JP2004306866A - 車両用衝撃吸収構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】互いに異なる大きさの設置スペース40の何れに対しても、車両用内装部品36やボデー構成部品38との間に隙間42を形成せしめつつ配置されて、外部から入力される衝撃を吸収せしめる衝撃吸収部材12に対して、薄肉板状のスペーサリブ14を一体的に立設すると共に、かかるスペーサリブ14を、衝撃吸収部材12が設置スペース40内に配置された際に形成される隙間42内において、車両用内装部品36とボデー構成部品38との対向部位同士の間や、それら車両用内装部品36やボデー構成部品38との対向部位同士の間に、該スペーサリブ14の辺縁部の端面32が車両用内装部品36やボデー構成部品38と接触乃至は対向せしめられつつ、介在され得るような形状において、構成した。
【選択図】 図4
Description
【技術分野】
本発明は、車両用衝撃吸収構造体に係り、特に、車両用内装部品と車両のボデー構成部品との間の設置スペースに対して有利に配設可能な車両用衝撃吸収構造体に関するものである。
【0002】
【背景技術】
一般に、自動車等の車両にあっては、多くの場合、天井内張やピラーガーニッシュ、ルーフサイドレール、インストルメントパネル、コンソールボックス等、衝突事故の発生時に乗員が接触する可能性が高い内装部品と、かかる内装部品の車室側とは反対側(裏側)に位置せしめられた、ボデーの一部を構成する各種のパネル等のボデー構成部品との間の設置スペース内に、衝撃吸収構造体が設置されており、それによって、衝突事故時等に乗員がそれら内装部品に接触した際に、乗員に加わる衝撃が緩和されて、乗員の保護が図られるようになっている。
【0003】
ところで、このような車両用衝撃吸収構造体の多くのものは、従来から、内装部品とボデー構成部品との間の設置スペースに対応した形状に設計されて、かかる設置スペース内に、それを満たすように配設されている。これによって、衝撃吸収構造体と内装部品やボデー構成部品との間の隙間が無くされて、例えば、車両の走行時における振動等に起因するガタツキ等により、衝撃吸収構造体が内装部品やボデー構成部品と接触して、異音が生ずるようなことや、内装部品を押圧した際等に、内装部品が容易に凹んでしまって、高級感とは逆の粗末な印象を与えるようなことが、未然に防止されるようになっているのである。
【0004】
ところが、一般に、内装部品とボデー構成部品との間における衝撃吸収構造体の設置スペースの形状が、各車種毎に種々異なるところから、従来では、衝撃吸収構造体の全体形状が、それぞれの設置スペースの形状に合わせて、各車種毎に、専用設計されていた。
【0005】
そのため、従来の衝撃吸収構造体の設計工程では、設置スペースに対応した形状に設計された衝撃吸収構造体が、果たして、十分な衝撃吸収性能を発揮するか否かを一々確認する余分な作業を行なう必要があったのであり、それが、衝撃吸収構造体の設計を煩雑化せしめて、その生産性を著しく低下せしめる要因となっていたのである。
【0006】
なお、本願出願人は、先に、互いに大きさの異なる設置スペースに対して、十分な衝撃吸収性能を確保しつつ設置され得るコンパクトな構造を有する車両用衝撃吸収構造体を提案した(例えば、特許文献1)。しかしながら、そこでは、そのようなコンパクトな構造を有する衝撃吸収構造体の設置スペース内への配置状態下において、かかる衝撃吸収構造体と内装部品やボデー構成部品との間に形成される隙間によって、異音の発生や高級感の喪失等の問題が生ずる恐れがあることについて、何等言及されてはいなかったのである。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−166804号公報
【0008】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、設置スペースの形状に拘わらず、それに対応した形状とされた場合に得られる利点を確保しつつ、より十分な衝撃吸収性能を発揮し得る構造が、容易に且つ適切に設計されて、生産性の向上が有利に図られ得る衝撃吸収構造体を提供することにある。
【0009】
【解決手段】
そして、本発明にあっては、かかる課題の解決のために、車両用内装部品と車両のボデー構成部品との間の設置スペース内に配設される車両用衝撃吸収構造体であって、(a)前記車両用内装部品と前記ボデー構成部品のそれぞれの種類に応じて、互いに異なる大きさとされる前記設置スペースのどれよりも小さな形状を有し、それら何れの設置スペース内においても、該車両用内装部品やボデー構成部品との間に隙間を形成せしめつつ配置されて、外部から入力される衝撃により変形せしめられることによって、該衝撃を、少なくとも予め設定された量だけ吸収せしめる衝撃吸収部材と、(b)該衝撃吸収部材に対して一体的に立設された薄肉板状のリブからなり、該衝撃吸収部材が前記設置スペースに配置された際に形成される前記隙間内において、前記車両用内装部品と前記ボデー構成部品との互いの対向部位同士の間や、それら車両用内装部品やボデー構成部品と、該衝撃吸収部材の該リブの形成部位との互いの対向部位同士の間に、該リブの辺縁部の端面が該車両用内装部品や該ボデー構成部品と接触乃至は対向せしめられつつ、介在するように配置されるスペーサリブとを含んで構成したことを特徴とする車両用衝撃吸収構造体を、その要旨とするものである。
