JP2004303922A - 積層型電子部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高品質の積層型電子部品の量産性を高める。
【解決手段】絶縁体層11および内部導電体層10が複数積層して成る積層体14に対するエッチング処理で内部導電体層10を所定パターンに形成するエッチング工程を含む積層型電子部品の製造方法において、積層体14は、相対向する両側面それぞれに内部導電体層10が露出されるとともに、エッチング工程は、少なくとも一対の積層体14,14を側面同士が所定間隔隔てられて対向するように配置した状態で電解液に浸漬してエッチング処理を行う。
【選択図】 図8
【解決手段】絶縁体層11および内部導電体層10が複数積層して成る積層体14に対するエッチング処理で内部導電体層10を所定パターンに形成するエッチング工程を含む積層型電子部品の製造方法において、積層体14は、相対向する両側面それぞれに内部導電体層10が露出されるとともに、エッチング工程は、少なくとも一対の積層体14,14を側面同士が所定間隔隔てられて対向するように配置した状態で電解液に浸漬してエッチング処理を行う。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばコンデンサやバリスタなどの積層型電子部品の製造方法に関し、特に、その内部導電体層のパターンを形成することを主とした積層型電子部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の積層型電子部品の製造方法は、特開平3−124011号公報に開示されているように、まず、誘電体シート上に電極パターンを形成した内部電極層を積層した積層体を位置合わせしながら複数層積層することによって積層体を形成していた。
【0003】
そして、得られたこの積層体を厚み方向にプレスして圧着した後、所定の大きさに切断し、この切断した積層体を脱脂焼成した後、外部電極を形成して積層型電子部品を製造していた。
【0004】
したがって、従来の製造方法においては、積層方向で絶縁体層(一例として誘電体層)を間において積層される内部電極層同士が、層を成す面における中央寄り部分で積層方向に対向し、周辺部分で外部電極と接続するよう互いに反対の端縁まで延設される状態、すなわち交互に異なる電極パターンを形成する状態で内部導電体層を積層していた。
【0005】
このため、積層されて得られた積層体は、内部導電体層の積層数が中央部分に比して周辺部分では少なくなるので、内部導電体層の厚み分の差による段差が積層体に生じ、周辺部分より中央部分の厚みが大きくなる傾向があった。
【0006】
積層数が少ないときは特に問題ないが、例えばコンデンサの容量を増やすなど、電気的性能の向上を図るため積層数がかなり多くなると、絶縁体層が薄層化していることもあって、厚み分の段差が原因で、積層工程やプレス工程のときに絶縁体シートや内部導電体層が変形したり、プレス工程のときに圧力差が生じて接着不良を起こすおそれが高くなった。また、内部にボイドが発生するなど、品質不良を招くおそれが高くなった。
【0007】
また、導電体パターンを形成した内部導電体層を積層するために、内部導電体のパターニングをスクリーン印刷で行う場合には、品種ごとに版を作成する必要があり、パターニングされた内部導電体を積層する場合には、高精度の位置合わせが必要で積層工程が複雑になった。また、積層工程において内部導電体パターンの位置ずれが生じるため、一つの積層体から切り分けて複数個の積層型電子部品を製造する場合には、その切断のために、内部導電体のパターンのずれを許容する余分の寸法を設定しなければならず、単位体積当たりの容量等の特性が低下する要因となっている。
【0008】
上記問題を解決する方法として、エッチングにより内部導電体のパターンを形成する方法が知られている(特許文献1,2参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平6−283371号公報(全頁、全図)
【特許文献2】
特開平2−224311号公報(全頁、全図)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示された製造方法は、電子部品単体の製造方法であり、実際に電子部品の量産を行うにあたっては部品1つ1つをハンドリングし、かつ、エッチングのための配線をした後、エッチングを行わなければならないという作業性の悪さがあり、そのため高コストとなる。
【0011】
特許文献2に開示された製造方法は、エッチングにより内部導電体のパターン形成を行い、なおかつ複数の電子部品についてそのパターン形成を行う方法である。しかしながら、この場合、部品の対向する両端面に露出させた内部導電体を選択的にエッチングするのに、一方の端面側について電解液に浸してエッチングした後、部品を反転させて他方の端面側を電解液に浸してエッチングする方法であるから、部品を反転させる工程が必要であることで工程数が多くなり、作業効率の点で量産性に限界があるなどの問題がある。
【0012】
さらに、量産にあたっては被加工物(電子部品単体や棒状の積層体ブロック)を電解液槽内に敷き詰めた状態にしてエッチングすることが考えられるが、その場合、電解時の電流密度の違いや電解液の局所的な濃度分布の違いによって、エッチング精度にばらつきが生じるなどの問題がある。
【0013】
そこで、本発明は、高品質の積層型電子部品を量産性高く製造できる製造方法の提供を解決すべき課題としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、絶縁体層および内部導電体層が複数積層して成る積層体に対するエッチング処理で前記内部導電体層を所定パターンに形成するエッチング工程を含む積層型電子部品の製造方法において、前記積層体は、相対向する両側面それぞれに前記内部導電体層が露出されるとともに、前記エッチング工程は、少なくとも一対の前記積層体を前記側面同士が所定間隔隔てられて対向するように配置した状態で電解液に浸漬してエッチング処理を行うことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る積層型電子部品の製造方法によれば、積層型電子部品の素材となる積層体についてその内部導電体層をエッチングにより所定パターンに形成する際に、少なくとも一対の積層体が、エッチングを施したい内部導電体層の露出した側面同士を対向させた状態でその側面同士が所定間隔隔てられて対向するように配置されて電解エッチングすることから、積層体のエッチングしたい面の片面づつエッチングするものでなく、積層体の両側面とも電解液に浸漬させたままエッチング処理できる。また、単一の積層体についてのみエッチングするのでなく、少なくとも一対の積層体、すなわち複数の積層体について、電解液に浸漬された状態で、隣合う積層体間の間隙に電解液が浸透しやすくなっていることで、エッチング箇所での電解液濃度分布が大きく変動しないようにできるとともに、適正な電解液濃度分布に維持できるものとなっている。したがって、エッチングの進行にかかわらず電解液の濃度分布が大きく偏ることがないため、全体的に精度良くエッチングでき、高品質の積層型電子部品を量産することができ、その積層型電子部品の製造コストの低下を図ることができる。
【0016】
本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、マザー積層体に対して積層方向に所定深さでかつ所定幅の溝を幅方向に所定間隔隔てて所定数形成することにより、前記各溝の深さ方向に沿った互いに対向する側面のそれぞれに前記内部導電体層が露出される前記積層体が複数形成され、前記エッチング工程では、前記各溝内に電解液を浸入させて前記露出状態の内部導体層に対してエッチング処理することが好ましい。ここで、マザー積層体とは、分割することにより複数の積層体を得ることのできるもとの積層体のことをいう。
【0017】
この場合、マザー積層体に溝を形成することでエッチング処理するための積層体が所定間隔をおいて複数配置されたものが得られるので、独立した積層体を所定間隔をおいて複数配置するものに比して、各積層体が一定状態に配置された状態でまとめて取り扱えることになる。このため、エッチング処理時などにおいて、電解液に積層体を浸漬させたり電圧印加させたりするときの作業性が向上する。
【0018】
本発明に係る積層型電子部品は、前記マザー積層体は前記内部導電体層が平面方向で一側とその反対側との一方にずらした状態で積層されたものであり、前記マザー積層体の下端部に隣り合う前記積層体同士がつながるつながり部分を残した状態で前記溝を形成するとともに、前記エッチング工程は、前記電解液に前記マザー積層体を浸漬させた状態で、前記内部導電体層のうち一側にずれた内部導電体層群を先に選択して電圧印加によりエッチングした後、反対側にずれた内部導電体層群を選択して電圧印加によりエッチングすることが好ましい。
【0019】
この場合、マザー積層体に溝を形成することでエッチング処理するための積層体が所定間隔をおいて複数配置されたものが得られるので、独立した積層体を所定間隔をおいて複数配置するものに比して、各積層体が一定状態に配置された状態でまとめて取り扱えることになる。また、各積層体ごとにエッチング用の電圧印加を行うための制御が各積層体ごとにまとめてできるので、各積層体の内部導電体層に対するエッチング処理が簡易に行え、積層型電子部品の量産性が高められる。
【0020】
本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、前記マザー積層体は、前記絶縁体層が誘電体により成るとともに、前記内部導電体層が平面方向での一側とその反対側とに互い違いにずらした状態で順次積層されたものであることが好ましい。この場合、複数の積層型電子部品において積層形成される上下の各内部導電体層について所望の異なるパターンの形成を一度に行うことができ、製造コストの低下を図ることができる。
【0021】
本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、前記マザー積層体は、前記内部導電体層の横側における前記内部導電体層の欠如部分を充填材で埋めて厚み調整されていることが好ましい。この場合、充填材によって厚み調整されていることにより、位置ずれさせた状態で内部導電体層が積層されることで内部導電体層がずれて欠如している箇所についてもマザー積層体全体としての厚みが一定とすることができるから、充填材で厚み調整されていないもののように多数層積層した状態でのマザー積層体が内部導電体層の位置する箇所で厚くなり他の箇所では薄くなるような段差形状となるという不具合、具体的にはその段差があると積層時の圧着不良や不当な変形の生じるという不具合発生のおそれがあるが、そのような問題を解消できる。
【0022】
本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、前記積層体は、前記絶縁体層が誘電体により成るとともに、前記内部導電体層が平面方向での一側とその反対側とに互い違いにずらした状態で順次積層されたものであり、独立した複数の前記積層体を、互いの前記側面同士が所定間隔隔てて対向するように配置した状態で電解液に浸漬することが好ましい。この場合、複数の独立した積層体について一度にエッチング処理することができる。
【0023】
本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、前記内部導電体層を互い違いにずらす方向での前記各積層体における両端面には、前記内部導電体層が露出され、この露出した前記内部導電体層に接続させて外部側導電体を前記両端面にそれぞれ形成し、該外部側導電体を介して前記エッチング用の電圧印加を行うことが好ましい。この場合、複数の積層体のそれぞれについて設けられた外部側導電体を通して、エッチングしたい内部導電体層を選択して電圧印加することにより、所望の内部導電体層についてパターン形成できる。また、内部導電体層は薄いものであるため、エッチング用の電圧印加を行うプローブ端子を直接内部導電体層に確実に接触させることが困難であるが、外部導電体層と所望の各内部導電体層とが接続された状態では外部導電体層に対して電圧印加するだけで各内部導電体層に対して電圧印加することができる。
【0024】
本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、前記エッチング工程は、隣合う前記積層体における前記内部導電体層の露出した側面同士を対向させた状態で、互いに相対向する前記内部導電体層の一方をエッチング時の陰極とし、他方をエッチング時の陽極とすることが好ましい。この場合、エッチングする際の陰極と陽極との間隔がその対向する全ての内部導電体層間でほぼ一定のものにできるため、エッチング時の電流密度が各内部導電体層に対して均一化できることによりエッチング精度を向上させることができる。また、そのような内部導電体層同士が対向するものでは電極として機能する各内部導電体層の電極有効面積の精度が良いものとなり、積層コンデンサなどの場合、容量ばらつきが少ない状態で量産することができる。また、エッチング精度が向上することにより、有効電極面積をより大きく設定することができるので、同一のサイズでも特性をより向上させた積層型電子部品とすることができる。
