JP2004300153A - 蛋白修飾物生成抑制剤 - Google Patents

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Toshio Miyata
敏男 宮田
Kiyoshi Kurokawa
清 黒川
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Abstract

【課題】
効果的に蛋白修飾物の生成を抑制する蛋白修飾物生成抑制剤の提供。
【解決手段】
下記構造を有する化合物3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オン(エダラボン)または薬理学的に許容されるその塩を含む蛋白修飾物生成抑制剤が提供された。
【化1】

該化合物により、生体内や透析液中のAGEsやALEsの生成を効果的に抑制することができる。組織障害の原因物質である蛋白修飾物の生成を抑制することによって、糖尿病合併症などの治療や予防が可能となる。
【選択図】 なし

Description

この発明は、蛋白修飾物生成抑制組成物に関し、更に詳しくは、非酵素的条件下にカルボニル化合物と反応することによって生じる糖化最終産物(Advanced Glycation End Products、以下、「AGEs」と称する)、脂質過酸化最終産物(Advanced Lipoxidation End Products、以下、「ALEs」と称する)等の蛋白修飾物の生成を抑制する組成物に関する。
糖化反応(グリケーション)とは、ペプチドや蛋白質等のアミノ基と還元糖等のカルボニル基との非酵素的反応から始まる一連の反応(メイラード反応(非特許文献1参照))をいい、初期段階と後期段階に大別することができる。初期段階は糖の濃度と反応時間とに依存する可逆反応であり、前記アミノ基と前記カルボニル基とが非酵素的に反応してシッフ塩基を生成し、さらにアマドリ転位によりアマドリ化合物を形成する。
後期段階では初期段階で生成したアマドリ化合物が非可逆的に脱水、縮合、環状化、酸化、断片化、重合、転位等を受け、最終的に AGEsと呼ばれる蛋白修飾物を形成する。糖の自動酸化等により、3-デオキシグルコソン(以下、「3-DG」と称する)、グリオキサール(以下、「GO」と称する)およびメチルグリオキサール(以下、「MGO」と称する)等の反応性の高いジカルボニル化合物が生成するが、これらのカルボニル化合物も蛋白と反応し、多くの場合蛋白質のリジン残基やアルギニン残基等が修飾されたAGEsを生成する。
また、酸化ストレス下では、生体内に豊富に存在する糖、脂質、アミノ酸等は酸化反応等により、反応性の高いカルボニル化合物へと変化する。その結果生じる、GO、MGO、アラビノース、グリコールアルデヒドなどの化合物はAGEsの前駆物質となる。また、アスコルビン酸の酸化により生成するデヒドロアスコルビン酸もAGEsの前駆物質となる。これらの前駆物質はいずれもカルボニル基を有しており、蛋白質のアミノ基と非酵素的に反応してシッフ塩基を生成してAGEsを形成する(非特許文献2参照)。
一方、酸化ストレス下では脂質過酸化も進行し、マロンジアルデヒド、ヒドロキシノネナールおよびアクロレインのような、様々なカルボニル化合物が形成される(非特許文献3参照)。これらのカルボニル化合物も蛋白質のアミノ基等と反応し、マロンジアルデヒド修飾リジンやヒドロキシノネナール修飾物等のALEsと呼ばれる蛋白修飾物を形成する(非特許文献2参照)。
更に、セリンやスレオニンなどのアミノ酸も酸化によりアクロレイン、GOなどのカルボニル化合物が生成し、蛋白修飾物を形成する(非特許文献4参照)。多くのカルボニル化合物は酸化的経路で生成されるが、3-DGのように非酸化的経路を経て生成されるカルボニル化合物も存在する。
公知のAGEs生成経路として、1)シッフ塩基、アマドリ化合物から3-DGを経由する経路、2)シッフ塩基が酸化的にグリコールアルデヒド−アルキルイミンへ変化し、アルドアミンを経てAGEsに至る経路、3)アルドアミンがグリオキサールモノアルキルイミンを経てAGEsに至る経路、4)アマドリ化合物から2,3-エンジオールを経て生成されるMGOを中間体とする経路、5)その他等がある。
最近、AGEsのひとつであるカルボキシメチルリジンが不飽和脂肪酸の脂質酸化反応の結果生じるGOによっても生成することが明らかになり、糖化・酸化反応と脂質酸化反応が共通の基盤で起こっていると考えられる。
以上のように、糖、脂質、アミノ酸およびアスコルビン酸から酸化的、非酸化的経路により生成されたカルボニル化合物は、蛋白を非酵素的に修飾して最終的にAGEsやALEs等の蛋白修飾物を形成するに至る。特に、複数の反応経路を経て生成されたカルボニル化合物により蛋白修飾反応が亢進している状態をカルボニル過剰による蛋白修飾、すなわち、カルボニルストレスと呼んでいる。
公知のAGEsとしては、ペントシジン(非特許文献5参照)、クロスリン(非特許文献6参照)、X1(フルオロリンク)、ピロピリジン(非特許文献7参照)、ピラリン(非特許文献8参照)、カルボキシメチルリジン(非特許文献9参照)、イミダゾロン化合物(非特許文献10参照)、カルボキシエチルリジン(非特許文献11参照)、MGOダイマー(非特許文献12参照)、GOダイマー(非特許文献13参照)、イミダゾリジン(非特許文献14参照)およびアルグピリミジン(非特許文献15参照)等が知られている。
現在クローニングされているAGEs受容体として、RAGE(非特許文献16参照)、マクロファージスカベンジャー受容体クラスA(非特許文献17参照)、ガレクチン3(非特許文献18参照)、OST-48および80K-H等がある(非特許文献17参照)。
血管組織においてAGEsがRAGE(免疫グロブリンスーパーファミリーに属する細胞膜貫通型蛋白質)に結合すると、細胞内で活性酸素が生成し、p21ras/MAPK経路が活性化され(非特許文献19参照)、これにより転写因子NF-κB活性化が誘導され、VCAM-1等の血管障害関連因子の発現が誘導されることが報告されている(非特許文献20参照)。また、AGEsはRAGEを介して、微小血管の内皮細胞の増殖を制御し、恒常性維持に重要な役割を果たしている周皮細胞の増殖を抑制するとともに、毒性効果を発揮することが報告されている(非特許文献21参照)。
さらに、AGEsはRAGEを介して、微小血管の内皮細胞に直接的に作用し血管新生を促進すること、PGI2の産生を阻害して血栓傾向となること(非特許文献22参照)が報告されている。その他、AGEsやALEs等の生理活性として、メサンギウム細胞の基質産生の亢進、単球遊走能の亢進、マクロファージからの炎症性サイトカインの放出、滑膜細胞のコラゲナーゼ産生促進、破骨細胞の活性化、血管平滑筋の増殖作用、血小板凝集の促進、NO活性とその平滑筋弛緩反応の抑制が報告されている(非特許文献23参照)。
