JP2004304934A - ハイブリッド自動車の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、ハイブリッド自動車の制御装置に関し、エンジンの応答遅れを考慮してエンジンとモータとの協調制御を実行し、ドライバビリティの向上を図るようにする。
【解決手段】車両の運転状態に応じてエンジン2に要求される出力トルクTを設定するエンジン要求トルク設定手段132と、走行トルクTとエンジン要求トルクTeとに基づいてモータ4に要求される出力トルクを設定するモータ要求トルク設定手段133と、モータ要求トルク133を所定時間遅延させて出力する遅延手段134とを備えるように構成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンとモータとの駆動力を用いて走行可能な、ハイブリッド自動車の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図10はいわゆるISA(Integrated Starter Alternator)システムを採用したハイブリッド自動車の要部を模式的に示す図であって、エンジン2とトランスミッション6との間に電動機(モータ/ジェネレータ、以下、単にモータという)4が直列に配設されている。また、エンジン2にはスタータ10が付設されている。
【0003】
また、モータ4の出力軸とエンジン2の出力軸とは機械的に接続されており、モータ4が電力供給を受けて力行することにより、モータ4の駆動力を駆動輪側へ伝達したり、エンジン2に駆動力をアシストしたりするようになっている。また、モータ4を発電機として機能させることで、エンジン2の駆動力を吸収したりエンジンブレーキ相当の回生ブレーキを作用させたりすることができ、このときに電力が回生されるようになっている。
【0004】
ところで、このようなハイブリット自動車では、エンジン2とモータ4とを協調させて作動させる必要がある。そこで、従来は以下のようにしてエンジン2とモータ4との出力トルクを設定していた。
すなわち、図11に示すように、まずアクセル開度APSとエンジン回転数Neとからドライバが要求する走行トルクを求める。次に、バッテリのSOC(残存溶量)と上記走行トルクとから図示しないマップに基づいてエンジンの出力トルク(エンジン要求トルク)を設定し、最後に走行トルクから上記エンジン要求トルクを減算したものをモータの出力トルク(モータ要求トルク)として設定する。
【0005】
しかし、エンジンは要求トルク指示から実際のトルク発生までの遅れが大きくモータよりも応答性が低い。なお、この応答遅れは、いわゆる所定時間遅れ(要求トルク演算遅れ,通信時間分の遅れ,スロットルバルブの作動遅れ等)と、エンジン回転に起因する遅れ(空気量変化の検出遅れ,燃料噴射までの遅れ,点火までの遅れ)とに起因するものである。
【0006】
このため、エンジン2とモータ4との間で各要求トルクに応じたトルクが実際に出力されるタイミングに時間差が生じてしまい、モータ4からモータ要求トルクに応じたトルクが出力された後、エンジン2からエンジン要求トルクに応じたトルクが出力されることとなる。そして、このようにトルクの出力タイミングが不整合状態となると、トルク変動が生じるとともにドライバビリティの低下を招くことになる。
【0007】
これに対して、例えば特許文献1には、ハイブリッド自動車において、発電指令(目標発電トルク)に一次遅れ処理を施すことで、エンジンとモータとの応答性の違いに起因するトルク変動を抑制するようにした技術が開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−268710号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術では、単に一次遅れ処理を行なうのみであり、エンジンとモータとを協調させて作動させることはできない。つまり、一次遅れ処理とは、いわゆるなまし処理であって、信号の立ち上がりが緩やかに変更されるのみであり、トルクの出力タイミング自体は何ら変更されない。
【0010】
したがって、エンジンとモータとのトルク協調を正確に行なうことができず、ドライバビリティを向上させることはできない。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、エンジンの応答遅れを考慮してエンジンとモータとの協調制御を実行し、ドライバビリティの向上を図るようにした、ハイブリッド自動車の制御装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の本発明のハイブリッド自動車の制御装置は、車両走行用の動力源としてのエンジン及びモータと、該エンジン及び該モータの作動を制御する制御手段とをそなえたハイブリット車両の制御装置において、該制御手段は、該車両の運転状態に応じて設定される走行トルクに基づいて該エンジンに要求される出力トルクを設定するエンジン要求トルク設定手段と、該走行トルクに基づいて該モータに要求される出力トルクを設定するモータ要求トルク設定手段と、該モータ要求トルク設定手段で設定された該モータ要求トルクを所定時間遅延させて出力する遅延手段とを備えていることを特徴としている。
【0012】
したがって、モータ要求トルクが所定時間だけ遅延して出力されることになるので、エンジンの応答遅れを考慮してエンジンとモータとの協調制御を実行することができ、ドライバビリティが向上する。
また、好ましくは、制御手段はモータ要求トルクに一次遅れ処理を施す一次遅れ処理手段をそなえ、遅延手段による遅延処理と一次遅れ処理手段による一次遅れ処理とが施されて出力されるモータ要求トルクに基づいてモータの作動が制御されるように構成する。
