JP2004304907A - 駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】軸方向の長さを小さくしかつ出力を向上させることができる、安価で小型の駆動装置とする。
【解決手段】円筒形状の第1、第2のマグネット5,11と、第1、第2のマグネットの軸方向に配置される第1、第2のコイル2,8と、第1、第2のコイルの内径部に所定の間隔をもって配置され、かつ前記第1、第2のマグネットの内径部に固定され、一体で回転可能な軟磁性材料からなる第1、第2のロータ軸4,10と、前記第1、第2のマグネットの外周面に対向するとともに前記第1、第2のコイルにより励磁される磁極部1a〜1d,7a〜7dを具備する第1、第2のステ−タ1,7とを備えた第1、第2の駆動手段とを有し、前記第1、第2の駆動手段それぞれの回転軸の方向が平行になるように配置する。
【選択図】 図1
【解決手段】円筒形状の第1、第2のマグネット5,11と、第1、第2のマグネットの軸方向に配置される第1、第2のコイル2,8と、第1、第2のコイルの内径部に所定の間隔をもって配置され、かつ前記第1、第2のマグネットの内径部に固定され、一体で回転可能な軟磁性材料からなる第1、第2のロータ軸4,10と、前記第1、第2のマグネットの外周面に対向するとともに前記第1、第2のコイルにより励磁される磁極部1a〜1d,7a〜7dを具備する第1、第2のステ−タ1,7とを備えた第1、第2の駆動手段とを有し、前記第1、第2の駆動手段それぞれの回転軸の方向が平行になるように配置する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁回転する第1および第2の駆動手段を有する駆動装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複数個のステッピングモータをレンズ鏡筒の周囲に配置したレンズ鏡筒および絞りシャッタの駆動装置が、特許文献1にて提案されている。これは、略コ字形状のステータをロータに対して相対向に配置して成るステッピングモータを鏡筒の周囲に複数個配置し、各々のステッピングモータをレンズ移動機構や絞りシャッタ駆動機構の駆動装置としたもので、撮影レンズ装置、特に鏡筒径方向の小型化を狙ったものである。しかし、上記特許文献1に記載のステッピングモータは、略コ字形状のステータのコイルへの通電で発生する磁束には、漏れ磁束が多く発生してマグネットに効果的に作用しない。そのため、小型のままでは大きいトルクを引き出せないという課題がある。
【0003】
本願出願人は、上記のような課題を解決したモータを特許文献2により開示している。この提案されたモータは、円周方向に等分割して異なる極に交互に着磁された永久磁石から成るロータを円筒形状に形成し、該ロータの軸方向に第1のコイル、ロータ及び第2のコイルを順に配置し、第1のコイルにより励磁される第1の外側磁極及び第1の内側磁極をそれぞれロータの外周面及び内周面に対向させ、第2のコイルにより励磁される第2の外側磁極及び第2の内側磁極をそれぞれロータの外周面及び内周面に対向させるように構成したものであり、ロータ軸である回転軸が円筒形状の永久磁石から取り出されている。
【0004】
上記構成のモータは、出力が高く、該モータの外形寸法を小さいものとすることができ、更にマグネットを薄くすることにより第1の外側磁極と第1の内側磁極の間の距離及び第2の外側磁極と第2の内側磁極の間の距離を結果的に小さくでき、磁気回路の磁気抵抗を小さくすることができる。これによれば、第1のコイル及び第2のコイルに流す電流が少なくても、多くの磁束を発生させることができる。
【0005】
また、本願出願人は上記特許文献2に開示のモータを更に改良したものとして、内側磁極を円筒形状で構成し、その内側磁極の内径部に挿入されている出力軸を軟磁性材料で構成し、更にはステータに取り付けられ該出力軸を回転可能に保持する軸受けを非磁性材料で構成したものを、特許文献3により開示している。この提案によれば、出力軸も磁気回路として利用できるため、モータの出力がさらに向上する。また、その際のステータと出力軸の磁気による吸着は、軸受けを非磁性材料で構成することで防いでいる。
【0006】
上記特許文献2や特許文献3に記載されているタイプのモータは、前述したような効果を有する反面、軸方向の長さが長くなり、カメラや鏡筒内で光軸と平行となるように配置して、絞り羽根やシャッタ、レンズ等を駆動するために用いようとした場合、他のレンズの配置の邪魔になったり、他の構造物を切り欠かなければならなかったりするという課題は残ったままであった。
【0007】
そこで、このような課題を解決すべく、本願出願人は特許文献4に記載の駆動伝達装置を提案している。この駆動装置は、円周方向に等分割して異なる極に交互に着磁されたマグネットを円筒形状に形成し、該マグネットの軸方向にコイル、マグネットを順に配置し、コイルにより励磁される外側磁極及び内側磁極をそれぞれマグネットの外周面及び内周面に対向させるように構成した駆動装置を二つ備え、この二つの駆動装置を軸方向が平行になるように並べて配置し、一方の駆動装置のマグネットに一体的に設けられた歯車と他方の駆動装置のマグネットに一体的に設けられた歯車とに噛み合う歯車部を有する伝達機構とで構成されるものである。
【0008】
【特許文献1】
特公平06−64281号公報
【特許文献2】
特開平09−331666号公報
【特許文献3】
特開平10−229670号公報
【特許文献4】
特開2001−298938号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献4に記載の駆動伝達装置は、軸方向の長さは短くなる(高さは低くなる)ものの、上記特許文献2や特許文献3にて記載されているものと同様に、マグネットの内径とそれに対向する内側磁極との間には所定の間隔が必要であり、それを製造時に管理することはコストアップを招くものである。
【0010】
また、ステータの形状としても円筒形状の内側磁極部と外側磁極部が必要であり、それらを一体的に構成するのは部品製造上難しい。又それらを別体で製造した後、一体的に組み立てる場合は部品点数が多くなり、コストアップを招いてしまうものであった。
【0011】
(発明の目的)
本発明の目的は、軸方向の長さを小さくすることができ、かつ出力を向上させることができる、安価で小型の駆動装置を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、周方向に分割して異なる極に交互に着磁された円筒形状の第1のマグネットと、該第1のマグネットの軸方向に配置される第1のコイルと、該第1のコイルの内径部に所定の間隔をもって配置され、かつ前記第1のマグネットの内径部に固定され、一体で回転可能な軟磁性材料からなる第1のロータ軸と、前記第1のマグネットの外周面に対向するとともに前記第1のコイルにより励磁される磁極部を具備する第1のステ−タとを備えた第1の駆動手段と、周方向に分割して異なる極に交互に着磁された円筒形状の第2のマグネットと、該第2のマグネットの軸方向に配置される第2のコイルと、該第2のコイルの内径部に所定の間隔をもって配置され、かつ前記第2のマグネットの内径部に固定され、一体で回転可能な軟磁性材料からなる第2のロータ軸と、前記第2のマグネットの外周面に対向するとともに前記第2のコイルにより励磁される磁極部を具備する第2のステ−タとを備えた第2の駆動手段と、前記第1のマグネットと前記第2のマグネットとに連結して回転し、該回転出力を被駆動部材に伝達する出力手段とを有し、前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段とを、それぞれの回転軸の方向が平行になるように配置した駆動装置とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1〜図9は本発明の実施の一形態に係る図であり、詳しくは、図1は光量制御装置の分解斜視図、図2は光量制御装置の絞り羽根が開放状態にある時の正面図、図3は光量制御装置の絞り羽根が開放状態と閉鎖状態の中間の状態にある時の正面図、図4は光量制御装置の絞り羽根が閉鎖状態にある時の正面図、図5は第1の駆動手段及び第2の駆動手段を含む図1の光量制御装置の部分断面図(図3のA−A断面図)である。また、図6〜図9は第1の駆動手段と第2の駆動手段とから成る駆動装置のマグネットとステータの位相関係を各動作段階毎に示す断面図である。
【0015】
図1〜図9において、1は第1の駆動手段の構成要素である軟磁性材料から成るステータであり、該ステータ1は外筒及びドーナツ状の天板で構成されている。該ステータ1の外筒はその先端部が櫛歯形状の外側磁極部1a,1b,1c,1dを形成している。該ステータ1の天板は中央に後述のロータ軸4の軸突起4dが嵌合する軸穴1eが形成されている。2は円筒形状のコイルであり、該コイル2はボビン3に巻き付けられている。該コイル2及び該ボビン3はその外径が後述のマグネット5の外径とほぼ同じ寸法となっている。
【0016】
4は軟磁性材料からなるロータ軸、5は永久磁石からなる円筒形状のマグネットであり、前記ロータ軸4の第1円柱部4aの外周面と前記マグネット5の内周面とが接着や圧入等により密着固定される。前記ロータ軸4には軸突起4dと軸突起4eとが形成され、これらがステ−タ1の軸穴1eと後述の地板13の軸穴13aにより回転嵌合保持される。その際、該ロータ軸4の第2円柱部4cはコイル2の内周面に所定の隙間を持って配置される。前記マグネット5は、図6〜図9に示すように、外周表面及び内周表面を円周方向に多分割、即ち着磁極数がNとなるよう(本実施形態では8分割、即ちN=8となるよう)S極、N極が交互に着磁されている。該マグネット5を射出成形等により成形されるプラスチックマグネット材料により構成することで、円筒形状の半径方向の厚さを非常に薄くすることができる。該マグネット5の内周面は、外周面に比べ弱い着磁分布を持つか、あるいは全く着磁されていないか、あるいは外周面と逆の極、すなわち外周面がS極の場合はその範囲の内周面はN極に着磁されているもののいずれかでよく、この例では外周面と逆の極としている。
【0017】
6は連結部材であり、該連結部材6は円盤部6aの外周面が前記マグネット5の内周部5aに、円盤部6aの内周面が前記ロータ軸4の第3円柱部6aの外周面に圧入や接着等により固定され、前記ロータ軸4、前記マグネット5及び該連結部材6は一体で回転可能となる。また、該連結部材6にはリンク突起部6b及び6cが一体的に形成されている。該リンク突起部6b及び6cは二つの突起の内壁で形成される溝が後述する駆動伝達リング14と嵌合する。
【0018】
前記ステータ1の外側磁極部1a,1b,1c,1dは、それぞれが前記マグネット5の着磁に関して同位相になるように、円周方向に360/(N/2)度、即ち90度ずつずれて形成されている。
【0019】
以上のようなステータ1、コイル2、ボビン3、ロータ軸4、マグネット5、連結部材6により、第1の駆動手段が構成されている。
【0020】
