JP2004306075A - 線材加工機制御用コンピュータプログラム及びこれを備えたコンピュータ制御式線材加工機 - Google Patents
線材加工機制御用コンピュータプログラム及びこれを備えたコンピュータ制御式線材加工機 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】少ないテスト回数で所望の形状の線材加工品を成形することができる線材加工機制御用コンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る線材加工機制御用コンピュータプログラムは、線材の種別(例えば、線材の材質、硬度、線経、断面形状など)と線材の変化点毎の特徴(例えば、巻数、曲げR、コイル径、及びピッチ量など)と関係づけられたばね形状図に基づいて各ツール位置を示す数値データを過去の実績値又は過去の実績値に基づく計算値により決定し、成形プログラムに展開する。
【選択図】 図1
【解決手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る線材加工機制御用コンピュータプログラムは、線材の種別(例えば、線材の材質、硬度、線経、断面形状など)と線材の変化点毎の特徴(例えば、巻数、曲げR、コイル径、及びピッチ量など)と関係づけられたばね形状図に基づいて各ツール位置を示す数値データを過去の実績値又は過去の実績値に基づく計算値により決定し、成形プログラムに展開する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一本の線材からコイルばね等の線材加工品を少ないテスト回数で加工成形することができる線材加工機制御用プログラム及びこれを備えたコンピュータ制御式線材加工機に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の装置を用いて例えばコイルばねなどの線材加工品を成形する場合、品種に応じて適切な金型を選択すると共にコイル径やピッチ等に応じた多数の金型(ツール)を適切な位置にセットし、且つそれぞれの金型が適切なツール位置にくるようにフォーミングデータ(成形プログラム)を設定しなければならない。
【0003】
従来はオペレータが所望の形状寸法が得られるまで手作業でフォーミングデータの調整と加工品の試作とを繰り返していた。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−282983号公報(第2頁)
【発明が解決しようとする課題】
しかし、線材加工品の形状は多岐にわたる。例えば、長さの異なる直線部、曲率半径の異なる曲げ部、曲げ角度を持つ曲げ加工部、異なる方向に曲げられた加工部、などが1個の加工品の中に複数存在する製品もある。
【0005】
従来ばねを成形する場合、線材加工機の制御用コンピュータ入力画面に品種やツール位置などをオペレータが毎回手動で数値入力し、出来上がったばねの寸法を測定し、所望の形状との誤差が許容範囲となるまでこの作業を繰り返していた。しかも、従来の制御用コンピューターの入力画面は単なる数値の羅列であり、少ない回数で希望の形状を得るにはオペレータの長年の勘と経験が必要であった。
【0006】
特に、コイルばねを成形する際のピッチ加工部を成形する工程は、ピッチツールの位置調整が難しかった。
【0007】
また、線材の線経、硬度、表面の摩擦係数が異なると、ツール位置が同一であっても加工後のスプリングバック量が異なるなどの理由から、理論的な計算によりツール位置を決めることが一層難しい。このため、線経の太い線材を用いて複雑な形状を正確に成形することは、従来の加工機では熟練者であっても相当に難しかった。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、少ないテスト回数で線材を所望の形状に加工できる線材加工機制御用プログラムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る線材加工機制御用コンピュータプログラムは、線材の種別(例えば、線材の材質、硬度、線経、断面形状など)と線材の変化点毎の特徴(例えば、巻数、曲げR、コイル径、及びピッチ量など)と関係づけられたばね形状図に基づいて各ツール位置を示す数値データを過去の実績値又は過去の実績値に基づく計算値により決定し、成形プログラムに展開することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る線材加工機制御用コンピュータプログラムは、さらに、加工後の形状の寸法を再入力すると、加工後の寸法と設定値との誤差から各ツール位置の修正量を計算し、その値をフィードバックして該成形プログラムを修正して再度加工すると共に、修正値をばね形状データベースに登録することを特徴とする。
【0011】
本発明に係るコンピュータ制御式線材加工機は、線材を加工するための複数のツール位置のそれぞれを加工後の形状と関係づけて線材の種別(例えば、線材の材質、硬度、線経、断面形状など)ごとに記憶するデータベースと、加工後の誤差が発生した際に実測寸法を再入力するとデータベースを更新する制御用コンピュータプログラムとを備えており、加工後の形状データを巻き数(線送り量)毎に入力すると前記データベースに基づいて最適なツール位置を計算し、そのツール位置に移動させることを特徴とする。
【0012】
【作用】
本発明に係るプログラムによると、コンピューターがツール位置の過去の実績値を記憶し、その実績値に基づいて適切なツール位置を自動作成するため、熟練者でなくても容易に所望の形状に線材を加工することができる。