【0013】
また、一次遅れ処理手段は、遅延手段によって遅延処理されたモータ要求トルクを一次遅れ処理するように構成する。
また、好ましくは、エンジンは、所定の走行条件を満たすと燃料カットが実行されるように構成されるとともに、制御手段は、エンジンの燃料カット状態を判定する燃料カット状態判定手段を備え、燃料カット状態判定手段による判定結果に基づいて上記所定時間を変更するように構成する。
【0014】
また、好ましくは、制御手段は、燃料カット状態判定手段によりエンジンが燃料カット制御中であると判定されると、所定時間を0に設定するように構成する。
また、制御手段は、燃料カット状態判定手段により燃料カット制御の開始時又は解除時であると判定されると、所定時間を減少させるように構成してもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の一実施形態にかかるハイブリッド自動車の制御装置について説明すると、図1はその要部構成を示す模式的なブロック図である。
図1において、12はハイブリッド自動車のエンジン2及び電動機4の作動を制御する制御手段であって、この制御手段12は、エンジン2の要求トルクを算出したりモータ4の要求トルクを算出して、ハイブリッドシステムを統括的に管理,制御するシステム管理手段(システムマネジメントユニット:SMU)13と、エンジン2に付設された電子制御スロットルバルブ(ETV)18の作動を制御する吸入空気量制御手段(スロットルバルブ制御手段又はETVコントローラ)16と、上記ETVコントローラ16に対する制御信号を設定するとともにエンジン2の作動を制御するエンジン制御手段(エンジンコントロールユニット:ECU)14と、モータ(モータ/ジェネレータ又はM/G)4の作動状態を制御する電動機制御手段(モータコントローラユニット:MCU)20とから構成されている。
【0016】
また、本実施形態においては、ハイブリッド自動車は、従来技術の欄で図10を用いて説明したようなISA(Integrated Starter Alternator)システムが適用されている。すなわち、モータ4の出力軸とエンジン2の出力軸とが機械的に接続可能に構成され、MCU20によりモータ4の作動状態を制御することによりエンジン2にトルクを付与したり、エンジン2の発生トルクを吸収(回生)することができるようになっている。
【0017】
また、SMU13には、エンジン2のエンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ21や、ドライバのアクセル踏み込み量(アクセル開度;APS)を検出するアクセル開度センサ40が接続されている。
また、図示するように、SMU13内には、車両の走行トルクを決定する走行トルク設定手段131と、エンジン2の出力トルクを設定するエンジン要求トルク設定手段132と、モータ4の出力トルクを設定するモータ要求トルク設定手段133とが設けられている。
【0018】
このうち、走行トルク設定手段131は、車両の走行状態やドライバの運転操作状態に基づいてエンジン2及びモータ4からなるパワープラント(動力源)全体の要求トルク(以下、走行トルクという)Tを設定する手段である。ここで、図示するように、この走行トルク設定手段131には、エンジン回転数センサ21及びアクセル開度センサ40により検出されたエンジン回転数Ne及びアクセル開度APSが入力されるようになっており、走行トルク設定手段131では、これらの情報(Ne,APS)に基づいてドライバがどのような加速を要求しているのかを判定するとともに、この加速を得るための走行トルクTを算出するようになっている。
【0019】
また、エンジン要求トルク設定手段132は、上記走行トルク設定手段131で設定された走行トルクTのうち、エンジン2が負担する走行トルク(エンジン要求トルク)Teを設定するものである。ここで、エンジン要求トルク設定手段132には、バッテリ電圧とバッテリ電流とに基づきバッテリの残存容量SOCを算出するバッテリ残存容量算出手段42が接続されている。また、エンジン要求トルク設定手段132には、バッテリ残存容量算出手段42で得られるSOCと、走行トルク設定手段131で設定された走行トルクTとをパラメータとするマップが設けられており、これらの走行トルクTとSOCとに基づいてエンジン要求トルクTeが設定されるようになっている。
【0020】
また、このようにしてエンジン要求トルクTeが設定されると、上記走行トルク設定手段131で設定された走行トルクTから上記エンジン要求トルクTeを減算することで、モータ4が負担する走行トルク(モータ要求トルク)Tmが算出されるようになっている。なお、図1では演算子133がモータ要求トルク設定手段として機能する。
【0021】
ところで、上述のようにしてエンジン要求トルクTeが設定されると、このエンジン要求トルクTeがECU14に入力されるようになっており、ECU14では、上記エンジン要求トルクTeを出力するためのETV18の開度が設定(又は算出)されるようになっている。
すなわち、ECU14では、エンジン要求トルクTeとエンジン回転数Neとから、必要とされるエンジン2の正味平均有効圧Peと、そのときのエンジン2のフリクションに相当する負荷トルクPfとを求め、これらPe,Pfを下式(1)に代入することによりエンジン2の目標トルク(目標図示平均有効圧)Piを設定するようになっている。
Pi=Pe+Pf・・・・・(1)
また、ECU14には、上記Piとエンジン回転数NeとからETV開度を設定するマップが設けられており、式(1)により目標トルクPiが設定されると、このマップからETV開度が算出されるようになっている。
【0022】