【0010】
すなわち、この本発明に従う車両用衝撃吸収構造体にあっては、互いに異なる大きさとされた様々な設置スペース内に配置可能で、且つそれら何れの設置スペース内においても、外部からの衝撃を、少なくとも予め設定された量だけ吸収せしめる衝撃吸収部材を含んで構成されているところから、配置される設置スペースの大きさに拘わらず、安定した衝撃吸収性能が確保され得るのであり、それによって、大きさが種々異なる設置スペース内にそれぞれ設置せしめられる際に、その設計段階で、十分な衝撃吸収性能が発揮されるか否かを一々確かめるための余分な作業を行なう必要が、有利に解消され得るのである。
【0011】
なお、このような衝撃吸収部材に対して、スペーサリブが一体的に形成されているが、このスペーサリブは、薄肉板状形態を呈していることによって、外部からの衝撃の入力にて比較的に容易に変形せしめられるのであり、それ故に、かかるスペーサリブが、衝撃吸収部材の衝撃吸収性能に影響を及ぼすことは殆どないのである。
【0012】
また、かかる車両用衝撃吸収構造体においては、上述の如き特徴を有する衝撃吸収部材に対して一体的に立設されたスペーサリブが、衝撃吸収部材と内装部品やボデー構成部品との間の隙間内における、内装部品とボデー構成部品との互いの対向部位同士の間や、それら内装部品やボデー構成部品と、衝撃吸収部材のスペーサリブ形成部位との互いの対向部位同士の間に、スペーサリブの辺縁部の端面が内装部品やボデー構成部品と接触乃至は対向せしめられつつ、介在して配置されるようになっているため、スペーサリブが介在せしめられた、内装部品とボデー構成部品との対向部位間や、内装部品やボデー構成部品と、衝撃吸収部材のスペーサリブ形成部位との対向部位間において、かかるスペーサリブの端面と内装部品やボデー構成部品との間の隙間が消失乃至は可及的に小さく為され得るのである。
【0013】
そして、それ故に、本発明に係る車両用衝撃吸収構造体では、設置スペースに対応した全体形状を有する従来の衝撃吸収構造体と同様に、設置スペースへの配設状態下で、例えば、車両の走行時における振動等に起因するガタツキ等により、衝撃吸収構造体が内装部品やボデー構成部品と接触して、異音が生ずるようなことや、内装部品を押圧した際等に、内装部品が容易に凹んでしまって、粗末な印象を与えるようなことが、効果的に防止され得るのである。
【0014】
従って、かくの如き本発明に従う車両用衝撃吸収構造体にあっては、設置スペースの形状に拘わらず、それに対応した形状とされた場合に得られる利点を有利に確保しつつ、より十分な衝撃吸収性能を発揮し得る構造が、容易に且つ適切に設計されて、生産性の向上が極めて効果的に図られ得ることとなるのである。
【0015】
なお、このような本発明に従う車両用衝撃吸収構造体の好ましい態様の一つによれば、前記スペーサリブの複数が、互いに所定の距離を隔てて対向する状態で、前記衝撃吸収部材に立設されると共に、かかる複数のスペーサリブのうち、互いに対向するもの同士の間に、その対向方向に延び出して、それら対向するスペーサリブ同士を相互に連結して、各スペーサリブの容易な傾倒を阻止する連結リブが更に設けられて、構成される。
【0016】
このような構成を有する車両用衝撃吸収構造体にあっては、衝撃吸収部材に立設された複数のスペーサリブが、互いに対向するもの同士の間に、それらを連結するように設けられた連結リブにて、容易に傾倒されないようになっているところから、例えば、内装部品を押圧した際等に、スペーサリブが、簡単に捻れたり、曲がったりして傾倒し、内装部品と衝撃吸収部材との間にスペーサリブが介在しているにの拘わらず、内装部品が凹んでしまうようなことが、効果的に防止され得るのであり、それによって、そのような内装部品の凹み等に起因した高級感の喪失等の問題が、より有利に解消され得るのである。
【0017】
また、本発明に従う車両用衝撃吸収構造体の別の有利な態様の一つによれば、前記衝撃吸収部材が、前記設置スペース内において、前記外部からの衝撃の入力方向に延びるように立設せしめられ、該衝撃の入力により変形せしめられることによって、該衝撃を吸収する側壁を備えた筒状部を有する樹脂成形体にて構成される。
【0018】
かかる構成を有する車両用衝撃吸収構造体においては、衝撃が入力せしめられた際に、その衝撃荷重が、衝撃吸収部材を構成する樹脂成形体の筒状部における側壁に対して、その高さ方向の圧縮荷重として作用されて、側壁が高さ方向において座屈変形せしめられることとなる。それ故に、例えば、合成樹脂材料製の平板状のリブの複数が格子状に組み合わされてなる、所謂樹脂リブ構造体等にて衝撃吸収部材を構成する場合とは異なって、側壁が高さ方向に重なり合うことが可及的に解消され、それによって、側壁の高さが低くされて、衝撃ストロークが小さくされる場合にあっても、衝撃が効率的に吸収され得るのである。
【0019】
従って、上述の如き構造を有する衝撃吸収構造体にあっては、様々な大きさの設置スペース内の何れに対しても、内装部品やボデー構成部品との間に隙間を形成しつつ配置可能な小さな形状とされた樹脂成形体において、外部から入力される衝撃が、予め設定された量以上に、確実に吸収され得るのであり、その結果として、十分な衝撃吸収性能が、安定して発揮され得ることとなるのである。なお、ここで言う衝撃の入力方向とは、衝撃が入力せしめられる方向に一致した方向とその方向に近い方向とを含む。以下、同一の意味において使用する。
