JP2004303370A - 磁気メモリデバイスおよび磁気メモリデバイスの読出方法 - Google Patents

磁気メモリデバイスおよび磁気メモリデバイスの読出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】確実な書き込みと大きな読出信号を得ることを可能とする新規な駆動方式に基づく磁気メモリデバイス、および磁気メモリデバイスの読出方法を提供する。
【解決手段】一対のループ状の書込線6X,6Yが4つの平行部分を形成し、上段と下段の各平行部分に配された磁気抵抗効果素子12A,12Bがそれぞれ記憶セル12Ev,記憶セル12Odを構成している。スイッチ70A,70Bは、対をなす記憶セル12Ev,12Odの一方を読出対象として選択し、センシング電流が流れるようにする。
【選択図】 図19

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、強磁性体を含む磁気抵抗効果素子を用いて構成され、この強磁性体の磁化方向を制御することにより情報を書き込み、記憶する磁気メモリデバイス、および磁気メモリデバイスの読出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータやモバイル通信機器などにおける情報処理の高速化は、いわゆるユピキタスコンピューティングを目指す時流に乗り、ますます重要となる一方である。また、これに伴って、高速な不揮発性メモリの開発が強く求められており、従来のフラッシュEEPROMやハードディスク装置などに代わるメモリとしてMRAM(Magnetic Random Access Memory )が有望視されている。
【0003】
MRAMは、マトリクス状に配列された個々の記憶セルが磁気素子で構成されている。現在実用化されているMRAMは、巨大磁気抵抗効果(GMR:Giant Magneto−Resistive )を利用したものである。GMRとは、互いの磁化容易軸を揃えて配設された2つの強磁性層が積層された積層体において、積層体の抵抗値が、各強磁性層の磁化方向が磁化容易軸に沿って平行な場合に最小、反平行の場合に最大となる現象である。各記憶セルは、この2状態を「0」,「1」の2値情報に対応させて情報を記憶し、情報に対応させた抵抗の違いを電流または電圧の変化として検出することによって情報を読み出す仕組みになっている。実際のGMR素子では、2つの強磁性層は非磁性層を介して積層され、磁化方向が固定されている固定層と、外部磁界により磁化方向が変化可能な自由層(感磁層)とからなる。
【0004】
これに対し、トンネル磁気抵抗(TMR:Tunneling Magneto−Resistive )効果を利用した磁気素子では、GMR素子に比べて抵抗変化率を格段に大きくすることができる。TMRとは、極薄の絶縁層を挟んで積層された2つの強磁性層(固定層と自由層)において、互いの磁化方向の相対角度により絶縁層を流れるトンネル電流値が変化する現象である。すなわち、トンネル電流は、両者の磁化が互いに平行なときに最大(素子の抵抗値は最小)、反平行のときに最小(素子の抵抗値は最大)となる。この原理により、TMR素子には抵抗変化率が40%以上にも及ぶものがある。また、TMR素子は高抵抗であり、MOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor/Field Effect Transistor )等とのマッチングが取り易いとされている。こうした利点から、TMR−MRAMは、高出力化が容易であり、記憶容量やアクセス速度の向上が期待されている。
【0005】
これらのMRAMでは、素子の違いこそあれ、情報の書き込みは同様の方式で行われる。すなわち、書込線に電流を流して磁界を誘導し、この電流磁界によって自由層の磁化方向を制御する。これにより、強磁性層間の相対的な磁化方向が平行または反平行となり、対応する2値情報が記憶される。
【0006】
例えば、従来のTMR−MRAMは、以下のような構成となっている。図21に示したように、一直線状に延びるビット線201,書込用ワード線202が互いに直交し、その交差領域の各々に配設されたTMR素子205(回路上では、抵抗器として表現される)を単位とする点線の領域が記憶セルを構成している。ビット線201は、書き込み/読み出し兼用の配線であり、書き込み時にはビット方向のセル選択線として機能し、読み出し時にはセンス線として機能する。各ビット線201には、ビット選択用トランジスタ204のソース−ドレイン間が接続され、そのゲート端子に入力されるビットデコード値により選択された場合にだけ電流が流れるようになっている。書込用ワード線202も同様に、ワードデコード値に応じて選択されたものだけに電流が供給されるようになっている。よって、書き込み時の選択セルでは、ビット線201,書込用ワード線202の双方に電流が流れる。
【0007】
また、読み出し動作のため、TMR素子205の一端はビット線201に接続され、他端はセル選択用トランジスタ206を介して接地されている。このセル選択用トランジスタ206のゲート端子は、セルのワード列ごとに設けられた読出用ワードデコード線203に並列接続されている。よって、読み出し時の選択セルでは、ビット線201から供給されたセンシング電流が、TMR素子205,セル選択用トランジスタ206を通って接地に向かって流れ落ちる。
【0008】
図22は、図21のの矢印Aの方向からみた記憶セルの断面構造を表している。TMR素子205は、固定層207,絶縁層208および自由層209の積層体からなり、固定層207の磁化は図示の方向に固定され、自由層209の磁化は図示した両方向に反転可能である。TMR素子205における書き込み状態は、自由層209と固定層207の磁化の相対方向、つまりは自由層209の磁化の方向によって決まる。しかしながら、従来では、書き込み時にビット線201,書込用ワード線202に電流を流し、自由層209に対し直交する2方向に磁界を誘導するようになっていた。
【0009】
これは、磁界Hx ,Hy の合成磁界ベクトルが、図23に示した閉曲線(いわゆるアステロイド曲線)で規定される領域を超えるとき、この合成磁界によって自由層209の磁化方向を変化させることができるとするスイッチング磁界の理論に基づいている。この場合の自由層209は、一軸磁気異方性を有する薄膜であり、単一磁区構造をとり、磁化反転は一斉回転により生ずるものと仮定されている。また、磁界Hx ,Hy は、それぞれ自由層209の磁化困難軸方向,磁化容易軸方向における磁界成分である。合成磁界が自由層209の膜面内に磁化容易軸から角度φをなす方向に印加されるとき、磁化は、磁界から受けるトルクと、磁気異方性により磁化容易軸に向かうトルクとが釣り合う0<θ<φなる角度を向く。こうした磁化スイッチングにおける臨界磁界は、図23の曲線で表される(ただし、Hswは磁化反転を可能とする印加磁界の閾値)。なお、このように、マトリクス電極配線の両方向の各一をアドレス入力により特定し、所望のセルを一意に選択することは、マトリクス駆動方式の原理に則ったものである。
【0010】
また、マトリクス駆動方式では、選択用配線を用いて所定のセル列を半選択状態とする補助的なセル選択を行い、データ用配線に動作閾値を超えるデータ信号を与えることによって半選択セルの中から単一セルを選択し、その状態をデータに応じて制御するというのが一般的な考え方であり、MRAM以外のメモリや、ディジタル駆動型ディスプレイもこうした動作原理に基づいて設計されている。この点についても従来のMRAMは例外ではなく、やはり同様の原理で駆動される。すなわち、ビット線201に図21,図22の白矢印の方向に電流を流し、バイアス磁界Hx を一定の方向に発生させ、対応するビット列を半選択状態とする。一方、書込用ワード線202には双方向のうちデータに応じた方向に電流を流し、自由層209の磁化方向に対応する磁界Hy またはその反転磁界−Hy を発生させる。これにより、半選択状態にあるビット列のうち、対応するワード列にあるセルについて、選択的にデータに応じた磁化方向制御を行う。
【0011】
ちなみに、ビット線201は、読み出し時にはセンス線として微弱な電圧または電流を検出するために用いることから、電流許容値が小さい兼用線として設計されているために、書き込み時に流す電流量も小さい。つまり、磁界Hx は、比較的小さく、セル選択のために印加される方向固定のバイアス磁界とみなされている。
【0012】
これに対し、近年では、書き込み効率の向上を目的としたセル構造が提案されてきている。例えば、図24のように、記憶セル211に閉磁路構造を導入し、自由層214の末端における反磁界の影響を低減させ、その磁化を安定させる技術が開示されている(特許文献1参照)。記憶セル211は、積層された固定層212,絶縁層213,自由層214と、閉磁路層215とを備えている。閉磁路層215は、自由層214の磁化反転を促進すると共に、外部漏洩磁界に対する磁化の安定化にも寄与する。そのため、記憶セル211は微細化が可能となり、例えば図25のように書込線を曲折することによって書込線の最小周期を低減し、高集積化させることが提案されている。同図では、ワード線217は一直線状とし、ビット線216を曲折させている。
【0013】
同様の配線構造は、特許文献2においても提示されている(図26)。ただし、この場合には、書込線221を配線幅a、折れ曲がり部長さbとして曲折し、そこに流れる書込電流と書込線222の書込電流との相対方向を制御するようになっている。こうして、図27に示したように、書込線221の書込電流による誘導磁界H1 を、書込線222の書込電流による誘導磁界H2 に対して相対角θ=tan −1(b/a) の向きに発生させ、磁界H1 ,H2 の合成ベクトルH12の大きさを、これらが直交する場合よりも大きくすることを目的としている。
【0014】
【特許文献1】
特開2001−273759号公報
【特許文献2】
特開2002−289807号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明の発明者らは、以上のように記憶セルにおける書込線を平行に近づける場合に、従来の配線構造や書込方法を踏襲すると確実な書き込みがなされないおそれが十分にあることに気づいた。
【0016】
従来のMRAM回路では、書込用ワード線202に対しては、データに応じて反転した方向に書込電流を流す必要から、正極性または負極性のパルスを与えることで電流を双方向に流すことが可能となっている。ところが、ビット線201には、固定バイアス磁界Hy を与えるよう書込電流を一方向にしか供給しないというだけでなく、常に一方向(図21、25の白矢印の方向)の電流しか流せないような構造になっている。
【0017】
仮にビット線201に負極性のパルス電圧を印加し、図21の白矢印とは反対方向に電流を流そうとすると、この電流はビット線201に接続された各セルのセル選択用トランジスタ206を通過して流れることになる。すなわち、セル選択用トランジスタ206は、一般にエンハンスメント型MOSトランジスタであり、いま、書き込み動作のためオフ状態にあるセル選択用トランジスタ206のゲート電圧は0Vもしくは負の電位となっているはずである。ここで、ドレイン側に負のパルスが印加されるようなことがあれば、ゲートはソース側とは0Vの同電位か、より高い電位であるために、本来のソースとドレインの機能が逆転して、ソースからドレインに向かって電流が流れてしまうのである。
【0018】
このような従来の回路構成や駆動方法を適用して、図27のように磁界H1 ,H2 を印加しようとすると、図28のように、磁界H1 と磁界−H2 による反転磁界ベクトル−H12は、方向が自由層209の磁化容易軸に対して磁界ベクトルH12と対称ではなく、大きさが磁界ベクトルH12より小さくなる。このため、2値情報を等価な状態で書き込むことができず、そればかりか確実に書き込むことができないおそれがあった。
【0019】
このように、書込配線の構造を改良したとしても、単に従来の回路構成にはめ込むだけでは実用に供するものとはならない。反面、回路の全体構成についての改良は進んでおらず、MRAMの構成や駆動原理は従来から大きく変化していないのが現状である。また、こうした状況から、本発明の発明者らは、MRAMを実際にメモリとして駆動可能に改良すること、さらに、そのためには単に従来の回路において書込配線を改変するだけでなく、読出回路系を含むメモリ構造全体を合目的的に改良する必要があることに想到した。
