JP2004305826A - 酸素富化膜およびそれを用いた脱臭装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高湿下で硫化水素に対する吸着性能が向上する化学吸着作用を有する吸着剤を酸素富化膜の高濃度酸素側に設置すると、酸素分圧、水蒸気分圧ともに上昇するため、瞬間的には硫化水素に対する吸着能力が向上するが、次第に吸着剤に結露が発生し、吸着能力が低下するため、長時間運転に適さないという課題を有していた。
【解決手段】マンガン、銅、コバルトの複合酸化物で、高湿下で硫化水素に対して優れた化学吸着作用を有する吸着剤を含む酸素富化膜7を用いた脱臭装置とすることにより、長時間運転を行っても結露が発生せず、排便臭の主成分である硫化水素を長時間、効率よく除去できる非常にコンパクトな脱臭装置を実現できる。
【選択図】 図1
【解決手段】マンガン、銅、コバルトの複合酸化物で、高湿下で硫化水素に対して優れた化学吸着作用を有する吸着剤を含む酸素富化膜7を用いた脱臭装置とすることにより、長時間運転を行っても結露が発生せず、排便臭の主成分である硫化水素を長時間、効率よく除去できる非常にコンパクトな脱臭装置を実現できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気を透過させることにより空気の酸素濃度を維持あるいは向上させることのできる酸素富化膜および、室内空気の浄化を行う脱臭装置、芳香を発生させる装置に係り、特に室内空気の酸素濃度を維持あるいは向上させることのできる酸素富化装置付きの脱臭装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来は、酸素富化膜と脱臭剤とを組み合わせた装置とすることにより、室内空気を清浄化し、さらに酸素濃度が高くなった空気を室内に送るものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−101864号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術においては酸素富化膜と脱臭剤とを別に設ける必要があるため、ユニットが大型化するという課題があった。また、高湿下で硫化水素に対する吸着性能が向上する化学吸着作用を有する吸着剤を酸素富化膜の高濃度酸素側に設置すると、酸素分圧、水蒸気分圧ともに上昇するため、瞬間的には硫化水素に対する吸着能力が向上するが、次第に吸着剤に結露が発生し、吸着能力が低下するため、長時間運転に適さないという課題を有していた。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、長時間運転を行っても結露が発生せず、排便臭の主成分である硫化水素を長時間、効率よく除去できるコンパクトな脱臭装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような課題を解決するものであり、高湿下で少なくとも硫化水素に対して化学吸着作用を有する吸着剤を有し、前記吸着剤は少なくともマンガン、コバルト、銅、亜鉛のいずれか1つを含む酸化物、水酸化物、複合酸化物、あるいはその混合物である酸素富化膜を用いた脱臭装置とすることにより、長時間運転を行っても結露が発生せず、排便臭の主成分である硫化水素を長時間、効率よく除去できる非常にコンパクトな脱臭装置を実現できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、高湿下で少なくとも硫化水素に対して化学吸着作用を有する吸着剤を有し、前記吸着剤は少なくともマンガン、コバルト、銅、亜鉛のいずれか1つを含む酸化物、水酸化物、複合酸化物、あるいはその混合物である酸素富化膜としたもので、長時間運転を行っても結露が発生せず、排便臭の主成分である硫化水素を長時間、効率よく除去できる非常にコンパクトな脱臭装置を実現するための主要部品を実現できる。
【0008】
また請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明に加えて、亜鉛または銀をそれぞれ単独で有する酸素富化膜としたもので、空気中に浮遊する細菌を酸素富化膜表面で殺菌または繁殖を防ぐことのできる酸素富化膜を実現できる。
【0009】
また請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明に加えて、水溶性の芳香物質を有する酸素富化膜としたもので、モノテルペンアルコール等の水溶性芳香物質を酸素富化膜中に担持させておくことで、酸素富化膜を透過した水蒸気に溶解した芳香物質を放出し、脱臭することができなかった臭気物質をマスキング効果で臭いを感じさせなくすることができる芳香発生装置の主要部品を実現できる。