【0025】
本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、前記積層体が複数個互いに所定間隔隔てて並列配置された状態で、その並列した順に前記積層体の3つを一組とする積層体群を仮想的に設定するとともに、該積層体群における中央の積層体に対するエッチング用の電圧印加は前記内部導電体層が陰極となるようにし、前記積層体群における残りの2つの積層体に対するエッチング用の電圧印加は前記内部導電体層が陽極となるようにし、前記エッチング工程では、1回目の電圧印加において、互い違いにずらした前記内部導電体層のうち一方にのみ電圧印加し、2回目の電圧印加において、前記積層体群を1回目の電圧印加時の状態から並列配置された一つの積層体分所定方向にずらした状態に仮想的に設定しなおし、互い違いにずらした前記内部導電体層のうち他方のみ電圧印加し、3回目の電圧印加において、前記積層体群を1回目の電圧印加時の状態から並列配置された二つの積層体分前記所定方向にずらした状態に仮想的に設定しなおし、前記1回目および2回目の電圧印加において陰極としていた積層体の内部導電体に対してエッチングを行うように電圧印加することが好ましい。この場合、陰極と対向する陽極である内部導電体層のみエッチングされるため、一層おきの対向電極形成が効率良く行える。また、電圧の印加する切り換えも3回行うだけで全体におけるエッチング作業が完了するため製造効率の向上も図ることができる。
【0026】
本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、前記エッチング工程において、隣合う積層体間に電解エッチング用の電極を配置した状態で各積層体の導電体層に対するエッチングを行うことが好ましい。この場合、複数の積層体の内部導電体層に対して同時にしかも均一にエッチングすることができる。
【0027】
本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、前記エッチング工程では、電解液を流動させながらエッチング処理することが好ましい。この場合、積層体同士が所定間隔の隙間を隔てて配置されたその隙間中に浸透した電解液についても流動させられることになるから、電解エッチング時のエッチング箇所における局所的な濃度分布の違いが生じないようにでき、これによりエッチング精度を高くできる。
【0028】
本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、前記エッチング工程では、pH緩衝剤を含んだ電解液を使用することが好ましい。この場合、pH緩衝剤によって電解液のpHの局所的な変動などを抑制できるから、電解エッチング時のエッチング箇所における局所的な濃度分布の違いが生じないようにでき、これによりエッチング精度を高くできる。
【0029】
本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、前記エッチング工程の後の工程には、エッチングされた箇所に封止材を封止する封止工程と、前記積層体をチップ部品サイズに切断することにより複数のチップ部品部材に分割する切断工程と、所定の前記内部導電体層に外部電極を形成する外部電極形成工程とを有することが好ましい。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を図面に示す実施の形態に基づいて説明する。図1は、積層チップコンデンサの製造工程を概略的に示す流れ図、図2は、図1の工程において積層体を積層形成するための基材のシートを示す説明図、図3は、図1の工程において積層体を積層形成する様子を示す断面側面図、図4は、図1の工程において得られたマザー積層体(グリーン積層体)の積層後カットしただけの状態を(a)に示し、カット後プレスして整形した状態を(b)を示す側面図、図5は、図1の工程において整形された状態のマザー積層体を示す側面図、図6は、図1の工程においてエッチング用の電極をマザー積層体に設けた状態を示す断面側面図、図7は、図1の工程においてマザー積層体にエッチング用の溝を形成したものを示す平面図(a)、この平面図(a)のB−B矢視断面図(b)、正面図(c)、図8は、図1の工程において電解エッチングの様子を示す概略平面図、図9は、図1の工程において電解エッチングの様子を示す概略説明図、図10は、図1の工程において電解エッチング後チップ部品の単体となる単位積層体を形成するためのカットの状態を示す平面図(a)と正面図(b)、図11は、図1の工程においてマザー積層体の各溝などに充填材を充填した状態を示す断面図、図12は、図1の工程においてマザー積層体から単位積層体を分割する様子を示す断面図である。
【0031】
積層型電子部品の一例として積層チップコンデンサの製造方法の一実施の形態をその工程に従って説明する。図1には、積層チップコンデンサの製造工程が概略的に示されている。なお、製造工程には図示していない工程も含まれている。
【0032】
まず、セラミック材料からなる絶縁体層として誘電体層を形成するため、誘電体材料の調合・分散を行う。この工程はチタン酸バリウムを主成分とする粉末材料を有機溶媒、有機バインダと共に調合分散し、セラミックスラリーを作製する工程である。
【0033】
次に、誘電体シートを成形する。この工程は、上記工程で得られたセラミックスラリーを、ダイコータなどで長尺のキャリアフィルム上に所要厚さ(例えば乾燥後の厚みが1μm)で連続的に塗工して膜状の誘電体シートを作製する工程である(図1のステップS1参照)。この誘電体シートは乾燥工程を経てキャリアフィルムと共にロールに巻きつけられる。キャリアフィルムとしてはPETフィルムが用いられる。
【0034】
また、別工程で、内部導電体層を形成するための材料の調合・分散を行う。この工程は、ニッケルの粉末材料を有機溶媒・有機バインダとともに調合分散し、導電体スラリーを作製する工程である。
【0035】
次に、この導電体スラリーを、ダイコータなどで先の誘電体シート上に所要厚さ(例えば乾燥後の厚みが1μm)で連続的に塗工して膜状の導電体シートを形成する。この塗工の後乾燥する。なお、図2を参照して、誘電体シート1の横幅に対して導電体シート2の横幅は小さく設定してあり、誘電体シート1の幅方向での中心位置と導電体シート2の幅方向での中心位置とが一致するように積層形成している。図2に例示しているシートの場合、誘電体シート1がキャリアフィルム3の全幅にわたり形成され、導電体シート2(図2においてスクリーントーンで示されている)はその幅方向中心位置がキャリアフィルム3の幅方向中心位置と一致するように形成されている。このように導電体シート2が形成されることによって、その導電体シート2が積層チップコンデンサの内部電極として用いられるように成形されることになる(図1のステップS2参照)。さらに、誘電体シート1において導電体シート2が形成されていない箇所と導電体シート2が形成されている箇所とでその厚みが全幅で一致したものとなるよう、導電体シート2の横脇にもさらに誘電体を膜状に塗工し、乾燥する。この導電体シート2が積層された誘電体シート1はキャリアフィルム3と共にロール5に巻きつけられる。
【0036】
次に、図2および図3を参照して、上記のように誘電体シート1および導電体シート2がキャリアフィルム3上に積層されたシート4を2つ用意し、それぞれロール5,5から繰り出しながら、誘電体シート1および導電体シート2は大径のロール6に積層されていくとともに、キャリアフィルムは積層されないよう剥離して別のロール7,7に巻き取られる。このとき、一方の誘電体シート1および導電体シート2と他方の誘電体シート1および導電体シート2とは交互に積層されるものとなっているとともに、それぞれ圧着ロール8で積層方向で加圧しながら(同時に加熱も行なう)ロール6に積層されながら巻きつけられる。この交互に行われる積層は、導電体シート2が横幅方向で一側に位置ずれしている状態とそれとは反対側に位置ずれしている状態とに互い違いに積層される。詳述すると、図3において、左に位置するロール5から繰り出されて大径ロール6に積層される誘電体シート1と、右に位置するロール5から繰り出されて大径ロール6に積層される誘電体シート1とがあり、左から繰り出されるシート4を仮にA層用シートとし、右から繰り出されるシート41を仮にB層用シートとすると、このA層用シートに対してB層用シートは導電体シート位置が横一側に所定距離ずれた状態で積層されるように設定している。したがって、A層用シートのすぐ上にはB層用シートが積層され、B層用シートのすぐ上にはA層用シートが積層されるようにそれぞれ交互に積層されるから、導電体シート2の最下層から数えて奇数層に積層される導電体シート群と、偶数層に積層される導電体シート群とがそれぞれ左右に所定距離位置ずれした状態で交互に積層されたものとなっている。この積層工程により、脱脂・焼成前のグリーン積層体9が形成されることになる(図1におけるステップS3参照)。
【0037】
次に、上記積層形成されたグリーン積層体9を大径ロール6から外して、図4(a)に示すように、周方向8分の1づつカットするとともに、そのカットされたままでは円弧状となっているグリーン積層体9を平面視矩形の直方体状に修正するようにプレスする(図4(b)、図1のステップS4参照)。ここで、このグリーン積層体9はマザー積層体を構成するものである。また、このグリーン積層体9の導電体シート2の位置ずれ方向での両端における側面において各側面側に延びるように位置ずれした導電体シート2が外部に露出するように所定位置で切断する。この切断位置は、図2において、2点鎖線で示す位置に相当する。なお、積層前のシート4の状態で予めこの切断を行っておいて積層するようにしてもよい。
【0038】
こうして得られたグリーン積層体9は、図5を参照して、左右幅方向で導電体シート2でなる導電体層10が右方に位置ずれしたものと左方に位置ずれしたものとが交互に積層され、その位置ずれした側の側面9A,9Bにおいて導電体層10が外部に露出している。また、前述したように導電体シート2の横脇の導電体層10の形成されない箇所にも誘電体層11を設けて横幅方向で一定厚みになるようにしているからプレスした後でもグリーン積層体9は中央部分が端より膨らむことがないようになっている。なお、各図においては、導電体層10や誘電体シート1からなる絶縁体層としての誘電体層11が数層のものを示しているが、実際には各層10,11が数十、数百層形成されているのであって、理解しやすいよう数少なく図示しているに過ぎない。
【0039】
次に、図6を参照して、グリーン積層体9において、導電体層10を交互に位置ずれさせた方向での側面9A,9Bの全面それぞれにニッケルの電極12,12を例えば浸漬塗工などによりコーティングする(図1のステップS5参照)。これにより、側面9A,9Bのそれぞれにおいて外部に露出している導電体層10と電極12,12とが電気的に接続される。ここで、電極12,12は外部側導電体であり、この場合膜状に形成されている。
【0040】
なお、焼成後に導電体層を電解エッチングにより除去する場合は、焼結することによって導電体となるものを用いてもよい。
【0041】
次に、グリーン積層体9を図示しない保持用の治具上に載置保持し、図7(a),(b),(c)を参照して、前後方向で所定幅の積層体が得られるようにダイサにより左右方向に沿った所定幅の溝13…を下端部でかつ左右両端部の誘電体層11のみ残す状態で、所定間隔おきに形成する(図1のステップS6参照)。したがって、溝13は、グリーン積層体9の側面9A,9B近くの下端部のみ残す状態でグリーン積層体9を上下に貫通するように形成されている。このように複数の溝13…が形成されることによって、グリーン積層体9は、前記下端部のみでつながる直方体を成す積層体14が前後に複数個形成されたものに加工される。積層対14同士を下端部でつながるようにした部分35がつながり部分に相当する。各溝13…は、導電体層10を電解エッチングにより除去することで所望のパターンに形成する際に電解液が浸透できるようにするための溝である。また、各電極12,12についても、各積層体14ごとに分離されたものとなるようダイサによりカットされる。この溝13の両側面が隣合う積層体14,14同士の対向する面となっており、各積層体14においてはその面がエッチングしようとする内部導電体層10が外部に露出する側面となっている。
【0042】
次に、治具に保持された状態でグリーン積層体9は、脱脂および焼成される(図1のステップS7参照)。
【0043】
次に、各積層体14の導電体層10について電解処理によって所定パターンを形成する(図1のステップS8参照)。詳述すると、その電解エッチングを行うための直流電圧を各積層体の両端の電極12,12に印加する制御を行う制御装置15を用意するとともに、電解液にさらされることなく各電極12を制御装置15に電気的に接続する電極16を各電極12それぞれに装着する。その状態で、電解液を満たした電解槽17にグリーン積層体9を全体的に浸漬する。ここで、電解液は、塩化ニッケルの水溶液である。この電解液には、電解液のpH緩衝剤として、局所的なpH値の上昇を抑制するためのホウ酸と、電解液の電導率を一定に維持したままニッケルイオン(Ni2+)濃度を低下させる機能を有する塩化カリウムとが混合されている。その電解液中における塩化ニッケル、塩化カリウム、ホウ酸の各濃度は、例えば、0.025mol/l、0.075mol/l、0.3mol/lである。
