JP2004306037A - 継目無鋼管の熱間定径制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】継目無鋼管の外径を真円に仕上げる熱間定径制御方法を提供する。
【解決手段】継目無鋼管の熱間定径を制御する方法において、ロータリサイザーのモーター電流値Iおよび/または回転数Nを下記式(1)の範囲内に制御することにより局部的な真円度不良を防止することを特徴とする継目無鋼管の熱間定径制御方法。Tmin≦0.985VI/N≦Tmax … (1)
ただし、Tmax=a×ロータリサイザーで圧延した鋼管の外径+b×ロータリサイザーで圧延した鋼管の肉厚+c、Tmin=定数、Vはロータリサイザーのモーターの電圧値、Iはロータリサイザーのモーターの電流値、Nはロータリサイザーのモーターの回転数
【選択図】 図2
【解決手段】継目無鋼管の熱間定径を制御する方法において、ロータリサイザーのモーター電流値Iおよび/または回転数Nを下記式(1)の範囲内に制御することにより局部的な真円度不良を防止することを特徴とする継目無鋼管の熱間定径制御方法。Tmin≦0.985VI/N≦Tmax … (1)
ただし、Tmax=a×ロータリサイザーで圧延した鋼管の外径+b×ロータリサイザーで圧延した鋼管の肉厚+c、Tmin=定数、Vはロータリサイザーのモーターの電圧値、Iはロータリサイザーのモーターの電流値、Nはロータリサイザーのモーターの回転数
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、継目無鋼管の外径を真円に仕上げる熱間定径制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的な継目無鋼管を製造する工程を図3に示す。この図に示すように、継目無鋼管の素材であるビレット1を加熱炉2で加熱し、ピアサーミル3でビレット1を圧延穿孔して素管とする。次いでアッセルミル4などの圧延機で外径−肉厚を延伸圧延する。そのときのアッセルミル4をアッセルミル断面5で示す。そして、再加熱炉6で均熱し、シンキングミル7で製品の外径と同じ円周長さに仕上げ、ロータリサイザー8で円周長さを変えずに真円にして、所定の寸法に仕上げるものである。このプロセスの中での定径機として2ロールストラドル形式のシンキングミルに2ロールコーンタイプのロータリサイザーを組合わせて使用されている。これは、多様なサイズに対応するために、シンキングミルのロール間隔を調整して楕円に圧延し、ロータリサイザーで真円に仕上げて対応できるようにしている。なお、符号9は冷却床である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように2ロールストラドル形式のシンキングミルは多様なサイズに対応するために、引用文献1に記載されているように、外径寸法の調整は、仕上スタンドのロールギャップの開閉により行い、目標寸法と同じ円周長さになるように調整するので、シンキングミルを出た管は楕円になっている。このため、シンキングミルの後に2ロールコーンタイプのロータリサイザーを配し、セットアップの許容範囲内で操業して真円度を改善しているのであるが、それでも外径楕円を改善することが出来なかったり、局部的または全長に外径形状が3角、5角等に変形し真円にならなかったり、という問題が発生する。なお、ロータリサイザーのセットアップとは、引用文献2に記載されているように、ロール回転数、ロールゴージ間隔、ミルセンター高さおよびガイドシュー間隔である。
【0004】
【引用文献】
(a)引用文献1 鉄鋼便覧第■卷11、12.2シンキングミルd.圧延作業
(b)引用文献2 鉄鋼便覧第■卷11、12.3、Cセットアップ
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述したような問題を解消するために、発明者らは鋭意開発を進めた結果、ロータリサイザーのモーター電流値(ロード値)を電動機の電圧、回転数および製品の外径、肉厚から求められた値による管理によって真円度不良を防止し、継目無鋼管の外径を真円に仕上げる熱間定径制御方法を提供するものである。
