JP2004303351A - テストディスク - Google Patents
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Abstract
【効果】1枚のディスクに記録密度の異なる複数の記録層を積層することにより、互換再生ピックアップを調整する際、ディスク交換およびその調整作業が省略できる。また、ディスク交換によるディスク自体およびチャッキング状態の違いがないため、高精度にピックアップの調整を行うことができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、テストディスクに関し、特に記録密度の異なる複数の記録層を積層し、各記録層に信号が一定の形式で記録された信号記録面を設けた、互換再生ピックアップの調整に用いるテストディスクに関する。
【0002】
【従来技術】
従来のテストディスクの一例が、特許文献1に開示されている。この従来技術は、基板の厚みの異なるCDやDVDなどの光ディスクを互換再生できる再生装置用ピックアップの調整に用いる光ディスクである。複数の光ディスクを同一方向からレーザビームで再生できるように紫外線硬化樹脂で貼り合わせて作成されたディスクであり、各信号記録面が異なるフォーマットで、径方向に異なる位置に形成されている。
【0003】
この従来技術によれば、互換再生ピックアップが各ディスクを正しく再生できるかどうかを確認するため、その都度ディスクを付け替える必要がなく、ピックアップの調整精度を向上させることができる。
【0004】
【特許文献1】
特許 第2983920号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、記録容量がDVDの数倍にも達するブルーレイディスクやアドバンストオプティカルストレージ(AOD)などが開発されている。
【0006】
現在、殆どのDVD再生機でCDを再生できるようにされているが、今後商品化が期待されるブルーレイディスクやAODなどの高密度ディスクの再生機でも同様にCDやDVDなどの低密度ディスクを再生できる下位互換性が求められる。
【0007】
しかしながら、記録密度の違いにより、ディスクのピット(記録マーク)の大きさ、ピッチ、基板の厚みなどの物理的構造や、記録信号の変調方式などが異なるため、互換再生できるようにピックアップを調整することはかなり難しい。なぜなら、記録密度の向上によりディスクなどのスペックが厳しくなっており、ピックアップの調整に要求される精度も高まっているからである。
【0008】
それゆえに、この発明の主たる目的は、高密度ディスクと低密度ディスクとの互換再生ピックアップの調整を高精度かつ迅速に行うことができる、テストディスクを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1発明は、記録密度の異なる複数の記録層を積層し、各記録層に信号が一定の形式で記録された信号記録面を設けた、互換再生ピックアップの調整に用いるテストディスクにおいて、信号記録面の一つがブルーレイディスクの規格で形成される信号面であることを特徴とするテストディスクである。
【0010】
なお、その信号記録面に読み出し領域が区分されて形成される。あるいは、その信号記録面に波長選択性を有する多層膜が形成される。
【0011】
第2発明は、記録密度の異なる複数の記録層を積層し、各記録層に信号が一定の形式で記録された信号記録面を設けた、互換再生ピックアップの調整に用いるテストディスクにおいて、信号記録面の一つがアドバンストオプティカルストレージの規格で形成される信号面であることを特徴とするテストディスクである。
【0012】
なお、その信号記録面に読み出し領域が区分されて形成される。あるいは、その信号記録面に波長選択性を有する多層膜が形成される。
【0013】
【作用】
テストディスクは信号記録面が積層され、読み出し領域が部分的に形成される。このため、ピックアップを移動させるだけで、各読み出し領域に信号記録面を再生するレーザ光を照射できる。
【0014】
このテストディスクを用いて互換再生ピックアップを調整すると、異なる信号記録面の調整に変える際にディスクを交換する必要がなく、交換の作業と時間とが省略できる。また、ディスク交換による各ディスクの偏芯や傾きなどの調整も不要になるためタクトタイムを短縮できる。さらに、ディスク交換によるディスク自体およびチャッキング状態の違いがないため、信頼性の高い評価データが得られ、高精度にピックアップを調整できる。