【0013】
本発明に係るプログラムは、線経などの材料設定毎に、最小コイル加工径及び最大コイル加工径をテスト成形し、この時の曲げ加工ツール位置を記憶させておくことができ、それらをデータベースに保存していく。データベースに存在しない途中のコイル径については過去のデータに基づいて計算により予測位置を求めることができる。なお、ピッチ付け(立体加工)についても同様であり、データベースの記憶量が多いほど材料性質等の差異平均を吸収した、精度の高い位置決めができる。
【0014】
本発明に係るプログラムによると、線材加工後の外形図を見ながら各部の寸法の入力ができるため、加工後の形状を視覚的にイメージし易い。また、外形図と寸法とから自動的に成形プログラムが展開されるため、現行機で必須のオペレータによる手作業のフォーミングデータ作成及び編集作業を大幅に軽減できる。さらに、加工後の実測値を外形図に再入力するだけで、展開プログラムの補正をすることができ、しかも、再入力された補正値はばね形状データベースとして蓄積されていくので、使用回数とともに、展開プログラムの精度が向上する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
(線材加工機の装置構成)
図1は、本発明で使用する線材加工機の一例を示したものである。図1(a)はコイリングマシンを真上から見た図であり、図1(b)は側面から見た図である。なお、コイルばねを製造するコイリングマシンのみならず、線材を加工するフォーミングマシンなどでもよい。
【0017】
線材wが線送りロール1より強制的に送り出されると、線ガイド4に導かれ、曲げダイス(曲げツール)2、3に送られここで線材wが円形に曲げられる。さらに、線材wが送られながら、ピッチツール8が紙面垂直手前方向に線材wを押圧することでピッチ加工を行う。このようにして、一本の線材wからコイルばねが成形されていく。
【0018】
線送りロール1の送り出し量、送りスピード、送りタイミングもNC制御することができる。
【0019】
図2は切断装置を示している。この切断装置は固定刃(心金)5と移動刃6とを上下に対設したものである。心金5は、固定されておりコイル内径接触位置に刃部7aを有する。切断移動刃6は、上下に移動可能でありコイルを挟んで刃部7aの対向位置に刃部7bが設けられている。なお、刃部7a、7bは摩耗するため、計算上の移動量では切断できなくなってくることがあり、そのため、移動量はコンピューターによりサーボ制御される。
【0020】
線送りロール1、曲げダイス2、3、ピッチツール8、切断固定刃5及び切断移動刃の駆動軸にはすべてサーボ機構が取付けられNC制御される。この装置の軸構成としては、線送りロール用サーボ(サーボ1)、曲げダイス用サーボ(サーボ2、サーボ3)、ピッチツール用サーボ(サーボ4)、切断移動刃用サーボ(サーボ5)、切断固定刃用サーボ(I/O・サーボ6)から構成される。
【0021】
以上のような装置構成の線材加工機は、各ツール位置をサーボ制御するための制御用コンピュータ及びこれを動作させるためのソフトウエア(制御用プログラム)を備えている。本発明では、既存の線材加工機制御用ソフトウエアに、『自動ばね形状設定モード』というモードを新たに追加して使用することができる。
【0022】
自動ばね形状設定モードを選択すると、『新規展開』又は『既存展開』を選択する画面が現われる。新規展開を選択すると、最初にばね形状のおおまかな形状を選択する『ばね形状選択画面』が現われる。ばね形状の外形は、外部記憶媒体に保存しておき、そこから形状データを読み込み、表示するようにすることが好ましい。このようにすると、新たなばね形状を追加することが容易になる。このばね形状データには、後述する展開データも含まれる。一方、既存展開を選択すると、過去の展開データを読み込んで展開する。
【0023】
次に、材料設定画面に移行する。材料設定はデータベースの作成時のみ設定可能とすることが好ましい。選択形式にして例えば丸線を選ぶと線経φや抗張力を入力するように求められる。上述したばね形状と同様、材料による補正値は外部記憶媒体に保存しておき、そこから補正値を読み込むようにすることが好ましい。外部記憶媒体には、過去に成形したばねの線種(丸線、楕円線、平線等)、形状、ピッチ、巻方向、引っ張り強さなどを記憶保存しておく。
【0024】
(線材加工機の制御用コンピュータの動作について)
次に、線材加工機の制御用コンピュータについて説明する。図3(a)〜図3(c)はばね形状選択画面、図4は材料設定画面、図5はばね形状設定画面、図6(a)はプログラム展開図をそれぞれ示している。
【0025】
−ばね形状選択画面(図3)−
はじめに、ばね形状選択画面でまず基本形状を表示させる。例えば、図3に示すような、最終的な仕上がり形状の外形を示した図面を表示させ、加工するばね形状に最も近い形状を選択する。
【0026】
基本図形となるばね形状のデータは、コンピューターのハードディスクなどにあらかじめ登録しておくか、あるいはフレキシブルディスクなど外部記憶媒体に保存しておき、これをコンピュータの一時記憶装置(RAM等)に読み込んで使用することが好ましい。
【0027】
この時、図3(a)の円錐円筒コイルの例では、画面上に『円錐円筒、FLAT CLOSE END、一定ピッチ、右巻』等のデータが外形と共に表示される。なお、基本図形は最終的には数十種類あるいはそれ以上を準備しておくと良い。
【0028】
−材料設定画面(図4)−