【0010】
また請求項4記載の発明は、ファンと、真空ポンプと、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の酸素富化膜とを有し、少なくとも硫化水素を含む臭気物質を、前記酸素富化膜を透過させることにより前記臭気物質を除去する脱臭装置としたもので、長時間運転を行っても結露が発生せず、排便臭の主成分である硫化水素を長時間、効率よく除去できる非常にコンパクトな脱臭装置を実現できる。また酸素富化膜への空気供給を室外の空気から行うことにより、室内の酸素濃度を向上させ、その酸素濃度により集中力向上やリラックス効果などを実現できる機能が付いた脱臭装置を実現できる。
【0011】
また請求項5記載の発明は、ファンと、真空ポンプと、芳香発生手段と、請求項3記載の酸素富化膜とを備え、前記芳香発生手段は前記酸素富化膜に空気を透過させることにより芳香を付加させる脱臭装置としたもので、モノテルペンアルコール等の水溶性芳香物質を酸素富化膜中に担持させておくことで、酸素富化膜を透過した水蒸気に溶解した芳香物質を放出し、脱臭剤で脱臭することができなかった臭気物質をマスキング効果で臭いを感じさせなくすることができる芳香発生装置を実現できる。また、高酸素濃度と芳香成分との両方の効果により、リラックス効果をより高めることができる脱臭装置を実現できる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図を基づいて説明する。
【0013】
(実施例1)
図1(a)は本発明の第一の実施例における脱臭装置の模式図、図1(b)は本発明の第一の実施例における酸素富化膜ユニットの一部分を拡大した模式図である。脱臭装置は、脱臭フィルターとしても機能を有する酸素富化膜ユニット1と筐体2とファン3と高酸素濃度空気通路4と真空ポンプ5から構成される。ファン3は、シロッコファン、ターボファン、プロペラファン、貫流ファン等が一般の送風ファンとして使用され、特に限定するものではない。
【0014】
酸素富化膜ユニット1は、高湿下で硫化水素に対する吸着性能が向上する化学吸着作用を有する吸着剤6を担持させた酸素富化膜7と酸素富化膜7の下地となる基材8とそれらを支持する支持体9からなる。また、支持体9は空気が通過できる穴10を有する。
【0015】
本実施例で用いた酸素富化膜7はシリコン系高分子膜で、膜の両面に圧力差を設けることにより、原料空気を無孔質の酸素富化膜表面に溶解させ、膜内を拡散するときの速度比により、原料空気を高酸素濃度空気と酸素量の少ない排空気とに分離する。本実施例の場合、窒素に対する酸素の分離比は約2.5で、水蒸気の分離比は約22であり、空気を酸素富化膜7を透過させると酸素濃度はおおよそ30%となり、水蒸気はほぼ飽和蒸気圧となる。その他酸素富化膜として、シリコン系、ポリスルホン系、イミド系、フッ素系、ポリオレフィン系などがあるが、水蒸気をよく透過させるものが望ましい。
【0016】
酸素富化膜面に圧力差を生じさせる方法としては、膜の一方側を大気圧として他方側を大気圧以上にする方法と、膜の一方側を大気圧として他方側を大気圧以下にする方法とがあるが、破裂等の破損を考慮すると、後者の膜の他方側を大気圧以下にするほうがよい。このために真空ポンプ5を用い、真空度は100〜600torr程度が好ましいが、特に限定するものではない。
【0017】
基材8は、酸素富化膜を製造時に下地となる基材で、本実施例では多孔性のポリエーテルスルフォンの膜を用いたが、気体をよく透過させ、かつ酸素富化膜製造時に酸素富化膜に大きく影響を与えるものでなければ、特に限定されるものではない。また、支持体9は酸素富化膜とポリエーテルスルフォンの膜を支持する支持体で、空気を通過させる穴10を有しており、また外圧に対して容易に折れないものが望ましい。本実施例では、ポリプロピレン樹脂の板を用いたが、他の樹脂や金属、セラミックスなどを用いてもよく、特に限定されるものではない。
【0018】
次に本実施例で用いた高湿下で硫化水素に対する吸着性能が向上する化学吸着作用を有する吸着剤6について説明する。本実施例では、マンガン、銅、コバルトの複合酸化物(以下、複合酸化物Aと称する)を用いた。本実施例で用いた複合酸化物Aは、特に硫化水素の除去に優れ、硫化水素を最終的に硫酸塩の形や硫黄単体として化学吸着するものである。複合酸化物Aに吸着された硫化水素は以下のように段階的に化学反応が起こり、化学吸着されると考えられる。
