JP2004299594A - 自動車の電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】どのドライバでもどのような運転状況でも常に同じ理想態な操舵フィールを感じることができる自動車の電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】本発明は、自動車の電動パワーステアリング装置であり、実操舵力が小さくなるように電動モータの制御量を設定する第1制御部18と、操舵角を入力とした操舵力特性モデルから目標操舵力を予め設定すると共にこの目標操舵力と実操舵力が一致するように電動モータの制御量を設定する第2制御部20と、これらの第1制御部と第2制御部によるそれぞれの制御量を加算した制御量により電動モータを制御する電動モータ制御部22と、ドライバが持つ操舵力の感度に関する個人固有情報を入手する個人固有情報入手手段33と、この入手した個人固有情報に基づいて上記目標操舵力を補正する操舵力補正手段32と、を有する。
【選択図】 図6
【解決手段】本発明は、自動車の電動パワーステアリング装置であり、実操舵力が小さくなるように電動モータの制御量を設定する第1制御部18と、操舵角を入力とした操舵力特性モデルから目標操舵力を予め設定すると共にこの目標操舵力と実操舵力が一致するように電動モータの制御量を設定する第2制御部20と、これらの第1制御部と第2制御部によるそれぞれの制御量を加算した制御量により電動モータを制御する電動モータ制御部22と、ドライバが持つ操舵力の感度に関する個人固有情報を入手する個人固有情報入手手段33と、この入手した個人固有情報に基づいて上記目標操舵力を補正する操舵力補正手段32と、を有する。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の電動パワーステアリング装置に係わり、特に、電動モータによりハンドルの操舵をアシストする自動車の電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、例えば、特開平8−332964号公報等に示されているような、電動機の動力をステアリング系に作用させて操作力の低減を図るようにした電動パワーステアリング装置が使用されるようになってきている。この電動パワーステアリング装置は、操舵力検出手段を備え、この操舵力検出手段により運転者の操舵力(操舵トルク)を検出すると共に、同時に車速に基づき所定補正トルクを発生させるように電動機への駆動電流を制御し、運転者の操舵力の軽減を図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような電動パワーステアリング装置を設計する場合、良好な操舵フィーリングと高い操安性能を得るためには、操舵角に対する操舵力の特性(以下「操舵力特性」という)を所望の操舵力特性(目標操舵力特性)となるように設定する必要がある。
従来は、電動パワーステアリングを構成するトーションバーやパワーアシストなどの構成部品の特性をチューニング(作り込み)することにより、所望の操舵力特性(目標操舵力特性)となるように設定していた。しかし、これら特性のチューニング(作り込み)には、高価なシステムや多くの工数が必要であった。
また、構成部品の特性ばらつきが原因で精度良く目標操舵力特性を設定することも難しいという状況がある。
【0004】
そこで、本出願人は、この課題を解決するために、特願2002‐95970号(2002年3月29日出願)を出願し、操舵力を操舵角の関数モデルとして表現した操舵力特性モデルを設定し制御することにより、簡便かつ精度良く目標操舵力特性を設定可能とし、操舵フィールと操安性能を向上させた自動車の電動パワーステアリング装置を提案した。
【0005】
一方、ドライバの個人特性、例えば、性別、年齢、職業、体格、腕力などの相違すれば、ドライバの操舵力の感度(操舵フィール)は、各人により異なったものとなり、さらに、同一ドライバの場合でも、運転状況、例えば、運転時の疲労度、体調、ドライビングポジションなどにより、操舵力の感度(操舵フィール)は異なったものとなる。
したがって、上述の操舵力特性モデルにより理想的な目標操舵力特性を設定しても、ドライバの個人特性や運転状況等により、ドライバは、狙い通りの理想的な操舵力特性を感じられない場合がある。
それゆえ、どのドライバでも、どのような運転状況でも、常に同じ理想的な操舵フィールを感じられるよう目標操舵力特性を設定できることが要請されているが、そのようなものは未だ実現されていない。
【0006】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、高価なシステムを用いて構成部品の作り込みを行わなくても、制御系により、目標操舵力を安定して精度良く再現することができ、操舵フィールや操安性を向上させることができる自動車の電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
また、本発明は、どのドライバでもどのような運転状況でも常に同じ理想的な操舵フィールを感じることができる自動車の電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、電動モータによりハンドルの操舵をアシストする自動車の電動パワーステアリング装置であって、操舵トルクを検出して実操舵力を得るトルクセンサと、実操舵力が小さくなるように電動モータの制御量を設定する第1制御部と、操舵角を入力とした操舵力特性モデルから目標操舵力を予め設定すると共にこの目標操舵力と実操舵力が一致するように電動モータの制御量を設定する第2制御部と、これらの第1制御部と第2制御部によるそれぞれの制御量を加算した制御量により電動モータを制御する電動モータ制御部と、ドライバが持つ操舵力の感度に関する個人固有情報を入手する個人固有情報入手手段と、この入手した個人固有情報に基づいて目標操舵力を補正する操舵力補正手段と、を有することを特徴としている。
【0008】
このように構成された本発明においては、第2制御部において、操舵角を入力とした操舵力特性モデルから目標操舵力を予め設定すると共にこの目標操舵力と実操舵力が一致するように電動モータの制御量を設定され、さらに、操舵力補正手段がドライバが持つ操舵力の感度に関する個人固有情報に基づいて目標操舵力を補正するようにしているので、高価なシステムを用いて構成部品の作り込みを行わなくても、制御系により、目標操舵力を安定して精度良く再現することができ、操舵フィールや操安性を向上させることができる。
さらに、本発明においては、ドライバ特性取得手段が、ドライバが持つ操舵力の感度に関する個人固有情報を入手し、操舵力補正手段が、その入手した個人固有情報に基づいて目標操舵力を補正するようにしているので、どのドライバでもどのような運転状況でも常に同じ理想的な操舵フィールを感じることができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、操舵力補正手段は、操舵力特性モデルの特性パラメータを変更することにより目標操舵力を補正する。
このように構成された本発明においては、操舵力特性モデルの特性パラメータを変更するようにしているので、容易且つ精度良く目標操舵力を補正することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、個人固有情報入手手段が入手する個人固有情報は、性別、年齢、又は、職業を含む個人特性である。
このように構成された本発明においては、性別、年齢、又は、職業により、操舵力の感度が個人差により異なるが、操舵力補正手段により、目標操舵力が補正されるので、どのドライバでも同じ理想的な操舵フィールを感じることができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、個人固有情報入手手段が入手する個人固有情報は、ドライバの運転中の操舵力の感度の変化である。
このように構成された本発明においては、ドライバの運転中の操舵力の感度の変化を入手し、この変化に基づき、操舵力補正手段により、目標操舵力を補正するので、ドライバが運転中に操舵力に対する感度が変化しても、常に同じ理想的な操舵フィールを感じることができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、ドライバの運転状況は、ドライバの修正操舵量の減少量である。
このように構成された本発明においては、修正操舵量によりドライバの運転状況を正確に判定することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、個人情報入手手段は、操舵力に対する感度の変化をドライバのドライビングポジションから検出する。
このように構成された本発明においては、ドライバのドライビングポジションにより操舵力に対する感度の変化を検出し、このドライビングポジションに基づき、操舵力補正手段により、目標操舵力を補正するので、ドライバが運転中に操舵力に対する感度が変化しても、常に同じ理想的な操舵フィールを感じることができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、個人情報入手手段は、ドライバのドライビングポジションを検出するドライバシートに内蔵された圧力センサを有する。
このように構成された本発明によれば、ドライバシートに内蔵された圧力センサにより、運転中のドライバのドライビングポジションを容易且つ正確に検出することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明が適用される自動車の電動パワーステアリング装置の一例を示す斜視図である。この図1に示すように、自動車の電動パワーステアリング装置1は、ハンドル(ステアリングホィール)2を備え、このハンドル2は、ステアリングシャフト4の上端に連結されており、ハンドル2を操作する操舵力がスタアリングシャフト4に伝達されるようになっている。このステアリングシャフト4の下端部には自在継手を介して中間シャフト6の上端が連結され、この中間シャフト6の下端には、ステアリングギヤボックス8が設けられている。このステアリングギヤボックス8の両側にはタイロッド10が連結されており、これらの各タイロッド10にはタイヤ(車輪)12が取り付けられている。
【0016】