次に、材料設定画面を表示させる。例えば、図4に示すように、丸線、楕円線、平線のうちいずれか1つを選択し、さらに抗張力(引っ張り強さ)などを数値で入力する。
【0029】
設定した材料のパラメータは、ばね形状から展開データを作成する際に必要な補正値データを読み込むために用いられる。それらのデータはばね形状のデータと同様、コンピューターのハードディスクなどにあらかじめ登録しておくか、あるいはフレキシブルディスクなど外部記憶媒体に保存しておき、これをコンピュータの一時記憶装置(RAM等)に読み込んで使用することが好ましい。
【0030】
材料のパラメータが変わると、ツール位置が同じでもスプリングバックなどの影響で加工後の形状が大きく異なってくる。例えば、曲げツール位置が同じでも材料硬度が硬いとコイル径が大きくなる。線経に対するコイル径の比率が大きい場合はスプリングバック量が大きいため、同一線経・同一硬度材料でも、曲げダイス位置とコイル径とは、同一比率で変化しない。ピッチ量も同様に、材料パラメータが変わると加工後の形状は大きく変動する。
【0031】
従って、材料設定では、φDを例えば20種類以上、抗張力約10種類以上準備しておくことが好ましい。
【0032】
−ばね形状設定画面(図5)−
この画面で、最小径D1、最大径D2、総巻数、展開長、材料設定など、必要な情報は入力値及び補正値が表示されている。必要に応じてこれらの値は操作者が手動で変更することができる。
【0033】
また、主要部分のコイル径、全体長さ、総巻数が表示され製品検査が容易なばね図面が表示される。ここで、各記号の意味は以下のとおりである。
【0034】
D1:最小外径 [mm]
D2:最大外径 [mm]
H :自由長 [mm]
T :総巻数 [巻]
【0035】
これ以外にも、以下のようなパラメータを表示しても良い。
T1:座巻(D1) [巻]
T2:座巻(D2) [巻]
P :ピッチ [mm]
【0036】
必要な寸法を「設定値」の項に入力する。なお、ピッチPは自由長H、総巻数及び座巻数T1、T2より自動計算される。
【0037】
プログラム展開ボタンを選択すると、例えば図6(a)に示すようなプログラム展開が表示される。
【0038】
−プログラム展開(図6(a))−
プログラム展開とは、巻数(線送り)を基準としてツール位置を決定する、線材加工プロセスの制御プログラムである。より具体的には、線材の巻きはじめから巻き終わりまでの、各ツール位置を示した表であり、巻き数を基準として各変化点でのツール位置を示している。コイル径から直線長さを求め、送り出し量を決定する。
【0039】
ばね成形プログラムの作成は、形状毎の基本パターンをベースに、ばねデータより各ツール位置を算出しプログラムが展開される。ただし、ファクション及びI/O命令は展開されないので、「編集・手動運転」画面で入力する。
【0040】
図6(a)において、S1は線送りロール1の送り出し量を示しており、例えば、70.00x0.3とは、70mmφのコイルが0.3巻分送り出されることを意味している。また、S2乃至S5は各ツールを意味し、表の数値はその位置を示している。線送りロールが回転して線材を送り出すと、送り出した量に応じて各ツール位置が移動し、所望の形状に加工していく。
【0041】
工程0は、加工開始位置設定工程であり、この時点ではまだ線送りされておらず、各ツール(S2乃至S5)は初期値(原点)に位置している。すなわち、曲げ上(曲げダイス2)は136の位置に、曲げ下(曲げダイス3)は106.00の位置に、ピッチツール8は16.00の位置に、それぞれおり、心金5は50.00の位置にいることを意味している。
【0042】
工程1は、密着座巻形成工程である。70.00φで0.3巻送り出す。この時点では、ピッチツール8が初期位置のまま飛び出していないのでピッチがつかず、平面的に円弧状のコイルが生成される。
【0043】
工程2は、ピッチ立上り工程である。70.00φで0.7巻送り出すこの工程では、ピッチツール8が29.00の位置におり、13mmとび出した状態で行われる。
【0044】
工程3は、胴成形工程である。ここでは、70.00φで2.0巻送り出す。希望のばね形状を選択すると、各部の数値を入力する。例えば、図3(b)の例では、両端末径φD1、φD3、中間径φD2、自由長(ばね自然長)Hと、線材の種類を入力する。
【0045】
工程4は、ピッチ立ち下がり工程である。ピッチツール8が16.00の位置に移動した状態で、70.00φで0.7巻送り出す。
【0046】
工程5は、密着座巻形成工程、工程6は切断工程を示している。工程7は、加工開始位置に戻すステップである。
【0047】
このように、コンピューターに入力された加工プロセスデーターに従って一本の線材からコイルばねを成形してゆくと、ばね形状設定画面で設定したばねが実際に成形される。加工後、寸法誤差がある場合には実測値を再度入力するとツール位置修正量を自動的に計算し、修正することができる。修正した結果はばね形状データベースに登録され、プログラムの展開精度が高められる。
【0048】
ピッチについても同様であり、記憶量が多くなるほど、材料性質等の差異平均を吸収した高精度の位置決めが可能となる。
【0049】
特に、ピッチについてはピッチツールで一定量押出した状態(すなわち、ばねが反力をもった状態)で線送りを行い、ピッチ加工部を成形していたため、位置調整作業が極めて難しく、作業者の長年の勘が必要であったが、本発明によれば、自由長誤差ΔHと巻数nを入力すると、誤差δが比例計算などで簡単に求められる。この方法によれば、調整作業に熟練した者でなくても、極めて簡単かつ短時間に調整作業が完了する。
【0050】