【0044】
また、電解槽17内の電解液の対流を促進するため、電解液は図示しない超音波洗浄機から発生される超音波によってその流動性が高められている。これによって、溝13内に浸入している電解液が流動して入れ替わり易くなっている。溝13の奥まった箇所では電解液の流動がないとエッチングに伴ない水酸化物の発生などによりエッチングが進行しにくくなり全体として均一にエッチングできなくなるおそれがあるが、電解液を流動させることにより均一にエッチングできる。
【0045】
この電解エッチングを行うときに、前後方向に並んだ各積層体14のうち隣り合うもの同士は、お互いの導電体層10,10が溝13を間に対向して位置するものとなっているので、エッチングしたい側の導電体層10を陽極とし、それと対向する導電体層10を陰極として直流電圧を印加することになる。この場合、電極パターンは、各積層体14の電解液に臨む前後の両側面で最上端から数えて奇数の導電体層10と偶数の導電体層10とのそれぞれのエッチング箇所が互い違いになるように形成する。また、対向する導電体層10,10のどちらもエッチングを望まないときにはその対向するように隣り合う積層体14の電極12には同じ極性の電圧を与えるなどする。
【0046】
実際のエッチングは、図9を参照して、電圧印加の極性切り換え制御が最も少なく短時間でエッチング処理を行えるようにするため、隣り合って並んだ3つの積層体14を一組として、1回目のエッチング時には、両電極12,12の一方のみについて、そのうちで選択された2組の積層体14,14に対しては陽極の電圧を与え、残りの1つの積層体14に対しては陰極の電圧を与えて、所定時間エッチングする(図9(a)参照)。なお、図9において、導電体層10のエッチング箇所は導電体層10より太幅に示している。その後、2回目のエッチング時には、両電極12,12の他方のみについて、前記選択された2組の積層体14,14の一つと、残りの1つの積層体14とに対して陽極の電圧を与え、前記選択された2組の積層体14,14の他の一つに対して陰極の電圧を与えて所定時間エッチングする(図9(b)参照)。その後、3回目のエッチング時には、前記選択された2組の積層体14のうち同じ陽極の電圧のみ与えられていたものに対してはそれとは異なる極性(陰極)の電圧を与え、1回目2回目と極性を変えて電圧を与えた残りの2つの積層体14,14に対しては先に陰極の電圧を与えていた側の電極12,12に対して陽極の電圧を与えて所定時間エッチングする(図9(c)参照)。なお、図9において、丸の中に+を入れた記号が下側に示されている積層体14では導電体層10の上から奇数番目にのみ正電圧を与え、偶数番目の導電体層10には電圧印加しないことを示している。単に+の記号が下側に示されている積層体14では導電体層10の上から偶数番目にのみ正電圧を与え、奇数番目の導電体層10には電圧印加しないことを示している。また、図9において、丸の中に−を入れた記号が下側に示されている積層体14では導電体層10の上から奇数番目に負電圧を与えることを示している。単に−の記号が下側に示されている積層体14では導電体層10の上から偶数番目に負電圧を与えることを示している。
【0047】
このように3回の電解エッチングを行うことにより、両端の積層体14,14を除いてその間の各積層体14…には、上から奇数番目と偶数番目との導電体層10においてエッチング箇所が交互に入れ替わるように形成されている。
【0048】
このエッチング処理が終了すると、図10(a),(b)を参照して、各積層体14からチップ部品に相当する単位積層体18を分離するように左右幅方向で所定間隔おきに所定幅の溝19を前後全幅にわたってダイサによって形成する(図1のステップS9参照)。この溝19は溝13に対して直交する溝となるように加工されている。また、溝19は、最下層の誘電体層11のみを部分的に残すように深さ設定して形成されている。なお、図10ないし図12を参照して、溝19は、その溝幅が溝13よりも大に設定されている。
【0049】
次に、図11を参照して、溝19、溝13、および、エッチングにより導電体が欠如した箇所が充填材20で埋められる(図1に示すステップS10参照)。この充填材20は、セラミックスラリー(誘電体)、ガラス、樹脂などが用いられる。後工程に熱処理による外部電極の焼結形成などが含まれる場合、セラミックスラリーやガラスを充填材として用いることになる。樹脂を充填材として用いるのは、後工程で高温の熱処理が行われない場合である。
【0050】
次に、図12を参照して、溝13および溝19の箇所でダイサ21(図12中にカット位置として破線で示している)を用いて切断することにより一つ一つのチップ部品のもととなる単位積層体18を切り出す(図1におけるステップS11参照)。このときのダイサ21の切断幅は、溝19の幅、および、対向する状態で互いにエッチングされた導電体層10のギャップ幅より小さく、かつ溝13の幅より大に設定されている。このため、切り出された単位積層体18において、溝19の箇所のカット面では導電体層10が全て外部に露出しないとともに、溝13の箇所のカット面では導電体層10のうち奇数層または偶数層の一方が外部に露出し他方が露出しないようになっている。
【0051】
次に、各単位積層体18は面取りを行うため、バレルにかけられる(図1のステップS12参照)。
【0052】
次に、外部電極を導電体層10の露出した両端面に形成し、その外部電極にメッキ処理をする(図1のステップS13参照)ことにより積層チップコンデンサの製造工程は完了し、検査工程などに移行する。
【0053】
本発明による積層型電子部品の製造方法では、エッチング工程において、電子部品が複数個分割して得ることができる積層体の状態でその積層体を複数個、すなわち少なくとも1対以上、横に並べた状態にして電解エッチングするものであるから、一度のエッチング処理で多数の積層型電子部品を得るための加工が行えることになる。したがって、この製造方法によれば、量産性の高いものとなるとともに、所定状態に並べた状態で電解エッチングすることにより品質の一定した電子部品を得ることができる。
【0054】
次に、本発明の別の実施の形態について説明する。
【0055】
図13(a),(b),(c)を参照して、上記実施の形態では、キャリアフィルム3上の誘電体シート1にさらに導電体シート2を左右に分離しない状態で積層形成したものを示したが、この別の実施の形態の場合、キャリアフィルム3の全幅にわたって誘電体シート1を形成したものに、幅広の導電体シート2aとこれの横側に所定幅の隙間sを隔てて幅狭の導電体シート2bとを平行に形成したシート4を積層用の基材として用いる。このシート4の場合、予め積層するため左右両端のカット位置(図13(a),(b)において二点鎖線で示している)がそれぞれ導電体シート2aおよび導電体シート2bの位置に設定されている。このとき、導電体シート2aと導電体シート2bとがそれぞれ順次積層される際に一層ごとに互い違いに横側に位置ずれさせて積層する。これにより、そのカットした状態で上記実施の形態と同様の積層方法を利用してマザー積層体としてのグリーン積層体9を積層形成すると、導電体層10が平面視で少なくとも全面に含まれる状態で積層されているので、グリーン積層体9の端部箇所においても中央箇所と同様の積層状態となっていることで各層同士の圧着性が高いものとなる。図13(c)には、この実施の形態での積層方法で積層されたグリーン積層体9の概略的な側面断面図を示している。この積層されたグリーン積層体9は上述実施の形態と同様のエッチング工程から最終的な外部電極を形成する工程まで経て積層チップコンデンサとなる。
【0056】
さらに、別の実施の形態について説明する。
【0057】
図14(a),(b),(c)を参照して、上記各実施の形態では、キャリアフィルム3上にその長手方向に連続的に誘電体シート1および導電体シート2を形成したものを示したが、この別の実施の形態の場合、誘電体シート1については長手方向に連続に形成されているものの、導電体シート2cについては、長手方向に所定間隔ごとに分離した状態で平面視矩形状に塗工されているものとなっている。
【0058】
この場合には、各導電体シート2cごと誘電体シート1およびキャリアフィルム3を含めて所定の矩形状にカットし、そのカットした誘電体シート1および導電体シート2cを積層することになる。そのカットは、矩形形状の一辺側に導電体シート2cが偏って位置する状態で行われる。なお、カットの仕方は、図14に二点鎖線で示すように導電体シート2cが左の辺側に偏った形態(図14(a)参照)と、導電体シート2cが右の辺側に偏った形態(図14(b)参照)との2種類ある。そのカットされた2種のシートは、マザー積層体としてのグリーン積層体9を作製するために、一層ごとに互い違いに横側に導電体シート2cを位置ずれさせて順次積層する。すなわち、導電体シート2cが左側に偏ったものと右側に偏ったものとを交互に四隅の各辺が重なるように積層することによって、導電体シート2cが交互に位置ずれした状態に積層されることになる。図14(c)には、この実施の形態での積層方法で積層されたグリーン積層体9の概略的な側面断面図を示している。この積層されたグリーン積層体9は上述実施の形態と同様のエッチング工程から最終的な外部電極を形成する工程まで経て積層チップコンデンサとなる。
【0059】
次に、さらに別の実施の形態について説明する。
【0060】
図15(a),(b),(c)を参照して、この別の実施の形態の場合、誘電体シート1については長手方向に連続に形成されているものの、導電体シート2d,2eについては、長手方向に所定間隔ごとに分離した状態で平面視矩形状に塗工されている幅広の導電体シート2dと、この導電体シート2dの横に所定間隔の隙間sを隔てて位置する幅狭の導電体シート2eとなっている。
【0061】
この場合には、組みとなった導電体シート2d,2eごと誘電体シート1およびキャリアフィルム3を含めて矩形状のシート4にカットし、そのカットしたシート4からキャリアフィルム3を剥離して、誘電体シート1および導電体シート2d,2eを積層することになる。このシート4の場合、予め積層するため左右両端のカット位置(図15(a),(b)において二点鎖線で示している)がそれぞれ導電体シート2dおよび導電体シート2eの位置に設定されている。このとき、導電体シート2dについてはこの導電体シート2dと導電体シート2eとがそれぞれ順次積層される際に一層ごとに互い違いに横側に位置ずれされて積層した状態となる。これにより、そのカットした状態で上記図14の実施の形態と同様の積層方法を利用してマザー積層体としてのグリーン積層体9を積層形成すると、導電体層10が平面視で少なくとも全面に含まれる状態で積層されているので、グリーン積層体9の端部箇所においても中央箇所と同様の積層状態となっていることで各層同士の圧着性が高いものとなる。図15(c)には、この実施の形態での積層方法で積層されたグリーン積層体9の概略的な側面断面図を示している。この積層されたグリーン積層体9は上述実施の形態と同様のエッチング工程から最終的な外部電極を形成する工程まで経て積層チップコンデンサとなる。
【0062】
次に、本発明のさらに別の実施の形態について説明する。
【0063】
図16には、積層チップコンデンサを作成するための積層体22を電解液に浸漬させて、その積層体22に誘電体層23と交互に積層された導電体層24について所望のパターンに電解エッチングする様子を概略的に断面図として示している。そのエッチングするときに積層体22は、隣合う積層体22同士が所定間隔を隔てて複数配列された状態となっている。図示しないが導電体層24は、積層体22の紙面に対して直交する方向での両端面において、一方の面には最上層から数えて奇数層のみが露出し、その露出した面にはエッチングのための電圧を印加するニッケル電極が付設されている。また、他方の面には、最上層から数えて偶数層のみが露出し、その露出した面にはエッチングのための電圧を印加するニッケル電極が付設されている。隣合う積層体22同士の対向する面間の間隙箇所Gに挿入された状態で陰極とされる電極板25が設けられている。この場合、エッチングの際、この電極板25には直流電圧の負電圧を印加するのであり、各積層体22の奇数層または偶数層の導電体層24の一方を選択して直流電圧の正電圧を印加する。図16に示すものでは、マザー積層体から切り出して棒状に構成された複数の独立した積層体22…を所定間隔隔てて配列し、隣り合う積層体22,22間の間隙箇所Gに電極板25を挿入したものを示している。電極板25は、積層体22の側面との間隔が一定になるように設定されるとともに、電極板25と対向して臨む積層体22の側面に露出した導電体層24のすべてと対向するよう設定されている。電解エッチングは、導電体層24のうち前記奇数層のものと偶数層のものとの一方だけ選択して、それぞれについて行われる。これにより、導電体層24の奇数層のものと偶数層のものとが互い違いに位置ずれした電極パターンが積層体22の導電体層24に形成される。
【0064】
この図16に示す実施の形態の変形例として、前述の図7に示すようなマザー積層体9に所定間隔おいて形成した溝13によりエッチング処理するための電解液がエッチング対象箇所に浸透するように、複数の積層体14が配列されたものにおいて、各溝13内に電極板25を挿入された構成としてもよい。