ここで、ステアリングギヤボックス8の内部には、ラック・ピニオン機構(図示せず)が設けられており、このピニオンには、中間シャフト6の下端が連結されている。一方、ラックの両端部には上述したようにタイロッド10を介してタイヤ12が連結されている。
ステアリングギヤボックス8には、減速ギヤ(図示せず)を介してピニオン側に力を付与する電動モータ14が設けられ、さらに、減速ギヤと中間シャフト6の間にはトルクセンサ(図示せず)が配置されている。このトルクセンサは、中間シャフト6に作用している操舵トルク(実操舵力)を検出するためのものである。
これらの電動モータ14及びトルクセンサは、それぞれ制御ユニット16に接続されている。
この制御ユニット16は、後述する第1制御部(通常のアシスト制御部)、第2制御部(センターフィール補償制御部)、及び、モータ電流制御部から構成されており、トルクセンサの検出値及び車速等に基づき、トルクセンサの検出値(実操舵力)が小さくなるようにすると共に目標操舵力特性を実現するように、電動モータ14が制御されるようになっている。
【0017】
次に、図2及び図3を参照して、本発明の電動パワーステアリング装置に適用される操舵力特性モデルを説明する。
先ず、操舵力特性モデルは、高車速且つほぼ直進状態の走行時に適用可能である。ここで、高車速とは、約80km/h〜約130km/h程度の速度であり、ほぼ直進状態とは、ハンドルをゆっくりと操作する状態、具体的には、0.2Hzの正弦波でハンドルを操作し横向加速度(横G)が0.2G以下となるような操舵状態を想定している。
【0018】
このような高速直進時の操舵力特性を、ばね成分(操舵角を含む非線形の関数で表される)、粘性成分(操舵角速度に比例する)、摩擦成分(操舵角速度を含む非線形関数で表される)とに分解することにより、実際の操舵力特性を精度良く表現できる操舵力特性モデル(操舵力を操舵角の関数モデルとして表現したもの)を設定した。
【0019】
次に、図2及び図3により、操舵力特性モデルの内容を詳細に説明する。図2は、操舵力特性モデルを示す図であり、図3は、この操舵力特性モデルにおけるばね成分、粘性成分及び摩擦成分を示す図である。
操舵力特性モデルは、図2に示すように、ばね成分、粘性成分、及び、摩擦成分からなるモデルである。なお、本発明は、高速直進走行時の操舵力特性を対象したものであるため、ハンドルは、上述したようにゆっくりと操舵される(0.2Hzの正弦波)ため、慣性成分は含まないモデルとなっている。
【0020】
ばね成分は、以下の式(数1)に示す指数関数として設定する。この式(数1)において、θは操舵角であり、Kp及びTpは、ばね成分の特性パラメータである。ばね成分は、基本的には、操舵角にほぼ比例するが、所定の操舵角以上となると飽和状態となるため、特性パラメータKpはこの飽和状態に対応し、特性パラメータTpは、指数関数の時定数を示している。このように、ばね成分を示す式(数1)は、非線形関数となっている。
このように、ばね成分は、操舵角を含む非線形の関数で表されるものと定義される。
【数1】
【0021】
粘性成分は、操舵角速度に比例した力であり、以下の式(数2)により示されている。この式(数2)において、Kdは、粘性成分の特性パタメータである。このように粘性成分は、操舵角速度に比例するものとして定義される。
【数2】
【0022】
摩擦成分は、操舵角速度が小さいときは操舵角速度にほぼ比例した力であり、操舵角速度が大きくなると一定の大きさの摩擦力(飽和状態)となる。この摩擦成分は、以下の式(数3)に示す指数関数として設定する。この式(数3)において、Kf及びTfが摩擦成分の特性パラメータである。特性パラメータKfはこの飽和状態に対応し、特性パラメータTfは、指数関数の時定数を示している。このように、摩擦成分を示す式(数3)は、非線形関数となっている。
このように、摩擦成分は、操舵角速度を含む非線形関数として定義される。
【数3】
【0023】
このようにして、操舵力特性モデルにおいて、ばね成分、粘性成分、摩擦成分が設定され、操舵力(操舵トルク)はこれらの各成分の合計値として設定される。即ち、操舵力特性モデルは、以下の式となる。
【数4】
【0024】
次に、図4により、本発明の自動車の電動パワーステアリング装置の制御ユニットを説明する。図4は本発明の制御ユニットを示すブロック図である。
図4に示すように、制御ユニット16は、第1制御部18、第2制御部20、及び、モータ電流制御部22から構成されている。
また、本実施形態の電動パワーステアリング装置は、ステアリングシャフト又は中間シャフトに作用している操舵力(操舵トルク)を検出するためのトルクセンサ24、横方向加速度(横G)を検出する横Gセンサ26、車速を検出する車速センサ28及び操舵角を検出する操舵角センサ30を備えており、これらの各センサの出力値が制御ユニット16に入力されるようになっている。なお、指標目標値補正ユニット32は後述する。
【0025】
第1制御部18は、通常のアシスト制御を行なう制御部であり、トルクセンサ24の出力値(実操舵力)を小さくするように、即ち、操舵力を軽減する方向のアシスト力を発生させるように、電動モータ14を制御するための制御部である。この第1制御部18には、トルクセンサ24からのトルクセンサ値が入力され、フィルタ34によりノイズがカットされて(Ts1)となり、制御ゲインK1により基準目標電流I0 が演算されるようになっている。ここで、この制御ゲインK1は、後述するように、横Gセンサ26及び車速センサ28の値に基づいて設定される(図5参照)。
【0026】
第2制御部20は、センターフィール補償制御部であり、高車速(80km/h以上)且つほぼ直進状態(例えば、0.2Hzの正弦波で横Gが0.2G以下)の走行時(以下、「センターフィール感応域」と呼ぶ)に、予め設定した目標操舵力となるように電動モータ14を制御するための制御部である。
第2制御部20は、目標操舵力演算部36を有し、この目標操舵力演算部36には、操舵角センサ30から操舵角の値が入力される。目標操舵力演算部36は、この操舵角の値及び上述した式(数4)により表現された操舵力特性モデルを用いて、目標操舵力を算出する。
【0027】
ここで、上述した操舵力特性モデルの特性パラメータ(Kp,Tp,Kd,Kf,Tf)は、標準値(デフォルト値)が予め設定され、これにより、操舵力の感度が平均的なドライバであり且つ普通の運転状態のときは、ドライバは、理想的な操舵力特性を感じることができるようになっている。それゆえ、目標操舵力演算部36では、後述する指標目標値補正ユニット32から、個人特性や運転中の操舵力感度の変化に基づき設定された新たな特性パラメータの値が入力されない限り、この予め設定された特性パラメータの標準値が使用され、理想的と考えられている目標操舵力が演算されるようになっている。
【0028】
第2制御部20は、ローパスフィルタであるフィルタ38を有し、このフィルタ38により、センターフィール感応域に対応した帯域(例えば、0.2Hzを含む帯域)のトルクセンサ24のトルクセンサ値(Ts2)のみを入手できるようになっている。
この第2制御部20では、目標操舵力演算部36から出力された目標操舵力とフィルタ38から出力されたトルクセンサ値との偏差が求められ、この偏差から、制御ゲインK3により補償電流If が演算されるようになっている。ここで、この制御ゲインK3は、後述するように、横Gセンサ26及び車速センサ28の値に基づいて設定される(図5参照)。
【0029】
次に、第1制御部20から出力された基準目標電流I0 と補償電流If とが加算され、目標電流Iが算出される。具体的には、符号を、操舵力を減少させるためにアシスト力を増大する場合には(+)、操舵力を増大させるためにアシスト力を減少させる場合には(−)としているため、基準電流I0 に対して補償電流If を減算する演算が行なわれる。
【0030】
モータ電流制御部22は、電動モータ14に供給される電流が目標電流Iとなるようにするためのフィードバック制御を行なうための制御部である。このため、モータ電流制御部22は、制御ゲインK2、比例積分制御を行なうPI制御部42、モータ特性補償部44を有している。
このようにして演算されて電動モータ14に供給される目標電流Iは、以下の式(数5)により表される。
【数5】
ここで、式(数5)において、(I)は目標電流、(Ts1)はフィルタ34を通ったトルクセンサ値、(K1)は第1制御部の制御ゲイン、(f(θ))は式(数4)により表現された操舵力特性モデル出力、(Ts2)はフィルタ38を通ったトルクセンサ値、(K3)は第2制御部の制御ゲインである。
【0031】
次に図5により、第1制御部及び第2制御部の比例ゲインの補正マップを説明する。図5に示された補正マップは、センターフィール感応域、遷移領域I、遷移領域II、非センターフィール感応域の4つの領域を有し、それぞれの領域において、制御ゲインK1(K1=K1*β),K3(K3=K3*α)の値が補正されるようになっている。ここで、α及びβは補正係数であり、0〜1の範囲で変化する。
先ず、センタフィール感応域においては、補正係数は、α=1、β=0と設定される。このため、第1制御部の制御ゲインK1は0となり、第1制御部による電動モータの電流制御は禁止される。一方、第2制御部の制御ゲインK3はそのまま使用されるので、第2制御部20により、上述した操舵力特性モデルに基づいて予め設定された目標操舵力が発生するように、補償電流If が設定される。この結果、センターフィール感応域においては、所望の操舵力特性が得られ、操安性能が向上する。また、第1制御部18と第2制御部20が同時に作動することにより発生する制御ハンチング(制御干渉)も防止できる。
【0032】
次に、非センターフィール感応域においては、補正係数は、α=0、β=1と設定される。このため、第2制御部の制御ゲインK3は0となり、第2制御部による電動モータの電流制御は禁止される。一方、第1制御部の制御ゲインK1はそのまま使用されるので、第1制御部18により、トルクセンサ値が小さくなるように基準目標電流I0 が設定される。この結果、非センターフィール感応域においては、通常のアシスト制御が行なわれ、ステアリングの取り回し性能が向上する。また、第1制御部18と第2制御部20が同時に作動することにより発生する制御ハンチング(制御干渉)も防止できる。
【0033】