(ツール位置調整基準について)
希望のコイル径を得るためのツール位置をできるだけ正確に予測するために、過去のデータを参照するが、過去のデータがないコイル径を得る場合、複雑な計算式よりもむしろ、線材種別などの基本条件毎に最小コイル径と最大コイル径とをテスト成形し、比例計算で求める方が精度が高い。
【0051】
特に、線経が太い線材(例えば10mm以上)を複雑な形状に加工することは難しかったが、この方法を用いると、少ないテスト回数でこれらにも対応できる。
【0052】
学習内容:
1.コイル径
(1)線経乃至抗張力毎に、コイル径を決定するツール位置を記憶する。
(2)実績のない線経の場合は、過去に実績のあった線経を参考にし、10%線経が細くなると3%コイル径が小さくなる位置を仮決定する。
(3)線経実績はあるが、抗張力実績がない場合、10kg抗張力が低くなると、1%コイル径が小さくなると判断した位置を仮決定する。
【0053】
2.コイルピッチ(自由長H)
線経、抗張力、コイル径により、ピッチツール位置に記憶する。
(総巻数)−(座巻数)=有効巻数
(自由長H)−(座巻部長さ)=有効巻部長さ
(有効巻部長さ)÷(有効巻数)=1巻ピッチ
ピッチツール移動量とピッチの大きさを記憶しておく。
【0054】
はじめに、近似値のツールポジションで1つ作る。線材の種別(線経、硬度、抗張力など)毎に記憶している過去のデータから計算して修正する。過去の実績がない線経を初めて用いる場合は、あらかじめ、加工可能な最小コイル径及び最大コイル径をテスト成形し、この時の曲げ加工ツール(曲げダイス)のツール位置を記憶しておく。このようにすると、中間のコイル径についてはコンピューターが計算し、金型のツール位置を予測することができる。
【0055】
ピッチもコイル径と同様に過去の実績のない場合は、特定のコイル径で巻き、最小ピッチと最大ピッチとを作った実績を記憶しておく。
【0056】
図6(a)に示す今回のデータでは、ピッチツール位置S4が16.00から29.00まで移動させているので、その移動量は13mmである。
【0057】
コイルばね全体の長さHの設計値が100mmであったとき、実際にできあがったものを測定すると、設計値より2mm大きかったとする。この場合、Hを102mmから100mmになるように修正が必要である。
【0058】
このコイルの自由長Hは、1本の線経と、立ち上がり0.7巻、立ち下がり0.7巻、胴2巻の合計3.4巻とで構成されている。線経が10mmの時、有効巻部長HEは、90mm(100mm−10mm)であり、これが3.4巻で構成されているのであるから、この時のピッチツールの位置を13とした状態で3.4巻成形すると90mmのピッチが成形できる。
【0059】
この時のピッチツールの移動量は、13mmであるから、13mmピッチツールを出した状態で3.4巻成形すると、0.25mm(2mm÷8巻)ピッチが大きい。そこで、ピッチツールの位置を変更し、ピッチのずれ分がゼロとなるようにする。
【0060】
そこから、ピッチツール位置の校正量を計算により割り出し、再入力する。計算は、概ね比例計算でよい。実際には比例しない場合もあるので、「ばね形状データベース」を参照し、該当する答えがないときは計算式による計算値を適用する。
【0061】
(ばね形状データベースについて)
図6(b)は、コイル外形とツール位置との関係を示すばね形状データベースをグラフ化したものである。実際にはツールの数だけ必要であるがここでは1つだけ表示している。ばね形状データベースは、収集した実測値情報の集合であり、成形プログラムの展開時に参照される。
【0062】
ばね形状データベースに万一誤りのある情報が登録されてしまった場合、プログラムの展開精度が悪くなる。そこで、ばね形状データベースに登録されている情報を図6(b)のようにグラフ化して視覚的に表示することで、不必要な情報は削除できるよう、データベース管理画面を用意しておくと良い。
【0063】
管理ツールでは、データの確認及び編集、不要データの削除、外部記憶媒体へのバックアップ及びリストアを行なえるようにしておくことが好ましい。
【0064】
なお、本発明の線材加工機制御用ソフトウエアは、現行機のソフトウエアに追加実装することができるが、現行機の一時記憶メモリ容量、フラッシュメモリ容量、使用方法などによっては、構成を変更したり、外部パソコンなどをベースとした形式にすることも可能である。
【0065】
【発明の効果】
従来は熟練者の勘と経験によってツール位置を直接入力していたが、本発明によれば、製品図面に表示された各部のコイル径、ピッチ等の曲げ加工Rを入力するだけで、従来よりも精度良く線材を所望の形状に加工することができる。また、使用を重ねるに連れ、その精度は更に一層高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明で使用する線材加工機の一例を示したものである。図1(a)はコイリングマシンを真上から見た図であり、図1(b)は側面から見た図である。
【図2】図2は図1における心金(切断固定刃)5の拡大図を示したものである。
【図3】図3は、ばね形状選択画面の一例を示した図である。
【図4】図4は、材料設定画面の一例を示した図である。
【図5】図5はばね形状設定画面の一例を示した図である。
【図6】図6(a)はプログラム展開図の一例を示した図である。(b)はコイル外形とツール位置との関係を示すばね形状データベースをグラフ化した図である。
【符号の説明】
1 線送りロール
2、3 曲げダイス(曲げツール)
4 線ガイド
5 切断固定刃(心金)
6 切断移動刃