【0020】
さらに、本発明に従う車両用衝撃吸収構造体の望ましい他の態様の一つによれば、前記衝撃吸収部材が、前記樹脂成形体の複数を、互いに所定の間隔をおいて、それぞれの側壁を対向させつつ隣り合って位置せしめると共に、それら互いに隣り合うもの同士を連結体にて相互に連結して一体化せしめることにより構成され、更に、該連結体が、互いに隣り合う該複数の樹脂成形体の間に延びるように配設された、可撓性を有する合成樹脂材料からなる第一の連結部材と第二の連結部材にて構成されると共に、該第一の連結部材が、該複数の樹脂成形体における前記側壁の延出方向には容易に撓み変形するものの、該側壁の延出方向に対して直角な方向への撓み変形が困難となる形状をもって構成される一方、該第二の連結部材が、該側壁の延出方向に対して直角な方向には容易に撓み変形するものの、該側壁の延出方向への撓み変形が困難となる形状をもって構成されることとなる。
【0021】
このような構成を有する車両用衝撃吸収構造体においては、大きさだけでなく、形状の種々異なる設置スペースに対しても、衝撃吸収部材における第一及び第二の連結部を撓み変形させることにより、複数の樹脂成形体が、設置スペース内において衝撃を有効に吸収し得る箇所に、それぞれ容易に且つ確実に位置せしめられ得るのである。また、第一の連結部と第二の連結部の形状を種々変更することによって、それら第一及び第二の連結部からなる連結体全体の、各樹脂成形体における側壁の延出方向とそれに直角な方向への撓み変形の許容量が、第一及び第二の連結部の形状の変更量に応じて、確実に調節され得るのであり、それ故に、例えば、単に、第一の連結部と第二の連結部を構成する合成樹脂材料の種類を種々変更するだけで、連結体全体の撓み変形の許容量を調節する場合とは異なって、必要とされる適度な柔軟性を維持しつつ、適度な剛性が、容易に且つ正確に得られるのである。
【0022】
従って、上述の如き構成を有する車両用衝撃吸収構造体にあっては、様々な大きさや形状の設置スペースに対して、隙間を形成しつつ設置されるコンパクトな構造が、十分な衝撃吸収性能をもって、より有利に実現せしめられ得るのであり、その結果として、生産性の向上や生産コストの低減が、更に一層効果的に図られ得ることとなるのである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明に係る車両用衝撃吸収構造体の構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0024】
先ず、図1乃至図3には、本発明に従う構造を有する車両用衝撃吸収構造体の一例として、自動車の内装部品の一種たる天井内張と、その車室側とは反対側(裏側)において、天井内張と対向位置せしめられるボデー構成部品の一つであるルーフパネルとの間の設置スペース内に配置される衝撃吸収構造体が、その正面形態、平面形態、及び横断面形態において、それぞれ概略的に示されている。それらの図からも明らかなように、衝撃吸収構造体10は、衝撃吸収部材12を有して、構成されている。
【0025】
より具体的には、この衝撃吸収構造体10を構成する衝撃吸収部材12は、複数(ここでは5個)の樹脂成形体16と、それら複数の樹脂成形体16を連結する複数(ここでは8個)の連結体18とから成っており、それらのうち、樹脂成形体16は、略角筒形状を呈する筒状部20と略正矩形状の天板部22とを更に有して、構成されている。
【0026】
そして、かかる衝撃吸収部材12における樹脂成形体16の筒状部20は、上底が下底よりも所定寸法だけ短い略台形状を呈する薄肉平板からなる四つの側壁24を有し、それらが筒状部20の軸心に向かって漸次接近するように傾斜しつつ、上方に向かって延びるように立設されて、成っている。一方、天板部22も、筒状部20の各側壁24と略同一の肉厚を有する薄肉平板からなり、四つの辺部において、それら各側壁24の上底側の辺縁部に対して、それぞれ一体化されて、構成されている。
【0027】
すなわち、ここでは、樹脂成形体16が、後述する如く、天井内張36と、それに対向位置せしめられたルーフパネル38との間の設置スペース40内に配置された状態下で、衝撃の入力方向(天井内張36とルーフパネル38との対向方向)に延びるように立設せしめられた四つの側壁24を有する筒状部20と、この筒状部20の上部開口部を閉塞する天板部22とからなる一体品として構成されており、全体として、軸直方向に広がる断面が矩形状とされ、且つ先端に向かうに従って、該断面の面積が次第に小さくなる、片側有底の角筒形状をもって形成されている。そして、このような樹脂成形体16の複数が、互いに一定の間隔をおいて、それぞれの側壁24を対向させつつ隣り合って、一列(一直線)に並べられるように独立して配置されているのである。
【0028】
なお、本実施形態では、かくの如き衝撃吸収部材12における樹脂成形体16が、座屈変形し易いオレフィン系樹脂、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の合成樹脂材料を用いて構成されている。このように、樹脂成形体16の構成材料として、座屈変形を容易ならしめる材料が用いられ、またそれと共に、上述せる如く、樹脂成形体16が、先端に向かうに従って、軸直方向に広がる断面の面積が小さくなる角筒形状をもって形成されているため、衝撃吸収部材12(衝撃吸収構造体10)に衝撃が加えられた際に、樹脂成形体16の側壁24が高さ方向に重なり合うことが可及的に解消されつつ、樹脂成形体16が、高さ方向に容易に座屈変形せしめられるようになっている。それ故に、かかる樹脂成形体16が、側壁24の高さが低くされて、衝撃ストロークが小さくされる場合にあっても、衝撃が、少なくとも予め設定(設計)された量だけ、効率的に吸収され得るのであり、以て、衝撃吸収部材12において、十分な衝撃吸収性能が確保され得るようになっているのである。