次に、遷移領域Iは、自動車の走行状態が非センターフィール領域からセンターフィール感応域に変化する際に適用される領域である。この遷移領域Iにおいて、補正係数αは、0→1に変化し、補正係数βは、1→0に変化する。
また、遷移領域IIは、自動車の走行状態がセンターフィール領域から非センターフィール感応域に変化する際に適用される領域である。この遷移領域IIにおいて、補正係数αは、1→0に変化し、補正係数βは、0→1に変化する。
これらの遷移領域I,II においては、第1制御部において補正された制御ゲインK1に基づき基準目標電流I0 が設定され、第2制御部において補正された制御ゲインK3に基づき補償電流If が設定され、これらの電流が加算され、目標電流Iが算出される。この結果、これらの遷移領域I,II においては、通常のアシスト制御を行なうと共に併せて目標操舵力を得ることができ、これにより、操安性能が向上する。また、自動車の走行状態が、非センターフィール領域とセンターフィール感応域との間を移行する場合には、その移行方向により、異なる遷移領域を適用するようにしているので、第1制御部18と第2制御部20が同時に作動することにより発生する制御ハンチング(制御干渉)も防止できる。
【0034】
次に、図4、図6乃至図9を参照して、本発明の自動車の電動パワーステアリング装置の第1実施形態を説明する。図6は本発明の第1実施形態を示す概略ブロック図であり、図7は本発明による操舵力特性モデルの特性パラメータを算出するためのロジックを示すブロック図であり、図8は本発明の第1実施形態による指標目標値補正ユニットが実行する制御フローを示すフロチャートであり、図9は本発明の第1実施形態による補正判定指標δ1 と補正量aの関係を示すマップである。
【0035】
図6に示すように、制御ユニット16には、指標目標値補正ユニット32が接続され、さらに、この指標目標値補正ユニット32には、ドライバ特性取得装置33が接続されている。
ドライバ特性取得装置33は、性別、年齢及び職業などのドライバの個人特性データが事前に格納されたメモリーカードから個人特性データを読み取る装置である。指標目標値補正ユニット32は、ドライバ特性取得装置33が取得した個人特性データに基づき、必要な場合には、その個人特性に適合した特性パラメータを算出し、この算出された新たな特性パラメータを、制御ユニット16に入力する。これにより、目標操舵力演算部36に予め記憶されている操舵力特性モデルの特性パラメータの値(デフォルト値)が変更され、操舵力特性モデルから演算された目標操舵力が、個人特性に適合するように、補正される。
【0036】
次に、図7により、指標目標値補正ユニット32が実行する個人特性データに基づいた操舵力特性モデルの特性パラメータの算出方法を説明する。
この特性パラメータを算出する場合には、センターフィール評価指標(操舵フィーリングを客観的に表す指標)を用いる。センターフィール評価指標は、上述したセンターフィール感応域の操舵フィーリングを規定するものであり、操舵角変化に対してドライバーが操舵力を感じない範囲である「操舵力の不感帯」として表されている。
【0037】
ここで、ドライバ自身が実際に感じる操舵力の不感帯は、ドライバの個人特性により、個々のドライバによって異なる。例えば腕力が比較的小さい女性のドライバの方が、腕力が比較的大きい男性のドライバよりも、ハンドルの所定の重さを感じ始める操舵量(操舵角)、即ち、操舵力を感じない範囲(操舵力の不感帯)は、小さくなる傾向にあり、それゆれ、腕力の比較的小さいドライバ自身の操舵力感度は高く、操舵力の不感帯が小さいものとなる。
本実施形態は、ハンドルの所定の重さを感じ始める操舵量(操舵角)、即ち、操舵力を感じない範囲(操舵力の不感帯)を誰もが同じであると感じるように操舵力特性モデルの特性パラメータを設定することにより、腕力の大きさ等が標準と異なるドライバでも、同じ理想的な操舵フィールを感じることができるようにしたものである。
【0038】
図7に示すように、操舵力特性モデルは上述した式(数4)に示す関数モデル(操舵力特性モデル)であり、最初に、この操舵力特性モデルに、基準となる操舵角入力パターンを入力し、このモデルから、予想される操舵力が出力される。次に、そのモデル出力から、センターフィール評価指標(操舵力の不感帯)の予測値を算出する。
次に、上述した個人特性データに基づき、センターフィール評価指標の目標値の補正値を算出する。
次に、センターフィール評価指標の目標値と上述した指標の予測値との誤差を算出する。
【0039】
この算出した誤差が許容値より大きい場合には、NGとして、再度、特性パラメータ値を調整して、指標の新たな予測値を算出し、同様な演算を繰り返して行う。
誤差が許容値より小さくなった場合には、そのときのセンターフィール評価指標に関する予測値を算出するために入力した特性パラメータ値を、求める特性パラメータ値Kp、Tp、Kd、Kf、Tfとして採用する。
この個人特性データに基づいて算出された特性パラメータは、個人特性に適合したものであり、この新たに算出された特性パラメータ値を予め設定された特性パラメータと置き換えることにより、個人特性が異なっていても、誰でも、同じ理想的な操舵フィールを感じることができるのである。
【0040】
次に、図8により、本実施形態による制御フローを説明する。図8における「S」は、各ステップを示している。
先ず、S1において、ドライバ個人の性別、年齢及び職業等の個人特性データが格納されているメモリーカードを挿入する。次に、S2において、メモリーカードに登録されたドライバの個人特性データを取得する。
【0041】
次に、S3に進み、補正判定指標δ1 を算出する。この補正判定指標δ1 は、操舵力特性モデルの特性パラメータの値を個人特性により変更する必要があるか否かを判定するためのものであり、性別、年齢、職業の各データに係数g1、g2、g3をそれぞれ掛けた関数となっている。この補正判定指標δ1 は、女性や高齢者では、その値が大きくなり、成人男性やプロスポーツ選手等では、その値が小さくなるようになっている。即ち、補正判定指標δ1 は、腕力が小さい等の理由によりその個人の操舵力に対する感度が高いと思われるドライバでは大きく、腕力が大きい等の理由によりその個人の操舵力に対する感度が低いと思われるドライバでは小さくなる。
【0042】
次に、S4に進み、補正判定指標δ1 が、δ1 ≧所定値(δ1a)又はδ1 ≦所定値(δ1b)か否かを判定する。δ1 ≧所定値(δ1a)又はδ1 ≦所定値(δ1b)の場合には、S5に進み、図9に示されたマップにより、指標δ1 の値から、センターフィール評価指標の補正量aが決まり、操舵力の不感帯のデフォルト値(標準値)W1が、W1=W1+aと補正される。これにより、センターフィール評価指標の目標値の補正値が決定される。
δ1 ≧所定値(δ1a)又はδ1 ≦所定値(δ1b)でない場合には、新たな特性パラメータを算出する必要がないので、以降のステップS5乃至S7は実行しない。
【0043】
次に、S6に進み、S5で決定したセンターフィール評価指数の目標値の補正量に基づいて、上述した特性パラメータ算出ロジック(図7)により、特性パラメータを算出する。
次に、S7に進み、S6で算出した特性パラメータを、制御ユニット16の目標操舵力演算部36に出力する。
この結果、目標操舵力演算部36では、このようにして算出された個人特性した特性パラメータを、予め設定した標準の特性パラメータと変更し、それにより、目標操舵力を補正する。
【0044】
以上説明した第1実施形態によれば、δ1 ≧所定値(δ1a)の場合には、ドライバ個人の操舵力に対する感度が高く且つ個人の操舵力の不感帯が狭いので、評価指標の操舵力の不感帯のデフォルト値W1を増加補正する。また、δ1 ≦所定値(δ1b)の場合にはドライバ個人に対する感度が低く且つ個人の操舵力の不感帯が広いので、評価指標の操舵力の不感帯のデフォルト値W1を減少補正する。その結果、例えば、ドライバが腕力が小さい女性の場合には、操舵力に対する感度は高くその個人の操舵力の不感帯は狭いが、評価指標の操舵力の不感帯のデフォルト値W1は増加補正され、一方、男性の場合には、逆に、W1は減少補正されるので、どのドライバも、あたかも、デフォルト値W1により設定された理想(標準)の操舵力の不感帯で操舵していると感じる同じ理想的な操舵フィールを得ることができる。
【0045】
次に、図10乃至図12により、本発明の自動車の電動パワーステアリング装置の第2の実施形態を説明する。図10は、本発明の第2実施形態を示す概略ブロック図であり、図11は、第2実施形態による制御フローを示すフローチャートであり、図12は、補正判定指標δ2 と補正量bの関係を示すマップである。
【0046】
図10に示すように、第2実施形態では、第1実施形態の制御ユニット16及び指標目標値補正ユニット32(図4及び図6参照)に加え、ドライバ状態検出装置35が設けられている。このドライバ状態検出装置35は、ドライバ特性取得装置33と共に指標目標値補正ユニット32に接続されている。ドライバ状態検出装置35には、トルクセンサ24、横Gセンサ26、車速センサ28及び操舵角センサ30の出力値が入力されるようになっており、これらの値から修正操舵量の増減値をドライバの運転状況として求める。ここで、修正操舵とは、例えば、外乱で車両挙動が変化したような場合にドライバがハンドルを操舵して直進状態を保持するような操舵を意味している。
【0047】
ここで、ドライバ個人の操舵力に対する感度はドライバ運転状況によって変化する。例えば、ドライバが長時間の運転により疲れている場合や体調が悪い場合等には、ドライバの操舵力に対する感度は低下し、ドライバ自身が持つ操舵力の不感帯即ち舵角変化に対してドライバーが操舵力を感じない範囲は大きくなると共に、修正操舵量が増大する傾向にある。
【0048】
そこで本実施形態では、特性パラメータの値を変更するか否かを、修正操舵量の増減値に基づいて判定し、必要な場合には、上述したようにセンターフィール評価指数(操舵力の不感帯)を用いてその運転状況に適合した新たな特性パラメータを算出する。
特性パラメータの算出は、上述したように、図7の特性パラメータ算出ロジックにより行う。
新たに算出された特性パラメータは、最初に標準的なものとして設定した特性パラメータと置き換えることにより、目標操舵力は、疲労した等のドライバに適合したものとなり、ドライバは、自己の操舵力に対する感度が低下しているにもかかわらず、あたかも、疲労前と同じ理想的な操舵フィールを感じることができる。
【0049】