【0020】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、確実な書き込みと大きな読み出し信号出力を得ることを可能とする新規な駆動方式に基づく磁気メモリデバイスおよび磁気メモリデバイスの読出方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気メモリデバイスは、外部磁界によって磁化方向が変化する感磁層を有する磁気抵抗効果素子と、磁気抵抗効果素子に読出電流を供給する読出線と、折り返し部分と、この折り返し部分を挟んで延びる第1および第2の部分とを含むループ形状をなす第1の書込線と、折り返し部分と、この折り返し部分を挟んで延びる第3および第4の部分とを含むループ形状をなす第2の書込線とを備え、第1ないし第4の部分がそれぞれ曲折されることにより、第1および第2の部分と第3および第4の部分との交差点に対応して、第1の書込線と第2の書込線とが互いに平行に延びる4つの平行部分が形成されると共に、これらの平行部分にそれぞれ磁気抵抗効果素子が配置され、4つの平行部分のうちの2つの平行部分に配置された一対の磁気抵抗効果素子によって第1グループに属する記憶セルが構成され、4つの平行部分のうちの他の2つの平行部分に配置された一対の磁気抵抗効果素子によって第2グループに属する記憶セルが構成され、読出対象の記憶セルが第1および第2のグループのいずれに属するかを示すグループ選択情報に基づいて読出対象の記憶セルが選択されるものである。なお、ここでいう「書込線が互いに平行」とは、製造上の誤差範囲±10°を含んでいる。
【0022】
この磁気メモリデバイスでは、第1および第2の書込線がループ形状をなし、電流を往還させるようになっていることから、曲折することによって第1および第2の書込線が互いに平行となる平行部分は、第1の書込線と第2の書込線の対ごとに、その交差点に対応して4つ形成される。この場合に、各平行部分に配置される磁気抵抗効果素子が2つずつ組み合わせられて2つの記憶セルが構成される。これらの記憶セルは第1のグループと第2のグループに分けることによって、いずれか一方を選択するようにして動作制御されるようになっている。なお、一方の記憶セルが対応する2つの平行部分が、第1の部分と第3および第4の部分との交差点に対応したものであり、他方の記憶セルが対応するもう一方の2つの平行部分が、第2の部分と前記第3および第4の部分との交差点に対応したものであると、第1および第2の書込線における書込電流の方向制御を、対をなす磁気抵抗効果素子ごとに行うことができ、好ましい。
【0023】
この磁気メモリデバイスは、情報の読み出しを、例えば以下の2通りの方法で行うように構成される。一つ目は、第1のグループおよび第2のグループの双方の記憶セルに読出電流を流して検出信号を出力させ、これらの出力のうち、グループ選択情報に基づいて選択された出力を読出情報とするものである。このような構成は、読出線が第1のグループに属する記憶セルが接続された第1の読出線群と、第1の読出線群と対をなすように第2のグループに属する記憶セルが接続された第2の読出線群とを含み、第1および第2の読出線群からの出力がそれぞれ入力される第1および第2のセンスアンプ回路と、グループ選択情報に基づき、第1および第2のセンスアンプ回路の出力のうちの一方を読出情報として選択し、出力する第1のセル選択手段とを備えることによって具現化される。すなわち、この場合の第1のグループと第2のグループは、対称な2系統の読出回路系を構成している。各グループの記憶セルは、例えば1つのアドレスによって対応するもの同士が同時に選択され、それぞれの回路系で同時に読出動作が行われ、検出信号が出力される。その後、グループ選択情報に基づき、これら出力のうちから真に読出対象である記憶セルからの出力が選択される。
【0024】
二つ目は、グループ選択情報に基づき、読出動作を行う記憶セルを第1および第2のグループのいずれかより選択し、選択された記憶セルにのみ読出電流を流して検出信号を出力させ、これを読出情報とするものである。この場合には、読出動作を行う以前に、読出対象である記憶セルが特定される。このような構成は、読出線が複数の磁気抵抗効果素子のうちの互いに対をなすものがそれぞれ接続される読出線対を含み、読出線対に接続された磁気抵抗効果素子のうち、読出動作を行う記憶セルに対応するものにだけ読出電流を流すように電流供給を切り換え制御するスイッチを含む第2のセル選択手段を備えることによって具現化される。
【0025】
このような磁気メモリデバイスは、第1および第2の書込線が、読出線とは別体に構成され、双方向に書込電流を流すように構成されていることが好ましい。これにより、書込電流を制御し、書込対象である記憶セルに選択的に書き込みを行うことが可能となる。また、第1および第2の書込線に流れる書込電流により生ずる磁界が、書込対象の記憶セルにおいては互いに同一方向を向くように感磁層に印加されるものであることが好ましい。例えば、磁気抵抗効果素子は、書込線の平行部分のうち、平行部分と直交する方向にのみ磁界が生じる領域に配置されることにより、書込電流に誘導される磁界を平行とし、その方向を単一方向に揃えることができる。ある磁気抵抗効果素子が書込対象となれば、それが配置されている平行部分においては、向きが揃うように書込電流が供給される。このとき生じる磁界は、互いに同一の方向、感磁層の磁化反転方向を向く。このように、第1および第2の書込線は、共に情報に対応する方向に磁界を誘導するものとして駆動される。
【0026】
また、本発明の磁気メモリデバイスにおける磁気抵抗効果素子は、感磁層を含む積層体を含んでおり、積層体の一方の面側に、積層面に沿った方向を軸方向とし、第1および第2の書込線の平行部分によって軸方向に沿って貫かれるように構成された環状磁性層が設けられていることが好適である。この「還状磁性層」の「環状」とは、少なくとも内部を貫通する書込線からみたときに、それぞれの周囲を磁気的かつ電気的に連続して完全に取り囲み、書込線を横切る方向の断面が閉じている状態を示している。よって、環状磁性層は、磁気的かつ電気的に連続である限りにおいて絶縁体が含有されることを許容し、製造過程において発生する程度の酸化膜を含んでいてもよい。ここでいう「軸方向」とは、この環状磁性層単体に注目したときの開口方向、すなわち内部を貫通する書込線の延在方向を指す。また「積層体の一方の面側に…設けられ」とは、環状磁性層が積層体の一方の面の側に積層体とは別体として配設される場合のほか、環状磁性層が積層体の一部を含むように配設される場合をも含む、という趣旨である。このような磁気抵抗効果素子は、書込線に電流が流れると環状磁性層に閉磁路を形成することから、感磁層の磁化反転が効率よく行われる。
【0027】
さらにまた、このような第1および第2の書込線において生ずる磁界の大きさを相等しいものとすれば、平行部分において方向が揃い、互いに強めあう場合には書き込みが可能となり、反対を向いて互いに打ち消し合う場合には書き込みが不能となるように制御することができ、これを利用して書込対象のセルの選択を行う駆動制御がなされる。
【0028】
本発明の磁気メモリデバイスの読出方法は、外部磁界によって磁化方向が変化する感磁層を有する磁気抵抗効果素子と、磁気抵抗効果素子に書込電流を供給する第1および第2の書込線と、磁気抵抗効果素子に読出電流を供給する読出線とを備えた磁気メモリデバイスの読出方法であって、第1の書込線を、折り返し部分とこの折り返し部分を挟んで延びる第1および第2の部分とを含むループ形状とすると共に、第2の書込線を、折り返し部分とこの折り返し部分を挟んで延びる第3および第4の部分とを含むループ形状とし、第1ないし第4の部分をそれぞれ曲折することにより、第1および第2の部分と第3および第4の部分との交差点に対応して、第1の書込線と第2の書込線とが互いに平行に延びる4つの平行部分を形成し、これらの平行部分にそれぞれ磁気抵抗効果素子を配置し、4つの平行部分のうちの2つの平行部分に配置された一対の磁気抵抗効果素子によって第1グループに属する記憶セルを構成し、4つの平行部分のうちの他の2つの平行部分に配置された一対の磁気抵抗効果素子によって第2グループに属する記憶セルを構成し、読出対象の記憶セルが第1および第2のグループのいずれに属するかを示すグループ選択情報に基づいて読出対象の記憶セルを選択するものである。
【0029】
本発明の磁気メモリデバイスの読出方法では、本発明の磁気メモリデバイスと同様に構成することによって、共に同一の書込線に対応していながら別々に書き込み動作を行うことができる第1および第2のグループに属する記憶セルが設けられると共に、記憶セルの選択制御がグループ選択情報に基づいて行われる。
【0030】
より具体的な読出対象セルの選択方法としては、例えば、第1のグループおよび第2のグループの双方の記憶セルに読出電流を流して検出信号を出力させ、これらの出力のうち、グループ選択情報に基づいて選択された出力を読出情報とする方法がある。また、グループ選択情報に基づき、読出動作を行う記憶セルを第1および第2のグループのいずれかより選択し、選択された記憶セルにのみ読出電流を流して検出信号を出力させ、これを読出情報とすることもできる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の形態に係る磁気メモリデバイスの全体の構成を表している。この磁気メモリデバイスは、半導体メモリチップとして具現化されるMRAMであり、アドレスバッファ110,X方向周辺駆動回路120,Y方向周辺駆動回路130,記憶セル群140,データバッファ150および制御ロジック部160を主要な構成要素としている。このうち、X方向周辺駆動回路120は、X方向アドレスデコーダ121,読み出しのための定電流回路122,書き込みのためのX方向カレントドライブ123からなる。Y方向周辺駆動回路130は、Y方向アドレスデコーダ131,読み出しのためのセンスアンプ132,書き込みのためのY方向カレントドライブ133からなる。
【0033】
図2は、そのうちの記憶セル群と周辺の書込回路系、および読出回路系の構成を表すブロック図である。記憶セル群140は、多数の記憶セル12がワード線方向(X方向),ビット線方向(Y方向)にマトリクス状に配列して構成されている。なお、以下では、記憶セル群140における記憶セル12の各列をワード列、各行をビット列と呼ぶ。
【0034】
まず書込回路系をみる。ここでは、書込用ビット線6X,書込用ワード線6Y(以下、書込線6X,6Y)の双方がループ状となっている。また、書込線6Xが、書込線6Yと交差する度に曲折され、矩形波状となることで、書込線6X,6Yが互いに平行となる平行部分が形成されている。すなわち、書込線6X,6Yの一対からは4つの平行部分が形成され、平行部分のそれぞれに磁気抵抗効果素子(12A,12B)が配置されている。さらに、1つの記憶セル12は、ワード線方向に隣接する一対の磁気抵抗効果素子12A,12Bからなるものとされ、書込線6X(…,6X,6Xn+1 ,…)には、折り返し部分を間に上段と下段のそれぞれに記憶セル12が配設されている。
【0035】
また、個々の書込線6Xは、対応するX方向カレントドライブ123に両端が接続され、個々の書込線6Yは、対応するY方向カレントドライブ133に両端が接続されている。すなわち、書込線6X(…,6X,6Xn+1 ,…)とX方向カレントドライブ123は1対1に対応しており、これに対応する記憶セル12のワード列は、書込線6Xの上段,下段の2列である。一方、書込線6Y(…,6Y,6Yn+1 ,…)とY方向カレントドライブ133もやはり1対1に対応しており、これに記憶セル12のビット列が対応している。
【0036】
そこで、本実施の形態では、書込線6Xにおける上段側の記憶セル12を偶数番地の記憶セル12Ev、下段側の記憶セル12を奇数番地の記憶セル12Odとし、それぞれを、偶数番地の記憶セル群Evと奇数番地の記憶セル群Odのグループに分けて駆動制御を行うものとしている。これは、同じビット列で書込線6Xの上段,下段に配置された一対の記憶セル12Ev,12Odを選択すると共に、動作対象の記憶セル12が記憶セル群Ev,Odのいずれかに属するかを判断する、というものである。