【0065】
次に、さらに別の実施の形態について説明する。
【0066】
図17(a),(b),(c),(d)を参照して、この別の実施の形態の場合、キャリアフィルム3の全面にわたって誘電体シート1を形成したものに、導電体シート2fについては、長手方向に所定間隔ごとに分離した状態で平面視矩形状に塗工されているものとなっている。そして、マザー積層体9を作製するためその積層用の基材として、導電体シート2fの左右幅よりも大きな矩形状のシート4を図17(a),(b)に二点鎖線で示すようにカットし、そのカットされたシート4からキャリアフィルム3を剥離して、誘電体シート1及び導電体シート2fを順次積層していく。上記カットされたシート4は、導電体シート2fの右辺より右方の誘電体シート1の幅が左辺より左方の誘電体シートの幅より大となっているもの(図17(a)参照)と、導電体シート2fの左辺より左方の誘電体シート1の幅が右辺より右方の誘電体シートの幅より大となっているもの(図17(a)参照)との2種類があり、それぞれを交互に四隅の辺が重なる状態で積層していくと、導電体シート2fが左方へ位置ずれした導電体層10と、導電体2fが右方へ位置ずれした導電体層10とが交互に積層されたマザー積層体としてのグリーン積層体9が形成される(図17(c)参照)。このグリーン積層体9は、前記シート4が導電体シート2fより外側でカットされたものであるから、交互に位置ずれ状態で積層された導電体シート2fの左端や右端は誘電体シート1内に埋まった状態で外部に露出していない。その露出していない部分について左右側面それぞれの近傍に前後方向に沿った溝26,26をダイサなどにより形成する(図17(d)参照)。この溝26の内側面には、左右方向一側に位置ずれした導電体層10の端部が露出するものとなっている。そして、このグリーン積層体9に図7に示したようなエッチング用の溝を形成して複数の積層体14が配列された状態にした場合でも、溝26より外側に残っている壁部分27,27および溝26内に各積層体14への電解エッチング用の電圧印加を行うための電極材が充填されることによりグリーン積層体9やこれを焼成して得られる積層体全体としての補強がなされ、各工程におけるハンドリングなどによる物理的な破損が発生しにくくなる。
【0067】
なお、このグリーン積層体9の作製は、図2や図3に示したような連続積層で行ってもよい。
【0068】
次に、さらに別の実施の形態について説明する。
【0069】
図18を参照して、電解エッチングする複数の積層体14…を所定の隙間28を隔てて配列し、積層体14よりも幅狭く形成された積層体29を電解エッチング時の陰極として用いるため、その積層体29を隙間28内に挿入した状態に配置している。この状態で電解液に浸漬し、積層体29の各導電体層には直流電圧の負電圧を印加し、エッチングする側の積層体14のエッチングする導電体層10については直流電圧の正電圧を印加する。ここで、積層体29は積層体14と同じ工程で作製されたものであって、積層体29の各導電体層と積層体14の各導電体層とは高さ位置が一致する状態に設定して電解エッチングする。
【0070】
次に、さらに別の実施の形態について説明する。
【0071】
図19〜図21を参照して、この別の実施の形態では、マザー積層体としてのグリーン積層体を作製して電解エッチングするまでの工程については、図1に示す工程と同じである。図20、図21(a)を参照して、電解エッチングされたグリーン積層体9について、電解エッチングするため電解液を浸透させるための溝13と直交する方向をカットライン(図20において一点鎖線で示す)として所定ピッチごとにチップ状積層体30を切り出す(図19のステップS14参照)。図21(b)を参照して、その切り出されたチップ状積層体30を例えば封止材としてのセラミックスラリーに浸漬させるなどにより、チップ状積層体30の6つの外面全てに封止材31を塗布することにより、エッチングで導電体が除去されて生じた空隙箇所が封止材で充填封止される(図19のステップS15参照)。乾燥工程を経て封止材を乾燥させた後、このチップ状積層体30をバレル処理することで角部の面取りを行う(図19のステップS16参照)。次に、図21(c)を参照して、チップ状積層体30の長手方向での両端面部分を内部導電体の一端が外部に露出するように、サンドブラスト、あるいはスパッタなどの研削処理する(図19のステップS17参照)。この研削処理後、図21(d)を参照して、チップ状積層体30の研削を施した各面に外部電極32,32を形成し、その外部電極32,32の表面をメッキ処理する(図19のステップS18参照)。これにより、この実施の形態の場合、積層チップコンデンサの製造が完了する。
【0072】
このように、電解エッチングで導電体層に所定パターンを形成した後、ただちにチップ状積層体にカットして、そのチップ状積層体について絶縁封止や、外部電極の形成を行うものであるから、マザー積層体のまま、封止材の充填封止を行って後にカットするものより、一つのマザー積層体から得られる部品数が多くなる。
【0073】
本発明は、上述の実施の形態に限定されず、種々な変形が可能である。
【0074】
(1)図7に示したマザー積層体としてのグリーン積層体9に溝13を形成したものに対して電解エッチングを行う際に、先に説明した実施の形態では、電解液の流動を行うのに電解液において超音波を発生させて流動する方法を示したが、それとは別の流動、この場合溝13内に浸透される電解液の入れ替えを行えるような流動を行う方法としては、図22に示す方法もある。すなわち、電解液を満たした電解槽17中にグリーン積層体9を一対の治具33,33によって電解槽17を二つに区画するように固定する。電解槽17のグリーン積層体9により二つに区画されたそれぞれの区画部分間で電解液の循環が行えるように、電解槽17の外部側に管路とこの管路を通して電解液を一定方向に流動させるポンプ34とを設けている。ポンプ34が駆動されることにより、電解液は電解槽17における一方の区画部分から他方の区画部分へと流動させられるとともに、電解槽17内においては、他方の区画部分から一方の区画部分へグリーン積層体9の溝13を通して電解液が流動される。したがって、溝13内の電解液は淀んだ状態となることなく、常時新鮮な電解液が供給されるよう流動されたものとなっているから、溝13内で対向する各積層体14の側面に露出した内部導電体層に対するエッチングが良好に行えることになる。
【0075】
(2)積層体の絶縁体層としては、誘電体で成る絶縁体に限定されるものではない。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、積層型電子部品の素材となる積層体についてその内部導電体層をエッチングにより所定パターンに形成する際に、少なくとも一対の積層体が、エッチングを施したい内部導電体層の露出した側面同士を対向させた状態でその側面同士が所定間隔隔てられて対向するように配置されて電解エッチングすることから、積層体のエッチングしたい面の片面づつエッチングするものでなく、積層体の両側面とも電解液に浸漬させたままエッチング処理できる。また、単一の積層体についてのみエッチングするのでなく、少なくとも一対の積層体、すなわち複数の積層体について、電解液に浸漬された状態で、隣合う積層体間の間隙に電解液が浸透しやすくなっていることで、エッチング箇所での電解液濃度分布が大きく変動しないようにできるとともに、適正な電解液濃度分布に維持できるものとなっている。したがって、エッチングの進行にかかわらず電解液の濃度分布が大きく偏ることがないため、全体的に精度良くエッチングでき、高品質の積層型電子部品を量産することができ、その積層型電子部品の製造コストの低下を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る積層チップコンデンサの製造工程を概略的に示す流れ図
【図2】図1の工程において積層体を積層形成するための基材のシートを示す説明図
【図3】図1の工程において積層体を積層形成する様子を示す断面側面図
【図4】図1の工程において得られたマザー積層体(グリーン積層体)の積層後カットしただけの状態を(a)に示し、カット後プレスして整形した状態を(b)を示す側面図
【図5】図1の工程において整形された状態のマザー積層体を示す側面図
【図6】図1の工程においてエッチング用の電極をマザー積層体に設けた状態を示す断面側面図
【図7】図1の工程においてマザー積層体にエッチング用の溝を形成したものを示す平面図(a)、この平面図(a)のB−B矢視断面図(b)、正面図(c)
【図8】図1の工程において電解エッチングの様子を示す概略平面図
【図9】図1の工程において電解エッチングの様子を示す概略説明図
【図10】図1の工程において電解エッチング後チップ部品の単体となる単位積層体を形成するためのカットの状態を示す平面図(a)と正面図(b)
【図11】図1の工程においてマザー積層体の各溝などに充填材を充填した状態を示す断面図であって、(a)は部品分離用設定溝への充填状態を示し、(b)はエッチング用溝などへの充填状態を示す
【図12】図1の工程においてマザー積層体から単位積層体を分割する様子を示す断面図であって、(a)は部品分離用設定溝に対する切断の様子を示し、(b)はエッチング用溝などに対する切断の様子を示す
【図13】本発明に係る別の実施の形態の積層体を積層形成するための基材のシートを示す説明図(a),(b)と、積層形成されたマザー積層体の正面図(c)
【図14】本発明に係るさらに別の実施の形態の積層体を積層形成するための基材のシートを示す説明図(a),(b)と、積層形成されたマザー積層体の正面図(c)
【図15】本発明に係るさらに別の実施の形態の積層体を積層形成するための基材のシートを示す説明図(a),(b)と、積層形成されたマザー積層体の正面図(c)
【図16】本発明に係るさらに別の実施の形態の積層体間に専用の電極を挿入した状態を示す側面図
【図17】本発明に係るさらに別の実施の形態の積層体を積層形成するための基材のシートを示す説明図(a),(b)と、積層形成されたマザー積層体の正面図(c)
【図18】本発明に係るさらに別の実施の形態におけるエッチングの様子を示す側面図
【図19】本発明に係るさらに別の実施の形態における積層チップコンデンサの製造工程を概略的に示す流れ図
【図20】本発明に係るさらに別の実施の形態におけるマザー積層体からチップ状積層体を分割するカット位置などを示す平面図
【図21】本発明に係るさらに別の実施の形態におけるチップ部品を製造する過程を(a)〜(d)へ順番に示す斜視図
【図22】本発明に係るさらに別の実施の形態における電解エッチングの様子を示す断面図
【符号の説明】
9 グリーン積層体(マザー積層体)
10 導電体層
11 誘電体層(絶縁体層)
13 溝
14 積層体
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばコンデンサやバリスタなどの積層型電子部品の製造方法に関し、特に、その内部導電体層のパターンを形成することを主とした積層型電子部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の積層型電子部品の製造方法は、特開平3−124011号公報に開示されているように、まず、誘電体シート上に電極パターンを形成した内部電極層を積層した積層体を位置合わせしながら複数層積層することによって積層体を形成していた。
【0003】
そして、得られたこの積層体を厚み方向にプレスして圧着した後、所定の大きさに切断し、この切断した積層体を脱脂焼成した後、外部電極を形成して積層型電子部品を製造していた。
【0004】
したがって、従来の製造方法においては、積層方向で絶縁体層(一例として誘電体層)を間において積層される内部電極層同士が、層を成す面における中央寄り部分で積層方向に対向し、周辺部分で外部電極と接続するよう互いに反対の端縁まで延設される状態、すなわち交互に異なる電極パターンを形成する状態で内部導電体層を積層していた。
【0005】
このため、積層されて得られた積層体は、内部導電体層の積層数が中央部分に比して周辺部分では少なくなるので、内部導電体層の厚み分の差による段差が積層体に生じ、周辺部分より中央部分の厚みが大きくなる傾向があった。
【0006】
積層数が少ないときは特に問題ないが、例えばコンデンサの容量を増やすなど、電気的性能の向上を図るため積層数がかなり多くなると、絶縁体層が薄層化していることもあって、厚み分の段差が原因で、積層工程やプレス工程のときに絶縁体シートや内部導電体層が変形したり、プレス工程のときに圧力差が生じて接着不良を起こすおそれが高くなった。また、内部にボイドが発生するなど、品質不良を招くおそれが高くなった。
【0007】
また、導電体パターンを形成した内部導電体層を積層するために、内部導電体のパターニングをスクリーン印刷で行う場合には、品種ごとに版を作成する必要があり、パターニングされた内部導電体を積層する場合には、高精度の位置合わせが必要で積層工程が複雑になった。また、積層工程において内部導電体パターンの位置ずれが生じるため、一つの積層体から切り分けて複数個の積層型電子部品を製造する場合には、その切断のために、内部導電体のパターンのずれを許容する余分の寸法を設定しなければならず、単位体積当たりの容量等の特性が低下する要因となっている。