次に、図11により、本発明の第2実施形態による制御フローを説明する。図11における「S」は、各ステップを示している。
先ず、S1において、各センサ24、26、28及び30の値を入力する。次のステップであるS2、S3、S5、S6は、第1実施形態と同様であり、個人特性に応じた補正量aが算出される。
S4では、補正判定指標δ2 (修正操舵量)を算出する。
次に、S7に進み、ドライバの運転状況に基づく補正量bを算出するための補正判定指標δ2(修正操舵量) が、δ2 ≧所定値(δ2a)か否かを判定する。δ2 ≧所定値(δ2a)の場合には、S9に進み、図12に示された指標δ2 と補正量bとの関係により、指標δ2 の値に応じて補正量bを決定する。ここで、補正量bにより、W1は減少補正されることになる。
【0050】
次に、S10に進み、センターフィール評価指標である操舵力の不感帯のデフォルト値W1に補正量a及び補正量bを加える補正をする。これにより、センターフィール評価指標の目標値の補正値が決定される。
なお、補正量a及び補正量bの両方が設定されない場合には、S10において、センターフィール評価指標の目標値の補正量が設定されることはない。
【0051】
次に、S11に進み、S10で決定したセンターフィール評価指数の目標値の補正値に基づいて、上述した特性パラメータ算出ロジック(図7)により、特性パラメータを算出する。
次に、S12に進み、S11で算出した特性パラメータを、制御ユニット16の目標操舵力演算部36に出力する。
なお、第2実施形態において、ステップS2、S3、S5、S6、S9を省略し、修正操舵量の増減値(増大値)のみに基づいて特性パラメータの算出を行うようにしても良い。
【0052】
第2実施形態においては、δ2 ≧所定値(δ2a)の場合には、ドライバが疲労等して、個人の操舵力に対する感度が低下し、それより、修正操舵が増大しているので、フィーリング評価指標の操舵力の不感帯のデフォルト値W1を補正量bにより減少補正する。この結果、ドライバの操舵力の感度が低下してその個人の不感帯が増大しても、指標の不感帯は減少補正されているので、そのドライバは、疲労しているとき等でも、あたかも、疲労していないとき等のように、同じ理想的な操舵フィールを感じることができる。
以上説明したように、第2実施形態によれば、個人特性データ及びドライバ運転状況の両方に基づいた特性パラメータを算出することができるので、操舵力感度が異なる各ドライバの個人特性に基づくと共に、ドライバの運転状況が変化しても、ドライバは、常に同じ理想的な操舵フィールを感じることができる。
【0053】
次に、図13乃至図15により、本発明の自動車の電動パワーステアリング装置の第3実施形態を説明する。図13は、本発明の第3実施形態を示す概略ブロック図であり、図14は、第3実施形態の制御フローを示すフローチャートであり、図15は、補正判定指標δ3 と補正量cとの関係を示すマップである。
図13に示すように、第3実施形態では、第1実施形態の制御ユニット16及指標目標値補正ユニット32、及び、ドライバ特性取得装置33(図4及び図6参照)に加え、ドライビングポジション検出装置37が設けられている。このドライビングポジション検出装置37は、ドライバ特性取得装置33と共に指標目標値補正ユニット32に接続されている。ドライビングポジション検出装置37には、車両のドライバシートに設けられたドライバの体圧を検出する圧力センサー(図示せず)の値が入力されるようになっており、この値からドライバの運転時のドライビングポジションの不適正さを検出する。
【0054】
ここで、ドライバの操舵力感度は、ドライビングポジションが不適正なほど高くなり、ドライバ自身の持つ操舵力の不感帯は小さくなる傾向にある。特に、ドライビングポジションは、例えば、市街地走行時にはシートバックを起し、高速時にはシートバックを倒したりすることで変化し、シートバックを倒して運転する場合には、操舵力感度は高くなり、不感帯が小さくなる。なお、ドライバ特有のドライビングポジションの違い(癖や個性)については、第1実施形態において、ドライバの個人特性として登録して特性パラメータを変更するようにすると良い。
【0055】
第3実施形態では、操舵力特性モデルの特性パラメータの値を変更するか否かを、ドライビングポジションの不適正さにより判定し、必要な場合には、上述したように、センターフィール評価指標(操舵力の不感帯)を基に新たな特性パラメータを算出する。
特性パラメータの算出は、上述したように、図7の特性パラメータ算出ロジックにより行う。
第3実施形態は、ドライビングポジションが不適正な場合、操舵力特性モデルの特性パラメータの値の標準の特性パラメータの値と置き換えることにより、ドライビングポジションが不適正な場合であっても、ドライバは、常に同じ理想的な操舵フィールを感じることができるようになっている。
【0056】
次に、図14により、第3実施形態による制御フローを説明する。図14における「S」は、各ステップを示している。
先ず、S1において、センサ24,26,28,30及びドライバシートに設けられた圧力センサの各値を入力する。次のステップであるS2、S3、S5、S6は、第1実施形態と同様であり、個人特性に応じた補正量aが算出される。
S4では、補正判定指標δ3 (圧力センサ値)を算出する。
次に、S7に進み、ドライビングポジションの不適正さに応じた補正量cを算出するための補正判定指標δ3(圧力センサ値) が、δ3 ≧所定値(δ3a)か否かを判定する。
δ3 ≧所定値(δ3a)の場合には、S8に進み、図15に示された指標δ3 と補正量cとの関係により、補正量cを決定する。この場合の補正量cによりW1は増大補正されるようになっている。
【0057】
次に、S10に進み、センターフィール評価指標である操舵力の不感帯のデフォルト値W1に補正量a及び補正量cを加える補正をする。これにより、センターフィール評価指標の目標値の補正量を決定する。
なお、補正量a及び補正量cの両方が設定されない場合には、S10において、センターフィール評価指標の目標値の補正量が設定されることはない。
【0058】
次に、S11に進み、S10で決定したセンターフィール評価指数の目標値の補正値に基づいて、上述した特性パラメータ算出ロジック(図7)により、特性パラメータを算出する。
次に、S12に進み、S11で算出した特性パラメータを、制御ユニット16の目標操舵力演算部36に出力する。
なお、第3実施形態において、ステップS2、S3、S5、S6、S9を省略し、ドライビングポジションのみに基づいて特性パラメータの算出を行うようにしても良い。
【0059】
第3実施形態においては、δ3 ≧所定値(δ3a)の場合には、ドライビングポジションが不適正なものであるため、ドライバ自身が持つ操舵力に対する感度が高くなり、ドライバ自身の操舵力の不感帯が狭くなっているので、フィーリング評価指標の操舵力の不感帯のデフォルト値W1を補正量cにより増加補正している。この結果、ドライビングポジションが不適正な場合でも、ドライバは、ドライビングポジションが適正な場合と同じように理想的な操舵フィールを感じることができる。
以上説明したように、第3実施形態によれば、個人特性データ及びドライビングポジションの両方に基づいた特性パラメータを算出するので、操舵力感度が異なる各ドライバの個人特性に基づくと共に、ドライバのドライビングポジションが不適正であっても、ドライビングポジションが適正な場合と同じように理想的な操舵フィールを感じることができる。
なお、上述した各実施形態において、ドライバの左腕と右腕の腕力の差に基づいて、左転舵時と右転舵時で特性パラメータを変更するようにしても良い。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の自動車の電動パワーステアリング装置によれば、操舵力特性モデルを設定し制御することにより、簡便かつ精度良く目標操舵力特性を設定可能とし、操舵フィールと操安性能を向上させることができる。さらに、本発明によれば、どのドライバも、どのような運転状況等でも、常に同じ理想的な操舵フィールを感じることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される電動パワーステアリング装置の一例を示す斜視図である。
【図2】操舵力特性モデルを示す図である。
【図3】操舵力特性モデルにおけるばね成分、粘性成分及び摩擦成分を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態の制御ユニットを示すブロック図である。
【図5】第1実施形態の制御ユニットにおける第1制御部及び第2制御部の制御ゲインの補正マップである。
【図6】本発明の第1実施形態を示す概略ブロック図である。
【図7】本発明の実施形態による特性パラメータを算出するためのロジックを示すブロック図である。
【図8】本発明の第1実施形態による制御フローを示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1実施形態による補正判定指標δと補正量aの関係を示すマップである。
【図10】本発明の第2実施形態を示す概略ブロック図である。
【図11】本発明の第2実施形態による制御フローを示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2実施形態による補正判定指標δbと補正量bの関係を示すマップである。
【図13】本発明の第3実施形態を示す概略ブロック図である。
【図14】本発明の第3実施形態による制御フローを示すフローチャートである。
【図15】本発明の第3実施形態による補正判定指標δcと補正量cの関係を示すマップである。
【符号の説明】
1 電動パワーステアリング装置
2 ハンドル
4 ステアリングシャフト
6 中間シャフト
12 タイヤ
14 電動モータ
16 制御ユニット
18 第1制御部
20 第2制御部
22 モータ電流制御部
24 トルクセンサ
26 横Gセンサ
28 車速センサ
30 操舵角センサ
32 指標目標値補正ユニット
33 ドライバ特性取得装置
34,38 フィルタ
35 ドライバ状態検出装置
36 目標操舵力演算部