AGEsが関与する疾患として、1)糖尿病合併症である腎症(非特許文献24参照)、神経障害(非特許文献25参照)、網膜症(非特許文献21参照)および白内障、2)動脈硬化(非特許文献26参照)、3)透析合併症である透析アミロイドーシス(非特許文献27参照)および腹膜透析患者における腹膜硬化症、4)中枢神経疾患であるアルツハイマー病(非特許文献28参照)、ピック病およびパーキンソン病、5)リウマチ性関節炎(非特許文献29参照)、6)日光弾性線維症、7)老化、8)腎不全(非特許文献30参照)等が知られている。その他、糖尿病の場合、血管内皮由来の血管拡張がAGEsによって障害されること(非特許文献31参照)、AGEsが腎硬化を促進させること(非特許文献32参照)等が報告されている。
以上のことから、AGEsを初めとする蛋白修飾物は、直接的にまたは受容体を介して生体に悪影響を与えることが明らかとなっている。
一方、腎機能が低下するに従って、血中のAGEsの濃度が上昇することが知られている。腎機能低下により、分子量5kDa以下と考えられるカルボニル化合物は体内に蓄積する。ペントシジンやピラリン等の場合、遊離型も存在するが、血清アルブミン等の蛋白結合型が大部分を占めている(非特許文献33参照)。また、血中ペントシジン濃度は糸球体濾過機能の影響を強く受けるという報告がある(非特許文献34参照)。
この様に、AGEsはその大部分が腎において処理され、健康時には血中濃度は低く保たれているが、腎機能が低下すると尿毒症毒素(uremic toxin)として慢性の生物活性をもたらすようになる。
透析療法によって遊離型のものは除去されるが、蛋白結合型のものや分子内架橋を形成するものは除去することは困難である(非特許文献35参照)。従って、腎不全期間の経過と共に蛋白修飾物の生体内蓄積量は増加する。また、生体内で糖が反応する基本的な過程以外に食品中から供給される遊離型AGEsや、生体内で既に形成されたアマドリ化合物などから形成される活性の強い3-DG、GO、MGOなどの中間体が次々に蛋白と反応し、AGEsの産生を促進することが認められている。また、血液は透析膜と接触することによって、補体系や白血球の活性化などの様々な影響を受け、フリーラジカルの産生亢進へとつながる等、透析療法そのものによる酸化の亢進も存在し、AGEs生成の一因となっている。
ゆえに、透析療法での対策としては透析導入の初期からこれらの遊離型物質の除去を図り、結合型のAGEs形成を極力抑制することが重要であり、上記のように結合型のAGEsを透析療法によって除去することは困難であるので、透析療法では蛋白修飾物の生成を抑制する薬物の開発が希求されている。
また、腎機能に起因するばかりではなく、腎不全に伴う抗酸化防御機構の低下も蛋白修飾物の蓄積に関与していると考えられる。腎不全患者では、血中還元型グルタチオンに対する酸化型グルタチオンの上昇(非特許文献36参照)、グルタチオン依存酵素群の活性低下、保存期腎不全血漿グルタチオンペルオキシダーゼの低下(非特許文献37参照)、全血中グルタチオンの低下(非特許文献38参照)、ならびに血漿セレン濃度の低下に対する血漿スーパーオキサイドジスムターゼの活性上昇(非特許文献39参照)といった抗酸化能の不均衡が示唆されている(非特許文献40参照)。
また、一般に慢性腎不全の患者では、高血糖の有無に関わらず血中や組織中に反応性の高いカルボニル化合物やAGEsが著しく蓄積していることが報告されている(非特許文献41参照)。腎不全においては、非酵素的化学反応によりカルボニル化合物が高負荷の状態(カルボニルストレス)となり、蛋白質修飾が亢進される病態が存在しており、糖・脂質からカルボニル化合物が生成され蛋白質を修飾するためであると考えられる(非特許文献42参照)。
ゆえに、様々な要因によって生じる蛋白修飾物の生成を抑制することが、組織障害の軽減につながり、AGEs等の蛋白修飾物質が関与する病態を予防および治療することができる。
慢性腎不全患者に行われる透析には、血液透析と腹膜透析がある。腹膜透析の場合、血中の老廃物は腹膜を通して腹膜透析液中に排泄される。高浸透圧の腹膜透析液(グルコース、イコデキストリンまたはアミノ酸等を含有する)は、腎不全患者の血中に蓄積した反応性の高いカルボニル化合物(例えば腎不全患者の血中に酸化ストレスに伴って蓄積する、炭水化物に由来するカルボニル化合物(アラビノース、GO、MGO、3-DG)、アスコルビン酸に由来するカルボニル化合物(デヒドロアスコルビン酸)、脂質に由来するカルボニル化合物(ヒドロキシノネナール、マロンジアルデヒド、アクロレイン))を、腹膜を介して腹腔内の腹膜透析液中に集める作用がある。
また、腹膜透析液の滅菌や保存中に、反応性の高いカルボニル化合物(3-DG、5-ヒドロキシメチルフルフラール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、GO、MGO、レプリン酸、フルフラール、アラビノースなどのカルボニル化合物)が腹膜透析液中に生成することが知られている(非特許文献43参照)。
そのため腹膜透析液中の前記カルボニル化合物濃度は上昇し、蛋白修飾物質の生成が亢進する。その結果、腹膜の機能が低下し、除水能の低下や腹膜硬化症への進展に関与すると考えられる。(非特許文献44参照)。
実際に腹膜透析患者においては、導入されたグルコースによって腹腔内がカルボニルストレス状態となっていることは、内皮および中皮の免疫組織学的検討から証明されている(非特許文献45参照)。
この様に、透析患者においてもカルボニル化合物による蛋白修飾物の生成が腹膜の形態学的変化およびこれに伴う機能(除水能)の低下の原因となっていることが推測されており、その改善方法の提供が求められている。
以上の事実と腎不全をはじめとする種々の病態を考え合わせると、カルボニル化合物蓄積がAGEs産生亢進の原因のひとつであると考えられ(非特許文献46参照)、AGEsの産生を抑制することが、AGEsが関連する病態に対し有効であると考えられる。
代表的なAGEs生成阻害薬としてアミノグアニジンがある。アミノグアニジンはグルコース、シッフ塩基やアマドリ生成物から生成される3-DGなどのジカルボニル化合物と反応してチアゾリンを形成することによってAGEs生成を阻害すると考えられている。糖尿病モデル動物を用いた解析では、糖尿病性腎症(非特許文献47参照)、網膜症(非特許文献48参照)および白内障(非特許文献49参照)の進展を遅延させる効果が確認されている。
他に、この種に属する化合物としてピリドキサミン誘導体(ピリドリン)がある。また、OPB-9195((±) 2-イソプロピリデンヒドラゾノ-4-オキソ-チアゾリジン-5-イルアセトアニリド)はヒドラジンの窒素原子がカルボニル基と反応して安定な構造を形成し、遊離または蛋白に結合した反応性カルボニルを捕捉することにより(非特許文献50参照)、in vitroでAGEsのみならずALEsの生成も抑制する。メトホルミンやブホルミン等のビグアナイド化合物もカルボニル化合物を捕捉できるため、(非特許文献51参照)AGEs生成阻害薬として利用できる可能性がある。さらに、AGEsの特徴である架橋を切断するタイプのAGEs阻害剤、アマドリ化合物を分解する酵素(amadoriase)等の提案もされている。
一方、カルボニル化合物を消去することにより、AGEsやALEsの生成を阻害する可能性も検討されている。カルボニル化合物の消去にはいくつかの酵素や酵素的経路が存在し、例えばアルドース還元酵素、アルデヒドデヒドロゲナーゼやグリオキサラーゼ経路が挙げられるが(非特許文献52参照)還元型グルタチオン(GSH)やNAD(P)Hなどのレドックス補酵素はこれらの経路の活性に重要な要素である。