【0008】
上記問題を解決する方法として、エッチングにより内部導電体のパターンを形成する方法が知られている(特許文献1,2参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平6−283371号公報(全頁、全図)
【特許文献2】
特開平2−224311号公報(全頁、全図)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示された製造方法は、電子部品単体の製造方法であり、実際に電子部品の量産を行うにあたっては部品1つ1つをハンドリングし、かつ、エッチングのための配線をした後、エッチングを行わなければならないという作業性の悪さがあり、そのため高コストとなる。
【0011】
特許文献2に開示された製造方法は、エッチングにより内部導電体のパターン形成を行い、なおかつ複数の電子部品についてそのパターン形成を行う方法である。しかしながら、この場合、部品の対向する両端面に露出させた内部導電体を選択的にエッチングするのに、一方の端面側について電解液に浸してエッチングした後、部品を反転させて他方の端面側を電解液に浸してエッチングする方法であるから、部品を反転させる工程が必要であることで工程数が多くなり、作業効率の点で量産性に限界があるなどの問題がある。
【0012】
さらに、量産にあたっては被加工物(電子部品単体や棒状の積層体ブロック)を電解液槽内に敷き詰めた状態にしてエッチングすることが考えられるが、その場合、電解時の電流密度の違いや電解液の局所的な濃度分布の違いによって、エッチング精度にばらつきが生じるなどの問題がある。
【0013】
そこで、本発明は、高品質の積層型電子部品を量産性高く製造できる製造方法の提供を解決すべき課題としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、絶縁体層および内部導電体層が複数積層して成る積層体に対するエッチング処理で前記内部導電体層を所定パターンに形成するエッチング工程を含む積層型電子部品の製造方法において、前記積層体は、相対向する両側面それぞれに前記内部導電体層が露出されるとともに、前記エッチング工程は、少なくとも一対の前記積層体を前記側面同士が所定間隔隔てられて対向するように配置した状態で電解液に浸漬してエッチング処理を行うことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る積層型電子部品の製造方法によれば、積層型電子部品の素材となる積層体についてその内部導電体層をエッチングにより所定パターンに形成する際に、少なくとも一対の積層体が、エッチングを施したい内部導電体層の露出した側面同士を対向させた状態でその側面同士が所定間隔隔てられて対向するように配置されて電解エッチングすることから、積層体のエッチングしたい面の片面づつエッチングするものでなく、積層体の両側面とも電解液に浸漬させたままエッチング処理できる。また、単一の積層体についてのみエッチングするのでなく、少なくとも一対の積層体、すなわち複数の積層体について、電解液に浸漬された状態で、隣合う積層体間の間隙に電解液が浸透しやすくなっていることで、エッチング箇所での電解液濃度分布が大きく変動しないようにできるとともに、適正な電解液濃度分布に維持できるものとなっている。したがって、エッチングの進行にかかわらず電解液の濃度分布が大きく偏ることがないため、全体的に精度良くエッチングでき、高品質の積層型電子部品を量産することができ、その積層型電子部品の製造コストの低下を図ることができる。
【0016】
本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、マザー積層体に対して積層方向に所定深さでかつ所定幅の溝を幅方向に所定間隔隔てて所定数形成することにより、前記各溝の深さ方向に沿った互いに対向する側面のそれぞれに前記内部導電体層が露出される前記積層体が複数形成され、前記エッチング工程では、前記各溝内に電解液を浸入させて前記露出状態の内部導体層に対してエッチング処理することが好ましい。ここで、マザー積層体とは、分割することにより複数の積層体を得ることのできるもとの積層体のことをいう。
【0017】
この場合、マザー積層体に溝を形成することでエッチング処理するための積層体が所定間隔をおいて複数配置されたものが得られるので、独立した積層体を所定間隔をおいて複数配置するものに比して、各積層体が一定状態に配置された状態でまとめて取り扱えることになる。このため、エッチング処理時などにおいて、電解液に積層体を浸漬させたり電圧印加させたりするときの作業性が向上する。
【0018】
本発明に係る積層型電子部品は、前記マザー積層体は前記内部導電体層が平面方向で一側とその反対側との一方にずらした状態で積層されたものであり、前記マザー積層体の下端部に隣り合う前記積層体同士がつながるつながり部分を残した状態で前記溝を形成するとともに、前記エッチング工程は、前記電解液に前記マザー積層体を浸漬させた状態で、前記内部導電体層のうち一側にずれた内部導電体層群を先に選択して電圧印加によりエッチングした後、反対側にずれた内部導電体層群を選択して電圧印加によりエッチングすることが好ましい。
【0019】
この場合、マザー積層体に溝を形成することでエッチング処理するための積層体が所定間隔をおいて複数配置されたものが得られるので、独立した積層体を所定間隔をおいて複数配置するものに比して、各積層体が一定状態に配置された状態でまとめて取り扱えることになる。また、各積層体ごとにエッチング用の電圧印加を行うための制御が各積層体ごとにまとめてできるので、各積層体の内部導電体層に対するエッチング処理が簡易に行え、積層型電子部品の量産性が高められる。
【0020】
本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、前記マザー積層体は、前記絶縁体層が誘電体により成るとともに、前記内部導電体層が平面方向での一側とその反対側とに互い違いにずらした状態で順次積層されたものであることが好ましい。この場合、複数の積層型電子部品において積層形成される上下の各内部導電体層について所望の異なるパターンの形成を一度に行うことができ、製造コストの低下を図ることができる。
【0021】
本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、前記マザー積層体は、前記内部導電体層の横側における前記内部導電体層の欠如部分を充填材で埋めて厚み調整されていることが好ましい。この場合、充填材によって厚み調整されていることにより、位置ずれさせた状態で内部導電体層が積層されることで内部導電体層がずれて欠如している箇所についてもマザー積層体全体としての厚みが一定とすることができるから、充填材で厚み調整されていないもののように多数層積層した状態でのマザー積層体が内部導電体層の位置する箇所で厚くなり他の箇所では薄くなるような段差形状となるという不具合、具体的にはその段差があると積層時の圧着不良や不当な変形の生じるという不具合発生のおそれがあるが、そのような問題を解消できる。
【0022】
本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、前記積層体は、前記絶縁体層が誘電体により成るとともに、前記内部導電体層が平面方向での一側とその反対側とに互い違いにずらした状態で順次積層されたものであり、独立した複数の前記積層体を、互いの前記側面同士が所定間隔隔てて対向するように配置した状態で電解液に浸漬することが好ましい。この場合、複数の独立した積層体について一度にエッチング処理することができる。
【0023】
本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、前記内部導電体層を互い違いにずらす方向での前記各積層体における両端面には、前記内部導電体層が露出され、この露出した前記内部導電体層に接続させて外部側導電体を前記両端面にそれぞれ形成し、該外部側導電体を介して前記エッチング用の電圧印加を行うことが好ましい。この場合、複数の積層体のそれぞれについて設けられた外部側導電体を通して、エッチングしたい内部導電体層を選択して電圧印加することにより、所望の内部導電体層についてパターン形成できる。また、内部導電体層は薄いものであるため、エッチング用の電圧印加を行うプローブ端子を直接内部導電体層に確実に接触させることが困難であるが、外部導電体層と所望の各内部導電体層とが接続された状態では外部導電体層に対して電圧印加するだけで各内部導電体層に対して電圧印加することができる。
【0024】
本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、前記エッチング工程は、隣合う前記積層体における前記内部導電体層の露出した側面同士を対向させた状態で、互いに相対向する前記内部導電体層の一方をエッチング時の陰極とし、他方をエッチング時の陽極とすることが好ましい。この場合、エッチングする際の陰極と陽極との間隔がその対向する全ての内部導電体層間でほぼ一定のものにできるため、エッチング時の電流密度が各内部導電体層に対して均一化できることによりエッチング精度を向上させることができる。また、そのような内部導電体層同士が対向するものでは電極として機能する各内部導電体層の電極有効面積の精度が良いものとなり、積層コンデンサなどの場合、容量ばらつきが少ない状態で量産することができる。また、エッチング精度が向上することにより、有効電極面積をより大きく設定することができるので、同一のサイズでも特性をより向上させた積層型電子部品とすることができる。
【0025】
本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、前記積層体が複数個互いに所定間隔隔てて並列配置された状態で、その並列した順に前記積層体の3つを一組とする積層体群を仮想的に設定するとともに、該積層体群における中央の積層体に対するエッチング用の電圧印加は前記内部導電体層が陰極となるようにし、前記積層体群における残りの2つの積層体に対するエッチング用の電圧印加は前記内部導電体層が陽極となるようにし、前記エッチング工程では、1回目の電圧印加において、互い違いにずらした前記内部導電体層のうち一方にのみ電圧印加し、2回目の電圧印加において、前記積層体群を1回目の電圧印加時の状態から並列配置された一つの積層体分所定方向にずらした状態に仮想的に設定しなおし、互い違いにずらした前記内部導電体層のうち他方のみ電圧印加し、3回目の電圧印加において、前記積層体群を1回目の電圧印加時の状態から並列配置された二つの積層体分前記所定方向にずらした状態に仮想的に設定しなおし、前記1回目および2回目の電圧印加において陰極としていた積層体の内部導電体に対してエッチングを行うように電圧印加することが好ましい。この場合、陰極と対向する陽極である内部導電体層のみエッチングされるため、一層おきの対向電極形成が効率良く行える。また、電圧の印加する切り換えも3回行うだけで全体におけるエッチング作業が完了するため製造効率の向上も図ることができる。
【0026】
本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、前記エッチング工程において、隣合う積層体間に電解エッチング用の電極を配置した状態で各積層体の導電体層に対するエッチングを行うことが好ましい。この場合、複数の積層体の内部導電体層に対して同時にしかも均一にエッチングすることができる。
【0027】
本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、前記エッチング工程では、電解液を流動させながらエッチング処理することが好ましい。この場合、積層体同士が所定間隔の隙間を隔てて配置されたその隙間中に浸透した電解液についても流動させられることになるから、電解エッチング時のエッチング箇所における局所的な濃度分布の違いが生じないようにでき、これによりエッチング精度を高くできる。
【0028】
本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、前記エッチング工程では、pH緩衝剤を含んだ電解液を使用することが好ましい。この場合、pH緩衝剤によって電解液のpHの局所的な変動などを抑制できるから、電解エッチング時のエッチング箇所における局所的な濃度分布の違いが生じないようにでき、これによりエッチング精度を高くできる。
【0029】