その発明の要旨とするところは、
(1)継目無鋼管の熱間定径を制御する方法において、ロータリサイザーのモーター電流値Iおよび回転数Nを下記式(1)の範囲内に制御することにより局部的な真円度不良を防止することを特徴とする継目無鋼管の熱間定径制御方法。
Tmin≦0.985V0 I/N≦Tmax … (1)
ただし、Tmax=a×ロータリサイザーで圧延した鋼管の外径+b×ロータリサイザーで圧延した鋼管の肉厚+c
Tmin=定数
Vはロータリサイザーのモーターの電圧値
Iはロータリサイザーのモーターの電流値
Nはロータリサイザーのモーターの回転数
(2)前記(1)において、ロールゴージ間隔、ミルセンター高さ、ガイドシュー間隔およびサイドガイド間隔を調整してロータリサイザーのモーター電流値Iを請求項1記載の式(1)の範囲内に制御することにより局部的な真円度不良を防止することを特徴とする継目無鋼管の熱間定径制御方法にある。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
一般に、圧延機のモーターは、圧延ロールの回転数を設定した値に保持するために、負荷に応じて電気制御により電流をコントロールしている。例えば、無負荷状態から圧延を開始した場合、回転数は一旦圧延負荷により低下するが、その回転偏差を検出して電流を流し、モーターは加速トルクを与えて目標回転数になるように電気制御している。従って、モーターの電流値は圧延負荷を代表させるのに適している。また、圧延負荷は、製品の外径、肉厚に影響される変形抵抗、圧延中のゴージ間隔等に影響される変形度合により変化するため、適切な負荷を与え真円にするために、適切な電流値の管理値を定め、その値に応じてセットアップを適正に調整する必要がある。
【0007】
図1は、外径を真円にするためのロータリサイザーの概略図である。この図に示すように、シンキングミルで所定の寸法に仕上げた後の中空素管10を2個のロール11によって異なるロール回転数をもって、連続的に外径をわずかづつ縮めながら外径を整えるもので、その圧延中のロール回転調整はモーターのトルクをもって制御するものである。その場合に、本発明においてはロール回転数の高い方のモーターの電流値は後述する上限値を超えない範囲で高めに設定して置き、対峙するロール回転数の低い方のモーターの電流値はその0.3〜0.6倍に設定する。
【0008】
このような条件下で外径を調整するに当たり、例えば中空素管10の外径Dと肉厚tとの関係から求められたロータリサイザー電流値を持って管理するのが有効であることを見出した。
すなわち、ロールの回転数の高い方について、下記の(2)式を用いて電流値を算出し、圧延中のモーターの電流値を監視して操業管理するものである。
I=T・N/(0.985×V) … (2)
ただし、I:モーターの電流値(A)
T:モーターのトルク(N・m)
N:モーターの回転数(rpm)
V:モーターの電圧(V)である。
【0009】
ここで、モーターのトルクの上限は、(3)式に近似できることを見出した。この場合のロールの回転数の高い方についてのモーターの圧延中のトルクを次の範囲内で操業させる。
Tmax(N・m)=a×圧延外径+b×圧延肉厚+c … (3)
Tmin(N・m)=d … (4)
ただし、Tmax:圧延外径と肉厚の変形抵抗を考慮した圧延中のモーターのトルクの上限、Tmin:楕円から真円に変形させるのに最低限の負荷である圧延中のモーターのトルクの下限とする。
上述した(2)式を用いて、圧延中のモーターの電流値を監視して操業管理するに当たり、(2)式中のTに、Tmax、Tminを代入した結果のI値をもって制御するものである。なお、a〜dの値は、おおむねa=−0.3〜−0.1、b=4〜6、c=10〜30、d=5〜20の範囲である。
【0010】