▲1▼硫化水素は、酸化され二酸化硫黄となる。
▲2▼一部の二酸化硫黄は硫化水素の還元に用いられ、硫黄単体を生成する。
▲3▼残りの二酸化硫黄は水と反応し亜硫酸となり、さらに酸化され硫酸へ、そして最終的に硫酸マンガンとなる。
【0019】
これらの反応は、酸素および水蒸気が多い方が反応が促進されるため、酸素分圧や水蒸気分圧が高い酸素富化膜内で用いることにより、硫化水素の除去率が向上する。また、同じ硫黄系臭気であるメチルメルカプタンを閾値の大きな二硫化ジメチルに転化する触媒作用も有する。
【0020】
複合酸化物Aは0.1〜1μm程度の大きさであったが、これらの大きさに拘るものではないが、大きさを極力小さくした方が、同体積での表面積を大きく取ることができるので好ましい。また、その形状も球状に限定されるものではない。
【0021】
なお、本実施例ではマンガン、銅、コバルトの複合酸化物を用いたが、これに限定するものではなく、マンガン、銅、亜鉛、コバルトのいずれかを含む酸化物、水酸化物、複合酸化物あるいはその混合物とすることにより、同様に硫化水素に対する強力な化学吸着作用を有する吸着剤とすることができる。
【0022】
酸素富化膜7に銀、酸化銀、亜鉛、酸化亜鉛などの殺菌または抗菌効果のある物質を、酸化物等の化合物の形態ではなく、それぞれ単独の形態で担持させておくことにより、酸素富化膜表面で殺菌または菌の繁殖を防ぐことができる。また、水溶性の芳香物質を酸素富化膜7に担持しておくことにより、酸素富化膜中を移動する水に溶け込み、取り出し口12から取り出される高酸素濃度空気に芳香を持たせることができる。これにより、複合酸化物Aにより除去することのできない悪臭を含む場合、マスキング効果により悪臭を感じなくさせることができる。また、芳香物質の種類や濃度によってはリラックス効果を与えることができる。
【0023】
以下、本実施例の動作を説明する。
【0024】
ファン3と真空ポンプ5を作動させると、吸気口11より空気を導入し、酸素富化膜ユニット1を透過し、高酸素濃度空気が高酸素濃度空気通路4、真空ポンプ5を経て、取り出し口12から取り出される。本実施例で取り出される高酸素濃度空気は約2.4L/分であった。一方、酸素量が少なくなった排空気は排気口13より排出される。
【0025】
この脱臭装置を例えば、要介護者のオムツ交換時に用いることで、そのときに発生する臭気を効率よく除去できる。直接高酸素濃度空気を吸引することにより、酸素濃度に応じて集中力を高めたり、リラックスさせたりする効果を得ることができる。また、除去できなかった悪臭を、芳香物質によるマスキング効果で感じなくさせることができる。さらには、排気口13を外部とすることで、室内の酸素濃度を高め、酸素濃度に応じて集中力を高めたり、リラックスさせたりする効果を得ることができる。また、芳香物質にリラックス効果のある物質を用いることにより、リラックスさせる効果を得ることができる。吸気口11が屋外にある場合、屋外の臭気を有する空気を脱臭し、酸素濃度を高めた空気として、屋内へ導入することができる。
【0026】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、長時間運転を行っても結露が発生せず、排便臭の主成分である硫化水素を長時間、効率よく除去できる非常にコンパクトな脱臭装置を実現できる。また、酸素濃度に応じてリラックスさせたり、集中力を高めたりすることができる脱臭装置を実現できる。さらには、芳香物質によりリラックスさせる効果を得ることができる脱臭装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の第一の実施例における脱臭装置の模式図
(b)本発明の第一の実施例における酸素富化膜ユニットの一部分を拡大した模式図
【符号の説明】
1 酸素富化膜ユニット
2 筐体
3 ファン
4 高酸素濃度空気通路
5 真空ポンプ
6 化学吸着作用を有する吸着剤
7 酸素富化膜
8 基材
9 支持体
10 穴
11 吸気口
12 取り出し口
13 排気口