【0015】
このような信頼性の高いテストディスクの信号記録面の一つをブルーレイディスクまたはAODにすることにより、高密度ディスクの再生機でも低密度ディスクを再生できる下位互換性が可能となる。
【0016】
また、信号記録面に区分された読み出し領域を形成せず、波長選択性を有する多層膜を形成する。多層膜は再生記録面の再生波長のレーザ光を反射し、再生記録面より読み取り面と反対側にある記録面の再生波長のレーザ光を透過する。よって、この多層膜を信号記録面に形成したテストディスクを用いてピックアップを調整すると、ピックアップを移動させず、照射するレーザ光の波長を変えるだけで各ディスクを調整できる。このため、さらに調整時間が短縮でき、評価データの信頼性は高まる。
【0017】
【発明の効果】
この発明によれば、互換再生ピックアップを調整する際のディスク交換によるディスク状態の差がなくなるため、高精度に調整でき、高密度ディスクと低密度ディスクとの調整に用いられる。また、ディスク交換やそれに伴う調整の時間や作業を省略することができるため迅速に調整できる。
【0018】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0019】
【実施例】
第1実施例
図1に示すこの発明の第1実施例であるテストディスク10はピックアップ12によって再生される。図1では右側がテストディスク10の内周側であり、左側が外周側である。
【0020】
テストディスク10は、積層された3つの記録層14,20,および26を含む。第1記録層14は第1基板16とそれに積層された保護層18とを含み、第2記録層20は第2基板22とそれに積層された接着層24とを含み、第3記録層26は第3基板28とそれに積層された接着層30とを含む。
【0021】
各基板の材料はいずれも透明でなければならない。そして、反りが出ないという理由でガラスが好ましいが、たとえばPC(ポリカーボネート)やPMMA(ポリメチルメタクリレート)などの透明な樹脂を用いてもよい。接着層24および30並びに保護層18の材料は、硬化時間が短く透明である紫外線硬化性アクリル樹脂が好ましいが、その他の透明な樹脂を用いてもよい。
【0022】
第1基板16には第1波長レーザ光32で再生可能な第1信号が記録された第1信号記録面34が、第2基板22には第2波長レーザ光36で再生可能な第2信号が記録された第2信号記録面38が、そして第3基板28には第3波長レーザ光40で再生可能な第3信号が記録された第3信号記録面42が、それぞれ形成される。各信号記録面34,38および42の一部が読み出し領域としてアルミニウムの反射膜44で覆われる。すなわち、第1信号記録面34から第3信号記録面42にかけて、それぞれ読み出し領域w1、w2およびw3が外周側から内周側に部分的に順に区分される。
【0023】
なお、反射膜の材料はアルミニウムの代わりに、銀、インジウム、アンチモンおよびテルルの合金(Ag−In−Sb−Te系)、あるいはゲルマニウム、アンチモンおよびテルルの合金(Ge−Sb−Te系)を使用してもよい。
【0024】
また、ここでは読み出し領域w1、w2およびw3を外周側から内周側に順に設けているが、どの順番に設けてもよい。
【0025】
この実施例では、具体的に第1信号記録面34、第2信号記録面38および第3信号記録面42は、それぞれ図2に示すCD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、およびブルーレイディスクの規格で信号面(ピットやグルーブなど)を形成している。したがって、上述の第1波長、第2波長、および第3波長は、一例として780nm、650nm、および405nmである。また、CDの読み取り面側(ピックアップのある側)の基板厚h1は1.2mm、DVDの基板厚h2は0.6mm、ブルーレイディスクの基板厚h3は0.1mmである。ディスク10の全体の厚みh1+βは、保護層18の厚みβが数μmとディスクに比べて非常に薄いためh1=1.2mmと近似できる。第1基板16の厚みs1は数1で与えられ、第2基板22の厚みs2は数2で与えられる。ただし、接着層24,30の厚みαは数十μmである。第3基板28の厚みs3はh3=0.1mmである。
【0026】