本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、前記エッチング工程の後の工程には、エッチングされた箇所に封止材を封止する封止工程と、前記積層体をチップ部品サイズに切断することにより複数のチップ部品部材に分割する切断工程と、所定の前記内部導電体層に外部電極を形成する外部電極形成工程とを有することが好ましい。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を図面に示す実施の形態に基づいて説明する。図1は、積層チップコンデンサの製造工程を概略的に示す流れ図、図2は、図1の工程において積層体を積層形成するための基材のシートを示す説明図、図3は、図1の工程において積層体を積層形成する様子を示す断面側面図、図4は、図1の工程において得られたマザー積層体(グリーン積層体)の積層後カットしただけの状態を(a)に示し、カット後プレスして整形した状態を(b)を示す側面図、図5は、図1の工程において整形された状態のマザー積層体を示す側面図、図6は、図1の工程においてエッチング用の電極をマザー積層体に設けた状態を示す断面側面図、図7は、図1の工程においてマザー積層体にエッチング用の溝を形成したものを示す平面図(a)、この平面図(a)のB−B矢視断面図(b)、正面図(c)、図8は、図1の工程において電解エッチングの様子を示す概略平面図、図9は、図1の工程において電解エッチングの様子を示す概略説明図、図10は、図1の工程において電解エッチング後チップ部品の単体となる単位積層体を形成するためのカットの状態を示す平面図(a)と正面図(b)、図11は、図1の工程においてマザー積層体の各溝などに充填材を充填した状態を示す断面図、図12は、図1の工程においてマザー積層体から単位積層体を分割する様子を示す断面図である。
【0031】
積層型電子部品の一例として積層チップコンデンサの製造方法の一実施の形態をその工程に従って説明する。図1には、積層チップコンデンサの製造工程が概略的に示されている。なお、製造工程には図示していない工程も含まれている。
【0032】
まず、セラミック材料からなる絶縁体層として誘電体層を形成するため、誘電体材料の調合・分散を行う。この工程はチタン酸バリウムを主成分とする粉末材料を有機溶媒、有機バインダと共に調合分散し、セラミックスラリーを作製する工程である。
【0033】
次に、誘電体シートを成形する。この工程は、上記工程で得られたセラミックスラリーを、ダイコータなどで長尺のキャリアフィルム上に所要厚さ(例えば乾燥後の厚みが1μm)で連続的に塗工して膜状の誘電体シートを作製する工程である(図1のステップS1参照)。この誘電体シートは乾燥工程を経てキャリアフィルムと共にロールに巻きつけられる。キャリアフィルムとしてはPETフィルムが用いられる。
【0034】
また、別工程で、内部導電体層を形成するための材料の調合・分散を行う。この工程は、ニッケルの粉末材料を有機溶媒・有機バインダとともに調合分散し、導電体スラリーを作製する工程である。
【0035】
次に、この導電体スラリーを、ダイコータなどで先の誘電体シート上に所要厚さ(例えば乾燥後の厚みが1μm)で連続的に塗工して膜状の導電体シートを形成する。この塗工の後乾燥する。なお、図2を参照して、誘電体シート1の横幅に対して導電体シート2の横幅は小さく設定してあり、誘電体シート1の幅方向での中心位置と導電体シート2の幅方向での中心位置とが一致するように積層形成している。図2に例示しているシートの場合、誘電体シート1がキャリアフィルム3の全幅にわたり形成され、導電体シート2(図2においてスクリーントーンで示されている)はその幅方向中心位置がキャリアフィルム3の幅方向中心位置と一致するように形成されている。このように導電体シート2が形成されることによって、その導電体シート2が積層チップコンデンサの内部電極として用いられるように成形されることになる(図1のステップS2参照)。さらに、誘電体シート1において導電体シート2が形成されていない箇所と導電体シート2が形成されている箇所とでその厚みが全幅で一致したものとなるよう、導電体シート2の横脇にもさらに誘電体を膜状に塗工し、乾燥する。この導電体シート2が積層された誘電体シート1はキャリアフィルム3と共にロール5に巻きつけられる。
【0036】
次に、図2および図3を参照して、上記のように誘電体シート1および導電体シート2がキャリアフィルム3上に積層されたシート4を2つ用意し、それぞれロール5,5から繰り出しながら、誘電体シート1および導電体シート2は大径のロール6に積層されていくとともに、キャリアフィルムは積層されないよう剥離して別のロール7,7に巻き取られる。このとき、一方の誘電体シート1および導電体シート2と他方の誘電体シート1および導電体シート2とは交互に積層されるものとなっているとともに、それぞれ圧着ロール8で積層方向で加圧しながら(同時に加熱も行なう)ロール6に積層されながら巻きつけられる。この交互に行われる積層は、導電体シート2が横幅方向で一側に位置ずれしている状態とそれとは反対側に位置ずれしている状態とに互い違いに積層される。詳述すると、図3において、左に位置するロール5から繰り出されて大径ロール6に積層される誘電体シート1と、右に位置するロール5から繰り出されて大径ロール6に積層される誘電体シート1とがあり、左から繰り出されるシート4を仮にA層用シートとし、右から繰り出されるシート41を仮にB層用シートとすると、このA層用シートに対してB層用シートは導電体シート位置が横一側に所定距離ずれた状態で積層されるように設定している。したがって、A層用シートのすぐ上にはB層用シートが積層され、B層用シートのすぐ上にはA層用シートが積層されるようにそれぞれ交互に積層されるから、導電体シート2の最下層から数えて奇数層に積層される導電体シート群と、偶数層に積層される導電体シート群とがそれぞれ左右に所定距離位置ずれした状態で交互に積層されたものとなっている。この積層工程により、脱脂・焼成前のグリーン積層体9が形成されることになる(図1におけるステップS3参照)。
【0037】
次に、上記積層形成されたグリーン積層体9を大径ロール6から外して、図4(a)に示すように、周方向8分の1づつカットするとともに、そのカットされたままでは円弧状となっているグリーン積層体9を平面視矩形の直方体状に修正するようにプレスする(図4(b)、図1のステップS4参照)。ここで、このグリーン積層体9はマザー積層体を構成するものである。また、このグリーン積層体9の導電体シート2の位置ずれ方向での両端における側面において各側面側に延びるように位置ずれした導電体シート2が外部に露出するように所定位置で切断する。この切断位置は、図2において、2点鎖線で示す位置に相当する。なお、積層前のシート4の状態で予めこの切断を行っておいて積層するようにしてもよい。
【0038】
こうして得られたグリーン積層体9は、図5を参照して、左右幅方向で導電体シート2でなる導電体層10が右方に位置ずれしたものと左方に位置ずれしたものとが交互に積層され、その位置ずれした側の側面9A,9Bにおいて導電体層10が外部に露出している。また、前述したように導電体シート2の横脇の導電体層10の形成されない箇所にも誘電体層11を設けて横幅方向で一定厚みになるようにしているからプレスした後でもグリーン積層体9は中央部分が端より膨らむことがないようになっている。なお、各図においては、導電体層10や誘電体シート1からなる絶縁体層としての誘電体層11が数層のものを示しているが、実際には各層10,11が数十、数百層形成されているのであって、理解しやすいよう数少なく図示しているに過ぎない。
【0039】
次に、図6を参照して、グリーン積層体9において、導電体層10を交互に位置ずれさせた方向での側面9A,9Bの全面それぞれにニッケルの電極12,12を例えば浸漬塗工などによりコーティングする(図1のステップS5参照)。これにより、側面9A,9Bのそれぞれにおいて外部に露出している導電体層10と電極12,12とが電気的に接続される。ここで、電極12,12は外部側導電体であり、この場合膜状に形成されている。
【0040】
なお、焼成後に導電体層を電解エッチングにより除去する場合は、焼結することによって導電体となるものを用いてもよい。
【0041】
次に、グリーン積層体9を図示しない保持用の治具上に載置保持し、図7(a),(b),(c)を参照して、前後方向で所定幅の積層体が得られるようにダイサにより左右方向に沿った所定幅の溝13…を下端部でかつ左右両端部の誘電体層11のみ残す状態で、所定間隔おきに形成する(図1のステップS6参照)。したがって、溝13は、グリーン積層体9の側面9A,9B近くの下端部のみ残す状態でグリーン積層体9を上下に貫通するように形成されている。このように複数の溝13…が形成されることによって、グリーン積層体9は、前記下端部のみでつながる直方体を成す積層体14が前後に複数個形成されたものに加工される。積層対14同士を下端部でつながるようにした部分35がつながり部分に相当する。各溝13…は、導電体層10を電解エッチングにより除去することで所望のパターンに形成する際に電解液が浸透できるようにするための溝である。また、各電極12,12についても、各積層体14ごとに分離されたものとなるようダイサによりカットされる。この溝13の両側面が隣合う積層体14,14同士の対向する面となっており、各積層体14においてはその面がエッチングしようとする内部導電体層10が外部に露出する側面となっている。
【0042】
次に、治具に保持された状態でグリーン積層体9は、脱脂および焼成される(図1のステップS7参照)。
【0043】
次に、各積層体14の導電体層10について電解処理によって所定パターンを形成する(図1のステップS8参照)。詳述すると、その電解エッチングを行うための直流電圧を各積層体の両端の電極12,12に印加する制御を行う制御装置15を用意するとともに、電解液にさらされることなく各電極12を制御装置15に電気的に接続する電極16を各電極12それぞれに装着する。その状態で、電解液を満たした電解槽17にグリーン積層体9を全体的に浸漬する。ここで、電解液は、塩化ニッケルの水溶液である。この電解液には、電解液のpH緩衝剤として、局所的なpH値の上昇を抑制するためのホウ酸と、電解液の電導率を一定に維持したままニッケルイオン(Ni2+)濃度を低下させる機能を有する塩化カリウムとが混合されている。その電解液中における塩化ニッケル、塩化カリウム、ホウ酸の各濃度は、例えば、0.025mol/l、0.075mol/l、0.3mol/lである。
【0044】
また、電解槽17内の電解液の対流を促進するため、電解液は図示しない超音波洗浄機から発生される超音波によってその流動性が高められている。これによって、溝13内に浸入している電解液が流動して入れ替わり易くなっている。溝13の奥まった箇所では電解液の流動がないとエッチングに伴ない水酸化物の発生などによりエッチングが進行しにくくなり全体として均一にエッチングできなくなるおそれがあるが、電解液を流動させることにより均一にエッチングできる。
【0045】
この電解エッチングを行うときに、前後方向に並んだ各積層体14のうち隣り合うもの同士は、お互いの導電体層10,10が溝13を間に対向して位置するものとなっているので、エッチングしたい側の導電体層10を陽極とし、それと対向する導電体層10を陰極として直流電圧を印加することになる。この場合、電極パターンは、各積層体14の電解液に臨む前後の両側面で最上端から数えて奇数の導電体層10と偶数の導電体層10とのそれぞれのエッチング箇所が互い違いになるように形成する。また、対向する導電体層10,10のどちらもエッチングを望まないときにはその対向するように隣り合う積層体14の電極12には同じ極性の電圧を与えるなどする。
【0046】
実際のエッチングは、図9を参照して、電圧印加の極性切り換え制御が最も少なく短時間でエッチング処理を行えるようにするため、隣り合って並んだ3つの積層体14を一組として、1回目のエッチング時には、両電極12,12の一方のみについて、そのうちで選択された2組の積層体14,14に対しては陽極の電圧を与え、残りの1つの積層体14に対しては陰極の電圧を与えて、所定時間エッチングする(図9(a)参照)。なお、図9において、導電体層10のエッチング箇所は導電体層10より太幅に示している。その後、2回目のエッチング時には、両電極12,12の他方のみについて、前記選択された2組の積層体14,14の一つと、残りの1つの積層体14とに対して陽極の電圧を与え、前記選択された2組の積層体14,14の他の一つに対して陰極の電圧を与えて所定時間エッチングする(図9(b)参照)。その後、3回目のエッチング時には、前記選択された2組の積層体14のうち同じ陽極の電圧のみ与えられていたものに対してはそれとは異なる極性(陰極)の電圧を与え、1回目2回目と極性を変えて電圧を与えた残りの2つの積層体14,14に対しては先に陰極の電圧を与えていた側の電極12,12に対して陽極の電圧を与えて所定時間エッチングする(図9(c)参照)。なお、図9において、丸の中に+を入れた記号が下側に示されている積層体14では導電体層10の上から奇数番目にのみ正電圧を与え、偶数番目の導電体層10には電圧印加しないことを示している。単に+の記号が下側に示されている積層体14では導電体層10の上から偶数番目にのみ正電圧を与え、奇数番目の導電体層10には電圧印加しないことを示している。また、図9において、丸の中に−を入れた記号が下側に示されている積層体14では導電体層10の上から奇数番目に負電圧を与えることを示している。単に−の記号が下側に示されている積層体14では導電体層10の上から偶数番目に負電圧を与えることを示している。
【0047】
このように3回の電解エッチングを行うことにより、両端の積層体14,14を除いてその間の各積層体14…には、上から奇数番目と偶数番目との導電体層10においてエッチング箇所が交互に入れ替わるように形成されている。
【0048】