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気を透過させることにより空気の酸素濃度を維持あるいは向上させることのできる酸素富化膜および、室内空気の浄化を行う脱臭装置、芳香を発生させる装置に係り、特に室内空気の酸素濃度を維持あるいは向上させることのできる酸素富化装置付きの脱臭装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来は、酸素富化膜と脱臭剤とを組み合わせた装置とすることにより、室内空気を清浄化し、さらに酸素濃度が高くなった空気を室内に送るものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−101864号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術においては酸素富化膜と脱臭剤とを別に設ける必要があるため、ユニットが大型化するという課題があった。また、高湿下で硫化水素に対する吸着性能が向上する化学吸着作用を有する吸着剤を酸素富化膜の高濃度酸素側に設置すると、酸素分圧、水蒸気分圧ともに上昇するため、瞬間的には硫化水素に対する吸着能力が向上するが、次第に吸着剤に結露が発生し、吸着能力が低下するため、長時間運転に適さないという課題を有していた。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、長時間運転を行っても結露が発生せず、排便臭の主成分である硫化水素を長時間、効率よく除去できるコンパクトな脱臭装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような課題を解決するものであり、高湿下で少なくとも硫化水素に対して化学吸着作用を有する吸着剤を有し、前記吸着剤は少なくともマンガン、コバルト、銅、亜鉛のいずれか1つを含む酸化物、水酸化物、複合酸化物、あるいはその混合物である酸素富化膜を用いた脱臭装置とすることにより、長時間運転を行っても結露が発生せず、排便臭の主成分である硫化水素を長時間、効率よく除去できる非常にコンパクトな脱臭装置を実現できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、高湿下で少なくとも硫化水素に対して化学吸着作用を有する吸着剤を有し、前記吸着剤は少なくともマンガン、コバルト、銅、亜鉛のいずれか1つを含む酸化物、水酸化物、複合酸化物、あるいはその混合物である酸素富化膜としたもので、長時間運転を行っても結露が発生せず、排便臭の主成分である硫化水素を長時間、効率よく除去できる非常にコンパクトな脱臭装置を実現するための主要部品を実現できる。
【0008】
また請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明に加えて、亜鉛または銀をそれぞれ単独で有する酸素富化膜としたもので、空気中に浮遊する細菌を酸素富化膜表面で殺菌または繁殖を防ぐことのできる酸素富化膜を実現できる。
【0009】
また請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明に加えて、水溶性の芳香物質を有する酸素富化膜としたもので、モノテルペンアルコール等の水溶性芳香物質を酸素富化膜中に担持させておくことで、酸素富化膜を透過した水蒸気に溶解した芳香物質を放出し、脱臭することができなかった臭気物質をマスキング効果で臭いを感じさせなくすることができる芳香発生装置の主要部品を実現できる。
【0010】
また請求項4記載の発明は、ファンと、真空ポンプと、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の酸素富化膜とを有し、少なくとも硫化水素を含む臭気物質を、前記酸素富化膜を透過させることにより前記臭気物質を除去する脱臭装置としたもので、長時間運転を行っても結露が発生せず、排便臭の主成分である硫化水素を長時間、効率よく除去できる非常にコンパクトな脱臭装置を実現できる。また酸素富化膜への空気供給を室外の空気から行うことにより、室内の酸素濃度を向上させ、その酸素濃度により集中力向上やリラックス効果などを実現できる機能が付いた脱臭装置を実現できる。
【0011】
また請求項5記載の発明は、ファンと、真空ポンプと、芳香発生手段と、請求項3記載の酸素富化膜とを備え、前記芳香発生手段は前記酸素富化膜に空気を透過させることにより芳香を付加させる脱臭装置としたもので、モノテルペンアルコール等の水溶性芳香物質を酸素富化膜中に担持させておくことで、酸素富化膜を透過した水蒸気に溶解した芳香物質を放出し、脱臭剤で脱臭することができなかった臭気物質をマスキング効果で臭いを感じさせなくすることができる芳香発生装置を実現できる。また、高酸素濃度と芳香成分との両方の効果により、リラックス効果をより高めることができる脱臭装置を実現できる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図を基づいて説明する。