【数1】
h1−h2−α=0.6−α
【0027】
【数2】
h2−h3−α=0.5−α
なお、ここではCD、DVD、およびブルーレイディスクの3つの信号記録面を有しているが、互換再生ピックアップ12の仕様に合わせた信号記録面、たとえばDVDとブルーレイディスクとの2つの信号記録面だけを形成してもよい。
【0028】
互換再生ピックアップ12を調整するためには、各信号記録面に設けた読み出し領域にレーザ光を照射して反射膜44で反射された光をピックアップ12で検出することにより行う。この場合、DVDを再生する場合は、ピックアップ12からレーザ光36を第2信号記録面38の読み出し領域w2に照射する。次にブルーレイディスクの場合は、ピックアップ12を内側に移動させ、レーザ光40を第3信号記録面42の読み出し領域w3に照射し、CDの場合はピックアップ12を外側に移動させ、レーザ光32を読み出し領域w1に照射する。
【0029】
このように、1枚のテストディスク10の中に記録層が積層され、各信号記録面の一部に反射膜44で覆われた読み出し領域を形成すると、ディスクを付け替えずにピックアップ12を移動させるだけで、各信号記録面にレーザ光を照射することができるため、迅速に互換再生ピックアップ12で各ディスクを調整できる。また、ディスクを交換すると、各ディスクの状態およびチャッキング状態が異なるため、評価データにディスク状態などの因子が入る。しかし、1枚のテストディスク10ではこのようなことがなく、ピックアップ12を高精度に調整できる。
【0030】
なお、図2に示すその他のデータについてはよく知られたところであるが、「最短ピット長」とは、レーザ光を照射して読み取ることができる最も短いピットの長さである。「トラックピッチ」とは、隣接するトラック間の距離である。「スポット径」とは、照射されたレーザ光の信号記録面におけるスポットの直径である。「開口数」とは、ピックアップの対物レンズの解像度や焦点深度などを決める値であり、開口数が大きいほど、解像度が高く光量の多いレーザ光が得られるが、その反面、焦点深度は浅くなる。「波長」とは半導体レーザから照射されるレーザ光の波長である。
【0031】
次に、図1実施例のテストディスク10の製造方法について、図3〜図6を参照しながら説明する。
【0032】
第1記録層14のための第1基板16は、図3(A)に示す第1信号記録面34を一方の面に有し、たとえば先に挙げた光透過性樹脂による射出成形によって作製される。ついで、第1信号記録面34の読み出し領域以外の部分をマスキングして、スパッタリングなどでアルミニウムの反射膜44を図3(B)のように形成する。その上から保護層18で覆い、図3(C)の第1記録層14を作成する。
【0033】
図4(A)の第2信号記録面38が一方の面に形成された第2基板22は、透明樹脂を用いて射出成形により作製される。この第2信号記録面38の読み取り領域に図4(B)に示すようにスパッタリングなどでアルミニウムの反射膜44を形成する。また、図5(A)の第3基板28もその一方の面に第3信号記録面42が形成されるように、射出成形で作成される。この第3信号記録面42の内、図5(B)に示すように第1信号記録面34と第2信号記録面38との読み取り領域を除いた部分に反射膜44を形成する。
【0034】
それぞれ作成した3つの基板16,22,および28を、図6で示すように、紫外線硬化樹脂46により貼り合せて、紫外線を照射し紫外線硬化樹脂46を硬化させることにより、図7のテストディスク10を作成する。
【0035】
なお、ここでは3つの基板の作成方法に射出成形を例に挙げたが、2P(Photo Polymer)成形法を用いてもよい。
【0036】
また、テストディスク10の別の製造方法について、図8〜図11を参照しながら説明する。
【0037】
上記製造方法と同様に射出成形で作成された第1基板16に反射膜44と保護層18とを形成し、第2基板22に反射膜44を形成する。これら2つの基板16および22を紫外線硬化樹脂46で貼り合せて、図8に示す第1記録層14と第2記録層20との一体層48を作成する。
【0038】
