JP2004305307A - 注射器用パッキンの製法 - Google Patents

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晋二 合田
Yutaka Takefuchi
豊 竹渕
Toshihiro Nakada
利裕 中田
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Abstract

【課題】注射器用パッキンの外面にETFEフィルムを強力に接合できるようになる注射器用パッキンの製法を提供する。
【解決手段】ETFEフィルム1の片面に、大気圧プラズマ処理、シランカップリング剤の塗布、加硫剤含有未加硫エラストマー組成物の接触を順に行うことにより、ETFEフィルム1とエラストマー製シート2とからなる複合シート材3を得、そのETFEフィルム1側をキャビティ型4に対面させた状態で、コア型5を閉じプレス成形することにより、複合シート材3に注射器用パッキンとなる絞り部を形成する。キャビティ41には、中間部および底部に拡径部42が形成され、かつ深さHと入口径Dとの比が0.4〜5.0の範囲に設定されている。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、注射器用パッキンの製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、注射器は、シリンダと、このシリンダ内に進退自在に挿入されるプランジャと、このプランジャの先端部に冠着されてシリンダ内周面を摺動するパッキンとで構成されている。そして、上記パッキンは、従来、ゴム製のものが用いられていた。
【0003】
しかしながら、ゴム製のパッキンでは、ゴムに含有されている加硫剤等の成分が注射器内の薬液に溶出するという問題点があった。そのような薬液が人体に注射されると、人体に悪影響を及ぼすことになる。そこで、ゴム製のパッキンの外面を、薬液に安定なテトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(以下、「ETFE」と略す)からなるフィルムで積層したものが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
このものの作製は、まず、ETFEフィルムの片面を真空耐圧容器内で放電処理した後、その処理面に未加硫配合ゴムシートを積層し、その積層体を、キャビティを有する上金型と突起を有する下金型とでプレス成形することにより略有天筒状のパッキンを得るということにより行われている。
【0005】
【特許文献1】
特公平5−60952号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ETFEフィルムとゴムシートとは、接合し難く、上記のようにETFEフィルムの片面を真空耐圧容器内で放電処理したとしても、その接合力は、弱いものとなっている。このため、上記積層体を上記上金型と下金型とで略有天筒状に絞り加工すると、積層体に剪断力が働き、ETFEフィルムとゴムシートとの間で剥離が生じる。この絞り加工の際の剥離が生じなかったとしても、得られたパッキンをプランジャの先端部に冠着する作業の際に剥離したり、シリンダ内でパッキン付きプランジャを進退させている際に剥離したりする。このような状況であるため、パッキンの外面には、ETFEフィルムを積層することができないのが実状である。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、注射器用パッキンの外面にETFEフィルムを強力に接合できるようになる注射器用パッキンの製法の提供をその目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の注射器用パッキンの製法は、中間部および底部が外方向に膨らんでいる略カップ形であって深さと入口径との比(深さ/入口径)が0.4〜5.0の範囲に設定されているキャビティを有する一方の型と、型を閉じた状態で、先端が拡径している成形用棒状突起を上記キャビティ内に遊嵌させる他方の型とからなる成形型を準備するとともに、ETFEフィルムの片面を大気圧プラズマ処理により改質し、その改質面にシランカップリング剤を塗布した後、そのシランカップリング剤塗布面に、加硫剤が含有された未加硫エラストマー組成物を接触させることにより、上記ETFEフィルムとエラストマー製シートとからなる複合シート材を準備し、この複合シート材のETFEフィルム側を一方の型のキャビティに対面させた状態で上記両型を閉じプレス成形することにより上記複合シート材に注射器用パッキンとなる絞り部を形成し、ついで、この絞り部を上記複合シート材から外して注射器用パッキンを得るという構成をとる。