そして、ETV開度が算出されると、ETVコントローラ16では、上記ECU14で設定されたETV開度となるように図示しないETVアクチュエータをフィードバック制御するようになっている。
そして、このようにしてETV18により吸入空気量が制御されることにより、エンジン要求トルク設定手段132で設定されたトルクがエンジン2から出力されるようになっている。
【0023】
一方、モータ要求トルク設定手段133によりモータ要求トルクTmが設定されると、以下のようにしてモータ4にトルク指示が出力されるようになっている。すなわち、図示するように、SMU13には、バッファ(遅延手段)134及びローパスフィルタ(一次遅れ処理手段、以下LPFという)135が設けられており、モータ要求トルク設定手段133からモータ要求トルクTmが出力されると、このバッファ134で所定時間tだけ遅延されてからLPF135に入力されるようになっている。そして、LPF135に入力されたモータ要求トルクTmは、LPF135においてさらに一次遅れ処理が施されてから出力されるようになっている。
【0024】
ここで、モータ要求トルクTmをバッファ134により所定時間tだけ遅延させるのは主に以下の理由による。つまり、従来の技術の欄でも述べたように、エンジン2は要求トルク指示から実際のトルク発生までの遅れが大きく、モータ4よりも応答性が低い。このため、走行トルクTに基づき算出されたエンジン要求トルクTeとモータ要求トルクTmとを出力するように、エンジン2とモータ4とに同時にトルク指示を行なってもエンジン2及びモータ4から出力されるトルクが不整合状態となり、トルク変動を生じていた。また、これによりドライバビリティの低下を招いていた。
【0025】
そこで、上述したように、SMU13にバッファ134を設け、上述のエンジン2の応答遅れに相当する時間だけモータ要求トルクTmの出力を遅延させることで、エンジン2の応答遅れ分を相殺しているのである。そして、このような構成により、エンジン2とモータ4とにおいて、走行トルクTに応じて設定される各要求トルクTe,Tmが実際に発生する時間を略同じとすることができ、エンジン2とモータ4との不整合状態を解消してエンジン2とモータ4とを協調して制御することができるのである。
【0026】
なお、上記の所定時間(バッファ134による遅延時間)tは、エンジン2の特性等に応じて適宜設定されるものであるが、本実施形態では例えば200msに設定されている。
ここで、バッファ134によるモータ要求トルクTmの遅延手法について具体的に説明すると、本実施形態においては、メインルーチンは例えば10ms毎に更新されるようになっており、したがって、エンジン要求トルクTe及びモータ要求トルクTmも10ms毎に更新されるようになっている。そして、バッファ134では、10ms毎に最新のモータ要求トルクTmを順次20回分(つまり200ms分)記憶しておき、モータ要求トルクTmが更新される度に、その時点から20回前(200ms前)に算出されたモータ要求トルクTmを出力するようになっている。なお、詳しくは後述するが、燃料カット制御の実行時には、遅延時間tは上述とは別に設定されるようになっている。
【0027】
また、上述したように、バッファ134から出力されたモータ要求トルクTmは、LPF135に入力されるようになっており、このLPF135において、例えば重み付け係数α(0<α<1)を用いて下式(2)により一次遅れ処理が施されるようなっている。
Tm=(1−α)Tm+αTmn−1 ・・・(2)
そして、LPF135から出力されたモータ要求トルクTmはMCU20に入力されるようになっており、このMCU20において、上述により設定されたモータ要求トルクTmとなるようにモータ4への電流値が制御されるようになっている。
【0028】
なお、LPF135における一次遅れ処理は、エンジン2の空気量変化の応答遅れをモータ4においても擬似的に再現させるための処理であり、このような一次遅れ処理を施すことにより、モータ要求トルクTmが、いわゆるなまされた状態でモータ4から出力されて、エンジン2の実際の出力トルク特性と同等の特性とすることができる。また、本実施形態のように、モータ要求トルクTmの遅延処理を実行した後に一次遅れ処理を実行することにより、モータ4の出力トルク特性をさらにエンジン2の出力トルク特性に近づけることができる。
【0029】
ところで、本実施形態においては、車速センサ41,アクセル開度センサ40及びエンジン回転数センサ21からの情報に基づいて所定の走行条件が成立したと判定されると、エンジン2への燃料供給を停止するいわゆる燃料カット制御が実行されるようになっている。このような燃料カット(又はF/Cという)の制御自体については公知の技術であるので燃料カット制御の詳細な説明は省略するが、例えばアクセル開度が0(全閉)で且つ所定車速(V1)以上であると、燃料カット制御条件が成立して、燃料カット制御が開始されるようになっている。また、アクセルの踏み込みが検出されるか、又は、エンジン回転数が所定値以下となったことが検出されると、燃料カット制御が中止されて通常の運転状態に復帰するようになっている。
【0030】
さて、このような燃料カット時には、当然ながらエンジン2からの出力トルクは0となるため、モータ4をエンジン2と協調制御する必要がない。そこで、燃料カット中には、バッファ134の遅延時間(所定時間)tが0に設定される(つまり、遅延制御がキャンセルされる)ようになっている。また、燃料カット制御開始直後(以下、燃料カット突入時という)や燃料カット制御の中止時(以下、燃料カット復帰時という)には、バッファ134による遅延時間tが通常時と異なる値に変更されるようになっている。
【0031】
