JP5050554B2 - 感圧接着シート及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プラスチックシート基材と感圧接着剤層を含む感圧接着シートおよびその製造方法に関する。詳しくは、水に浸漬しても感圧接着剤層が白化し難く、耐白化性に優れた感圧接着シートとその製造方法に関する。
感圧接着シートを形成するためには、感圧接着剤が用いられる。
感圧接着シートの基本的積層構成は、(1)基材シート/感圧接着剤層/剥離シートのような片面感圧接着シート、あるいは(2)剥離シート/感圧接着剤層/基材シート/感圧接着剤層/剥離シートのような両面感圧接着シートである。使用時には、剥離シートが剥がされ、感圧接着剤層が被着体に貼付される。
感圧接着シートは、様々な用途に用いられ、要求される接着力も様々である。
貼付後、使用される環境も様々であり、高湿度下におかれたり、冷水や温水に曝されたりすることもある。このような場合、感圧接着剤層に耐水性が要求されることがある。たとえば、光学材料の貼付に使用される場合には、長期間にわたる高度な耐湿性が要求されるので、感圧接着剤層が水の影響によって白濁しないこと、すなわち白化しないことが要求される。
感圧接着剤は、溶剤型感圧接着剤と水性のエマルション型感圧接着剤とに大別され、両者ともアクリル系ポリマーを主たる成分とするものが多い。
一般に、耐水性に優れる感圧接着剤層の形成には、水性のエマルション型感圧接着剤よりも溶剤型感圧接着剤の方が好適ではある。しかし、地球環境保護(揮発性化合物の排出抑制)や労働環境の改善ならびに資源の有効利用などの観点から、高度な耐水性の要求される分野でも、溶剤型感圧接着剤の代わりに、水性感圧接着剤を用いることが要求されるようになってきた。
ところで、大きな接着力が求められる場合(たとえば、ポリエチレン板に対し、180度剥離の際に6N/25mm以上の接着力が求められる場合)は、接着付与樹脂を含有する溶剤型感圧接着剤が用いられることが多い。接着付与樹脂は溶剤に溶解する。したがって、溶剤型アクリル系感圧接着剤の場合、アクリル系ポリマーの溶剤溶液に接着付与樹脂を溶解させることは容易である。そして、アクリル系ポリマーと接着付与樹脂とが充分に相溶するので、溶剤型アクリル系感圧接着剤の乾燥塗膜、すなわち感圧接着剤層は、一般に透明性に優れる。
一方、アクリル系水性エマルション型感圧接着剤は、アクリル系ポリマーエマルションを主たる成分とするものであり、水を分散媒とする。しかし、接着付与樹脂は水に溶解しない。したがって、接着付与樹脂をそのままの状態で、アクリル系ポリマーエマルションと混合し、アクリル系水性エマルション型感圧接着剤を得ることは極めて困難であり、得られたとしても極めて分散安定性が悪い。
そこで、接着付与樹脂をアクリル系水性エマルション型感圧接着剤に導入するために、様々な工夫がなされてきた。
たとえば、接着付与樹脂をあらかじめエマルション化して、アクリル系ポリマーエマルションに配合することが提案されている。この方法により、ほとんどが固形である接着付与樹脂をアクリル系ポリマーエマルションに配合することが可能になった。
しかしながら、この方法によると、感圧接着剤乾燥後に得られる感圧接着剤層は、透明性が劣るばかりでなく、水の影響によって感圧接着剤層がさらに白濁してしまう。これは、感圧接着剤を乾燥する過程で、アクリル系ポリマーエマルション由来のポリマー粒子と接着付与樹脂とが混和しにくく、接着付与樹脂が独立したドメインを形成してしまって均一な相が形成されないので、結果として感圧接着剤層が白濁し、耐水性も悪くなるものと考察される。
以下の特許文献1〜3には、予めラジカル重合性不飽和モノマーと接着付与樹脂と界面活性剤(好適には反応性界面活性剤)と水とを含むエマルションを調製し、そのエマルションを重合することによって、エマルション型感圧接着剤中に接着付与樹脂を導入する方法が提案されている。
たとえば、特開2000−313865号公報(特許文献1)の実施例4には、ラジカル重合性不飽和モノマー100重量部、接着付与樹脂5部、反応性界面活性剤約1.6部および水を含有するエマルションを得て、このエマルションを重合し、エマルション型感圧接着剤を得る方法が記載されている。しかし、用いられる界面活性剤が反応性界面活性剤であり、しかもその量が多いので、このようなエマルション型感圧接着剤から得られる感圧接着剤層は、透明性および耐水性が不十分である。さらに接着付与樹脂の量も少ないので、ポリエチレン板に対し、180度剥離の際に6N/25mm以上の大きな接着力を発現し得る感圧接着シートを得ることができない。
特開2001−031708号公報(特許文献2)の実施例1、2には、ラジカル重合性不飽和モノマー100重量部、接着付与樹脂10部、反応性界面活性剤1.5部および水を含有するエマルションを得て、反応性界面活性剤1.5部を含有する水に、前記エマルションを滴下、重合し、エマルション型感圧接着剤を得る方法が記載されている。しかし、用いられる界面活性剤が反応性界面活性剤であり、しかも使用される総量も多いので、このようなエマルション型感圧接着剤から得られる感圧接着剤層は、透明性の点で不充分である。
さらに、特開2001−348551号公報(特許文献3)の実施例1には、ラジカル重合性不飽和モノマー100重量部、接着付与樹脂15部、反応性界面活性剤2.5部および水を含有するエマルションを得て、このエマルションを重合し、エマルション型感圧接着剤を得る方法が記載されている。しかし、用いられる界面活性剤が反応性界面活性剤であり、しかもその量も多いので、やはり、このようなエマルション型感圧接着剤から得られる感圧接着剤層は、透明性の点で不充分である。
特開2000−313865号公報 特開2001−031708号公報 特開2001−348551号公報
本発明は、プラスチックシート基材と感圧接着剤層とを含む感圧接着シートであって、耐水性に優れ、水に浸漬しても白化しにくい感圧接着剤層を有し、かつ大きな接着力を発現し得る感圧接着シートを提供することを目的とする。
すなわち、第1の発明は、発泡体以外のプラスチックシート基材と、前記基材の少なくとも一方の面に積層された感圧接着剤層とを含む感圧接着シートであって、
前記感圧接着剤層が、アクリル系ポリマーを主成分とするエマルション型水性感圧接着剤から形成されるものであって、感圧接着剤層に含まれる水溶性成分量が3重量%以下であり、
前記感圧接着剤層の厚さが20μmであるときに25℃で24時間水に浸漬した後の明度L*が40以下であり、かつ
ポリエチレン板に対する180度剥離の際の接着力が6N/25mm以上である、
ことを特徴とする感圧接着シートに関する。
また、第2の発明は、前記エマルション型水性感圧接着剤が、ガラス転移温度が0℃以下のポリマーを形成し得る、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするラジカル重合性不飽和モノマー(A)100重量部と、ロジン系接着付与樹脂を60重量%以上含有する接着付与樹脂(B)6〜30重量部と、非反応性界面活性剤(C)0.2〜1.5重量部と、水とを含有するモノマー含有組成物エマルションを重合してなるアクリル系ポリマー含有組成物エマルションを含有するものである、第1の発明の感圧接着シートに関する。
また、第3の発明は、発泡体以外のプラスチックシート基材と、前記基材の少なくとも一方の面に積層された感圧接着剤層とを含む感圧接着シートであって、
前記感圧接着剤層が、アクリル系ポリマーを主成分とするエマルション型水性感圧接着剤から形成されるものであって、感圧接着剤層に含まれる水溶性成分量が3重量%以下であり、
前記エマルション型水性感圧接着剤が、ガラス転移温度が0℃以下のポリマーを形成し得る、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするラジカル重合性不飽和モノマー(A)100重量部と、ロジン系接着付与樹脂を60重量%以上含有する接着付与樹脂(B)6〜30重量部と、非反応性界面活性剤(C)0.2〜1.5重量部と、水とを含有するモノマー含有組成物エマルションを重合してなるアクリル系ポリマー含有組成物エマルションを含有するものである、