【0029】
一方、そのような樹脂成形体16同士を連結する連結体18は、樹脂成形体16を与える樹脂材料と同一の、適度な可撓性を有するオレフィン系樹脂、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の合成樹脂材料にて構成されており、これによって、容易に撓み変形せしめられ得るようになっている。
【0030】
そして、かかる連結体18が、互いに隣り合う樹脂成形体16の間において、一方の樹脂成形体16における側壁24の基部の幅方向両端から、それぞれ一つずつ、該側壁24に対向する、他方の樹脂成形体16の側壁24に向かって真っ直ぐに、且つ互いに平行に延び出して位置せしめられて、その両端において、それら隣り合う樹脂成形体16の対向する側壁24、24に対して、それぞれ一体化せしめられている。
【0031】
これによって、上述の如く一列に並べられて配置された複数の樹脂成形体16の互いに隣り合うもの同士が一体的に連結せしめられ、以て、衝撃吸収部材12が、それら複数の樹脂成形体16と複数の連結体18とからなる一体品として、構成されているのである。
【0032】
また、ここでは、全ての連結体18が、樹脂成形体16の高さ方向、つまり、樹脂成形12の側壁24の延出方向に延びる、第二の連結部材としての薄肉平板状の縦壁部26と、この縦壁部26の下端縁から、樹脂成形体16の幅方向、つまり樹脂成形体16の側壁24の延出方向に対して直角な方向に向かって一体的に延び出す、第一の連結部としての薄肉平板状の横壁部28とを有して成っている。
【0033】
換言すれば、連結体18が、樹脂成形体16の側壁24の延出方向に切断した断面においてL字形状を呈するように、平板状の縦壁部26と横壁部28とが一体化された板材にて構成されており(図4参照)、その縦壁部26が、板厚方向を、樹脂成形体16の幅方向(樹脂成形体16の側壁24の延出方向に対して直角な方向)に対応させ、且つ板幅方向を、樹脂成形体16の高さ方向(樹脂成形体16の側壁24の延出方向)に対応させて位置せしめられている一方、横壁部28が、板厚方向を、樹脂成形体16の高さ方向(樹脂成形体16の側壁24の延出方向)に対応させ、且つ板幅方向を、樹脂成形体16の幅方向(樹脂成形体16の側壁24の延出方向に対して直角な方向)に対応させて位置せしめられているのである。なお、図2中、30は、衝撃吸収部材12をルーフパネル38に固定するためのビスが挿通せしめられるビス孔である。
【0034】
これによって、かかる連結体18にあっては、縦壁部26が、樹脂成形体16の側壁24の延出方向に対して直角な方向には容易に撓み変形せしめられるものの、該側壁24の延出方向への撓み変形が困難となっている一方、横壁部28が、樹脂成形体16の側壁24の延出方向には容易に撓み変形せしめられるものの、該側壁24の延出方向に対して直角な方向への撓み変形が困難となっている。それ故、このような連結体18を有する衝撃吸収部材12では、それら縦壁部26や横壁部28のそれぞれの厚さや幅を種々変更することによって、連結体18全体における側壁24の延出方向とそれに直角な方向への撓み変形の許容量、換言すれば、連結体18の柔軟性と剛性とが、容易に且つ正確に調節され得るようになっているのである。
【0035】
かくして、本実施形態においては、複数の樹脂成形体16が上述の如き連結体18の複数にて連結されてなる衝撃吸収部材12に対して、容易に撓み変形可能な適度な柔軟性と、天井内張36とルーフパネル38との間の設置スペース40への設置状態下で、外部からの衝撃の入力時に、設置位置から安易に変位しない程度の剛性が、有利に付与され得るように、構成されているのである。
【0036】
そして、ここでは、そのような連結体18にて連結された樹脂成形体16の高さに相当する衝撃吸収部材12の高さ:hが、天井内張36とルーフパネル38との間における衝撃吸収構造体10の設置スペース40の高さよりも僅かに小さな寸法とされていると共に、樹脂成形体16の幅に相当する衝撃吸収部材12の幅:wが、設置スペース40の幅よりも所定量だけ小さな寸法とされ、更に、複数の樹脂成形体16の総長さと複数の連結体18の総長さとの合計値に相当する衝撃吸収部材12の長さ:tも、設置スペース40の長さよりも所定量だけ小さな寸法とされている。
【0037】
これによって、衝撃吸収部材12の全体形状のコンパクト化が図られ、以て、衝撃吸収部材12が、天井内張36とルーフパネル38との間の設置スペース40よりも小さな形状とされて、かかる設置スペース40内に、天井内張36やルーフパネル38との間に所定の隙間42を形成せしめつつ、配置され得るようになっているのである(図4参照)。
【0038】
そして、かくの如き構造とされた衝撃吸収部材12を有する本実施形態の衝撃吸収構造体10にあっては、従来品には見られないスペーサリブ14を更に有して、構成されているのである。
【0039】