【0009】
本発明者らは、注射器用パッキンの外面にETFEフィルムを強力に接合するようにすべく、注射器用パッキンの製法について鋭意研究を重ねた。その結果、、注射器用パッキンの形成材料となる複合シート材として、ETFEフィルムの片面を大気圧プラズマ処理により改質し、その改質面にシランカップリング剤を塗布した後、そのシランカップリング剤塗布面に、加硫剤が含有された未加硫エラストマー組成物を接触させた、上記ETFEフィルムとエラストマー製シートとからなる複合シート材を用いると、所期の目的を達成できることを突き止め、本発明に到達した。すなわち、上記複合シート材を用い、成形型のキャビティとして、中間部および底部が外方向に膨らんでいる略カップ形であって深さと入口径との比(深さ/入口径)が0.4〜5.0の範囲に設定されているものを用い、複合シート材を型に挟んだ状態で上記キャビティ内に、先端が拡径している成形用棒状突起を遊嵌させ、プレス成形して注射器用パッキンとなる絞り部を形成し、ついで絞り部を外し注射器用パッキンとする。この成形過程および注射器用パッキンの使用中において、ETFEフィルムは剥離しない。
【0010】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。
【0011】
図1〜図4は、本発明の注射器用パッキンの製法の一実施の形態を示している。この製法は、その外面にETFEフィルム1が接合されている注射器用パッキンP(図5参照)を作製する方法である。まず、図1に示すような、ETFEフィルム1とエラストマー製シート2とからなる複合シート材3を作製し、それを、その複合シート材3に上記注射器用パッキンPとなる絞り部を形成するための、キャビティ型4とコア型5とからなる成形型に図示のように配置する。すなわち、図1に示すように、上記キャビティ型4とコア型5との間に、上記複合シート材3を、ETFEフィルム1側をキャビティ型4に対面させて配置する。ついで、図2に示すように、所定の圧力,温度,時間等の条件下で、上記複合シート材3をキャビティ型4とコア型5とでプレス成形する。つぎに、図3に示すように、成形された複合シート材3をコア型5に装着した状態でキャビティ型4から脱型する。そして、図4に示すように、成形された複合シート材3を上記コア型5から脱型する。その結果、成形された複合シート材3には、絞り部が形成されており、その絞り部を複合シート材3から切り取ると、図5に示すように、その切り取った部分が注射器用パッキンPとして得られる。
【0012】
このようにして得られた注射器用パッキンPは、その形成材料である上記複合シート材3における、ETFEフィルム1とエラストマー製シート2との高強度な接合のため、ETFEフィルム1が剥離しないものとなっている。その耐剥離性は、注射器用パッキンPの高さと底面の直径との比〔高さ/底面の直径:この比は、上記キャビティ型4のキャビティ41の深さHと入口径Dとの比(H/D)による〕の上限を5.0に設定することで確保することができる。
【0013】
つぎに、成形型および複合シート材3について詳しく説明する。
【0014】
成形型の上記キャビティ型4には、注射器用パッキンPの外側形状に対応するキャビティ41が多数形成されている。そして、各キャビティ41は、その深さHと入口径Dとの比(H/D)が0.4〜5.0の範囲に設定されている。上記比の下限を0.4に設定したのは、注射器用パッキンPとして必要な値であるからであり、上記比の上限を5.0に設定したのは、それよりも大きければ、成形の際にETFEフィルム1が延び過ぎて、エラストマー製シート2との接合密度が低くなり、ETFEフィルム1がエラストマー製シート2から剥離するおそれがあるからである。また、各キャビティ41の中間部および底部には、外方向に膨らんだ拡径部42が形成されており、略カップ形になっている。これは、作製された注射器用パッキンPのうち、その拡径部42で成形された部分で注射器のシリンダの内周面と接触させ摩擦力を小さくするとともに、後述するように、キャビティ41からの脱型性も確保するようにするためである。さらに、上記キャビティ型4の表面には、キャビティ41も含めて、離型性向上のための処理が施されており、その処理としては、例えば、クロムめっき等のめっき処理等があげられる。
【0015】