これらの消去系の低下は同時に多数のカルボニル化合物の上昇につながる。MGO、GOなどのカルボニル化合物はGSHのチオール基と反応し、結果的に酵素グリオキサラーゼにより代謝される。NAD(P)Hはグルタチオン還元酵素を活性化し、GSHレベルを上昇させる。すなわち、細胞内レドックス機構の不均衡によるGSHおよびNAD(P)Hの低下によりカルボニル化合物の消去系が阻害され、AGEsやALEsの蓄積につながると考えられる。また、糖尿病においては、高血糖によりポリオール経路が活性化され、NAD(P)HやGSHが低下し、結果的にカルボニル化合物の消去系が低下することが示唆される。
前述したようにGSHおよびNAD(P)Hなどのチオール濃度の低下がカルボニル化合物消去の低下につながり、結果としてAGEsやALEsを形成する原因のひとつとなっているとすれば、チオールレベルを上昇させることによりカルボニル化合物を減少できる可能性がある。これには、GSH、システイン、アセチルシステイン等によりチオール基を補充する方法、ビタミンEやユビキノール等によりGSH需要を低下させる方法、アルドース還元酵素阻害薬等によりポリオール系を阻害する方法が提案されている。さらに、アミノグアニジン、ピリドキサミン、ヒドラジン、ビグアナイド化合物およびSH基含有化合物を用いて、カルボニル化合物をトラップさせる方法も提案されている(特許文献1参照)。
以上詳細に述べたように、AGEsおよびALEsの生成を阻害することが、これらに関連する病態を予防または治療できる方法である。
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本発明は上記従来技術に鑑みて行われたものであり、本発明の目的は、効果的にAGEs、ALEs等の蛋白修飾物の生成を抑制する蛋白修飾物生成抑制剤を提供することである。
本発明者らは、非酵素的条件下、カルボニル化合物と反応することによって生じる蛋白修飾物(AGEsおよび/またはALEs)が関与する病態を、予防および/または治療するための組成物として好ましい薬剤を開発すべく鋭意研究を行った。その結果、脳循環改善剤として使用されていた3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩が意外にもAGEsの生成を阻害する作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、効果的にAGEs、ALEs等の蛋白修飾物の生成を抑制する蛋白修飾物生成抑制剤に関する。より具体的には、本発明は以下の蛋白修飾物生成抑制剤、およびその用途に関する。
〔1〕 3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩である、蛋白修飾物生成抑制剤。
〔2〕 前記蛋白修飾物が、AGEs、ALEsおよびこれらの組合せよりなる群から選択されるものである、〔1〕に記載の蛋白修飾物生成抑制剤。
〔3〕 前記蛋白修飾物がAGEsである、〔2〕に記載の蛋白修飾物生成抑制剤。
〔4〕 前記AGEsがペントシジンである、〔3〕に記載の蛋白修飾物生成抑制剤。
〔5〕 〔1〕乃至〔4〕の何れかに記載の蛋白修飾物生成抑制剤、またはそれらの組合せを有効成分として含む蛋白修飾物生成抑制組成物。
〔6〕 腹膜透析に於いて蛋白修飾物の生成を抑制するための〔5〕に記載の蛋白修飾物生成抑制組成物。
〔7〕 血液透析に於いて蛋白修飾物の生成を抑制するための〔5〕に記載の蛋白修飾物生成抑制組成物。
〔8〕 〔5〕に記載の蛋白修飾物生成抑制組成物を含むことを特徴とする腹膜透析液。
〔9〕 〔5〕に記載の蛋白修飾物生成抑制組成物を含むことを特徴とする血液透析液。
〔10〕 〔5〕に記載の蛋白修飾物生成抑制組成物を液体試料と接触させる工程を含む、液体試料のカルボニル化合物含有量を低減させる方法。
〔11〕 〔5〕に記載の蛋白修飾物生成抑制組成物を患者血液または腹膜透析液と接触させる工程を含む、蛋白修飾物の生成抑制方法。
本発明によって、蛋白修飾物の生成阻害剤が提供された。たとえば、血液透析や腹膜透析において、透析患者の体内に生成する蛋白修飾物は、組織にダメージを与える原因となることを本発明者らは明らかにしている。蛋白修飾物は、透析によって体外に除去することが難しいので、その生成を防止することは重要な課題である。本発明によれば、安全に、かつ確実に、蛋白修飾物の生成を抑制することができる。
本発明は蛋白修飾物の生成を抑制する蛋白修飾物生成抑制剤を提供する。本発明の「蛋白修飾物」とは、非酵素的条件下にカルボニル化合物と反応することによって生じる蛋白修飾物(例えば、AGEs、ALEs等)をいい、特記しない限りAGEsとALEsの両者を含むものとする。本発明に於いて、前記蛋白修飾物はAGEs、ALEsまたはこれらの組合せであってもよく、例えば、AGEsには、ペントシジン、クロスリン、X1(フルオロリンク)、ピロピリジン、ピラリン、カルボキシメチルリジン、イミダゾロン化合物、カルボキシエチルリジン、MGOダイマー、GOダイマー、イミダゾリジン、アルグピリミジン等が含まれる。ALEsには、マロンジアルデヒドリジンやヒドロキシノネナール修飾物等が含まれる。
本明細書に於ける「蛋白修飾物生成抑制組成物」は、3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩を有効成分として含み、in vivo、ex vivoおよび/またはin vitroに拘わらず、蛋白修飾物の生成を結果的に抑制する組成物である。また、「結果的に抑制する」とは、カルボニル化合物をトラップする作用を有することによるものであってもよく、蛋白修飾物を生成する反応を抑制することによるものであってもよく、最終的に蛋白修飾物の生成を抑制すればよく、その作用機序には限定されない。
本発明に使用する3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンは、次式で示される構造を有している。
本発明に使用する3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンは、一般名をエダラボン(edaravone)と称し、例えば、特公平5−31523号公報に記載された方法により容易に合成できる。3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンは、フリーラジカル消去作用を有し、脳機能正常化剤(特公平5−31523号公報参照)、過酸化脂質生成抑制剤(特公平5−35128号公報参照)、抗潰瘍剤(特許第2906512号公報参照)、血糖上昇抑制剤(特許第2906513号公報参照)、眼疾患剤(特開平7−25765号公報参照)、移植臓器保存剤(特開平9−52801号公報参照)、急性腎不全治療・予防剤(特開平9−52831号公報参照)、皮膚組織障害の予防・治療剤(特開平10−279480号公報参照)、移植皮膚または移植組織の壊死防止剤(特開平11−79991号公報参照)、および視神経疾患治療剤(国際公開02/00260号公報参照)としての用途が確認されている。しかし、3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンがカルボニル化合物をトラップし、カルボニルストレス状態を改善して、カルボニルストレス下で発生する種々の病態の予防または治療に有効であるということは知られていない。