すなわち、スペーサリブ14は、薄肉の平板にて構成されており、各樹脂成形体16の前記連結体18が形成されていない二つの側壁24,24のうち、全ての樹脂成形体16のそれぞれ対応する位置に設けられた一方の側壁24の外面に対して、各樹脂成形体16の高さ方向とは直角な方向に延び出すようにして、それぞれ二つずつ、一体的に立設されている。そして、それら各樹脂成形体16に設けられたもの同士が、天板部22の幅に相当する距離を隔てて、互いに対向位置せしめられているのである。
【0040】
また、このスペーサリブ14にあっては、衝撃吸収部材12の樹脂成形体16や連結体18の形成材料と同じ合成樹脂材料からなっており、このことと薄肉の平板形態を有していることとが相俟って、天井内張36とルーフパネル38との間の設置スペース40内への設置状態下で、外部から入力される衝撃にて、容易に圧縮変形(座屈変形)され得るようになっているのである。なお、スペーサリブ14において、成形性を損なうことなく、上述の如き圧縮変形が確実に惹起されるように為すためには、スペーサリブ14の板厚が、1.0mm程度とされていることが、望ましい。
【0041】
そして、ここでは、特に、かかる薄肉平板状のスペーサリブ14が、衝撃吸収部材12を天井内張36とルーフパネル38との間の設置スペース40内に配置せしめた際に、各樹脂成形体16と天井内張36やルーフパネル38との間に形成される隙間42の縦断面に略対応した形状を有して、構成されている(図4参照)。これによって、スペーサリブ14が、設置スペース40内への衝撃吸収部材12の設置状態下で形成される隙間42内における、天井内張36とルーフパネル38との対向部位同士の間において、辺縁部の端面32を、それら天井内張36とルーフパネル38とに対して接触乃至は対向せしめつつ、介在せしめられるような形状とされているのである。
【0042】
また、このようなスペーサリブ14の複数のもののうち、各樹脂成形体16に対して、互いに対向せしめられつつ一体形成された二つのもの同士の間には、連結リブ34が、それぞれ、一つずつ、一体的に設けられている。この連結リブ34は、各樹脂成形体16の天板部22の幅と略同一の幅を有する薄肉の矩形平板形状を呈し、各スペーサリブ14と同じ合成樹脂材料からなっている。
【0043】
そして、かかる連結リブ34にあっては、各樹脂成形体16に二つずつ設けられたスペーサリブ14における、各樹脂成形体16の天板部22側とは反対の下部側の端部同士の間において、それらのうちの一方の下端部から他方の下端部に向かって、二つのスペーサリブ14,14の対向方向に延出して、かかる二つのスペーサリブ14,14の下端部同士を相互に連結するように形成されているのである。
【0044】
つまり、換言すれば、ここでは、二つのスペーサリブ14,14とそれらを連結する連結リブ34とが、全体として、略コ字状の枠体形態をもって、各樹脂成形体16の所定の側壁24に対して、一体的に立設されているのであり、これによって、衝撃吸収部材12を天井内張36とルーフパネル38との間の設置スペース40内に配置せしめた状態下で、例えば、天井内張36が車室内側から押圧された際に、その押圧力によって、スペーサリブ14が容易に捻れたり曲がったりして、傾倒してしまうようなことが、有利に阻止され得るようになっているのである。
【0045】
而して、かくの如き構造とされた衝撃吸収部材12と複数のスペーサリブ14とを有する本実施形態の衝撃吸収構造体10にあっては、例えば、図4示されるようにして、天井内張36とルーフパネル38との間の設置スペース40内に、設置されることとなる。
【0046】
すなわち、天井内張36とルーフパネル38との間の設置スペース40内において、衝撃吸収部材12における複数の樹脂成形体16が、ルーフパネル38の天井内張36との対向面上に載置されると共に、それら複数の樹脂成形体16のそれぞれに対して一体的に立設された複数のスペーサリブ14が、衝撃吸収部材12と天井内張36やルーフパネル38との間の隙間42内に配置される。
【0047】
かくして、複数の樹脂成形体16における筒状部20の各側壁24が、ルーフパネル38から天井内張36に向かって延びるように立設せしめられる一方、天板部22が天井内張36のルーフパネル38との対向面に接触乃至は対向位置せしめられ、また、それと共に、複数のスペーサリブ14が、衝撃吸収部材12と天井内張36やルーフパネル38との間の隙間42内において、天井内張36やルーフパネル38との互いの対向部位同士の間に、辺縁部(外周部)における端面32を、それぞれ、天井内張36やルーフパネル38に対して接触乃至は対向位置せしめつつ、介在せしめられるように配置された状態下において、衝撃吸収構造体10の全体が、天井内張36とルーフパネル38との間の設置スペース40内に配置されるのである。
【0048】
そして、かかる配置下で、連結体18の前記横壁部28に設けられたビス孔30に挿通されたビス44が、ルーフパネル38にねじ止めされることにより、衝撃吸収構造体10が、天井内張36とルーフパネル38との間の設置スペース40内に、複数の樹脂成形体16における筒状部20の各側壁24の延出方向と衝撃の入力方向とが同一となるようにして、位置固定に取り付けられるのである。
【0049】