以下、詳しく説明すると、SMU13には燃料カット状態を判定する燃料カット状態判定手段44が設けられている。この燃料カット状態判定手段44には、エンジン回転数センサ21,アクセル開度センサ40及び車速センサ41が接続されており、これらのセンサからの情報に基づいて、エンジン2に対する燃料カット状態を判定するようになっている。
【0032】
また、SMU13には、燃料カット状態に応じてバッファ134の遅延時間を変更又は最適化する手段136〜138が設けられれている。具体的には、図1に示すように、燃料カット突入時及び燃料カット復帰時を除く燃料カット中の遅延時間を最適化する第1遅延時間最適化手段136と、燃料カット復帰時の遅延時間を最適化する第2遅延時間最適化手段137と、燃料カット突入時の遅延時間を最適化する第3遅延時間最適化手段138とが設けられている。
【0033】
このうち、第1遅延時間最適化手段136は、燃料カット中においてモータ4にのみ要求トルクが設定された場合の遅延時間を設定するものであって、この場合には遅延時間tは0に設定されるようになっている。これは上述したように、燃料カット中はエンジン2の出力トルクは0となるため、モータ4をエンジン2と協調制御する必要がないからである。
【0034】
詳しく説明すると、図示するように、第1遅延時間最適化手段136には、スイッチ(選択手段)46及びテーリング処理部(勾配制限手段)48が設けられており、スイッチ46の一方の端子46aには、遅延処理前のモータ要求トルクと遅延処理後のモータ要求トルクとの差が入力されるようになっている。また、他方の端子46bにはトルク0Nmが入力されている。また、このスイッチ46は、燃料カット状態判定手段44により切り替えられるようになっている。
【0035】
そして、燃料カット状態判定手段44により燃料カット中であると判定されると、スイッチ46が一方の端子46a側に切り替えられて、上記トルク差がテーリング処理部48を介して出力され、再び遅延処理後のモータ要求トルクに加算されるようになっている。なお、「燃料カット中」とは、図8及び図9において区間1で示すように、燃料カット制御において、後述する燃料カット復帰時及び燃料カット突入時以外の状態をいう。
【0036】
そして、このような処理を行なうことにより、結果的に遅延処理後のモータ要求トルクが相殺されて、遅延処理前のモータ要求トルクが出力されるようになっているのである。したがって、この場合は、結果的に遅延時間tが0に設定されるようになっている。
また、このように遅延時間を0に設定することにより、燃料カット復帰時の応答性も高めることができる。つまり、燃料カット状態から通常のエンジン運転への復帰時に、応答遅れなくモータ4を作動させることができるので、図8の線a1〜a3に示すように、エンジン2の作動開始前にモータ4を速やかに作動させることができる。これにより、エンジン始動前に予めインテークマニホールドに負圧が生じてエンジン2の始動性を高めることができ、これにより燃料カット復帰時の応答性を確保できるのである。
【0037】
また、燃料カット状態判定手段44により燃料カット中以外の状態であると判定されると、スイッチ46が他方の端子46b側に切り替えられて、0Nmが遅延処理後のモータ要求トルクに加算されるようになっている。つまり、この場合には、遅延処理後のモータ要求トルクがそのまま出力されることとなり、遅延時間tが所定値(本実施形態では200ms)に設定されるようになっている。
【0038】
ところで、テーリング処理部48は、スイッチ46を介して入力されるモータ要求トルクに対してテーリング処理(勾配制限)を施すものであるが、このテーリング処理部48は、スイッチ46が一方の端子46aから他方の端子46bへ切り替えられた直後のみ、つまり、燃料カット状態が「燃料カット中」から「燃料カット中以外」に変更された直後のみ機能するようになっている。
【0039】
このようなテーリング処理を行なうのは、燃料カット状態が「燃料カット中」から「燃料カット中以外」へ移行したときに、単にスイッチ46を切り替えるだけではモータ要求トルクの遅延時間が急激に変化するため、ステップ上にモータ要求トルクTmが変化してショックが生じるからである。そこで、このようなショックを抑制するために、「燃料カット中」から「燃料カット中以外」に変化したした直後のみテーリング処理部48を作動させて、バッファ134前後のモータ要求トルクの差を徐々に低減していき(テーリング処理)、ショックを抑制するようになっている。
【0040】
次に、第2遅延時間最適化手段137について説明すると、この第2遅延時間最適化手段137は、燃料カット復帰時(図8の区間2参照)の遅延時間を最適化するものであって、第1遅延時間最適化手段136と同様にスイッチ(切替手段)50及びテーリング処理部(勾配制限手段)52をそなえている。
スイッチ50の一方の端子50aには、バッファ134から得られるバッファ中のモータ要求トルク(例えば30ms前に算出されたモータ要求トルク)と、バッファ134から出力された遅延処理後のモータ要求トルクとの差が入力されるようになっており、他方の端子50bにはモータ出力トルクとして0Nmが入力されている。
【0041】
そして、燃料カット状態判定手段44により燃料カット復帰時(図8の区間2)であると判定されると、スイッチ50が一方の端子50a側に切り替えられて、上記トルク差がテーリング処理部52を介して出力されるようになっている。また、このスイッチ50からの出力が、バッファ134からの出力に加算されるようになっている。
【0042】
これにより、結果的に遅延処理後のモータ要求トルクが相殺されて、バッファ中のモータ要求トルクが出力されるようになっているのである。したがって、この場合は、結果的に遅延時間tが例えば30msに設定されるようになっている。