同様に、図1〜図9において、7は第2の駆動手段の構成要素である軟磁性材料から成るステータであり、該ステータ7は外筒及びドーナツ状の天板で構成されている。該ステータ7の外筒はその先端部が櫛歯形状の外側磁極部7a,7b,7c,7dを形成している。該ステータ7の天板は中央に後述のロータ軸10の軸突起10dが嵌合する軸穴7e(図1では不図示)が形成されている。8は円筒形状のコイルであり、該コイル8はボビン9に巻き付けられている。該コイル8及び該ボビン9はその外径が後述のマグネット11の外径とほぼ同じ寸法となっている。
【0021】
10は軟磁性材料からなるロータ軸、11は永久磁石からなる円筒形状のマグネットであり、前記ロータ軸10の第1円柱部10aの外周面と前記マグネット11の内周面とが接着や圧入等により密着固定される。ロータ軸10には軸突起10dと軸突起10eとが形成され、これらが前記ステ−タ7の軸穴7eと後述の地板13の軸穴13bにより回転嵌合保持される。その際、該ロータ軸10の第2円柱部10cは前記コイル8の内周面に所定の隙間を持って配置される。前記マグネット11は、図6〜図9に示すように、外周表面及び内周表面を円周方向に多分割、即ち着磁極数がNとなるよう(本実施形態では8分割、即ちN=8となるよう)S極、N極が交互に着磁されている。該マグネット11を射出成形等により成形されるプラスチックマグネット材料により構成することで、円筒形状の半径方向の厚さを非常に薄くすることができる。該マグネット11の内周面は、外周面に比べ弱い着磁分布を持つか、あるいは全く着磁されていないか、あるいは外周面と逆の極、すなわち外周面がS極の場合はその範囲の内周面はN極に着磁されているもののいずれかでよく、この例では外周面と逆の極としている。
【0022】
12は連結部材であり、該連結部材12は円盤部12aの外周面が前記マグネット11の内周部11aに、円盤部12aの内周面が前記ロータ軸10の第3円柱部10aの外周面に圧入や接着等により固定され、前記ロータ軸10、前記マグネット11及び該連結部材12は一体で回転可能となる。また、該連結部材12にはリンク突起部12b及び12cが一体的に形成されている。該リンク突起部12b及び12cは二つの突起の内壁で形成される溝が後述する駆動伝達リング14と嵌合する。
【0023】
前記ステータ7の外側磁極部7a,7b,7c,7dは、それぞれが前記マグネット11の着磁に関して同位相になるように、円周方向に360/(N/2)度、即ち90度ずつずれて形成されている。
【0024】
以上のようなステータ7、コイル8、ボビン9、ロータ軸10、マグネット11、連結部材12により、第2の駆動手段が構成されている。
【0025】
13は中央に開口部13eが形成されたドーナツ形状の地板であり、14は前記地板13の嵌合部13lに開口部14eが嵌合して回転可能に取り付けられる駆動伝達リングである。この取り付けの際、駆動伝達リング14は前記地板13の断面が円弧状のレール面13m(図5参照)に当接する。前記第1の駆動手段及び前記第2の駆動手段は、それぞれ、その構成要素である前記ステータ1及び前記ステータ7が公知の方法(例えば接着やビス止め等)により前記地板13の保持部13c及び保持部13dに取り付けることにより固定される。その際、第1の駆動手段のロータ軸4の軸突起4eが前記地板13の軸穴13aに嵌合し、該第2の駆動手段のロータ軸10の軸突起10eが前記地板13の軸穴13bに嵌合して、前記ロータ軸4は一体固定される前記マグネット5及び前記連結部材6とともに回転可能に保持され、前記ロータ軸10は一体固定される前記マグネット11及び前記連結部材12とともに回転可能に保持されることになる。
【0026】
前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段はそれらの軸方向が平行な状態で前記地板13に前記駆動伝達リング14の回転軸を挟んで対向する位置に配置されており、前記第1の駆動手段の連結部材6に一体的に形成された前記リンク突起部6b及び6cの内壁で形成される溝が前記駆動伝達リング14のリンク腕部14a上に設けられたリンク突起14cと嵌合し、前記第2の駆動手段の連結部材12に一体的に形成された前記リンク突起部12b及び12cの内壁で形成される溝が前記駆動伝達リング14のリンク腕部14b上に設けられたリンク突起14dと嵌合する(図5参照)。これにより、前記第1の駆動手段のマグネット5と前記第2の駆動手段のマグネット10は前記駆動伝達リング14を介してお互いに連動して駆動されるようにリンク連結される。この時、前記マグネット5の着磁位相と前記ステータ1の外側磁極部1a〜1dの関係は、前記マグネット10の着磁位相と前記ステータ7の外側磁極7a〜7dの関係に対して180/N度、すなわち22.5度ずれて配置される。前記駆動伝達リング14は、連動して駆動する前記第1の駆動手段及び前記第2の駆動手段それぞれによって回転駆動される。その様子は後述する。
【0027】
15,16,17,18,19,20は絞り羽根であり、これらの絞り羽根15〜20には軸穴15a,16a,17a,18a,19a,20aが形成されており、これらの軸穴は前記地板13に形成された突起13f,13g,13h,13i,13j,13kにそれぞれ回転可能に嵌合している。また、前記絞り羽根15〜20にはカム溝15b,16b,17b,18b,19b,20bが形成されており、これらのカム溝は前記駆動伝達リング14に形成された突起14f,14g,14h,14i,14j,14kに摺動可能に嵌合している。したがって、前記駆動伝達リング14を回転させて絞り羽根15〜20をそれぞれ軸穴15a〜20aを中心に回転させることにより、図1に示す光量制御装置における前記地板13の開口部13eの通過光量を変化させることができるように構成されている。
【0028】
21は中央に開口部21aが設けられた羽根押え板であり、前記絞り羽根15〜20及び駆動伝達リング14を間に挟んで地板13に固定され、前記絞り羽根15〜20及び駆動伝達リング14を回転可能に保持して光軸方向の抜け止めの役割を果たす。
【0029】
図2〜図4は、光量制御装置の前記駆動装置を駆動した時の前記駆動伝達リング14の回転による前記絞り羽根15〜20の状態の変化を示した図であり、前述したように、図2は開放状態にある時の正面図、図3は開放状態と閉鎖状態の中間の状態にある時の正面図、図4は閉鎖状態にある時の正面図である。これらの図はいずれも前記羽根押え板21を省略して見やすくしている。
【0030】
図2〜図4に示すように、前記第1の駆動手段の構成要素である連結部材6と駆動伝達リング14とのリンク連結部を、絞り羽根15の回転中心と絞り羽根20の回転中心との間のスペースに構成し、前記第2の駆動手段の構成要素である連結部材12と駆動伝達リング14とのリンク連結部を、絞り羽根17の回転中心と絞り羽根18の回転中心との間のスペースに構成したので、光量制御装置のデッドスペースに有効的に駆動手段をレイアウト可能となり、各駆動手段はもちろん、該装置についても、光軸と平行方向の寸法のみならず、直径方向の寸法を小さくすることができる。
【0031】
前記ステータ1の外側磁極部1a〜1d及び前記ステータ7の外側磁極部7a〜7dは軸(4d,4e,10d,10e)と平行方向に延出する歯により構成されている。これにより、駆動手段の直径を最小限にし得る磁極の構成が可能となる。つまり、外側磁極部を半径方向に延びる凹凸で形成するとその分駆動手段の直径が大きくなってしまうが、本実施形態では、軸と平行方向に延出する歯により外側磁極部を構成しているので、前記第1の駆動手段及び前記第2の駆動手段の直径を最小限に抑えることができる。また、前記地板13の開口部13eを遮らないように前記第1の駆動手段及び前記第2の駆動手段が配置されているが、それらの直径を最小限に抑えることで、光量制御装置そのものの外径も小さく抑えることが可能となる。
【0032】
前記第1の駆動手段及び前記第2の駆動手段とも、軸方向の長さはマグネットの長さとコイルの長さを加えただけの長さでほぼ決まるため、軸方向の高さ(長さ)が非常に低い(短い)アクチエータとして構成することができる。また、前記第1の駆動手段及び前記第2の駆動手段は軸方向に平行に配置してあるので、前記絞り羽根15〜20を駆動するアクチエータとして光軸と平行方向の寸法を短く構成することができ、したがって、図1のように光量制御装置のアクチュエータとして用いる場合に、他のレンズや構造物に対して邪魔にならない構成を実現することができる。
【0033】
前記ステータ1の外側磁極部1a〜1dは前記マグネット5の外周面に所定の隙間をもって対向して配置される。同様に、前記ステータ7の外側磁極部7a〜7dは前記マグネット11の外周面に所定の隙間をもって対向して配置される。前記ロータ軸4の第1円柱部4a及び第2円柱部4cで第1の内側磁極部が形成される。同様に、前記ロータ軸10の第1円柱部10a及び第2円柱部10cで第2の内側磁極部が形成される。
【0034】
前記コイル2への通電により、外側磁極部1a〜1dと第1の内側磁極部が励磁され、その磁極間にはマグネット5を横切る磁束が発生し、効果的に該マグネット5に作用する。その際、外側磁極部1a〜1dと第1の内側磁極部はそれぞれ反対の極に励磁される。同様に、前記コイル8への通電により、外側磁極部7a〜7dと第2の内側磁極部が励磁され、その磁極間にはマグネット11を横切る磁束が発生し、効果的に該マグネット11に作用する。その際、外側磁極部7a〜7dと第2の内側磁極部はそれぞれ反対の極に励磁される。
【0035】
また、前記マグネット5は前記したように射出成形等により成形される円筒形状のプラスチックマグネット材料により構成されているので、円筒形状の半径方向の厚さを非常に薄くすることができるとともに、該マグネット5の内周面に対向して第1の内側磁極部を形成する前記ロータ軸4の第1円柱部4aは該マグネット5の内周面との間に空隙を設ける必要がない。そのため、第1の外側磁極部1a〜1dと第1円柱部4aとの距離を非常に小さくできる。同様に、前記マグネット11は前記したように射出成形等により成形される円筒形状のプラスチックマグネット材料により構成されているので、円筒形状の半径方向の厚さを非常に薄くすることができるとともに、該マグネット11の内周面に対向して第2の内側磁極部を形成する前記ロータ軸10の第1円柱部10aは該マグネット11の内周面との間に空隙を設ける必要がない。そのため、外側磁極部7a〜7dと第1円柱部10aとの距離を非常に小さくできる。よって、前記コイル8と前記外側磁極部1a〜1dと第1の内側磁極部とで形成される磁気回路、及び前記コイル8と前記外側磁極部7a〜7dと前記第2の内側磁極部とで形成される磁気回路の磁気抵抗を小さくすることができ、モータの出力を高めることが出来る。
【0036】
また、前記マグネット5はその内径部が前記ロータ軸4によって埋められており、前記マグネット11はその内径部が前記ロータ軸10によって埋められているので、上記特許文献4に記載されているものに比べ、マグネットの機械的強度が大きく、又前記ロータ軸4及びロータ軸10はマグネット5,11の内径部に現れるS極、N極との間の磁気抵抗を小さくするいわゆるバックメタルとして作用するので、磁気回路のパーミアンス係数は高く設定されることになり、高温下の環境で使用されても減磁による磁気的劣化も少ない。