37 ドライビングポジション検出装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の電動パワーステアリング装置に係わり、特に、電動モータによりハンドルの操舵をアシストする自動車の電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、例えば、特開平8−332964号公報等に示されているような、電動機の動力をステアリング系に作用させて操作力の低減を図るようにした電動パワーステアリング装置が使用されるようになってきている。この電動パワーステアリング装置は、操舵力検出手段を備え、この操舵力検出手段により運転者の操舵力(操舵トルク)を検出すると共に、同時に車速に基づき所定補正トルクを発生させるように電動機への駆動電流を制御し、運転者の操舵力の軽減を図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような電動パワーステアリング装置を設計する場合、良好な操舵フィーリングと高い操安性能を得るためには、操舵角に対する操舵力の特性(以下「操舵力特性」という)を所望の操舵力特性(目標操舵力特性)となるように設定する必要がある。
従来は、電動パワーステアリングを構成するトーションバーやパワーアシストなどの構成部品の特性をチューニング(作り込み)することにより、所望の操舵力特性(目標操舵力特性)となるように設定していた。しかし、これら特性のチューニング(作り込み)には、高価なシステムや多くの工数が必要であった。
また、構成部品の特性ばらつきが原因で精度良く目標操舵力特性を設定することも難しいという状況がある。
【0004】
そこで、本出願人は、この課題を解決するために、特願2002‐95970号(2002年3月29日出願)を出願し、操舵力を操舵角の関数モデルとして表現した操舵力特性モデルを設定し制御することにより、簡便かつ精度良く目標操舵力特性を設定可能とし、操舵フィールと操安性能を向上させた自動車の電動パワーステアリング装置を提案した。
【0005】
一方、ドライバの個人特性、例えば、性別、年齢、職業、体格、腕力などの相違すれば、ドライバの操舵力の感度(操舵フィール)は、各人により異なったものとなり、さらに、同一ドライバの場合でも、運転状況、例えば、運転時の疲労度、体調、ドライビングポジションなどにより、操舵力の感度(操舵フィール)は異なったものとなる。
したがって、上述の操舵力特性モデルにより理想的な目標操舵力特性を設定しても、ドライバの個人特性や運転状況等により、ドライバは、狙い通りの理想的な操舵力特性を感じられない場合がある。
それゆえ、どのドライバでも、どのような運転状況でも、常に同じ理想的な操舵フィールを感じられるよう目標操舵力特性を設定できることが要請されているが、そのようなものは未だ実現されていない。
【0006】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、高価なシステムを用いて構成部品の作り込みを行わなくても、制御系により、目標操舵力を安定して精度良く再現することができ、操舵フィールや操安性を向上させることができる自動車の電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
また、本発明は、どのドライバでもどのような運転状況でも常に同じ理想的な操舵フィールを感じることができる自動車の電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、電動モータによりハンドルの操舵をアシストする自動車の電動パワーステアリング装置であって、操舵トルクを検出して実操舵力を得るトルクセンサと、実操舵力が小さくなるように電動モータの制御量を設定する第1制御部と、操舵角を入力とした操舵力特性モデルから目標操舵力を予め設定すると共にこの目標操舵力と実操舵力が一致するように電動モータの制御量を設定する第2制御部と、これらの第1制御部と第2制御部によるそれぞれの制御量を加算した制御量により電動モータを制御する電動モータ制御部と、ドライバが持つ操舵力の感度に関する個人固有情報を入手する個人固有情報入手手段と、この入手した個人固有情報に基づいて目標操舵力を補正する操舵力補正手段と、を有することを特徴としている。
【0008】
このように構成された本発明においては、第2制御部において、操舵角を入力とした操舵力特性モデルから目標操舵力を予め設定すると共にこの目標操舵力と実操舵力が一致するように電動モータの制御量を設定され、さらに、操舵力補正手段がドライバが持つ操舵力の感度に関する個人固有情報に基づいて目標操舵力を補正するようにしているので、高価なシステムを用いて構成部品の作り込みを行わなくても、制御系により、目標操舵力を安定して精度良く再現することができ、操舵フィールや操安性を向上させることができる。
さらに、本発明においては、ドライバ特性取得手段が、ドライバが持つ操舵力の感度に関する個人固有情報を入手し、操舵力補正手段が、その入手した個人固有情報に基づいて目標操舵力を補正するようにしているので、どのドライバでもどのような運転状況でも常に同じ理想的な操舵フィールを感じることができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、操舵力補正手段は、操舵力特性モデルの特性パラメータを変更することにより目標操舵力を補正する。
このように構成された本発明においては、操舵力特性モデルの特性パラメータを変更するようにしているので、容易且つ精度良く目標操舵力を補正することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、個人固有情報入手手段が入手する個人固有情報は、性別、年齢、又は、職業を含む個人特性である。
このように構成された本発明においては、性別、年齢、又は、職業により、操舵力の感度が個人差により異なるが、操舵力補正手段により、目標操舵力が補正されるので、どのドライバでも同じ理想的な操舵フィールを感じることができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、個人固有情報入手手段が入手する個人固有情報は、ドライバの運転中の操舵力の感度の変化である。
このように構成された本発明においては、ドライバの運転中の操舵力の感度の変化を入手し、この変化に基づき、操舵力補正手段により、目標操舵力を補正するので、ドライバが運転中に操舵力に対する感度が変化しても、常に同じ理想的な操舵フィールを感じることができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、ドライバの運転状況は、ドライバの修正操舵量の減少量である。
このように構成された本発明においては、修正操舵量によりドライバの運転状況を正確に判定することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、個人情報入手手段は、操舵力に対する感度の変化をドライバのドライビングポジションから検出する。
このように構成された本発明においては、ドライバのドライビングポジションにより操舵力に対する感度の変化を検出し、このドライビングポジションに基づき、操舵力補正手段により、目標操舵力を補正するので、ドライバが運転中に操舵力に対する感度が変化しても、常に同じ理想的な操舵フィールを感じることができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、個人情報入手手段は、ドライバのドライビングポジションを検出するドライバシートに内蔵された圧力センサを有する。
このように構成された本発明によれば、ドライバシートに内蔵された圧力センサにより、運転中のドライバのドライビングポジションを容易且つ正確に検出することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明が適用される自動車の電動パワーステアリング装置の一例を示す斜視図である。この図1に示すように、自動車の電動パワーステアリング装置1は、ハンドル(ステアリングホィール)2を備え、このハンドル2は、ステアリングシャフト4の上端に連結されており、ハンドル2を操作する操舵力がスタアリングシャフト4に伝達されるようになっている。このステアリングシャフト4の下端部には自在継手を介して中間シャフト6の上端が連結され、この中間シャフト6の下端には、ステアリングギヤボックス8が設けられている。このステアリングギヤボックス8の両側にはタイロッド10が連結されており、これらの各タイロッド10にはタイヤ(車輪)12が取り付けられている。
【0016】
ここで、ステアリングギヤボックス8の内部には、ラック・ピニオン機構(図示せず)が設けられており、このピニオンには、中間シャフト6の下端が連結されている。一方、ラックの両端部には上述したようにタイロッド10を介してタイヤ12が連結されている。
ステアリングギヤボックス8には、減速ギヤ(図示せず)を介してピニオン側に力を付与する電動モータ14が設けられ、さらに、減速ギヤと中間シャフト6の間にはトルクセンサ(図示せず)が配置されている。このトルクセンサは、中間シャフト6に作用している操舵トルク(実操舵力)を検出するためのものである。
これらの電動モータ14及びトルクセンサは、それぞれ制御ユニット16に接続されている。
この制御ユニット16は、後述する第1制御部(通常のアシスト制御部)、第2制御部(センターフィール補償制御部)、及び、モータ電流制御部から構成されており、トルクセンサの検出値及び車速等に基づき、トルクセンサの検出値(実操舵力)が小さくなるようにすると共に目標操舵力特性を実現するように、電動モータ14が制御されるようになっている。
【0017】
次に、図2及び図3を参照して、本発明の電動パワーステアリング装置に適用される操舵力特性モデルを説明する。
先ず、操舵力特性モデルは、高車速且つほぼ直進状態の走行時に適用可能である。ここで、高車速とは、約80km/h〜約130km/h程度の速度であり、ほぼ直進状態とは、ハンドルをゆっくりと操作する状態、具体的には、0.2Hzの正弦波でハンドルを操作し横向加速度(横G)が0.2G以下となるような操舵状態を想定している。
【0018】
このような高速直進時の操舵力特性を、ばね成分(操舵角を含む非線形の関数で表される)、粘性成分(操舵角速度に比例する)、摩擦成分(操舵角速度を含む非線形関数で表される)とに分解することにより、実際の操舵力特性を精度良く表現できる操舵力特性モデル(操舵力を操舵角の関数モデルとして表現したもの)を設定した。
【0019】