これは、燃料カットの復帰時には、エンジン2の応答遅れ時間が通常運転時間よりも短いことを考慮したものであり、燃料カット復帰にモータ遅延時間を通常よりも短くすることで、燃料カット復帰時におけるエンジン2とモータ4とのトルク制御のマッチングを図ることができる。
【0043】
なお、燃料カット復帰時とは、図8に区間2で示すように、アクセルオン後、エンジン要求トルクTeが設定された時点からモータ要求トルクTm=0となる時点までの間である。
また、燃料カット状態判定手段44により燃料カット復帰時以外と判定されると、スイッチ50が他方の端子50b側に切り替えられて、0Nmが遅延処理後のモータ要求トルクに加算されるようになっている。つまり、この場合には、遅延処理後のモータ要求トルクがそのまま出力されるようになっている。
【0044】
また、テーリング処理部52は、上述したテーリング処理部48と同様に、スイッチ50が一方の端子50aから他方の端子50bへ切り替えられた直後のみ機能するようになっている。つまり、このテーリング処理部52は、スイッチ50が端子50aから端子50bに切り替えられると、スイッチ50の一方の端子50aから入力されたトルク差を徐々に0Nmまで低減する(テーリング処理又は勾配制限)ようになっているのである。
【0045】
そして、このようなテーリング処理を行なうことにより、モータ要求トルクTmの遅延時間の切替にともなうショックが抑制されるようになっている。
また、第3遅延時間最適化手段138は、燃料カット突入時(図9の区間3参照)の遅延時間を最適化するものであって、第1及び第2遅延時間最適化手段136,137と同様にスイッチ(切替手段)54及びテーリング処理部(勾配制限手段)56をそなえている。
【0046】
このうち、図1に示すように、スイッチ54は第2遅延時間最適化手段137のスイッチ50と同様に構成されている。すなわち、スイッチ54の一方の端子54aには、バッファ134から得られるバッファ中のモータ要求トルクと、バッファ134から出力された遅延処理後のモータ要求トルクとの差が入力されるようになっており、他方の端子54bにはモータ出力トルクとして0Nmが入力されている。
【0047】
そして、燃料カット状態判定手段44により燃料カット突入時であると判定されると、スイッチ54が一方の端子54a側に切り替えられて、上記トルク差がテーリング処理部52を介して出力されるとともに、バッファ134からの出力に加算されるようになっている。これにより、遅延処理後のモータ要求トルクが相殺されて、バッファ中のモータ要求トルクが出力されるようになっている。
【0048】
これは、主に以下の理由による。つまり、燃料カットの突入時にはエンジン2の出力トルクが0になるため急激な減速が生じる。そこで、このような減速感を抑制する目的で燃料カット突入時にはモータ4を力行作動させることが考えられる。しかし、この場合、モータ4を通常の運転時と同様の遅延時間に設定すると、図9の線b4に示すように、この遅延時間分のモータ作動遅れに起因して軸トルク(エンジン2及びモータ4の出力軸のトルク)が一時的に落ち込む。
【0049】
そこで、燃料カット突入時においては、モータ要求トルクTmをバッファの途中から出力し、遅延時間を短縮することで(本実施形態では200ms→30ms)、図9の線a4に示すように、燃料カット突入時の減速感を抑制するとともに、軸トルクの落ち込みを防止しているのである。
また、燃料カット状態判定手段44により燃料カット突入時以外と判定されると、スイッチ54が他方の端子54b側に切り替えられて、0Nmが遅延処理後のモータ要求トルクに加算されるようになっている。つまり、この場合には、遅延処理後のモータ要求トルクがそのまま出力されるようになっている。
【0050】
また、テーリング処理部56は、スイッチ54が一方の端子54aから他方の端子54bへ切り替えられた直後(つまり、区間3から区間1へ移行した直後)のみ、機能するようになっている。そして、このテーリング処理部56により、端子54aから入力されたトルク差が徐々に0Nmに低減されて(テーリング処理又は勾配制限)、モータ要求トルクTmの遅延時間の切替にともなうショックが抑制されるようになっている。
【0051】
なお、燃料カット突入時とは、図9の区間3で示にすように、エンジン要求トルクTe=0となった時点からモータ要求トルクTm=0となる時点までの間である。
本発明の一実施形態に係るハイブリッド自動車の制御装置は上述のように構成されているので、通常運転時にはモータ4の要求トルクがエンジン2の応答遅れ分だけ遅延されるので、モータ4とエンジン2とのトルク協調を図ることができ、トルク変動を抑制することができる。また、燃料カット状態に応じてモータ要求トルクの遅延時間が変更されるので、燃料カット突入時や復帰時のトルク変動も抑制することができる。
【0052】
以下、図2〜図7に基づいてその作用を説明すると、図2はSMU13における作用を説明するフローチャート、図3はECU14における作用を説明するフローチャート、図4はETVコントローラ16及びETV18における作用を説明するフローチャート、図5はMCU20における作用を説明するフローチャート、図6はエンジン2の動作を説明するフローチャート、図7は遅延時間tの設定(最適化)の詳細について説明するフローチャートであって、図2におけるサブルーチンである。
【0053】
まず、図2を用いてSMU13の作用について説明すると、ステップS1〜S3において、エンジン回転数センサ21,アクセル開度センサ40及び残存容量算出手段42からの情報に基づいて、エンジン回転数Ne,アクセル開度APS及びバッテリ残存容量SOCを取り込む(ステップS1〜S3)。
次に、上記エンジン回転数Ne及びアクセル開度APSから車両要求トルク(走行トルク)Tを演算し(ステップS4)、この車両要求トルクTとバッテリ残存容量SOCとからエンジン要求トルクTeを演算する(ステップS5)。また、上記走行トルクTからエンジン要求トルクTeを減算してモータ要求トルクTmを求める(ステップS6)。