このように、本実施形態の衝撃吸収構造体10にあっては、設置スペース40内への設置下において、外部からの入力される衝撃を確実に吸収する衝撃吸収部材12と、かかる衝撃吸収部材12を設置スペース40内に配置せしめた際に形成される隙間42の一部に対応した形状を有するスペーサリブ14とを有する一体品にて構成され、そして、設置スペース40内に、衝撃吸収部材12が、天井内張36やルーフパネル38との間に隙間42を形成しつつ配置される一方、そのような隙間42内において、天井内張36やルーフパネル38との互いの対向部位同士の間に介在せしめられるように、各スペーサリブ14が配置されて、衝撃吸収構造体10の全体が、設置スペース40内に設置されるようになっているのである。
【0050】
それ故、かかる衝撃吸収構造体10にあっては、その設計工程において、設置スペース40内に設置せしめた際に、全体として、十分な衝撃吸収性能が発揮されるか否かを確認する作業を行なう必要が、有利に皆無ならしめられ得るのであり、また、設置スペース40内への設置状態下において、車両の走行時における振動等に起因するガタツキ等により、衝撃吸収部材12が天井内張36やルーフパネル38と接触して、異音が生ずるようなことや、天井内張36を押圧した際等に、それが容易に凹んでしまって、粗末な印象を与えるようなことが、効果的に防止され得るのである。
【0051】
従って、かくの如き本実施形態の衝撃吸収構造体10にあっては、天井内張36とルーフパネル38との間の設置スペース40は勿論、そのような設置スペース40とは形状や大きさの異なる設置スペースに対して設置される場合にも、それらの設置スペース40に対応した形状を有する一体成形品とした場合に得られる利点を有利に確保しつつ、より十分な衝撃吸収性能を発揮し得る構造が、容易に且つ適切に設計されて、生産性の向上が、効果的に図られ得ることとなるのである。
【0052】
また、かかる衝撃吸収構造体10においては、衝撃吸収部材12における複数の樹脂成形体16を連結する複数の連結体18の柔軟性と剛性とが、容易に且つ正確に調節され得るようになっていることによって、衝撃吸収部材12に対して、容易に撓み変形可能な適度な柔軟性と、天井内張36とルーフパネル38との間の設置スペース40への設置状態下で、外部からの衝撃の入力時に、設置位置から安易に変位しない程度の剛性が有利に付与され得るようになっているところから、様々な大きさや形状の設置スペース40に対して、隙間42を形成しつつ設置されるコンパクトな構造が、十分な衝撃吸収性能をもって、より有利に実現せしめられ得るのであり、その結果として、生産性の向上が、更に一層効果的に図られ得ることとなるのである。
【0053】
さらに、本実施形態の衝撃吸収構造体10にあっては、衝撃吸収部材12に対して一体的に立設された各スペーサリブ14が、設置スペース40内への設置状態下で、外部から入力される衝撃によって容易に圧縮変形(座屈変形)せしめられ得るようになっているため、かかる衝撃が、スペーサリブ14に邪魔されることなく、衝撃吸収部材12によって、より確実に且つ十分に吸収され得るのである。
【0054】
更にまた、かかる衝撃吸収構造体10においては、衝撃吸収部材12に対して、互いに対向位置する状態で、それぞれ二つずつ立設されたスペーサリブ14同士が連結リブ34にて連結されていることによって、衝撃吸収部材12を設置スペース40内に配置せしめた状態下で、例えば、天井内張36が車室内側から押圧された際に、その押圧力によって、スペーサリブ14が容易に傾倒するようなことが阻止され得るようになっているところから、そのようなスペーサリブ14の傾倒による天井内張36の容易に凹み変形も有利に防止され得、以て、かかる天井内張36の凹み等に起因した高級感の喪失等の問題が、より一層効果的に解消され得るのである。
【0055】
ここにおいて、本発明に従う衝撃吸収構造体が、前述の如き優れた特徴を発揮し得るものであることを確認するために、本発明者等によって行なわれた試験について、詳述することとする。
【0056】
先ず、図1乃至図3に示される如き構造を有する衝撃吸収構造体を準備した。なお、この衝撃吸収構造体においては、各樹脂成形体の厚さを1.2mm、高さを25mm、縦と横の最大長さをそれぞれ25mmとし、スペーサリブの厚さを1mm、連結リブの厚さを2mmとした。また、衝撃吸収構造体の全体を、ポリプロピレンを用いた射出成形により、一体成形した。
【0057】
そして、かくして準備された衝撃吸収構造体に対して、公知の手法により衝突試験を行なって、荷重値と変位量との関係を調べた。その結果を、図5に示した。また、かかる荷重値と変位量との関係を示すデータを基に、公知の手法により、頭部障害値:HIC(d)を求めたところ、その値が546であった。
【0058】
また、比較のために、図1乃至図3に示される衝撃吸収構造体から、スペーサリブと連結リブとが省略されてなる、衝撃吸収部材のみにて構成された衝撃吸収構造体を用い、これに対して、本発明例の衝撃吸収構造体に対する試験と同様な衝突試験を行なって、その荷重値と変位量との関係を調べた。その結果を、図6に示した。また、かかる荷重値と変位量との関係を示すデータを基に、公知の手法により、頭部障害値:HIC(d)を求めたところ、その値が602であった。なお、ここで用いられる衝撃吸収構造体における樹脂成形体の各部位の寸法は、前記せる本発明例の衝撃吸収構造体における樹脂成形体の各部位の寸法と同じにした。
【0059】