ことを特徴とする感圧接着シートに関する。
さらに、第4の発明は、前記エマルション型水性感圧接着剤が、前記アクリル系ポリマー含有組成物エマルション中の官能基と反応し得る架橋剤(D)を含有する、第2又は第3の発明の感圧接着シートに関する。
さらにまた、第5の発明は、発泡体以外のプラスチックシート基材の少なくとも一方の面に、
ガラス転移温度が0℃以下のポリマーを形成し得る、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするラジカル重合性不飽和モノマー(A)100重量部と、ロジン系接着付与樹脂を60重量%以上含有する接着付与樹脂(B)6〜30重量部と、非反応性界面活性剤(C)0.2〜1.5重量部と、水とを含有するモノマー含有組成物エマルションを重合してなるアクリル系ポリマー含有組成物エマルションを含むエマルション型水性感圧接着剤を塗布し乾燥し、アクリル系ポリマー含有組成物エマルション由来のエマルション粒子を融着させて、感圧接着剤層を形成する工程、
を含む感圧接着シートの製造方法であって、
前記感圧接着剤層に含まれる水溶性成分量が3重量%以下であり、
前記感圧接着剤層の厚さが20μmであるときに25℃で24時間水に浸漬した後の明度L*が40以下であり、かつ
ポリエチレン板に対する180度剥離の際の接着力が6N/25mm以上である、
感圧接着シートの製造方法に関する。
本発明によれば、水に浸漬しても白化しにくい、具体的には感圧接着剤層の厚さが20μmの場合に、25℃の水に24時間浸漬した後の明度L*が40以下である感圧接着シートを提供することができる。さらにこの感圧接着シートは、優れた接着力を有し、具体的には、ポリエチレン板に対し、180度剥離の際に6N/25mm以上の接着力を発現することができる。
本発明は、発泡体以外のプラスチックシート基材の少なくとも一方の面に、アクリル系ポリマーを主成分とするエマルション型水性感圧接着剤から形成される感圧接着剤層を積層してなる感圧接着シートである。
本発明におけるプラスチックシート基材(以下、単に「基材」または「シート状基材」と記す場合がある。)としては、平坦な形状を有する各種プラスチックシートあるいは各種プラスチックフィルムが挙げられる。ただし、発泡体である基材は除かれる。
各種基材は単独(単層)で使用されるほか、複数の基材を積層し多層化したものとして用いることもできる。さらに、その表面を剥離処理した基材を用いることもできる。
基材の厚みは、特に限定されないが、一般に15〜200μm程度であることが好ましく、25〜80μm程度であることがより好ましい。
各種プラスチックシート(各種プラスチックフィルム)としては、たとえば、ポリビニルアルコールフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ポリオレフィン系樹脂のフィルム(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリシクロオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、ポリエステル系樹脂のフィルム(ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と記す。)、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリカーボネート系樹脂のフィルム、ポリノルボルネン系樹脂のフィルム、ポリアリレート系樹脂のフィルム、アクリル系樹脂のフィルム、ポリフェニレンサルファイド樹脂のフィルム、ポリスチレン樹脂のフィルム、ビニル系樹脂のフィルム、ポリアミド系樹脂のフィルム、ポリイミド系樹脂のフィルム、エポキシ系樹脂のフィルムなどが使用できる。
本発明による感圧接着シートを光学分野に使用する場合、上記のプラスチックフィルムは透明性に優れた光学用プラスチックフィルム、具体的には厚さが100μmである場合に全光線透過率が80%以上となる光学用プラスチックフィルムであることが好ましい。
光学用プラスチックフィルムとしては、単層フィルムの他、多層化したフィルムも用いることができる。
単層の光学フィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、トリアセテートフィルム、シクロオレフィンフィルム等が挙げられる。
多層化した光学フィルムとしては、偏光フィルム、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム等が挙げられる。偏光フィルムとしては、たとえば、ポリビニルアルコール系偏光子の両面をトリアセチルセルロース系保護フィルムで挟んだ積層構造のものが挙げられる。位相差フィルムとしては、たとえば、延伸したポリカーボネートフィルムを積層した構造のものが挙げられる。反射防止フィルムとしては、たとえば、PETフィルムにポリ4−フッ化エチレンをコーティングした積層構造のものが挙げられる。輝度向上フィルムとしては、たとえば、PETフィルムに拡散性の微粒子をコーティングした積層構造のものが挙げられる。
感圧接着剤層は、エマルション型水性感圧接着剤(以下、単に「水性感圧接着剤」と記す場合がある。)から形成されるものであって、耐水性および接着性に優れるものである。
すなわち、本発明の感圧接着シートを構成する感圧接着剤層は、アクリル系ポリマーを主成分とするエマルション型水性感圧接着剤から形成されるものであり、含有する水溶性成分量が3重量%以下である。
さらに、この感圧接着剤層は、
(1)感圧接着剤層の厚さ20μmにおいて、水に浸漬(25℃、24時間)後の明度L*が40以下であり、かつ、
(2)ポリエチレン板に対する180度剥離の際の接着力が6N/25mm以上である、
という耐水特性(1)および接着特性(2)を有する感圧接着シートを提供できるものである。
エマルション型水性感圧接着剤を構成するアクリル系ポリマーは、アクリル系モノマーを主成分とするラジカル重合性不飽和モノマーを、界面活性剤および重合開始剤を用いて、従来公知の乳化重合法によって重合することにより得ることができる。
ラジカル重合性不飽和モノマーとしては、アルキル基の炭素数が1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とすることが好ましい。この(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等の直鎖または分岐脂肪族アルコールのアクリル酸エステルおよび対応するメタクリル酸エステル等が挙げられる。使用される(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数は1〜10であることがより好ましく、さらに好ましくは1〜8であり、アクリル酸2−エチルヘキシルを主成分とすることが特に好ましい。これらは単独で、または複数種を組み合わせて使用することができる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、ラジカル重合性不飽和モノマーの合計100重量%中に70〜99.9重量%含有されることが好ましい。
ラジカル重合性不飽和モノマーとしては、ラジカル重合性不飽和モノマーの合計100重量%中に、カルボキシル基含有モノマーを0.1〜20重量%含有することが好ましく、0.2〜5重量%含有することがより好ましく、0.2〜2重量%含有することがさらに好ましい。カルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸等が挙げられる。カルボキシル基含有モノマーの割合が0.1重量%未満の場合、形成されるアクリル系ポリマーのエマルションを構成する分散質である粒子(以下、分散質である粒子を「エマルション粒子」という。)の水中での分散状態が不安定となり易く、重合も不安定になり易い。一方、カルボキシル基含有モノマーの割合が20重量%を超えると、乾燥時、そしてエージング時にエマルション粒子同士の密着が阻害され、水に浸漬した場合に感圧接着剤層が白化し易い。