【0054】
そして、バッファ134において車両の走行状態に応じて設定される所定時間tだけモータ要求トルクTmを遅延させ(ステップS7)、次に、LPF135において遅延処理後のモータ要求トルクTmに一次遅れ処理を施す(ステップS8)。その後、このようにして処理されたモータ要求トルクTmをMCU20に送信する(ステップS9)とともに、ステップS5で設定されたエンジン要求トルクTeをECU14に送信する。
【0055】
次に、図3に示すフローチャートを用いてECU14の作用について説明すると、ECU14では、まずSMU13で設定されたエンジン要求トルクTeを受信し(ステップS11)、このエンジン要求トルクTeに応じて必要とされるエンジン2の平均有効圧(基本トルク)Peをエンジン回転数Neから演算する(ステップS12)とともに、そのときのフリクション変動にともなう補正値Pfをエンジン回転数Ne等から求め(ステップS13)、その後、これらPe,Pfを加算して目標トルクPiを算出する(ステップS14)。
【0056】
そして、上記目標トルクPiとエンジン回転数Neとから図示しないマップにより目標ETV開度を設定するとともに(ステップS15)、この目標ETV開度をETVコントローラ16に送出する(ステップS16)。
次に、図4に示すフローチャートを用いてETVコントローラ16及びETV18の作用について説明すると、ETVコントローラ16では、まずECU14により設定された目標ETV開度を受信して(ステップS21)、この目標ETV開度に応じた駆動電圧を設定するとともに、この駆動電圧をETVアクチュエータに印加する(ステップS22)。これにより、ETVアクチュエータが作動してETV18の開度が目標開度に設定される(ステップS23)。
【0057】
また、ステップS23以降、実際にエンジン2がトルクを発生するまでの動作について図6に示すフローチャートを用いて説明すると、以下のようになる。なお、以下の処理は基本的にはECU14で実行される。まず、ETV18が作動すると(ステップS41)、ETV回度に応じた空気が流入し(ステップS42)、吸入空気量が演算される(ステップS43)。次に、吸入空気量及びエンジン回転数Ne等に基づいてインジェクタの開弁時間及び燃料噴射タイミングが演算され(ステップS44)、さらに、点火時期が演算される(ステップS45)。
【0058】
そして、上記インジェクタの開弁時間及び燃料噴射タイミングに基づいて燃料噴射が実行されて(ステップS46)、上記点火時期に基づいて点火が行なわれる(ステップS47)ことにより、エンジン2で実際に出力トルクが発生する。
一方、MCU20では、図5のフローチャートに示すように、SMU13において設定されたモータ要求トルクを受信して(ステップS31)、このモータ要求トルクに応じた駆動電圧をモータ4に印加する(ステップS32)。これにより、モータ4が作動して(ステップS33)、モータ4からトルクが発生する(ステップS34)。
【0059】
ここで、モータ4の要求トルクは所定時間tだけ遅延処理が施されているので、これによりエンジン2の応答遅れに起因するモータ4とエンジン2との出力トルクの不整合状態が解消されて、エンジン2とモータ4とのトルク協調制御を実行することができる。また、トルクの不整合状態が解消されるため、トルク変動を抑制することができ、ドライバビリティも向上する。また、モータ要求トルクに対して一遅れ処理を実行するので、エンジン2の空気量変化の応答遅れをモータに擬似的に再現させることができ、モータの出力トルク特性をエンジンの出力トルク特性と同等の特性とすることができる。また、遅延処理後に一次遅れ処理を行なうことで、モータ4の出力トルク特性をさらにエンジン2の出力トルク特性に近づけることができる。
【0060】
次に、図2のステップS7におけるモータ要求トルクTmの遅延時間tの設定の詳細について、図7のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS101〜S109において、燃料カット状態に応じた場合分けが実行されて、各状態に応じたフラグがセットされる。すなわち、まず「燃料カット中」から「燃料カット中以外」への切り替え後、燃料カット復帰制御が終了前か否かを判定し(ステップS101)、上記の条件が成立している場合には、フラグ「区間2」を設定し(ステップS102)、そうでなければフラグ「区間2」をリセットする(ステップS103)。
【0061】
次に、燃料カット開始から燃料カット突入制御の終了前か否かを判定し(ステップS104)、上記の条件が成立している場合には、フラグ「区間3」を設定し(ステップS105)、そうでなければフラグ「区間3」をリセットする(ステップS106)。
さらに、現在燃料カット実行中であって、且つフラグ「区間3」がリセットされているか否かを判定し(ステップS107)、上記の条件が成立している場合には、フラグ「区間1」を設定し(ステップS108)、そうでなければフラグ「区間1」をリセットする(ステップS109)。
【0062】
なお、このようなステップS101〜S109を実行することにより、燃料カット制御中には、上記のフラグの何れか1つのみが設定され、燃料カットを実行していないときにはいずれのフラグもリセットされることになる。
ステップS109以降は、まずフラグ「区間1」が設定されているか否かを判定し(ステップS110)、フラグ「区間1」が設定されていれば、モータ要求トルクTmの遅延前後のトルク差を算出する(ステップS111)。また、フラグ「区間1」が設定されていなければ、次に区間1の終了直後か否かを判定し(ステップS112)、区間1の終了直後であれば、モータ要求トルクTmの遅延前後のトルク差を徐々に低減する(ステップS113)。そして、上記ステップS111又はステップS113で得られたトルク差をバッファ134による遅延処理後のモータ要求トルクに加算して、最終的なモータ要求トルクTmとして出力する(ステップS114)。