本明細書に於ける「カルボニル化合物」とは、生体由来または非生体由来に関係なく、カルボニル基を有する化合物であればよく、ジカルボニル化合物も含まれる。カルボニル化合物には、アラビノース、GO、MGO、3-DG、グリコールアルデヒド、デヒドロアスコルビン酸、ヒドロキシノネナール、マロンジアルデヒド、アクロレイン、5-ヒドロキシメチルフルフラール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、レプリン酸、フルフラール等が含まれる。
本発明による蛋白修飾物生成抑制組成物は、前記3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩を有効成分として含有する。本発明の蛋白修飾物生成抑制組成物は、本発明の何れかの蛋白修飾物生成抑制剤、またはそれらの組合せを有効成分として含むことを特徴とする。本発明の、蛋白修飾物が関与する病態の予防および/または治療組成物は、3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩を含む組成物であり、特に、腎障害、糖尿病合併症(腎症、神経障害、網膜症、白内障等)、動脈硬化、透析合併症である透析アミロイドーシス、腹膜透析患者における腹膜硬化症、中枢神経疾患であるアルツハイマー病、ピック病およびパーキンソン病、リウマチ性関節炎、日光弾性線維症、老化等を予防および/または治療するのに有用である。
予防剤または治療剤として用いる場合、本発明の3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩を、そのままあるいは水に希釈する等の各種処理を施して使用することができ、医薬品、医薬部外品等に配合して使用することができる。この場合の配合量は病態や製品に応じて適宜選択されるが、通常全身投与製剤の場合には、0.001〜50重量%、特に0.01〜10重量%とすることができ、0.001重量%より少ないと満足する予防または治療作用が認められない可能性があり、また、5重量%を越えると製品そのものの安定性や香味等の特性が損なわれる可能性があるので好ましくない。
本発明の蛋白修飾物生成抑制組成物に含まれる3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンは、製剤学的に許容される塩として製剤中に含有されていてもよい。薬剤学的に許容される塩としては、例えば無機塩基、有機塩基等の塩基との塩、無機酸、有機酸、塩基性または酸性アミノ酸などの酸付加塩等が挙げられる。無機塩基としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、アンモニウム等が挙げられる。有機塩基としては、例えば、エタノールアミン等の第一級アミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン等の第二級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、トリエタノールアミン等の第三級アミン等が挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、乳酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、安息香酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等が挙げられる。塩基性アミノ酸としては、例えば、アルギニン、リジン、オルニチン等が挙げられる。酸性アミノ酸としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられる。
また、蛋白修飾物生成抑制組成物に含まれる3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩に加え、公知の成分として、アミノグアニジン、ピリドキサミン誘導体、OPB-9195、ビグアナイド化合物、架橋形成阻害薬、アマドリ化合物を分解する酵素、GSH、システイン、アセチルシステイン、ビタミンE、ユビキノール、アルドース還元酵素阻害薬、カルボニル化合物トラップ剤等の薬物と併用あるいは配合することにより、蛋白修飾物生成抑制組成物が有する作用の持続性を高めることができる。また、当業者は適切に、3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩の成分を失活化または分解する物質を同定し、これを阻害する物質を選択し、これを併用あるいは配合し、組成物中の有効成分の安定化を図ることができる。
本発明の医薬組成物の投与方法として、経口投与、静脈内投与以外に、経粘膜投与、経皮投与、筋肉内投与、皮下投与、直腸内投与等が適宜選択でき、その投与方法に応じて、種々の製剤として用いることができる。以下に、各製剤について記載するが、本発明において用いられる剤型はこれらに限定されるものではなく、医薬製剤分野において通常用いられる各種製剤として用いることができる。
蛋白修飾物が関与する病態に対する予防薬または治療薬として用いる場合には、3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩の経口投与量は、0.03mg/kg〜30mg/kgの範囲が好ましく、より好ましくは0.1mg/kg〜10mg/kgである。全身投与を行う場合、特に静脈内投与の場合には老若男女または体型等により変動があるが、有効血中濃度が0.2μg/mL〜20μg/mL、より好ましくは0.5μg/mL〜10μg/mLの範囲となるように投与すべきである。
経口投与を行う場合の剤型として、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、錠剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤およびシロップ剤等があり、適宜選択することができる。また、それら製剤について徐放化、安定化、易崩壊化、難崩壊化、腸溶性化、易吸収化等の修飾を施すことができる。また、口腔内局所投与を行う場合の剤型として、咀嚼剤、舌下剤、バッカル剤、トローチ剤、軟膏剤、貼布剤、液剤等があり、適宜選択することができる。また、それら製剤について徐放化、安定化、易崩壊化、難崩壊化、腸溶性化、易吸収化等の修飾を施すことができる。
上記の各剤型について、公知のドラッグデリバリーシステム(DDS)の技術を採用することができる。本明細書に言うDDS製剤とは、徐放化製剤、局所適用製剤(トローチ、バッカル錠、舌下錠等)、薬物放出制御製剤、腸溶性製剤および胃溶性製剤等、投与経路、バイオアベイラビリティー、副作用等を勘案した上で、最適の製剤形態にした製剤をいう。