ラジカル重合性不飽和モノマーとしては、上記以外のモノマーを必要に応じて使用することもできる。そのようなモノマーの例としては、
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコール性水酸基含有モノマー;
グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有モノマー;
N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N―アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、メチロール化アクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−3オキソブチル)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミドモノマー;
燐酸基含有ビニルモノマーや酢酸ビニル、スチレン、ブタジエン等のビニル系モノマー;および
アセトアセトキシエチルメタクリレート、アルコキシシリル基含有モノマー;
等が挙げられる。これらのモノマーは、ラジカル重合性不飽和モノマーの合計100重量%中に0〜10重量%の割合で用いることができ、1種または2種以上を使用できる。
以上より、ラジカル重合性不飽和モノマーとして、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(主成分)を70〜99.9重量%、カルボキシル基含有モノマーを0.1〜20重量%、および両者以外のその他のモノマーを0〜10重量%の割合で含むモノマー混合物を使用することが好ましい。
一般に、感圧接着剤層は、液体状態の感圧接着剤をプラスチックシート等のシート状基材に塗布し、その後乾燥して感圧接着剤中に含まれていた液状の媒体を除去することにより形成される。
溶剤型感圧接着剤の場合、液状の媒体を除去することによって、含まれていたポリマー成分がそのまま成膜し、感圧接着剤層を形成する。一方、エマルション型水性感圧接着剤の場合、液状の媒体が除去される際、そしてその後のエージングの過程を通して、分散質であったエマルション粒子同士が接近、密着、融着し、成膜するという過程を経る。
本発明では、感圧接着シートを構成する感圧接着剤層に含まれる水溶性成分量が3重量%以下であることが重要であり、2.5重量%以下であることが好ましい。水溶性成分量が3重量%を超える場合、エージングの際に、エマルション粒子同士の接近、密着、融着が阻害される。したがって、水溶性成分を3重量%よりも過量に含む感圧接着剤層は、緻密な膜構造を形成できない。その結果、疎な感圧接着剤層は、耐水性が劣り、25℃の水に24時間浸漬すると白化してしまい、感圧接着剤層の厚さ20μmにおいて明度L*が40以下である感圧接着シートを提供することができない。
この明度L*は、0から100までの数値で表わされる。L*=0が完全なる純粋な黒を意味し、L*=100が完全なる純粋な白を意味する。一般にL*が40より大きいと、人の目で見た場合に「白い」と認識されてしまうので、高度な耐水性が要求される光学部材や、水に曝される屋外用としては使用できない。
本発明および以降の記載では、この明度L*は、プラスチックシート基材に厚さ20μmの感圧接着剤層を積層してなる感圧接着シートを、水に浸漬する前、あるいは25℃で24時間水に浸漬した後に測定される値L*を意味する。つまり、厚さ20μmの感圧接着剤層を備える感圧接着シート(基材+感圧接着剤層)の、浸水処理(25℃、24時間)前後の明度である。具体的には、浸水処理を行う前、あるいは浸水処理を行って取り出した直後において、多光源分光測色計を用いて反射法により測定した値である。
したがって、本発明の感圧接着シートを構成する感圧接着剤層は、25℃の水に24時間浸漬したときに、白化したとしても、感圧接着剤層の厚さ20μmにおいて感圧接着シートのL*が40以下であることが重要であり、L*が35以下であることがより好ましい。
なお、水に浸漬する前の状態においても、感圧接着剤層の厚さ20μmにおいて感圧接着シートのL*が40を超えることはあってはならない。
感圧接着剤層に含有される「水溶性成分」とは、基材上に感圧接着剤が塗布および乾燥され、揮発性成分が除去されて形成された感圧接着剤層中に含まれる各種成分のうち、水溶性であるものを示す。
その例としては、アクリル系ポリマーを得るための乳化重合の際に用いられる界面活性剤において、それ自身はラジカル重合性を有しない、いわゆる非反応性界面活性剤のうち水溶性であるもの;
アクリル系ポリマーのエマルションを中和するための中和剤のうち、アンモニアなどのような揮発性を示さないために、形成される感圧接着剤層中に残留するもの;
その他、感圧接着剤に配合される、消泡剤、濡れ剤、防腐剤、増粘剤等に含まれる水溶性の成分が挙げられる。
しかしながら、後述するように、アクリル系ポリマーを得るための乳化重合の際に用いられる反応性界面活性剤、重合開始剤、および架橋剤は除くものとする。
感圧接着シートの接着力、すなわち感圧接着剤層の接着力は、ポリエチレン板に対する180度剥離の際の接着力が6N/25mm以上であることも重要であり、7N/25mm以上であることが好ましく、8N/25mm以上であることがより好ましい。
本発明の感圧接着シートを得るために用いられるエマルション型水性感圧接着剤は、好ましくは、ガラス転移温度が0℃以下のポリマーを形成し得る、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするラジカル重合性不飽和モノマー(A)100重量部と、ロジン系接着付与樹脂を60重量%以上含有する接着付与樹脂(B)6〜30重量部と、非反応性界面活性剤(C)0.2〜1.5重量部と、水とを含有するモノマー含有組成物エマルション(以下、単に「モノマーエマルション」とも記す。)を重合してなるアクリル系ポリマー含有組成物エマルション(以下、単に「ポリマーエマルション」とも記す。)を含有するものである。
このモノマー含有組成物エマルションの形成に用いられるラジカル重合性不飽和モノマー(A)としては、前記した各種のモノマーであって、ガラス転移温度が0℃以下のポリマーを形成し得るモノマーを好ましく用いることができる。
ところで、緻密な感圧接着剤層を形成するためには、乾燥時、および必要に応じて任意に行われるエージング時に、エマルション粒子同士の融着を促進することが重要である。そこで、エマルション粒子同士の融着を促進するために、粒子間架橋を利用することが好ましい。
粒子間架橋を生成するために、上記のラジカル重合性不飽和モノマー(A)として、架橋反応を生じ得る官能基を有するモノマーを組み合わせて用いることが好ましい。それらの中でも、カルボキシル基もしくは水酸基を有するモノマーと、これらと成膜時に架橋反応をし得る官能基を有するモノマーとを組み合わせて用いることが好ましい。これらの官能基は、自己架橋性を有するものであってもよい。
さらに、後述する架橋剤(D)を使用することによっても、粒子間架橋を生成することができる。
粒子間架橋を形成するため好適に用いられるモノマーとしては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有モノマー、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N―アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、メチロール化アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミドモノマー、アルコキシシリル基含有モノマー、アセトアセトキシエチルメタクリレートなどのモノマー類が例示できる。