【0037】
さらに、上記特許文献4に記載のモータはマグネットの外径部と外側磁極部の隙間を精度良く保って組み立てる必要がある他に、該マグネットの内径部に対向する位置にある内側磁極部を該マグネットに対し所定の隙間を設けて配置する必要があり、部品精度のばらつきや組み立て精度が悪い場合にこの隙間を確保できず、内側磁極部がマグネットに接触してしまうなどの不良が生じる可能性が高いが、本実施の形態では、マグネット5の外径部及びマグネット11の外径部のみの隙間を管理するだけでよいので、組み立てが容易になる。
【0038】
前記第1の駆動手段の第1の内側磁極部を形成するうちの第1円柱部4aは前記コイル2の内径よりも大きな外径を有し、前記第2の駆動手段の第2の内側磁極部を形成するうちの第1円柱部10aは前記コイル8の内径よりも大きな外径を有している(図5参照)ことで、コイルの内径を小さくして、該コイルの占有する体積を大きくしても、前記第1の駆動手段の外側磁極部1a〜1dと前記第1円柱部4aとの距離及び該第2の駆動手段の外側磁極部7a〜7dと前記第1円柱部10aとの距離を小さく構成することが可能になる。これにより、コイル側から見た磁気抵抗が小さくなるので、小さな電力によっても多くの磁束を発生させることが可能となり、駆動手段の出力を向上させることができる。
【0039】
図6〜図9は、前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段とを主たる構成要素とする駆動装置に具備されるマグネットとステータの位相関係を各動作段階で示す断面図であり、各図とも、(a)は第1の駆動手段を、(b)は第2の駆動手段を、それぞれ示している。
【0040】
図6〜図9において、第1の駆動手段のマグネット5の着磁位相とステータ1の外側磁極部1a〜1dとの関係は、第2の駆動手段のマグネット11の着磁位相とステータ7の外側磁極部7a〜7dとの関係に対して、180/N度、すなわち22.5度ずれて配置されている。これは前記マグネット5と前記マグネット11が前記駆動伝達リング14にリンク連結された状態で位相関係が互いに異なるように、前記ステータ1及び前記ステータ7がそれぞれ前記地板13の保持部13c及び保持部13dに位置決め固定される構成となっている。
【0041】
次に、前記駆動伝達リング14が前記第1の駆動手段及び前記第2の駆動手段によって駆動される様子を説明する。
【0042】
図6の状態は、第1の駆動手段のコイル2に対して正通電することにより、ステータ1の外側磁極部1a〜1dをN極とし、前記ロータ軸4の第1の内側磁極部(4a,4c)をS極とし、同時に第2の駆動手段のコイル8に対して逆通電することにより、前記ステータ7の外側磁極部7a〜7dをS極とし、前記ロータ軸10の第2の内側磁極部(10a,10c)をN極とした場合を示す。
【0043】
前記マグネット5の外周表面のS極に着磁された着磁部がステータ1の外側磁極部の中心に向かう回転力が発生する(図6の時計方向)とともに、前記マグネット11の外周表面のN極に着磁された着磁部がステータ7の外側磁極部の中心に向かう回転力が発生し(図6の反時計方向)、該マグネット5及び該マグネット11はそれぞれに固定されているロータ軸4及びロータ軸10が駆動伝達リング14を介してリンク連結されているので、図6の状態でバランスを保って静止する。この状態は、図2に示す様に光量制御装置の絞り羽根15〜20が地板13の開口部13eを開放する状態にあり、ここで、該駆動伝達リング14はリンク腕部14a及び14bが該地板13のストッパーに当接している。
【0044】
次に、図6の状態から、前記第1の駆動手段のコイル2への正通電を維持しながら、すなわち前記ステータ1の外側磁極部1a〜1dをN極とし、前記ロータ軸4の第1の内側磁極部をS極としながら、前記第2の駆動手段のコイル8への通電を正通電に切り換えると、前記ステータ7の外側磁極部7a〜7dはN極に励磁され、前記ロータ軸10の第2の内側磁極部はS極に励磁され、前記マグネット11は外周表面のS極に着磁された着磁部が前記ステータ7の外側磁極部の中心に向かう回転力が発生し、図中時計方向に回転を始める。前記マグネット5及び前記マグネット11はそれぞれに固定されている連結部材6及び連結部材12が駆動伝達リング14を介してリンク連結されているので、前記マグネット11の時計方向の回転に伴い前記駆動伝達リング14は反時計方向へと回転し、前記マグネット5は時計方向に回転する。そして、図7に示す状態でバランスを保って静止する。この状態は、図6の状態から前記マグネット5及び前記マグネット11がそれぞれ時計方向に22.5度回転した状態である。
【0045】
次に、図7の状態から、前記第2の駆動手段のコイル8への正通電を維持しながら、すなわち前記ステータ7の外側磁極部7a〜7dをN極とし、前記ロータ軸10の第2の内側磁極部をS極としながら、前記第1の駆動手段の前記コイル2への通電を逆通電に切り換えると、前記ステータ1の外側磁極部1a〜1dはS極に励磁され、前記ロータ軸4の第1の内側磁極部はN極に励磁され、前記マグネット5は外周表面のN極に着磁された着磁部がステータ1の外側磁極部の中心に向かう回転力が発生し、図中時計方向に回転を始める。前記マグネット5及び前記マグネット11はそれぞれに固定されている連結部材6及び連結部材12が駆動伝達リング14を介してリンク連結されているので、前記マグネット5の時計方向の回転に伴い前記駆動伝達リング14は反時計方向へと回転し、前記マグネット11は時計方向に回転する。そして、図8に示す状態でバランスを保って静止する。この状態は、図7の状態から前記マグネット5及び前記マグネット11がそれぞれ時計方向に22.5度回転した状態である。
【0046】
ここで、図3に示す状態、すなわち前記絞り羽根15〜20が中間絞り位置にある状態は、図7の状態と図8の状態の中間位置に対応する。
【0047】
次に、図8の状態から、前記第1の駆動手段のコイル2への逆通電を維持しながら、すなわち前記ステータ1の外側磁極部1a〜1dをS極とし、前記ロータ軸4の第1の内側磁極部をN極としながら、前記第2の駆動手段の前記コイル8への通電を逆通電に切り換えると、前記ステータ7の外側磁極部7a〜7dはS極に励磁され、前記ロータ軸10の第2の内側磁極部はN極に励磁され、前記マグネット11は外周表面のN極に着磁された着磁部が前記ステータ7の外側磁極部の中心に向かう回転力が発生し、図中時計方向に回転を始める。前記マグネット5及び前記マグネット11はそれぞれに固定されている連結部材6及び連結部材12が駆動伝達リング14を介してリンク連結されているので、前記マグネット11の時計方向の回転に伴い前記駆動伝達リング14は反時計方向へと回転し、前記マグネット5は時計方向に回転する。そして、図9に示す状態でバランスを保って静止する。この状態は図8の状態から前記マグネット5及び前記マグネット11がそれぞれ時計方向に22.5度回転した状態である。また、この状態は、図4に示す様に光量制御装置の絞り羽根15〜20が地板13の開口部13eを閉鎖する状態にあり、ここで、前記駆動伝達リング14はリンク腕部14a及び14bが前記地板13のストッパーに当接している。
【0048】
上記のようにコイル2及びコイル8への通電方向を順次切り換えていくことにより、リンク連結されている前記マグネット5、前記マグネット11、前記駆動伝達リング14は同時に回転し、通電位相に応じた位置へと順次回転することになる。ここで、マグネットの回転角は2相励磁でステップ駆動するためには少なくとも(180/N)度以上回転する必要があり、また、リンク連結により駆動伝達レバーが回転するためにはマグネットの回転角は最低でも180度未満にする必要がある。本実施形態では、開放状態から閉鎖状態までを3パルスで駆動する構成としている。すなわち、前記マグネット5及び前記マグネット11の回転角は
(180/N)×3=67.5度
としている(N=8極)。
【0049】
ここで、このような構成の駆動装置が超小型化になる上で最適な構成であることについて説明する。
【0050】
本実施の形態に係る駆動装置の基本構成について述べると、第1に、第1の駆動手段及び第2の駆動手段のマグネットを円筒形状(リング状)に形成していることであり、第2に、第1の駆動手段及び第2の駆動手段のマグネットの外周面及び内周面を周方向にN分割して異なる極に交互に着磁していることであり、第3に、第1の駆動手段及び第2の駆動手段ともに軸方向にコイルとマグネットを順に配置していることであり、第4に、第1の駆動手段及び第2の駆動手段の外側磁極部を軸と平行方向に延出する歯により構成していることであり、第5に、第1の駆動手段及び第2の駆動手段ともにコイルにより励磁されるステータの外側磁極部をマグネットの外周面に対向させ、コイルにより励磁されるロータ軸の内側磁極部をマグネットの内周面に密着固定させていることであり、第6に、第1の駆動手段及び第2の駆動手段とをそれぞれの回転軸の方向が平行になるように配置していることであり、第7に、第1の駆動手段のマグネットと第2の駆動手段のマグネットを駆動伝達リングを介して連結していることである。
【0051】
その他、上記の第1の駆動手段及び第2の駆動手段の径は、マグネットの径にステータの磁極を対向させるだけの大きさがあればよく、また、第1の駆動手段及び第2の駆動手段の軸方向の長さはマグネットの長さにコイルの長さを加えた程度の長さがあれば良いことになる。このため、第1の駆動手段及び第2の駆動手段の大きさは、マグネット及びコイルの径と長さによって決まるもので、該マグネット及びコイルの径と長さをそれぞれ非常に小さくすれば、第1の駆動手段及び第2の駆動手段を超小型にすることができるものである。
【0052】
また、前記地板13の開口部13eを遮らないように第1の駆動手段及び第2の駆動手段を配置してあるが、それらの直径を最小限に抑えることができることで、光量制御装置そのものの直径も小さく抑えることができる。
【0053】
また、第1の駆動手段及び第2の駆動手段を回転軸方向に平行に配置していることで、絞り羽根を駆動するアクチュエータとして光軸と平行方向に関して短く、他のレンズや構造物に対して邪魔にならないように構成できる。
【0054】
また、第1の駆動手段のマグネットと第2の駆動手段のマグネットを、駆動伝達リングを介して連結していることで、双方向の回転が可能な駆動装置とすることが可能となる。
【0055】
また、第1の駆動手段及び第2の駆動手段ともに、その構成要素であるマグネットを射出成形等により成形される円筒形状のプラスチックマグネット材料により構成することで円筒形状の半径方向の厚さを非常に薄くすることができるとともに、前述したように内側磁極部(ロータ軸)はマグネットの内周面との間に空隙を設ける必要がないので外側磁極部部と内側磁極部との距離を非常に小さくできる。よって、コイルと外側磁極部と内側磁極部とで形成される磁気回路の磁気抵抗を小さくすることができ、モータの出力を高めることが出来る。