あらかじめ作製しておいた一体層48に2P成形法を用いて第3記録層26を作成する。たとえば、一体層48に第3信号記録面42が設けられた金型をあて、その中に光硬化性樹脂を注入し、紫外線を一体層48側から照射して樹脂を硬化させると、図9に示すように一体層48上に第3信号記録面42を有する紫外線硬化樹脂層30aが形成される。この第3信号記録面42の読み出し領域以外の部分にマスキングして、スパッタリングなどによりアルミニウムの反射膜44を形成する(図10)。最後に、第3信号記録面42上に保護シートを貼り付けるか、スピンコートなどで透明樹脂を埋め込むと、図11の3つの記録層が積層された1枚のテストディスク10が作成される。
【0039】
なお、ここでは、第3記録層42の成形において、第1記録層14と第2記録層20との一体層48上に直接信号記録面42を有する紫外線効果樹脂層30aを設けたが、別に信号記録面42を有する紫外線硬化樹脂層30aを作製し、後で一体層48に貼り付けてもよい。
【0040】
第2実施例
図12に示すこの発明の第2実施例であるテストディスク50はピックアップ12によって再生される。図12では右側がテストディスク50の内周側となり、左側が外周側である。
【0041】
テストディスク50は積層された3つの記録層14,20,および26を含む。これらの構成、材料、製造方法、およびピックアップ12の再生方法については第1実施例と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0042】
ただ、反射膜44の形成領域が第1実施例と異なる。第1基板16の第1信号記録面34には全面にスパッタリングによりアルミニウムの反射膜44が形成される。第2信号記録面38には第1信号記録面34の読み出し領域w1を除いてそれより内周側に反射膜44が形成される。第3信号記録面42には第1信号記録面34と第2信号記録面38との読み出し領域w1とw2とを除いてさらに内周側に反射膜44が形成される。
【0043】
反射膜を上記のように形成しても、読み出し領域w1,w2,およびw3は、第1実施例と同様に第1信号記録面34から第3信号記録面42にかけて外周側から内周側に部分的に順に設けられる。
【0044】
第3実施例
図13に示すこの発明の第3実施例であるテストディスク52はピックアップ12によって再生される。図13では右側がテストディスク52の内周側となり、左側が外周側である。
【0045】
テストディスク52は積層された2つの記録層14および54を含む。第1記録層14およびテストディスク52の材料とは第1実施例と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0046】
第2記録層54は第2基板56とそれに積層された接着層58とを含み、第2基板56は第2a信号記録面62と第2b信号記録面66とを有し、第2a信号記録面62は第2a波長レーザ光60で再生可能な第2a信号が記録され、第2b信号記録面66は第2b波長レーザ光64で再生可能な第2b信号が記録される。各信号記録面の一部または全部がアルミニウムの反射膜44で覆われ、これらの部分が読み出し領域w1、w2a、およびw2bとなる。すなわち、第1信号記録面34、第2a信号記録面62、および第2b信号記録面66の読み出し領域w1,w2a,およびw2bは外周側から内周側に部分的に順に設けられる。
【0047】
なお、ここでは読み出し領域w1,w2a,およびw2bを外周側から内周側に読み出し領域を設けているが、どの順番でもよい。
【0048】
この実施例では、具体的に第1信号記録面34、第2a信号記録面60および第2b信号記録面64は、それぞれ図14に示すCD、DVD、およびAODの規格で信号面が形成される。したがって、上述の第1波長、第2a波長、および第2b波長は、一例として780nm、650nm、および405nmである。また、CDの読み取り面側の基板厚h1は1.2mm、DVDとAODとの基板厚h2は0.6mmである。ディスク52の全体の厚みh1+βは、保護層18の厚みβは非常に薄いためh1=1.2mmと近似できる。第1基板16の厚みs1は先の数1で与えられ、第2基板56の厚みs4はh2=0.6mmである。
【0049】
なお、ここではCD、DVD、およびAODの3つの信号記録面を有しているが、互換再生ピックアップ12の仕様に合わせた信号記録面、たとえばDVDとAODとの2つの信号記録面だけを形成してもよい。
【0050】