上記コア型5には、注射器用パッキンPの内側形状に対応する成形用棒状突起51が多数形成されている。各突起51は、上記キャビティ型4のキャビティ41内に遊嵌されるものであり、先端が略円錐状の拡径部52に形成されている。これにより、パッキンPの内側の先端が拡径部に形成されるようになっている。これは、注射器のプランジャにおけるパッキンPの冠着部分も、上記突起51と同様に、先端を拡径部に形成することにより、パッキンPの内側とプランジャにおけるパッキンPの冠着部分とが嵌合して、パッキンPをプランジャから外れ難くするためである。このコア型5の表面にも、上記キャビティ型4と同様に、離型性向上のため、めっき処理等が施されている。
【0016】
さらに、上記キャビティ型4のキャビティ41には、周側部に拡径部42が形成されているため、脱型の際には、成形された複合シート材3には、大きな剪断力が働くが、それに対しても、ETFEフィルム1は、剥離しない状態となっている。また、上記キャビティ41内に、外径がキャビティ41の入口径Dと等しい仮想円筒を想起し、その仮想円筒の外周面とキャビティ41の拡径部42の外周面との間でつくられる空間の体積(A:図1に示すキャビティ41内の斜線部分)と、コア型5の成形用棒状突起51の体積(B)とが下記の値(1)を満たす範囲では、脱型の際に、キャビティ41の拡径部42に対応する、絞り部(注射器用パッキンPとなる)の拡径部が、コア型5の脱型にもとづき弾性変形し(伸び)て縮径する。このため、絞り部の脱型が、キャビティ41に離型剤を塗布することなく容易に行えるようになる。したがって、ETFEフィルム1は、全く剥離しない。ここで、成形用棒状突起51の体積(B)が大きくなり下記の値(1)を満たさないようになる(A>1.3B)と、その分だけ絞り部におけるエラストマー部の体積が小さくなり、弾性変形し難くなることから脱型し難くなる。なお、下記の値(1)を満たす範囲であれば、各キャビティ41における拡径部42は、3箇所以上でもよい。
【0017】
【数2】
Figure 2004305307
【0018】
また、上記実施の形態では、成形された複合シート材3の脱型は、コア型5に装着した状態でキャビティ型4から脱型した後、コア型5から脱型したが、順序を逆にして、コア型5を離型性に富んだ材料で形成したり、コア型5に離型剤を充分に塗布したりする等してコア型5のみを脱型した後、成形された複合シート材3をキャビティ型4から脱型するようにしてもよい。この場合、図6に示すように、成形用棒状突起51の脱型跡の空間の体積(B)が上記値(1)の範囲であれば、複合シート材3の脱型の際の引き上げ力により、その空間が狭くなり、絞り部全体が細くなった状態となり脱型がより容易となる。
【0019】
つぎに、上記複合シート材3は、例えば、つぎのようにして作製される。まず、ETFEフィルム1の片面を大気圧プラズマ処理により改質する。ついで、その改質面にシランカップリング剤を塗布する。そして、そのシランカップリング剤塗布面に、加硫剤が含有された未加硫エラストマー組成物を接触させることにより、上記複合シート材3を得ることができる。なお、この複合シート材3は、上記接触状態で加熱もしくは加熱加圧することにより、上記ETFEフィルム1とエラストマー製シート2とを接合一体化したものとしてもよい。
【0020】
より詳しく説明すると、上記ETFEは、エチレンとテトラフルオロエチレンとの共重合体であるが、他の共重合単量体を共重合させてもよい。他の共重合単量体としては、フルオロオレフィン,オレフィン,ビニル系モノマー等が挙げられる。上記フルオロオレフィンとしては、例えば、クロロトリフルオロエチレン,ヘキサフルオロプロピレン,フッ化ビニリデン,フッ化ビニル等の炭素数2〜3のフルオロオレフィン、および(パーフルオロアルキル)エチレン等のフルオロビニルモノマーがあげられる。上記オレフィンとしては、例えば、プロピレン,イソブチレン等があげられる。また、上記ビニル系モノマーとしては、例えば、ビニルエーテル,アリルエーテル,カルボン酸ビニルエステル,カルボン酸アリルエステル,オレフィン等があげられる。上記共重合単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上併せて用いてもよいが、その場合は、ETFE中のテトラフルオロエチレンに基づく重合単位の割合は、20〜70重量%の範囲が好ましい。
【0021】