このエッチング処理が終了すると、図10(a),(b)を参照して、各積層体14からチップ部品に相当する単位積層体18を分離するように左右幅方向で所定間隔おきに所定幅の溝19を前後全幅にわたってダイサによって形成する(図1のステップS9参照)。この溝19は溝13に対して直交する溝となるように加工されている。また、溝19は、最下層の誘電体層11のみを部分的に残すように深さ設定して形成されている。なお、図10ないし図12を参照して、溝19は、その溝幅が溝13よりも大に設定されている。
【0049】
次に、図11を参照して、溝19、溝13、および、エッチングにより導電体が欠如した箇所が充填材20で埋められる(図1に示すステップS10参照)。この充填材20は、セラミックスラリー(誘電体)、ガラス、樹脂などが用いられる。後工程に熱処理による外部電極の焼結形成などが含まれる場合、セラミックスラリーやガラスを充填材として用いることになる。樹脂を充填材として用いるのは、後工程で高温の熱処理が行われない場合である。
【0050】
次に、図12を参照して、溝13および溝19の箇所でダイサ21(図12中にカット位置として破線で示している)を用いて切断することにより一つ一つのチップ部品のもととなる単位積層体18を切り出す(図1におけるステップS11参照)。このときのダイサ21の切断幅は、溝19の幅、および、対向する状態で互いにエッチングされた導電体層10のギャップ幅より小さく、かつ溝13の幅より大に設定されている。このため、切り出された単位積層体18において、溝19の箇所のカット面では導電体層10が全て外部に露出しないとともに、溝13の箇所のカット面では導電体層10のうち奇数層または偶数層の一方が外部に露出し他方が露出しないようになっている。
【0051】
次に、各単位積層体18は面取りを行うため、バレルにかけられる(図1のステップS12参照)。
【0052】
次に、外部電極を導電体層10の露出した両端面に形成し、その外部電極にメッキ処理をする(図1のステップS13参照)ことにより積層チップコンデンサの製造工程は完了し、検査工程などに移行する。
【0053】
本発明による積層型電子部品の製造方法では、エッチング工程において、電子部品が複数個分割して得ることができる積層体の状態でその積層体を複数個、すなわち少なくとも1対以上、横に並べた状態にして電解エッチングするものであるから、一度のエッチング処理で多数の積層型電子部品を得るための加工が行えることになる。したがって、この製造方法によれば、量産性の高いものとなるとともに、所定状態に並べた状態で電解エッチングすることにより品質の一定した電子部品を得ることができる。
【0054】
次に、本発明の別の実施の形態について説明する。
【0055】
図13(a),(b),(c)を参照して、上記実施の形態では、キャリアフィルム3上の誘電体シート1にさらに導電体シート2を左右に分離しない状態で積層形成したものを示したが、この別の実施の形態の場合、キャリアフィルム3の全幅にわたって誘電体シート1を形成したものに、幅広の導電体シート2aとこれの横側に所定幅の隙間sを隔てて幅狭の導電体シート2bとを平行に形成したシート4を積層用の基材として用いる。このシート4の場合、予め積層するため左右両端のカット位置(図13(a),(b)において二点鎖線で示している)がそれぞれ導電体シート2aおよび導電体シート2bの位置に設定されている。このとき、導電体シート2aと導電体シート2bとがそれぞれ順次積層される際に一層ごとに互い違いに横側に位置ずれさせて積層する。これにより、そのカットした状態で上記実施の形態と同様の積層方法を利用してマザー積層体としてのグリーン積層体9を積層形成すると、導電体層10が平面視で少なくとも全面に含まれる状態で積層されているので、グリーン積層体9の端部箇所においても中央箇所と同様の積層状態となっていることで各層同士の圧着性が高いものとなる。図13(c)には、この実施の形態での積層方法で積層されたグリーン積層体9の概略的な側面断面図を示している。この積層されたグリーン積層体9は上述実施の形態と同様のエッチング工程から最終的な外部電極を形成する工程まで経て積層チップコンデンサとなる。
【0056】
さらに、別の実施の形態について説明する。
【0057】
図14(a),(b),(c)を参照して、上記各実施の形態では、キャリアフィルム3上にその長手方向に連続的に誘電体シート1および導電体シート2を形成したものを示したが、この別の実施の形態の場合、誘電体シート1については長手方向に連続に形成されているものの、導電体シート2cについては、長手方向に所定間隔ごとに分離した状態で平面視矩形状に塗工されているものとなっている。
【0058】
この場合には、各導電体シート2cごと誘電体シート1およびキャリアフィルム3を含めて所定の矩形状にカットし、そのカットした誘電体シート1および導電体シート2cを積層することになる。そのカットは、矩形形状の一辺側に導電体シート2cが偏って位置する状態で行われる。なお、カットの仕方は、図14に二点鎖線で示すように導電体シート2cが左の辺側に偏った形態(図14(a)参照)と、導電体シート2cが右の辺側に偏った形態(図14(b)参照)との2種類ある。そのカットされた2種のシートは、マザー積層体としてのグリーン積層体9を作製するために、一層ごとに互い違いに横側に導電体シート2cを位置ずれさせて順次積層する。すなわち、導電体シート2cが左側に偏ったものと右側に偏ったものとを交互に四隅の各辺が重なるように積層することによって、導電体シート2cが交互に位置ずれした状態に積層されることになる。図14(c)には、この実施の形態での積層方法で積層されたグリーン積層体9の概略的な側面断面図を示している。この積層されたグリーン積層体9は上述実施の形態と同様のエッチング工程から最終的な外部電極を形成する工程まで経て積層チップコンデンサとなる。
【0059】
次に、さらに別の実施の形態について説明する。
【0060】
図15(a),(b),(c)を参照して、この別の実施の形態の場合、誘電体シート1については長手方向に連続に形成されているものの、導電体シート2d,2eについては、長手方向に所定間隔ごとに分離した状態で平面視矩形状に塗工されている幅広の導電体シート2dと、この導電体シート2dの横に所定間隔の隙間sを隔てて位置する幅狭の導電体シート2eとなっている。
【0061】
この場合には、組みとなった導電体シート2d,2eごと誘電体シート1およびキャリアフィルム3を含めて矩形状のシート4にカットし、そのカットしたシート4からキャリアフィルム3を剥離して、誘電体シート1および導電体シート2d,2eを積層することになる。このシート4の場合、予め積層するため左右両端のカット位置(図15(a),(b)において二点鎖線で示している)がそれぞれ導電体シート2dおよび導電体シート2eの位置に設定されている。このとき、導電体シート2dについてはこの導電体シート2dと導電体シート2eとがそれぞれ順次積層される際に一層ごとに互い違いに横側に位置ずれされて積層した状態となる。これにより、そのカットした状態で上記図14の実施の形態と同様の積層方法を利用してマザー積層体としてのグリーン積層体9を積層形成すると、導電体層10が平面視で少なくとも全面に含まれる状態で積層されているので、グリーン積層体9の端部箇所においても中央箇所と同様の積層状態となっていることで各層同士の圧着性が高いものとなる。図15(c)には、この実施の形態での積層方法で積層されたグリーン積層体9の概略的な側面断面図を示している。この積層されたグリーン積層体9は上述実施の形態と同様のエッチング工程から最終的な外部電極を形成する工程まで経て積層チップコンデンサとなる。
【0062】
次に、本発明のさらに別の実施の形態について説明する。
【0063】
図16には、積層チップコンデンサを作成するための積層体22を電解液に浸漬させて、その積層体22に誘電体層23と交互に積層された導電体層24について所望のパターンに電解エッチングする様子を概略的に断面図として示している。そのエッチングするときに積層体22は、隣合う積層体22同士が所定間隔を隔てて複数配列された状態となっている。図示しないが導電体層24は、積層体22の紙面に対して直交する方向での両端面において、一方の面には最上層から数えて奇数層のみが露出し、その露出した面にはエッチングのための電圧を印加するニッケル電極が付設されている。また、他方の面には、最上層から数えて偶数層のみが露出し、その露出した面にはエッチングのための電圧を印加するニッケル電極が付設されている。隣合う積層体22同士の対向する面間の間隙箇所Gに挿入された状態で陰極とされる電極板25が設けられている。この場合、エッチングの際、この電極板25には直流電圧の負電圧を印加するのであり、各積層体22の奇数層または偶数層の導電体層24の一方を選択して直流電圧の正電圧を印加する。図16に示すものでは、マザー積層体から切り出して棒状に構成された複数の独立した積層体22…を所定間隔隔てて配列し、隣り合う積層体22,22間の間隙箇所Gに電極板25を挿入したものを示している。電極板25は、積層体22の側面との間隔が一定になるように設定されるとともに、電極板25と対向して臨む積層体22の側面に露出した導電体層24のすべてと対向するよう設定されている。電解エッチングは、導電体層24のうち前記奇数層のものと偶数層のものとの一方だけ選択して、それぞれについて行われる。これにより、導電体層24の奇数層のものと偶数層のものとが互い違いに位置ずれした電極パターンが積層体22の導電体層24に形成される。
【0064】
この図16に示す実施の形態の変形例として、前述の図7に示すようなマザー積層体9に所定間隔おいて形成した溝13によりエッチング処理するための電解液がエッチング対象箇所に浸透するように、複数の積層体14が配列されたものにおいて、各溝13内に電極板25を挿入された構成としてもよい。
【0065】
次に、さらに別の実施の形態について説明する。
【0066】
図17(a),(b),(c),(d)を参照して、この別の実施の形態の場合、キャリアフィルム3の全面にわたって誘電体シート1を形成したものに、導電体シート2fについては、長手方向に所定間隔ごとに分離した状態で平面視矩形状に塗工されているものとなっている。そして、マザー積層体9を作製するためその積層用の基材として、導電体シート2fの左右幅よりも大きな矩形状のシート4を図17(a),(b)に二点鎖線で示すようにカットし、そのカットされたシート4からキャリアフィルム3を剥離して、誘電体シート1及び導電体シート2fを順次積層していく。上記カットされたシート4は、導電体シート2fの右辺より右方の誘電体シート1の幅が左辺より左方の誘電体シートの幅より大となっているもの(図17(a)参照)と、導電体シート2fの左辺より左方の誘電体シート1の幅が右辺より右方の誘電体シートの幅より大となっているもの(図17(a)参照)との2種類があり、それぞれを交互に四隅の辺が重なる状態で積層していくと、導電体シート2fが左方へ位置ずれした導電体層10と、導電体2fが右方へ位置ずれした導電体層10とが交互に積層されたマザー積層体としてのグリーン積層体9が形成される(図17(c)参照)。このグリーン積層体9は、前記シート4が導電体シート2fより外側でカットされたものであるから、交互に位置ずれ状態で積層された導電体シート2fの左端や右端は誘電体シート1内に埋まった状態で外部に露出していない。その露出していない部分について左右側面それぞれの近傍に前後方向に沿った溝26,26をダイサなどにより形成する(図17(d)参照)。この溝26の内側面には、左右方向一側に位置ずれした導電体層10の端部が露出するものとなっている。そして、このグリーン積層体9に図7に示したようなエッチング用の溝を形成して複数の積層体14が配列された状態にした場合でも、溝26より外側に残っている壁部分27,27および溝26内に各積層体14への電解エッチング用の電圧印加を行うための電極材が充填されることによりグリーン積層体9やこれを焼成して得られる積層体全体としての補強がなされ、各工程におけるハンドリングなどによる物理的な破損が発生しにくくなる。
【0067】
なお、このグリーン積層体9の作製は、図2や図3に示したような連続積層で行ってもよい。
【0068】
次に、さらに別の実施の形態について説明する。
【0069】
図18を参照して、電解エッチングする複数の積層体14…を所定の隙間28を隔てて配列し、積層体14よりも幅狭く形成された積層体29を電解エッチング時の陰極として用いるため、その積層体29を隙間28内に挿入した状態に配置している。この状態で電解液に浸漬し、積層体29の各導電体層には直流電圧の負電圧を印加し、エッチングする側の積層体14のエッチングする導電体層10については直流電圧の正電圧を印加する。ここで、積層体29は積層体14と同じ工程で作製されたものであって、積層体29の各導電体層と積層体14の各導電体層とは高さ位置が一致する状態に設定して電解エッチングする。
【0070】
次に、さらに別の実施の形態について説明する。
【0071】