それら図5及び図6からも明らかなように、本発明例の衝撃吸収構造体と比較例の衝撃吸収構造体のそれぞれの荷重変位曲線を比較すると、それらの荷重変位曲線の形状が、略同様な形状とされている。また、本発明例の衝撃吸収構造体と比較例の衝撃吸収構造体のそれぞれの頭部障害値:HIC(d)が、共に、FMVSS201において規定される評価基準値:1000を大きく下回っている。これらのことから、本発明例の衝撃吸収構造体が、衝撃吸収部材に対してスペーサリブと連結リブとが一体形成された構造を有しているにも拘わらず、それらが何等形成されていない衝撃吸収構造体と同様な優れた衝撃吸収性能を有利に発揮するものであることが、明確に認識され得るのである。
【0060】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0061】
例えば、前記実施形態では、衝撃吸収部材12が、衝撃の入力方向に延びるように立設せしめられ、衝撃の入力により変形せしめられることによって、その衝撃を吸収する側壁24を備えた筒状部20を有する樹脂成形体16の複数が、複数の連結体18にて連結されて構成されていたが、かかる樹脂成形体16の一つのみにて、衝撃吸収部材12を構成することも可能であり、また、複数の樹脂成形体16を連結体18にて連結する場合にあっても、かかる連結体18の構造は、例示のものに、何等限定されるものではないのである。
【0062】
また、衝撃吸収部材12は、互いに異なる大きさとされる設置スペースのどれよりも小さな形状を有し、それら何れの設置スペース内においても、車両用内装部品やボデー構成部品との間に隙間を形成せしめつつ配置されて、外部から入力される衝撃により変形せしめられることによって、衝撃を、少なくとも予め設定された量だけ吸収せしめ得るように構成されるものであれば、その構造が、特に限定されるものではなく、例えば、例示の樹脂成形体16に代えて、公知の樹脂リブ構造体や、合成樹脂材料以外の材料にて構成された、衝撃吸収を行なうための公知の各種の部材等が、適宜に採用されることとなる。
【0063】
なお、衝撃吸収部材12を、筒状部20を有する樹脂成形体16にて構成する場合にあっても、樹脂成形体16の全体形状が、前記実施形態に示されるものに、決して限定されるものではなく、例えば、筒状部20を、三つ若しくは五つ以上の平板状の側壁24を有する角筒形状において構成したり、或いは円筒状やテーパ筒状の側壁24を有する形状において構成することも可能である。
【0064】
さらに、スペーサリブ14の形状や大きさも、設置スペース40内において、衝撃吸収部材12と車両用内装部品としての天井内張36やボデー構成部品としてのルーフパネル38との間に形成される隙間42の形状や大きさに応じて、種々変更され得るものである。従って、衝撃吸収部材12における樹脂成形体16の側壁24と天井内張36やルーフパネル38との間だけでなく、天板部22と天井内張36やルーフパネル38との間にも隙間42が形成される場合には、例えば、図7に示されるように、各スペーサリブ14の上端部に対して、衝撃吸収部材12における樹脂成形体16の天板部22上に一体的に延び出す延出部46を設け、そして、この延出部46を、天板部22と天井内張36やルーフパネル38との間の隙間の断面形状に対応した形状を有するように構成しても良いのである。
【0065】
更にまた、前記実施形態では、スペーサリブ14が、衝撃吸収部材12における樹脂成形体16の所定の側壁24に対して、それぞれ二つずつ設けられていたが、このスペーサリブ14の衝撃吸収部材12への配設数は、決してこれに限定されるものではなく、かかる側壁24に対して、それぞれ、一つずつ、或いは三つ以上の複数個ずつ、更には各側壁24毎に異なる個数において形成しても、何等差し支えないのである。
【0066】
また、そのようなスペーサリブ14同士を連結する連結リブ34の形成形態も、前記実施形態に示されるものに、特に限定されるものではなく、例えば、隣り合う樹脂成形体16にそれぞれ設けられるスペーサリブ14同士を連結するように形成したり、或いは各樹脂成形体16に形成されるスペーサリブ14の全てを連結するように形成したりすることも、勿論可能である。なお、かかる連結リブ34の形状や形成位置も、前記実施形態に示されるものに、何等限定されるものでないことは、言うまでもないところである。
【0067】
さらに、それらスペーサリブ14や連結リブ34のそれぞれの材質も、特に限定されるものでないことは、勿論である。
【0068】
更にまた、前記実施形態では、平板状の第一の連結部材としての縦壁部26と第二の連結部材としての横壁部28とが断面L字形状を呈するように一体化されて、連結体18が構成されていたが、それら縦壁部26と横壁部28とを、互いに独立した別部材にて形成して、連結体18を、それら別部材からなる縦壁部26と横壁部28とにて構成することも、可能である。
【0069】
また、そのように別部材からなる縦壁部26と横壁部28とにて連結体18を構成する場合と、前記実施形態に例示されるように一体化された縦壁部26と横壁部28とにて連結体18を構成する場合の何れにしても、縦壁部26と横壁部28の配設位置や配設個数等は、何等限定されるものではなく、それらは、衝撃吸収構造体10に要求される剛性等によって適宜に決定されることとなる。
【0070】