【0013】
(実施例1)
図1(a)は本発明の第一の実施例における脱臭装置の模式図、図1(b)は本発明の第一の実施例における酸素富化膜ユニットの一部分を拡大した模式図である。脱臭装置は、脱臭フィルターとしても機能を有する酸素富化膜ユニット1と筐体2とファン3と高酸素濃度空気通路4と真空ポンプ5から構成される。ファン3は、シロッコファン、ターボファン、プロペラファン、貫流ファン等が一般の送風ファンとして使用され、特に限定するものではない。
【0014】
酸素富化膜ユニット1は、高湿下で硫化水素に対する吸着性能が向上する化学吸着作用を有する吸着剤6を担持させた酸素富化膜7と酸素富化膜7の下地となる基材8とそれらを支持する支持体9からなる。また、支持体9は空気が通過できる穴10を有する。
【0015】
本実施例で用いた酸素富化膜7はシリコン系高分子膜で、膜の両面に圧力差を設けることにより、原料空気を無孔質の酸素富化膜表面に溶解させ、膜内を拡散するときの速度比により、原料空気を高酸素濃度空気と酸素量の少ない排空気とに分離する。本実施例の場合、窒素に対する酸素の分離比は約2.5で、水蒸気の分離比は約22であり、空気を酸素富化膜7を透過させると酸素濃度はおおよそ30%となり、水蒸気はほぼ飽和蒸気圧となる。その他酸素富化膜として、シリコン系、ポリスルホン系、イミド系、フッ素系、ポリオレフィン系などがあるが、水蒸気をよく透過させるものが望ましい。
【0016】
酸素富化膜面に圧力差を生じさせる方法としては、膜の一方側を大気圧として他方側を大気圧以上にする方法と、膜の一方側を大気圧として他方側を大気圧以下にする方法とがあるが、破裂等の破損を考慮すると、後者の膜の他方側を大気圧以下にするほうがよい。このために真空ポンプ5を用い、真空度は100〜600torr程度が好ましいが、特に限定するものではない。
【0017】
基材8は、酸素富化膜を製造時に下地となる基材で、本実施例では多孔性のポリエーテルスルフォンの膜を用いたが、気体をよく透過させ、かつ酸素富化膜製造時に酸素富化膜に大きく影響を与えるものでなければ、特に限定されるものではない。また、支持体9は酸素富化膜とポリエーテルスルフォンの膜を支持する支持体で、空気を通過させる穴10を有しており、また外圧に対して容易に折れないものが望ましい。本実施例では、ポリプロピレン樹脂の板を用いたが、他の樹脂や金属、セラミックスなどを用いてもよく、特に限定されるものではない。
【0018】
次に本実施例で用いた高湿下で硫化水素に対する吸着性能が向上する化学吸着作用を有する吸着剤6について説明する。本実施例では、マンガン、銅、コバルトの複合酸化物(以下、複合酸化物Aと称する)を用いた。本実施例で用いた複合酸化物Aは、特に硫化水素の除去に優れ、硫化水素を最終的に硫酸塩の形や硫黄単体として化学吸着するものである。複合酸化物Aに吸着された硫化水素は以下のように段階的に化学反応が起こり、化学吸着されると考えられる。
▲1▼硫化水素は、酸化され二酸化硫黄となる。
▲2▼一部の二酸化硫黄は硫化水素の還元に用いられ、硫黄単体を生成する。
▲3▼残りの二酸化硫黄は水と反応し亜硫酸となり、さらに酸化され硫酸へ、そして最終的に硫酸マンガンとなる。
【0019】
これらの反応は、酸素および水蒸気が多い方が反応が促進されるため、酸素分圧や水蒸気分圧が高い酸素富化膜内で用いることにより、硫化水素の除去率が向上する。また、同じ硫黄系臭気であるメチルメルカプタンを閾値の大きな二硫化ジメチルに転化する触媒作用も有する。
【0020】
複合酸化物Aは0.1〜1μm程度の大きさであったが、これらの大きさに拘るものではないが、大きさを極力小さくした方が、同体積での表面積を大きく取ることができるので好ましい。また、その形状も球状に限定されるものではない。
【0021】
なお、本実施例ではマンガン、銅、コバルトの複合酸化物を用いたが、これに限定するものではなく、マンガン、銅、亜鉛、コバルトのいずれかを含む酸化物、水酸化物、複合酸化物あるいはその混合物とすることにより、同様に硫化水素に対する強力な化学吸着作用を有する吸着剤とすることができる。
【0022】