7a、7b 刃部
8 ピッチツール
w 線材
【発明の属する技術分野】
本発明は、一本の線材からコイルばね等の線材加工品を少ないテスト回数で加工成形することができる線材加工機制御用プログラム及びこれを備えたコンピュータ制御式線材加工機に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の装置を用いて例えばコイルばねなどの線材加工品を成形する場合、品種に応じて適切な金型を選択すると共にコイル径やピッチ等に応じた多数の金型(ツール)を適切な位置にセットし、且つそれぞれの金型が適切なツール位置にくるようにフォーミングデータ(成形プログラム)を設定しなければならない。
【0003】
従来はオペレータが所望の形状寸法が得られるまで手作業でフォーミングデータの調整と加工品の試作とを繰り返していた。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−282983号公報(第2頁)
【発明が解決しようとする課題】
しかし、線材加工品の形状は多岐にわたる。例えば、長さの異なる直線部、曲率半径の異なる曲げ部、曲げ角度を持つ曲げ加工部、異なる方向に曲げられた加工部、などが1個の加工品の中に複数存在する製品もある。
【0005】
従来ばねを成形する場合、線材加工機の制御用コンピュータ入力画面に品種やツール位置などをオペレータが毎回手動で数値入力し、出来上がったばねの寸法を測定し、所望の形状との誤差が許容範囲となるまでこの作業を繰り返していた。しかも、従来の制御用コンピューターの入力画面は単なる数値の羅列であり、少ない回数で希望の形状を得るにはオペレータの長年の勘と経験が必要であった。
【0006】
特に、コイルばねを成形する際のピッチ加工部を成形する工程は、ピッチツールの位置調整が難しかった。
【0007】
また、線材の線経、硬度、表面の摩擦係数が異なると、ツール位置が同一であっても加工後のスプリングバック量が異なるなどの理由から、理論的な計算によりツール位置を決めることが一層難しい。このため、線経の太い線材を用いて複雑な形状を正確に成形することは、従来の加工機では熟練者であっても相当に難しかった。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、少ないテスト回数で線材を所望の形状に加工できる線材加工機制御用プログラムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る線材加工機制御用コンピュータプログラムは、線材の種別(例えば、線材の材質、硬度、線経、断面形状など)と線材の変化点毎の特徴(例えば、巻数、曲げR、コイル径、及びピッチ量など)と関係づけられたばね形状図に基づいて各ツール位置を示す数値データを過去の実績値又は過去の実績値に基づく計算値により決定し、成形プログラムに展開することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る線材加工機制御用コンピュータプログラムは、さらに、加工後の形状の寸法を再入力すると、加工後の寸法と設定値との誤差から各ツール位置の修正量を計算し、その値をフィードバックして該成形プログラムを修正して再度加工すると共に、修正値をばね形状データベースに登録することを特徴とする。
【0011】
本発明に係るコンピュータ制御式線材加工機は、線材を加工するための複数のツール位置のそれぞれを加工後の形状と関係づけて線材の種別(例えば、線材の材質、硬度、線経、断面形状など)ごとに記憶するデータベースと、加工後の誤差が発生した際に実測寸法を再入力するとデータベースを更新する制御用コンピュータプログラムとを備えており、加工後の形状データを巻き数(線送り量)毎に入力すると前記データベースに基づいて最適なツール位置を計算し、そのツール位置に移動させることを特徴とする。
【0012】
【作用】
本発明に係るプログラムによると、コンピューターがツール位置の過去の実績値を記憶し、その実績値に基づいて適切なツール位置を自動作成するため、熟練者でなくても容易に所望の形状に線材を加工することができる。
【0013】
本発明に係るプログラムは、線経などの材料設定毎に、最小コイル加工径及び最大コイル加工径をテスト成形し、この時の曲げ加工ツール位置を記憶させておくことができ、それらをデータベースに保存していく。データベースに存在しない途中のコイル径については過去のデータに基づいて計算により予測位置を求めることができる。なお、ピッチ付け(立体加工)についても同様であり、データベースの記憶量が多いほど材料性質等の差異平均を吸収した、精度の高い位置決めができる。
【0014】
本発明に係るプログラムによると、線材加工後の外形図を見ながら各部の寸法の入力ができるため、加工後の形状を視覚的にイメージし易い。また、外形図と寸法とから自動的に成形プログラムが展開されるため、現行機で必須のオペレータによる手作業のフォーミングデータ作成及び編集作業を大幅に軽減できる。さらに、加工後の実測値を外形図に再入力するだけで、展開プログラムの補正をすることができ、しかも、再入力された補正値はばね形状データベースとして蓄積されていくので、使用回数とともに、展開プログラムの精度が向上する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
(線材加工機の装置構成)
図1は、本発明で使用する線材加工機の一例を示したものである。図1(a)はコイリングマシンを真上から見た図であり、図1(b)は側面から見た図である。なお、コイルばねを製造するコイリングマシンのみならず、線材を加工するフォーミングマシンなどでもよい。