DDSの構成要素には基本的に薬物、薬物放出モジュール、被包体および治療プログラムから成り、各々の構成要素について、特に放出を停止させた時に速やかに血中濃度が低下する半減期の短い薬物が好ましく、投与部位の生体組織と反応しない被包体が好ましく、さらに、設定された期間において最良の薬物濃度を維持する治療プログラムを有するのが好ましい。薬物放出モジュールは基本的に薬物貯蔵庫、放出制御部、エネルギー源および放出孔または放出表面を有している。これら基本的構成要素は全て揃っている必要はなく、適宜追加あるいは削除等を行い、最良の形態を選択することができる。
DDSに使用できる材料としては、高分子、シクロデキストリン誘導体、レシチン等がある。高分子には不溶性高分子(シリコーン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチルセルロース、セルロースアセテート等)、水溶性高分子およびヒドロキシルゲル形成高分子(ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメタクリレート架橋体、ポリアクリル架橋体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、水溶性セルロース誘導体、架橋ポロキサマー、キチン、キトサン等)、徐溶解性高分子(エチルセルロース、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体の部分エステル等)、胃溶性高分子(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースナトリウム、マクロゴール、ポリビニルピロリドン、メタアクリル酸ジメチルアミノエチル・メタアクリル酸メチルコポリマー等)、腸溶性高分子(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、アクリル酸系ポリマー等)、生分解性高分子(熱凝固または架橋アルブミン、架橋ゼラチン、コラーゲン、フィブリン、ポリシアノアクリレート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリβヒドロキシ酢酸、ポリカプロラクトン等)があり、剤型によって適宜選択することができる。
特に、シリコン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体の部分エステルは薬物の放出制御に使用でき、セルロースアセテートは浸透圧ポンプの材料として使用でき、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースは徐放性製剤の膜素材として使用でき、ポリアクリル架橋体は口腔粘膜あるいは眼粘膜付着剤として使用できる。
また、製剤中にはその剤形(経口投与剤、注射剤、座剤等の公知の剤形)に応じて、溶剤、賦形剤、コーティング剤、基剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、溶解補助剤、懸濁化剤、粘稠剤、乳化剤、安定剤、緩衝剤、等張化剤、無痛化剤、保存剤、矯味剤、芳香剤、着色剤等の添加剤を加えて製造することができる。これら各添加剤について、それぞれ具体例を挙げて例示するが、これらに特に限定されるものではない。
溶剤としては、精製水、注射用水、生理食塩液、ラッカセイ油、エタノール、グリセリン等を挙げることができる。賦形剤としては、デンプン類、乳糖、ブドウ糖、白糖、結晶セルロース、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、トレハロース、キシリトール等を挙げることができる。コーティング剤としては、白糖、ゼラチン、酢酸フタル酸セルロースおよび上記記載した高分子等を挙げることができる。基剤としては、ワセリン、植物油、マクロゴール、水中油型乳剤性基剤、油中水型乳剤性基剤等を挙げることができる。結合剤としては、デンプンおよびその誘導体、セルロースおよびその誘導体、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、トラガント、アラビアゴム等の天然高分子化合物、ポリビニルピロリドン等の合成高分子化合物、デキストリン、ヒドロキシプロピルスターチ等を挙げることができる。滑沢剤としては、ステアリン酸およびその塩類、タルク、ワックス類、小麦デンプン、マクロゴール、水素添加植物油、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール等を挙げることができる。崩壊剤としては、デンプンおよびその誘導体、寒天、ゼラチン末、炭酸水素ナトリウム、セルロースおよびその誘導体、カルメロースカルシウム、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースおよびその塩類ならびにその架橋体、低置換型ヒドロキシプロピルセルロース等を挙げることができる。溶解補助剤としては、シクロデキストリン、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等を挙げることができる。懸濁化剤としては、アラビアゴム、トラガント、アルギン酸ナトリウム、モノステアリン酸アルミニウム、クエン酸、各種界面活性剤等を挙げることができる。粘稠剤としては、カルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、トラガント、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム等を挙げることができる。乳化剤としては、アラビアゴム、コレステロール、トラガント、メチルセルロース、各種界面活性剤、レシチン等を挙げることができる。安定剤としては、亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸、トコフェロール、キレート剤、不活性ガス、還元性物質等を挙げることができる。緩衝剤としては、リン酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸等を挙げることができる。等張化剤としては、塩化ナトリウム、ブドウ糖等を挙げることができる。無痛化剤としては、塩酸プロカイン、リドカイン、ベンジルアルコール等を挙げることができる。保存剤としては、安息香酸およびその塩類、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、逆性石けん、ベンジルアルコール、フェノール、チロメサール等を挙げることができる。矯味剤としては、白糖、サッカリン、カンゾウエキス、ソルビトール、キシリトール、グリセリン等を挙げることができる。芳香剤としては、トウヒチンキ、ローズ油等を挙げることができる。着色剤としては、水溶性食用色素、レーキ色素等を挙げることができる。