上記ETFEフィルム1の形成材料としては、上記ETFEのみでもよいし、ETFEと他のフッ素樹脂との混合物でもよいし、ETFEとフッ素樹脂以外の樹脂との混合物でもよい。他のフッ素樹脂としては、例えば、ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系共重合体,パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)−テトラフルオロエチレン系共重合体,テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン系共重合体,クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体等があげられる。これら他のフッ素樹脂またはフッ素樹脂以外の樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上併せて用いてもよいが、その場合は、ETFEの配合割合は、通常50重量%以上が好ましい。さらに、上記ETFEの形成材料には、必要に応じて、顔料,紫外線吸収剤,カーボンブラック,カーボンファイバ,炭化ケイ素,ガラスファイバ,マイカ,架橋剤等を適宜配合して混合してもよい。
【0022】
上記大気圧プラズマ処理は、大気圧下で行われるプラズマ処理であり、通常、8.88×10−2〜10.85×10−2MPaの圧力下で行われる。また、大気圧プラズマ処理に用いるガスとしては、He,Ar,Ne,Kr,Xe等の不活性ガス、CO,CO等の炭素酸化物ガス、O等の酸化性ガス、CF等の反応ガス、エチレン,プロピレン等の重合性不飽和化合物ガス、空気等があげられる。これらは、目的に応じて、適宜に選択され、単独もしくは組み合わせて用いられる。なかでも、上記ETFEフィルム1の表面をより活性化できる点で、上記不活性ガスと、炭素酸化物ガスと、重合性不飽和化合物ガスとを組み合わせた混合ガスを用いることが好適であり、なかでも特に、ArとCOとエチレンの混合ガスを用いることが好適である。
【0023】
そして、上記混合ガスを用いる場合、不活性ガス100モルに対し、重合性不飽和化合物ガスを1〜15モル、炭素酸化物ガスを1〜20モル配合することが好ましく、最も好ましいのは、不活性ガス100モルに対し、重合性不飽和化合物ガスを3〜10モル、炭素酸化物ガスを1〜12モル配合することである。上記重合性不飽和化合物ガスと炭素酸化物ガスの配合割合が多くなると、初期放電電圧が高くなり、放電処理し難くなるからである。
【0024】
また、放電処理の方法としては、上記所定のガス雰囲気中にフッ素系樹脂シートの処理すべき面を曝し、電極間に、例えば3〜40kHzといった高周波電圧を印加することにより行われる。なお、放電処理時の温度は、特に制限はないが、通常10〜80℃の範囲が好ましく、特に25〜60℃の範囲が好適である。
【0025】
上記シランカップリング剤としては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトシキシラン、γ−メタクリロキシプロピルメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシププロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等があげられる。ただし、これらのシランカップリング剤のうち、アミノ官能性シラン化合物は、有効な接着促進剤であるが、多量に使用すると、100℃程度の高温に連続的に曝されると顕著な変色を引き起こしたり、硬化劣化が進んで接着力が低下したりするので、なるべく単独で用いないのが好ましい。また、イソシアネート系シランカップリングを用いると、接合しようとする材料,接合形態にかかわらず、ほぼ一定以上の高強度の接合面が得られるので、適用範囲が広く、好適である。
【0026】
そして、これらのシランカップリング剤は、そのまま用いてもよいし、そのままでは用い難い場合は塗布作業性の点から、水,溶剤等によって希釈して用いてもよい。その場合、希釈倍率は、シランカップリング剤の種類や接合させるエラストマー成分の種類にもよるが、通常、1.1〜20倍に設定することが、作業性の上で好適である。
【0027】
上記シランカップリング剤(希釈液を含む)のフッ素系樹脂シート改質面への塗布量は、特に限定されるものではないが、通常、1m当り10〜40gに設定することが好適である。すなわち、塗布量が1m当り10gより少ないと、接着力が安定し難く、逆に40gを超えると、成形の際に、圧力によって塗布面と平行な方向に滲み出して成形金型を汚損し、成形物の取り出しに支障をきたすおそれがあるからである。
【0028】
シランカップリング剤の塗布後は、その塗布面に未加硫エラストマー組成物を接触させるが、この接触は、シランカップリング剤を塗布した直後(シランカップリング剤が乾燥しないうち)に行うことが好ましい。より高強度の接合界面が得られるからである。
【0029】