さらに、前記実施形態では、連結体を構成する第一の連結部材と第二の連結部材が、それぞれ平板形状を呈する横壁部28と縦壁部26にて構成されていたが、第一の連結部材は、複数の樹脂成形体における側壁の延出方向には容易に撓み変形するものの、該側壁の延出方向に対して直角な方向への撓み変形が困難となる形状を有するもので、また、第二の連結部材は、該側壁の延出方向に対して直角な方向には容易に撓み変形するものの、該側壁の延出方向への撓み変形が困難となる形状を有するものであれば、如何なる構造を有するものであっても良いのである。
【0071】
加えて、前記実施形態では、本発明を、自動車の天井内張36とルーフパネル38との間の設置スペース40に設置される衝撃吸収構造体に適用したものの具体例を示したが、本発明は、天井内張以外の自動車用内装部品と、その車室側とは反対側に位置するボデー構成部品との間の設置スペースに設置される衝撃吸収構造体、或いは自動車以外の車両に設置される衝撃吸収構造体の何れに対しても、有利に適用されるものであることは、言うまでもないところである。
【0072】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【0073】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明に従う車両用衝撃吸収構造体にあっては、設置スペースの形状に拘わらず、それに対応した形状とされた場合に得られる利点を有利に確保しつつ、より十分な衝撃吸収性能を発揮し得る構造が、容易に且つ適切に設計されて、生産性の向上が有利に図られ得ることとなるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う構造を有する車両用衝撃吸収構造体の一例を示す正面説明図である。
【図2】図1に示された車両用衝撃吸収構造体の平面説明図である。
【図3】図1のIII−III断面における部分拡大説明図である。
【図4】図1に示された車両用衝撃吸収構造体を自動車の天井内張とルーフパネルとの間の設置スペースに設置した状態を示す説明図である。
【図5】図1に示された車両用衝撃吸収構造体における荷重値と変位量との関係を示すグラフである。
【図6】従来の車両用衝撃吸収構造体における荷重値と変位量との関係を示すグラフである。
【図7】本発明に従う構造を有する車両用衝撃吸収構造体の別の例を示す図4に対応する図である。
【符号の説明】
10 衝撃吸収構造体 12 衝撃吸収部材
14 スペーサリブ 16 樹脂成形体
18 連結体 20 筒状部
24 側壁 26 縦壁部
28 横壁部 32 端面
34 連結リブ 36 天井内張
38 ルーフパネル 40 設置スペース
Claims (4)
- 車両用内装部品と車両のボデー構成部品との間の設置スペース内に配設される車両用衝撃吸収構造体であって、
前記車両用内装部品と前記ボデー構成部品のそれぞれの種類に応じて、互いに異なる大きさとされる前記設置スペースのどれよりも小さな形状を有し、それら何れの設置スペース内においても、該車両用内装部品やボデー構成部品との間に隙間を形成せしめつつ配置されて、外部から入力される衝撃により変形せしめられることによって、該衝撃を、少なくとも予め設定された量だけ吸収せしめる衝撃吸収部材と、
該衝撃吸収部材に対して一体的に立設された薄肉板状のリブからなり、該衝撃吸収部材が前記設置スペースに配置された際に形成される前記隙間内において、前記車両用内装部品と前記ボデー構成部品との互いの対向部位同士の間や、それら車両用内装部品やボデー構成部品と、該衝撃吸収部材の該リブの形成部位との互いの対向部位同士の間に、該リブの辺縁部の端面が該車両用内装部品や該ボデー構成部品と接触乃至は対向せしめられつつ、介在するように配置されるスペーサリブと、
を含んで構成したことを特徴とする車両用衝撃吸収構造体。 - 前記スペーサリブの複数が、互いに所定の距離を隔てて対向する状態で、前記衝撃吸収部材に立設されると共に、かかる複数のスペーサリブのうち、互いに対向するもの同士の間に、その対向方向に延び出して、それら対向するスペーサリブ同士を相互に連結して、各スペーサリブの容易な傾倒を阻止する連結リブが更に設けられている請求項1に記載の車両用衝撃吸収構造体。
- 前記衝撃吸収部材が、前記設置スペース内において、前記外部からの衝撃の入力方向に延びるように立設せしめられ、該衝撃の入力により変形せしめられることによって、該衝撃を吸収する側壁を備えた筒状部を有する樹脂成形体にて構成されている請求項1又は請求項2に記載の車両用衝撃吸収構造体。
- 前記衝撃吸収部材が、前記樹脂成形体の複数を、互いに所定の間隔をおいて、それぞれの側壁を対向させつつ隣り合って位置せしめると共に、それら互いに隣り合うもの同士を連結体にて相互に連結して一体化せしめることにより構成され、更に、該連結体が、互いに隣り合う該複数の樹脂成形体の間に延びるように配設された、可撓性を有する合成樹脂材料からなる第一の連結部材と第二の連結部材にて構成されると共に、該第一の連結部材が、該複数の樹脂成形体における前記側壁の延出方向には容易に撓み変形するものの、該側壁の延出方向に対して直角な方向への撓み変形が困難となる形状をもって構成される一方、該第二の連結部材が、該側壁の延出方向に対して直角な方向には容易に撓み変形するものの、該側壁の延出方向への撓み変形が困難となる形状をもって構成されている請求項3に記載の車両用衝撃吸収構造体。
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