上記したように、医薬品を徐放化製剤、腸溶性製剤または薬物放出制御製剤等のDDS製剤化することにより、薬物の有効血中濃度の持続化、バイオアベイラビリティーの向上等の効果が期待できる。しかし、3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩の成分は生体内で失活化または分解され、その結果、所望の効果が低下または消失する可能性がある。従って、3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩の成分を失活化または分解する物質を阻害する物質を本発明の蛋白修飾物に関与する病態の予防または治療組成物と併用することにより、成分の効果をさらに持続化させ得る。これらは製剤中に配合してもよく、または別々に投与してもよい。当業者は適切に、3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩の成分を失活化または分解する物質を同定し、これを阻害する物質を選択し、配合あるいは併用することができる。
製剤中には、上記以外の添加物として通常の組成物に使用されている成分を用いることができ、これらの成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
また、本発明の3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩は、腹膜透析における蛋白修飾物質による障害、即ち蛋白修飾物質の生成を抑制する方法、ならびにこの方法を実現するための透析液や薬剤に利用できる。本発明の蛋白修飾物生成抑制組成物は、腹膜透析に於いて蛋白修飾物の生成を抑制するため、または血液透析に於いて蛋白修飾物の生成を抑制するためのものであってもよい。
本発明の腹膜透析液は、本発明の蛋白修飾物生成抑制組成物またはそれらの組合せを含んでいることを特徴とし、本発明の血液透析液は、本発明の蛋白修飾物生成抑制組成物を含んでいることを特徴とする。
本発明の液体試料のカルボニル化合物含有量を低減させる方法は、本発明の蛋白修飾物生成抑制組成物またはそれらの組合せを液体試料と接触させる工程を含んでいることを特徴とする。
また、本発明の蛋白修飾物の生成抑制方法は、本発明の蛋白修飾物生成抑制組成物またはそれらの組合せを、患者血液または腹膜透析液と接触させる工程を含んでいることを特徴とする。透析における蛋白修飾物とは、腹膜透析または血液透析を受ける患者に由来するカルボニル化合物により生成される蛋白修飾物、および腹膜透析液または血液透析液自体に由来するカルボニル化合物により生成される蛋白修飾物等が対象となる。
本発明における3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩を添加する腹膜透析液または血液透析液の組成は、公知のものでよい。一般的な腹膜透析液は、浸透圧調節剤(グルコース等)、緩衝剤(乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、ピルビン酸、コハク酸等の有機酸、炭酸水素ナトリウム等)、無機塩類(ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、塩素イオン等)等で構成されている。3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩を添加した腹膜透析液または血液透析液は、そのまま密封して加熱滅菌することができる。そうすることによって、加熱滅菌処理時または保存時に伴う、これら主成分からの蛋白修飾物の生成を抑制することができる。
また、第一室および第二室からなる分画された容器に腹膜透析等の液を収容し、第一室に還元糖を収容し、第二室に3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩を収容し、使用直前に混合しても良い。アミノ酸が含まれる場合には、当業者は適宜第三室を設ける等、最良の形態をとることができる。
腹腔内または血管内に投与された後は、3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩が蛋白修飾物の生成を抑制するため、腹膜硬化等の副作用を軽減できる。さらに、その他の病態(糖尿病合併症等)の予防・治療にも効果を発揮することが期待できる。透析液には、本発明の3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩の他に、公知のアミノグアニジン等の薬物を混合して用いることができる。また、粉末型透析剤にも応用可能である。
適当な混注用コネクターを装備した透析回路に、3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩を注入することもできる。また、3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩を直接腹腔内に注入して、腹腔内で腹膜透析液と混合することもできる。また、腹膜透析液を患者へ注入する前、または腹腔内貯留中に、3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩を静脈内注射することにより、蛋白修飾物の生成を効果的に抑制することもできる。
透析液等は、適当な密閉容器に充填し、滅菌処理する。滅菌処理には高圧蒸気滅菌や熱水滅菌などの加熱滅菌が有効である。この場合、高温で有害物質を溶出せず、滅菌後も輸送に耐える強度を備えた容器を用いる。具体的には、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、エチレン酢酸ビニル共重合体などからなる可撓性プラスチックバッグが挙げられる。また、外気の影響による液の劣化を避けるために、透析液等を充填した容器をさらにガスバリアー性の高い包装材で包装しても良い。
高圧加熱滅菌を含む加熱滅菌により滅菌処理を行う場合、用いられる3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩が加熱などの処理に対して十分安定であるならば、透析液配合時に該3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩を予め添加してから、加熱滅菌操作を行うこともできる。用いる3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩が加熱滅菌に安定でない場合は、加熱を要しない滅菌法を用いることもできる。この様な滅菌法には、例えば濾過滅菌などがある。
例えば、孔径0.2μm程度のメンブランフィルターを備えた精密濾過器を用いて濾過することにより滅菌することができる。濾過滅菌された透析液は、可撓性プラスチックバックなどの容器に充填された後、密封される。また、予め加熱滅菌した腹膜透析液等に、後で3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩を添加しても良い。
添加する時期は特に限定されない。液を滅菌後あるいは滅菌前に3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩を添加しても良いし、透析直前または同時に添加しても良いし、透析液を注した後に直接腹膜に注入しても良い。