図2は、ロータリサイザーのロールおよびガイドシュー間隔調整機構を示す概略図であり、図2(a)は上面断面図、図2(b)は正面断面図である。この構造において、2つのロール11は上下移動が可能で水平に設置され、その間には上下にガイドシューが備えられている。また、トップガイドシュー12も上下移動が可能でボトムガイドシュー13は固定されている。従って、中空素管10の外径に合わせて、2つのロール11およびトップガイドシュー12を上下移動させ、ミルセンター14の高さを調整する。パスラインは圧延中の管が2つのロール11とボトムガイドシュー13の3点支持で安定するようにミルセンターに対し6〜12mm下側に設定する。また、ロールゴージ間隔は製品外径より0.5〜2%小さくし、ガイドシュー間隔はボトム側を基準に仕上外径より3〜10mm大きく設定する。さらに、ロータリサイザーで圧延中の管の振動を防止するため、入口テーブルサイドガイド17および出口テーブルサイドガイド18を設置している。
【0011】
上述したような構造によって、ロータリサイザーのガイドシューは圧延時の成品の回転中の振れによる浮き上がりを抑え、成品のパスセンター15の高さをミルセンター14に対し所定の位置に通す役割をもっている。このガイドシューの間隔が小さいと製品の噛み込み時、ガイドシューに当たって噛み込まない等のトラブルが発生しやすく、逆に大きいと製品が浮き上がり、ロールゴージ間隔16の狭いところで圧延するようになり、圧下量が大きくなり、成品の形状不良となる。従って、トップガイドシュー12に付けられたガイドシュー間隔調整機構において、調整用のモーターにエンコーダー等の位置制御装置を取付けるか、油圧シリンダーをガイドシューホルダーとガイドシューの間に配することにより、圧延中は振れを抑えるために間隔を狭め、圧延終了後噛み込み不良防止のため、ガイドシュー間隔を広げる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明について実施例によって具体的に説明する。
ロールの回転数の高い方についてのモーターの圧延中のトルクを次の範囲内で操業させる。
Tmax(N・m)=−0.2×圧延外径+5×圧延肉厚+15 … (5)
Tmin(N・m)=11 … (6)
DC75KW×29 515/1300rpmなるモーターを用い、ロール回転数73〜185rpm、ロール径φ777〜900なるロータリサイザーを用い、例えば、製品寸法:外径100mm、肉厚10mmの場合、圧延中のモーターのトルクは式(5)、(6)より、上限(Tmax)が45N0 m、下限(Tmin)が11N0 mである。モーターの電圧230V、モーターの回転数600rpmの場合、モーターの電流側の上限は119A、下限は29Aとなる。このように圧延中のモーターの電流値Iの上限、および下限を算出して、この圧延中のモーターの電流値Iの表示が29A〜119Aに維持されるように、後述する操業上の状況に応じてモーターの回転数、ロールゴージ間隔、ミルセンター高さ、ガイドシュー間隔およびサイドガイド間隔を調整する。
【0013】
すなわち、▲1▼電流値Iの上限値を外れた場合、圧延負荷が大きいため、形状が3角、5角に変形するため電動機の回転数を下げ、ロールゴージ間隔を拡げる。
▲2▼電流値Iの下限値を外れた場合、圧延負荷が小さいため、楕円形状が改善されにくいためロールゴージ間隔を狭める。
また、▲3▼ロール回転数の低い方の電流値がマイナスになっている場合は、高い回転数のロールで回転させた中空素管の周速が低い回転数のロールの周速より速くなっているため、低い回転数のロールのモーターがマイナスの加速トルクを与える電気制御になっているので、回転数の高い方のモーターの回転数を上げるか、低い方のモーターの回転数を下げるかして、ロール回転数差を小さくするように制御するか、ロールゴージ間隔を拡げて両方のモーター負荷を低減させる。
【0014】
▲4▼ロール回転数の高い方の電流値より低い方の電流値の方が高くなっている場合は、ミルセンターがパスセンターに対し大きく中空素管の径に対し2つのロールとボトムシューの間隔が広く不安定な圧延になっているので、ミルセンターの高さを下げる。もしくは出側テーブルのサイドガイドの間隔が狭く中空素管の前進の妨げとなり、低い回転数のロール側に負荷がかかっているので、出側テーブルのサイドガイドを拡げる。
さらに、▲5▼電流値Iが圧延開始後〜数mの間高く、その後下がる場合には、トップガイドシューを下げてガイドシュー間隔を狭めることによって成品の浮き上りを防止する等の制御することにより、製品の捩れ、局部的な真円度不良を改善し、外径寸法精度の向上を図るものである。