【0037】
なお、書込線6X,6Yは、読出線とは別体として配置されている。図2における読出線とは、ビット列ごとに配設されているセンスビット線21A,21Bである。センスビット線21Aには磁気抵抗効果素子12Aが、センスビット線21Bには磁気抵抗効果素子12Bが、それぞれ後述する読出センシング用導線11により接続され、双方を流れるセンシング電流は、センスアンプ132にて差動増幅されるようになっている。
【0038】
ここでは、読出回路系は、記憶セル群12Ev,12Odによって分けられ、2系列設けられている。センスビット線21A,21Bは、記憶セル群12Ev,12Odに対応して2本づつ設けられ、それぞれ、センスアンプ132Ev,132Odに接続されている。なお、同じビット列に対応するセンスアンプ132Ev,132Odは、同一のビットデコード値(…,Y,Yn+1 ,…)により選択される。また、センスアンプ132Evの群とセンスアンプ132Odの群は、別々にカスケード接続され、出力用マルチプレクサ153,出力バッファ154に接続される。センスアンプ132Evの出力とセンスアンプ132Odの出力は、出力用マルチプレクサ153にてグループ選択信号線106から入力される最下位ビットのアドレス信号Aに基づき、一方が選択される。選ばれたセンスアンプ出力は、出力バッファ154から読出データ信号(Dout )として出力される。
【0039】
この磁気メモリデバイスでは、このような記憶セル群140および周辺回路を駆動するために、そのほかの構成要素は以下のように構成されている。
【0040】
アドレスバッファ110は、外部アドレス入力端子A0 〜A20を備え、アドレス線101,102を介してX方向アドレスデコーダ121,Y方向アドレスデコーダ131に接続されている。このアドレスバッファ110は、外部アドレス入力端子A0 〜A20から記憶セル12を選択するためのアドレス信号を取り込み、内部バッファ増幅器にて、アドレスデコーダ121,131で必要な電圧レベルまで増幅する機能を有している。また、増幅したアドレス信号を記憶セル12のワード列方向(X方向),ビット列方向(Y方向)に分け、アドレスデコーダ121,131のそれぞれに入力するようになっている。
【0041】
なお、外部アドレス入力端子A0 から入力される最下位ビットのアドレスは、ここでは、選択する記憶セル12が偶数番地の記憶セル群Ev、奇数番地の記憶セル群Odのいずれに属するかを示す情報とみなされる。よって、この信号電圧を番地選択信号Aとし、これだけはグループ選択信号線106を介してデータバッファ150に送出されるようになっている。ちなみに、磁気メモリデバイスが記憶セル群140を複数有している場合、アドレスバッファ110には、複数の記憶セル群140から1つの記憶セル群140を選択するためのアドレス信号もまた入力される。
【0042】
データバッファ150は、外部とディジタルデータ信号のやり取りを行うための外部データ端子D0 〜D7 を備えると共に、制御ロジック部160と制御信号線107により接続されている。このデータバッファ150は、入力系として入力バッファ151,書込用論理制御部152、および出力系として読出用マルチプレクサ153,出力バッファ154を備えている。なお、入力バッファ151,出力バッファ154は、それぞれ制御ロジック部160からの制御信号によって動作するようになっている。
【0043】
入力バッファ151は、メモリ書き込み時に外部データ端子D0 〜D7 からデータ信号を取り込み、このデータ信号を内部バッファ増幅器で必要とされる電圧レベルまで増幅し、書込用論理制御部152に入力する。
【0044】
書込用論理制御部152は、入力バッファ151からデータ信号を、グループ選択信号線106から番地選択信号Aを受け取り、これらを基に、上位ビットアドレスによって選択されたカレントドライブ123,133の動作制御を行うようになっている。すなわち、カレントドライブ123,133が書込線6X,書込線6Yのそれぞれに対し、▲1▼一対の記憶セル12Ev,記憶セル12Odのいずれに、▲2▼「1」, 「0」のいずれを書き込むか、に応じた方向に電流を流すように、書き込み用データバス103,104を介してX方向カレントドライブ123,Y方向カレントドライブ133のそれぞれにデータ信号XDin ,YDin およびリファレンス信号XRef ,YRef を送出する。
【0045】
読出用マルチプレクサ153は、読出用データバス105,グループ選択信号線106に接続され、それぞれより、センスアンプ132の出力と番地選択信号Aとが入力される。センスアンプ132からは、前述のように記憶セル群12Ev,記憶セル群12Odの双方に対応する2つのデータが入力される。そこで、番地選択信号Aを用い、このうち読出対象の記憶セル12の出力である方を選択し、出力バッファ154に入力する。出力バッファ154は、内部バッファ増幅器を備え、メモリ読み出し時に入力される読出データ信号を、低インピーダンスで外部データ端子D0 〜D7 に出力する機能を有している。
【0046】
制御ロジック部160は、入力端子CS,入力端子WEを備え、データバッファ150に制御信号線107で接続されている。制御ロジック部160は、記憶セル群140に対する動作制御を行うものであり、入力端子CSからは、磁気メモリデバイスの書き込み/読み出し動作をアクティブにするか否かの信号(チップセレクト;CS)が入力される。また、入力端子WEからは、書き込み/読み出しを切り替えるための書き込み許可信号(ライトイネーブル;WE)が入力される。この制御ロジック部160は、入力端子CS,入力端子WEより取り込んだ信号電圧を、内部バッファ増幅器により周辺駆動回路120,130にて必要な電圧レベルまで増幅する機能を有すると共に、増幅後の信号を周辺駆動回路120,130のそれぞれに送出するようになっている。
【0047】
(記憶セルの構成)
図3は、本実施の形態に係る記憶セルの構成を示す断面図である。各記憶セル12の磁気抵抗効果素子12A,12Bは、GMRまたはTMRを利用した磁気抵抗効果素子である。ここでは、一具体例として、磁気抵抗効果素子12A,12BがTMR素子である場合について説明する。
【0048】
記憶セル12は、基板10の一面に形成された、左右1対の磁気抵抗効果素子12A,12Bからなる。磁気抵抗効果素子12A,12Bは、第1の磁性層1,非磁性層2,第2の磁性層3が積層した積層体と、この積層体の一方の面側に積層面に沿った方向を軸方向とするように配設されると共に、書込線6X,6Yによって軸方向に貫かれるように構成された環状磁性層5とを含んで構成されている。第2の磁性層3と環状磁性層5は、非磁性導電層4を介して接合され、電気的に接続されている。また、磁気抵抗効果素子12A,12Bには、積層体の上面(環状磁性層5とは反対側の面)に読出センシング用導線11が設けられ、積層体に対し、積層面に垂直方向の電流を基板10に向かって流すことができるように構成されている。
【0049】
第1の磁性層1は、磁化方向の固定された強磁性層であり、第2の磁性層3は、外部磁界によって磁化方向が変化する強磁性層(感磁層)である。これらは、数nm(数10Å)と非常に薄い非磁性層2を挟んで積層されている。この積層体において、第1の磁性層1と第2の磁性層3との間に、積層面に垂直方向の電圧を印加すると、例えば第2の磁性層3の電子が非磁性層2を突き抜けて第1の磁性層1に移動してトンネル電流が流れる。すなわち、ここでの非磁性層2は、トンネルバリア層である。このトンネル電流は、非磁性層2との界面部分における第1の磁性層1のスピンと第2の磁性層3のスピンとの相対的な角度によって変化する。第1の磁性層1のスピンと第2の磁性層3のスピンとが互いに平行な場合に磁気抵抗効果素子12A(12B)の抵抗値は最小、反平行のときに最大となる。
【0050】
非磁性層2の厚みは、トンネル抵抗等を基にして決められる。一般に、TMR素子を用いた磁気メモリ素子では、トランジスタなどの半導体デバイスとのマッチングを図るため、トンネル抵抗は数10kΩ・(μm)程度が適当とされる。しかし、磁気メモリデバイスにおける高密度化および動作の高速度化を図るためには、トンネル抵抗は、10kΩ・(μm)以下、さらに好ましくは1kΩ・(μm)以下とすることが好ましい。そうしたトンネル抵抗値を実現するためには、非磁性層(トンネルバリア層)2の厚みは2nm以下、さらに好ましくは1.5nm以下とすることが望ましい。ただし、非磁性層2の厚みをあまり薄くすると、トンネル抵抗を低減することができる一方で、第1の磁性層1および第2の磁性層3との接合界面の凹凸に起因するリーク電流が生じ、MR比が低下してしまうおそれがある。これを防止するため、非磁性層2の厚みはリーク電流が流れない程度の厚みを有する必要があり、具体的には0.3nm以上の厚みであることが望ましい。
【0051】
第2の磁性層3は、書込線6X,書込線6Yに書込電流を流したときに生じる誘導磁界によって磁化方向が変化し、第1の磁性層1の磁化との相対角度が反転するようになっている。ここでは、第2の磁性層3の磁化反転は、書込線6X,6Yの平行部分において生じる磁界を利用して行われ、これらの磁界は、第2の磁性層3に対し互いに同一方向を向くようになっている。つまり、ここで生ずる磁界は単一の方向、第2の磁性層3の磁化の変化方向に印加され、磁化の向きを直接決定するように作用するものとなる。そのためには、磁気抵抗効果素子12A(12B)は、書込線6X,6Yの平行部分のうち、平行部分と直交する方向にのみ磁界が生じる領域に配置されることが好ましい。例えば、書込線6X,6Yの平行部分の長さと、磁気抵抗効果素子12A(12B)の長さとの寸法比率や、磁気抵抗効果素子12A(12B)の平行部分上の配置などを考慮することによって実現できる。
【0052】
これにより、第2の磁性層3の磁化方向は、確実に制御される。また、この印加磁界は、大きさが直交配線に誘導される直交磁界を合成したものよりも大きく、なおかつ、方向を正反対の向きに反転させることから、第2の磁性層3では磁化反転効率が高く、従来よりもトンネル抵抗変化率を大きくすることができる。そのため、書き込み動作を効率よく行うことが可能である。
【0053】
このように、第2の磁性層3は、磁化方向が、強制的に平行印加磁界の方向に制御されるようになっていることから、その磁気的性質は印加磁界の大きさ等との相対的な関係に応じて決められる。例えば、印加磁界の強さが十分であれば、第2の磁性層3における磁気異方性は考慮しなくともよくなる。また、その場合に単一磁区構造に限らず、バルク構造をとることもできる。なお、従来においては、直交成分を有する誘導磁界を利用して書き込みを行うことから、感磁層は、理想的には一軸磁気異方性を有し、単一磁区である必要があった。しかしながら、磁性層の薄膜から単一磁区を有する感磁層を形成することは容易ではない。さらに、感磁層の磁気異方性を制御するためには精密に磁界条件を制御した磁界中熱処理等の工程が必要とされていた。これに対し、本実施の形態の第2の磁性層3については、上記の理由から磁気的性質の制限がないため、形成が非常に容易である。
【0054】
また、第2の磁性層3の磁気特性や寸法などは、書き込み対象の記憶セル12がいわゆるマトリクス駆動方式に基づいて選択されることから、書込線6X,書込線6Yのいずれか一方だけではなく、双方に対し電流が同方向に流れるときにのみ磁化反転が可能であるように設定される。なお、第2の磁性層3に磁気異方性を付与する場合には、第1の磁性層1の磁化に対し平行/反平行となる状態で磁化を安定化させるために、第2の磁性層3の磁化容易軸を第1の磁性層1の磁化固定方向(磁化容易軸方向)に平行とすることが好ましい。また、ここでは書込線6X,6Yを上下に揃えるようにしたが、これ以外に、例えば左右に平行に揃えるようにしてもよい。
【0055】
さらに、ここでは、書込線6Xと書込線6Yに互いに反対方向の電流を流す場合には、互いの誘導磁界が打ち消しあって書き込みに必要な磁界が生じないように設定される。具体的には、書込線6X,書込線6Yは互いに同じ大きさの書込電流が流れるように構成され、それぞれの誘導磁界の大きさが、第2の磁性層3において相等しくなるように設定されている。
【0056】