すなわち、ETFEフィルム1とエラストマー製シート2とが高強度で接合するには、未加硫エラストマー組成物の、ETFEフィルム1に対する濡れ性が大きく影響すると考えられるが、上記シランカップリング剤を、未乾燥の、濡れた状態のまま加硫エラストマー組成物と接触させ、プレス成形,加熱または加熱加圧すると、未加硫エラストマー組成物の接触圧を受けて、ETFEフィルム1の改質面に対するシランカップリング剤の濡れと未加硫エラストマー組成物に対するシランカップリング剤の濡れとが同時に実現し、このとき、シランカップリング剤と未加硫エラストマー組成物とが、互いの接触圧と未加硫エラストマー組成物の流動によって相互に混合・拡散し合う。これにより、大気圧プラズマによる改質面/シランカップリング剤/未加硫エラストマー組成物の界面は、加硫剤の働きにより三者が混在した状態で架橋され、従来にない、高強度の接合界面が得られると考えられる。
【0030】
上記エラストマー組成物としては、未硬化のエラストマー成分と、加硫剤と、必要に応じて適宜配合される充填剤等とからなる組成物があげられる。上記エラストマー成分としては、例えば、シリコーンゴム(Q),ニトリルゴム(NBR),ウレタンゴム(U),クロロプレンゴム(CR),フッ素ゴム(FKM),エチレン−プロピレン共重合ゴム(EPDM,EPM),フロロシリコーンゴム(FMVQ)等があげられる。なかでも、耐薬液性の点で、シリコーンゴム(Q)が好ましい。そして、上記加硫剤としては、有機過酸化物、金属酸化物、ポリオール等があげられる。上記有機過酸化物としては、各種のものが用いられるが、なかでも、ジアルキル系過酸化物が好適である。
【0031】
このようにして、上記複合シート材3を作製し、キャビティ型4とコア型5とからなる成形型を準備した後は、キャビティ型4とコア型5とを用いて、上記複合シート材3に、注射器用パッキンPとなる絞り部が形成される。
【0032】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0033】
【実施例1】
〔複合シート材の作製〕
まず、厚み50μmのETFEフィルム(旭硝子社製、LM−720)の片面を、アルゴンガス:窒素ガス:二酸化炭素=100:8:6の混合ガスを用いて、大気圧プラズマ処理(30℃×15秒間)して表面改質した。ついで、その表面改質された面に、シランカップリング剤(信越化学社製、KBM−503)を10g/m塗布した。つぎに、ゴム組成物として、シリコーンゴム(信越化学社製、KE541)100重量部に対して、過酸化物(加硫剤:信越化学社製、C−8A)を0.7重量部、シリコーンオイル(信越化学社製、KF−99)を7重量部、カーボンブラック(旭カーボン社製、旭♯35)を0.3重量部配合したものを準備し、上記シランカップリング剤の塗布面に接触させた。これにより、上記ETFEフィルム(厚み:50μm)とエラストマー(シリコーンゴム)製シート(厚み:2mm)とからなる複合シート材を作製した。
【0034】
【比較例1】
上記実施例1において、大気圧プラズマ処理をすることなく、複合シート材を作製した。それ以外は、上記実施例1と同様にした。
【0035】
【比較例2】
上記実施例1において、シランカップリング剤を塗布することなく、複合シート材を作製した。それ以外は、上記実施例1と同様にした。
【0036】
上記のように、実施例1および比較例1〜2で、それぞれ異なる条件で複合シート材を作製し、図1〜図4に示す方法で、各複合シート材を、下記のキャビティ型とコア型とを用いてプレス成形し、注射器用パッキンを得た。上記成形条件は、キャビティ型とコア型とのプレス圧力を19MPa、加熱温度を180℃、加熱時間を10分間とした。
【0037】
〔キャビティ型〕
図1に示すものとした。キャビティの入口径を4mm、その深さを20mmとした〔深さと入口径との比(深さ/入口径)を5.0に設定した〕。すなわち、ETFEフィルムの耐剥離性が最も厳しい条件とした。また、各キャビティに拡径部を2箇所形成し、各拡径部の直径を5mm、その幅を1mmに設定した。そして、拡径部空間の体積(A)を、コア型の成形用棒状突起の体積(B)の1.3倍とした〔A=1.3B:前記値(1)参照〕。
【0038】
〔コア型〕
図1に示すものとした。突起の長さを18mmに設定した。また、突起の先端の拡径部の直径を3mm、その長さを2mmに設定し、その根元側の小径部の直径を2mm、その長さを14mmに設定した。
【0039】
上記実施例1の複合シート材で成形した後、脱型すると、簡単に脱型することができた。また、得られたパッキンは、指や手で触っても、プランジャの先端に冠着してシリンダ内で摺動させても、ETFEフィルムの剥離はなかった。しかし、比較例1,2の複合シート材は、キャビティ型とコア型との間に配設する際に、指や手で触わるとETFEフィルムが剥離した。そのような状態の複合シート材でパッキンを成形すると、脱型の際に、ETFEフィルムが剥離した。