互換再生ピックアップ12の調整は、ピックアップ12を移動させて、テストディスク52内に設けられた各読み出し領域w1、w2a、およびw2bにレーザ光32、60、および64を照射し、反射膜44で反射された光をピックアップ12で検出することにより行う。すなわち、AODを再生する場合、ピックアップ12からレーザ光64を第2b信号記録面66の読み出し領域w2bに照射する。DVDの場合はピックアップ12を外周側に移動させ、レーザ光60を読み出し領域w2aに照射し、CDの場合もピックアップ12を外周側に移動させ、レーザ光62を読み出し領域w1に照射する。
【0051】
このように、1枚のテストディスク52の中に記録層が積層され、各信号記録面が区分されており、各信号記録面の一部に読み出し領域が形成されると、第1実施例と同様に迅速かつ高精度にピックアップ12を調整できる。
【0052】
次に、テストディスク52の製造方法について、図15〜図18を参照しながら説明する。
【0053】
まず、第1記録層14は図15(A)〜図15(C)に示すように第1実施例と同様に作製される。次に図16(A)に示すような第2a信号記録面62と第2b信号記録面66とを一方の面に有する第2基板56を射出成形で作成する。そして、これら信号記録面62および66上に読み出し領域w1をマスキングして、スッパッタリングなどでアルミニウムの反射膜44を図16(B)のように形成する。それぞれ作成した2つの基板16と56とを、図17で示すように、紫外線硬化樹脂46により貼り合せ、図18のテストディスク52を作成する。
【0054】
第4実施例
図19に示すこの発明の第4実施例であるテストディスク68はピックアップ12によって再生される。図19では右側がテストディスク68の内周側となり、左側が外周側である。
【0055】
テストディスク68は積層された3つの記録層14、20および26を含む。これらの構成および材料は第1実施例と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0056】
ただ、読み出し領域が第1実施例と異なる。信号記録面38および42の全面が波長選択性を有する多層膜70および72で覆われ、第1信号記録面34の全面がアルミニウムの反射膜44で覆われる。したがって、第1実施例ではそれぞれの信号記録面の読み出し領域が部分的であったが、この場合では読み出し領域が各信号記録面の全面である。
【0057】
信号記録面に形成された波長選択性を有する多層膜は、その信号記録面を再生するレーザ光を反射し、それより読み出し面と反対側にある信号記録面を再生するレーザ光を透過する膜である。具体的には、第1信号記録面34、第2信号記録面38および第3信号記録面42は、それぞれ図2に示すCD、DVD、およびブルーレイディスクの規格であり、第1波長、第2波長、および第3波長は780nm、650nm、および405nmである。DVD38の波長選択性を有する多層膜70は再生波長650nmのレーザ光36を反射し、読み取り面と反対側にあるCD34の再生波長780nmのレーザ光32を透過する。ブルーレイディスク42の多層膜72は再生波長405nmのレーザ光40を反射し、CDとDVDとの再生波長650nmと780nmとの波長を有するレーザ光32と36とを透過する。CD34は読み取り面の反対側に信号記録面がなくレーザ光を透過しないため、全反射するアルミニウムの反射膜44を形成する。
【0058】
互換再生ピックアップ12の調整は、各信号記録面34、38、および42の再生波長のレーザ光32、36、または40を各記録面34、38、および42に照射し、多層膜70、72または反射膜44で反射された光をピックアップ12で検出することにより行う。すなわち、ブルーレイディスクを再生する場合はピックアップ12から波長405nmのレーザ光40を第3信号記録面42に照射し、次にDVDの場合はピックアップ12を移動させず波長を650nmに変えたレーザ光36を第2信号記録面38に照射し、CDの場合もピックアップ12を移動させず波長を780nmに変えたレーザ光32を信号記録面34に照射する。
【0059】
第1実施例〜第3実施例では信号記録面の読み出し領域が全反射するアルミニウムの反射膜44であるため、各ディスクを再生する場合、各読み出し領域にレーザ光が照射されるようにピックアップ12を移動させる必要があった。移動させるとディスクのチルトなどの微小なずれが生じるため、再度ピックアップ12の微調整をしなければならない場合がある。これに対して、第4実施例の多層膜を用いた場合、ピックアップ12を移動させることなく、レーザ光の波長を変えるだけで各ディスクを再生することができるため、ピックアップ12の調整精度は向上する。