【0015】
以上の実施例を纏めて、表1および表2に示す。表1は、各外径、肉厚、TmaxおよびTminを、また、表2にはロールゴージ間隔、ミルセンターとパスセンターの差、ガイドシュー間隔、サイドガイド間隔、ロータリサイザーのモーターの電流値I、ロータリサイザーのモーターの回転数N、モーターのトルクTおよびそのときの総合評価として真円度を示す。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により継目無鋼管の成品の捩れ、局部的な真円度不良を防止し、外径寸法精度の向上を図ることが出来る極めて優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る外径を真円にするためのロータリサイザーの概略図である。
【図2】ロータリサイザーのロールおよびガイドシュー間隔調整機構を示す概略図である。
【図3】一般的な継目無鋼管を製造する工程を示す図である。
【符号の説明】
1 ビレット
2 加熱炉
3 ピアサ穿孔機
4 アッセルミル
5 アッセルミル断面
6 再加熱炉
7 シンキングミル
8 ロータリーサイザー
9 冷却床
10 中空素管
11 ロール
12 トップガイドシュー
13 ボトムガイドシュー
14 ミルセンター
15 パスセンター
16 ロールゴージ間隔
17 入口テーブルサイドガイド
18 出口テーブルサイドガイド
【発明の属する技術分野】
本発明は、継目無鋼管の外径を真円に仕上げる熱間定径制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的な継目無鋼管を製造する工程を図3に示す。この図に示すように、継目無鋼管の素材であるビレット1を加熱炉2で加熱し、ピアサーミル3でビレット1を圧延穿孔して素管とする。次いでアッセルミル4などの圧延機で外径−肉厚を延伸圧延する。そのときのアッセルミル4をアッセルミル断面5で示す。そして、再加熱炉6で均熱し、シンキングミル7で製品の外径と同じ円周長さに仕上げ、ロータリサイザー8で円周長さを変えずに真円にして、所定の寸法に仕上げるものである。このプロセスの中での定径機として2ロールストラドル形式のシンキングミルに2ロールコーンタイプのロータリサイザーを組合わせて使用されている。これは、多様なサイズに対応するために、シンキングミルのロール間隔を調整して楕円に圧延し、ロータリサイザーで真円に仕上げて対応できるようにしている。なお、符号9は冷却床である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように2ロールストラドル形式のシンキングミルは多様なサイズに対応するために、引用文献1に記載されているように、外径寸法の調整は、仕上スタンドのロールギャップの開閉により行い、目標寸法と同じ円周長さになるように調整するので、シンキングミルを出た管は楕円になっている。このため、シンキングミルの後に2ロールコーンタイプのロータリサイザーを配し、セットアップの許容範囲内で操業して真円度を改善しているのであるが、それでも外径楕円を改善することが出来なかったり、局部的または全長に外径形状が3角、5角等に変形し真円にならなかったり、という問題が発生する。なお、ロータリサイザーのセットアップとは、引用文献2に記載されているように、ロール回転数、ロールゴージ間隔、ミルセンター高さおよびガイドシュー間隔である。
【0004】
【引用文献】
(a)引用文献1 鉄鋼便覧第■卷11、12.2シンキングミルd.圧延作業
(b)引用文献2 鉄鋼便覧第■卷11、12.3、Cセットアップ
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述したような問題を解消するために、発明者らは鋭意開発を進めた結果、ロータリサイザーのモーター電流値(ロード値)を電動機の電圧、回転数および製品の外径、肉厚から求められた値による管理によって真円度不良を防止し、継目無鋼管の外径を真円に仕上げる熱間定径制御方法を提供するものである。