【0063】
また、ステップS112において、区間1の終了直後ではないと判定した場合には、次に、フラグ「区間3」が設定されているか否かを判定し(ステップS115)、フラグ「区間3」が設定されている場合には、バッファ中(例えば30ms前)のモータ要求トルクと遅延処理後のモータ要求トルクとの差を算出する(ステップS116)。
【0064】
また、フラグ「区間3」が設定されていなければ、次に区間3の終了直後か否かを判定し(ステップS117)、区間3の終了直後であれば、バッファ中のモータ要求トルクと遅延処理後のモータ要求トルクとの差を徐々に低減する(ステップS118)。そして、上記ステップS116又はステップS118で得られたトルク差をバッファ134による遅延処理後のモータ要求トルクに加算して、最終的なモータ要求トルクTmとして出力する(ステップS119)。
【0065】
また、ステップS117において、区間3の終了直後ではないと判定した場合には、次に、フラグ「区間2」が設定されているか否かを判定し(ステップS120)、フラグ「区間2」が設定されている場合には、バッファ中(例えば30ms前)のモータ要求トルクと遅延処理後のモータ要求トルクとの差を算出する(ステップS121)。
【0066】
また、フラグ「区間2」が設定されていなければ、次に区間2の終了直後か否かを判定し(ステップS122)、区間2の終了直後であれば、バッファ中のモータ要求トルクと遅延処理後のモータ要求トルクとの差を徐々に低減する(ステップS123)。そして、上記ステップS121又はステップS123で得られたトルク差をバッファ134による遅延処理後のモータ要求トルクに加算して、最終的なモータ要求トルクTmとして出力する(ステップS124)。
【0067】
そして、このようなルーチンを繰り返し実行することにより、燃料カット制御状態に応じたモータ要求トルクTmの遅延時間を設定することができ、ドライバビリティが大幅に向上する。
例えば図9に示すように、燃料カット突入時(図中、エンジン要求トルク0の時点)において、モータ要求トルクTmの遅延時間tを最適化せずに所定値t1(=200ms)のまま燃料カット制御を開始すると、本来は減速ショックを抑制する目的で力行作動するモータ4の作動開始が必要以上に遅れてしまい(図9の線b5,b6参照)、軸トルクが一時的に落ち込んでしまう(同じく線b4参照)。したがって、減速ショックを抑制できずにドライバが違和感を覚えることになる。
【0068】
これに対して、燃料カット突入時にモータ要求トルクTmの遅延時間tを最適化することにより、速やかにモータ要求トルク及び実トルクが立ち上がり(図9の線a5,a6参照)、これにより軸トルクの落ち込みを防止することができるようになる(同じく線a4参照)。
また、燃料カット復帰時においては、エンジン2の応答遅れ時間が通常運転時間よりも短いため、モータ要求トルクTmの遅延時間を最適化しない場合には、図8の線b1〜b3に示すように、モータ4の作動開始が遅れ燃料カット復帰時の応答性を損なうことになる。これに対して、燃料カット復帰時にモータ遅延時間を通常よりも短く設定することで、図8の線a1〜a3に示すように、モータ4を速やかに作動させることができ、燃料カット復帰時における応答性を確保することができる。また、図8に示すように、その後のトルク変動を抑制することができる。
【0069】
また、燃料カット制御以外の通常運転時には、モータ4の要求トルクは所定時間tだけ遅延処理が施されるので、これによりエンジン2の応答遅れに起因するモータ4とエンジン2との出力トルクの不整合状態が解消されて、エンジン2とモータ4とのトルク協調制御を実行することができる。また、トルクの不整合状態が解消されるため、トルク変動を抑制することができ、ドライバビリティも向上する。
【0070】
さらに、モータ要求トルクに対して一遅れ処理を実行するので、エンジン2の空気量変化の応答遅れをモータ4に擬似的に再現させることができ、モータの出力トルク特性をエンジンの出力トルク特性と同等の特性とすることができる。また、遅延処理後のモータ要求トルクに一次遅れ処理を行なうことで、モータ4の出力トルク特性をさらにエンジン2の出力トルク特性に近づけることができる。
【0071】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば上記の実施形態においては、本発明をいわゆるISAタイプのハイブリッド自動車に適用した場合について説明したが、本発明はハイブリッド自動車のみに適用されるものではなく、少なくともモータとエンジンとの出力軸が接続されたエンジンに広く適用できる。なお、この場合モータの出力軸とエンジンの出力軸が直接接続されたもの以外にも、例えばギアやベルト等の出力伝達手段を介して接続されたものにも適用可能であるのは言うまでもない。また、モータとエンジンとの間にクラッチ等の駆動力断接手段が設けられているようなシステムにも当然適用することができる。
【0072】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のハイブリッド自動車の制御装置によれば、モータ要求トルクを所定時間遅延させて出力するので、エンジンとモータとで要求トルク指示から実際のトルク発生までの時間を略同じにすることができ、エンジンとモータとのトルクの不整合状態を解消することができる。これにより、エンジンとモータとを協調して制御することができるようになり、ドライバビリティも向上する(請求項1)。