次に、図2及び図3により、操舵力特性モデルの内容を詳細に説明する。図2は、操舵力特性モデルを示す図であり、図3は、この操舵力特性モデルにおけるばね成分、粘性成分及び摩擦成分を示す図である。
操舵力特性モデルは、図2に示すように、ばね成分、粘性成分、及び、摩擦成分からなるモデルである。なお、本発明は、高速直進走行時の操舵力特性を対象したものであるため、ハンドルは、上述したようにゆっくりと操舵される(0.2Hzの正弦波)ため、慣性成分は含まないモデルとなっている。
【0020】
ばね成分は、以下の式(数1)に示す指数関数として設定する。この式(数1)において、θは操舵角であり、Kp及びTpは、ばね成分の特性パラメータである。ばね成分は、基本的には、操舵角にほぼ比例するが、所定の操舵角以上となると飽和状態となるため、特性パラメータKpはこの飽和状態に対応し、特性パラメータTpは、指数関数の時定数を示している。このように、ばね成分を示す式(数1)は、非線形関数となっている。
このように、ばね成分は、操舵角を含む非線形の関数で表されるものと定義される。
【数1】
【0021】
粘性成分は、操舵角速度に比例した力であり、以下の式(数2)により示されている。この式(数2)において、Kdは、粘性成分の特性パタメータである。このように粘性成分は、操舵角速度に比例するものとして定義される。
【数2】
【0022】
摩擦成分は、操舵角速度が小さいときは操舵角速度にほぼ比例した力であり、操舵角速度が大きくなると一定の大きさの摩擦力(飽和状態)となる。この摩擦成分は、以下の式(数3)に示す指数関数として設定する。この式(数3)において、Kf及びTfが摩擦成分の特性パラメータである。特性パラメータKfはこの飽和状態に対応し、特性パラメータTfは、指数関数の時定数を示している。このように、摩擦成分を示す式(数3)は、非線形関数となっている。
このように、摩擦成分は、操舵角速度を含む非線形関数として定義される。
【数3】
【0023】
このようにして、操舵力特性モデルにおいて、ばね成分、粘性成分、摩擦成分が設定され、操舵力(操舵トルク)はこれらの各成分の合計値として設定される。即ち、操舵力特性モデルは、以下の式となる。
【数4】
【0024】
次に、図4により、本発明の自動車の電動パワーステアリング装置の制御ユニットを説明する。図4は本発明の制御ユニットを示すブロック図である。
図4に示すように、制御ユニット16は、第1制御部18、第2制御部20、及び、モータ電流制御部22から構成されている。
また、本実施形態の電動パワーステアリング装置は、ステアリングシャフト又は中間シャフトに作用している操舵力(操舵トルク)を検出するためのトルクセンサ24、横方向加速度(横G)を検出する横Gセンサ26、車速を検出する車速センサ28及び操舵角を検出する操舵角センサ30を備えており、これらの各センサの出力値が制御ユニット16に入力されるようになっている。なお、指標目標値補正ユニット32は後述する。
【0025】
第1制御部18は、通常のアシスト制御を行なう制御部であり、トルクセンサ24の出力値(実操舵力)を小さくするように、即ち、操舵力を軽減する方向のアシスト力を発生させるように、電動モータ14を制御するための制御部である。この第1制御部18には、トルクセンサ24からのトルクセンサ値が入力され、フィルタ34によりノイズがカットされて(Ts1)となり、制御ゲインK1により基準目標電流I0 が演算されるようになっている。ここで、この制御ゲインK1は、後述するように、横Gセンサ26及び車速センサ28の値に基づいて設定される(図5参照)。
【0026】
第2制御部20は、センターフィール補償制御部であり、高車速(80km/h以上)且つほぼ直進状態(例えば、0.2Hzの正弦波で横Gが0.2G以下)の走行時(以下、「センターフィール感応域」と呼ぶ)に、予め設定した目標操舵力となるように電動モータ14を制御するための制御部である。
第2制御部20は、目標操舵力演算部36を有し、この目標操舵力演算部36には、操舵角センサ30から操舵角の値が入力される。目標操舵力演算部36は、この操舵角の値及び上述した式(数4)により表現された操舵力特性モデルを用いて、目標操舵力を算出する。
【0027】
ここで、上述した操舵力特性モデルの特性パラメータ(Kp,Tp,Kd,Kf,Tf)は、標準値(デフォルト値)が予め設定され、これにより、操舵力の感度が平均的なドライバであり且つ普通の運転状態のときは、ドライバは、理想的な操舵力特性を感じることができるようになっている。それゆえ、目標操舵力演算部36では、後述する指標目標値補正ユニット32から、個人特性や運転中の操舵力感度の変化に基づき設定された新たな特性パラメータの値が入力されない限り、この予め設定された特性パラメータの標準値が使用され、理想的と考えられている目標操舵力が演算されるようになっている。
【0028】
第2制御部20は、ローパスフィルタであるフィルタ38を有し、このフィルタ38により、センターフィール感応域に対応した帯域(例えば、0.2Hzを含む帯域)のトルクセンサ24のトルクセンサ値(Ts2)のみを入手できるようになっている。
この第2制御部20では、目標操舵力演算部36から出力された目標操舵力とフィルタ38から出力されたトルクセンサ値との偏差が求められ、この偏差から、制御ゲインK3により補償電流If が演算されるようになっている。ここで、この制御ゲインK3は、後述するように、横Gセンサ26及び車速センサ28の値に基づいて設定される(図5参照)。
【0029】
次に、第1制御部20から出力された基準目標電流I0 と補償電流If とが加算され、目標電流Iが算出される。具体的には、符号を、操舵力を減少させるためにアシスト力を増大する場合には(+)、操舵力を増大させるためにアシスト力を減少させる場合には(−)としているため、基準電流I0 に対して補償電流If を減算する演算が行なわれる。
【0030】
モータ電流制御部22は、電動モータ14に供給される電流が目標電流Iとなるようにするためのフィードバック制御を行なうための制御部である。このため、モータ電流制御部22は、制御ゲインK2、比例積分制御を行なうPI制御部42、モータ特性補償部44を有している。
このようにして演算されて電動モータ14に供給される目標電流Iは、以下の式(数5)により表される。
【数5】
ここで、式(数5)において、(I)は目標電流、(Ts1)はフィルタ34を通ったトルクセンサ値、(K1)は第1制御部の制御ゲイン、(f(θ))は式(数4)により表現された操舵力特性モデル出力、(Ts2)はフィルタ38を通ったトルクセンサ値、(K3)は第2制御部の制御ゲインである。
【0031】
次に図5により、第1制御部及び第2制御部の比例ゲインの補正マップを説明する。図5に示された補正マップは、センターフィール感応域、遷移領域I、遷移領域II、非センターフィール感応域の4つの領域を有し、それぞれの領域において、制御ゲインK1(K1=K1*β),K3(K3=K3*α)の値が補正されるようになっている。ここで、α及びβは補正係数であり、0〜1の範囲で変化する。
先ず、センタフィール感応域においては、補正係数は、α=1、β=0と設定される。このため、第1制御部の制御ゲインK1は0となり、第1制御部による電動モータの電流制御は禁止される。一方、第2制御部の制御ゲインK3はそのまま使用されるので、第2制御部20により、上述した操舵力特性モデルに基づいて予め設定された目標操舵力が発生するように、補償電流If が設定される。この結果、センターフィール感応域においては、所望の操舵力特性が得られ、操安性能が向上する。また、第1制御部18と第2制御部20が同時に作動することにより発生する制御ハンチング(制御干渉)も防止できる。
【0032】
次に、非センターフィール感応域においては、補正係数は、α=0、β=1と設定される。このため、第2制御部の制御ゲインK3は0となり、第2制御部による電動モータの電流制御は禁止される。一方、第1制御部の制御ゲインK1はそのまま使用されるので、第1制御部18により、トルクセンサ値が小さくなるように基準目標電流I0 が設定される。この結果、非センターフィール感応域においては、通常のアシスト制御が行なわれ、ステアリングの取り回し性能が向上する。また、第1制御部18と第2制御部20が同時に作動することにより発生する制御ハンチング(制御干渉)も防止できる。
【0033】
次に、遷移領域Iは、自動車の走行状態が非センターフィール領域からセンターフィール感応域に変化する際に適用される領域である。この遷移領域Iにおいて、補正係数αは、0→1に変化し、補正係数βは、1→0に変化する。
また、遷移領域IIは、自動車の走行状態がセンターフィール領域から非センターフィール感応域に変化する際に適用される領域である。この遷移領域IIにおいて、補正係数αは、1→0に変化し、補正係数βは、0→1に変化する。
これらの遷移領域I,II においては、第1制御部において補正された制御ゲインK1に基づき基準目標電流I0 が設定され、第2制御部において補正された制御ゲインK3に基づき補償電流If が設定され、これらの電流が加算され、目標電流Iが算出される。この結果、これらの遷移領域I,II においては、通常のアシスト制御を行なうと共に併せて目標操舵力を得ることができ、これにより、操安性能が向上する。また、自動車の走行状態が、非センターフィール領域とセンターフィール感応域との間を移行する場合には、その移行方向により、異なる遷移領域を適用するようにしているので、第1制御部18と第2制御部20が同時に作動することにより発生する制御ハンチング(制御干渉)も防止できる。
【0034】
次に、図4、図6乃至図9を参照して、本発明の自動車の電動パワーステアリング装置の第1実施形態を説明する。図6は本発明の第1実施形態を示す概略ブロック図であり、図7は本発明による操舵力特性モデルの特性パラメータを算出するためのロジックを示すブロック図であり、図8は本発明の第1実施形態による指標目標値補正ユニットが実行する制御フローを示すフロチャートであり、図9は本発明の第1実施形態による補正判定指標δ1 と補正量aの関係を示すマップである。
【0035】
図6に示すように、制御ユニット16には、指標目標値補正ユニット32が接続され、さらに、この指標目標値補正ユニット32には、ドライバ特性取得装置33が接続されている。
