、例えばPET、ポリプロピレン等のポリオレフィン、塩化ビニル等のフィルム支持体を積層しラミネートする転写塗工等により得ることができる。得られた粘着シートはフィルム・ラミネート用、ラベル用、テープ用、建材用および包装材料用粘着シートとして使用され、粘着力、耐候性、透明性等を必要とする汎用粘着シートとしても有用である。
【0029】
【実施例】
本発明の実施例について説明する。なお、文中の「部」は「重量部」であり、「%」は「重量%」を示す。
【0030】
【実施例1】
アクリル酸2エチルヘキシル49部、アクリル酸ブチル49部、アクリル酸2部、これら全モノマー100部に対して反応性アンモニア中和型アニオン乳化剤として第一工業製薬社製KH−10を固形分として2部、日本乳化剤社製ニューコール1860を固形分として0.3部、脱イオン水をエマルション固形分が76%になるように33.3部添加し、予め乳化して滴下ロートに入れた。攪拌機、還流冷却装置、温度計、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応装置を用い、反応缶に脱イオン水41部、アクアロンKH−10を固形分として0.1部仕込み、窒素雰囲下で攪拌して内温80℃まで昇温させて3%過硫酸カリウム固形分で0.15部入れた。5分後に上記の予め乳化しておいたエマルションを滴下ロートにて滴下を開始し、これと平行して3%過硫酸カリウム水溶液を固形分で0.45部を3時間かけて滴下した。滴下終了後30分間80℃に保ち、その後30分かけて内温を60〜65度に設定し、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.14部とロンガリット0.2部を30分おきに3回に分けて添加した。更に攪拌しながら1時間熟成したあと室温に冷却してアンモニア水で中和して重合分散体を得た。当該エマルションは不揮発分51.5%、平均粒子径180nmであった。重合法としては上記のものに限られず、一般的な乳化重合によって得ることができる。不揮発分の測定は電気オーブンで150℃−20分後の重量比を測定して行い、平均粒子径の測定は日機装社製マイクロトラックにて測定した。
【0031】
上記で得たエマルションに対して、消泡剤、濡れ剤、防腐剤を加え、アンモニア水でpH=7.5〜8程度に調整し、ロジン系の粘着付与樹脂として荒川化学社製スーパーエステルE−720を固形分で20部、ポリカルボン酸化合物として花王社製デモールEPを固形分で0.3部加えた。増粘剤で3000mPa・s(BL型粘度計、#4ロータ/60rpmにて測定)に増粘して粘着剤を得た。
【0032】
該粘着剤をコンマコータで剥離紙に乾燥膜厚20g/m2となるように塗工し、90℃の乾燥オーブンを40秒間乾燥させ50μPETフィルムをラミネートして巻き取り粘着剤塗工物を得た。塗工物は23℃−65%RH雰囲気下で24時間以上放置した。
【0033】
加熱経時後の黄色変化測定に関しては、塗工物をスライドガラスに貼着後130℃−168時間暴露後、色差計でY値を測定した。
【0034】
【実施例2】
実施例1において、ロジン系の粘着付与樹脂として荒川化学社製スーパーエステルE−720を用いた代わりに、荒川化学社製スーパーエステルE−730−55(ロジン)を用いた以外は実施例1と同様の実験を行った。
【0035】
【実施例3】
実施例1において、添加剤として花王社製デモールEPを固形分で0.3部用いた代わりに、0.6部に増量した以外は実施例1と同様の実験を行った。
【0036】
【実施例4】
実施例1において、花王社製デモールEPを使用する代わりに、花王社製ポイズ530を用いた以外は実施例1と同様の実験を行った。
【0037】
【比較例1】
実施例1において、花王社製デモールEPを添加しない以外は実施例1と同様の実験を行った。
【0038】
【比較例2】
実施例2において、花王社製デモールEPを添加しない以外は実施例2と同様の実験を行った。
【0039】
【比較例3】
実施例4において、花王社製ポイズ530を添加しない以外は実施例4と同様の実験を行った。
【0040】
【比較例4】
実施例1において、花王社製デモールEPを使用する代わりにチバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製IRGANOX1520Lを用いた以外は実施例1と同様の実験を行った。
【0041】
【比較例5】
実施例1において、花王社製デモールEPを使用する代わりにチバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製IRGANOX1141を用いた以外は実施例1と同様の実験を行った。
上記の実験結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】
本発明により、水性粘着剤粘着剤の経時による粘着剤の黄色変化を解決することができた。
Claims (3)
- エマルション型アクリル樹脂と粘着付与樹脂とを含むエマルション型粘着剤にポリカルボン酸化合物を添加することを特徴とする粘着剤の黄変防止方法。
- エマルション型アクリル樹脂が反応性界面活性剤の存在下に(メタ)アクリル酸エステルを共重合させたものである請求項1記載の黄変防止方法。
- ポリカルボン酸化合物がポリアクリル酸である請求項1または2記載の黄変防止方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003101092A JP2004307599A (ja) | 2003-04-04 | 2003-04-04 | 粘着剤の黄変防止方法 |
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JP (1) | JP2004307599A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006152128A (ja) * | 2004-11-30 | 2006-06-15 | Nitto Denko Corp | 粘着シート類 |
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2003
- 2003-04-04 JP JP2003101092A patent/JP2004307599A/ja active Pending
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