【0060】
次に、テストディスク68の製造方法は図20〜図28に示し、また別の製造方法は図25〜図28に示すが、いずれも第1実施例と同様であるためここでの説明は省略する。ただ、信号記録面の読み出し領域が第1実施例と異なる。すなわち、図20(B)に示すように第1信号記録面34の全面に反射膜44を形成し、図21(B)、図22(B)および図27に示すように第2信号記録面38と第3信号記録面42との全面に波長選択性を有する多層膜70および72をスパッタリングまたは真空蒸着法などで形成する。なお、反射膜44または多層膜70および72を信号記録面の全面でなく一部に形成してもよいが、マスキングなどの作業が別途必要になる。
【0061】
テストディスクの製造において、各記録層の貼り合わせに紫外線硬化樹脂46を用いる場合、第1実施例〜第3実施例のように反射膜44を形成すると、樹脂を硬化させる紫外線が反射膜44で反射されてしまう。しかし、波長選択性を有する多層膜を用いると、樹脂を硬化させる紫外線を遮断してしまうことがないため、紫外線の透過率が上がり、短時間に樹脂が硬化され記録層を精度良く貼り合せることができる。
【0062】
第5実施例
図29に示すこの発明の第5実施例であるテストディスク74はピックアップ12によって再生される。図29では右側がテストディスク74の内周側となり、左側が外周側である。
【0063】
テストディスク74は積層された3つの記録層14および54を含む。これらの構成および材料は第3実施例と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0064】
ただ、読み出し領域が第3実施例と異なる。信号記録面62と66との全面が波長選択性を有する多層膜70と76とで覆われ、第1信号記録面34の全面がアルミニウムの反射膜44で覆われる。
【0065】
具体的には、第1信号記録面34、第2a信号記録面62および第2b信号記録面66は、それぞれ図14に示すCD、DVD、およびAODの規格であり、第1波長、第2a波長、および第2b波長は780nm、650nm、および405nmである。DVDの多層膜70は再生波長650nmのレーザ光60を反射し、読み取り面と反対側にあるCD34の再生波長780nmのレーザ光32を透過する。AODの多層膜76は再生波長405nmのレーザ光64を反射し、CDの再生波長780nmのレーザ光32を透過する。CDは読み取り面の反対側に信号記録面がなくレーザ光に透過されないため、第1信号記録面34全体に全反射するアルミニウムの反射膜44が形成される。
【0066】
また、DVDとAODとの多層膜70および76はともに波長780nmのレーザ光32を透過し、波長650nmと405nmとのレーザ光60および64を反射するので、650nmと780nmとの間で区切れる膜でもよい。たとえば波長700nm以上のレーザ光を透過しそれ以下の波長のレーザ光を反射する多層膜であれば、上記のようDVDとAODとの2つの多層膜を形成することなく1つの膜を共通して利用できる。
【0067】
ピックアップの調整について、DVDとAODとが同じ第2信号記録面にあるため、ピックアップを移動させずにCD,DVD、およびAODの3つのディスクを再生することができない。だが、図29を参照してわかる通り、AODを再生する場合、ピックアップ12からレーザ光64をAOD66に照射し、ピックアップ12をそこから移動させずにレーザ光の波長を405nmから780nmに変えるだけでCD34にレーザ光32を照射することができる。また、DVDの場合も同様にレーザ光60をDVD62に照射し、レーザ光の波長を650nmから780nmに変えCD34にレーザ光32を照射することができる。
【0068】
次に、テストディスク74の製造方法について、図30〜図33を参照しながら説明する。
【0069】
各記録層の作成方法および貼り合わせる方法は第3実施例と同様であるため、ここでの説明は省略する。ただ、信号記録面の読み出し領域は異なる。第1信号記録面34は図30(B)に示されるように、その全面に反射膜44が形成される。第2信号記録面は図31(B)に示されるように、第2a信号記録面62をマスキングし内周側の第2b信号記録面66にスパッタリングまたは真空蒸着法などで波長選択性を有する多層膜76を形成する。次に多層膜76を形成した領域をマスキングし、図31(C)のように第2a信号記録面62に波長選択性を有する多層膜70を形成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す断面図である。