酸素富化膜7に銀、酸化銀、亜鉛、酸化亜鉛などの殺菌または抗菌効果のある物質を、酸化物等の化合物の形態ではなく、それぞれ単独の形態で担持させておくことにより、酸素富化膜表面で殺菌または菌の繁殖を防ぐことができる。また、水溶性の芳香物質を酸素富化膜7に担持しておくことにより、酸素富化膜中を移動する水に溶け込み、取り出し口12から取り出される高酸素濃度空気に芳香を持たせることができる。これにより、複合酸化物Aにより除去することのできない悪臭を含む場合、マスキング効果により悪臭を感じなくさせることができる。また、芳香物質の種類や濃度によってはリラックス効果を与えることができる。
【0023】
以下、本実施例の動作を説明する。
【0024】
ファン3と真空ポンプ5を作動させると、吸気口11より空気を導入し、酸素富化膜ユニット1を透過し、高酸素濃度空気が高酸素濃度空気通路4、真空ポンプ5を経て、取り出し口12から取り出される。本実施例で取り出される高酸素濃度空気は約2.4L/分であった。一方、酸素量が少なくなった排空気は排気口13より排出される。
【0025】
この脱臭装置を例えば、要介護者のオムツ交換時に用いることで、そのときに発生する臭気を効率よく除去できる。直接高酸素濃度空気を吸引することにより、酸素濃度に応じて集中力を高めたり、リラックスさせたりする効果を得ることができる。また、除去できなかった悪臭を、芳香物質によるマスキング効果で感じなくさせることができる。さらには、排気口13を外部とすることで、室内の酸素濃度を高め、酸素濃度に応じて集中力を高めたり、リラックスさせたりする効果を得ることができる。また、芳香物質にリラックス効果のある物質を用いることにより、リラックスさせる効果を得ることができる。吸気口11が屋外にある場合、屋外の臭気を有する空気を脱臭し、酸素濃度を高めた空気として、屋内へ導入することができる。
【0026】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、長時間運転を行っても結露が発生せず、排便臭の主成分である硫化水素を長時間、効率よく除去できる非常にコンパクトな脱臭装置を実現できる。また、酸素濃度に応じてリラックスさせたり、集中力を高めたりすることができる脱臭装置を実現できる。さらには、芳香物質によりリラックスさせる効果を得ることができる脱臭装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の第一の実施例における脱臭装置の模式図
(b)本発明の第一の実施例における酸素富化膜ユニットの一部分を拡大した模式図
【符号の説明】
1 酸素富化膜ユニット
2 筐体
3 ファン
4 高酸素濃度空気通路
5 真空ポンプ
6 化学吸着作用を有する吸着剤
7 酸素富化膜
8 基材
9 支持体
10 穴
11 吸気口
12 取り出し口
13 排気口
Claims (5)
- 高湿下で少なくとも硫化水素に対して化学吸着作用を有する吸着剤を有し、前記吸着剤は少なくともマンガン、コバルト、銅、亜鉛のいずれか1つを含む酸化物、水酸化物、複合酸化物、あるいはその混合物である酸素富化膜。
- 亜鉛または銀をそれぞれ単独に有する請求項1記載の酸素富化膜。
- 水溶性の芳香物質を有する請求項1または2記載の酸素富化膜。
- ファンと、真空ポンプと、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の酸素富化膜とを有し、少なくとも硫化水素を含む臭気物質を、前記酸素富化膜を透過させることにより前記臭気物質を除去する脱臭装置。
- ファンと、真空ポンプと、芳香発生手段と、請求項3記載の酸素富化膜とを備え、前記芳香発生手段は前記酸素富化膜に空気を透過させることにより芳香を付加させる脱臭装置。
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Cited By (2)
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JP2007107804A (ja) * | 2005-10-13 | 2007-04-26 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 空気調和機 |
JP2011500306A (ja) * | 2007-10-10 | 2011-01-06 | ポリマーズ シーアールシー リミテッド | 抗菌性膜 |
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2003
- 2003-04-03 JP JP2003099983A patent/JP2004305826A/ja not_active Withdrawn
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