その発明の要旨とするところは、
(1)継目無鋼管の熱間定径を制御する方法において、ロータリサイザーのモーター電流値Iおよび回転数Nを下記式(1)の範囲内に制御することにより局部的な真円度不良を防止することを特徴とする継目無鋼管の熱間定径制御方法。
Tmin≦0.985V0 I/N≦Tmax … (1)
ただし、Tmax=a×ロータリサイザーで圧延した鋼管の外径+b×ロータリサイザーで圧延した鋼管の肉厚+c
Tmin=定数
Vはロータリサイザーのモーターの電圧値
Iはロータリサイザーのモーターの電流値
Nはロータリサイザーのモーターの回転数
(2)前記(1)において、ロールゴージ間隔、ミルセンター高さ、ガイドシュー間隔およびサイドガイド間隔を調整してロータリサイザーのモーター電流値Iを請求項1記載の式(1)の範囲内に制御することにより局部的な真円度不良を防止することを特徴とする継目無鋼管の熱間定径制御方法にある。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
一般に、圧延機のモーターは、圧延ロールの回転数を設定した値に保持するために、負荷に応じて電気制御により電流をコントロールしている。例えば、無負荷状態から圧延を開始した場合、回転数は一旦圧延負荷により低下するが、その回転偏差を検出して電流を流し、モーターは加速トルクを与えて目標回転数になるように電気制御している。従って、モーターの電流値は圧延負荷を代表させるのに適している。また、圧延負荷は、製品の外径、肉厚に影響される変形抵抗、圧延中のゴージ間隔等に影響される変形度合により変化するため、適切な負荷を与え真円にするために、適切な電流値の管理値を定め、その値に応じてセットアップを適正に調整する必要がある。
【0007】
図1は、外径を真円にするためのロータリサイザーの概略図である。この図に示すように、シンキングミルで所定の寸法に仕上げた後の中空素管10を2個のロール11によって異なるロール回転数をもって、連続的に外径をわずかづつ縮めながら外径を整えるもので、その圧延中のロール回転調整はモーターのトルクをもって制御するものである。その場合に、本発明においてはロール回転数の高い方のモーターの電流値は後述する上限値を超えない範囲で高めに設定して置き、対峙するロール回転数の低い方のモーターの電流値はその0.3〜0.6倍に設定する。
【0008】
このような条件下で外径を調整するに当たり、例えば中空素管10の外径Dと肉厚tとの関係から求められたロータリサイザー電流値を持って管理するのが有効であることを見出した。
すなわち、ロールの回転数の高い方について、下記の(2)式を用いて電流値を算出し、圧延中のモーターの電流値を監視して操業管理するものである。
I=T・N/(0.985×V) … (2)
ただし、I:モーターの電流値(A)
T:モーターのトルク(N・m)
N:モーターの回転数(rpm)
V:モーターの電圧(V)である。
【0009】
ここで、モーターのトルクの上限は、(3)式に近似できることを見出した。この場合のロールの回転数の高い方についてのモーターの圧延中のトルクを次の範囲内で操業させる。
Tmax(N・m)=a×圧延外径+b×圧延肉厚+c … (3)
Tmin(N・m)=d … (4)
ただし、Tmax:圧延外径と肉厚の変形抵抗を考慮した圧延中のモーターのトルクの上限、Tmin:楕円から真円に変形させるのに最低限の負荷である圧延中のモーターのトルクの下限とする。
上述した(2)式を用いて、圧延中のモーターの電流値を監視して操業管理するに当たり、(2)式中のTに、Tmax、Tminを代入した結果のI値をもって制御するものである。なお、a〜dの値は、おおむねa=−0.3〜−0.1、b=4〜6、c=10〜30、d=5〜20の範囲である。
【0010】