上記した種々のラジカル重合性不飽和モノマー(A)を重合した場合、得られるポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃以下であることが好ましく、−10℃以下であることがより好ましく、−20℃以下であることが一層好ましい。すなわち、本発明において所望する感圧接着剤層を得るためには、得られるポリマー(ホモポリマー)のガラス転移温度が0℃以下であるようなラジカル重合性不飽和モノマーを用いることが好ましい。
換言すると、水性感圧接着剤の主成分となるアクリル系ポリマーとしては、ガラス転移温度が0℃以下のものを使用することが好ましい。
接着付与樹脂(あるいは粘着付与樹脂)(B)としては、接着付与樹脂(B)の合計100重量%中にロジン系樹脂を少なくとも60重量%含むものを、ラジカル重合性不飽和モノマー(A)の合計100重量部に対して6〜30重量部使用することが好ましく、8〜25重量部使用することがより好ましく、10〜20重量部使用することが一層好ましい。
接着付与樹脂(B)が6重量部未満の場合、充分な接着力、具体的には、ポリエチレン板に対し、180度剥離の際に6N/25mm以上の接着力を発現し得る感圧接着剤層を形成することが困難になる。
一方、接着付与樹脂(B)が30重量部を超える場合には、感圧接着剤層の耐水性が低下し、水に浸漬後の感圧接着シートの明度L*が40以下となり得る感圧接着剤層を形成することが困難になる。しかも、感圧接着剤層中に含まれる接着付与樹脂(B)が多すぎるので、感圧接着剤層が軟弱になり過ぎて、強固な接着力を得ることが難しくなる。
ここで、接着付与樹脂(B)は、モノマーエマルション中に配合されることが好ましい。それにより、接着付与樹脂(B)が形成されるポリマーエマルション粒子中に取り込まれて、アクリル系ポリマーと接着付与樹脂(B)とが一体化されたエマルション粒子が得られるようになるため、耐水性に優れた感圧接着剤層を形成することができる。一方、形成されたポリマーエマルション中に、接着付与樹脂(B)を後から添加するようにすると、接着性は得られるものの、アクリル系ポリマーのエマルションと接着付与樹脂(B)のエマルションとの単なる混合物になり、両エマルション粒子の融着は進行しにくいため、望ましい耐水性が得られない恐れがある。
ラジカル重合性不飽和モノマー(A)の合計100重量部に対し、接着付与樹脂(B)を6〜30重量部の範囲で使用したとしても、接着付与樹脂(B)中に占めるロジン系樹脂の比率が60重量%未満であると、そもそも水に浸漬する前の段階で感圧接着剤層の透明性が悪く、しかも耐水性もよくないので、水に浸漬するとさらに白く不透明になりやすい。透明性や耐水性の点からは、ロジン系樹脂だけを用いることが好ましいが、経済性の点から他の接着付与樹脂を併用することが好ましい。
ロジン系樹脂と併用し得るその他の接着付与樹脂としては、テルペン系樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂等が挙げられ、粘着力の点からテルペン系樹脂を併用することが好ましい。
ロジン系樹脂としては、天然ロジン、ロジンエステル、水添ロジン、水添ロジンエステル、重合ロジン、重合ロジンエステル、不均化ロジン、不均化ロジンエステル等が挙げられる。
テルペン系樹脂としては、α−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。
芳香族系石油樹脂としては、スチレンオリゴマー、α−メチルスチレン/スチレン共重合体等が挙げられる。
上記ラジカル重合性不飽和モノマー(A)と、接着付与樹脂(B)とを含むモノマー含有組成物エマルションは、乳化剤としてさらに、反応性界面活性剤ではなく、非反応性界面活性剤(C)を含むことが重要である。
つまり、ラジカル重合性不飽和モノマー(A)と接着付与樹脂(B)の混合液を水媒体中に単に乳化させるだけであれば、ラジカル重合性官能基を有するいわゆる反応性界面活性剤でも、ラジカル重合性官能基を有しない非反応性界面活性剤でも、いずれをも用いることができる。しかし、本発明者の知見によれば、耐水性に優れる感圧接着剤層を得るためには、以下の理由により、非反応性界面活性剤(C)を用いることが好適である。
すなわち、ラジカル重合性不飽和モノマー(A)と接着付与樹脂(B)とを含有するモノマーエマルションを重合する際、反応性界面活性剤は、ラジカル重合性不飽和モノマー(A)と共重合し、自由度を失った反応性界面活性剤が、生成したアクリル系ポリマー含有組成物エマルションのエマルション粒子の表面近傍に固定化されると考察される。このポリマーエマルションのエマルション粒子は、比較的親油性に富むアクリル系ポリマーと接着付与樹脂(B)とから主として構成される。したがって、このポリマーエマルションを含有するエマルション型感圧接着剤を乾燥し、感圧接着剤層を形成すると、エマルション粒子の表面近傍に固定化された界面活性剤由来の親水部は、その親水性ゆえに、エマルション粒子の大部分を占める親油性部分とは親和せずに、ポリマーエマルションのエマルション粒子同士の融着を阻害するものと推察される。その結果、反応性界面活性剤を用いて得られたポリマーエマルションを含有する感圧接着剤からは、耐水性に優れる感圧接着剤層を得ることが困難になる。
これに対し、非反応性界面活性剤(C)を用いた場合、界面活性剤がポリマーエマルションのエマルション粒子の表面近傍に存在してはいても、固定化されてはいないので、乾燥時の成膜の過程で膜中を動き得る。つまり、非反応性界面活性剤(C)は、親油性に富むエマルション粒子同士の融着を阻害しないので、非反応性界面活性剤(C)を用いて得られるポリマーエマルションを含有する感圧接着剤からは、密で均一な感圧接着剤層を形成することができる。感圧接着剤層が密で均一なので、耐水性に優れる。
なお、格別な特許文献等を例示するまでもなく、従来から、感圧接着剤層の耐水性の向上には、乳化剤として反応性界面活性剤の利用が最も効果的であると考えられてきた。したがって、反応性界面活性剤の利用が感圧接着剤層の耐水性にむしろ悪影響を及ぼすことがあるという本発明の知見は、画期的であり、かつ極めて重要である。
非反応性界面活性剤(C)は、イオン性のもの、非イオン性のもののどちらを使用してもよく、それぞれ単独で使用することもできるし、両者を併用することもできる。
非反応性界面活性剤(C)のうち非イオン性のものとしては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルに代表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルやポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル等のエーテル型の他に、ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレントリメチロールプロパン脂肪酸エステル、アミノ酸誘導体、ポリグリセリン脂肪酸エステル、シリコン系界面活性剤等が挙げられる。
非反応性界面活性剤(C)のうちイオン性のものとしては、上記非イオン性界面活性剤がアニオン化された硫酸エステルやその塩類等のイオン性界面活性剤を使用することができる。
非反応性界面活性剤(C)の使用量は、ラジカル重合性不飽和モノマー(A)の合計100重量部に対して0.2〜1.5重量部であることが好ましく、0.5〜1重量部であることがより好ましい。非反応性界面活性剤(C)が、0.2重量部未満の場合は、モノマーエマルションの分散安定性が悪く、ラジカル重合性不飽和モノマー(A)および接着付与樹脂(B)を含む層と水層とに分離しやすくなる。さらに、分散安定性の悪いモノマーエマルションを重合しようとすると、重合も不安定となり、凝集物が多く生じる。
一方、界面活性剤がエマルション粒子の表面近傍に固定化されていないとはいうものの、非反応性界面活性剤(C)が1.5重量部を超えると、得られるアクリル系ポリマー含有組成物エマルションを乾燥する際に、過量の非反応性界面活性剤(C)が、エマルション粒子同士の融着を阻害し、水に浸漬する前の段階での感圧接着剤層の透明性を低下させ、さらには耐水性も低下させる傾向にある。