また、第1の駆動手段及び第2の駆動手段ともに、その構成要素であるマグネットはその内径部がロータ軸によって埋められているので該マグネットの機械的強度が大きく、またロータ軸はバックメタルとして作用するので該マグネットの磁気的劣化も少ない。
【0056】
さらに、第1の駆動手段及び第2の駆動手段ともに、その構成要素であるマグネットの外径部のみの隙間を管理するだけでよいので組み立てが容易になる。
【0057】
更に、第1の駆動手段及び第2の駆動手段ともに、内側磁極部はロータ軸で構成してあるので、上記特許文献4に示される外側磁極部と内側磁極部とを接続或いは一体的に製造する場合に比べて容易に製造でき、コストが安くなる。
【0058】
更に又、前記マグネット5の着磁位相と前記ステータ1の外側磁極部1a〜1dとの関係は、前記マグネット11の着磁位相と前記ステータ7の外側磁極部7a〜7dとの関係に対して180/N度、すなわち「N=8」とした本実施形態では22.5度ずれて配置する必要がある。そこで、前記連結部材6と前記駆動伝達リング14、及び、前記連結部材12と該駆動伝達リング14をリンク連結するだけで位相関係が180/N度ずれて配置されるように、前記ステータ1及び前記ステータ7が前記地板13の保持部13c及び保持部13dに位置決め固定される構成にしている。これにより、組み立て時に着磁位相合わせの必要がなくなり、組み立て作業効率が一段と高まる。
【0059】
次に、本発明と上記実施の形態との対応について説明する。
【0060】
上記実施の形態において、図1〜図9のマグネット5が本発明の第1のマグネットに相当し、図1〜図5のロータ軸4が本発明の第1のロータ軸に相当し、図1,図5のコイル2が本発明の第1のコイルに相当し、図1,図2及び図6〜図9のステータ1及びロータ軸4(第1円柱部4a及び第2円柱部4c)が本発明の第1のステータに相当し、図1,図5,図6〜図9のマグネット11が本発明の第2のマグネットに相当し、図1〜図5のロータ軸10が本発明の第2のロータ軸に相当し、図1、図5のコイル8が本発明の第2のコイルに相当し、図1、図5,図6〜図9のステータ7及びロータ軸10(第1円柱部10a及び第2円柱部10c)が本発明の第2のステータに相当し、図1〜図5の駆動伝達リング14が本発明の出力手段に相当し、図1〜図5の絞り羽根15,16,17,18,19,20が本発明の羽根部材に相当する。
【0061】
以上が実施の形態の各構成と本発明の各構成の対応関係であるが、本発明はこれら実施の形態に限定されるものではなく、請求項で示した機能、又は実施の形態がもつ機能が達成できる構成であればどのようなものであっても良いことは言うまでもない。
【0062】
次に、本発明に係る変形例について説明する。
【0063】
上記実施の形態においては、第1の駆動手段の連結部材と駆動伝達リングとの連結および第2の駆動手段の連結部材と駆動伝達リングとの連結をリンク連結で構成したが、ギアによる連結で構成してもよい。その場合、それぞれの連結部材にギア部を備え、駆動伝達リングにもそれぞれの連結部材に噛み合うギア部を備える構成とすればよい。
【0064】
また、第1の駆動手段及び第2の駆動手段によって構成される駆動装置は絞り羽根を駆動するためのアクチュエータとして用いたが、他の用途、例えばレンズ駆動のためのカム筒等を回転させる等にも使用可能であり、高出力で直径が小さく、かつ、軸方向の長さも短いという利点を持った駆動装置として有用なものとなる。
【0065】
最後に、請求項1に記載の発明以外の本発明に係る駆動装置や該駆動装置を用いる光量制御装置の実施態様およびその効果を以下に列挙する。
【0066】
(実施態様1) 周方向に分割して異なる極に交互に着磁された円筒形状の第1のマグネット、該第1のマグネットの軸方向に配置される第1のコイル、該第1のコイルの内径部に所定の間隔をもって配置され、かつ前記第1のマグネットの内径部に固定されて一体で回転可能な軟磁性材料からなる第1のロータ軸、および、前記第1のマグネットの外周面に対向するとともに前記第1のコイルにより励磁される磁極部を具備する第1のステ−タを備えた第1の駆動手段と、周方向に分割して異なる極に交互に着磁された円筒形状の第2のマグネット、該第2のマグネットの軸方向に配置される第2のコイル、該第2のコイルの内径部に所定の間隔をもって配置され、かつ前記第2のマグネットの内径部に固定されて一体で回転可能な軟磁性材料からなる第2のロータ軸、および、前記第2のマグネットの外周面に対向するとともに前記第2のコイルにより励磁される磁極部を具備する第2のステ−タとを備え、回転軸の方向が、前記第1の駆動手段の回転軸の方向と平行になるように配置される第2の駆動手段と、前記第1のマグネットと前記第2のマグネットとに連結して回転し、該回転出力を被駆動部材に伝達する出力手段と、該出力手段の回転出力が伝達されることにより開閉して、通過光量を制御する羽根部材とを有する光量制御装置。
【0067】
(実施態様2) 周方向に分割して異なる極に交互に着磁された円筒形状の第1のマグネット、該第1のマグネットの軸方向に配置される第1のコイル、該第1のコイルの内径部に所定の間隔をもって配置されるとともに前記第1のマグネットの内径部に固定され、かつ内側磁極を兼ねる、前記第1のマグネットと一体で回転可能な軟磁性材料からなる第1のロータ軸、および、前記第1のマグネットの外周面に対向するとともに前記第1のコイルにより励磁される外側磁極部を具備する第1のステ−タを備えた第1の駆動手段と、周方向に分割して異なる極に交互に着磁された円筒形状の第2のマグネット、該第2のマグネットの軸方向に配置される第2のコイル、該第2のコイルの内径部に所定の間隔をもって配置されるとともに前記第2のマグネットの内径部に固定され、かつ内側磁極を兼ねる、前記第2のマグネットと一体で回転可能な軟磁性材料からなる第2のロータ軸、および、前記第2のマグネットの外周面に対向するとともに前記第2のコイルにより励磁される外側磁極部を具備する第2のステ−タを備えた第2の駆動手段と、前記第1のマグネットと前記第2のマグネットに連結して回転し、該回転出力を被駆動部材に伝達する出力手段とを有し、前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段とを、それぞれの回転軸の方向が平行になるように配置したことを特徴とする駆動装置。
【0068】
上記構成によれば、第1の駆動手段及び第2の駆動手段の外径は、マグネットの径にステータの磁極を対向させるだけの大きさがあればよく、又平行に配置される第1の駆動手段及び第2の駆動手段の軸方向の長さは、マグネットの長さにコイルの長さを加えた程度にできる。
【0069】
また、前記第1のマグネットの内周面に固定された前記第1のロータ軸の、前記第1のステータの外側磁極部と対向する一部分が内側磁極部をなし、前記第1のコイルにより発生する磁束は前記第1のステータ外側磁極部と前記第1のロータ軸の前記内側磁極部との間を通過するので、効果的にマグネットに作用する。その際、前記内側磁極部は前記第1のマグネットの内周面との間に空隙を設ける必要がない。同様に、前記第2のマグネットの内周面に固定された前記第2のロータ軸の、前記第2のステータの外側磁極部と対向する一部分が内側磁極部をなし、前記第2のコイルにより発生する磁束は前記第2のステータ外側磁極部と前記第2のロータ軸の前記内側磁極部との間を通過するので、効果的にマグネットに作用する。その際、前記内側磁極部は前記第2のマグネットの内周面との間に空隙を設ける必要がない。したがって、上記特許文献4に記載のものに比べて外側磁極部と内側磁極部との距離を小さく構成することが可能となり、これにより磁気抵抗を減少させ、出力を高めることが出来る。
【0070】
また、前記各内側磁極部は前記第1,第2のロータ軸の一部分(第1,第2のマグネットが固定されて接する面側)で構成してあるので、上記特許文献4に記載のように外側磁極部と内側磁極部とを接続或いは一体的に製造する場合に比べて容易に製造でき、コストが安くなる。
【0071】
また、前記第1のマグネット及び前記第2のマグネットはそれぞれ内径部に前記第1のロータ軸及び前記第2のロータ軸が固定されるので、強度的に優れる。
【0072】
(実施態様3) 前記第1のマグネットと前記第2のマグネットとが前記出力手段を介して連結されている状態において、前記第1のマグネットの極と前記第1のステータの外側磁極部との位相関係と、前記第2のマグネットの極と前記第2のステータの外側磁極部との位相関係とが互いに異なる状態になるようにした実施態様2に記載の駆動装置。
【0073】
上記構成によれば、両コイルの通電タイミングを制御することで双方向の回転が可能な駆動伝達装置とすることができる。
【0074】
(実施態様4) 実施態様2又は3に記載の駆動装置と、前記出力手段の回転出力が伝達されることにより開閉して、通過光量を制御する羽根部材とを有する光量制御装置。
【0075】
上記構成によれば、光軸と平行方向の長さが短く、小型化に出来ることから、羽根部材へ光束を導く光学系や構造部材に対して邪魔することなく、前記羽根部材を駆動する駆動装置の配置とした光量制御装置とすることができる。
【0076】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、軸方向の長さを小さくすることができ、かつ出力を向上させることができる、安価で小型の駆動装置を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る光量制御装置の分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係る光量制御装置の羽根が開放状態にある時の正面図である。
【図3】本発明の実施の一形態に係る光量制御装置の羽根が開放状態と閉鎖状態の中間の状態にある時の正面図である。
【図4】本発明の実施の一形態に係る光量制御装置の羽根が閉鎖状態にある時の正面図である。
【図5】図3のA−A断面図である。
【図6】本発明の実施の一形態に係る第1の駆動手段と第2の駆動手段とからなる駆動装置のマグネットとステータの位相関係を示す断面図である。
【図7】図6の状態からコイル通電を切り換えて各マグネットを22.5度回転させた状態を示す断面図である。
【図8】図7の状態からコイル通電を切り換えて各マグネットをさらに22.5度回転させた状態を示す断面図である。
【図9】図8の状態からコイル通電を切り換えて各マグネットをさらに22.5度回転させた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ステ−タ
2 コイル
3 ボビン
4 ロータ軸
5 マグネット
6 連結部材
7 ステータ
8 コイル
9 ボビン
10 ロータ軸
11 マグネット
12 連結部材
13 地板
14 駆動伝達リング(出力手段)
15〜20 絞り羽根(羽根部材)
21 羽根押え板