ドライバ特性取得装置33は、性別、年齢及び職業などのドライバの個人特性データが事前に格納されたメモリーカードから個人特性データを読み取る装置である。指標目標値補正ユニット32は、ドライバ特性取得装置33が取得した個人特性データに基づき、必要な場合には、その個人特性に適合した特性パラメータを算出し、この算出された新たな特性パラメータを、制御ユニット16に入力する。これにより、目標操舵力演算部36に予め記憶されている操舵力特性モデルの特性パラメータの値(デフォルト値)が変更され、操舵力特性モデルから演算された目標操舵力が、個人特性に適合するように、補正される。
【0036】
次に、図7により、指標目標値補正ユニット32が実行する個人特性データに基づいた操舵力特性モデルの特性パラメータの算出方法を説明する。
この特性パラメータを算出する場合には、センターフィール評価指標(操舵フィーリングを客観的に表す指標)を用いる。センターフィール評価指標は、上述したセンターフィール感応域の操舵フィーリングを規定するものであり、操舵角変化に対してドライバーが操舵力を感じない範囲である「操舵力の不感帯」として表されている。
【0037】
ここで、ドライバ自身が実際に感じる操舵力の不感帯は、ドライバの個人特性により、個々のドライバによって異なる。例えば腕力が比較的小さい女性のドライバの方が、腕力が比較的大きい男性のドライバよりも、ハンドルの所定の重さを感じ始める操舵量(操舵角)、即ち、操舵力を感じない範囲(操舵力の不感帯)は、小さくなる傾向にあり、それゆれ、腕力の比較的小さいドライバ自身の操舵力感度は高く、操舵力の不感帯が小さいものとなる。
本実施形態は、ハンドルの所定の重さを感じ始める操舵量(操舵角)、即ち、操舵力を感じない範囲(操舵力の不感帯)を誰もが同じであると感じるように操舵力特性モデルの特性パラメータを設定することにより、腕力の大きさ等が標準と異なるドライバでも、同じ理想的な操舵フィールを感じることができるようにしたものである。
【0038】
図7に示すように、操舵力特性モデルは上述した式(数4)に示す関数モデル(操舵力特性モデル)であり、最初に、この操舵力特性モデルに、基準となる操舵角入力パターンを入力し、このモデルから、予想される操舵力が出力される。次に、そのモデル出力から、センターフィール評価指標(操舵力の不感帯)の予測値を算出する。
次に、上述した個人特性データに基づき、センターフィール評価指標の目標値の補正値を算出する。
次に、センターフィール評価指標の目標値と上述した指標の予測値との誤差を算出する。
【0039】
この算出した誤差が許容値より大きい場合には、NGとして、再度、特性パラメータ値を調整して、指標の新たな予測値を算出し、同様な演算を繰り返して行う。
誤差が許容値より小さくなった場合には、そのときのセンターフィール評価指標に関する予測値を算出するために入力した特性パラメータ値を、求める特性パラメータ値Kp、Tp、Kd、Kf、Tfとして採用する。
この個人特性データに基づいて算出された特性パラメータは、個人特性に適合したものであり、この新たに算出された特性パラメータ値を予め設定された特性パラメータと置き換えることにより、個人特性が異なっていても、誰でも、同じ理想的な操舵フィールを感じることができるのである。
【0040】
次に、図8により、本実施形態による制御フローを説明する。図8における「S」は、各ステップを示している。
先ず、S1において、ドライバ個人の性別、年齢及び職業等の個人特性データが格納されているメモリーカードを挿入する。次に、S2において、メモリーカードに登録されたドライバの個人特性データを取得する。
【0041】
次に、S3に進み、補正判定指標δ1 を算出する。この補正判定指標δ1 は、操舵力特性モデルの特性パラメータの値を個人特性により変更する必要があるか否かを判定するためのものであり、性別、年齢、職業の各データに係数g1、g2、g3をそれぞれ掛けた関数となっている。この補正判定指標δ1 は、女性や高齢者では、その値が大きくなり、成人男性やプロスポーツ選手等では、その値が小さくなるようになっている。即ち、補正判定指標δ1 は、腕力が小さい等の理由によりその個人の操舵力に対する感度が高いと思われるドライバでは大きく、腕力が大きい等の理由によりその個人の操舵力に対する感度が低いと思われるドライバでは小さくなる。
【0042】
次に、S4に進み、補正判定指標δ1 が、δ1 ≧所定値(δ1a)又はδ1 ≦所定値(δ1b)か否かを判定する。δ1 ≧所定値(δ1a)又はδ1 ≦所定値(δ1b)の場合には、S5に進み、図9に示されたマップにより、指標δ1 の値から、センターフィール評価指標の補正量aが決まり、操舵力の不感帯のデフォルト値(標準値)W1が、W1=W1+aと補正される。これにより、センターフィール評価指標の目標値の補正値が決定される。
δ1 ≧所定値(δ1a)又はδ1 ≦所定値(δ1b)でない場合には、新たな特性パラメータを算出する必要がないので、以降のステップS5乃至S7は実行しない。
【0043】
次に、S6に進み、S5で決定したセンターフィール評価指数の目標値の補正量に基づいて、上述した特性パラメータ算出ロジック(図7)により、特性パラメータを算出する。
次に、S7に進み、S6で算出した特性パラメータを、制御ユニット16の目標操舵力演算部36に出力する。
この結果、目標操舵力演算部36では、このようにして算出された個人特性した特性パラメータを、予め設定した標準の特性パラメータと変更し、それにより、目標操舵力を補正する。
【0044】
以上説明した第1実施形態によれば、δ1 ≧所定値(δ1a)の場合には、ドライバ個人の操舵力に対する感度が高く且つ個人の操舵力の不感帯が狭いので、評価指標の操舵力の不感帯のデフォルト値W1を増加補正する。また、δ1 ≦所定値(δ1b)の場合にはドライバ個人に対する感度が低く且つ個人の操舵力の不感帯が広いので、評価指標の操舵力の不感帯のデフォルト値W1を減少補正する。その結果、例えば、ドライバが腕力が小さい女性の場合には、操舵力に対する感度は高くその個人の操舵力の不感帯は狭いが、評価指標の操舵力の不感帯のデフォルト値W1は増加補正され、一方、男性の場合には、逆に、W1は減少補正されるので、どのドライバも、あたかも、デフォルト値W1により設定された理想(標準)の操舵力の不感帯で操舵していると感じる同じ理想的な操舵フィールを得ることができる。
【0045】
次に、図10乃至図12により、本発明の自動車の電動パワーステアリング装置の第2の実施形態を説明する。図10は、本発明の第2実施形態を示す概略ブロック図であり、図11は、第2実施形態による制御フローを示すフローチャートであり、図12は、補正判定指標δ2 と補正量bの関係を示すマップである。
【0046】
図10に示すように、第2実施形態では、第1実施形態の制御ユニット16及び指標目標値補正ユニット32(図4及び図6参照)に加え、ドライバ状態検出装置35が設けられている。このドライバ状態検出装置35は、ドライバ特性取得装置33と共に指標目標値補正ユニット32に接続されている。ドライバ状態検出装置35には、トルクセンサ24、横Gセンサ26、車速センサ28及び操舵角センサ30の出力値が入力されるようになっており、これらの値から修正操舵量の増減値をドライバの運転状況として求める。ここで、修正操舵とは、例えば、外乱で車両挙動が変化したような場合にドライバがハンドルを操舵して直進状態を保持するような操舵を意味している。
【0047】
ここで、ドライバ個人の操舵力に対する感度はドライバ運転状況によって変化する。例えば、ドライバが長時間の運転により疲れている場合や体調が悪い場合等には、ドライバの操舵力に対する感度は低下し、ドライバ自身が持つ操舵力の不感帯即ち舵角変化に対してドライバーが操舵力を感じない範囲は大きくなると共に、修正操舵量が増大する傾向にある。
【0048】
そこで本実施形態では、特性パラメータの値を変更するか否かを、修正操舵量の増減値に基づいて判定し、必要な場合には、上述したようにセンターフィール評価指数(操舵力の不感帯)を用いてその運転状況に適合した新たな特性パラメータを算出する。
特性パラメータの算出は、上述したように、図7の特性パラメータ算出ロジックにより行う。
新たに算出された特性パラメータは、最初に標準的なものとして設定した特性パラメータと置き換えることにより、目標操舵力は、疲労した等のドライバに適合したものとなり、ドライバは、自己の操舵力に対する感度が低下しているにもかかわらず、あたかも、疲労前と同じ理想的な操舵フィールを感じることができる。
【0049】
次に、図11により、本発明の第2実施形態による制御フローを説明する。図11における「S」は、各ステップを示している。
先ず、S1において、各センサ24、26、28及び30の値を入力する。次のステップであるS2、S3、S5、S6は、第1実施形態と同様であり、個人特性に応じた補正量aが算出される。
S4では、補正判定指標δ2 (修正操舵量)を算出する。
次に、S7に進み、ドライバの運転状況に基づく補正量bを算出するための補正判定指標δ2(修正操舵量) が、δ2 ≧所定値(δ2a)か否かを判定する。δ2 ≧所定値(δ2a)の場合には、S9に進み、図12に示された指標δ2 と補正量bとの関係により、指標δ2 の値に応じて補正量bを決定する。ここで、補正量bにより、W1は減少補正されることになる。
【0050】
次に、S10に進み、センターフィール評価指標である操舵力の不感帯のデフォルト値W1に補正量a及び補正量bを加える補正をする。これにより、センターフィール評価指標の目標値の補正値が決定される。
なお、補正量a及び補正量bの両方が設定されない場合には、S10において、センターフィール評価指標の目標値の補正量が設定されることはない。
【0051】
次に、S11に進み、S10で決定したセンターフィール評価指数の目標値の補正値に基づいて、上述した特性パラメータ算出ロジック(図7)により、特性パラメータを算出する。
次に、S12に進み、S11で算出した特性パラメータを、制御ユニット16の目標操舵力演算部36に出力する。
なお、第2実施形態において、ステップS2、S3、S5、S6、S9を省略し、修正操舵量の増減値(増大値)のみに基づいて特性パラメータの算出を行うようにしても良い。
【0052】