製造工程では、生成するポリマーエマルションのエマルション粒子径制御のため、使用する界面活性剤の一部を予め重合用容器に添加しておいてもよい。
モノマーエマルションは、ラジカル重合性モノマー(A)100重量部に対して特定量の接着付与樹脂(B)、特定量の非反応性界面活性剤(C)、および水を含んでいる。この水の量は、特に限定されないが、通常は、ラジカル重合性モノマー(A)100重量部に対して40〜250重量部程度である。
このモノマー含有組成物エマルションは、そのエマルション粒子の50%粒子径が2μm以下であることが好ましく、0.5〜1.7μmであることがより好ましく、0.8〜1.5μmであることがさらに好ましい。撹拌条件等を制御することによって、モノマーエマルションのエマルション粒子の粒子径を制御することができる。
なお、本発明でいう「50%粒子径」とは、体積基準でのメジアン径のことを指す。
形成される感圧接着剤層の水に浸漬する前の段階での透明性、そして耐水性の観点からは、ポリマーエマルションのエマルション粒子径は小さい方が好ましい。しかし一方で、モノマーエマルションのエマルション粒子の50%粒子径が小さ過ぎると、モノマーエマルションの安定性が低下する傾向にあり、重合安定性も低下する傾向にある。
一般に、より小さなエマルション粒子の分散安定性を確保するためには、比較的多量の界面活性剤を必要とする。ラジカル重合性モノマー(A)や接着付与樹脂(B)に対して、使用する非反応性界面活性剤(C)を増やせば、粒子径の小さいモノマーエマルションでも安定性を向上させることができ、生成するポリマーエマルションの安定性も向上させることができる。しかし、非反応性界面活性剤(C)の量が過量となると、形成される感圧接着剤層の透明性が低下してしまう。
一方、モノマーエマルションのエマルション粒子の50%粒子径が2μmを越える場合、それを重合してなるポリマーエマルションを含有する水性感圧接着剤から得られる感圧接着剤層は、水に浸漬する前の段階で既に透明性に劣る。
ラジカル重合性モノマー(A)と接着付与樹脂(B)とを含有する組成物(モノマーエマルジョン)を水中で重合する場合、ラジカル重合性モノマー(A)と接着付与樹脂(B)との水中での拡散速度の違いから、ラジカル重合性モノマー(A)が優先的に単独でポリマーエマルションを形成し、接着付与樹脂(B)は取り残されやすいと考えられている。
エマルション粒子の50%粒子径が2μmを超えるほど大きいモノマーエマルションを重合した場合、この傾向がますます強く現れ、ラジカル重合性モノマー(A)由来のアクリル系ポリマーのエマルションと接着付与樹脂(B)のエマルションとの単なる混合物に近い状態になる。このような場合、両エマルション粒子同士の融着が進行しにくいので、形成される感圧接着剤層は水に浸漬する前の段階で既に透明性が悪く、水に浸漬するとますます白く不透明になる傾向にある。
モノマー含有組成物エマルションを重合してアクリル系ポリマー含有組成物エマルションを得る工程は、たとえば次のように行われる。
まず、ラジカル重合性モノマー(A)と接着付与樹脂(B)とを充分に混合し、好ましくは接着付与樹脂(B)をラジカル重合性モノマー(A)に充分に溶解し、この混合物に非反応性界面活性剤(C)および水を加え、撹拌混合する。ここで、必要に応じて超音波乳化機やホモミキサー等の分散機を用い、エマルション粒子の50%粒子径が2μm以下のモノマーエマルションを得るようにすることが好ましい。
続いて、得られたモノマーエマルションの一部または全部を滴下装置に入れ、
(1)加熱および撹拌手段を具備する反応容器に水を入れ、その水中に上記モノマーエマルションを滴下して重合したり、
(2)加熱および撹拌手段を具備する反応容器に水と上記モノマーエマルションの一部を入れ、そこに残りのモノマーエマルションを滴下装置から滴下して、重合したり、
(3)加熱および撹拌手段を具備する反応容器に水と非反応性界面活性剤を入れ、その界面活性剤水溶液中に上記モノマーエマルションを滴下して、重合したりすることができる。
アクリル系ポリマー含有組成物エマルションを得るための重合反応は、通常40℃〜90℃の温度範囲で、2〜6時間かけて行われる。
上記(3)として例示した方法の場合、反応容器中の水に配合し得る非反応性界面活性剤の量は、形成される感圧接着剤層の透明性を低下しない程度の量であることが好ましく、モノマーエマルションの形成に用いられた非反応性界面活性剤の量と合わせて、ラジカル重合性モノマー(A)100重量部に対して0.2〜1.5重量部となるようにすることが好ましい。
重合に際しては、重合開始剤を使用することが好ましい。この重合開始剤としては、水溶性、非水溶性のいずれのものも使用でき、水溶性の重合開始剤を用いることが好ましい。
一般的に用いられるものとしては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩またはアゾビス系カチオン塩もしくは水酸基付加物等の水溶性の熱分解型重合開始剤や、レドックス開始剤を用いることができる。レドックス開始剤としてはt−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどの過酸化物とロンガリット、メタ重亜硫酸ナトリウムなどの還元剤との組み合わせ、または過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムとロンガリット、チオ硫酸ナトリウムなどとの組み合わせ、過酸化水素水とアスコルビン酸との組み合わせ等を用いることができる。
重合開始剤の使用量は、ラジカル重合性不飽和モノマー(A)100重量部に対して、0.02〜3重量部であることが好ましく、0.1〜1重量部であることがより好ましい。
重合開始剤の添加方法としては、全量を反応容器中に仕込んでおき、反応を開始させてもよいし、その一部を反応容器中に仕込んでおき、残りを分割添加あるいは滴下してもよいし、全量を分割添加あるいは滴下してもよい。分割添加あるいは滴下する場合には、モノマーエマルションと混合された状態で重合開始剤を使用してもよい。
なお、重合開始剤は添加時においては水溶性であったとしても、重合時に、開始剤自身はポリマー中に組み込まれるため、その水溶性を失う。したがって、本発明では、重合開始剤は「感圧接着剤層の含有する水溶性成分」からは除外される。
さらに、アクリル系ポリマー含有組成物エマルションのエマルション粒子の分子量や分子量分布を制御するために、連鎖移動剤として、メルカプタン系、チオグリコール系、β−メルカプトプロピオン酸系のアルキルエステルを使用することができる。連鎖移動剤を使用する場合、ラジカル重合性不飽和モノマー(A)100重量部に対して添加量0〜0.1重量部の範囲内で、生成するアクリル系ポリマーの分子量を調節しながら使用することが好ましい。
重合後に得られるポリマーエマルションは、全分散粒子の体積の合計100%中に、0.05μm以上0.4μm未満の小粒径粒子の占める割合が60〜98体積%であり、0.4μm以上5μm以下の大粒径粒子の占める割合が40〜2体積%であることが好ましく、上記小粒径粒子の占める割合が75〜90体積%であり、上記大粒径粒子の占める割合が25〜10体積%であることがより好ましい。この0.05μm以上0.4μm未満の小粒径粒子の占める割合が60体積%未満、すなわち相対的に0.4μm以上5μm以下の大粒径粒子の占める割合が40体積%よりも多いと、形成される感圧接着剤層の透明性が低下する傾向にある。一方、この小粒径粒子の占める割合が98体積%を超えると、乾燥時における粒子の充填率が低下し、ひいてはエマルション粒子同士の融着性や基材への密着性が低下するため、得られる感圧接着剤層の耐水性や接着性が低下する傾向にある。
以上のようにして得られるアクリル系ポリマー含有組成物エマルションを含有するエマルション型水性感圧接着剤は、プラスチックシート基材に塗布後、乾燥されるが、その乾燥の過程で、あるいは必要に応じて行われるエージングの過程で、エマルション粒子同士を粒子間架橋させることが好ましい。
そのためには、たとえば次の(1)および(2)の方法を好ましく採用できる。