環状磁性層5は、図3において紙面に垂直方向の軸をもつ筒型の形状を有し、書込線6X,書込線6Yの互いに平行な部分を内包している。環状磁性層5は、高透磁率磁性材料からなり、図示したように断面形状が閉ループを描いている。そのため、書込線6X,6Yに流れる電流に誘導される磁界は、環状磁性層5の断面と平行な面に沿って層内を還流する。このように、環状磁性層5は、誘導磁界の磁束を層内部に閉じ込め、第2の磁性層3の磁化を効率よく反転させる機能を有している。また同時に、外部に漏洩磁束を生じさせない電磁遮蔽効果も有している。なお、ここでは、環状磁性層5は、第2の磁性層3に一面で接する構成となっているため、磁界を第2の磁性層3に伝えやすく、近接する第2の磁性層3に対し高い磁束密度でもって磁界を印加することができる。
【0057】
なお、磁気抵抗効果素子12A,12Bは、読出電流が、読出センシング用導線11から積層体に流れ込み、環状磁性層5から基板10へ通り抜けて流れるようになっている。そのため、トンネル電流を流す非磁性層2を除いた積層体の各層、および非磁性導電層4,環状磁性層5には、導電性を有する材料が用いられる。第1の磁性層1,第2の磁性層3には、例えば、コバルト鉄合金(CoFe)が用いられ、その他単体のコバルト(Co)、コバルト白金合金(CoPt)、ニッケル鉄コバルト合金(NiFeCo)などを用いることができる。非磁性導電層4は、第2の磁性層3と環状磁性層5とを反強磁性結合させるように機能するものであり、例えば、ルテニウム(Ru),銅(Cu)などが用いられる。また、環状磁性層5には、鉄(Fe)、ニッケル鉄合金(NiFe)、Co,CoFe,NiFeCo等を用いることができる。環状磁性層5は、書込線6X,6Yによる磁界を集中させるために、透磁率ができるだけ大きい材料(具体的には透磁率2000以上、より好ましくは6000以上)を用いることが好ましい。書込線6X,6Yは、アルミニウム(Al),銅(Cu)またはこれらの合金で構成され、絶縁膜によって互いに電気的に絶縁されている。なお、書込線6X,6Yは、タングステン(W)と上記材料の少なくとも1種からなるようにしてもよく、その他、チタン(Ti),窒化チタン(TiN),アルミニウム(Al)が順に積層された構造などであってもよい。
【0058】
なお、後に動作説明において詳述するが、記憶セル12においては、磁気抵抗効果素子12A,12Bの一方を低抵抗、他方を高抵抗として情報を記憶する。これは、2つの磁気抵抗効果素子12A,12Bからの出力を差動増幅して読み出すためにほかならない。よって、対をなす磁気抵抗効果素子12A,12Bは、抵抗値、磁気抵抗変化率、および第2の磁性層3の反転磁界の大きさが等しくなるように製造される必要がある。
【0059】
また、磁気抵抗効果素子12A,12Bが形成される基板10の上には、エピタキシャル層9が形成され、さらにその上に導電層8および絶縁層7が形成されている。導電層8は、絶縁層7を介して互いに絶縁された導電層8A,8Bからなる。磁気抵抗効果素子12A,12Bは、導電層8および絶縁層7の上面に形成されるが、それぞれ、その形成領域の少なくとも一部が導電層8A,8Bの形成領域と重なるように位置決めされる。よって、磁気抵抗効果素子12Aと磁気抵抗効果素子12Bとは、分離絶縁されている導電層8A,8Bにそれぞれ個別に接合され、互いに電気的に絶縁されている。すなわち、ここでは、磁気抵抗効果素子12Aと磁気抵抗効果素子12Bが、電気的に非導通であるように配線がなされている。
【0060】
また、ここでは、基板10をn型シリコンウエハとする。一般に、n型シリコンウエハにはP(燐)の不純物拡散が施されており、基板10としては、P(燐)の高濃度拡散によりn++型となっているものを用いる。これに対し、エピタキシャル層9は、P(燐)が低濃度拡散されてn型となるようにする。また、導電層8には金属を用いる。このとき、n型半導体であるエピタキシャル層9と、金属の導電層8とを接触させると、バンドギャップが生じてショットキーダイオードが形成される。これが、本実施の形態における逆流防止用ダイオード13A,13Bである。
【0061】
逆流防止用ダイオード13A,13Bは、読出電流が逆流し、基板10側から磁気抵抗効果素子12A,12Bを通過して流れることを防止するために設けられている。なお、磁気抵抗効果素子12A,逆流防止用ダイオード13Aと、磁気抵抗効果素子12B,逆流防止用ダイオード13Bとは、互いに絶縁された状態にある。
【0062】
次に、この磁気メモリデバイスにおける書込用の回路系の構成と、その動作について説明する。
【0063】
〔書込回路系の構成〕
図4は、この磁気メモリデバイスの書込回路系の構成を表している。なお、同図では、記憶セル群140やカレントドライブ123,133はスペースが足りずに描ききれないため、n番目と、n+1番目の構成単位に該当するもので代表させている。X方向アドレスデコーダ121は、書込用ワードデコード線16X(…16X,16Xn+1 ,…)を介してカレントドライブ123(…123,123n+1 ,…)に接続されている。Y方向アドレスデコーダ131は、書込用ビットデコード線16Y(…16Y,16Yn+1 ,…)を介してカレントドライブ133(…133,133n+1 ,…)に接続されている。これらX方向アドレスデコーダ121,Y方向アドレスデコーダ131はそれぞれ、アドレスバッファ110から入力されるアドレス上位ビットに対応した選択信号を、書込用ワードデコード線16X,書込用ビットデコード線16Yに送出するようになっている。これにより、カレントドライブ123の1つが選択されて動作可能な状態となり、カレントドライブ133からも1つが駆動対象として選択される。
【0064】
X方向カレントドライブ123,Y方向カレントドライブ133は、記憶セル12への書き込みの際に、それぞれ書込線6X,書込線6Yに所定の大きさの電流を供給するための定電流源回路である。ここでは、カレントドライブ123,133には、それぞれ、書込線6X,6Yの一端がドライプポイントAに、他端がドライプポイントBに接続され、ドライブポイントA→B、またはドライブポイントB→Aの双方向に電流が供給可能となっている。
【0065】
また、ここでは、カレントドライブ123,133が書込線6X,6Yに供給する電流方向に応じて、▲1▼一対の記憶セル12Ev,記憶セル12Odのどちらに、▲2▼「1」,「0」のどちらを書き込むのかが制御されるようになっている。この書込電流の向きは、カレントドライブ123ではデータ信号XDin およびリファレンス信号XRef により選択され、カレントドライブ133ではデータ信号YDin およびリファレンス信号YRef により選択される。データ信号XDin , YDin は、前述のように書込用論理制御部152からカレントドライブ123,133に入力されるものであり、リファレンス信号XRef,YRef は、データ信号XDin,YDin の反転信号である。
【0066】
図5は、この場合に書込用論理制御部で行われる論理制御の対応表であり、図6は書込用論理制御部の具体的一例を示している。「記憶セル12Ev,記憶セル12Odのどちらに何を書き込むか」には、対応表に示した4通りがあり、番地選択信号A,データ信号Dinによって一意に決まる。なお、ここでは、カレントドライブ123,133において電流をドライブポイントA→Bの方向に流す場合のデータ信号XDin,YDin を「1」とし、ドライブポイントB→Aの方向に流す場合のデータ信号XDin,YDin を「0」としている。書込用論理制御部152は、入力される番地選択信号A,データ信号Dinにより識別される4通りの制御内容に、カレントドライブ123およびカレントドライブ133における供給電流方向の4つの動作パターンを1対1に対応させるように、データ信号XDin,YDin を決定する。
【0067】
(カレントドライブの構成)
ここで、本実施の形態におけるカレントドライブ123,133の作用構成について説明しておく。図7は、カレントドライブの具体的構成を示し、図8はその機能に着眼した概念的な構成を表している。
【0068】
カレントドライブ123,133は、(1) 書込線6X,6Yに流す電流の向きを制御するスイッチとしての機能と、(2) その電流量を一定値に固定する機能とを兼ね備え、書込線6における抵抗ばらつきの影響を排除して安定した定電流を供給することができるものである。 (1)電流方向の制御機能は、図8に示した電流方向制御部64により実現される。電流方向制御部64は、第1および第2の差動スイッチ対61,62および差動制御手段63(第3の差動スイッチ対)の3つの差動スイッチ対から構成される。
【0069】
第1の差動スイッチ対61は、スイッチQ1,Q2からなる。スイッチQ1,Q2は、電源Vccと書込線6の端部A,Bの間に設けられ、いずれか一方がオン状態,他方がオフ状態となることで、端部A,Bの一方に電源Vccからの電流を流入させる。第2の差動スイッチ対52は、スイッチQ3,Q4からなる。スイッチQ3,Q4は、書込線6の端部A,Bと接地との間に設けられ、いずれか一方がオン状態,他方がオフ状態となることで、端部A,Bの一方を接地まで導き、電流を流出させる。
【0070】
よって、スイッチQ1とスイッチQ4が閉じ、スイッチQ2とスイッチQ3が開いている間は、書込線6に点線方向の電流が流れる。また、スイッチQ1とスイッチQ4が開き、スイッチQ2とスイッチQ3が閉じている間は、書込線6には実線方向の電流が流れる。このような第1および第2の差動スイッチ対51,52の相補的な動作は、差動制御手段53により制御される。差動制御手段53は、例えばスイッチQ5,Q6からなり、スイッチQ3,Q4のオン/オフ状態を差動センシングし、そのセンシング結果に基づいてスイッチQ1,Q2のオン/オフを制御することによって2つの差動スイッチ対51,52を協働させる。
【0071】
スイッチQ1〜Q6は、図7の実回路ではそれぞれトランジスタQ1〜Q6に対応している。なお、トランジスタQ3のベース端子には、書き込むべきデータに基づくデータ信号が入力されるデータ信号線14(Din)が接続されている。トランジスタQ4のベース端子には、データ信号を反転させたリファレンス信号が入力されるリファレンス信号線15(Ref)が接続されている。
【0072】
また、 (2)書込線における定電流制御能は、電流量制御部65によって実現される(図8参照)。電流量制御部65は、書込線6よりも接地側に設けられ、書込線6から流れ出る電流の量を固定するように機能する。この電流量がすなわち書込線6における電流量であるから、書込線6では、その抵抗値によらず常に一定量の電流が流れることになる。ちなみに、従来のカレントドライブでは、電流量制御は書込線に供給する前段で行うほかなく、これほど完全な定電流制御は実現していなかった。なお、図8では、電流量制御部54をスイッチQ3,Q4の各々と接地との間に設けられた2つの定電流源としたが、これは電流経路に沿って説明するための等価回路的な表現であり、実際にはトランジスタQ3とトランジスタQ4に共通配線された1つの定電流回路であってよい。
【0073】
図7では、トランジスタQ8,電流制限用の抵抗器R4およびワードデコード線16X(ビットデコード線16Y)に入力されるデコード信号電圧が、電流量制御部65に対応している。つまり、ここでは、カレントドライブ123(133)の前段でデコード信号を一定電圧とするよう設計されている。
【0074】
なお、トランジスタQ7,Q8は、デコード用半導体スイッチとしても機能する。カレントドライブ123のトランジスタQ7,Q8は、ベース端子にワードデコード線16X(…,16X,16Xn+1 ,…)が接続されている。また、カレントドライブ133のトランジスタQ7,Q8は、ベース端子にビットデコード線16Y(…,16Y,16Yn+1 ,…)が接続されている。
【0075】
(カレントドライブの動作)
一具体例として、ワードデコード信号Xにより選択されたカレントドライブ123が、書込線6XにドライブポイントA→Bの方向へ電流を供給する場合の動作をみる。このとき、データ信号線14に“Low”のデータ信号が、リファレンス信号線15に“High”のリファレンス信号がそれぞれ入力される。よって、トランジスタQ3はオフ状態、トランジスタQ4はオン状態となる。
【0076】