第2実施形態においては、δ2 ≧所定値(δ2a)の場合には、ドライバが疲労等して、個人の操舵力に対する感度が低下し、それより、修正操舵が増大しているので、フィーリング評価指標の操舵力の不感帯のデフォルト値W1を補正量bにより減少補正する。この結果、ドライバの操舵力の感度が低下してその個人の不感帯が増大しても、指標の不感帯は減少補正されているので、そのドライバは、疲労しているとき等でも、あたかも、疲労していないとき等のように、同じ理想的な操舵フィールを感じることができる。
以上説明したように、第2実施形態によれば、個人特性データ及びドライバ運転状況の両方に基づいた特性パラメータを算出することができるので、操舵力感度が異なる各ドライバの個人特性に基づくと共に、ドライバの運転状況が変化しても、ドライバは、常に同じ理想的な操舵フィールを感じることができる。
【0053】
次に、図13乃至図15により、本発明の自動車の電動パワーステアリング装置の第3実施形態を説明する。図13は、本発明の第3実施形態を示す概略ブロック図であり、図14は、第3実施形態の制御フローを示すフローチャートであり、図15は、補正判定指標δ3 と補正量cとの関係を示すマップである。
図13に示すように、第3実施形態では、第1実施形態の制御ユニット16及指標目標値補正ユニット32、及び、ドライバ特性取得装置33(図4及び図6参照)に加え、ドライビングポジション検出装置37が設けられている。このドライビングポジション検出装置37は、ドライバ特性取得装置33と共に指標目標値補正ユニット32に接続されている。ドライビングポジション検出装置37には、車両のドライバシートに設けられたドライバの体圧を検出する圧力センサー(図示せず)の値が入力されるようになっており、この値からドライバの運転時のドライビングポジションの不適正さを検出する。
【0054】
ここで、ドライバの操舵力感度は、ドライビングポジションが不適正なほど高くなり、ドライバ自身の持つ操舵力の不感帯は小さくなる傾向にある。特に、ドライビングポジションは、例えば、市街地走行時にはシートバックを起し、高速時にはシートバックを倒したりすることで変化し、シートバックを倒して運転する場合には、操舵力感度は高くなり、不感帯が小さくなる。なお、ドライバ特有のドライビングポジションの違い(癖や個性)については、第1実施形態において、ドライバの個人特性として登録して特性パラメータを変更するようにすると良い。
【0055】
第3実施形態では、操舵力特性モデルの特性パラメータの値を変更するか否かを、ドライビングポジションの不適正さにより判定し、必要な場合には、上述したように、センターフィール評価指標(操舵力の不感帯)を基に新たな特性パラメータを算出する。
特性パラメータの算出は、上述したように、図7の特性パラメータ算出ロジックにより行う。
第3実施形態は、ドライビングポジションが不適正な場合、操舵力特性モデルの特性パラメータの値の標準の特性パラメータの値と置き換えることにより、ドライビングポジションが不適正な場合であっても、ドライバは、常に同じ理想的な操舵フィールを感じることができるようになっている。
【0056】
次に、図14により、第3実施形態による制御フローを説明する。図14における「S」は、各ステップを示している。
先ず、S1において、センサ24,26,28,30及びドライバシートに設けられた圧力センサの各値を入力する。次のステップであるS2、S3、S5、S6は、第1実施形態と同様であり、個人特性に応じた補正量aが算出される。
S4では、補正判定指標δ3 (圧力センサ値)を算出する。
次に、S7に進み、ドライビングポジションの不適正さに応じた補正量cを算出するための補正判定指標δ3(圧力センサ値) が、δ3 ≧所定値(δ3a)か否かを判定する。
δ3 ≧所定値(δ3a)の場合には、S8に進み、図15に示された指標δ3 と補正量cとの関係により、補正量cを決定する。この場合の補正量cによりW1は増大補正されるようになっている。
【0057】
次に、S10に進み、センターフィール評価指標である操舵力の不感帯のデフォルト値W1に補正量a及び補正量cを加える補正をする。これにより、センターフィール評価指標の目標値の補正量を決定する。
なお、補正量a及び補正量cの両方が設定されない場合には、S10において、センターフィール評価指標の目標値の補正量が設定されることはない。
【0058】
次に、S11に進み、S10で決定したセンターフィール評価指数の目標値の補正値に基づいて、上述した特性パラメータ算出ロジック(図7)により、特性パラメータを算出する。
次に、S12に進み、S11で算出した特性パラメータを、制御ユニット16の目標操舵力演算部36に出力する。
なお、第3実施形態において、ステップS2、S3、S5、S6、S9を省略し、ドライビングポジションのみに基づいて特性パラメータの算出を行うようにしても良い。
【0059】
第3実施形態においては、δ3 ≧所定値(δ3a)の場合には、ドライビングポジションが不適正なものであるため、ドライバ自身が持つ操舵力に対する感度が高くなり、ドライバ自身の操舵力の不感帯が狭くなっているので、フィーリング評価指標の操舵力の不感帯のデフォルト値W1を補正量cにより増加補正している。この結果、ドライビングポジションが不適正な場合でも、ドライバは、ドライビングポジションが適正な場合と同じように理想的な操舵フィールを感じることができる。
以上説明したように、第3実施形態によれば、個人特性データ及びドライビングポジションの両方に基づいた特性パラメータを算出するので、操舵力感度が異なる各ドライバの個人特性に基づくと共に、ドライバのドライビングポジションが不適正であっても、ドライビングポジションが適正な場合と同じように理想的な操舵フィールを感じることができる。
なお、上述した各実施形態において、ドライバの左腕と右腕の腕力の差に基づいて、左転舵時と右転舵時で特性パラメータを変更するようにしても良い。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の自動車の電動パワーステアリング装置によれば、操舵力特性モデルを設定し制御することにより、簡便かつ精度良く目標操舵力特性を設定可能とし、操舵フィールと操安性能を向上させることができる。さらに、本発明によれば、どのドライバも、どのような運転状況等でも、常に同じ理想的な操舵フィールを感じることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される電動パワーステアリング装置の一例を示す斜視図である。
【図2】操舵力特性モデルを示す図である。
【図3】操舵力特性モデルにおけるばね成分、粘性成分及び摩擦成分を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態の制御ユニットを示すブロック図である。
【図5】第1実施形態の制御ユニットにおける第1制御部及び第2制御部の制御ゲインの補正マップである。
【図6】本発明の第1実施形態を示す概略ブロック図である。
【図7】本発明の実施形態による特性パラメータを算出するためのロジックを示すブロック図である。
【図8】本発明の第1実施形態による制御フローを示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1実施形態による補正判定指標δと補正量aの関係を示すマップである。
【図10】本発明の第2実施形態を示す概略ブロック図である。
【図11】本発明の第2実施形態による制御フローを示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2実施形態による補正判定指標δbと補正量bの関係を示すマップである。
【図13】本発明の第3実施形態を示す概略ブロック図である。
【図14】本発明の第3実施形態による制御フローを示すフローチャートである。
【図15】本発明の第3実施形態による補正判定指標δcと補正量cの関係を示すマップである。
【符号の説明】
1 電動パワーステアリング装置
2 ハンドル
4 ステアリングシャフト
6 中間シャフト
12 タイヤ
14 電動モータ
16 制御ユニット
18 第1制御部
20 第2制御部
22 モータ電流制御部
24 トルクセンサ
26 横Gセンサ
28 車速センサ
30 操舵角センサ
32 指標目標値補正ユニット
33 ドライバ特性取得装置
34,38 フィルタ
35 ドライバ状態検出装置
36 目標操舵力演算部
37 ドライビングポジション検出装置
Claims (8)
- 電動モータによりハンドルの操舵をアシストする自動車の電動パワーステアリング装置であって、
操舵トルクを検出して実操舵力を得るトルクセンサと、
実操舵力が小さくなるように上記電動モータの制御量を設定する第1制御部と、
操舵角を入力とした操舵力特性モデルから目標操舵力を予め設定すると共にこの目標操舵力と実操舵力が一致するように上記電動モータの制御量を設定する第2制御部と、
これらの第1制御部と第2制御部によるそれぞれの制御量を加算した制御量により上記電動モータを制御する電動モータ制御部と、
ドライバが持つ操舵力の感度に関する個人固有情報を入手する個人固有情報入手手段と、
この入手した個人固有情報に基づいて上記目標操舵力を補正する操舵力補正手段と、
を有することを特徴とする自動車の電動パワーステアリング装置。 - 上記操舵力補正手段は、上記操舵力特性モデルの特性パラメータを変更することにより上記目標操舵力を補正する請求項1記載の自動車の電動パワーステアリング装置。
- 上記個人固有情報入手手段が入手する個人固有情報は、性別、年齢、又は、職業を含む個人特性である請求項1又は請求項2に記載の自動車の電動パワーステアリング装置。
- 上記個人固有情報入手手段が入手する個人固有情報は、ドライバの運転中の操舵力の感度の変化である請求項1又は請求項2に記載の自動車の電動パワーステアリング装置。
- 上記個人情報入手手段は、上記操舵力に対する感度の変化をドライバの運転状況から検出する請求項4記載の自動車の電動パワーステアリング装置。
- 上記ドライバの運転状況は、ドライバの修正操舵量の減少量である請求項5記載の自動車の電動パワーステアリング装置。
- 上記個人情報入手手段は、上記操舵力に対する感度の変化をドライバのドライビングポジションから検出する請求項4記載の自動車の電動パワーステアリング装置。
- 上記個人情報入手手段は、上記ドライバのドライビングポジションを検出するドライバシートに内蔵された圧力センサを有する請求項7記載の自動車の電動パワーステアリング装置。
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