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁回転する第1および第2の駆動手段を有する駆動装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複数個のステッピングモータをレンズ鏡筒の周囲に配置したレンズ鏡筒および絞りシャッタの駆動装置が、特許文献1にて提案されている。これは、略コ字形状のステータをロータに対して相対向に配置して成るステッピングモータを鏡筒の周囲に複数個配置し、各々のステッピングモータをレンズ移動機構や絞りシャッタ駆動機構の駆動装置としたもので、撮影レンズ装置、特に鏡筒径方向の小型化を狙ったものである。しかし、上記特許文献1に記載のステッピングモータは、略コ字形状のステータのコイルへの通電で発生する磁束には、漏れ磁束が多く発生してマグネットに効果的に作用しない。そのため、小型のままでは大きいトルクを引き出せないという課題がある。
【0003】
本願出願人は、上記のような課題を解決したモータを特許文献2により開示している。この提案されたモータは、円周方向に等分割して異なる極に交互に着磁された永久磁石から成るロータを円筒形状に形成し、該ロータの軸方向に第1のコイル、ロータ及び第2のコイルを順に配置し、第1のコイルにより励磁される第1の外側磁極及び第1の内側磁極をそれぞれロータの外周面及び内周面に対向させ、第2のコイルにより励磁される第2の外側磁極及び第2の内側磁極をそれぞれロータの外周面及び内周面に対向させるように構成したものであり、ロータ軸である回転軸が円筒形状の永久磁石から取り出されている。
【0004】
上記構成のモータは、出力が高く、該モータの外形寸法を小さいものとすることができ、更にマグネットを薄くすることにより第1の外側磁極と第1の内側磁極の間の距離及び第2の外側磁極と第2の内側磁極の間の距離を結果的に小さくでき、磁気回路の磁気抵抗を小さくすることができる。これによれば、第1のコイル及び第2のコイルに流す電流が少なくても、多くの磁束を発生させることができる。
【0005】
また、本願出願人は上記特許文献2に開示のモータを更に改良したものとして、内側磁極を円筒形状で構成し、その内側磁極の内径部に挿入されている出力軸を軟磁性材料で構成し、更にはステータに取り付けられ該出力軸を回転可能に保持する軸受けを非磁性材料で構成したものを、特許文献3により開示している。この提案によれば、出力軸も磁気回路として利用できるため、モータの出力がさらに向上する。また、その際のステータと出力軸の磁気による吸着は、軸受けを非磁性材料で構成することで防いでいる。
【0006】
上記特許文献2や特許文献3に記載されているタイプのモータは、前述したような効果を有する反面、軸方向の長さが長くなり、カメラや鏡筒内で光軸と平行となるように配置して、絞り羽根やシャッタ、レンズ等を駆動するために用いようとした場合、他のレンズの配置の邪魔になったり、他の構造物を切り欠かなければならなかったりするという課題は残ったままであった。
【0007】
そこで、このような課題を解決すべく、本願出願人は特許文献4に記載の駆動伝達装置を提案している。この駆動装置は、円周方向に等分割して異なる極に交互に着磁されたマグネットを円筒形状に形成し、該マグネットの軸方向にコイル、マグネットを順に配置し、コイルにより励磁される外側磁極及び内側磁極をそれぞれマグネットの外周面及び内周面に対向させるように構成した駆動装置を二つ備え、この二つの駆動装置を軸方向が平行になるように並べて配置し、一方の駆動装置のマグネットに一体的に設けられた歯車と他方の駆動装置のマグネットに一体的に設けられた歯車とに噛み合う歯車部を有する伝達機構とで構成されるものである。
【0008】
【特許文献1】
特公平06−64281号公報
【特許文献2】
特開平09−331666号公報
【特許文献3】
特開平10−229670号公報
【特許文献4】
特開2001−298938号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献4に記載の駆動伝達装置は、軸方向の長さは短くなる(高さは低くなる)ものの、上記特許文献2や特許文献3にて記載されているものと同様に、マグネットの内径とそれに対向する内側磁極との間には所定の間隔が必要であり、それを製造時に管理することはコストアップを招くものである。
【0010】
また、ステータの形状としても円筒形状の内側磁極部と外側磁極部が必要であり、それらを一体的に構成するのは部品製造上難しい。又それらを別体で製造した後、一体的に組み立てる場合は部品点数が多くなり、コストアップを招いてしまうものであった。
【0011】
(発明の目的)
本発明の目的は、軸方向の長さを小さくすることができ、かつ出力を向上させることができる、安価で小型の駆動装置を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、周方向に分割して異なる極に交互に着磁された円筒形状の第1のマグネットと、該第1のマグネットの軸方向に配置される第1のコイルと、該第1のコイルの内径部に所定の間隔をもって配置され、かつ前記第1のマグネットの内径部に固定され、一体で回転可能な軟磁性材料からなる第1のロータ軸と、前記第1のマグネットの外周面に対向するとともに前記第1のコイルにより励磁される磁極部を具備する第1のステ−タとを備えた第1の駆動手段と、周方向に分割して異なる極に交互に着磁された円筒形状の第2のマグネットと、該第2のマグネットの軸方向に配置される第2のコイルと、該第2のコイルの内径部に所定の間隔をもって配置され、かつ前記第2のマグネットの内径部に固定され、一体で回転可能な軟磁性材料からなる第2のロータ軸と、前記第2のマグネットの外周面に対向するとともに前記第2のコイルにより励磁される磁極部を具備する第2のステ−タとを備えた第2の駆動手段と、前記第1のマグネットと前記第2のマグネットとに連結して回転し、該回転出力を被駆動部材に伝達する出力手段とを有し、前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段とを、それぞれの回転軸の方向が平行になるように配置した駆動装置とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1〜図9は本発明の実施の一形態に係る図であり、詳しくは、図1は光量制御装置の分解斜視図、図2は光量制御装置の絞り羽根が開放状態にある時の正面図、図3は光量制御装置の絞り羽根が開放状態と閉鎖状態の中間の状態にある時の正面図、図4は光量制御装置の絞り羽根が閉鎖状態にある時の正面図、図5は第1の駆動手段及び第2の駆動手段を含む図1の光量制御装置の部分断面図(図3のA−A断面図)である。また、図6〜図9は第1の駆動手段と第2の駆動手段とから成る駆動装置のマグネットとステータの位相関係を各動作段階毎に示す断面図である。
【0015】
図1〜図9において、1は第1の駆動手段の構成要素である軟磁性材料から成るステータであり、該ステータ1は外筒及びドーナツ状の天板で構成されている。該ステータ1の外筒はその先端部が櫛歯形状の外側磁極部1a,1b,1c,1dを形成している。該ステータ1の天板は中央に後述のロータ軸4の軸突起4dが嵌合する軸穴1eが形成されている。2は円筒形状のコイルであり、該コイル2はボビン3に巻き付けられている。該コイル2及び該ボビン3はその外径が後述のマグネット5の外径とほぼ同じ寸法となっている。
【0016】
4は軟磁性材料からなるロータ軸、5は永久磁石からなる円筒形状のマグネットであり、前記ロータ軸4の第1円柱部4aの外周面と前記マグネット5の内周面とが接着や圧入等により密着固定される。前記ロータ軸4には軸突起4dと軸突起4eとが形成され、これらがステ−タ1の軸穴1eと後述の地板13の軸穴13aにより回転嵌合保持される。その際、該ロータ軸4の第2円柱部4cはコイル2の内周面に所定の隙間を持って配置される。前記マグネット5は、図6〜図9に示すように、外周表面及び内周表面を円周方向に多分割、即ち着磁極数がNとなるよう(本実施形態では8分割、即ちN=8となるよう)S極、N極が交互に着磁されている。該マグネット5を射出成形等により成形されるプラスチックマグネット材料により構成することで、円筒形状の半径方向の厚さを非常に薄くすることができる。該マグネット5の内周面は、外周面に比べ弱い着磁分布を持つか、あるいは全く着磁されていないか、あるいは外周面と逆の極、すなわち外周面がS極の場合はその範囲の内周面はN極に着磁されているもののいずれかでよく、この例では外周面と逆の極としている。
【0017】
6は連結部材であり、該連結部材6は円盤部6aの外周面が前記マグネット5の内周部5aに、円盤部6aの内周面が前記ロータ軸4の第3円柱部6aの外周面に圧入や接着等により固定され、前記ロータ軸4、前記マグネット5及び該連結部材6は一体で回転可能となる。また、該連結部材6にはリンク突起部6b及び6cが一体的に形成されている。該リンク突起部6b及び6cは二つの突起の内壁で形成される溝が後述する駆動伝達リング14と嵌合する。
【0018】
前記ステータ1の外側磁極部1a,1b,1c,1dは、それぞれが前記マグネット5の着磁に関して同位相になるように、円周方向に360/(N/2)度、即ち90度ずつずれて形成されている。
【0019】
以上のようなステータ1、コイル2、ボビン3、ロータ軸4、マグネット5、連結部材6により、第1の駆動手段が構成されている。
【0020】
同様に、図1〜図9において、7は第2の駆動手段の構成要素である軟磁性材料から成るステータであり、該ステータ7は外筒及びドーナツ状の天板で構成されている。該ステータ7の外筒はその先端部が櫛歯形状の外側磁極部7a,7b,7c,7dを形成している。該ステータ7の天板は中央に後述のロータ軸10の軸突起10dが嵌合する軸穴7e(図1では不図示)が形成されている。8は円筒形状のコイルであり、該コイル8はボビン9に巻き付けられている。該コイル8及び該ボビン9はその外径が後述のマグネット11の外径とほぼ同じ寸法となっている。
【0021】
10は軟磁性材料からなるロータ軸、11は永久磁石からなる円筒形状のマグネットであり、前記ロータ軸10の第1円柱部10aの外周面と前記マグネット11の内周面とが接着や圧入等により密着固定される。ロータ軸10には軸突起10dと軸突起10eとが形成され、これらが前記ステ−タ7の軸穴7eと後述の地板13の軸穴13bにより回転嵌合保持される。その際、該ロータ軸10の第2円柱部10cは前記コイル8の内周面に所定の隙間を持って配置される。前記マグネット11は、図6〜図9に示すように、外周表面及び内周表面を円周方向に多分割、即ち着磁極数がNとなるよう(本実施形態では8分割、即ちN=8となるよう)S極、N極が交互に着磁されている。該マグネット11を射出成形等により成形されるプラスチックマグネット材料により構成することで、円筒形状の半径方向の厚さを非常に薄くすることができる。該マグネット11の内周面は、外周面に比べ弱い着磁分布を持つか、あるいは全く着磁されていないか、あるいは外周面と逆の極、すなわち外周面がS極の場合はその範囲の内周面はN極に着磁されているもののいずれかでよく、この例では外周面と逆の極としている。