【0017】
線材wが線送りロール1より強制的に送り出されると、線ガイド4に導かれ、曲げダイス(曲げツール)2、3に送られここで線材wが円形に曲げられる。さらに、線材wが送られながら、ピッチツール8が紙面垂直手前方向に線材wを押圧することでピッチ加工を行う。このようにして、一本の線材wからコイルばねが成形されていく。
【0018】
線送りロール1の送り出し量、送りスピード、送りタイミングもNC制御することができる。
【0019】
図2は切断装置を示している。この切断装置は固定刃(心金)5と移動刃6とを上下に対設したものである。心金5は、固定されておりコイル内径接触位置に刃部7aを有する。切断移動刃6は、上下に移動可能でありコイルを挟んで刃部7aの対向位置に刃部7bが設けられている。なお、刃部7a、7bは摩耗するため、計算上の移動量では切断できなくなってくることがあり、そのため、移動量はコンピューターによりサーボ制御される。
【0020】
線送りロール1、曲げダイス2、3、ピッチツール8、切断固定刃5及び切断移動刃の駆動軸にはすべてサーボ機構が取付けられNC制御される。この装置の軸構成としては、線送りロール用サーボ(サーボ1)、曲げダイス用サーボ(サーボ2、サーボ3)、ピッチツール用サーボ(サーボ4)、切断移動刃用サーボ(サーボ5)、切断固定刃用サーボ(I/O・サーボ6)から構成される。
【0021】
以上のような装置構成の線材加工機は、各ツール位置をサーボ制御するための制御用コンピュータ及びこれを動作させるためのソフトウエア(制御用プログラム)を備えている。本発明では、既存の線材加工機制御用ソフトウエアに、『自動ばね形状設定モード』というモードを新たに追加して使用することができる。
【0022】
自動ばね形状設定モードを選択すると、『新規展開』又は『既存展開』を選択する画面が現われる。新規展開を選択すると、最初にばね形状のおおまかな形状を選択する『ばね形状選択画面』が現われる。ばね形状の外形は、外部記憶媒体に保存しておき、そこから形状データを読み込み、表示するようにすることが好ましい。このようにすると、新たなばね形状を追加することが容易になる。このばね形状データには、後述する展開データも含まれる。一方、既存展開を選択すると、過去の展開データを読み込んで展開する。
【0023】
次に、材料設定画面に移行する。材料設定はデータベースの作成時のみ設定可能とすることが好ましい。選択形式にして例えば丸線を選ぶと線経φや抗張力を入力するように求められる。上述したばね形状と同様、材料による補正値は外部記憶媒体に保存しておき、そこから補正値を読み込むようにすることが好ましい。外部記憶媒体には、過去に成形したばねの線種(丸線、楕円線、平線等)、形状、ピッチ、巻方向、引っ張り強さなどを記憶保存しておく。
【0024】
(線材加工機の制御用コンピュータの動作について)
次に、線材加工機の制御用コンピュータについて説明する。図3(a)〜図3(c)はばね形状選択画面、図4は材料設定画面、図5はばね形状設定画面、図6(a)はプログラム展開図をそれぞれ示している。
【0025】
−ばね形状選択画面(図3)−
はじめに、ばね形状選択画面でまず基本形状を表示させる。例えば、図3に示すような、最終的な仕上がり形状の外形を示した図面を表示させ、加工するばね形状に最も近い形状を選択する。
【0026】
基本図形となるばね形状のデータは、コンピューターのハードディスクなどにあらかじめ登録しておくか、あるいはフレキシブルディスクなど外部記憶媒体に保存しておき、これをコンピュータの一時記憶装置(RAM等)に読み込んで使用することが好ましい。
【0027】
この時、図3(a)の円錐円筒コイルの例では、画面上に『円錐円筒、FLAT CLOSE END、一定ピッチ、右巻』等のデータが外形と共に表示される。なお、基本図形は最終的には数十種類あるいはそれ以上を準備しておくと良い。
【0028】
−材料設定画面(図4)−
次に、材料設定画面を表示させる。例えば、図4に示すように、丸線、楕円線、平線のうちいずれか1つを選択し、さらに抗張力(引っ張り強さ)などを数値で入力する。
【0029】
設定した材料のパラメータは、ばね形状から展開データを作成する際に必要な補正値データを読み込むために用いられる。それらのデータはばね形状のデータと同様、コンピューターのハードディスクなどにあらかじめ登録しておくか、あるいはフレキシブルディスクなど外部記憶媒体に保存しておき、これをコンピュータの一時記憶装置(RAM等)に読み込んで使用することが好ましい。
【0030】
材料のパラメータが変わると、ツール位置が同じでもスプリングバックなどの影響で加工後の形状が大きく異なってくる。例えば、曲げツール位置が同じでも材料硬度が硬いとコイル径が大きくなる。線経に対するコイル径の比率が大きい場合はスプリングバック量が大きいため、同一線経・同一硬度材料でも、曲げダイス位置とコイル径とは、同一比率で変化しない。ピッチ量も同様に、材料パラメータが変わると加工後の形状は大きく変動する。
【0031】
従って、材料設定では、φDを例えば20種類以上、抗張力約10種類以上準備しておくことが好ましい。
【0032】
−ばね形状設定画面(図5)−
この画面で、最小径D1、最大径D2、総巻数、展開長、材料設定など、必要な情報は入力値及び補正値が表示されている。必要に応じてこれらの値は操作者が手動で変更することができる。
【0033】
また、主要部分のコイル径、全体長さ、総巻数が表示され製品検査が容易なばね図面が表示される。ここで、各記号の意味は以下のとおりである。