トランジスタQ4がオン状態となると、トランジスタQ6では、ベース電圧が降下し、エミッタ端子の電位と変わらなくなる。これにより、トランジスタQ6はオフ状態となる。一方、トランジスタQ3はオフ状態であるために、トランジスタQ5では、ベース端子はエミッタ端子に対して相対的に高い電圧がかかることになる。これにより、トランジスタQ5はオン状態となる。
【0077】
さらに、トランジスタQ5がオン状態となる結果、トランジスタQ2のベース電圧は降下し、トランジスタQ6がオフ状態であることから、トランジスタQ1のベース電圧は相対的に高くなる。これにより、トランジスタQ1は、より多くの電流を流すという意味でのオン状態、トランジスタQ2は、より少ない電流しか流れないという意味でのオフ状態となる。つまり、トランジスタQ5,Q6のオン/オフがベース端子の電圧レベルに与える影響により、トランジスタQ1は多くの電流を流すのに対し、トランジスタQ2はわずかな電流しか流さないように動作する。
【0078】
トランジスタQ1〜Q6の一連の動作の結果、電源Vccからの電流は、トランジスタQ1,Q2のうちオン状態であるトランジスタQ1の側を流れ、ドライブポイントAに流入する。トランジスタQ3はオフ状態であるため、この電流は、ドライブポイントAから書込線6Xに流れ、ドライブポイントBから流出し、オン状態であるトランジスタQ4を通過して接地側へ流れ込む。
【0079】
すなわち、第1の差動スイッチ対ではトランジスタQ1がオン、トランジスタQ2がオフとなることで、ドライブポイントAが、書込線6Xの電流流入側に選択されている。一方、第2の差動スイッチ対では、第1の差動スイッチ対とは相補的にトランジスタQ3がオフ、トランジスタQ4がオンとなることで、反対側のドライブポイントBが、書込線6Xの電流流出側に選択されている。このようにして、カレントドライブ123から書込線6Xに対し、ドライブポイントA→Bの向きの書込電流が供給される。
【0080】
書込電流は、トランジスタQ8,抵抗器R4を介して接地に導かれる。トランジスタQ8,抵抗器R4の経路へ流入する書込電流の大きさIは、抵抗器R4の抵抗値をRcとすれば、次式(1)で与えられる。
I(A)=(Vb −φ´)(Volt)/Rc(Ω) …(1)
Vb はトランジスタQ8のベース端子に入力される電圧レベル、φ´はトランジスタQ8のベース−エミッタ間の順方向電圧である。これらが固定値であることから、抵抗値Rcが決まれば流れる電流は一定値となること、抵抗値Rcをパラメータとして電流値は一意に決まることがわかる。このようにして、書込電流は書込線6Xより流出した経路上にて値が固定されるために、書込線6Xにおいては常に一定値で流れる。
【0081】
一方、ドライブポイントB→Aの向きに電流を流すには、データ信号線14に“High”のデータ信号を、リファレンス信号線15に“Low”のリファレンス信号を入力すればよい。これにより、第1ないし第3の差動スイッチ対(トランジスタQ1〜Q6)は、上述の場合とは反対にスイッチングし、書込電流は、トランジスタQ2からドライブポイントBに流入し、書込線6Xを通ってドライブポイントAから流出し、トランジスタQ3に流れ込む。
【0082】
〔書き込み動作〕
以上をふまえ、この磁気メモリデバイスにおける書込回路系の駆動方法を説明する。
【0083】
まず、記憶セル12における情報記憶方式について説明する。記憶セル12では、1対の磁気抵抗効果素子12A,12Bの第1の磁性層1は、ともに磁化が一定方向(図11,図13ではともに右向き)に固定されているが、第2の磁性層3は互いに反平行となる向きに磁化される。このため、磁気抵抗効果素子12A,12Bにおいては、それぞれの第1の磁性層1と第2の磁性層3の磁化方向の組み合わせは、必ず(反平行,平行)か、(平行,反平行)となる。よって、それぞれの状態に2値情報「0」,「1」を対応させ、記憶セル12をいずれかの状態とすることで、1つの記憶セル12に1ビットの情報を記憶することができる。なお、磁気抵抗効果素子12A(12B)は、第1の磁性層1と第2の磁性層3の磁化方向が平行であれば、大きなトンネル電流が流れる低抵抗状態となり、反平行であれば小さなトンネル電流しか流れない高抵抗状態となる。つまり、対をなす磁気抵抗効果素子12A,12Bは必ず一方が低抵抗、他方が高抵抗となって情報を記憶する。
【0084】
これら2つの記憶状態は、磁気抵抗効果素子12A,12Bそれぞれの第2の磁性層3の磁化方向を互いに反平行とすることで書き込まれるが、そのためには、磁気抵抗効果素子12Aと磁気抵抗効果素子12Bに、相対的に逆向きの電流を流す必要がある。
【0085】
次に、こうした記憶方式に基づく情報の書き込み方法について説明する。まず、アドレスバッファ110が、外部データ端子A0 〜A20に入力されるアドレス信号の電圧を取り込んで内部バッファで増幅する。そのうち、上位ビットの信号は、アドレス線101,102を通じてアドレスデコーダ123,133に伝達される(図1,図4)。アドレスの最下位ビットである番地選択信号Aは、グループ選択信号線106を介して書込用論理制御部152に送出される。また、データバッファ150は、外部データ端子D0 〜D7 に入力されるデータ信号の電圧を取り込んで入力バッファ151にて増幅し、これらを、番地選択信号Aが入力される書込用論理制御部152においてデータ信号XDin,YDinに変換し、さらにデータ信号XDin,YDinの反転信号であるリファレンス信号XRef ,YRef を生成する。
【0086】
アドレスデコーダ121,アドレスデコーダ131は、書込時に、アドレスバッファ110から入力されるアドレス上位ビットの選択信号をそれぞれ、書込用ワードデコード線16X(…16X,16Xn+1 ,…)、書込用ビットデコード線16Y(…16Y,16Yn+1 ,…)を介してカレントドライブ123,133の各々に送出する。これにより、カレントドライブ123,133の各一では、ワードデコード値もしくはビットデコード値が“High”となるためにトランジスタQ7,Q8が導通し(図4,図7等)、駆動対象に選択される。
【0087】
また、書込用論理制御部152からは、カレントドライブ123,133それぞれの各データ信号線14にデータ信号XDin, YDinが、各リファレンス信号線15にリファレンス信号XRef , YRef が入力される。これにより、駆動対象に選択されたカレントドライブ123,133において、書き込むべき記憶セル12と2値情報に応じて、書込線6X,書込線6Yに流す書込電流の向きが決定される。
【0088】
このようにしてカレントドライブ123,133を駆動させ、所望の書込線6X,書込線6Yに対し、所望の方向の書込電流を供給する。これにより、記憶セル12が一意に選択され、書込電流の方向に応じてビットデータが書き込まれる。
【0089】
例えば、カレントドライブ123,カレントドライブ133を用いて、対応する一対の記憶セル12のうち、偶数番地の記憶セル群12Evに属する記憶セル12Evに「1」を書き込むには、図5に示した論理に従ってカレントドライブ123,カレントドライブ133を駆動するとよい。すなわち、図10に示したように、カレントドライブ123,133が共にドライブポイントA→Bの向きに電流を流すようにする。
【0090】
このとき、書込線6Xの曲折により、記憶セル12Evの磁気抵抗効果素子12A,12Bの領域では、互いの向きが揃い、かつ、磁気抵抗効果素子12Aと磁気抵抗効果素子12Bとでは相対的に逆向きとなった書込電流が流れる。この書込電流により、記憶セル12Evの磁気抵抗効果素子12A,12Bでは、各環状磁性層5に図11に示したように互いに逆向きに還流する磁界が誘導され、その第2の磁性層3との対向面における磁化(つまり誘導磁界の向き)は、互いに反対を向いた反平行となる。磁気抵抗効果素子12A,12Bの第2の磁性層3の磁化は、この外部から与えられる磁界の向きに従って互いに反対を向いた反平行の状態となり、この状態が環状磁性層5との反強磁性結合により固定される。この場合には、磁気抵抗効果素子12Aが高抵抗、磁気抵抗効果素子12Bが低抵抗となっている。
【0091】
一方、記憶セル12Odの側の磁気抵抗効果素子12A,12Bの領域では、磁気抵抗効果素子12Aにおいても磁気抵抗効果素子12Bにおいても、書込線6X,6Yには互いに逆向きの書込電流が流れる。これら逆向きの電流は、誘導磁界を互いに打ち消しあうため、磁気抵抗効果素子12A,12Bには書き込みがなされない。このようにして、一対の記憶セル12(12Ev,12Od)には書込電流が同時に供給されるが、そのうち記憶セル12Evの方にだけ、選択的に適正な書き込みがなされる。
【0092】
偶数番地の記憶セル群Evに属する記憶セル12Evに「0」を書き込むには、図12に示したように、カレントドライブ123,133が共にドライブポイントB→Aの向きに電流を流すようにするとよい。つまり、「1」を書き込む場合とは電流方向が正反対である。このときも、記憶セル12Evの側では、互いの向きが揃い、かつ、磁気抵抗効果素子12Aと磁気抵抗効果素子12Bとでは相対的に逆向きとなった書込電流が流れる。ただし、この書込電流による誘導磁界は、図13に示したように各環状磁性層5を還流し、磁気抵抗効果素子12A,12Bそれぞれの第2の磁性層3の磁化が、互いに対向するように反平行となる。よって、この場合には、「1」を書き込む場合の磁気抵抗効果素子12Aと磁気抵抗効果素子12Bとが入れ替わったように動作し、磁気抵抗効果素子12Aが低抵抗、磁気抵抗効果素子12Bが高抵抗となる。
【0093】
この場合も、記憶セル12Odの側の磁気抵抗効果素子12A,12Bの領域では、書込線6X,6Yに互いに逆向きに書込電流が流れるため、書き込みはなされない。
【0094】
奇数番地の記憶セル群Odに属する記憶セル12Odに「1」を書き込むには、図14に示したように、カレントドライブ123は書込線6XにドライブポイントB→Aの向きに電流を流すようにし、カレントドライブ133は書込線6YにドライブポイントA→Bの向きに電流を流すようにするとよい。このときには、記憶セル12Odの側で、互いの向きが揃い、かつ、磁気抵抗効果素子12Aと磁気抵抗効果素子12Bとでは相対的に逆向きとなった書込電流が流れ、図11に示したような書き込み動作が生じる。なお、記憶セル12Evの側では、磁気抵抗効果素子12A,12Bの領域の書込線6X,6Yに互いに逆向きの書込電流が流れるため、書き込みはなされない。
【0095】
奇数番地の記憶セル群Odに属する記憶セル12Odに「0」を書き込むには、図15に示したように、前述の図14の場合とは反対向きに書込電流を供給するとよい。すなわち、カレントドライブ123は書込線6XにドライブポイントA→Bの向きに電流を流すようにし、カレントドライブ133は書込線6YにドライブポイントB→Aの向きに電流を流すようにする。このときには、記憶セル12Odの側で、図13に示したような書き込み動作が生じる。このときも、記憶セル12Evの側では、磁気抵抗効果素子12A,12Bの領域の書込線6X,6Yに互いに逆向きの書込電流が流れるため、書き込みはなされない。
【0096】
このように、一対の書込線6X,6Yにおいて、それぞれに流す書込電流の向きを制御することで、一対の記憶セル12Ev,12Odのいずれか一方に「1」,「0」のいずれかが書き込まれる。なお、ここでは、書込線6X,6Yが選択された場合について説明したが、書込線6X,6Yのほかの配線対においても同様の駆動方法により情報が書き込まれる。また、ここでは、図11に示したセル状態を「1」,図13に示したセル状態を「0」として説明したが、対応関係は逆であってもよい。
【0097】
なお、ここでは、書込線6X,6Yにおける各誘導磁界を、第2の磁性層3の磁化反転方向のみを向くように発生させることから、第2の磁性層3では、印加される単一方向磁界によって磁化を一定の方向に反転させることができる。これにより、確実に書き込みを行うことができる。書込線6X,6Yによる磁界成分が同一方向を向き、環状磁性層5の内部に閉じ込められることから、第2の磁性層3の磁化反転に寄与する実効的な磁界強度は、従来に比して大きくなる。その結果、第2の磁性層3の磁化反転を必要十分な磁界強度で行い、その磁化を所定方向に十分に揃えることができる。また、環状磁性層5の遮蔽効果により、誘導磁界は書き込み対象の素子12A(12B)の外に漏れないため、隣接する記憶セル12においては、第2の磁性層3の磁化方向が外部擾乱磁界により乱されるおそれが低減し、一旦書き込まれた情報が予期せず消されたり、書き換えられたりすることが防止される。