(1)ラジカル重合性不飽和モノマー(A)のラジカル重合後、前記モノマー(A)由来の官能基同士が、乾燥過程および必要に応じて行われるエージングの過程において架橋反応し得るように、ラジカル重合性不飽和モノマー(A)中の官能基の種類を選択する。
たとえば、ラジカル重合性不飽和モノマー(A)の1つとしてアセトアセトキシ基を有するモノマーを用いると、乾燥過程等において、エマルション粒子を構成するアクリル系ポリマー同士が自己架橋し得る。
(2)エマルション型水性感圧接着剤(あるいはポリマーエマルション)に、前記モノマー(A)由来の官能基と反応可能な架橋剤(D)を含有させる。
架橋剤(D)としては、ポリマーエマルション中のラジカル重合性不飽和モノマー(A)由来の官能基、たとえば水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等と乾燥過程やエージングの際に反応し得る化合物を用いることができる。
このような架橋剤(D)としては、たとえば、ヒドラジド化合物、セミカルバジド誘導体、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物、アジリジン系化合物、錯形成可能な金属系化合物等が挙げられる。
架橋剤(D)の使用量は、ポリマーエマルション中に含まれるアクリル系ポリマーと接着付与樹脂(B)との合計100重量部に対して10重量部以下であることが好ましく、5重量部以下であることがより好ましく、3重量部以下であることがさらに好ましい。
乾燥過程やエージング過程では、エマルション粒子同士の融着と粒子間架橋とが競争して進行するものと考えられる。したがって、エマルション粒子同士の融着がほとんど進行しないうちに粒子間架橋が進むと、架橋した部分がエマルション粒子同士の融着にとっては一種の障壁となると考察される。よって、架橋剤(D)の量は多すぎないことが好ましい。
なお、架橋剤(D)は、乾燥前の感圧接着剤中においては水に可溶な状態であったとしても、乾燥およびエージングの過程において、架橋剤(D)とポリマーエマルション中のラジカル重合性不飽和モノマー(A)由来の官能基とが反応するので、水溶性を失う。そのため、本発明では、架橋剤(D)は「感圧接着剤層の含有する水溶性成分」からは除外される。
エマルション型感圧接着剤は、アクリル系ポリマー含有組成物エマルションおよび必要に応じて配合される架橋剤(D)のほかに、さらに各種の添加剤等を任意に含むことができる。具体的には、濡れ剤(ハジキ防止の界面活性剤等)、水溶性消泡剤(低HLBの界面活性剤)、中和剤、可塑剤、増粘剤、着色剤、防腐剤、防錆剤等の水溶性成分や、溶剤、着色剤、撥水剤等の油溶性成分が挙げられる。
濡れ剤とは、水性感圧接着剤の表面張力を低下させる能力が高い界面活性剤であり、撥水処理が施された剥離シート上に水性感圧接着剤を塗工する場合には通常含有される成分である。
濡れ剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤、ナトリウムジオクチルスルホサクシネート、シリコン系界面活性剤等が一般的に用いられる。
水性感圧接着剤は、泡立ち易いので、均一な感圧接着剤層を得るために消泡剤を添加剤として配合することが一般的である。
消泡剤としては、鉱物油、界面活性剤、疎水性シリカ等の無機化合物等が配合された組成物等があり、界面活性剤は主にHLBの低い非イオン性界面活性が用いられる。
また、ポリマーエマションの安定性を向上させる目的で、そのエマルション粒子が有するカルボキシル基等の酸性基を、中和剤により中和することが好ましい。
中和剤としては、アンモニア水、水酸化ナトリウム、アミン等が挙げられる。
さらに、水性感圧接着剤は水を含有しており、細菌等が繁殖しやすく、腐りやすい。したがって、水性感圧接着剤には防腐剤を配合することが好ましい。
水溶性の防腐剤としては、イソチアゾリン誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、次亜塩素酸ナトリウム、ポビドンヨード、ピリジンチオール誘導体、過酸化水素、エタノール等が挙げられる。
なお、これら水溶性の各種添加剤成分は、ホモミキサー等を使用してポリマーエマルションによく混ぜることが好ましい。
本発明では、上述のように、得られる感圧接着剤層に含まれる水溶性成分量は3重量%以下であることが必要である。したがって、上記の各種添加剤のうち水溶性のものについては、その配合量を制御することが好ましい。
すなわち、水溶性添加剤(E)を、元来水溶性の物質であって、モノマーエマルションの重合時や水性感圧接着剤の乾燥時に、モノマーエマルションまたはポリマーエマルションのエマルション粒子等と反応性を有さず、かつ不揮発性のものと定義すると、水溶性添加剤(E)は、ポリマーエマルション中の水溶性の非反応性界面活性剤と合わせて、水性感圧接着剤の乾燥重量、すなわち不揮発性成分の合計100重量%中、3重量%以下となるように制御されることが好ましく、2.5重量%以下であることがより好ましい。3重量%を超える場合、耐水性に優れる感圧接着剤層を得ることが困難となる。
なお、乳化重合の際に用いられる反応性界面活性剤、重合開始剤、および配合される架橋剤はポリマーエマルションの構造中に組み込まれて水溶性を失うため、水溶性添加剤(E)からは除外される。
本発明の感圧接着シートは、上記エマルション型水性感圧接着剤を剥離シート上にコーティングし、乾燥して感圧接着剤層を設けた後、感圧接着剤層と発泡体以外のプラスチックシート状基材とを貼り合わせ、感圧接着剤層をシート状基材上に転写する方法、いわゆる転写法によって好適に得ることができる。感圧接着剤層とシート状基材とを貼り合わせた後、さらに必要に応じてエージングすることが好ましい。
水性感圧接着剤を剥離シートにコーティングする方法としては、特に制限されるものではなく、コンマコーター、ブレードコーター、グラビアコーター等のロールコーター、スロットダイコーター、リップコーター、カーテンコーター等の従来公知のコーティング装置によることができる。
乾燥は、一般に50〜120℃で30秒〜5分間行われ、特に100℃前後で数十秒間であることが多いが、これに限定されることはなく、形成された層中の揮発成分を充分に除くことができる条件であればよい。
形成される感圧接着剤層の乾燥厚さは、5〜70μmであることが好ましく、10〜60μmであることがより好ましい。
本発明の感圧接着シートでは、感圧接着剤層を形成するエマルション粒子同士が充分に融着していることが重要である。具体的には、上述した水に浸漬後の感圧接着シートの明度L*が40以下になるまで、アクリル系ポリマー含有組成物エマルション由来のエマルション粒子を融着させることが重要である。
エマルション型水性感圧接着剤の乾燥が、たとえば100℃前後で数十秒間行われ、このような条件でエマルション粒子同士の融着が不充分な場合には、乾燥後の感圧接着シート(本発明による感圧接着シートの一種の前駆体)をさらにエージングすることが好ましい。エージングにより、エマルション粒子同士の融着を進行させ、粒子状であったポリマーエマルション粒子の形状が崩れて均一な相を形成するようになり、水に浸漬後の明度L*が40以下である本発明の感圧接着シートを得ることができる。
たとえば、このエージングは、5〜70℃で1〜30日間程度行うことができ、より具体的には、たとえば25℃で7日間、あるいは40℃で3日間程度行うことが好ましい。
得られた感圧接着シートは、透明性および耐水性が良好であるため、ラミネートフィルム、ラベル、テープ、ウィンドウフィルム等の汎用製品から、包装材料や偏光板等の光学部材等、高耐水性と接着力を必要とする広範な用途に有用である。
この感圧接着シートは、プラスチックシート基材と感圧接着剤層とを含むものであり、さらに剥離シート、あるいはその他の任意のシートあるいは層を含んでいてもよい。
以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、本発明は、下記実施例に限定されない。また、下記実施例および比較例中、「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。また、ポリエチレンオキサイド構造のエチレンオキサイドの繰り返し数を「EO数」とする。