図2は、ロータリサイザーのロールおよびガイドシュー間隔調整機構を示す概略図であり、図2(a)は上面断面図、図2(b)は正面断面図である。この構造において、2つのロール11は上下移動が可能で水平に設置され、その間には上下にガイドシューが備えられている。また、トップガイドシュー12も上下移動が可能でボトムガイドシュー13は固定されている。従って、中空素管10の外径に合わせて、2つのロール11およびトップガイドシュー12を上下移動させ、ミルセンター14の高さを調整する。パスラインは圧延中の管が2つのロール11とボトムガイドシュー13の3点支持で安定するようにミルセンターに対し6〜12mm下側に設定する。また、ロールゴージ間隔は製品外径より0.5〜2%小さくし、ガイドシュー間隔はボトム側を基準に仕上外径より3〜10mm大きく設定する。さらに、ロータリサイザーで圧延中の管の振動を防止するため、入口テーブルサイドガイド17および出口テーブルサイドガイド18を設置している。
【0011】
上述したような構造によって、ロータリサイザーのガイドシューは圧延時の成品の回転中の振れによる浮き上がりを抑え、成品のパスセンター15の高さをミルセンター14に対し所定の位置に通す役割をもっている。このガイドシューの間隔が小さいと製品の噛み込み時、ガイドシューに当たって噛み込まない等のトラブルが発生しやすく、逆に大きいと製品が浮き上がり、ロールゴージ間隔16の狭いところで圧延するようになり、圧下量が大きくなり、成品の形状不良となる。従って、トップガイドシュー12に付けられたガイドシュー間隔調整機構において、調整用のモーターにエンコーダー等の位置制御装置を取付けるか、油圧シリンダーをガイドシューホルダーとガイドシューの間に配することにより、圧延中は振れを抑えるために間隔を狭め、圧延終了後噛み込み不良防止のため、ガイドシュー間隔を広げる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明について実施例によって具体的に説明する。
ロールの回転数の高い方についてのモーターの圧延中のトルクを次の範囲内で操業させる。
Tmax(N・m)=−0.2×圧延外径+5×圧延肉厚+15 … (5)
Tmin(N・m)=11 … (6)
DC75KW×29 515/1300rpmなるモーターを用い、ロール回転数73〜185rpm、ロール径φ777〜900なるロータリサイザーを用い、例えば、製品寸法:外径100mm、肉厚10mmの場合、圧延中のモーターのトルクは式(5)、(6)より、上限(Tmax)が45N0 m、下限(Tmin)が11N0 mである。モーターの電圧230V、モーターの回転数600rpmの場合、モーターの電流側の上限は119A、下限は29Aとなる。このように圧延中のモーターの電流値Iの上限、および下限を算出して、この圧延中のモーターの電流値Iの表示が29A〜119Aに維持されるように、後述する操業上の状況に応じてモーターの回転数、ロールゴージ間隔、ミルセンター高さ、ガイドシュー間隔およびサイドガイド間隔を調整する。
【0013】
すなわち、▲1▼電流値Iの上限値を外れた場合、圧延負荷が大きいため、形状が3角、5角に変形するため電動機の回転数を下げ、ロールゴージ間隔を拡げる。
▲2▼電流値Iの下限値を外れた場合、圧延負荷が小さいため、楕円形状が改善されにくいためロールゴージ間隔を狭める。
また、▲3▼ロール回転数の低い方の電流値がマイナスになっている場合は、高い回転数のロールで回転させた中空素管の周速が低い回転数のロールの周速より速くなっているため、低い回転数のロールのモーターがマイナスの加速トルクを与える電気制御になっているので、回転数の高い方のモーターの回転数を上げるか、低い方のモーターの回転数を下げるかして、ロール回転数差を小さくするように制御するか、ロールゴージ間隔を拡げて両方のモーター負荷を低減させる。
【0014】
▲4▼ロール回転数の高い方の電流値より低い方の電流値の方が高くなっている場合は、ミルセンターがパスセンターに対し大きく中空素管の径に対し2つのロールとボトムシューの間隔が広く不安定な圧延になっているので、ミルセンターの高さを下げる。もしくは出側テーブルのサイドガイドの間隔が狭く中空素管の前進の妨げとなり、低い回転数のロール側に負荷がかかっているので、出側テーブルのサイドガイドを拡げる。