【0098】
次に、この磁気メモリデバイスにおける読出用の回路系の構成と、その動作について説明する。
【0099】
〔読出回路系の構成〕
図16は、この磁気メモリデバイスの読出回路系の図2に対応した回路部分を表し、図17は、記憶セルの偶数番地と奇数番地によって2系列に分かれた読出回路のうちの一方について、読出動作に係る回路の全体を表したものである。前述したように、2系列の回路系は構成、動作とも対称に構成されているので、主な説明は図17を参照して1系列について行うものとする。
【0100】
この読出回路系は、記憶セル12が1対の磁気抵抗効果素子12A,12Bからなる差動増幅型である。ここでは、磁気抵抗効果素子12A,12Bそれぞれに流すセンシング電流(センス用ビットデコード線21A,21Bから磁気抵抗効果素子12A,12Bそれぞれに流入し、共通のセンス用ワードデコード線31に流出する電流)の差分値を出力として、記憶セル12から情報を読み出すようになっている。
【0101】
記憶セル群140には、X方向に配列されるセンス用ワードデコード線31(以後、センスワード線と略称)と、Y方向に配列される1対のセンス用ビットデコード線21A,21B(以後、センスビット線と略称)とによりマトリクス状の配線がなされている。個々の記憶セル12は、これらの交差位置に配設され、共通のセンスビット線21A,21Bに並列接続された記憶セル12がビット列を構成し、共通のセンスワード線31にカスケード接続されている記憶セル12がワード列を構成している。1つの記憶セル12では、磁気抵抗効果素子12A,12Bのそれぞれは一端が読出用センシング導線11を介してセンスビット線21A,21Bに、他端が逆流防止用ダイオード13A,13Bを介して共通のセンスワード線31に接続されている。
【0102】
センスビット線21A,21Bの一端側(電源Vcc側)には、それぞれ、電流電圧変換用抵抗器23A,23B(以後、抵抗器23A,23B)、およびトランジスタ22A,22Bのコレクタ−エミッタ間が直列に接続されている。トランジスタ22A,22Bは、ベース端子にビットデコード線20(…,20,20n+1 ,…)が接続されており、ビットデコード線20から入力される選択信号の値(ビットデコード値)に応じて開閉するようになっている。また、センスビット線21A,21Bにおける抵抗器23A,23Bの電源Vccと反対側の端部に設けられた結節点より、センスアンプ入力線41A,41B(以後、入力線41A,41B)が導出され、センスアンプ132に接続されている。
【0103】
センスアンプ132は、差動増幅器として構成され、センスビット線21A,21Bの各電位を取り込み、その電位差を増幅して出力するようになっている。このセンスアンプ132は、バイアス抵抗器43A,43Bが共通に設けられ、これ以外の回路部分からなる増幅部40が一対のセンスビット線21A,21Bごとに設けられた構成となっている。ここでは、センスアンプ132は、センスアンプ出力線51A,51B(以後、出力線51A,51B)にカスケード状に接続され、これを利用してバイアス抵抗器43A,43Bが共用化されている。これにより、複数のセンスアンプ132における消費電流が抑えられる。
【0104】
出力線51A,51Bからの出力は、読出用データバス105によって出力用マルチプレクサ153,出力バッファ154に送出される。なお、トランジスタ22A,22B、抵抗器23A,23Bおよびセンスアンプ132は、対をなす素子同士の特性がよく揃っている必要がある。
【0105】
センスワード線31の各々には、同じワード列に配列された記憶セル12が接続されている(ただし、ここでは、記憶セル12とセンスワード線31との間に、逆流防止用ダイオード13A,13Bが配設されている)。また、センスワード線31の接地側には、トランジスタ33のコレクタ−エミッタ間,ならびに電流制限抵抗器34が直列接続されている。トランジスタ33は、ベース端子にワード列Xに対応するワードデコード線30(…,30,30n+1 ,…)が接続されており、X方向アドレスデコーダ121からベース入力される選択信号の値(ビットデコード値)に応じて開閉するスイッチとして機能する。
【0106】
また、ここでは、ダイオード32,トランジスタ33,電流制限抵抗器34により定電流回路122が構成されている。定電流回路122は、センスワード線31を流れる電流を一定とする機能を有している。ダイオード32は、この場合、2個のダイオードが直列に接続したものとなっている。
【0107】
〔読み出し動作〕
この磁気メモリデバイスでは、記憶セル12に書き込まれた情報は以下のようにして読み出される。
【0108】
各記憶セル12(12Ev,12Od)は、磁気抵抗効果素子12A,12Bが2通りの反平行磁化のいずれかとなって情報が記憶された状態にある。ここで、ビットデコード線20,ワードデコード線30に入力される選択信号は、読み出し対象である記憶セル12の上位ビットアドレスに対応したものである。すなわち、選択信号がY列,X行を指定すれば、記憶セル群Ev,記憶セル群Odの双方において、Y番目のビットデコード線20とX番目のワードデコード線30に信号が入力される。その結果、記憶セル群EvではY列,X行の記憶セル12Evが、記憶セル群OdではY列,X行の記憶セル12Odが同時に選択される。したがって、以下の動作は、記憶セル群Ev,記憶セル群Odの双方において行われる。
【0109】
ビットデコード線20における電圧レベルが”High”となると、トランジスタ22A,22Bが導通状態となり、記憶セル12のY番目のビット列にセンシング電流が流れる。センシング電流は、センスビット線21A,21Bを電源Vcc側からその反対側に向かって流れ下る。一方、ワードデコード線30における電圧レベルが”High”となると、トランジスタ33が導通状態となり、記憶セル12のX番目のワード列に電流が流れることが許される。
【0110】
よって、センシング電流は、Y番目のセンスビット線21A,21Bから、それぞれ磁気抵抗効果素子12Aとダイオード13A,磁気抵抗効果素子12Bとダイオード13Bを通り、共にX番目のセンスワード線31へと流れ込み、さらに、定電流回路122を構成するトランジスタ33のコレクタ−エミッタ間を通り、抵抗器34から接地へと抜ける。
【0111】
情報の読み出しは、記憶セル12の磁気抵抗効果素子12A,12Bの抵抗値の違いを、各々に流れるトンネル電流の差分として検出することによって行われる。磁気抵抗効果素子12A,12Bに流れる電流は、センスビット線21A,21Bを流れるセンシング電流にほぼ等しく、センシング電流の値は、センスビット線21A、21Bに直列接続された抵抗器23A,23Bの電圧降下によって電圧に変換して検出することができる。そこで、抵抗器23Aと抵抗器23Bの電圧降下をそれぞれ入力線40A,40Bから取り出し、その差分を読出信号として検出する。このように、2つの磁気抵抗効果素子12A,12Bを用い、それぞれの出力値の差分を取り出すことで、記憶セル12としては、雑音が除去された大きな出力値が得られる。
【0112】
入力線41A,41Bから取り出した電圧信号は、センスアンプ132で増幅され、値が一層大きく、S/Nの良い出力となる。なお、このとき、複数のセンスアンプ132のうちビット列が対応するものだけが、ビットデコード線20の選択と同時にアクティブとなる。よって、その出力だけが出力線51A,51Bに送出される。
【0113】
センスアンプ132(132Ev,132Od)の出力は、出力線51A,51Bから、読出用データバス105を経由し、最終的には出力用マルチプレクサ153,出力バッファ154に入力される。出力用マルチプレクサ153では、グループ選択信号線106を介して入力される番地選択信号Aに応じ、センスアンプ132Evの出力とセンスアンプ132Odの出力の一方が選ばれ、出力バッファ154に入力される。出力バッファ154は、入力された信号電圧を増幅し、2値信号として外部データ端子D0 〜D7 から出力する。こうして、読み出し対象である記憶セル12の出力が、読出データ信号(Dout )として外部へ出力される。
【0114】
この読み出し動作において、選択された記憶セル12に対するセンシング電流の大きさは、定電流回路122により一定範囲内に収められる。すなわち、センスワード線31に流れる電流、もといセンスビット線21Aとセンスビット線21B、もしくは磁気抵抗効果素子12Aと磁気抵抗効果素子12Bの双方を流れる電流の総和が、一定範囲内の値をとる。これにより、センスビット線21A,21Bの各電流値は、一定に規格化された電流量を磁気抵抗効果素子12A,12Bの抵抗比に応じて分配したものとなる。そのため、磁気抵抗効果素子12A,12Bの抵抗値がばらついていたとしても、センスビット線21A,21Bの各々における電流のぶれは総電流値に応じて常に一定の範囲内に押さえ込まれ、安定した差動出力が得られる。
【0115】
また、各磁気抵抗効果素子12A,12Bの電流経路上に設けられているダイオード13A,13Bは、電流がセンスワード線31から磁気抵抗効果素子12A,12Bへと逆流することを防止している。よって、磁気抵抗効果素子12A(12B)を逆流する回り込み電流成分の発生経路が遮断され、読み出し信号のS/N比向上に寄与する。
【0116】
このように本実施の形態においては、ループ状の書込線6X,6Yを読出線とは別体に設けるようにしたので、書込線6X,6Yとも電流を双方向に流すことができる。さらに、書込線6Xを矩形波状に曲折し、書込線6X,6Yが互いに平行となる平行部分を設け、そこに磁気抵抗効果素子12A(12B)を配置し、平行な書込電流により生じる平行磁界を第2の磁性層3に印加するようにしたので、情報の書き込みは、第2の磁性層3に対し、その磁化反転方向に対応した単一方向に磁界を印加することにより行われる。よって、第2の磁性層3の磁化を一方向に効率よく揃えることができ、従来に比べ感磁層の磁化方向制御をより確実に行うことが可能となる。また同時に、印加磁界の向きを正反対の方向に反転させることで、第2の磁性層3の磁化方向をほぼ完全に正反対の向きに反転させることができ、従来よりもトンネル抵抗変化率を大きくすることができる。
【0117】
また、この書込方法では、第2の磁性層3の磁化方向を強制的に印加磁界の方向に揃えるようになっている。よって、第2の磁性層3の磁気的性質は印加磁界の大きさとの関係によって決まる。換言すると、第2の磁性層3については、印加磁界の大きさとの兼ね合いによって磁気的性質の制御を極力考慮せずに成膜することができ、この磁気メモリデバイスの製造上の歩留りを向上させ、生産性を格段に高めることができる。
【0118】
また、一対の書込線6X,6Yにおいて4つの平行部分を設け、書込線6Xの上段側の2つの平行部分に磁気抵抗効果素子12A,12Bを配置して偶数番地の記憶セル12Evを構成し、下段側の2つの平行部分に磁気抵抗効果素子12A,12Bを配置して奇数番地の記憶セル12Odを構成するようにしたので、差動センシングにより読み出される記憶セル12が、効率よく集積される。この書込回路系では、書込線6X,6Yの各一を選択することにより、記憶セル12Ev,記憶セル12Odの両方に同時に書込電流が流れるが、あらかじめ書込用論理制御部152において書込線6X,6Yそれぞれに対する電流の方向を選択しておくことによって、選択セルにのみ所望の2値情報を書き込み、もう一方には書き込みをしないようにすることができる。すなわち、選択セルにおいては、書込線6X,6Yに平行方向に電流が流れ、互いに強め合うように磁界が生じる。一方、非選択セルでは、書込線6X,6Yに反平行方向に電流が流れ、互いの誘導磁界を打ち消し合う。ここでは、書込線6X,6Yに流れる書込電流の大きさを相等しくしたので、上記のセル選択を確実に行うことを可能とすると共に、カレントドライブ123,133を同一の構成とすることができる。
【0119】