(実施例1)
ラジカル重合性モノマーとしてアクリル酸2−エチルヘキシル:50.5部、アクリル酸ブチル:40.3部、アクリル酸エチル:5部、メタクリル酸メチル:3部、アクリル酸:1部、アセトアセトキシエチルメタクリレート:0.2部、接着付与樹脂としてロジン系樹脂である「スーパーエステルA−125」(荒川化学(株)製):10部、テルペン系樹脂である「YSレジンPX1250」(ヤスハラケミカル(株)製):5部を混合し、ラジカル重合性モノマーに接着付与樹脂を溶解し、両者の混合物を得た。
この混合物に、水溶性の非反応性界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート(アルキル炭素数12、EO数18):1部と脱イオン水50部を加え、ホモミキサーを用いて撹拌し、50%粒子径が5μmのモノマー含有組成物エマルションを得た。上記ラジカル重合性モノマーの組成から得られるポリマーの、理論的に求められるガラス転移温度は−57.1℃である。
得られたモノマー含有組成物エマルションを滴下槽に仕込んだ。
加熱装置、撹拌機、還流冷却装置、温度計、窒素導入管および滴下槽を備えた重合用容器に、脱イオン水:49部とアルキル炭素数12、EO数18のポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート:0.1部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌して内温78℃まで昇温させて、5%過硫酸カリウム水溶液を固形分として0.105部加えた。5分後に、上記モノマー含有組成物エマルションと、5%過硫酸アンモニウム水溶液(固形分として0.315部)をそれぞれ別の滴下槽から4時間かけて滴下して、重合を行った。
滴下終了後、30分間80℃に保ち、次いで30分かけて内温を60〜65℃に設定し、t−ブチルハイドロパーオキサイド:0.1部とロンガリット:0.12部を10分おきに3回に分けて添加した。更に撹拌しながら1時間反応させた後、アンモニア水で中和し、175メッシュのナイロン濾布で濾過して、アクリル系ポリマーと接着付与樹脂とを含むアクリル系ポリマー含有組成物エマルションを得た。このエマルションの不揮発分は50.1%、粘度は120mPa・sであった。
ここで、粘度は、BL型粘度計を用いて、25℃で#4ロータ/60rpmの条件で測定した(以下同じ)。不揮発分は、電気オーブンで150℃、20分乾燥後の重量の、乾燥前の重量に対する重量比から求めた。
得られたポリマーエマルションは、粒子径0.190μmと3.276μmにそれぞれ極大値を有する、小粒系成分(ピーク)と大粒径成分(ピーク)とを有し、50%粒子径は0.188μmであった。粒子径0.190μmに極大値を有する小粒径成分(ピーク)に含まれるエマルション粒子は、その粒子径が0.05μm以上0.4μm未満の小粒径粒子であり、その含有比率は、得られたポリマーエマルションのエマルション粒子の合計体積を100体積%とした場合に、85体積%であった。残りの15体積%を占める粒子は、3.276μmに極大値を有する大粒径成分(ピーク)に含まれ、粒子径が0.4μm以上5μm以下の大粒径粒子であった。
ここで、モノマーエマルションおよびポリマーエマルションの粒子径測定は、日機装(株)製「マイクロトラック」を用いて行った。
上記ポリマーエマルション100部に、消泡剤:0.1部(50%が水溶性成分)、濡れ剤として水溶性であるナトリウムジオクチルスルホサクシネート:0.1部、防腐剤:0.3部(5%が水溶性成分)を加え、さらに増粘剤:1部(30%が水溶性成分)を加え、ホモミキサーで充分に混合し、粘度5000mPa・sのエマルション型水性感圧接着剤を得た。
表面を剥離処理した剥離シート上に、得られたエマルション型水性感圧接着剤をドクターブレードを用いて塗工し、100℃で75秒乾燥し、乾燥膜厚が20μmの感圧接着剤層を得た。次いで、感圧接着剤層に厚さ50μmのPETフィルムを貼り合わせ、40℃で3日間エージングし、感圧接着シートを得た。感圧接着剤層中に含まれる水溶性成分量は1.86%であった。
<耐水性(耐白化性)評価>
水浸漬前:感圧接着シートの剥離シートを剥がして、多光源分光測色計(スガ試験機(株)製)を用いて、反射法により感圧接着シートのL*を測定した。
水浸漬後:感圧接着シートの剥離シートを剥がして、25℃の水に浸漬し、24時間放置した後、取り出して、直ちに多光源分光測色計(スガ試験機(株)製)を用いて、反射法により感圧接着シートのL*を測定した。
<接着力測定>
感圧接着シートを幅25mmの短冊状にカットし、剥離シートを剥がして、ポリエチレン板に貼り付け、2kgロールで1往復し、測定試料を得た。得られた測定試料を、23℃の雰囲気下に24時間放置した後、23℃雰囲気下で、300mm/分の速さで180゜方向に剥離した際の接着強度を測定した。
(実施例2)
実施例1において、エージング条件を25℃/7日間に変更した以外は、実施例1と同様の実験を行った。
(実施例3)
モノマーエマルションの50%粒子径を1.2μmとした以外は、実施例1と同様にして重合し、ポリマーエマルションを得た。得られたポリマーエマルションは、粒子径0.203μmと1.244μmにそれぞれ極大値を有する、小粒系成分(ピーク)と大粒径成分(ピーク)とを有し、50%粒子径は0.182μmであった。
粒子径0.203μmに極大値を有する小粒径成分(ピーク)に含まれるエマルション粒子は、その粒子径が0.05μm以上0.4μm未満の小粒径粒子であり、その含有比率は、得られたポリマーエマルションのエマルション粒子の合計体積を100体積%とした場合に、88体積%であった。残りの12体積%を占める粒子は1.244μmに極大値を有する大粒径成分(ピーク)に含まれ、粒子径が0.4μm以上5μm以下の大粒径粒子であった。
得られたポリマーエマルションを用いて、実施例1と同様の実験を行った。
(実施例4)
接着付与樹脂を、ロジン系樹脂:「スーパーエステルA−125」(荒川化学(株)製):5部、テルペン系樹脂:「YSレジンPX1250」(ヤスハラケミカル(株)製):10部とした以外は、実施例1と同様にして、50%粒子径が1.2μmのモノマーエマルションを得、同様にして重合、濾過し、不揮発分50.3%、粘度120mPa・sのポリマーエマルションを得た。これ以後は、実施例1と同様の実験を行った。
(比較例1)
実施例1において、エージングをしなかったこと以外は、実施例1と同様の実験を行った。
(比較例2)
実施例1で得たポリマーエマルション100部に、消泡剤:0.1部(50%が水溶性成分)、濡れ剤として水溶性であるナトリウムジオクチルスルホサクシネート:1部、防腐剤:0.3部(5%が水溶性成分)を加え、さらに増粘剤:1部(30%が水溶性成分)を加え、エマルション型水性感圧接着剤を得た。
以後は実施例1と同様の実験を行った。
(比較例3)
ラジカル重合性モノマーとしてアクリル酸2−エチルヘキシル:50.5部、アクリル酸ブチル:40.3部、アクリル酸エチル:5部、メタクリル酸メチル:3部、アクリル酸:1部、アセトアセトキシエチルメタクリレート:0.2部、接着付与樹脂としてロジン系樹脂である「スーパーエステルA−125」(荒川化学(株)製):10部、テルペン系樹脂である「YSレジンPX1250」(ヤスハラケミカル(株)製):5部を混合、溶解させて両者の混合物を得た。この混合物に、反応性界面活性剤であるポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルのアンモニウム塩:1部と脱イオン水50部を加え、ホモミキサーで撹拌して、50%粒子径が5μmのモノマーエマルションを得た。
得られたモノマーエマルションを、滴下槽に仕込んだ。