【0022】
12は連結部材であり、該連結部材12は円盤部12aの外周面が前記マグネット11の内周部11aに、円盤部12aの内周面が前記ロータ軸10の第3円柱部10aの外周面に圧入や接着等により固定され、前記ロータ軸10、前記マグネット11及び該連結部材12は一体で回転可能となる。また、該連結部材12にはリンク突起部12b及び12cが一体的に形成されている。該リンク突起部12b及び12cは二つの突起の内壁で形成される溝が後述する駆動伝達リング14と嵌合する。
【0023】
前記ステータ7の外側磁極部7a,7b,7c,7dは、それぞれが前記マグネット11の着磁に関して同位相になるように、円周方向に360/(N/2)度、即ち90度ずつずれて形成されている。
【0024】
以上のようなステータ7、コイル8、ボビン9、ロータ軸10、マグネット11、連結部材12により、第2の駆動手段が構成されている。
【0025】
13は中央に開口部13eが形成されたドーナツ形状の地板であり、14は前記地板13の嵌合部13lに開口部14eが嵌合して回転可能に取り付けられる駆動伝達リングである。この取り付けの際、駆動伝達リング14は前記地板13の断面が円弧状のレール面13m(図5参照)に当接する。前記第1の駆動手段及び前記第2の駆動手段は、それぞれ、その構成要素である前記ステータ1及び前記ステータ7が公知の方法(例えば接着やビス止め等)により前記地板13の保持部13c及び保持部13dに取り付けることにより固定される。その際、第1の駆動手段のロータ軸4の軸突起4eが前記地板13の軸穴13aに嵌合し、該第2の駆動手段のロータ軸10の軸突起10eが前記地板13の軸穴13bに嵌合して、前記ロータ軸4は一体固定される前記マグネット5及び前記連結部材6とともに回転可能に保持され、前記ロータ軸10は一体固定される前記マグネット11及び前記連結部材12とともに回転可能に保持されることになる。
【0026】
前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段はそれらの軸方向が平行な状態で前記地板13に前記駆動伝達リング14の回転軸を挟んで対向する位置に配置されており、前記第1の駆動手段の連結部材6に一体的に形成された前記リンク突起部6b及び6cの内壁で形成される溝が前記駆動伝達リング14のリンク腕部14a上に設けられたリンク突起14cと嵌合し、前記第2の駆動手段の連結部材12に一体的に形成された前記リンク突起部12b及び12cの内壁で形成される溝が前記駆動伝達リング14のリンク腕部14b上に設けられたリンク突起14dと嵌合する(図5参照)。これにより、前記第1の駆動手段のマグネット5と前記第2の駆動手段のマグネット10は前記駆動伝達リング14を介してお互いに連動して駆動されるようにリンク連結される。この時、前記マグネット5の着磁位相と前記ステータ1の外側磁極部1a〜1dの関係は、前記マグネット10の着磁位相と前記ステータ7の外側磁極7a〜7dの関係に対して180/N度、すなわち22.5度ずれて配置される。前記駆動伝達リング14は、連動して駆動する前記第1の駆動手段及び前記第2の駆動手段それぞれによって回転駆動される。その様子は後述する。
【0027】
15,16,17,18,19,20は絞り羽根であり、これらの絞り羽根15〜20には軸穴15a,16a,17a,18a,19a,20aが形成されており、これらの軸穴は前記地板13に形成された突起13f,13g,13h,13i,13j,13kにそれぞれ回転可能に嵌合している。また、前記絞り羽根15〜20にはカム溝15b,16b,17b,18b,19b,20bが形成されており、これらのカム溝は前記駆動伝達リング14に形成された突起14f,14g,14h,14i,14j,14kに摺動可能に嵌合している。したがって、前記駆動伝達リング14を回転させて絞り羽根15〜20をそれぞれ軸穴15a〜20aを中心に回転させることにより、図1に示す光量制御装置における前記地板13の開口部13eの通過光量を変化させることができるように構成されている。
【0028】
21は中央に開口部21aが設けられた羽根押え板であり、前記絞り羽根15〜20及び駆動伝達リング14を間に挟んで地板13に固定され、前記絞り羽根15〜20及び駆動伝達リング14を回転可能に保持して光軸方向の抜け止めの役割を果たす。
【0029】
図2〜図4は、光量制御装置の前記駆動装置を駆動した時の前記駆動伝達リング14の回転による前記絞り羽根15〜20の状態の変化を示した図であり、前述したように、図2は開放状態にある時の正面図、図3は開放状態と閉鎖状態の中間の状態にある時の正面図、図4は閉鎖状態にある時の正面図である。これらの図はいずれも前記羽根押え板21を省略して見やすくしている。
【0030】
図2〜図4に示すように、前記第1の駆動手段の構成要素である連結部材6と駆動伝達リング14とのリンク連結部を、絞り羽根15の回転中心と絞り羽根20の回転中心との間のスペースに構成し、前記第2の駆動手段の構成要素である連結部材12と駆動伝達リング14とのリンク連結部を、絞り羽根17の回転中心と絞り羽根18の回転中心との間のスペースに構成したので、光量制御装置のデッドスペースに有効的に駆動手段をレイアウト可能となり、各駆動手段はもちろん、該装置についても、光軸と平行方向の寸法のみならず、直径方向の寸法を小さくすることができる。
【0031】
前記ステータ1の外側磁極部1a〜1d及び前記ステータ7の外側磁極部7a〜7dは軸(4d,4e,10d,10e)と平行方向に延出する歯により構成されている。これにより、駆動手段の直径を最小限にし得る磁極の構成が可能となる。つまり、外側磁極部を半径方向に延びる凹凸で形成するとその分駆動手段の直径が大きくなってしまうが、本実施形態では、軸と平行方向に延出する歯により外側磁極部を構成しているので、前記第1の駆動手段及び前記第2の駆動手段の直径を最小限に抑えることができる。また、前記地板13の開口部13eを遮らないように前記第1の駆動手段及び前記第2の駆動手段が配置されているが、それらの直径を最小限に抑えることで、光量制御装置そのものの外径も小さく抑えることが可能となる。
【0032】
前記第1の駆動手段及び前記第2の駆動手段とも、軸方向の長さはマグネットの長さとコイルの長さを加えただけの長さでほぼ決まるため、軸方向の高さ(長さ)が非常に低い(短い)アクチエータとして構成することができる。また、前記第1の駆動手段及び前記第2の駆動手段は軸方向に平行に配置してあるので、前記絞り羽根15〜20を駆動するアクチエータとして光軸と平行方向の寸法を短く構成することができ、したがって、図1のように光量制御装置のアクチュエータとして用いる場合に、他のレンズや構造物に対して邪魔にならない構成を実現することができる。
【0033】
前記ステータ1の外側磁極部1a〜1dは前記マグネット5の外周面に所定の隙間をもって対向して配置される。同様に、前記ステータ7の外側磁極部7a〜7dは前記マグネット11の外周面に所定の隙間をもって対向して配置される。前記ロータ軸4の第1円柱部4a及び第2円柱部4cで第1の内側磁極部が形成される。同様に、前記ロータ軸10の第1円柱部10a及び第2円柱部10cで第2の内側磁極部が形成される。
【0034】
前記コイル2への通電により、外側磁極部1a〜1dと第1の内側磁極部が励磁され、その磁極間にはマグネット5を横切る磁束が発生し、効果的に該マグネット5に作用する。その際、外側磁極部1a〜1dと第1の内側磁極部はそれぞれ反対の極に励磁される。同様に、前記コイル8への通電により、外側磁極部7a〜7dと第2の内側磁極部が励磁され、その磁極間にはマグネット11を横切る磁束が発生し、効果的に該マグネット11に作用する。その際、外側磁極部7a〜7dと第2の内側磁極部はそれぞれ反対の極に励磁される。
【0035】
また、前記マグネット5は前記したように射出成形等により成形される円筒形状のプラスチックマグネット材料により構成されているので、円筒形状の半径方向の厚さを非常に薄くすることができるとともに、該マグネット5の内周面に対向して第1の内側磁極部を形成する前記ロータ軸4の第1円柱部4aは該マグネット5の内周面との間に空隙を設ける必要がない。そのため、第1の外側磁極部1a〜1dと第1円柱部4aとの距離を非常に小さくできる。同様に、前記マグネット11は前記したように射出成形等により成形される円筒形状のプラスチックマグネット材料により構成されているので、円筒形状の半径方向の厚さを非常に薄くすることができるとともに、該マグネット11の内周面に対向して第2の内側磁極部を形成する前記ロータ軸10の第1円柱部10aは該マグネット11の内周面との間に空隙を設ける必要がない。そのため、外側磁極部7a〜7dと第1円柱部10aとの距離を非常に小さくできる。よって、前記コイル8と前記外側磁極部1a〜1dと第1の内側磁極部とで形成される磁気回路、及び前記コイル8と前記外側磁極部7a〜7dと前記第2の内側磁極部とで形成される磁気回路の磁気抵抗を小さくすることができ、モータの出力を高めることが出来る。
【0036】
また、前記マグネット5はその内径部が前記ロータ軸4によって埋められており、前記マグネット11はその内径部が前記ロータ軸10によって埋められているので、上記特許文献4に記載されているものに比べ、マグネットの機械的強度が大きく、又前記ロータ軸4及びロータ軸10はマグネット5,11の内径部に現れるS極、N極との間の磁気抵抗を小さくするいわゆるバックメタルとして作用するので、磁気回路のパーミアンス係数は高く設定されることになり、高温下の環境で使用されても減磁による磁気的劣化も少ない。
【0037】
さらに、上記特許文献4に記載のモータはマグネットの外径部と外側磁極部の隙間を精度良く保って組み立てる必要がある他に、該マグネットの内径部に対向する位置にある内側磁極部を該マグネットに対し所定の隙間を設けて配置する必要があり、部品精度のばらつきや組み立て精度が悪い場合にこの隙間を確保できず、内側磁極部がマグネットに接触してしまうなどの不良が生じる可能性が高いが、本実施の形態では、マグネット5の外径部及びマグネット11の外径部のみの隙間を管理するだけでよいので、組み立てが容易になる。
【0038】
前記第1の駆動手段の第1の内側磁極部を形成するうちの第1円柱部4aは前記コイル2の内径よりも大きな外径を有し、前記第2の駆動手段の第2の内側磁極部を形成するうちの第1円柱部10aは前記コイル8の内径よりも大きな外径を有している(図5参照)ことで、コイルの内径を小さくして、該コイルの占有する体積を大きくしても、前記第1の駆動手段の外側磁極部1a〜1dと前記第1円柱部4aとの距離及び該第2の駆動手段の外側磁極部7a〜7dと前記第1円柱部10aとの距離を小さく構成することが可能になる。これにより、コイル側から見た磁気抵抗が小さくなるので、小さな電力によっても多くの磁束を発生させることが可能となり、駆動手段の出力を向上させることができる。
【0039】