【0034】
D1:最小外径 [mm]
D2:最大外径 [mm]
H :自由長 [mm]
T :総巻数 [巻]
【0035】
これ以外にも、以下のようなパラメータを表示しても良い。
T1:座巻(D1) [巻]
T2:座巻(D2) [巻]
P :ピッチ [mm]
【0036】
必要な寸法を「設定値」の項に入力する。なお、ピッチPは自由長H、総巻数及び座巻数T1、T2より自動計算される。
【0037】
プログラム展開ボタンを選択すると、例えば図6(a)に示すようなプログラム展開が表示される。
【0038】
−プログラム展開(図6(a))−
プログラム展開とは、巻数(線送り)を基準としてツール位置を決定する、線材加工プロセスの制御プログラムである。より具体的には、線材の巻きはじめから巻き終わりまでの、各ツール位置を示した表であり、巻き数を基準として各変化点でのツール位置を示している。コイル径から直線長さを求め、送り出し量を決定する。
【0039】
ばね成形プログラムの作成は、形状毎の基本パターンをベースに、ばねデータより各ツール位置を算出しプログラムが展開される。ただし、ファクション及びI/O命令は展開されないので、「編集・手動運転」画面で入力する。
【0040】
図6(a)において、S1は線送りロール1の送り出し量を示しており、例えば、70.00x0.3とは、70mmφのコイルが0.3巻分送り出されることを意味している。また、S2乃至S5は各ツールを意味し、表の数値はその位置を示している。線送りロールが回転して線材を送り出すと、送り出した量に応じて各ツール位置が移動し、所望の形状に加工していく。
【0041】
工程0は、加工開始位置設定工程であり、この時点ではまだ線送りされておらず、各ツール(S2乃至S5)は初期値(原点)に位置している。すなわち、曲げ上(曲げダイス2)は136の位置に、曲げ下(曲げダイス3)は106.00の位置に、ピッチツール8は16.00の位置に、それぞれおり、心金5は50.00の位置にいることを意味している。
【0042】
工程1は、密着座巻形成工程である。70.00φで0.3巻送り出す。この時点では、ピッチツール8が初期位置のまま飛び出していないのでピッチがつかず、平面的に円弧状のコイルが生成される。
【0043】
工程2は、ピッチ立上り工程である。70.00φで0.7巻送り出すこの工程では、ピッチツール8が29.00の位置におり、13mmとび出した状態で行われる。
【0044】
工程3は、胴成形工程である。ここでは、70.00φで2.0巻送り出す。希望のばね形状を選択すると、各部の数値を入力する。例えば、図3(b)の例では、両端末径φD1、φD3、中間径φD2、自由長(ばね自然長)Hと、線材の種類を入力する。
【0045】
工程4は、ピッチ立ち下がり工程である。ピッチツール8が16.00の位置に移動した状態で、70.00φで0.7巻送り出す。
【0046】
工程5は、密着座巻形成工程、工程6は切断工程を示している。工程7は、加工開始位置に戻すステップである。
【0047】
このように、コンピューターに入力された加工プロセスデーターに従って一本の線材からコイルばねを成形してゆくと、ばね形状設定画面で設定したばねが実際に成形される。加工後、寸法誤差がある場合には実測値を再度入力するとツール位置修正量を自動的に計算し、修正することができる。修正した結果はばね形状データベースに登録され、プログラムの展開精度が高められる。
【0048】
ピッチについても同様であり、記憶量が多くなるほど、材料性質等の差異平均を吸収した高精度の位置決めが可能となる。
【0049】
特に、ピッチについてはピッチツールで一定量押出した状態(すなわち、ばねが反力をもった状態)で線送りを行い、ピッチ加工部を成形していたため、位置調整作業が極めて難しく、作業者の長年の勘が必要であったが、本発明によれば、自由長誤差ΔHと巻数nを入力すると、誤差δが比例計算などで簡単に求められる。この方法によれば、調整作業に熟練した者でなくても、極めて簡単かつ短時間に調整作業が完了する。
【0050】
(ツール位置調整基準について)
希望のコイル径を得るためのツール位置をできるだけ正確に予測するために、過去のデータを参照するが、過去のデータがないコイル径を得る場合、複雑な計算式よりもむしろ、線材種別などの基本条件毎に最小コイル径と最大コイル径とをテスト成形し、比例計算で求める方が精度が高い。
【0051】
特に、線経が太い線材(例えば10mm以上)を複雑な形状に加工することは難しかったが、この方法を用いると、少ないテスト回数でこれらにも対応できる。
【0052】
学習内容:
1.コイル径
(1)線経乃至抗張力毎に、コイル径を決定するツール位置を記憶する。
(2)実績のない線経の場合は、過去に実績のあった線経を参考にし、10%線経が細くなると3%コイル径が小さくなる位置を仮決定する。
(3)線経実績はあるが、抗張力実績がない場合、10kg抗張力が低くなると、1%コイル径が小さくなると判断した位置を仮決定する。
【0053】
2.コイルピッチ(自由長H)
線経、抗張力、コイル径により、ピッチツール位置に記憶する。
(総巻数)−(座巻数)=有効巻数
(自由長H)−(座巻部長さ)=有効巻部長さ
(有効巻部長さ)÷(有効巻数)=1巻ピッチ
ピッチツール移動量とピッチの大きさを記憶しておく。
【0054】
はじめに、近似値のツールポジションで1つ作る。線材の種別(線経、硬度、抗張力など)毎に記憶している過去のデータから計算して修正する。過去の実績がない線経を初めて用いる場合は、あらかじめ、加工可能な最小コイル径及び最大コイル径をテスト成形し、この時の曲げ加工ツール(曲げダイス)のツール位置を記憶しておく。このようにすると、中間のコイル径についてはコンピューターが計算し、金型のツール位置を予測することができる。