また、カレントドライブ123,133を、ループ状とした書込線6X,6Yの両端をドライブポイントA,Bに接続して、 (1)データ信号XDin,YDinに応じて方向を切り換えて電流を流すと共に (2)その電流量を、書込線より流出後に定電流制御するように構成したので、書込線6X,6Yには、双方向に、その抵抗ばらつきによらず一定の大きさで電流を供給することができる。よって、この磁気メモリデバイスでは、各記憶セル12に対する情報書き込みには常に一定電流が用いられることから、十分な強度の誘導磁界によって確実に書き込むことや、隣接する記憶セル12への漏洩磁界を設定範囲内に抑えることを、制御性よく行い、安定した書き込み動作を行うことができる。また、(2) 書込電流の値が、書込線6ごとの抵抗変動等によらず一定であると保証されていることから、書込線の抵抗ばらつきが(ある範囲内で)許容され、製造誤差の許容範囲が広がると共に、書込線の配線構造の自由度が高まるという利点もある。
【0120】
以上のように確実な書き込みが可能となることで、この磁気メモリデバイスでは、良好な書き込み状態で情報を記憶することができ、こうして情報を書き込まれた記憶セルからは大きな読出信号出力を取り出すことができる。
【0121】
さらに、この磁気メモリデバイスでは、読出回路系を、記憶セル群Ev,記憶セル12Odによる2系統の回路で構成し、ビットデコード線20,ワードデコード線30の選択を書込線6X,6Yの選択と同様にして行うようにしたので、デバイス全体を記憶セル12の偶数番地、奇数番地に基づいて駆動制御することができ、駆動制御用の回路を書き込みと読み出しで統一することができる。
【0122】
〔第2の実施の形態〕
図18は、第2の実施の形態に係る磁気メモリデバイスの全体の構成を表している。この磁気メモリデバイスは、読出用マルチプレクサ153を設ける代わりに、X方向周辺駆動回路120に選択用デコーダスイッチ124を備えるようにしたものである。選択用デコーダスイッチ124は、番地選択信号Aの入力を受け、センシングを行う記憶セルを、あらかじめ偶数番地の記憶セル群Ev,奇数番地の記憶セル群12Odのいずれか一方に選択するために設けられたものである。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を適宜省略するものとする。
【0123】
図19は、記憶セル群と書込回路系および読出回路系の構成を表すブロック図である。選択用デコーダスイッチ124は、スイッチ70A,70Bとして表されている。スイッチ70Aとスイッチ70Bは互いに対をなす。スイッチ70Aは磁気抵抗効果素子12Aの側に、スイッチ70Bは磁気抵抗効果素子12Bの側に配置されており、一対の記憶セル12Ev,12Odのいずれか一方をセンシング電流が流れるように選択する。また、スイッチ70A,70Bは、ビット列方向にスイッチ70A,70B、スイッチ70An+1 ,70Bn+1 、…という具合に並び、例えば、ワードデコード値(…,X,Xn+1 ,…)によって記憶セル12のワード列方向に選択される。
【0124】
図20は、図19に対応した読出回路系の具体的構成を表す回路図である。このように、本実施の形態の読出回路系は、偶数番地の記憶セル群Ev,奇数番地の記憶セル群Odを一系統にまとめたものとなっている。ここでは、選択用デコーダスイッチ124は、スイッチ71,72、インバータ73等から構成されている。このスイッチ71,72が、スイッチ70A,70Bに対応している。スイッチ71,72は、ワードデコード値と番地選択信号Aによる2制御指令のスイッチであり、それぞれ、記憶セル群Ev,Odのワード列を読出対象に選択するようになっている。
【0125】
スイッチ71(…,71,71n+1 ,…)とスイッチ72(…,72,72n+1 …)には、対ごとにワードデコード線30(…,30,30n+1 ,…)が接続されている。また、すべてのスイッチ71は、番地選択信号Aの入力線に接続されている。すべてのスイッチ72は、この入力線に信号反転用のインバータ73を介して接続されている。さらに、スイッチ71,72は、それぞれが記憶セル群Ev,Odのワード選択線75に接続されている。
【0126】
ワード選択線75は、ここでは、ワード列ごとのトランジスタ74A,74Bのベース端子に共通に接続されている。トランジスタ74A,74Bは、それぞれ、コレクタ端子がセンスビット線21A,21Bに接続され、エミッタ端子が磁気抵抗効果素子12A,12Bの読出センシング用導線11に接続されている。なお、第1の実施の形態では、磁気抵抗効果素子12A,12Bの各々とセンスワード線31の間に、逆流防止用ダイオード13A,13Bを設けるようにしていたが、本実施の形態では、トランジスタ74A,74Bが自身のオン/オフにより、ダイオード13A,13Bに代わって逆流防止機能を果たすようになっている。また、ここでは、センスワード線31は1つの定電流回路に共通に接続されている。
【0127】
この読出回路系では、以下のようにして情報の読み出しが行われる。
【0128】
スイッチ71,72の対に、ワードデコード線30を介して、X方向アドレスデコーダ121からの選択信号が入力される。また、スイッチ71には番地選択信号Aが入力され、スイッチ72には、その反転信号が入力される。これにより、アドレス上位ビットに対応したワードデコード値と、アドレス最下位ビットに対応した番地選択信号Aとの双方が“High”となるスイッチだけが選択され、導通する。
【0129】
スイッチ71,72により選択されたワード列では、ワード選択線75に“High”の信号電圧が印加される結果、トランジスタ74A,74Bが導通し、対応するセンスワード線31に対してセンスビット線21A、21Bから電流が流れることが許容される。
【0130】
一方、ビットデコード線20には、Y方向アドレスデコーダ131からの選択信号が入力される。ビットデコード線20に接続されているトランジスタには、ビットデコード値に対応して“High”の信号がベース入力され、導通する。これにより、センスビット線21A,21Bにセンシング電流が流れると共に、ビットデコード値に応じたビット列のセンスアンプ132(増幅部40)が動作可能な状態となる。
【0131】
よって、この回路系では、選択用デコーダスイッチ124により、センシングする記憶セル12は、読出対象であるただひとつの記憶セル12に同定され、1つのセンシング結果だけが出力される。
【0132】
このように本実施の形態によれば、読出回路系を2系列に分け、読出用マルチプレクサ153を設ける代わりに、読出回路系を1系列とし、選択用デコーダスイッチ124を設けるようにしたので、記憶セル12Ev,記憶セル12Odに係るセル選択がセンシングの前に行われ、センシングは読出対象の記憶セル12についてだけ行われる。よって、この読出回路系は、書込回路系と同様にビットデコード値,ワードデコード値および番地選択信号Aにより制御される構成をとると共に、消費電流が低減されるために、より効率よく動作することができる。そのほかの効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0133】
この第2の実施の形態では、トランジスタ74A,74B、ワード選択線75を設けるなど、記憶セル群140における読出用配線も第1の実施の形態と異なるようにしたが、定電流回路のトランジスタ33を2制御指令のスイッチ71,72で替えるようにすれば、第1の実施の形態の配線構造をほぼそのまま適用することも可能である。このように、上記実施の形態で説明した回路構成はあくまでも一具体例であり、同様の機能を果たすものであれば、これらを変形してもよく、そのほかの回路構成としても構わない。
【0134】
なお、本発明は上記実施の形態には限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、実施の形態では書込回路系および読出回路系の作用構成について具体的に説明したが、本発明は、それぞれ一対の磁気抵抗効果素子により構成された2つの記憶セルが、同一の書込線対により駆動されるように構成され、これら2つの記憶セルをそれぞれ第1のグループおよび第2のグループに分けて駆動するものであればよく、回路構成や配線レイアウトにおける変形が可能である。
【0135】
また、磁気抵抗効果素子の構成は実施の形態で説明したものと同一である必要はなく、例えば、環状磁性層を備えていないものでもよい。さらに、実施の形態では、磁気抵抗効果素子12A,12BをTMR素子としたが、これをGMR素子で置き換えることもできる。その場合の素子は、非磁性層2を絶縁層から非磁性金属層に替えることを除いては、磁気抵抗効果素子12A(12B)と同様に構成することができる。このように、本発明の磁気抵抗効果素子には公知のあらゆる素子構造が適用でき、磁性層の積層面に垂直に電流を流すCPP(Current Perpendicular to the Plane),および磁性層の積層面に平行に電流を流すCIP(Current Flows in the Plane)のどちらであっても構わない。
【0136】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の磁気メモリデバイスによれば、外部磁界によって磁化方向が変化する感磁層を有する磁気抵抗効果素子と、磁気抵抗効果素子に読出電流を供給する読出線と、折り返し部分と、この折り返し部分を挟んで延びる第1および第2の部分とを含むループ形状をなす第1の書込線と、折り返し部分と、この折り返し部分を挟んで延びる第3および第4の部分とを含むループ形状をなす第2の書込線とを備え、第1ないし第4の部分がそれぞれ曲折されることにより、第1および第2の部分と第3および第4の部分との交差点に対応して、第1の書込線と第2の書込線とが互いに平行に延びる4つの平行部分が形成されると共に、これらの平行部分にそれぞれ磁気抵抗効果素子が配置され、4つの平行部分のうちの2つの平行部分に配置された一対の磁気抵抗効果素子によって第1グループに属する記憶セルが構成され、4つの平行部分のうちの他の2つの平行部分に配置された一対の磁気抵抗効果素子によって第2グループに属する記憶セルが構成され、読出対象の記憶セルが第1および第2のグループのいずれに属するかを示すグループ選択情報に基づいて読出対象の記憶セルが選択されるようにしたので、第1のグループの記憶セルと第2のグループの記憶セルは、書込線を共用するように配置されているにも関わらず、グループ選択情報に基づく制御によって互いに独立して書き込み/読み出しを行うことができる。したがって、一対の磁気抵抗効果素子により構成された記憶セルを、駆動可能に構成しつつ、効率よく集積化することが可能となる。
【0137】
特に、グループ選択情報に基づき、読出動作を行う記憶セルを第1および第2のグループのいずれかより選択し、選択された記憶セルにのみ読出電流を流して検出信号を出力させ、これを読出情報とするようにすれば、読出動作を行う前に、読出対象である記憶セルが一意に選択される。よって、回路構成を簡素化することができると共に電流消費を抑えることができる。
【0138】
また、磁気抵抗効果素子を、第1および第2の書込線に流れる書込電流により生ずる磁界が互いに同一方向を向くように感磁層に印加されるようにすれば、感磁層の磁化は、同一方向に強め合った磁界によって反転する。そのため、従来に比べ、感磁層の磁化方向を確実に制御することが可能であり、書き込み効率を向上させることができる。したがって、良好な書き込み状態で情報を記憶することができ、このようにして情報を書き込まれた記憶セルからは大きな読出信号出力を取り出すことができる。
【0139】
また、本発明の磁気メモリデバイスの読出方法によれば、第1の書込線を、折り返し部分とこの折り返し部分を挟んで延びる第1および第2の部分とを含むループ形状とすると共に、第2の書込線を、折り返し部分とこの折り返し部分を挟んで延びる第3および第4の部分とを含むループ形状とし、第1ないし第4の部分をそれぞれ曲折することにより、第1および第2の部分と第3および第4の部分との交差点に対応して、第1の書込線と第2の書込線とが互いに平行に延びる4つの平行部分を形成し、これらの平行部分にそれぞれ磁気抵抗効果素子を配置し、4つの平行部分のうちの2つの平行部分に配置された一対の磁気抵抗効果素子によって第1グループに属する記憶セルを構成し、4つの平行部分のうちの他の2つの平行部分に配置された一対の磁気抵抗効果素子によって第2グループに属する記憶セルを構成し、読出対象の記憶セルが第1および第2のグループのいずれに属するかを示すグループ選択情報に基づいて読出対象の記憶セルを選択するようにしたので、第1のグループの記憶セルと第2のグループの記憶セルは、共用する書込線から同時に電流供給を受けるにも関わらず、アドレス情報に基づくグループ選択制御によって互いに独立して書き込みを行うことができ、書き込みと同様の選択制御により読み出しを行うことができる。したがって、読出対象とする記憶セルから、適正に差動読出を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る磁気メモリデバイスの全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した磁気メモリデバイスの要部の構成を表すブロック図である。