図6〜図9は、前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段とを主たる構成要素とする駆動装置に具備されるマグネットとステータの位相関係を各動作段階で示す断面図であり、各図とも、(a)は第1の駆動手段を、(b)は第2の駆動手段を、それぞれ示している。
【0040】
図6〜図9において、第1の駆動手段のマグネット5の着磁位相とステータ1の外側磁極部1a〜1dとの関係は、第2の駆動手段のマグネット11の着磁位相とステータ7の外側磁極部7a〜7dとの関係に対して、180/N度、すなわち22.5度ずれて配置されている。これは前記マグネット5と前記マグネット11が前記駆動伝達リング14にリンク連結された状態で位相関係が互いに異なるように、前記ステータ1及び前記ステータ7がそれぞれ前記地板13の保持部13c及び保持部13dに位置決め固定される構成となっている。
【0041】
次に、前記駆動伝達リング14が前記第1の駆動手段及び前記第2の駆動手段によって駆動される様子を説明する。
【0042】
図6の状態は、第1の駆動手段のコイル2に対して正通電することにより、ステータ1の外側磁極部1a〜1dをN極とし、前記ロータ軸4の第1の内側磁極部(4a,4c)をS極とし、同時に第2の駆動手段のコイル8に対して逆通電することにより、前記ステータ7の外側磁極部7a〜7dをS極とし、前記ロータ軸10の第2の内側磁極部(10a,10c)をN極とした場合を示す。
【0043】
前記マグネット5の外周表面のS極に着磁された着磁部がステータ1の外側磁極部の中心に向かう回転力が発生する(図6の時計方向)とともに、前記マグネット11の外周表面のN極に着磁された着磁部がステータ7の外側磁極部の中心に向かう回転力が発生し(図6の反時計方向)、該マグネット5及び該マグネット11はそれぞれに固定されているロータ軸4及びロータ軸10が駆動伝達リング14を介してリンク連結されているので、図6の状態でバランスを保って静止する。この状態は、図2に示す様に光量制御装置の絞り羽根15〜20が地板13の開口部13eを開放する状態にあり、ここで、該駆動伝達リング14はリンク腕部14a及び14bが該地板13のストッパーに当接している。
【0044】
次に、図6の状態から、前記第1の駆動手段のコイル2への正通電を維持しながら、すなわち前記ステータ1の外側磁極部1a〜1dをN極とし、前記ロータ軸4の第1の内側磁極部をS極としながら、前記第2の駆動手段のコイル8への通電を正通電に切り換えると、前記ステータ7の外側磁極部7a〜7dはN極に励磁され、前記ロータ軸10の第2の内側磁極部はS極に励磁され、前記マグネット11は外周表面のS極に着磁された着磁部が前記ステータ7の外側磁極部の中心に向かう回転力が発生し、図中時計方向に回転を始める。前記マグネット5及び前記マグネット11はそれぞれに固定されている連結部材6及び連結部材12が駆動伝達リング14を介してリンク連結されているので、前記マグネット11の時計方向の回転に伴い前記駆動伝達リング14は反時計方向へと回転し、前記マグネット5は時計方向に回転する。そして、図7に示す状態でバランスを保って静止する。この状態は、図6の状態から前記マグネット5及び前記マグネット11がそれぞれ時計方向に22.5度回転した状態である。
【0045】
次に、図7の状態から、前記第2の駆動手段のコイル8への正通電を維持しながら、すなわち前記ステータ7の外側磁極部7a〜7dをN極とし、前記ロータ軸10の第2の内側磁極部をS極としながら、前記第1の駆動手段の前記コイル2への通電を逆通電に切り換えると、前記ステータ1の外側磁極部1a〜1dはS極に励磁され、前記ロータ軸4の第1の内側磁極部はN極に励磁され、前記マグネット5は外周表面のN極に着磁された着磁部がステータ1の外側磁極部の中心に向かう回転力が発生し、図中時計方向に回転を始める。前記マグネット5及び前記マグネット11はそれぞれに固定されている連結部材6及び連結部材12が駆動伝達リング14を介してリンク連結されているので、前記マグネット5の時計方向の回転に伴い前記駆動伝達リング14は反時計方向へと回転し、前記マグネット11は時計方向に回転する。そして、図8に示す状態でバランスを保って静止する。この状態は、図7の状態から前記マグネット5及び前記マグネット11がそれぞれ時計方向に22.5度回転した状態である。
【0046】
ここで、図3に示す状態、すなわち前記絞り羽根15〜20が中間絞り位置にある状態は、図7の状態と図8の状態の中間位置に対応する。
【0047】
次に、図8の状態から、前記第1の駆動手段のコイル2への逆通電を維持しながら、すなわち前記ステータ1の外側磁極部1a〜1dをS極とし、前記ロータ軸4の第1の内側磁極部をN極としながら、前記第2の駆動手段の前記コイル8への通電を逆通電に切り換えると、前記ステータ7の外側磁極部7a〜7dはS極に励磁され、前記ロータ軸10の第2の内側磁極部はN極に励磁され、前記マグネット11は外周表面のN極に着磁された着磁部が前記ステータ7の外側磁極部の中心に向かう回転力が発生し、図中時計方向に回転を始める。前記マグネット5及び前記マグネット11はそれぞれに固定されている連結部材6及び連結部材12が駆動伝達リング14を介してリンク連結されているので、前記マグネット11の時計方向の回転に伴い前記駆動伝達リング14は反時計方向へと回転し、前記マグネット5は時計方向に回転する。そして、図9に示す状態でバランスを保って静止する。この状態は図8の状態から前記マグネット5及び前記マグネット11がそれぞれ時計方向に22.5度回転した状態である。また、この状態は、図4に示す様に光量制御装置の絞り羽根15〜20が地板13の開口部13eを閉鎖する状態にあり、ここで、前記駆動伝達リング14はリンク腕部14a及び14bが前記地板13のストッパーに当接している。
【0048】
上記のようにコイル2及びコイル8への通電方向を順次切り換えていくことにより、リンク連結されている前記マグネット5、前記マグネット11、前記駆動伝達リング14は同時に回転し、通電位相に応じた位置へと順次回転することになる。ここで、マグネットの回転角は2相励磁でステップ駆動するためには少なくとも(180/N)度以上回転する必要があり、また、リンク連結により駆動伝達レバーが回転するためにはマグネットの回転角は最低でも180度未満にする必要がある。本実施形態では、開放状態から閉鎖状態までを3パルスで駆動する構成としている。すなわち、前記マグネット5及び前記マグネット11の回転角は
(180/N)×3=67.5度
としている(N=8極)。
【0049】
ここで、このような構成の駆動装置が超小型化になる上で最適な構成であることについて説明する。
【0050】
本実施の形態に係る駆動装置の基本構成について述べると、第1に、第1の駆動手段及び第2の駆動手段のマグネットを円筒形状(リング状)に形成していることであり、第2に、第1の駆動手段及び第2の駆動手段のマグネットの外周面及び内周面を周方向にN分割して異なる極に交互に着磁していることであり、第3に、第1の駆動手段及び第2の駆動手段ともに軸方向にコイルとマグネットを順に配置していることであり、第4に、第1の駆動手段及び第2の駆動手段の外側磁極部を軸と平行方向に延出する歯により構成していることであり、第5に、第1の駆動手段及び第2の駆動手段ともにコイルにより励磁されるステータの外側磁極部をマグネットの外周面に対向させ、コイルにより励磁されるロータ軸の内側磁極部をマグネットの内周面に密着固定させていることであり、第6に、第1の駆動手段及び第2の駆動手段とをそれぞれの回転軸の方向が平行になるように配置していることであり、第7に、第1の駆動手段のマグネットと第2の駆動手段のマグネットを駆動伝達リングを介して連結していることである。
【0051】
その他、上記の第1の駆動手段及び第2の駆動手段の径は、マグネットの径にステータの磁極を対向させるだけの大きさがあればよく、また、第1の駆動手段及び第2の駆動手段の軸方向の長さはマグネットの長さにコイルの長さを加えた程度の長さがあれば良いことになる。このため、第1の駆動手段及び第2の駆動手段の大きさは、マグネット及びコイルの径と長さによって決まるもので、該マグネット及びコイルの径と長さをそれぞれ非常に小さくすれば、第1の駆動手段及び第2の駆動手段を超小型にすることができるものである。
【0052】
また、前記地板13の開口部13eを遮らないように第1の駆動手段及び第2の駆動手段を配置してあるが、それらの直径を最小限に抑えることができることで、光量制御装置そのものの直径も小さく抑えることができる。
【0053】
また、第1の駆動手段及び第2の駆動手段を回転軸方向に平行に配置していることで、絞り羽根を駆動するアクチュエータとして光軸と平行方向に関して短く、他のレンズや構造物に対して邪魔にならないように構成できる。
【0054】
また、第1の駆動手段のマグネットと第2の駆動手段のマグネットを、駆動伝達リングを介して連結していることで、双方向の回転が可能な駆動装置とすることが可能となる。
【0055】
また、第1の駆動手段及び第2の駆動手段ともに、その構成要素であるマグネットを射出成形等により成形される円筒形状のプラスチックマグネット材料により構成することで円筒形状の半径方向の厚さを非常に薄くすることができるとともに、前述したように内側磁極部(ロータ軸)はマグネットの内周面との間に空隙を設ける必要がないので外側磁極部部と内側磁極部との距離を非常に小さくできる。よって、コイルと外側磁極部と内側磁極部とで形成される磁気回路の磁気抵抗を小さくすることができ、モータの出力を高めることが出来る。
また、第1の駆動手段及び第2の駆動手段ともに、その構成要素であるマグネットはその内径部がロータ軸によって埋められているので該マグネットの機械的強度が大きく、またロータ軸はバックメタルとして作用するので該マグネットの磁気的劣化も少ない。
【0056】
さらに、第1の駆動手段及び第2の駆動手段ともに、その構成要素であるマグネットの外径部のみの隙間を管理するだけでよいので組み立てが容易になる。
【0057】
更に、第1の駆動手段及び第2の駆動手段ともに、内側磁極部はロータ軸で構成してあるので、上記特許文献4に示される外側磁極部と内側磁極部とを接続或いは一体的に製造する場合に比べて容易に製造でき、コストが安くなる。
【0058】
更に又、前記マグネット5の着磁位相と前記ステータ1の外側磁極部1a〜1dとの関係は、前記マグネット11の着磁位相と前記ステータ7の外側磁極部7a〜7dとの関係に対して180/N度、すなわち「N=8」とした本実施形態では22.5度ずれて配置する必要がある。そこで、前記連結部材6と前記駆動伝達リング14、及び、前記連結部材12と該駆動伝達リング14をリンク連結するだけで位相関係が180/N度ずれて配置されるように、前記ステータ1及び前記ステータ7が前記地板13の保持部13c及び保持部13dに位置決め固定される構成にしている。これにより、組み立て時に着磁位相合わせの必要がなくなり、組み立て作業効率が一段と高まる。
【0059】
次に、本発明と上記実施の形態との対応について説明する。
【0060】