【0055】
ピッチもコイル径と同様に過去の実績のない場合は、特定のコイル径で巻き、最小ピッチと最大ピッチとを作った実績を記憶しておく。
【0056】
図6(a)に示す今回のデータでは、ピッチツール位置S4が16.00から29.00まで移動させているので、その移動量は13mmである。
【0057】
コイルばね全体の長さHの設計値が100mmであったとき、実際にできあがったものを測定すると、設計値より2mm大きかったとする。この場合、Hを102mmから100mmになるように修正が必要である。
【0058】
このコイルの自由長Hは、1本の線経と、立ち上がり0.7巻、立ち下がり0.7巻、胴2巻の合計3.4巻とで構成されている。線経が10mmの時、有効巻部長HEは、90mm(100mm−10mm)であり、これが3.4巻で構成されているのであるから、この時のピッチツールの位置を13とした状態で3.4巻成形すると90mmのピッチが成形できる。
【0059】
この時のピッチツールの移動量は、13mmであるから、13mmピッチツールを出した状態で3.4巻成形すると、0.25mm(2mm÷8巻)ピッチが大きい。そこで、ピッチツールの位置を変更し、ピッチのずれ分がゼロとなるようにする。
【0060】
そこから、ピッチツール位置の校正量を計算により割り出し、再入力する。計算は、概ね比例計算でよい。実際には比例しない場合もあるので、「ばね形状データベース」を参照し、該当する答えがないときは計算式による計算値を適用する。
【0061】
(ばね形状データベースについて)
図6(b)は、コイル外形とツール位置との関係を示すばね形状データベースをグラフ化したものである。実際にはツールの数だけ必要であるがここでは1つだけ表示している。ばね形状データベースは、収集した実測値情報の集合であり、成形プログラムの展開時に参照される。
【0062】
ばね形状データベースに万一誤りのある情報が登録されてしまった場合、プログラムの展開精度が悪くなる。そこで、ばね形状データベースに登録されている情報を図6(b)のようにグラフ化して視覚的に表示することで、不必要な情報は削除できるよう、データベース管理画面を用意しておくと良い。
【0063】
管理ツールでは、データの確認及び編集、不要データの削除、外部記憶媒体へのバックアップ及びリストアを行なえるようにしておくことが好ましい。
【0064】
なお、本発明の線材加工機制御用ソフトウエアは、現行機のソフトウエアに追加実装することができるが、現行機の一時記憶メモリ容量、フラッシュメモリ容量、使用方法などによっては、構成を変更したり、外部パソコンなどをベースとした形式にすることも可能である。
【0065】
【発明の効果】
従来は熟練者の勘と経験によってツール位置を直接入力していたが、本発明によれば、製品図面に表示された各部のコイル径、ピッチ等の曲げ加工Rを入力するだけで、従来よりも精度良く線材を所望の形状に加工することができる。また、使用を重ねるに連れ、その精度は更に一層高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明で使用する線材加工機の一例を示したものである。図1(a)はコイリングマシンを真上から見た図であり、図1(b)は側面から見た図である。
【図2】図2は図1における心金(切断固定刃)5の拡大図を示したものである。
【図3】図3は、ばね形状選択画面の一例を示した図である。
【図4】図4は、材料設定画面の一例を示した図である。
【図5】図5はばね形状設定画面の一例を示した図である。
【図6】図6(a)はプログラム展開図の一例を示した図である。(b)はコイル外形とツール位置との関係を示すばね形状データベースをグラフ化した図である。
【符号の説明】
1 線送りロール
2、3 曲げダイス(曲げツール)
4 線ガイド
5 切断固定刃(心金)
6 切断移動刃
7a、7b 刃部
8 ピッチツール
w 線材
Claims (3)
- 線材の種別及び線材の変化点毎の特徴と関係づけられたばね形状図に基づいて、各ツール位置を示す数値データを過去の実績値又は過去の実績値に基づく計算値により決定し、成形プログラムに展開することを特徴とする線材加工機制御用コンピュータプログラム。
- 加工後の形状の寸法を再入力すると、加工後の寸法と設定値との誤差から各ツール位置の修正量を計算し、その値をフィードバックして該成形プログラムを修正して再度加工すると共に、修正値をばね形状データベースに登録することを特徴とする請求項1記載の線材加工機用コンピュータプログラム。
- 線材を加工するための複数のツール位置のそれぞれを加工後の形状と関係づけて線材の種別ごとに記憶するデータベースと、加工後の誤差がある場合に実測寸法を再入力するとデータベースを更新する制御用コンピュータプログラムとを備えており、加工後の形状データを線送り量毎に入力すると前記データベースに基づいて最適なツール位置を計算し、そのツール位置に移動させることを特徴とするコンピュータ制御式線材加工機。
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- 2003-04-04 JP JP2003102322A patent/JP2004306075A/ja active Pending
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