【0073】
また、モータ要求トルクに一次遅れ処理を施すことにより、エンジンの空気量変化の応答遅れをモータに擬似的に再現させることができ、モータの出力トルク特性をエンジンの出力トルク特性と同等の特性とすることができるという利点がある(請求項2)。
また、モータ要求トルクの遅延処理を実行した後、一次遅れ処理を実行するので、モータの出力トルク特性をさらにエンジンの出力トルク特性に近づけることができるという利点がある(請求項3)。
【0074】
また、エンジンの燃料カット状態に応じて上記所定時間、すなわち遅延時間を変更するので、燃料カット時のドライバビリティも確保することができるという利点がある(請求項4)。
また、エンジンが燃料カット制御中であると判定されると、上記所定時間を0に設定するので、燃料カット復帰にそなえてモータの作動応答性を確保することができる利点がある(請求項5)。
【0075】
また、燃料カット制御の開始時又は解除時には上記所定時間を減少させるので、燃料カット制御開始時のトルクの落ち込みや解除時のトルク変動を抑制することができるという利点がある(請求項6)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるハイブリッド自動車の制御装置の要部構成を示す模式的なブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるハイブリッド自動車の制御装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態にかかるハイブリッド自動車の制御装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態にかかるハイブリッド自動車の制御装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態にかかるハイブリッド自動車の制御装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態にかかるハイブリッド自動車の制御装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態にかかるハイブリッド自動車の制御装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態にかかるハイブリッド自動車の制御装置の作用を燃料カット中から燃料カット復帰にかけて説明するためのタイムチャートである。
【図9】本発明の一実施形態にかかるハイブリッド自動車の制御装置の作用を燃料カット前から燃料カット突入時にかけて説明するためのタイムチャートである。
【図10】いわゆるISA(Integrated Starter Alternator)システムを採用したハイブリッド自動車の要部を模式的に示す図である。
【図11】ハイブリッド自動車のエンジンとモータとの要求トルクを決定するため制御ブロック図の一例である。
【符号の説明】
2 エンジン
4 モータ又はモータジェネレータ(電動機)
12 制御手段
13 システム管理手段(システムマネジメントユニット:SMU)
14 エンジン制御手段(エンジンコントロールユニット:ECU)
16 ETVコントローラ(吸入空気量制御手段)
20 電動機制御手段(モータコントローラユニット:MCU)
44 燃料カット状態判定手段
132 エンジン要求トルク設定手段
133 モータ要求トルク設定手段
134 遅延手段
135 一次遅れ処理手段
136〜138 第1〜第3遅延時間最適化手段

Claims (6)

  1. 車両走行用の動力源としてのエンジン及びモータと、該エンジン及び該モータの作動を制御する制御手段とをそなえたハイブリット車両の制御装置において、
    該制御手段は、
    該車両の運転状態に応じて設定される走行トルクに基づいて該エンジンに要求される出力トルクを設定するエンジン要求トルク設定手段と、
    該走行トルクとエンジン要求トルク設定手段で設定されたエンジン要求トルクとに基づいて該モータに要求される出力トルクを設定するモータ要求トルク設定手段と、
    該モータ要求トルク設定手段で設定された該モータ要求トルクを所定時間遅延させて出力する遅延手段とを備えている
    ことを特徴とする、ハイブリッド自動車の制御装置。
  2. 該制御手段は、
    該モータ要求トルクに一次遅れ処理を施す一次遅れ処理手段をそなえている
    ことを特徴とする、請求項1記載のハイブリッド自動車の制御装置。
  3. 該一次遅れ処理手段は、該遅延手段によって遅延処理されたモータ要求トルクを一次遅れ処理する
    ことを特徴とする、請求項2記載のハイブリッド自動車の制御装置。
  4. 該エンジンは、所定の走行条件を満たすと燃料カットが実行されるように構成されるとともに、
    該制御手段は、
    該エンジンの燃料カット状態を判定する燃料カット状態判定手段を備え、該燃料カット状態判定手段による判定結果に基づいて上記所定時間を変更する
    ことを特徴とする、請求項1記載のハイブリッド自動車の制御装置。
  5. 該制御手段は、
    該燃料カット状態判定手段により該エンジンが燃料カット制御中であると判定されると、該所定時間を0に設定する
    ことを特徴とする、請求項4記載のハイブリッド自動車の制御装置。
  6. 該制御手段は、
    該燃料カット状態判定手段により該燃料カット制御の開始時又は解除時であると判定されると、該所定時間を減少させる
    ことを特徴とする、請求項4記載のハイブリッド自動車の制御装置。
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