【図2】図1実施例のCD,DVD,およびブルーレイディスクの定格値および再生条件である。
【図3】(A)〜(C)は図1実施例の第1基板の製造方法である。
【図4】(A)〜(B)は図1実施例の第2基板の製造方法である。
【図5】(A)〜(B)は図1実施例の第3基板の製造方法である。
【図6】図1実施例の貼り合わせる方法である。
【図7】図1実施例の貼り合わされたテストディスクである。
【図8】図1実施例の他の製造方法における第1基板と第2基板とを貼り合わされた一体層である。
【図9】図1実施例の他の製造方法における第3信号記録面の製造方法である。
【図10】図1実施例の他の製造方法における反射膜の形成方法である。
【図11】図1実施例の他の製造方法によるテストディスクである。
【図12】この発明の他の一実施例を示す断面図である。
【図13】この発明の他の一実施例を示す断面図である。
【図14】図13実施例のCD,DVD,およびAODの定格値および再生条件である。
【図15】(A)〜(C)は図13実施例の第1基板の製造方法である。
【図16】(A)〜(B)は図13実施例の第2基板の製造方法である。
【図17】図13実施例の貼り合わせる方法である。
【図18】図13実施例の貼り合わされたテストディスクである。
【図19】この発明の他の一実施例を示す断面図である。
【図20】(A)〜(C)は図19実施例の第1基板の製造方法である。
【図21】(A)〜(B)は図19実施例の第2基板の製造方法である。
【図22】(A)〜(B)は図19実施例の第3基板の製造方法である。
【図23】図19実施例の貼り合わせる方法である。
【図24】図19実施例の貼り合わされたテストディスクである。
【図25】図19実施例の他の製造方法における第1基板と第2基板とを貼り合わされた一体層である。
【図26】図19実施例の他の製造方法における第3信号記録面の製造方法である。
【図27】図19実施例の他の製造方法における反射膜の形成方法である。
【図28】図19実施例の他の製造方法によるテストディスクである。
【図29】この発明の他の一実施例を示す断面図である。
【図30】(A)〜(C)は図29実施例の第1基板の製造方法である。
【図31】(A)〜(B)は図29実施例の第2基板の製造方法である。
【図32】図29実施例の貼り合わせる方法である。
【図33】図29実施例の貼り合わされたテストディスクである。
【符号の説明】
10,50,52,68,74…テストディスク
12…ピックアップ
14…第1記録層
20,54…第2記録層
26…第3記録層
32…第1波長レーザ光
34…第1信号記録面
36…第2波長レーザ光
38…第2信号記録面
40…第3波長レーザ光
42…第3信号記録面
60…第2a波長レーザ光
62…第2a信号記録面
64…第2b波長レーザ光
66…第2b信号記録面
70,72,76…波長選択性を有する多層膜
Claims (6)
- 記録密度の異なる複数の記録層を積層し、各前記記録層に信号が一定の形式で記録された信号記録面を設けた、互換再生ピックアップの調整に用いるテストディスクにおいて、
前記信号記録面の一つがブルーレイディスクの規格で形成される信号面であることを特徴とする、テストディスク - 前記信号記録面に形成された読み出し領域が区分された、請求項1記載のテストディスク。
- 前記信号記録面に波長選択性を有する多層膜が形成された、請求項1記載のテストディスク。
- 記録密度の異なる複数の前記記録層を積層し、各前記記録層に信号が一定の形式で記録された前記信号記録面を設けた、前記互換再生ピックアップの調整に用いるテストディスクにおいて、
前記信号記録面の一つがアドバンストオプティカルストレージの規格で形成される信号面であることを特徴とする、テストディスク - 前記信号記録面に形成された前記読み出し領域が区分された、請求項4記載のテストディスク。
- 前記信号記録面に波長選択性を有する前記多層膜が形成された、請求項4記載のテストディスク。
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