【図3】図1に示した記憶セルの具体的構成を示す断面図である。
【図4】図1に示した磁気メモリデバイスの書込回路系の構成図である。
【図5】図1に示した書込用論理制御部における動作を説明するための表である。
【図6】図1に示した書込用論理制御部の回路構成を表す図である。
【図7】図1に示したカレントドライブの回路図である。
【図8】図7に示したカレントドライブの作用構成を説明するための概念的な構成図である。
【図9】図4に示したX方向カレントドライブの動作時における各トランジスタの動作状態と、書込電流の経路とを表す図である。
【図10】図4に示した書込回路系において、偶数番地の記憶セルに「1」を書き込む際の動作を説明するための図である。
【図11】図10に示した記憶セルに書き込まれる記憶状態を表す図である。
【図12】図4に示した書込回路系において、偶数番地の記憶セルに「0」を書き込む際の動作を説明するための図である。
【図13】図12に示した記憶セルに書き込まれるもう1つの記憶状態を表す図である。
【図14】図4に示した書込回路系において、奇数番地の記憶セルに「1」を書き込む際の動作を説明するための図である。
【図15】図4に示した書込回路系において、奇数番地の記憶セルに「0」を書き込む際の動作を説明するための図である。
【図16】図1に示した磁気メモリデバイスの読出回路系の要部の構成図である。
【図17】図16に示した読出回路系の全体を表す構成図である。
【図18】本発明の第2の実施の形態に係る磁気メモリデバイスの全体構成を示すブロック図である。
【図19】図18に示した磁気メモリデバイスの要部の構成を表すブロック図である。
【図20】図18に示した磁気メモリデバイスの読出回路系の要部の構成図である。
【図21】従来の磁気メモリデバイスの構成を表す図である。
【図22】従来の磁気メモリ素子の具体的構成を表す断面図である。
【図23】従来の磁気メモリ素子に対する書込方法を説明するための図である。
【図24】従来の磁気メモリデバイスの変形例における、磁気記憶素子の断面構成図である。
【図25】図24に示した磁気メモリ素子に対する書込線の配線構造を表す図である。
【図26】従来の磁気メモリデバイスの変形例における書込線および磁気記憶素子の構成を表す図である。
【図27】図29に示した磁気記憶素子に対する書込方法を説明するための図である。
【図28】図27に示した書込方法の問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
Q1〜Q8…トランジスタ、R1〜R4…抵抗器、A,B…ドライブポイント、1…第1の磁性層、2…非磁性層(トンネルバリア層)、3…第2の磁性層、4…非磁性導電層、5…環状磁性層、6X…書込用ワード線、6Y…書込用ビット線、7…絶縁層、8…導電層、9…エピタキシャル層、10…基板、11…読出センシング用導線、12…記憶セル、12Ev…偶数番地の記憶セル、12Od…奇数番地の記憶セル、12A,12B…磁気抵抗効果素子、13A,13B…逆流防止用ダイオード、14…データ信号線、15…リファレンス信号線、16X…(書込用)ワードデコード線、16Y…(書込用)ビットデコード線、20…(読出用)ビットデコード線、21A,21B…センス用ビットデコード線(センスビット線)、22A,22B…トランジスタ、23A,23B…電流電圧変換用抵抗器、30…(読出用)ワードデコード線、31…センス用ワードデコード線(センスワード線)、40…増幅部、41A,41B…センスアンプ入力線、51A,51B…センスアンプ出力線、61…第1の差動スイッチ対、62…第2の差動スイッチ対、63…差動制御手段(第3の差動スイッチ対)、64…電流方向制御部、65…電流量制御部、70A,70B,71,72…スイッチ、73…インバータ、74A,74B…トランジスタ、75…ワード選択線、101,102…アドレス線、103,104…書込用データバス、105…読出用データバス、106…グループ選択信号線、107…制御信号線、110…アドレスバッファ、120…X方向周辺駆動回路、121…X方向アドレスデコーダ、122…定電流回路、123…X方向カレントドライブ、124…選択用デコーダスイッチ、130…Y方向周辺駆動回路、131…Y方向アドレスデコーダ、132…センスアンプ、133…Y方向カレントドライブ、140…記憶セル群、150…データバッファ、151…入力バッファ、152…書込用論理制御部、153…読出用マルチプレクサ、154…出力バッファ、160…制御ロジック部、A0 〜A20…外部アドレス入力端子、D0 〜D7 …外部データ端子、X,Y…ワードデコード値、A…番地選択信号、XDin,YDin…データ信号、XRef ,YRef …リファレンス信号、Ev…偶数番地の記憶セル群、Od…奇数番地の記憶セル群。

Claims (14)

  1. 外部磁界によって磁化方向が変化する感磁層を有する磁気抵抗効果素子と、
    前記磁気抵抗効果素子に読出電流を供給する読出線と、
    折り返し部分と、この折り返し部分を挟んで延びる第1および第2の部分とを含むループ形状をなす第1の書込線と、
    折り返し部分と、この折り返し部分を挟んで延びる第3および第4の部分とを含むループ形状をなす第2の書込線と
    を備え、
    前記第1ないし第4の部分がそれぞれ曲折されることにより、前記第1および第2の部分と前記第3および第4の部分との交差点に対応して、第1の書込線と第2の書込線とが互いに平行に延びる4つの平行部分が形成されると共に、これらの平行部分にそれぞれ磁気抵抗効果素子が配置され、
    前記4つの平行部分のうちの2つの平行部分に配置された一対の磁気抵抗効果素子によって第1グループに属する記憶セルが構成され、前記4つの平行部分のうちの他の2つの平行部分に配置された一対の磁気抵抗効果素子によって第2グループに属する記憶セルが構成され、
    読出対象の記憶セルが前記第1および第2のグループのいずれに属するかを示すグループ選択情報に基づいて読出対象の記憶セルが選択される
    ことを特徴とする磁気メモリデバイス。
  2. 前記2つの平行部分は、前記第1の部分と前記第3および第4の部分との交差点に対応したものであり、
    前記他の2つの平行部分は、前記第2の部分と前記第3および第4の部分との交差点に対応したものである
    ことを特徴とする請求項1に記載の磁気メモリデバイス。
  3. 前記第1のグループおよび第2のグループの双方の記憶セルに読出電流を流して検出信号を出力させ、
    これらの出力のうち、前記グループ選択情報に基づいて選択された出力を読出情報とする
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気メモリデバイス。
  4. 前記読出線は、前記第1のグループに属する記憶セルが接続された第1の読出線群と、前記第1の読出線群と対をなすように前記第2のグループに属する記憶セルが接続された第2の読出線群とを含み、
    前記第1および第2の読出線群からの出力がそれぞれ入力される第1および第2のセンスアンプ回路と、
    前記グループ選択情報に基づき、前記第1および第2のセンスアンプ回路の出力のうちの一方を読出情報として選択し、出力する第1のセル選択手段とを
    備えたことを特徴とする請求項3に記載の磁気メモリデバイス。
  5. 前記グループ選択情報に基づき、読出動作を行う記憶セルを前記第1および第2のグループのいずれかより選択し、
    選択された記憶セルにのみ読出電流を流して検出信号を出力させ、これを読出情報とする
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気メモリデバイス。
  6. 前記読出線は、前記複数の磁気抵抗効果素子のうちの互いに対をなすものがそれぞれ接続される読出線対を含み、
    前記読出線対に接続された磁気抵抗効果素子のうち、読出動作を行う記憶セルに対応するものにだけ読出電流を流すように電流供給を切り換え制御するスイッチを含む第2のセル選択手段を備えた
    ことを特徴とする請求項5に記載の磁気メモリデバイス。
  7. 前記第1および第2の書込線は、前記読出線とは別体に構成され、双方向に書込電流を流すように構成されている
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の磁気メモリデバイス。
  8. 前記磁気抵抗効果素子は、前記第1および第2の書込線に流れる書込電流により生ずる磁界が互いに同一方向を向くように前記感磁層に印加される
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の磁気メモリデバイス。
  9. 前記磁気抵抗効果素子は、前記平行部分のうち、前記平行部分と直交する方向にのみ磁界が生じる領域に配置される
    ことを特徴とする請求項8に記載の磁気メモリデバイス。
  10. さらに、前記磁気抵抗効果素子は、前記感磁層を含む積層体を含んでおり、前記積層体の一方の面側には、前記積層面に沿った方向を軸方向とし、前記第1および第2の書込線の平行部分によって前記軸方向に沿って貫かれるように構成された環状磁性層が設けられている
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の磁気メモリデバイス。
  11. 前記第1および第2の書込線に供給される書込電流により生ずる磁界は、大きさが相等しい
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の磁気メモリデバイス。
  12. 外部磁界によって磁化方向が変化する感磁層を有する磁気抵抗効果素子と、磁気抵抗効果素子に書込電流を供給する第1および第2の書込線と、磁気抵抗効果素子に読出電流を供給する読出線とを備えた磁気メモリデバイスの読出方法であって、
    前記第1の書込線を、折り返し部分と、この折り返し部分を挟んで延びる第1および第2の部分とを含むループ形状とすると共に、
    前記第2の書込線を、折り返し部分と、この折り返し部分を挟んで延びる第3および第4の部分とを含むループ形状とし、
    前記第1ないし第4の部分をそれぞれ曲折することにより、前記第1および第2の部分と前記第3および第4の部分との交差点に対応して、第1の書込線と第2の書込線とが互いに平行に延びる4つの平行部分を形成し、これらの平行部分にそれぞれ磁気抵抗効果素子を配置し、
    前記4つの平行部分のうちの2つの平行部分に配置された一対の磁気抵抗効果素子によって第1グループに属する記憶セルを構成し、前記4つの平行部分のうちの他の2つの平行部分に配置された一対の磁気抵抗効果素子によって第2グループに属する記憶セルを構成し、
    読出対象の記憶セルが前記第1および第2のグループのいずれに属するかを示すグループ選択情報に基づいて読出対象の記憶セルを選択する
    ことを特徴とする磁気メモリデバイスの読出方法。
  13. 前記第1のグループおよび第2のグループの双方の記憶セルに読出電流を流して検出信号を出力させ、
    これらの出力のうち、前記グループ選択情報に基づいて選択された出力を読出情報とする
    ことを特徴とする請求項12に記載の磁気メモリデバイスの読出方法。
  14. 前記グループ選択情報に基づき、読出動作を行う記憶セルを前記第1および第2のグループのいずれかより選択し、
    選択された記憶セルにのみ読出電流を流して検出信号を出力させ、これを読出情報とする
    ことを特徴とする請求項12に記載の磁気メモリデバイスの読出方法。
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