さらに、▲5▼電流値Iが圧延開始後〜数mの間高く、その後下がる場合には、トップガイドシューを下げてガイドシュー間隔を狭めることによって成品の浮き上りを防止する等の制御することにより、製品の捩れ、局部的な真円度不良を改善し、外径寸法精度の向上を図るものである。
【0015】
以上の実施例を纏めて、表1および表2に示す。表1は、各外径、肉厚、TmaxおよびTminを、また、表2にはロールゴージ間隔、ミルセンターとパスセンターの差、ガイドシュー間隔、サイドガイド間隔、ロータリサイザーのモーターの電流値I、ロータリサイザーのモーターの回転数N、モーターのトルクTおよびそのときの総合評価として真円度を示す。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により継目無鋼管の成品の捩れ、局部的な真円度不良を防止し、外径寸法精度の向上を図ることが出来る極めて優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る外径を真円にするためのロータリサイザーの概略図である。
【図2】ロータリサイザーのロールおよびガイドシュー間隔調整機構を示す概略図である。
【図3】一般的な継目無鋼管を製造する工程を示す図である。
【符号の説明】
1 ビレット
2 加熱炉
3 ピアサ穿孔機
4 アッセルミル
5 アッセルミル断面
6 再加熱炉
7 シンキングミル
8 ロータリーサイザー
9 冷却床
10 中空素管
11 ロール
12 トップガイドシュー
13 ボトムガイドシュー
14 ミルセンター
15 パスセンター
16 ロールゴージ間隔
17 入口テーブルサイドガイド
18 出口テーブルサイドガイド
Claims (2)
- 継目無鋼管の熱間定径を制御する方法において、ロータリサイザーのモーター電流値Iおよび回転数Nを下記式(1)の範囲内に制御することにより局部的な真円度不良を防止することを特徴とする継目無鋼管の熱間定径制御方法。
Tmin≦0.985V0 I/N≦Tmax … (1)
ただし、Tmax=a×ロータリサイザーで圧延した鋼管の外径+b×ロータリサイザーで圧延した鋼管の肉厚+c
Tmin=定数
Vはロータリサイザーのモーターの電圧値
Iはロータリサイザーのモーターの電流値
Nはロータリサイザーのモーターの回転数 - 請求項1において、ロールゴージ間隔、図2(a)の16、ミルセンター高さ、ガイドシュー間隔およびサイドガイド間隔の1または1以上を調整してロータリサイザーのモーター電流値Iを請求項1記載の式(1)の範囲内に制御することにより局部的な真円度不良を防止することを特徴とする継目無鋼管の熱間定径制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003098497A JP2004306037A (ja) | 2003-04-01 | 2003-04-01 | 継目無鋼管の熱間定径制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003098497A JP2004306037A (ja) | 2003-04-01 | 2003-04-01 | 継目無鋼管の熱間定径制御方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP (1) | JP2004306037A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105234179A (zh) * | 2015-11-02 | 2016-01-13 | 浙江格洛斯无缝钢管有限公司 | 利用二辊斜轧机进行厚壁无缝钢管的定径工艺及轧制工艺 |
-
2003
- 2003-04-01 JP JP2003098497A patent/JP2004306037A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN105234179A (zh) * | 2015-11-02 | 2016-01-13 | 浙江格洛斯无缝钢管有限公司 | 利用二辊斜轧机进行厚壁无缝钢管的定径工艺及轧制工艺 |
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