図19〜図21を参照して、この別の実施の形態では、マザー積層体としてのグリーン積層体を作製して電解エッチングするまでの工程については、図1に示す工程と同じである。図20、図21(a)を参照して、電解エッチングされたグリーン積層体9について、電解エッチングするため電解液を浸透させるための溝13と直交する方向をカットライン(図20において一点鎖線で示す)として所定ピッチごとにチップ状積層体30を切り出す(図19のステップS14参照)。図21(b)を参照して、その切り出されたチップ状積層体30を例えば封止材としてのセラミックスラリーに浸漬させるなどにより、チップ状積層体30の6つの外面全てに封止材31を塗布することにより、エッチングで導電体が除去されて生じた空隙箇所が封止材で充填封止される(図19のステップS15参照)。乾燥工程を経て封止材を乾燥させた後、このチップ状積層体30をバレル処理することで角部の面取りを行う(図19のステップS16参照)。次に、図21(c)を参照して、チップ状積層体30の長手方向での両端面部分を内部導電体の一端が外部に露出するように、サンドブラスト、あるいはスパッタなどの研削処理する(図19のステップS17参照)。この研削処理後、図21(d)を参照して、チップ状積層体30の研削を施した各面に外部電極32,32を形成し、その外部電極32,32の表面をメッキ処理する(図19のステップS18参照)。これにより、この実施の形態の場合、積層チップコンデンサの製造が完了する。
【0072】
このように、電解エッチングで導電体層に所定パターンを形成した後、ただちにチップ状積層体にカットして、そのチップ状積層体について絶縁封止や、外部電極の形成を行うものであるから、マザー積層体のまま、封止材の充填封止を行って後にカットするものより、一つのマザー積層体から得られる部品数が多くなる。
【0073】
本発明は、上述の実施の形態に限定されず、種々な変形が可能である。
【0074】
(1)図7に示したマザー積層体としてのグリーン積層体9に溝13を形成したものに対して電解エッチングを行う際に、先に説明した実施の形態では、電解液の流動を行うのに電解液において超音波を発生させて流動する方法を示したが、それとは別の流動、この場合溝13内に浸透される電解液の入れ替えを行えるような流動を行う方法としては、図22に示す方法もある。すなわち、電解液を満たした電解槽17中にグリーン積層体9を一対の治具33,33によって電解槽17を二つに区画するように固定する。電解槽17のグリーン積層体9により二つに区画されたそれぞれの区画部分間で電解液の循環が行えるように、電解槽17の外部側に管路とこの管路を通して電解液を一定方向に流動させるポンプ34とを設けている。ポンプ34が駆動されることにより、電解液は電解槽17における一方の区画部分から他方の区画部分へと流動させられるとともに、電解槽17内においては、他方の区画部分から一方の区画部分へグリーン積層体9の溝13を通して電解液が流動される。したがって、溝13内の電解液は淀んだ状態となることなく、常時新鮮な電解液が供給されるよう流動されたものとなっているから、溝13内で対向する各積層体14の側面に露出した内部導電体層に対するエッチングが良好に行えることになる。
【0075】
(2)積層体の絶縁体層としては、誘電体で成る絶縁体に限定されるものではない。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、積層型電子部品の素材となる積層体についてその内部導電体層をエッチングにより所定パターンに形成する際に、少なくとも一対の積層体が、エッチングを施したい内部導電体層の露出した側面同士を対向させた状態でその側面同士が所定間隔隔てられて対向するように配置されて電解エッチングすることから、積層体のエッチングしたい面の片面づつエッチングするものでなく、積層体の両側面とも電解液に浸漬させたままエッチング処理できる。また、単一の積層体についてのみエッチングするのでなく、少なくとも一対の積層体、すなわち複数の積層体について、電解液に浸漬された状態で、隣合う積層体間の間隙に電解液が浸透しやすくなっていることで、エッチング箇所での電解液濃度分布が大きく変動しないようにできるとともに、適正な電解液濃度分布に維持できるものとなっている。したがって、エッチングの進行にかかわらず電解液の濃度分布が大きく偏ることがないため、全体的に精度良くエッチングでき、高品質の積層型電子部品を量産することができ、その積層型電子部品の製造コストの低下を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る積層チップコンデンサの製造工程を概略的に示す流れ図
【図2】図1の工程において積層体を積層形成するための基材のシートを示す説明図
【図3】図1の工程において積層体を積層形成する様子を示す断面側面図
【図4】図1の工程において得られたマザー積層体(グリーン積層体)の積層後カットしただけの状態を(a)に示し、カット後プレスして整形した状態を(b)を示す側面図
【図5】図1の工程において整形された状態のマザー積層体を示す側面図
【図6】図1の工程においてエッチング用の電極をマザー積層体に設けた状態を示す断面側面図
【図7】図1の工程においてマザー積層体にエッチング用の溝を形成したものを示す平面図(a)、この平面図(a)のB−B矢視断面図(b)、正面図(c)
【図8】図1の工程において電解エッチングの様子を示す概略平面図
【図9】図1の工程において電解エッチングの様子を示す概略説明図
【図10】図1の工程において電解エッチング後チップ部品の単体となる単位積層体を形成するためのカットの状態を示す平面図(a)と正面図(b)
【図11】図1の工程においてマザー積層体の各溝などに充填材を充填した状態を示す断面図であって、(a)は部品分離用設定溝への充填状態を示し、(b)はエッチング用溝などへの充填状態を示す
【図12】図1の工程においてマザー積層体から単位積層体を分割する様子を示す断面図であって、(a)は部品分離用設定溝に対する切断の様子を示し、(b)はエッチング用溝などに対する切断の様子を示す
【図13】本発明に係る別の実施の形態の積層体を積層形成するための基材のシートを示す説明図(a),(b)と、積層形成されたマザー積層体の正面図(c)
【図14】本発明に係るさらに別の実施の形態の積層体を積層形成するための基材のシートを示す説明図(a),(b)と、積層形成されたマザー積層体の正面図(c)
【図15】本発明に係るさらに別の実施の形態の積層体を積層形成するための基材のシートを示す説明図(a),(b)と、積層形成されたマザー積層体の正面図(c)
【図16】本発明に係るさらに別の実施の形態の積層体間に専用の電極を挿入した状態を示す側面図
【図17】本発明に係るさらに別の実施の形態の積層体を積層形成するための基材のシートを示す説明図(a),(b)と、積層形成されたマザー積層体の正面図(c)
【図18】本発明に係るさらに別の実施の形態におけるエッチングの様子を示す側面図
【図19】本発明に係るさらに別の実施の形態における積層チップコンデンサの製造工程を概略的に示す流れ図
【図20】本発明に係るさらに別の実施の形態におけるマザー積層体からチップ状積層体を分割するカット位置などを示す平面図
【図21】本発明に係るさらに別の実施の形態におけるチップ部品を製造する過程を(a)〜(d)へ順番に示す斜視図
【図22】本発明に係るさらに別の実施の形態における電解エッチングの様子を示す断面図
【符号の説明】
9 グリーン積層体(マザー積層体)
10 導電体層
11 誘電体層(絶縁体層)
13 溝
14 積層体
Claims (13)
- 絶縁体層および内部導電体層が複数積層して成る積層体に対するエッチング処理で前記内部導電体層を所定パターンに形成するエッチング工程を含む積層型電子部品の製造方法において、
前記積層体は、相対向する両側面それぞれに前記内部導電体層が露出されるとともに、前記エッチング工程は、少なくとも一対の前記積層体を前記側面同士が所定間隔隔てられて対向するように配置した状態で電解液に浸漬してエッチング処理を行う、ことを特徴とする積層型電子部品の製造方法。 - 請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法において、
マザー積層体に対して積層方向に所定深さでかつ所定幅の溝を幅方向に所定間隔隔てて所定数形成することにより、前記各溝の深さ方向に沿った互いに対向する側面のそれぞれに前記内部導電体層が露出される前記積層体が複数形成され、前記エッチング工程では、前記各溝内に電解液を浸入させて前記露出状態の内部導体層に対してエッチング処理する、ことを特徴とする積層型電子部品の製造方法。 - 請求項2に記載の積層型電子部品の製造方法において、
前記マザー積層体は前記内部導電体層が平面方向で一側とその反対側との一方にずらした状態で積層されたものであり、前記マザー積層体の下端部に隣り合う前記積層体同士がつながるつながり部分を残した状態で前記溝を形成するとともに、前記エッチング工程は、前記電解液に前記マザー積層体を浸漬させた状態で、前記内部導電体層のうち一側にずれた内部導電体層群を先に選択して電圧印加によりエッチングした後、反対側にずれた内部導電体層群を選択して電圧印加によりエッチングする、ことを特徴とする積層型電子部品の製造方法。 - 請求項3に記載の積層型電子部品の製造方法において、
前記マザー積層体は、前記絶縁体層が誘電体により成るとともに、前記内部導電体層が平面方向での一側とその反対側とに互い違いにずらした状態で順次積層されたものである、ことを特徴とする積層型電子部品の製造方法。 - 請求項2に記載の積層型電子部品の製造方法において、
前記マザー積層体は、前記内部導電体層の横側における前記内部導電体層の欠如部分を充填材で埋めて厚み調整されている、ことを特徴とする積層型電子部品の製造方法。 - 請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法において、
前記積層体は、前記絶縁体層が誘電体により成るとともに、前記内部導電体層が平面方向での一側とその反対側とに互い違いにずらした状態で順次積層されたものであり、独立した複数の前記積層体を、互いの前記側面同士が所定間隔隔てて対向するように配置した状態で電解液に浸漬する、ことを特徴とする積層型電子部品の製造方法。 - 請求項3または6に記載の積層型電子部品の製造方法において、
前記内部導電体層を互い違いにずらす方向での前記各積層体における両端面には、前記内部導電体層が露出され、この露出した前記内部導電体層に接続させて外部側導電体を前記両端面にそれぞれ形成し、該外部側導電体を介して前記エッチング用の電圧印加を行う、ことを特徴とする積層型電子部品の製造方法。 - 請求項7に記載の積層型電子部品の製造方法において、
前記エッチング工程は、隣合う前記積層体における前記内部導電体層の露出した側面同士を対向させた状態で、互いに相対向する前記内部導電体層の一方をエッチング時の陰極とし、他方をエッチング時の陽極とする、ことを特徴とする積層型電子部品の製造方法。 - 請求項8に記載の積層型電子部品の製造方法において、
前記積層体が複数個互いに所定間隔隔てて並列配置された状態で、その並列した順に前記積層体の3つを一組とする積層体群を仮想的に設定するとともに、該積層体群における中央の積層体に対するエッチング用の電圧印加は前記内部導電体層が陰極となるようにし、前記積層体群における残りの2つの積層体に対するエッチング用の電圧印加は前記内部導電体層が陽極となるようにし、前記エッチング工程では、1回目の電圧印加において、互い違いにずらした前記内部導電体層のうち一方にのみ電圧印加し、2回目の電圧印加において、前記積層体群を1回目の電圧印加時の状態から並列配置された一つの積層体分所定方向にずらした状態に仮想的に設定しなおし、互い違いにずらした前記内部導電体層のうち他方のみ電圧印加し、3回目の電圧印加において、前記積層体群を1回目の電圧印加時の状態から並列配置された二つの積層体分前記所定方向にずらした状態に仮想的に設定しなおし、前記1回目および2回目の電圧印加において陰極としていた積層体の内部導電体に対してエッチングを行うように電圧印加する、ことを特徴とする積層型電子部品の製造方法。 - 請求項1ないし7のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法において、
前記エッチング工程において、隣合う積層体間に電解エッチング用の電極を配置した状態で各積層体の導電体層に対するエッチングを行う、ことを特徴とする積層型電子部品の製造方法。 - 請求項1ないし10のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法において、
前記エッチング工程では、電解液を流動させながらエッチング処理する、ことを特徴とする積層型電子部品の製造方法。 - 請求項1ないし11のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法において、
前記エッチング工程では、pH緩衝剤を含んだ電解液を使用する、ことを特徴とする積層型電子部品の製造方法。 - 請求項1ないし12のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法において、
前記エッチング工程の後、前記積層体をチップ部品サイズに切断することにより複数のチップ部品部材に分割する切断工程と、前記チップ部品部材に外部電極を形成する外部電極形成工程とを有する、ことを特徴とする積層型電子部品の製造方法。
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2003
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