上記実施の形態において、図1〜図9のマグネット5が本発明の第1のマグネットに相当し、図1〜図5のロータ軸4が本発明の第1のロータ軸に相当し、図1,図5のコイル2が本発明の第1のコイルに相当し、図1,図2及び図6〜図9のステータ1及びロータ軸4(第1円柱部4a及び第2円柱部4c)が本発明の第1のステータに相当し、図1,図5,図6〜図9のマグネット11が本発明の第2のマグネットに相当し、図1〜図5のロータ軸10が本発明の第2のロータ軸に相当し、図1、図5のコイル8が本発明の第2のコイルに相当し、図1、図5,図6〜図9のステータ7及びロータ軸10(第1円柱部10a及び第2円柱部10c)が本発明の第2のステータに相当し、図1〜図5の駆動伝達リング14が本発明の出力手段に相当し、図1〜図5の絞り羽根15,16,17,18,19,20が本発明の羽根部材に相当する。
【0061】
以上が実施の形態の各構成と本発明の各構成の対応関係であるが、本発明はこれら実施の形態に限定されるものではなく、請求項で示した機能、又は実施の形態がもつ機能が達成できる構成であればどのようなものであっても良いことは言うまでもない。
【0062】
次に、本発明に係る変形例について説明する。
【0063】
上記実施の形態においては、第1の駆動手段の連結部材と駆動伝達リングとの連結および第2の駆動手段の連結部材と駆動伝達リングとの連結をリンク連結で構成したが、ギアによる連結で構成してもよい。その場合、それぞれの連結部材にギア部を備え、駆動伝達リングにもそれぞれの連結部材に噛み合うギア部を備える構成とすればよい。
【0064】
また、第1の駆動手段及び第2の駆動手段によって構成される駆動装置は絞り羽根を駆動するためのアクチュエータとして用いたが、他の用途、例えばレンズ駆動のためのカム筒等を回転させる等にも使用可能であり、高出力で直径が小さく、かつ、軸方向の長さも短いという利点を持った駆動装置として有用なものとなる。
【0065】
最後に、請求項1に記載の発明以外の本発明に係る駆動装置や該駆動装置を用いる光量制御装置の実施態様およびその効果を以下に列挙する。
【0066】
(実施態様1) 周方向に分割して異なる極に交互に着磁された円筒形状の第1のマグネット、該第1のマグネットの軸方向に配置される第1のコイル、該第1のコイルの内径部に所定の間隔をもって配置され、かつ前記第1のマグネットの内径部に固定されて一体で回転可能な軟磁性材料からなる第1のロータ軸、および、前記第1のマグネットの外周面に対向するとともに前記第1のコイルにより励磁される磁極部を具備する第1のステ−タを備えた第1の駆動手段と、周方向に分割して異なる極に交互に着磁された円筒形状の第2のマグネット、該第2のマグネットの軸方向に配置される第2のコイル、該第2のコイルの内径部に所定の間隔をもって配置され、かつ前記第2のマグネットの内径部に固定されて一体で回転可能な軟磁性材料からなる第2のロータ軸、および、前記第2のマグネットの外周面に対向するとともに前記第2のコイルにより励磁される磁極部を具備する第2のステ−タとを備え、回転軸の方向が、前記第1の駆動手段の回転軸の方向と平行になるように配置される第2の駆動手段と、前記第1のマグネットと前記第2のマグネットとに連結して回転し、該回転出力を被駆動部材に伝達する出力手段と、該出力手段の回転出力が伝達されることにより開閉して、通過光量を制御する羽根部材とを有する光量制御装置。
【0067】
(実施態様2) 周方向に分割して異なる極に交互に着磁された円筒形状の第1のマグネット、該第1のマグネットの軸方向に配置される第1のコイル、該第1のコイルの内径部に所定の間隔をもって配置されるとともに前記第1のマグネットの内径部に固定され、かつ内側磁極を兼ねる、前記第1のマグネットと一体で回転可能な軟磁性材料からなる第1のロータ軸、および、前記第1のマグネットの外周面に対向するとともに前記第1のコイルにより励磁される外側磁極部を具備する第1のステ−タを備えた第1の駆動手段と、周方向に分割して異なる極に交互に着磁された円筒形状の第2のマグネット、該第2のマグネットの軸方向に配置される第2のコイル、該第2のコイルの内径部に所定の間隔をもって配置されるとともに前記第2のマグネットの内径部に固定され、かつ内側磁極を兼ねる、前記第2のマグネットと一体で回転可能な軟磁性材料からなる第2のロータ軸、および、前記第2のマグネットの外周面に対向するとともに前記第2のコイルにより励磁される外側磁極部を具備する第2のステ−タを備えた第2の駆動手段と、前記第1のマグネットと前記第2のマグネットに連結して回転し、該回転出力を被駆動部材に伝達する出力手段とを有し、前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段とを、それぞれの回転軸の方向が平行になるように配置したことを特徴とする駆動装置。
【0068】
上記構成によれば、第1の駆動手段及び第2の駆動手段の外径は、マグネットの径にステータの磁極を対向させるだけの大きさがあればよく、又平行に配置される第1の駆動手段及び第2の駆動手段の軸方向の長さは、マグネットの長さにコイルの長さを加えた程度にできる。
【0069】
また、前記第1のマグネットの内周面に固定された前記第1のロータ軸の、前記第1のステータの外側磁極部と対向する一部分が内側磁極部をなし、前記第1のコイルにより発生する磁束は前記第1のステータ外側磁極部と前記第1のロータ軸の前記内側磁極部との間を通過するので、効果的にマグネットに作用する。その際、前記内側磁極部は前記第1のマグネットの内周面との間に空隙を設ける必要がない。同様に、前記第2のマグネットの内周面に固定された前記第2のロータ軸の、前記第2のステータの外側磁極部と対向する一部分が内側磁極部をなし、前記第2のコイルにより発生する磁束は前記第2のステータ外側磁極部と前記第2のロータ軸の前記内側磁極部との間を通過するので、効果的にマグネットに作用する。その際、前記内側磁極部は前記第2のマグネットの内周面との間に空隙を設ける必要がない。したがって、上記特許文献4に記載のものに比べて外側磁極部と内側磁極部との距離を小さく構成することが可能となり、これにより磁気抵抗を減少させ、出力を高めることが出来る。
【0070】
また、前記各内側磁極部は前記第1,第2のロータ軸の一部分(第1,第2のマグネットが固定されて接する面側)で構成してあるので、上記特許文献4に記載のように外側磁極部と内側磁極部とを接続或いは一体的に製造する場合に比べて容易に製造でき、コストが安くなる。
【0071】
また、前記第1のマグネット及び前記第2のマグネットはそれぞれ内径部に前記第1のロータ軸及び前記第2のロータ軸が固定されるので、強度的に優れる。
【0072】
(実施態様3) 前記第1のマグネットと前記第2のマグネットとが前記出力手段を介して連結されている状態において、前記第1のマグネットの極と前記第1のステータの外側磁極部との位相関係と、前記第2のマグネットの極と前記第2のステータの外側磁極部との位相関係とが互いに異なる状態になるようにした実施態様2に記載の駆動装置。
【0073】
上記構成によれば、両コイルの通電タイミングを制御することで双方向の回転が可能な駆動伝達装置とすることができる。
【0074】
(実施態様4) 実施態様2又は3に記載の駆動装置と、前記出力手段の回転出力が伝達されることにより開閉して、通過光量を制御する羽根部材とを有する光量制御装置。
【0075】
上記構成によれば、光軸と平行方向の長さが短く、小型化に出来ることから、羽根部材へ光束を導く光学系や構造部材に対して邪魔することなく、前記羽根部材を駆動する駆動装置の配置とした光量制御装置とすることができる。
【0076】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、軸方向の長さを小さくすることができ、かつ出力を向上させることができる、安価で小型の駆動装置を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る光量制御装置の分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係る光量制御装置の羽根が開放状態にある時の正面図である。
【図3】本発明の実施の一形態に係る光量制御装置の羽根が開放状態と閉鎖状態の中間の状態にある時の正面図である。
【図4】本発明の実施の一形態に係る光量制御装置の羽根が閉鎖状態にある時の正面図である。
【図5】図3のA−A断面図である。
【図6】本発明の実施の一形態に係る第1の駆動手段と第2の駆動手段とからなる駆動装置のマグネットとステータの位相関係を示す断面図である。
【図7】図6の状態からコイル通電を切り換えて各マグネットを22.5度回転させた状態を示す断面図である。
【図8】図7の状態からコイル通電を切り換えて各マグネットをさらに22.5度回転させた状態を示す断面図である。
【図9】図8の状態からコイル通電を切り換えて各マグネットをさらに22.5度回転させた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ステ−タ
2 コイル
3 ボビン
4 ロータ軸
5 マグネット
6 連結部材
7 ステータ
8 コイル
9 ボビン
10 ロータ軸
11 マグネット
12 連結部材
13 地板
14 駆動伝達リング(出力手段)
15〜20 絞り羽根(羽根部材)
21 羽根押え板
Claims (1)
- 周方向に分割して異なる極に交互に着磁された円筒形状の第1のマグネットと、該第1のマグネットの軸方向に配置される第1のコイルと、該第1のコイルの内径部に所定の間隔をもって配置され、かつ前記第1のマグネットの内径部に固定され、一体で回転可能な軟磁性材料からなる第1のロータ軸と、前記第1のマグネットの外周面に対向するとともに前記第1のコイルにより励磁される磁極部を具備する第1のステ−タとを備えた第1の駆動手段と、
周方向に分割して異なる極に交互に着磁された円筒形状の第2のマグネットと、該第2のマグネットの軸方向に配置される第2のコイルと、該第2のコイルの内径部に所定の間隔をもって配置され、かつ前記第2のマグネットの内径部に固定されて一体で回転可能な軟磁性材料からなる第2のロータ軸と、前記第2のマグネットの外周面に対向するとともに前記第2のコイルにより励磁される磁極部を具備する第2のステ−タとを備えた第2の駆動手段と、
前記第1のマグネットと前記第2のマグネットとに連結して回転し、該回転出力を被駆動部材に伝達する出力手段とを有し、
前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段とを、それぞれの回転軸の方向が平行になるように配置したことを特徴とする駆動装置。
Priority Applications (1)
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2003
- 2003-03-31 JP JP2003094051A patent/JP2004304907A/ja active Pending
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