【0040】
【実施例2】
図6に示す方法で脱型した。すなわち、成形に先立ってコア型に離型剤を充分に塗布した。そして、成形後、まず、コア型のみを脱型し、その後、成形された複合シート材をキャビティ型から脱型した。それ以外は、上記実施例1と同様とした。
【0041】
この実施例2のようにしても、複合シート材は、キャビティ型から簡単に脱型することができた。
【0042】
【比較例3】
上記実施例1において、キャビティ型として、拡径部空間の体積(A)を、コア型の成形用棒状突起の体積(B)の1.4倍にした(A=1.4B>1.3B)ものを用いた。それ以外は、上記実施例1と同様にした。
【0043】
この比較例3のキャビティ型を用いると、脱型が困難であった。
【0044】
【発明の効果】
以上のように、本発明の注射器用パッキンの製法によれば、注射器用パッキンの形成材料となる複合シート材として、ETFEフィルムの片面を大気圧プラズマ処理により改質し、その改質面にシランカップリング剤を塗布した後、そのシランカップリング剤塗布面に、加硫剤が含有された未加硫エラストマー組成物を接触させた、上記ETFEフィルムとエラストマー製シートとからなる複合シート材を用い、これを特殊な成形型で成形して注射器用パッキンを作製している。したがって、得られた注射器用パッキンにおいて、ETFEフィルムは、強固に接合しており、剥離しない。このため、これまで実現することのできなかった操作性(滑り性)のよい注射器用パッキンの提供が可能となる。
【0045】
特に、上記一方の型の、中間部および底部が外方向に膨らんでいるキャビティ内に、外径がキャビティの入口径と等しい仮想円筒を想起し、その仮想円筒の外周面とキャビティの膨らみ部の外周面との間でつくられる空間の体積(A)が、他方の型の成形用棒状突起の体積(B)の1.3倍を上限としている場合には、脱型性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の注射器用パッキンの製法の一実施の形態を示す説明図である。
【図2】上記注射器用パッキンの製法を示す説明図である。
【図3】上記注射器用パッキンの製法を示す説明図である。
【図4】上記注射器用パッキンの製法を示す説明図である。
【図5】上記注射器用パッキンの製法により得られた注射器用パッキンを示す断面図である。
【図6】上記注射器用パッキンの製法の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ETFEフィルム
2 エラストマー製シート
3 複合シート材
4 キャビティ型
5 コア型
41 キャビティ
42 拡径部
D 入口径
H 深さ

Claims (2)

  1. 中間部および底部が外方向に膨らんでいる略カップ形であって深さと入口径との比(深さ/入口径)が0.4〜5.0の範囲に設定されているキャビティを有する一方の型と、型を閉じた状態で、先端が拡径している成形用棒状突起を上記キャビティ内に遊嵌させる他方の型とからなる成形型を準備するとともに、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体フィルムの片面を大気圧プラズマ処理により改質し、その改質面にシランカップリング剤を塗布した後、そのシランカップリング剤塗布面に、加硫剤が含有された未加硫エラストマー組成物を接触させることにより、上記テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体フィルムとエラストマー製シートとからなる複合シート材を準備し、この複合シート材のテトラフルオロエチレン−エチレン共重合体フィルム側を一方の型のキャビティに対面させた状態で上記両型を閉じプレス成形することにより上記複合シート材に注射器用パッキンとなる絞り部を形成し、ついで、この絞り部を上記複合シート材から外して注射器用パッキンを得ることを特徴とする注射器用パッキンの製法。
  2. 上記一方の型の、中間部および底部が外方向に膨らんでいるキャビティ内に、外径がキャビティの入口径と等しい仮想円筒を想起し、その仮想円筒の外周面とキャビティの膨らみ部の外周面との間でつくられる空間の体積(A)と、他方の型の成形用棒状突起の体積(B)とが下記の値(1)を満たすように設定されている請求項1記載の注射器用パッキンの製法。
    Figure 2004305307
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