加熱装置、撹拌機、還流冷却装置、温度計、窒素導入管および滴下槽を備えた重合用容器に脱イオン水:49部とアルキル炭素数12、EO数18のポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート:0.1部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌して内温78℃まで昇温させて、5%過硫酸カリウム水溶液を固形分として0.105部加えた。5分後に上記モノマーエマルションと、5%過硫酸アンモニウム水溶液(固形分として0.315部)を、それぞれ別の滴下槽から4時間かけて滴下して重合を行った。滴下終了後30分間80℃に保ち、次いで30分かけて内温を60〜65℃に設定し、t−ブチルハイドロパーオキサイド:0.1部とロンガリット:0.12部を10分おきに3回に分けて添加した。更に撹拌しながら1時間反応させた後、アンモニア水で中和し、175メッシュのナイロン濾布で濾過して、ガラス転移温度(計算値)が−57.1℃であるアクリル系ポリマーを含有するエマルションを得た。このポリマーエマルションの不揮発分は50.1%、粘度は120mPa・sであった。
得られたポリマーエマルション100部に、増粘剤:1部(30%が水溶性成分)を加えて5000mPa・sに増粘して、エマルション型水性感圧接着剤を得た。この感圧接着剤の調製はホモミキサーを用いて行った。
これ以後は実施例1と同様の実験を行った。感圧接着剤層中に含まれる水溶性成分量は0.6%であった。
(比較例4)
接着付与樹脂を、ロジン系樹脂である「スーパーエステルA−125」(荒川化学(株)製):3.3部、テルペン系樹脂である「YSレジンPX1250」(ヤスハラケミカル(株)製):1.7部とし、実施例1において用いた水溶性の非反応性界面活性剤であるアルキル炭素数12、EO数18のポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの量を1.5部に変更した以外は、実施例1と同様の実験を行った
(比較例5)
比較例4において用いた非反応性界面活性剤である、アルキル炭素数12、EO数18のポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの代わりに、反応性界面活性剤であるポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルのアンモニウム塩を用いた以外は、比較例4と同様の実験を行った。
(比較例6)
接着付与樹脂を、ロジン系樹脂である「スーパーエステルA−125」(荒川化学(株)製):25部、テルペン系樹脂である「YSレジンPX1250」(ヤスハラケミカル(株)製):15部に変更した以外は、実施例1と同様の実験を行った。
(比較例7)
接着付与樹脂を、テルペン系樹脂は使わずに、ロジン系樹脂である「スーパーエステルA−125」(荒川化学(株)製):15部とし、実施例1において用いた非反応性界面活性剤であるアルキル炭素数12、EO数18のポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの代わりに、反応性界面活性剤であるポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルのアンモニウム塩を2.5部用いるように変更した以外は、実施例1と同様の実験を行った。
(比較例8)
モノマーエマルション中に接着付与樹脂を配合せず、実施例1と同様のラジカル重合性モノマーの混合物と、水溶性の非反応性界面活性剤であるアルキル炭素数12、EO数18のポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート:1部を用いて、50%粒子径が1.2μmのモノマー含有組成物エマルションを得た。以降は実施例1と同様にして、不揮発分50.2%、粘度110mPa・sの、接着付与樹脂を含まないポリマーエマルションを得た。
得られたポリマーエマルションの粒子径分布は、粒子径0.180μmに極大値を有するピークに含まれる粒子が100体積%であり、その粒子径は0.05μm以上0.4μm未満であった。また、ポリマーエマルションの50%粒子径は0.185μmであった。
次いで、得られたポリマーエマルションの固形分100部に対して、エマルション化した軟化点150℃、平均粒子径0.52μmのロジン系接着付与樹脂を固形分として15部添加し、混合した。混合後、粒子径分布を実施例1と同様にして求めた。
これ以後、接着付与樹脂を含まないポリマーエマルションと接着付与樹脂エマルションの混合物100部を基準として、実施例1と同様の実験を行った。
以上、得られた結果を表1に示す。
Figure 0005050554

Claims (3)

  1. 発泡体以外のプラスチックシート基材と、前記基材の少なくとも一方の面に積層された感圧接着剤層とを含む感圧接着シートであって、
    前記感圧接着剤層が、マルション型水性感圧接着剤から形成されるものであって、感圧接着剤層に含まれる非反応性界面活性剤、中和剤、消泡剤、濡れ剤、防腐剤および増粘剤のいずれかが含む水溶性成分量が3重量%以下であり、
    前記エマルション型水性感圧接着剤が、ガラス転移温度が0℃以下のポリマーを形成し得る、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするラジカル重合性不飽和モノマー(A)100重量部と、ロジン系接着付与樹脂を60重量%以上含有する接着付与樹脂(B)6〜30重量部と、非反応性界面活性剤(C)0.2〜1.5重量部と、水とを含有するモノマー含有組成物エマルションを重合してなるアクリル系ポリマー含有組成物エマルションを含有し、
    前記アクリル系ポリマー含有組成物エマルションが、全分散粒子の体積の合計100%中に、0.05μm以上0.4μm未満の小粒径粒子の占める割合が60〜98体積%であり、0.4μm以上5μm以下の大粒径粒子の占める割合が40〜2体積%であり、
    前記感圧接着剤層の厚さが20μmであるときに25℃で24時間水に浸漬した後の明度L*が40以下であり、かつ
    ポリエチレン板に対する180度剥離の際の接着力が6N/25mm以上である、
    ことを特徴とする感圧接着シート。
  2. 前記エマルション型水性感圧接着剤が、前記アクリル系ポリマー含有組成物エマルション中の官能基と反応し得る架橋剤(D)を含有する、請求項1記載の感圧接着シート。
  3. 発泡体以外のプラスチックシート基材の少なくとも一方の面に、
    ガラス転移温度が0℃以下のポリマーを形成し得る、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするラジカル重合性不飽和モノマー(A)100重量部と、ロジン系接着付与樹脂を60重量%以上含有する接着付与樹脂(B)6〜30重量部と、非反応性界面活性剤(C)0.2〜1.5重量部と、水とを含有するモノマー含有組成物エマルションを重合してなるアクリル系ポリマー含有組成物エマルションを含むエマルション型水性感圧接着剤を塗布し乾燥し、アクリル系ポリマー含有組成物エマルション由来のエマルション粒子を融着させて、感圧接着剤層を形成する工程、
    を含む感圧接着シートの製造方法であって、
    前記アクリル系ポリマー含有組成物エマルションが、全分散粒子の体積の合計100%中に、0.05μm以上0.4μm未満の小粒径粒子の占める割合が60〜98体積%であり、0.4μm以上5μm以下の大粒径粒子の占める割合が40〜2体積%であり、
    前記感圧接着剤層に含まれる非反応性界面活性剤、中和剤、消泡剤、濡れ剤、防腐剤および増粘剤のいずれかが含む水溶性成分量が3重量%以下であり、
    前記感圧接着剤層の厚さが20μmであるときに25℃で24時間水に浸漬した後の明度L*が40以下であり、かつ
    ポリエチレン板に対する180度剥離の際の接着力が6N/25mm以上である、
    感圧接着シートの製造方法。

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