本発明の腹膜透析液は、現行の腹膜透析液や血液透析液と同様の透析処理に利用される。すなわち、腹膜透析の場合にあっては、透析患者の腹腔内に本発明による腹膜透析液を適量注入し、腹膜を通過して生体内の低分子量成分を腹膜透析液内に移行させる。腹膜透析液は間欠的に循環させ、患者の症状に応じて透析を継続する。このとき、3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩は透析液内または生体内での蛋白修飾物の生成を抑制する。クレアチニンや無機塩類、あるいは塩素イオン等の透析成分とともに、カルボニル化合物も血中や腹膜内から腹膜透析液中へ移行する。ゆえに、蛋白修飾物による生体への悪影響が減少される。
本発明において、添加される3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩は、その効果を維持できる範囲の量を腹膜透析液あるいは血液透析液に添加することができる。具体的には、腹膜透析液あるいは血液透析液における濃度を、たとえば0.01−10mM、通常0.05−5mM、好ましくは0.05−1mMとすることができる。
3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩は透析液のみに使用できるのではなく、栄養輸液、電解質輸液、経腸・経管栄養剤等、あらゆる液剤に利用できる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〕 AGEs生成抑制効果の検証
3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンについて、代表的なAGEsであるペントシジンの生成量を指標として、AGEs生成抑制効果を以下の方法により検証した。
(A)ペントシジン生成抑制効果
(1)アラビノース系によるペントシジン生成抑制効果の評価
ウシ血清アルブミン(BSA:シグマ)を0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)に溶解し、150mg/mLの濃度とした。このBSA溶液200μLを採り、500μLの0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)を加えた。これに所定濃度(最終濃度8、20、および50mM)に調整した3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンのジメチルスルホキシド(DMSO)溶液100μLを加え、さらに0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)に溶かして50mMとしたアラビノース溶液200μLを添加し、試料溶液とした。試料溶液を37℃で7日間、空気存在下でインキュベーションした後、ペントシジン含量を測定した。
ペントシジンの測定は、以下のようにして行った。インキュベーション後の各サンプル50μLに、等容積の10%トリクロロ酢酸を加えた後、5000gで5分間遠心分離した。上清を除去後、ペレットを300μLの5%トリクロロ酢酸で洗浄した。ペレットを減圧下乾燥後、窒素雰囲気下で100μLの6N HCl溶液中にて、110℃で16時間加水分解を行った。次いで酸加水分解物に100μLの5N NaOHおよび200μLの0.5Mリン酸緩衝液(pH7.4)を添加した後、0.5μm孔のポアフィルタを通して濾過し、PBSで希釈した。ペントシジンの濃度は、蛍光検出器(RF-10A、島津製作所)を用いた逆相HPLCを用いて測定した(ミヤタ, ティー(Miyata, T.), ら著 「プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・オブ・ユー・エス・エー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)」, (アメリカ), 1996年, 第93巻, p2353-2358参照)。流出液を335/385nmの励起/蛍光波長でモニターした。合成ペントシジンを標準物質として使用した。ペントシジンの検出限界は、0.1pmol/mgタンパク質であった。
抑制効果は、3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンと同様にして反応させた陽性対照(ピリドキサミン(シグマ))と比較することにより評価した。BSAとアラビノースともにインキュベートしたときの3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンのペントシジン生成抑制効果(ペントシジン量nmol/mL)を図1に示す。図中ピリドキサミンまたは3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オン添加群において左側のカラムから順に濃度0.8mM、2mM、そして5mMの結果である。3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンは、ペントシジンの産生を抑制した。
(2)透析患者血漿系によるペントシジン生成抑制効果の評価
非糖尿病の腎不全透析患者から同意を得て透析前に採血し、新鮮ヘパリン化血漿試料とした。数名の患者(n=3乃至5)から得られたプール血漿を実験に供した。
プールした血漿(900μL)に上記(1)で調整した3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オン100μLを加え、37℃で7日間、空気存在下でインキュベートした。(1)と同様にペントシジン生成量を測定し、これを指標として、タンパク質の糖化反応を抑制する強さを評価した。
透析患者血漿とインキュベートしたときの3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンのペントシジン生成抑制効果(ペントシジン量nmol/mL)を図2に示す。図中ピリドキサミンまたは3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オン添加群において左側のカラムから順に濃度0.8mM、2mM、そして5mMの結果である。3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンは、透析患者血漿においても陽性対照(ピリドキサミン)を上回るペントシジン産生抑制効果を示した。
(B)ジカルボニル化合物の消去効果
GO(50μM)と3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オン(0.08、0.2、および0.5mM)を、0.1Mリン酸緩衝液(pH 7.4)中、37℃でインキュベートした。インキュベート終了後、o-フェニレンジアミンで誘導体化した後、HPLCによりGO残存量を測定した。陽性対照としてピリドキサミンを用いた。図3に示すように、3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンは強力なGO消去効果を示した。図3〜図5は、いずれもコントロール(DMSOのみを加えた場合)における各ジカルボニル化合物の量を100とする割合を示している。図中アミノグアニジン、ピリドキサミンまたは3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オン添加群において左側のカラムから順に濃度0.08mM、0.2mM、そして0.5mMの結果である。
同様にMGOおよび3-DGについても検証した。結果を図4および図5に示す。MGOおよび3-DGの場合も3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンは強力なジカルボニル化合物消去効果を示した。
(C)フリーラジカルの消去効果
AGEsの前駆体となるカルボニル化合物の生成は、酸化により亢進する。そこで、カーボンセンターラジカル(糖由来フリーラジカル)の生成に対する3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンの阻害効果を評価した。
リボースの自動酸化により糖由来フリーラジカルを生成させた。リン酸緩衝液(0.2M、pH 7.4)をChelex-100樹脂(シグマ)(7g/L)で処理し、緩衝液中の金属イオンを除去した。10mMのリボース(和光純薬)、1mM のN-t-butyl-a-phenylnitrone(PBN)(和光純薬)、および3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンのリン酸緩衝液溶液を100℃で75分間インキュベートした(全量500μL)。反応溶液を室温まで冷却した後、糖由来ラジカルのPBN付加物を、電子スピン共鳴装置(日本電子製、JES-FE2XG型)を用いて測定した。
結果を図6に示す。図6は、いずれもコントロール(DMSOのみを加えた場合)におけるカーボンセンターラジカルの量を100とする相対的カーボンセンターラジカルシグナル値(%)を示している。図中3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オン添加群において左側のカラムが濃度0.8mMの場合の、そして右のカラムが2mMの場合の結果である。3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンは濃度依存的にカーボンセンターラジカルを消去した。
〔実施例2〕Thy-1腎炎ラットに対する効果
6週齢の雄ウィスターラット(日本チャールズリバー製)を1週間の予備飼育の後、1.2mg/kg体重のIgG1マウスモノクローナル抗Thy1抗体(OX-7)または基剤(対照)を静脈内注射してThy-1腎炎モデルラットを作製した。各ラットに3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オン27mg/kg体重を1日2回投与した。投与期間は20週とした。3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オン投与20週後にThy-1腎炎ラットを解剖した。病理用の腎臓組織は、常法に従い、凍結組織包埋剤(O. C. T. compound)を用いて包埋した。この凍結包埋組織からフリオスタットを用いて4μmの凍結切片を作製した。
この凍結切片を3-アミノプロピルトリエトキシシラン(シグマ製)でコートしたスライド上にマウントし(4%パラホルムアルデヒド固定、15分)、常法により腎糸球体のPAS染色を行った。PAS染色(Periodic Acid Shiff reaction)は、一般的に多糖類を赤色に染色する。腎病理では、メサンギウム基質や基底膜の構成成分である糖タンパクを赤色で染色し、メサンギウム基質の増生や、基底膜の肥厚を観察することができる。
PAS染色の結果を図7−(a)、図7−(b)に示す。無投与群Thy-1腎炎モデルラット(4匹)の全例において、強度の糸球体障害およびメサンギウム細胞の増殖が確認された(図7−(a))。すなわち、メサンギウム基質の増加が認められた。一方、3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オン投与群(4匹)では、それらの病像が著明に抑制された(図7−(b))。
本発明により、効果的にAGEs、ALEs等の蛋白修飾物の生成を抑制する蛋白修飾物生成抑制剤が提供される。特に、腎障害、腎症、神経障害、網膜症、白内障等の糖尿病合併症、動脈硬化、透析合併症である透析アミロイドーシス、腹膜透析患者における腹膜硬化症、中枢神経疾患であるアルツハイマー病、ピック病、パーキンソン病、リウマチ性関節炎、日光弾性線維症、老化等に対して、予防および/または治療用の薬剤が、本発明により提供され得る。
アラビノース由来のペントシジン生成の阻害効果を示す図である。 腎不全透析患者血漿におけるペントシジン生成の阻害効果を示す図である。 GOに対する消去効果を示す図である。 MGOに対する消去効果を示す図である。 3-DGに対する消去効果を示す図である。 リボース由来カーボンセンターラジカルの消去効果を示す図である。 3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オン27mg/kg体重(b)、または基剤(対照)(a)を投与されたThy-1腎炎ラットの腎臓組織の凍結切片の顕微鏡写真である。

Claims (11)

  1. 3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンまたは薬理学的に許容されるその塩である、蛋白修飾物生成抑制剤。
  2. 前記蛋白修飾物が、AGEs、ALEsおよびこれらの組合せよりなる群から選択されるものである、請求項1に記載の蛋白修飾物生成抑制剤。
  3. 前記蛋白修飾物がAGEsである、請求項2に記載の蛋白修飾物生成抑制剤。
  4. 前記AGEsがペントシジンである、請求項3に記載の蛋白修飾物生成抑制剤。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載の蛋白修飾物生成抑制剤、またはそれらの組合せを有効成分として含む蛋白修飾物生成抑制組成物。
  6. 腹膜透析に於いて蛋白修飾物の生成を抑制するための請求項5に記載の蛋白修飾物生成抑制組成物。
  7. 血液透析に於いて蛋白修飾物の生成を抑制するための請求項5に記載の蛋白修飾物生成抑制組成物。
  8. 請求項5に記載の蛋白修飾物生成抑制組成物を含むことを特徴とする腹膜透析液。
  9. 請求項5に記載の蛋白修飾物生成抑制組成物を含むことを特徴とする血液透析液。
  10. 請求項5に記載の蛋白修飾物生成抑制組成物を液体試料と接触させる工程を含む、液体試料のカルボニル化合物含有量を低減させる方法。
  11. 請求項5に記載の蛋白修飾物生成抑制組成物を患者血液または腹膜透析液と接触させる工程を含む、蛋白修飾物の生成抑制方法。
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